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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】障害分類推論補正装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20250110BHJP
   G06F 8/20 20180101ALI20250110BHJP
【FI】
G06F11/07 190
G06F8/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021053813
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150967
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】秋元 貴博
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-022955(JP,A)
【文献】特開平04-275642(JP,A)
【文献】特開2011-175513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェア開発において発生した障害に関する情報を含む障害チケットと、当該障害チケットに関連するパラメータである要素パラメータとの関連性を評価する第1評価部と、
前記第1評価部の評価結果である第1評価値と、前記ソフトウェア開発の開発フェーズと前記要素パラメータとの関連性を示す第2評価値とに基づいて、前記障害チケットと前記開発フェーズとの関連性を評価する第2評価部と、
前記障害チケットに対して障害の起因がある開発フェーズの情報を付加した分類情報付き障害情報に基づいて、分類を行う対象である入力障害チケットについて障害の起因がある開発フェーズを推論する障害分類推論部に対して、前記第2評価部の評価結果である第3評価値に基づく補正を付与する補正部と、
を備える、障害分類推論補正装置。
【請求項2】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する関係者を含み、
前記障害チケットは、前記関係者が前記障害チケットにアクセスした履歴を含み、
前記第1評価部は、前記関係者が前記障害チケットにアクセスした回数を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項3】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する関係者を含み、
前記障害チケットは、前記関係者が前記障害チケットに対してコメントを投稿した履歴を含み、
前記第1評価部は、前記関係者が前記障害チケットに対してコメントを投稿した回数を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項4】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する関係者を含み、
前記障害チケットは、前記関係者が前記障害チケットを引用した履歴を含み、
前記第1評価部は、前記関係者が前記障害チケットを引用した回数を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項5】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する関係者を含み、
前記障害チケットは、前記関係者が前記障害チケットの担当者であった履歴を含み、
前記第1評価部は、前記関係者が前記障害チケットの担当者であった期間を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項6】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する記事を含み、
前記障害チケットは、前記記事に前記障害チケットが引用された履歴を含み、
前記第1評価部は、前記記事に前記障害チケットが引用された回数を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項7】
前記要素パラメータは、前記障害チケットに関連する記事を含み、
前記障害チケットは、前記障害チケットの直後に前記記事にアクセスした履歴を含み、
前記第1評価部は、前記障害チケットの直後に前記記事にアクセスした回数を集計する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記障害分類推論部で用いられる学習前データを補正し、
前記障害分類推論部は、前記補正部が補正した前記学習前データに対して学習を行う、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【請求項9】
前記補正部は、前記障害分類推論部が推論した推論結果を補正する、請求項1に記載の障害分類推論補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソフトウェア開発において発生した障害情報を分析する際に用いられる障害分類推論補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア開発では、開発コストを削減するために、開発時および製品(開発したソフトウェアを搭載した製品)出荷後に発生する障害件数を削減することが求められている。障害件数を削減するためには、障害発生の起因となりやすい開発フェーズ(要件定義、基本設計、詳細設計、実装など)を特定し、当該開発フェーズに投入するリソース量を増やすなどの対策が考えられる。
【0003】
ソフトウェア開発において開発管理システムを用いる場合、障害が発生すると、発生した障害に関する障害情報と、障害対応の活動記録とが障害チケットと呼ばれる形式として開発管理システムで管理される。ソフトウェア開発の開発コストを削減することを目的として、過去の障害チケットを確認して障害の起因がある開発フェーズを特定するために、複数の障害チケットについてそれらに含まれる情報を集計することがある。
【0004】
障害チケットには、障害を認識した以降の情報は存在するが、障害を認識する以前の情報である、不具合が埋め込まれた経緯などの障害の起因に関する情報は存在しない場合が多い。障害の起因がある開発フェーズを特定するための作業を人手で行う場合、障害チケットに含まれる活動記録および当該活動記録から参照される様々な情報を確認する必要があり、多くの手間がかかる。従って、障害チケットから障害の起因がある開発フェーズを自動的に推論する仕組みが求められている。
【0005】
ここで、AI(Artificial Intelligence)技術を用いて過去の障害チケットを蓄積した障害情報DBを学習させ、学習結果に基づいた分類アルゴリズムを適用することによって、上記の仕組みを構築することを考える。
【0006】
従来、AI技術における精度向上のために、学習前のデータの準備段階において、データの類似性を評価する類似性メトリクスに基づいて、分類がより明確になる情報による補正をデータに加える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6568935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来では、開発現場の様々な状況、例えば、開発管理システムでどのような立場の関係者がどれだけ議論をしてきたか、あるいは開発現場のノウハウを蓄積するにあたって障害情報がどれだけ参照されてきたかなどといった、障害情報を分類するために必要な具体的な評価パラメータを算出する手法は示されていない。従って、従来では、障害の起因がある開発フェーズを正確に推論しているとはいえず、改善の余地があった。
【0009】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、障害の起因がある開発フェーズの正確な推論に寄与することが可能な障害分類推論補正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本開示による障害分類推論補正装置は、ソフトウェア開発において発生した障害に関する情報を含む障害チケットと、当該障害チケットに関連するパラメータである要素パラメータとの関連性を評価する第1評価部と、第1評価部の評価結果である第1評価値と、ソフトウェア開発の開発フェーズと要素パラメータとの関連性を示す第2評価値とに基づいて、障害チケットと開発フェーズとの関連性を評価する第2評価部と、障害チケットに対して障害の起因がある開発フェーズの情報を付加した分類情報付き障害情報に基づいて、分類を行う対象である入力障害チケットについて障害の起因がある開発フェーズを推論する障害分類推論部に対して、第2評価部の評価結果である第3評価値に基づく補正を付与する補正部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、障害の起因がある開発フェーズの正確な推論に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態による障害分類推論補正装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態による障害情報DBの一例を示す図である。
図3】実施の形態による要素パラメータの一例を示す図である。
図4】実施の形態による障害チケット‐要素パラメータ関連性評価部の構成の一例を示す図である。
図5】実施の形態による障害チケット‐要素パラメータ関連性評価値の一例を示す図である。
図6】実施の形態による障害チケット‐要素パラメータ関連性評価値の一例を示す図である。
図7】実施の形態による開発フェーズ‐要素パラメータ関連性評価値の一例を示す図である。
図8】実施の形態による開発フェーズ‐要素パラメータ関連性評価値の一例を示す図である。
図9】実施の形態による障害チケット‐開発フェーズ関連性評価値の算出の一例を示す図である。
図10】実施の形態による障害チケット‐開発フェーズ関連性評価値の一例を示す図である。
図11】実施の形態による分類情報付き障害情報DBの一例を示す図である。
図12】実施の形態による入力障害チケットの一例を示す図である。
図13】実施の形態による障害分類推論補正部の構成の一例を示す図である。
図14】実施の形態による障害分類推論部の構成の一例を示すブロック図である。
図15】実施の形態による障害分類推論結果の一例を示す図である。
図16】実施の形態による教師データの一例を示す図である。
図17】実施の形態による入力データの一例を示す図である。
図18】実施の形態による追加後教師データの一例を示す図である。
図19】実施の形態による追加後入力データの一例を示す図である。
図20】実施の形態による推論結果の一例を示す図である。
図21】実施の形態による補正後推論結果の算出の一例を示す図である。
図22】実施の形態による補正後推論結果の一例を示す図である。
図23】実施の形態による障害分類推論補正装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図24】実施の形態による障害分類推論補正装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
<構成>
図1は、実施の形態による障害分類推論補正装置1の構成を示すブロック図である。
【0014】
障害分類推論補正装置1は、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4(第1評価部)と、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7(第2評価部)と、障害分類推論補正部11とを備えている。障害分類推論補正装置1は、障害情報DB(Database:以下同様)2に記憶されている障害チケットと、要素パラメータ3とを入力とし、障害分類推論部12に対して補正を行う。
【0015】
図2は、障害情報DB2の一例を示す図である。
【0016】
障害情報DB2は、少なくとも1つ以上の障害チケット201の情報を記憶している。障害チケット201は、障害情報202、アクセス履歴203、担当者履歴204、コメント履歴205、および引用履歴206を含む。すなわち、障害チケット201は、ソフトウェア開発において発生した障害に関する情報を含む。なお、図2では、障害チケット201として障害チケットFooが例示されている。
【0017】
障害情報202は、障害対応期間、障害内容、障害対応内容、およびステータスを含む。アクセス履歴203は、障害チケットがアクセスされた日時、障害チケットにアクセスしたアクセス者、およびアクセス者が障害チケットにアクセスした直後にアクセスした場所を含む。
【0018】
担当者履歴204は、障害チケット201に関連する担当者の情報が変化した日時、変化したイベントの種類、変化前の担当者(担当者(From))、および変化後の担当者(担当者(To))を含む。すなわち、担当者履歴204は、障害チケット201を担当した担当者の履歴である。
【0019】
コメント履歴205は、障害チケット201に対してコメントが投稿された日時、コメント者、およびコメント内容を含む。引用履歴206は、障害チケット201が開発管理システムにおける他記事から引用された日時、引用者、および障害チケットを引用した記事の場所(引用場所)を含む。
【0020】
図3は、要素パラメータ3の一例を示す図である。
【0021】
要素パラメータ3は、障害情報DB2に記憶されている障害チケット201に関連するパラメータである。要素パラメータ3としては、例えば、障害チケット201に関連する関係者301または記事302などのパラメータが挙げられる。
【0022】
図4は、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4の構成の一例を示す図である。
【0023】
障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4は、アクセス回数抽出部401と、コメント回数抽出部402と、関係者URL貼付回数抽出部403と、担当者期間抽出部404と、記事URL貼付回数抽出部405と、直後アクセス記事抽出部406とを備えている。なお、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4は、これらの抽出部のうちの少なくとも1つ以上を備える構成としてもよい。
【0024】
アクセス回数抽出部401は、障害チケット201におけるアクセス履歴203の情報から、アクセス者が障害チケット201にアクセスした回数を集計する。なお、アクセス者が複数存在する場合は、アクセス者ごとに回数を集計する。アクセス者は、要素パラメータ3である関係者に相当する。
【0025】
コメント回数抽出部402は、障害チケット201におけるコメント履歴205の情報から、コメント者が障害チケット201に対してコメントを投稿した回数を集計する。なお、コメント者が複数存在する場合は、コメント者ごとに回数を集計する。コメント者は、要素パラメータ3である関係者に相当する。
【0026】
関係者URL貼付回数抽出部403は、障害チケット201における引用履歴206の情報から、引用者が記事に障害チケットのURLを貼付した回数(関係者が障害チケットを引用した回数)を集計する。なお、引用者が複数存在する場合は、引用者ごとに回数を集計する。引用者および記事は、要素パラメータ3である関係者および記事にそれぞれ相当する。
【0027】
担当者期間抽出部404は、障害チケット201における担当者履歴204の情報から、障害チケット201の担当者であった期間を集計する。なお、担当者が複数存在する場合は、担当者ごとに期間を集計する。
【0028】
記事URL貼付回数抽出部405は、障害チケット201における引用履歴206の情報から、記事に障害チケットのURLが貼付された回数(記事に障害チケットが引用された回数)を集計する。なお、記事が複数存在する場合は、記事ごとに回数を集計する。
【0029】
直後アクセス記事抽出部406は、障害チケット201におけるアクセス履歴203の情報から、アクセス者が障害チケットの直後に記事にアクセスした回数を集計する。なお、記事が複数存在する場合は、記事ごとに回数を集計する。
【0030】
図5,6は、障害チケット-要素パラメータ関連性評価値5(第1評価値)の一例を示す図である。障害チケット-要素パラメータ関連性評価値5は、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4の評価結果であり、関係者-障害チケット関連性評価値501(図5)と、記事-障害チケット関連性評価値502(図6)とを含む。図5,6において、障害チケット201は障害チケットFooである。
【0031】
図5に示すように、関係者-障害チケット関連性評価値501は、関係者と障害チケット201との関連性を示している。評価パラメータ503は、アクセス504、コメント505、他記事にURL貼付506、および担当者期間507を含む。
【0032】
アクセス504は、アクセス回数抽出部401による評価値である。図5において、関係者(アクセス者)であるAさんは、障害チケットFooに8回アクセスしたことを示している。
【0033】
コメント505は、コメント回数抽出部402による評価値である。図5において、関係者(コメント者)であるBさんは、障害チケットFooに対してコメントを6回投稿したことを示している。
【0034】
他記事にURL貼付506は、関係者URL貼付回数抽出部403による評価値である。図5において、関係者(引用者)であるCさんは、他記事に障害チケットFooのURLを1回貼付したことを示している。
【0035】
担当者期間507は、担当者期間抽出部404による評価値である。図5において、関係者(担当者)であるAさんは、障害チケット201を担当していた期間が1日間であることを示している。
【0036】
図6に示すように、記事-障害チケット関連性評価値502は、記事と障害チケット201との関連性を示している。評価パラメータ503は、障害チケットのURLを記事に貼付508、および障害チケットの直後に記事にアクセス509を含む。
【0037】
障害チケットのURLを記事に貼付508は、記事URL貼付回数抽出部405による評価値である。図6において、記事Hogeに障害チケットFooのURLが添付された回数は1回であることを示している。
【0038】
障害チケットの直後に記事にアクセス509は、直後アクセス記事抽出部406による評価値である。図6において、アクセス者が障害チケットFooの直後に記事Fugaにアクセスした回数は7回であることを示している。
【0039】
図7,8は、開発フェーズ-要素パラメータ関連性評価値6(第2評価値)の一例を示す図である。開発フェーズ-要素パラメータ関連性評価値6は、関係者-開発フェーズ関連性評価値601(図7)と、記事-開発フェーズ関連性評価値602(図8)とを含む。図7,8において、フェーズは開発フェーズのことである。
【0040】
関係者-開発フェーズ関連性評価値601は、開発プロジェクトの体制などによって導出する。図7において、関係者であるAさんの関係者-開発フェーズ関連性評価値601は、フェーズ0が「0.7」、フェーズ1が「0.2」、およびフェーズ2が「0.1」である。
【0041】
記事-開発フェーズ関連性評価値602は、記事の投稿日時などによって導出する。図8において、記事であるHogeの記事-開発フェーズ関連性評価値602は、フェーズ0が「0.6」、フェーズ1が「0.1」、およびフェーズ2が「0.2」である。
【0042】
図9は、障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8(第3評価値)の算出の一例を示す図である。
【0043】
図9に示すように、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7は、障害チケット-要素パラメータ関連性評価値5および開発フェーズ-要素パラメータ関連性評価値6に基づいて、障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8を算出する。
【0044】
図10は、障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8の一例を示す図である。
【0045】
図10において、障害チケットFooの障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8は、フェーズ0が「0.24」、フェーズ1が「0.77」、およびフェーズ2が「0.58」である。
【0046】
図11は、分類情報付き障害情報DB9の一例を示す図である。
【0047】
分類情報付き障害情報DB9は、障害情報DB2における障害チケット201に対して、人手による確認などによって、障害の起因がある開発フェーズ901の情報を付加して記憶している。
【0048】
図12は、入力障害チケット10の一例を示す図である。
【0049】
入力障害チケット10は、障害の起因がある開発フェーズを特定する際に分類の対象となる障害チケットである。入力障害チケット10は、障害情報DB2に記憶されている障害チケット201のうち、障害の起因がある開発フェーズが特定されていない障害チケット201の1つに相当する。
【0050】
図13は、障害分類推論補正部11の構成の一例を示す図である。
【0051】
障害分類推論補正部11は、特徴量項目追加部1101および推論結果補正部1102を備えている。なお、障害分類推論補正部11は、特徴量項目追加部1101または推論結果補正部1102のいずれか一方のみを備える構成としてもよい。特徴量項目追加部1101および推論結果補正部1102の詳細については後述する。
【0052】
図14は、障害分類推論部12の構成の一例を示すブロック図である。
【0053】
障害分類推論部12は、前処理1201と、学習1206と、推論1208とを備えている。これらの詳細については後述する。
【0054】
図15は、障害分類推論結果13の一例を示す図である。
【0055】
障害分類推論結果13は、入力障害チケット10に対する障害の起因がある開発フェーズである。図15において、入力障害チケットBarの推論結果は、フェーズ1であることを示している。
【0056】
図16は、教師データ1202の一例を示す図である。
【0057】
教師データ1202は、特徴量項目および特徴量の組からなり、分類情報付き障害情報DB9に対して、前処理1201として一般的な特徴量抽出のアルゴリズムを適用することによって得られる。図16において、特徴量項目は「単語「電流」の出現頻度」であり、その特徴量は「0.6」であることを示している。
【0058】
図17は、入力データ1203の一例を示す図である。
【0059】
入力データ1203は、特徴量項目および特徴量の組からなり、入力障害チケット10に対して、前処理1201として一般的な特徴量抽出のアルゴリズムを適用することによって得られる。図17において、特徴量項目は「単語「電流」の出現頻度」であり、その特徴量は「0.2」であることを示している。
【0060】
図18は、追加後教師データ1204の一例を示す図である。
【0061】
追加後教師データ1204は、特徴量項目追加部1101によって、教師データ1202に対して障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8の情報を特徴量項目および特徴量の組として追加したものである。
【0062】
図19は、追加後入力データ1205の一例を示す図である。
【0063】
追加後入力データ1205は、特徴量項目追加部1101によって、入力データ1203に対して障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8の情報を特徴量項目および特徴量の組として追加したものである。
【0064】
図20は、推論結果1209の一例を示す図である。
【0065】
推論結果1209は、推論1208によって得られた、入力障害チケット10に対する障害の起因がある開発フェーズの適合度合いを示したものである。図20において、障害チケットBarに対して障害の起因がある開発フェーズの適合度合いは、フェーズ0が「0.67」、フェーズ1が「0.72」、およびフェーズ2が「0.18」である。
【0066】
図21は、補正後推論結果1210の算出の一例を示す図である。
【0067】
図21に示すように、推論結果補正部1102は、推論結果1209と障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8とに基づいて、推論結果1209(障害の起因がある開発フェーズの適合度合い)を補正する。
【0068】
図22は、補正後推論結果1210の一例を示す図である。
【0069】
補正後推論結果1210は、推論結果補正部1102が推論結果1209を補正して算出されたものである。図22において、障害チケットBarに対して障害の起因がある開発フェーズの適合度合いは、フェーズ0が「0.72」、フェーズ1が「0.63」、およびフェーズ2が「0.28」である。
【0070】
<障害分類推論部12のアルゴリズム>
障害分類推論部12のアルゴリズムの詳細について、図14を用いて説明する。
【0071】
まず、前処理1201によって、分類情報付き障害情報DB9に記憶されている障害チケットを教師データ1202に変換し、入力障害チケット10を入力データ1203に変換する。
【0072】
次に、特徴量項目追加部1101を使用する場合は、教師データ1202に障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8を追加して追加後教師データ1204を得る。また、入力データ1203に障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8を追加して追加後入力データ1205を得る。一方、特徴量項目追加部1101を使用しない場合は、教師データ1202および入力データ1203が、そのまま追加後教師データ1204および追加後入力データ1205となる。
【0073】
次に、追加後教師データ1204に対して学習1206を行い、障害チケットと障害の起因がある開発フェーズとを紐付ける分類器120を生成する。
【0074】
次に、追加後入力データ1205に対して分類器1207による推論1208を実施し、障害の起因がある開発フェーズの適合度合いを示す推論結果1209を求める。
【0075】
次に、推論結果補正部1102を使用する場合は、推論結果1209および障害チケット-開発フェーズ関連性評価値8に対して特定の計算式(例えば図21参照)を適用し、補正後推論結果1210を算出する。一方、推論結果補正部1102を使用しない場合は、推論結果1209がそのまま補正後推論結果1210となる。
【0076】
最後に、補正後推論結果1210において、最も適合する可能性が高い開発フェーズ(入力障害チケット10に対して障害の起因がある可能性が最も高い開発フェーズ)を障害分類推論結果13とする。
【0077】
<効果>
本開示によれば、過去の開発における障害情報DB2に記憶されている障害チケット201に対して障害の起因がある開発フェーズを求める推論を行う際に、学習前の教師データ1202(学習前データ)、および推論結果1209のうちの少なくとも一方に対して、開発現場の関係者、および開発システム上の他記事などといった様々な状況に応じた補正を行うことによって、より正確な推論結果を得ることができる。すなわち、障害分類推論補正装置1は、障害の起因がある開発フェーズの正確な推論に寄与することが可能となる。
【0078】
<ハードウェア構成>
上記で説明した障害分類推論補正装置1における障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7、および障害分類推論補正部11の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、障害分類推論補正装置1は、障害チケットと要素パラメータとの関連性を評価し、障害チケットと開発フェーズとの関連性を評価し、障害チケットに対して障害の起因がある開発フェーズを推論するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサ(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)であってもよい。
【0079】
処理回路が専用のハードウェアである場合、図23に示すように、処理回路14は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7、および障害分類推論補正部11の各機能をそれぞれ処理回路14で実現してもよく、各機能をまとめて1つの処理回路14で実現してもよい。
【0080】
処理回路14が図24に示すプロセッサ15である場合、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7、および障害分類推論補正部11の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ16に格納される。プロセッサ15は、メモリ16に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、障害分類推論補正装置1は、障害チケットと要素パラメータとの関連性を評価するステップ、障害チケットと開発フェーズとの関連性を評価するステップ、障害チケットに対して障害の起因がある開発フェーズを推論するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ16を備える。また、これらのプログラムは、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7、および障害分類推論補正部11の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0081】
なお、障害チケット-要素パラメータ関連性評価部4、障害チケット-開発フェーズ関連性評価部7、および障害分類推論補正部11の各機能について、一部の機能を専用のハードウェアで実現し、他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0082】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0083】
なお、本開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 障害分類推論補正装置、2 障害情報DB、3 要素パラメータ、4 障害チケット-要素パラメータ関連性評価部、5 障害チケット-要素パラメータ関連性評価値、6 開発フェーズ-要素パラメータ関連性評価値、7 障害チケット-開発フェーズ関連性評価部、8 障害チケット-開発フェーズ関連性評価値、9 分類情報付き障害情報DB、10 入力障害チケット、11 障害分類推論補正部、12 障害分類推論部、13 障害分類推論結果、14 処理回路、15 プロセッサ、16 メモリ、201 障害チケット、202 障害情報、203 アクセス履歴、204 担当者履歴、205 コメント履歴、206 引用履歴、301 関係者、302 記事、401 アクセス回数抽出部、402 コメント回数抽出部、403 関係者URL貼付回数抽出部、404 担当者期間抽出部、405 記事URL貼付回数抽出部、406 直後アクセス記事抽出部、501 関係者-障害チケット関連性、502 記事-障害チケット関連性、503 評価パラメータ、504 アクセス、505 コメント、506 他記事にURL貼付、507 担当者期間、508 障害チケットのURLを記事に貼付、509 障害チケットの直後に記事にアクセス、601 関係者-開発フェーズ関連性、602 記事-開発フェーズ関連性、603 開発フェーズ、901 障害の起因がある開発フェーズ、1101 特徴量項目追加部、1102 推論結果補正部、1201 前処理、1202 教師データ、1203 入力データ、1204 追加後教師データ、1205 追加後入力データ、1206 学習、1207 分類器、1208 推論、1209 推論結果、1210 補正後推論結果。
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