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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】食鳥と体を処理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023523231
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2020079395
(87)【国際公開番号】W WO2022083847
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522057858
【氏名又は名称】バーダー・ポールトリー・ホールディング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーン,ティム・アンドリース
(72)【発明者】
【氏名】ゼーン,ヤコブス
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05194035(US,A)
【文献】特開平4-237455(JP,A)
【文献】特開2002-223694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
と畜開口(13)が脚(12)の間に位置する食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を処理するように構成、適合された装置(10)であって、前記装置(10)は、
処理すべき前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を連続搬送する駆動可能輸送コンベア(15)を有する搬送デバイス(14)であって、前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部は、輸送方向Tで輸送経路(16)に沿って前記脚(12)を懸架され、少なくとも1つの保持装置(17)は、前記輸送コンベア(15)上に配置され、前記輸送経路(16)に沿った搬送中、前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を前記脚(12)で保持する、搬送デバイス(14)と、
前記輸送コンベア(15)の領域において前記輸送経路(16)に沿って配置された処理ステーション(18)と
を備え、前記処理ステーション(18)は、回転軸(19)上に回転可能に組み付けられた係合基体(20)と、少なくとも1つの係合要素(21)とを備え、少なくとも1つの前記係合要素(21)は、前記食鳥と体(11)の前記と畜開口(13)と少なくとも部分的に係合するように構成、適合され、
少なくとも1つの前記係合要素(21)が前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部と少なくとも部分的に係合する間、前記と畜開口(13)の拡開が実行される一方で、前記輸送経路(16)に沿った前記食鳥と体(11)の連続的な搬送は、トルクの発生を伴って維持され、前記係合基体(20)は、前記トルクを受けるように構成、適合され、
前記トルクが所定のトルクを超えた場合、前記係合要素(21)は、前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の回転(R)によって前記と畜開口(13)から自動的に解放される、装置(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記係合要素(21)は、少なくとも1つのカット手段(22)を備え、少なくとも1つの前記カット手段(22)は、前記と畜開口(13)と前記係合要素(21)との係合前、係合中及び/又は係合後、前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を、特に前記と畜開口(13)の領域でカットするように構成、適合されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記所定のトルクは、前記係合基体(20)に動作可能に接続されたばね要素(23)によって調節可能であるように構成、適合されること、及び/又は前記所定のトルクは、前記回転軸(19)に動作可能に接続された駆動ユニットによって調節可能であるように構成、適合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、作動器を備え、前記作動器は、前記所定のトルクの既定のプロファイルを設定し、前記係合基体(20)を解放するように構成、適合されることを特徴とする、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記係合基体(20)は、カム板(24)を備え、前記カム板(24)は、前記ばね要素(23)に動作可能に接続され、前記係合要素(21)に対する前記所定のトルクを超えた際に前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の回転(R)を可能にするように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記カム板(24)は、少なくとも1つの周方向制御カム(25)を含み、前記少なくとも1つの周方向制御カム(25)は、前記係合要素(21)が前記と畜開口(13)と係合する際に前記ばね要素(23)によって前記係合基体(20)の回転(R)を制御し、前記少なくとも1つの周方向制御カム(25)は、前記係合要素(21)が前記食鳥と体(11)の前記と畜開口(13)から解放された後、前記前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の自動回転(R)を停止するように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記係合要素(21)は、フック形状係合部分(26)を備え、前記フック形状係合部分(26)は、前記と畜開口(13)と少なくとも部分的に係合するように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記処理ステーション(18)は、前記食鳥と体(11)を案内及び/又は位置合わせする案内区分(27)を備え、前記案内区分(27)は、少なくとも1つの前記係合要素(21)の上流に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記食鳥と体(11)の重量を決定する計量デバイスは、前記処理ステーション(18)の上流に配置され、前記計量デバイスは、前記決定した重量に従って前記所定のトルクを自動的に設定するように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記係合基体(20)は、実質的に回転対称であるように構成、適合され、複数の前記係合要素(21)、特に3から9個の前記係合要素(21)は、前記係合基体(20)の周囲に配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記食鳥と体(11)の前記と畜開口(13)は、クロアカの領域に位置することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
と畜開口(13)が脚(12)の間に位置する食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を処理する方法であって、前記方法は、
-搬送デバイス(14)によって、輸送方向Tで輸送経路(16)に沿って、処理すべき前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を連続搬送するステップと、
-前記輸送経路(16)に沿って搬送する間、輸送コンベア(15)上に配置された少なくとも1つの保持装置(17)によって前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を前記脚(12)で保持するステップと、
-前記輸送コンベア(15)の領域において、前記輸送経路(16)に沿って配置された処理ステーション(18)に前記食鳥と体(11)を案内するステップと、
-回転軸(19)上に回転可能に組み付けられ、前記処理ステーション(18)の係合基体(20)上に配置された係合要素(21)を、前記食鳥と体(11)の前記と畜開口(13)と少なくとも部分的に係合するステップと、
-少なくとも1つの前記係合要素(21)と前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部との少なくとも部分的な係合の間、連続搬送を維持しながら、前記と畜開口(13)を拡開させる一方で、トルクを発生させるステップと、
-少なくとも1つの前記係合要素(21)に対する所定のトルクを超えた際、前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の回転(R)によって前記と畜開口(13)から前記係合要素(21)を自動的に解放するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記係合要素(21)と前記と畜開口(13)との係合前及び/又は係合後、前記係合要素(21)上に配置されたカット手段(22)により、前記食鳥と体(11)又は前記食鳥と体(11)の一部を、特に前記と畜開口(13)の領域でカットすることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記所定のトルクを、前記係合基体(20)に動作可能に接続されたばね要素(23)によって調節する、及び/又は前記所定のトルクを、前記回転軸(19)に動作可能に接続された駆動ユニットによって調節することを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動ユニットを備える作動器により、前記所定のトルクの既定のプロファイルを設定し、前記係合基体(20)を解放することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記係合基体(20)は、カム板(24)を備え、前記カム板(24)は、前記ばね要素(23)に動作可能に接続され、前記係合要素(21)に対する前記所定のトルクを超えた際に前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の回転(R)を可能にするように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記カム板(24)は、少なくとも1つの周方向制御カム(25)を含み、前記少なくとも1つの周方向制御カム(25)は、前記係合要素(21)が前記と畜開口(13)と係合する際に前記ばね要素(23)によって前記係合基体(20)の回転(R)を制御し、前記少なくとも1つの周方向制御カム(25)は、前記係合要素(21)が前記食鳥と体(11)の前記と畜開口(13)から解放された後、前記前記回転軸(19)回りの前記係合基体(20)の自動回転(R)を停止するように構成されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記係合要素(21)のフック形状係合部分(26)と、前記と畜開口(13)とを部分的に係合することを特徴とする、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処理ステーション(18)の案内区分(27)を通じて前記食鳥と体(11)を案内及び/又は位置合わせし、前記案内区分(27)は、少なくとも1つの前記係合要素(21)の上流に配置されることを特徴とする、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記食鳥と体(11)の重量を、前記処理ステーション(18)の上流に配置された計量デバイスによって決定し、前記決定した重量に従って、前記計量デバイスによって前記所定のトルクを自動的に設定することを特徴とする、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、と畜開口が脚の間に位置する食鳥と体又は食鳥と体の一部を処理する装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、と畜開口が脚の間に位置する食鳥と体又は食鳥と体の一部を処理する方法に関する。
【0003】
そのような装置及び方法は、食鳥処理産業で使用され、と畜後-及び少なくとも部分的な中抜きの後-、食鳥と体又は食鳥と体の一部に対する後続の処理を実施し、皮、筋肉及び/又は骨を機械式に変形させるか又はほぐすようにする。この目的で、食鳥と体の対応する部分は、装置の介在構成要素の使用による産業的な処理の間に処理される。
【背景技術】
【0004】
食鳥の産業的処理の一部として、通常は心臓、肝臓、肺、腎臓、胆嚢、食道、砂嚢、腺胃及び腸を含む内臓のセットは、クロアカ又はクロアカの一部とし得ると畜開口を介して、食鳥と体から取り出される。産業的処理の状況において、更なる処理ステップは、様々なデバイス又はデバイス構成要素により実行されると畜の前及び/又は後に実行される。食鳥の更なる処理における特に重要な態様は、と畜して中抜きした食鳥をカット又は分配/切り身にすることであり、これにより、例えば、と体から肉が分離される。と体から肉を分離する際、複雑なカット、カットのシーケンス、又は部分カットには、通常、と体又は肉の領域への損傷を回避することが必要とされる。機械処理における更なる困難は、均一で指定された品質要件を満たすため、分離すべき部分に損傷を発生させてはならないことである。典型的には、食鳥と体は、対応する分離装置とのより良好な係合を可能にするように、手作業で、又はこの目的のための装置により調製される。分配/切り身にする前に食鳥の様々な領域でプレカットを実施し、後に、分離手段との清潔/正確な係合を保証することが公知である。当技術分野で公知の装置は、対照的に、これらのプレカットを不正確又は不十分に実施することが多く、この結果、次に分配/切り身にする間、ナイフによるカットは、食鳥と体に不正確にしか係合することができず、通常、胸骨、特に、脚の間の領域の胸骨先端に損傷を引き起こす。更に、そのようなプレカットを実施する公知の装置及び方法は、処理器具が次に特定のカット・ラインでプレカットを実行できるように、食鳥と体を所定の位置/姿勢で処理ステーションに供給することを必要とする。処理ステーションの欠点の1つは、処理器具が、均一サイズの食鳥と体にしか使用できないことである。食鳥と体に大きなばらつきがある場合、公知の処理ステーションを使用すると、食鳥と体又は食鳥と体の一部に対して不正確なカット又は損傷を生じさせる。更に、公知の処理ステーションは、プレカットの提供という1つの目的しか果たさない。
【0005】
更に、食鳥処理の状況において、肉を(例えば冷却によって)より長持ちさせる、又はより見た目が魅力的な食鳥と体若しくは食鳥と体の一部を生成するような処理が望ましい。この目的で、食鳥は、例えば、冷却/冷凍の前及び/又は後に調製される。というのは、冷却/冷凍過程では、最終製品が、魅力のない見た目である場合があるためである。更に、死後硬直は、食鳥と体の見た目を劣化させることがある。冷凍又は冷却中、死後硬直のために、例えば、食鳥と体が崩壊する又は食鳥と体が変形する。伸張、拡開、拡張等という用語でも公知である過伸張によって、冷却の前及び/又は後の食鳥と体の特定の領域を、次の意図する使用で自然な見た目にすることができる、即ち、食鳥と体の解剖学的構造の割合又は構成を、次の使用で自然な見た目にすることができる。この目的で、それぞれの食鳥と体の最大筋肉部分、特に、胸筋(胸部)を処理する必要があり、この処理は、現在、手作業で行われることが多い。
【0006】
近年、食品の見た目に対し、より高い要望が増えつつある。特に、と畜製品の品質及び自然な見た目に関する要件は、引き続き増えつつある。同時に、食材の生産業者、製造業者及び卸売業者に対して多大な価格圧力があり、結果として、費用を低減するためのと畜処理手順の最適化が要求されるのは、このためである。生産業者は、多額の費用を必要とする手作業での処理を自動化機器に替えるよう励んでいる。更に、食鳥と体を処理する既存の装置及び処理は、通常、カット機器の案内及び使用に高度の複雑さがあり、高額の投資費用、及び高額の操作整備費用をもたらす。したがって、要件に従った食鳥と体の事前処理により、食鳥処理の費用削減をもたらし得る。後続のカットの前に食鳥と体を処理する公知の装置及び方法は、たいてい、多くの構成要素及び方法ステップ並びに電子制御構成要素を有し、これにより、食鳥と体を処理する間、エラーをもたらす。更に、例えば、不十分な力が食鳥と体に加えられるため、又は過大な力により食鳥と体又はその一部に損傷を生じさせた場合、処理は、通常、後続のカットを確実に実行するための所望の結果をもたらさない。
【0007】
食鳥と体を処理する既存の装置に対する更なる欠点は、これらが、狭い範囲の用途しか有さないことである。例えば、これらの装置は、後続のカットため、プレカットの生成又は個々の肢の拡開の実行にしか適さない。より広範又は異なる使用の公知の装置は、複雑な転換によってのみ可能であり、使用に際して高額の費用をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、後続の更なる処理を準備する間に食鳥の確実な処理を保証しつつ、もう一方で、低度の複雑さ及び広範な用途を有する装置を提供することは、本発明の一目的である。この目的は、更に、対応する方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、上述の装置によって達成され、装置は、輸送経路に沿って、輸送方向Tで、脚から懸架された食鳥と体又は食鳥と体の一部を連続搬送する、駆動可能輸送コンベアを有する搬送デバイスであって、少なくとも1つの保持装置が、輸送経路に沿った搬送の間、食鳥と体又は食鳥と体の一部を脚で保持する輸送コンベア上に配置される、搬送デバイスと、輸送コンベアの領域内に輸送経路に沿って配置された処理ステーションとを備え、処理ステーションは、回転軸上に回転可能に組み付けられた係合基体と、少なくとも1つ係合要素とを備え、少なくとも1つの係合要素は、食鳥と体のと畜開口と少なくとも部分的に係合するように構成、適合され、少なくとも1つの係合要素と食鳥と体又は食鳥と体の一部との少なくとも部分的な係合の間、と畜開口の拡開が実行される一方で、トルクの発生を伴って輸送経路に沿った食鳥と体の連続搬送を維持し、係合基体は、トルクを受けるように構成、適合される。トルクが所定のトルクを超えた際、係合要素は、回転軸回りの係合基体の回転によってと畜開口から自動的に解放される。本発明による装置は、一方で、処理すべき各食鳥と体が、処理ステーションによって、確実に、本質的に寸法とは無関係に処理されることを保証し、もう一方で、事前設定可能なパラメータを使用して処理が実行されることを保証する。係合要素は、脚の間の指定領域において、と畜開口で食鳥と体を係合し、連続搬送によって最初に固定した係合要素又は係合基体に対してトルクを発生させる。このようにして、特に、食鳥の関連部分の拡開が達成され、特に、それぞれの領域内の皮、腱又は筋肉の拡開がもたらされる。特に、係合要素の係合中、胸筋又は少なくとも皮、又はこの領域における筋肉部分の間の腱は、拡開される。拡開の実行により、後続のカット器具との確実な係合を可能にし、特に、胸骨又は胸骨先端への損傷を回避する。係合基体に対する所定のトルクを超えた際に自動的に回転することにより、トルクの形態の所定の最大力のみが食鳥と体に加えられることを保証し、したがって、過剰な力を回避し、食鳥と体又は食鳥と体の一部に対する損傷を防止する。所定のトルクは、様々な要因に依存し得る。所定のトルクは、特に、食鳥と体又は食鳥と体のそれぞれの領域(例えば、胸筋及び/又はこの領域での接続組織)の拡開をどのくらいの大きさ/規模にすべきかに依存する。それぞれの領域に対する拡張があまり大きくない規模であることが望ましい場合、例えば、皮領域のみを拡張すべきである場合、加えるべきトルクを、より低いものに選択でき、係合基体に加えられるより高いトルクは、大規模な拡張の場合に選択すべきである。更に、超えるべきトルクは、特に、食鳥の重量、サイズ及び/又は種類に応じて調節でき、概して、より小型及びより軽量の食鳥と体の場合、本発明の概念を果たすように、より大型でより重量のある食鳥と体と比較して、より低いトルクを超えるべきである。超えるべきトルクは、原則的に可変であり、用途に応じて個々に選択し得る。各場合において、トルクは、少なくとも、食鳥と体又は食鳥と体の一部に対して拡張を設定するのに十分に大きなものでなければならない。好ましくは、拡開は、食鳥と体の(部分的な)領域の破壊/剥離(分離)を構成するためにも使用し得る、即ち、と畜開口又はと畜開口に付着する領域を裂いて開くことができ、これによって、食鳥の構造は変更可能である。そのような処置は、例えば、更なる(カット)器具との下流での係合を促進する。用語「拡開」は、拡張、伸張、張力印加、変位等と同義であると理解されたい。これにより、用語「拡開」は、処理すべき食鳥と体に対する全ての視覚的及び/又は解剖学的構造の変更、特に、食鳥の胸領域の皮及び/又は筋肉組織に対する不可逆的な拡開であると理解されたい。拡開は、特に、既存の接続組織の弱体化によって生成され、接続組織には、脂肪組織、軟骨組織、腱、靭帯、(血)管及び皮を含む。
【0010】
好ましくは、複数の食鳥と体は、それぞれ、輸送コンベア、例えば、コンベア・チェーンによって、輸送経路に沿って複数の保持装置上で連続搬送される。したがって、食鳥と体は、保持装置上に手作業で又は自動的に提供し得る。食鳥と体を処理する装置は、個別装置として使用しても、より複雑な食鳥処理工程内に統合してもよい。
【0011】
本発明の都合のよい実施形態は、少なくとも1つの係合要素が、少なくとも1つのカット手段を備え、少なくとも1つのカット手段が、係合要素とと畜開口との係合前、係合中及び/又は係合後、特にと畜開口の領域で食鳥と体又は食鳥と体の一部をカットするように構成、適合されることを特徴とする。カット手段は、特に、食鳥と体に対するプレカットをもたらすことを可能にする。そのようなプレカットは、例えば、下流で食鳥と体を分離/切り身にすることを簡略化する、又は食鳥からの肉の簡略化した剥離に役立つ。プレカットは、とりわけ、後続のカット処理の間、カットすべき領域に容易にアクセス可能であるという点で、鶏の脚又は胸筋の抜き取りの簡略化を意図する。係合要素の少なくとも1つのカット手段は、好ましくは、ナイフとして構成され、係合要素の受動側、即ち、と畜開口との係合から離れた方を向く係合要素の側上に配置される。更に好ましくは、少なくとも1つのカット手段は、係合中、と畜開口と直接接触しない。カット手段は、好ましくは、係合要素とと畜開口との係合中、食鳥と体を直接カットせず、係合基体の回転による係合要素の解放時、係合要素がと畜開口を離れた際にカットをもたらす。しかし、カットは、例えば、係合中及び/又はトルク印加中にもたらすこともできる。カット手段を係合要素上に構成することによって、確実で、位置的に安全なプレカットをと畜開口にもたらし得る。有利には、食鳥と体の拡開に必要なトルクは、より良好な取扱いのための拡開又は露出がプレカットによって更に達成されるため、このように低減し得る。好ましくは、プレカットは、脚の間の領域及び胸筋端部の両方に行われる2つのカットを含む。「と畜開口の領域における」カットとは、と畜開口、特に、胸筋下端部の直ぐ近傍にカットを調製することを意味する。
【0012】
本発明の好ましい更なる展開は、所定のトルクが、係合基体に動作可能に接続されたばね要素によって調節可能であるように構成、適合されること、及び/又は所定のトルクが、回転軸に動作可能に接続された駆動ユニットによって調節可能であるように構成、適合されることを特徴とする。このようにして、トルクの容易で好都合な調節が与えられ、処理すべき食鳥と体に必要なトルク又は調節すべきトルクに適合させる。トルクの調節に関し、特に、トルクの完全又は半自動調節のため、更なる電気式、機械式及び/又は制御電子構成要素を好ましく設けることができる。ばね要素は、特に、機械式、油圧式若しくは空気式ばね要素であるか、又はそれらの組合せとし得る。駆動ユニットは、例えば、モータ、特に、所定のトルクに対して設定される電気モータであり、このトルクを超えた際、フリーホイール機構に自動的に伝達され、係合基体を回転軸回りに回転させる。更に好ましくは、駆動ユニットは、使用範囲を増大させる少なくとも1つの歯車を備え得る。特定の一実施形態では、駆動ユニットは、純粋な機械式構成要素を備えることもでき、こうした構成要素によって、調節可能トルクは、これらの構成要素により調節可能であるように構成される。
【0013】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、駆動ユニットは、作動器を備え、作動器は、所定のトルクの既定のプロファイルを設定し、係合基体を解放するように構成、適合される。このようにして、必要に応じて、即ち、処理すべき食鳥と体に応じて、必要なトルクを設定する好都合なオプションがある。更に、作動器は、例えば、処理手順の間、トルクの監視及びトルクのオンデマンドの調節を可能にする。好ましくは、作動器は、サーボモータとして設計される。
【0014】
本発明の有利な実施形態は、係合基体が、カム板を備え、カム板が、ばね要素に動作可能に接続され、係合要素に対する所定のトルクを超えた際に回転軸回りの係合基体の回転を可能にするように構成されることを特徴とする。カム板とばね要素との組合せは、低度の複雑さを可能にし、確実な設定及びトルクの可変性の確立、並びに解放過程の制御をもたらす。例えば、カム板及びばね要素は、トルクの要件に従って適合し得る。ばね要素の設計及びカム板の設計において指定されたトルクを超えた場合、係合基体は解放される。ばね要素は、好ましくは、カム板を係合する走査器を備える。走査器は、好ましくは、カム板と直接接触し、カム板とばね要素との間で力を伝達する役割を果たす。所定のトルクを超えると、ばね要素が圧縮され、走査器がカム内又はカム上で移動する。走査器は、例えば、羽根車を備え、羽根車は、カム板の周囲上に案内し得る。カム板の形状は、好ましくは、凹部/切欠きと隆起部/上昇部/傾斜部とを備え、これらは、係合基体の解放を調節する、即ち、解放過程を制御し、回転を停止させるように構成、適合される。
【0015】
本発明の好ましい更なる実施形態は、カム板が、少なくとも1つの周方向制御カムを含み、少なくとも1つの周方向制御カムが、係合要素がと畜開口と係合する際にばね要素によって係合基体の回転を制御し、少なくとも1つの周方向制御カムが、係合要素が食鳥と体のと畜開口から解放された後、回転軸回りの係合基体の自動回転を停止するように構成されることを特徴とする。周方向制御カムでは、係合基体の回転は、解放時、係合基体に新たな静止位置をもたらす少なくとも1つの領域が存在するという点で防止でき、係合基体の更なる解放は、再度トルクが超過するまで生じない。カム板又は周方向制御カムの少なくとも1つの領域は、例えば、少なくとも1つの凹部/切欠き、及びこれらに隣接する少なくとも1つの隆起部/上昇部/傾斜部によって、即ち、カム板の領域が低減する少なくとも1つの範囲、及びカム板の領域が増大する範囲によって構成される。
【0016】
好ましい実施形態は、係合要素が、フック形状係合部分を備え、フック形状係合部分が、と畜開口と少なくとも部分的に係合するように構成、適合されることを特徴とする。フック形状係合部分は、係合要素とと畜開口との確実で案内可能な係合をもたらす一方で、同時に、フック形状の外形は、回転軸回りの回転時にフック形状係合部分の自動解放を可能にすることによって、と畜開口との長すぎる係合を防止する。フック形状係合部分は、拡張すべき食鳥の領域に対して長さ及び幅を個々に適合し得る。好ましくは、係合要素、又は少なくとも係合部分は、交換可能であるように構成される。フック形状係合部分は、更なる手段のため、例えば、カット手段又は係合部分を取り付ける及び/又はこれらをより大きな寸法に取り替えるためのレセプタクルを有し得る。
【0017】
本発明の好ましい更なる実施形態は、処理ステーションが、食鳥と体を案内及び/又は位置合わせする案内区分を備え、案内区分が、少なくとも1つの係合要素の上流に配置されることを特徴とする。案内区分は、係合要素との確実な係合を保証するため、制御された様式で食鳥と体を案内することを可能にする。更に、案内区分は、係合中、対応する支持要素として作用し、例えば、食鳥と体が滑るのを防止し得る。更に好ましくは、案内区分は、食鳥と体の肢の少なくとも1つを受ける又は案内するように構成された少なくとも1つの更なる案内要素を備える。特に好ましくは、案内区分は、輸送方向Tの過程において勾配/傾斜と共に構成され、食鳥と体を案内区分の上に配置することを可能にし、と畜開口を係合要素にアクセス可能にする。案内区分は、凹部を備える摺動部として特に好ましく構成される。案内要素は、好ましくは、翼及び/又は脚を案内するレール要素を備える。
【0018】
本発明の更に有利な実施形態では、食鳥と体の重量を決定する計量デバイスは、処理ステーションの上流に配置され、計量デバイスは、決定した重量に従って所定のトルクを自動的に設定するように構成、適合される。このようにして、装置の全自動操作が保証され、トルクを手作業で又は機械的に調節する必要はない。更に、計量デバイスは、好ましくは、食鳥と体の重量に従ってトルクを計算、設定するコンピュータ及び/又は制御ユニットを備える。好ましくは、決定された計量デバイスのデータは、更なる処理ステップ、例えば、選別又は分類ステップで利用可能とし得る。
【0019】
本発明の更に都合のよい実施形態は、係合基体が、実質的に回転対称であるように構成、適合され、複数の係合要素、特に3から9個の係合要素が、係合基体の周囲に配置されることを特徴とする。特に好ましくは、係合基体は、5つの係合要素を備える。このようにして、高効率で、同時に小型構造を有し、食鳥と体を処理する装置の連続使用が可能である構成がもたらされる。
【0020】
本発明の更に有利な実施形態では、食鳥と体のと畜開口は、クロアカの領域に位置する。好ましい実施形態では、食鳥の種類に応じて、と畜開口、即ち、係合要素のための係合開口は、例えば、食鳥の様々な領域を処理ステーションにより拡張すべき場合、食鳥と体の様々な領域内に存在し得る。
【0021】
更に、本発明の目的は、上述した方法によって解決され、方法は、搬送デバイスによって、輸送経路に沿って、輸送方向Tで、処理すべき食鳥と体又は食鳥と体の一部を連続搬送するステップと、輸送経路に沿った搬送中、輸送コンベア上に配置された少なくとも1つの保持装置によって、食鳥と体又は食鳥と体の一部を脚で保持するステップと、輸送コンベアの領域において輸送経路に沿って配置された処理ステーションに食鳥と体を案内するステップと、回転軸上に回転可能に組み付けられ、処理ステーションの係合基体上に配置された係合要素と、食鳥と体のと畜開口とを少なくとも部分的に係合するステップと、少なくとも1つの係合要素と食鳥と体又は食鳥と体の一部との少なくとも部分的な係合の間、連続搬送を維持しながら、と畜開口を拡開する一方で、トルクを発生させるステップと、少なくとも1つの係合要素に対する所定のトルクを超えた際に回転軸回りに係合基体を回転させることによって、と畜開口から係合要素を自動的に解放するステップとを含む。このようにして、と畜開口の領域における確実な拡開がもたらされ、特に、胸筋又は胸筋の一部、隣接する皮及び/又は接続組織領域及び/又は隣接する骨部を伴う胸骨が拡開される。好ましくは、と畜開口は、この処理の間に広げられ、脚の位置が変更される。
【0022】
繰り返しを避けるため、本発明による方法に関し、本発明による装置に関して既に詳細に概説した利点を参照されたい。これらは、本発明による方法にも同様に適用される。
【0023】
本発明の都合のよい実施形態は、制御ユニットによって、輸送経路に対して同期的及び/又は実質的に直交して円形ナイフを調節することを特徴とする。
【0024】
本発明の好ましい更なる実施形態は、と畜開口との係合前、係合中及び/又は係合後、係合要素上に配置されたカット手段により、食鳥と体又は食鳥と体の一部を、特にと畜開口の領域でカットすることを特徴とする。
【0025】
本発明の有利な更なる実施形態は、係合基体に動作可能に接続されたばね要素によって所定のトルクを調節する、及び/又は回転軸に動作可能に接続された駆動ユニットによって所定のトルクを調節することを特徴とする。
【0026】
本発明の好ましい更なる実施形態は、駆動ユニットを備える作動器により、所定のトルクの既定の過程を設定し、係合基体を解放することを特徴とする。
【0027】
本発明の更に有利な実施形態は、係合要素に対する所定のトルクを超えた際の係合基体のカム板による回転軸回りの係合要素の回転を構成し、カム板は、ばね要素に動作可能に接続されることを特徴とする。
【0028】
本発明の都合のよい実施形態は、係合要素とと畜開口との係合時、カム板の少なくとも1つの周方向制御カムによる係合基体の回転をばね要素によって制御し、回転軸回りの係合基体の自動回転は、係合要素が食鳥と体のと畜開口から解放された後、周方向制御カムによって停止させることを特徴とする。
【0029】
本発明の好ましい更なる実施形態は、係合要素のフック形状係合部分と、と畜開口とを部分的に係合することを特徴とする。
【0030】
本発明の更に有利な実施形態は、処理ステーションの案内区分を通じて食鳥と体を案内及び/又は位置合わせし、案内区分は、少なくとも1つの係合要素の上流に配置されることを特徴とする。
【0031】
本発明の都合のよい実施形態は、処理ステーションの上流に配置された計量デバイスによって食鳥と体の重量を決定し、決定した重量に従って、計量デバイスによって所定のトルクを自動的に設定することを特徴とする。
【0032】
特に好ましくは、本方法は、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置により実行される。
【0033】
利点及び利点から生じる効果を装置に関して説明してきたので、繰り返しを避けるため、先行する文章を参照されたい。
【0034】
本発明の更なる都合のよい及び/又は有利な特徴、実施形態及び展開は、独立請求項及び本明細書から明らかになるであろう。装置及び方法の特に好ましい実施形態は、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】食鳥と体を脚で吊るした、斜め上からの本発明による装置の概略斜視図である。
図2】輸送コンベアの区分を伴う、本発明による処理ステーションの詳細な側面図である。
図3】食鳥と体を処理する間、輸送方向の過程を前から見た、本発明による図1の装置の斜視図である。
図4】食鳥と体を処理する間、輸送方向の過程を前から見た、図2の処理ステーションの図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
上述の図面を参照しながら、本発明による装置及び本発明による方法をより詳細に説明する。繰り返しを避けるため、装置に関して行う記述は、本発明による方法にも適用される。このため、以下において、記述は、本発明による装置から離れた、本発明による方法の選択された態様に対してのみ行う。
【0037】
図示の装置は、食鳥と体を処理するように構成、適合される。特に、装置は、鶏を処理するように構成、適合される。本発明は、同様に、本発明による装置及び/又は本発明による方法によりと畜開口が拡開される、相当する食鳥種又は動物種に関する。更に、装置及び方法は、食鳥と体の皮及び接続組織領域、並びに胸骨及び胸骨に隣接する骨の一部を拡開、伸張するように構成、適合される。本発明は、同様に、開口の拡開にも関し、開口は、と畜(のみ)に起因するものではなく、例えば、対応する食鳥/動物の解剖学的構造のために既に存在するものである。
【0038】
図示の装置10は、と畜開口13が脚12の間に位置する食鳥と体11又は食鳥と体11の一部を処理するように構成、適合され、装置10は、駆動可能輸送コンベア15を有する搬送デバイス14を備え、処理すべき食鳥と体11又は食鳥と体11の一部を、脚12から懸架した状態で、輸送経路16に沿って輸送方向Tで連続搬送する(図1及び図3を参照)。輸送経路16に沿った搬送中、食鳥と体11又は食鳥と体11の一部を脚12で保持する保持装置17は、少なくとも1つの輸送コンベア15上に配置される。輸送コンベア15の領域における搬送デバイス14に沿って、処理ステーション18(図2及び図4を詳細に参照)が配置され、処理ステーション18は、回転軸19上に回転可能に組み付けられた係合基体20と、少なくとも1つの係合要素21とを備える。少なくとも1つの係合要素21は、食鳥と体11のと畜開口13と少なくとも部分的に係合するように構成、適合され、少なくとも1つの係合要素と食鳥と体又は食鳥と体の一部との少なくとも部分的な係合の間、と畜開口13の拡開及び/又は胸骨-詳細に図示せず-の伸張が実行される一方で、トルクの発生を伴う輸送経路16に沿った食鳥と体11の連続搬送を維持し、係合基体20は、トルクを受けるように構成、適合される。トルクが所定のトルクを超えた場合、係合要素21は、回転軸19回りの係合基体20の回転Rによってと畜開口13から自動的に解放される。
【0039】
本発明による装置10は、概して、様々な他の装置と共に処理ライン-図示せず-に統合され、処理ラインでは、食鳥は、最高に可能な自動化度でと畜され、更に処理される。
【0040】
以下で説明する特徴及び更なる実施形態は、個々に又は互いに組み合わせて考慮される好ましい実施形態を構成する。特許請求の範囲及び/若しくは明細書及び/若しくは図面内で要約される又は共通の実施形態で説明される特徴は、機能的に、個々に上記の装置10を更に構成し得ることが明確に指摘される。
【0041】
本発明に対するより良好な理解をもたらすため、本発明により処理すべき食鳥と体11又は食鳥と体11の一部の解剖学的構造をまず説明する。図1図3及び図4において、食鳥と体11が概略的、簡略化に示される。食鳥と体11は、概して、コンベア14上で輸送される際に全ての肢、即ち両脚12及び両翼28を依然として有している。処理ステーション18によって処理された後、次に、食鳥と体11を更に処理する、即ち、カット又は分配し得る。好ましくは、少なくとも部分的に拡張させた食鳥と体11は、最終製品を既に構成することもできる。装置10によって処理すべき食鳥と体11に関し、と畜開口13は、脚12の間、特に、クロアカの領域内に位置する、又はと畜開口13は、クロアカによって少なくとも部分的に画定し得る。と畜開口13は、産業食鳥を処理する間、内臓-図示せず-を食鳥から除去することによって生成される。代替又は追加として、本発明による装置によって、例えば胸骨のような食鳥と体の他の領域又は開口を拡開/伸張し得る。
【0042】
図1図3及び図4において、食鳥と体11は、様式化した形態で示され、食鳥と体11は、脚12を保持装置17上に吊るした状態で配置され、コンベア14によって搬送される。輸送方向Tの過程において、食鳥と体11は、輸送コンベア15によって処理ステーション18に供給される、又は処理ステーション18と係合され、係合要素21が食鳥と体11と係合する間の処理ステーション18は、図4に詳細に示される。処理ステーション18は、例えば、様々な種類の食鳥を同様に処理するように、様々な高さで装置10上に配置可能とし得る。この目的で、装置10は、高さ及び/又は側面調節デバイス35、例えば歯付きラック等を備え、高さ調節可能及び/又は側面調節可能に、処理ステーション18を装置上で調節する。処理ステーション18のそのような高さ及び/又は側面調節は、更に、処理すべき食鳥と体11に直接影響を与えるように、電子的及び/又は自動的に制御し得る。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの係合要素21は、少なくとも1つのカット手段22を備え、少なくとも1つのカット手段22は、係合要素21とと畜開口13との係合前、係合中及び/又は係合後、食鳥と体11又は食鳥と体11の一部を、特にと畜開口13の領域でカットするように構成、適合される。図3及び図4は、係合要素21とと畜開口13との係合を示し、カット手段22によると畜開口13のカットが確立される。カット手段22によりカットする間、トルクも食鳥と体11に加えられる、又はトルクは、係合要素21を介して食鳥と体11を通じて係合基体20に伝達される。カット手段22を有する係合要素21の場合においても、所定のトルクを超えると、と畜開口13を拡開させ、係合基体20は、回転軸19回りの回転Rによって解放される。カット手段22の構成に応じて、係合要素21とと畜開口13との係合前及び/若しくは係合中、切開を行い得る、並びに/又はカット手段22が対応する領域を係合するという点で、係合要素21がと畜開口13を離れた際にのみ切開を行い得る。
【0044】
好ましくは、所定のトルクは、係合基体20に動作可能に接続されるばね要素23(図1から図4を参照)によって調節可能であるように構成、適合される、及び/又は所定のトルクは、回転軸19に動作可能に接続された駆動ユニット-図示せず-によって調節可能であるように構成、適合される。駆動ユニットは、好ましくは、直接、又は駆動手段を介して回転軸を駆動する。この目的で、駆動ユニットは、好ましくは、作動器を更に備え、作動器は、所定のトルクの既定のプロファイルを設定し、係合基体20を解放するように構成、適合される。
【0045】
係合基体20は、好ましくは、特に図2及び図4に詳細に示すカム板24を備える。カム板24は、ばね要素23に動作可能に接続され、係合要素21上の所定のトルクを超えた際に回転軸19回りの係合基体20の回転Rを解放するように構成される。トルクの超過は、輸送経路16に沿った食鳥と体11の連続搬送により生じる。と畜開口13を少なくとも1つの係合要素21と係合する際、係合トルクは、各場合において、係合基体20が所定のトルクを吸収可能であるために生じ、ばね要素23は、好ましくは、カム板24と連動して所定のトルクをもたらす。係合トルクが所定のトルクを超えた場合、ばね要素23の最大所定のトルクに基づき、回転軸19回りの係合基体20の回転によって解放が実行される。係合トルクが所定のトルクを超えた場合、ばね要素23の解放は、カム板、例えば、圧縮によって実行され、これにより、回転軸19回りの回転Rを解放する。所定のトルクは、更に好ましくは、ばね要素23のばね力を制御し得る調節要素33を介して可変である。
【0046】
カム板24は、少なくとも1つの周方向制御カム25を含み、少なくとも1つの周方向制御カム25は、係合要素21がと畜開口13と係合する際、ばね要素23によって係合基体20の回転Rを制御し、少なくとも1つの周方向制御カム25は、係合要素21が食鳥と体11のと畜開口13から解放された際、回転軸19回りの係合基体20の自動回転Rを停止するように構成される。この目的で、カム板は、例えば、少なくとも1つの隆起部29又は少なくとも1つの凹部30を有し、これらによって所定の回転Rが設定される。ばね要素23は、好ましくは、羽根車32を有する走査器31を備え、羽根車32は、カム板24又は周方向制御カム25と協働する、即ち、これらの上に案内される。羽根車32を有する走査器31が隆起部29から凹部30に配置されると、回転軸19回りの回転Rが停止する。
【0047】
係合要素21は、好ましくは、フック形状係合部分26を備え、フック形状係合部分26は、と畜開口13と少なくとも部分的に係合するように構成、適合される。フック形状係合部分26は、フック形状状のために、と畜開口13と解放可能に係合するのに特に適している。
【0048】
図1及び図2は、処理ステーション18が、食鳥と体11を案内及び/又は位置合わせする案内区分27を備え、案内区分27が、少なくとも1つの係合要素21の上流に配置されることを示す。図3及び図4に示すように、案内区分27は、食鳥と体11を傾斜位置にもたらし、次に、係合要素21と係合することを可能にし、これにより、係合要素21と食鳥と体11との標的係合をもたらす。食鳥と体11は、案内区分27のために、輸送コンベア15の高さにあまり影響を受けず、正確な係合のためにと畜開口13を通過させる。
【0049】
好ましくは、-図示しない-食鳥と体11の重量を決定する計量デバイスは、処理ステーション18の上流に配置され、計量デバイスは、更に好ましくは、決定された重量に従って所定のトルクを自動的に設定するように構成、適合される。この目的で、トルク又はばね要素23又は駆動ユニットの自動調節を設定するため、通常の、更に機械式、電子的及び/又は電気式構成要素、並びに少なくとも1つのコンピュータ・ユニットが提供される。
【0050】
有利には、係合基体20は、実質的に回転対称であるように構成、適合され、複数の係合要素21、特に3から9個の係合要素21は、係合基体20の周囲に配置される。図1から図4の実施形態では、各場合において、5つの係合要素21が係合基体20上に配置される。カム板24は、各場合において、回転軸19回りの回転Rによる係合基体20の対応する解放を設定するように、係合基体20と同様に構成される。本発明による処理ステーション18は、係合基体20の回転対称設計のために、連続処理を可能にする。回転軸19回りの回転Rを実行した後、各場合において、係合要素21は、食鳥と体11のと畜開口13と係合する準備ができている。図1から図4に示すように、係合要素21と食鳥と体のと畜開口13との係合領域において、保護要素34(例えば、金属シート)を設けることができ、これにより、例えば、係合基体20の更なる領域との不要な接触が防止される。保護要素34は、係合要素21が中で回転可能である開口を露出させる。
図1
図2
図3
図4