(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】半導体パッケージ構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20250110BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20250110BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20250110BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L23/12 N
H01L25/00 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/28 B
(21)【出願番号】P 2023148640
(22)【出願日】2023-09-13
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】202211201534.1
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520350546
【氏名又は名称】珠海越亜半導体股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI ACCESS SEMICONDUCTOR CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】陳 先明
(72)【発明者】
【氏名】馮 磊
(72)【発明者】
【氏名】李 巧霊
(72)【発明者】
【氏名】高 峻
(72)【発明者】
【氏名】黄 本霞
(72)【発明者】
【氏名】黄 聚▲塵▼
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-050878(JP,A)
【文献】特開平10-084014(JP,A)
【文献】特開2018-037461(JP,A)
【文献】特開2011-258772(JP,A)
【文献】特開2013-046054(JP,A)
【文献】特開2012-191084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0011672(US,A1)
【文献】特開2001-177010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/00
H05K 3/46
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージ構造の製造方法であって、
前記半導体パッケージ構造は、
外部機能回路に接続するための半導体パッケージ構造であって、
実装層、第1素子層、第1絶縁層、導通銅柱及び第2素子層を備え、前記実装層が前記第1素子層を被覆し、前記第1素子層、前記第1絶縁層及び前記第2素子層が順に積層して設けられ、前記導通銅柱が前記第1絶縁層を貫通し、前記第1素子層と前記第2素子層とが前記導通銅柱を介して電気的に接続され、
前記第1素子層が第1回路層、溝及び埋め込み素子を備え、前記埋め込み素子が前記第1回路層に接続され、前記溝が前記埋め込み素子の下方に設けられ、前記埋め込み素子の貼設方向に沿った前記溝と前記埋め込み素子の投影が部分的又は完全に重なり、
前記第2素子層が第2回路層、第1ソルダーレジスト層及び半田ボールを備え、前記第1ソルダーレジスト層が前記第2回路層を部分的に被覆し、前記半田ボールが前記第2回路層と前記外部機能回路との電気的接続を実現するためのものであり、
前記半導体パッケージ構造の製造方法は、
積層して設けられた第1金属層及び載置板を備えた一枚の仮置板を用意するステップと、
前記第1金属層を基材として第1回路層を製作するステップと、
前記第1回路層を被覆するように前記第1回路層に第1絶縁層を圧着するステップと、
前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作するステップと、
前記載置板を除去し、且つ前記第1回路層に溝を製作するステップと、
埋め込み素子の貼設方向に沿った前記埋め込み素子と前記溝の投影が部分的又は完全に重なるように、埋め込み素子を貼設するステップと、
前記第2回路層に半田ボールを半田付けし、前記第2回路層を部分的に被覆するように第1ソルダーレジスト層を製作するステップと、
前記第1回路層、前記埋め込み素子及び前記溝を実装材料で被覆するステップと、を含むことを特徴とする半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属層を基材として第1回路層を製作する前記ステップは、具体的には、
前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設するステップと、
前記第1フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第1回路パターンを得るステップと、
前記第1回路パターンにエッチングプロセスを施して第1回路層を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項3】
前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作する前記ステップは、具体的には、
前記第1絶縁層に対して穴あけを行い、前記第1絶縁層を貫通して前記第1回路層を外部へ露出させる無銅穴を形成するステップと、
前記無銅穴に対して穴埋めめっきを行い、導通銅柱及び第2金属シード層を形成するステップと、
前記第2金属シード層に第2フォトレジスト層を貼設するステップと、
前記第2フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第2回路パターンを得るステップと、
前記第2回路パターンにエッチングプロセスを施して第2回路層を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項4】
前記第1回路層に溝を製作する前記ステップは、具体的には、
第1回路層における第1絶縁層の圧着面に対向する側の表面である第1回路層の下面に第3フォトレジスト層を貼設するステップと、
前記第3フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第3回路パターンを得るステップと、
前記第3回路パターンにエッチングプロセスを施して前記溝を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項
2に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設する前記ステップは、具体的には、
フィルム貼付け又はコーティングによって前記第1金属層に前記第1フォトレジスト層を貼設するステップを含むことを特徴とする請求項
2に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体の技術分野に関し、特に、半導体パッケージ構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展が日増しに進むに伴い、電子製品の性能要求がますます高くなってきており、その結果、電子素子及び回路基板の回路がますます複雑になってきていると共に、電子製品の寸法の小型化、薄型化が求められるようになってきた。このため、電子素子及び回路基板の回路の集積化、小型化、多機能化は必然的趨勢となった。線幅及びピッチを小さくすることで、基板全体の配線密度を大幅に高めることができるが、それに伴って回路と基材との結合力の低下、ピッチの減少による回路間ショートの激増等の一連の問題が生じてしまった。埋め込み回路基板はそれに応じて解決手段として登場した。
【0003】
従来技術において、基板に素子を実装する時に、素子ピンと基板との間の距離が非常に小さく、実装材料を正常に素子の底部位置まで完全に充填できないため、素子ピン間の密閉性が低く、電気絶縁性能が低く、素子の耐用年数に影響を与えることになったので、新規な半導体パッケージ構造が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来技術に存在する技術問題の一つを少なくともある程度解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本開示の実施形態の一目的は、素子の密閉性を向上可能な半導体パッケージ構造を提供することである。
【0006】
上記技術目的を達成するために、本開示の実施形態で採用する技術手段は、外部機能回路に接続するための半導体パッケージ構造であって、実装層、第1素子層、第1絶縁層、導通銅柱及び第2素子層を備え、前記実装層が前記第1素子層を被覆し、前記第1素子層、前記第1絶縁層及び前記第2素子層が順に積層して設けられ、前記導通銅柱が前記第1絶縁層を貫通し、前記第1素子層と前記第2素子層とが前記導通銅柱を介して電気的に接続され、前記第1素子層が第1回路層、溝及び埋め込み素子を備え、前記埋め込み素子が前記第1回路層に接続され、前記溝が前記埋め込み素子の下方に設けられ、前記埋め込み素子の貼設方向に沿った前記溝と前記埋め込み素子の投影が部分的又は完全に重なり、前記第2素子層が第2回路層、第1ソルダーレジスト層及び半田ボールを備え、前記第1ソルダーレジスト層が第2回路層を部分的に被覆し、前記半田ボールが前記第2回路層と前記外部機能回路との電気的接続を実現するためのものである半導体パッケージ構造を含む。
【0007】
また、本開示の上記実施形態の溝付き半導体パッケージ構造の製造方法によると、更に以下の付加技術特徴を有することが可能である。
【0008】
更に、本開示の実施形態では、前記第1素子層は、更に、前記第1回路層を部分的に被覆する第2ソルダーレジスト層を備える。
【0009】
更に、本開示の実施形態では、前記第1絶縁層はPP材料又はABF材料を含む。
【0010】
更に、本開示の実施形態では、前記埋め込み素子の数は一つ又は複数を含み、前記溝の数は一つ又は複数を含む。
【0011】
更に、本開示の実施形態では、前記埋め込み素子は能動素子又は受動素子を含む。
【0012】
更に、本開示の実施形態では、前記溝の深さが前記第1回路層の厚さ以上である。
【0013】
別の態様において、本開示の実施形態は、更に、上記のいずれか一項の実施形態に記載の半導体パッケージ構造を製造するための導体パッケージ構造の製造方法を提供する。前記方法は、積層して設けられた第1金属層及び載置板を備えた一枚の仮置板を用意するステップと、前記第1金属層を基材として第1回路層を製作するステップと、前記第1回路層を被覆するように前記第1回路層に第1絶縁層を圧着するステップと、前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作するステップと、前記載置板を除去し、且つ前記第1回路層に溝を製作するステップと、埋め込み素子の貼設方向に沿った前記埋め込み素子と前記溝の投影が部分的又は完全に重なるように、埋め込み素子を貼設するステップと、前記第2回路層に半田ボールを半田付けし、前記第2回路層を部分的に被覆するように第1ソルダーレジスト層を製作するステップと、前記第1回路層、前記埋め込み素子及び前記溝を実装材料で被覆するステップと、を含む。
【0014】
更に、本開示の実施形態では、前記第1金属層を基材として第1回路層を製作する前記ステップは、具体的には、前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設するステップと、前記第1フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第1回路パターンを得るステップと、前記第1回路パターンにエッチングプロセスを施して第1回路層を得るステップと、を含む。
【0015】
更に、本開示の実施形態では、前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作する前記ステップは、具体的には、前記第1絶縁層に対して穴あけを行い、前記第1絶縁層を貫通して前記第1回路層を外部へ露出させる無銅穴を形成するステップと、前記無銅穴に対して穴埋めめっきを行い、導通銅柱及び第2金属シード層を形成するステップと、前記第2金属シード層に第2フォトレジスト層を貼設するステップと、前記第2フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第2回路パターンを得るステップと、前記第2回路パターンにエッチングプロセスを施して第2回路層を得るステップと、を含む。
【0016】
更に、本開示の実施形態では、前記第1回路層に溝を製作する前記ステップは、具体的には、第1回路層における第1絶縁層の圧着面に対向する側の表面である第1回路層の下面に第3フォトレジスト層を貼設するステップと、前記第3フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第3回路パターンを得るステップと、前記第3回路パターンにエッチングプロセスを施して前記溝を得るステップと、を含む。
【0017】
更に、本開示の実施形態では、前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設する前記ステップは、具体的には、フィルム貼付け又はコーティングによって前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設するステップを含む。
【0018】
また、本開示は、更に、上記のいずれか一項の実施形態に記載の半導体パッケージ構造を少なくとも一つ備える集積回路システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本開示の長所及び有用な効果は一部が以下の記述に示され、一部が以下の記述から明らかになり、或いは、本開示の実践によって理解される。
【0020】
本開示のパッケージ構造では、埋め込み素子の下方に溝を設けることで、埋め込み素子の実装プロセスの時に実装材料が完全に埋め込み素子のピンの下方の空間にしみ込むことができ、埋め込み素子のピン間が実装材料で満たされ、ピン間の完全な密封が実現され、これによって、密閉性を向上させることができ、ピン間の電気絶縁を実現し、パッケージ構造全体の耐用年数を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本開示の具体的な一実施形態における半導体パッケージ構造の模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の具体的な一実施形態における半導体パッケージ構造の製造方法のステップの模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の具体的な一実施形態における半導体パッケージ構造の製造手順における構造変化の模式図である。
【
図4】
図4は、従来のプロセスの半導体パッケージ構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に記述し、本開示の実施形態における半導体パッケージ構造の原理と手順について、以下のように説明する。
【0023】
まず、図面を参照しながら従来の実装プロセスに存在する欠点を説明する。
【0024】
図4を参照し、従来のプロセスにおいて、埋め込み素子を実装する時に、埋め込み素子のピンと素子本体との間の隙間が非常に小さく、実装材料が正常に埋め込み素子の下方に入ることができず、材料で埋め込み素子を完全に包むことができないため、従来のプロセスによれば、埋め込み素子の下方に隙間が存在することを招きやすく、その結果、その密閉性が低くなり、更に隙間に水蒸気や酸素及び他の素子を腐食可能な気体が存在する可能性が高く、これらの気体が長期にわたって隙間に存在すると、素子の劣化を加速させ、素子の耐用年数を減少させ、製品品質に影響を与える。
【0025】
上記欠点に基づき、
図1を参照し、本開示は外部機能回路に接続できる新規な半導体パッケージ構造を提供し、ここで、外部機能回路は他の半導体構造であってもよいし、他の集積回路であってもよいし、能動素子又は受動素子であってもよいし、PCB上の回路であってもよい。半導体パッケージ構造は実装層1、第1素子層2、第1絶縁層3、導通銅柱4及び第2素子層5を備えてよく、実装層1は第1素子層2を被覆してよく、第1素子層2、第1絶縁層3及び第2素子層5は順に積層して設けられてよく、導通銅柱4は第1絶縁層3を貫通してよく、第1素子層2と第2素子層5とは導通銅柱4を介して電気的に接続されてよく、第1素子層2は第1回路層201、溝202及び埋め込み素子203を備えてよく、第1回路層201は埋め込み素子203に接続される回路層であってよく、埋め込み素子203はピン又は半田付けパッドを介して第1回路層201に接続されてよく、溝202は埋め込み素子203の下方に設けられてよく、埋め込み素子203の貼設方向に沿った溝202と埋め込み素子203の投影は部分的又は完全に重なってよく、第2素子層5は第2回路層501、第1ソルダーレジスト層502及び半田ボール503を備えてよく、第2回路層501は半田ボール503に接続され、導通銅柱4を介して第1回路層201に接続される回路層であってよく、第1ソルダーレジスト層502は、第2回路層501における一部の位置が半田ボール503に接続可能なように第2回路層501を部分的に被覆してよく、半田ボール503は第2回路層501と外部機能回路との電気的接続を実現できる。
【0026】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、第1素子層は、更に、第2ソルダーレジスト層を備えてもよく、第2ソルダーレジスト層は第1回路層を部分的に被覆してよい。部分的に被覆するというのは、埋め込み素子に接続必要な箇所以外の第1回路層の全ての他の領域を被覆することであってもよいし、第1回路層中の特定領域を被覆することであってもよく、この特定領域は腐食防止必要な領域であってもよい。第2ソルダーレジスト層は第1回路層の一部の領域が埋め込み素子の貼設又は構造実装の時に酸化又は腐食されることを防止できる。
【0027】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、第1絶縁層はPP材料又はABF材料を含んでよい。PP材料及びABF材料はいずれも良好な絶縁性能、良好な耐食性を有し、且つ無毒であり、半導体の絶縁層に適用できる。第1絶縁層は他の従来の絶縁材料又は将来出現する他の絶縁材料で形成される絶縁層であってもよいし、PP、ABF及び他の絶縁層を混合して形成される絶縁層であってもよい。具体的には、混合とは材料の混合であってもよいし、異なる材料で形成される層の物理的圧着であってもよい。例えば、PP材料で一つのサブ絶縁層を形成し、ABF材料で別のサブ絶縁層を形成し、二つのサブ絶縁層を圧着して対応する第1絶縁層としてもよい。
【0028】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、埋め込み素子は一つ又は複数を含んでよく、前記溝の数は一つ又は複数を含んでよく、埋め込み素子の数は溝の数に一対一で対応してよい。一つの半導体構造において、埋め込み素子の数は通常、一つだけでなく、溝の数もそれに一対一で対応するように設けてもよい。一対一で対応する溝によって、各埋め込み素子のピンの下方空間を実装材料で満たすことができ、構造全体の密閉性を向上させ、空気中の静電気及び他の不純物が埋め込み素子に与える損傷を減少させ、埋め込み素子の耐用年数を向上させることができる。
【0029】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、埋め込み素子は能動素子又は受動素子を含んでよく、能動素子はトライオード、MOSトランジスター及び他のトランジスターであってもよいし、チップ又は他の小型の集積回路であってもよく、受動素子は抵抗器、コンデンサー又は他の受動素子であってよい。
【0030】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、溝の深さが第1回路層の厚さ以上であってよい。溝は実装材料のしみ込みを実現し、実装材料で埋め込み素子全体を被覆して包むことができるだけでなく、第1回路層のいくつかの領域の電気的隔離を実現できる。従って、溝の深さが第1回路層の厚さ以上であってよく、第1回路層の一部の領域を電気的に隔離できる。
【0031】
更に、本開示のいくつかの実施形態では、半田ボールの材料は金、銅又は錫のうち少なくとも一種を含んでよい。半田ボールは銅材料又は錫材料又は金材料の一種で製作して得られてもよいし、上述した三種の材料を二種ずつ混合し又は三者を混合して製作して得られてもよい。上記三種の材料は良好な導電性能を有し、且つ入手しやすく、素子の実用性を向上可能である。金はより優れた耐食性を有するが、錫及び銅は金より安価であり、銅又は錫を採用すれば、材料のコストを低減可能である。
【0032】
また、
図2を参照し、
図1の構造に対応するように、本開示の実施形態においては、更に、上記のいずれか一つの実施形態に記載の半導体パッケージ構造を製造するための半導体パッケージ構造の製造方法を提供し、前記方法は下記のステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8を含んでよい。
【0033】
ステップS1において、第1金属層及び載置板を備えた一枚の仮置板を用意する。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、仮置板は第1金属層及び載置板を備えてよい。第1金属層の厚さは回路層製作に合致する厚さであってよく、載置板は通常の絶縁載置板であってもよいし、異なる材料で形成された異なる薄層を圧着してなった載置板であってもよい。第1金属層は載置板と積層して設けられてよく、後続のプロセスにおいて物理的又は化学的分離が可能である。物理的分離とは、機械によって裂いて分離させること、又は、機械で研磨して分離させることであってよい。化学的分離とは、化学試薬によって載置板の材料を腐食することであってよい。載置板が複数の異なる材料の薄層を圧着してなったものである場合、多種の試薬を用いて対応する材料を腐食して載置板を除去することができる。
【0035】
ステップS2において、前記第1金属層を基材として第1回路層を製作する。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態では、第1金属層は第1回路層を製作する基材となってよく、露光現像エッチング等のプロセスによって、第1金属層を機能や電気信号伝送を実現可能な回路層にすることができる。第1回路層は後に埋め込み素子を貼設することに利用可能である。異なる回路層の厚さが異なる可能性があるため、回路層製作の厚さ要求を満たすために、第1回路層の製作過程で、更に第1金属層を薄く又は厚く処理してもよい。
【0037】
ステップS3において、前記第1回路層を被覆するように前記第1回路層に第1絶縁層を圧着する。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、第1回路層に隙間が生じて第1回路層の密閉性に影響を与え、更に回路層の機能実現及び耐用年数に影響を与えることを回避するように、第1回路層に第1絶縁層を圧着する時に、第1絶縁層で第1回路層を完全に被覆することが必要である。
【0039】
ステップS4において、前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作する。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態では、第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作する必要がある。導通銅柱は第1回路層と第2回路層との電気的接続又は信号接続を実現できる。第2回路層は第1回路層及び後続のプロセス中の外部機能回路に接続される回路層であってよく、第2回路層は機能回路層又は導通回路層であってよい。
【0041】
ステップS5において、前記載置板を除去し、且つ前記第1回路層に溝を製作する。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態では、載置板を先に除去してよい。化学的に腐食したり、物理的に裂いたりすることによって載置板を除去でき、載置板除去後、第1回路層における第1絶縁層で被覆された表面に対向する側の表面から溝を製作してよく、第1回路層の下面からフォトレジスト層を貼設してよく、下面は第1回路層における第1絶縁層の圧着面に対向する側の表面であってよく、露光現像エッチングプロセスによって最終的に溝を得、溝は第1回路層の異なる領域の間に設けてよく、溝によって、実装材料で埋め込み素子の下方空間を満たすことを図れるだけでなく、第1回路層の一部の領域の電気的隔離を実現することができる。
【0043】
ステップS6において、埋め込み素子を貼設する。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、埋め込み素子は、前記埋め込み素子の貼設方向に沿った埋め込み素子と前記溝の投影が部分的又は完全に重なるように貼設してよく、埋め込み素子のピンが下に向く場合に、溝は埋め込み素子の真下にあってもよいし、斜め下にあってもよく、埋め込み素子の垂直方向での投影と部分的に重なる。
【0045】
ステップS7において、前記第2回路層に半田ボールを半田付けし、前記第2回路層を部分的に被覆するように第1ソルダーレジスト層を製作する。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態では、第2回路層に半田ボールを半田付けし、且つソルダーレジスト層を製作してよく、半田ボールは二つ又は二つ以上半田付けしてよい。第1ソルダーレジスト層の位置は第2回路層における半田ボールを半田付けしていない他の領域であってよい。第2回路層を部分的に被覆する第1ソルダーレジスト層は半田ボールと外部機能回路との接続を妨害することなく、第2回路層の一部の領域の耐食性を向上可能である。
【0047】
ステップS8において、前記第1回路層、前記埋め込み素子及び前記溝を実装材料で被覆する。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態では、第1回路層、埋め込み素子及び溝を実装材料で被覆してよい。実装材料は第1回路層と埋め込み素子を完全に被覆して包む必要がある。溝は実装材料で満たされて被覆される。溝と埋め込み素子が水平面に垂直な方向に部分的又は完全に重なっているので、実装材料で被覆する時に、実装材料は溝を経由して埋め込み素子の下方にしみ込んで埋め込み素子の下方のピンと回路層との間の隙間を満たすことができ、これによって、埋め込み素子の下方のピンを完全に密閉させ、空気中の静電気及び水分等が回路層又はピンを損ない、素子及び回路層の耐用年数に影響を与えることを回避する。
【0049】
更に、前記第1金属層を基材として第1回路層を製作する前記ステップは、具体的には、
前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設するステップS11と、
前記第1フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第1回路パターンを得るステップS12と、
前記第1回路パターンにエッチングプロセスを施して第1回路層を得るステップとS13と、を含んでもよい。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態では、第1回路層の製作では、まず、第1金属層を第1フォトレジスト層で被覆してよく、第1フォトレジスト層に対して露光現像を行うことで第1回路パターンを得ることができる。第1回路パターンは第1金属層におけるエッチング不必要な部分を保護し、エッチング必要な部分を露出させることができ、続いて、化学エッチングによってエッチング必要な部分をエッチングして除去し、続いて、アルカリ性溶液によってエッチング液及び残りの未露光フォトレジスト層を除去し、最後に第1回路層が得られた。化学エッチングでは、酸性エッチング試薬、例えば、酸性を有する塩化鉄試薬を用いて金属を除去でき、アルカリ性溶液として水酸化ナトリウム溶液を用いて除去してよい。
【0051】
更に、前記第1絶縁層に導通銅柱及び第2回路層を製作する前記ステップは、具体的には、
前記第1絶縁層に対して穴あけを行い、前記第1絶縁層を貫通して前記第1回路層を外部へ露出させる無銅穴を形成するステップS21と、
前記無銅穴に対して穴埋めめっきを行い、導通銅柱及び第2金属シード層を形成するステップS22と、
前記第2金属シード層に第2フォトレジスト層を貼設するS23と、
前記第2フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第2回路パターンを得るステップS24と、
前記第2回路パターンにエッチングプロセスを施して第2回路層を得るステップS25と、を含んでよい。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態では、第1絶縁層に対してレーザー又は他の方式で穴あけを行って無銅穴を形成してよく、無銅穴の数は一つ又は複数であってよく、具体的な数は回路要求に応じて決めることができる。無銅穴は第1絶縁層を貫通して、第1回路層に対して開口して外部へ露出させることができる。続いて、無銅穴に対して穴埋めめっきを行い、穴埋めめっき過程で、まず、銅箔を無銅穴の側壁に堆積させ、無銅穴全体を次第に満たすようにしてよく、続いて電気めっきを継続し、これによって、第1絶縁層に回路層の製作に利用可能な一層の第2金属シード層を形成できる。続いて、第2金属シード層に第2金属シード層を完全に被覆可能な第2フォトレジスト材料を施す。続いて、第2フォトレジスト材料に対して露光現像を行って第2回路パターンを得、第2回路パターンはエッチング不必要な一部の金属シード層を遮断して、エッチング溶液の腐食を回避することができ、エッチング必要な一部の金属シード層を露出させることができ、後続のエッチングプロセスを便利にする。最後に、第2回路パターンを酸性エッチング液でエッチングし、一部の金属シード層を除去し、続いてアルカリ性溶液を用いてエッチング液及び未露光フォトレジスト材料を除去し、最後に水洗によってアルカリ性溶液を除去し、最終的な第2回路層が得られた。
【0053】
更に、前記第1回路層に溝を製作する前記ステップは、具体的には、
第1回路層における第1絶縁層の圧着面に対向する側の表面である第1回路層の下面に第3フォトレジスト層を貼設するステップS31と、
前記第3フォトレジスト層に露光現像プロセスを施して第3回路パターンを得るステップS32と、
前記第3回路パターンにエッチングプロセスを施して前記溝を得るステップS33と、を含んでよい。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、溝を製作する前に物理的又は化学的方式で除去したため、第1回路層の下面に第3フォトレジスト材料を貼設できる。下面は第1回路層における第1絶縁層の圧着面に対向する側の表面であってよく、つまり、第1回路層における圧着された第1絶縁層の一側の表面に対向する他側の表面である。続いて、第3フォトレジスト材料に露光現像プロセスを施し、第3回路パターンを得る。第3回路パターンは第1回路層の一部の回路を保護し、溝の領域を露出させることができる。最後に第3回路層に対してエッチングを行ってエッチング液とアルカリ性溶液を除去して溝を得る。溝は実装材料が埋め込み素子の底部にしみ込むことを容易にできるだけでなく、第1回路層の一部の領域の電気的隔離を実現できる。
【0055】
更に、前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設する前記ステップは、具体的には、フィルム貼付け又はコーティングによって前記第1金属層に第1フォトレジスト層を貼設するステップを含んでよい。フォトレジスト層はコーティング及びフィルム貼付けによって第1金属層に貼設してよく、具体的な貼設方式は限定されるものではない。本開示の全ての実施形態におけるフォトレジスト層をいずれもフィルム貼付け又はコーティングによって貼設してもよい。
【0056】
以下、
図3を参照しながら、本開示の半導体パッケージ構造の製造手順を説明する。
【0057】
まず、
図3のaを参照し、第1金属層101及び載置板102を備えた一枚の仮置板100を用意する。
【0058】
次に、
図3のbを参照し、第1金属層101を基材として第1回路層103を製作する。通常の製造プロセスによって、第1金属層101にフォトリソグラフィマスクを貼り付け、露光現像、エッチングプロセスを施して第1回路層103を得る。
【0059】
続いて、
図3のcを参照し、第1回路層103を完全に被覆するように第1回路層103に第1絶縁層104を機械で圧着する。
【0060】
次に、
図3のdを参照し、第1絶縁層104に穴あけ及び電気めっきプロセスによって導通銅柱105及び第2回路層106を製作し、穴あけはレーザーによる穴あけプロセスを採用してよい。
【0061】
続いて、
図3のeを参照し、載置板102を除去し、且つ第1回路層103に溝107を製作する。製作時に第1回路層103の底面にフォトレジストを貼設し、露光現像及びエッチングプロセスによって溝107を得ることができる。
【0062】
また、
図3のfを参照し、埋め込み素子108の貼設方向に沿った埋め込み素子108と溝107の投影が完全に重なるように、第1回路層103に埋め込み素子108を貼設する。
【0063】
次に、
図3のgを参照し、第2回路層106に半田ボール109を半田付けし、第2回路層106を部分的に被覆するように第1ソルダーレジスト層110を製作する。
【0064】
最後に、
図3のhを参照し、実装材料111が第1回路層103、埋め込み素子108及び溝107を完全に包んで被覆するように、第1回路層103、埋め込み素子108及び溝107を実装材料111で被覆する。
【0065】
また、
図1の半導体パッケージ構造に対応するように、本開示の実施形態は更に集積回路システムを提供し、この集積システムは上記実施形態のいずれか一項に記載の半導体パッケージ構造を少なくとも一つ備えてよい。本開示の半導体パッケージ構造は半田ボールを備えるため、他の素子又は集積回路に接続可能となり、更に集積回路システムを形成可能であり、この集積回路システムは良好な密閉性及び耐食性を有する。
【0066】
いくつかの選択可能な実施形態では、模式図に記載の機能/操作はフローチャートに記載の順序で発生しなくてもよい。例えば、かかる機能/操作によって、連続的に示されている二つのブロックは実際に大体同時に実行されてもよく、前記ブロックは反対な順序で実行されてもよい場合がある。また、本開示のフローチャートに示されて説明された実施形態は例として提供され、その目的は技術をより全面的に理解させることである。開示された方法は本明細書に示されている操作及び論理的な流れに限定されるものではない。選択可能な実施形態は予想可能なものであり、その中の各種の操作の順序は変更されてもよく、その中の大きい操作の一部と記述された部分操作は独立して実行されてもよい。
【0067】
本明細書の上記説明では、「一実施形態/実施例」、「別の実施形態/実施例」又は「いくつかの実施形態/実施例」等の用語を参照した説明は、実施形態又は例に基づいて説明した具体的な特徴、構造、材料又は特徴が本開示の少なくとも一つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な記述は必ず同じ実施形態又は例に対するものであるというわけではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴はいずれか一つ又は複数の実施形態又は例において適切な方式で組み合わせることが可能である。
【0068】
本開示の実施形態を示して説明したが、本開示の原理及び主旨を逸脱しない限り、これらの実施形態に種々の変化、修正、置換え及び変形を施すことが可能で、本開示の範囲が特許請求の範囲及びそれと同等なものによって限定されることは当業者に理解可能である。
【0069】
以上、本開示の好ましい実施を具体的に説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、本開示の主旨に違反しない限り、当業者は種々の同等な変形や置換えを施すことができ、これらの同等な変形や置換えは全て本開示の特許請求の範囲により限定された範囲に含まれるものである。