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特許7617947電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20250110BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20250110BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20250110BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20250110BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20250110BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20250110BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/536
H01M50/627
H01M50/152
H01M10/04 W
H01M10/0587
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022569123
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2021135788
(87)【国際公開番号】W WO2022188484
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】202110257260.7
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 全坤
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 文忠
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ ▲華▼▲聖▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼ ▲啓▼凡
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507541(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0308554(US,A1)
【文献】特開平10-340737(JP,A)
【文献】特開2011-113811(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1361193(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-598
H01M 50/10-198
H01M 10/04-39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
本体部と、前記本体部に接続されるタブ部とを含む電極コンポーネントと、
前記電極コンポーネントを収容するために用いられ、開口を有するケースと、
前記ケースの開口を密閉するためのエンドキャップと、
前記タブ部及び前記エンドキャップに電気的に接続するための集電部材であって、前記集電部材の少なくとも一部は、前記タブ部と前記エンドキャップとの間に位置し、前記集電部材の前記本体部から乖離する表面と前記エンドキャップとは密着しており、前記エンドキャップは、前記集電部材の前記本体部から乖離する表面を押さえることにより、前記集電部材を前記タブ部に当接させ前記集電部材は、前記タブ部に溶接されず、前記集電部材は、第一の開孔を有し、前記第一の開孔は、前記タブ部の一部を収容し、且つ前記タブ部を前記第一の開孔の孔壁と接触させることで、前記集電部材と前記タブ部との電気的接続面積を増加させるために用いられる集電部材とを含み、
集電部材は、ベース部と、前記ベース部に接続される第一の凸部とを含み、前記ベースは、前記タブ部と前記エンドキャップとの間に位置し、前記タブ部に当接し、前記第一の開孔は、前記ベース部に形成され、前記第一の凸部は、前記ベース部に対して前記タブ部に向かって突出し、前記タブ部に埋め込まれる、電池セル。
【請求項2】
前記第一の開孔は、複数で設置されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
複数の前記第一の開孔は、前記集電部材の周方向に沿って等間隔に分布している、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記集電部材の径方向において、前記第一の開孔の前記集電部材の周方向に沿うサイズは、内から外へ徐々に増大する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第一の凸部の、前記ベース部の厚さ方向に垂直な断面積は、前記ベース部から離れる方向に沿って徐々に減少する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第一の凸部は、環状である、請求項1又は5に記載の電池セル。
【請求項7】
記集電部材は、ベース部と、前記ベース部に接続される第二の凸部とを含み、前記タブは、前記本体部と前記ベース部との間に位置し、前記ベース部は、前記タブ部に当接し、前記第一の開孔は、前記ベース部に形成され、前記タブ部の一部は、前記第一の開孔に突入し、前記第一の開孔の孔壁と接触し、
前記第二の凸部は、前記ベース部に対して前記本体部に向かって突出し、前記第二の凸部は、前記タブ部の外側を囲んでいる、請求項1から6のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記エンドキャップは、電解質を注入するための電解質注入孔を有し、前記集電部材は、第二の開孔を有し、前記第二の開孔は、前記集電部材の厚さ方向に沿って前記集電部材を貫通し、前記第二の開孔は、前記電解質注入孔と前記厚さ方向に沿って対向して設置される、請求項1から7のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第一の開孔は、前記集電部材の厚さ方向に沿って前記集電部材を貫通する、請求項1から8のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記エンドキャップは、前記電極コンポーネントに面する第一の表面と、前記第一の表面に対して凹んだ第一の凹部とを有し、前記ベース部の少なくとも一部は、前記第一の凹部に収容される、請求項1から9のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記集電部材は、前記エンドキャップに溶接され、及び/又は
前記集電部材は、前記第一の凹部と締まり嵌めする、請求項10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記集電部材は、導電媒体を介して前記電極コンポーネントに当接する、請求項1から11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
電池であって、請求項1から12のいずれか1項に記載の電池セルを少なくとも一つ含む、電池。
【請求項14】
電力消費機器であって、電気エネルギーを提供するための請求項13に記載の電池を含む、電力消費機器。
【請求項15】
電池セルの製造方法であって、
エンドキャップを提供することと、
第一の開孔を有する集電部材を提供することと、
前記集電部材を前記エンドキャップに接続することと、
本体部と、前記本体部に接続されるタブ部とを含む電極コンポーネントを提供することと、
開口を有するケースを提供することと、
前記開口を介して前記電極コンポーネントを前記ケース内に入れることと、
前記集電部材に接続される前記エンドキャップを前記ケースに接続して、前記ケースの開口を密閉し、前記集電部材を前記タブ部及び前記エンドキャップに電気的に接続させることとを含み、
そのうち、前記集電部材の少なくとも一部は、前記タブ部と前記エンドキャップとの間に位置し、前記集電部材の前記本体部から乖離する表面と前記エンドキャップとは密着しており、前記エンドキャップは、前記集電部材の前記本体部から乖離する表面を押さえることにより、前記集電部材を前記タブ部に当接させ前記集電部材は、前記タブ部に溶接されず、前記第一の開孔は、前記タブ部の一部を収容し、且つ前記タブ部を前記第一の開孔の孔壁と接触させるために用いられ、
集電部材は、ベース部と、前記ベース部に接続される第一の凸部とを含み、前記ベースは、前記タブ部と前記エンドキャップとの間に位置し、前記タブ部に当接し、前記第一の開孔は、前記ベース部に形成され、前記第一の凸部は、前記ベース部に対して前記タブ部に向かって突出し、前記タブ部に埋め込まれる、電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年03月09日に提出され、「電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費機器」と称される中国特許出願202110257260.7の優先権を主張しており、この出願の内容の全ては、援用で本出願に取り込まれる。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、より具体的には、電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電池セルは、電極コンポーネントを含み、電極コンポーネントは、一般的には集電部材を介して電極端子又はエンドキャップに電気的に接続されるが、集電部材は、一般的には電極コンポーネントに溶接接続され、溶接過程において金属粒子が発生し、金属粒子が電池セルの内部に残存して短絡リスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、短絡リスクを低減させることができる電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の方面によれば、本出願の実施例による電池セルは、電極コンポーネントと、電極コンポーネントを収容するために用いられ、開口を有するケースと、ケースの開口を密閉するためのエンドキャップと、電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続するための集電部材であって、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、集電部材は、第一の開孔を有し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させることで、集電部材と電極コンポーネントとの電気的接続面積を増加させるために用いられる集電部材とを含む。
【0006】
上記態様では、集電部材は、電極コンポーネントに当接し、電極コンポーネントに溶接方式によって接続する必要がなく、それにより、電池セル内に残存する金属粒子を減少させ、短絡リスクを低減させる。集電部材に第一の開孔を開けることにより、集電部材の強度を減少させることができる。集電部材と電極コンポーネントが互いに押える時、集電部材が局所的に変形して電極コンポーネントと密着することができ、それにより、集電部材と電極コンポーネントとの間のスリットを減少させ、過電流能力を向上させる。電極コンポーネントの一部は、第一の開孔に突入し、第一の開孔の孔壁と接触し、このように、集電部材と電極コンポーネントとの接触面積を増大させ、過電流能力を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例では、第一の開孔は、複数で設置される。複数の第一の開孔は、集電部材の強度を減少させることで、集電部材が押さえられる時、電極コンポーネントと密着するように変形しやすい。
【0008】
いくつかの実施例では、複数の第一の開孔は、集電部材の周方向に沿って等間隔に分布している。このように、集電部材が電極コンポーネントとより均一に接触し、電流をより均一に外へ伝送することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、集電部材の径方向において、第一の開孔の周方向に沿うサイズは、内から外へ徐々に増大する。このように、集電部材の強度が均一になり、集電部材が切断するリスクが低減する。
【0010】
いくつかの実施例では、集電部材は、ベース部と、ベース部に接続される第一の凸部とを含み、ベースは、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、第一の開孔は、ベース部に形成され、第一の凸部は、ベース部に対して電極コンポーネントに向かって突出し、電極コンポーネントに埋め込まれる。第一の凸部を設置することにより、集電部材と電極コンポーネントとの接触面積を増大させ、集電部材と電極コンポーネントとの間の過電流能力を向上させることができる。
【0011】
いくつかの実施例では、第一の凸部の、ベース部の厚さ方向に垂直な断面積は、ベース部から離れる方向に沿って徐々に減少することにより、第一の凸部を電極コンポーネントに挿入しやすい。
【0012】
いくつかの実施例では、第一の凸部は、環状である。
【0013】
いくつかの実施例では、電極コンポーネントは、本体部と、本体部に接続されるタブ部とを含む。集電部材は、ベース部と、ベース部に接続される第二の凸部とを含み、タブは、本体部とベース部との間に位置し、ベース部は、タブ部に当接し、第一の開孔は、ベース部に形成され、タブ部の一部は、第一の開孔に突入し、第一の開孔の孔壁と接触する。第二の凸部は、ベース部に対して本体部に向かって突出し、第二の凸部は、タブ部の外側を囲んでいる。第二の凸部は、タブ部を収納する役割を果たすことができる。
【0014】
いくつかの実施例では、エンドキャップは、電解質を注入するための電解質注入孔を有し、集電部材は、第二の開孔を有し、第二の開孔は、集電部材の厚さ方向に沿って集電部材を貫通し、第二の開孔は、電解質注入孔と厚さ方向に沿って対向して設置される。液注入工程では、電解質は、第二の開孔を貫通して電極コンポーネントを浸潤することができる。
【0015】
いくつかの実施例では、第一の開孔は、集電部材の厚さ方向に沿って集電部材を貫通する。第一の開孔は、貫通孔であり、成形しやすく、集電部材の強度を効果的に減少させることができる。
【0016】
いくつかの実施例では、エンドキャップは、電極コンポーネントに面する第一の表面と、第一の表面に対して凹んだ第一の凹部とを含み、ベース部の少なくとも一部は、第一の凹部に収容される。第一の凹部を設置することにより、エンドキャップ及び集電部材全体が占有する空間を減少させ、電池セルのエネルギー密度を向上させることができる。第一の凹部を設置することにより、さらに集電部材の位置決めを容易にし、エンドキャップと集電部材の組み立てプロセスの簡略化に寄与する。
【0017】
いくつかの実施例では、集電部材は、エンドキャップに溶接され、及び/又は、集電部材は、第一の凹部と締まり嵌めする。
【0018】
いくつかの実施例では、集電部材は、導電媒体を介して電極コンポーネントに当接する。導電性が比較的に良い導電媒体を設置することにより、安定した電流をより良く出力することができる。
【0019】
第二の方面では、本出願の実施例による電池は、第一の方面のいずれか一つの実施例の電池セルを少なくとも一つ含む。
【0020】
第三の方面では、本出願の実施例による電力消費機器は、第二の方面のいずれか一つの実施例の電池を含み、電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0021】
第四の方面では、本出願の実施例による電池セルの製造方法は、エンドキャップを提供することと、第一の開孔を有する集電部材を提供することと、集電部材をエンドキャップに接続することと、電極コンポーネントを提供することと、開口を有するケースを提供することと、開口を介して電極コンポーネントをケース内に入れることと、集電部材に接続されるエンドキャップをケースに接続して、ケースの開口を密閉し、集電部材を電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続させることとを含む。そのうち、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させるために用いられる。
【0022】
第五の方面によれば、本出願の実施例による電池セルの製造システムは、エンドキャップを提供するための第一の提供装置と、第一の開孔を有する集電部材を提供するための第二の提供装置と、集電部材をエンドキャップに接続するための第一の組み立て装置と、電極コンポーネントを提供するための第三の提供装置と、開口を有するケースを提供するための第四の提供装置と、開口を介して電極コンポーネントをケース内に入れるための第二の組み立て装置と、集電部材に接続されるエンドキャップをケースに接続して、ケースの開口を密閉し、集電部材を電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続させるための第三の組み立て装置とを含む。そのうち、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させるために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下は、添付図面を参照して本出願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を記述する。
【0024】
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の分解概略図である。
図3図2に示す電池モジュールの分解概略図である。
図4図3に示す電池セルの構造概略図である。
図5図4に示す電池セルの分解概略図である。
図6】本出願のいくつかの実施例による電池セルの断面概略図である。
図7図6に示す電池セルのブロックAでの拡大概略図である。
図8】本出願のいくつかの実施例による電池セルの集電部材の構造概略図である。
図9図8に示す集電部材の上面概略図である。
図10図9に示す集電部材の線B-Bに沿う断面概略図である。
図11】本出願の別のいくつかの実施例による電池セルの集電部材の構造概略図である。
図12】本出願のまた別のいくつかの実施例による電池セルの集電部材の構造概略図である。
図13】本出願の別のいくつかの実施例による電池セルの局所断面概略図である。
図14】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
図15】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造システムの概略的なブロック図である。
【0025】
添付図面では、添付図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本出願の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下に、本出願の実施例における添付図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案について明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0027】
特に定義されない限り、本出願で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本出願において、出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記の添付図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と請求の範囲又は上記の添付図面における用語である「第1」、「第2」などは、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではない。
【0028】
本出願において「実施例」と言及する場合、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。本明細書の様々な箇所におけるこの語句は、必ずしも同じ実施例を指すというわけではなく、他の実施例を排斥する、独立した又は代替的な実施例でもない。
【0029】
本出願の記述では、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語「装着」、「繋がる」、「接続」、「外付け」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続されていてもよいし、着脱可能に接続されていてもよいし、又は一体化されてもよい。直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、両素子の内部の連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本出願において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0031】
本出願の実施例において、同一の符号は同一の構成要素を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の構成要素に対する詳細な説明を省略する。理解すべきこととしては、図面に示される本出願の実施例における各部材の厚さ、長さ・幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ・幅などの寸法は、例示的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0032】
本出願に記載された「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味する。
【0033】
本出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セルなどを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例は、これについても限定しない。電池セルは、一般的には、パッケージング方式によって、柱形電池セル、四角状電池セル及びソフトパッケージ電池セルの三種に分けられ、本出願の実施例は、これについても限定しない。
【0034】
本出願の実施例で言及される電池とは、より高い電圧と容量を提供するために一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールである。例えば、本出願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的には、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするためのボックスを含む。ボックスは、液体又は他の異物による、電池セルの充電又は放電への影響を回避することができる。
【0035】
電池セルは、電極コンポーネントと電解質と含み、電極コンポーネントは、正極極板、負極極板及びセパレータからなる。電池セルは、主に金属イオンが正極極板と負極極板との間を移動することで作動する。正極極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗布された正極集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極活物質層が塗布された負極集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、カーボン又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数であり、且つ互いに積層されており、負極タブの数は複数であり、且つ互いに積層されている。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。なお、電極コンポーネントは、捲回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0036】
電池セルは、電極コンポーネント及び電解質を収容するためのハウジングをさらに含む。ハウジングは、ケースと、ケースに接続されるエンドキャップとを含み、ケース及びエンドキャップは、収容キャビティを形成して、電極コンポーネント及び電解質を収容する。一般的な電池セルでは、電極コンポーネントは、一般的には、集電部材を介してエンドキャップに電気的に接続され、又はエンドキャップにおける電極端子に設置され、集電部材は、一般的には、電極コンポーネントに溶接接続される。発明者らは、溶接過程に金属粒子が生じ、金属粒子が電池セルの内部に残存すると、短絡リスクをもたらすことを発見した。
【0037】
これに鑑み、本出願の実施例は、一技術案を提供し、そのうち、電池セルは、電極コンポーネントと、電極コンポーネントを収容するために用いられ、開口を有するケースと、ケースの開口を密閉するためのエンドキャップと、電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続するための集電部材であって、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、集電部材は、第一の開孔を有し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させることで、集電部材と電極コンポーネントとの電気的接続面積を増加させるために用いられる集電部材とを含む。この構造の電池セルは、電極コンポーネント及び集電部材を溶接する必要がなく、それにより、電池セル内に残存する金属粒子を減少させ、セキュリティリスクを低減する。
【0038】
本出願の実施例に記述された技術案は、電池及び電池を使用する電力消費機器に適用される。
【0039】
電力消費機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、船舶、宇宙船、電気玩具及び電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙飛行船などを含み、電気玩具は、据置式又は移動式の電気玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気船舶玩具及び電気飛行機玩具などを含み、電動工具は、金属切削電動工具、研削電動工具、組立用電動工具及び鉄道用電動工具、例えば、電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ、電気フライスなどを含む。本出願の実施例では、上記電力消費機器について特に制限しない。
【0040】
以下の実施例は、説明を容易にするために、電力消費機器が車両であることを例にして説明する。
【0041】
図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1の構造概略図である。例えば、図1に示すように、車両1の内部に電池2が設置され、電池2は、車両1の底部又は頭部又は後部に設置されてもよい。電池2は、車両1への給電に用いられてもよく、例えば、電池2を車両1の操作電源とすることができる。
【0042】
車両1は、コントローラ3とモータ4とをさらに含んでもよく、コントローラ3は、モータ4に給電するように電池2を制御するためのものであり、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の作動電力消費需要に用いられる。
【0043】
本出願のいくつかの実施例では、電池2は、車両1の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0044】
図2は、本出願のいくつかの実施例による電池2の分解概略図である。例えば、図2に示すように、電池2は、ボックス5と電池セル(図2に示されない)とを含み、電池セルは、ボックス5内に収容される。
【0045】
ボックス5は、電池セルを収容するために用いられ、ボックス5は、複数種の構造であってもよい。いくつかの実施例では、ボックス5は、第一のボックス部51と第二のボックス部52とを含んでもよく、第一のボックス部51と第二のボックス部52とは、互いにキャッピングされ、第一のボックス部51と第二のボックス部52とは、電池セルを収容するための収納空間を制限する。第二のボックス部52は、一端が開口する中空構造であってもよく、第一のボックス部51は、板状構造であり、第一のボックス部51は、第二のボックス部52の開口側にキャッピングされて、収納空間を有するボックス5を形成する。第一のボックス部51及び第二のボックス部52は、いずれも一側が開口する中空構造であってもよく、第一のボックス部51の開口側は、第二のボックス部52の開口側にキャッピングされて、収納空間を有するボックス5を形成する。無論、第一のボックス部51及び第二のボックス部52は、複数種の形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。
【0046】
第一のボックス部51と第二のボックス部52とが接続された後の封止性を向上させるために、第一のボックス部51と第二のボックス部52との間に封止部材、例えば、シーラント、シールリングなどが設置されてもよい。
【0047】
第一のボックス部51が第二のボックス部52の頂部にキャッピングされるとすると、第一のボックス部51は、上ボックス蓋と呼ばれてもよく、第二のボックス部52は、下ボックスと呼ばれてもよい。
【0048】
電池2では、電池セルは、一つであってもよく、複数であってもよい。電池セルが複数であれば、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続とは、複数の電池セルに直列接続も並列接続も含まれることを意味する。複数の電池セルを直接直列接続又は並列接続又は直並列接続し、そして、複数の電池セルで構成される全体をボックス5内に収容してもよい。無論、複数の電池セルを直列接続又は並列又は直並列接続して電池モジュール6を構成し、複数の電池モジュール6を直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体を形成し、ボックス5内に収容してもよい。
【0049】
図3は、図2に示す電池モジュール6の分解概略図である。いくつかの実施例では、例えば、図3に示すように、電池セル7は、複数であり、複数の電池セル7をまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュール6を構成し、複数の電池モジュール6を直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体を形成し、ボックス内に収容する。
【0050】
電池モジュール6における複数の電池セル7の並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために、電池モジュール6における複数の電池セル7の間は、バスバー部品を介して電気的接続を実現することができる。
【0051】
図4は、図3に示す電池セル7の構造概略図であり、図5は、図4に示す電池セル7の分解概略図である。例えば、図4及び図5に示すように、本出願の実施例による電池セル7は、ハウジング10と、ハウジング10内に収容される電極コンポーネント20とを含む。
【0052】
電極コンポーネント20の外形から見ると、電極コンポーネント20は、本体部21と、本体部21に接続されるタブ部22とを含む。いくつかの実施例では、タブ部22は、二つであり、それぞれ本体部21の両端から延出する。そのうち、本体部21は、正極活物質層、正極集電体の正極活物質層が塗布された部分、負極活物質層、負極集電体の負極活物質層が塗布された部分及びセパレータを含む。二つのタブ部22は、それぞれ正極タブ及び負極タブである。いくつかの実施例では、電極コンポーネント20は、捲回型構造であり、これに対応して、各タブ部22は、多層構造に捲回される。
【0053】
いくつかの実施例では、ハウジング10は、さらに電解質、例えば電解液を収容するために用いられてもよい。ハウジング10は、複数種の構造形式であってもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、ハウジング10は、ケース11とエンドキャップ12とを含んでもよく、ケース11は、開口を有する中空構造であり、エンドキャップ12は、ケース11の開口箇所にキャッピングされて封止接続を形成して、電極コンポーネント20及び電解質を収容するための封止空間を形成する。
【0055】
電池セル7を組み立てる時、まず電極コンポーネント20をケース11内に入れ、そしてエンドキャップ12をケース11の開口にキャッピングし、そしてエンドキャップ12における電解質注入孔121を介して電解質をケース11内に注入することができる。
【0056】
ケース11は、複数種の形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。ケース11の形状は、電極コンポーネント20の具体的な形状に応じて決定されてもよい。例えば、電極コンポーネント20が円柱体構造であると、円柱体ケースを用いることができ、電極コンポーネント20が直方体構造であると、直方体ケースを用いることができる。無論、エンドキャップ12は、複数種の構造であってもよく、例えば、エンドキャップ12は、板状構造、一端が開口する中空構造などである。例示的に、図4及び図5では、ケース11は、円柱体構造であり、エンドキャップ12は、板状構造であり、エンドキャップ12は、ケース11の開口箇所にキャッピングされる。
【0057】
いくつかの実施例では、電池セル7は、封止部材30をさらに含み、封止部材30は、エンドキャップ12とケース11とを仕切りする。封止部材30は、ケース11の開口を封止し、電池セル7の封止性能を向上させるために用いられる。封止部材30の材質は、PP、PE、PFA又はフッ素ゴムであってもよい。いくつかの実施例では、封止部材30は、絶縁材料で製造され、エンドキャップ12とケース11とを絶縁的に仕切りすることができる。
【0058】
いくつかの実施例では、ハウジング10は、ケース11と二つのエンドキャップ12とを含み、ケース11は、対向する両側が開口する中空構造であり、各エンドキャップ12は、ケース11の対応する一つの開口箇所に対応してキャッピングされ、封止接続を形成することで、電極コンポーネント20及び電解質を収容するための封止空間を形成する。いくつかの実施例では、一方のエンドキャップ12は、ケース11に直接接続され、例えば、ケース11に溶接され、封止部材30は、他方のエンドキャップ12をケース11と絶縁的に仕切りしてもよい。いくつかの実施例では、一方のタブ部22は、本体部21と一方のエンドキャップ12との間に位置し、他方のタブ部22は、本体部21と他方のエンドキャップ12との間に位置する。二つのエンドキャップ12は、それぞれ二つのタブ部22に電気的に接続され、二つのエンドキャップ12は、それぞれ、電池セル7の正負電極端子として電極コンポーネント20の生じた電気エネルギーを出力することができる。
【0059】
別のいくつかの実施例では、ハウジング10は、ケース11と一つのエンドキャップ12とを含み、ケース11は、一側が開口する中空構造であり、エンドキャップ12は、ケース11の開口箇所にキャッピングされて封止接続を形成する。いくつかの実施例では、一方のタブ部22は、本体部21とエンドキャップ12との間に位置し、他方のタブ部22は、本体部21とケース11の底板との間に位置する。エンドキャップ12及びケース11は、それぞれ二つのタブ部22に電気的に接続され、エンドキャップ12及びケース11は、それぞれ、電池セル7の正負電極端子として電極コンポーネント20の生じた電気エネルギーを出力することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、少なくとも一つのエンドキャップ12には、エンドキャップ12の厚さ方向に沿ってエンドキャップ12を貫通する電解質注入孔121が設けられる。電池セル7の液注入工程では、電解質は、電解質注入孔121を介して電池セル7の内部に入る。電池セル7は、封止板40をさらに含み、封止板は、エンドキャップ12に接続されて電解質注入孔121を被覆し、液注入工程の完了後、電解質注入孔121を封止するために用いられる。
【0061】
いくつかの実施例では、電池セル7は、電極コンポーネント20及びエンドキャップ12に電気的に接続するための集電部材50をさらに含む。集電部材50は、電極コンポーネント20とエンドキャップ12との間で電流を伝送することができる。いくつかの実施例では、集電部材50は、金属シート、例えばニッケルシートである。
【0062】
いくつかの実施例では、電池セル7は、円柱状であり、集電部材50は、ほぼ円盤状である。
【0063】
いくつかの実施例では、集電部材50の少なくとも一部は、電極コンポーネント20とエンドキャップ12との間に位置し、電極コンポーネント20に当接する。電池セル7を組み立てる時、エンドキャップ12は、集電部材50を押えて、集電部材50を電極コンポーネント20に当接させることにより、集電部材50とエンドキャップ12及び電極コンポーネント20との接触を維持する。集電部材50は、エンドキャップ12と電極コンポーネント20との間に締まり嵌めするように組み立てられ、電極コンポーネント20とエンドキャップ12との間の電流伝送を実現する。本実施例では、集電部材50は、電極コンポーネント20に当接し、電極コンポーネント20に溶接方式によって接続する必要がなく、それにより、電池セル7内に残存する金属粒子を減少させ、短絡リスクを低減させる。
【0064】
電極コンポーネント20は、集電部材50に面する端面を有し、この端面は、集電部材50の表面と接触するために用いられ、この端面は、タブ部22の本体部21から離れる表面である。しかしながら、発明者らは、電極コンポーネント20の端面の平坦性が比較的に劣り(例えば、捲回型の電極コンポーネント20では、タブ部22は、複数周回捲回された金属箔材を含み、金属箔材の自由端は、この端面を形成し、捲回精度の制限により、この端面の平坦性が比較的に劣る)、電極コンポーネント20の端面の平坦性と集電部材50の表面の平坦性との間に差があり、電極コンポーネント20と集電部材50との間にスリットが存在する可能性があり、接着不良をもたらし、過電流能力に影響を与える可能性があることを発見した。
【0065】
出願者らが発見した上記問題に基づき、出願者は、電池セル7の構造を改良し、以下は、異なる実施例を結び付けながら詳細に記述する。
【0066】
図6は、本出願のいくつかの実施例による電池セル7の断面概略図である。図7は、図6に示す電池セル7は、ブロックA箇所の拡大概略図である。
【0067】
例えば、図6及び図7に示すように、本出願の実施例の電池セル7では、集電部材50は、第一の開孔51を有し、第一の開孔51は、電極コンポーネント20の一部を収容し、且つ電極コンポーネント20を第一の開孔51の孔壁と接触させることで、集電部材50と電極コンポーネント20との電気的接続面積を増加させるために用いられる。
【0068】
第一の開孔51の、電極コンポーネント20に面する端は、開口し、電池セル7の組み立て過程において、集電部材50は、電極コンポーネント20の端面を押え、電極コンポーネント20の一部を第一の開孔51に突入させる。具体的には、電極コンポーネント20のタブ部22の一部は、第一の開孔51に突入し、第一の開孔51の孔壁と接触する。
【0069】
本出願の実施例の電池セル7では、集電部材50に第一の開孔51を開けることにより、集電部材50の強度を減少させることができる。電極コンポーネント20の端面の平坦性と集電部材50の表面の平坦性との間に差が存在するが、集電部材50と電極コンポーネント20が互いに押える時、集電部材50が局所的に変形して電極コンポーネント20と密着することができ、それにより、集電部材50と電極コンポーネント20との間のスリットを減少させ、過電流能力を向上させる。電極コンポーネント20の一部は、第一の開孔51に突入し、第一の開孔51の孔壁と接触し、このように、集電部材50と電極コンポーネント20との接触面積を増大させ、過電流能力を向上させることができる。
【0070】
第一の開孔51は、両端が開口する貫通孔であってもよく、一端が開口するビアホールであってもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、第一の開孔51は、集電部材50の厚さ方向Zに沿って集電部材50を貫通する。この時、第一の開孔51は、貫通孔である。貫通孔は、ビアホールに比べて、成形しやすく、集電部材50の強度を効果的に減少させることができる。いくつかの実施例では、電極コンポーネント20の一部は、第一の開孔51に突入し、エンドキャップ12と接触し、このように、導電経路を短縮し、過電流能力を向上させることができる。
【0072】
いくつかの実施例では、集電部材50は、ベース部52を含み、ベース部52は、電極コンポーネント20とエンドキャップ12との間に位置し、電極コンポーネント20に当接し、第一の開孔51は、ベース部52に形成される。ベース部52は、エンドキャップ12に接続される。いくつかの例では、ベース部52は、係止、締まり嵌め、溶接又は他の方式でエンドキャップ12に接続されてもよい。
【0073】
いくつかの実施例では、ベース部52は、ほぼ平板状であり、例示的に、ベース部52は、円形の平板である。ベース部52の、自体の厚さ方向に対向して設置される二つの表面は、平面であり、それぞれエンドキャップ12及び電極コンポーネント20に面する。ベース部52の、電極コンポーネント20に面する表面は、電極コンポーネント20の端面と接触するために用いられる。
【0074】
いくつかの実施例では、タブ部22は、本体部21とベース部52との間に位置し、ベース部52は、タブ部22に当接し、タブ部22の一部は、第一の開孔51に突入し、第一の開孔51の孔壁と接触する。
【0075】
いくつかの実施例では、エンドキャップ12は、電極コンポーネント20に面する第一の表面122と、第一の表面122に対して凹んだ第一の凹部123とを有し、ベース部52の少なくとも一部は、第一の凹部123に収容される。そのうち、第一の凹部123は、第一の表面122の電極コンポーネント20から離れる方向に対して凹んでいる。いくつかの例では、第一の表面122は、平面である。
【0076】
第一の凹部123を設置することにより、エンドキャップ12及び集電部材50全体が占有する空間を減少させ、電池セル7のエネルギー密度を向上させることができる。また、電池セル7を組み立てる過程において、予めエンドキャップ12と集電部材50を組み立て、そして電極コンポーネント20に組み立てることができる。第一の凹部123を設置することにより、さらに集電部材50の位置決めを容易にし、エンドキャップ12と集電部材50の組み立てプロセスの簡略化に寄与する。
【0077】
いくつかの実施例では、集電部材50のベース部52は、エンドキャップ12に接続される。ベース部52とエンドキャップ12の接続方式は、需要に応じて選択することができる。
【0078】
いくつかの例では、ベース部52が第一の凹部123と締まり嵌めすることで、ベース部52がエンドキャップ12に係止される。この組み立て方式では、金属粒子が発生しにくい。
【0079】
別のいくつかの例では、ベース部52は、エンドキャップ12に溶接され、溶接時、レーザは、エンドキャップ12のベース部52から乖離する側に作用することができ、このように、溶接の生じた金属粒子が電池セル7の内部に入るリスクを低減させることができる。
【0080】
また別のいくつかの例では、ベース部52が第一の凹部123と締まり嵌めし、ベース部52がエンドキャップ12に溶接され、このように、ベース部52とエンドキャップ12との間の過電流能力を向上させることができる。また、本出願は、エンドキャップ12と集電部材50を組み立てる時、エンドキャップ12とベース部52を溶接してもよく、エンドキャップ12とケース11の組み立てが完了した後、外側からエンドキャップ12とベース部52を溶接してもよい。
【0081】
さらに別のいくつかの例では、ベース部52は、導電性ペーストによってエンドキャップ12に接着されてもよい。
【0082】
いくつかの実施例では、集電部材50は、導電媒体を介して電極コンポーネント20に当接してもよい。導電性が比較的に良い導電媒体を設置することにより、安定した電流をより良く出力することができる。例示的には、導電媒体は、導電性ペースト、銀又は他の材料であってもよい。いくつかの実施例では、ベース部52は、導電媒体を介して電極コンポーネント20に当接する。
【0083】
いくつかの実施例では、集電部材50は、第二の開孔53を有し、第二の開孔53は、集電部材50の厚さ方向Zに沿って集電部材50を貫通し、第二の開孔53は、電解質注入孔121とこの厚さ方向Zに沿って対向して設置される。いくつかの例では、第二の開孔53は、ベース部52に形成される。液注入工程では、電解質は、第二の開孔53を貫通して電極コンポーネント20を浸潤することができる。
【0084】
いくつかの実施例では、集電部材50の厚さ方向Zに沿って、電解質注入孔121の正投影は、第二の開孔53の正投影内に位置する。
【0085】
いくつかの実施例では、集電部材50は、ベース部52に接続される第一の凸部54をさらに含み、第一の開孔51は、ベース部52に形成され、第一の凸部54は、ベース部52に対して電極コンポーネント20に向かって突出し、電極コンポーネント20に埋め込まれる。第一の凸部54は、ベース部52の電極コンポーネント20に向かう表面から突出し、タブ部22に埋め込まれる。第一の凸部54を設置することにより、集電部材50と電極コンポーネント20との接触面積を増大させ、集電部材50と電極コンポーネント20との間の過電流能力を向上させることができる。
【0086】
いくつかの例では、第一の凸部54は、中実構造であってもよい。別のいくつかの例では、第一の凸部54の電極コンポーネント20から乖離する側に第二の凹部(示されていない)が形成され、即ち第一の凸部54は、凸包であり、第一の凸部54は、プレスにより成形される。
【0087】
いくつかの実施例では、第一の凸部54の、ベース部52の厚さ方向に垂直な断面積は、ベース部52から離れる方向に沿って徐々に減少する。第一の凸部54のベース部52から離れる端部は、小さい端部であり、組み立てる過程において、第一の凸部54をタブ部22に挿入しやすい。ベース部52の厚さ方向は、集電部材50の厚さ方向Zと同様である。
【0088】
いくつかの実施例では、第一の凸部54は、環状である。いくつかの実施例では、第一の凸部54は、複数で設置され、複数の第一の凸部54は、ベース部52の径方向に沿って間隔をおいて設置される。
【0089】
いくつかの実施例では、集電部材50は、一体型構造である。例示的に、集電部材50は、金属板を加工することで一体に形成される。
【0090】
図8は、本出願のいくつかの実施例による電池セル7の集電部材50の構造概略図であり、図9は、図8に示す集電部材50の上面概略図であり、図10は、図9に示す集電部材50の線B-Bに沿う断面概略図である。
【0091】
図7図10を併せて参照し、いくつかの実施例では、第一の開孔51は、複数で設置される。複数の第一の開孔51は、集電部材50の強度を減少させることで、集電部材50が押さえられる時、電極コンポーネント20と密着するように変形しやすい。本出願は、第一の開孔51の総面積が一定である前提で、各第一の開孔51の面積を減少させて、第一の開孔51の数を増大させることができる。
【0092】
いくつかの実施例では、複数の第一の開孔51は、集電部材50の周方向Xに沿って等間隔に分布している。具体的には、いくつかの実施例では、複数の第一の開孔51は、ベース部52の周方向に沿ってベース部52に等間隔に分布している。集電部材50の周方向Xは、ベース部52の周方向と同様である。ベース部52は、複数の第一の開孔51と周方向Xに沿って交互に設置される複数の仕切り領域521を含む。第一の開孔51は、隣接する二つの仕切り領域521の間に位置する。仕切り領域521は、タブ部22に当接するために用いられる。複数の仕切り領域521が周方向Xに沿って等間隔に分布していることにより、複数の仕切り領域521がタブ部22とより均一に接触し、電流をより均一に外へ伝送することができる。
【0093】
いくつかの実施例では、ベース部52は、第一の環状領域522と第二の環状領域523とを含み、第二の環状領域523は、第一の環状領域522の外側を囲んで第一の環状領域522と間隔をおいて設置される。第一の環状領域522の中部に第二の開孔53が形成される。複数の仕切り領域521は、第一の環状領域522と第二の環状領域523との間に位置し、第一の環状領域522及び第二の環状領域523に接続される。
【0094】
いくつかの実施例では、集電部材50の径方向において、第一の開孔51の周方向Xに沿うサイズは、内から外へ徐々に増大する。具体的には、第一の開孔51の周方向Xに沿うサイズが大きいほど、仕切り領域521の周方向Xに沿うサイズが小さくなる。集電部材50の周長は、半径が増大するにつれて増大するため、第一の開孔51の外端の周方向Xに沿うサイズを増大させても、仕切り領域521の周方向Xに沿うサイズが要求を満たすことができ、それにより、集電部材50の強度が均一になり、集電部材50が切断するリスクが低減する。例示的に、集電部材50の径方向は、ベース部52の径方向と同様である。
【0095】
いくつかの実施例では、第一の開孔51の形状は、扇形、三角形、台形又は他の形状であってもよい。複数の第一の開孔51の形状、サイズは、いずれも同様である。
【0096】
いくつかの実施例では、仕切り領域521は、ほぼ長方形であり、その周方向Xに沿うサイズは、一定である。複数の仕切り領域521の形状、サイズは、いずれも同様である。
【0097】
図11は、本出願の別のいくつかの実施例による電池セル7の集電部材50の構造概略図である。例えば、図11に示すように、いくつかの実施例では、集電部材50の複数の第一の開孔51は、ほぼ平行に設置される。
【0098】
ベース部52は、第一の環状領域522と、第二の環状領域523と、複数の仕切り領域521とを含み、第二の環状領域523は、第一の環状領域522の外側を囲んで第一の環状領域522と間隔をおいて設置され、複数の仕切り領域521は、第一の環状領域522と第二の環状領域523との間に設置される。隣接する仕切り領域521の間に第一の開孔51が形成される。
【0099】
仕切り領域521は、ほぼストライプ状であり、複数の仕切り領域521は、ほぼ平行に設置される。いくつかの仕切り領域521の両端は、いずれも第二の環状領域523の内側壁に接続され、別の仕切り領域521の両端は、それぞれ第二の環状領域523の内側壁及び第一の環状領域522の外壁に接続される。
【0100】
図12は、本出願のまた別のいくつかの実施例による電池セル7の集電部材50の構造概略図である。例えば、図12に示すように、いくつかの実施例では、複数の第一の開孔51は、第一の方向に沿って配列されて第一の開孔行を形成し、複数の第一の開孔行は、第二の方向に沿って配列され、第一の方向は、第二の方向と交差する。いくつかの例では、第一の方向は、第二の方向に垂直である。
【0101】
いくつかの実施例では、第一の開孔51の形状は、長方形、円形、三角形、台形又は他の形状である。
【0102】
図13は、本出願の別のいくつかの実施例による電池セル7の局所の断面概略図である。例えば、図13に示すように、いくつかの実施例では、集電部材50は、ベース部52に接続される第二の凸部55を含み、第二の凸部55は、ベース部52に対して本体部21に向かって突出し、第二の凸部55は、タブ部22の外側を囲んでいる。第二の凸部55は、ベース部52の縁から本体部21に近接する方向へ延在している。
【0103】
タブ部22は、複数周回捲回された金属箔材を含むが、第二の凸部55は、タブ部22を収納する役割を果たすことができる。
【0104】
図14は、本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
【0105】
例えば、図14に示すように、本出願の実施例の電池セルの製造方法は、
S100、エンドキャップを提供することと、
S200、第一の開孔を有する集電部材を提供することと、
S300、集電部材をエンドキャップに接続することと、
S400、電極コンポーネントを提供することと、
S500、開口を有するケースを提供することと、
S600、開口を介して電極コンポーネントをケース内に入れることと、
S700、集電部材に接続されるエンドキャップをケースに接続して、ケースの開口を密閉し、集電部材を電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続させることとを含む。
【0106】
そのうち、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させるために用いられる。
【0107】
説明すべきこととして、上記電池セルの製造方法で製造された電池セルの関連構造は、上記各実施例による電池セルを参照すればよい。
【0108】
上記の電池セルの製造方法に基づいて電池セルを組み立てる時、上記ステップに従って順に行う必要がなく、つまり、実施例で言及された順序に従ってステップを実行してもよく、実施例で言及された順序と異なる順序に従ってステップを実行してもよく、又はいくつかのステップを同時に実行してもよい。例えば、ステップS100とステップS200の実行は、前後を問わず、同時に行ってもよく、ステップS400、S500、S600を実行してから、ステップS100、S200、S300を実行してもよい。
【0109】
図15は、本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造システムの概略的なブロック図である。
【0110】
例えば、図15に示すように、本出願の実施例の電池セルの製造システム8は、エンドキャップを提供するための第一の提供装置81と、第一の開孔を有する集電部材を提供するための第二の提供装置82と、集電部材をエンドキャップに接続するための第一の組み立て装置83と、電極コンポーネントを提供するための第三の提供装置84と、開口を有するケースを提供するための第四の提供装置85と、開口を介して電極コンポーネントをケース内に入れるための第二の組み立て装置86と、集電部材に接続されるエンドキャップをケースに接続して、ケースの開口を密閉し、集電部材を電極コンポーネント及びエンドキャップに電気的に接続させるための第三の組み立て装置87とを含む。そのうち、集電部材の少なくとも一部は、電極コンポーネントとエンドキャップとの間に位置し、電極コンポーネントに当接し、第一の開孔は、電極コンポーネントの一部を収容し、且つ電極コンポーネントを第一の開孔の孔壁と接触させるために用いられる。
【0111】
上記製造システム8で製造された電池セルの関連構造は、上記各実施例による電池セルを参照すればよい。
【0112】
説明すべきこととして、競合しない場合には、本出願における実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0113】
最後に説明すべきこととして、上述の実施例は、本出願の技術案を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではない。前述した実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述した各実施例に記載の技術案を依然として変更し、又はそのうちの一部の技術的特徴を同等に置き換えることが可能であり、これらの変更又は置き換えは、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させないものである。
図1
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図5
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図15