(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】混合冷媒冷却を伴う脱水素分離装置
(51)【国際特許分類】
F25J 3/06 20060101AFI20250110BHJP
C09K 5/04 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F25J3/06 ZAB
C09K5/04 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140039
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2021519574の分割
【原出願日】2019-10-08
【審査請求日】2023-08-30
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518414306
【氏名又は名称】チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】デュコート,ダグラス・エイ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ヘイルマン,ブレント・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グシャナス,ティモシー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ホープウェル,リチャード
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10110462(DE,A1)
【文献】特表2018-528378(JP,A)
【文献】米国特許第03626705(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-5/00
C07C 7/09
C07C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するためのシステムであって、
a.混合相流出物流動が形成されるように、前記流出物流体流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される主熱交換器と、
b.前記混合相流出物流動を受け取り、水素を含む分離蒸気流動およびオレフィン系炭化水素を含む分離液体流動へと分離するように構成される分離システムと、
c
.前記分離蒸気流動を受け取り、再循環気体流動と正味蒸気流動とに分けるように構成され
る分割部と、
d.組み合わされた流動が形成されるように、
前記流出物流体流動から独立しているプロパン流動および前記再循環気体流動の少なくとも一部を受け取り、組み合わせるように構成される接合部と、
e.前記正味蒸気流動、前記組み合わされた流動および前記分離液体流動を受け取り、加温して、前記主熱交換器において冷凍をもたらすように構成される、前記主熱交換器と、
f.前記主熱交換器において冷凍を提供するように構成される混合冷媒圧縮システムと、
を備
え、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動を受け取る温端と、前記混合相流出物流動が前記主熱交換器から出る冷端とを含み、
前記システムは、膨張された供給物流動が生成されるように前記流出物流体流動から独立していてプロパンを含む供給物流動を受け取り膨張するように構成されるプロパン供給物膨張デバイスをさらに備え、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動に冷却を提供するように、前記温端で前記膨張された供給物流動を受け取り加温するようにも構成されている、
システム。
【請求項2】
前記主熱交換器が、1次冷凍通路を含み、
前記混合冷媒圧縮システムが、
i)前記主熱交換器の前記1次冷凍通路から混合相冷媒流動を受け取るように構成される吸引分離デバイスと、
ii)前記吸引分離デバイスと流体連通している入口を有する圧縮機と、
iii)前記圧縮機の出口と流体連通している入口を有する第1の段冷却デバイスと、
iv)前記第1の段冷却デバイスの出口と流体連通している入口、および前記主熱交換器の前記1次冷凍通路と流体連通している蒸気出口を有する吐出物分離デバイスと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第2の段冷却デバイスをさらに備え、
前記圧縮機は、圧縮機第1の段入口が前記吸引分離デバイスの出口から流体を受け取るように前記吸引分離デバイスの前記出口と流体連通している前記圧縮機第1の段入口と、前記第1の段冷却デバイスの入口が圧縮機第1の段出口から流体を受け取るように前記第1の段冷却デバイスの前記入口と流体連通している前記圧縮機第1の段出口と、を有する第1の段を含む、2段圧縮機であり、
中間段分離デバイス入口が前記第1の段冷却デバイスの出口から流体を受け取るように、中間段分離デバイスが前記第1の段冷却デバイスの前記出口と流体連通する前記中間段分離デバイス入口を有し、
前記圧縮機は、圧縮機第2の段入口が中間段分離デバイス出口から流体を受け取るように前記中間段分離デバイスの前記中間段分離デバイス出口と流体連通する前記圧縮機第2の段入口と、前記第2の段冷却デバイスの入口が圧縮機第2の段出口から流体を受け取るように前記第2の段冷却デバイスの前記入口と流体連通する前記圧縮機第2の段出口と、を有する第2の段も含む、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記吐出物分離デバイスは、液体出口を含み、接合部をさらに備え、
前記接合部は、前記吐出物分離デバイスの蒸気出口からの吐出蒸気と、前記吐出物分離デバイスの液体出口からの吐出液体と、を受け取り、組み合わせるように構成され、
前記接合部は、前記主熱交換器の前記1次冷凍通路と流体連通する接合部出口を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記吐出物分離デバイスは、前記主熱交換器の前記1次冷凍通路と流体連通する液体出口を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記主熱交換器は、前記吐出物分離デバイスの前記蒸気出口から混合冷媒を受け取り、組み合わせるように構成される混合冷媒冷却通路を含み、前記混合冷媒冷却通路から凝縮された混合冷媒を受け取り膨張させ、膨張された混合冷媒を前記1次冷凍通路に向けるように構成される第1の膨張デバイスをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記混合冷媒圧縮システムは、主にメタン、エチレン及びプロパンから構成される混合冷媒を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記主熱交換器は、
前記流出物流体流動に冷却を提供するように、前記温端で前記組み合わされた流動を受け取り加温するようにも構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記分離システムは単一の分離デバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記接合部は、前記主熱交換器の外部にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記分割部は、過熱された蒸気流動として前記分離蒸気流動を受け取り、再循環蒸気流動と正味蒸気流動とに分けるように構成され、前記再循環蒸気流動および前記正味蒸気流動の両方が過熱された水素リッチ蒸気流動である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記分割部は、前記分離蒸気流動を受け取り、再循環蒸気流動と、適合する水素組成を有する正味蒸気流動とに分けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記主熱交換器は単一の熱交換器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
システム内で、脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するための方法であって、
a.混合相流出物流動が形成されるように、
主熱交換器内で前記流出物流体流動を部分的に凝縮させるステップと、
b.前記混合相流出物流動を、水素を含む分離蒸気流動およびオレフィン生成物を含む分離液体流動へと分離するステップと、
c
.前記分離蒸気流動を、再循環気体流動と正味蒸気流動とに分けるステッ
プと、
d.組み合わされた流動を形成するために、前記再循環気体流動の少なくとも一部を、
前記流出物流体流動から独立しているプロパン流動と組み合わせるステップと、
e.前記流出物流体流動を部分的に凝縮させるための冷凍を提供するために、前記正味蒸気流動、前記組み合わされた流動、前記分離液体流動および冷媒流動を加温するステップと、
を含
み、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動を受け取る温端と、前記混合相流出物流動が前記主熱交換器から出る冷端とを含み、
前記システムは、膨張された供給物流動が生成されるように前記流出物流体流動から独立していてプロパンを含む供給物流動を受け取り膨張するように構成されるプロパン供給物膨張デバイスをさらに備え、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動に冷却を提供するように、前記温端で前記膨張された供給物流動を受け取り加温するようにも構成されている、
方法。
【請求項15】
ステップe.で使用される前記冷媒流動は、混合冷媒を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流出物流体流動を部分的に凝縮させるステップが、前記混合冷媒と、プロパンおよび前記分離蒸気流動の一部を含む流動との両方を使用して達成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記混合冷媒は、主にメタン、エチレン及びプロパンから構成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するためのシステムであって、
a.混合相流出物流動が形成されるように、前記流出物流体流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される主熱交換器と、
b.前記混合相流出物流動を受け取り、水素を含む分離蒸気流動およびオレフィン系炭化水素を含む分離液体流動へと分離するように構成される分離システムと、
c
.前記分離蒸気流動を受け取り、再循環気体流動と正味蒸気流動とに分けるように構成される分割
部と、
d.組み合わされた流動が形成されるように、
前記流出物流体流動から独立しているプロパン流動および前記再循環気体流動の少なくとも一部を受け取り、組み合わせるように構成される接合部と、
e.前記正味蒸気流動、前記組み合わされた流動および前記分離液体流動を受け取り、加温して、前記主熱交換器において冷凍をもたらすように構成される、前記主熱交換器と、
f.前記主熱交換器において冷凍を提供するように構成される冷媒圧縮システムと、
を備
え、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動を受け取る温端と、前記混合相流出物流動が前記主熱交換器から出る冷端とを含み、
前記システムは、膨張された供給物流動が生成されるように前記流出物流体流動から独立していてプロパンを含む供給物流動を受け取り膨張するように構成されるプロパン供給物膨張デバイスをさらに備え、
前記主熱交換器は、前記流出物流体流動に冷却を提供するように、前記温端で前記膨張された供給物流動を受け取り加温するようにも構成されている、
システム。
【請求項19】
前記分離システムは単一の分離デバイスを含む、
請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、2018年10月9日に出願された米国仮出願第62/743,263号の利益を主張するものであり、その米国仮出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
[0002]プロパン脱水素(PDH)分離システムが、当技術分野において知られている。そのようなシステムの例が、所有者が共通する米国特許第6,333,445号において説明されており、その米国特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
[0003]PDH分離システムに対する現在の設計は、液体オレフィン生成物の分離および回収に必要な冷凍をもたらすために、反応器流出物蒸気流動(Reactor Effluent vapor stream)が、反応器流出物圧縮機を使用して高い圧力(約1.2MPa(12バールゲージ))まで圧縮され、次いで、2つの、発電機を搭載したまたは圧縮機を搭載した極低温ターボ膨張機を使用して減圧されることを要する。
【0004】
[0004]そのような従来技術システムの欠点は、プロセス全体の電力消費、ターボ膨張機/発電機(または圧縮機)一式の追加費用および維持要件、(資本費用および運転費用を増大する)高いことが必要とされる反応器流出物圧縮機吐出圧力、ならびに、オレフィンおよび水素分離温度を有意に調整するための柔軟性の不足を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]下記で説明および特許請求される、デバイスおよびシステムにおいて、別個に、または一体で実施され得る、本主題のいくつかの態様が存在する。これらの態様は、単独で、または、本明細書において説明される主題の他の態様との組合せで用いられ得るものであり、これらの態様を一体で説明することは、これらの態様を別個に使用すること、または、本明細書に添付される特許請求の範囲において記載されるように、別個で、もしくは、異なる組合せで、そのような態様を特許請求することを排除することは意図されていない。
【0006】
[0006]1つの態様において、脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するためのシステムが、混合相流出物流動が形成されるように、流出物流体流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される主熱交換器を含む。1次分離デバイスが、混合相流出物流動を受け取り、1次蒸気流動および1次液体生成物流動へと分離するように、主熱交換器と流体連通している。混合相1次流動が形成されるように、1次蒸気流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される主熱交換器。2次分離デバイスが、混合相1次流動を受け取り、2次蒸気流動および2次液体生成物流動へと分離するように、主熱交換器と流体連通している。主熱交換器は、2次蒸気流動を受け取り、加温して、流出物流体流動および1次蒸気流動を部分的に凝縮させるための冷凍をもたらすように構成される。混合冷媒圧縮システムが、冷媒を主熱交換器にさらに提供するように構成される。
【0007】
[0007]別の態様において、脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するためのシステムが、混合相流出物流動が形成されるように、流出物流体流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される保冷箱供給物熱交換器(c
old box feed heat exchanger)を含む。1次分離デバイスが、混合相流出物流動を受け取り、1次蒸気流動および1次液体生成物流動へと分離するように、保冷箱供給物熱交換器と流体連通している。混合冷媒熱交換器が、混合相1次流動が形成されるように、1次蒸気流動を受け取り、部分的に凝縮させるように構成される。2次分離デバイスが、混合相1次流動を受け取り、2次蒸気流動および2次液体生成物流動へと分離するように、混合冷媒熱交換器と流体連通している。混合冷媒熱交換器は、2次蒸気流動を受け取り、加温して、1次蒸気流動を部分的に凝縮させるための冷凍をもたらすように構成される。保冷箱供給物熱交換器は、混合冷媒熱交換器から出た後の2次蒸気流動を受け取り、さらに加温して、流出物流体流動を部分的に凝縮させるための冷凍をもたらすように構成される。混合冷媒圧縮システムが、冷媒を混合冷媒熱交換器に提供するように構成される。
【0008】
[0008]さらに別の態様において、脱水素反応器からの流出物流体流動内のオレフィン系炭化水素および水素を分離するための方法が、混合相流出物流動が形成されるように、流出物流体流動を部分的に凝縮させるステップと、混合相流出物流動を1次蒸気流動および1次液体生成物流動へと分離するステップと、混合相1次流動が形成されるように、1次蒸気流動を部分的に凝縮させるステップと、混合相1次流動を2次蒸気流動および2次液体生成物流動へと分離するステップと、2次蒸気流動を加温して、流出物流体流動および1次蒸気流動を部分的に凝縮させるための冷凍をもたらすステップと、冷媒を主熱交換器に混合冷媒圧縮システムから提供するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]本開示のシステムの第1の実施形態の概略図である。
【
図2】[0010]本開示のシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図3】[0011]本開示のシステムの第3の実施形態の概略図である。
【
図4】[0012]本開示のシステムの第4の実施形態の概略図である。
【
図5】[0013]本開示のシステムの第5の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]本発明は、ここでは、熱交換器およびドラムを伴う混合冷媒(MR)圧縮機からなるMRシステムを使用して、液体オレフィン生成物の分離および回収に必要な冷凍をもたらす、脱水素分離装置である。単に例として、MRシステムは、単一混合冷媒システムを使用し得るものであり、または、第2の冷媒を使用して予冷される単一混合冷媒システムであり得る。
【0011】
[0015]従来技術システムと同じ生成物回収率を達成する一方で、便益のうちの一部は、次のことを含み得る:1)プロセス全体の電力消費がより低い、2)両方のターボ膨張機/発電機(または圧縮機)一式が取り除かれる、3)必要とされる反応器流出物圧縮機吐出圧力が有意に低減され、これにより、資本費用および運転費用を節約する、4)分離システムの運転、維持、および信頼性が、ターボ膨張機プロセスと比較して、MRプロセスによって改善される、5)MRプロセスが、主供給物熱交換器の、より堅牢および寛容な設計を可能とする、6)MRプロセスが、再循環流出物圧縮機に影響を及ぼすことなく、分離システムに対する冷凍水準を調整するための独立した手段を提供する。
【0012】
[0016]プロピレン冷凍が多くのPDH施設において使用されるので、本明細書において説明されるMRプロセスは、プロピレン冷凍を使用して、MR冷媒を予冷し、MR圧縮機電力消費を低減する。予冷は、さらに、エチレンおよびプロピレンが好まれるが、メタン、エチレン(またはエタン)、およびプロピレン(またはプロパン)のみを要し、MR成分混合物が単純化されることを可能とする。MR混合物内にC4またはC5がなければ、反応器触媒汚染の可能性は低減される。
【0013】
[0017]下記で提示される本発明の解説は、プロパン脱水素装置に特化しているが、同じプロセスが、ブタン脱水素に対して用いられ得る。
【0014】
[0018]
図1を参照すると、反応器流出物気体が、REC圧縮機内で約720kPa(7
.2バールゲージ)まで圧縮され、圧縮の熱は、保冷箱蒸気供給物8として極低温分離システムに進入するより前に除去される。気体は、保冷箱供給物熱交換器9に送出され、その熱交換器において、その気体は、部分的に凝縮され、次いで、出口1次分離器10に流れる。蒸気および液体が分離され、液体流動は、C
3オレフィン生成物の一部分を内包し、蒸気流動17は、水素と、残っているオレフィン生成物とを内包する。
【0015】
[0019]この蒸気スチーム17は、混合冷媒熱交換器11(MR交換器)に流れ、その熱交換器において、その蒸気スチームは、さらに、所望される生成物回収率を達成するために、必要な温度まで冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流動は、2次分離器12に流れ、液体オレフィン生成物および富水素蒸気流動21へと分離される。富水素流動は、MR交換器内で再加熱され、次いで、2つの流動 - (組み合わされた反応器供給物に必要な水素である)再循環気体13、および、水素流動の残りであり、分離システムから排出されることになる正味蒸気16へと分けられる。
【0016】
[0020]正味蒸気流動は、再加熱され、冷凍が、新鮮供給物(Fresh Feed)熱交換器(冷端26と温端32とを有する)内で回収される。液体生成物流動(1次分離器10および2次分離器12からの)が組み合わされて組み合わされた液体生成物流動18を形成し、新鮮供給物熱交換器26、32に流れる。
【0017】
[0021]保冷箱蒸気供給物8(「反応器流出物」)は、最初に保冷箱供給物交換器内で冷却される。その供給物は、1次的には、組み合わされた反応器供給物14により、および2次的には、排出正味蒸気生成物16の一部分24により冷却される。組み合わされた反応器供給物は、保冷箱供給物熱交換器9内で、再循環気体流動13を、冷たい新鮮供給物液体流動15(プロパンまたはn-ブタンなど)と組み合わせ、組み合わされた流動を気化させることにより、冷凍の大部分をもたらす。冷たい新鮮供給物液体流動15は、保冷箱供給物熱交換器9に進入する前に、26および32において新鮮供給物熱交換器内で過冷却される新鮮供給物入口流動23から形成される。新鮮供給物に対する冷凍は、C3オレフィン生成物18から、および、正味蒸気生成物16の一部分から冷熱を回収することによりもたらされる。
【0018】
[0022]フラッシュ気体(再循環)19が、新鮮供給物交換器の冷端部26内で分離器液体を部分的に加温することにより生成される。結果的に生じる蒸気液体混合物27が、液体生成物貯槽28内で分離される。貯槽28からの蒸気が、新鮮供給物交換器の温端部32内で加温され、フラッシュ気体19が、上流反応器流出物圧縮機の吸引に対して再循環される(米国特許第6,333,445号の
図1を参照されたい)。貯槽28からの液体生成物は、ポンプ34によって吸い込まれ送り出され、追加的な冷熱が、新鮮供給物交換器の温端部32内で回収される。
【0019】
[0023]分離システムに対する総体的な冷凍平衡は、混合冷媒(MR)交換器(MRHX)11内での最終的な冷却を介して、
図1において、38において全体的に示される、MR圧縮システムによりもたらされる。C
3予冷されるMRシステムがここでは説明されるが、単一MRシステムが、さらに使用され得る。
図1は、単一段MR圧縮機40、続いて空気または水冷却器42、さらに続いてC
3(プロピレン)予冷器44を示す。予冷器は、所望される温度を得るために必要とされるのと同じだけ多くの、冷凍の段を利用することができ、2つの段が、簡単のために示される。MR冷媒は、分離器46によって、蒸気相流動31および液相流動33それぞれへと分離され、MRHX11に送出される。MR蒸気流動31は、MRHX11内で冷却され、凝縮され、35において、プロセスに対する最も冷たい冷媒、および、低圧力冷媒流動37を生成するためにフラッシュされる。MR液体流動33が、さらに、MRHX内で冷却され、41においてフラッシュされ、低圧力冷媒流動37に送出され、そのMR液体流動33は、より温かい温度において、低圧力冷媒流動37に合流し、低圧力冷媒流動37と混合される。共通冷媒帰還流動47が、混合相蒸気/液体流動としてMRHXから出る。圧縮される前に、蒸気および液体は、分離器48によって分離される。液体は、ポンプ49によって、より高い圧力まで吸い込まれ送り出され、蒸気は、圧縮機40において、必要な吐出圧力まで圧縮される。システムは、特定の設計条件に適した、典型的なMR組成を使用する。
【0020】
[0024]
図1において例示される、および、上述の熱交換器は、単一の主熱交換器へと組み込まれ、または統合され得る。
【0021】
[0025]
図2を参照すると、システムの第2の実施形態において、MR圧縮機に対する吸引ドラムが、さらに、重質成分冷媒アキュムレータ(accumulator)として働くように設計され得る。MRシステムは、冷媒内の過剰な重質成分(C
3、C
4、またはC
5など)によって動作可能であり、結果的に生じるMRは、少なくとも一時的には、交換器11から出る2相流動52である。これらの過剰な重質成分は、圧縮機吸引ドラム50内で分離され、ドラム内に留まる。MR圧縮機40に流れる冷媒蒸気は、今やその蒸気の露点にあり、システムは、自動的に露点条件において動作する。「補充」冷媒がシステムに追加される際、蓄積される重質成分は、次いで、吸引圧力および温度においての露点に対して、軽質成分との均衡を保つことになる。必要とされる場合、重質成分は、吸引アキュムレータにおいて冷凍システムから優先的に除去され、または、吸引ドラム内に優先的に追加および保持され得る。
【0022】
[0026]
図3において例示される、システムの第3の実施形態において、反応器流出物気体が、REC圧縮機内で約720kPa(7.2バールゲージ)まで圧縮され、圧縮の熱は、保冷箱蒸気供給物108として極低温分離システムに進入するより前に、周囲交換器(空気または水)冷却によって除去される。気体は、主熱交換器110に送出され、その熱交換器において、その気体は、冷却され、部分的に凝縮され、次いで、1次分離器112に流れる。蒸気および液体が分離され、液体流動114は、C3オレフィン生成物の一部分を内包し、蒸気流動116は、水素と、残っているオレフィン生成物とを内包する。この蒸気スチームは、主熱交換器110に戻るように流れ、その熱交換器において、その蒸気スチームは、さらに、所望される生成物回収率を達成するために、冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流動118は、2次分離器122に流れ、液体オレフィン生成物124および富水素流動126へと分離される。富水素蒸気流動は、主熱交換器内で再加熱され、次いで、130において、2つの流動 - (組み合わされた反応器供給物133に必要な水素である)再循環気体132、および、(残っている水素流動の残りであり、分離システムから排出されることになる)正味蒸気134へと分けられる。正味蒸気流動は、再加熱され、冷凍が、主熱交換器内で回収される。
【0023】
[0027]温かい新鮮プロパン供給物138が、主熱交換器110に送出され、1次分離器112と同じ温度まで冷却される。冷却された新鮮プロパン供給物142は、次いで、組み合わされた反応器供給物133を形成するために、再循環気体132と混合される。この流動は、再加熱され、冷凍が、主熱交換器内で回収される。このことは、極低温分離システムに対する冷凍の大半をもたらす。
【0024】
[0028]液体生成物流動114および124(1次分離器112および2次分離器122からの)は、それらの流動のそれぞれの温度に関しての適切な場所において、主熱交換器
110に供給される。液体生成物流動は、加熱され、部分的に気化される。液体生成物流動は、共通管寄せを通って主熱交換器から出て、液体生成物流動146を形成する。液体生成物流動のこの向きは、効率を改善し、配管複雑度を低減し、凍結の危険性を低下させる。
【0025】
[0029]部分的に気化された混合されたC3液体生成物流動146は、液体生成物貯槽150に送出される。液体生成物貯槽からの蒸気152(フラッシュ気体)が、主熱交換器内で加熱され、次いで、フラッシュ気体流動154として、上流反応器流出物圧縮機の吸引に対して再循環される。液体生成物貯槽からの液体156(液体生成物)は、ポンプ158によって吸い込まれ送り出され、次いで、追加的なエネルギー回収のために主熱交換器内で加熱される。加温された液体生成物は、C3生成物流動162として主熱交換器から出る。
【0026】
[0030]分離システムに対する総体的な冷凍平衡は、168において全体的に示される、混合冷媒(MR)システムによりもたらされる。
図3の実施形態は、空気または水中間冷却、および吐出冷却を伴う、2段MR圧縮機172を使用する。第1のMR圧縮機段の吐出物174が、175において部分的に凝縮され、MR中間段ドラム176に送出される。蒸気178が、第2のMR圧縮機段に送出され、液体182が、主熱交換器110に送出される。第2のMR圧縮機段吐出物184が、185において部分的に凝縮され、MRアキュムレータ186内で分離される。MRアキュムレータ蒸気192および液体194が、主熱交換器110に送出される。MRアキュムレータ蒸気は、主熱交換器内で部分的に凝縮され、結果的に生じる流動196が、プロセス効率を改善するために、冷蒸気分離器ドラム202に送出される。冷蒸気分離器蒸気204、冷蒸気分離器液体206、MRアキュムレータ液体194、およびMR中間段液体182は、すべて、主熱交換器110内で凝縮され、予冷される。これらの流動のすべては、交換器から出て、JT弁(単に例として)を通ってフラッシュされ、結果的に生じる混合相流動は、分離システムに必要な冷凍平衡をもたらすために、適切な温度において直立管(standpipe)212、213、214、および216を経て分離され、主熱交換器に送り返される。MRシステム168の動作に関する追加的な詳細は、Ducote,Jr.らの、所有者が共通する米国特許出願公開第US2014/0260415号において入手可能であり、その米国特許出願公開の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0027】
[0031]フラッシュされた低圧力MR流動は、主熱交換器の中で混合され、MR圧縮機吸引ドラム224に送出される単一の過熱された蒸気流動220として出る。システムは、特定の設計条件に適した、典型的なMR組成を使用する。
【0028】
[0032]MRシステムは、周囲温度においてのもので、または、より冷温である、追加的な熱伝達設備の、主熱交換器への統合を可能とする。例として、
図3は、脱エタン塔精留塔凝縮器(脱エタン塔塔頂入口流動226および脱エタン塔塔頂出口流動228)の、主熱交換器への統合を示す。このことは、必要な追加的な冷凍負荷に起因して、MRシステムの大きさを増大するが、脱エタン塔精留塔凝縮器設備に対する別個のC3冷凍システムに対する必要性を除去し、これにより、脱水素工場に対する総体的な機器総数を低減する。
【0029】
[0033]
図4において例示される、本開示のシステムの第4の実施形態において、中間段分離デバイス406が、
図1のシステムに追加される。MR熱交換器11からの混合相MR流動402(MR熱交換器に進入するより前の分離器46の液体出口として始まる)が、圧縮機40の第1の段の出口からの混合相MR流動404と組み合わされる。組み合わされた流動は、分離デバイス406の入口に向けられ、結果的に生じる蒸気流動408が、圧縮機40の第2の段の入口内へと向けられる。圧縮機40の第2の段の出口が、冷却デバイス42および44に向けられ、MR流動の処理は、次いで、混合冷媒熱交換器11内で冷却し、弁41によってフラッシュした後の流動33が、低圧力冷媒流動37と合流しないということを除いて、
図1に関して上述のように継続する。しかしながら、代替的な実施形態において、混合冷媒熱交換器11内で冷却し、弁41によってフラッシュした後の流動33の一部分は、低圧力冷媒流動37に合流し得る。
【0030】
[0034]
図5において例示される、本開示のシステムの第5の実施形態において、中間段分離デバイス506が、
図2のシステムに追加される。MR熱交換器11からの混合相MR流動502が、MR圧縮機の第1の段の出口からの混合相MR流動504と組み合わされる。組み合わされた流動は、分離デバイス506の入口に向けられ、結果的に生じる蒸気流動508が、MR圧縮機の第2の段の入口内へと向けられる。MR圧縮機の第2の段の出口が、1つまたは複数の冷却デバイスに向けられ、MR流動の処理は、次いで、
図4に関して上述のように継続する。
【0031】
[0035]説明において言及された熱交換器は、配管設計、工場配置計画、または性能を単純化するために、ろう付けアルミニウムプレートフィン熱交換器などの多重流動熱交換器の使用と組み合わされ得る。組合せの例は、新鮮供給物-2交換器と新鮮供給物-1交換器、または、保冷箱供給物交換器と両方の新鮮供給物交換器であり得る。他の組合せが、さらに望ましくあり得る。
【0032】
[0036]本発明の好まれる実施形態が示され説明されたが、変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態においてなされ得るということが、当業者には明らかであろう。