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  • 特許-検査用照明装置製造方法 図1
  • 特許-検査用照明装置製造方法 図2
  • 特許-検査用照明装置製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】検査用照明装置製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
G01N21/84 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020024796
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128134
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】山本 高寛
(72)【発明者】
【氏名】九谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐二
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-017564(JP,A)
【文献】特開2002-082058(JP,A)
【文献】特開2008-102103(JP,A)
【文献】特開2008-117639(JP,A)
【文献】特開2006-133528(JP,A)
【文献】特開2005-098926(JP,A)
【文献】特開2013-124863(JP,A)
【文献】特開2007-285934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に配置され多数のLEDが搭載されたLED基板と、
拡散板と、
を備える検査用照明装置を製造する検査用照明装置製造方法であって、
外光を照射する複数の波長の異なるLEDと可視光を照射する複数の波長の異なるLEDのから検査する物品に合わせた波長の前記多数のLEDを選択して共通の前記ハウジングに配置し、更に、表面にサンドブラストにより多数の微細な凹凸が設けられていない状態で90%よりも高い透過率で前記紫外光及び前記可視光を透過させ得る合成樹脂製の板の該表面に、前記検査する物品に合わせて前記多数の微細な凹凸の量を選択して前記サンドブラストにより該多数の微細な凹凸を設けて製作した前記拡散板を共通の前記ハウジングに配置することを特徴とする少量多品種の検査用照明装置製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査用照明装置製造方法において、
前記多数の微細な凹凸が設けられた前記表面は、前記拡散板の一面のみ又は一面と他面であることを特徴とする検査用照明装置製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の検査用照明装置製造方法において、
前記多数の微細な凹凸が設けられた前記表面は、前記拡散板の一面と他面であり、前記拡散板の前記一面と前記他面とで前記凹凸の量を変えていることを特徴とする検査用照明装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を検査するために物品に多数のLEDからの光を照射する検査用照明装置製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場で生産された物品(製品)について、物品に多数のLEDからの光を照射しそれをカメラで撮影することにより検査(欠陥、キズ、汚れ、異物などの外観検査)を行う検査装置が用いられてきた。その中には、拡散板を通して物品に多数のLEDからの光を照射するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
特許文献1に開示された検査用照明装置は、多数のLEDからの光を拡散板を透過させそれから反射部で反射させて物品に照射するもの、特許文献2に記載された検査用照明装置は、多数のLEDからの光を反射部で反射させてから物品に照射するとともに、多数のLEDからの光を拡散板(光拡散体)を透過させて直接物品に照射するものである。
【0004】
拡散板は、多数のLEDからの光を拡散させて均一化する働きがあり、その一方、光の拡散の程度が大きくなるほど拡散板を透過した光量が減ることになる。一般的に、検査する物品に合わせて、LEDが発する光の種類と拡散板の拡散の程度が選択される。
【0005】
また、拡散板は、様々な分野で用いられており、光を拡散させるために、表面に白色系の塗料を付着させたものの他、表面に多数の微細な凹凸を設けたものがある。例えば、特許文献3に記載された光投射装置では、可視光、紫外光、赤外光、又はレーザー用の拡散板として、ゾル-ゲル溶液の硬化により作製され、表面に微細加工構造を有するガラスが用いられている。この微細加工構造は、マスターから表面構造を複製したり、エッチング、サンドブラスト(ブラスティング)、又はブラッシングにより機械的に作製したりして設けられる。また、特許文献4に記載された撮像装置では、蛍光灯や水銀灯などの光の拡散板(光拡散部材)として、シボ加工、エッチング、サンドブラスト又は研磨処理などが施されたガラスや合成樹脂が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2012/005337号公報
【文献】特開2014-235051号公報
【文献】特表2002-523863号公報
【文献】特開2017-215349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検査用照明装置は、上記のように、一般的に、検査する物品に合わせてLEDが発する光の種類と拡散板の拡散の程度が選択されるような少量多品種のものであるため、拡散板は、LEDが発する光の種類が余り制限されず、かつ、拡散の程度が最適なものを容易に製造できることが望ましい。しかしながら、特許文献3のように拡散板にガラスを用いると、割れ易く、また、表面に多数の微細な凹凸を設けることも容易というわけではない。また、特許文献4のような拡散板は、紫外光に対応するものではない。
【0008】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、LEDが発する光の種類と拡散板の拡散の程度が選択されるような少量多品種のものに好適な検査用照明装置製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査用照明装置製造方法は、ハウジングと、該ハウジング内に配置され多数のLEDが搭載されたLED基板と、拡散板と、を備える検査用照明装置を製造する検査用照明装置製造方法であって、外光を照射する複数の波長の異なるLEDと可視光を照射する複数の波長の異なるLEDのから検査する物品に合わせた波長の前記多数のLEDを選択して共通の前記ハウジングに配置し、更に、表面にサンドブラストにより多数の微細な凹凸が設けられていない状態で90%よりも高い透過率で前記紫外光及び前記可視光を透過させ得る合成樹脂製の板の該表面に、前記検査する物品に合わせて前記多数の微細な凹凸の量を選択して前記サンドブラストにより該多数の微細な凹凸を設けて製作した前記拡散板を共通の前記ハウジングに配置することを特徴とする少量多品種の検査用照明装置製造方法である。
【0010】
請求項に記載の検査用照明装置製造方法は、請求項に記載の検査用照明装置製造方法において、前記多数の微細な凹凸が設けられた前記表面は、前記拡散板の一面のみ又は一面と他面であることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の検査用照明装置製造方法は、請求項に記載の検査用照明装置製造方法において、前記多数の微細な凹凸が設けられた前記表面は、前記拡散板の一面と他面であり、前記拡散板の前記一面と前記他面とで前記凹凸の量を変えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検査用照明装置製造方法によれば、LEDが発する光の種類と拡散板の拡散の程度が選択されるような少量多品種のものに好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る検査用照明装置を示すものであって、(a)が断面図((b)のA-A線で示す位置での断面図)、(b)が底面図である。
図2】同上の検査用照明装置の他の例を示すものであって、(a)が断面図((b)のB-B線で示す位置での断面図)、(b)が底面図である。
図3】同上の検査用照明装置における光の様子を断面図で説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る検査用照明装置1は、図1(a)、(b)に示すように、ハウジング2とLED基板3と拡散板4とを備える。
【0015】
ハウジング2は、後に詳述するLED基板3及び拡散板4を支持するものである。ハウジング2は、高さの低い大略円筒状のものとし、上下方向に貫通する中空孔2aが設けられるようにすることができる。ハウジング2は、アルミニウムや銅などの金属材又は樹脂材などが用いられる。
【0016】
LED基板3は、ハウジング2内に配置されている。LED基板3は、紫外光(例えば、波長が365nm、375nm、405nmなどのもの)又は可視光(例えば、赤色、緑色、青色、白色などの光)を照射する多数のLED31が搭載されている。多数のLED31は、図1(a)、(b)では円上に配置されているが、図2(a)、(b)に示すように、複数個(図では2個)の同心円(平面視で同心円)上に配置することができる。また、LED基板3を斜めに傾けて、多数のLED31が斜め下に向かって光を放射するようにできる。LED31は、砲弾型や表面実装型などとすることが可能である。なお、図1(b)及び図2(b)では、LED31は、拡散板4の紙面奥側に配置されているので、破線で示している。また、LED基板3は、全体で1個のものであってもよいし複数個が並べられて全体を形成するものであってもよい。
【0017】
拡散板4は、紫外光及び可視光を透過させ得る合成樹脂製(例えば、アクリル系素材)のものである。具体的には、拡散板4は、次に述べる表面に多数の微細な凹凸が設けられていなければ、例えば90%よりも高い透過率で紫外光及び可視光を透過させ得る。拡散板4は、その厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.5mm~5mmとすることができる。また、拡散板4は、中央孔4aを有する円板状のものとすることができる。
【0018】
拡散板4は、サンドブラスト装置を用いたサンドブラストにより表面に多数の微細な凹凸が設けられている。拡散板4の表面の凹凸の量は、偏ることなく一様である。サンドブラスト装置は、例えば、単位時間当り噴射されるサンド(研磨材)の量を変えることにより、拡散板4の表面の凹凸の量を容易に変えることができる。
【0019】
拡散板4において多数の微細な凹凸が設けられた表面は、拡散板4の一面4bのみとすることが可能であり、或いは、拡散板4の一面4bと他面4cとすることが可能である。拡散板4の一面4bと他面4cとで凹凸の量を変えることも可能である。
【0020】
拡散板4の表面(一面4bと他面4c)の凹凸の量を変えることにより、光の拡散の程度が変わる。なお、光の拡散の程度が変わるとともに、光の透過率も変わる(例えば、30%~90%の範囲で変わる)。
【0021】
以上説明した検査用照明装置1では、図3に示すように、LED基板3に搭載された多数のLED31からの紫外光又は可視光(図3中で、矢印付き破線で模式的に示す)が拡散板4により拡散され均一化されて透過し、下方に位置する物品Mに照射される。そして、その物品Mからの反射光(図3中で、矢印付き一点鎖線で模式的に示す)は、拡散板4の中央孔4a及びハウジング2の中空孔2aを通過して上方に配置されたカメラCに入射する。こうして、カメラCにより物品Mは撮影され検査される。
【0022】
検査用照明装置1においては、検査する物品に合わせて、使用するLED31を選択することにより光の種類(例えば、紫外光又は可視光(赤色、緑色、青色、白色など))が選択され、サンドブラストにより設けられる拡散板4の表面の凹凸の量を選択することにより光の拡散の程度が選択される。例えば、ハウジング2を共通にして、LED31を紫外光を照射するものとして図1(a)、(b)に示すように配置して所定の拡散板4を配置することができ、LED31を可視光を照射するものとして図2(a)、(b)に示すように配置して所定の拡散板4を配置することができる。
【0023】
このような検査用照明装置1の拡散板4は、紫外光及び可視光を透過させ得るのでLED31が発し拡散板4を透過する光の種類の制限が少ない。また、拡散板4は、合成樹脂製であるために、割れ難く、また、サンドブラストにより拡散の程度が最適なものを容易に製造できる。よって、検査用照明装置1は、LEDが発する光の種類と拡散板の拡散の程度が選択されるような少量多品種のものに好適なものとなる。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係る検査用照明装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、検査用照明装置1として、多数のLED31からの光を拡散板4を透過させて直接物品に照射するものを例示したが、多数のLEDからの光を拡散板を透過させそれから反射部で反射させて物品に照射するものなどにも本発明は適用可能である。また、適宜、ハウジングやLED基板の構造又は形状は変更可能である。
【0025】
1 検査用照明装置
2 ハウジング
2a ハウジングの中空孔
3 LED基板
31 LED
4 拡散板
4a 拡散板の中央孔
4b 拡散板の一面
4c 拡散板の他面
C カメラ
M 物品
図1
図2
図3