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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】複合アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/02 20060101AFI20250110BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20250110BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H01Q15/02
H01Q9/16
H01Q9/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023567710
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2022044779
(87)【国際公開番号】W WO2023112756
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2021203433
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博道
(72)【発明者】
【氏名】平松 信樹
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-527565(JP,A)
【文献】特開2014-160947(JP,A)
【文献】国際公開第2015/161323(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/02
H01Q 9/16
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面方向に配列される複数の単位構造と、
前記複数の単位構造の基準電位となる基準導体と、
配列された前記単位構造の周囲に設けられ、前記基準導体と電磁気的に接続されるアンテナ素子と、
を含み、
前記単位構造は、
前記第1面方向に広がる第1共振器と、
前記第1共振器と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、
前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器を磁気的もしくは容量的に接続する接続部と、
を含む、複合アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の複合アンテナであって、
複数の前記単位構造は、基地局からの第1周波数帯域の電磁波を特定方向に反射または透過させるように構成され、
前記アンテナ素子は、前記第1周波数帯域とは異なる前記基地局からの第2周波数帯域の制御信号を含む電磁波を受信するように構成されている、複合アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載の複合アンテナであって、
前記制御信号は、複数の前記単位構造により特定方向に反射または透過された前記第1周波数帯域の電波を用いて前記基地局と通信する通信装置の電波環境を改善させるための制御情報を含む、複合アンテナ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の複合アンテナであって、
前記アンテナ素子の長さは、前記第2周波数帯域の電磁波の波長をλであるとすると、λ/2またはλ/4である、複合アンテナ。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の複合アンテナであって、
前記基準導体と前記アンテナ素子との間において、前記基準導体と前記アンテナ素子とに接続されるアンテナポートを有する、複合アンテナ。
【請求項6】
第1面方向に配列される複数の単位構造と、
前記複数の単位構造の基準電位となる基準導体と、
配列された前記単位構造を囲み、前記基準導体と容量的に接続される周囲導体と、
を含み、
前記単位構造は、
前記第1面方向に広がる第1共振器と、
前記第1共振器と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、
前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器を磁気的もしくは容量的に接続する接続部と、
前記基準導体と周囲導体の間に接続されるアンテナポートと、
を含む、複合アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体レンズを用いずに、電磁波を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、共振器素子を配列した構造において、各素子のパラメータを変化させることで、電波を屈折させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-231182号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る複合アンテナは、第1面方向に配列される複数の単位構造と、前記複数の単位構造の基準電位となる基準導体と、配列された前記単位構造の周囲に設けられ、前記基準導体と電磁気的に接続されるアンテナ素子と、を含み、前記単位構造は、前記第1面方向に広がる第1共振器と、前記第1共振器と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器を磁気的もしくは容量的に接続する接続部と、を含む。
【0005】
本開示に係る複合アンテナは、第1面方向に配列される複数の単位構造と、前記複数の単位構造の基準電位となる基準導体と、配列された前記単位構造を囲み、前記基準導体と容量的に接続された周囲導体と、を含み、前記単位構造は、前記第1面方向に広がる第1共振器と、前記第1共振器と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2共振器と、前記第1方向において前記第1共振器および前記第2共振器を磁気的もしくは容量的に接続する接続部と、前記基準導体と周囲導体の間に接続されるアンテナポートとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の第1変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の第2変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態の第3変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態の複合アンテナの構成例を示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係る複合アンテナの透過特性を示す図である。
図8図8は、第3実施形態に係る複合アンテナの反射特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0008】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸およびY軸を含む平面を適宜XY平面と称し、X軸およびZ軸を含む平面を適宜XZ平面と称し、Y軸およびZ軸を含む平面を適宜YZ平面と称する。XY平面は、水平面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。
【0009】
[第1実施形態]
(複合アンテナ)
図1を用いて、第1実施形態に係る複合アンテナの構成例について説明する。図1は、第1実施形態に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態に係る複合アンテナ1は、電波屈折板2と、アンテナ素子3とを含む。
【0011】
複合アンテナ1は、基地局と、通信装置との通信で使用される第1周波数帯域の電磁波を特定方向に反射または透過させるように構成されている。透過には、受信した電磁波を角度を変えずに透過させることと、特定方向に屈折させることとを含む。具体的には、複合アンテナ1は、第5世代移動通信システムまたは第6世代移動通信システムなどの大容量のデータ通信を高速で実行可能なミリ波を、電波屈折板2により特定方向に反射または透過させるように構成される。
【0012】
複合アンテナ1は、第1周波数帯域よりも周波数が小さい第2周波数帯域の電磁波をアンテナ素子3により送受信させるように構成されている。
【0013】
電波屈折板2は、複数の単位構造10と、基準導体18と、を含む。
【0014】
複数の単位構造10は、XY面方向に並んでいる、XY面方向は、第1面方向とも呼ばれ得る。すなわち、複数の単位構造10は、2次元的に並んでいる。本実施形態では、複数の単位構造10は、それぞれ、共振構造を有する。単位構造10の構造については、後述する。基準導体18は、複合アンテナ1の基準導体であり得る。基準導体18は、例えば、グラウンド導体であるが、これに限定されない。単位構造10は、基準導体18に対して、2次元的に並ぶことで構成されている。
【0015】
[単位構造の構成]
図2を用いて、第1実施形態に係る単位構造の構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成を示す図である。
【0016】
図2に示すように、単位構造10は、第1共振器14と、第2共振器16は、基準導体18と、接続線路20と、を備える。
【0017】
第1共振器14は、基板12において、XY平面に広がるように並び得る。基板12は、例えば、誘電体で形成された誘電体基板であり得る。第1共振器14は、導体で形成され得る。第1共振器14は、例えば、矩形に形成されたパッチ導体であり得る。図2に示す例では、第1共振器14は、矩形のパッチ導体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第1共振器14の形状は、例えば、線状、円状、ループ形状、矩形を除く多角形状であってもよい。すなわち、第1共振器14の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第1共振器14は、+Z軸方向から受信した電磁波によって共振するように構成されている。
【0018】
第1共振器14は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている。第1共振器14は、共振する際に、電磁波を+Z軸方向側に放射するように構成されている。
【0019】
第2共振器16は、基板12において、第1共振器14からZ軸方向の離れた位置で、XY平面に広がるように並び得る。第2共振器16は、例えば、矩形に形成されたパッチ導体であり得る。図2に示す例では、第2共振器16は、矩形のパッチ導体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第2共振器16の形状は、例えば、線状、円状、ループ形状、矩形を除く多角形状であってもよい。すなわち、第2共振器16の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第2共振器16の形状は、第1共振器14の形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2共振器16の面積は、第1共振器14と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
第2共振器16は、共振する際に、電磁波を放射するように構成されている。第2共振器16は、例えば、-Z軸方向側に電磁波を放射するように構成されている。第2共振器16は、共振する際に、電磁波を-Z軸方向に放射するように構成されている。第2共振器16は、-Z軸方向からの電磁波の受信によって共振するように構成されている。
【0021】
第2共振器16は、第1共振器14と異なる位相で共振するように構成されてもよい。第2共振器16は、XY平面方向において、第1共振器14の共振方向と異なる方向に共振するように構成されてもよい。第2共振器16は、例えば、第1共振器14がX軸方向に共振するように構成されている場合には、Y軸方向に共振するように構成されてもよい。第2共振器16の共振方向は、XY平面方向において、第1共振器14の共振方向の経時変化に対応して経時変化するように構成されてもよい。第2共振器16は、第1共振器14が受信した電磁波を、第1周波数帯が減衰した電磁波を放射するように構成されてもよい。
【0022】
基準導体18は、基板12において、第1共振器14と、第2共振器16との間に並び得る。基準導体18は、例えば、基板12において、第1共振器14と、第2共振器16との中心にあり得るが、本開示はこれに限定されない。基準導体18は、例えば、第1共振器14との距離と、第2共振器16との距離が異なる位置にあってよい。基準導体18は、接続線路20が通過するスルーホール18aを有する。基準導体18は、接続線路20の少なくとも一部を囲うように構成されている。
【0023】
接続線路20は、導体で形成され得る。接続線路20は、Z軸方向において、第1共振器14と、第2共振器16との間に位置する。Z軸方向は、例えば、第1方向とも呼ばれ得る。接続線路20は、第1共振器14と、第2共振器16との各々に接続され得る。接続線路20は、スルーホール18aを通過するが、基準導体18には接触していない。接続線路20は、例えば、第1共振器14および第2共振器16の各々に磁気的もしくは容量的に接続するように構成され得る。接続線路20は、例えば、第1共振器14および第2共振器16の各々に電気的に接続するように構成されてもよい。接続線路20は、第1共振器14のX軸方向に平行な辺に接続され、第2共振器16のX軸方向に平行な辺に接続される。接続線路20は、Z軸方向に平行な経路であり得る。接続線路20は、第3共振器とし得る。すなわち、単位構造10は、LC共振回路を3つ備える等価回路で表現され得る。単位構造10は、例えば、LC共振回路を3つ以上備える等価回路で表現される構成であってもよい。
【0024】
単位構造10は、第1共振器14および第2共振器16を、磁気的もしくは容量的に接続、または電気的に接続されて複合するように構成されている。3つの共振器が複合化することで、単位構造10は、第1共振器14に入射した電磁波によって励振された高周波が複合共振器を伝送するように構成されている。単位構造10は、複合共振器の伝送特性によって位相シフト、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、およびロウパスフィルタのいずれか1つ、または複数の機能を奏しうる。
【0025】
単位構造10は、第1共振器14に入射した電磁波の位相を変化させて、第2共振器16から出射するように構成されている。位相変化量は、接続線路20の長さによって変化する。位相変化量は、第1共振器14または第2共振器16の面積によっても変化する。
【0026】
アンテナ素子3は、XY平面において、配列された単位構造10の周囲に形成される。アンテナ素子3は、導体で形成され得る。アンテナ素子3は、基地局と通信装置がデータ通信で使用する第1周波数帯域の電磁波とは異なる第2周波数帯域の電磁波を受信するように構成されている。具体的には、アンテナ素子3は、第1周波数帯域よりも低い周波数帯域の電磁波を受信するように構成されている。例えば、アンテナ素子3は、数十から数百MHz(megahertz)帯域の電磁波を受信するように構成されている。アンテナ素子3は、例えば、複合アンテナ1を介して基地局と通信を行う通信装置の受信感度を含む電波環境を改善させるために、複合アンテナ1を制御するための制御信号を受信するように構成されている。アンテナ素子3は、X軸に平行な部分の長さがL1であり、Y軸に平行な部分の長さがL2である。アンテナ素子3の全長(L1+L2)は、例えば、アンテナ素子3が受信する電磁波の波長のλ/4またはλ/2となるように構成されている。
【0027】
アンテナ素子3が受信する制御信号は、例えば、複合アンテナ1がジンバル機構を持つ支持装置に取り付けられている場合には、ジンバルを制御して複合アンテナ1と基地局との相対角度を変更するための信号であり得る。
【0028】
アンテナ素子3が受信する制御信号は、例えば、複合アンテナ1の単位構造10が印加された電圧の大きさに応じて共振周波数が可変可能な構造を有する場合には、単位構造10に印加する電圧の大きさを指示するための信号であり得る。
【0029】
アンテナポート4は、アンテナ素子3と、基準導体18との間に設けられている。具体的には、アンテナポート4は、アンテナ素子3のX軸と平行な部分の端部において、アンテナ素子3と、基準導体18との間に設けられている。アンテナ素子3は、アンテナポート4を介して、基準導体18と電磁気的に接続されている。すなわち、基準導体18は、アンテナ素子3のグラウンド導体として機能し得る。
【0030】
アンテナポート4は、基地局からの制御信号を送受信する図示しない制御装置と電磁気的に接続されている。制御装置は、例えば、基準導体18上に配置され得る。アンテナ素子3には、アンテナポート4を介して、制御装置からの電力が供給される。
【0031】
すなわち、複合アンテナ1は、第1周波数帯域の電磁波を特定方向に反射または透過させる機能と、第1周波数帯域よりも低い第2周波数帯域の電磁波を受信する機能とが、一体化した構造有している。これにより、第2周波数帯域の電磁波を受信するアンテナを他のアンテナで構成する必要なくなるので、複合アンテナ1を小型化することができる。
【0032】
[第1実施形態の第1変形例]
図3を用いて、第1実施形態の第1変形例に係る複合アンテナの構成例について説明する。図3は、第1実施形態の第1変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、複合アンテナ1aは、アンテナ素子3aが基準導体18に直接接続されている点と、アンテナポート4が設けられている位置とが、図1に示す複合アンテナ1と異なっている。
【0034】
アンテナ素子3aは、X軸と平行な部分の端部が、基準導体18と直接接続されている。アンテナ素子3aは、例えば、Y軸と平行な部分の端部が基準導体18と直接接続されていてもよい。
【0035】
アンテナポート4は、アンテナ素子3aのX軸と平行な部分の側面において、アンテナ素子3aと、基準導体18との間に設けられている。アンテナポート4は、アンテナ素子3aのY軸と平行な部分の側面において、アンテナ素子3aと、基準導体18との間に設けられていてもよい。
【0036】
[第1実施形態の第2変形例]
図4を用いて、第1実施形態の第2変形例に係る複合アンテナの構成例について説明する。図4は、第1実施形態の第2変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
【0037】
図4に示すように、複合アンテナ1bは、アンテナ素子3bが、アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2との2つのアンテナ素子を備えている点と、アンテナポート4が設けられている位置とが、図1に示す複合アンテナ1と異なっている。
【0038】
アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、基準導体18の上部に形成されている。アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、長手方向がX軸と平行に形成されている。アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とはX軸に沿って直列に並んでいる。アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、基準導体18に接触していない。
【0039】
アンテナ素子3b1の長さは、L3である。アンテナ素子3b2の長さは、L4である。長さL3と、長さL4とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。アンテナ素子3bの全長(L3+L4)は、例えば、アンテナ素子3bが受信する電磁波の波長のλ/4またはλ/2となるように構成されている。
【0040】
アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、例えば、基準導体18の右部に形成されていてもよい。この場合、アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、長手方向がY軸と平行に形成されていればよい。この場合、アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2とは、Y軸に沿って平行に直列に並んでいればよい。
【0041】
アンテナポート4は、アンテナ素子3b1と、アンテナ素子3b2との間に設けられている。アンテナポート4は、アンテナ素子3b1およびアンテナ素子3b2に接続されている。アンテナポート4は、基準導体18に接触していない。すなわち、第1実施形態の第2変形例では、アンテナ素子3b1、アンテナ素子3b2、およびアンテナポート4は、基準導体18から離れている。アンテナ素子3b1およびアンテナ素子3b2には、アンテナポート4を介して、制御装置からの電力が供給される。
【0042】
[第1実施形態の第3変形例]
図5を用いて、第1実施形態の第3変形例に係る複合アンテナの構成例について説明する。図5は、第1実施形態の第3変形例に係る複合アンテナの構成例を示す図である。
【0043】
図5に示すように、複合アンテナ1cは、アンテナ素子3cの形状と、アンテナポート4c1およびアンテナポート4c2の2つのアンテナポートを備える点で、図1に示す複合アンテナ1と異なっている。
【0044】
アンテナ素子3cは、基準導体18の上部に形成されている。アンテナ素子3cは、長手方向がX軸と平行に形成されている。アンテナ素子3cの長手方向の長さは、L5である。長さL5は、例えば、アンテナ素子3cが受信する電磁波の波長のλ/4またはλ/2となるように構成されている。
【0045】
アンテナポート4c1およびアンテナポート4c2は、基準導体18の上部に設けられている。アンテナポート4c1およびアンテナポート4c2は、基準導体18と、アンテナ素子3cとの間に設けられている。アンテナ素子3cは、アンテナポート4c1およびアンテナポート4c2を介して、基準導体18と電磁的に接続されている。
【0046】
アンテナポート4c1と、アンテナポート4c2とには、例えば、それぞれ、互いに異なる方向の偏波に対応できるような制御信号が給電される。例えば、アンテナポート4c1には、X軸方向の偏波に対応できるような制御信号が給電される。例えば、アンテナポート4c2には、Y軸方向の偏波に対応できるような制御信号が給電される。
【0047】
アンテナポート4c1と、アンテナポート4c2とには、例えば、それぞれ、互いに異なる周波数帯域の電磁波に対応できるような制御信号が給電される。例えば、アンテナポート4c1には、周波数帯域の比較的高い電磁波に対応できるような制御信号が給電される。例えば、アンテナポート4c2には、周波数帯域の比較的低い電磁波に対応できるような制御信号が給電される。
【0048】
[第2実施形態]
図6を用いて、第2実施形態の複合アンテナの構成例について説明する。図6は、第2実施形態の複合アンテナの構成例を示す図である。
【0049】
図6に示すように、複合アンテナ1dは、電波屈折板2Aと、周囲導体5と、第1結合導体6-1と、第2結合導体6-2と、第3結合導体6-3と、第4結合導体6-4と、アンテナポート7と、を含む。複合アンテナ1dは、例えば、Z軸方向の長さが0.5mm(millimeter)程度の薄型構造を有する。複合アンテナ1dは、アンテナとして機能し得る。
【0050】
電波屈折板2Aは、複数の単位構造10と、基準導体18Aと、を含む。
【0051】
基準導体18Aは、複合アンテナ1dのグラウンドとしての機能と、アンテナ素子としての機能を併せ持つように構成され得る。基準導体18Aは、共振器の一部として動作するように構成され得る。すなわち、基準導体18Aは、基地局と通信装置がデータ通信で使用する第1周波数帯域の電磁波とは異なる第2周波数帯域の電磁波を受信するアンテナ素子としての機能を有し得る。
【0052】
周囲導体5は、導電体で構成され得る。周囲導体5は、配列された単位構造10を囲うように構成され得る。周囲導体5は、例えば、基準導体18Aの形状に沿った枠体で構成され得る。周囲導体5は、基準導体18Aがアンテナとして機能する場合のグラウンドとして機能し得る。
【0053】
基準導体18Aと、周囲導体5との間には、隙間が形成され得る。基準導体18Aと、周囲導体5とは、容量的に接続するように構成されている。基準導体18Aと、周囲導体5との間に発生する容量の値は、隙間にある媒体、及び向かい合う面積に応じて変化する。基準導体18Aと、周囲導体5との間の隙間の大きさ及び向かい合う面積の大きさは、所望の共振周波数に応じて、適宜調整されてよい。基準導体18Aと、周囲導体5との間にある媒体は、所望の共振周波数に応じて、適宜調整されてよい。基準導体18Aと、周囲導体5との間は、コンデンサで接続するように構成されていてもよい。コンデンサの容量は、所望の共振周波数に応じて、適宜調整されてよい。
【0054】
第1結合導体6-1と、第2結合導体6-2と、第3結合導体6-3と、第4結合導体6-4とは、導電体で構成され得る。第1結合導体6-1、第2結合導体6-2、第3結合導体6-3、及び第4結合導体6-4の各々は、基準導体18A及び周囲導体5を容量的に接続するように構成され得る。第1結合導体6-1と、第2結合導体6-2と、第3結合導体6-3と、第4結合導体6-4とは、それぞれ、基準導体18Aが設けられている第1面(上面)と、Z軸方向において対向する第2面(下面)において異なる角部に形成されている。
【0055】
第1結合導体6-1から第4結合導体6-4は、例えば、略正方形状とし得る。第1結合導体6-1から第4結合導体6-4は、それぞれ、互いに異なる形状であってもよい。第1結合導体6-1から第4結合導体6-4は、それぞれ、基準導体18Aよりも小さい。第1結合導体6-1から第4結合導体6-4は、例えば、それぞれ、スルーホール導体などを介して、周囲導体5と電磁気的に接続するように構成されている。
【0056】
複合アンテナ1dは、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4の4つの結合導体を備えるが、本開示はこれに限定されない。複合アンテナ1dが備える結合導体の数は、4つよりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0057】
第1結合導体6-1から第4結合導体6-4は、基準導体18Aと容量的に接続するように構成され得る。具体的には、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4と、基準導体18Aとは、基準導体18Aとは、Z軸方向において対向して、容量的に接続するように構成され得る。基準導体18Aと、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4との間に発生する容量の値は、基準導体18Aと、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4との間の距離に応じて変化する。基準導体18Aと、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4との間の距離は、所望の共振周波数に応じて、適宜調整されてよい。
【0058】
アンテナポート7は、導電体で構成され得る。アンテナポート7は、例えば、第1結合導体6-1から第4結合導体6-4が形成されている面と同一の面に設けられる。アンテナポート7は、例えば、第2結合導体6-2と、第4結合導体6-4との間に位置し得る。アンテナポート7が位置する位置は、図6に示す例に限定されない。アンテナポート7は、例えば、一端がスルーホール導体などを介して基準導体18Aに接続するように構成され得る。アンテナポート7の他端は、基地局からの制御信号を送受信する図示しない制御装置と電磁気的に接続されている。制御装置は、例えば、周囲導体5に配置され得る。
【0059】
第1周波数帯域の電磁波の透過特性]
図7を用いて、第3実施形態に係る複合アンテナの透過特性について説明する。図7は、第3実施形態に係る複合アンテナの透過特性を示す図である。
【0060】
ラインG1は、図6に示す複合アンテナ1dの電波屈折板2Aの電波屈折板-Z軸方向から到来した比較的周波数の高い第1周波数帯域の電磁波を+Z軸方向に透過する場合の透過特性のシミュレーション結果を示す。図7において、横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸はゲイン(dB)を示す。ラインG1が示すように、電波屈折板2Aは、22.50GHzから27.50GHz付近の周波数帯域Rにおいて、電磁波を良好に透過させている。すなわち、電波屈折板2Aは、基準導体18Aが比較的周波数の低い第2周波数帯域の電磁波を受信するアンテナ素子として機能する場合であっても、第1周波数帯域の電磁波に対して良好な透過特性を実現することができる。
【0061】
[第2周波数帯域の電磁波の反射特性]
図8を用いて、第3実施形態に係る複合アンテナの反射特性について説明する。図8は、第3実施形態に係る複合アンテナの反射特性を示す図である。
【0062】
ラインG2は、図に示す複合アンテナ1dの周囲導体5の-Z軸方向から到来した比較的周波数の低い第2周波数帯域の電磁波を反射する場合の反射特性のシミュレーション結果を示す。図8において、横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸はゲイン(dB)を示す。ラインG2が示すように、周囲導体5は、0.89GHz近傍の周波数において、ゲイン(反射係数)が大きく低下している。これは、複合アンテナ1dは、0.89GHz近傍の周波数を送受信する際に、良好な特性を有するアンテナ装置して機能することを意味する。すなわち、複合アンテナ1dは、基準導体18Aに複数の単位構造10が並んでいる場合であっても、第2周波数帯域の電磁波に対して良好な反射特性を実現することができる。
【0063】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 複合アンテナ
2 電波屈折板
3 アンテナ素子
4,7 アンテナポート
5 周囲導体
6-1 第1結合導体
6-2 第2結合導体
6-3 第3結合導体
6-4 第4結合導体
10 単位構造
12 基板
14 第1共振器
16 第2共振器
18 基準導体
20 接続線路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8