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特許7618183電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラム
<図1>
  • 特許-電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラム 図1
  • 特許-電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024005776
(22)【出願日】2024-01-18
【審査請求日】2024-01-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第37回ネプコンジャパン、東京ビッグサイト、2023年1月25日~2023年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100208959
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 敏史
(72)【発明者】
【氏名】菊地 大樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 嗣
(72)【発明者】
【氏名】小宮 怜王名
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-078399(JP,A)
【文献】特開2014-055916(JP,A)
【文献】国際公開第2012/160611(WO,A1)
【文献】特開平04-106671(JP,A)
【文献】特開平08-189901(JP,A)
【文献】特開2006-284543(JP,A)
【文献】特開平05-249045(JP,A)
【文献】特開2022-096093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出手段と、
前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正手段と、
前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査手段と、
前記第1検査ロジックが合否判定である場合において前記第1検査結果が不合格の場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査手段と、
前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定手段と、
を備え
前記第1検査ロジックは、欠陥を評価するパラメータに対して設定された閾値を基準として合格又は不合格を判定する関数であり、
前記救済検査ロジックは、前記製品画像又は前記補正製品画像の情報と検査結果との関係に基づいて学習した人工知能により生成され
電子部品の画像検査装置。
【請求項2】
前記第1検査は、前記電子部品の欠陥のうち、素体の汚れ又は異物を検出する検査である
請求項1に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項3】
前記総合判定手段は、前記第1検査結果が合格である場合又は前記救済検査結果が合格である場合に良品と総合判定し、前記第1検査結果が不合格である場合かつ前記救済検査結果が不合格である場合に不良品と総合判定する
請求項1又は請求項2に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項4】
前記第1検査ロジックとは異なる第2検査ロジックを有する第2検査を実行して第2検査結果を出力する第2検査手段を備え、
前記総合判定手段は、前記第1検査結果、前記救済検査結果及び前記第2検査結果に基づいて前記総合判定を行う
請求項1又は請求項2に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項5】
前記総合判定手段は、前記第1検査結果が合格である場合又は前記救済検査結果が合格である場合、かつ、前記第2検査結果が合格である場合に良品と総合判定し、前記第1検査結果が不合格である場合かつ前記救済検査結果が不合格である場合、又は、前記第2検査結果が不合格である場合に不良品と総合判定する
請求項4に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項6】
前記第1検査は、前記電子部品の欠陥を検出する検査である
請求項1又は請求項2に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項7】
前記第2検査は、前記電子部品の寸法を測定する検査である
請求項5に記載の電子部品の画像検査装置。
【請求項8】
電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出ステップと、
前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正ステップと、
前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査ステップと、
前記第1検査ロジックが合否判定である場合において前記第1検査結果が不合格の場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査ステップと、
前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定ステップと、
を備え、
前記第1検査ロジックは、欠陥を評価するパラメータに対して設定された閾値を基準として合格又は不合格を判定する関数であり、
前記救済検査ロジックは、前記製品画像又は前記補正製品画像の情報と検査結果との関係に基づいて学習した人工知能により生成され
電子部品の画像検査方法。
【請求項9】
コンピュータに、電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出機能と、
前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正機能と、
前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査機能と、
前記第1検査ロジックが合否判定である場合において前記第1検査結果が不合格の場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査機能と、
前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定機能と、
を実行させ、
前記第1検査ロジックは、欠陥を評価するパラメータに対して設定された閾値を基準として合格又は不合格を判定する関数であり、
前記救済検査ロジックは、前記製品画像又は前記補正製品画像の情報と検査結果との関係に基づいて学習した人工知能により生成され
電子部品の画像検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品を撮像してから製品位置を検出する検査Aを行った後、各種外観欠陥の検出に特化した検査B及び検査Cを並行して行い、いずれの検査でも不合格と判定されなかった場合のみ、検査対象製品を良品と総合判定する外観検査を行う装置があった(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
ここで、従来の外観検査では、各検査が固有の画像検査基準を持ち、特定種類の外観欠陥不良品を必ず不合格(NG)と判定するように検査基準は設定されていた。そして、従来の画像検査基準では1つの検査に対して1つの検査結果が出る単純な検査基準しか設定できなかった。一方で、画像上では良品とあまり差が無い不良品が存在する。このような不良品であっても外観検査では不合格とする必要がある。しかしながら、各検査は過剰に厳しい検査基準となり、良品としたい製品の一部が誤って不良品と判定されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6999150号
【文献】特許第7298825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る電子部品の画像検査装置は、電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出手段と、前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正手段と、前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査手段と、前記第1検査結果が前記第1検査ロジックにおいて特定条件となる場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査手段と、前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定手段と、を備える。
(2)上記(1)において、前記特定条件は、前記第1検査ロジックが合否判定である場合において前記第1検査結果が不合格の場合であってよい。
(3)上記(1)又は(2)において、前記総合判定手段は、前記第1検査結果が合格である場合又は前記救済検査結果が合格である場合に良品と総合判定し、前記第1検査結果が不合格である場合かつ前記救済検査結果が不合格である場合に不良品と総合判定してよい。
(4)上記(1)又は(2)において、前記第1検査ロジックとは異なる第2検査ロジックを有する第2検査を実行して第2検査結果を出力する第2検査手段を備え、前記総合判定手段は、前記第1検査結果、前記救済検査結果及び前記第2検査結果に基づいて前記総合判定を行ってよい。
(5)上記(4)において、前記総合判定手段は、前記第1検査結果が合格である場合又は前記救済検査結果が合格である場合、かつ、前記第2検査結果が合格である場合に良品と総合判定し、前記第1検査結果が不合格である場合かつ前記救済検査結果が不合格である場合、又は、前記第2検査結果が不合格である場合に不良品と総合判定してよい。
(6)上記(1)又は(2)において、前記第1検査は、前記電子部品の欠陥を検出する検査であってよい。
(7)上記(5)において、前記第2検査は、前記電子部品の寸法を測定する検査であってよい。
(8)本発明の一態様に係る電子部品の画像検査方法は、電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出ステップと、前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正ステップと、前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査ステップと、前記第1検査結果が前記第1検査ロジックにおいて特定条件となる場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査ステップと、前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定ステップと、を備える。
(9)本発明の一態様に係る電子部品の画像検査プログラムは、コンピュータに、電子部品を撮像した製品画像に基づいて、製品位置を検出する位置検出機能と、前記製品位置に基づいて前記製品画像を補正した補正製品画像を生成する画像補正機能と、前記補正製品画像に基づいて第1検査ロジックを有する第1検査を実行して第1検査結果を出力する第1検査機能と、前記第1検査結果が前記第1検査ロジックにおいて特定条件となる場合に前記第1検査ロジックとは異なる救済検査ロジックを有する救済検査を実行して救済検査結果を出力する救済検査機能と、前記第1検査結果及び前記救済検査結果に基づいて前記電子部品に対する総合判定を行う総合判定機能と、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムを提供することを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品の画像検査装置の概要を説明する説明図である。
図2】電子部品の画像検査装置による画像検査方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、電子部品1の画像検査装置100の概要を説明する説明図である。図2は、電子部品1の画像検査装置100による画像検査方法のフローを示す図である。なお、以下、共通する機能を有する部分には、同じ符号又は記号が付される場合がある。
【0010】
実施形態に係る電子部品1の画像検査装置100は、電子部品1の外観の検査に用いられる。
【0011】
電子部品1は、良品(OK)であるか不良品(NG)であるかの判定を行う検査の対象となる製品である。電子部品1は、電子機器を構成するための部品又は素子である。電子部品1は、例えば、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオード、集積回路等である。電子部品1は、電子回路において電流又は電圧を制御したり、情報を処理、転送したりするために使用される。電子部品1は、例えば、携帯電話、コンピュータ、自動車、家電製品等の電子機器に利用される。電子部品1は、六面体形状等の立体形状を有している。
【0012】
画像検査装置100は、撮像手段Cと、制御手段Sを備えている。画像検査装置100は、例えば、回転する円盤状の透明なガラス製の搬送テーブルの上面に載置された状態で吸着されて搬送されるワークとなる電子部品1を、六方(正面、背面、平面、底面、左側面、右側面)からカメラ等の撮像手段Cにより撮像し、撮像した製品画像Pを制御手段Sによって合否判定することで外観検査を行う。
【0013】
撮像手段Cは、適宜、電子部品1の正面を撮像する正面カメラ、電子部品1の背面を撮像する背面カメラ、電子部品1の平面を撮像する平面カメラ、電子部品1の底面を撮像する底面カメラ、電子部品1の右側面(搬送テーブルの回転中心を向く内面)を撮像する右側面カメラ、電子部品1の左側面(搬送テーブルの回転中心から離れる方向を向く外面)を撮像する左側面カメラ、を有している。撮像手段Cは、電子部品1を撮像した製品画像Pを生成する。製品画像Pは、制御手段Sに送られる。
【0014】
制御手段Sは、CPUと、RAM、ROM及び補助記憶装置等のメモリ(記憶媒体)と、入出力装置との外部接続インターフェースと、ネットワークインターフェースと、バスと、を含む、コンピュータシステムである。メモリには、本実施形態に係る画像検査方法を制御手段S(コンピュータシステム)に実行させるための画像検査プログラムが格納されている。
【0015】
CPUは、制御手段Sを統括制御する演算回路である。CPUは、ROM又は補助記憶装置に記憶されたプログラムをRAMに読み出す。CPUは、RAMに読み出されたプログラムにおける種々の処理を実行する。ROMは、制御手段Sの制御に用いられるシステムプログラム等を記憶する。補助記憶装置は、種々の処理を実行するアプリケーションプログラム等を記憶する。補助記憶装置は、例えば、HDD、SSD等である。外部接続インターフェースは、制御手段Sに種々の機器を接続するためのインターフェースである。外部接続インターフェースは、例えば、撮像手段C、ディスプレイ、キーボード等を制御手段Sに接続する。ネットワークインターフェースは、CPUの制御に基づき、ネットワークを介して通信を行うために機能する。バスは、制御手段Sを構成する上述の各機能部の間を、通信可能に接続する。
【0016】
画像検査装置100は、電子部品1を撮像手段Cにより撮像し、撮像した製品画像Pに基づいて、制御手段Sによって電子部品1の合否(電子部品1が良品であるか不良品であるか)を判定する。
【0017】
詳細には、図2に示すように、実施形態に係る電子部品1の画像検査装置100(具体的には、画像検査装置100の制御手段S)は、電子部品1を撮像した製品画像Pに基づいて、製品位置PPを検出する位置検出手段10と、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する画像補正手段20と、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する第1検査手段30と、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する救済検査手段40と、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う総合判定手段50と、を備えている。これにより、本来良品(OK)と判定されるべき電子部品1が、第1検査手段30によって不合格と判定(以下、この事象をオーバーキルという場合もある。)されてしまっても、救済検査手段40によって合格と判定されれば、総合判定手段50で良品と総合判定される。よって、電子部品1の画像検査装置100によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる。
【0018】
画像検査装置100は、検査ロジック補正手段を備えていてよい。検査ロジック補正手段は、情報の伝達経路において、位置検出手段10又は画像補正手段20と、第1検査手段30との間に設けられる。製品画像P又は補正製品画像Pcに基づいて、第1検査ロジックL1,第2検査ロジックL2,第3検査ロジックL3又は救済検査ロジックLkのパラメータを補正する。検査ロジック(のパラメータ)は、例えば、製品画像P又は補正製品画像Pcの情報と検査結果との関係に基づいて学習した人工知能により生成してもよい。これにより、製品画像P又は補正製品画像Pcの情報に応じて検査ロジックを変更できるので、各検査手段における検査結果(合否判定)を正しくできる。
【0019】
画像検査装置100は、適宜、第1検査手段30による第1検査T1の前に予備検査を実施する予備検査手段を備えていてよい。
【0020】
位置検出手段10は、製品位置PPを検出する。位置検出手段10は、例えば、搬送テーブルの回転軸を基準とする搬送テーブルの上面に設定された2次元座標、搬送テーブルの回転軸を基準とする距離及び方向(角度)で定義された製品位置PPを検出する。位置検出手段10は、例えば、撮像手段Cにより撮像できる矩形範囲の一角を基準とした2次元座標として製品位置PPを検出してもよい。位置検出手段10で検出された製品位置PPの情報は、画像補正手段20による製品画像Pの補正に利用される。
【0021】
画像補正手段20は、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する。例えば、画像補正手段20は、電子部品1の正面が、正面カメラの方向に対して垂直でない場合、画像補正手段20は、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正して、電子部品1の正面が正面カメラの方向に対して垂直となった場合における電子部品1の正面の画像に相当する補正製品画像Pcを生成する。画像補正手段20で生成された補正製品画像Pcは、第1検査手段30で実行される第1検査T1に利用される。
【0022】
第1検査手段30は、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する。補正製品画像Pcは、画像補正手段20から与えられる。第1検査ロジックL1は、第1検査T1において合否判定を行うロジックである。第1検査ロジックL1は、補正製品画像Pcに予め定義された欠陥を認めた場合に不合格とし、欠陥を認めない場合に合格とするロジックである。第1検査ロジックL1は、例えば、欠陥を評価するパラメータに対して設定された閾値を基準として合格又は不合格を判定する関数であってよい。関数は、合格又は不合格の製品画像のサンプルを教師データとして学習済の人工知能によって生成されるモデル(アルゴリズム)であってよい。
【0023】
このように、第1検査T1は、電子部品1の欠陥を検出する検査である。ここで、欠陥とは、寸法不良(寸法が公差範囲外又は設定基準外となっていることを含む)、異物混入、角等の一部が欠けているいわゆるカケを含む欠損、外観的に完全に壊れている破損等を含む一般的な外観検査における欠陥と呼ばれる内容を含んだ概念である。このように、第1検査T1は、電子部品1の欠陥を検出する検査であるので、本来不良品となる電子部品1を確実に不良品と判定できる。
【0024】
第1検査T1は、電子部品1の欠陥のうち、素体の汚れ又は異物を検出する検査であることが好ましい。第1検査T1は、電子部品1の欠陥のうち、素体の汚れを検出する検査であることがより好ましい。素体とは、電子部品1を電極部分とそれ以外の部分にわけた場合におけるそれ以外の部分をいう。素体の汚れ又は異物の検査は、欠陥検査における寸法検査等の他の検査に比べて、本来良品となる電子部品1を、不合格と判定してしまうオーバーキルが起きやすいことが判明した。したがって、そのようなオーバーキルが起きやすい素体の汚れ又は異物を検出する検査を第1検査T1に設定することで、素体の汚れ又は異物が検出された電子部品1を第1検査T1において一先ず安全側に立って不合格にして、第1検査T1の後に直列的に続く救済検査Tkにおいて、精緻に、素体の汚れ又は異物に係る合否判定を行うことができる。
【0025】
救済検査手段40は、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する。
【0026】
特定条件とは、具体的には、第1検査ロジックL1が合否判定である場合において第1検査結果T1Rが不合格の場合である。これにより、第1検査結果T1Rが不合格の場合であっても、本来良品となるような電子部品1を救済検査手段40によって救済検査Tkで合格と判定して救済できる。
【0027】
救済検査ロジックLkは、救済検査Tkにおいて合否判定を行うロジックである。救済検査ロジックLkは、第1検査ロジックL1とは異なり、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件(不合格と判定)となった補正製品画像Pcの検査に特化されて設定される。救済検査ロジックLkは、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件(不合格と判定)となった補正製品画像Pcに対して、第1検査ロジックL1で定義された欠陥とは異なる予め定義された欠陥を認めた場合に不合格とし、欠陥を認めない場合に合格とするロジックである。第1検査ロジックL1で定義された欠陥と救済検査ロジックLkで定義された欠陥の種別は同じであって、第1検査ロジックL1の合否判定基準と救済検査ロジックLkの合否判定基準が異なってもよい。このように、画像検査装置100は、救済検査手段40を備えているので、検査対象となった電子部品1が本来良品である場合に、第1検査T1で不合格と判定しても、救済検査Tkで合格と判定できる。
【0028】
総合判定手段50は、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う。具体的には、総合判定手段50は、第1検査結果T1Rが合格である場合又は救済検査結果TkRが合格である場合に良品と総合判定し、第1検査結果T1Rが不合格である場合かつ救済検査結果TkRが不合格である場合に不良品と総合判定する。言い換えると、総合判定手段50は、第1検査結果T1Rが合格であった場合に合格と総合判定し、第1検査結果T1Rが不合格で、かつ、救済検査結果TkRが合格であった場合に合格と総合判定し、第1検査結果T1Rが不合格で、かつ、救済検査結果TkRが不合格であった場合に不合格と総合判定する。これにより、第1検査結果T1Rが不合格であっても、直ちに不合格と総合判定されることがなくなり、第1検査結果T1Rが不合格であっても、救済検査結果TkRが合格であった場合に合格と総合判定されるようになる。よって、画像検査装置100によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる。
【0029】
画像検査装置100は、第1検査ロジックL1とは異なる第2検査ロジックL2を有する第2検査T2を実行して第2検査結果T2Rを出力する第2検査手段60を備えていてよい。これにより、電子部品1に対して第1検査T1とは異なる観点で第2検査T2を並列的に実行できるので、本来不良品となる電子部品1が第1検査T1で合格となった場合でも、第1検査T2で不合格となった場合に、不良品と総合判定できる。よって、本来不良品とすべき製品が良品と判定されることを抑制でき、画像検査装置100による検査精度を高めることができる。
【0030】
総合判定手段50は、第1検査結果T1R、救済検査結果TkR及び第2検査結果T2Rに基づいて総合判定を行う。これにより、本来不良品となる電子部品1が第1検査T1で合格となった場合でも、第1検査T2で不合格となった場合に、不良品と総合判定できる。よって、本来良品とすべき製品が不良品と判定されることを抑制できるとともに、本来不良品とすべき製品が良品と判定されることを抑制でき、画像検査装置100による検査精度を高めることができる。
【0031】
第2検査T2は、具体的には、電子部品1の寸法を測定する検査であることが好ましい。寸法を測定する検査は、欠陥検査における素体の汚れ又は異物の検査のような他の検査に比べて、本来良品となる電子部品1を、不合格と判定してしまうオーバーキルが起きにくいことが判明した。したがって、このようなオーバーキルが起きにくい検査となる電子部品1の寸法を測定する第2検査T2を、救済検査Tkを控える第1検査T1とは独立して並列的に実施することが好ましい。
【0032】
画像検査装置100は、救済検査手段40と同様に、第2検査結果T2Rが第2検査ロジックL2において特定条件となる場合に第2検査ロジックL2とは異なる第2救済検査ロジックLk2を有する第2救済検査Tk2を実行して第2救済検査結果TkR2を出力する第2救済検査手段を備えていてよい。すなわち、第2検査T2は、第1検査T1に対する救済検査Tkと同様に、第2救済検査Tk2を控えさせてもよい。これにより、本来良品とすべき製品が不良品と判定されることを更に抑制できる。
【0033】
画像検査装置100は、第1検査T1の第1検査ロジックL1及び第2検査T2の第2検査ロジックL2とは異なる第3検査ロジックL3を有する第3検査T3を実行する第3検査手段70を備えていてよい。第3検査手段70は、第1検査手段30及び第2検査手段60に対して独立して並列的に備えられている。これにより、電子部品1をより多くの観点で検査できるようになり、不良品の検査精度を上げることができる。
【0034】
なお、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上述の実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0036】
以上説明したように、実施形態に係る電子部品1の画像検査装置100は、電子部品1を撮像した製品画像Pに基づいて、製品位置PPを検出する位置検出手段10と、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する画像補正手段20と、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する第1検査手段30と、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する救済検査手段40と、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う総合判定手段50と、を備えている。これにより、本来良品(OK)と判定されるべき電子部品1が、第1検査手段30によって不合格と判定(以下、この事象をオーバーキルという場合もある。)されてしまっても、救済検査手段40によって良品と判定されれば、総合判定手段50で良品と総合判定される。よって、電子部品1の画像検査装置100によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる。
【0037】
実施形態に係る画像検査方法は、電子部品1を撮像した製品画像Pに基づいて、製品位置PPを検出する製品位置検出ステップと、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する画像補正ステップと、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する第1検査ステップと、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する救済検査ステップと、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う総合判定ステップと、を備えている。これにより、本来良品(OK)と判定されるべき電子部品1が、第1検査手段30によって不合格と判定(以下、この事象をオーバーキルという場合もある。)されてしまっても、救済検査ステップによって良品と判定されれば、総合判定ステップで良品と総合判定される。よって、電子部品1の画像検査方法によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる。
【0038】
実施形態に係る画像検査プログラムは、上記の画像検査方法をコンピュータに実行させるためのものである。すなわち、実施形態に係る画像検査プログラムは、コンピュータに、電子部品1を撮像した製品画像Pに基づいて、製品位置PPを検出する製品位置検出機能と、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する画像補正機能と、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する第1検査機能と、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する救済検査機能と、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う総合判定機能と、を実行させるためのものである。これにより、本来良品(OK)と判定されるべき電子部品1が、第1検査手段30によって不合格と判定(以下、この事象をオーバーキルという場合もある。)されてしまっても、救済検査ステップによって良品と判定されれば、総合判定ステップで良品と総合判定される。よって、電子部品1の画像検査方法によれば、良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0039】
100 画像検査装置
1 電子部品
10 位置検出手段
20 画像補正手段
30 第1検査手段
40 救済検査手段
50 総合判定手段
60 第2検査手段
70 第3検査手段
C 撮像手段
S 制御手段
L1 第1検査ロジック
L2 第2検査ロジック
L3 第3検査ロジック
P 製品画像
T1 第1検査
T1R 第1検査結果
T2 第2検査
T2R 第2検査結果
T3 第3検査
Tk 救済検査
TkR 救済検査結果

【要約】
【課題】良品としたい製品が不良品と判定されることを抑制できる電子部品の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムを提供する。
【解決手段】電子部品1の画像検査装置100は、製品画像Pに基づいて、製品位置PPを検出する位置検出手段10と、製品位置PPに基づいて製品画像Pを補正した補正製品画像Pcを生成する画像補正手段20と、補正製品画像Pcに基づいて第1検査ロジックL1を有する第1検査T1を実行して第1検査結果T1Rを出力する第1検査手段30と、第1検査結果T1Rが第1検査ロジックL1において特定条件となる場合に第1検査ロジックL1とは異なる救済検査ロジックLkを有する救済検査Tkを実行して救済検査結果TkRを出力する救済検査手段40と、第1検査結果T1R及び救済検査結果TkRに基づいて電子部品1に対する総合判定を行う総合判定手段50と、を備える。
【選択図】図2

図1
図2