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特許7617946ウィンタースポーツの練習用保護アイマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ウィンタースポーツの練習用保護アイマスク
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/02 20060101AFI20250110BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
A61F9/02 350
G02C7/10
A61F9/02 370
A61F9/02 305
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022567705
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 IB2021050181
(87)【国際公開番号】W WO2021144684
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】102020000000526
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】522281305
【氏名又は名称】アウト・オブ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OUT OF S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】リーギ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】リーギ,ロベルト
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517027(JP,A)
【文献】米国特許第05172256(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110231718(CN,A)
【文献】特開平2-121661(JP,A)
【文献】実開昭64-10721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/02
G02C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GH方式の液晶により形成される少なくとも1つのLC層(16’)を含む1つの電動式のLCレンズ(16)を備え、ウィンタースポーツ用の保護アイマスク(1)であって、
外表面(14a)と内表面(14b)とを有する外側レンズ(14)と、
前記LCレンズ(16)の電力供給のための太陽電池(26)、を備え、
前記太陽電池(26)は、より高い光の強度が当たるとより高い電力を生成し、その結果、より高い電力を前記LCレンズ(16)に供給し、
前記LCレンズ(16)は、前記外側レンズ(14)の前記内表面(14b)に適用され、
前記LCレンズ(16)は、前記太陽電池(26)が配置される切欠き(16d)が形成された上縁(16c)を有する、
保護アイマスク。
【請求項2】
前記GH方式の液晶は、電界の有無により光学特性を変化させる機能を有する有機材料により構成され、内部に二色性粒子が挿入されている、
請求項1に記載の保護アイマスク。
【請求項3】
前記太陽電池(26)を電源とする前記LCレンズ(16)の電力供給用の電子回路(28)を備える、
請求項1または2に記載の保護アイマスク。
【請求項4】
前記太陽電池(26)および前記電子回路(28)は、単一の電子ボード(30)を形成する同一の支持体上に配置される、
請求項3に記載の保護アイマスク。
【請求項5】
内側レンズ(22)を備え、
前記LCレンズは、前記内側レンズ(22)の前に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の保護アイマスク。
【請求項6】
前方で前記外側レンズ(14)を支持し、後方で前記内側レンズ(22)を支持するフレーム(20)を備える、
請求項に記載の保護アイマスク。
【請求項7】
前記フレーム(20)、前記外側レンズ(14)、および前記内側レンズ(22)は、内部に前記太陽電池(26)が配置される、前記フレーム(20)の密封された内側コンパートメント(20a)を形成する、
請求項に記載の保護アイマスク。
【請求項8】
着用可能な支持アセンブリ(2)を備え、
前記LCレンズ(16)は前記支持アセンブリ(2)により支持される、
請求項1からのいずれか1項に記載の保護アイマスク。
【請求項9】
前記支持アセンブリ(2)は、目に向かう気流の浸入を制限するために顔に付着するよう適合された接触部(10)を備える、
請求項に記載の保護アイマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンタースポーツ、特に、アルペンスキーの練習用の保護アイマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、アルペンスキーは、一対のスキーで雪上を滑走して山の斜面を下降するウィンタースポーツである。
【0003】
目を保護し視認性を向上させるために、スキーヤーは、通常、目を保護することに加え、顔の上部の多くを覆うレンズを備えるスキーマスクを着用する。レンズには様々な色があり、最も暗い色は主に晴天の日に使用され、より明るい色は視界の悪い日に使用される。
【0004】
しかし、下降中、斜面のある部分は日当たりがよいが、他の部分は日陰になっていたり雑木林を横切ることがあり、さらに、数時間続くことがあるスキー滑走中に、晴れから曇りになったり、その逆になったりすることが頻繁に発生する。
【0005】
スキーヤーのニーズを満たすために、環境内の光量に応じてその色を独立して変化させることのできる、変色(color-changing)レンズを有するスキーマスクが設計されてきた。
【0006】
例えば、日光にさらされた場合に色を変えることのできる調光レンズ(photochromic lenses)を備えるいくつかのソリューションが知られている。しかし、そのようなレンズの色の変化は遅く、スキーヤーの滑降速度によって日向と日陰とが素早く次々に入れ替わるアルペンスキーの滑降においては効果的に使用することができない。
【0007】
電圧をかけると色が変わるエレクトロクロミックレンズ(electrochromic lenses)を備えるマスクもまた知られている。しかし、そのようなマスクでは、レンズにかなり高出力の電力が供給されるため、電池を使用することになる。しかし、そのような電池はかさばり、マスクを快適に使用するには重すぎて、明らかに充電が必要である。最後に、消費電力が大きいため、自動的に実行されるまたはスキーヤーにより手動で制御されるレンズの色の変更は、充電が必要になるまでに少ない回数しか(約20回)実行されない。
【0008】
バッテリにより電力を供給される液晶層(LC)を有するレンズを有する特定のマスクもまた知られている。このようなソリューションは、例えば、欧州特許出願公開第298983号明細書に記載されている。前述のように、バッテリを使用するとこのようなソリューションは不快感をもたらす。
【0009】
本発明の目的は上記の欠点を克服し、現場のニーズを満たす、ウィンタースポーツ、特にアルペンスキーの練習用の保護アイマスクを提供することである。
【0010】
このような目的は、請求項1に記載の保護マスクにより達成される。従属請求項は、本発明のさらに有利な実施の形態を特定する。
【0011】
本発明に係る保護マスクの特徴および利点は、添付の図面に従い、非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る保護アイマスクを示す図
図2図1の保護マスクのレンズアセンブリを示す図
図3図2のレンズアセンブリを示す分解図
図4図2のレンズアセンブリを示す断面図
図5a】スキーヤーによるマスクの2つの使用状態を示す図
図5b】スキーヤーによるマスクの2つの使用状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照すると、参照符号1は、本発明の実施の形態による、ウィンタースポーツ用、特にアルペンスキー用の保護フェイスマスクの全体を示す。
【0014】
マスク1は、支持アセンブリ2と、支持アセンブリ2に適用されるレンズアセンブリ4と、を備える。
【0015】
支持アセンブリ2は、一般的にポリマー材料により一体的に(in a single piece)形成された支持体6を備え、それは、例えば連動システム(interlocking system)を用いたレンズアセンブリ4の適用に適している。
【0016】
さらに、支持体6は、好ましくは、マスク内に空気を取り入れる換気窓8を有する。通常、換気窓は、上部および/または下部に得られる。
【0017】
支持アセンブリ2は、さらに、通常スポンジまたは他の柔らかい材料により形成され、支持体6の周辺に位置し、レンズアセンブリ4に対して内側の接触部10を備え、それは、目に向かう気流の浸入を制限するために顔に接触および付着することが意図されている。
【0018】
好ましくは、マスク1は、最後に、通常支持体6の側面に適用され、マスクを顔に保持するための弾性バンド12を備える。
【0019】
好ましい実施の形態によると、レンズアセンブリ4は、通常ポリカーボネートにより形成され、外表面14aおよび内表面14bを有する外側レンズ14を備える。
【0020】
レンズアセンブリ4は、さらに、外側レンズ14に面する外面16aと、内面16bとを有する液晶レンズ16(以後、LCレンズと称する)を備える。
【0021】
LCレンズ16は、外側レンズ14、特にその内表面14bに、好ましくはラミネート加工(lamination)により適用される。好ましい実施の形態によると、LCレンズ16の形状は、外側レンズ14の形状に含まれている。このため、接着ゾーン(adhesion zone)14cが、外側レンズ14の内表面14bの周辺に規定される。
【0022】
レンズアセンブリ4は、さらに、通常ポリマー材料により一体的に形成されたフレーム20を備える。フレーム20には、内表面14bの接着ゾーン14cおよびフレーム20の周縁に適用される両面テープ18を用いて、前面に外側レンズ14が適用される。
【0023】
最後に、レンズアセンブリ4は、好ましくは、ポリマー材料により一体的に形成され、外表面22aおよび内表面22bを有する内側レンズ22を備える。
【0024】
内側レンズ22は、例えば、内側レンズ22の外表面22aとフレーム20との間に適用される内側両面テープ24を用いて、LCレンズ16の反対側でフレーム20に適用される。
【0025】
最後に、マスク1は、太陽電池(photovoltaic cell)26と、太陽電池26により供給され、LCレンズ16を制御する電子回路28と、を備える。
【0026】
好ましくは、太陽電池26および電子回路28は、単一の電子ボード(electronic board)30を形成するよう同じ支持体上に配置される。
【0027】
太陽電池26は、環境中の光量のセンサとして、およびLCレンズ用の電源として同時に動作する。実際に、太陽電池に当たる光量が多くなると、太陽電池により生成される電力が高くなり、LCレンズが供給される電力が高くなり、そのようなLCレンズはより暗くなる。
【0028】
好ましくは、電子ボード30は、例えば、フレーム20の中央部32の下で、または、内側レンズ14または外側レンズ22の一方に固定されて、フレーム20により支持される。
【0029】
特に、好ましくは、太陽電池26は、フレーム20、外側レンズ14、および内側レンズ22により形成された密封されたフレームコンパートメント20a内で、外側レンズ14と内側レンズ22との間に配置され、LCレンズ16に面している。
【0030】
この目的のために、LCレンズ16は、外側レンズ14のみを通過した光線が当たるよう、周縁の上部16cに沿って、太陽電池26が配置される切欠き16dが設けられている。これにより、異なる使用条件において同じ透過性を維持する。したがって、このような太陽電池26がフレームコンパートメント20aに配置されているという事実にもかかわらず、LCレンズ16が暗くなっても太陽電池26の動作に影響しない。
【0031】
LCレンズ16は、好ましくは、液晶を有する層16’(以後、LC層16’と称する)と、ポリマー材料、通常ポリカーボネートにより形成された支持層16’’と、により構成される。
【0032】
LC層16’は、大きくて細長い分子を有する有機材料により構成され、電界の有無によりその光学特性を変化させる特徴を有する液晶を含む。ゲストホスト(GH技術)として知られる実装技術により、その中に二色性粒子(dichroic particles)が挿入される。
【0033】
有利には、GH方式の液晶を使用することにより、現在の既知のソリューションで使用されているTN(Twisted Nematic)方式の液晶を有するレンズの使用において出願人により指摘されたかなりの欠点を克服することができる。
【0034】
スキーの練習中、特に滑降の場合、スキーヤーは通常2つの姿勢をとる。
(A)低速時(図5a)、胴体(torso)の姿勢は略垂直であり、視線は数メートルの距離で地面に集中している。この状態では、レンズ軸(X)、すなわちレンズ表面に対して垂直な方向、および、視軸(Z)、すなわち目の軸は、非常に似ており略一致している。
(B)高速時(図5b)、胴体の姿勢はほぼ水平で大腿部に接触しており、視線はかなり前方に集中している。この状態では、レンズ軸(X)は視軸(Z)と大きく異なっている。
【0035】
出願人は、TN方式の液晶を有するレンズを備えるマスクを使用することにより、高速状態において、強い環境光が存在する場合でさえ、視界が非常に不明瞭になることを見出した。
【0036】
最終的に、GH方式のLCレンズを備える本発明によるマスクは、異なる環境光の条件に自動的に適応することができるだけでなく、スキーヤーがとるすべての姿勢において良好な視認性を保証することができる。
【0037】
偶発的なニーズを満たすために、当業者が、以下の特許請求の範囲により規定される保護の範囲内に含まれるすべての上述のマスクに対して変更を加えることができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b