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特許7617785道路監視装置、道路監視方法、および道路監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】道路監視装置、道路監視方法、および道路監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250110BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
G06T7/00 300F
G06T7/00 350B
H04N7/18 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021049226
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147812
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】清水 利英
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087037(JP,A)
【文献】特開2019-124986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00-19/20
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を含む領域を撮像する撮像装置によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像に共通の特徴を示す情報と前記撮像装置によって新たに撮像された入力画像の情報とに基づいて、前記道路の異常を判定する異常判定部と、
前記複数の過去画像に基づいて、前記共通の特徴を1以上の画素単位で表す共通特徴量を前記共通の特徴を示す情報として演算する共通特徴量演算部と、
前記入力画像における1以上の画素単位の特徴量である判定対象特徴量を前記入力画像の情報として演算する判定対象特徴量演算部と、を備え
前記共通特徴量は、
前記複数の過去画像における前記領域の1以上の画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、前記複数の過去画像間における1以上の画素単位の関連度を示す第2共通特徴量とを含み、
前記異常判定部は、
前記共通特徴量演算部によって演算された前記共通特徴量と前記判定対象特徴量演算部によって演算された前記判定対象特徴量とに基づいて前記道路の異常を判定する際に、前記判定対象特徴量と前記第1共通特徴量との1以上の画素単位の差分を1以上の画素単位の前記第2共通特徴量で調整した結果に基づいて前記道路の異常を判定する
ことを特徴とする道路監視装置。
【請求項2】
前記共通の特徴は、1以上の画素単位の特徴である
ことを特徴とする請求項1に記載の道路監視装置。
【請求項3】
前記共通特徴量演算部は、
機械学習によって前記共通特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項またはに記載の道路監視装置。
【請求項4】
前記共通特徴量演算部は、
複数の前記過去画像の各々における1以上の画素単位の特徴量を抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出された複数の前記過去画像の各々における1以上の画素単位の特徴量に基づいて、前記共通特徴量を算出する算出部と、を備える
ことを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の道路監視装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する道路監視方法であって、
道路を含む領域を撮像する撮像装置によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像に共通の特徴を示す情報と前記撮像装置によって新たに撮像された入力画像の情報とに基づいて、前記道路の異常を判定する異常判定ステップと、
前記複数の過去画像に基づいて、前記共通の特徴を1以上の画素単位で表す共通特徴量を前記共通の特徴を示す情報として演算する共通特徴量演算ステップと、
前記入力画像における1以上の画素単位の特徴量である判定対象特徴量を前記入力画像の情報として演算する判定対象特徴量演算ステップと、を含み、
前記共通特徴量は、
前記複数の過去画像における前記領域の1以上の画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、前記複数の過去画像間における1以上の画素単位の関連度を示す第2共通特徴量とを含み、
前記異常判定ステップでは、
前記共通特徴量演算ステップで演算された前記共通特徴量と前記判定対象特徴量演算ステップで演算された前記判定対象特徴量とに基づいて前記道路の異常を判定する際に、前記判定対象特徴量と前記第1共通特徴量との1以上の画素単位の差分を1以上の画素単位の前記第2共通特徴量で調整した結果に基づいて前記道路の異常を判定する
ことを特徴とする道路監視方法。
【請求項6】
道路を含む領域を撮像する撮像装置によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像に共通の特徴を示す情報と前記撮像装置によって新たに撮像された入力画像の情報とに基づいて、前記道路の異常を判定する異常判定ステップと、
前記複数の過去画像に基づいて、前記共通の特徴を1以上の画素単位で表す共通特徴量を前記共通の特徴を示す情報として演算する共通特徴量演算ステップと、
前記入力画像における1以上の画素単位の特徴量である判定対象特徴量を前記入力画像の情報として演算する判定対象特徴量演算ステップと、を含み、
前記共通特徴量は、
前記複数の過去画像における前記領域の1以上の画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、前記複数の過去画像間における1以上の画素単位の関連度を示す第2共通特徴量とを含み、
前記異常判定ステップでは、
前記共通特徴量演算ステップで演算された前記共通特徴量と前記判定対象特徴量演算ステップで演算された前記判定対象特徴量とに基づいて前記道路の異常を判定する際に、前記判定対象特徴量と前記第1共通特徴量との1以上の画素単位の差分を1以上の画素単位の前記第2共通特徴量で調整した結果に基づいて前記道路の異常を判定することをコンピュータに実行させる
ことを特徴とする道路監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路の異常を判定する道路監視装置、道路監視方法、および道路監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路などの道路には監視カメラが多数設置されており、各監視カメラの撮像画像は、道路管理会社または自治体などの監視員によって監視されており、監視員は、監視カメラの撮像画像から道路に異常があるか否かを判断している。そのため、監視カメラの数が多くなるほど、監視員の負担が増える。
【0003】
そこで、撮像装置によって画像が撮像された領域の異常を判定する技術を道路の監視に用いることが考えられる。例えば、特許文献1には、道路を含む領域を撮像する撮像装置によって過去に撮像された画像である各背景画像と新たに撮像装置によって撮像された入力画像との差分画像を生成し、かかる差分画像に基づいて、入力画像の異常領域を検出する技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、各背景画像が撮像された際の環境条件と入力画像が撮像された際の環境条件との類似度に応じた重み係数を差分画像の画素毎に積算して重み差分画像を複数生成する。そして、特許文献1に記載の技術では、複数の重み差分画像間で同じ画素位置の差分値を積算することで重み差分結果画像を生成し、重み差分結果画像の画素毎に、積算した差分値が閾値以上である位置を異常位置であると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-225010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、各背景画像が撮像された際の環境条件との類似度が低い環境条件で撮像された入力画像に対して異常領域を精度よく検出することが難しい。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、道路を含む領域が撮像された画像から道路の異常を精度よく検出することができる道路監視装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の道路監視装置は、道路を含む領域を撮像する撮像装置によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像に共通の特徴を示す情報と撮像装置によって新たに撮像された入力画像の情報とに基づいて、道路の異常を判定する異常判定部と、複数の過去画像に基づいて、共通の特徴を1以上の画素単位で表す共通特徴量を共通の特徴を示す情報として演算する共通特徴量演算部と、入力画像における1以上の画素単位の特徴量である判定対象特徴量を入力画像の情報として演算する判定対象特徴量演算部と、を備える。共通特徴量は、複数の過去画像における領域の1以上の画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、複数の過去画像間における1以上の画素単位の関連度を示す第2共通特徴量とを含む。異常判定部は、共通特徴量演算部によって演算された共通特徴量と判定対象特徴量演算部によって演算された判定対象特徴量とに基づいて道路の異常を判定する際に、判定対象特徴量と第1共通特徴量との1以上の画素単位の差分を1以上の画素単位の第2共通特徴量で調整した結果に基づいて道路の異常を判定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、道路を含む領域が撮像された画像から道路の異常を精度よく検出することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる道路監視装置を含む監視システムの構成の一例を示す図
図2】実施の形態1にかかる撮像装置によって撮像される領域の一例を示す図
図3】実施の形態1にかかる道路監視装置が実行する共通特徴量演算処理の一例を説明するための図
図4】実施の形態1にかかる道路監視装置が実行する判定対象特徴量演算処理の一例を説明するための図
図5】実施の形態1にかかる道路監視装置の構成の一例を示す図
図6】実施の形態1にかかる共通特徴量演算部によって演算される共通特徴量を説明するための図
図7】実施の形態1にかかる道路監視装置の異常判定部による異常判定処理の一例を説明するための図
図8】実施の形態1にかかる道路監視装置の異常判定部による差分算出処理の一例を説明するための図
図9】実施の形態1にかかる道路監視装置による共通特徴量演算処理の一例を示すフローチャート
図10】実施の形態1にかかる道路監視装置による異常判定処理を含む処理の一例を示すフローチャート
図11】実施の形態1にかかる道路監視装置のハードウェア構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる道路監視装置、道路監視方法、および道路監視プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる道路監視装置を含む監視システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる監視システム100は、道路監視装置1と、撮像装置2,2,・・・,2とを備える。
【0013】
道路監視装置1と撮像装置2,2,・・・,2とはネットワーク3に接続されている。ネットワーク3は、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)またはLAN(Local Area Network)などである。なお、ネットワーク3は、移動体通信網を含んでいてもよい。
【0014】
撮像装置2,2,・・・,2は、互いに異なる位置に固定されて配置され、互いに異なる領域を撮像する。撮像装置2は、領域Rを撮像し、撮像装置2は、領域Rを撮像し、撮像装置2は、領域Rを撮像する。領域R,R,・・・,Rの各々は道路を含む領域である。以下において、撮像装置2,2,・・・,2の各々を個別に区別せずに示す場合、撮像装置2と記載し、領域R,R,・・・,Rの各々を個別に区別せずに示す場合、領域Rと記載する場合がある。
【0015】
図2は、実施の形態1にかかる撮像装置によって撮像される領域の一例を示す図である。図2に示すように、撮像装置2によって撮像される領域Rには、道路60、山61、樹木62、および空63などが含まれる。
【0016】
各撮像装置2は、領域Rを撮像して得られた画像の画像情報を道路監視装置1へネットワーク3を介して送信する。領域Rを撮像して得られる画像は、動画像であるが静止画であってもよい。道路監視装置1は、各撮像装置2からネットワーク3を介して送信される画像情報を受信し、受信した画像情報に基づいて、各領域Rに含まれる道路60の異常を判定する。画像情報は、領域Rを撮像して得られた画像の各画素の情報を含む情報である。
【0017】
道路監視装置1は、各撮像装置2によって異なる環境条件で撮像された領域Rの画像である過去画像を複数含む過去画像群の画像情報に基づいて、複数の過去画像に共通の特徴を示す情報を演算する。環境条件は、例えば、天候および時間帯などの条件である。天候は、例えば、晴れ、曇り、雨、または雪などであり、時間帯は、例えば、朝、昼、または夜などの時間帯である。道路監視装置1は、各撮像装置2によって新たに撮像された領域Rの画像である入力画像の画像情報と複数の過去画像に共通の特徴を示す情報とに基づいて、道路60の異常を領域R毎にリアルタイムに判定する。
【0018】
道路監視装置1は、例えば、共通の特徴を示す情報として、撮像装置2によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像に共通の特徴を画素単位で表す共通特徴量を演算する共通特徴量演算処理を実行する。以下において、撮像装置2によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像を単に複数の過去画像と記載する場合がある。
【0019】
共通特徴量は、例えば、複数の過去画像間の画素単位の特徴量の平均値または中央値を示す第1共通特徴量と画素単位の特徴量の関連度を示す第2共通特徴量とを含む。関連度は、例えば、複数の過去画像間での画素単位の特徴量のばらつき度合いであり、ばらつき度合いが小さいほど関連度が高くなり、複数の過去画像間での特徴量の類似度とも言える。なお、共通特徴量は、過去画像を構成する複数の画素のうち関連度が閾値以上の画素における複数の過去画像における領域Rの画素単位の特徴量の平均値または中央値などで規定されてもよい。
【0020】
図3は、実施の形態1にかかる道路監視装置が実行する共通特徴量演算処理の一例を説明するための図である。図3に示すように、道路監視装置1は、領域Rの過去画像4,4,・・・,4を含む過去画像群5の画像情報に基づいて、領域Rの画像における画素単位の共通特徴量を演算する。kは、整数を示す符号である。以下において、過去画像4,4,・・・,4の各々を個別に区別せずに示す場合、過去画像4と記載する場合がある。
【0021】
道路監視装置1は、各撮像装置2によって新たに撮像された領域Rの画像である入力画像を取得する度に、かかる入力画像の情報に基づいて、入力画像における画素単位の特徴量を判定対象特徴量として領域R毎にリアルタイムに演算する判定対象特徴量演算処理を実行する。
【0022】
図4は、実施の形態1にかかる道路監視装置が実行する判定対象特徴量演算処理の一例を説明するための図である。図4に示すように、道路監視装置1は、撮像装置2によって新たに撮像された領域Rの画像である入力画像6の情報に基づいて、入力画像6における画素単位の特徴量である判定対象特徴量を演算する。
【0023】
そして、道路監視装置1は、共通特徴量と判定対象特徴量とに基づいて、道路60の異常を領域R毎にリアルタイムに判定する。これにより、道路監視装置1は、領域Rを撮像した画像から道路60の異常を精度よく検出することができる。
【0024】
例えば、道路監視装置1は、第1共通特徴量と判定対象特徴量との差分に第2共通特徴量を乗算して得られる値に基づいて、道路60を示す複数の画素のうち道路60に異常がある画素をリアルタイムに判定することができる。また、道路監視装置1は、過去画像を構成する複数の画素のうち関連度が閾値以上の画素の特徴量の平均値または中央値などで第1共通特徴量が規定される場合、第1共通特徴量と判定対象特徴量との差分に基づいて、道路60の異常を領域R毎にリアルタイムに判定することができる。
【0025】
以下、道路監視装置1についてさらに詳細に説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、1つの領域Rにおける道路60の異常を検出する処理について説明するが、かかる処理は、他の領域Rについても同様に行われる。
【0026】
図5は、実施の形態1にかかる道路監視装置の構成の一例を示す図である。図5に示すように、道路監視装置1は、過去画像情報取得部10と、共通特徴量演算部11と、共通特徴量記憶部12と、入力画像情報取得部13と、判定対象特徴量演算部14と、異常判定部15と、領域強調部16と、異常種別判定部17と、出力処理部18とを備える。
【0027】
過去画像情報取得部10は、撮像装置2によって異なる環境条件で過去に撮像された領域Rの画像である過去画像4を複数含む過去画像群5の画像情報を取得し、取得した過去画像群5の画像情報を共通特徴量演算部11へ出力する。過去画像群5には、撮像装置2によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像4が含まれる。過去画像4は、領域Rの通常時の画像である。通常とは、道路監視装置1によって検出対象となる道路60の異常が領域Rに発生していない状態である。道路60の異常は、例えば、道路60上への道路設備の落下、道路60の陥没、道路60への落石、または山61の土砂崩れによる道路60への土砂の流入などである。また、道路60の異常には、例えば、トンネルの内壁の剥がれ、道路標識の損傷、または道路法面の崩落など、領域R内における道路設備または道路周辺の異常も含まれる。トンネルの内壁の剥がれは、例えば、剥がれた部分が道路60上に落下せずにぶら下がっている状態である。また、道路標識の損傷は、例えば、道路標識が折れ曲がっていたりしているものの、道路60上に落下していない状態である。なお、道路設備は、例えば、看板またはトンネルの天井などである。
【0028】
過去画像情報取得部10は、例えば、ネットワーク3を介して不図示の外部装置または不図示の記憶媒体から過去画像群5の画像情報を取得する。過去画像4は、例えば、撮像装置2によって撮像される画像のうち、人が見て通常時の画像と判断した画像であり、これにより、道路監視装置1による領域Rの道路60の異常を人が見て判断した結果に近づけることができる。なお、過去画像4は、人が見て通常時の画像と判断した画像に限定されず、例えば、過去の特定期間で撮像装置2によって撮像された領域Rの画像であってもよい。特定期間は、例えば、領域Rの異常が報告されていない期間などである。
【0029】
共通特徴量演算部11は、過去画像情報取得部10によって取得された過去画像群5の画像情報に基づいて、異なる環境条件で撮像された複数の過去画像4に共通の特徴を示す情報として画素単位の特徴量である共通特徴量を演算する。共通特徴量演算部11は、例えば、過去画像群5を正解画像群として機械学習によって共通特徴量を算出する。共通特徴量演算部11は、算出した共通特徴量の情報を共通特徴量記憶部12に記憶させる。以下、過去画像4を正解画像とし、過去画像群5を正解画像群と記載する場合がある。
【0030】
機械学習は、異なる環境条件で繰り返し撮像された通常時の画像である過去画像4を学習用データとして用いる教師あり学習であり、異なる環境条件で撮像された過去画像4を解析し、これらの過去画像4に共通の特徴を示す情報を学習により取得するものである。教師あり学習では、例えば、ニューラルネットワークを利用することができる。なお、ニューラルネットワークに代えて、線形回帰またはロジスティック回帰といった学習アルゴリズムによる機械学習を用いてもよい。
【0031】
共通特徴量演算部11は、過去画像情報取得部10によって取得された正解画像群の情報に基づいて、各正解画像の特徴量を抽出する抽出部20と、抽出部20によって抽出された各正解画像の特徴量に基づいて、共通特徴量を算出する算出部21とを備える。
【0032】
抽出部20は、各正解画像の特徴量として、例えば、隣接画素との関連性および色などを画素単位で抽出する。隣接画素との関連性は、例えば、色の連続性であり、エッジとも呼ばれる。色は、正解画像の画像情報に含まれる画素単位の色情報で示される色であり、例えば、RGB(Red、Green、Blue)値またはHSV(Hue Saturation Value)値で表される。
【0033】
算出部21は、抽出部20によって抽出された各正解画像の特徴量に基づいて共通特徴量を算出し、算出した共通特徴量の情報を共通特徴量記憶部12に記憶させる。算出部21によって算出される共通特徴量は、道路60に異常が発生していない状態の領域Rの画像における画素単位の特徴量であり、複数の正解画像における領域Rの画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、正解画像間における画素単位の特徴量の関連度を示す第2共通特徴量とを含む。
【0034】
第1共通特徴量は、例えば、RGB値またはHSV値などの色を示す特徴量、および隣接画素との関連度を示す特徴量などで表される。以下において、色の特徴を示す特徴量を第1特徴量と記載し、隣接画素との関連性を示す特徴量を第2特徴量と記載する場合がある。色を示す特徴量は、例えば、RGB値またはHSV値に代えて、輝度、色相、および色彩の少なくとも1つを示す特徴量であってもよい。
【0035】
図6は、実施の形態1にかかる共通特徴量演算部によって演算される共通特徴量を説明するための図である。図6において、縦軸は、第1特徴量を示し、横軸は、第2特徴量を示す。第1特徴量は、例えば、色であり、第2特徴量は、例えば、隣接画素との関連性である。
【0036】
第1共通特徴量は、正解画像群における画素単位の第1特徴量と第2特徴量とで規定される直交座標系における特徴量座標の重心、平均値、または中央値であり、図6では、共通特徴量座標として示されている。なお、第1共通特徴量が3つ以上の特徴量で示される場合、3軸以上の座標系における特徴量座標の重心、平均値、または中央値が第1共通特徴量として算出される。
【0037】
以下においては、第1共通特徴量が第1特徴量および第2特徴量で示されるものとして説明するが、第1共通特徴量は、第1特徴量および第2特徴量以外の特徴量を含んでいてもよく、第1特徴量および第2特徴量以外の特徴量であってもよい。
【0038】
また、共通特徴量演算部11は、例えば、正解画像の特徴量座標のうち第1共通特徴量である共通特徴量座標から最も遠い特徴量座標と共通特徴量座標との距離を演算する。以下において、共通特徴量座標から最も遠い特徴量座標と共通特徴量座標との距離を閾値距離と記載する場合がある。閾値距離は、例えば、ユークリッド距離、マハラノビス距離、チェビシェフ距離、またはマンハッタン距離などである。閾値距離は、上述した共通特徴量に含まれる情報であり、第3共通特徴量である。
【0039】
共通特徴量演算部11は、例えば、閾値距離を距離学習などによって算出することができる。例えば、共通特徴量演算部11は、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングによって距離学習を行う。なお、共通特徴量演算部11は、線形回帰またはロジスティック回帰といった学習アルゴリズムによって距離学習を行うこともできる。
【0040】
第2共通特徴量は、正解画像間における画素単位の関連度を示す特徴量である。正解画像間における画素単位の関連度は、例えば、抽出部20によって抽出された画素単位の特徴量の正解画像間でのばらつき度合いを示す。例えば、正解画像間における画素単位の関連度は、色および隣接画素との関連性の正解画像間でのばらつき度合いを示す。正解画像間での特徴量のばらつき度合いが低いほど、正解画像間における画素単位の関連度が高くなる。例えば、関連度を0から1の間の値とし、ばらつき度合いが低いほど1に近い値、高いほど0に近い値としてもよい。なお、関連度はこの値に限定されるものではなく、後述する、道路60の異常を示す画素を判定する方法に応じて適宜設定すればよい。
【0041】
正解画像のうち空63に相当する画素の色は、領域Rに含まれる空63に雲、太陽、または月などの物体が含まれるか否かによって、大きく変動する。また、正解画像のうち空63に相当する画素の色は、領域Rに含まれる空63に物体が含まれない場合でも、天候によって、青くなったり赤くなったり黒くなったりする。
【0042】
そのため、正解画像のうち空63に相当する画素の色は、画素単位の特徴量の正解画像間でのばらつき度合いが高い。この場合、算出部21は、正解画像のうち空63に相当する画素が正解画像間における画素単位の関連度が低いと判定する。
【0043】
また、自動車およびバイクなどの車両が道路60の路面を走行するが、ある瞬間に撮像された画像のある画素が車両の一部を示す画素である確率は低い。また、道路60の路面は、時間帯によらず無彩色または無彩色に近い色である場合が多い。
【0044】
そのため、正解画像のうち道路60の路面に相当する画素の色は、画素単位の特徴量の正解画像間でのばらつき度合いが低い。この場合、算出部21は、正解画像のうち道路60の路面に相当する画素が正解画像間における画素単位の関連度が高いと判定する。
【0045】
入力画像情報取得部13は、撮像装置2によって新たに撮像された領域Rの画像である入力画像6の情報を取得する。入力画像情報取得部13は、例えば、撮像装置2から出力される入力画像6の情報をネットワーク3経由でリアルタイムに取得する。
【0046】
判定対象特徴量演算部14は、入力画像情報取得部13によって入力画像6の画像情報が取得される毎に、取得した入力画像6の画像情報に基づいて、入力画像6における画素単位の特徴量である判定対象特徴量を演算し、演算した判定対象特徴量の情報を異常判定部15へ出力する。
【0047】
判定対象特徴量演算部14から異常判定部15へ出力される判定対象特徴量は、抽出部20によって抽出される正解画像の特徴量の種別と同じ種別の特徴量である。判定対象特徴量は、例えば、隣接画素との関連性および色などである。
【0048】
異常判定部15は、第1共通特徴量と第2共通特徴量と第3共通特徴量とを含む共通特徴量の情報を共通特徴量記憶部12から取得する。異常判定部15は、共通特徴量記憶部12から取得した共通特徴量と、判定対象特徴量演算部14から出力された判定対象特徴量とに基づいて、領域Rにおいて道路60の異常を判定する。異常判定部15は、判定対象特徴量演算部14から判定対象特徴量が出力される毎に、道路60の異常を判定する。
【0049】
異常判定部15は、例えば、共通特徴量のうち第1共通特徴量と判定対象特徴量との画素単位の差分を画素単位の第2共通特徴量で調整した結果に基づいて、道路60の異常を判定する。
【0050】
異常判定部15は、差分算出部30と、判定部31とを備える。差分算出部30は、共通特徴量のうち第1共通特徴量と判定対象特徴量との画素単位の差分を算出する。判定部31は、差分算出部30によって算出された画素単位の差分を共通特徴量のうち画素単位の第2共通特徴量で調整し、調整した結果に基づいて、入力画像6の各画素が道路60の異常を示す画素であるか否かを判定する。
【0051】
例えば、判定部31は、差分算出部30によって算出された画素単位の差分に共通特徴量のうち画素単位の第2共通特徴量を乗算し、かかる乗算結果を画素単位の相違度として算出する。判定部31は、画素単位の相違度に基づいて、道路60の異常を示す画素を判定する。例えば、判定部31は、相違度が閾値距離以上である画素を道路60の異常を示す画素であると判定する。閾値距離は、上述した第3共通特徴量である。
【0052】
図7は、実施の形態1にかかる道路監視装置の異常判定部による異常判定処理の一例を説明するための図である。図7に示すように、異常判定部15の差分算出部30は、第1共通特徴量と判定対象特徴量との差分を画素単位で算出する差分算出処理を行う。図7に示す例では、領域Rの画像を構成する画素として、画素P1,P2,P3,・・・,Pmが含まれている。mは、領域Rの画像を構成する画素の数を示す整数である。
【0053】
ここで、差分算出処理の一例について説明する。図8は、実施の形態1にかかる道路監視装置の異常判定部による差分算出処理の一例を説明するための図である。図8において、縦軸は、第1特徴量を示し、横軸は、第2特徴量を示す。第1特徴量は、例えば、色であり、第2特徴量は、例えば、隣接画素との関連性である。
【0054】
ここで、判定部31は、第1共通特徴量に含まれる第1特徴量と第2特徴量とから規定される座標である共通特徴量座標と、判定対象特徴量に含まれる第1特徴量と第2特徴量とから規定される座標である判定対象特徴量座標との間の距離を、第1共通特徴量と判定対象特徴量との差分として算出する。共通特徴量座標と判定対象特徴量座標との距離は、例えば、ユークリッド距離、マハラノビス距離、チェビシェフ距離、またはマンハッタン距離などである。
【0055】
図7に戻って、異常判定部15の説明を続ける。異常判定部15の判定部31は、差分算出処理で算出された差分に第2共通特徴量を乗算し、乗算した結果を入力画像6と過去画像群5との相違度として画素単位で算出する相違度算出処理を行う。
【0056】
そして、判定部31は、相違度算出処理で算出した相違度と閾値距離とに基づいて、道路60の異常の判定を行う異常判定処理を行う。例えば、判定部31は、相違度が閾値距離以上である画素を道路60の異常を示す画素であると判定し、相違度が閾値距離未満である画素を場合には、道路60の異常を示す画素ではないと判定する。
【0057】
なお、判定部31は、複数の同一画素の第1共通特徴量と判定対象特徴量との差分に基づいて、道路60の異常を示す画素の判定を行う異常判定処理を行うこともできる。例えば、判定部31は、予め設定された頻度で同一画素の相違度が閾値距離以上になる場合に、道路60の異常を示す画素であると判定し、そうでない場合には、道路60の異常を示す画素ではないと判定することもできる。また、判定部31は、相違度算出処理で算出される同一画素の相違度が連続して閾値距離以上になる回数が予め設定された閾値以上である場合に、道路60の異常を示す画素であると判定し、そうでない場合には、道路60の異常を示す画素ではないと判定することもできる。
【0058】
また、判定部31による処理は、上述した処理に限定されない。例えば、判定部31は、入力画像6を構成する複数の画素のうち、画素単位の第2共通特徴量が閾値距離以上の画素を判定対象画素として判定し、判定対象画素における判定対象特徴量と第1共通特徴量との差分に基づいて、道路60の異常を判定する構成であってもよい。
【0059】
この場合、判定部31は、差分算出部30によって算出された複数の画素単位の差分のうち判定対象画素の差分を判定対象画素として扱う。判定部31は、判定対象画素における判定対象特徴量と第1共通特徴量との差分が閾値距離以上である画素を道路60の異常を示す画素であると判定し、判定対象画素における差分が閾値距離未満である画素を道路60の異常を示す画素ではないと判定する。
【0060】
この場合も、判定部31は、同一判定対象画素の複数の差分に基づいて、道路60の異常の判定を行う異常判定処理を行うこともできる。例えば、判定部31は、判定対象画素における差分が閾値距離以上になる場合に、判定対象画素が道路60の異常を示す画素であると判定し、そうでない場合には、判定対象画素が道路60の異常を示す画素ではないと判定することもできる。また、判定部31は、差分算出部30によって算出される同一判定対象画素における差分が予め設定された頻度で閾値距離以上になる場合に、判定対象画素が道路60の異常を示す画素であると判定し、そうでない場合には、判定対象画素が道路60の異常を示す画素ではないと判定することもできる。また、判定部31は、差分算出部30によって算出される同一判定対象画素における差分が連続して閾値距離以上になる回数が予め設定された閾値以上である場合に、判定対象画素が道路60の異常を示す画素であると判定し、そうでない場合には、判定対象画素が道路60の異常を示す画素ではないと判定することもできる。
【0061】
図5に戻って、道路監視装置1についての説明を続ける。道路監視装置1の領域強調部16は、入力画像6のうち異常判定部15によって判定された道路60の異常を示す画素を強調する。領域強調部16は、例えば、道路60の異常を示す画素を特定色にしたり、道路60の異常を示す1以上の画素の領域を太線で囲ったりすることによって、道路60の異常を示す画素を強調する。特定色は、例えば、入力画像6の画素の色のうち同一または類似する色が最も少ない色であるが、予め定められた色であってもよい。予め定められた色は、例えば赤である。
【0062】
なお、領域強調部16は、相違度と距離閾値との差が大きくなるほどまたは距離閾値との差が大きくなるほど差分と第1色から第2色に近づくように道路60の異常を示す画素を強調することができる。第1色は、例えば青であり、第2色は、例えば赤である。
【0063】
道路監視装置1の異常種別判定部17は、異常判定部15によって判定された道路60の異常を示す画素を含む画像の画像情報に基づいて、道路60の異常の種別を判定する。道路60の異常の種別は、例えば、道路60の路面への落石、道路60の路面の陥没、道路60の路面への土砂の流入、または道路60上への道路設備の落下などである。
【0064】
異常種別判定部17は、例えば、画像情報を入力とし、道路60の異常の種別の情報を出力とする計算モデルを有しており、入力画像6のうち道路60の異常を示す画素を含む画像の画像情報を計算モデルへ入力し、計算モデルから出力される道路60の異常の種別の情報に基づいて、道路60の異常の種別を判定する。
【0065】
道路60の異常の種別の情報は、例えば、道路60の異常の種別毎のスコアであり、異常種別判定部17は、道路60の異常の複数の種別のうちスコアが閾値以上の種別の道路60の異常を道路60の異常の種別として判定する。計算モデルは、例えば、ディープラーニングによって生成される計算モデルであるが、線形回帰またはロジスティック回帰といった学習アルゴリズムによって生成される計算モデルであってもよい。
【0066】
出力処理部18は、領域強調部16によって道路60の異常を示す画素が強調表示された入力画像6の情報と、異常種別判定部17によって判定された道路60の異常の種別の情報とを含む判定結果情報を出力する。
【0067】
つづいて、フローチャートを用いて道路監視装置1による共通特徴量演算処理を説明する。図9は、実施の形態1にかかる道路監視装置による共通特徴量演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図9に示すように、道路監視装置1の過去画像情報取得部10は、過去画像群5の画像情報を取得する(ステップS10)。そして、道路監視装置1の共通特徴量演算部11は、ステップS10で取得された過去画像群5の画像情報に基づいて、各過去画像4の画素単位の特徴量を抽出する(ステップS11)。
【0069】
次に、共通特徴量演算部11は、各過去画像4の画素単位の特徴量に基づいて、領域Rの画素単位の共通特徴量を算出し(ステップS12)、算出した画素単位の共通特徴量の情報を共通特徴量記憶部12に記憶させる(ステップS13)。道路監視装置1は、ステップS13の処理が終了した場合、図9に示す処理を終了する。
【0070】
つづいて、フローチャートを用いて道路監視装置1による異常判定処理を含む処理を説明する。図10は、実施の形態1にかかる道路監視装置による異常判定処理を含む処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図10に示すように、道路監視装置1の入力画像情報取得部13は、撮像装置2から入力画像6の情報を取得する(ステップS20)。道路監視装置1の判定対象特徴量演算部14は、入力画像情報取得部13によって取得された入力画像6の情報に基づいて、入力画像6の画素単位の特徴量を画素単位の判定対象特徴量として抽出する(ステップS21)。
【0072】
次に、道路監視装置1の異常判定部15は、共通特徴量記憶部12から画素単位の共通特徴量の情報を取得する(ステップS22)。そして、異常判定部15は、判定対象特徴量と第1共通特徴量との画素単位の差分を算出する(ステップS23)。
【0073】
次に、異常判定部15は、ステップS23で算出した差分に第2共通特徴量を乗算して画素単位の相違度を算出する(ステップS24)。そして、異常判定部15は、ステップS24で算出した画素単位の相違度と閾値距離とに基づいて、道路60の異常を判定する(ステップS25)。
【0074】
次に、道路監視装置1の領域強調部16は、道路60の異常を示す画素の領域を強調した入力画像6を生成する(ステップS26)。また、道路監視装置1の異常種別判定部17は、道路60の異常を示す画素を含む画像に基づいて、道路60の異常の種別を判定する(ステップS27)。
【0075】
次に、道路監視装置1の出力処理部18は、ステップS26で道路60の異常を示す画素が強調された入力画像6の情報と、ステップS27で判定された道路60の異常の種別の情報とを含む判定結果情報を出力する(ステップS28)。
【0076】
次に、道路監視装置1は、ステップS28の処理が終了した場合、動作処理を終了するか否かを判定する(ステップS29)。道路監視装置1は、例えば、道路監視装置1の電源がオフになった場合、または不図示の操作部への操作が動作終了操作である場合、動作処理を終了すると判定する。
【0077】
道路監視装置1は、動作処理を終了しないと判定した場合(ステップS29:No)、処理をステップS20へ移行し、動作終了操作があると判定した場合(ステップS29:Yes)、図10に示す処理を終了する。
【0078】
図11は、実施の形態1にかかる道路監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図11に示すように、道路監視装置1は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信装置103と、インタフェース回路104とを備えるコンピュータを含む。
【0079】
プロセッサ101、メモリ102、通信装置103、およびインタフェース回路104は、例えば、バス105によって互いに情報の送受信が可能である。共通特徴量記憶部12は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、過去画像情報取得部10、共通特徴量演算部11、入力画像情報取得部13、判定対象特徴量演算部14、異常判定部15、領域強調部16、異常種別判定部17、および出力処理部18などの機能を実行する。プロセッサ101は、例えば、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
【0080】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、道路監視装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
【0081】
道路監視装置1は、端末装置で構成されてもよく、サーバで構成されてもよく、端末装置とサーバとで構成されてもよい。道路監視装置1が2つ以上の装置で構成される場合、2つ以上の装置の各々は、例えば、図11に示すハードウェア構成を有する。なお、2つ以上の装置間の通信は、通信装置103を介して行われる。また、道路監視装置1は、2つ以上のサーバで構成されてもよい。例えば、道路監視装置1は、処理サーバと、データサーバとで構成されてもよい。
【0082】
また、撮像装置2と端末装置が現地に設置され、端末装置で検出した結果がサーバに送信される構成としてもよい。この場合、入力画像情報取得部13、判定対象特徴量演算部14、および異常判定部15の機能が端末装置により実行される。
【0083】
また、上述した例では、道路監視装置1は、画素単位で共通特徴量と判定対象特徴量とを演算するが、複数の画素単位で共通特徴量と判定対象特徴量を演算することもできる。例えば、道路監視装置1は、2×2の4画素単位で共通特徴量と判定対象特徴量とを演算することができる。この場合、道路監視装置1は、4画素単位の共通特徴量と4画素単位の判定対象特徴量とに基づいて、道路60の異常を判定する。
【0084】
以上のように、実施の形態1にかかる道路監視装置1は、異常判定部15を備える。異常判定部15は、道路60を含む領域Rを撮像する撮像装置2によって異なる環境条件で撮像された複数の過去画像4に共通の特徴を示す情報と撮像装置2によって新たに撮像された入力画像6の情報とに基づいて、道路60の異常を判定する。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常を精度よく検出することができる。
【0085】
また、共通の特徴は、1以上の画素単位の特徴である。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常を1以上の画素単位で精度よく検出することができる。
【0086】
また、道路監視装置1は、共通特徴量演算部11と、判定対象特徴量演算部14とを備える。共通特徴量演算部11は、複数の過去画像4に基づいて、共通の特徴を1以上の画素単位で表す共通特徴量を共通の特徴を示す情報として演算する。判定対象特徴量演算部14は、入力画像6における1以上の画素単位の特徴量である判定対象特徴量を入力画像6の情報として演算する。異常判定部15は、共通特徴量演算部11によって演算された共通特徴量と判定対象特徴量演算部14によって演算された判定対象特徴量とに基づいて、道路60の異常を判定する。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常を精度よく検出することができる。
【0087】
また、共通特徴量は、複数の過去画像4における領域Rの1以上の画素単位の特徴量を示す第1共通特徴量と、複数の過去画像4間における1以上の画素単位の関連度を示す第2共通特徴量とを含む。異常判定部15は、判定対象特徴量と第1共通特徴量との1以上の画素単位の差分を1以上の画素単位の第2共通特徴量で調整した結果に基づいて、道路60の異常を判定する。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常をより精度よく検出することができる。
【0088】
また、共通特徴量演算部11は、機械学習によって共通特徴量を算出する。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常をより精度よく検出することができる。
【0089】
また、共通特徴量演算部11は、抽出部20と、算出部21とを備える。抽出部20は複数の過去画像4の各々における1以上の画素単位の特徴量を抽出する。算出部21は、抽出部20で抽出された複数の過去画像4の各々における1以上の画素単位の特徴量に基づいて、共通特徴量を算出する。これにより、道路監視装置1は、道路60を含む領域Rが撮像された画像から道路60の異常を精度よく検出することができる。
【0090】
また、道路監視装置1は、入力画像6のうち異常判定部15によって判定された道路60の異常を示す領域を強調する領域強調部16を備える。これにより、道路監視装置1は、例えば、入力画像6を監視する監視員に対して道路60の異常をより把握可能に提示することができる。
【0091】
また、道路監視装置1は、異常判定部15によって判定された道路60の異常を示す領域の画像の画像情報に基づいて、道路60の異常の種別を判定する異常種別判定部17を備える。これにより、道路監視装置1は、例えば、入力画像6を監視する監視員に対して道路60の異常の種別を提示することができる。
【0092】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 道路監視装置、2,2,2,・・・,2 撮像装置、3 ネットワーク、4,4,4,・・・,4 過去画像、5 過去画像群、6 入力画像、10 過去画像情報取得部、11 共通特徴量演算部、12 共通特徴量記憶部、13 入力画像情報取得部、14 判定対象特徴量演算部、15 異常判定部、16 領域強調部、17 異常種別判定部、18 出力処理部、20 抽出部、21 算出部、30 差分算出部、31 判定部、60 道路、61 山、62 樹木、63 空、100 監視システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11