(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】飲料調製マシン
(51)【国際特許分類】
A47J 31/40 20060101AFI20250110BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
A47J31/40 107
A47J31/06 320
(21)【出願番号】P 2022533448
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020084068
(87)【国際公開番号】W WO2021110652
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-29
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】タロン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴアニオー, ディディエ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0116142(US,A1)
【文献】国際公開第2019/096830(WO,A1)
【文献】特表2007-503231(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02374733(EP,A1)
【文献】特表2019-506344(JP,A)
【文献】特表2019-523182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/40
A47J 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシン(1)であって、
流体物質のための流体流通システムであって、少なくとも1つの流体源(2)、少なくとも1つの流体ポンプ(3)、および少なくとも1つの流体流通導管(6)を備える流体流通システムと、
対応する容器(C)を受けるように適合された少なくとも1つの容器ホルダ(7)と、
前記流体流通システムの一部である少なくとも1つの流体処理デバイス(10)であって、前記流体物質を前記容器(C)内に含まれる原材料と混合することによって飲料製品を調製するために、前記流体物質を前記容器(C)内に導入するための少なくとも1つの入口手段(18)を備える、流体処理本体(12)、を備える流体処理デバイスと、
を備える、
飲料調製マシン(1)において、
前記流体処理本体(12)は、
前記飲料製品を前記容器(C)から注出するための少なくとも1つの出口手段(20)を更に備え、少なくとも1つの移動手段(54;64)が、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)と前記容器(C)とを、
流体導入位置であって、前記流体処理本体(12)が、前記流体物質を前記容器(C)内に導入するために前記容器(C)の内部容積部の内側に突出している、流体導入位置と、
飲料注出位置であって、前記流体処理本体(12)が、前記容器(C)の前記内部容積部から少なくとも部分的に引き出されて、前記飲料製品を前記容器(C)から前記少なくとも1つの出口手段(20)を通して注出することを可能にする、飲料注出位置と、
の間で、互いに対して別々に移動させるために設けられている、
ことを特徴とする、飲料調製マシン(1)。
【請求項2】
前記流体処理本体(12)は、針状の流体処理本体(12)であり、前記容器(C)内への前記流体物質の導入の前に、前記容器(C)の特定の部分または壁を穿孔、穿刺、および/または裂くように構成されている少なくとも1つの端部(26;28)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項3】
前記流体処理本体(12)は、少なくとも1つの封止手段(22)を更に備え、前記封止手段は、前記流体導入位置において、前記容器(C)と係合して、前記容器(C)からの前記飲料製品の注出を遮断し、前記飲料注出位置において、前記容器(C)と係合せず、前記容器(C)からの前記飲料製品の注出を可能にする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項4】
前記流体処理本体(12)は、
前記流体物質を前記容器(C)内に導入するための前記少なくとも1つの入口手段(18)が設けられている入口部分(14)と、
前記容器(C)から前記飲料製品を注出するための前記少なくとも1つの出口手段(20)が設けられている出口部分(16)と、
前記入口部分(14)に設けられており、前記容器(C)の一部を開口するように構成されている第1の端部(26)と、
前記出口部分(16)に設けられており、前記飲料製品を注出するように構成されている第2の端部(28)と、
前記流体処理本体内に配置された少なくとも1つの入口導管(30)であって、前記第1の端部(26)および前記流体処理デバイス(10)の第2の入口導管(36)と流体連通している、少なくとも1つの入口導管(30)と、
を更に備え、
前記少なくとも1つの入口手段(18)および前記少なくとも1つの出口手段(20)は、互いに別個であり、前記少なくとも1つの入口手段(18)は、前記少なくとも1つの入口導管(30)および前記第1の端部(26)を備え、前記少なくとも1つの出口手段(20)は、少なくとも前記第2の端部(28)を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの出口手段(20)は、前記少なくとも1つの入口導管(30)とは別個である、少なくとも1つの出口導管(32)を備え、前記出口導管(32)は、前記流体処理本体(12)の外面に設けられており、かつ前記第2の端部(28)と流体連通している、ことを特徴とする請求項4に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項6】
前記流体処理デバイス(10)は、前記少なくとも1つの入口手段(18)と流体連通している少なくとも1つの空気またはガス入口ボア(24)を更に備え、前記少なくとも1つの移動手段(54;64)は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)と前記容器(C)とを、
第1の中間位置であって、前記少なくとも1つの空気またはガス入口ボア(24)が、前記容器(C)の前記内部容積部の外側に位置しており、かつ前記少なくとも1つの封止手段(22)が前記容器(C)と係合していない、第1の中間位置、および
第2の中間位置であって、前記少なくとも1つの空気またはガス入口ボア(24)が、前記容器(C)の前記内部容積部の内側に位置しており、かつ前記少なくとも1つの封止手段(22)が前記容器(C)と依然として係合していない、第2の中間位置、
のうちの少なくとも一方に、互いに対して別々に移動させるように更に構成されている、ことを特徴とする
、請求項3に直接もしくは間接的に従属する場合の請求項4または5に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項7】
前記飲料調製マシン(1)は、前記容器(C)が前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)内に受けられているときに、前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)に対して前記容器(C)を選択的にロック/ロック解除するための第1のロック手段(52)を備え、一方で、前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)に対して固定されており、前記少なくとも1つの移動手段(54;64)は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)を前記容器(C)に対して、少なくとも前記流体導入位置と前記飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための第1の作動手段(54)を備える、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項8】
前記第1のロック手段(52)は、第1の歯車および/またはてこ機構(56)を備え、前記第1の歯車および/またはてこ機構は、前記飲料調製マシン(1)の固定部分に対して移動可能であり、前記第1の歯車および/またはてこ機構には、前記容器(C)に設けられた少なくとも1つの対応する穴(60)と選択的に係合可能な少なくとも1つの歯(58)が設けられており、前記容器(C)は、前記少なくとも1つの歯(58)が前記少なくとも1つの対応する穴(60)に対して非係合位置にあるときに、前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)から、したがって前記飲料調製マシン(1)から取り外し可能である、ことを特徴とする請求項7に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項9】
前記第1の作動手段(54)は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)に接続された第2の歯車および/またはてこ機構(62)を備え、前記第2の歯車および/またはてこ機構(62)は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)を前記容器(C)に対して垂直軸線(A)に沿って移動させるように構成されている、ことを特徴とする請求項7または8に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの移動手段(54;64)は、前記容器(C)を前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)に対して、前記流体導入位置と前記飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための第2の作動手段(64)を備え、一方で、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)は、前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)に対して固定されている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項11】
前記第2の作動手段(64)は、容器支持デバイス(66)および第3の歯車および/またはてこ機構(68)を備え、前記容器支持デバイス(66)は、前記容器(C)を前記少なくとも1つの容器ホルダに対して、および前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)に対して、垂直軸線(A)に沿って移動させるために、前記第3の歯車および/またはてこ機構(68)によって作動される、ことを特徴とする請求項10に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項12】
前記容器支持デバイス(66)には、前記容器(C)に設けられた少なくとも1つの対応する穴(60)と選択的に係合可能な少なくとも1つのピン(70)を備える第2のロック手段(72)が設けられており、前記容器(C)は、前記少なくとも1つのピン(70)が前記少なくとも1つの対応する穴(60)に対して非係合位置にあるときに、前記少なくとも1つの容器ホルダ(7)から、したがって前記飲料調製マシン(1)から取り外し可能である、ことを特徴とする請求項11に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項13】
前記容器(C)は、可撓性材料から製造されており、前記容器には、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)によって係合される前記容器(C)の部分に、実質的に剛性の材料の追加層(L)が、内部に設けられている、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項14】
前記実質的に剛性の層(L)には、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)によって係合される前記容器(C)の部分に、前記流体処理本体(12)の断面形状に適合する断面形状を有する穴が設けられており、前記穴は、前記少なくとも1つの流体処理デバイス(10)の非動作状態において前記容器(C)の前記可撓性材料の予め定められた部分によって閉鎖されており、前記穴は、前記流体導入位置において前記流体処理本体(12)によって開放される、ことを特徴とする請求項13に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項15】
前記飲料注出位置において、前記流体物質は、前記飲料製品が前記容器(C)から注出されるときに、前記流体処理本体(12)によって前記容器(C)内に同時に導入される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製マシン、特に、流体物質を、例えばサッシェなど容器内に収容された原材料と混合することによって飲料製品を調製するためのマシン関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の家庭内調製のための全ての既知のシステムは、飲料製品を調製するための原材料を貯蔵するための原材料貯蔵容器を受けるマシンを必要とする。一般的に、原材料容器は、飲料調製マシン内に導入され、マシンは、一回分の用量の原材料を通して流体(典型的には熱水)を通過させる。次いで、可溶性原材料と流体物質とを混合することによって調製された飲料製品は、容器から消費者の容器(典型的にはカップ)に注出される。
【0003】
典型的には、飲料調製マシンから容器へと通過した流体は、容器の流体透過性側と接触するシャワープレートのいずれかによって導入される。あるいは、飲料調製マシンは、容器の入口壁を貫通し、その中に流体を(一般に一定の圧力下で)噴射する流体処理デバイスを備える。当該技術分野で知られているそのような飲料調製マシンでは、容器からの飲料製品の注出は、
a)容器の注出壁が自己開口し、飲料製品を送出するまで、容器の閉鎖空洞内部に流体圧力を高めること、または
b)飲料製品を容器の近くから引き出す、または送出することができる、飲料調製マシンの注出穿刺手段(または他の同様の穿刺手段)により容器の注出壁を穿孔すること、のいずれかによって行われる。
【0004】
容器の注出側が自己開口する場合、これは、ある容器から別の容器における、圧力または開口様式の変動、ならびに注出された飲料製品の品質におけるいくつかの望ましくない変化をもたらし得る。
【0005】
飲料調製マシンが、容器の注出壁を穿刺するための注出穿刺手段を備える場合、混合流体を容器内に注入するために使用される流体処理デバイスに加えて、この注出穿刺手段を追加する技術は、飲料調製マシンに複雑さおよびコストを加える。
【0006】
したがって、既存の飲料システムの上記の欠点を除去し、特に、より単純であり、1つの飲料製品から別の飲料製品までより再現可能な品質を長期間提供する飲料調製マシンが必要である。
【発明の概要】
【0007】
請求項1に記載の発明は、流体物質のための流体流通システムと、対応する原料貯蔵容器を受けるように適合された少なくとも1つの容器ホルダと、流体流通システムの一部である少なくとも1つの流体処理デバイスと、を備える飲料調製マシンである。流体流通システムは、少なくとも1つの流体源、少なくとも1つの流体ポンプ、少なくとも1つの流体流通導管、および好ましくは少なくとも1つの流体加熱要素を更に備える。流体処理デバイスは、流体物質を容器に収容された原材料と混合することによって飲料製品を調整するために、流体物質を容器内に導入するための少なくとも1つの入口手段を備える流体処理本体を備える。流体処理本体は、飲料製品を容器から注出するための少なくとも1つの出口手段を更に備える。
【0008】
流体処理デバイスおよび容器を、流体導入位置と飲料注出位置との間で互いに対して別々に移動させるために、少なくとも1つの移動手段が提供される。流体導入位置では、流体処理本体は、容器内に流体物質を導入するために容器の内部容積部の内側に突出している。飲料注出位置では、流体処理本体は、容器の内部容積部から少なくとも部分的に引き出されて、出口手段を通して容器からの飲料製品の完全な注出を可能にする。任意選択的に、飲料注出位置では、流体物質は、飲料製品が容器から注出されるときに、流体処理本体によって容器内に同時に導入され得る。
【0009】
流体導入位置において、流体および/または飲料は、流体処理本体の出口手段の上に下方に漏れても良いことに留意されたい。
【0010】
有利には、流体処理本体は、針状の流体処理本体であり、容器内への流体物質の導入前に、容器の特定の部分または壁を穿孔、穿刺および/または裂くように構成された少なくとも1つの端部を備える。また有利には、流体処理本体は、少なくとも1つの封止手段を更に備え、封止手段は、
流体導入位置では、容器と係合して、容器からの流体物質および/または飲料製品の注出を少なくとも部分的にまたは完全に遮断し、
飲料注出位置では、容器と係合せず、容器からの飲料製品の完全な注出を可能にする。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、流体処理本体は、
流体物質を容器内に導入するための入口手段が設けられている入口部分と、
容器から飲料製品を注出するための出口手段が設けられている出口部分と、
流体処理本体の入口部分に設けられており、容器の一部または壁を開口するように構成された第1の端部と、
流体処理本体の出口部分に設けられた第2の端部と、
流体処理本体内に配置され、第1の端部および流体処理デバイスの第2の入口導管と流体連通している、少なくとも1つの第1の入口導管と、を更に備える。
【0012】
本発明のこの好ましい実施形態では、入口手段および出口手段は、互いに別個である。入口手段は、流体処理本体の第1の入口導管および第1の端部を備え、出口手段は、流体処理本体の第2の端部を備える。
【0013】
本発明のこの好ましい実施形態では、出口手段は、入口導管とは別個である少なくとも1つの出口導管を備え、この出口導管は、流体処理本体の外面に設けられており、かつ流体処理本体の第2の端部と流体連通している。
【0014】
有利には、流体処理デバイスは、入口手段と流体連通している少なくとも1つの空気またはガス入口ボアを更に備える。したがって、移動手段は、流体処理デバイスと容器とを、以下の、
第1の中間位置であって、空気またはガス入口ボアが、容器の内部容積部の外側に位置しており、封止手段が容器と係合していない、第1の中間位置、および
第2の中間位置であって、空気またはガス入口ボアが、容器の内部容積部の内側に位置しており、封止手段が依然として容器と係合していない、第2の中間位置、のうちの少なくとも一方に、互いに対して別々に移動させるように構成されている。1つの好ましい実施形態によれば、飲料調製マシンは、容器が容器ホルダ内に受けられたときに容器ホルダに対して容器を選択的にロック/ロック解除するための第1のロック手段を備え、一方で、容器ホルダは、流体処理デバイスに対して固定されている。移動手段は、流体処理デバイスを容器に対して少なくとも流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための第1の作動手段を備える。好ましくは、第1のロック手段は、第1の歯車および/またはてこ機構を備え、第1の歯車および/またはてこ機構は、飲料調製マシンの固定部分に対して移動可能であり、第1の歯車および/またはてこ機構には、容器に設けられた少なくとも1つの対応する穴と選択的に係合可能な少なくとも1つの歯を備え、容器は、各歯が対応する穴に対して非係合位置にあるときに、容器ホルダから、したがって飲料調製マシンから取り外し可能である。常に好ましくは、第1の作動手段は、流体処理デバイスに接続された第2の歯車および/またはてこ機構を備え、第2の歯車および/またはてこ機構は、流体処理デバイスを容器に対して垂直軸線に沿って移動させるように構成されている。
【0015】
別の好ましい実施形態によれば、移動手段は、容器を流体処理デバイスに対して流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための第2の作動手段を備え、一方で流体処理デバイスは、容器ホルダに対して固定される。好ましくは、第2の作動手段は、容器支持デバイスおよび第3の歯車および/またはてこ機構を備える。容器支持デバイスは、容器を、容器ホルダに対して、および流体処理デバイスに対して、垂直軸線に沿って移動させるために、第3の歯車および/またはてこ機構によって作動される。常に好ましくは、容器支持デバイスには、容器に設けられた少なくとも1つの対応する穴と選択的に係合可能な少なくとも1つのピンを備える第2のロック手段が設けられており、容器は、各ピンが対応する穴に対して非係合位置にあるときに、容器ホルダから、したがって飲料調製マシンから取り外し可能である。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、容器は、可撓性材料から製造されており、流体処理デバイスによって係合される容器の部分には、実質的に剛性の材料の追加層が、内部に設けられている。より好ましくは、実質的に剛性の層には、流体処理デバイスによって係合される容器の部分に、流体処理本体の断面形状と適合する断面形状を有する穴が設けられている。この穴は、流体処理デバイスの非動作状態において、容器の可撓性材料の予め定められた部分によって閉鎖されている。したがって、この穴は、流体導入位置において流体処理本体によって開口される。
【0017】
好ましくは、飲料注出位置において、流体物質は、飲料製品が容器から注出されるときに、流体処理本体によって容器内に同時に導入され、それにより、流体と原材料とが混合され、所望される場合には泡沫飲料製品を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照して以下に記載された好ましい実施形態の説明に記載されており、この実施形態から明らかになるであろう。
【
図1】本発明による飲料調製マシンの概略図である。
【
図2】本発明による飲料調製マシンのための流体処理デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【
図3】
図2の流体処理デバイスの別の斜視図である。
【
図5】
図2の流体処理デバイスの更に別の斜視図であり、流体処理デバイスの更なる構成要素が示されている。
【
図6A】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、非動作状態における
図2の流体処理デバイスを、すなわち、流体が原材料貯蔵容器内に導入される前の状態を示す。
【
図6B】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、非動作状態における
図2の流体処理デバイスを、すなわち、流体が原材料貯蔵容器内に導入される前の状態を示す。
【
図6C】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、非動作状態における
図2の流体処理デバイスを、すなわち、流体が原材料貯蔵容器内に導入される前の状態を示す。
【
図7A】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第1の動作位置で、すなわち流体導入位置で示し、流体処理デバイスは、流体を原材料貯蔵容器内に導入することができ、かつこの流体が容器の外側に漏れないようにするように、原材料貯蔵容器の内側に封止様式で突出している。
【
図7B】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第1の動作位置で、すなわち流体導入位置で示し、流体処理デバイスは、流体を原材料貯蔵容器内に導入することができ、かつこの流体が容器の外側に漏れないようにするように、原材料貯蔵容器の内側に封止様式で突出している。
【
図7C】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第1の動作位置で、すなわち流体導入位置で示し、流体処理デバイスは、流体を原材料貯蔵容器内に導入することができ、かつこの流体が容器の外側に漏れないようにするように、原材料貯蔵容器の内側に封止様式で突出している。
【
図8A】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第2の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体および予め定められた量の空気またはガスの両方を原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図8B】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第2の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体および予め定められた量の空気またはガスの両方を原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図8C】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第2の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体および予め定められた量の空気またはガスの両方を原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図9A】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第3の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体のみを原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図9B】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第3の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体のみを原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図9C】第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、
図2の流体処理デバイスを第3の動作位置で示し、流体処理デバイスは、流体のみを原材料貯蔵容器内に導入することができ、同時に、結果として生じる飲料製品がユーザのカップに向かって出ることができるように、原材料貯蔵容器の内側に突出している。
【
図10】本発明による飲料調製マシンのための流体処理デバイスの別の可能な実施形態の斜視図である。
【
図13】本発明による飲料調製マシンのための流体処理デバイスの更なる可能な実施形態の斜視図である。
【
図15A】側面図に飲料調製マシンのロック手段の2つの異なる動作位置を示し、ロック手段は、容器ホルダに対して原材料貯蔵容器を選択的にロック/ロック解除することができる。
【
図15B】側面図に飲料調製マシンのロック手段の2つの異なる動作位置を示し、ロック手段は、容器ホルダに対して原材料貯蔵容器を選択的にロック/ロック解除することができる。
【
図15C】側面図に、
図15A~15Bのロック手段の2つの異なる動作位置を示す。
【
図15D】側面図に、
図15A~15Bのロック手段の2つの異なる動作位置を示す。
【
図16A】側面図に、流体処理デバイスを容器に対して流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で移動させるための作動手段の好ましい実施形態を示す。
【
図16B】側面図に、流体処理デバイスを容器に対して流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で移動させるための作動手段の好ましい実施形態を示す。
【
図17A】側面図に、容器を、容器ホルダに対して、及び流体処理デバイスに対して、流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための作動手段の好ましい実施形態を示す。
【
図17B】側面図に、容器を、容器ホルダに対して、及び流体処理デバイスに対して、流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるための作動手段の好ましい実施形態を示す。
【
図18】
図17A~17Bの作動手段のいくつかの構成要素の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態による飲料調製マシンのレイアウトを概略的に示す。
【0020】
飲料調製マシンは、参照番号1により全体が示されており、流体物質のための流体流通システムを備える。流体物質は、典型的には、(4℃から20℃の間の)低温状態、(20℃から35℃の間の)常温状態、または(35℃から95℃の間の)高温状態の水である。好ましくは、流体物質は、40℃から90℃を有する温度の水である。
【0021】
例えば、流体流通システムは、好ましくは、少なくとも1つの流体源2、少なくとも1つの流体ポンプ3、および少なくとも1つの流体流通導管6を備える。流体流通システムはまた、少なくとも1つの流体加熱要素4を備えても良い。そのような流体流通システムは、当該技術分野で公知である。流体源2は、例えば、流体流通システムに接続された取り外し可能な水リザーバであり得る。代替的な流体源は、例えば、水道水接続部、非水食用流体キャニスタ、または水ボトル接続部を含むことができる。流体ポンプ3は、例えば、20barの最大出力圧を送出する標準的ピストンポンプとすることができる。もちろん、代替の流体ポンプを設けることもできる。
【0022】
飲料調製マシン1は、少なくとも1つの容器ホルダ7を備え、これは対応する容器Cを受けるように適合されている。容器ホルダ7は、少なくとも飲料調製マシンが飲料を調製するために実際に動作する間に、飲料調製マシン1内での容器Cの静的位置合わせを確実にするように適合された機械的要素であり、対応する流体流通システムは、流体物質を容器の内部にまたは容器を通して流体を注入するのに機能的な様式で容器Cに接続することができる。これらの容器ホルダは、当該技術分野で公知である。
【0023】
飲料調製マシン1は、少なくとも1つの流体処理デバイス10を更に備え、これは流体流通システムの一部であり、流体処理本体12を備える(
図2)。流体処理本体12は、飲料製品を調製するために流体物質を容器C内に導入するための少なくとも1つの入口手段18を備える。好ましくは、流体処理本体12は、針状の流体処理本体12である。「針状」という用語により、流体処理本体12が、容器C内への流体物質の導入の前に、容器Cの特定の部分または壁を穿孔、穿刺および/または裂くように構成されている少なくとも1つの端部26、28を含むことが意図される。流体処理本体12は、容器C内に少なくとも部分的に貫通することができるように成形されている。
【0024】
飲料製品の調製は、流体物質を容器Cに収容された原材料と混合することによって得られる。好ましくは、原材料は、焙煎して挽いたコーヒー、固形状のまたは非固形状の、可溶性粉末コーヒー、または葉茶のリストから選択される。乳製品原材料(例えば、牛乳またはクリーマー)も提供することができ、チョコレート、果汁、スープ、野菜ジュース、ブイヨン、スムージー、ピュレー、クーリ、クリーム、またはそれらの組み合わせも、粉末可溶性形態、種々の粘度を有する液体濃縮形態、またはゲル形態で提供することができる。「流体物質と原材料との混合」という表現により、容器Cに収容された全ての原材料が、飲料製品を得るために流体物質(典型的には水)との一般的な混合動作(溶解、抽出、または浸出)に適合する形態であることが意図される。
【0025】
本発明によれば、流体処理デバイス10の針状の流体処理本体12は、容器Cから飲料製品を注出するための少なくとも1つの出口手段20を備える。飲料調製マシン1には、流体処理デバイス10と容器Cとを互いに対して別々に移動させるために少なくとも1つの移動手段54、64が設けられており、流体処理デバイスと容器は、
流体導入位置であって、針状の流体処理本体12が、流体物質を容器内部に導入するために容器Cの内部容積部の内側に突出する、流体導入位置と、
飲料注出位置であって、針状の流体処理本体12が、容器Cの内部容積部から少なくとも部分的に引き出されて、容器Cから出口手段20を通した飲料製品の注出を可能にする、飲料注出位置と、の間で移動される。任意選択的に、飲料注出位置において流体物質は、飲料製品が容器Cから注出されるときに、針状の流体処理本体12によって容器C内に同時に導入することができる。任意選択的に、流体導入位置の間、流体物質および/または飲料製品は、流体処理本体12の出口手段20上に部分的に下方に漏れても良い。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、針状の流体処理本体12は、少なくとも1つの封止手段22を更に備え、封止手段22は、流体物質が容器C内に少なくとも導入されるときに、容器Cからの流体物質および/または飲料製品の漏れを防止するために容器Cと係合される。言い換えれば、針状の流体処理本体12に封止手段22が設けられている場合、流体導入位置においてこれらの封止手段22は容器Cと係合し、容器Cからの流体物質および/または飲料製品の注出を遮断する(
図7A~7C)。飲料注出位置では、これらの封止手段22は、容器Cと係合せず、容器Cからの飲料製品の完全な注出を可能にする(
図8A~9C)。しかしながら、封止手段22は、本発明の本質的な特徴ではない。
【0027】
図2~9に示された流体処理デバイス10の実施形態によれば、針状の流体処理本体12は、入口部分14および出口部分16を備える。流体物質を容器C内に導入するための入口手段18は、針状の流体処理本体12の入口部分14に設けられ、一方で、容器Cから飲料製品を注出するための出口手段20は、針状の流体処理本体12の出口部分16に設けられる。針状の流体処理本体12の入口手段18および出口手段20は、好ましくは互いに別個であり、単一の流体処理デバイス10により、混合流体物質(典型的には熱水)を容器C内に導入することと、容器C内に生成された飲料製品を注出することとの両方を可能にする。
【0028】
好ましくは、
図2~9に示された流体処理デバイス10の実施形態によれば、針状の流体処理本体12は、第1の端部26と第2の端部28とを備え、第1の端部は、針状の流体処理本体12の入口部分14に設けられており、容器Cの特定の部分を(例えば、裂く、穿刺および/または穿孔によって)開口するように構成されており、第2の端部は、針状の流体処理本体12の出口部分16に設けられている。針状の流体処理本体12は、その中に配置された少なくとも1つの入口導管30を更に備える。入口導管30は、針状の流体処理本体12の第1の端部26および第2の流体処理本体34の第2の入口導管36と流体連通しており、以下で詳細に説明する。入口導管30および第1の端部26は、したがって、針状の流体処理本体12の入口手段18に含まれる。より正確には、入口導管30は、針状の流体処理本体12に埋め込まれたチューブの形状の閉鎖導管であり、流体物質を空気にさらすことなく容器C内に挿入することを可能にする。
【0029】
図2~9の流体処理デバイス10の実施形態に示されるように、封止手段22は、好ましくは、針状の流体処理本体12の第1端部26と第2の端部28との間に設けられる。好ましくは、針状の流体処理本体12は、垂直に向けられた細長い本体、より好ましくは尖った形状の本体であり、その第1の端部26とその第2の端部28と封止手段22とは、垂直軸線Aを中心に同軸上に配置されている。より好ましくは、図に示されるように、第1の端部26は、飲料調製マシン1内で、流体処理デバイス10の位置に対して上向きに向けられる。更により好ましくは、針状の流体処理本体12の第1の端部26および/または第2の端部28は、それぞれ尖った形状の部分である。尖った形状の第1端部26は、したがって、例えば、容器Cの特定の部分を穿孔、穿刺、または裂くことによって開口し、その中に流体物質を注入するように構成されている。これについては、以下に詳細に説明する。尖った形状の第2端部28は、飲料調製マシン1内で流体処理デバイス10の位置に対して下向きに向けられ、それにより、飲料製品の流れをユーザのカップへと正確に導く。
【0030】
流体処理デバイス10の出口手段20は、針状の流体処理本体12の第2の端部28と、入口手段18の入口導管30とは別個である少なくとも1つの出口導管32とを含む。より具体的には、
図2~9の実施形態に示されるように、各出口導管32は、針状の流体処理本体12の外面に設けられた溝付きチャネルの形態で得られる。したがって、各溝付きチャネルは、針状の流体処理本体12の第2の端部28と流体連通している。
【0031】
好ましくは、流体処理デバイス10の動作時に、容器Cからの流体物質および/または飲料製品の漏れを防止するために、容器Cと係合するように構成された封止手段22は、針状の流体処理本体12の拡大部分22Aからなる。より具体的には、針状の流体処理本体12のこの拡大部22Aは、針状の流体処理本体12の第1の端部26と第2の端部28との間に含まれ、第1の端部26と拡大部分22A自体との間に含まれる針状の流体処理本体12の部分の何れの断面積よりも大きい断面積を有する。流体処理本体12のこの拡大部分22Aは、エラストマー材料により少なくとも部分的に覆われて、より良好な封止特性を確保することができる。針状の流体処理本体12のこの拡大部分22Aは、したがって、針状の流体処理本体12の第1の端部26によって開口された容器Cの部分において容器Cの壁に対して接着するように構成されている。
【0032】
好都合には、溝付きチャネルの形態の各出口導管32は、おり、針状の流体処理本体12の第1の端部26と、針状の流体処理本体12の拡大部分22Aとの間に含まれる部分において、垂直に向けられた針状の流体処理本体12の外面に設けられている。飲料を針状の流体処理本体12の第2の端部28に案内するための飲料案内要素50が、したがって、拡大部分22Aと第2の端部28との間に設けられている。好ましくは、飲料案内要素50は、針状の流体処理本体12の拡大部分22Aから第2の端部28に向かって減少するテーパ状の断面積を有する。より好ましくは、飲料案内要素50は、円錐形状を有する。更により好ましくは、飲料案内要素50は、出口部分16にある追加の尖った要素を有する切頭円錐形状である。したがって、容器Cから注出された飲料製品は、出口導管32によって第2の端部28に飲料案内要素50を通って案内され、それにより、この飲料製品の流れを、飲料案内要素50の下に置かれたユーザのカップへと正確に導く。
【0033】
流体処理デバイス10の出口手段20が、針状の流体処理本体12に対して外部に配置されているという事実は、出口手段20が溝付きチャネルの形態で得られる、すなわち、(従来の円筒状チャネルに典型的である)閉ループ断面ではなく開断面により得られるという事実と相まって、流体物質と可溶性原材料との混合物に基づいて飲料製品を処理する際に特定の利点をもたらす。実際には、容器C内に収容された可溶性原材料がほとんど固体粒子からなる場合、これらの固体粒子(例えば、ビスケットビットなど)のいくつかは、ユーザによって適切に摂取されるように、流体物質(例えば、熱水)との混合後でも、それらの固体状態に留まる。したがって、出口手段20の開断面は、これらの粒子が流体物質と共にユーザのカップへと通過することを、他の設計された注出円筒チャネルがブロックするリスクなしに、可能にする。
【0034】
更に、溝付きチャネルは、針状の流体処理本体12の第1の端部26から拡大部分22Aまで増大または縮小する可変の開断面を有することができる。言い換えれば、溝付きチャネルは、それらの頂部から底部まで、特定のプロファイル(すなわち、傾斜)で任意選択的に製造することができ、溝付きチャネルの開断面は、容器C内への針状の流体処理本体12の高さ位置に応じて増大または縮小して、カップに出る飲料製品の流量を適合させ、混合中の容器C内の流体圧力も適合させる。
【0035】
任意選択的に、流体処理デバイス10には、少なくとも1つの空気またはガス入口ボア24を設けることができる。この空気またはガス入口ボア24は、入口手段18と流体連通しており、
図2~9の実施形態では、第1の端部26と封止手段22との間で針状の流体処理本体12上に配置されている。
図2~9の実施形態によれば、空気またはガス入口ボア24は、針状の流体処理本体12の側壁上に得られた貫通孔の形態であり、流体内転のために入口導管30と流体連通するように配置されている。以下に詳細に説明するように、空気またはガス入口ボア24は、入口導管30が流体処理デバイス10の特定の動作状態で外部環境と接触することを可能にし、予め定められた量の空気またはガスの吸引を可能にし、空気またはガスが流体物質と混合され、ベンチュリ効果によって、入口導管30を通して容器C内に導入される。
【0036】
針状の流体処理本体12に空気またはガス入口ボア24が設けられている場合、飲料調製マシン1の移動手段54、64は、流体処理デバイス10と容器Cとを、以下の中間位置、すなわち、
空気またはガス入口ボア24が、容器Cの内部容積部の外側に位置し、封止手段22が、設けられている場合には、容器Cと係合していない第1の中間位置(
図8A~8C)、および
空気またはガス入口ボア24が、容器Cの内部容積部の内側に位置し、封止手段22が、設けられている場合には、依然として容器Cと係合していない第2の中間位置(
図9A~9C)、のうちの少なくとも1つに、互いに対して別々に移動させるように構成されている。
【0037】
より具体的には、
図2~9の実施形態において、流体処理デバイス10は、ベンチュリ効果を選択的に取得する、または取得しないよう、第1の中間位置と第2の中間位置との間で移動するように構成されている。別の可能な実施形態では、流体処理デバイス10は、ベンチュリ効果を常に取得するように、流体処理デバイス10のガス入口ボア24を容器Cの内部容積部の外側に常に維持するように構成されている。好ましくは、流体処理デバイス10のこの可能な実施形態において、ガス入口ボア24は、針状の流体処理本体12の封止手段22と第2の端部28との間に配置することができる。より好ましくは、流体処理デバイス10のこの可能な実施形態では、封止手段22が、針状の流体処理本体12上には設けられていない。
【0038】
流体処理デバイス10は、好ましくは、これまで説明した針状の流体処理本体12に接続された第2の流体処理本体34を備える。より好ましくは、第2の流体処理本体34は、針状の流体処理本体12と、その結合端部44において一体的に製造されている。第2の流体処理本体34には、針状の流体処理本体12の入口導管30と流体連通するように配置された第2の入口導管36が内部に設けられている。
【0039】
例えば
図6B,7B,8Bおよび9Bに示された本発明の好ましい態様によれば、第2の入口導管36は、入口導管30に向かって減少する断面積を有する収束導管である。より具体的には、第2の入口導管36には、好ましくは、第1の予め定められた断面積を有する少なくとも1つの第1の導管部分38と、第2の予め定められた断面積を有する第2の導管部分40とが設けられており、第2の予め定められた断面積は、第1の導管部分38の第1の予め定められた断面積よりも小さい。第2の導管部分40は、第1の導管部分38の下流に配置され、流体処理デバイス10の針状の流体処理本体12に得られた入口導管30と流体連通している。
【0040】
加えて、少なくとも1つの貫通孔42は、針状の流体処理本体12に得られた入口導管30と、第2の流体処理本体34に得られた第2の入口導管36との間に配置することができる。好都合には、貫通孔42は、針状の流体処理本体12の入口導管30の平均断面積、および第2の流体処理本体34の第2の入口導管36の平均断面積の両方よりも小さい平均断面積を有する。
【0041】
収束断面プロファイルを備える第2の流体処理本体34の専用構成、および貫通孔42の存在により、流体処理デバイス10によって容器C内に導入される流体物質の速度を適切に設定することができる。実際、第2の流体処理本体34の収束断面プロファイルは、飲料調製マシン1によって流体処理デバイス10内にポンプ輸送される流体物質の速度を増加させることができる。加えて、貫通孔42は、流体物質が針状の流体処理本体12の入口導管30から流出する前の、流体物質の速度を更に増加させるために設けられている。貫通孔42の存在は、原材料の良好な溶解および飲料製品の再構成を確実にする。貫通孔42は、飲料製品再構成中の流体物質の流れおよび圧力を規定する。貫通孔42はまた、「逆流防止」機能を有することもでき、それにより、流体物質が容器Cから、入口導管30、貫通孔42自体、および第2の入口導管36の配列からなる流体ラインに逆流するリスクを低減する。
【0042】
本発明の好ましい態様によれば、第2の流体処理本体34は、針状の流体処理本体12に対して直交して配置されており、それにより、入口導管30は、第2の入口導管36に対して実質的に直交する。したがって、流体処理デバイス10が、その動作状態において飲料調製マシン1に適切に接続されている場合、針状の流体処理本体12は、実質的に垂直方向に沿って向けられ(
図4の軸線Aにより示されている)、その第1の端部26は上部に、その第2の端部28は底部に位置し、一方で、第2の流体処理本体34は実質的に水平である。結果として、流体処理デバイス10の動作状態において、入口導管30は、実質的に垂直方向に沿って向けられるが、第2の入口導管36は、実質的に水平方向に沿って向けられる。
【0043】
第2の流体処理本体34には、流体処理デバイス10を飲料調製マシン1に取り外し可能に連結するために連結部分46を設けることができる。このように取り外し可能に連結することにより、流体処理デバイス10を飲料調製マシン1から取り外し、このマシン1に関して別々に、例えば食器洗浄機で洗浄することができる。連結部分46は、針状の流体処理本体12を備えるその結合端部44に対して、第2の流体処理本体34の反対側の端部に配置される。図に示すように、連結部分46には、少なくとも1つの第3の入口導管48を内部に設けることができ、第3の入口導管は、第2の流体処理本体34の第2の入口導管36の平均断面積よりも大きい平均断面積を有し、それにより、流体物質が針状の流体処理本体12の入口導管30から流出する前の、流体物質の速度を更に増加させる。
【0044】
図6A~6Cでは、第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、流体処理デバイス10の非動作状態が示されている。この非動作状態では、流体処理デバイス10が容器Cの外側に示されており、すなわち、流体物質を入口手段18を通して容器C内に導入する前の状態が示されている。言い換えれば、この非動作状態では、流体物質および他の物質は、流体処理デバイス10の入口手段18および出口手段20を通過しない。
【0045】
図7A~7Cでは、第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、流体処理デバイス10の第1の動作状態、すなわち流体導入位置が示されている。この第1の動作状態では、針状の流体処理本体12の少なくとも一部分が、流体物質を入口手段18によって容器内に導入できるように、容器Cの内側に突出する。
【0046】
この流体導入位置では、
図2~9に示される実施形態における封止手段22、すなわち、針状の流体処理本体12の拡大部分22Aが、容器Cの底壁と接触していることが好ましいが、必須ではない。この実施形態では、出口手段20、すなわち、溝付きチャネルの形態の出口導管32が、針状の流体処理本体12の側壁上に、針状の流体処理本体12の拡大部分22Aの位置より上の位置で設けられる。このようにして、流体処理デバイス10の流体導入位置では、出口導管32が、封止手段22と容器Cとの間の封止係合により容器C内に完全に挿入され、容器Cから何れの流体物質もおよび/または他の物質も漏れない、またはほとんど漏れない。
【0047】
図2~9に示される実施形態では、流体処理デバイス10の針状の流体処理本体12は、第1の尖った形状の端部26が流体処理本体12の入口部分14に設けられた尖った形状の本体である。したがって、この尖った形状の端部26は、容器Cの特定の部分を穿孔、穿刺および/または裂き、容器内に流体物質を注入するように構成されている。しかしながら、以下で説明するように、入口部分14が流体処理デバイス10の第1の動作状態に別のやり方で達するように別のやり方で構成された、針状の流体処理本体12の他の実施形態も想定され、これは、例えば
図10~14の実施形態であり、以下に詳細に説明する。
【0048】
図に示される飲料調製マシン1の特定の実施形態では、容器Cは、好ましくは、多層の可撓性材料から製造され、より好ましくは、本質的に紙層から製造される。好ましくは、この容器Cには、内部においてその下部部分、すなわち、流体処理デバイス10によって係合される部分に、実質的に剛性の材料の追加層Lが設けられている。この実質的に剛性の材料は、例えば、酸素および水分に対するバリアを形成することができる堆肥化可能なプラスチックであり得る。堆肥化可能とは、容器C全体を果物および野菜の皮と一緒に使用後に廃棄できることを意味する。容器Cの他の実施形態も可能ではあるが、図に示される飲料調製マシン1の特定の実施形態において、好ましくは、そのような容器Cは、実質的に剛性の部分を針状の流体処理本体12との接触領域に有する。それは、容器Cの少なくとも一部分の相対的剛性が、針状の流体処理本体12の封止手段22と協働するのに有利であるからである。
【0049】
容器Cの好ましくは実質的に剛性の層には、その底部に、針状の流体処理本体12の断面形状、すなわち尖った形状の本体の断面形状に適合する断面形状(例えば、円形断面形状)を有する注入孔が設けられている。流体処理デバイス10の非動作状態において、注入孔は、容器Cの多層可撓性材料の底部分によって閉鎖されている(好ましくは気密モードである)。円形断面形状の場合、注入孔の直径は、尖った形状の本体の平均直径よりも大きいが、(これらの封止手段22が針状の流体処理本体12上に設けられている場合)封止手段22の最大直径、すなわち尖った形状の本体の拡大部分22Aの最大直径以下である。この構成により、針状の流体処理本体12を、針状の流体処理本体12が容器Cに向かって移動している間に、封止手段22が注入孔の周縁に対する封止位置に達するまで注入孔を通して容器C内に導入することができる(注入孔を閉鎖する多層可撓性材料の部分を破壊または裂くことができる)。この封止位置では、針状の流体処理本体12と容器Cとの間での更なる移動は許容されず、したがって、上に記載し、
図7A~7Cに示された流体導入位置が得られる。
【0050】
図8A~8Cでは、第1の斜視図、断面図および第2の斜視図においてそれぞれ、流体処理デバイスの第1の中間位置10が示されている。この第1の中間位置では、針状の流体処理本体12の少なくとも一部分が、依然として容器Cの内側に突出している。これは、上に記載した流体導入位置で起こるものと同様であるが、封止手段22は、容器Cの底壁と緊密に接触していない。言い換えれば、この第1の中間位置では、流体導入位置と比較すると、流体処理本体12のより小さい部分が、容器Cの内側に突出しており(この事実は、
図7Bと
図8Bとを比較すると見て取れる)、それにより、流体物質を入口手段18によって容器C内に導入することができ、かつ同時に、得られた飲料製品は出口手段20を通って出ることができる。
【0051】
より具体的には、この第1の中間位置において、針状の流体処理本体12は、その空気またはガス入口ボア24が容器Cの外側に残るように、容器Cの内側に突出している。したがって、この第1の中間位置では、ベンチュリ効果による流体物質の注入と共に、容器C内への空気またはガスの注入が可能である。流体物質と、空気または気体とを容器Cへ同時に注入することに起因して得られるベンチュリ効果は、流体物質の容器C内への注入が入口手段18によって実行されたときにのみ生じることに留意されたい。実際には、流体物質の入口手段18を通した容器C内への注入が停止すると直ちに、空気またはガス入口ボア24を通したベンチュリ吸引効果はもはや機能しなくなる。したがって、注出モードにおいてのみ、すなわち、飲料製品が完全に調製され、出口手段20を通って流出するときには、ベンチュリ効果は生じない。
【0052】
基本的に、ベンチュリ効果は、流体物質が流体処理デバイス10の入口手段18内で高速で流通するときに、空気またはガス入口ボア24を通して所定量の空気またはガスを引き込むという事実である。これは、流体力学の分野で知られている物理的特性である吸引によるものである。空気またはガスが容器C内に注入される流体物質の流れの中に引き込まれる(すなわち吸引される)とき、この空気またはガスも可溶性原材料と混合される。可溶性原材料、流体物質、および空気またはガスからなる混合物は、泡沫飲料製品(泡立てたミルク、クリーミーチョコレートなど)に必要な泡沫ブーストを生成する。
【0053】
明らかに、流体物質と一緒に空気またはガスの吸引する効果は、空気またはガス入口ボア24が容器Cの外側に位置する場合にだけ機能することができる。したがって、針状の流体処理本体12が容器C内に十分に挿入され、それにより、空気またはガス入口ボア24が容器Cの内側に、例えば、下に説明する流体処理デバイス10の第2の中間位置で位置する場合、ベンチュリ効果を停止することができる。
【0054】
図9A~9Cでは、第1の斜視図、断面図、および第2の斜視図においてそれぞれ、流体処理デバイス10の第2の中間位置が示されている。この第2の中間位置は、空気またはガス入口ボア24も容器C内に配置されるように針状の流体処理本体12が容器Cの内側に挿入されるという事実を除いて、基本的に上記の第1の中間位置と同様である(特に
図9Bを参照)。一方で、封止手段22は、再び、容器Cの底壁と緊密に接触していない。
【0055】
したがって、この第2の中間位置では、流体物質を入口手段18によって容器Cの内側に導入することができ、かつ同時に、得られた飲料製品は、出口手段20を通ってカップに向かって出ることができる。しかしながら、この第2の中間位置ではベンチュリ効果は生じず、空気またはガスは、空気またはガス入口ボア24を通して容器C内に注入されず、流体物質のみが注入フェーズの間に容器C内に導入される。
【0056】
ベンチュリ効果に関係なく、第1の中間位置および第2の中間位置の両方で、流体物質は、針状の流体処理体12の入口手段18を通して容器C内に注入される。容器C内に注入された流体物質は、可溶性原材料(例えば、コーヒー粉末)と混合されて、飲料製品を生成する。これらの中間位置においても、針状の流体処理本体12は、部分的に容器Cから出ており、それにより、注出溝付きチャネルは、常に少なくとも部分的に容器Cの外側に位置し(すなわち、注出溝付きチャネルは開放している)、したがって、飲料製品を容器Cからユーザのカップへ送出することができる。したがって、流体物質の容器C内への注入と同時に、飲料製品もユーザのカップへ注出される。
【0057】
図10~14は、流体処理デバイス10の更なる実施形態を示している。これらの実施形態では、流体処理本体12は、
図2~9を参照して前述した形状とは異なる形状を有する。より正確には、出口手段20の機能は他の出口案内要素によって実行することができるので、出口手段20は、溝付きチャネルの形態の出口導管32とは異なる。例えば、
図9~13に示される実施形態では、出口手段20は、第1の入口導管30と同様に、少なくとも流体処理本体12の内側に配置された出口導管も含む。他の実施形態では、これらの出口案内要素は、流体処理本体12の外面および/または流体処理本体12の内側に配置された1つ以上の出口導管、および/または流体処理本体12の外面に配置された1つ以上の出口導管であり得る。
【0058】
図10~14の実施形態では、流体処理本体12の外面に特定の封止手段は設けられていない。しかしながら、特定の封止機能は、入口手段18の下に位置する、流体処理本体12の外面の特定の部分(必ずしも「拡大された」部分ではない)によって実行することができる。流体処理本体12の外面のこの特定の部分はまた、設けられている場合、流体処理本体12の第1の端部26によって開口された容器Cの部分において容器Cの壁に対して接着するように構成することができる。好ましくは、
図10~14の実施形態では、流体処理本体12と容器Cとの間にいかなる種類の封止手段22も提供されない。結果として、飲料の調製中に、僅かにまたは無視できる程度に漏れた液体物質しかユーザのカップに落下しない。
【0059】
有利には、
図10~14の実施形態では、流体処理本体12の外面はテーパ状になっている。常に有利なことに、第2の流体処理本体34の入口導管は、
図2~9の実施形態について開示されるように、入口導管30に向かって減少する断面積を有する。更に、流体処理本体12の第1の端部26および/または第2の端部28の少なくとも1つは、尖った形状でなくても良いが、実質的に平坦な部分またはわずかに湾曲した部分であって良いことに留意されたい。実際、流体処理本体12の実質的に平坦な第1の端部26は、例えば、容器Cの特定の部分もしくは壁を容器Cの内側に押し込むことによって、および/または容器Cの特定の部分もしくは壁を容器Cから取り外す、もしくは開封することによって、容器Cの特定の部分もしくは壁を効果的に開口することができる。この場合、容器Cは、容器Cの特定の部分または壁がこの底部に設けられた貫通孔を覆って閉鎖するように、容器Cの特定の部分または壁が、容器の底部に溶接または接着されるように設計されている。あるいは、この特定の部分または壁には、一種の脆弱化プロファイルを設けることができ、脆弱化プロファイルは、流体処理本体12の第1の端部26がこの部分または壁を取り外す、または開封する、および/または容器Cの内側に押し込むことを可能にする。尖った形状の第1の端部26を有さないこの実施形態によれば、流体処理本体12は、必ずしも針状ではなく、任意の適切な形状を有することができる。
【0060】
図10~14の実施形態では、任意選択的のガス入口ボア24は、流体処理デバイス10上に配置することができ、
図2~9の実施形態の第2の動作状態におけるように、容器Cの外側に留まり、ベンチュリ効果を伴う、または、
図2~9の実施形態の第3の動作状態におけるように、容器Cの内部に配置することができ、ベンチュリ効果を伴わない。好ましくは、
図9および10の実施形態では、ガス入口ボア24は、流体処理デバイス10の第2の流体処理本体34上に配置されており、流体処理本体12の入口手段18と専用導管24Aを通して常に流体連通している(
図12に図示されている)。
図9および10のこの実施形態では、ガス入口ボア24は、流体処理デバイス10上の位置にあり、このガス入口ボア24が常に容器Cの外側に留まり、したがって常にベンチュリ効果を提供する。
図11~13の実施形態では、ガス入口ボア24は、流体処理本体12の第2の端部、すなわち流体処理本体12の下部部分に配置されており、流体処理本体12の入口手段18と専用導管24Aを通して常に流体連通している(
図14に示されている)。
図11~13のこの実施形態でも、ガス入口ボア24は、流体処理デバイス10上の位置にあり、このガス入口ボア24が常に容器Cの外側に留まり、したがって常にベンチュリ効果を提供する。図示されていない、流体処理デバイス10の更なる変形によれば、任意選択のガス入口ボア24は、流体処理本体12および/または第2の流体処理本体34上に異なる位置で配置することができ、それにより、任意選択のガス入口ボア24は、常に容器Cの外側に留まり、したがって、常にベンチュリ効果を提供する。
【0061】
これまで説明したすべての実施形態を考慮すれば、容器Cの特定の部分または壁に関連する場合の「開口」という用語は、容器C内への流体物質の導入前に、容器Cのこの特定の部分または壁を、穿孔する、穿刺する、裂く、取り外す、開封する、容器Cの内側に押し込む、または何らかの同等のやり方で開放すること、を意味することを意図する。
【0062】
好ましくは、容器Cは、パウチまたはサッシェなどの単回使用の容器、または可撓性である側壁を少なくとも有する任意の既知の容器である。容器Cはまた、カプセル、ポッド、パッド、ボトル、フローバッグ、キャニスターなどの任意の他の開口可能(例えば、穿刺可能)な閉鎖包装であって良い。代替的に、容器Cは、例えば、複数回分の用量の原材料を貯蔵するための大きな貯蔵区画、および貯蔵区画から移送される一度に1回分の用量の原材料を受けることができる分与および混合チャンバを有する、複数回分の用量容器であって良い。
【0063】
図15A~15Dは、飲料調製マシン1用の容器ホルダ7の実施形態を開示する。この容器ホルダ7は、当技術分野で公知のタイプであるので詳細には説明しないが、容器Cを支持するための座部8を備えている。
図15A~15Bに示されるように、飲料調製マシン1には、容器Cが容器ホルダ7のその座部8に受けられたときに、容器ホルダ7に対して容器Cを選択的にロック/ロック解除するための第1のロック手段52を設けることができる。
図15A~15Dによる実施形態では、容器ホルダ7は、流体処理デバイス10に対して固定されている。
【0064】
図15A~15Dおよび
図16A~16Bに示される飲料調製マシン1の第1の好ましい実施形態では、流体処理デバイス10は、容器Cに対して可動であり、容器は、その容器ホルダ7および飲料調製マシン1に対して固定されている。
図15A~15Dのこの特定の実施形態では、飲料調製マシン1の移動手段54、64は、流体処理デバイス10を容器Cに対して少なくとも流体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で移動させるための第1の作動手段54(
図16A~16B)を備える。
図15A~15Dのこの特定の実施形態では、容器ホルダ7に対する容器Cの第1のロック手段52は、第1の歯車および/またはてこ機構56を備える。
図15A~15Dのこの特定の実施形態では、第1の歯車および/またはてこ機構56は、飲料調製マシン1の固定部分上に得られたそれぞれのヒンジ80を中心に回転可能な少なくともレバー78からなる。したがって、第1の歯車および/またはてこ機構56は、飲料調製マシン1の固定部分に対して移動可能であり、レバー78に設けられた少なくとも1つの歯58は、容器Cに設けられた少なくとも1つの対応する穴60(
図15C~15D)と選択的に係合可能である。容器Cは、歯58が対応する穴60に対して非係合位置にあるときのみ、容器ホルダ7から、したがって飲料調製マシン1から取り外し可能である。第1の歯車および/またはてこ機構56のこの実施形態は、説明のみを目的として記載および図示されており、この第1の歯車および/またはてこ機構の更なる実施形態を提供できることに留意されたい。
【0065】
容器Cに対して可動である流体処理デバイス10を示す
図16A~16Bの実施形態では、第1の作動手段54は、流体処理デバイス10に接続された第2の歯車および/またはてこ機構62を備える。
図16A~16Bのこの特定の実施形態では、第2の歯車および/またはてこ機構62は、流体処理デバイス10に接続された少なくともロッド76を作動させる複数の歯車74からなる。第2の歯車および/またはてこ機構62は、流体処理デバイス10を針状の流体処理本体12の垂直軸線Aに沿って容器Cに対して移動させるように構成されている。より具体的には、
図16A~16Bに示されるように、歯車74の回転は、ロッド76の対応する垂直方向の移動を引き起こし、次に、流体処理デバイス10を軸線Aに沿って垂直方向に、
図16Aの係合位置(すなわち、
図7A~7Cの流体導入位置)と
図16Bの非係合位置(すなわち、
図6A~6Cの非動作状態)との間で移動させる。更に、歯車74の回転およびロッド76の対応する垂直方向の移動はまた、流体処理デバイス10の、軸線Aに沿った垂直方向の移動を引き起こし、
図8A~8Cの第1の中間位置(すなわち、ベンチュリ効果がアクティブである中間位置)に到達させ、必要に応じて、
図9A~9Cの第2の中間位置(すなわち、ベンチュリ効果がアクティブでない中間位置)に到達させる。第2の歯車および/またはてこ機構62のこの実施形態は、説明のみを目的として記載および図示されており、この第2の歯車および/またはてこ機構の更なる実施形態を提供できることに留意されたい。
【0066】
図17A~17Bおよび
図18に示される飲料調製マシン1の第2の好ましい実施形態では、流体処理デバイス10は、容器ホルダ7に対して固定されており、容器Cは、容器ホルダ7および流体処理デバイス10の両方に対して可動である。この特定の実施形態では、飲料調製マシン1の移動手段54、64は、容器Cを流体処理デバイス10に対して移動させるための第2の作動手段64を備える。より具体的には、飲料調製マシン1のこの実施形態では、容器Cのみが流体処理デバイス10に対して移動可能であるので、移動手段54、64は、容器Cを、
図6A~6Cの非動作状態から開始して、液体導入位置と飲料注出位置との間で、およびその逆で、移動させるように構成されている。
【0067】
流体処理デバイス10に対して可動である容器Cを示す
図17A~17Bおよび
図18の実施形態では、第2の作動手段64は、容器支持デバイス66および第3の歯車および/またはてこ機構68を備える。
図17A~17Bおよび
図18のこの特定の実施形態では、第3の歯車および/またはてこ機構68は、リンケージ84の回転および並進移動を駆動するために回転する複数の歯車82からなる。容器支持デバイス66は、容器Cを容器ホルダ7に対して、および流体処理デバイス10に対して、針状の流体処理本体12の垂直軸線Aに沿って移動させるために、第3の歯車および/またはてこの機構68によって作動される。
図18に示すように、容器支持デバイス66には、第2のロック手段72が設けられており、第2のロック手段72は、例えば、容器Cに設けられた少なくとも1つの対応する穴60と選択的に係合可能な少なくとも1つのピン70を含む。動作上、歯車82の回転は、(
図18に示されるように)第2のロック手段72に接続されているリンケージ84の回転および並進移動を引き起こす。次に、リンケージ84の回転および並進移動は、容器支持デバイス66およびその対応する第2のロック手段72の垂直移動、すなわち垂直軸線Aに沿った移動を引き起こす。第2のロック手段72のピン70は、容器Cに設けられた対応する穴60と係合しているので、この容器Cは、したがって、流体処理デバイス10(固定されている)に対して、
図6A~9Cに図示のすべての位置の間で垂直に移動される。容器Cは、ピン70が対応する穴60に対して非係合位置にあるときのみ、容器ホルダ7から、したがって飲料調製マシン1から取り外し可能であることに留意されたい。この実施形態では、
図18の第2のロック手段72の代わりに他のロック手段を設けることもできることにも留意されたい。例えば、可動の流体処理デバイス10と固定された容器Cが図示された、
図15A~15Cに示された第1のロック手段52は、第2のロック手段72の代わりに、
図17A~17Bおよび
図18の第3の歯車および/またはてこ機構68と関連して使用することもでき、ここでは、固定された流体処理デバイス10と移動可能な容器Cが示されている。同じ理由で、
図17A~17Bおよび
図18に示される第2のロック手段72は、第1のロック手段52の代わりに、
図15A~15Cの第1の歯車および/またはてこ機構52と関連して使用することもできる。最後に、第3の歯車および/またはてこ機構68のこの実施形態も、説明のみを目的として記載および図示されており、この第3の歯車および/またはてこ機構の更なる実施形態を提供できることに留意されたい。
【0068】
最後になったが、本発明の好ましい実施形態では、飲料調製マシン1は、上で詳細に説明した第1の容器ホルダおよび流体処理デバイスに加えて、第2の容器ホルダおよび流体処理デバイス(図面には示されていない)を含む。好ましくは、第2の流体処理デバイスは、上述の第1の流体処理デバイスにも接続された同じ流体流通システムに流体的に接続されている。これにより、マシンがより単純で、製造および操作の費用が削減されるという利点がある。しかしながら、当然のことながら、第2の流体流通システムは、独立しているが、第1の流体流通システムと同様に構築されており、同じ飲料調製マシンに含まれ得る。
【0069】
この実施形態では、好ましい設定は、第1の容器ホルダに挿入され、第1の流体処理デバイスで処理されるように適合された第1の容器が、流体(例えば、水)と混合するための可溶性原材料を収容するように構成されているサッシェ(その実施形態)であり、当該原材料は、例えば、乳製品組成物、茶ベースの組成物、チョコレートベースの組成物、スープ、スムージーなどの果物組成物である。サッシェはまた、葉茶原材料、または植物ベースの可溶性もしくは浸出可能原材料を含むことができる。一般に、サッシェ型容器内の流体処理は、上記の説明に示されるように、低圧で実行される。
【0070】
第2の容器ホルダに挿入され、第2の流体処理デバイスで処理されるように適合された第2の容器は、好ましくは、第1の流体処理デバイスと共に使用される流体圧力よりも高い流体圧力で抽出されるように適合された原材料を収容する、カプセルまたはポッドなどの剛性または半剛性の容器である。そのような原材料は、典型的には、原材料を通る加圧水を流通させることによって、当該技術分野で知られているコーヒー抽出技術に従って抽出される、焙煎して挽いたコーヒーである。コーヒー粉末を流通する流体は、好ましくは、熱水であるが、必須ではない(一般に、コーヒー抽出のための熱水は、75~95℃の温度で原材料を通って流通する)。しかしながら、室温の水、または冷却した水でさえも、いわゆる「低温抽出コーヒー」の調製に使用することができる。この場合、容器ホルダは、好ましくは、淹出チャンバであり、淹出チャンバは、容器の挿入または除去のために淹出チャンバを開放し、次いで容器に含まれる原材料を注出するためにチャンバを閉じることができるように互いに対して移動可能な2つの要素を備える。このような抽出チャンバは、飲料マシンの技術分野で周知のため、本明細書では更なる詳細は提供されない。
【0071】
異なる原材料の調製を制御するために、飲料マシンは、(マシンケーシングに取り付けられたか、または遠隔デバイスに取り付けられたかのいずれかの)制御パネルと、流体処理デバイスを動作させることができる制御チップボード、ならびに第1および第2の容器から飲料の同時または順次調製のための流体流通システムを備える。
【0072】
本明細書で述べる飲料調整マシン1の現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び変形が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施することができる。