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特許7617802鉄道車両用室外機及び鉄道車両用空気調和装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】鉄道車両用室外機及び鉄道車両用空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20250110BHJP
   F24F 1/48 20110101ALI20250110BHJP
   F24F 1/56 20110101ALI20250110BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20250110BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B61D27/00 N
B61D27/00 M
F24F1/48
F24F1/56
F24F5/00 L
F24F13/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021067689
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162720
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 達夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 光正
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213206(JP,A)
【文献】実開昭52-064405(JP,U)
【文献】特開平11-182890(JP,A)
【文献】特開2005-164067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 27/00
B60H 1/00
F24F 1/00
F24F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部にあって前記排気口に対面して配置されて、前記筐体の内部の空気を外部環境に向けて押し出す軸流送風機と、を備えて、
前記吸気口を通して外部環境から導入される空気を前記熱交換器に導いて、前記熱交換器を通過して熱交換を終えた空気を、前記排気口を通して外部環境に放出する鉄道車両用室外機であって、
前記排気口に、長手方向を鉄道車両の走行方向と平行に配置される複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記鉄道車両用室外機を当該鉄道車両の走行方向に直交する平面で切断して得られる横断面形において、
前記排気口ルーバーの相互の間隔は、前記軸流送風機から吹き出される空気流の中心において広くされ、前記中心から遠ざかるに従って狭くされている、
鉄道車両用室外機。
【請求項2】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部にあって前記排気口に対面して配置されて、前記筐体の内部の空気を外部環境に向けて押し出す軸流送風機と、を備えて、
前記吸気口を通して外部環境から導入される空気を前記熱交換器に導いて、前記熱交換器を通過して熱交換を終えた空気を、前記排気口を通して外部環境に放出する鉄道車両用室外機であって、
前記排気口に、長手方向を鉄道車両の走行方向と平行に配置される複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記鉄道車両用室外機を当該鉄道車両の走行方向に直交する平面で切断して得られる横断面形において、
全ての前記排気口ルーバーの出口側の端部が、前記軸流送風機から吹き出される空気流の中心に近づく方向に傾いている、
鉄道車両用室外機。
【請求項3】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、を備えて、
前記吸気口を通して外部環境から導入される空気前記熱交換器に導いて、前記熱交換器を通過して熱交換を終えた空気を、前記排気口を通して外部環境に放出する鉄道車両用室外機であって、
前記排気口に、長手方向を鉄道車両の走行方向と平行に配置される複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記鉄道車両用室外機を当該鉄道車両の走行方向に直交する平面で切断して得られる横断面形において、
前記排気口ルーバーは前記排気口から放出される空気の流れを前記吸気口から遠ざかる方向に誘導する傾きを有し、全ての前記排気口ルーバーの傾きは等しくされ、
更に、前記吸気口に近い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔は、前記吸気口から遠い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔に比べて狭くされている、
鉄道車両用室外機。
【請求項4】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、
前記排気口の風路上に、複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記吸気口に近い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔は、前記吸気口から遠
い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔に比べて狭くされていて、
前記排気口ルーバーは、前記送風機のファンブレードと干渉する部位が除去された形状を備える、
鉄道車両用室外機。
【請求項5】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、
前記排気口の風路上に、複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記排気口ルーバーは、出口側の端部が前記吸気口から離れる方向に傾いていて、
前記排気口ルーバーは、前記送風機のファンブレードと干渉する部位が除去された形状を備える、
鉄道車両用室外機。
【請求項6】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、
前記排気口の風路上に、複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記吸気口に近い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔は、前記吸気口から遠
い部位における前記排気口ルーバーの相互の間隔に比べて狭くされていて、
前記排気口ルーバーは、長手方向において複数枚の平板に分割されていて、
前記複数枚の平板は、前記送風機のファンブレードと干渉する部位を避けて配置されている、
鉄道車両用室外機。
【請求項7】
吸気口と排気口を備える筐体と、
前記筐体の内部に配置される熱交換器と、
前記筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、
前記排気口の風路上に、複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、
前記排気口ルーバーは、出口側の端部が前記吸気口から離れる方向に傾いていて、
前記排気口ルーバーは、長手方向において複数枚の平板に分割されていて、
前記複数枚の平板は、前記送風機のファンブレードと干渉する部位を避けて配置されている、
鉄道車両用室外機。
【請求項8】
1個の前記排気口と2個の前記吸気口を備え、
前記排気口は、前記2個の吸気口の間に配置されている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の鉄道車両用室外機。
【請求項9】
2個の前記排気口と1個の前記吸気口を備え、
前記吸気口は、前記2個の排気口の間に配置されている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の鉄道車両用室外機。
【請求項10】
1台の前記送風機と2台の前記熱交換器を備え、
前記送風機は前記筐体の外部から2個の前記吸気口のそれぞれを通って、前記筐体の内部に流入して、2台の前記熱交換器を通過した空気を、前記排気口に向けて押し出す排気手段として機能する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の鉄道車両用室外機。
【請求項11】
1台の前記送風機と2台の前記熱交換器を備え、
前記送風機は前記吸気口を通して前記筐体の外部から空気を吸入する吸気手段として機能するとともに、前記吸気口を通して前記筐体の外部から流入した空気は、前記2台の熱交換器のそれぞれを通過した後で、前記筐体の外部に排出される、
請求項3に記載の鉄道車両用室外機。
【請求項12】
前記排気口の平面形の輪郭が、前記送風機の回転面の輪郭の外側にある、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の鉄道車両用室外機。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の鉄道車両用室外機を備える鉄道車両用空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄道車両用室外機及び鉄道車両用空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が備える鉄道車両用空気調和装置の室外機は、吸気口と排気口を備える筐体と、筐体の内部に配置される熱交換器と、筐体の内部と外部環境との間で空気の出入りを強制する送風機と、備えている。
【0003】
上記の構成を備える室外機において、排気口を通って外部に排出された空気が、吸気口に吸い込まれて、再び熱交換器に流れる現象をショートサーキットと呼ぶ。ショートサーキットが発生すると室外機の効率が低下する。そのため、上記の構成を備える室外機においては、吸気口と排気口を十分に離隔して配置することが望ましい。
【0004】
しかしながら、鉄道車両の設計にあたっては、鉄道車両の断面の大きさを車両限界の範囲に収める必要がある。そして、車両限界による断面の大きさの制約の中で必要な居室容積を確保するためには、室外機は小型であることが望ましい。一方、筐体への空気の出入りを容易にして、熱交換機の性能を向上させるためには、吸気口と排気口の開口面積は大きいことが望ましい。そのため、鉄道車両用の室外機においては、吸気口と排気口を十分に離隔して配置することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、吸気口が排気口に隣接する鉄道車両用の室外機において、ショートサーキットの発生を抑制することを目的とする複数の発明が、すでに公開されている。
【0006】
特許文献1に記載の鉄道車両用の室外機は、排気口の外側に車両の進行方向の前後に開口する吹き出しダクトを被せている。この発明によれば、車両の走行中に排気口を出た空気は、吹き出しダクト内で車両の進行方向前方の開口から流入する高速の空気と混合されて、車両の進行方向後方の開口から排出されて、車両の進行方向後方に流れ去る。そのため、排気口を出た空気が、排気口の側方に配置された吸気口に流入することがない。その結果、ショートサーキットの発生が抑制される。
【0007】
特許文献2に記載の鉄道車両用の室外機は、排気口の開口の一部を閉塞することによって、排気口から噴出される空気流の、吸気口に向かう速度成分を減少させて、ショートサーキットの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平04-80752号公報
【文献】特開2001-10489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、室外機の筐体の上に、ダクトが置かれるので室外機の背が高くなるという問題がある。そのため、車両本体の高さが制約され、その結果、車室内の空間容積が減少するという問題が生じる。
【0010】
特許文献2に記載の発明においては、排気口が配置される領域が、送風機の羽根の回転面の直上に限定される上に、該領域の一部に排気口が配置できない領域があるので、排気口の開口面積が減少し、その結果、空気の排出が阻害されるという問題がある。
【0011】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ショートサーキットの発生が抑制される鉄道車両用室外機であってコンパクトな鉄道車両用室外機を提供するものである。並びに、該鉄道車両用室外機を備える鉄道車両用空気調和装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本開示に係る鉄道車両用室外機は、吸気口と排気口を備える筐体と、筐体の内部に配置される熱交換器と、筐体の内部にあって排気口に対面して配置されて、筐体の内部の空気を外部環境に向けて押し出す軸流送風機とを備える。さらに、本開示に係る鉄道車両用室外機は、吸気口を通して外部環境から導入される空気を熱交換器に導いて、熱交換器を通過して熱交換を終えた空気を、排気口を通して外部環境に放出する。さらに、本開示に係る鉄道車両用室外機は、排気口に、長手方向を鉄道車両の走行方向と平行に配置される複数本の排気口ルーバーを備える。また、鉄道車両用室外機を当該鉄道車両の走行方向に直交する平面で切断して得られる横断面形において、排気口ルーバーの相互の間隔は、軸流送風機から吹き出される空気流の中心において広くされ、中心から遠ざかるに従って狭くされている。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、排気口の風路上に、複数本の排気口ルーバーを備えるとともに、吸気口に近い部位における排気口ルーバーの相互の間隔が、吸気口から遠い部位における排気口ルーバーの相互の間隔に比べて狭くされているので、ショートサーキットの発生が抑制される。本開示によれば、排気口を吸気口に隣接させることができるので、室外機をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本開示の第1の実施の形態に係る室外機の外形を示す平面図、(B)は(A)に記載の室外機を(A)においてAA’線で示す平面で切断して示す断面図、(C)は(A)に記載の室外機を(B)においてBB’線で示す平面で切断して示す断面図
図2図1(B)の一部を拡大して示す室外機の断面図
図3】本開示の第2の実施の形態に係る室外機の断面形を図1(B)に倣って示す断面図
図4】本開示の第1の変形例に係る室外機の断面形を図1(B)に倣って示す断面図
図5】本開示の第2の変形例に係る室外機の断面形を図1(B)に倣って示す断面図
図6】本開示の第3の変形例に係る室外機の断面形を図1(C)に倣って示す断面図
図7】本開示の第4の変形例に係る室外機の断面形を図1(C)に倣って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態及びその変形例に係る鉄道車両用室外機の構成と作用を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1(A)は、本開示の第1の実施の形態に係る室外機1の外形を示す平面図である。図1(B)は室外機1を図1(A)においてAA’線で示す平面で切断して示す断面図である。図1(C)は室外機1を図1(B)においてBB’線で示す平面で切断して示す断面図である。図2は、図1(B)の一部を拡大して示す室外機の断面図である。
【0017】
室外機1は、図示しない鉄道車両用の空気調和装置の構成要素であって、図示しない室内機に接続される。つまり、室外機1は鉄道車両用室外機である。室外機1と室内機の間では冷媒流体が循環して、両者の間で熱が輸送される。空気調和装置が冷房モードで運転される場合には、室内機は客室内の空気から熱を吸収して熱媒流体に担持させて室外機1に送出する。室外機1は室内機から送出された空気が担持する熱を大気に放出させ、その後に熱媒流体を室内機に還流させる。空気調和装置が暖房モードで運転される場合には、室外機1は大気から熱を吸収して熱媒流体に担持させて室内機に送出する。室内機は室外機1から送出された空気が担持する熱を客室内の空気に放出させ、その後に熱媒流体を室外機1に還流させる。
【0018】
図1(A)~(C)に示すように、室外機1は図示しない鉄道車両の屋根2の上に搭載される。室外機1は筐体4を備えていて、後述する室外機1の構成部品は、筐体4の中にあって、鉄道車両の中心線3に対して対称に配置されている。なお、図1(A)と図1(C)においては、図の上下方向が鉄道車両の走行方向に相当する。つまり、図1(A)と図1(C)においては、鉄道車両は図の上下方向に走行する。また、図1(B)においては、紙面を垂直に貫く方向が鉄道車両の走行方向に相当する。
【0019】
図1(A)と 図1(B)に示すように、筐体4には、排気口5と吸気口6が形成されている。排気口5は、筐体4の内部の空気を外部環境に排出する開口であり、鉄道車両の中心線3上に配置されている。吸気口6は、外部環境の空気を筐体4の内部に導入する開口である。また、吸気口6は2箇所に形成されていて、排気口5の両側に中心線3に対して対称に配置されている。また、図1(A)に示すように、排気口5と吸気口6は、カバー7で覆われている。カバー7には多数の小穴7aが穿たれて、空気は小穴7aを通って、筐体4に出入りする。
【0020】
図1(B)に示すように、筐体4の内部には、2台の熱交換器8と1台の電動ファン9が配置されている。電動ファン9は、筐体4の内部空間10に配置されている。また、熱交換器8は、吸気口6から内部空間10に向かう流路の途中に配置されている。なお、電動ファン9は本開示に係る送風機の例示であって、本実施の形態においては、内部空間10の空気を排気口5に向けて押し出して、外部環境に排出する排気手段として機能する。
【0021】
なお、図1(A)においては、電動ファン9の回転面の輪郭を一点鎖線で示している。図1(A)に示すように、平面形における排気口5の輪郭は、電動ファン9の回転面の輪郭の外側にある。このように、室外機1においては、排気口5が配置される領域は電動ファン9の回転面の直上には限定されない。
【0022】
電動ファン9を動作させて、内部空間10の内部の空気を排気口5に向けて押し出すと、電動ファン9の風下側の気圧が外部環境に比べて相対的に低くなる。そのため、外部環境の空気が吸気口6から吸引されて、熱交換器8を通って、内部空間10に流入する。空気が熱交換器8を通過する間に、当該空気と熱媒流体との間で熱交換がなされる。熱交換を終えて内部空間10に流入した空気は、排気口5を通って、外部環境に排出される。
【0023】
図1(B)に示すように、筐体4の内部の排気口5に向かう風路上には複数本の排気口ルーバー11が互いに平行に配列されていて、筐体4に固定されている。図1(C)に示すように、排気口ルーバー11は細長い短冊状の平板であって、その長手方向を図示しない鉄道車両の中心線3に平行にして配置されている。
【0024】
図1(B)に示す断面形において、排気口ルーバー11は排気口5に対して垂直に垂下している。そのため、排気口5から吐出される空気は、排気口ルーバー11によって誘導されて、図1(B)において垂直上方に流れる。
【0025】
また、図2に示すように、また、排気口5の両端、つまり排気口5の吸気口6に近い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔dは、排気口5の中央部、つまり排気口5の吸気口6から遠い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔dに比べて狭くされている。つまり、排気口ルーバー11の相互の間隔は、吸気口6から離れた部位では広くされ、吸気口6に近い部位においては、狭くされている。
【0026】
このように、排気口5の吸気口6に近い部位において、排気口ルーバー11は、吸気口6から遠い部位に比べて密に配置されている。そのため、排気口5の吸気口6に近い部位を通過する空気には、排気口ルーバー11が空気を垂直上方に誘導する力が強く作用する。そのため、該部位から吸気口6に向かう空気の流れの発生が抑制される。その結果、ショートサーキットの発生が抑制される。
【0027】
一方、排気口5の中央部、つまり、吸気口6から離れた部位においては、元々、吸気口に向かう流れが生じにくいので、排気口ルーバー11を比較的疎らに配置している。そのため、該部位においては流路抵抗が小さくなるので、空気が効率良く排出される。
【0028】
このように、排気口ルーバー11によれば、排気口5から吐出される空気が、吸気口6から遠ざかる方向に誘導される。その結果、ショートサーキットの発生が抑制される。
【0029】
(第2の実施の形態)
図3は、本開示の第2の実施の形態に係る室外機1の断面形を図1(B)に倣って示す断面図である。なお、第2の実施の形態に係る室外機1の基本的な構成と作用は、第1の実施の形態に係る室外機1と共通する。そのため、第2の実施の形態に係る室外機1の基本的な構成と作用についての説明は省略する。
【0030】
第2の実施の形態に係る室外機1は、図3に現れる断面形において、排気口ルーバー11が排気口5に対して傾斜していて、しかも、傾きの方向が、左右で異なることを特徴としている。すなわち、図3において、排気口5の左半分の領域に配置された排気口ルーバー11は、上端、つまり出口側あるいは風下側の端部が図の右側に傾いている。排気口5の左半分の領域において、排気口ルーバー11の上端を図の右側に傾けることは、排気口ルーバー11の上端を排気口5の左側に隣接する吸気口6から離れる方向に傾けることを意味する。一方、図3において、排気口5の右半分の領域に配置された排気口ルーバー11は、上端が図の左側に傾いている。排気口5の右半分の領域において、排気口ルーバー11の上端を図の左側に傾けることは、排気口ルーバー11の上端を排気口5の右側に隣接する吸気口6から離れる方向に傾けることを意味する。
【0031】
このように、第2の実施の形態に係る室外機1においては、全ての排気口ルーバー11は、その上端、つまり出口側あるいは風下側の端部を、吸気口6から離れる方向に傾けて、筐体4に取り付けられている。そのため、図3に示すように、排気口ルーバー11の間を通過する空気は、吸気口6から離れる方向に誘導される。その結果、排気口5から吸気口6に向かう空気の流れの発生が抑制されるので、ショートサーキットの発生が抑制される。
【0032】
なお、第2の実施の形態に係る室外機1においても、第1の実施の形態に係る室外機1と同様に、吸気口6に近い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔を、吸気口6から遠い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔より狭くしても良い。
【0033】
(第1の変形例)
図4は、本開示の第1の変形例に係る室外機1の断面形を図1(B)に倣って示す断面図である。図4に示すように、第1の変形例に係る室外機1は、筐体4の中央に吸気口6が配置され、吸気口6の両側に排気口5が配置されることを特徴としている。第1の変形例に係る室外機1は、この点において第1及び第2の実施の形態に係る室外機1と相違する。また第1の変形例に係る室外機1において、電動ファン9は外部環境の空気を筐体4の内部空間10に吸引する吸気手段として機能する。そのため、第1の変形例に係る室外機1においては、図4に示すように、外部環境の空気は、電動ファン9によって吸引されて内部空間10に流入する。内部空間10に流入した空気は、熱交換器8と排気口5を通って、外部環境に排出される。
【0034】
第1の変形例に係る室外機1も複数本の排気口ルーバー11を備えている。そして、図4に示すように、排気口5の吸気口6に近い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔は、吸気口6から遠い部位における排気口ルーバー11の相互の間隔に比べて狭くされている。
【0035】
このように、排気口5の吸気口6に近い部位において、排気口ルーバー11は、吸気口6から遠い部位に比べて密に配置されている。そのため、排気口5の吸気口6に近い部位を通過する空気には、排気口ルーバー11が空気を吸気口6から遠ざかる方向に誘導する力が強く作用するので、ショートサーキットの発生が抑制される。なお、排気口5の吸気口6から離れた部位においては、元々、吸気口6に向かう流れが生じにくいので、排気口ルーバー11を比較的に疎らに配置している。そのため、該部位においては流路抵抗が小さくなるので、該部位からは空気が効率良く排出される。
【0036】
(第2の変形例)
図5は、本開示の第2の変形例に係る室外機1の断面形を図1(B)に倣って示す断面図である。第2の変形例に係る室外機1の基本的な構成は、第1の変形例に係る室外機1と共通する。すなわち、第2の変形例に係る室外機1においても、筐体4の中央に吸気口6が配置され、吸気口6の両側に排気口5が配置されることを特徴としている。また第3の変形例に係る室外機1において、電動ファン9は外部環境の空気を筐体4の内部空間10に吸引する吸気ファンとして機能する。
【0037】
第2の変形例に係る室外機1も複数本の排気口ルーバー11を備えている。そして、図5において、吸気口6の左側に配置された排気口5に取り付けられた排気口ルーバー11は、上端、つまり出口側あるいは風下側の端部が図の左側に傾いている。吸気口6の右側に配置された排気口5に取り付けられた排気口ルーバー11は、上端が図の右側に傾いている。このように、吸気口6の左右に配置された排気口5に取り付けられた排気口ルーバー11は、いずれも、その上端、つまり出口側あるいは風下側の端部が、吸気口6から離れる方向に傾いている。
【0038】
そのため、第2の変形に係る室外機1においては、排気口ルーバー11の間を通って外部環境に排出される空気は、吸気口6から離れる方向に誘導される。その結果、ショートサーキットの発生が抑制される。
【0039】
(第3の変形例)
図6は、本開示の第3の変形例に係る室外機1の断面形を図1(C)に倣って示す断面図である。第1の実施の形態においては、排気口ルーバー11が単純な短冊状の平板で構成される例を示したが、排気口ルーバー11は単純な短冊状の平板で構成されるものには限定されない。図6に示すように、排気口ルーバー11は、電動ファン9のファンブレード9aに合わせて、ファンブレード9aと干渉する部位が除去された形状を有するものであっても良い。ファンブレード9aと干渉する部位を除去することによって、ファンブレード9aと干渉しない部位において、排気口ルーバー11の図6に現れる面積を拡大することができる。また、排気口ルーバー11を電動ファン9に接近させることができる。
【0040】
このように、第3の変形例に係る室外機1は、第1の実施の形態に係る室外機1に比べて、排気口ルーバー11の面積が大きくされている。また、排気口ルーバー11が電動ファン9に接近して配置されている。そのため、排気口ルーバー11を通過する空気に、当該空気を垂直上方に誘導する力が、第1の実施の形態に係る室外機1に比べて、強く作用する。その結果、ショートサーキットの発生がさらに強く抑制される。
【0041】
(第4の変形例)
図7は、本開示の第4の変形例に係る室外機1の断面形を図1(C)に倣って示す断面図である。第1の実施の形態と第3の変形例においては、排気口ルーバー11が長さ方向において連続する1枚の平板で構成される例を示したが、排気口ルーバー11は連続する1枚の平板で構成されるものには限定されない。排気口ルーバー11は図7に示すように、長さ方向において、3枚の平板11a,11b,11cに分割しても良い。このように、排気口ルーバー11を複数枚の平板に分割すれば、電動ファン9のファンブレード9aと干渉する部位を避けて、排気口ルーバー11を配置することができる。
【0042】
第4の変形例に係る室外機1においても、第1の実施の形態に係る室外機1に比べて、排気口ルーバー11の面積が大きくされている。そのため、排気口ルーバー11を通過する空気に、当該空気を垂直上方に誘導する力が、第1の実施の形態に係る室外機1に比べて、強く作用する。その結果、ショートサーキットの発生がさらに強く抑制される。
【0043】
以上説明したように、上記の実施の形態及び変形例に係る室外機1においては、排気口5から吐出される空気の流れが、排気口ルーバー11によって、吸気口6から遠ざかる方向に誘導されるので、ショートサーキットの発生が抑制される。その結果、室外機1の性能が向上する。
【0044】
また、排気口5の形状と寸法は、電動ファン9の回転面の形状と寸法によって制限されないので、排気口5の形状と寸法を拡大して、室外機1の性能の向上を図ることができる。
【0045】
上記の実施の形態及び変形例に係る室外機1においては、筐体4の外部に突出あるいは露出する部材が存在しないので、室外機1をコンパクトに構成することができる。
【0046】
しかしながら、本開示の技術的範囲は、上記実施の形態及び変形例によっては限定されない。本開示は、特許請求の範囲に記載の技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
【0047】
上記実施の形態及び変形例においては、室外機1が鉄道車両の屋根2の上に設置される例を示したが、本開示に係る室外機は鉄道車両の屋根の上に設置されるものには限定されない。本開示に係る室外機は鉄道車両の床下に設置されるものであっても良い。
【0048】
なお、以上の説明では、排気口ルーバーの長手方向が鉄道車両の走行方向に「平行」に配置されるとされているが、平行は、幾何学的に厳密な意味での平行に限定されない。車両の走行時の空気の流れを乱さない程度であるならば本開示においては、平行とみなすことができる。例えば、±5°程度の傾きは許容されるものである。排気口ルーバーは、鉄道車両の走行方向に対して、平行に配置されるように設計されていれば良い。工作誤差は当然に許容される。事後変形に起因する誤差も許容される。
【0049】
そもそも、本開示において、排気口ルーバーは、その長手方向が鉄道車両の走行方向に平行に配置されるものには限定されない。排気口ルーバーは、その長手方向が鉄道車両の走行方向に平行に配置されていなくても良い。
【0050】
また、上記の実施の形態と変形例において、複数本の排気口ルーバー11が互いに平行に配置される例を示したが、本開示において、複数本の排気口ルーバーは、互いに平行に配置されるものには限定されない。
【0051】
上記の実施の形態及び変形例において、室外機1に1個の排気口5と2個の吸気口6を備える例と、2個の排気口5と1個の吸気口6を備える例を示したが、室外機1が備える排気口5と吸気口6の個数の組み合わせは、これらには限定されない。排気口5と吸気口6の個数は自由に選択できる。
【0052】
上記の実施の形態及び変形例において、室外機1に2台の熱交換器8を備える例を示したが、室外機1が備える熱交換器8の台数は、2台には限定されない。室外機1が備える熱交換器8の台数は自由に選択できる。
【0053】
各図面に示した排気口ルーバー11の枚数は例示であって、室外機1が備える排気口ルーバー11の枚数は図示されたものには限定されない。室外機1が備える排気口ルーバー11の枚数は自由に選択できる。
【0054】
各図面に示した排気口ルーバー11の形状は例示であって、室外機1が備える排気口ルーバー11の形状は図示されたものには限定されない。室外機1が備える排気口ルーバー11の形状は自由に選択できる。特に、図1(B),図2~5において、排気口ルーバー11の断面形を矩形としたが、排気口ルーバー11の断面形は矩形には限定されない。図1(B),図2~5に現れる断面形を翼形にすれば、排気口5の流路抵抗を小さくすることができる。
【0055】
排気口ルーバー11の寸法、特に、図1(B),図2~5に現れる断面形状の寸法は、設計上の制約条件に応じて、任意に選択できる。また、排気口ルーバー11の厚さ、つまり、図1(B),図2~5に現れる断面形状の水平方向の寸法を大きくすれば、排気口5周辺の剛性が向上する。その結果、カバー7の小穴7aの寸法を拡大して、排気口5の流路抵抗を小さくすることが可能になる。
【0056】
上記の実施の形態及び変形例において、室外機1が鉄道車両の車体から独立した筐体4を備えるものを示したが、室外機1は独立した筐体4を備えるものには限定されない。筐体4の全部また一部が、鉄道車両の車体の一部であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 室外機、2 鉄道車両の屋根、3 鉄道車両の中心線、4 筐体、5 排気口、6 吸気口、7 カバー、7a 小穴、8 熱交換器、9 電動ファン、9a ファンブレード、10 内部空間、11 排気口ルーバー








図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7