(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】回転操作部の防塵構造、電子機器および送風システム
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20250110BHJP
H01C 10/00 20060101ALI20250110BHJP
H01C 10/14 20060101ALI20250110BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20250110BHJP
H01H 19/06 20060101ALI20250110BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H01C10/00 P
H01C10/14 R
H01H9/04 A
H01H19/06
F24F7/007 101
(21)【出願番号】P 2022063772
(22)【出願日】2022-04-07
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】山田 宜弘
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-168823(JP,U)
【文献】特許第5102822(JP,B2)
【文献】特開2013-012432(JP,A)
【文献】特開2011-038687(JP,A)
【文献】特開2003-004144(JP,A)
【文献】特開2019-114455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H01C 10/00
H01C 10/14
H01H 9/04
H01H 19/06
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板を収納するケースと、
前記ケースに形成された可変抵抗器用挿通孔を挿通する回転軸と、前記回転軸を支持して前記可変抵抗器用挿通孔を挿通する軸受部とが設けられ、前記基板上に実装される回転操作部と、
前記ケースの外部に配置されて前記可変抵抗器用挿通孔から前記ケースの外部に突出した前記回転軸に嵌合して、回転操作が行われた際の回転に同期して前記回転軸を回転させるつまみと、
前記回転軸が挿通する回転軸用挿通孔が形成された有底円筒形状を有し、前記回転軸と同軸に前記ケースと前記つまみとの間に配置された合成樹脂製の防塵カバーと、
を備え、
前記防塵カバーは、前記可変抵抗器用挿通孔から前記ケースの外部に突出して前記つまみに嵌合する前記回転軸が前記回転軸用挿通孔を挿通し、
前記可変抵抗器用挿通孔から前記ケースの外部に突出して前記軸受部が内部に挿通し、一端側が前記ケースの表面と環状に隙間なく面接触し、他端側が前記つまみと環状に隙間なく面接触し、上下方向において前記軸受部との間に
前記軸受部を上方に移動可能とする隙間があり、
上下方向において前記回転軸と前記つまみとの間に
前記回転軸を上方に移動可能とする隙間があ
り、
前記つまみは、前記つまみの側壁部の厚さ方向に前記側壁部を貫通する横穴が形成され、
前記回転軸は、前記側壁部の外周側から前記横穴に挿入されて前記回転軸を締め付けるイモネジによって前記回転軸に固定されていること、
を特徴とする回転操作部の防塵構造。
【請求項2】
前記つまみと前記防塵カバーとが、一体成型品であること、
を特徴とする請求項1に記載の回転操作部の防塵構造。
【請求項3】
前記回転操作部が可変抵抗器であること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転操作部の防塵構造。
【請求項4】
請求項1に記載の回転操作部の防塵構造を備えること、
を特徴とする電子機器。
【請求項5】
送風機と、
請求項4に記載の電子機器であって前記送風機を制御する制御機器と、
を備えることを特徴とする送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、埃の侵入を防止する回転操作部の防塵構造、電子機器および送風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家畜が飼育される畜舎においては、暑熱対策を目的として複数台の送風機が設置されている。畜舎は、側壁に囲まれた領域である飼育領域で多くの家畜が飼育されるため、特に埃が多く舞う環境となっている。送風機において速度調整に使用される回転操作部の防塵構造は、防水構造と同じ構造が採用されている。
【0003】
特許文献1では、従来の技術として、リング状の防水ゴムが回転ツマミの内部に挿入され、防水ゴムの環状突起部が電子機器のケースの環状防水壁に密着して外部からの水の侵入が防止される防水つまみの構造が開示されている。当該防水つまみの構造のように回転操作部品である回転つまみとケースとの間にリング状の防水ゴムを配設する構造では、水の侵入は防止できるが、長期の使用による防水ゴムの劣化、摺動による磨耗等により両者の密着性が悪くなり、防水性が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、防水ゴムを使用しないツマミ構造として、電子機器のケースの開口部の周囲とツマミの内側とのいずれか一方に回転軸と共通の中心を有する環状突起部が設けられ、他方に回転軸と共通の中心と環状突起部と同一の直径とを有する環状溝部がそれぞれ設けられ、環状突起部が環状溝部に入り込んだツマミ構造が提供されている。
【0005】
一方で、防水ゴムを使用した防水構造においては、回転操作部品と電子機器のケースとの間の摺動抵抗が高くなり、回転操作部品の操作感が悪くなるという問題がある。このような問題に対して、特許文献2には、回転操作部品の操作感を悪化させることなくスイッチ装置の防水性を向上させる構造が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ケースに収納された基板に実装される可変抵抗器と、可変抵抗器の回転軸に嵌合して回転操作が行われた際に回転軸を回転させるつまみと、回転軸と同軸に配設されて回転軸が挿通し回転軸の回転に同期して回転する中軸と、環状に形成されて回転軸が挿通し、中軸の内周面および回転軸の外周面にそれぞれ圧接する第一のOリングと、環状に形成されて中軸が挿通し、ケースおよび中軸の外周面にそれぞれ圧接する第二のOリングと、ケース内において中軸が挿通して一面が段部に当接し、中軸の軸方向に弾性を有して周方向の弾性が極めて小さい材料からなる弾性部材と、を備える回転操作部の回転機構が開示されている。
【0007】
特許文献2によれば、第一の弾性体及び第二の弾性体によって防水性を得ることができ、また弾性部材が周方向の弾性が極めて小さい材料からなることから回転軸を回転させる際に弾性部材が回転方向へ伸張することがなく、回転操作時の感触の悪化を抑制することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平07-16212号公報
【文献】特許第5102822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された防水ゴムを使用しないツマミ構造の場合、回転軸を含む回転操作部は基板上に実装され、基板は電子機器のケースの内部に固定される構造が一般的である。この場合、回転操作部の複数の部品、ケース、スペーサおよび基板といった各部品の寸法のばらつきまたは組み付けのばらつきにより、回転軸の位置にばらつきが発生することで、環状突起部と環状溝部との間に隙間が発生する問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載された防水ゴムを使用する回転操作部の回転機構の場合、防水ゴムの潰し代等を考慮した取付け構造が必要となり、さらに摺動による操作性の悪化、摩耗等の問題を改善する必要があり、構造が複雑になっていた。また、防水ゴムを使用する回転操作部の回転機構の場合、上述したように防水ゴムの劣化に起因して長期使用における信頼性が低いという問題があった。
【0011】
したがって、上述したような従来の回転操作部の防水構造と同じ構造を回転操作部の防塵構造に適用しても使い勝手が良く長期使用における信頼性が高い回転操作部の防塵構造は実現できない。
【0012】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で回転軸の位置ばらつきに起因した隙間の発生を防止し、使い勝手が良く長期使用における信頼性が高い回転操作部の防塵構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる回転操作部の防塵構造は、基板と、基板を収納するケースと、ケースに形成された可変抵抗器用挿通孔を挿通する回転軸と、回転軸を支持して可変抵抗器用挿通孔を挿通する軸受部とが設けられ、基板上に実装される回転操作部と、ケースの外部に配置されて可変抵抗器用挿通孔からケースの外部に突出した回転軸に嵌合して、回転操作が行われた際の回転に同期して回転軸を回転させるつまみと、回転軸が挿通する回転軸用挿通孔が形成された有底円筒形状を有し、回転軸と同軸にケースとつまみとの間に配置された合成樹脂製の防塵カバーと、を備える。防塵カバーは、可変抵抗器用挿通孔からケースの外部に突出してつまみに嵌合する回転軸が回転軸用挿通孔を挿通し、可変抵抗器用挿通孔からケースの外部に突出して軸受部が内部に挿通し、一端側がケースの表面と環状に隙間なく面接触し、他端側がつまみと環状に隙間なく面接触し、上下方向において軸受部との間に軸受部を上方に移動可能とする隙間があり、上下方向において回転軸とつまみとの間に回転軸を上方に移動可能とする隙間がある。つまみは、つまみの側壁部の厚さ方向に側壁部を貫通する横穴が形成されている。回転軸は、側壁部の外周側から横穴に挿入されて回転軸を締め付けるイモネジによって回転軸に固定されている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、簡単な構造で回転軸の位置ばらつきに起因した隙間の発生を防止し、使い勝手が良く長期使用における信頼性が高い回転操作部の防塵構造が得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造を示す断面図
【
図2】
図1における可変抵抗器とつまみとを拡大して示す断面図
【
図3】実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造から防塵カバーが除かれた状態を示す断面図
【
図4】実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造を示す断面図
【
図5】実施の形態3にかかる送風システムの構成の一例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施の形態にかかる回転操作部の防塵構造、電子機器および送風システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100を示す断面図である。
図2は、
図1における可変抵抗器3とつまみ4とを拡大して示す断面図である。実施の形態1においては、
図1および
図2における紙面の上下方向を回転操作部の防塵構造100の上下方向とし、
図1および
図2における紙面の左右方向を回転操作部の防塵構造100の左右方向として説明する。なお、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、使用時における配置の方向が
図1および
図2に示す方向に限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、電子機器に設けられ、電子機器における各種の設定の調整に用いられる。先ず、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100の全体の構成について説明する。
図1に示すように、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、基板1と、ケース2と、可変抵抗器3と、つまみ4と、防塵カバー5と、を備える。
【0019】
基板1は、電子機器を制御するための不図示の電子回路が実装された電子回路基板であり、ケース2の内部に収納されている。基板1は、基板1の厚さ方向に基板1を貫通する不図示の貫通孔を、基板1の面内における可変抵抗器3に対応する位置に有する。
【0020】
ケース2は、基板1を内部に収納する収納部である。ケース2は、第1のケース部品である上ケース21と、第2のケース部品である下ケース22と、の2つのケース部品を備えて構成される。上ケース21と下ケース22との各々は、一面が解放された箱形状を有する。上ケース21と下ケース22との各々は、不図示の嵌合部を有する。上ケース21と下ケース22とは、各々の嵌合部が他方の嵌合部と嵌合することにより固定されて、一体化されている。ケース2は、上ケース21と下ケース22とが固定されて一体化されることにより、基板1を内部に収納可能とされる。なお、上ケース21と下ケース22との各々の形状は、箱形状に限定されない。例えば、ケース2は、一面が解放された箱形状を有する上ケース21と、平板形状を有する下ケース22とによって構成されてもよい。
【0021】
上ケース21は、上ケース21の主面21aと下ケース22の主面22aとが予め決められた離間距離だけ離間した状態で、且つ上ケース21の主面21aと下ケース22の主面22aとが平行な状態で、下ケース22の上方に配置されている。これにより、内部空間2aが、ケース2の内部に構成されている。
【0022】
上ケース21の主面21aは、上ケース21の箱形状における底面である。上ケース21の主面21aは、ケース2の外面を構成する外面21bと、ケース2の内面を構成する内面21cとを有する。
【0023】
下ケース22の主面22aは、下ケース22の箱形状における底面である。下ケース22の主面22aは、ケース2の外面を構成する外面22bと、ケース2の内面を構成する内面22cとを有する。
【0024】
また、上ケース21は、上ケース21の主面21aに可変抵抗器用挿通孔21dが形成されている。可変抵抗器用挿通孔21dは、上ケース21の主面21aの厚さ方向に上ケース21の主面21aを貫通して可変抵抗器3が挿通される貫通孔である。
【0025】
下ケース22は、下ケース22の主面22aの内面22cから上ケース21の主面21aに向かって突出したスペーサ221が設けられている。すなわち、下ケース22は、下ケース22の主面22aの内面22cからケース2の内部空間2aに向かって垂直に突出したスペーサ221が設けられている。
【0026】
スペーサ221は、ケース2の内部に配置された基板1と、下ケース22の主面22aとの間に配置されて、基板1と下ケース22とを離間させる。基板1は、ケース2の内部において下ケース22の主面22aと平行に配置されている。すなわち、基板1の面内方向と、下ケース22の主面22aの面内方向とは、平行とされている。
【0027】
スペーサ221は、下ケース22の内面22cからケース2の内部空間2aに向かって突出した状態で、下ケース22の内面22cに固定されている。スペーサ221は、円筒形状を有し、内径部に不図示のねじ孔が穿設されている。すなわち、スペーサ221には、円筒形状の内径側に、円筒形状の中心軸の軸方向に沿ってねじ孔が形成されている。
【0028】
スペーサ221上には、基板1が載置されている。基板1は、スペーサ221上に載置された状態で、ねじ23によりねじ留め固定されている。基板1は、基板1の厚さ方向に基板1を貫通してねじ23が挿通される不図示の挿通孔が形成されている。基板1は、基板1の挿通孔およびスペーサ221のねじ孔に上ケース21側からねじ23がねじ込まれることにより、スペーサ221にねじ留め固定されている。
【0029】
可変抵抗器3は、ケース2の外部に設けられたつまみ4の回転操作に対応して回転し、ケース2の内部に設けられた可変抵抗器3の抵抗が可変となる回転操作部である。可変抵抗器3は、基板1の上面1a上に実装されている。基板1の上面1aは、基板1における上側の一面であって、上ケース21の主面21a側の一面である。可変抵抗器3は、上ケース21の主面21aに形成された可変抵抗器用挿通孔21dを挿通する回転軸31と、回転軸31の一端側を収納して可変抵抗器3の本体部を構成する本体32と、を備える。
【0030】
回転軸31は、他端側がつまみ4に嵌合する。回転軸31は、軸の断面をD形状とするDカット加工が施されたDカット部31aを、他端側である上側の先端に有する。回転軸31の軸方向は、上ケース21の主面21aの面内方向、下ケース22の主面22aの面内方向および基板1の面内方向に対して、垂直な方向とされている。可変抵抗器3は、回転軸31の回転に対応して抵抗値が可変とされている。
【0031】
本体32は、円柱形状を有し、はんだ付けにより、基板1に固定されている。本体32は、回転軸31を支持する回転軸31の軸受部33が基板1側からつまみ4に向けて設けられている。軸受部33は、円筒形状を有し、回転軸31と同軸に設けられている。なお、可変抵抗器3には、一般的な可変抵抗器の構造を用いることができる。例えば、可変抵抗器3は、抵抗体と、抵抗体上を摺動する摺動子と、摺動子が装着された摺動子取付板とを備える。摺動子取付板は、回転軸31の底部に取り付けられ、回転軸31の回転に同期して回転する。
【0032】
つまみ4は、回転軸31に嵌合し、つまみ4に対して回転操作が行われた際に当該回転に同期して回転軸31を回転させる。すなわち、つまみ4は、つまみ4の後述する凹部4cに回転軸31の他端側がはまり込んだ状態で回転軸31に固定され、つまみ4の回転に同期させて回転軸31を回転させる。
【0033】
つまみ4は、底面側が閉塞した有底円筒形状を有する。すなわち、つまみ4は、円形状を有する底面4aと、底面4aの外周部から有底円筒形状の中心軸の軸方向に突出して延在する円筒形状の側壁部4bと、を有する。
図1および
図2では、つまみ4は、底面4aと、底面4aの外周部から下方向に突出して延在する円筒形状の側壁部4bと、を有する。なお、側壁部4bは、傾きを有していてもよい。
図1では、側壁部4bの外周面が上部から下部に向かって拡径されたつまみ4が、示されている。つまみ4は、つまみ4の有底円筒形状の中心軸の軸方向が回転軸31の軸方向に沿った方向とされて配置されている。
図1では、つまみ4は、回転軸31と同軸に設けられている。
【0034】
つまみ4は、ケース2に対向するつまみ4の上面4d側から円筒形状の凹形状にへこんだ凹部4cが形成されている。つまみ4の上面4dは、つまみ4の有底円筒形状の中心軸の軸方向において底面4aが向く側と反対側を向く面であり、凹部4cが開口した側の面である。
【0035】
凹部4cは、つまみ4の有底円筒形状の中心軸の軸方向において、上面4d側から底面4a側に向かって段階的に内径寸法が小さくなっている。すなわち、凹部4cの内周面には、つまみ4の底面4a側から、環状の第1段差部4eと、環状の第2段差部4fとが形成されている。第1段差部4eは、第2段差部4fよりもつまみ4の底面4a側に設けられている。
【0036】
第1段差部4eには、第1段差部4eの内周面を構成するつまみ4の第2内周面4hと、第1段差部4eの内底面を構成する第2内底面4kとが設けられている。つまみ4の第2内周面4hは、つまみ4の凹部4cにおける最も底面4a側の底部である第1内底面4jから延在する第1内周面4gと同軸に設けられている。第2内周面4hの直径寸法は、第1内周面4gの直径寸法よりも大きい。
【0037】
第2段差部4fには、第2段差部4fの内周面を構成するつまみ4の第3内周面4iと、第2段差部4fの内底面を構成する第3内底面4lとが設けられている。第3内周面4iは、第1内周面4gおよびつまみ4の第2内周面4hと同軸に設けられている。つまみ4の第3内周面4iの直径寸法は、つまみ4の第2内周面4hの直径寸法よりも大きい。
【0038】
つまみ4の凹部4cには、円筒形状を有する金属製の円筒部41が上面4d側から底面4a側に向けて挿入されて固定されている。具体的に、円筒部41は、第1段差部4eに形成されたつまみ4の第2内底面4kに接触し、また第1段差部4eに形成されたつまみ4の第2内周面4hに接触した状態で凹部4cに挿入されて固定されている。したがって、円筒部41は、つまみ4および回転軸31と同軸に設けられている。そして、円筒部41の内周には、回転軸31の他端側のDカット部31aが、つまみ4の上面4d側から底面4a側に向けて挿入されて嵌合している。
【0039】
つまみ4は、円筒部41に嵌合した回転軸31のDカット部31aに対応する位置に、つまみ4の側壁部4bの厚さ方向に側壁部4bを貫通する横穴43が形成されている。そして、円筒部41には、横穴43を延長する形で形成されたねじ孔41aが形成されている。ねじ孔41aは、円筒部41において、円筒部41に嵌合した回転軸31のDカット部31aに対応する位置であって、つまみ4の横穴43に対応する位置に、形成されている。ねじ孔41aは、雌ねじ加工が施されている。
【0040】
回転軸31は、イモネジ42によって円筒部41に固定されている。イモネジ42は、つまみ4の側壁部4bの外周側から横穴43に挿入され、さらに円筒部41のねじ孔41aにねじ込まれて、可変抵抗器3の回転軸31のDカット部31aを締め付ける。これにより、つまみ4は、イモネジ42の締め付けにより円筒部41を介して回転軸31に固定され、回転軸31の回転に同期して回転する。
【0041】
防塵カバー5は、円筒形状を有し、合成樹脂によって構成されている。具体的に、防塵カバー5は、環状の底面である防塵カバー底面5aと、防塵カバー底面5aの外周部から円筒形状の中心軸の軸方向に突出して延在する円筒形状の側壁部である防塵カバー側壁部5bと、を有する。
図1および
図2では、防塵カバー5は、防塵カバー底面5aと、防塵カバー底面5aの外周部から下方向に突出して延在する円筒形状の防塵カバー側壁部5bと、を有する。防塵カバー5は、防塵カバー5の円筒形状の中心軸の軸方向が回転軸31の軸方向に沿った方向とされて配置されている。
図1では、防塵カバー5は、回転軸31と同軸に設けられている。
【0042】
防塵カバー5は、ケース2に対向する防塵カバー5の上面5c側から凹形状にへこんだ円筒形状の凹部5dが形成されている。防塵カバー5の上面5cは、防塵カバー5の円筒形状の中心軸の軸方向において防塵カバー底面5aが向く側と反対側を向く面であり、ケース2側の防塵カバー側壁部5bの端面である。防塵カバー5の上面5cは、環状を有する。
【0043】
防塵カバー5の内部、すなわち凹部5dには、ケース2側から可変抵抗器3の軸受部33および回転軸31が挿通している。防塵カバー底面5aは、中央部に円形状の回転軸用挿通孔5eが形成されている。回転軸用挿通孔5eは、防塵カバー底面5aの厚さ方向に防塵カバー底面5aを貫通して回転軸31が挿通される貫通孔である。したがって、防塵カバー底面5aは、環状に設けられている。回転軸用挿通孔5eは、回転軸31と同軸に設けられ、ケース2側から回転軸31が挿通している。すなわち、回転軸用挿通孔5eは、防塵カバー5の上面5c側から防塵カバー底面5a側に向けて回転軸31が挿入されている。回転軸用挿通孔5eの内周面は、回転軸31の外周面に接触している。
【0044】
防塵カバー5は、上下方向におけるケース2側である一端側が、上ケース21の表面と環状に隙間なく面接触している。すなわち、環状に設けられた防塵カバー5の上面5cは、上ケース21の主面21aの外面21bと環状に隙間なく面接触している。
【0045】
また、防塵カバー5は、上下方向におけるつまみ4側である他端側が、つまみ4の凹部4cと環状に隙間なく面接触している。すなわち、環状に設けられた防塵カバー底面5aは、つまみ4の凹部4cにおいて環状に設けられた第3内底面4lと隙間なく面接触している。
【0046】
また、防塵カバー5は、可変抵抗器3の軸受部33とは接触していない。上下方向において、可変抵抗器3の軸受部33におけるつまみ4側の端部33aと、防塵カバー底面5aとの間には、隙間6aが設けられている。隙間6aの寸法の一例は、1mmである。なお、隙間6aの寸法は、回転操作部の防塵構造100の各構成部の寸法に対応させて適宜設定されればよい。
【0047】
また、防塵カバー5の円筒形状の直径方向において、可変抵抗器3の軸受部33における外周面と、防塵カバー5の内周面との間には、隙間6bが設けられている。
【0048】
また、上下方向において、つまみ4の凹部4cの第1内底面4jと、可変抵抗器3の回転軸31との間には、隙間6cが設けられている。隙間6cの寸法の一例は、1mmである。なお、隙間6cの寸法は、回転操作部の防塵構造100の各構成部の寸法に対応させて適宜設定されればよい。
【0049】
つぎに、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100の動作および効果について説明する。まず、防塵カバー5が設けられていない回転操作部について説明する。
図3は、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100から防塵カバー5が除かれた状態を示す断面図である。
図3に示す回転操作部の構造の場合は、防塵カバー5が設けられておらず、回転操作部の外部とケース2の内部との間に隙間があるため、回転操作部の外部からケース2の内部に埃が侵入し、基板1に設けられている不図示の部品に異常が発生する。
【0050】
ケース2の内部において埃の集積が進むと、例えば、埃の成分または湿度環境によっては埃が導体化してしまう場合がある。そして、基板1上に露出している電子回路において、導体化した埃に起因して設計外の導通が発生し、電子回路の不具合または故障が発生するおそれがある。また、ケース2の内部において基板1に設けられたヒートシンクを埃が覆ってしまうと、ヒートシンクによる熱交換が滞って電子回路の放熱が阻害され、電子回路の温度が上昇するおそれがある。電子回路の温度上昇が生じた場合には、電子回路の能力を低下させる原因となるおそれがあり、また、電子回路のフリーズまたはエラーの原因になるおそれがある。
【0051】
また、可変抵抗器3において、回転軸31は回転可能なため、可変抵抗器3の本体32と回転軸31との間に隙間がある。このため、回転操作部の外部から当該隙間を介して可変抵抗器3の本体32の内部に埃が侵入し、可変抵抗器3の本体32の内部の可変可能な不図示の抵抗体と回転動作する摺動接点部分との間で接触異常が発生し、可変抵抗器3の抵抗値異常が発生する。
【0052】
これに対して、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、
図1および
図2に示すように防塵カバー5を備え、ケース2と防塵カバー5とが隙間なく面接触しており、また、つまみ4と防塵カバー5とが隙間なく面接触している。これにより、回転操作部の防塵構造100は、回転操作部の防塵構造100の外部から埃がケース2の内部および可変抵抗器3の内部に侵入することを防止できる。
【0053】
すなわち、回転操作部の防塵構造100では、環状に設けられた防塵カバー5の上面5cが、上ケース21の主面21aの外面21bと環状に隙間なく面接触している。また、回転操作部の防塵構造100では、環状に設けられた防塵カバー底面5aが、つまみ4の凹部4cにおいて環状に設けられた第3内底面4lと隙間なく面接触している。これにより、回転操作部の防塵構造100では、回転操作部の防塵構造100の外部から埃がケース2の内部および可変抵抗器3の内部に侵入することを防止できる。また、回転操作部の防塵構造100では、回転操作部の防塵構造100の外部から埃がつまみ4の凹部4cにおける第2段差部4fよりも第1内底面4j側に侵入することを防止できる。
【0054】
また、回転操作部の防塵構造100では、つまみ4を回転させると、円筒部41と、回転軸31とが、つまみ4の回転に同期して回転する。一方、防塵カバー5は、つまみ4を回転させると、つまみ4の回転に完全には追従しないが、回転する。すなわち、防塵カバー5は、つまみ4を回転させると、つまみ4の回転に完全には同期しないが、回転する。ここで、つまみ4は、防塵カバー5と密着接触した状態で、防塵カバー5に対して摺動する。
【0055】
つまみ4は、つまみ4の有底円筒形状の直径方向においてイモネジ42により締め付けられて、円筒部41および回転軸31に固定されて取り付けられており、上下方向には力がかからない。このため、防塵カバー5は、上下方向において押さえ付けられておらず、ケース2およびつまみ4との間の摺動抵抗が極力小さくされている。すなわち、回転操作部の防塵構造100では、防塵カバー5を設けたことに起因した、ケース2およびつまみ4と防塵カバー5との摺動抵抗は、つまみ4の操作性に影響しない。これにより、回転操作部の防塵構造100では、防塵カバー5を設けたことに起因してつまみ4の操作性の悪化が生じることがなく、つまみ4の操作性の良好な回転操作部の防塵構造を実現できる。
【0056】
ここで、上ケース21の主面21aの面内方向と、防塵カバー5の上面5cの面内方向と、防塵カバー底面5aの面内方向とは、平行とされている。すなわち、上ケース21の主面21aと、防塵カバー5の上面5cと、防塵カバー底面5aとは、平行に配置されている。このため、防塵カバー5は、上下方向において圧縮する力を掛けることなく、上ケース21の主面21aの外面21bおよびつまみ4の凹部4cの第3内底面4lと密着して面接触する。これにより、回転操作部の防塵構造100では、防塵カバー5を設けたことに起因したつまみ4の操作性の悪化が生じず、つまみ4の操作が容易な、使い勝手の良い回転操作部の防塵構造を実現できる。
【0057】
可変抵抗器3の位置ばらつきは、可変抵抗器3を構成する複数の部品、ケース2、スペーサ221および基板1といった各部品の寸法のばらつきの集積から0.5mm程度となる。可変抵抗器3の位置ばらつきが生じた場合、回転軸31の直径方向においては、防塵カバー5とつまみ4とは、本来の想定位置から可変抵抗器3と共に移動してずれる。そして、可変抵抗器3の中心位置、すなわち回転軸31の中心軸の位置は、上ケース21の主面21aの可変抵抗器用挿通孔21dの中心位置とはずれることとなる。
【0058】
そこで、上ケース21の可変抵抗器用挿通孔21dの直径を、防塵カバー5の内径、すなわち防塵カバー5の凹部5dの内径よりも1mm小さくし、防塵カバー5の肉厚を1mm程とする。これにより、回転軸31の直径方向において、可変抵抗器3の中心位置、すなわち回転軸31の中心軸の位置が本来の想定位置から0.5mm程度中心がずれても、上ケース21と防塵カバー5との接触面積は変化せず、上ケース21と防塵カバー5との間に隙間は発生しない。したがって、回転操作部の防塵構造100は、可変抵抗器3の回転軸31の位置ばらつきを吸収することができる。
【0059】
上下方向において可変抵抗器3の位置ばらつきが生じた場合について説明する。上下方向においては、可変抵抗器3の軸受部33におけるつまみ4側の端部33aと、防塵カバー底面5aとの間には、1mm程度の隙間6aが設けられている。また、上下方向において、つまみ4の凹部4cの第1内底面4jと、可変抵抗器3の回転軸31との間には、1mm程度の隙間6cが設けられている。また、防塵カバー5は、可変抵抗器3に固定されていない。
【0060】
回転操作部の防塵構造100では、隙間6aと隙間6cとが設けられていることにより、可変抵抗器3が本来の想定位置から上下方向において0.5mm程度ずれることになっても、防塵カバー5がケース2と密着接触した状態で、且つつまみ4が防塵カバー5に密着接触した状態で、イモネジ42によりつまみ4を円筒部41および回転軸31に固定して取り付けることができる。
【0061】
このため、回転操作部の防塵構造100は、上下方向において可変抵抗器3の位置ばらつきが生じた場合でも、防塵カバー5とケース2との密着接触状態、および防塵カバー5とつまみ4との密着接触状態を本来の想定から変化させずに組み立てられるため、上ケース21と防塵カバー5との間に隙間は発生せず、つまみ4と防塵カバー5との間に隙間は発生しない。これにより、回転操作部の防塵構造100は、上下方向において可変抵抗器3の位置ばらつきが生じた場合でも、上ケース21と防塵カバー5との間およびつまみ4と防塵カバー5との間に隙間は発生せず、また、摺動抵抗のばらつきが発生しない。したがって、回転操作部の防塵構造100は、可変抵抗器3の回転軸31の位置ばらつきを吸収することができる。
【0062】
また、仮に防塵カバー5に摺動による摩耗が生じた場合には、イモネジ42を一旦外して、防塵カバー5とケース2との密着接触状態、および防塵カバー5とつまみ4との密着接触状態を本来の想定の状態になるようにつまみ4を下方に移動させて組み立て直すことにより、回転操作部の防塵構造100は、常に上ケース21と防塵カバー5との間およびつまみ4と防塵カバー5との間に隙間が発生せず、また、摺動抵抗のばらつきが発生しない状態で使用することができる。
【0063】
このように、回転操作部の防塵構造100は、基板1と、基板1を収納するケース2と、ケース2に形成された可変抵抗器用挿通孔21dを挿通する回転軸31と、回転軸31を支持して可変抵抗器用挿通孔21dを挿通する軸受部33とが設けられ、基板1上に実装される回転操作部である可変抵抗器3と、ケース2の外部に配置されて可変抵抗器用挿通孔21dからケース2の外部に突出した回転軸31に嵌合して、回転操作が行われた際の回転に同期して回転軸31を回転させるつまみ4と、回転軸31が挿通する回転軸用挿通孔5eが形成された有底円筒形状を有し、回転軸31と同軸にケース2とつまみ4との間に配置された合成樹脂製の防塵カバー5と、を備える回転操作部の防塵構造として実現される。そして、防塵カバー5は、可変抵抗器用挿通孔21dからケース2の外部に突出してつまみ4に嵌合する回転軸31が回転軸用挿通孔5eを挿通し、一端側がケース2の表面と環状に隙間なく面接触し、他端側がつまみ4と環状に隙間なく面接触し、上下方向において軸受部33との間に隙間6aがある。また、上下方向において回転軸31とつまみ4との間に隙間6cがある。
【0064】
上述したように、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、簡単な構造で、可変抵抗器3の回転軸31の位置ばらつきを吸収して回転軸31の位置ばらつきに起因した隙間の発生を防止し、摺動抵抗が小さく、つまみ4の操作性の悪化が生じない、操作性が良く使い勝手の良い回転操作部の防塵構造を実現できる。そして、回転操作部の防塵構造100は、簡単な構造で、回転操作部である可変抵抗器3への埃の侵入を防止し、ケース2の内部への埃の侵入を防止し、つまみ4の内部への埃の侵入を防止して、回転操作部である可変抵抗器3への防塵と、ケース2の内部への防塵と、つまみ4の内部への防塵と、を実現できる。
【0065】
また、回転操作部の防塵構造100は、一般的な回転操作部の構造に防塵カバー5を追加することにより、回転操作部である可変抵抗器3への防塵と、ケース2の内部への防塵と、つまみ4の内部への防塵とを低コストで実現可能である。そして、回転操作部の防塵構造100は、少ない開発コストおよび少ない開発期間で、回転操作部である可変抵抗器3への防塵と、ケース2の内部への防塵と、つまみ4の内部への防塵とを実現可能である。
【0066】
回転操作部の防塵構造における部品数が大幅に増える場合には、専用部品も必要となり、開発コストと開発期間とが増大し、製品コストが高くなるという問題がある。また、ゴム製の防塵部品を使用する場合には、埃の多い環境では、ゴムの摺動部分に埃が付くことでゴムの劣化が早いという問題もあり、防塵ゴムの使用は費用対効果が良くない。
【0067】
これに対して、回転操作部の防塵構造100は、合成樹脂製の防塵カバー5を使用しているため、上述したようなゴム製の防塵部品を使用する場合の問題が発生しない。したがって、回転操作部の防塵構造100は、長期使用における信頼性が高い回転操作部の防塵構造を実現可能である。
【0068】
また、防水機能を備えた市販の回転操作部の場合、回転操作部の内部は防水されるが、電子機器のケースとの間は防水とならない。したがって、防水機能を備えた市販の回転操作部を回転操作部の防塵構造に適用しても、回転操作部の内部は防塵されるが、電子機器のケースとの間は防塵されない。
【0069】
これに対して、回転操作部の防塵構造100は、防塵カバー5の一端側がケース2の表面と環状に隙間なく面接触し、防塵カバー5の他端側がつまみ4と環状に隙間なく面接触するため、回転操作部である可変抵抗器3への防塵と、ケース2の内部への防塵と、つまみ4の内部への防塵と、を実現できる。さらに、回転操作部の防塵構造100は、一般的な回転操作部の構造に防塵カバー5を追加することにより実現可能であり、可変抵抗器3自体に防塵構造を設ける場合に比べて低コストとなる。
【0070】
したがって、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100によれば、簡単な構造で回転軸31の位置ばらつきに起因した隙間の発生を防止し、使い勝手が良く長期使用における信頼性が高い回転操作部の防塵構造が得られる、という効果を奏する。
【0071】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101を示す断面図である。実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100では、つまみ4と防塵カバー5とは独立した別部品によって実現されている。実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100は、例えばつまみ4には市販品の一般的なつまみを使用し、防塵カバー5は市販品の一般的なつまみに対して設計された別部品として実現することができる。
【0072】
実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101は、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100における防塵カバー5がつまみ4と一体形成されて、防塵カバー5とつまみ4とが一体部品とされた構造を有する。すなわち、実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101のつまみ40は、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100における防塵カバー5がつまみ4と一体形成されて一体とされた一体成型品とされている。これにより、実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101は、防塵カバー5を備えた実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100と同様の機能を有する。
【0073】
実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101によれば、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100における防塵カバー5の機能を有するため、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100と同様の効果が得られる。
【0074】
また、回転操作部の防塵構造101によれば、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100における防塵カバー5とつまみ4とが一体部品とされたつまみ40を備えるため、部品点数の低減が可能であり、回転操作部の防塵構造101の組み立てが容易となる。
【0075】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3にかかる送風システム200の構成の一例を模式的に示す図である。送風システム200は、一例では、家畜75が飼育される畜舎71に設けられる。家畜75の一例は、牛、豚あるいは鶏である。すなわち、畜舎71の例は、牛舎、豚舎あるいは鶏舎である。畜舎71では、側壁73に囲まれた領域である飼育領域で家畜75が飼育される。
【0076】
送風システム200は、家畜75に風91を当てて家畜75の体温上昇を抑制する送風システムとして機能する。このような送風システム200は、特に夏場における家畜75の体調管理に有効である。また、送風システム200は、畜舎71の内部の空気のよどみを改善するサーキュレーションのための送風を行うことができる。また、送風システム200は、畜舎71の床74に敷かれた藁などの敷物の乾燥のための送風を行うことができる。
【0077】
送風システム200は、送風機81と、制御機器82と、を備える。
図5に示す例では、送風システム200は、畜舎71の天井72に吊り下げ設置された複数の送風機81と、複数の送風機81の運転を一括して制御可能な制御機器82と、を備える。送風機81と制御機器82との間は、有線または無線によって通信可能である。
【0078】
制御機器82は、送風機81のファンの回転速度を制御することにより、送風機81の運転を制御可能である。制御機器82は、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100あるいは実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101を備えた電子機器である。
【0079】
送風システム200は、制御機器82の可変抵抗器3の設定を調整することにより、ファンの回転速度が適度な速度に調整された送風機81が、家畜75がいる下方に風91を送り、家畜75の体温上昇の抑制、飼育領域の空気のサーキュレーションおよび飼育領域に敷かれた敷物の乾燥を可能とする。
【0080】
ここで、畜舎71の内部は、埃が多い環境である。このため、実施の形態1にかかる回転操作部の防塵構造100あるいは実施の形態2にかかる回転操作部の防塵構造101を、畜舎71の内部に設置された制御機器82に適用することは、畜舎71内の埃が制御機器82の回転操作部から制御機器82の内部に侵入することに起因した制御機器82の不具合の発生の防止に有効である。
【0081】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 基板、1a,4d,5c 上面、2 ケース、2a 内部空間、3 可変抵抗器、4,40 つまみ、4a 底面、4b 側壁部、4c,5d 凹部、4e 第1段差部、4f 第2段差部、4g 第1内周面、4h 第2内周面、4i 第3内周面、4j 第1内底面、4k 第2内底面、4l 第3内底面、5 防塵カバー、5a 防塵カバー底面、5b 防塵カバー側壁部、5e 回転軸用挿通孔、6a,6b,6c 隙間、21 上ケース、21a,22a 主面、21b,22b 外面、21c,22c 内面、21d 可変抵抗器用挿通孔、22 下ケース、23 ねじ、31 回転軸、31a Dカット部、32 本体、33 軸受部、33a 端部、41 円筒部、41a ねじ孔、42 イモネジ、43 横穴、71 畜舎、72 天井、73 側壁、74 床、75 家畜、81 送風機、82 制御機器、91 風、100,101 防塵構造、200 送風システム、221 スペーサ。