(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】電線巻取装置、およびこれに用いられる回転体
(51)【国際特許分類】
B65H 75/22 20060101AFI20250114BHJP
B65H 75/28 20060101ALI20250114BHJP
B65H 54/02 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
B65H75/22
B65H75/28
B65H54/02 Z
(21)【出願番号】P 2024139250
(22)【出願日】2024-08-20
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598000518
【氏名又は名称】大川三基株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】大川 真麿
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-44633(JP,B1)
【文献】実公昭55-28690(JP,Y2)
【文献】特開2018-48022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/22
B65H 75/28
B65H 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置であって、
前記回転体の軸方向に沿って移動するとともに、前記電線を案内することによって、前記回転体に対する前記電線の巻き取り位置を規定するトラバーサを備え、
前記回転体は、
当該回転体の軸方向の端部から当該回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように設けられた少なくとも1枚の板状の骨部材と、
当該回転体に設けられるとともに、前記電線を保持する保持機構と、
当該回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように前記骨部材を展開する展開状態と、当該回転体の中心軸に沿うように前記骨部材を折り畳む折り畳み状態とを切り替える切替機構とを備え、
前記保持機構は、
前記切替機構にて前記骨部材を展開状態とした場合に、前記電線を保持する保持状態に切り替わり、前記切替機構にて前記骨部材を折り畳み状態とした場合に、前記電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されることを特徴とする電線巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電線巻取装置において、
前記回転体は、当該回転体の外周面に沿って設けられた複数の板状部材を備え、
前記保持機構は、前記板状部材の内面に設けられることを特徴とする電線巻取装置。
【請求項3】
請求項2に記載された電線巻取装置において、
前記回転体は、
当該回転体の中心軸と同軸となるように配置される円柱状の軸体と、
当該回転体の中心軸と同軸となるように配置されるとともに、当該回転体の中心軸に沿って進退自在となるように前記軸体を収納する円筒状の外筒とを備え、
前記骨部材は、
前記回転体の中心軸側の基端を中心として回動自在となるように前記軸体に取り付けられるとともに、前記基端よりも僅かに先端側に位置する基端部を中心として回動自在となるように前記板状部材に取り付けられ、
前記切替機構は、
前記軸体を前記外筒から突出させる進出状態に切り替えることによって、前記骨部材を展開状態とし、前記軸体を前記外筒に収納する後退状態に切り替えることによって、前記骨部材を折り畳み状態とすることを特徴とする電線巻取装置。
【請求項4】
請求項3に記載された電線巻取装置において、
前記保持機構は、
前記板状部材に取り付けられる第1プレートと、
前記軸体に取り付けられるとともに、前記軸体の進退に伴って前記回転体の中心軸に沿って進退する第2プレートとを備え、
前記第2プレートは、
前記切替機構にて前記軸体を進出状態に切り替えることによって、前記第1プレートと協働して前記電線を保持し、前記切替機構にて前記軸体を後退状態に切り替えることによって、前記電線を解放することを特徴とする電線巻取装置。
【請求項5】
中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置に用いられる回転体であって、
当該回転体の軸方向の端部から当該回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように設けられた少なくとも1枚の板状の骨部材と、
当該回転体に設けられるとともに、前記電線を保持する保持機構と、
当該回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように前記骨部材を展開する展開状態と、当該回転体の中心軸に沿うように前記骨部材を折り畳む折り畳み状態とを切り替える切替機構とを備え、
前記保持機構は、
前記切替機構にて前記骨部材を展開状態とした場合に、前記電線を保持する保持状態に切り替わり、前記切替機構にて前記骨部材を折り畳み状態とした場合に、前記電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されることを特徴とする回転体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置、およびこれに用いられる回転体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電線巻取装置は、回転体の軸方向の端部から回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように設けられた6枚の板状の羽根部材(骨部材)と、回転体の外周面に着脱自在に設けられるとともに、電線を保持する円柱状の保持機構とを備えている。
電線巻取装置の使用者は、この保持機構に電線を保持させた後、電線の巻き取りを開始する。そして、電線巻取装置の使用者は、電線の巻き取りを終了した後、保持機構を取り外すことによって、保持機構の存在していた開口部を介して電線の端部を引き出すことができる。また、電線巻取装置の使用者は、保持機構を取り外した後、保持機構に保持されている電線を解放し、各羽根部材の先端を回転体の中心軸側に寄せるようにして折り畳むことによって、電線巻取装置にて巻き取られた巻取電線を回転体から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電線巻取装置では、電線巻取装置の使用者は、電線巻取装置にて巻き取られた巻取電線を回転体から取り外すために、保持機構を取り外す作業、保持機構に保持された電線を解放する作業、および羽根部材を折り畳む作業の3つの作業を行わなければならないので、巻取電線を回転体から容易に取り外すことができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、巻取電線を回転体から容易に取り外すことができる電線巻取装置、およびこれに用いられる回転体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電線巻取装置は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置であって、回転体の軸方向に沿って移動するとともに、電線を案内することによって、回転体に対する電線の巻き取り位置を規定するトラバーサを備え、回転体は、この回転体の軸方向の端部からこの回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように設けられた少なくとも1枚の板状の骨部材と、この回転体に設けられるとともに、電線を保持する保持機構と、この回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように骨部材を展開する展開状態と、この回転体の中心軸に沿うように骨部材を折り畳む折り畳み状態とを切り替える切替機構とを備え、保持機構は、切替機構にて骨部材を展開状態とした場合に、電線を保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて骨部材を折り畳み状態とした場合に、電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、保持機構は、切替機構にて骨部材を展開状態とした場合に、電線を保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて骨部材を折り畳み状態とした場合に、電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されているので、骨部材を折り畳む作業を行うだけで巻取電線を回転体から容易に取り外すことができる。
【0008】
本発明では、回転体は、この回転体の外周面に沿って設けられた複数の板状部材を備え、保持機構は、板状部材の内面に設けられることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、保持機構は、板状部材の内面に設けられるので、特許文献1に記載された発明のように、保持機構を取り外す作業を行うことなく、巻取電線を回転体から容易に取り外すことができる。
【0010】
ここで、特許文献1に記載された発明のように、回転体の外周面に保持機構を設けた場合には、電線は、保持機構を設けた部位を避けて回転体に巻き取られることになるので、巻取電線に偏りが出来てしまうことになる。
これに対して、本発明によれば、保持機構は、回転体の外周面に沿って設けられた板状部材の内面に設けられるので、巻取電線に偏りが出来てしまうことを抑制することができ、巻取電線の外観を美しくすることができる。
【0011】
本発明では、回転体は、この回転体の中心軸と同軸となるように配置される円柱状の軸体と、この回転体の中心軸と同軸となるように配置されるとともに、この回転体の中心軸に沿って進退自在となるように軸体を収納する円筒状の外筒とを備え、骨部材は、回転体の中心軸側の基端を中心として回動自在となるように軸体に取り付けられるとともに、基端よりも僅かに先端側に位置する回動部を中心として回動自在となるように板状部材に取り付けられ、切替機構は、軸体を外筒から突出させる進出状態に切り替えることによって、骨部材を展開状態とし、軸体を外筒に収納する後退状態に切り替えることによって、骨部材を折り畳み状態とすることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、切替機構は、軸体を外筒から突出させる進出状態に切り替えることによって、骨部材の先端を回転体の中心軸から離間させるように回動部を中心として骨部材を回動させて展開状態とすることができる。また、切替機構は、軸体を外筒に収納する後退状態に切り替えることによって、骨部材の先端を回転体の中心軸側に寄せるように回動部を中心として骨部材を回動させて折り畳み状態とすることができる。したがって、切替機構の構造を簡素にすることができる。
【0013】
本発明では、保持機構は、板状部材に取り付けられる第1プレートと、軸体に取り付けられるとともに、軸体の進退に伴って回転体の中心軸に沿って進退する第2プレートとを備え、第2プレートは、切替機構にて軸体を進出状態に切り替えることによって、第1プレートと協働して電線を保持し、切替機構にて軸体を後退状態に切り替えることによって、電線を解放することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、保持機構は、第1プレートを板状部材に取り付け、第2プレートを軸体に取り付けることによって構成することができるので、保持機構の構造を簡素にすることができる。
【0015】
本発明の回転体は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置に用いられる回転体であって、この回転体の軸方向の端部からこの回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように設けられた少なくとも1枚の板状の骨部材と、この回転体に設けられるとともに、電線を保持する保持機構と、この回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように骨部材を展開する展開状態と、この回転体の中心軸に沿うように骨部材を折り畳む折り畳み状態とを切り替える切替機構とを備え、保持機構は、切替機構にて骨部材を展開状態とした場合に、電線を保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて骨部材を折り畳み状態とした場合に、電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、保持機構は、切替機構にて骨部材を展開状態とした場合に、電線を保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて骨部材を折り畳み状態とした場合に、電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されているので、骨部材を折り畳む作業を行うだけで巻取電線を回転体から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電線巻取装置の上面図
【
図5】板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図
【
図7】大径の電線を保持した状態の板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図
【
図8】大径の電線を保持した状態の保持機構の上面を更に拡大して示す図
【
図9】回転体を折り畳んだ状態の板状部材および保持機構の上面を示す図
【
図10】折り畳んだ状態の板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図
【
図12】回転体を折り畳んだ状態の回転駆動部の内部構造を示す図
【
図13】電線巻取装置の概略構成を示す機能ブロック図
【
図14】回転体の外周面と、回転体の外周面に巻き取られる電線との関係を示すグラフ
【
図15】回転体の外周面と、回転体の外周面に巻き取られる電線との関係を示す模式図
【
図16】電線巻取装置の制御方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電線巻取装置の上面図である。
図2は、電線巻取装置の側面図である。なお、
図1および
図2では、鉛直上方向を+Z軸方向とし、このZ軸と直交する2軸をX,Y軸として説明する。以下の図面においても同様である。
【0019】
電線巻取装置1は、
図1および
図2に示すように、X軸回りに回転自在に設けられた回転体2と、回転体2を回転させる回転駆動部3と、回転体2の-Y軸方向側に設けられるとともに、回転体2の軸方向(X軸方向)に沿って延在するガイドユニット4と、ガイドユニット4に載置されるとともに、ガイドユニット4に沿って移動するトラバーサ5とを備えている。
また、電線巻取装置1は、回転駆動部3を載置する箱体61およびガイドユニット4を載置する箱体62を組み合わせて構成された筐体6を備えている。
【0020】
図3は、回転体の側面を拡大して示す図である。
図4は、回転体の断面を拡大して示す図である。具体的には、
図4は、回転体2の中心軸を通るXY平面にて切断した回転体2の断面を示す図である。
回転体2は、
図1~
図4に示すように、円柱軸状のシャフト21と、シャフト21の-X軸方向側に取り付けられた第1フランジ部22と、シャフト21の+X軸方向側に取り付けられた第2フランジ部23と、シャフト21の外周面に沿うようにして設けられた4枚の板状部材24と、4枚の板状部材24うち、1枚の板状部材24の内面に設けられた保持機構25とを備えている。
【0021】
シャフト21は、回転駆動部3に接続されている。このシャフト21は、回転駆動部3に駆動されることによって、X軸回りに回転する。
第1フランジ部22は、YZ平面上にシャフト21を中心として放射状に取り付けられた略矩形板状の4枚の第1羽根部材22Aを備えている。
第2フランジ部23は、第1羽根部材22Aと対応する位置に取り付けられるとともに、YZ平面上にシャフト21を中心として放射状に取り付けられた略矩形板状の4枚の第2羽根部材23Aを備えている。4枚の羽根部材23Aのうち、1枚の羽根部材23Aは、回転駆動部3の代わりに回転体2を回転させることができるハンドル(図示略)を備えている。
なお、第1羽根部材22Aは、回転体2の中心軸に沿って進退自在に構成されているので、第1羽根部材22Aおよび第2羽根部材23Aの間隔は調整可能となっている。
【0022】
板状部材24は、シャフト21の外周面に沿うようにして設けられるとともに、第1羽根部材22Aおよび第2羽根部材23Aの間のそれぞれに設けられている。具体的には、板状部材24は、シャフト21に沿うように両端部を湾曲させた略矩形板状に形成されている。これによって、4枚の板状部材24は、全体として円柱軸状の外周面のようになっている。
したがって、本実施形態では、板状部材24は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体2の外周面として機能している。
なお、
図1は、+Z軸方向および-Z軸方向のそれぞれに取り付けられた第1羽根部材22A、第2羽根部材23A、および板状部材24の図示を省略している。また、
図3は、+Y軸方向側の第2羽根部材23Aを二点鎖線で示し、保持機構25を実線で示している。
【0023】
図5は、板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図である。
図6は、保持機構の上面を更に拡大して示す図である。
保持機構25は、
図5および
図6に示すように、回転体2の中心軸に沿って延在するとともに、第2フランジ部23に+X軸方向側の一端を固定される矩形板状の固定プレート251と、固定プレート251から板状部材24に向かって延在するとともに、固定プレート251の-X軸方向側の他端に固定される矩形板状の保持プレート252と、保持プレート252の+X軸方向側の平面に取り付けられる矩形板状の調整プレート253とを備えている。
【0024】
また、保持機構25は、保持プレート252および調整プレート253と対向する矩形板状の対向プレート254と、対向プレート254をX軸方向に沿って進退自在に支持するとともに、板状部材24に固定される矩形板状の支持プレート255と、対向プレート254および支持プレート255の間に設けられることによって、対向プレート254を保持プレート252および調整プレート253に向かって付勢する2つのバネ256とを備えている。
【0025】
このように、対向プレート254は、保持プレート252および調整プレート253に向かって各バネ256にて付勢されているので、保持機構25は、調整プレート253および対向プレート254の間に電線EWの端部を挿入することによって、調整プレート253および対向プレート254にて電線EWを挟持することができ、電線EWを保持することができるようになっている。
【0026】
図7は、大径の電線を保持した状態の板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図である。
図8は、大径の電線を保持した状態の保持機構の上面を更に拡大して示す図である。
ここで、対向プレート254は、保持プレート252および調整プレート253に向かって各バネ256にて付勢されているので、保持機構25は、
図7および
図8に示すように、各バネ256の付勢力に抗して対向プレート254が支持プレート255側に移動することによって(図中矢印参照)、調整プレート253および対向プレート254にて大径の電線EWを挟持することができ、大径の電線EWを保持することができる。
なお、保持機構25は、保持プレート252に取り付けられている調整プレート253を取り外すことによって、保持プレート252および対向プレート254にて更に大径の電線EWを保持することもできるようになっている。
【0027】
シャフト21は、
図4および
図5に示すように、回転体2の中心軸と同軸となるように配置される円柱状の軸体としてのシャフト本体211と、回転体2の中心軸と同軸となるように配置されるとともに、回転体2の中心軸に沿って進退自在となるようにシャフト本体を収納する円筒状の外筒212とを備えている。
シャフト本体211は、前述した第2フランジ部23を支持するとともに、X軸方向に沿って摺動自在となるように外筒212に収納されている。
外筒212は、前述した第1フランジ部22を支持するとともに、回転駆動部3に接続されている。
【0028】
板状部材24は、-X軸方向側の一端を中心として回動自在となるように第1フランジ部22にヒンジ部241を介して取り付けられている。また、板状部材24は、+X軸方向側の他端を中心として回動自在となるように第2羽根部材23Aの回動部(基端よりも僅かに先端側に位置する部位)にヒンジ部242を介して取り付けられている。
第2羽根部材23Aは、基端を中心として回動自在となるように第2フランジ部23にヒンジ部231を介して取り付けられている。
換言すれば、第2羽根部材23Aは、回転体2の中心軸側の基端を中心として回動自在となるようにシャフト本体211に取り付けられるとともに、基端よりも僅かに先端側に位置する回動部を中心として回動自在となるように板状部材24に取り付けられている。
【0029】
図9は、回転体を折り畳んだ状態の板状部材および保持機構の上面を示す図である。
図10は、折り畳んだ状態の板状部材および保持機構の上面を拡大して示す図である。
回転体2は、
図9および
図10に示すように、シャフト本体211を-X軸方向側に向かって移動させることによって(
図9中矢印A参照)、第2羽根部材23Aの先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳むことができる。
具体的には、第2羽根部材23Aは、シャフト本体211を-X軸方向側に向かって移動させることによって、ヒンジ部231を中心としてZ軸回りに回動し、その先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳まれる(図中矢印B参照)。また、板状部材24は、第2羽根部材23Aの回動部にヒンジ部242を介して取り付けられているので、第2羽根部材23Aの回動に伴ってヒンジ部241を中心としてZ軸回りに回動することになる(図中矢印C参照)。
【0030】
このように、回転体2は、回転体2の軸方向の端部から回転体2の中心軸と直交する平面(YZ平面)に沿って延在するように設けられた4枚の板状の骨部材としての第2羽根部材23Aを備えている。
なお、本実施形態では、回転体2は、4枚の第2羽根部材23Aを備えているが、1~3枚であってもよく、5枚以上であってもよい。要するに、回転体2は、少なくとも1枚の第2羽根部材23Aを備えていればよい。
【0031】
また、電線巻取装置1は、シャフト本体211を外筒212から突出させる進出状態に切り替えることによって、回転体2の中心軸と直交する平面(YZ平面)に沿って延在するように第2羽根部材23Aを展開する展開状態とし、シャフト本体211を外筒212に収納する後退状態に切り替えることによって、回転体2の中心軸に沿うように第2羽根部材23Aを折り畳む折り畳み状態とする切替機構を備えている。
【0032】
ここで、前述したように、保持プレート252および調整プレート253は、第2フランジ部23および固定プレート251を介してシャフト本体211に接続されているので、保持機構25は、板状部材24に取り付けられる第1プレートとしての対向プレート254と、シャフト本体211に取り付けられるとともに、シャフト本体211の進退に伴って回転体2の中心軸に沿って進退する第2プレートとしての保持プレート252および調整プレート253とを備えている。
そして、保持プレート252および調整プレート253は、切替機構にてシャフト本体211を進出状態に切り替えることによって、対向プレート254と協働して電線EWを保持し、切替機構にてシャフト本体211を後退状態に切り替えることによって、電線EWを解放する。
換言すれば、保持機構25は、切替機構にて第2羽根部材23Aを展開状態とした場合に、電線EWを保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて第2羽根部材23Aを折り畳み状態とした場合に、電線EWを解放する解放状態に切り替わるように構成されている。
なお、本実施形態では、調整プレート253および対向プレート254の間隔は、切替機構にて第2羽根部材23Aを展開状態とした場合に「0」となるように設定されている。
【0033】
図11は、回転駆動部の内部構造を示す図である。
回転駆動部3は、
図11に示すように、シャフト21を中心軸回りに回転自在に支持する2つの支持台31と、箱体61に収納されたモータ(図示略)の動力を外筒212に伝達し、外筒212を中心軸回りに回転させるタイミングベルト32と、シャフト本体211をX軸方向に沿って進退させるエアシリンダ33とを備えている。
【0034】
エアシリンダ33は、シャフト本体211の-X軸方向側の端部にカムフォロア(図示略)を介して接続されているので、シャフト本体211は、中心軸回りに回転することができるようになっている。
ここで、第1羽根部材22Aおよび板状部材24は、第1フランジ部22に取り付けられているので、回転駆動部3のモータを駆動することによって、タイミングベルト32を介して外筒212を回転させると、第1羽根部材22Aおよび板状部材24は、外筒212の回転に伴って回転することになる。
また、板状部材24は、第2羽根部材23Aに取り付けられ、第2羽根部材23Aは、第2フランジ部23に取り付けられているので、第2羽根部材23Aおよび第2フランジ部23は、板状部材24の回転に伴って回転することになる。
そして、第2フランジ部23は、シャフト本体211に支持されているので、回転駆動部3は、シャフト本体211および外筒212を回転させることができ、回転体2を回転させることができる。
【0035】
図12は、回転体を折り畳んだ状態の回転駆動部の内部構造を示す図である。
エアシリンダ33は、前述したように、シャフト本体211をX軸方向に沿って進退させることができるので、回転体2は、
図12に示すように、エアシリンダ33にてシャフト本体211を-X軸方向側に向かって移動させることによって(図中矢印A参照)、第2羽根部材23Aの先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳むことができる。
具体的には、第2羽根部材23Aは、シャフト本体211を-X軸方向側に向かって移動させることによって、Z軸回りに回動し、その先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳まれる(図中矢印B参照)。また、板状部材24は、第2羽根部材23Aの回動に伴ってヒンジ部241を中心としてZ軸回りに回動することになる(図中矢印C参照)。
また、回転体2は、
図11に示すように、エアシリンダ33にてシャフト本体211を+X軸方向側に向かって移動させることによって、第2羽根部材23Aの先端を第1羽根部材22A側に寄せるようにして開くことができる。
【0036】
ガイドユニット4は、
図1および
図2に示すように、X軸方向に沿って延在するとともに、Y軸方向の両側のそれぞれに設けられた2本の円柱状のストロークシャフト41と、X軸方向に沿って延在するとともに、各ストロークシャフト41の間に設けられた1本のボールねじ42と、ボールねじ42を回転させるモータ43(
図1参照)とを備えている。
【0037】
トラバーサ5は、X軸方向に沿って摺動自在にストロークシャフト41に載置されるとともに、ボールねじ42に螺合されるスライダ51と、スライダ51の-Y軸方向側に設けられた2本の入口側トラバーサローラ52と、スライダ51の+Y軸方向側に設けられた2本の出口側トラバーサローラ53と、入口側トラバーサローラ52および出口側トラバーサローラ53の間に設けられた計尺ユニット54とを備えている。
【0038】
スライダ51は、モータ43にてボールねじ42を回転させることによって、X軸方向に沿って移動することができる。換言すれば、トラバーサ5は、モータ43にてボールねじ42を回転させることによって、X軸方向に沿って移動することができる。
入口側トラバーサローラ52および出口側トラバーサローラ53は、Z軸回りに回転自在となるようにスライダ51に取り付けられている。また、入口側トラバーサローラ52は、Y軸方向の両側に一対となるように取り付けられている。出口側トラバーサローラ53は、Y軸方向の両側に一対となるように取り付けられている。なお、一対の入口側トラバーサローラ52および一対の出口側トラバーサローラ53は、その間隔を調整できるよう構成されている。
【0039】
計尺ユニット54は、+Z軸方向側に配置されるとともに、トラバーサ5から送出した電線EWの長さを計尺する3つの計尺用ローラや、この計尺用ローラの-Z軸方向側に配置されるとともに、計尺用ローラとともに電線EWを挟持することによって、電線EWを案内する3つの案内用ローラなどの複数のローラを備えている。この計尺ユニット54は、3つの計尺用ローラのうち、中央の計尺用ローラに取り付けられたエンコーダ(図示略)を備え、エンコーダの計測結果に基づいて、電線EWの送出量を算出できるようになっている。なお、計尺用ローラおよび案内用ローラは、その間隔を調整できるように構成されている。
【0040】
このトラバーサ5は、電線EWを一対の入口側トラバーサローラ52の間から一対の出口側トラバーサローラ53の間に通すとともに、計尺ユニット54における計尺用ローラおよび案内用ローラの間を通すことによって、電線EWを案内している。
ここで、前述したように、一対の入口側トラバーサローラ52および一対の出口側トラバーサローラ53の間隔や、計尺用ローラおよび案内用ローラの間隔は、調整できるよう構成されているので、トラバーサ5は、電線EWの太さに応じた間隔に調整することによって、電線EWを確実に案内することができる。
そして、トラバーサ5にて案内された電線EWは、その端部を保持機構25に保持させることによって、回転体2の板状部材24に仮固定される。
【0041】
電線巻取装置1は、回転駆動部3にて回転体2を回転させることによって、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体2の外周面に沿って電線EWを巻き取ることができる。
この際、トラバーサ5は、回転体2の軸方向に沿って移動するとともに、電線EWを案内することによって、回転体2に対する電線EWの巻き取り位置を規定している。また、保持機構25は、巻き取りを開始する電線EWの端部を保持している。
【0042】
図13は、電線巻取装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
電線巻取装置1は、前述したように、回転体2、およびトラバーサ5などを備えている他、
図13に示すように、回転駆動部3を介して回転体2を制御するとともに、トラバーサ5を制御する制御手段7を備えている。この制御手段7は、前述した筐体6(
図1,2参照)の内部に収納されている。
【0043】
制御手段7は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリなどによって構成され、このメモリに記憶された所定のプログラムに従って情報処理を実行する。この制御手段7は、往復周期設定部71と、回転制御部72と、往復制御部73と、保持制御部74とを備えている。
往復周期設定部71は、回転体2に対してトラバーサ5を移動させて往復させる往復周期を設定する。具体的には、往復周期設定部71は、回転体2の回転周期と、トラバーサ5の往復周期の半周期とを同期させないように、往復周期を設定する。
回転制御部72は、回転駆動部3にて回転体2を所定の回転周期にて回転させる。具体的には、回転制御部72は、操作パネル(図示略)を介して使用者に入力された所定の回転周期にて回転体2を回転させる。
往復制御部73は、モータ43にてボールねじ42を回転させてトラバーサ5をX軸方向に沿って移動させることによって、トラバーサ5を往復周期設定部71にて設定された往復周期にて往復させる。
保持制御部74は、エアシリンダ33にてシャフト本体211をX軸方向に沿って進退させることによって、保持機構25を開状態および閉状態のいずれかの状態に切り替える。
【0044】
以下、トラバーサ5の移動幅Wを90mmとし、トラバーサ5のピッチ(回転体2の一回転当たりのトラバーサ5の移動幅)Pを80mmとした場合を例示して説明する。なお、この場合には、所定の回転周期を1sとすれば、トラバーサ5の往復周期の半周期は80/90sとなるので、往復周期設定部71は、回転体2の回転周期と、トラバーサ5の往復周期の半周期とを同期させないように、往復周期を設定していることになる。
【0045】
図14は、回転体の外周面と、回転体の外周面に巻き取られる電線との関係を示すグラフである。具体的には、
図14は、トラバーサ5の移動幅Wを縦軸とし、回転体2の外周面の位置(回転角θ)を横軸としたグラフである。
図15は、回転体の外周面と、回転体の外周面に巻き取られる電線との関係を示す模式図である。具体的には、
図15は、回転体2の外周面を中心軸に向かって見た図である。
なお、本実施形態では、回転体2の外周面は、4枚の板状部材24にて構成されているが、
図15では、回転体2の外周面は、理想的な周面であるものとして表現する。
【0046】
また、本実施形態では、巻き取りを開始する電線EWの端部を保持する保持機構25は、回転体2の中心軸方向の中央位置に設けられているので、トラバーサ5の移動幅W=45mmの位置を起点として巻き取りを開始することになるが、説明を簡略化するために、
図14および
図15では、トラバーサ5の移動幅W=0mmの位置を起点として巻き取りを開始する場合について説明する。
【0047】
トラバーサ5の移動幅W=0mmの位置を起点とし、回転体2の回転と、トラバーサ5の往復とを同時に開始した場合には、電線EWは、
図14および
図15に示すように、回転体2の回転角θ=360度となったときに、トラバーサ5の移動幅W=80mmの位置に至る経路R1を通って巻き回される(
図14中実線参照)。
2回転目の回転では、電線EWは、回転体2の回転角θ=45度となったときにトラバーサ5の移動幅W=90mmの位置に至った後、折り返して回転体2の回転角θ=360度(720度)となったときに、トラバーサ5の移動幅W=20の位置に至る経路R2を通って巻き回される(
図14中鎖線参照)。
【0048】
3回転目の回転では、電線EWは、回転体2の回転角θ=90度となったときにトラバーサ5の移動幅W=0の位置に至った後、折り返して回転体2の回転角θ=360度(1080度)となったときに、トラバーサ5の移動幅W=60の位置に至る経路R3を通って巻き回される(
図14中一点鎖線参照)。
4回転目の回転では、電線EWは、回転体2の回転角θ=135度となったときにトラバーサ5の移動幅W=90の位置に至った後、折り返して回転体2の回転角θ=360度(1440度)となったときに、トラバーサ5の移動幅W=40の位置に至る経路R4を通って巻き回される(
図14中二点鎖線参照)。
これを繰り返すことによって、電線巻取装置1は、所定の長さの電線EWを回転体2の外周面に巻き取っている。
【0049】
ここで、往復周期設定部71は、回転体2の回転周期と、トラバーサ5の往復周期の半周期とを同期させないように、往復周期を設定しているので、電線EWの交差位置X12,13,14,23,24,34は、回転体2の外周面の周方向および幅方向に亘って複数の位置に分散していくことになる。
具体的には、X12は、1回転目に巻き取られた電線EWと、2回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置であり、X13は、1回転目に巻き取られた電線EWと、3回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置であり、X14は、1回転目に巻き取られた電線EWと、4回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置である。また、X23は、2回転目に巻き取られた電線EWと、3回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置であり、X24は、2回転目に巻き取られた電線EWと、4回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置である。さらに、X34は、3回転目に巻き取られた電線EWと、4回転目に巻き取られた電線EWとの交差位置である。
【0050】
このように、電線巻取装置1にて巻き取られた巻取電線は、巻取電線の幅方向に亘って複数の位置に電線の交差位置を分散させることができるので、特定位置だけ巻取電線の径方向に厚くなってしまうことがなく、外観を良好にすることができ、ケースなどに収納しやすくすることができる。
【0051】
図16は、電線巻取装置の制御方法を示すフローチャートである。
電線巻取装置1にて回転体2の外周面に沿って電線EWを巻き取る場合には、制御手段7は、
図16に示すように、ステップS1~S8の電線巻取処理を実行する。
【0052】
まず、使用者は、電線EWをトラバーサ5に通した後、操作パネル(図示略)を介して保持制御部74にエアシリンダ33を駆動させることによって、回転体2の第2羽根部材23Aの先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳み(
図12参照)、保持機構25を開状態とする。そして、使用者は、開状態となった保持機構25に電線EWを挿入し、操作パネル(図示略)を介して保持制御部74にエアシリンダ33を駆動させることによって、回転体2の第2羽根部材23Aの先端を開き(
図11参照)、保持機構25を閉状態とする。このようにして、使用者は、電線EWの端部を保持機構25に保持させることによって、回転体2の板状部材24に仮固定する(S1:電線保持ステップ)。
【0053】
次に、使用者は、操作パネル(図示略)を介して所定の回転周期などの情報を入力する。制御手段7は、使用者に入力された所定の回転周期などの情報をメモリに記憶し、これを初期設定とする(S2:初期設定ステップ)。
【0054】
次に、往復周期設定部71は、回転体2に対してトラバーサ5を移動させて往復させる往復周期を設定する(S3:往復周期設定ステップ)。
ここで、往復周期設定部71は、操作パネル(図示略)を介して使用者に入力された所定の回転周期に基づいて、往復周期を自動的に設定してもよく、操作パネル(図示略)を介して使用者に入力された情報に基づいて、往復周期を設定してもよい。要するに、往復周期設定部71は、回転体2の回転周期と、トラバーサ5の往復周期の半周期とを同期させないように、往復周期を設定すればよい。
例えば、往復周期設定部71は、前述したように、所定の回転周期を1sに設定し、トラバーサ5の往復周期の半周期を80/90sに設定することができる。
【0055】
所定の回転周期および往復周期を設定した後、回転制御部72は、回転駆動部3にて回転体2を所定の回転周期にて回転させる(S4:回転制御ステップ)。また、往復制御部73は、トラバーサ5を往復周期設定部71にて設定された往復周期にて往復させる(S5:往復制御ステップ)。これによって、電線巻取装置1は、回転体2の外周面に沿って電線EWの巻き取りを開始する。ここで、往復制御ステップS4にてトラバーサ5の往復を開始するタイミングは、回転制御ステップS4にて回転体2の回転を開始するタイミングと同時になっている。
【0056】
なお、本実施形態では、回転制御ステップS4を実行した後、往復制御ステップS5を実行しているが、これとは逆に往復制御ステップS5を実行した後、回転制御ステップS4を実行してもよく、回転制御ステップS4および往復制御ステップS5を同時に実行してもよい。
【0057】
回転体2の回転およびトラバーサ5の往復を開始した後、制御手段7は、電線EWの巻き取りを終了するか否かを判定する(S6:巻取終了判定ステップ)。この巻取終了判定ステップS6では、制御手段7は、計尺ユニット54の送出量に基づいて回転体2に巻き取られた電線EWの長さを計測する。そして、制御手段7は、操作パネル(図示略)を介して使用者に予め入力された長さを回転体2に巻き取られた電線EWの長さが超えた場合に電線EWの巻き取りを終了すると判定し、超えていない場合に電線EWの巻き取りを終了しないと判定する。
【0058】
巻取終了判定ステップS6にて電線EWの巻き取りを終了すると判定した場合には、制御手段7は、回転体2の回転およびトラバーサ5の往復を停止する(S7:巻取終了ステップ)。
なお、巻取終了判定ステップS6にて電線EWの巻き取りを終了しないと判定した場合には、制御手段7は、巻取終了判定ステップS6を再び実行する。
【0059】
そして、使用者は、回転体2およびトラバーサ5の間に架け渡された電線EWをカッター(図示略)にて切断した後、操作パネル(図示略)を介して保持制御部74にエアシリンダ33を駆動させることによって、回転体2の第2羽根部材23Aの先端をシャフト21側に寄せるようにして折り畳み(
図12参照)、保持機構25を開状態とする。これによって、使用者は、電線巻取装置1から巻取電線を取り出すことができる(S8:電線取出ステップ)。
【0060】
このような本実施形態の製造方法によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)保持機構25は、切替機構にて第2羽根部材23Aを展開状態とした場合に、電線EWを保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて第2羽根部材23Aを折り畳み状態とした場合に、電線EWを解放する解放状態に切り替わるように構成されているので、第2羽根部材23Aを折り畳む作業を行うだけで巻取電線を回転体2から容易に取り外すことができる。
(2)保持機構25は、板状部材24の内面に設けられるので、特許文献1に記載された発明のように、保持機構25を取り外す作業を行うことなく、巻取電線を回転体2から容易に取り外すことができる。
(3)保持機構25は、回転体2の外周面に沿って設けられた板状部材24の内面に設けられるので、巻取電線に偏りが出来てしまうことを抑制することができ、巻取電線の外観を美しくすることができる。
【0061】
(4)切替機構は、シャフト本体211を外筒212から突出させる進出状態に切り替えることによって、第2羽根部材23Aの先端を回転体2の中心軸から離間させるように回動部を中心として第2羽根部材23Aを回動させて展開状態とすることができる。また、切替機構は、シャフト本体211を外筒212に収納する後退状態に切り替えることによって、第2羽根部材23Aの先端を回転体2の中心軸側に寄せるように回動部を中心として第2羽根部材23Aを回動させて折り畳み状態とすることができる。したがって、切替機構の構造を簡素にすることができる。
(5)保持機構25は、対向プレート254を板状部材24に取り付け、保持プレート252および調整プレート253をシャフト本体211に取り付けることによって構成することができるので、保持機構25の構造を簡素にすることができる。
【0062】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、保持機構25は、板状部材24の内面に設けられていたが、板状部材24の外面(回転体2の外周面)に設けられていてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、切替機構は、シャフト本体211を外筒212から突出させる進出状態に切り替えることによって、回転体2の中心軸と直交する平面(YZ平面)に沿って延在するように第2羽根部材23Aを展開する展開状態とし、シャフト本体211を外筒212に収納する後退状態に切り替えることによって、回転体2の中心軸に沿うように第2羽根部材23Aを折り畳む折り畳み状態としていた。これに対して、切替機構は、回転体2の中心軸と直交する平面に沿って延在するように第2羽根部材23Aを展開する展開状態と、回転体2の中心軸に沿うように第2羽根部材23Aを折り畳む折り畳み状態とを切り替えることができれば、どのような構成であってもよい。例えば、切替機構は、骨部材を個別に展開状態または折り畳み状態に切り替えることができるようになっていてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、保持機構25は、対向プレート254と、保持プレート252および調整プレート253とを協働させて電線EWを保持していた。これに対して、保持機構は、電線を保持することができれば、クリップ構造などの他の構成を採用してもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、保持機構25は、対向プレート254を板状部材24に取り付け、保持プレート252および調整プレート253をシャフト本体211に取り付けることによって、切替機構にて第2羽根部材23Aを展開状態とした場合に、電線EWを保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて第2羽根部材23Aを折り畳み状態とした場合に、電線EWを解放する解放状態に切り替わるように機械的に構成していた。これに対して、保持機構は、切替機構にて骨部材を展開状態とした場合に、電線を保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて骨部材を折り畳み状態とした場合に、電線を解放する解放状態に切り替わるように構成されていれば、どのような構成であってもよい。例えば、保持機構は、骨部材の各状態に基づいて電気的に制御されることによって、保持状態または解放状態に切り替わるように構成してもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、回転体2は、シャフト本体211と、外筒212とを備え、シャフト本体211は、カムフォロアを介してエアシリンダ33に接続され、外筒212は、タイミングベルト32を介してモータに接続されていた。換言すれば、回転体2は、回転駆動部3に固定されていた。これに対して、回転体2は、回転駆動部3に対して着脱自在に取り付けられるようになっていてもよい。具体的には、例えば、回転体は、中空円筒状の第1の筒状体(内筒)と、第1の筒状体の外周面と滑合する内周面を有する中空円筒状の第2の筒状体(外筒)とを備え、第1の筒状体の内周面にキー溝を形成し、モータの出力軸を第1の筒状体の内部に挿入し、キーを介してモータおよび第1の筒状体を着脱自在に取り付けるように構成してもよい。このように回転体を構成した場合には、モータにて第1の筒状体を回転させるので、第2の筒状体をモータに接続する必要はない。
【0067】
また、前述したように、第1の筒状体および第2の筒状体にて回転体を構成した場合には、切替機構は、第2の筒状体を第1の筒状体の先端に向かって進出させる進出状態に切り替えることによって、回転体の中心軸と直交する平面に沿って延在するように骨部材を展開する展開状態とし、第2の筒状体を第1の筒状体の基端に向かって後退させる後退状態に切り替えることによって、回転体の中心軸に沿うように骨部材を折り畳む折り畳み状態とするように構成してもよい。
【0068】
また、前述したように、第1の筒状体の内周面にキー溝を形成し、モータの出力軸を第1の筒状体の内部に挿入し、キーを介してモータおよび第1の筒状体を着脱自在に取り付けるように構成した場合には、切替機構は、骨部材を把持して移動させることによって、回転体を展開状態および折り畳み状態に切り替えることができるように構成してもよい。このように回転体を構成した場合には、回転体は、手動にて展開状態および折り畳み状態に切り替えることができるので、第1の筒状体および第2の筒状体をエアシリンダに接続する必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置、およびこれに用いられる回転体に広く適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 電線巻取装置
2 回転体
3 回転駆動部
4 ガイドユニット
5 トラバーサ
6 筐体
7 制御手段
21 シャフト
23A 第2羽根部材(骨部材)
24 板状部材
25 保持機構
33 エアシリンダ
211 シャフト本体(軸体)
212 外筒
242 ヒンジ部(回動部)
251 固定プレート
252 保持プレート(第2プレート)
253 調整プレート(第2プレート)
254 対向プレート(第1プレート)
255 支持プレート
256 バネ
EW 電線
【要約】
【課題】巻取電線を回転体から容易に取り外すことができる電線巻取装置の提供。
【解決手段】電線巻取装置は、中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体2と、回転体2に設けられるとともに、電線EWを保持する保持機構25と、回転体2の中心軸と直交する平面に沿って延在するように第2羽根部材23Aを展開する展開状態と、回転体2の中心軸に沿うように第2羽根部材23Aを折り畳む折り畳み状態とを切り替える切替機構とを備える。保持機構25は、切替機構にて第2羽根部材23Aを展開状態とした場合に、電線EWを保持する保持状態に切り替わり、切替機構にて第2羽根部材23Aを折り畳み状態とした場合に、電線EWを解放する解放状態に切り替わるように構成される。
【選択図】
図5