(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】プラント保全支援装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
G05B23/02 301Y
G05B23/02 T
(21)【出願番号】P 2021110500
(22)【出願日】2021-07-02
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 宏幸
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201764(JP,A)
【文献】特開2008-097516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの監視装置から得られるアラーム情報および前記プラントの運用装置から得られる懸案情報を受信するデータ受信部と、
前記データ受信部で受信された前記アラーム情報および前記懸案情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記プラントのトラブルに関するトラブル文書および
前記プラントの運用業務に関する業務文書
が文書ごとに電子ファイルとして登録され、電子ファイルとして登録された文書のそれぞれを探索文書
として蓄積
する探索文書蓄積部と、
前記情報蓄積部に蓄積された前記アラーム情報および前記懸案情報
に含まれるテキスト情報から検索単語を抽出する検索単語抽出部
と、
前記探索文書蓄積部に蓄積された前記探索文書の文章を
単語単位に分割処理する文章分割処理部
と、
前記文章分割処理部で分割処理された前記文章から単語を抽出し
て前記探索文書
に関連付け
る抽出単語管理部
と、
前記抽出単語管理部で抽出され
た単語
と前記検索単語抽出部で抽出された前記検索単語と
が一致
した同一単語を探索する同一単語探索部
と、
前記同一単語探索部で探索された前記同一単語と
前記同一単語に関連付けされた前記探索文書の情報とを出力する探索結果出力
部と、
前記探索結果出力部から出力された前記同一単語
を表示装置に表示させる探索結果表示部と
、
前記探索結果出力部から出力された前記同一単語に関連付けされた前記探索文書の情
報に基づいて、
前記探索文書蓄積部に蓄積された前記探索文書のうち前記同一単語に関連付けされた前記探索文書
の電子ファイルを
前記表示装置に表示させる
探索文書表示部と
、
を備えたことを特徴とするプラント保全支援装置。
【請求項2】
前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に含まれる単語の出現回数を算出し、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に含まれる単語のうち前記出現回数が多い順に予め決められた個数までの単語を頻出単語として抽出すると共に、前記頻出単語の情報を出力する頻出単語出力部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のプラント保全支援装置。
【請求項3】
前記探索結果表示部は、前記頻出単語出力部から出力された前記頻出単語の情報に基づいて、前記頻出単語を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項2に記載のプラント保全支援装置。
【請求項4】
前記探索結果表示部は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に前記同一単語が含まれることを示す第1の図を前記表示装置に表示させ、
前記第1の図は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に前記同一単語が含まれることを、前記同一単語を表す表示部品と前記同一単語に関連付けされた前記探索文書を表す表示部品とを結ぶ接続線を用いて示した図であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプラント保全支援装置。
【請求項5】
前記探索結果表示部は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に前記頻出単語が含まれることを示す第2の図を前記表示装置に表示させ、
前記第2の図は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に前記頻出単語が含まれることを、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書を表す表示部品と前記頻出単語を表す表示部品とを結ぶ接続線を用いて示した図であることを特徴とする請求項3に記載のプラント保全支援装置。
【請求項6】
前記探索文書表示部は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書を表す表示部品のうち選択された表示部品に対応する前記探索文書の電子ファイルを前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載のプラント保全支援装置。
【請求項7】
プラントの監視装置から得られるアラーム情報および前記プラントの運用装置から得られる懸案情報を受信するデータ受信部と、
前記データ受信部で受信された前記アラーム情報および前記懸案情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記プラントのトラブルに関するトラブル文書および運用業務に関する業務文書を含む探索文書が蓄積された探索文書蓄積部と、
前記情報蓄積部に蓄積された前記アラーム情報および前記懸案情報から検索単語を抽出する検索単語抽出部、前記探索文書蓄積部に蓄積された前記探索文書の文章を分割処理する文章分割処理部、前記文章分割処理部で分割処理された前記文章から単語を抽出し、抽出した単語と前記探索文書との関連付けを行う抽出単語管理部、前記抽出単語管理部で抽出された単語の中から前記検索単語抽出部で抽出された前記検索単語と一致する同一単語を探索する同一単語探索部、および前記同一単語探索部で探索された前記同一単語と前記同一単語に関連付けされた前記探索文書の情報とを出力する探索結果出力部を備えた探索処理部と、
前記探索結果出力部から出力された前記同一単語と前記同一単語に関連付けされた前記探索文書の情報とに基づいて、前記同一単語と前記同一単語に関連付けされた前記探索文書とを表示装置に表示させる描画管理部とを備え、
前記探索処理部は、前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に含まれる単語の出現回数を算出し、
前記同一単語に関連付けされた前記探索文書に含まれる単語のうち前記出現回数が多い順に予め決められた個数まで
の単語を頻出単語として抽出すると共に、前記頻出単語の情報を前記描画管理部に出力する頻出単語出力部をさらに備えたことを特徴とす
るプラント保全支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プラント保全支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント設備においては、設備の起動から停止までを行う運転業務と、設備保全のための定期巡視業務とが行われている。運転業務においては、設備に設置されている温度センサー、圧力センサー、流量センサーなどから得られるデータによる機械的な監視業務が行われる。定期巡視業務においては、巡視者の目視などによる設備状況の監視業務が行われる。近年、設備の運用技術が高度化し、機械的な監視業務において設備に異常が発生する前にその兆候を検知する技術開発が進められている。一方、異常の兆候を検知した後の保全処置に関しては、熟練者の経験に依存する状況、あるいはトラブル対策書類、保守手順書などの膨大な文書の中からユーザーが対処方法を探し出す状況にある。そのため、対応する人員の熟練度によって保全処置にばらつきが生じたり、異常の兆候を検知した後の保全処置に遅れが生じたりする。
【0003】
異常の兆候の検知から保全処置を迅速に行うことを目的として、異常に対応する文書を探索して提示する装置が提案されている。例えば、異常の兆候を検知したデータに基づいてユーザーが検索要求単語を入力することで、関係する文書の中から異常に対応する文書を探索して提示する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、別の装置として、検知可能な異常情報とその異常情報に対応する文書との関連性を予め登録しておき、異常が発生したときに予め登録された関連性に基づいて異常に対応する文書を提示する装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-302920号公報
【文献】特開2011-227706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザーが検索要求単語を入力することで異常に対応する文書を提示する従来の装置においては、ユーザーが入力する検索要求単語にばらつきが生じる可能性があり、そのため提示する文書が必ずしも的確な文書とはならない可能性がある。また、予め登録された関連性に基づいて異常に対応する文書を提示する従来の装置においては、検知可能な異常情報とその異常情報に対応する文書との関連性を事前に登録しておく必要がある。また、異常情報との関連性が登録されていない文書は保全処置の参考とはなりえないという問題がある。
【0006】
本願は、上述の課題を解決するためになされたもので、異常の兆候の検知情報から自動で迅速かつ的確な文書を提示することができるプラント保全支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願のプラント保全支援装置は、プラントの監視装置から得られるアラーム情報およびプラントの運用装置から得られる懸案情報を受信するデータ受信部と、データ受信部で受信されたアラーム情報および懸案情報を蓄積する情報蓄積部と、プラントのトラブルに関するトラブル文書およびプラントの運用業務に関する業務文書が文書ごとに電子ファイルとして登録され、電子ファイルとして登録された文書のそれぞれを探索文書として蓄積する探索文書蓄積部と、情報蓄積部に蓄積されたアラーム情報および懸案情報に含まれるテキスト情報から検索単語を抽出する検索単語抽出部と、探索文書蓄積部に蓄積された探索文書の文章を単語単位に分割処理する文章分割処理部と、文章分割処理部で分割処理された文章から単語を抽出して探索文書に関連付ける抽出単語管理部と、抽出単語管理部で抽出された単語と検索単語抽出部で抽出された検索単語とが一致した同一単語を探索する同一単語探索部と、同一単語探索部で探索された同一単語と当該同一単語に関連付けされた探索文書の情報とを出力する探索結果出力部と、探索結果出力部から出力された同一単語を表示装置に表示させる探索結果表示部と、探索結果出力部から出力された同一単語に関連付けされた探索文書の情報に基づいて、探索文書蓄積部に蓄積された探索文書のうち当該同一単語に関連付けされた探索文書の電子ファイルを表示装置に表示させる探索文書表示部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本願のプラント保全支援装置は、プラントの監視装置から発信されるアラーム情報およびプラントの運用装置から発信される懸案情報から検索単語を抽出し、蓄積された膨大な文書の中からこの検索単語と一致する単語に関連付けられた文書を自動的に探索しているので、異常の兆候の検知情報から自動で迅速かつ的確な文書を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るプラント保全支援装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るプラント保全支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係るプラント保全支援装置が表示装置に表示させる画面例を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係るプラント保全支援装置の構成図である。
【
図5】実施の形態2に係るプラント保全支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2に係るプラント保全支援装置が表示装置に表示させる画面例を示す図である。
【
図7】実施の形態1および2のプラント保全支援装置における探索処理部および描画管理部のハードウェアの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願を実施するための実施の形態に係るプラント保全支援装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るプラント保全支援装置の構成図である。
図1に示すように、本実施の形態のプラント保全支援装置100は、データ受信部200と情報蓄積部300と探索文書蓄積部400と探索処理部500と描画管理部600とで構成されている。
【0012】
データ受信部200は、プラントの監視装置から得られるアラーム情報101およびプラントの運用装置から得られる懸案情報102を受信する。プラントの監視装置から得られるアラーム情報101は、異常の兆候として検知される情報であり、具体的にはプラントに設置された各種のセンサーから送られてくる情報である。アラーム情報101は、例えばセンサーの信号名称、異常の兆候として検知された検出値および検知されたときの時刻情報を含む時系列情報である。プラントの運用装置から得られる懸案情報102は、運用装置が発信する異常の発生を懸案する情報であり、例えば耐用年数に近づいた機器の名称、定期交換時期に近づいた消耗部品の名称、運用管理者が入力した検索要求単語などのテキスト情報である。
【0013】
情報蓄積部300は、アラーム情報蓄積部31と懸案情報蓄積部32とで構成されている。アラーム情報蓄積部31は、データ受信部200が受信したアラーム情報101を蓄積する。懸案情報蓄積部32は、データ受信部200が受信した懸案情報102を蓄積する。アラーム情報101は時系列情報であり、懸案情報102は非時系列情報であるため、情報蓄積部300はアラーム情報蓄積部31と懸案情報蓄積部32とに分かれている。
【0014】
探索文書蓄積部400は、トラブル文書蓄積部41と業務文書蓄積部42と文献蓄積部43とで構成されている。トラブル文書蓄積部41には、プラントで過去に発生したトラブルまたは発生が想定されるトラブルの内容とそれに対するトラブル解消手順とが記載されたトラブル文書などが蓄積されている。業務文書蓄積部42には、プラントの運用業務に関する手順が記載された業務文書などが蓄積されている。文献蓄積部43には、プラントのトラブルおよび運用に関係する一般に知られた文献などが蓄積されている。これ以降、探索文書蓄積部400に蓄積されているこれらの文書を探索文書と称する。
【0015】
探索処理部500は、検索単語抽出部51と文章分割処理部52と抽出単語管理部53と同一単語探索部54と探索結果出力部55とで構成されている。検索単語抽出部51は、情報蓄積部300に蓄積されたアラーム情報および懸案情報から検索単語を抽出する。文章分割処理部52は、探索文書蓄積部400に蓄積された探索文書の文章を単語毎に分割処理する。抽出単語管理部53は、文章分割処理部52で分割処理された文章から単語を抽出し、抽出した単語と探索文書との関連付けを行う。同一単語探索部54は、抽出単語管理部53で抽出された単語の中から検索単語抽出部51で抽出された検索単語と一致する同一単語を探索する。探索結果出力部55は、同一単語探索部54で探索された同一単語と当該同一単語に関連付けされた探索文書の情報とを出力する。
【0016】
描画管理部600は、探索結果表示部61と探索文書表示部62とで構成されている。探索結果表示部61は、探索結果出力部55から出力された同一単語と当該同一単語に関連付けされた探索文書の情報とを表示装置103に表示させる。探索文書表示部62は、同一単語に関連付けされた探索文書を表示装置103に表示させる。
【0017】
次に、本実施の形態のプラント保全支援装置100の動作について説明する。
図2は、本実施の形態のプラント保全支援装置100において、アラーム情報101および懸案情報102に基づいて関連する文書を自動で探索してその文書を表示装置103に表示させるまでの動作を示すフローチャートである。
【0018】
プラントの監視装置からアラーム情報101が、プラントの運用装置から懸案情報102が発信されると、データ受信部200は、ステップS01において、アラーム情報101および懸案情報102を受信する。アラーム情報蓄積部31はデータ受信部200が受信したアラーム情報101を、懸案情報蓄積部32はデータ受信部200が受信した懸案情報102をそれぞれ蓄積する。なお、データ受信部200が受信するデータは、アラーム情報101および懸案情報102のどちらか一方の場合もある。
【0019】
ステップS02において、検索単語抽出部51は、情報蓄積部300に蓄積されたアラーム情報および懸案情報に含まれるテキスト情報から検索単語を抽出する。アラーム情報に含まれるテキスト情報とは例えばセンサーの信号名称であり、懸案情報に含まれるテキスト情報とは例えば耐用年数に近づいた機器の名称である。
【0020】
ステップS03において、文章分割処理部52は、探索文書蓄積部400に蓄積された探索文書の文章に対して単語単位への分割処理を行う。
【0021】
ステップS04において、抽出単語管理部53は、文章分割処理部52で分割処理された文章から単語を抽出する。さらに抽出単語管理部53は、ステップS05において、抽出した単語と探索文書との関連付けを実施する。
【0022】
ステップS06において、同一単語探索部54は、抽出単語管理部53で抽出された単語の中から検索単語抽出部51で抽出された検索単語と一致する同一単語を探索する。
【0023】
ステップS07において、探索結果出力部55は、同一単語探索部54で探索された同一単語とそれに関連付けされた探索文書の情報とを出力する。
【0024】
ステップS08において、描画管理部600は、探索結果出力部55から出力された探索結果を表示装置103に表示させる。より詳細には、探索結果表示部61が同一単語と当該同一単語に関連付けされた探索文書の情報とを表示装置103に表示させ、探索文書表示部62が同一単語に関連付けされた探索文書を表示装置103に表示させる。
なお、描画管理部600は、検索単語抽出部51で検索単語の抽出に用いられたアラーム情報および懸案情報を情報蓄積部300から入手して、それらの情報を表示装置103に表示させてもよい。
【0025】
図3は、本実施の形態のプラント保全支援装置100において、描画管理部600が表示装置103に表示させる画面例を示す図である。表示装置103に表示された画面において、表示エリア103aおよび103bは、探索結果表示部61が表示させるエリアである。表示エリア103cは、探索文書表示部62が表示させるエリアである。表示エリア103aには、検索単語と一致する同一単語13aが表示される。ここで、同一単語13aを仮に「単語x」とする。表示エリア103bには、同一単語である「単語x」と同一単語に関連付けされた探索文書の情報とが関連図形式で表示される。ここで、同一単語に関連付けされた探索文書を文書A、文書Bおよび文書Cとする。関連図形式では、同一単語および探索文書がそれぞれ表示部品13b、13cとして表示される。表示部品同士は、その関連性を示す接続線13dで結ばれている。運用管理者は、表示エリア103bにおいて、同一単語に関連付けされた探索文書の中から参考にしたい文書の表示部品13cを選択することができる。例えば、
図3に示すように、運用管理者によって文書Aが選択された場合、探索結果表示部61はその表示部品13cの枠線と、表示部品13cと同一単語の表示部品13bとを結ぶ接続線13dとを太くすることで選択された文書が判別できるように表示する。
【0026】
表示エリア103cには、運用管理者によって選択された文書Aの詳細情報が表示される。例えば、
図3に示すように、表示エリア103cには文書AのPDF形式、TIFF形式などの電子ファイル13e、文書Aの文書名13f、その文書が探索文書蓄積部400に登録された登録日13gなどが表示される。また、探索文書表示部62は表示された電子ファイル13eにおいて、同一単語と同じ単語が記載された部分をハイライト表示、色文字表示するなどして同一単語を目立たせてもよい。また、探索文書表示部62は、運用管理者によって表示エリア103cに表示された文書Aの電子ファイル13eが選択されたときに、当該文書を別ウィンドウ画面に文書閲覧方式で表示させてもよい。この文書閲覧方式で表示された文書においても、探索文書表示部62は同一単語と同じ単語が記載された部分をハイライト表示、色文字表示するなどして同一単語を目立たせてもよい。
【0027】
このように構成されたプラント保全支援装置においては、プラントの監視装置から発信されるアラーム情報およびプラントの運用装置から発信される懸案情報から検索単語を抽出し、探索文書蓄積部に蓄積された膨大な文書の中からこの検索単語と一致する単語に関連付けられた文書を自動的に探索しているので、異常の兆候の検知情報から自動で迅速かつ的確な文書を提示することができる。
【0028】
また、本実施の形態のプラント保全支援装置においては、アラーム情報および懸案情報から検索単語を自動で抽出すると共に、探索文書蓄積部に蓄積された探索文書に含まれる単語を自動で抽出している。そして、探索文書に含まれる単語の中から検索単語と一致する同一単語を自動で探索しているので、運用管理者の熟練度などに依存せず的確な文書を提示することができる。
【0029】
また、本実施の形態のプラント保全支援装置においては、膨大な探索文書に対して事前に探索文書と異常情報である検索単語との関連性を登録する必要はない。さらに、本実施の形態のプラント保全支援装置においては、新たに探索文書が追加された場合でも文章分割処理部および抽出単語管理部で新たな探索文書から自動で単語を抽出できるので、新たな探索文書も即座に利用可能となる。
【0030】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るプラント保全支援装置の構成図である。
図4に示すように、本実施の形態のプラント保全支援装置100は、実施の形態1で説明したプラント保全支援装置において、探索処理部500に頻出単語出力部56が追加されたものである。
【0031】
頻出単語出力部56は、同一単語に関連付けされた探索文書に含まれる単語の出現回数を算出し、出現回数が多い順に予め決められた個数までの単語を頻出単語として抽出すると共に、頻出単語の情報を描画管理部600に出力する。
【0032】
次に、本実施の形態のプラント保全支援装置100の動作について説明する。
図5は、本実施の形態のプラント保全支援装置100において、アラーム情報101および懸案情報102に基づいて関連する文書を自動で探索してその文書を表示装置103に表示させるまでの動作を示すフローチャートである。
図5において、ステップS01からステップS07までのプラント保全支援装置100の動作は、実施の形態1におけるプラント保全支援装置の動作と同様であるので説明は省略する。
【0033】
ステップS09において、頻出単語出力部56は、同一単語に関連付けされた探索文書に含まれる単語の出現回数を算出し、出現回数が多い順に予め決められた個数までの単語を頻出単語として抽出する。予め決められた個数とは、例えば5個とする。また、このとき頻出単語出力部56は、それぞれの頻出単語に対して、その頻出単語が出現した探索文書とその探索文書における頻出単語の出現回数とを合わせて記憶する。次にステップS10において、頻出単語出力部56は、頻出単語の情報を出力する。頻出単語の情報とは、頻出単語、その頻出単語が出現した探索文書およびその探索文書における頻出単語の出現回数である。
【0034】
ステップS08において、描画管理部600は、探索結果出力部55から出力された探索結果と頻出単語出力部56から出力された頻出単語の情報とを表示装置103に表示させる。
【0035】
図6は、本実施の形態のプラント保全支援装置100において、描画管理部600が表示装置103に表示させる画面例を示す図である。
図6において、頻出単語出力部56から出力された頻出単語の情報に基づいて、文書Aおよび文書Bで出現した頻出単語を「単語a」、文書Bおよび文書Cで出現した頻出単語を「単語b」、文書Aのみで出現した単語を「単語c」とする。そして、同一単語である「単語x」が最も出現回数が多く、「単語a」、「単語b」、「単語c」がその順で出現回数が多いとする。表示エリア103aには、実施の形態1と同様に、検索単語と一致する同一単語13aが表示される。表示エリア103bには、同一単語である「単語x」と、同一単語に関連付けされた探索文書の情報と、頻出単語の情報とが関連図形式で表示される。関連図形式では、同一単語、探索文書および頻出単語がそれぞれ表示部品13b、13c、13hとして表示される。表示部品同士は、その関連性を示す接続線13dで結ばれている。表示エリア103cには、運用管理者によって選択された文書Aの詳細情報が表示される。例えば、
図6に示すように、表示エリア103cには文書AのPDF形式、TIFF形式などの電子ファイル13e、文書Aの文書名13f、その文書が探索文書蓄積部400の登録された登録日13gなどと共に、文書Aにおいて出現する頻出単語13jが表示される。また、表示された電子ファイル13eにおいて、探索文書表示部62は同一単語および頻出単語と同じ単語が記載された部分をハイライト表示、色文字表示するなどして同一単語および頻出単語を目立たせてもよい。さらに、表示エリア103dには、頻出単語13kが出現回数の多い順に表示される。なお、この表示エリア103dは、探索結果表示部61が表示させるエリアである。
【0036】
このように構成されたプラント保全支援装置においては、プラントの監視装置から発信されるアラーム情報およびプラントの運用装置から発信される懸案情報から検索単語を抽出し、探索文書蓄積部に蓄積された膨大な文書の中からこの検索単語と一致する単語に関連付けられた文書を自動的に探索しているので、異常の兆候の検知情報から自動で迅速かつ的確な文書を提示することができる。
【0037】
また、本実施の形態のプラント保全支援装置においては、検索単語と一致する同一単語に加えて検索単語に関係する文書内の頻出単語を提示することができるので、異常に関する事象類推から事象特定に向けた情報を運用管理者に提供することができる。その結果、本実施の形態のプラント保全支援装置は、運用管理者に対して迅速な事象解消に向けた行動を促すことができる。
【0038】
なお、探索処理部500および描画管理部600は、ハードウェアの一例を
図7に示すように、プロセッサ10と記憶装置11から構成される。記憶装置は、図示していないが、ランダムアクセスメモリなどの揮発性記憶装置と、フラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ10は、記憶装置11から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ10にプログラムが入力される。また、プロセッサ10は、演算結果などのデータを記憶装置11の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0039】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
10 プロセッサ、11 記憶装置、13a 同一単語、13b、13c、13h 表示部品、13d 接続線、13e 電子ファイル、13f 文書名、13g 登録日、13j、13k 頻出単語、31 アラーム情報蓄積部、32 懸案情報蓄積部、41 トラブル文書蓄積部、42 業務文書蓄積部、51 検索単語抽出部、52 文章分割処理部、53 抽出単語管理部、54 同一単語探索部、55 探索結果出力部、56 頻出単語出力部、61 探索結果表示部、62 探索文書表示部、100 プラント保全支援装置、101 アラーム情報、102 懸案情報、103 表示装置、103a、103b、103c、103d 表示エリア、200 データ受信部、300 情報蓄積部、400 探索文書蓄積部、500 探索処理部、600 描画管理部。