(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】多相無線電界電力伝達システム、送信機、および受信機
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20250110BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20250110BHJP
【FI】
H02J50/05
H02J50/40
(21)【出願番号】P 2022502512
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 CA2020050995
(87)【国際公開番号】W WO2021007680
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-03
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389019
【氏名又は名称】ソレース・パワー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・バートレット
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】ハメド・テビアニアン
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154494(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026136(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/05
H02J 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正弦波無線周波数電力信号を出力するように構成されている多相無線周波数変換器と、
前記複数の正弦波無線周波数電力信号を受信し、複数の位相における共振周波数において複数のインダクタおよび容量性電極を共振させて、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成されている多相送信共振器と、を備
え、
前記多相送信共振器(310、512)が、3つのインダクタ(404、514)および3つの容量性電極(406、516)を含み、第1の容量性電極(602)が、集中キャパシタ(608)を介して第3の容量性電極(606)に電気的に接続されている、送信機。
【請求項2】
前記容量性電極が複数回回転対称である、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記複数回回転対称の軸が、前記容量性電極の曲率中心の周りで前記容量性電極の主面に垂直である、請求項2に記載の送信機。
【請求項4】
前記多相無線周波数変換器が、複数のトランジスタを含む多相無線周波数インバータを含み、各トランジスタが前記多相送信共振器のインダクタに電気的に接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項5】
前記多相無線周波数変換器に電気的に接続されている電源を更に備え、前記電源が直流電力信号を出力するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項6】
前記多相送信共振器が平衡である、請求項1から5のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項7】
複数の位相において共振する複数のインダクタおよび容量性電極を含み、共振周波数において共振して、共振電界結合を介して電力を抽出し、複数の正弦波無線周波数電力信号を出力するように構成されている多相受信共振器と、
前記複数の正弦波無線周波数電力信号を受信し、直流電力信号を出力するように構成された多相整流器と、を備
え、
前記多相受信共振器が、3つのインダクタおよび3つの容量性電極を含み、第1の容量性電極が、集中キャパシタを介して第3の容量性電極に電気的に接続されている、受信機。
【請求項8】
前記容量性電極が複数回回転対称である、請求項
7に記載の受信機。
【請求項9】
前記複数回回転対称の軸は、前記容量性電極の曲率中心の周りで前記容量性電極の主面に垂直である、請求項
8に記載の受信機。
【請求項10】
前記多相整流器がダイオードの複数のペアを含み、ダイオードの各ペアが前記多相受信共振器のインダクタに電気的に接続されている、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項11】
前記多相整流器によって出力された前記直流電力信号を受信するように構成されている負荷を更に備える請求項
7から
10のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項12】
前記多相受信共振器が平衡である、請求項
7から
11のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項13】
送信機であって、
複数の正弦波無線周波数電力信号を出力するように構成された多相無線周波数変換器と、
前記複数の正弦波無線周波数電力信号を受信し、複数の位相における共振周波数において複数の送信インダクタおよび送信容量性電極を共振させて、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成されている多相送信共振器と、を含む送信機と、
受信機であって、
前記複数の位相において共振する複数の受信インダクタおよび受信容量性電極を含み、共振周波数において共振して、共振電界結合を介して電力を抽出し、前記複数の正弦波無線周波数電力信号を出力するように構成されている多相受信共振器と、
前記複数の正弦波無線周波数電力信号を受信し、直流電力信号を出力するように構成された多相整流器と、を含む受信機と、を備
え、
前記多相送信共振器が、3つの送信インダクタおよび3つの送信容量性電極を含み、第1の送信容量性電極が、集中キャパシタを介して第3の送信容量性電極に電気的に接続されている、および/または、
前記多相受信共振器が、3つの受信インダクタおよび3つの受信容量性電極を含み、第1の受信容量性電極が、集中キャパシタを介して第3の受信容量性電極に電気的に接続されている、システム。
【請求項14】
前記送信容量性電極が複数回回転対称である、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記送信容量性電極の複数回回転対称の軸が、前記送信容量性電極の曲率中心の周りで前記送信容量性電極の主面に垂直である、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記受信容量性電極が複数回回転対称である、請求項
13から
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信容量性電極の複数回回転対称の軸が、前記受信容量性電極の曲率中心の周りで前記受信容量性電極の主面に垂直である、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記多相無線周波数変換器が、複数のトランジスタを含む多相無線周波数インバータを含み、各トランジスタが前記多相送信共振器のインダクタに電気的に接続されている、請求項
13から
17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記送信機が、前記多相無線周波数変換器に電気的に接続されている電源を更に含み、前記電源は、直流電力信号を出力するように構成されている、請求項
13から
18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記多相送信共振器が平衡である、請求項
13から
19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記多相整流器がダイオードの複数のペアを含み、ダイオードの各ペアが前記多相受信共振器のインダクタに電気的に接続されている、請求項
13から
20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記受信機が、前記多相整流器によって出力された前記直流電力信号を受信するように構成されている負荷を更に含む、請求項
13から
21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記多相受信共振器が平衡である、請求項
13から
22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
電界結合を介して電力を無線で送信する方法であって、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の送信機の多相無線周波数変換器において、複数の正弦波無線周波数電力信号に入力電力信号を変換するステップと、
前記送信機の多相送信共振器において前記複数の正弦波無線周波数電力信号を受信するステップと、
前記送信機の多相送信共振器の送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させて、電界を生成するステップと、
請求項7から
12のいずれか一項に記載の受信機の多相受信共振器によって、電力を抽出するステップであって、前記受信機の多相受信共振器が、生成された電界内に配置される、抽出するステップと、を備える方法。
【請求項25】
前記受信機の多相整流器に、受信された正弦波無線周波数電力信号を出力するステップと、
整流済み信号に前記受信された正弦波無線周波数電力信号を整流するステップと、を更に備える請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記整流済み信号は、直流電力信号である、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
前記入力電力信号は、直流電力信号である、請求項
24から
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることが、前記送信機の多相共振器の共振周波数において前記ペアを共振させることを含む、請求項
24から
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることは、(i-1)×360/n
度の位相においてi番目の送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることを含み、nが正弦波無線周波数電力信号の数である、請求項
24から
27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によってその内容全体が本明細書に組み込まれる、2019年7月17日に出願された米国仮特許出願第62/875043号の利益を主張する。
【0002】
本開示は概して、無線電力伝達、特に、無線電界電力伝達システム、ならびにそのための送信機および受信機に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な無線電力伝達システムが知られている。典型的な無線電力伝達システムは、無線電力送信機に電気的に接続された電源、および負荷に電気的に接続された無線電力受信機を含む。磁気誘導システムでは、送信機は、電源から受信機のインダクタに電気エネルギーを伝達するインダクタを有する。電力伝達は、送信機および受信機のインダクタの間での磁界の結合に起因して行われる。それらの磁気誘導システムの範囲は制限されており、送信機および受信機のインダクタは、効果的な電力伝達のために最適なアライメント状態にある必要がある。また、送信機および受信機のインダクタの間での磁界の結合に起因して電力が伝達される、共振磁気システムが存在する。しかしながら、共振磁気システムでは、インダクタは、少なくとも1つのキャパシタを使用して共振される。共振磁気システム内での電力伝達の範囲は、磁気誘導システムの範囲を通じて増大し、アライメント問題が修正される。電磁気エネルギーが磁気誘導および共振磁気システム内で生成されるが、電力伝達の大部分は、磁界を介して行われる。たとえあるとしても、電気誘導または共振電気誘導を介して電力はほとんど伝達されない。
【0004】
電気誘導システムでは、送信機および受信機は、容量性電極を有する。電力伝達は、送信機および受信機の容量性電極の間での電界の結合に起因して行われる。共振磁気システムと同様に、少なくとも1つのインダクタを使用して送信機および受信機の容量性電極が共振される、共振電気システムが存在する。共振電気システムは、電気誘導システムと比較して電力伝達の範囲が増大し、アライメント問題が修正される。電磁気エネルギーが電気誘導および共振電気システム内で生成されるが、電力伝達の大部分は、電界を介して行われる。たとえあるとしても、磁気誘導または共振磁気誘導を介して電力はほとんど伝達されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9653948号明細書
【文献】米国特許第9979206号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線電力伝達技術が知られているが、改善が望まれる。したがって、目的は、新規な無線電界電力伝達システム、そのための送信機および受信機、ならびに電力を無線で送信する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の詳細な説明において以下で更に説明される、簡易化された形式で概念の選択を導入するために、この発明の概要が提供されることを認識するべきである。この発明の概要は、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図していない。
【0008】
したがって、1つの態様では、複数の無線周波数(RF)電力信号を出力するように構成された多相RF変換器と、複数の正弦波RF電力信号を受信し、複数の位相における共振周波数において複数のインダクタおよび容量性電極を共振させて、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成された多相共振器と、を含む送信機が提供される。
【0009】
1つ以上の実施形態では、容量性電極は、複数回回転対称である。1つ以上の実施形態では、複数回回転対称の軸は、容量性電極の曲率中心の周りで容量性電極の主面に垂直である。
【0010】
1つ以上の実施形態では、多相RF変換器は、複数のトランジスタを含む多相RFインバータを含み、各々のトランジスタは、多相送信共振器のインダクタに電気的に接続される。
【0011】
1つ以上の実施形態では、送信機は、多相RF変換器に電気的に接続された電源を更に含み、電源は、直流(DC)電力信号を出力するように構成される。
【0012】
1つ以上の実施形態では、多相送信共振器は平衡である。
【0013】
1つ以上の実施形態では、多相送信共振器は、3つのインダクタおよび3つの容量性電極を含む。
【0014】
別の態様では、共振周波数において共振して、共振電界結合を介して電力を抽出し、複数の正弦波無線周波数(RF)電力信号を出力するように構成された、複数のインダクタおよび容量性電極を含む多相共振器であって、複数のインダクタおよび容量性電極は、複数の位相において共振する、多相共振器と、複数の正弦波RF電力信号を受信し、直流(DC)電力信号を出力するように構成された多相整流器と、を含む受信機が提供される。
【0015】
1つ以上の実施形態では、容量性電極は、複数回回転対称である。1つ以上の実施形態では、複数回回転対称の軸は、容量性電極の曲率中心の周りで容量性電極の主面に垂直である。
【0016】
1つ以上の実施形態では、多相整流器は、ダイオードの複数のペアを含み、ダイオードの各々のペアは、多相受信共振器のインダクタに電気的に接続される。
【0017】
1つ以上の実施形態では、受信機は、多相整流器によって出力されたDC電力信号を受信するように構成された負荷を更に含む。
【0018】
1つ以上の実施形態では、多相受信共振器は平衡である。
【0019】
1つ以上の実施形態では、多相受信共振器は、3つのインダクタおよび3つの容量性電極を含む。
【0020】
別の態様では、送信機であって、複数の正弦波RF電力信号を出力するように構成された多相RF変換器と、複数の正弦波RF電力信号を受信し、複数の位相における共振周波数において複数の送信インダクタおよび送信容量性電極を共振させて、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成された多相送信共振器と、を含む、送信機と、受信機であって、共振周波数において共振して、共振電界結合を介して電力を抽出し、複数の正弦波RF電力信号を出力するように構成された、複数の受信インダクタおよび受信容量性電極を含む多相受信共振器であって、複数の受信インダクタおよび受信容量性電極は、複数の位相において共振する、多相受信共振器と、複数の正弦波RF電力信号を受信し、直流(DC)電力信号を出力するように構成された多相整流器と、を含む、受信機と、を含むシステムが提供される。
【0021】
1つ以上の実施形態では、送信容量性電極は、複数回回転対称である。1つ以上の実施形態では、複数回回転対称の軸は、容量性電極の曲率中心の周りで容量性電極の主面に垂直である。
【0022】
1つ以上の実施形態では、受信容量性電極は、複数回回転対称である。1つ以上の実施形態では、複数回回転対称の軸は、容量性電極の曲率中心の周りで容量性電極の主面に垂直である。
【0023】
1つ以上の実施形態では、多相RF変換器は、複数のトランジスタを含む多相RFインバータを含み、各々のトランジスタは、多相送信共振器のインダクタに電気的に接続される。
【0024】
1つ以上の実施形態では、送信機は、多相RF変換器に電気的に接続された電源を更に含み、電源は、直流(DC)電力信号を出力するように構成される。
【0025】
1つ以上の実施形態では、多相送信共振器は平衡である。
【0026】
1つ以上の実施形態では、多相送信共振器は、3つの送信インダクタおよび3つの送信容量性電極を含む。
【0027】
1つ以上の実施形態では、多相整流器は、ダイオードの複数のペアを含み、ダイオードの各々のペアは、多相受信共振器のインダクタに電気的に接続される。
【0028】
1つ以上の実施形態では、受信機は、多相整流器によって出力されたDC電力信号を受信するように構成された負荷を更に含む。
【0029】
1つ以上の実施形態では、多相受信共振器は平衡である。
【0030】
1つ以上の実施形態では、多相送信共振器は、3つの送信インダクタおよび3つの送信容量性電極を含む。
【0031】
別の態様では、電界結合を介して電力を無線で送信する方法であって、説明された送信機のいずれか1つの多相RF変換器において、複数の正弦波RF電力信号に入力電力信号を変換するステップと、送信機の多相共振器において複数の正弦波RF電力信号を受信するステップと、送信機の多相共振器の送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させて、電界を生成するステップと、説明された受信機のいずれか1つの多相RF共振器によって、電力を抽出するステップであって、受信機の多相RF共振器は、生成された電界内に配置される、抽出するステップと、を含む方法が提供される。
【0032】
1つ以上の実施形態では、方法は、受信機の多相整流器に、受信された正弦波RF電力信号を出力するステップと、整流済み信号に受信された正弦波RF電力信号を整流するステップと、を更に含む。
【0033】
1つ以上の実施形態では、整流済み信号は、直流(DC)電力信号である。
【0034】
1つ以上の実施形態では、入力電力信号は、DC電力信号である。
【0035】
1つ以上の実施形態では、送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることは、送信機の多相共振器の共振周波数においてペアを共振させることを含む。
【0036】
1つ以上の実施形態では、送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることは、(i-1)×360/nにおいてi番目の送信インダクタおよび容量性電極のペアを共振させることを含み、ここで、nは、正弦波RF電力信号の数である。
【0037】
説明される実施形態では、例示的な共振周波数は、13.56メガヘルツおよび27.12メガヘルツを含む。
【0038】
説明される実施形態では、電界結合は、強く(もしくは、密に)または疎に結合されてもよい。疎結合は、送信機および受信機の電極が空気によって分離され、すなわち、送信機と受信機との間に空心が存在する。
【0039】
説明される実施形態の様々な要素は、当業者によって認識されるようないずれかの数の方式において組み合わされてもよい。
【0040】
ここで、添付図面を参照して実施形態がより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】無線共振電界電力伝達システムの概略レイアウトである。
【
図3】開示の態様に従った、無線電力伝達システムのブロック図である。
【
図4】
図3の無線電力伝達システムの概略レイアウトである。
【
図5A】開示の態様に従った、無線電力伝達システムの概略レイアウトである。
【
図5B】
図5Aの無線電力伝達システムの多相整流器によって出力された負荷電圧のグラフである。
【
図6】
図5Aの無線電力伝達システムの送信容量性電極の平面図である。
【
図7】
図5Aの無線電力伝達システムの送信容量性電極の別の実施形態の平面図である。
【
図9】
図5Aの無線電力伝達システムの送信容量性電極および受信容量性電極の別の実施形態の平面図である。
【
図10】
図9の送信容量性電極および受信容量性電極を有する、
図5Aの無線電力伝達システムの無線周波数(RF)効率性のグラフである。
【
図11】
図5Aの無線電力伝達システムの送信容量性電極の別の実施形態の平面図である。
【
図12】開示の態様に従った、無線電力伝達システムの斜視図である。
【
図13】
図12の無線電力伝達システムの送信および受信容量性電極についての0~120度の回転についての割合として、電流の大きさに対する電流の合計の比率のグラフである。
【
図14】
図12の無線電力伝達システムの角度位置に応じた各々の受信セグメント上の電流信号の位相のグラフである。
【
図15】角度回転に応じた
図12の無線電力伝達システムの無線周波数(RF)効率性のグラフである。
【
図16】角度回転に応じた
図12の無線電力伝達システムの各々の送信容量性電極に存在するインピーダンスの実部のグラフである。
【
図17】角度回転に応じた
図12の無線電力伝達システムの各々の送信容量性電極に存在するインピーダンスの虚部のグラフである。
【
図18】送信共振器と受信共振器との間の縦方向分離に応じた
図12の無線電力伝達システムおよび別の無線電力伝達システムのRF効率性のグラフである。
【
図19】
図5Aの無線電力伝達システムの送信容量性電極の別の実施形態の平面図である。
【
図20】
図19の送信容量性電極の他の実施形態の平面図である。
【
図21】開示の態様に従った、無線電力伝達システムの斜視図である。
【
図22】
図22A~Eは、
図4の無線電力伝達システムの容量性電極の他の実施形態の平面図である。
【
図23】
図23A~Iは、
図5の無線電力伝達システムの容量性電極の他の実施形態の平面図である。
【
図24A】
図5の無線電力伝達システムの容量性電極の別の実施形態の側立面図である。
【
図25A】送信および受信容量性電極を形成する
図24Aの容量性電極の側立面図である。
【
図25B】送信および受信容量性電極の別の実施形態を形成する
図24Aの容量性電極の側立面図である。
【
図26】
図5の無線電力伝達システムの容量性電極の別の実施形態の斜視図である。
【
図27】
図5の無線電力伝達システムの容量性電極の別の実施形態の斜視図である。
【
図28A】開示の態様に従った、無線電力伝達システムの側立面図である。
【
図29A】角度回転に応じた
図29Aの無線電力伝達システムの無線周波数(RF)効率性のグラフである。
【
図29B】角度回転に応じた
図29Aの無線電力伝達システムの受信された整流済み電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
添付図面と共に読み込まれるとき、上述した概要と共に、特定の実施形態の以下の詳細な説明がより良好に理解される。認識されるように、説明および図面の全体を通じて同一の要素を指すために、同一の参照符号が使用される。本明細書で使用されるように、単数形において記述される要素または特徴は、複数の要素または特徴を必ずしも排除しないとして理解されるべきである。更に、「1つの例」または「1つの実施形態」への言及は、その1つの例または1つの実施形態の記述された要素または特徴をも組み込んだ追加の例または実施形態の存在を排除するとして解釈されることを意図していない。その上、明示的に反対に述べられない限り、特定の性質を有する要素もしくは特徴または複数の要素もしくは特徴を「備える」、「有する」、または「含む」例または実施形態は、その特定の性質を有しない追加の要素または特徴を更に含んでもよい。また、用語「備える」、「有する」、および「含む」は、「含むがそれらに限定されない」を意味し、用語「備える」、「有する」、または「含む」は、同等の意味を有することを認識されたい。
【0043】
本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連する表記された要素または特徴の1つ以上のいずれかおよび全ての組み合わせを含むことができる。
【0044】
要素または特徴が別の要素または特徴「の上にある」、「に取り付けられる」、「に接続され」、「と結合される」、「と接触する」などとして言及されるとき、その要素もしくは特徴は直接、他の要素もしくは特徴の上にあってもよく、に取り付けられてもよく、に接続されてもよく、と結合されてもよく、もしくは接触してもよく、または中間要素も存在してもよい。対照的に、要素または特徴が別の要素または特徴「の上に直接ある」、「に直接取り付けられ」、「に直接接続され」、「と直接結合され」、「と直接接触する」として言及されるとき、中間要素または特徴が存在しない。
【0045】
「下」、「下方」、「下位」、「上」、「上方」、「上位」、「前方」、および「後方」などの空間的に関連する用語は、図において描写されるような別の要素または特徴に対する要素または特徴の関係を記述することを容易にするために本明細書で使用されてもよいことが理解されよう。しかしながら、空間的に関連する用語は、図において描写される方位に加えて、使用または動作において異なる方位を強調することができる。
【0046】
例への本明細書における言及は、例と関連して説明される1つ以上の特徴、構造、要素、構成要素、特性、および/または動作ステップが、本開示に従った主題の少なくとも1つの実施形態および/または実装態様に例が含まれることを意味する。よって、本開示の全体を通じたフレーズ「一つの例」、「別の例」、および同様の言語は、必ずしもそうではないが、同一の例を指してもよい。更に、いずれかの1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうではないが、いずれかの他の例を特徴付ける主題を含んでもよい。
【0047】
「構成される」への本明細書における言及は、「するように構成された」との用語に先行する要素または特徴の物理特性に要素または特徴を根本的に結びつける構成の実際の状態を表す。
【0048】
他に示されない限り、用語「第1の」、「第2の」などは、ラベルとして本明細書で使用されるにすぎず、それらの用語が言及する項目に対する順序的、位置的、または階層的要件を課すことを意図してない。その上、「第2の」項目への言及は、小さく番号付けられた項目(例えば、「第1の項目)および/または大きく番号付けられた項目(例えば、「第3の」項目)の存在を必要とせず、または排除しない。
【0049】
本明細書で使用されるように、用語「おおよそ」、「実質的に」、および「約」などは、なおも所望の機能を実行し、または所望の結果を達成する述べられた量に近い量を表す。例えば、用語「おおよそ」および「約」は、例えば、述べられる量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満の、当業者によって容易に認識される工学公差内にある量を指してもよい。
【0050】
図1は、参照符号100によって全体的に識別される無線電力伝達システムを示す。無線電力伝達システム100は、送信要素114に電気的に接続された電源112を含む送信機110と、負荷122に電気的に接続された受信要素124を含む受信機120とを含む。電源112から送信要素114に電力が伝達される。共振または非共振電界または磁界結合を介して、送信要素114から受信要素124に電力が伝達される。受信要素124から負荷122に電力が伝達される。
【0051】
1つの例の実施形態では、無線電力伝達システムは、共振電界無線電力伝達システムの形式を取ってもよい。
図2は、参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2012年9月7日に出願されたPoluらによる米国特許第9653948号明細書(特許文献1)において説明されるものなど、参照符号200によって全体的に識別される共振電界無線電力伝達システムを示す。
【0052】
共振電界無線電力伝達システム200は、送信共振器214に電気的に接続された電源212を含む送信機210を含む。送信共振器214は、横方向に間隔を空けられた、細長送信容量性電極216のペアを含み、その各々は、高品質係数(Q)送信インダクタ218を介して電源212に電気的に接続される。システム200は、負荷222に電気的に接続された受信共振器224を含む受信機220を含む。受信共振器224は、送信共振器214の共振周波数に同調される。受信共振器224は、横方向に間隔を空けられた、細長受信容量性電極226のペアを含み、その各々は、高Q受信インダクタ228を介して負荷222に電気的に接続される。
【0053】
この実施形態では、インダクタ218および228は、フェライトコアインダクタである。しかしながら、当業者は、他のコアが可能であることを認識するものである。
【0054】
この実施形態では、各々の送信容量性電極216および受信容量性電極226は、導電性材料から形成された細長要素を含む。送信容量性電極216は、同一平面にある。受信容量性電極226は、同一平面にある。この実施形態では、送信容量性電極216および受信容量性電極226は、平行平面内にある。この実施形態では、送信容量性電極216および受信容量性電極226は、全体的に矩形の、平面プレートの形式にある。
【0055】
送信容量性電極216および受信容量性電極226が横方向に間隔を空けられた、細長電極として説明されてきたが、当業者は、それらに限定されないが、同心、同一平面、円形、楕円形、円板などの電極を含む他の構成が可能であることを認識するであろう。参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2015年9月4日に出願されたNybergらによる米国特許第9979206号明細書(特許文献2)において他の適切な電極構成が説明されている。
【0056】
図2では、インダクタ218および228が電源212および負荷222のそれぞれに直列に接続されるとして示されるが、当業者は、インダクタ218および228が電源212および負荷222のそれぞれに平行に接続されてもよいことを認識するであろう。
【0057】
動作の間、高Q送信インダクタ218を介して電源212から送信容量性電極216に電力が伝達される。特に、高Q送信インダクタ218を介して送信容量性電極216に送信される電源212からの電力信号は、送信共振器214を励起し、送信共振器214に電界を生成させる。送信機210と同一の共振周波数に同調される受信機220が共振電界内に配置されるとき、受信共振器224は、共振電界結合を介して送信共振器214から電力を抽出する。抽出された電力は次いで、受信共振器224から負荷222に伝達される。電力伝達が高度に共振するにつれて、送信容量性電極216および受信容量性電極226はそれぞれ、非共振電界電力伝達システムのケースのように共に近くまたはアライメントされる必要がない。送信共振器が磁界を生成することがあるが、たとえあるとしても、磁界結合を介して電力はほとんど伝達されない。
【0058】
ここで
図3に目を向けて、参照符号300によって全体的に識別される、開示の態様に従った、無線電力伝達システムが示される。無線電力伝達システム300は、送信機302および受信機304を含む。送信機302は、説明されるように、共振電界結合を介して受信機304に電力を伝達するように構成される。受信機304は、説明されるように、共振電界結合を介して送信機302から電力を抽出するように構成される。
【0059】
送信機302は、電源306、多相RF変換器308、および多相送信共振器310を含む。電源306は、多相RF変換器308に電気的に接続される。電源306は、直流(DC)電力信号を生成するように構成される。電源306は、多相RF変換器308にDC電力信号を出力するように構成される。多相RF変換器308は、電源306に電気的に接続される。多相RF変換器308は、多相送信共振器310に電気的に接続される。多相RF変換器308は、n個の正弦波RF電力信号にDC電力信号を変換するように構成され、nは、2よりも大きい正の整数である。この実施形態では、多相RF変換器308は、多相RFインバータである。正弦波RF電力信号は、相互に位相を異にしてシフトされる。各々の正弦波RF電力信号は、連続した正弦波RF電力信号とは位相を異にして360/n度シフトされる。第1の信号が0度にあるとき、第2の信号が360/n度にあり、第3の信号が2×360/n度にあり、i番目の信号が(i-1)×360/n度にあるように、位相が分散される。n個の正弦波RF電力信号は、多相RF変換器308から多相送信共振器310に出力される。多相送信共振器310は、説明されるように、電界を生成し、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成される。磁界も生成されることがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど伝達されない。多相送信共振器310は、説明されるように、n個の電極/インダクタのペアを含む。
【0060】
受信機304は、多相受信共振器312、多相整流器314、および負荷316を含む。多相受信共振器312は、説明されるように、共振電界結合を介して多相送信共振器310から電力を抽出するように構成される。磁界も存在することがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど抽出されない。多相受信共振器312は、整流器314に電気的に接続される。多相受信共振器312は、説明されるように、複数の容量性電極/インダクタのペアを含む。多相受信共振器312は、n個の電極/インダクタのペアを含む。多相受信共振器312は、多相整流器314に複数の正弦波RF電力信号を出力するように構成される。多相受信共振器312は、多相整流器314にn個の正弦波RF電力信号を出力するように構成される。正弦波RF電力信号は、相互に位相を異にしてシフトされる。各々の正弦波RF電力信号は、他の正弦波RF電力信号とは位相を異にして360/n度シフトされる。第1の信号が0度にあるとき、第2の信号が360/n度にあり、第3の信号が2×360/n度にあり、i番目の信号が(i-1)×360/n度にあるように、位相が分散される。多相整流器314は、DC電力信号に、受信されたn個の正弦波RF電力信号を変換するように構成される。多相整流器314は、負荷316に電気的に接続される。多相整流器314は、負荷316にDC電力信号を出力する。負荷316は、多相整流器314に電気的に接続される。負荷316は、多相整流器314からDC電力信号を受信する。
【0061】
ここで
図4に目を向けて、無線電力伝達システム300の回路図が示される。前に述べられたように、無線電力伝達システム300は、送信機302および受信機304を含む。送信機302は、電源306、多相RF変換器308、および多相送信共振器310を含む。
【0062】
前に述べられたように、電源306は、DC電力信号を生成するように構成される。電源306は、多相RF変換器308にDC電力信号を出力するように構成される。
【0063】
多相RF変換器308は、n個の正弦波RF電力信号にDC電力信号を変換するように構成される。多相RF変換器308は、スイッチ402のn個のペアおよびコントローラ(図示せず)を含む。スイッチ402のペアは、平行に配列される。スイッチ402の各々のペアは、正弦波RF電力信号を出力する。各々の正弦波RF電力信号は、他の正弦波RF電力信号とは位相を異にして360/n度シフトされる。第1の信号が0度にあるとき、第2の信号が360/n度にあり、第3の信号が2×360/n度にあり、i番目の信号が(i-1)×360/n度にあるように、位相が分散される。n個の正弦波RF電力信号は、多相RF変換器308から多相送信共振器310に出力される。
【0064】
この実施形態では、スイッチ402は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。別の実施形態では、スイッチ402は、ワイドバンドギャップデバイス(WBD)である。1つの実施形態では、WBDは、eGaN電界効果トランジスタ(FET)である。コントローラは、スイッチ402の切り替えを制御するように構成される。この実施形態では、コントローラは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)である。DSPは、スイッチ402にゲート信号を送信するように構成される。多相RF変換器308が対応する出力電圧により多相電圧ソースとして実行するように、ゲート信号が位相シフトされる。特に、i番目のゲート信号は、(i-1)×360/n位相にある。
【0065】
前に述べられたように、多相送信共振器310は、説明されるように、電界を生成し、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成される。磁界も生成されることがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど伝達されない。多相送信共振器310は、n個の送信インダクタ404およびn個の送信容量性電極406を含む。各々の送信インダクタ404は、送信容量性電極406に電気的に接続される。各々の送信インダクタ404は、多相RF変換器308のスイッチ402のペアの間で電気的に接続される。特に、第1の送信インダクタ404は、第1の送信容量性電極406に電気的に接続される。第1の送信インダクタ404は、多相RF変換器308のスイッチ402の第1のペアの間で電気的に接続される。同様に、i番目の送信インダクタ404は、i番目の送信容量性電極406に電気的に接続される。i番目の送信インダクタ404は、多相RF変換器308のスイッチ402のi番目のペアの間で電気的に接続される。i番目の送信容量性電極406およびインダクタ404のペアは、電界を生成するよう、(i-1)×360/n度の位相において多相送信共振器310の共振周波数において共振するように構成される。
【0066】
受信機304は、多相受信共振器312、多相整流器314、および負荷316を含む。多相受信共振器312は、共振電界結合を介して生成された電界から電力を抽出するように構成される。磁界も存在することがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど抽出されない。多相受信共振器312は、n個の受信容量性電極410およびn個の受信インダクタ412を含む。各々の受信インダクタ412は、受信容量性電極410に電気的に接続される。各々の受信インダクタ412は、多相整流器314のダイオード414のペアの間で電気的に接続される。特に、第1の受信容量性電極410は、第1の受信インダクタ412に電気的に接続される。第1の受信インダクタ412は、多相整流器314のダイオード414の第1のペアの間で電気的に接続される。同様に、i番目の受信容量性電極410は、i番目の受信インダクタ412に電気的に接続される。i番目の受信インダクタ412は、多相整流器314のダイオード414のi番目のペアの間で電気的に接続される。i番目の受信容量性電極410およびインダクタ412のペアは、共振電界結合を介して電界から電力を抽出するよう、(i-1)×350/n度の位相において多相送信共振器310の共振周波数において共振するように構成される。前に述べられたように、多相整流器314は、受信多相共振器312からDC電力信号にn個の正弦波RF電力信号を変換するように構成される。多相整流器314は、ダイオード414のn個のペアを含む。ダイオード414のペアは、平行に配列される。ダイオード414の各々のペアは、正弦波RF電力信号を受信する。各々の正弦波RF電力信号は、他の正弦波RF電力信号とは位相を異にして360/n度シフトされる。第1の信号が0度にあるとき、第2の信号が360/n度にあり、第3の信号が2×360/n度にあり、i番目の信号が(i-1)×360/n度にあるように、位相が分散される。n個の正弦波RF電力信号は、負荷316に出力されるDC電力信号に整流される。
【0067】
図4に示されるように、グランドへのi番目の送信容量性電極406の容量は、容量C
GTiによって表される。グランドへのi番目の受信容量性電極410の容量は、C
GRiによって表される。i番目の送信容量性電極406および隣接する送信容量性電極406の容量は、C
MTi(i+1)として表される。i番目の送信容量性電極406およびj番目の送信容量性電極406の容量は、C
MTij(図示せず)として表される。i番目の受信容量性電極410および隣接する受信容量性電極410の容量は、C
MRi(i+1)として表される。i番目の受信容量性電極410およびj番目の受信容量性電極410の容量は、C
MRij(図示せず)として表される。i番目の送信容量電極406および隣接するi番目の受信容量性電極410の容量は、C
MTRiiとして表される。同様に、i番目の受信容量性電極410および隣接するi番目の送信容量電極406の容量は、C
MTRiiとして表される。i番目の送信容量電極406およびj番目の受信容量性電極410の容量は、C
MTRij(図示せず)として表される。同様に、j番目の受信容量性電極410およびi番目の送信容量電極406の容量は、C
MTRji(図示せず)として表される。送信インダクタ404のインダクタンスは、L
Tiとして表される。受信インダクタ412のインダクタンスは、L
Riとして表される。用語iは、1~nの間の、1~nを含む整数であり、i+1は、最大でnに等しい。iがnに等しいとき、ラベル付けが周期的であるように、i+1は、1であると理解される。用語jは、1~nの間の、1~nを含む整数である。
【0068】
上記説明のように、多相受信共振器312は、受信容量性電極410およびインダクタ412のn個のペアを有する。受信容量性電極410およびインダクタ412の各々のペアは、多相整流器314に、次いで負荷316に、n個の正弦波RF電力信号の1つを搬送する。受信容量性電極410およびインダクタ412の全てのペア上の電流の合計がゼロになるように、同一の振幅および周波数の電流であるが、連続した分岐の間で位相が360/n度だけ異なる電流を受信容量性電極410およびインダクタ412の全てのn個のペアが搬送するとき、無線電力伝達システム300が平衡となる。受信容量性電極410およびインダクタ412の全てのペア上の電流の合計がゼロでない場合、グランドへの追加のリターンパスが存在する必要がある。容量CMTRjiを下回って、多相送信共振器310および多相受信共振器312のそれぞれの間に追加の物理接続が存在しないように、このゼロでない総電流は、環境を通じて戻る電流として明白である。システム400の性能は、リターンパスのインピーダンスに依存する。この実施形態では、性能は、効率性、電力配送、電磁気干渉(EMI)、および加熱のうちの1つ以上を含む。リターンパスのインピーダンスは、システムの周囲環境内のいずれかの物体の幾何学的および電気的特性に依存する。更に、非平衡システムは、共通モードまたはグランド戻り電流を示すことがある。したがって、非平衡システムが平衡システムよりもシステムの周囲環境内の物体のインピーダンスによって影響を受けるので、非平衡システムは、あまりロバストではない。
【0069】
無線電力伝達システム300は、その入力および出力に存在するインピーダンスを有する。電源306から負荷316に電力を伝達するとき、無線電力伝達システム300の入力および出力に存在するインピーダンスは、多相送信共振器310に入る間、および多相受信共振器312を出る間、多相RF変換器308から出力される全ての正弦波RF電力信号が実質的に同一のインピーダンスに直面するように平衡となる必要がある。無線電力伝達システム300が平衡でない場合、電源306から出力されるエネルギーが熱として放射され、またはグランドにシンクされるように、無線電力伝達の間、エネルギーが損失する。平衡無線電力伝達システム300は、無線電力伝達システム300内で共通モード雑音を取り除く。無線電力伝達システム400の平衡多相RF変換器308および平衡負荷316を仮定して、特定の要件が満たされるとき、無線電力伝達システム400が平衡される。特に、無線電力伝達システム400が平衡となるために、以下の条件が満たされる必要がある:
LT1=LT2=…=LTn
CGT1=CGT2=…=CGTn
CMT12=CMT23=…=CMT(n-1)n=CMTn1
C(MT1(1+i))=C(MT2(2+i))=…=CMTni
LR1=LR2=…=LRn
CGR1=CGR2=…=CGRn
CMR12=CMR23=…=CMR(n-1)n=CMRn1
CMR1(1+i)=CMR2(2+i)=…=CMRni
CMTR11=CMTR22=…=CMTRnn
CMTR1(1+i)=CMTR2(2+i)=…=CMTRni
C(MTR(1+i)1)=C(MTR(2+i)2)=…=CMTRin
【0070】
容量性電極404および416が同一の寸法および構成を有し、インダクタ404および412が同一の寸法および構成を有する場合、それらの条件が満たされる。
【0071】
動作の間、電源306は、多相RF変換器308にDC電力信号を出力する。多相RF変換器308は、n個の正弦波RF電力信号にDC電力信号を変換する。コントローラは、スイッチ402にゲート信号を送信し、その結果、多相RF変換器308のスイッチ402の各々のペアは、多相送信共振器310の送信インダクタ404および容量性電極406のペアに正弦波RF電力信号の1つを出力する。各々の送信インダクタ404および容量性電極406のペアは、電界を生成するよう、多相送信共振器301の共振周波数において共振する。特に、送信インダクタ404および容量性電極406のi番目のペアは、電界を生成するよう、(i-1)×360/n度の位相における共振周波数において共振する。多相受信共振器312が多相送信共振器310によって生成された電界内にあるとき、電界は、共振電界結合を通じて多相受信共振器312を励起する。電力は次いで、多相送信共振器310から多相受信共振器314によって無線で抽出される。多相受信共振器312は、多相整流器314に、受信された正弦波RF電力信号を出力する。多相整流器314は、DC電力信号に正弦波RF電力信号を整流する。DC電力信号は次いで、負荷316に印加される。
【0072】
制限された量の電流および電圧を扱うためにスイッチ402の専用のペアを各々の位相が必要とするので、無線電力伝達システム200と比較して、無線電力伝達システム300におけるより多くの数の位相は、多相RF変換器308の最大出力電力(所与のスイッチ402および多相RF変換器308への電圧入力についての)を増大させる。多相RF変換器308の最大出力電力は、位相の数により線形的に増減する。送信容量性電極406に対して固定されたエリアを有する送信多相共振器310について、送信容量性電極406の数を増大させることは、各々の送信容量性電極406のエリアを低減させる。各々の送信容量性電極406の入力容量がそれぞれの送信容量性電極406のエリアに依存するので、送信容量性電極406の数を増大させることは、各々の送信容量性電極406の入力容量を減少させる。入力容量は、共振周波数における共振を達成するために送信インダクタ404によって補償される必要があるそれぞれの送信容量性電極406または容量を調べて分かるような容量として定義され、したがって、追加の位相は、送信容量性電極406ごとに追加のインダクタンスを必要とする。追加の位相ごとに、多相RF変換器308は、少なくとも1つの追加の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはワイドバンドデバイス(WBD)スイッチ402を必要とし、各々の多相送信共振器310は、少なくとも1つの追加の送信インダクタ404を必要とし、多相整流器314は、少なくとも1つの追加のダイオード414を必要とする。
【0073】
無線電力伝達システム300は、それらに限定されないが、横方向運動または回転運動によりシステム内で電力を伝達するために使用されてもよい。無線電力伝達システム300はまた、回転接合を通じてなど、様々な回転システムについての電力を伝達するために使用されてもよい。回転接合は、少なくとも1つの部分が回転する、2つ以上の接合部を含むデバイスとして定義される。無線電力伝達システム300は、360度の回転の全体を通じて効率的な電力伝達を維持する。
【0074】
無線電力伝達システム300が全体的に説明されてきたが、当業者は、特定の実施形態が可能であることを認識するであろう。
図5Aは、参照符号500によって全体的に識別される無線電力伝達システムの回路図を示す。無線電力伝達システム500は、整数nが3に等しい、無線電力システム300の実施形態である。無線電力伝達システム300は、送信機502および受信機504を含む。送信機502は、前に説明されたように、共振電界結合を介して受信機504に電力を伝達するように構成される。受信機504は、前に説明されたように、共振電界結合を介して送信機502から電力を抽出するように構成される。
【0075】
送信機502は、電源506、多相RF変換器508、および多相送信共振器512を含む。電源506は、多相RF変換器508に電気的に接続される。電源506は、DC電力信号を生成するように構成される。電源506は、多相RF変換器508にDC電力信号を出力するように構成される。多相RF変換器508は、電源506に電気的に接続される。多相RF変換器508は、多相送信共振器512に電気的に接続される。多相RF変換器508は、3つの(3)正弦波RF電力信号にDC電力信号を変換するように構成される。正弦波RF電力信号は、相互に位相を異にしてシフトされる。各々の正弦波RF電力信号は、連続した正弦波RF電力信号とは位相を異にして360/3度シフトされる。第1の信号が0度にあるとき、第2の信号が120度にあり、第3の信号が240度にあるように、位相が分散される。3つの正弦波RF電力信号は、多相RF変換器508から多相送信共振器512に出力される。
【0076】
この実施形態では、多相RF変換器508は、3相RFインバータである。多相RF変換器508は、スイッチ510の3つのペアおよびコントローラ(図示せず)を含む。スイッチ510のペアは、平行に配列される。スイッチ510の各々のペアは、正弦波RF電力信号を出力する。各々の正弦波RF電力信号は、位相を異にして120度シフトされる。3つの正弦波RF電力信号は、多相RF変換器508から多相送信共振器512に出力される。
【0077】
この実施形態では、スイッチ510は、MOSFETである。別の実施形態では、スイッチ510は、WBDである。1つの実施形態では、WBDは、eGaN電界効果トランジスタ(FET)である。コントローラは、スイッチ510の切り替えを制御するゲート信号をスイッチ510に送信するように構成される。この実施形態では、コントローラは、DSPである。DSPは、スイッチ402にゲート信号を送信するように構成される。多相RF変換器308が対応する出力電圧により多相電圧ソースとして実行するように、ゲート信号が位相シフトされる。例えば、3相システムでは、3相変換器の出力電圧が3相電圧ソースとして実行するように、ゲート信号が120度の位相シフト(360度/3)にある。
【0078】
この実施形態では、多相送信共振器512は、3相送信共振器である。多相送信共振器512は、電界を生成し、共振電界結合を介して電力を伝達するように構成される。磁界も生成されることがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど伝達されない。多相送信共振器512は、3つの送信インダクタ514および3つの送信容量性電極516を含む。各々の送信インダクタ514は、送信容量性電極516に電気的に接続される。各々の送信インダクタ514は、多相RF変換器508のスイッチ510のペアの間で電気的に接続される。この実施形態では、各々の送信インダクタ514は、それぞれの送信容量性電極516に直接電気的に接続される。第1の送信インダクタ514は、多相RF変換器508のスイッチ510の第1のペアの間で電気的に接続される。送信インダクタ514および容量性電極516の第1の電気的に接続されたペアは、電界を生成するよう0度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。送信インダクタ514および容量性電極516の第2の電気的に接続されたペアは、電界を生成するよう、120度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。送信インダクタ514および容量性電極516の第3の電気的に接続されたペアは、電界を生成するよう、240度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。
【0079】
受信機504は、多相受信共振器520、多相整流器526、および負荷530を含む。多相受信共振器520は、共振電界結合を介して多相送信共振器512から電力を抽出するように構成される。磁界も存在することがあるが、たとえあるとしても、共振または非共振磁界結合を介して電力はほとんど抽出されない。多相受信共振器520は、多相整流器526に電気的に接続される。
【0080】
この実施形態では、多相受信共振器520は、3相受信共振器である。多相受信共振器520は、多相整流器526に3つの正弦波RF電力信号を出力するように構成される。正弦波RF電力信号は、相互に位相を異にしてシフトされる。各々の正弦波RF電力信号は、位相を異にして120度シフトされる。第1の信号が0度であるとき、第2の信号が120度にあり、第3の信号が240度にあるように、位相が分散される。多相受信共振器520は、3つの受信容量性電極522および3つの受信インダクタ524を含む。各々の受信インダクタ524は、受信容量性電極522に電気的に接続される。この実施形態では、各々の受信インダクタ524は、それぞれの受信容量性電極522に直接電気的に接続される。各々の受信インダクタ524は、多相整流器526のダイオード528のペアの間で電気的に接続される。第1の受信容量性電極522およびインダクタ524のペアは、共振電界結合を介して電界から電力を抽出するよう、0度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。第2の受信容量性電極522およびインダクタ524のペアは、共振電界結合を介して電界から電力を抽出するよう、120度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。第3の受信容量性電極522およびインダクタ524のペアは、共振電界結合を介して電界から電力を抽出するよう、240度の位相において多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成される。
【0081】
この実施形態では、多相整流器526は、3相整流器である。多相整流器526は、DC電力信号に、受信された3つの正弦波RF電力信号を変換するように構成される。多相整流器526は、負荷530に電気的に接続される。多相整流器526は、負荷530にDC電力信号を出力する。多相整流器526は、ダイオード528の3つのペアを含む。ダイオード528のペアは、平行に配列される。ダイオード528の各々のペアは、正弦波RF電力信号を受信する。各々の正弦波RF電力信号は、位相を異にして120度シフトされる。3つの正弦波RF電力信号は、負荷530に出力されるDC電力信号に整流される。
【0082】
負荷530は、多相整流器526に電気的に接続される。負荷530は、多相整流器526からDC電力信号を受信する。
【0083】
図5に示されるように、グランドへのi番目の送信容量性電極516の容量は、容量C
GTiによって表される。グランドへのi番目の受信容量性電極522の容量は、C
GRiとして表される。i番目の送信容量性電極516および隣接する送信容量性電極516の容量は、C
MTi(i+1)として表される。i番目の送信容量性電極516およびj番目の送信容量性電極516の容量は、C
MTij(図示せず)として表される。i番目の受信容量性電極522および隣接する受信容量性電極522の容量は、C
MRi(i+1)として表される。i番目の受信容量性電極522およびj番目の受信容量性電極522の容量は、C
MRij(図示せず)として表される。i番目の送信容量電極516および隣接するi番目の受信容量性電極522の容量は、C
MTRiiとして表される。同様に、i番目の受信容量性電極522および隣接するi番目の送信容量電極516の容量は、C
MTRiiとして表される。i番目の送信容量電極516および隣接するj番目の受信容量性電極522の容量は、C
MTRij(図示せず)として表される。同様に、j番目の受信容量性電極522およびi番目の送信容量電極516の容量は、C
MTRji(図示せず)として表される。送信インダクタ510のインダクタンスは、L
Tiとして表される。受信インダクタ524のインダクタンスは、L
Riとして表される。用語iは、1~3の間の、1~3を含む整数であり、i+1は、最大で3に等しい。用語jは、1~3の間の、1~3を含む整数である。
【0084】
無線電力伝達システム500の平衡多相RF変換器508および平衡負荷530と共に無線電力伝達システム400を参照して前に議論されたように、無線電力伝達システム500は、特定の要件が満たされるときに平衡となる。特に、無線電力伝達システム500が平衡となるために、以下の条件が満たされる必要がある:
LT1=LT2=LT3
CGT1=CGT2=CGT3
CMT12=CMT23=CMT31
LR1=LR2=LR3
CGR1=CGR2=CGR3
CMR12=CMR23=CMR31
CMTR11=CMTR22=CMTR33
CMTR12=CMTR21=CMTR23=CMTR32=CMTR31=CMTR13
【0085】
容量性電極516および522が同一の寸法および構成を有し、インダクタ510および524が同一の寸法および構成を有する場合、それらの条件が満たされる。
【0086】
従来の単相整流器と比較して、多相整流器526の性能を判定するためにシミュレーションが実行されてきた。
図5Bは、単相整流器によって出力された負荷電圧と比較した、無線電力伝達システム500の多相整流器526によって出力された負荷電圧のグラフである。
図5Bに示されるように、多相整流器526によって出力された負荷電圧は、単相整流器によって出力された負荷電圧よりも少ないリップルを示す。
【0087】
図6に示されるように、無線電力伝達システム500のこの実施形態では、多相送信共振器512の送信容量性電極516は、3つの全体的に細長の平面プレートを含む。プレートは、同一平面にある。プレートは、全体的に矩形である。プレートは、横方向に間隔を空けられる、プレートは、第1のプレート602、第2のプレート604、および第3のプレート606を含む。第1のプレート602は、第2のプレート604から離れて間隔を空けられ、第2のプレート604と全体的に平行である。第2のプレート604は、第1のプレート602および第3のプレート606から離れて間隔を空けられ、第1のプレート602および第3のプレート606と全体的に平行である。第3のプレート606は、第2のプレート604から離れて間隔を空けられ、第2のプレート604と全体的に平行である。第1のプレート602および第3のプレート606はそれぞれ、形状およびサイズにおいて同一である。第1のプレート602、第2のプレート604、および第3のプレート606はそれぞれ、同一の長さを有する。
【0088】
この実施形態では、第1のプレート602および第3のプレート606は、集中キャパシタ608を介して電気的に接続される。集中キャパシタ608は、第1のプレート602と第3のプレート606との間の弱い容量を補償する。
【0089】
前に述べられたように、隣接するプレートの間の相互容量は、容量Cmtとして表され、各々のプレートのグランドへの容量は、容量Cgとして表される。第2のプレート604は、第1のプレート602および第3のプレート606のそれぞれの幅よりも大きい幅を有する。第2のプレート604は、第2のプレート604が第1のプレート602および第3のプレート606のそれぞれと同一のグランドへの容量Cgを維持するために、より大きな幅を有する。送信容量電極516が説明されてきたが、当業者は、受信容量性電極522が同様に構成されてもよいことを認識するであろう。
【0090】
送信容量性電極516が特定の構成を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。
図7および8は、参照符号700として全体的に識別される送信容量性電極516の別の実施形態を示す。この実施形態では、送信容量性電極700は、その1つが多相送信共振器512の位相ごとである、電極702、704、および706のn個の(3つの)行を含む。電極702、704、および706の各々の行は、3×m+1個の(4つの)プレートを含み、mは、正の整数である。この実施形態では、mは1である。プレートは、全体的に細長の平面プレートである。この実施形態では、プレートは、同一平面にある。プレートは、横方向に間隔を空けられる。電極702、704、および706の各々の行内のプレートは、第1のプレート710、第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716を含む。第1のプレート710および第4のプレート716は、同一である。第1のプレート710および第4のプレート716は、全体的に矩形である。第2のプレート712および第3のプレート714は、同一である。第2のプレート712および第3のプレート714は、全体的に矩形である。第2のプレート712および第3のプレート714は、第1のプレート710および第4のプレート716の2倍の長さを有する。
【0091】
第1のプレート710は、第2のプレート712から離れて間隔を空けられ、第2のプレート712と全体的に平行である。第2のプレート712は、第1のプレート710および第3のプレート714から離れて間隔を空けられ、第1のプレート710および第3のプレート714と全体的に平行である。第3のプレート714は、第2のプレート712および第4のプレート716から離れて間隔を空けられ、第2のプレート712および第4のプレート716と全体的に平行である。第4のプレート716は、第3のプレート714から離れて間隔を空けられ、第3のプレート714と全体的に平行である。第1のプレート710、第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716はそれぞれ、同一の高さを有する。第2のプレート712および第3のプレート714は、第1のプレート710および第4のプレート716の倍の長さを有する。
【0092】
図7および8に示されるように、電極702の第1の行内の第1のプレート710、第2のプレート712、および第3のプレート714はそれぞれ、面外トレースを介して、電極702の第3の行の第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716のそれぞれに電気的に接続される。電極702の第1の行の第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716はそれぞれ、面内トレースを介して、電極704の第2の行の第1のプレート710、第2のプレート712、および第3のプレート714のそれぞれに電気的に接続される。電極704の第2の行の第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716はそれぞれ、面内トレースを介して、電極706の第3の行の第1のプレート710、第2のプレート712、および第3のプレート714のそれぞれに電気的に接続される。
【0093】
図7および8に示される送信容量性電極700の構成は、多相送信共振器512がおおよそ平衡となることを保証する。
【0094】
送信容量電極700が説明されてきたが、当業者は、受信容量性電極522が同様に構成されてもよいことを認識するであろう。
【0095】
図6~8において説明され、および示された送信容量性電極516の実施形態が別個に説明されてきたが、当業者は、それらが組み合わされてもよいことを認識するであろう。ここで
図9に目を向けて、参照符号1100によって全体的に識別される受信容量性電極522の別の実施形態の平面図が示される。受信容量性電極1100は、第1のプレート602、第2のプレート604、および第3のプレート606を含む。この実施形態では、送信容量性電極516は、参照符号1110によって全体的に識別される。送信容量性電極1110は、第1のプレート710、第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716を有する電極702、704、および706の行を含む。
【0096】
第1のプレート602、第2のプレート604、および第3のプレート606を含む受信容量性電極1100、ならびに第1のプレート710、第2のプレート712、第3のプレート714、および第4のプレート716を有する電極702、704、および706の行を含む送信容量性電極1110を有する無線電力伝達システム300の性能を判定するために、シミュレーションが実行されてきた。シミュレーションでは、0ミリメートルの開始位置から300ミリメートルの最終位置への送信容量性電極1110の水平スパンに沿って受信容量性電極1100が移動してきた。
図10は、送信容量性電極1110の水平スパンに沿った受信容量性電極1100の移動に応じた13.56メガヘルツの共振周波数におけるRF効率性のグラフである。RF効率性は、多相送信共振器512および多相受信共振器520のそれぞれの間の無線電力伝達の効率性として定義される。
図10に示されるように、RF効率性は、90%を上回るレベルで維持される。
【0097】
例示的な送信および受信容量性電極が矩形または正方形であるとして説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。別の実施形態では、送信容量性電極406は、n個の同一の平面送信セグメントを有する。送信セグメントは、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。送信セグメントは、中心点から延在する平面に垂直な軸の周りで360/n度の回転に対して対称である。送信セグメントは、相互に分離される。この実施形態では、n個の送信容量性電極は、送信キャパシタを形成する。使用の間、送信キャパシタは、RF変換器308の動作周波数においてn個の送信インダクタ404のリアクタンスを共振させる。各々の送信インダクタ404は、対応する送信セグメントの入力容量と共振する。
【0098】
受信容量性電極410は、n個の同一の平面受信セグメントを有する。受信セグメントは、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。受信セグメントは、中心点から延在する平面に垂直な軸の周りで360/n度の回転に対して対称である。受信セグメントは、相互に分離される。この実施形態では、n個の受信容量性電極は、受信キャパシタを形成する。
【0099】
使用の間、多相送信共振器310は、多相受信共振器312とアライメントされ、その結果、送信セグメントおよび受信セグメントの主面が相互に対向し、各々の共振器310および312の中心点は、相互から直接横断して位置する。受信セグメントは、受信キャパシタの中心点を通過する受信セグメントの平面に垂直な軸の周りで角度θにおいて回転してもよい。送信セグメントが受信セグメントと回転してアライメントされるとき、各々の受信セグメントは、対応する送信セグメントと密結合される。したがって、各々の受信セグメントは、対応する送信セグメントの位相において駆動される。この位置において、θは0に設定される。送信および受信セグメントの回転対称に起因して、θ=p×360/n(pがいずれかの整数である)である位置は、θ=0である位置から区別可能でなく、したがって相互に区別可能でない。
【0100】
送信容量性電極516が特定の構成を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。
図11は、参照符号1400によって全体的に識別される送信容量性電極516の別の実施形態を示す。この実施形態では、送信容量性電極1400は、3つのセグメント1402を含む。この実施形態では、セグメント1402は、プレートである。セグメント1402は、同一平面にある。セグメント1402は、同一の大きさとされる。セグメント1402は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々のセグメント1402は、円のおおよそ120度に及ぶ。セグメント1402は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。セグメント1402は、セグメント1402の曲率中心の周りでセグメント1402の主面に垂直な3回転対称の軸を有する。送信容量電極1400が説明されてきたが、当業者は、受信容量性電極522が同様に構成されてもよいことを認識するであろう。
【0101】
無線電力伝達システム500が説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。
図12は、参照符号1500によって全体的に識別される部分的な無線電力伝達システムを示す。無線電力伝達システム1500は、送信機および受信機を含む。送信機は、他に述べられない限り、前に説明された送信機502と同一である。受信機は、他に述べられない限り、前に説明された受信機504と同一である。
【0102】
この実施形態では、多相送信共振器512は、送信容量性電極1502を含む。送信容量性電極1502は、3つの送信セグメント1504を含む。この実施形態では、送信セグメント1504は、プレートである。送信セグメント1504は、同一平面にある。送信セグメント1504は、同一の大きさとされる。送信セグメント1504は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々の送信セグメント1504は、円のおおよそ120度に及ぶ。送信セグメント1504は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。送信セグメント1504は、送信セグメント1504の曲率中心の周りで送信セグメント1504の主面に垂直な3回転対称の軸を有する。各々の送信セグメント1504は、インダクタ514と対にされ、多相送信共振器512が、多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成されることを保証する。多相送信共振器512のインダクタ514は、同一である。送信セグメント1504の対称的な配置を仮定して、多相送信共振器512が平衡となる。
【0103】
この実施形態では、各々の送信セグメント1504は、150ミリメートルの外径、30ミリメートルの内径、および0.1ミリメートルの厚みを有する。各々の送信セグメント1504は、10ミリメートルの隙間によって、隣接する送信セグメント1504から分離される。
【0104】
この実施形態では、多相受信共振器520は、受信容量性電極1510を含む。受信容量性電極1510は、3つの受信セグメント1512を含む。この実施形態では、受信セグメント1512は、プレートである。受信セグメント1512は、同一平面にある。受信セグメント1512は、同一の大きさとされる。受信セグメント1512は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々の受信セグメント1512は、円のおおよそ120度に及ぶ。受信セグメント1512は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。受信セグメント1512は、受信セグメント1512の曲率中心の周りで受信セグメント1512の主面に垂直な3回転対称の軸を有する。各々の受信セグメント1512は、インダクタ524と対にされ、多相受信共振器520が、共振周波数において共振するように構成されることを保証する。受信セグメント512の対称的な配置を仮定して、多相受信共振器520が平衡となる。多相送信共振器512および多相受信共振器520の両方が平衡となると、無線電力伝達システム1500が平衡となる。
【0105】
この実施形態では、各々の受信セグメント1512は、150ミリメートルの外径、30ミリメートルの内径、および0.1ミリメートルの厚みを有する。各々の受信セグメント1512は、10ミリメートルの隙間によって、隣接する受信セグメント1512から分離される。
【0106】
この実施形態では、送信インダクタ514および受信インダクタ524の両方はそれぞれ、9.98μHのインダクタンスおよび225の品質係数(Q)を有する。送信容量性電極1502および受信容量性電極1510は、同一の幾何学形状を有し、相互に50ミリメートル離れて位置する。送信容量性電極1502および受信容量性電極1510は、3回転対称の共通軸を有する。
【0107】
無線電力伝達システム1500は、回転構造内で実装されてもよい。回転構造は、スリップリング、ヘリコプタ、回転椅子などの形式を取ってもよい。無線電力伝達システム1500が回転構造内で実装されるとき、送信容量性電極1502および受信容量性電極1510は、360度の回転を通じて回転する。電極1502および1510の3回転対称に起因して、無線電力伝達システム1500の漏れ電流が0~120度の全ての角度位置θに対して無視できることを確立することは、無線電力伝達システム1500が平衡となることを証明している。
【0108】
無線電力伝達システム1500の性能を判定し、無線電力伝達システム1500の漏れ電流が0~120度の全ての角度位置θに対して無視できることを確立するために、シミュレーションが実行されてきた。
図13は、送信容量性電極1502および受信容量性電極1510の両方のそれぞれについての0~120度の回転についての割合として、各々のセグメント1504および1512上の電流の大きさの合計に対する各々のセグメント1504および1512上の電流の合計の比率のプロットである。各々のセグメント1504および1512上の電流の合計は、共通モード電流として定義される。
図13における比率は、以下によって与えられる。
【0109】
【0110】
i1、i2、およびi3は、それぞれの送信容量性電極1502および受信容量性電極1510のそれぞれの第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメント1504および1512上の電流である。
【0111】
120度の回転の全体を通じて、各々のセグメント1504および1512上の電流の合計は、電流の二乗平均平方根(RMS)の0.05%未満である。電流のRMSの0.05%未満の電流の合計は、66dBの共通モード除去比(CMRR)に対応する。したがって、漏れ電流は、無視できるものであり、無線電力伝達システム1500は、回転の下で平衡なままである。
【0112】
図14は、角度位置θ(回転角度)に応じた、各々の受信セグメント1512上の電流信号の位相のグラフである。各々の受信セグメント1512上の電流の位相は、360度の回転にわたって180~-180度(または、同等に0~360度)でほぼ線形に減少する。受信容量性電極510の構造を反映して、位相は、120度の周期性を有する線形性から離れて正弦波状に曲線を描く。
図14のグラフ内の各々のラインの数値モデルは、以下の式1A、1B、および1Cにおいて提供される。
Phase1=-θ+offsetA×sin(3×θ+ψ)+0 (式1A)
Phase2=-θ+offsetA×sin(3×θ+ψ)+120 (式1B)
Phase3=-θ+offsetA×sin(3×θ+ψ)+240 (式1C)
Aは、正弦波振動の振幅であり、ψは、位相定数である。
【0113】
式1A、1B、および1Cについてのモデリングパラメータは、以下の表1において提供される。
【0114】
【0115】
式1A、1B、および1Cによって説明されるように、2つの隣接する送信容量性電極1502または受信容量性電極1510の間の位相差は、多相受信共振器512が多相送信共振器520に対して回転する間に連続した無線電力伝達を可能にする、いずれかの回転角度について120度である。120度の定期的な位相分離は、無線電力伝達システム1500が平衡となることを保証する。したがって、シミュレーションを通じて確立されるように、無線電力伝達システム1500の漏れ電流は、0~120度の全ての角度位置θに対して無視できるものである。
【0116】
回転構造内で実装されるとき、無線電力伝達システム1500のRF効率性および入力インピーダンスを確立するために、更なるシミュレーションが実行されてきた。それらのシミュレーションを通じて、無線電力伝達システム1500の送信容量性電極1502および受信容量性電極1504の回転の間にRF効率性がほぼ一定に留まっており、よって、予測可能な性能をもたらしたことが見出された。しかしながら、入力インピーダンスは、無線電力伝達システム1500の送信容量性電極1502および受信容量性電極1504の回転の間に著しく変動する。概して、無線電力伝達システム1500の送信容量性電極1502および受信容量性電極1504の回転の間、無線電力伝達システム1500のRF効率性および入力インピーダンスを含む特性は、特性の約平均値の回転の頻度のn倍で振動する。以下の式2において提供される形式によって特性を数値的に近似させることができる。
【0117】
【0118】
g(θ)は、θ度の回転角度に応じた特定の特性であり、
【0119】
【0120】
は、特性の平均値であり、Ampは、極値および平均値
【0121】
【0122】
のいずれかの間の差として定義された振動の振幅であり、nは、位相の数であり、ξは、位相定数である。
【0123】
無線電力伝達システム1500のRF効率性、インピーダンスの実部、およびインピーダンスの虚部は、式2において以下の表2におけるモデリングパラメータを使用することによって数値的に説明される。無線電力伝達システム1500の実部および虚部は、無線電力伝達システム1500の入力インピーダンスの成分である。
【0124】
【0125】
図15は、120度にわたる角度回転に応じた、13.56メガヘルツの共振周波数における無線電力伝達システム1500のRF効率性のグラフである。RF効率性は、多相送信512および多相受信共振器520のそれぞれの間の無線電力伝達の効率性として定義される。
図15に示されるRF効率性は、表2のモデリングパラメータにより式2によって特徴付けられる。オフセットパラメータは、振幅と比較して大きく、したがって、無線電力伝達システム1500は、120度の回転にわたって94.5%を上回ってRF効率性を維持する。
【0126】
図16は、120度にわたる角度回転に応じた、無線電力伝達システム1500の各々の送信容量性電極1502に存在するインピーダンスの実部のグラフである。入力インピーダンスは、各々の送信容量性電極1502に存在するインピーダンスの実部および虚部から構成される。インピーダンス変動の振幅は、オフセットの44%である。
図16に示されるインピーダンスの実部は、上記の表2のモデリングパラメータにより式2によって特徴付けられる。
【0127】
図17は、120度にわたる角度回転に応じた、無線電力伝達システム1500の各々の送信容量性電極1502に存在するインピーダンスの虚部のグラフである。
図17に示されるインピーダンスの虚部は、上記の表2のモデリングパラメータにより式2によって特徴付けられる。
【0128】
変動した入力インピーダンスは、RF変換器508に負荷される。定期的な負荷のために、RF変換器508はしたがって、変動した量の電力を出力し、受信機504において受信される変動した量の電力を結果としてもたらす。
【0129】
図18は、送信共振器と受信共振器との間の縦方向分離に応じた、13.56メガヘルツ共振周波数における、無線電力伝達システム1500および参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2018年5月22日に発行された米国特許第9979206号明細書(特許文献2)において説明された無線電力伝達システム70のRF効率性のグラフである。
【0130】
無線電力伝達システム70は、各々が2つの円板容量性電極、外部容量性電極、および内部容量性電極を含む、送信共振器および受信共振器を有する。外部容量性電極は、150ミリメートルに等しい外径Routおよび120ミリメートルに等しい内径Rinを有する。内部容量性電極は、110ミリメートルに等しい外径Routおよび80ミリメートルに等しい内径Rinを有する。送信共振器および受信共振器のインダクタは各々、7.37μHのインダクタンスを有する。無線電力伝達システム70および1500は、送信共振器と受信共振器との間で300ミリメートルの縦方向分離によりRF効率性を最大にするよう同調される。
【0131】
図18では、無線電力伝達70は、「同心(Concentric)」として識別され、無線電力伝達システム1500は、「3相(Three‐Phase)」として識別される。
図18に示されるように、無線電力伝達システム1500は、おおよそ50ミリメートルを上回って縦方向分離においてより高いRF効率性を有する。無線電力伝達システム70は、おおよそ50ミリメートル未満で縦方向分離においてより高いRF効率性を有する。しかしながら、おおよそ50ミリメートル未満での縦方向分離におけるこのより高いRF効率性は、おおよそ10の増大にすぎない。
【0132】
送信容量性電極516が特定の構成を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。
図19は、参照符号2200によって全体的に識別される送信容量性電極516の別の実施形態を示す。この実施形態では、送信容量性電極2200は、3つのセグメント2202を含む。この実施形態では、セグメント2202は、プレートである。セグメント2202は、同一平面にある。セグメント2202は、同一の大きさとされる。セグメント2202は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々のセグメント2202は、円のおおよそ120度に及ぶ。セグメント2202は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。
【0133】
この実施形態では、セグメント2202は、
図19において点線によって表され、以下の式3によって記述される対数的な螺旋状の隙間によって分離される。
【0134】
r(β)=(a/b)β/φ (式3)
【0135】
式3では、r(β)は、回転角度βについての螺旋状の半径であり、aは、内径であり、bは、hは、外径であり、φは、曲線によって掃引された角度である。
【0136】
送信容量性電極2200は、送信容量性電極1400と比較して、より一定の入力インピーダンスを提供して、出力電力における変動を低減させ、RF変換器508により好ましい条件を提示する。
【0137】
送信容量電極2200が説明されてきたが、当業者は、受信容量性電極522が同様に構成されてもよいことを認識するであろう。
【0138】
図20は、曲線φによって掃引された角度の様々な値についての送信容量性電極2200の他の実施形態を示す。特に、以下の値:A:φ=30度、B:φ=60度、C:φ=120度、D:φ=180度、およびE:φ=360度が使用されてきた。
【0139】
無線電力伝達システム500が説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。
図21は、参照符号2400によって全体的に識別される部分的な無線電力伝達システムを示す。無線電力伝達システム2400は、送信機および受信機を含む。送信機は、他に述べられない限り、前に説明された送信機502と同一である。受信機は、他に述べられない限り、前に説明された受信機504と同一である。
【0140】
この実施形態では、多相送信共振器512は、送信容量性電極2402を含む。送信容量性電極2402は、3つの送信セグメント2404を含む。この実施形態では、送信セグメント2404は、プレートである。送信セグメント2404は、同一平面にある。送信セグメント2404は、同一の大きさとされる。送信セグメント2404は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々の送信セグメント2404は、円のおおよそ120度に及ぶ。送信セグメント2404は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。送信セグメント2404は、送信セグメント2404の曲率中心の周りで送信セグメント2404の主面に垂直な3回転対称の軸を有する。各々の送信セグメント2404は、インダクタ514と対にされ、多相送信共振器512が、多相送信共振器512の共振周波数において共振するように構成されることを保証する。多相送信共振器512のインダクタ514は、同一である。送信セグメント2404の対称的な配置を仮定して、多相送信共振器512が平衡となる。
【0141】
この実施形態では、各々の送信セグメント2404は、150ミリメートルの外径、30ミリメートルの内径、0.1ミリメートルの厚みを有する。各々の送信セグメント2404は、10ミリメートルの隙間によって、隣接する送信セグメント2404から分離される。
【0142】
この実施形態では、多相送信共振器512は、送信受動電極2406を含む。送信受動電極2406は、参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2018年9月21日に出願された米国特許出願第16/138344号において記載されている。この実施形態では、送信受動電極2406は、平面円板を含む。送信受動電極2406は、送信容量性電極2402と平行する。送信受動電極2406は、送信容量性電極2402の総エリアよりもエリアにおいて大きい。送信受動電極2406の中心は、送信容量性電極2402の中心点とアライメントされる。送信受動電極2406は、送信容量性電極2402から50ミリメートルである。
【0143】
この実施形態では、多相受信共振器520は、受信容量性電極2410を含む。受信容量性電極2410は、3つの受信セグメント2412を含む。この実施形態では、受信セグメント2412は、プレートである。受信セグメント2412は、同一平面にある。受信セグメント2412は、同一の大きさとされる。受信セグメント2412は、それらがそれらの円周の周りで全体的に円を形成するように離れて間隔を空けられる。各々の受信セグメント2412は、円のおおよそ120度に及ぶ。受信セグメント2412は、平面内の中心点の周りで等しく間隔を空けられる。受信セグメント2412は、受信セグメント2412の曲率中心の周りで受信セグメント2412の主面に垂直な3回転対称の軸を有する。各々の受信セグメント2412は、インダクタ524と対にされ、多相受信共振器520が、共振周波数において共振するように構成されることを保証する。多相受信共振器520のインダクタ524は、同一である。送信セグメント2404の対称的な配置を仮定して、多相受信共振器520が平衡となる。
【0144】
この実施形態では、各々の受信セグメント2412は、150ミリメートルの外径b、30ミリメートルの内径a、0.1ミリメートルの厚み、および120度の曲線φによって掃引された角度を有する。各々の受信セグメント2412は、10ミリメートルの隙間によって、隣接する受信セグメント2412から分離される。
【0145】
この実施形態では、多相送信共振器512は、受信受動電極2414を更に含む。受信受動電極2414は、参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2018年9月21日に出願された米国特許出願第16/138344号において説明されている。この実施形態では、受信受動電極2414は、平面円板を含む。受信受動電極2414は、受信容量性電極2412と同一平面にある。受信受動電極2414は、受信容量性電極2412の総エリアよりもエリアにおいて大きい。受信受動電極2414の中心は、受信容量性電極2412の中心点とアライメントされる。受信受動電極2414は、受信容量性電極2412から50ミリメートルである。
【0146】
送信容量性電極2402および受信容量性電極2410は、相互に50ミリメートル離れる。送信容量性電極1502および受信容量性電極1510は、3回転対称の共通軸を有する。多相送信共振器512および多相受信共振器520の両方が平衡となるにつれて、無線電力伝達システム1500も平衡となる。
【0147】
受動電極2406および2414は、能動電極(すなわち、送信容量性電極2402および受信容量性電極2410)と受動電極2406および2414との間の相互容量によってもたらされる追加された電流リターンパスに起因して、結合を減少させることができるが、受動電極2406および2414は、利点をもたらすことができる。例えば、受動電極2406および2414は、インダクタンス要件および反映されたインピーダンスの両方を減少させ、よって、受動電極2406および2414における電圧を低減させる、容量を追加することができる。環境的感度および電界放出も減少させることができる。更に、能動電極に対して受動電極2406および2414とは反対の低電界エリアは、電子機器を搭載するために適切であることができる。
【0148】
無線電力伝達システム2400のRF効率性、インピーダンスの実部、およびインピーダンスの虚部は、式2において以下の表3におけるモデリングパラメータを使用することによって数値的に説明される。無線電力伝達システム2400のインピーダンスの実部および虚部は、無線電力伝達システム2400の入力インピーダンスの成分である。
【0149】
【0150】
無線電力伝達1500と比較して無線電力伝達システム2400の性能を判定するために、シミュレーションが実行されてきた。RF効率性、それぞれの無線電力伝達システム2400および1500の各々の容量性電極に存在するインピーダンスの実部、ならびにそれぞれの無線電力伝達システム2400および1500の各々の容量性電極に存在するインピーダンスの虚部についてのモデリングパラメータは、上記表3において提供される。
【0151】
無線電力伝達システム2400のインピーダンスの実部の振幅は、平均値
【0152】
【0153】
の36%である。これは、無線電力伝達システム1500と比較したインピーダンス変動における著しい低減を示す。更に、表2および表3に示されるように、無線電力伝達システム2400の各々の送信容量性電極2302のインピーダンスの虚部の平均および振幅は、無線電力伝達システム1500の各々の送信容量性電極1502のインピーダンスの虚部の振幅よりもはるかに小さい。これは、RF変換器508によって見られるはるかに好ましいインピーダンスを示す。
【0154】
曲線φによって掃引された角度を変動させるときの無線電力伝達システム1500と比較した無線電力伝達システム2400の性能を判定するために、更なるシミュレーションが実行されてきた。概して、曲線φによって掃引された角度を増大させることが、平均RF効率性(
【0155】
【0156】
フィッティングパラメータ)を減少させると共に、回転の下での効率性変動の振幅(AMPフィッティングパラメータ)を増大させ、インピーダンスの虚部の平均および振幅を減少させ、無線電力伝達システム2400の必要とされるインダクタンスを減少させる。シミュレーションは、120度~180度の曲線φによって掃引された角度が、最良の全体的な無線電力伝達システム性能を得ていることを判定してきた。
【0157】
3つの容量性電極を有する多相共振器が説明されてきたが、当業者は、より多くの容量性電極が可能であることを認識するであろう。
図22A~22Eは、多相送信共振器310および/または多相受信共振器312のそれぞれにおける使用のための容量性電極の他の実施形態を示す。特に、
図22Aは、前に説明されたように円内に配列された3つの容量性電極を示し、
図22Bは、円内に配列された4つの容量性電極を示し、
図22Cは、円内に配列された5つの容量性電極を示し、
図22Dは、円内に配列された6つの容量性電極を示し、
図22Eは、円内に配列された12個の容量性電極を示す。
【0158】
更に、多相共振器が特定の形状および構成の容量性電極を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の形状および構成が可能であることを認識するであろう。
図23A~23Iは、多相送信共振器512および/または受信共振器520のそれぞれにおける使用のための容量性電極の他の実施形態を示す。特に、
図23Aは、チャネルによって離れて間隔を空けられた平坦な円板の3つの等しい大きさとされたセグメントを含む容量性電極を示す。
【0159】
図23Bおよび23Cは、内径a、外径b、および360/n度を離れて切断されたチャネルを有する平坦な円板から形成された容量性電極を示す。この実施形態では、nは3である。チャネルは、螺旋状パスに沿って内径aから外径bに延在する。この実施形態では、螺旋状パスは、対数的である。
図23Bは、反時計回りに配列された螺旋状パスを有する容量性電極を示す。
図23Cは、時計回りに配列された螺旋状パスを有する容量性電極を示す。
【0160】
図23Dは、
図11に示された前に説明された容量性電極1400と同一の容量性電極を示す。
【0161】
図23Eおよび23Fは、内径a、外径b、および360/n度を離れて切断されたチャネルを有する平坦な円板から形成された容量性電極を示す。この実施形態では、nは3である。チャネルは、螺旋状パスに沿って内径aから外径bに延在する。この実施形態では、螺旋状パスは、アルキメディアンである。別の実施形態では、螺旋は双曲線である。
【0162】
図23Gおよび23Hは、内径a、外径b、および360/n度を離れて切断されたチャネルを有する平坦な円板から形成された容量性電極を示す。この実施形態では、nは3である。チャネルは、容量性電極によって形成された円の直線接線パスに沿って内径aから外径bに延在する。
【0163】
図23Iは、プレートが円の中心とアライメントされ、それから外側に延在するように、相互から等距離で間隔を空けられ、円内で形成された平面矩形プレートから形成された容量性電極を示す。
【0164】
3つの容量性電極を有する
図23A~23Iの容量性電極が説明されてきたが、当業者は、より多くの容量性電極が可能であってもよいことを認識するであろう。更に、当業者は、
図23A~23Iに示された容量性電極が、多相送信共振器および多相受信共振器の両方または1つのみにおいて使用されてもよいことを認識するであろう。
【0165】
多相共振器が特定の形状および構成の容量性電極を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の形状および構成が可能であることを認識するであろう。
図24Aは、参照符号2800によって全体的に識別される無線電力伝達システム500の容量性電極の別の実施形態の側立面図である。
図24Bは、容量性電極2800の斜視図である。各々の容量性電極2800は、矩形平面プレート2802である。プレート2802は、
図24Aに示されるように、垂直平面内で相互に120度の角度において配列される。プレート2802は、
図24Bに示されるように、それらの外周において三角柱を形成する。
【0166】
プレート2802は、多相送信共振器510および受信共振器520のうちの少なくとも1つの一部を形成してもよい。
図25Aは、多相送信共振器510の送信容量性電極2902を形成するプレート2802および多相受信共振器520の受信容量性電極2904を形成するプレート2802の側立面図である。この実施形態では、送信容量性電極2902の外周に形成された三角柱は、受信容量性電極2904の外周に形成された三角柱を包含する。この実施形態では、容量性電極2902および2904の外周に形成された三角柱は、同一の方位を有する。
図25Bは、受信容量性電極2904によって形成された三角柱が、送信容量性電極2902によって形成された三角柱に対して反転されるような、容量性電極2902および2904の側立面図である。
【0167】
多相共振器が特定の形状および構成の容量性電極を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の形状および構成が可能であることを認識するであろう。
図26は、参照符号3000によって全体的に識別される無線電力伝達システム500の容量性電極の別の実施形態の斜視図である。この実施形態では、容量性電極3000は、中空管を形成する3つのセグメント3002を含む。各々のセグメント3002は、同一の寸法を有する。
【0168】
多相共振器が特定の形状および構成の容量性電極を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の形状および構成が可能であることを認識するであろう。
図27は、参照符号3300によって全体的に識別される無線電力伝達システム500の容量性電極の別の実施形態の斜視図である。容量性電極3300は、他に述べられない限り、前に説明されたセグメント1402と同一である。この実施形態では、容量性電極3300は、多相送信共振器512の送信容量性電極516を形成する送信セグメント3302および多相受信共振器520の受信容量性電極522を形成する受信セグメント3304を含む。セグメント3302および3304は、セグメント3302および3304によって形成された円内の中心点を軸が通るように軸3310の周りに配列される。この実施形態では、軸3310は、30ミリメートルの半径を有する。セグメント3302および3304は、20ミリメートルの軸3310からの内軸方向変位量を有する。セグメント3302および3304は、120ミリメートルの軸3310からの外軸方向変位量を有する。0度の角度位置θを有するセグメント3302および3304による無線電力伝達システム500のシミュレーションでは、無線電力伝達システム500のRF効率性が87%であると見出された。
【0169】
実験的な無線電力伝達システム4000が構築されており、
図28A~28Cに示される。
図28Aに示されるように、無線電力伝達システム4000は、送信機4010および受信機4020を含む。送信機4010および受信機4020は、他に述べられない限り、説明された送信機502および受信機504のそれぞれと同一である。電源および負荷などの無線電力伝達システム4000の構成要素は、
図28A~28Cには示されない。
【0170】
送信機4010および受信機4020は、同一に構成される。したがって、説明を容易にするために、送信機4010のみが説明される。
図28Aおよび28Bに明確に描写されるように、送信機4010は、受信機4020に関して容量性電極4002とは反対に配置された3つの(3)容量性電極4002および受動電極4004を含む。送信機4010についての必要とされる電子機器は、受動電極4004に起因して放出が最小化されるように、容量性電極4002とは反対の受動電極4004の側に配置される。この実施形態では、電子機器は、プリント回路基板(PCB)4006上に存在する。
【0171】
この実験的な無線電力伝達システム4000では、電極4002および4004は、アルミニウムから切断されている。容量性電極4002の外径および内径は、100ミリメートルおよび20ミリメートルのそれぞれであった。送信機4010と受信機4020との間の分離距離は、均一に25ミリメートルであった。送信機4010と受動電極4004との間の分離距離は、均一に10ミリメートルであった。
【0172】
システム性能を判定するために、システム400に関する実験的データが収集されてきた。特に、様々な負荷、例えば、50W、25W、および12.5Wについての回転角度に応じて、RF効率性および受信された整流済み電圧が判定されてきた。ここで
図29Aおよび29Bに目を向けて、それらの実験の結果が描写されている。
【0173】
図29Aは、角度回転に応じた無線電力伝達システム4000のRF効率性のグラフである。様々な負荷(50W、25W、および12.5W)におけるRF効率性が描写されている。負荷が低減するにつれて、効率性において回転に対するより明白な感度が観察される。12.5Wにおいて、ダイオード通信およびインバータハードスイッチングからの損失の増大に起因して、120の倍数において効率性の最小値が生じている。25ミリメートルの送信ギャップにわたる50W負荷への電力伝達が、全回転に対して73%の平均両端効率性により可能であることが示される。
【0174】
図29Bは、角度回転に応じた無線電力伝達システム4000の整流済み電圧(V
rect)のグラフである。特に、V
rectは、受信機4020において受信された規制されていない整流済み電圧である。
図29Aと同様に、様々な負荷(50W、25W、および12.5W)として整流済み電圧が描写されている。平均では、最大および最小V
rect間の比率は、おおよそ1.66であると見出されている。送信容量性電極406が特定の構成を有するとして説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。別の実施形態では、送信容量性電極406は、複数回回転対称である。複数回回転対称の軸は、容量性電極406の曲率中心の周りで容量性電極406の主面に垂直である。送信容量電極406が説明されてきたが、当業者は、受信容量性電極410が同様に構成されてもよいことを認識するであろう。
【0175】
特定の無線電力伝達システムが説明されてきたが、当業者は、他の構成が可能であることを認識するであろう。無線電力伝達システムは、送信受動電極および受信受動電極のうちの少なくとも1つを更に含んでもよい。受動電極は、参照によってその関連する部分が本明細書に組み込まれる、2018年9月21日に出願された米国特許出願第16/138344号において説明されている。
【0176】
実施形態が上記説明され、添付図面において示されているが、添付の請求項によって定義されるような範囲から逸脱することなく変形および修正が行われてもよく、請求項の範囲は、本明細書に全体として一貫して最も広い解釈を与えられるべきであることが認識されたい。