(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】転動玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 18/02 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
A63H18/02 D
(21)【出願番号】P 2022008314
(22)【出願日】2022-01-21
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚将
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】篠田 卓幸
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-255087(JP,A)
【文献】特表2002-508231(JP,A)
【文献】実開昭52-009586(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 18/00-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体と前記転動体が転動する軌道を構成する軌道部品とを含む転動玩具であって、
前記転動体は、
回転軸部を構成する第1の転動部であって、前記軌道部品の第1の範囲において前記軌道部品に係合し、前記第1の範囲とは異なる前記軌道部品の第2の範囲において前記軌道部品から離間する第1の転動部と、
前記回転軸部よりも大径の円盤部であって、前記回転軸部を挟む2つの当該円盤部を構成する第2の転動部であって、前記第1の範囲において前記軌道部品から離間し、前記第2の範囲において前記軌道部品に接触する第2の転動部と、
を備え、
前記軌道部品は、
前記第1の転動部に対向する第1の軌道部と、
前記第2の転動部に対向する第2の軌道部であって、前記第1の軌道部の表面位置より低い表面位置を有し、当該第1の軌道部に沿って延びる第2の軌道部と、
を備え、
前記第1の軌道部および前記第2の軌道部は、前記第1の範囲において傾斜部を有し、
前記第1の軌道部は、
前記転動体の第1の転動部
とのみ係合して当該第1の軌道部の前記傾斜部における前記転動体の移動を、当該傾斜部における下向きでの回転状態での移動に規制する、転動玩具。
【請求項2】
請求項1記載の転動玩具において、
前記軌道部品は、前記第2の範囲において、前記傾斜部よりも小さな傾斜角度で前記傾斜部に連なる橋渡し部と、当該橋渡し部に連なる水平部とを有する、転動玩具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の転動玩具において、
前記回転軸部の外周は軸方向に延びる回転側の凹凸部を有し、前記第1の軌道部は前記回転側の凹凸部に係合する凹凸部を有する、転動玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の転動玩具において、
前記第1の軌道部の側面は前記第2の軌道部に向けて幅が広くなるように傾斜し、前記円盤部の内側面は、前記第2の範囲においては当該側面と点接触する、転動玩具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の転動玩具において、
前記軌道部品は、単一のブロックまたは相互に着脱可能な複数のブロックにより形成される、転動玩具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の転動玩具において、
前記第2の転動
部の外側面は、付属部品が装着できる嵌合部を有する、転動玩具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の転動玩具において、
前記軌道部品は、嵌合部が配列して設けられたベース盤に着脱可能なスロープブロックであり、当該スロープブロックに連ならせてレールブロックが当該ベース盤に着脱可能に装着される、転動玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道部品とこれに案内されて転動する転動体とを有する転動玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールとボールを案内する案内路とを備えるボールタワー玩具が特許文献1に記載されている。このボールタワー玩具は、傾斜した案内レールの下流端と上流端との間に配置されるボール打ち上げ用タワーを備えているので、傾斜した案内レールの上流端のボール受け部から下流端の打ち上げ部までボールを回転移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
打ち上げ用タワーを備えた玩具においては、案内レールを長くしてもボールをボール受け部から打ち上げ部まで転がり移動させることができるが、玩具の構成が大掛かりとなる。さらに、このタワー玩具は他のブロック玩具と組合せることができず、単独で使用することを前提とした遊具である。
【0005】
傾斜部と水平部とを備えた軌道レールつまり軌道部品に、転がり移動する転動体を転動させるには、搬入部の高さを高く設定するか、水平部の長さを短く設定する必要がある。搬入部の高さを過度に高くすることなく、水平部の下流端にまで回転体を転がし移動させることができれば、玩具使用者に転動体の挙動に対する興趣性を向上させることができる。
【0006】
本発明の目的は、軌道部品と転動体とを有する転動玩具の興趣性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、転動体と前記転動体が転動する軌道を構成する軌道部品とを含む転動玩具であって、前記転動体は、前記軌道部品の第1の範囲において前記軌道部品に係合し、前記第1の範囲とは異なる前記軌道部品の第2の範囲において前記軌道部品から離間する第1の転動部を備え、前記軌道部品は、前記第1の範囲において前記転動体の移動を回転状態での移動に規制する。また、本発明の一態様は、転動体と前記転動体が転動する軌道を構成する軌道部品とを含む転動玩具であって、前記転動体は、前記軌道部品の第1の範囲において前記軌道部品に係合し、前記第1の範囲とは異なる前記軌道部品の第2の範囲において前記軌道部品から離間する第1の転動部を備え、前記軌道部品は、前記第1の範囲において傾斜部を有し、前記傾斜部における前記転動体の移動を、当該傾斜部における下向きでの回転状態での移動に規制する。また、本発明の一態様は、転動体と前記転動体が転動する軌道を構成する軌道部品とを含む転動玩具であって、前記転動体は、回転軸部を構成する第1の転動部であって、前記軌道部品の第1の範囲において前記軌道部品に係合し、前記第1の範囲とは異なる前記軌道部品の第2の範囲において前記軌道部品から離間する第1の転動部と、前記回転軸部よりも大径の円盤部であって、前記回転軸部を挟む2つの当該円盤部を構成する第2の転動部であって、前記第1の範囲において前記軌道部品から離間し、前記第2の範囲において前記軌道部品に接触する第2の転動部と、を備え、前記軌道部品は、前記第1の転動部に対向する第1の軌道部と、前記第2の転動部に対向する第2の軌道部であって、前記第1の軌道部の表面位置より低い表面位置を有し、当該第1の軌道部に沿って延びる第2の軌道部と、を備え、前記第1の軌道部および前記第2の軌道部は、前記第1の範囲において傾斜部を有し、前記第1の軌道部は、前記転動体の第1の転動部とのみ係合して当該第1の軌道部の前記傾斜部における前記転動体の移動を、当該傾斜部における下向きでの回転状態での移動に規制する、転動玩具。
【発明の効果】
【0008】
転動玩具は、転動体は軌道部品に係合して転動する転動動作と、軌道部品から離間した転動動作とを有し、転動玩具の興趣性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ベース盤に組み付けられた転動玩具を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された転動体を拡大して示す斜視図である。
【
図3】(A)は
図2の正面図であり、(B)は(A)における3B-3B線断面図である。
【
図4】
図1に示されたスロープブロックを拡大して示す斜視図である。
【
図5】スロープブロックの側面図であり、搬入部に配置された転動体と搬出部まで移動した転動体とがそれぞれ二点鎖線で示されている。
【
図6】(A)は転動体がスロープブロックの搬入部に配置された状態におけるスロープブロックの正面図であり、(B)は転動体が搬出部まで移動した状態におけるスロープブロックの正面図である。
【
図7】
図1に示された短寸のストレートなレールブロックを拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図1に示された湾曲したレールブロックを拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図1に示された長寸のストレートなレールブロックを拡大して示す斜視図である。
【
図10】スロープブロックの変形例1を示す側面図である。
【
図11】スロープブロックの変形例2を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は転動玩具10がベース盤11に組み付けられた状態を示す。ベース盤11は四辺形であり、表面には多数の嵌合部12が碁盤目状に配列して設けられており、嵌合部12のベース盤11の辺に沿う方向の間隔は全て同一であり、表面からの突出高さも全て同一である。
【0011】
ベース盤11には複数のブロックを着脱可能に装着することができる。
図1においては、スロープブロック13とストレートのレールブロック14がベース盤11に組み付けられ、レールブロック14はスロープブロック13に連なっている。湾曲したレールブロック15がベース盤11に組み付けられ、レールブロック15はレールブロック14を介してスロープブロック13に連なっている。2つのストレートのレールブロック16が相互に連なってベース盤11に組み付けられており、レールブロック15等を介してスロープブロック13に連なっている。レールブロック16はレールブロック14よりも長く、短寸のレールブロック14と長寸のレールブロック16がベース盤11に組み付けられている。
【0012】
それぞれのブロック13~16の底面には、嵌合部12が嵌合される被嵌合部が設けられており、被嵌合部を嵌合部12に嵌合させることにより、それぞれのブロックはベース盤11に取り外し可能つまり着脱可能に組み付けられる。それぞれのブロック13~16については、以下において、水平支持されたベース盤11に組み付けられた状態を基準として、上下左右の位置関係を示す。
【0013】
図1に示すように、スロープブロック13をベース盤11の奥側に配置し、レールブロック14~16をL字形状に配列してスロープブロック13に連ならせ、回収トレーブロック17をベース盤11の右側部に組み付けると、スロープブロック13の搬入部に搬入された転動体20は、スロープブロック13とレールブロック14~16を転動つまり回転移動して回収トレーブロック17に回収される。回収トレーブロック17はベース盤11に組み付けられる組付け部17aと、組付け部17aに接続された回収部17bとを備えている。
【0014】
スロープブロック13とそれぞれのレールブロック14~16の配置形態は、遊技者が任意に設定することができる。さらに、上述したブロックに加えて、テーブルブロック、人形ブロック、家屋ブロック、ゲートブロック等の種々のブロックをベース盤11に組み付けることができる。これにより、遊技者は多数の組み付けパターンを楽しむこときができ、転動玩具の興趣性を向上させることができる。
【0015】
図2および
図3に示されるように、転動体20は、第1の転動部としての回転軸部21とこの回転軸部21の両端部に第2の転動部としての2つの円盤部22とを有し、本実施の形態においては、円盤部22の半径R1は回転軸部21の半径R2よりも大径である。円盤部22の半径R1と回転軸部21の半径R2の半径差(R1-R2)をΔRとする。転動体20は、回転中心軸Oを中心に回転することができ、回転軸部21の外周には軸方向に延びる複数の突起を有する歯車形状の凹凸部23が設けられている。このように、転動体20は、外周に歯車形状の凹凸部23が設けられた回転軸部21と、それを挟むように回転軸部21の両端に円盤部22とを有している。円盤部22の内側面24は回転軸部21から円盤部22の外周面に向けて回転軸部21の軸方向外方に傾斜した略円錐面であり、
図3(A)に示されるように、僅かに凸面形状に湾曲している。
【0016】
転動体20の外側面を形成する円盤部22の外側面には、
図2に示されるように、4つの嵌合部25が軸方向に突出している。それぞれの嵌合部25に付属部品としての蓋部材26を嵌合させると、
図1に示されるように、円盤部22の外側面に蓋部材26が装着される。嵌合部25に着脱可能に嵌合される図示しない被嵌合部が蓋部材26に設けられている。蓋部材26は着脱可能となっているので、蓋部材26に描かれた模様や蓋部材26の色彩が相違する複数の蓋部材26を用意しておくと、遊技者は転動体20と蓋部材26との組み合わせを楽しむことができる。
図2および
図3においては、蓋部材26は二点鎖線で示されている。
【0017】
図4および
図5に示されるように、スロープブロック13は、幅方向中央部の第1の軌道部31と、幅方向両側に第1の軌道部31に沿って延びる第2の軌道部32とを有し、軌道部品30を構成している。第1の軌道部31の表面33と第2の軌道部32の表面34は、相互に表面位置が異なっており、第1の軌道部31の表面33は、第2の軌道部32の表面34よりも表面位置が高い。このように、本実施の形態においては、スロープブロック13は高い軌道部である第1の軌道部31と、低い軌道部である第2の軌道部32とを備えた凸形状である。
【0018】
スロープブロック13には、底面35に開口する被嵌合部18が設けられており、被嵌合部18にベース盤11の嵌合部12を嵌合させると、スロープブロック13はベース盤11に組み付けられその位置に保持される。他のレールブロック14~16および回収トレーブロック17にも同様に被嵌合部が設けられている。
図1に示された全てのブロックは、ベース盤11に取り付けられて軌道部品30を構成する。転動玩具は転動体20と軌道部品30とを含む玩具である。
【0019】
図5に示されるように、軌道部品30としてのスロープブロック13の一端面における底面35から表面33までの高さ寸法H1は、他端面の底面35から表面33までの高さ寸法H2よりも大きい。同様に、スロープブロック13の一端面における底面35から表面34までの高さ寸法J1は、他端面の底面35から表面34までの高さ寸法J2よりも大きい。
【0020】
軌道部品30の一端部は転動体20が搬入される搬入部41を構成しており、他端部は転動体20が搬出される搬出部42を構成している。搬入部41と搬出部42の間の領域には傾斜部43と橋渡し部44とが設けられており、傾斜部43は搬入部41に連なり、橋渡し部44は傾斜部43に連なっている。傾斜部43と橋渡し部44は、いずれも搬出部42に向けて高さが短くなる方向に下向きに傾斜しており、橋渡し部44は水平部45に連なっている。橋渡し部44の傾斜角度は、傾斜部43の傾斜角度よりも小さな角度である。
【0021】
第1の軌道部31の側面36は、第2の軌道部32に向けてスロープブロック13の幅が広くなる方向に傾斜している。
【0022】
搬入部41と傾斜部43の表面33には、固定側の凹凸部46が設けられている。凹凸部46はスロープブロック13の幅方向に筋状に延びる凸部を相互に所定の間隔を隔てて表面33に設けることにより形成されている。凹凸部46は歯車形状の凹凸部23に噛み合うラック歯であり、第1の転動部としての回転軸部21に係合する軌道部品の係合部を構成している。したがって、転動体20が搬入部41と傾斜部43を移動するときには、凹凸部23が凹凸部46に係合するので、転動体20は傾斜部43の上を滑り移動することなく、転動体20の移動は回転状態での移動に規制される。
【0023】
図5に示されるように、スロープブロック13においては、凹凸部46が設けられた領域を第1の範囲L1とし、凹凸部46が設けられていない搬出部42の領域を第2の範囲L2とする。第1の範囲L1は搬入部41と傾斜部43とを有し、第2の範囲L2の搬出部42は橋渡し部44と水平部45とを備えている。
【0024】
第1の範囲L1における第1の軌道部31の表面33と、第2の軌道部32の表面34との間の距離、つまり第1の軌道部31の第2の軌道部32に対する第1の範囲L1における突出長さD1は、第2の範囲L2における第1の軌道部31の第2の軌道部32に対する突出長さD2よりも長く設定されている(D1>D2)。さらに、突出長さD1は転動体20の半径差ΔRよりも長く、突出長さD2は半径差ΔRよりも短い(D1>ΔR、D2<ΔR)。
【0025】
転動体20をスロープブロック13の搬入部41に搬入すると、第1の範囲L1においては、回転軸部21の回転側の凹凸部23が固定側の凹凸部46に係合し、第2の範囲L2においては、回転軸部21は軌道部品30から離間する。つまり、転動体20においては、回転軸部21が第1の軌道部31に対向する第1の転動部を構成する。これに対し、転動体20の円盤部22は、第1の範囲L1においては、軌道部品30の第2の軌道部32から離間し、第2の範囲L2においては第2の軌道部32に接触する。つまり、転動体20においては、円盤部22が第2の軌道部32に対向する第2の転動部を構成する。
【0026】
したがって、軌道部品30としてのスロープブロック13の搬入部41に供給された転動体20は、搬入部41と傾斜部43においては回転軸部21の凹凸部23が軌道部品30の凹凸部46に係合し、係合した状態で傾斜部43を転動する。これにより、転動体20は滑り移動することなく、確実に回転状態での移動に規制されて、転動速度が高められる。高められた状態でスロープブロック13の第2の範囲L2にまで回動する。第2の範囲L2においては、回転軸部21と軌道部品30との係合が解除されて、円盤部22が第2の軌道部32の表面34を転動する。このように、転動体20は回転軸部21が軌道部品30に係合して転動する状態から円盤部22が軌道部品30に接触して転動する状態に切り換えられるので、転動玩具の興趣性を向上させることができる。
【0027】
それぞれのレールブロック14~16と回収トレーブロック17は、スロープブロック13の水平部45における第1の軌道部31の表面33と第2の軌道部32の表面34と同一高さの表面を有している。したがって、転動体20は水平部45の位置まで転動する間において高められた転動速度で第2の範囲L2を通過し、レールブロック14~16を通過して回収トレーブロック17にまで惰性走行することができる。全てのレールブロックと回収トレーブロックは、スロープブロック13の第2の範囲L2に連なる軌道部品30としての第2の範囲を構成する。このように、軌道部品30は単一のブロックであるスロープブロック13のみにより形成される一方、レールブロック14~16を含めた複数のブロックにより形成することもできる。
【0028】
スロープブロック13に供給された転動体20は、傾斜部43において転動速度が確実に高められ、第2の範囲L2においては回転軸部21よりも大径の円盤部22が転動車輪となって転動走行するので、回収トレーブロック17までの長い距離の惰性走行部を走行することができる。また、転動体20は、第1の範囲L1においては、回転軸部21の歯車としての凹凸部23が傾斜部43のラック歯としての凹凸部46と係合するので係合音ないし噛合い音を発生させることが可能である。これに対して、第2の範囲L2においては、大径の円盤部22が転動車輪となって当該係合音ないし噛合い音とは異なるコロガリ音を発生させることが可能である。このように、転動体20は複数の転動走行音パターンを備えることができ、発生する音によって遊技者の興趣性を高めることができる。
【0029】
図6(A)は転動体20がスロープブロック13の搬入部41に配置された状態におけるスロープブロック13の正面図であり、
図6(B)は転動体20が搬出部42まで移動した状態におけるスロープブロック13の正面図である。
【0030】
図6(A)に示されるように、第1の範囲L1における転動体20は、回転軸部21が軌道部品30としての凹凸部46に係合し、円盤部22は軌道部品30から離間している。したがって、転動体20が第1の範囲L1を転動するときには、円盤部22は軌道部品30との接触による転動抵抗が転動体20に加えることが抑制される。
【0031】
一方、
図6(B)に示されるように、第2の範囲L2においては、転動体20は、回転軸部21が第1の軌道部31の表面33から離間し、円盤部22が第2の軌道部32の表面34に接触する。このときには、第1の軌道部31の側面36は傾斜し、円盤部22の内側面24は略円錐形状であって僅かに凸となって湾曲しているので、転動体20の内側面24は第1の軌道部31の側面36に点接触する。このように、内側面24は軌道部品30に点接触するので、円盤部22を転動輪として転動走行するときには、軌道部品30から転動体20に加えられる転動抵抗が抑制される。
【0032】
図7は短寸のストレートなレールブロック14を拡大して示し、
図8は湾曲したレールブロック15を拡大して示し、
図9は長寸のストレートなレールブロック16を拡大して示す。
【0033】
図7に示されるように、短寸のストレートなレールブロック14は幅方向中央部の高い第1の軌道部51と、幅方向両側の低い第2の軌道部52とを有し、真っ直ぐな軌道部品を構成している。第1の軌道部51の表面53は第2の軌道部52の表面54に対して突出しており、両方の表面53、54は平行である。第1の軌道部51の表面53の底面55からの高さ寸法は、スロープブロック13の搬出側の端面における第1の軌道部31の表面33の高さ寸法H2とほぼ同一である。また、第2の軌道部52の表面54の底面55からの高さ寸法は、第2の軌道部32の搬出側の端面における表面34の高さ寸法J2とほぼ同一である。第1の軌道部51の側面56は、スロープブロック13の側面36と同様に第2の軌道部52に向けてレールブロック14の幅が広くなる方向に傾斜している。
【0034】
図8に示されるように、湾曲したレールブロック15は、幅方向中央部の高い第1の軌道部61と、幅方向両側の低い第2の軌道部62とを有し、平面視において全体的にほぼ90度折れ曲がった軌道部品を構成している。第1の軌道部61の表面63は第2の軌道部62の表面64に対して突出しており、両方の表面63、64は平行である。第1の軌道部61の表面63の底面65からの高さ寸法は、スロープブロック13の端面における第1の軌道部31の表面33の高さ寸法H2とほぼ同一である。また、第2の軌道部62の表面64の底面65からの高さ寸法は、第2の軌道部32の端面における表面34の高さ寸法J2とほぼ同一である。第1の軌道部61の側面66は、スロープブロック13の側面36と同様に第2の軌道部62に向けて幅が広くなる方向に傾斜している。
【0035】
図9に示されるように、長寸のストレートなレールブロック16は、長さが相違することを除いて
図7に示した短寸のレールブロック14とほぼ同様の構造である。
図9においては、
図7に示した部位と共通性を有する部位には同一の符号が付されており、重複した説明は省略する。
【0036】
スロープブロック13に連ならせてレールブロック14~16と回収トレーブロック17とを、
図1に示されるように、ベース盤11に配置すると、それぞれのレールブロック14~16の第1の軌道部51、61の表面53、63はスロープブロック13の第1の軌道部31の端面の高さ寸法H2と同一の高さとなり、第2の軌道部52、62の表面54、64はスロープブロック13の第2の軌道部32の端面の高さ寸法J2と同一の高さである。さらに、回収トレーブロック17の組付け部17aの端面は、それぞれのレールブロックの端面と同一形状である。
【0037】
図1に示すように、それぞれのレールブロックがベース盤11に組み付けられた場合には、レールブロック14から組付け部17aまでは、組み立てられた軌道部品30としての第2の範囲L2を形成する。したがって、レールブロック14~16を介して転動体20をスロープブロック13から回収トレーブロック17の回収部17bに転動させるときには、転動体20がスロープブロック13の第2の範囲L2を転動するときと同様に、転動体20は、回転軸部21が第1の軌道部の表面から離間し、円盤部22が第2の軌道部の表面に接触する。このときには、転動体20の内側面24は第1の軌道部の側面に点接触するので、円盤部22を転動輪として転動走行するときには、それぞれ軌道部品としてのレールブロックから転動体20に加えられる転動抵抗が抑制される。
【0038】
図10および
図11はそれぞれスロープブロックの変形例1および変形例2を示す側面図である。
図10に示すスロープブロックは、第1のスロープブロック13aと第2のスロープブロック13bの2つを組み立てることにより形成されている。第1のスロープブロック13aは、
図5に示したスロープブロック13における第1の範囲L1の長さと同様の長さを有し、第2のスロープブロック13bは、スロープブロック13の第2の範囲L2よりも長い第2の範囲L2の搬出部42を備えている。このように、
図10においては、搬入部41と傾斜部43とを備えたスロープブロック13aと、搬出部42を備えたスロープブロック13bとの2つのブロックにより組み立てられるスロープブロックが示されている。
【0039】
図11に示すスロープブロックは、第1のスロープブロック13cと第2のスロープブロック13dの2つにより組み立てることにより形成されている。第1のスロープブロック13cは、搬入部41と傾斜部43aとを備え長さがL3であり、第2のスロープブロック13dは、傾斜部43bと搬出部42とを備え長さがL4である。スロープブロック13aの傾斜部43aと、スロープブロック13bの傾斜部43bとの合計の長さが、
図5に示したスロープブロック13における傾斜部43と同一になる。
図11における範囲L1、L2は、
図10における第1の範囲L1と第2の範囲L2に対応している。このように、傾斜部43を複数のスロープブロックにより組み立てるようにしてもよい。
【0040】
なお、それぞれのスロープブロックにおいて、搬入部41を設けることなく、一端面側から傾斜部43を設けるようにしてもよい。
【0041】
図12は転動玩具の変形例を示す側面図である。
図12においては、スロープブロック13eと仮想線で示された転動体20aとが示されている。転動体20aは、スロープブロック13eの搬入部41に配置された状態と、搬出部42に転動した状態において示されている。
【0042】
転動体20aは、転動体20と同様に、回転軸部21とその両端部に円盤部22とを有している。ただし、円盤部22の外周面に回転側の凹凸部23が設けられおり、回転軸部21には凹凸部は設けられていない。一方、スロープブロック13eは、
図5に示したものと同様に、第1の軌道部31と第2の軌道部32とを有している。ただし、第2の軌道部32の表面34には固定側の凹凸部46が設けられ、第1の軌道部31には凹凸部は設けられてない。このように、転動体20aにおいては、円盤部22が第1の転動部を構成し、回転軸部21が第2の転動部を構成する。転動体20aにおいては、回転軸部21が第1の範囲L1においてスロープブロックの第1の軌道部31から離間し、第2の範囲L2において第1の軌道部31に接触する。つまり、転動体20aにおいては、回転軸部21が第2の転動部を構成する。
【0043】
スロープブロック13eにおいては、第1の軌道部31の第2の軌道部32に対する第1の範囲L1における突出長さD1は、第2の範囲L2における突出長さD2よりも短い。なお、スロープブロック13eにおける第1の範囲L1と第2の範囲L2は、
図5に示したものと同一の長さである。
【0044】
転動玩具のさらに別の変形例(図示せず)としては、スロープブロック13は高い軌道部である第1の軌道部31で低い軌道部である第2の軌道部32を挟む凹形形状によって構成されてもよい。当該別の変形例においては、転動体20は、円盤部22と円盤部22を挟む2つの回転軸部21とで構成される。また、転動体20の移動を回転状態での移動に規制する凹凸部46は、スロープブロック13の第1の軌道部31に設けることができ、その場合は転動体20の回転軸部21に凹凸部23が設けられる。一方、転動体20の移動を回転状態での移動に規制する凹凸部46がスロープブロック13の第2の軌道部32に設けることもでき、その場合は転動体20の円盤部22に凹凸部23が設けられる。
【0045】
本発明は前記実施の形態および各変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述したスロープブロックやレールブロックは、ベース盤に取り付けることなく、直接連結可能な形状として、連結した状態においてテーブル等の上に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 転動玩具
11 ベース盤
12 嵌合部
13 スロープブロック
14~16 レールブロック
17 回収トレーブロック
18 被嵌合部
20 転動体
21 回転軸部
22 円盤部
23 凹凸部
24 内側面
25 嵌合部
26 蓋部材
30 軌道部品
31 第1の軌道部
32 第2の軌道部
33、34 表面
35 底面
36 側面
41 搬入部
42 搬出部
43 傾斜部
44 橋渡し部
45 水平部
46 凹凸部