(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】外科用ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/32 20160101AFI20250110BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20250110BHJP
【FI】
A61B34/32
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2022527141
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081903
(87)【国際公開番号】W WO2021094448
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-29
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516131980
【氏名又は名称】エセンシャル ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アルマン,ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァレー,ステファン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-538184(JP,A)
【文献】国際公開第2019/023386(WO,A2)
【文献】特表2018-519876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/32
A61B 34/20
B25J 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクタ(11)を保持するロボットアーム(1)と、前記ロボットアームを制御可能に動かし、前記エンドエフェクタ(11)を患者に対して少なくとも1つの目
標に維持するように構成された制御ユニット(13)と、を備える外科用ロボットシステムであって、
前記制御ユニットは、
(i)ユーザによって前記ロボットアーム(1)に連続的に与えられる第1の入力に基づいて、前記ロボットアームがユーザによって自由に移動可能であるハンドガイドモードを起動し、
(ii)ユーザによって前記ロボットアーム(1)に連続的に与えられる、前記第1の入力とは異なる第2の入力に基づいて、前記ロボットアームが計算軌道に従って目
標に移動する計算軌道モードを起動し、
(iii)前記計算軌道モードが起動した場合、前記エンドエフェクタ(11)が少なくとも1つの所定の安全条件を満たしていることを検出し、患者に取り付けられたトラッカーに対して前記エンドエフェクタ(11)を前記目
標に維持するように前記ロボットアーム(1)が自動的に移動可能であるサーボ制御モードに自動的に切り替わるように構成される外科用ロボットシステム。
【請求項2】
前記目
標は、
掘削軸、
掘削軸および掘削深度、
切断面、
前記エンドエフェクタ(11)によって保持されたアクティブな手術器具
の作業位置
の中から選択される請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項3】
前記所定の安全条件は、前記患者に取り付けられたトラッカーが、前記ロボットアームの基部に対して制御された体積内に留まることであり、前記制御された体積の寸法は、前記トラッカーの予期しない動きの方向より、トラッカーの予期される動きの方向の方が大きい請求項1または2に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記ハンドガイドモードでユーザによって課された前記ロボットアーム(1)の姿勢に基づいて、前記計算軌道を調整するように構成される請求項1~3のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットに結合され、現在のモードに関する情報を提供するように構成されたユーザインターフェースを更に備える請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項6】
前記ユーザインターフェースは、前記ロボットアームに配置され、現在のモードに応じて変化するグラフィックアイテムを表示するように構成されたディスプレイモニターを備える請求項5に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項7】
前記ユーザインターフェースは、現在のモードに応じて所定の色および/または点滅状態を有するように構成された複数のLEDを含むリング(3)を備える請求項5に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記サーボ制御モードでの所定の振幅、方向、加速度、および/または速度を超える前記ロボットアーム(1)の動きの検出に基づいて、前記ロボットアームの動きを抑制する安全モードを起動するように更に構成される請求項1~7のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットは、エンドエフェクタ(2)を複数の目
標に連続的に維持するように構成される請求項1~8のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項10】
ユーザによる前記第1の入力の適用のために構成された第1のスイッチ(4)と、ユーザによる前記第2の入力の適用のために構成された、前記第1のスイッチとは異なる第2のスイッチ(5)と、を更に備える請求項1~9のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、外科手術中にユーザが前記第2のスイッチをダブルクリックした時に、2つの連続する目標間を移行可能に構成される請求項10に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記ロボットアームの追跡が有効でなく、前記外科用ロボットシステムが前記ハンドガイドモードまたは前記計算軌道モードのいずれかである場合に、前記ロボットアーム(1)を
、前記ロボットアームが単独では移動できないアイドルモードにするように構成される請求項1~11のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記外科用ロボットシステムが前記サーボ制御モードであり、前記ロボットアームの追跡が失われた場合に、前記ロボットアームを特殊待機モードにするように構成され、前記特殊待機モードは、追跡が回復すると前記サーボ制御モードに切り替わることが可能である請求項1~11のいずれか一項に記載の外科用ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドエフェクタを保持するロボットアームと、ロボットアームを制御可能に動かし、エンドエフェクタを患者に対して少なくとも1つの目標位置に維持するように構成された制御ユニットと、を備える外科用ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ロボットアームは、外科的処置時にユーザ(外科医等)を支援するために使用されてきた。
【0003】
例えば、脊椎手術では、ユーザは、1つまたは複数のスクリューを少なくとも1つの椎骨に埋め込む必要がある場合がある。ロボットアームは、ドリルガイドを保持し、予定された軸に従ってドリルガイドを維持することでユーザを支援することができる。これにより、ユーザは、ロボットアームによって保持されたドリルガイドに通した手持ちドリルを使用して、予定された軸に沿って椎骨にスクリューを挿入するための穴を開けることができる。
【0004】
しかしながら、このようなロボットアームを使用する際には、いくつかの課題に対処する必要がある。
【0005】
第1の課題は、ロボットアームが患者や医療スタッフに害を及ぼさないようにすること、つまり安全性に関することである。
【0006】
第2の課題は、ユーザとロボットアーム間の適切な協調を定義することである。「協調(コラボレーション)」とは、ロボットアームが人間のユーザの代わりになるのではなく、ユーザの能力を補完し、特定のタスクに集中できるように支援することを意味する。
【0007】
ボタンやペダルに継続的な圧力がかかっている間、目標位置に向かって移動するロボットアームが知られている。しかしながら、このような変位は遅いため、手術時間を大幅に増加させる効果がある。また、ロボットアームの軌道は、患者の周辺に存在するすべての障害物を考慮していない場合がある。安全上の理由から、ユーザがボタンやペダルを離すとすぐにロボットアームが停止する。
【0008】
一方で、患者は、外科的処置中に、例えば呼吸や、患者を治療するための手術器具の使用に対する機械的反応によって動くことがあるため、ロボットアームは、エンドエフェクタを患者に対して目標位置に維持できることが望ましい。
【0009】
米国特許出願公開第2011/0190790号明細書は、エンドエフェクタを保持するロボットアームと、制御ユニットと、を備えるロボットシステムを教示している。ロボットアームの安全な作業領域は、仮想壁により画定される。制御ユニットは、ロボットアームが作業領域から出た場合、ロボットアームを停止するか、触覚フィードバックを提供するように構成される。
【0010】
米国特許出願公開第2014/0350571号明細書は、エンドエフェクタを保持する第1のロボットアームと、患者の体に接触するセンサを保持する第2のロボットアームと、第2のアームによって検出された患者の体の変位に基づいて、第1のアームの位置を調整するように構成された制御ユニットと、を備えるロボットシステムを教示している。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、安全性を確保しながら、ユーザとロボットアーム間の協調を改善することができる外科用ロボットシステムを設計することである。
【0012】
この目的のため、本発明は、エンドエフェクタを保持するロボットアームと、前記ロボットアームを制御可能に動かし、前記エンドエフェクタを患者に対して少なくとも1つの目標位置に維持するように構成された制御ユニットと、を備える外科用ロボットシステムであって、前記制御ユニットは、
(i)ユーザによって前記ロボットアームに連続的に与えられる第1の入力に基づいて、前記ロボットアームがユーザによって自由に移動可能であるハンドガイドモードを起動し、
(ii)ユーザによって前記ロボットアームに連続的に与えられる、前記第1の入力とは異なる第2の入力に基づいて、前記ロボットアームが計算軌道に従って目標位置に移動する計算軌道モードを起動し、
(iii)前記計算軌道モードが起動した場合、前記エンドエフェクタが少なくとも1つの所定の安全条件を満たしていることを検出し、患者に取り付けられたトラッカーに対して前記エンドエフェクタを前記目標位置に維持するように前記ロボットアームが自動的に移動可能であるサーボ制御モードに自動的に切り替わるように構成される外科用ロボットシステムを提供する。
【0013】
これにより、ロボットシステムは、少なくとも3つの使用モード、すなわち、ハンドガイドモード、計算軌道モード、およびサーボ制御モードを組み合わせ、これらのモードの組み合わせにより、ロボットアームとユーザ間の協調を最適化することができる。ハンドガイドモードでは、ユーザはロボットアームを自由かつ迅速に動かし、エンドエフェクタを目標位置に近い大まかな位置に移動させることができる。計算軌道モードでは、ロボットアームは、第2の入力によりユーザによって制御されながら、エンドエフェクタを正確な目標位置に移動する。サーボ制御モードでは、安全条件が満たされると、ロボットアームが自律的に動き、エンドエフェクタを目標位置に維持する。このように、ロボットアームの操作全体を通して、ユーザおよび/または制御ユニットによって、安全性が保証される。
【0014】
幾つかの実施形態では、前記所定の安全条件は、前記患者に取り付けられたトラッカーが、前記ロボットアームの基部に対して制御された体積内にあることであり、前記制御された体積の寸法は、前記トラッカーの予期しない動きの方向より、トラッカーの予期される動きの方向の方が大きい。
【0015】
幾つかの実施形態では、前記目標位置は、掘削軸、掘削軸および掘削深度、切断面、アクティブな手術器具の最適な作業位置の中から選択される。
【0016】
幾つかの実施形態では、前記制御ユニットは、前記ハンドガイドモードでユーザによって課された前記ロボットアームの姿勢に基づいて、前記計算軌道を調整するように構成される。
【0017】
幾つかの実施形態では、システムは、前記制御ユニットに結合され、現在のモードに関する情報を提供するように構成されたユーザインターフェースを備える。
【0018】
前記ユーザインターフェースは、前記ロボットアームに配置され、現在のモードに応じて変化するグラフィックアイテムを表示するように構成されたディスプレイモニターを備えていてもよい。
【0019】
前記ユーザインターフェースは、現在のモードに応じて所定の色および/または点滅状態を有するように構成された複数のLEDを含むリングを備えていてもよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記制御ユニットは、前記サーボ制御モードでの所定の振幅、方向、加速度、および/または速度を超える前記ロボットアームの動きの検出に基づいて、前記ロボットアームの動きを抑制する安全モードを起動するように更に構成される。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記制御ユニットは、エンドエフェクタを複数の目標位置に連続的に維持するように構成される。
【0022】
幾つかの実施形態では、前記ロボットアームは、ユーザによる前記第1の入力の適用のために構成された第1のスイッチと、ユーザによる前記第2の入力の適用のために構成された、前記第1のスイッチとは異なる第2のスイッチと、を備える。
【0023】
前記制御ユニットは、外科手術中にユーザが前記第2のスイッチをダブルクリックした時に、2つの連続する目標間を移行可能に構成されてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、前記制御ユニットは、前記ロボットアームの追跡が有効でなく、前記外科用ロボットシステムが前記ハンドガイドモードまたは前記計算軌道モードのいずれかである場合に、前記ロボットアームをアイドルモードにするように構成される。
【0025】
幾つかの実施形態では、前記制御ユニットは、前記外科用ロボットシステムが前記サーボ制御モードであり、前記ロボットアームの追跡が失われた場合に、前記ロボットアームを特殊待機モードにするように構成され、前記特殊待機モードは、追跡が回復すると前記サーボ制御モードに切り替わることが可能である。
【0026】
別の目的は、ロボットアームによって保持されるエンドエフェクタを患者に対して位置決めする方法であって、
(i)ユーザによって前記ロボットアームに連続的に与えられる第1の入力に基づいて、前記ロボットアームがユーザによって自由に移動可能であるハンドガイドモードを起動するステップと、
(ii)ユーザによって前記ロボットアームに連続的に与えられる、前記第1の入力とは異なる第2の入力に基づいて、前記ロボットアームが計算軌道に従って目標位置に移動する計算軌道モードを起動するステップと、
(iii)前記計算軌道モードが起動した場合、前記エンドエフェクタが前記目標位置周りの制御された体積内にあることを検出し、患者に対して前記エンドエフェクタを前記目標位置に維持するように前記ロボットアームが前記制御された体積内で自動的に移動可能であるサーボ制御モードに自動的に切り替わるステップと、を含む方法である。
【0027】
幾つかの応用例では、前記目標位置は、患者の脊椎に対して計画される。
【0028】
幾つかの応用例では、前記目標位置は、患者の骨に対して計画される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の添付の図面に基づいて、以下の詳細な説明から明らかになる。
【0030】
【
図2】ロボットアームの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図2のロボットアームのエンドエフェクタの斜視図である。
【
図4A】異なるモードのロボットシステムの動作を示すステートマシン図である。
【
図4B】異なるモードのロボットシステムの動作を示すステートマシン図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、患者の骨に対して行われる外科的処置、例えば、これらに限定されないが、脊椎における椎弓根スクリューなどの整形外科インプラントの埋め込み、骨における種々の整形外科インプラントの埋め込み、外傷処置時の骨折の縮小および固定、または単にガイドまたはカニューレの、予め定められた目標に対する望ましい位置への配置等に関連して実施することができる。
【0032】
より具体的には、本発明は、術前または術中の画像ベースの計画ステップで決められた椎弓根スクリューの配置のために目標を維持するのに使用することができる。
【0033】
これに関して、ロボットシステムは、他の外科システム、例えば電動Cアーム撮像ユニット(欧州特許出願公開第2868277号明細書に記載)などの撮像装置やMobiusAiroなどのCTスキャンユニットに接続することができる。
【0034】
これらのシステムは、2Dおよび3D画像撮像機能、欧州特許出願公開第3361977号明細書に記載されるような位置特定システムに接続される場合は、ナビゲーション機能を提供する。
【0035】
ナビゲーションを実行する観点から、外科的処置中に使用されるエンドエフェクタおよび/または器具は、トラッカー、例えば光学、電磁気、超音波、または慣性トラッカーを備え、少なくとも一つの位置特定システムによって測定される。手術する患者の骨(または手術する骨に固定されると見なされる別の骨)には、別のトラッカーが取り付けられ、位置特定システムによって検出され、患者に取り付けられる参照トラッカーとして指定される。
【0036】
ロボットシステムは、可動カートや撮像装置である基部、あるいは手術台に取り付けられた基部等から延びる近位端を有するロボットアームと、ロボットアームの遠位端に取り付けられたエンドエフェクタと、ロボットアームを制御可能に動かし、エンドエフェクタを患者に対して少なくとも一つの目標位置に維持するよう構成された制御ユニットと、を備える。
【0037】
ロボットアームは、並進および/または回転における複数の自由度を有する。通常、ロボットアームは、6つまたは7つの電動自由度を有する。そのため、ロボットアームは、モーターによって駆動される複数の関節式セグメントを有する。ロボットアームは、例えば、KUKA製のLBRMedTMロボットである。
【0038】
エンドエフェクタは、特に以下で説明するハンドガイドモードで、ロボットアームを操作するためにユーザの手によって保持されるように構成されたハンドグリップを備える。
【0039】
幾つかの実施形態では、ハンドグリップは、ロボットアームの動作モードをトリガーするためにユーザによってそれぞれ作動されるように構成された第1および第2のスイッチを備える。これらのスイッチは、押しボタン、抵抗スイッチ、圧電スイッチなどを含み得る。上記のスイッチは、ロボットアームの他の部分に配置されてもよいが、好ましくは、ユーザが片手でスイッチの1つを作動させるのと同時に、エンドエフェクタを操作して、(ハンドガイドモードにおいて)ロボットアームを動かすか、(計算軌道モードにおいて)ロボットアームの動きに追従することができるように、ハンドグリップに配置される。
【0040】
幾つかの実施形態では、ハンドグリップは、現在のモードに関する情報を提供するように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースを備える。上記のユーザインターフェースは、ロボットシステムの他の部分に配置されてもよいが、有利には、ロボットアームを操作するときにユーザがエンドエフェクタに集中できるように、ハンドグリップまたはその近傍に配置される。一実施形態によれば、ユーザインターフェースは、現在のモードに応じて変化するグラフィックアイテム(例えば、テキスト、可変色のマークなど)を伴うディスプレイを備える。別の実施形態によれば、ユーザインターフェースは、複数のLEDを備えていてもよい。LEDは、現在のモードに応じて所定の色および/または点滅状態を有するように構成されてもよい。このLEDリングは、ハンドグリップの周りまたはハンドグリップの近くのロボットアームの周りにリングとして配置することができる。
【0041】
また、エンドエフェクタは、パッシブまたはアクティブツールホルダを備える。パッシブツールホルダは、ドリルガイド、カッティングガイド、ドリルまたは任意のアクティブツールであり得る手術器具をスライドさせるガイドを保持するように構成される。アクティブツールホルダは、ドリル、超音波カッター、バー、または任意のアクティブツールであり得る手術器具を保持するように構成される。また、アクティブツールホルダは、アクティブな手術器具を動かして作動させるため、いくつかの電動自由度を有するアクチュエーターを保持していてもよい。好ましい実施形態では、ツールホルダは、その軸に沿ってドリルまたはバーを移動させることができるリニアアクチュエータを保持する。また、ツールホルダは、位置特定システムによって検出可能なトラッカーを備える。
【0042】
ハンドグリップおよび/またはツールホルダは、再利用および滅菌可能であってもよく、使い捨て部品として使用されてもよい。
【0043】
制御ユニットは、プロセッサ、データ記憶装置、および通信装置を含む。制御ユニットは、有利には、ロボットアームの基部に埋め込まれ得る。ロボットアームの基部は、電源スイッチ、緊急ボタンなどのスイッチも有する。
【0044】
ロボットシステムは、以下のように操作することができる。
【0045】
術中の3Dおよび/または2D画像を、Cアームなどの撮像システムによって取得する。
【0046】
計画は、これらの画像について、ロボットシステムが処理する少なくとも1つの外科的目標を外科医が定めることで行われ得る。これらの目標は、撮像システムの座標系で定義される。
【0047】
ロボットシステムは、ロボットアームの基部を形成するカートの車輪上で移動可能であってもよく、手術台の近くに動かされる。
【0048】
患者は、位置特定システムによって検出可能な少なくとも1つの参照トラッカーを備える。また、エンドエフェクタ、特にツールホルダにも、別のトラッカーが取り付けられる。制御ユニットは、両方のトラッカーの位置特定データに基づいて、患者に対するエンドエフェクタの相対位置を決定することができる。様々な登録方法を用いて、患者の参照トラッカーの座標系と撮像システムとの間の変換を決定することができる。したがって、目標は、患者の参照トラッカーに付属する座標系で認識される。ロボットにトラッカーを設けることで、現在のエンドエフェクタの位置と目標位置の間の変換を計算し、ロボットを目標に合わせた位置に割り当てることが可能になる。
【0049】
画像に基づく計画の代わりに、患者に取り付けられた参照トラッカーの座標系に直接目標を定めることもできる。例えば、ナビゲーションポインタを使用して目標を定義した後、これを削除し、ロボットのエンドエフェクタ軸をこの目標位置に合わせてもよい。
【0050】
セキュリティテストを含むロボットシステムの起動手順が開始される。
【0051】
準備状態になると、ロボットアームはアイドルモードになる。このアイドルモードでは、ロボットアームは単独では移動できない。
【0052】
ユーザは、第1のスイッチを連続的に作動させて、ユーザがハンドグリップを操作することでロボットアームを自由に動かすことができるハンドガイドモードを有効化することができる。このモードは、KUKA LBR iiwaTMロボットアームなどのロボット装置の従来の協調モードを用いて実装できる。これにより、ユーザは、計画で定められた第1の外科的目標にエンドエフェクタを容易に近づけることができる。ロボットアームはユーザによって連続的に処理および制御されるため、障害物を回避しながら、その変位速度を比較的上げることができる。ハンドガイドモードは、第1のスイッチが作動されている限り維持される。ユーザが第1のスイッチの作動を止めるとすぐに、制御ユニットがモーターを停止し、ユーザがロボットアームを動かせなくなり、ロボットアームが単独で動くことができなくなる(アイドルモード)。好ましい実施形態では、第1のスイッチは、エンドエフェクタの近位端側、ロボット基部側に配置される。
【0053】
ロボットアーム上のエンドエフェクタのツールホルダに取り付けられたトラッカーが位置特定システムの測定域に入り、位置特定システムによって正確に特定されると、操作者は、第1のスイッチに代わり第2のスイッチを連続的に作動させることで、ハンドガイドモードを停止し、計算軌道モードを有効化することができる。ハンドガイドモードと計算軌道モードとの間の遷移は、ユーザインターフェースを介して、例えば、トラッカーが位置特定システムによって検出可能になった時に、LEDの色および/または点滅条件を変更することで、視覚化することができる。好ましい実施形態では、第2のスイッチは、エンドエフェクタの遠位端側、基部と反対側の端側に配置される。
【0054】
この計算軌道モードでは、ユーザはロボットアームに追従するのみで、アームは手術対象に対して予め計算された軌道に従って自律的に移動する。安全性は、ユーザが第2のスイッチを継続的に作動することで保証される。ユーザが第2のスイッチの作動を止めるとすぐに、制御ユニットがモーターを停止し、ロボットアームが動かなくなる。したがって、計算軌道モードは、ロボットシステムの協調モードと見なすことができる。ロボットが目標位置に到達すると、ユーザインターフェースに信号が表示される。好ましい実施形態では、LEDが緑色になる。すなわち、ユーザは、手術を実行し、ツールホルダに器具を挿入できるようになる。
【0055】
エンドエフェクタのトラッカーを位置特定ユニットで検出できなくなった場合、例えば、光学位置特定において、トラッカーが光学位置特定システムの視野内の別のアイテムによって隠された場合、制御ユニットは現在のモードを終了し、ロボットアームを停止する。このような状況は、ユーザインターフェースによって、例えば特定のLEDの色および/または点滅状態を用いて、示され得る。好ましい実施形態では、LEDは、現在のモードがハンドガイドモードまたは計算軌道モードである場合は白色に点滅し、現在のモードがサーボ制御モードである場合はオレンジ色に点滅する。
【0056】
目標に到達し、ユーザインターフェースが緑色に点灯した後、ユーザがロボットのエンドエフェクタに過度の力を加え、エンドエフェクタのトラッカーが特定範囲内の目標からズレてしまった場合、制御ユニットはまずロボットを目標に戻そうとし、ユーザインターフェースに例えばオレンジ色のライトが表示されるが、ロボットが成功しなかった場合、制御ユニットはサーボ制御モードを終了してロボットアームを停止する。このような状況は、ユーザインターフェースによって、例えば特定のLEDの色および/または点滅状態を用いて、示され得る。好ましい実施形態では、LEDはオレンジ色になる。
【0057】
好ましい実施形態では、ユーザは、ハンドガイドモード中にツールホルダの特定の姿勢を課すことができ、その後、この全体的な姿勢やツールホルダは、目標に到達するため、その必須構成要素に保持される。この姿勢は、例えば他の手術器具との衝突を回避するため、特にロボットアームを外科処置に有利な位置に事前に配置するように決定することができる。ユーザが第2のスイッチを押した際に衝突が起こる可能性があることに気付いた場合、ユーザは停止し、第1のスイッチを使用してハンドガイドモードに戻り、このモードでツールホルダの姿勢を変更してから、第2のスイッチを押して目標に進むことができる。このモードでは、ロボットアームを初期のロボットアーム位置にできるだけ近づけるように、最終目標計算が行われる。このモードでは、6軸または7軸ロボットの冗長性を利用して、5自由度のみを必要とする最終目標位置まで直線軌道を調整することができる。ツールホルダ軸周りに無限に存在するロボットに適用可能な姿勢の中から、ロボットの初期位置に最も近いものが選択される。
【0058】
次に、様々な手術器具(ドリル、ドライバなど)をスライドさせるパッシブツールホルダに焦点を当てて説明する。
【0059】
ロボットアームが計画された手術目標に到達すると、ユーザは第2のスイッチを離すことができる。この状況は、エンドエフェクタのトラッカーの位置と所望の目標位置との間の比較に基づいて検出することができる。第1および第2のスイッチのいずれも作動されないと、制御ユニットは、追跡システムにより可能となったエンドエフェクタと患者の相対位置の監視によって、患者の小さな動き(例えば呼吸)に対してサーボ制御される自律モードをトリガーする。計算軌道モードとサーボ制御モードとの間の遷移は、ユーザインターフェースを介して、例えば、異なるLEDの色および/または異なる点滅条件により、視覚化することができる。
【0060】
このサーボ制御モードでは、ユーザは、ガイドまたはツール自体を保持するロボットシステムによって提供される支援を利用して、計画された操作を実行できる。そのため、ユーザは、スイッチを作動する必要がなく、処置の実行に使用される器具に集中することができる。
【0061】
椎弓根スクリューを配置する場合、外科医はドリルを操作できる。掘削は、ツールホルダにスライドさせる手動ドリルビットや超音波ツールなどによって達成することができる。
【0062】
別の実施形態では、ドリル器具は、骨をバーリングするための小型のコンパクトアクティブロボットなどのアクティブなエンドエフェクタであり得る。
【0063】
安全上の理由から、サーボ制御モードでは、特定の安全条件が満たされた場合にのみ、目標にエンドエフェクタを移動してサーボ制御を行うことができる。サーボ制御モードの起動を許可するため、以下のリストのうち1つまたは複数の条件を含む、いくつかの安全条件を実装することができる。
(a)第1の実施形態では、エンドエフェクタの位置が目標位置の周りの限られた体積内に留まる場合、安全条件が満たされる。例えば、目標がロボットアームの基部の座標系で初期位置と比較して5mm以上移動すると、安全条件が満たされず、ロボットアームが停止し、ユーザインターフェースに信号が表示され、ユーザは、スイッチの1つをもう一度押して、ハンドガイドモードまたは計算軌道モードのいずれかでロボットアームを再度作動させる必要がある。有利には、上記体積は、呼吸や患者への器具の使用に対する機械的反応など、患者の動きに基づいてリアルタイムで更新される。
(b)より高度な特徴である別の好ましい実施形態では、ロボット基部に対する参照骨トラッカーの検出された動きが、例えば8mmの所与の範囲内の骨の予期される動きに対応する場合、安全条件が満たされ、検出された動きが予期しない動きの方向に3mmを超える場合、安全条件は満たされない。予期される動きは、呼吸モデリングの結果や、骨に圧力をかける手術器具と骨とのモデル化された相互作用であり得る。換言すると、安全条件は、骨トラッカーが動く可能性のある体積に対応し、この体積は、骨トラッカーの予期される運動の方向である第1の方向において、骨トラッカーの予期しない運動の方向である第2の方向よりも大きな寸法を有する。
(c)別の好ましい実施形態では、ロボット基部に対する参照骨トラッカーの検出された動きが、所与の閾値を超える速度を有する場合、安全条件は満たされない。
(d)別の好ましい実施形態では、ロボットアーム基部に対する参照骨トラッカーの検出された動きが、所与の閾値を超える加速度を有する場合、安全条件は満たされない。このような状況は、例えば、磁気固定により患者に取り付けられたトラッカーが、外科的処置中に意図せず変位した場合に発生する可能性がある。実際、衝撃により患者トラッカーが落下または変位する可能性があり、ロボットアームは患者トラッカーの位置にサーボ制御されるため、ロボットアームが落下または変位したトラッカーに追従して素早くかつ大きな振幅で移動することで、患者や医療スタッフを傷つける可能性がある。
【0064】
様々な安全条件を、個別にまたは部分的に一緒に使用することができる。
【0065】
上記の安全条件は、外科用ロボットの標準的な安全条件に代わるものではなく、追加されるものである。例えば、骨参照トラッカーで算出された目標に対するロボットアームの位置が1mmの閾値を超えると、アラームがトリガーされ、ロボットが停止する。同様に、単にロボットにかかる過剰な力や、ロボット位置センサ、ロボット力センサの冗長測定の整合性を測定する標準安全条件もアラームや安全停止をトリガーし、有効なままである。
【0066】
ユーザが第1または第2のスイッチのいずれかを作動させた場合、制御ユニットは安全モードを終了してもよい。
【0067】
目標位置で操作ステップが実行されるとすぐに、ユーザによってサーボ制御モードが停止されてもよい。
【0068】
例えば、ユーザは、最初の目標に従って椎骨に穴を開けると、ロボットアームを次の目標に移動し、別の椎骨に穴を開けることができる。
【0069】
好ましい実施形態では、ユーザがダブルクリックで第2のスイッチを2回押すことで、ロボットアームは、いつでも、次の計画された目標に切り替わる。
【0070】
状況によって、ユーザが手術部位からロボットアームを除きたい場合がある。例えば、ユーザが椎骨に穴を開けた際、すぐにこの穴に椎弓根スクリューを配置したい場合がある。この目的のため、ユーザは、第1のスイッチを連続的に作動させてハンドガイドモードをトリガーし、椎弓根スクリューの埋め込みを実行するのに十分なスペースを確保するために、ロボットアームを手術部位から素早く移動させてもよい。さらに、ユーザは、第2のスイッチを連続的に作動させ、ロボットアームを目標位置に戻し、サーボ制御モードのロボットガイダンスを用いてアクションを実行できる。
【0071】
その後、新しいスクリューを埋め込む場合、ユーザは、上述の実施形態で説明したようなダブルクリックで次の目標を選択し、次の目標の近くにエンドエフェクタを素早く移動するため、ハンドガイドモードから始めて、上記と同じシーケンスを実行できる。
【0072】
好ましい実施形態では、保持ツールはアクティブツールであり、例えばドリルを保持している。エンドエフェクタが目標に到達すると、制御ユニットは、高速回転ドリルをその軸に沿って直線運動で計画された軌道に沿って動かす。軌道が安全上の制約を満たす限り、安全条件は満たされる。これは、前述した、安全性を考慮した位置取りが必要な場合の延長である。例えば、アクティブツールの軌道は、ロボット基部の座標系で計算された目標線にツール自身が一致したままであれば、安全条件を満たしたものとなる。
【0073】
図1は、脊椎手術での、手術室における上述したような外科用ロボットシステムの実施形態を示している。
【0074】
手術室は、手術台14を備える。脊椎手術の場合、患者は手術台上に腹臥位であり得るが、他の外科的処置では、患者は別の姿勢に置かれ得る。図示されていないが、少なくとも1つのトラッカーが患者、特に脊椎手術の場合は椎骨にしっかりと取り付けられる。複数の参照トラッカーを手術される椎骨ごとに1つずつ使用してもよい。
【0075】
また、手術台は、Cアーム15などの撮像システムを含み得る。撮像システムにより、患者の術中画像を取得することができる。
【0076】
ロボットシステムは、
図2および
図3を参照してより詳細に説明される、基部10およびエンドエフェクタ11を含むロボットアーム1を備える。基部は、可動カートに固定されており、外科的処置時に手術台に対して固定される。
【0077】
ロボットアームを制御する制御ユニットは、カートに埋め込まれていてもよく、符号13によって示される。
【0078】
【0079】
ロボットアーム1は、複数の関節式セグメントを含む。基部10と反対側の末端セグメントには、エンドエフェクタ11が設けられる。
【0080】
エンドエフェクタ11は、ユーザの手によって保持されるように構成されたハンドグリップを備える。そのため、ハンドグリップは、ハンドグリップが少なくとも部分的にユーザの手によって覆われるように適合された直径を有する円筒形などの人間工学的形状を有していてもよい。
【0081】
ハンドグリップは、互いに異なる2つのスイッチ4、5を備える。第1のスイッチは、ハンドガイドモードをトリガーするように構成され、第2のスイッチは、計算軌道モードをトリガーするように構成される。上記の各モードを実装するには、ユーザはそれぞれのスイッチを連続的に作動させる必要がある。ロボットアームが目標に到達していない時にユーザが第1または第2のスイッチを離すと、ロボットアームはすぐに停止する。有利には、スイッチは、ユーザがエンドエフェクタを扱い、片手でスイッチを作動させることができるように、ハンドグリップの外面に配置される。
【0082】
エンドエフェクタは、異なる色および/または異なる点滅条件で発光するように構成された複数のLEDを含むLEDリング3を更に備える。例えば、LEDは以下の光信号を発する。
・ロボットアームがアイドルモードである場合、白く点滅する。
・ロボットアームがハンドガイドモードまたは計算軌道モードのいずれかであり、トラッカーが位置特定システムによって検出可能である場合、白く点灯する。
・ロボットアームがサーボ制御モードであり、目標に到達している場合、緑色に点灯する。
・サーボ制御モードで位置特定システムがトラッカーを検出できない場合、オレンジ色に点灯する。
【0083】
このようなLEDリングは、エンドエフェクタの向きに関係なくユーザが見ることができるという点で便利であるが、ユーザインターフェースは他の形式であってもよい。例えば、ロボットのエンドエフェクタ周りのどこにでも回転できる、対角線が1インチまたは2インチの小さなディスプレイであってもよい。
【0084】
エンドエフェクタは、例えばドリルなどのユーザが持つアクティブツールのための線形および円筒形のガイドなどの、ツールホルダ2を保持する。このガイドにより、所定の姿勢で、患者から所定の距離で、アクティブツールを維持することができる。
【0085】
トラッカー12は、エンドエフェクタに取り付けられており、患者に取り付けられたトラッカーに対するエンドエフェクタの位置および向きを決定するために使用される。この測定値は、高速3次元カメラを使用して、10ミリ秒未満の低遅延で、100Hz以上の範囲のフレームレートで取得される。
【0086】
【0087】
図4は、制御ユニットによるロボットアームの動作を説明するステートマシンの実施形態を示している。図の右側は、ユーザインターフェースを形成するLEDリングの様々な状態を示している。
【0088】
システムの電源がオンになると、初期化(init)が行われる。
【0089】
第1のステップでは、達成すべき次の目標が選択される。この選択は、計画ステップ中にユーザによって行うことができる。あるいは、上述したように、第2のスイッチをダブルクリックすることで選択してもよい。
【0090】
その後、ロボットアームはアイドルモードになり、ユーザからの入力を待つ。LEDは白色に点滅する。
【0091】
ユーザが第1のスイッチを作動させると(一次入力を押す)、ロボットアームはハンドガイドモードに入る。このモードは、第1のスイッチが作動している限り維持される。ユーザが第1のスイッチを離すと(一次入力を離す)、ロボットアームはアイドルモードに戻る。
【0092】
ユーザが第2のスイッチを作動させると(二次入力を押す)、ロボットアームは計算軌道モードに入り、選択された目標に移動する。このモードは、エンドエフェクタに取り付けられたトラッカーが位置特定システムによって検出可能な場合(evt_tracker_visible)にのみ起動できる。計算軌道目標は、目標に到達しておらず、第2のスイッチが作動しているかぎり維持される。この状態では、LEDは白色に点灯する。
【0093】
ユーザが第2のスイッチを離し、目標にまだ到達していない場合(二次入力を離す)、ロボットアームはアイドルモードに戻る。
【0094】
目標に到達した場合(この状況は、目標の位置とエンドエフェクタに取り付けられたトラッカーの位置を比較する制御ユニットによって検出される)、LEDは緑色に点灯する。
【0095】
したがって、ユーザは第2のスイッチを離し、サーボ制御(サーボ)モードに入る必要がある。
【0096】
サーボ制御モードの間、制御ユニットは、エンドエフェクタに取り付けられたトラッカーが位置特定システムの領域内にあるかどうかを継続的に監視する(is_tracker_visibleループ)。上記のトラッカーが位置特定システムによって検出できなくなると(evt_tracker_invisible)、サーボ制御モードが中断され、LEDがオレンジ色に点灯する。ロボットアームは、トラッカーが再び検出可能になるまで(evt_tracker_visible)、トラッカー待機モードに入る。これにより、ロボットアームがサーボ制御モードに戻り、LEDが再び緑色に点灯する。
【0097】
制御ユニットは、サーボ制御モードでロボットアームの動きが所定の振幅、方向、加速度、速度を超えるなど、満たされていない安全状態を検出すると、ロボットアームの動きを抑制する安全モードを起動し(evt_safety_mode_activated)、ロボットアームはアイドルモードに戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【文献】米国特許出願公開第2011/0190790号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0350571号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2868277号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3361977号明細書