(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】プラスチック製包装資材
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20250110BHJP
B65D 30/10 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B65D33/00 Z
B65D30/10 Z
(21)【出願番号】P 2023012310
(22)【出願日】2023-01-30
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 靖
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/016573(WO,A1)
【文献】特開2007-204069(JP,A)
【文献】登録実用新案第3126784(JP,U)
【文献】中国実用新案第212654776(CN,U)
【文献】特表2008-500241(JP,A)
【文献】特開2008-273717(JP,A)
【文献】特開2022-160260(JP,A)
【文献】特開2021-138426(JP,A)
【文献】特開平11-245959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0264821(US,A1)
【文献】特許第4205201(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/204199(WO,A1)
【文献】中国実用新案第203975481(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筒状のプラスチックフィルムから構成されるプラスチック製包装資材であって、
前記プラスチックフィルムに選択的にエンボス加工が施されることでエンボスが形成されたエンボス部と、
前記プラスチックフィルムの平坦部と、を備え、
前記平坦部は、縦方向に延在する前記筒状のプラスチックフィルムの上端における前記開口部の少なくとも一部に、連通するように配置されているものであり、
前記プラスチック製包装資材の開口前の状態において、
前記プラスチック製包装資材の中央部分に前記縦方向に沿って延在する中央領域では、前記プラスチックフィルムが2枚重なるように配置されており、
前記プラスチック製包装資材の前記中央領域の左側に隣接して前記縦方向に沿って延在する左側領域では、前記プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されており、
前記プラスチック製包装資材の前記中央領域の右側に隣接して前記縦方向に沿って延在する右側領域では、前記プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されているものであり、
前記筒状のプラスチックフィルムの前記左側領域及び前記右側領域の上端に、前記縦方向に延在するようにそれぞれ設けられた、ユーザが持つための持ち手部が構成されており、
前記平坦部は、
前記中央領域に位置し且つ縦方向に延在して前記開口部に連通している中央平坦部と、
前記左側領域に位置し且つ前記縦方向に延在している左側平坦部と、
前記右側領域に位置し且つ前記縦方向に延在している右側平坦部と、
前記左側領域及び前記右側領域の上端側の前記持ち手部に位置し且つ
横方向に延在して前記左側平坦部、前記右側平坦部、及び前記開口部に連通している上側平坦部と、
前記左側領域、前記右側領域、及び前記中央領域の下端側に位置し且つ前記横方向に延在して前記左側平坦部、前記中央平坦部、及び前記右側平坦部に連通している下側平坦部と、
前記上側平坦部と前記下側平坦部との間に位置し且つ前記横方向に延在して前記左側平坦部、前記中央平坦部、及び前記右側平坦部に連通している中側平坦部と、を含む
ものであり、
前記プラスチックフィルムの膜厚は、15μm以下であり、
前記平坦部は、前記プラスチックフィルムのエンボス加工が施されていない部分、又は、前記プラスチックフィルムの前記エンボス部よりも凹凸が小さい及び/又は前記エンボス部よりも凹凸が少ないエンボス加工が施された部分であり、
前記平坦部以外が前記エンボス部である、
ことを特徴とするプラスチック製包装資材。
【請求項2】
前記持ち手部は、前記上側平坦部と、前記左側平坦部の一部と、前記右側平坦部の一部と、前記上側平坦部、前記左側平坦部の一部、及び前記右側平坦部の一部に隣接する前記エンボス部とが、位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項3】
前記持ち手部は、前記プラスチックフィルムが4枚重なっており、エンボス加工の凸凹により4枚のプラスチックフィルムが密着し、最も開ロ性が低い部分となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項4】
前記持ち手部に、前記上側平坦部、前記左側平坦部、及び前記右側平坦部を設けることで、部分的に開口した前記中央平坦部から入ったエアーが前記横方向にエンボス加工を施していない前記中側平坦部を通して前記持ち手部のエンボス加工を施していない前記平坦部まで到達し、密着した前記4枚のプラスチックフィルムが
それぞれ離れることになり、プラスチック製包装資材が全体的に開口する、
ことを特徴とする
請求項3に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項5】
前記平坦部が、重なったプラスチックフィルムのずれる部分となり、ユーザが開こうとした時に起点となり、この部分を起点として開口していくことで、前記筒状のプラスチックフィルムの間にエアーが入り込み、重なったプラスチックフィルム同士がはがれ易くなる、
ことを特徴とする
請求項4に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項6】
前記プラスチック製包装資材は、レジ袋である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項7】
前記中央平坦部の幅は、前記左側平坦部の幅及び前記右側平坦部の幅よりも、広くなるように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項8】
エンボス加工を施していない前記中央平坦部と
エンボス加工を施していない前記左側平坦部及び前記右側平坦部とが配置される間隔は、
開口性を向上するために予め設定された基準間隔以内に設定されている
ことを特徴とする
請求項7に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項9】
エンボス加工を施していない前記上側平坦部と
エンボス加工を施していない前記中側平坦部とが配置される間隔は、
開口性を向上するために前記基準間隔以内に設定されている
ことを特徴とする
請求項8に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項10】
前記プラスチック製包装資材は、プラスチック製袋であることを特徴とする
請求項3に記載のプラスチック製包装資材。
【請求項11】
前記持ち手部の上端を封止する上側シール部と、
前記筒状のプラスチックフィルムの下端を封止する下側シール部と、を備える
ことを特徴とする
請求項10に記載のプラスチック製包装資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製包装資材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レジ袋等に適用されるプラスチック製包装資材は、世界的な脱プラスチックの流れから年々薄肉化されてきている。
【0003】
このようなプラスチック製包装資材は、その膜厚を薄くすればするほど、当該プラスチック製包装資材のフィルム加工時や運搬時に発生する静電気の影響を受けやすくなる。
【0004】
特に、このような静電気によって、プラスチック製包装資材を構成するプラスチックフィルム同士が密着すると、その開口性が低下する(すなわち、ユーザが当該プラスチック製包装資材を開けることが困難になる)。
【0005】
そこで、例えば、
図2Aに示すように、複数の凸部が設けられた表面HAを有する彫刻ロールAを回転方向DAに回転させ、且つ、受け側のゴムロールBを回転方向DBに回転させた状態で、彫刻ロールAの表面HAとゴムロールBの表面HBとの間に、搬送方向Dにプラスチック製包装資材を構成する筒状のフィルムFを通すことで、当該筒状のフィルムFの表面に凸凹を付与するエンボス加工装置がある。
【0006】
このようなエンボス加工装置により、当該プラスチック製包装資材を構成する、例えば、30μm程度の膜厚を有するフィルムの表面に、エンボス加工を施して凸凹が付与されることとなる。
【0007】
そして、エンボス加工が施されたプラスチック製包装資材を、ユーザが開口させる場合には、ユーザの手(指)がプラスチック製包装資材に形成された凸凹にひっかかるようになる。これにより、プラスチック製包装資材の開口性が向上することとなる。
【0008】
しかしながら、プラスチック製包装資材の薄肉化が更に進むと(例えば、当該プラスチック製包装資材を構成するプラスチックフィルムの膜厚が、10μm程度まで薄肉化されると)、
図2Bに示すように、既述のエンボス加工において、彫刻ロールAの表面HAの凸部で押された筒状のプラスチックフィルムFがゴムロールBの表面HBの凹部に入り込むことによって、重なったフィルムF同士がエンボス加工された部分で圧着された状態になる。
【0009】
結果として、より薄肉化されたプラスチック製包装資材では、エンボス加工が施されることで、開口性が低下する場合がある。
【0010】
以上のように、上記従来技術のプラスチック製包装資材では、当該プラスチック製包装資材を薄肉化しつつ、その開口性(開袋性)の向上を図ることが困難である問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、当該プラスチック製包装資材を薄肉化しつつ、その開袋性の向上を図ることが可能なプラスチック製包装資材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る実施形態に従ったプラスチック製包装資材は、
開口部を有する筒状のプラスチックフィルムから構成されるプラスチック製包装資であって、
前記プラスチックフィルムに選択的にエンボス加工が施されることでエンボスが形成されたエンボス部と、
前記プラスチックフィルムの平坦部と、を備え、
前記平坦部は、縦方向に延在する前記筒状のプラスチックフィルムの上端における前記開口部の少なくとも一部に、連通するように配置されている
ことを特徴とする。
【0014】
前記プラスチック製包装資材において、
前記平坦部は、前記プラスチックフィルムのエンボス加工が施されていない部分、又は、前記プラスチックフィルムの前記エンボス部よりも凹凸が小さい及び/又は前記エンボス部よりも凹凸が少ないエンボス加工が施された部分である
ことを特徴とする。
【0015】
前記プラスチック製包装資材において、
前記プラスチック製包装資材の開口前の状態において、
前記プラスチック製包装資材の中央部分に前記縦方向に沿って延在する中央領域では、前記プラスチックフィルムが2枚重なるように配置されており、
前記プラスチック製包装資材の前記中央領域の左側に隣接して前記縦方向に沿って延在する左側領域では、前記プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されており、
前記プラスチック製包装資材の前記中央領域の右側に隣接して前記縦方向に沿って延在する右側領域では、前記プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されている
ことを特徴とする。
【0016】
前記プラスチック製包装資材において、
前記筒状のプラスチックフィルムの前記左側領域及び前記右側領域の上端に前記縦方向に延在するようにそれぞれ設けられ、ユーザが持つための持ち手部を備える
ことを特徴とする。
【0017】
前記プラスチック製包装資材において、
前記平坦部は、
前記中央領域に位置し且つ縦方向に延在して前記開口部に連通している中央平坦部を、含む
ことを特徴とする。
【0018】
前記プラスチック製包装資材において、
前記平坦部は、
前記左側領域に位置し且つ前記縦方向に延在している左側平坦部と、
前記右側領域に位置し且つ前記縦方向に延在している右側平坦部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記プラスチック製包装資材において、
前記平坦部は、
前記左側領域及び前記右側領域の上端側に位置し且つ前記横方向に延在して前記開口部に連通している上側平坦部と、
前記左側領域、前記右側領域、及び前記中央領域の下端側に位置し且つ前記横方向に延在している下側平坦部と、
前記上側平坦部と前記下側平坦部との間に位置し且つ前記横方向に延在している中側平坦部と、を含む
ことを特徴とする。
【0020】
前記プラスチック製包装資材において、
前記中央平坦部の幅は、前記左側平坦部の幅及び前記右側平坦部の幅よりも、広くなるように設定されている
ことを特徴とする。
【0021】
前記プラスチック製包装資材において、
前記中央平坦部の幅は、前記上側平坦部の幅、前記中側平坦部の幅、及び前記下側平坦部の幅よりも、広くなるように設定されている
ことを特徴とする。
【0022】
前記プラスチック製包装資材において、
前記中央平坦部と前記左側平坦部及び前記右側平坦部とが配置される間隔は、予め設定された基準間隔以内に設定されている
ことを特徴とする。
【0023】
前記プラスチック製包装資材において、
前記上側平坦部と前記中側平坦部とが配置される間隔は、前記基準間隔以内に設定されている
ことを特徴とする。
【0024】
前記プラスチック製包装資材において、
前記プラスチックフィルムの膜厚は、15μm以下であることを特徴とする。
前記プラスチック製包装資材において、
前記プラスチック製包装資材は、プラスチック製袋であることを特徴とする。
【0025】
前記プラスチック製包装資材において、
前記持ち手部の上端を封止する上側シール部と、
前記筒状のプラスチックフィルムの下端を封止する下側シール部と、を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係るプラスチック製包装資材によれば、当該プラスチック製包装資材を薄肉化しつつ、その開袋性の向上(すなわち、ユーザによる当該プラスチック製包装資材の開口の容易化)を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るプラスチック製包装資材100の外観の一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、プラスチック製包装資材を構成する筒状のフィルムにエンボス加工を施す工程の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【0029】
まず、図を参照して、実施形態に係るプラスチック製包装資材の一例としてレジ袋等に適用されるプラスチック製包装資材について説明する。しかしながら、この実施形態に係るプラスチック製包装資材は、以下で説明するレジ袋の例に限定されるものではなく、その他の袋、ロール巻き、シートロール巻き等にも適用が可能である。
【0030】
ここで、
図1は、本発明の実施形態に係るプラスチック製包装資材100の外観の一例を示す図である。なお、
図1に例示すプラスチック製包装資材100の構成は、その構成要素を模式的に示すものであり、当該構成要素の大きさと以下の説明の具体的に例示される尺度となる数値とは必ずしも一致しない場合がある。
【0031】
[プラスチック製包装資材]
例えば、
図1に示すように、本実施形態に係るプラスチック製包装資材100は、開口部を有し且つ縦方向Yに延在する筒状のプラスチックフィルムから構成されるプラスチック製袋である。なお、
図1に示すプラスチック製包装資材100は、開口前の折りたたまれた状態を示している。
【0032】
ここで、このプラスチック製包装資材100の開口前の状態において、プラスチック製包装資材の中央部分に縦方向Yに沿って延在する中央領域Bでは、プラスチックフィルムが2枚重なるように配置されている。
【0033】
さらに、プラスチック製包装資材100の開口前の状態において、プラスチック製包装資材100の中央領域RBの左側に隣接して縦方向Yに沿って延在する左側領域RAでは、前記プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されている。
【0034】
さらに、プラスチック製包装資材100の開口前の状態において、プラスチック製包装資材100の中央領域RBの右側に隣接して縦方向Yに沿って延在する右側領域RCでは、プラスチックフィルムが4枚重なるように配置されている。
【0035】
なお、このプラスチック製包装資材100を構成するプラスチックフィルムの1枚の膜厚は、例えば、15μm以下である(特に、より好ましくは、4μm~7μmの範囲の使用が想定される。)。
【0036】
ここで、例えば、
図1に示すように、プラスチック製包装資材100は、複数のエンボス部E1~E16と、複数の平坦部H1~H6と、2個の持ち手部MA、MBと、上側シール部SAと、下側シール部SBと、を備える。
【0037】
[エンボス部]
そして、複数のエンボス部E1~E16は、プラスチックフィルムに選択的にエンボス加工が施されることでエンボスが形成されている部分である。
【0038】
[平坦部]
また、複数の平坦部H1~H6は、プラスチックフィルムのエンボス加工が施されていない部分である。なお、この複数の平坦部H1~H6は、プラスチックフィルムのエンボス部E1~E16よりも凹凸が小さい及び/又はエンボス部E1~E16よりも凹凸が少ないエンボス加工が施された部分であってもよい。
【0039】
この複数の平坦部H1~H6は、縦方向Yに延在する筒状のプラスチックフィルムの上端Mにおける当該開口部の少なくとも一部に、連通するように配置されている。
【0040】
この複数の平坦部H1~H6は、例えば、
図1に示すように、上側平坦部H1と、下側平坦部H3と、中側平坦部H2と、左側平坦部H4と、中央平坦部H5と、右側平坦部H6と、を含む。
【0041】
そして、中央平坦部H5は、例えば、
図1に示すように、中央領域RBに位置し且つ縦方向Yに延在して開口部に連通している。
【0042】
また、左側平坦部H4は、例えば、
図1に示すように、左側領域RAに位置し且つ縦方向Yに延在している。
【0043】
また、右側平坦部H6と、右側領域RCに位置し且つ縦方向Yに延在している。
【0044】
そして、上側平坦部H1は、左側領域RA及び右側領域RCの上端M側に位置し且つ横方向Xに延在して開口部Mに連通している。
【0045】
また、下側平坦部H3は、左側領域RA、右側領域RC、及び中央領域RBの下端N側に位置し且つ横方向Xに延在している。
【0046】
また、中側平坦部H2は、上側平坦部H1と下側平坦部H3との間に位置し且つ横方向Xに延在している。
【0047】
なお、中央平坦部H5の幅D5は、例えば、
図1に示すように、左側平坦部H4の幅D4及び右側平坦部H6の幅D6よりも、広くなるように設定されている。
【0048】
さらに、中央平坦部H5の幅D5は、例えば、
図1に示すように、上側平坦部H1の幅D1、中側平坦部H2の幅D2、及び下側平坦部H3の幅D3よりも、広くなるように設定されている。
【0049】
なお、中央平坦部H5の幅D5は、例えば、約20mmである。また、前記左側平坦部H4の幅D4及び前記右側平坦部H6の幅D6は、例えば、約10mmである。また、上側平坦部H1の幅D1、中側平坦部H2の幅D2、及び下側平坦部H3の幅D3は、例えば、約10mmである。
【0050】
さらに、例えば、
図1に示すように、中央平坦部H5と右側平坦部H6とが配置される間隔D7は、予め設定された基準間隔(例えば、約60mm)以内に設定されている。同様に、中央平坦部H5と左側平坦部H4とが配置される間隔も、予め設定された基準間隔(例えば、約60mm)以内に設定されている。
【0051】
さらに、例えば、
図1に示すように、上側平坦部H1と中側平坦部H2とが配置される間隔D8は、既述の基準間隔(例えば、約60mm)以内に設定されている。同様に、下側平坦部H3と中側平坦部H2とが配置される間隔は、既述の基準間隔(例えば、約60mm)以内に設定されている。
【0052】
[持ち手部]
また、2個の持ち手部MA、MBは、例えば、
図1に示すように、筒状のプラスチックフィルムの左側領域RA及び右側領域RCの上端Mに縦方向Yに延在するように設けられ、ユーザが持つための部分である。
【0053】
[シール部]
また、上側シール部SAは、例えば、
図1に示すように、2個の持ち手部MA、MBの上端を封止する部分である。
【0054】
また、下側シール部SBは、例えば、
図1に示すように、筒状のプラスチックフィルムの下端Nを封止する部分である。
【0055】
以上のように、本実施形態に係るプラスチック製包装資材100では、エンボス加工を施した複数のエンボス部E1~E16と、エンボス加工を施していない複数の平坦部H1~H6を同時に発現させることで、プラスチックフィルムの面内において摩擦差を生じさせて、開口性を向上させるものである。なお、既述のように、この複数の平坦部H1~H6は、プラスチックフィルムのエンボス部E1~E16よりも凹凸が小さい及び/又はエンボス部E1~E16よりも凹凸が少ないエンボス加工が施された部分であっても、プラスチックフィルムの面内において摩擦差を生じさせることで、開口性を向上させることは可能である。
【0056】
特に、複数の平坦部H1~H6における部分的な開口後は、複数の平坦部H1~H6がエアーの通り道となり、密着度が高くなっている複数のエンボス部E1~E16も開き易くなるものである。
【0057】
通常、ユーザがレジ袋であるプラスチック製包装資材100を開こうとする場合、当該プラスチック製包装資材100の上端Mの開口部近傍の中央領域RBの中央平坦部H5を指でつまみ、ずらすようにして開けようと試みることが想定される。
【0058】
そこで、既述のように、ユーザの指の幅として、例えば、約20mm の幅のエンボス加工を施さない中央平坦部H5を設けるとともに、他の上側平坦部H1、下側平坦部H3、中側平坦部H2、左側平坦部H4、及び右側平坦部H6の幅を約10mm としている。
【0059】
さらに、既述のように、横方向(筒状のプラスチックフィルムの幅方向)Xに関しては、予め設定された基準間隔(例えば、約60mm)以内の間隔にてエンボス加工を施さないラインを設け開口性の向上を図っている。
【0060】
レジ袋において、この技術を展開する中で重要な点は、持ち手部(折り込み部)MA、MBのピッチ方向に必ずエンボス加工を施さない平坦部を設けることである。
【0061】
ここで、既述のように、持ち手部MA、MBでは、プラスチックフィルムが4教重なっており、エンボス加工の凸凹により4枚のプラスチックフィルムが密着し、最も開ロ性が低い部分となっている。
【0062】
そこで、持ち手部MA、MBに、例えば、
図1に示すように、エンボス加工を施さない上側平坦部H1、左側平坦部H4、及び右側平坦部H6を設けることで、部分的に開口した中央平坦部H5から入ったエアーが横方向Xにエンボス加工を施していない中側平坦部H2等を通して持ち手部MA、MBのエンボス加工を施していない当該平坦部まで到達し、密着した4枝のプラスチックフィルムがそれぞれ離れることなり、プラスチック製包装資材100が全体的に開口することとなる。
【0063】
このように、エンボス加工を施していない(若しくはプラスチックフィルムのエンボス部E1~E16よりも凹凸が小さい及び/又はエンボス部E1~E16よりも凹凸が少ないエンボス加工が施された)平坦部が、重なったプラスチックフィルムのずれる部分となり、ユーザが開こうとした時に起点となり、この部分を起点として開口していくことで、筒状のプラスチックフィルムの間にエアーが入り込み、重なったプラスチックフィルム同士がはがれ易くなる(すなわち、ユーザによる当該プラスチック製包装資材の開口が容易化される)。
【0064】
以上のように、本実施形態に係るプラスチック製包装資材によれば、当該プラスチック製包装資材を薄肉化しつつ、その開袋性の向上(すなわち、ユーザによる当該プラスチック製包装資材の開口の容易化)を図ることができる。
【0065】
なお、既述のように、実施形態では、プラスチック製包装資材の一例としてレジ袋等に適用されるプラスチック製包装資材について説明した。しかしながら、この実施形態に係るプラスチック製包装資材は、実施形態で説明したレジ袋の例に限定されるものではなく、その他の袋、ロール巻き、シートロール巻き等にも適用が可能である。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を実行することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
100 プラスチック製袋
E1~E16 複数のエンボス部
H1~H6 複数の平坦部
MA 持ち手部
MB 持ち手部
SA 上側シール部
SB 下側シール部
H1 上側平坦部
H2 中側平坦部
H3 下側平坦部
H4 左側平坦部
H5 中央平坦部
H6 右側平坦部
A 彫刻ロール
HA 表面
B ゴムロール
HB 表面
D 搬送方向
DA 回転方向
DB 回転方向
F 筒状のフィルム