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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20250110BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20250110BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024562470
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022045079
(87)【国際公開番号】W WO2024121968
(87)【国際公開日】2024-06-13
【審査請求日】2024-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 知
(72)【発明者】
【氏名】坂之上 浩
(72)【発明者】
【氏名】下谷 光生
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴景
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/105620(WO,A1)
【文献】実開昭62-23203(JP,U)
【文献】特開2018-151328(JP,A)
【文献】特開2019-162954(JP,A)
【文献】特開2018-34964(JP,A)
【文献】実開昭63-148231(JP,U)
【文献】米国特許第9073736(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第108382779(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部フレームと、前記前部フレームに対向する後部フレームと、前記前部フレームと前記後部フレームとを結合するセンタフレームと、前記センタフレームの延在方向とは異なる方向に張り出すように前記センタフレームに設けられた前連結金具および後連結金具と、複数のキャスタとを有するカートを搬送する搬送装置であって、
前記搬送装置の全体を支持する本体機構と、
前記本体機構に設けられ、前記搬送装置を駆動する装置駆動部と、
前記センタフレームに嵌合可能なセンタフレーム用溝を有するガイド機構と、
前記ガイド機構を高さ方向に駆動するガイド機構駆動部と、
前記搬送装置の周辺状況を検出するセンサ群と、
前記装置駆動部および前記ガイド機構駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記センサ群の検出結果に基づいて、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するように前記装置駆動部および前記ガイド機構駆動部を制御し、
前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合したとき、前記ガイド機構は前記前連結金具と前記後連結金具との間に位置し、
前記センタフレームに前記センタフレーム用溝が嵌合したとき、前記センタフレームと前記センタフレーム用溝との間には予め定められた間隙が存在し、
前記カートを搬送する際、前記前連結金具および前記後連結金具の少なくとも一方は前記ガイド機構に接する、搬送装置。
【請求項2】
前記前連結金具は、前記前部フレーム側の一端よりも前記後部フレーム側の他端の方が平面視における幅が狭く、かつ当該他端が前記センタフレームと平面視において重畳するくさび型構造であり、
前記後連結金具は、前記後部フレーム側の一端よりも前記前部フレーム側の他端の方が平面視における幅が狭く、かつ当該他端が前記センタフレームと平面視において重畳するくさび型構造であり、
前記ガイド機構は、前記前連結金具の前記他端と、前記後連結金具の前記他端とのそれぞれに嵌合する切り込み部を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ガイド機構は、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するときに、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームを誘導する第1誘導機構を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1誘導機構は、前記センタフレーム用溝の対向する面に設けられた傾斜を有する一対の機構、または、前記センタフレーム用溝の外であり前記センタフレーム用溝に沿って設けられた傾斜を有する一対の機構である、請求項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド機構は、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するときに、前記ガイド機構が前記前連結金具と前記後連結金具との間に位置するように前記前連結金具および前記後連結金具を誘導する第2誘導機構を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記前連結金具および前記後連結金具のそれぞれは、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するときに、前記ガイド機構が前記前連結金具と前記後連結金具との間に位置するように前記前連結金具および前記後連結金具を誘導する第2誘導機構を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ガイド機構は、前記切り込み部に兼用誘導機構を有し、
前記兼用誘導機構は、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するときに、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームを誘導するとともに、前記切り込み部に前記前連結金具および前記後連結金具のそれぞれを誘導する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記前連結金具および前記後連結金具のそれぞれは、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合するときに、前記センタフレーム用溝に前記センタフレームを誘導するとともに、前記切り込み部に前記前連結金具および前記後連結金具のそれぞれを誘導する兼用誘導機構を有する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項9】
前部フレームと、前記前部フレームに対向する後部フレームと、前記前部フレームと前記後部フレームとを結合するセンタフレームと、前記センタフレームの延在方向とは異なる方向に張り出すように前記センタフレームに設けられた前連結金具および後連結金具と、複数のキャスタとを有するカートを搬送装置によって搬送する搬送方法であって、
前記搬送装置が備えるセンサ群の検出結果に基づいて、前記搬送装置が備えるガイド機構が有するセンタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合され、
前記センタフレーム用溝に前記センタフレームが嵌合したとき、前記ガイド機構は前記前連結金具と前記後連結金具との間に位置し、
前記センタフレームに前記センタフレーム用溝が嵌合したとき、前記センタフレームと前記センタフレーム用溝との間には予め定められた間隙が存在し、
前記カートを搬送する際、前記前連結金具および前記後連結金具の少なくとも一方は前記ガイド機構に接する、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を収容したカートを搬送する搬送装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を収容するカートは、前部フレームと、前部フレームに対向する後部フレームと、前部フレームと後部フレームとを結合するセンタフレームと、底部機構に設けられた複数のキャスタとを備えており、種々の場面で用いられている。昨今、省力化のために、カートの移動方法が手動移動から自動移動へと進化している。
【0003】
従来、カートを自動的に移動させる種々の技術が開発されている。例えば、センタフレームを保持アームで挟み込んだ状態でカートを移動させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2005/105620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているセンタフレームを保持アームで挟み込む構造では、カートを搬送する搬送装置がカートを旋回させるような動きをしたときに、保持アームに強い応力がかかる。このような応力に耐えるためには保持アームを強固にする必要があり、搬送装置の製造コストがかかるという問題がある。また、センタフレームにおける保持アームで挟み込まれた部分に強い応力がかかるため、金属疲労が発生するという問題がある。
【0006】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、製造コストを抑えつつカートのセンタフレームに強い応力がかからないようにすることが可能な搬送装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る搬送装置は、前部フレームと、前部フレームに対向する後部フレームと、前部フレームと後部フレームとを結合するセンタフレームと、センタフレームの延在方向とは異なる方向に張り出すようにセンタフレームに設けられた前連結金具および後連結金具と、複数のキャスタとを有するカートを搬送する搬送装置であって、搬送装置の全体を支持する本体機構と、本体機構に設けられ、搬送装置を駆動する装置駆動部と、センタフレームに嵌合可能なセンタフレーム用溝を有するガイド機構と、ガイド機構を高さ方向に駆動するガイド機構駆動部と、搬送装置の周辺状況を検出するセンサ群と、装置駆動部およびガイド機構駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、センサ群の検出結果に基づいて、センタフレーム用溝にセンタフレームが嵌合するように装置駆動部およびガイド機構駆動部を制御し、センタフレーム用溝にセンタフレームが嵌合したとき、ガイド機構は前連結金具と後連結金具との間に位置し、センタフレームにセンタフレーム用溝が嵌合したとき、センタフレームとセンタフレーム用溝との間には予め定められた間隙が存在し、カートを搬送する際、前連結金具および後連結金具の少なくとも一方はガイド機構に接する。

【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、製造コストを抑えつつカートのセンタフレームに強い応力がかからないようにすることが可能となる。
【0009】
本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る搬送装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る搬送装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るカートの構成の一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す平面図である。
図5図4のA1-A1断面図である。
図6図4の側面図である。
図7】実施の形態1に係る搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る搬送装置の動きを説明するための図である。
図9】実施の形態1に係る搬送装置の動きを説明するための図である。
図10】実施の形態1に係る搬送装置の動きを説明するための図である。
図11】実施の形態1に係る搬送装置の動きを説明するための図である。
図12】実施の形態1に係るセンタフレームとセンタフレーム用溝との仰角の許容を説明するための図である。
図13】実施の形態2に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す平面図である。
図14図13のB1-B1断面図である。
図15図13の側面図である。
図16】実施の形態2に係る第1誘導機構の有無と、センタフレーム用溝とセンタフレームとの許容位置誤差との関係を説明するための図である。
図17】実施の形態2に係る第1誘導機構の有無と、センタフレーム用溝とセンタフレームとの許容位置誤差との関係を説明するための図である。
図18】実施の形態2に係る第1誘導機構の有無と、センタフレーム用溝とセンタフレームとの許容位置誤差との関係を説明するための図である。
図19】実施の形態2に係る第1誘導機構の作用を説明するための図である。
図20】実施の形態2の変形例2に係る第1誘導機構の形状の一例を示す図である。
図21】実施の形態2の変形例3に係る第1誘導機構の設置位置を説明するための図である。
図22】実施の形態3に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す平面図である。
図23図22のC1-C1断面図である。
図24図22の側面図である。
図25】実施の形態3の変形例1に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す側面図である。
図26】実施の形態3の変形例2に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合するときの状態を示す側面図である。
図27】実施の形態4に係る搬送装置とカートとが嵌合している状態を示す外観図である。
図28】実施の形態4に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す平面図である。
図29図28のD1-D1断面図である。
図30図28の側面図である。
図31】実施の形態4に係るガイド機構の一例を示す平面図である。
図32】実施の形態4の変形例1に係るガイド機構の一例を示す平面図である。
図33】実施の形態4の変形例2に係るセンタフレーム用溝とセンタフレームとが嵌合している状態を示す平面図である。
図34図33の側面図である。
図35】実施の形態1~4に係る搬送装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図36】実施の形態1~4に係る搬送装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<構成>
図1は、実施の形態1に係る搬送装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
搬送装置1は、本体機構2およびガイド機構4を備えている。本体機構2は、装置駆動部3と、ガイド機構駆動部5と、センサ群6と、制御部7とを備えている。
【0013】
ガイド機構4は、後述のカートを構成するセンタフレーム18に嵌合可能なセンタフレーム用溝25を有する(例えば図4参照)。
【0014】
本体機構2は、搬送装置1の全体を支持する。装置駆動部3は、搬送装置1を駆動する。ガイド機構駆動部5は、ガイド機構4を高さ方向に駆動する。センサ群6は、搬送装置1の周辺状況を検出する。制御部7は、装置駆動部3およびガイド機構駆動部5を制御する。具体的には、制御部7は、センサ群6の検出結果に基づいて、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合するように装置駆動部3およびガイド機構駆動部5を制御する。センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合したとき、ガイド機構4は、後述のカートを構成する前連結金具23と後連結金具24との間に位置する(例えば図4参照)。
【0015】
次に、図1に示す搬送装置1を含む搬送装置の他の構成、および搬送装置が搬送するカートについて説明する。図2は、他の構成に係る搬送装置8の構成の一例を示すブロック図である。また、図3は、搬送装置8が搬送するカートの構成の一例を示す図である。以下では、まずカートの構成について説明し、次に搬送装置8の構成について説明する。
【0016】
<カートの構成>
図3に示すように、カートは、前部フレーム16と、後部フレーム17と、センタフレーム18と、キャスタ19と、キャスタブレーキ20と、支持フレーム21と、トレイ22とを備えている。
【0017】
前部フレーム16は、カートの前部に設けられたフレームである。後部フレーム17は、前部フレーム16に対向してカートの後部に設けられたフレームである。センタフレーム18は、前部フレーム16と後部フレーム17とを結合するフレームである。
【0018】
前連結金具23は、センタフレーム18の延在方向とは異なる方向に張り出すようにセンタフレーム18に設けられている。センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合したとき、前連結金具23は、ガイド機構4よりも前部フレーム16側に位置する。
【0019】
後連結金具24は、センタフレーム18の延在方向とは異なる方向に張り出すようにセンタフレーム18に設けられている。センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合したとき、後連結金具24は、ガイド機構4よりも後部フレーム17側に位置する。
【0020】
キャスタ19は、前部フレーム16の左右端に1つずつ設けられ、後部フレーム17の左右端に1つずつ設けられている。キャスタブレーキ20は、キャスタ19が動かないように固定するためのものである。使用者がキャスタブレーキ20を操作するとキャスタ19が固定され、カートの動きを止めることができる。
【0021】
支持フレーム21は、前部フレーム16および後部フレーム17のそれぞれに垂直方向に設けられている。トレイ22は、支持フレーム21に載置されており、トレイ22に物品を載せることができる。
【0022】
なお、図3の例では、2つのトレイ22が支持フレーム21に載置されているが、トレイ22の数はこれに限るものではない。また、センタフレーム18は、前部フレーム16および後部フレーム17の両方またはいずれか一方から突出した構造であってもよい。
【0023】
<搬送装置の構成>
図2に示すように、搬送装置8は、ガイド機構4と、本体機構9と、キャスタ13と、駆動輪14とを備えている。本体機構9の四隅には、キャスタ13が設けられている。ガイド機構4は、本体機構9と一体に設けられており、カートのセンタフレーム18に嵌合可能なセンタフレーム用溝25を有する。
【0024】
本体機構9は、装置駆動部3と、ガイド機構駆動部5と、センサ群6と、制御部7と、通信部12とを備えている。
【0025】
装置駆動部3は、制御部7の指示に従って駆動輪14を回転駆動するモータである。駆動輪14は、本体機構9の左右に1つずつ設けられている。なお、装置駆動部3は、駆動輪14ごとに設けてもよい。駆動輪14は、車輪に限らず、キャタピラなどの他の移動形態であってもよい。また、駆動輪14は、本体機構9の左右に一対設ける構成に限らず、複数対設けるなど、どのような構成であってもよい。
【0026】
センサ群6は、Lidar10およびデプスカメラ11を含む。
【0027】
Lidar10は、搬送装置8の周辺空間における障害物の検知と、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)走行のための自己位置の検出とを行う。搬送装置8の周辺空間における障害物は、カートを構成する各部位を含む。
【0028】
デプスカメラ11は、搬送装置8の周辺を撮影して距離画像を取得し、取得した距離画像に対して画像処理を行うことによって搬送装置8の周辺に存在する障害物との距離を求める。デプスカメラ11のレンジは、約10cm程度である。搬送装置8の周辺に存在する障害物は、カートを構成する各部位を含む。
【0029】
ガイド機構駆動部5は、ガイド機構4の床面からの高さを変える昇降用モータである。ガイド機構駆動部5は、制御部7の指示に従って、駆動輪14を本体機構9から押し下げるように駆動する、または駆動輪14を本体機構9に収容するように駆動する。
【0030】
ガイド機構駆動部5が駆動輪14を本体機構9から押し下げるように駆動すると、それに応じて本体機構9が床面から押し上げられて通常高さ状態となる。このとき、本体機構9と一体に構成されたガイド機構4の位置も高くなって通常高さ状態となる。
【0031】
一方、ガイド機構駆動部5が駆動輪14を本体機構9に収容するように駆動すると、それに応じて本体機構9が通常高さ状態よりも低い低床状態となる。このとき、本体機構9と一体に構成されたガイド機構4の位置も低くなって低床状態となる。
【0032】
制御部7は、装置駆動部3およびガイド機構駆動部5を含む搬送装置8の全体の制御を行う。
【0033】
通信部12は、搬送装置8の外部に設けられた指示センタ15と通信を行う。指示センタ15は、搬送装置8をモニタリングするとともに、搬送装置8に対してカートの搬送を指示する。
【0034】
<カートとガイド機構との嵌合>
図4は、カートのセンタフレーム18と、ガイド機構4のセンタフレーム用溝25とが嵌合している状態を示す平面図である。図5は、図4のA1-A1断面図である。図6は、図4の側面図である。
【0035】
図4,6に示すように、搬送装置8がカートを搬送するとき、ガイド機構4は前連結金具23と後連結金具24との間に位置する。そして、搬送装置8がカートを前後方向に移動させるとき、ガイド機構4は前連結金具23または後連結金具24に接触する。図6の例では、前連結金具23および後連結金具24は、上下方向で本体機構9と接触しているが、上下方向で本体機構9と接触しなくてもよい。すなわち、搬送装置8がカートを前後方向に移動させるとき、前連結金具23または後連結金具24がガイド機構4に接触して支える状態になればよい。
【0036】
また、図4,5に示すように、搬送装置8がカートを搬送するとき、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合する。そして、搬送装置8がカートを旋回させるとき、センタフレーム用溝25はセンタフレーム18に接触する。なお、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との間には多少の遊び、例えば左右1mm程度またはそれ以上の隙間を設けてもよい。
【0037】
<動作>
以下では、建屋内において、搬送装置8は予め定められた待機位置Prestに待機しており、指示センタ15からの指示を受けると地点Paに停止しているカートを検出し、目的地Pbまでカートを搬送する動作について説明する。
【0038】
なお、制御部7は、SoC(System On a Chip)を備えており、搬送装置8全体を自律走行させるプログラムが内蔵されている。
【0039】
図7は、搬送装置8の動作の一例を示すフローチャートである。
【0040】
ステップS1において、制御部7は、通信部12を介して、指示センタ15から送信された移動コマンドを受け付ける。移動コマンドは、地点Paに停止しているカートを目的地Pbまで搬送する旨を示すコマンドである。移動コマンドは、カートの位置情報(地点Paの位置情報)およびカートの搬送先の位置情報(目的地Pbの位置情報)を含む。
【0041】
ステップS2において、制御部7は、図示しない建屋内の地図情報に基づいて、搬送装置8の待機位置Prestからカートが存在する地点Paまでの経路を算出する。そして、制御部7は、Lidar10およびデプスカメラ11を含むセンサ群6が検出した周辺状況に基づいて、搬送装置8の周辺に存在する移動体または障害物を避けながら地点Paまで自律走行するように装置駆動部3を制御する。制御部7は、地点Pa近傍でカートを発見すると、搬送装置8を停止するように装置駆動部3を制御する。搬送装置8は、待機位置Prestから地点Paまで通常高さ状態で走行する。
【0042】
なお、ここでは、制御部7が待機位置Prestから地点Paまでの経路を算出する場合について説明したが、これに限るものではない。指示センタ15が待機位置Prestから地点Paまでの経路を算出して搬送装置8に通知してもよい。
【0043】
建屋内の地図情報は、制御部7が保持してもよく、必要に応じて指示センタ15などの外部から取得してもよい。
【0044】
ステップS3において、制御部7は、搬送装置8をカートに潜り込ませるための移動計画を策定する。そして、制御部7は、策定した移動計画と、Lidar10およびデプスカメラ11が検出した周辺状況とに基づいて、搬送装置8がカートの真下に潜り込むように装置駆動部3を制御する。図8,9は、搬送装置8がカートに潜り込む様子を示している。このとき、搬送装置8は、通常高さ状態から低床状態になった後にカートに潜り込む。
【0045】
ステップS4において、制御部7は、Lidar10およびデプスカメラ11が検出したカートのセンタフレーム18の位置に基づいて、センタフレーム18とガイド機構4のセンタフレーム用溝25とが平面視で合うように装置駆動部3を制御する。図10は、搬送装置8が、センタフレームとガイド機構4のセンタフレーム用溝25とが平面視で合うように回転(旋回)した後の様子を示している。
【0046】
ステップS5において、制御部7は、搬送装置8が通常高さ状態となるようにガイド機構駆動部5を制御する。搬送装置8が通常高さ状態になると、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18とが嵌合する。
【0047】
ステップS6において、制御部7は、図示しない建屋内の地図情報に基づいて、地点Paから目的地Pbまでの経路を算出する。そして、制御部7は、Lidar10およびデプスカメラ11が検出した周辺状況に基づいて、搬送装置8の周辺に存在する移動体または障害物を避けながら目的地Pbまで自律走行するように装置駆動部3を制御する。これにより、カートは、地点Paから目的地Pbまで搬送される。図11は、搬送装置8がカートを搬送する様子を示している。
【0048】
なお、ここでは、制御部7が地点Paから目的地Pbまでの経路を算出する場合について説明したが、これに限るものではない。指示センタ15が地点Paから目的地Pbまでの経路を算出して搬送装置8に通知してもよい。
【0049】
カートが目的地Pbに到着すると、建屋内のスタッフがカートのトレイ22に載置された物品を回収する。その後、搬送装置8の制御部7は、通信部12を介して指示センタ15から待機位置Prestまで戻る旨のコマンドを受けると、目的地Pbから待機位置Prestまで自律走行するように装置駆動部3を制御する。あるいは、ステップS1において制御部7が指示センタ15から受け付けた移動コマンドに、搬送装置8が目的地Pbに到着した後に待機位置Prestまで自律走行する旨のコマンドを含めてもよい。
【0050】
搬送装置8の用途としては、例えば、病院内での薬の配送または配膳、学校での配膳、オフィスでの配膳または物品の配送、あるいは製造工場内における部品の運搬などが挙げられる。
【0051】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1では、カートは、センタフレーム18の延在方向とは異なる方向に張り出すようにセンタフレーム18に設けられた前連結金具23および後連結金具24を有している。また、搬送装置8のガイド機構4は、センタフレーム18に嵌合可能なセンタフレーム用溝25を有している。そして、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合したとき、ガイド機構4は前連結金具23と後連結金具24との間に位置する。このような構成とすることによって、搬送装置8がカートを搬送する際にセンタフレーム18に強い応力がかからないため、保持アームを強固にする必要がなく、製造コストを抑えることができる。
【0052】
<実施の形態1の変形例1>
実施の形態1では、前連結金具23および後連結金具24がガイド機構4の前後方向を支えるように位置する場合について説明したが、これに限るものではない。前連結金具23および後連結金具24は、カートが搬送されるときに搬送装置8を支えるような構成であればよく、例えば本体機構9の一部を支えるような構成であってもよい。
【0053】
<実施の形態1の変形例2>
搬送装置8がカートを搬送する際に平坦な床面を移動する場合において、ガイド機構4はセンタフレーム18、前連結金具23、および後連結金具24と強固に嵌合する構造であってもよい。しかし、搬送装置8がカートを搬送する際にスロープが存在する床面を移動する場合は、図12に示すように、ガイド機構4のセンタフレーム用溝25とセンタフレーム18との仰角αを予め設計した範囲内に許容する必要がある。仰角αは、例えば勾配が-5%よりも大きく+5%よりも小さい範囲内に許容される。このように、センタフレーム18にセンタフレーム用溝25が嵌合したとき、センタフレーム18とセンタフレーム用溝25との間には予め定められた間隙が存在することになる。
【0054】
<実施の形態2>
実施の形態1では、搬送装置8がカートの各部位の正確な位置を検出して、センタフレーム18とガイド機構4のセンタフレーム用溝25とが平面視で合うように搬送装置8を移動させた後に、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18とを嵌合させる場合について説明した。
【0055】
実施の形態2では、センタフレーム用溝25に対するセンタフレーム18の左右方向における検出の位置誤差を許容するために誘導機構(後述の第1誘導機構26)を設けることを特徴としている。その他の搬送装置8およびカートの構成および動作は、実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
図13は、実施の形態2に係るセンタフレーム用溝25とセンタフレーム18とが嵌合している状態を示す平面図である。図14は、図13のB1-B1断面図である。図15は、図13の側面図である。
【0057】
図13,14に示すように、センタフレーム用溝25の前後方向の端部には、一対の第1誘導機構26が設けられている。具体的には、第1誘導機構26は、センタフレーム用溝25の内側に傾いた傾斜を有しており、センタフレーム用溝25の対向する面にそれぞれ設けられている。実施の形態2に係るセンタフレーム用溝25の幅は、実施の形態1に係るセンタフレーム用溝の幅よりも、第1誘導機構26の幅の分だけ広い。
【0058】
ここで、図7のステップS4の動作を行った後の図10に示す状態における、第1誘導機構26の有無と、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との許容位置誤差との関係について説明する。
【0059】
図16は、第1誘導機構26がない場合における、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との関係を示す図である。センタフレーム用溝25の幅は、センタフレーム18の幅よりも若干広くなる。センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との差異(隙間)をD1とすると、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との許容位置誤差は、「D1/2」となる。例えば、D1=2mmとすると、許容位置誤差は1mm、すなわち左右それぞれ1mmの誤差が許容される。Lidar10およびデプスカメラ11を含むセンサ群6によってこのような位置精度を実現することができない場合は、D1を長くする必要がある。この場合、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18とが嵌合したときに、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との隙間が広くなり、搬送装置8がカートを搬送する際にがたつきが生じて不安定となる。
【0060】
図17は、第1誘導機構26をセンタフレーム用溝25の内壁に設けた場合における、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との関係を示す図である。第1誘導機構26の幅をd1とし、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との差異(隙間)をD2とすると、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18との許容位置誤差は、「D2/2+d1」となる。例えば、d1=5mmとし、D2=2mmとすると、許容位置誤差は6mmとなる。このように、第1誘導機構26を設けることによって、第1誘導機構26がない場合よりも許容位置誤差を各段に大きくすることができる。
【0061】
図18に示すように、センタフレーム18と第1誘導機構26とが接触したときの摩擦が大きくならないように、第1誘導機構26の斜面の角度θは45度以上であることが望ましい。
【0062】
図19は、第1誘導機構26の作用を説明するための図である。図19に示すように、ガイド機構4が上昇すると、センタフレーム18は、第1誘導機構26の斜面に接触してセンタフレーム用溝25に誘導される。そして、センタフレーム18の中心軸とセンタフレーム用溝25の中心軸とのずれが徐々に小さくなり、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合する。
【0063】
<実施の形態2の効果>
実施の形態2では、センタフレーム用溝25の前後方向の端部に一対の第1誘導機構26を設けている。これにより、ガイド機構4が上昇する前におけるセンタフレーム用溝25とセンタフレーム18との許容位置誤差が大きくなるため、高性能なセンサを用いることなくセンタフレーム18とセンタフレーム用溝25とを嵌合させることができる。すなわち、実施の形態1よりも安価な搬送装置を実現することができる。
【0064】
<実施の形態2の変形例1>
センタフレーム18と第1誘導機構26との接触によってセンタフレーム18が摩耗しないようにするために、第1誘導機構26はセンタフレーム18よりも硬度が低い材質としてもよい。これにより、第1誘導機構26は摩耗しても交換することが可能となる。
【0065】
<実施の形態2の変形例2>
第1誘導機構26の斜面は、直線状に限らず、図20に示すように下方に向かって徐々に水平に対する角度が小さくなる弧状であってもよい。このような形状とすることによって、ガイド機構4が上昇して第1誘導機構26とセンタフレーム18とが接触したときに、センタフレーム18を滑らかにセンタフレーム用溝25へと誘導することができる。
【0066】
なお、第1誘導機構26は、図13に示すように二対であってもよく、三対以上の複数対であってもよい。
【0067】
第1誘導機構26は、センタフレーム用溝25の全体の内壁を覆うような形状であってもよい。第1誘導機構26は、ガイド機構4と一体に構成されてもよい。
【0068】
<実施の形態2の変形例3>
実施の形態2では、第1誘導機構26をセンタフレーム用溝25の内壁に設ける場合について説明したが、これに限るものではない。
【0069】
例えば、図21に示すように、第1誘導機構26をガイド機構4の上部に設けてもよい。具体的には、第1誘導機構26は、センタフレーム用溝25の外でありセンタフレーム用溝25に沿って設けられている。
【0070】
<実施の形態2の変形例4>
センタフレーム18の幅が異なる複数種類のカートに対応するために、幅が異なる複数の第1誘導機構26を用意してもよい。これらの第1誘導機構26は、取り外し可能である。このような構成とすることによって、センタフレーム18に応じた適切な第1誘導機構26を選択することができる。
【0071】
<実施の形態3>
実施の形態2では、センタフレーム用溝25に対するセンタフレーム18の左右方向における検出の位置誤差を許容するために第1誘導機構26を設ける場合について説明した。
【0072】
実施の形態3では、ガイド機構4に対する前連結金具23および後連結金具24の前後方向における検出の位置誤差を許容するために誘導機構(後述の第2誘導機構27)を設けることを特徴としている。その他の搬送装置8およびカートの構成および動作は、実施の形態2と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
図22は、実施の形態3に係るセンタフレーム用溝25とセンタフレーム18とが嵌合している状態を示す平面図である。図23は、図22のC1-C1断面図である。図24は、図22の側面図である。
【0074】
図22~24に示すように、第2誘導機構27は、ガイド機構4の上部前端の左右2か所に設けられ、ガイド機構4の上部後端の左右2か所に設けられている。ガイド機構4と前連結金具23および後連結金具24との誤差がある場合、ガイド機構4を上昇させると、まず前連結金具23および後連結金具24が第2誘導機構27に接触し、その後、ガイド機構4の上昇に従って前連結金具23および後連結金具24が第2誘導機構27に誘導され、最終的には前連結金具23と後連結金具24との間にガイド機構4が位置する状態となる。
【0075】
なお、カートの左右方向の位置の検出精度が良い場合は、第1誘導機構26を設けなくてもよい。第2誘導機構27は、ガイド機構4と一体に構成されてもよい。
【0076】
<実施の形態3の効果>
実施の形態3では、センタフレーム用溝25の前後方向の上部前端および上部後端のそれぞれに第2誘導機構27を設けている。これにより、ガイド機構4が上昇する前におけるガイド機構4と前連結金具23および後連結金具24との許容位置誤差が大きくなるため、高性能なセンサを用いることなく前連結金具23と後連結金具24との間にガイド機構4を位置させることができる。すなわち、実施の形態1よりも安価な搬送装置を実現することができる。
【0077】
<実施の形態3の変形例1>
図25に示すように、第2誘導機構27は、ガイド機構4の前後方向の側部前端および側部後端のそれぞれに設けてもよい。
【0078】
なお、第2誘導機構27は、ガイド機構4と一体に構成されてもよい。
【0079】
<実施の形態3の変形例2>
図26に示すように、第2誘導機構27は、前連結金具23および後連結金具24のそれぞれに設けてもよい。
【0080】
なお、第2誘導機構27は、前連結金具23および後連結金具24のそれぞれと一体に構成されてもよい。
【0081】
図26に示す構成と、図22~24に示す構成とを組み合わせた構成としてもよい。また、図26に示す構成と、図25に示す構成とを組み合わせた構成としてもよい。
【0082】
<実施の形態4>
実施の形態1~3では、カートが、センタフレーム18の延在方向とは異なる方向に張り出すようにセンタフレーム18に設けられた前連結金具23および後連結金具24を有する場合について説明した。
【0083】
実施の形態4では、カートがくさび型構造の前連結金具28および後連結金具29を有し(例えば図27,28参照)、ガイド機構4が前切り込み部30および後切り込み部31(例えば図31参照)を有することを特徴としている。その他の搬送装置8およびカートの構成および動作は、実施の形態2と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
図27は、実施の形態4に係る搬送装置とカートとが嵌合している状態を示す外観図である。図28は、センタフレーム用溝25とセンタフレーム18とが嵌合している状態を示す平面図である。図29は、図28のD1-D1断面図である。図30は、図28の側面図である。なお、図27に示す搬送装置は、実際の搬送装置を簡略化したものである。
【0085】
図27,28に示すように、前連結金具28は、三角柱状の底辺を前部フレーム16に固定したくさび型構造である。具体的には、前連結金具28は、前部フレーム16側の一端よりも後部フレーム側の他端の方が平面視における幅が狭く、かつ当該他端がセンタフレーム18と平面視において重畳するくさび型構造である。
【0086】
また、後連結金具29は、三角柱状の底辺を後部フレーム17に固定したくさび型構造である。具体的には、後連結金具29は、後部フレーム17側の一端よりも前部フレーム16側の他端の方が平面視における幅が狭く、かつ当該他端がセンタフレーム18と平面視において重畳するくさび型構造である。
【0087】
図31は、ガイド機構4の一例を示す平面図である。図31に示すように、ガイド機構4は、前連結金具28と嵌合することが可能な前切り込み部30と、後連結金具29と嵌合することが可能な後切り込み部31とを有する。
【0088】
<実施の形態4の効果>
実施の形態4では、カートがくさび型構造の前連結金具28および後連結金具29を有し、ガイド機構4が前切り込み部30および後切り込み部31を有している。これにより、前連結金具28と前切り込み部30、および後連結金具29と後切り込み部31のそれぞれが強固に嵌合するため、搬送装置8がカートを旋回させる時の動力伝達の効率化と、旋回時のがたつきとを抑制することが可能となる。また、前連結金具28および後連結金具29は、前部フレーム16および後部フレーム17のそれぞれを支えとするため、センタフレーム18に対する固定および位置決めが容易となる。
【0089】
<実施の形態4の変形例1>
実施の形態4では、センタフレーム用溝25に第1誘導機構26を設ける場合について説明したが(例えば図28,31参照)、これに限るものではない。図32に示すように、ガイド機構4の前切り込み部30および後切り込み部31のそれぞれに兼用誘導機構32を設けるようにしてもよい。前切り込み部30には2つの兼用誘導機構32が設けられ、後切り込み部31には2つの兼用誘導機構32が設けられている。
【0090】
兼用誘導機構32は、前切り込み部30および後切り込み部31のそれぞれの内側に傾いた傾斜を有しており、カートの前後方向および左右方向に誘導する機能を有している。すなわち、兼用誘導機構32は、第1誘導機構26と第2誘導機構27とを兼用する機能を有している。具体的には、兼用誘導機構32は、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合するときに、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18を誘導するとともに、前切り込み部30に前連結金具28を誘導し、後切り込み部31に後連結金具29を誘導する。
【0091】
これにより、ガイド機構4が上昇する前におけるガイド機構4と前連結金具28および後連結金具29との前後左右方向の位置誤差を許容することが可能となる。
【0092】
なお、図32において、センタフレーム用溝25に第1誘導機構26をさらに設けるようにしてもよい。
【0093】
<実施の形態4の変形例2>
図33,34に示すように、前連結金具28は、ガイド機構4の前切り込み部30(例えば図31参照)と接触する部分に兼用誘導機構32を設けてもよい。また、後連結金具29は、ガイド機構4の後切り込み部31(例えば図31参照)と接触する部分に兼用誘導機構32を設けてもよい。図33,34に示す兼用誘導機構32の機能は、変形例1で説明した図32に示す兼用誘導機構32の機能と同様である。
【0094】
これにより、ガイド機構4が上昇する前におけるガイド機構4と前連結金具28および後連結金具29との前後左右方向の位置誤差を許容することが可能となる。
【0095】
なお、図33,34において、センタフレーム用溝25に第1誘導機構26をさらに設けるようにしてもよい。
【0096】
<ハードウェア構成>
図2に示す搬送装置8における制御部7および通信部12の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、搬送装置8は、センサ群6の検出結果に基づいて、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合するように装置駆動部3およびガイド機構駆動部5を制御し、搬送装置8の外部に設けられた指示センタ15と通信を行うための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサ(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)であってもよい。
【0097】
処理回路が専用のハードウェアである場合、図35に示すように、処理回路33は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部7および通信部12の各機能をそれぞれ処理回路33で実現してもよく、各機能をまとめて1つの処理回路33で実現してもよい。
【0098】
処理回路33が図36に示すプロセッサ34である場合、制御部7および通信部12の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ35に格納される。プロセッサ34は、メモリ35に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、搬送装置8は、センサ群6の検出結果に基づいて、センタフレーム用溝25にセンタフレーム18が嵌合するように装置駆動部3およびガイド機構駆動部5を制御するステップ、搬送装置8の外部に設けられた指示センタ15と通信を行うステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ35を備える。また、これらのプログラムは、制御部7および通信部12の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0099】
なお、制御部7および通信部12の各機能について、一部の機能を専用のハードウェアで実現し、他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0100】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0101】
なお、本開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0102】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0103】
1 搬送装置、2 本体機構、3 装置駆動部、4 ガイド機構、5 ガイド機構駆動部、6 センサ群、7 制御部、8 搬送装置、9 本体機構、10 Lidar、11 デプスカメラ、12 通信部、13 キャスタ、14 駆動輪、15 指示センタ、16 前部フレーム、17 後部フレーム、18 センタフレーム、19 キャスタ、20 キャスタブレーキ、21 支持フレーム、22 トレイ、23 前連結金具、24 後連結金具、25 センタフレーム用溝、26 第1誘導機構、27 第2誘導機構、28 前連結金具、29 後連結金具、30 前切り込み部、31 後切り込み部、32 兼用誘導機構、33 処理回路、34 プロセッサ、35 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36