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特許7618207医療用および美容用の逐次的に低強度音波にさらされるナノ粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】医療用および美容用の逐次的に低強度音波にさらされるナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/26 20060101AFI20250114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20250114BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20250114BHJP
   A61Q 90/00 20090101ALI20250114BHJP
   A61N 7/02 20060101ALI20250114BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20250114BHJP
   A61N 5/02 20060101ALN20250114BHJP
【FI】
A61K33/26
A61P43/00
A61P31/00
A61P37/06
A61P25/00
A61P35/00
A61P17/00
A61P5/00
A61P27/02
A61P1/04
A61P15/02
A61P1/16
A61P9/10
A61P7/06
A61P43/00 105
A61P25/18
A61K41/00
A61K9/14
A61K9/51
A61K8/02
A61K8/19
A61Q90/00
A61N7/02
A61N5/10 Z
A61N5/10 H
A61N5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020528904
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2018001460
(87)【国際公開番号】W WO2019106428
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】17020555.3
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17020556.1
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18020142.8
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18020143.6
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512131003
【氏名又は名称】アルファオンコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】アルファンデリー、エドワール
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0335156(US,A1)
【文献】Appl. Phys. Lett.,2013年,Vol.103, 193110,p.1-4
【文献】Theoretical Biology and Medical Modelling,2011年,Vol.8:42,p.1-15
【文献】APPLIED PHYSICS LETTERS,2016年,Vol.108, 263701
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の身体部分の音波医学的処置で使用するためのナノ粒子であって、前記ナノ粒子は、前記個体の前記身体部分に投与され、前記音波は、0.01から100MHzの周波数で前記身体部分に順次適用され、
i.身体部分のcmあたりのワットまたはW、または身体部分のcmあたりのW、または身体部分のcmあたりのW、またはトランスデューサーのcmあたりのW、またはトランスデューサーのcmあたりのW、またはトランスデューサーのcmあたりのWが10未満である強度、パワー、またはパワー密度、または
ii.身体部分のcmあたりのW・sec、または身体部分のcmあたりのW・sec、または身体部分のcmあたりのW・sec、またはトランスデューサーのcmあたりのW・sec、またはトランスデューサーのcmあたりのW・sec、またはトランスデューサーのcmあたりのW・secが10未満である、エネルギーまたはエネルギー密度
のいずれかであり、
ここで、前記処置は加熱ステップを含み、前記加熱ステップの前記温度上昇は、前記加熱ステップ中に到達した最高温度が50℃未満のままである、
または
ここで、前記音波に曝された前記身体部分またはナノ粒子の前記温度上昇は、前記音波が適用される前の前記身体部分の温度よりも0.1から30℃の間の量だけ上回り、
前記音波の適用は、少なくとも1つのセッションの一部であり、各セッションは、
i)前記音波の適用の2つ以上のシーケンスであって、各シーケンスは、
a)時間tの間に前記音波を適用し、続いて時間tの間に前記音波が非適用であり、前記時間tは、前記身体部分の前記温度が初期温度に戻らないように十分に短いこと、
または
b)時間tの間に音波を適用し、続いて時間tの間に別の音波を適用し、前記時間tの間に適用された前記音波は、前記時間tの間に適用された前記音波の強度、パワー、エネルギー、または周波数よりも低い強度、パワー、エネルギー、または周波数を有すること
を含み、
は加熱工程の持続時間であり、
またはtは冷却工程の持続時間であり、
前記時間tは、1秒よりも長く、
2つのセッションを分離する時間の経過は、t、t、t、t+t、またはt+tよりも長く;
前記冷却工程の温度低下は、冷却工程中に到達する最低温度が、前記ナノ粒子の非存在下で前記音波の前記非適用によって到達する温度低下を超えたままであり、
前記音波は非集束であり、以下の群:
(i)前記非集束の音波がナノ粒子を含む領域およびナノ粒子を含まない領域に適用される、
(ii)前記非集束の音波は身体部分の少なくとも50%をカバーする、即ち身体部分の少なくとも50%が前記非集束の音波に暴露される、
(iii)前記非集束の音波は2以上の適用スポットを用いて身体部分の10%以上をカバーする、
(iV)前記非集束の音波はナノ粒子の少なくとも10-5%をカバーする、即ちナノ粒子の少なくとも10-5%が前記非集束の音波に暴露される、
(V)前記非集束の音波は身体部分又はナノ粒子の外側にある、
(Vi)前記非集束の音波は10-1cmよりも大きい音波体積または集束された超音波を適用して生じる音波体積よりも大きい音波体積に適用される、
(Vii)前記非集束の音波が病巣細胞および健康細胞を含む領域に適用される、
から選ばれる少なくとも1つの特性を有し、
前記非集束の音波の身体部分への適用は、身体部分の温度上昇ΔT(ΔT=TNNPBP-TBP);ここでTNNPBPは音波にさらされたナノ粒子を含む身体部分の温度または温度上昇、TBPは音波にさらされたナノ粒子を含まない身体部分を、それぞれ表す)を誘導し、該温度上昇が10、5、2または1℃以下であり、
前記音波が適用されるナノ粒子の濃度が、身体部分のcmあたり1ミリグラムよりも小さいか、または身体部分のcm あたりで測定されたナノ粒子が10 10 個のナノ粒子よりも少なく、前記ナノ粒子の濃度は、鉄、酸化鉄、マグへマイト、マグネタイトまたは鉄以外の金属の濃度である、
ナノ粒子。
【請求項2】
前記音波が、以下を含む少なくとも1つのシーケンスに従って前記身体部分に順次適用され、
i)時間tの間に前記音波を適用した後、時間tの間に前記音波を適用しない、
または
ii)時間tの間に音波を適用し、続いて時間tの間に別の音波を適用する、ここで前記時間tの間に適用される前記音波は、前記時間tの間に適用される前記音波の強度、パワー、エネルギー、または周波数よりも低い強度、パワー、エネルギー、または周波数を有し、
ここで、任意選択で、t、t、またはtのうちの少なくとも1つは、10-3秒から1020分の間であり、
ここで、任意選択で、少なくとも1つのシーケンスが2回繰り返され、
ここで、任意選択で、前記音波は、少なくとも1つのセッションの一部として順次適用され、任意選択で、前記少なくとも1つのセッションは、複数のシーケンスからなり、各セッションは、音波の適用がない時間の経過によって分離され、前記時間の経過がt、t、t、t+t、またはt+tよりも長い、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、ナノ粒子1グラムあたり1ワットより大きい比吸収率を有する、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、ナノ粒子1グラムあたり1000ワット未満の比吸収率を有する、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項5】
前記比吸収率が、前記ナノ粒子に前記音波を適用することによって測定され、以下の定義:SARreal=αreal[(ΔT/δt)real
(式中、αrealは比例係数であり、
(ΔT/δt)real=(ΔT/δt)-(ΔT/δt)WN
(ΔT/δt)は、前記ナノ粒子の存在下での前記身体部分の経時的な温度の初期変動であり、
(ΔT/δt)WNは、前記ナノ粒子の非存在下での前記身体部分の経時的な温度の初期変動である)
の1つに従う、請求項3または4に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項6】
前記音波の前記適用下で測定された前記比吸収率の値が、前記ナノ粒子(SARAMF)に交流磁場を適用することによって測定された比吸収率の値とは異なる、請求項3、4または5に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項7】
前記音波が、10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10、20、50または500cmよりも大きい浸透深さを有する、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項8】
前記音波が、1010、10、10、50、50、20、10、5、1、0.1または0.001cm未満の浸透深さを有する、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項9】
前記浸透深さが、前記身体部分またはナノ粒子領域を通るまたはその中の、または前記音波を生成する機器と前記身体部分またはナノ粒子領域を分離する領域を通るまたはその中の、前記音波の浸透であり、
前記ナノ粒子領域が、i)前記ナノ粒子を含む前記身体部分の前記一部、ii)前記身体部分において前記ナノ粒子が占める体積、またはiii)前記身体部分の外側で前記ナノ粒子が占める体積である、請求項7または8に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項10】
前記音波が非集束であり、前記非集束音波が、
i)前記ナノ粒子を含まない、
および/または
ii)健常な細胞を含む
領域から構成されまたは含む、前記身体部分に適用される、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【請求項11】
前記身体部分が病理学的部位、健康的部位、および/またはナノ粒子領域を含む、請求項1に記載の使用のためのナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療処置のために逐次的に低強度音波にさらされるナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
癌のような疾病は、例えば前立腺癌は、現在通常高強度集中超音波(HIFU)を用いて超音波で処置されることがある。しかし、この処置は数点の欠点がある。効果的であるためには、HIFUは通常癌組織を比較的高い温度に加熱することを必要とし、これは健康な組織にも損傷を与え得る。HIFUを用いることはそれを撲滅するために数か所の部位で腫瘍を加熱することが必要とされる。これらの欠点を克服するために、HIFUの代わりに低強度超音波(LIU)を使用できるかもしれない。本発明において、LIUを医療用処置に有効とする方法を提案する。これは病的な部位に位置したナノ粒子を用いることに基づき、逐次的に低強度の音波に露出させるものである(非特許参考文献1)。
(参考文献)
(非特許文献1)
NatureReviewsCancer、V.5、P.321(2005)
【発明の詳細な説明】
【0003】
本発明はまた個人の身体部分の音波処置で使用するためのナノ粒子に関係し、ナノ粒子は個人の身体部分に投与され、音波がその身体部分に印加され、その際、
―音波は逐次的に身体部分に印加され、そしてまたは
―そのナノ粒子はマグネトソームである。
【0004】
本発明はまた個人の身体部分の放射線医療で使用するためのナノ粒子に関係し、そこではナノ粒子は個人の身体部分に投与され、放射線はその身体部分に印加され、その際:
―放射線は逐次的にその身体部分に印加され、そしてまたは
―そのナノ粒子はマグネトソームである。
【0005】
本発明はまた個人の身体部分の放射線または音波医療で使用するためのナノ粒子に関係し、そこではナノ粒子は個人の身体部分に投与され、放射線または音波はその身体部分に印加され、その際:
―放射線または音波は逐次的にその身体部分に印加され、そしてまたは
―そのナノ粒子は生きている組織、特に生きている組織の内部または外側で合成される。
【0006】
本発明はまた、個人の身体部分の音波処置または放射線処置で使用するマグネトソームに関し、このマグネトソームは個人の身体部分に投与され、身体部分は音波または放射線にさらされる。場合によっては、マグネトソームは個人の身体部分に投与され、身体部分は音波または放射線にさらされる。
【0007】
本発明はまた、個人の身体部分の音波処置または放射線処置で使用するナノ粒子に関し、このナノ粒子は個人の身体部分に投与され、音波または放射線は、そのナノ粒子そしてまたは身体部分に、特に逐次的に、に印加される
【0008】
本初名は個人のある身体部分の処置方法に関係し、それはナノ粒子の効果的な分量をその身体部分に投与し、そして、特に逐次的に、効果的な音波または放射線をその身体部分に印加するものであり、ここでそのナノ粒子は特にマグネトソームである。
【0009】
ある場合には、そのナノ粒子は個人のその身体部分に投与されそしてその身体部分は、特に逐次的に、音波または放射線にさらされる。
【0010】
ある場合には、音波がナノ粒子または身体部分に印加されると言うことは、ナノ粒子または身体部分が音波または放射線にさらされると言うことと等価である。
【0011】
ある実施例で、そのナノ粒子とは1、10、102、103、105、1010または1050個以上のナノ粒子またはナノ粒子の集合のことを指す。
【0012】
他の実施例では、そのナノ粒子とは10100、1050、1020、1010、105、103、102、50、10、5、2または1個以下のナノ粒子またはナノ粒子の集合のことを指す。
【0013】
本発明の1実施例においては、ナノ粒子領域とは、i)その身体部分のナノ粒子を含む部分、ii)その身体部分のナノ粒子が占拠している塊、またはiii)その身体部分の外側でナノ粒子によって占拠されている塊である。
【0014】
本発明は本発明に従って使用するナノ粒子に関し、ここで音波は少なくとも以下の一つの特性を持つ、
i1)1000W(ワット)以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
i2)cmあたり、cm2あたり、cm3あたり1000W以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
i3)身体部分のcmあたり、身体部分のcm2あたり、または身体部分のcm3あたり1000W以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
i4)振動子のcmあたり、振動子のcm2あたり、または振動子のcm3あたり1000W以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
i5)ナノ粒子のグラム当たり1000W以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii1)105W・sec以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii2)cmあたり、cm2あたり、またはcm3あたり105W・sec以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii3)身体部分のcmあたり、身体部分のcm2あたり、または身体部分のcm3あたり105W・sec以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii4)振動子のcmあたり、振動子のcm2あたり、または振動子のcm3あたり105W・sec以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii5)105J(ジュール)以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii6)cmあたり、cm2あたり、cm3あたり105J以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii7)身体部分のcmあたり、身体部分のcm2あたり、または身体部分のcm3あたり105J以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii8)振動子のcmあたり、振動子のcm2あたり、または振動子のcm3あたり105J以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
ii9)ナノ粒子のグラム当たり105J以下のパワーまたはパワー密度を持つ、
iii)105MHz以下の周波数を持つ、
iv)身体部分で10-5cm以上の貫通深さを持つ、
v)焦点を結ばない、そしてまたは
vi)焦点を絞った超音波または高強度超音波ではない。
【0015】
本発明の一実施例において、音波または放射線はその身体部分そしてまたはナノ粒子に照射され、そしてまたは身体部分またはナノ粒子に印加され、そのことは、音波または放射線は、身体部分またはナノ粒子または少なくとも10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%の身体部分またはナノ粒子をカバーし、目標とし、到達し、そこに位置することを、または身体部分またはナノ粒子または少なくとも10-100、10-50、10-10、10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%の身体部分またはナノ粒子が音波または放射線に暴露されることを意味する。いくらかの例において、音波または放射線は、特に音波または放射線が十分に低いまたは毒性を誘発しないパワーまたはエネルギーであるときに、身体部分またはナノ粒子をカバーし、目標とし、到達し、そこに位置することができる。
【0016】
本発明の一実施例において、放射線または音波によるナノ粒子の励起または、身体部分またはナノ粒子の音波または放射線による照射または、ナノ粒子または身体部分への印加は、特にナノ粒子または身体部分の上で、身体部分の100%、90%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%または0.1%以下で発生または生起している。
【0017】
本発明の一実施例において、身体部分またはナノ粒子が音波または放射線に照射されるか、それにさらされると、身体部分またはナノ粒子は音波または放射線のエネルギーまたはパワーを受け取るか吸収する。ある場合には、身体部分またはナノ粒子は、音波または放射線の少なくとも10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%のエネルギーまたはパワーを受け取るか吸収する。これは身体部分におけるナノ粒子の濃度そしてまたは身体部分またはナノ粒子上に印加された音波または放射線が大きい場合である。ある場合には、身体部分またはナノ粒子は、音波または放射線の80、70、50、60、10、5または1%以下のエネルギーまたはパワーを受け取るか吸収する。これは身体部分におけるナノ粒子の濃度そしてまたは身体部分またはナノ粒子上に印加された音波または放射線が小さい場合である。ある場合には、この百分率は、
i)身体部分またはナノ粒子で吸収または受け取られた音波または放射線のパワーまたはエネルギーを、身体部分またはナノ粒子に印加された音波または放射線のパワーまたはエネルギーで割った比、または
ii)身体部分またはナノ粒子で吸収または受け取られた音波または放射線のパワーまたはエネルギーを、音波または放射線を生成する装置で生成した音波または放射線のパワーまたはエネルギーで割った比である。
【0018】
本発明においては、音波とはi)媒体の圧縮および/または膨張といった、媒体または媒体が通過する身体部分の機械的摂動または外乱を特に誘発する機械的波、ii)弾性波、iii)空の空間では伝播または存在できない波動、またはiv)非ゼロ質量または非ゼロ重量の物質、原子、イオン、ナノ粒子の運動または振動を誘発するまたは関連する波である。音波は通常、電磁波ではない。ただし、場合によっては、たとえば音波に従って移動/振動する物質の電荷がゼロでない場合、電磁波を発生または生成することがある。音波から生成される、または音波に起因する、または音波に伴う放射の例は、音響放射力であり得る。
【0019】
「音波」という言葉は、音波エネルギー、音波パワー、音波強度、または音波周波数を指定し得る。場合によっては、音波強度は、音波パワーまたは音波エネルギーと同様の意味を持つことがある。他の場合では、音波パワーは音波エネルギーと同様の意味を持つことができる。音波は、ナノ粒子または身体部分によって吸収、反射、または透過される。音波は、周波数、エネルギー、電力、または強度を持つことができ、それぞれ音波の周波数、エネルギー、電力、または強度として指定できる。音波は、1、10、102、103、105、1010または1020以上の音波のアセンブリを指定し得る。音波エネルギーは、音波の力に音波の適用時間を掛けたもので表すことができる。ワットなどの電力単位に、秒などの時間単位を掛けて表現できる。き
【0020】
音波のエネルギー密度は、cmなどの単位長さあたり、cm2などの単位表面積あたり、またはcm3などの単位体積あたりの音波のエネルギーを表すことができる。音波パワーは、単位時間あたりの音波エネルギーに比例する。ワットなどの電源ユニットで表現できる。音波パワー密度は、cmなどの単位長さあたり、cm2などの単位表面積あたり、またはcm3などの単位体積あたりの音波力を表すことができる。音波の強度は、cm2などの単位表面積あたりの音波パワーに比例する。ワットなどの電力単位をcm2などの表面積単位で除算して表現できる。場合によっては、単位長、単位表面積、および単位体積は、それぞれナノ粒子の長さ、表面積、および体積を表すことができる。
【0021】
本発明の一実施形態では、音波は、物質、または物質の集合体の運動に関連するか、リンクするか、誘導するか、生成するか、起源であるか、その結果であるか、その原因であるか、またはその動きまたは振動または揺れを作り出すものであって、その物質は次を持つ、
i)場合によっては10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、105または107より大きい身体部分のグラムまたはcm3あたりグラムまたはナノ粒子のグラムである質量、
ii)他の場合には109、107、105、103、102、10、1、10-2、10-5、10-7、10-9、10-20または10-50より小さい身体部分のグラムまたはcm3あたりのグラムまたはナノ粒子のグラムである質量、
iii)0と1020、10-20と1020、10-10と1010、または10-10と10の間の身体部分のグラムまたはcm3あたりのグラムまたはナノ粒子のグラムである質量、
iv)場合によっては正電荷、
v)他の場合には負電荷、および/または
vi)さらに他の場合中性電荷。
【0022】
本発明の一実施形態では、その物質はナノ粒子である。
【0023】
場合によっては、音波は2、5、10、105、1010または1020個以上のナノ粒子の動き
、特に1010、105、103、10、5、2、1、10-2または10-5分以内の時間での、特に1.1、2、5、10、105、1010または1020以上の係数での、ナノ粒子濃度の変化に起因する可能性があり、ナノ粒子の動きまたは濃度のこれらの変化は特に身体の部分で発生する。
【0024】
本発明の一実施形態では、物質の運動、振動、または発振は周期的であるか、周期的に繰り返される。この場合、物質の動き、振動、または揺れは、特に、5、10、103、106または109回以上繰り返すことがあり、物質の動き、振動、または揺れに関連する特性の少なくとも1つは繰り返すことがあり、この特性は、物質の時間または空間による速度または速度の変化、物質の時間または空間による変位または変位の変化、物質の時間または空間による加速度または加速度の変化であり得る。
【0025】
本発明において、音波は、超低周波音、音、超音波、または極超音波として定義されるか、それであり得る。
【0026】
本発明において、音波は、特に超音波であり、特に:
i)10-2から100の間のMHz、10-1から10の間のMHzまたは1から5の間のMHzの周波数を含む、および/または
ii)cm2あたり10-2と102Wの間、cm2あたり10-1と10Wの間あるいはcm2あたり1と5Wの間の電力を持つ。
【0027】
特に、超低周波音は低周波の音波として定義できる。場合によっては、超低周波の周波数は2、20、200、2000または105Hz以下になることがある。他のいくつかのケースでは、超低周波の周波数は10-100、10-50、または10-10Hzより大きくなる場合がある。最も特に、超低周波音の周波数は20Hz以下である。
【0028】
特に、音は以下の周波数の音として定義できる:
i)2・10-3、2・10-1、2、20または200Hzよりも大きい場合がある。
ii)他のいくつかのケースでは、2、20、200、または2・105kHz以下。最も特に、音の周波数は16Hz~16kHzである。
【0029】
特に、超音波は以下の周波数の音として定義できる。
i)2・10-3、2、20、または200kHzよりも大きい場合もある。
ii)0.1、1、10、または105GHzよりも低い周波数の場合もある。
最も特に、超音波の周波数は16kHzと10MHzの間である。
【0030】
特に、極超音波は大きな周波数の音として定義できる。場合によっては、極超音波の周波数は10-10、10-3、10-2、10-1、1または10GHzより大きくなることがある。他の場合には、極超音波の周波数は101000、10100、1010または105GHzより低くなる場合がある。最も優先されるのは、極超音波の周波数が10MHzを超えることである。
【0031】
場合によっては、音波、超低周波音、音、超音波、または極超音波は、特に縦波、特に10-100と10100Hzの間の周波数の波である可能性がある。
【0032】
場合によっては、音波が媒体を通過し、この媒体を通過する間にその周波数が増加すると、音波の大きな値の周波数に達することがある。
【0033】
他の場合には、音波が媒体を通過し、この媒体を通過する間にその周波数が減少すると、音波が低い値の周波数に達することがある。
【0034】
本発明の一実施形態では、超音波は音よりも大きい周波数を有し、また極超音波は超音波よりも高い周波数を有し、いずれもそれは特に以下の係数だけそうである:
i)場合によっては1.001、1.1、2、5、10または103よりも大きい。
ii)いくつかの他の場合1050、1020、1010、105、103、10、5、または2以下である、または
iii)さらに他のいくつかの場合1.00001から1050の間である。
【0035】
本発明によれば、放射の形態は、電磁波、音波または音波、または粒子波などの波であり得る。その粒子は以下を持つ:
i)ある場合には重量または質量、
ii)他の場合には重量または質量を持たない、
iii)ある場合には動き、または
iv)他のある場合には動きがない。
【0036】
本発明の別の実施形態では、放射線は、物質または物質の集合体の運動、振動、または揺れを引き起こす、関連する、またはつながりを持つ、誘導する、生成する、結果として生じる、原因となる、または作り出す波である、ここで物質は次の要素を持っている:
i)ゼロ質量、または
ii)音波に関連する、つながる、誘発される、生成される、または音波から生じる物質の質量よりも1.111、1.5、2、5、10、103、または105以上の係数で少ない質量。
【0037】
本発明によれば、放射線の形態は電磁放射線であり得る。
【0038】
本発明によれば、放射は、ある場合には、音響放射力、放射力、または放射圧力であり得る。
【0039】
本発明によれば、放射線は、特に身体部分に音波で照射するものである。
【0040】
好ましくは、放射線源は以下の群から選択される、
i)磁場または電場、
ii)レーザー光、
iii)ランプによって生成される光、
iv)単一波長で放出される光、
v)複数の波長で放出される光。
vi)電離放射線、
vii)マイクロ波、
viii)高周波、および
ix)音波。
【0041】
場合によっては、放射は、アルファ、ベータ、ガンマ、X線、中性子、陽子、電子、イオン、ニュートリノ、ミューオン、中間子、および光子の粒子または放射からなるグループから選択できる。
【0042】
好ましくは、放射線は、場合によっては、音波、超低周波、音、超音波、および極超音波からなる群から選択することもできる。
【0043】
好ましくは、放射は、磁場または電磁場であるか、それを発生するか、結果として生じるか、または引き起こすか、誘導する。場合によっては、磁場または電磁場の強度は1μT、10μT、100μT、1mT、10mT、100mT、1T、5T、10Tまたは100Tよりも大きい。他の場合には、磁場または電磁場の強度は、1020、105、102、10、1、10-1、10-3または10-9T以下である。
【0044】
場合によっては、本発明による放射は、体の部分のcm3あたり10-10、10-5、10-3、0.01、0.1、1、10、102、103、105または107以上のGyまたは体の部分のグラムあたりGyまたはナノ粒子のグラム当たりGyより大きい出力を有することができる。
【0045】
くつかの他の場合では、本発明による放射は、10100、1050、1010、105、102、10、1、10-3または10-5以下のGyまたは身体部分のcm3あたりGyまたは身体部分のグラムあたりGyまたはナノ粒子のcm3あたりのGyまたはナノ粒子のグラムあたりのGyの出力を有することがある。
【0046】
本発明の別の実施形態では、音波は、以下の群から選択される少なくとも1つの放射ではない:i)電磁放射、ii)磁場、iii)電場、iv)交流電場または磁場、v)レーザーまたはレーザー光、vi)ランプまたはランプによって生成される光、vii)単一波長で放射される光、viii)複数の波長で放射される光、ix)電離放射線、x)マイクロ波、xi)高周波、xii)光子、xiii)アルファ、ベータ、ガンマ、X線、中性子、陽子、電子、イオン、ニュートリノ、ミューオン、中間子、光子粒子または放射線、およびxiv)原子または分子に由来する粒子、物質、または光子の放射線。
【0047】
場合によっては、音波は音響放射であるか、音響放射で置き換えることができる。
【0048】
場合によっては、音波または放射は、1、5、10、103、105、1010、1020または1050を超える音波または放射の形式の集合体であるか、それを表すことがある。他の場合では、音波または放射は、10100、1050、1020、1010、105、102、5、または2以下の音波または放射の形式の集合体であるか、それを表すことがある。
【0049】
本発明において、放射または音波は、放射または音波が身体部分またはナノ粒子を到達したまたはカバーした、または標的にした前、最中、または後に、特に放射または音波を生成または生成する機器または装置によって発生または生成される放射または音波であり得る。場合によっては、機器または装置はナノ粒子とは異なり、人間によって特に製造される。
【0050】
場合によっては、音波を生成する機器は、電気信号を音波に特に変換するトランスデューサーであるか、トランスデューサーを備えている。
【0051】
本発明において、放射または音波は、ある場合には、ナノ粒子によって生成される放射または音波であり得る。この場合、放射または音波は、ナノ粒子の組織の変化による可能性があり、特に、身体部分または個体へのナノ粒子投与の前後である可能性がある。例えば、ナノ粒子は、個体への投与前に鎖状に組織され、その後、例えばリソソームによって、個体への投与後に次第に分解され、ナノ粒子間の距離の変動、特に増加をもたらし、したがってナノ粒子間の相互作用の変化により、音波または放射が発生する可能性がある。
【0052】
本発明の一実施形態では、音波または放射の強度、電力、エネルギー、または周波数は、音波または放射を生成する装置またはトランスデューサによって生成される音波の強度または周波数である。それは、音波または放射が音波または放射を生成する装置を出た直後、またはトランスデューサを出た直後に測定された音波または放射の強度、電力、エネルギー、または周波数であり得る。それはまた、音波または放射が音波または放射を生成する装置を出た後、またはトランスデューサを出て身体部分など別の媒体(液体、気体、固体)を通過した後に測定された音波または放射の強度、電力、エネルギー、または周波数であり得る。
【0053】
場合によっては、音波を検出する機器は、特に変換器を備え、特に音波の電力またはエネルギーを電気信号に変換する音波センサーを含むことができる。
【0054】
場合によっては、音波または放射の強度、強さ、または出力を検出できないことがある。これは、入手できる音波または放射検出器には小さすぎるか、検出できないためである。この場合、音波または放射の存在は、ナノ粒子などの音波を生成する物質の動き、振動、サイズ、組織、組成、または電荷の変化によって明らかにすることができる。
【0055】
本発明は、本発明に従って使用するためのナノ粒子にも関し、ここで、音波または放射の強度、出力、または出力密度は、以下よりも小さい:
i)10100、1050、1020、1010、109、106、105、103、102、100、50、10、5、3、1、10-110-2、10-3、10-5または10-7W(ワット)、
ii)10100、1050、1020、1010、109、106、105、103、102、100、50、10、5、3、1、10-110-2、10-3、10-5または10-7W/cm、W/cm2、またはW/cm3
iii)10100、1050、1020、1010、109、106、105、103、102、100、50、10、5、3、1、10-110-2、10-3、10-5または10-7身体部分のcmあたりのW、身体部分のcm2あたりのW、または身体部分のcm3あたりのW
iv)10100、1050、1020、1010、109、106、105、103、102、100、50、10、5、3、1、10-110-2、10-3、10-5または10-7トランスデューサのcmあたりのW、トランスデューサのcm2あたりのW、またはトランスデューサのcm3あたりのW
v)10100、1050、1020、1010、109、106、105、103、102、100、50、10、5、3、1、10-110-2、10-3、10-5または10-7ナノ粒子1グラムあたりのW。
【0056】
場合によっては、1cm3、1cm2、および1cmは、それぞれ1cm3の身体部分、1cm2の身体部分、および1cmの身体部分であり得る。
【0057】
他の場合には、1cm3、1cm2、および1cmは、それぞれ1cm3のトランスデューサー、1cm2のトランスデューサー、および1cmのトランスデューサーであり得る。
【0058】
場合によっては、トランスデューサーはトランスデューサーの音波を生成する部分を指定するものであり得る。
【0059】
他の場合には、1グラムのナノ粒子は、音波または放射線にさらされる1グラムのナノ粒子、または音波が適用される1グラムのナノ粒子であり得る。
【0060】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ここで、音波または放射の強度、出力、または出力密度は、以下よりも大きい:
i)10-100、10-50、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-2、10-1、1、5、10、102、103、105、107または109W(ワット)、
ii)10-100、10-50、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-2、10-1、1、5、10、102、103、105、107または109W/cm、W/cm2、またはW/cm3
iii)10-100、10-50、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-2、10-1、1、5、10、102、103、105、107または109、身体部分のcmあたりW、身体部分のcm2あたりのW、または身体部分のcm3あたりのW、
iv)10-100、10-50、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-2、10-1、1、5、10、102、103、105、107または109トランスデューサ1cmあたりW、トランスデューサ1cm2あたりW、またはトランスデューサ1cm3あたりW、
v)10-100、10-50、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-2、10-1、1、5、10、102、103、105、107または109ナノ粒子1グラムあたりW。
【0061】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、音波または放射の強度、出力、または出力密度は以下の間にある、
i)0と10100、10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、または10-1と10の間のW(ワット)、
ii)0と10100、10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、または10-1と10の間のW/cm、W/cm2、またはW/cm3
iii)0と10100、10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、または10-1と10の間の身体部分のcmあたりのW、身体部分のcm2あたりのW、または身体部位のcm3あたりのW、
iv)0と10100、10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、または10-1と10の間のトランスデューサのcmあたりW、トランスデューサのcm2あたりWまたはトランスデューサーのcm3あたりのW、
v)0と10100、10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、または10-1と10の間のナノ粒子1グラムあたりW
【0062】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、そこで音波または放射線のエネルギーまたはエネルギー密度が以下よりも低い、
i)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5W・sec、
ii)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5W・sec/cm、W・sec/cm2、またはW・sec/cm3
iii)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5身体部分のcmあたりW・sec、身体部分のcm2あたりW・sec、または身体部分のcm3あたりW・sec、
iv)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5トランスデューサーあたりW・sec/cm、W・secトランスデューサーあたり/cm2、またはトランスデューサーあたりW・sec/cm3
v)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5あたりJ(ジュール)、
vi)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5J/cm、J/cm2、またはJ/cm3
vii)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5身体部分のcmあたりJ、身体部分のcm2あたりJ、または身体部分のcm3あたりJ、
viii)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5トランスデューサーcmあたりJ、トランスデューサーcm2あたりJ、またはトランスデューサーcm3あたりJ、または
ix)109、106、105、103、100、10、1、10-1、10-2、または10-5ナノ粒子1グラムあたりJ、
【0063】
場合によっては、音波のパワーが低いとき、および/または音響の適用時間が、特に24、12、6、3、2、または1時間よりも短い、または50、30、15、10、5、2、または1分より短い、または50、30、20、10、5、2、1、10-1、10-3、10-6または10-9秒よりも短いとき、音波は低エネルギーを持ち得る。
【0064】
また、本発明は、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、そこでは音波または放射のエネルギーまたはエネルギー密度が以下よりも大きい、。
i)10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105W・sec、
ii)10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105W・sec/cm、W・sec/cm2、またはW・sec/cm3
iii)身体部位1cmあたり、身体部位1cm2あたり、または身体部分のcm3あたり10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105W・sec、
iv)トランスデューサーのcmあたり、トランスデューサーのcm2あたり、
またはトランスデューサーのcm3あたり10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105W・sec、
v)10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105J(ジュール)、
vi)10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105J/cm、J/cm2またはJ/cm3
vii)体のcmあたり、体のcm2あたり、または体のcm3あたり10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105J、
viii)トランスデューサーcmあたり、トランスデューサーcm2あたり、またはトランスデューサーcm3あたり10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105J、または
ix)ナノ粒子1グラムあたり10-50、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、102、または105J
【0065】
場合によっては、音波のパワーが大きい場合、および/または音響の適用時間が特に10-50、10-10、10-1、1、5、10、105または1010分よりも長い場合、音波は大きなエネルギーを持ち得る。
【0066】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、そこでは音波または放射のエネルギーまたはエネルギー密度が以下の間である、
i)10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104W・sec、
ii)10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104W・sec/cm、W・sec/cm2、またはW・sec/cm3
iii)身体部分のcmあたり、身体部分のcm2あたりまたは身体部位のcm3あたり10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のW・sec、
iv)トランスデューサのcmあたり、cm2あたりまたはcm3あたり10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のW・sec、
v)10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のJ(ジュール)、
vi)10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のJ/cm、J/cm2またはJ/cm3
vii)身体部分のcmあたり、cm2あたりまたはcm3あたり10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のJ、
viii)トランスデューサcmあたり、cm2あたりまたはcm3あたり10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のJ、または
ix)ナノ粒子1グラムあたり10-50と1050、10-10と1010、10-5と105、10-1と105、または1と104の間のJ。
【0067】
場合によっては、音波または放射線のパワーは、特に、音波処置の前、開始時、終了時、または放射線処置後、または貧血の治療など本発明に記載されているいくつかの特定の処置または方法の間に、0ワットまたは0グレイに等しくなり得る。
【0068】
他の場合には、音波または放射線のパワーは、特に音波医療中または放射線治療中に、0ワットまたは0グレイより大きい可能性がある。
【0069】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、そこでは音波または放射の周波数は105MHz以下である。場合によっては、音波または放射の周波数は、10100、1050、1030、1020、1010、105、103、102、10、1、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-10または10-15MHzまたはkHz以下であり得る。
【0070】
いくつかの他の場合では、本発明による放射または音波は、10-100、10-50、10-20、10-10、10-8、10-7、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、1、10、103、105または1010kHzまたはMHz以上であり得る。
【0071】
さらに他のいくつかの場合では、本発明による放射または音波は以下の間の周波数であり得る:10-15と1015MHz、10-13と1013MHz、10-11と1011MHz、10-9と109MHz、10-7と107MHz、10-5と105MHz、10-3と103MHz、または10-1と10MHz
【0072】
場合によっては、音波または放射の周波数は、音波または放射の振動の周波数であり得る。
【0073】
本発明はまた、使用されるナノ粒子に関し、そこで音波または放射線は、特に身体部分において、10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10、20、50または500cmよりも深い浸透深さを有する。
【0074】
本発明は、使用のためのナノ粒子にも関し、ここで、音波または放射線は、特に1010、105、103、50、50、20、10、5、1、0.1または0.001cmより浅い浸透深さを有する。
【0075】
場合によっては、音波または放射線は、特に10-10と1010、10-5と103、10-3と103、10-3と100、10-2と10、または10-2と10cmの間の浸透深さを有する。
【0076】
浸透の深さとは、特に、身体部分またはナノ粒子領域を通るまたはその中の、または99、75、50、25、1、0.1、10-3、10-9または10-20%のナノ粒子領域を通るまたはその中の、または音波または放射を生成する機器と身体の部分またはナノ粒子領域を分離する領域またはその中の、音波または放射線の浸透する深さである。
【0077】
一実施形態では、音波または放射の強度、エネルギー、電力、周波数は、特に1.1、1.2、1.5、2、3、5、10、102、103、105または1010を超える係数で減少し、特に音波または放射の浸透深さの特に1.1、1.2、1.5、2、3、5、10、102、103、105または1010以上の係数で減少する。
【0078】
本発明の一実施形態では、音波または放射の侵入深さは、音波または放射の周波数に反比例する。場合によっては、特に音波または放射の侵入深さを1.1、1.2、1.5、2、3、5、10、102、103、105または1010倍以上に増加させるために、音波または放射の周波数を特に1.1、1.2、1.5、2、3、5、10、102、103、105または1010倍以上下げ得る。
【0079】
本発明の一実施形態では、非集束の音波または放射線が身体部分に適用され、その部分はナノ粒子を含む領域およびまたはナノ粒子を含まない領域から構成されまた含み、また病巣細胞およびまたは健康細胞を含みまたはそれから構成される。
【0080】
本発明の一実施形態では、音波ボリュームまたは音響ボリュームは、音波にさらされるか、音波エネルギーを受け取るか、音波の影響を受けるボリュームとして定義される。
【0081】
本発明の一実施形態では、放射の体積は、放射線に曝露されるか、放射線エネルギーを受けるか、放射線の影響を受ける体積として定義される。
【0082】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、そこで音波または放射は集束されない。
【0083】
場合によっては、ナノ粒子領域または身体部分、またはナノ粒子領域または身体部分の一部を含む音波体積または放射体積に非集束の音波または放射を適用することができる。
【0084】
場合によっては、非集束音波または放射を音波体積または放射体積に適用でき、この体積は、
i)10-10、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103、105または1010cm3より大きい、
ii)ナノ粒子領域または身体部分または健康な部位または病理学的部位よりも特に1.1、1.5、2、5、10、103または105以上かこれに等しい倍率で大きい、または1、10、103、105または1010cm3だけ大きい、または
iii)集束された音波または放射によって到達されるまたは存在する、または集束された音波または放射を適用して生じる音波体積または放射体積よりも特に、1.1、1.5、2、5、10、103または105以上あるいはそれに等しい倍率で、または1、10、103、105または1010cm3だけ大きい。
【0085】
場合によっては、焦点が合っていない音波または放射線が健康な細胞を含む領域に適用されると、特に健康な細胞を損傷または破壊せずに、この状況を発生し得る。それは特に次のいずれかの理由による、
i)健康な細胞がナノ粒子と接触または混合していないためであり、健康な細胞とナノ粒子の両方への音波または放射線の適用は、病理学的細胞破壊を誘導するために特に必要である、または
ii)健全な細胞は、病理学的細胞よりも音波または放射線による感受性が低いか、破壊されにくいためである。
他のいくつかのケースでは、この状況は大きなサイズの若い部分を治療するために発生する可能性がある。
【0086】
他の場合には、非集束音波または放射を音波体積または放射体積に適用することがある。その体積は
i)10100、1050、1020、1010、105、103、10、5、2、1、10-1、10-3または10-5cm3より小さい、
ii)ナノ粒子領域または身体部分または健康部位または病理学的部位よりも、特に1.1、1.5、2、5、10、103または105の係数で、または1、10、103、105または1010cm3以上だけ小さい。
場合によっては、この状況は次の場合に発生することがあります:
i)焦点が合っていない音波または放射が大きすぎない領域または体積に適用され、特に音波または放射を大量に適用することによって引き起こされる可能性のある毒性を回避するため、
ii)小さいサイズの身体部分を治療するため、または
iii)音波または放射を生成する大きすぎる、高価すぎる、またはエネルギーを消費しすぎる機器を使用する必要を回避するため。
【0087】
他の場合には、非集束音波または放射を音波または放射体積に適用することがあり、その体積は、
i)10-100と10100cm3,10-50と1050cm3,または10-10と1010の間である、または、
ii)身体部分、ナノ粒子領域、病理学的部位、および/または健康な部位よりも10100、1010、105、103、10、5、または2倍小さい体積と、身体部分、ナノ粒子領域、病理学的部位、および/または健康部位よりも2、5、10、103、105、1010または10100大きい体積との間である。
【0088】
他の場合には、集束されていない音波または放射が、音波または放射体積を超えて適用されることがあり、その体積は集束音波または放射の音波または放射体積よりも次の係数だけ大きい、
i)0と1050cm3、0と103cm3、0と10cm3、10-50と1050cm3、または10-3と103cm3、の間、または、
ii)1と1050、1と105、1.1と1050、または1.1と105の間。
【0089】
本発明はまた、音波または放射が集束される、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関する。この場合、音波または放射は、0.001、0.1、1、10、102、103、105または1010cm3よりも小さい身体部分に特に含まれる音波体積または放射体積に適用される。
【0090】
本発明の一実施形態では、集束音波または放射は、身体部分の10-5、10-3、10-1、1、10、103または105%以下を103、102、10、5、2または1つの適用または適用スポットを用いてカバーすることができる。
【0091】
場合によっては、集束音波の音波体積は、集束超音波、または集束超音波特に高強度集束超音波(HIFU)にさらされる体積であり得る。場合によっては、音波の体積は音波の焦点領域になることがあり得る。HIFUの場合、典型的な焦点領域は、特に1つのスポットであり、
i)ビーム軸に沿って15mm、直径1.5mmの楕円体または楕円体の体積、または、

ii)105、103、100、75または50mm3より小さい体積、であり得る。
【0092】
場合によっては、集束音波または集束超音波は、高強度集束超音波(HIFU)であり得る。
【0093】
本発明の一実施形態では、音波は集束音波またはHIFUではない。
【0094】
本発明の一実施形態では、放射または音波は、時間および/または空間の関数として変化しない強さ、出力、強度、波長、または周波数を有する。
【0095】
本発明の別の実施形態では、放射は、時間および/または空間の関数として変化する強さ、出力、強度、波長、または周波数を有する。
【0096】
本発明の一実施形態では、放射または音波は、空間的に変化する強度、電力または周波数を有する。場合によっては、放射線の強度、出力、または周波数は、ナノ粒子のcmあたりのμT、cm2あたりのμT、またはcm3あたりのμTまたはグラムあたりのμT、またはcmあたりのワット、cm2あたりのワットまたはcm3あたりのワットまたはナノ粒子のグラムあたりのワットまたはcm2あたりのHzまたはcm3あたりのHzまたはcmあたりのHzまたはグラムあたりのHzの10-50、10-20、10-10、10-5、10-2、1、10、102、103、105または1010倍変化する。
【0097】
他の場合には、放射線の強度、出力、または周波数の変動は、1050、1020、1010、105、102、1、10、10-2、10-3、10-5または10-10以下のナノ粒子のcmあたりμTまたはcmあたりのμTまたはcm3あたりのμTまたはグラムあたりのμTまたはナノ粒子のcmあたりのワットまたはcm2あたりのワットまたはcm3あたりのワットまたはグラムあたりのワットまたはナノ粒子のcmあたりのHzまたはcm2あたりのHzまたはcm3あたりのHzまたはグラムあたりのHzである。
【0098】
場合によっては、cm、cm2、およびcm3とは、それぞれ身体の部分のcm、身体の部分のcm2、および身体の部分のcm3のことを指定するか、それらであり得る。
【0099】
場合によっては、1cm3の身体部分は1グラムの身体部分のことを指定するか、1グラムであり得る。
【0100】
場合によっては、放射または音波は、ナノ粒子を特に加熱したり、ナノ粒子によるラジカルまたは反応種の生成を誘導するのに十分な大きさのパワー、強度、および/または周波数、特に10-100、10-50、10-20、10-10、10-3、10-2、10-1、1または10mTより大きい強度、特に10-100、10-3、10-2、10-1、10、50、100または200KHzより大きい周波数、およびまたは特に、10-100、10-6、10-3、10-1、1、10、103または1010身体部分のW(ワット)cmあたりのWまたはcm2あたりのWまたはcm3あたりのWまたはグラムあたりのW、またはナノ粒子のグラムあたりのW、または身体部分のGyまたはcmあたりのGyまたはcm2あたりのGyまたはcm3あたりのGyまたはグラムあたりのGy、またはナノ粒子のグラムあたりのGyより大きいパワーを持つことがある。
【0101】
他のいくつかの場合では、放射または音波は、フーコー電流または大きすぎる加熱、または、その身体部分の外で誘発されるまたは生成されるラジカルまたは反応種の過剰な生成によって、特に誘導される毒性を特に回避するために、特定のしきい値以下に維持されるパワー、強度、および/または周波数を持つことがある。放射の強度は、10100、1050、1010、105、10、1、10-1または10-5mTよりも低くするか、低く保つことがある。放射または音波の周波数は、10100、1050、1010、105、103、10、1または10-3kHzよりも低くするか、低く保つことがある。放射または音波のパワーは、10100、1050、1020、1010、105、103、10、1、10-1、10-3または10-6W、または身体部分のcmあたりWまたはcm2あたりWまたはcm3あたりWまたはグラムあたりW、ナノ粒子のグラムあたりW、または身体部分のGyまたはcmあたりGyまたはcm2あたりGycm3あたりGyまたはグラムあたりGy、またはナノ粒子のグラムあたりGy、より低く、または低く保つことがある。
【0102】
本発明の一実施形態では、放射または音波によるナノ粒子の励起、または放射または音波の特にナノ粒子または身体部分への適用は、連続的である。場合によっては、放射または音波の連続的な適用は、10-100、10-50、10-20、10-10、10-6、10-3、10-1、1または103秒を超える、特にt1より大きい、時間の経過中に停止しない放射または音波の適用である。他のいくつかのケースでは、放射または音波の連続的な適用は、10100、1050、1020、1010、105、103、10、1、10-1または10-5秒または時間または日または月または年よりも短い時間の経過中に停止しない放射の適用である。
【0103】
他のいくつかの場合では、ナノ粒子は、放射線または音波にさらされるナノ粒子であり得る。
【0104】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、ナノスフェア、ナノカプセル、デンドリマー、カーボンナノチューブ、脂質/固体のナノ粒子、脂質またはタンパク質またはDNAまたはRNAベースのナノ粒子、特に安定化層、最も特にリン脂質層である層に囲まれた内部の水環境を持つナノ粒子、多層ナノ粒子、高分子ナノ粒子、量子ドット、金属ナノ粒子、高分子ミセルまたはナノ粒子、炭素ベースのナノ構造、ナノバブル、ナノソーム、薬細胞、ニオソーム、ナノポア、微生物、リポソーム、、特に組み換えたウイルス、ハーブナノ粒子、抗体、および小胞、であり、あるいはそれに属し、あるいはそこから選択されたナノ粒子のグループに含まれる。
【0105】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、ナノスフェア、ナノカプセル、デンドリマー、カーボンナノチューブ、脂質/固体のナノ粒子、脂質またはタンパク質またはDNAまたはRNAベースのナノ粒子、特に安定化層、最も特にリン脂質層である層に囲まれた内部の水環境を持つナノ粒子、多層ナノ粒子、高分子ナノ粒子、量子ドット、金属ナノ粒子、高分子ミセルまたはナノ粒子、炭素ベースのナノ構造、ナノバブル、ナノソーム、薬細胞、ニオソーム、ナノポア、微生物、リポソーム、、特に組み換えたウイルス、ハーブナノ粒子、抗体、および小胞、ではなく、あるいはそれに属せず、あるいはそこから選択されたナノ粒子のグループに含まれない。
【0106】
場合によっては、ナノ粒子は、特に、身体部分でのその存在または投与の前、最中、または後の、液体、気体、または固体の状態であり得る。
【0107】
他の場合には、ナノ粒子は、特に、身体部分でのその存在または投与の前、最中、または後の、液体、気体、または固体の1つまたは2つの状態であり得ない。
【0108】
さらに他のいくつかの場合、ナノ粒子は、磁性流体、化学的または生物学的磁性流体に同化または含まれ得、そこで化学的および生物学的磁性流体は鉄を含む流体であり、特にナノ粒子を形成し、それはそれぞれ化学的または生物学的合成により製造される。
【0109】
さらに他のいくつかの場合、磁性流体またはナノ粒子集合体は、ナノ粒子および賦形剤、溶媒、マトリックス、ゲルを含むことができ、これにより、ナノ粒子を個人または身体部分に特に投与することが可能になる。
【0110】
さらに他のいくつかの場合において、ナノ粒子は、合成材料およびまたは生物学的材料およびまたは無機材料およびまたは有機材料を含み得る。
【0111】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は以下の物であるかそれと指定される:i)ナノ粒子の懸濁液、ii)ナノ粒子を含む組成物、iii)ナノ粒子の集合体、iv)ナノ粒子領域、v)ナノ粒子の鉱物部分、vi)ナノ粒子の有機部分、vii)ナノ粒子の無機部分、viii)またはナノ粒子のコーティング。
【0112】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子または本発明のナノ粒子は、10-100、10-50、10-10、10-5、10-1、1、10、102、103、105、1010、1020または1050以上の ナノ粒子またはmgのナノ粒子またはナノ粒子に含まれるmgの鉄またはcm3あたりmgのナノ粒子または身体部分のcm3あたりmgのナノ粒子またはcm3あたりmgのナノ粒子に含まれる鉄または身体部分のcm3あたりmgのナノ粒子に含まれる鉄の集合体または懸濁液または組成物を表すかまたはそれである。場合によっては、多数のナノ粒子を含むアセンブリまたは懸濁液または組成物は、温度上昇、ラジカルまたは反応種、またはナノ粒子からの化合物の解離を誘発または生成するために使用され得る。
【0113】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子または本発明のナノ粒子は、10-100、10-50、10-10、10-5、10-1、1、10、102、103、105、1010、1020または1050以下の ナノ粒子またはmgのナノ粒子またはナノ粒子に含まれるmgの鉄またはcm3あたりmgのナノ粒子または身体部分のcm3あたりmgのナノ粒子またはcm3あたりmgのナノ粒子に含まれる鉄または身体部分のcm3あたりmgのナノ粒子に含まれる鉄の集合体または懸濁液または組成物を表すかまたはそれである。場合によっては、少数のナノ粒子を含むナノ粒子の集合体または懸濁液または組成物は毒性を防ぐために使用され得る。
【0114】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子または本発明のナノ粒子またはナノ粒子集合体は、ナノ粒子を含むまたはナノ粒子が位置する、ナノ粒子の領域、体積、表面、長さ、を表現し、またはそれであり、またそれとして指定され得る。場合によっては、身体部分のナノ粒子が占める領域の体積が、ナノ粒子領域と指定されます。
【0115】
場合によっては、ナノ粒子領域は、身体部分のナノ粒子の集合体が占める体積であり得、そこではナノ粒子は特に109、106、103または10nm以下で分離される。
【0116】
場合によっては、ナノ粒子集合体は、ナノ粒子領域よりも一般的な用語であり、身体部分へのナノ粒子投与の前、最中、または後の、任意のタイプのナノ粒子集合体を指定し得る。
【0117】
場合によっては、ナノ粒子集合体またはナノ粒子領域内のナノ粒子間の分離距離は、このアセンブリ内のナノ粒子を分離する平均距離または最大距離に対応し得る。
【0118】
場合によっては、ナノ粒子間の分離距離の分布は、少数のすなわち特に個体内のナノ粒子の全数の50、10、1、10-2または10-5%より少ないナノ粒子の存在を、小さい分離距離すなわち特に109、106、103または10nmより短い分離距離、または大きい分離距離すなわち特に109、106、103または10nmより大きい分離距離のいずれかによって、強調することがある。この場合、ナノ粒子間の平均または最大分離距離を推定するために、この少数のナノ粒子の存在は特に考慮に入れない。
【0119】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、ここで、ナノ粒子は、結晶化され、または金属性または磁性がある。
【0120】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は結晶化される。この場合、それらは特に電子顕微鏡で観察可能な、1、2、10、102、103、106または109以上または最低でもそれだけの結晶面または規則的な原子配列を所持している。
【0121】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は金属である。この場合、それらは少なくとも1、10、103、105または109個の金属原子を含むか、少なくとも1、10、50、75または90%の金属原子を含み、この百分率は、ナノ粒子内の金属原子の数または質量をナノ粒子内のすべての原子の総数または質量で割ったものである。ナノ粒子、特に金属酸化物ナノ粒子は、少なくとも1、10、103、105または109個の酸素原子を含むか、少なくとも1、10、50、75または90%の酸素原子を含むことができ、なおこの百分率はナノ粒子中の酸素原子の数または質量をナノ粒子中のすべての原子の総数または質量で割った比である。
【0122】
本発明の別の実施形態では、金属または金属原子は、以下からなるリストから選択される。リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、トリウム、プロタクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、ベルケリウム、カリアインシュタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、ドゥブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダルムスタチウム、レントゲン、コペルニシウム、ニホニウム、フレロビウム、モスコビウム、およびリバモリウムまたはリバモリウム原子。
【0123】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、1、10、103、105または109以下の金属原子を含むか、1、10、50、75、または90%以下の金属原子を含み、なおこの百分率はナノ粒子内の金属原子の数または質量を、ナノ粒子内のすべての原子の総数または質量で割った比である。またそれは、1、10、103、105、109個以下の酸素原子を含むか、1、10、50、75、90%以下の酸素原子を含むことができ、なおこの百分率は、ナノ粒子内の酸素原子の数または質量を、ナノ粒子内のすべての原子の総数または質量で割ったものである。
【0124】
本発明の一実施形態において、ナノ粒子は、磁気的挙動または特性を有する場合に磁性であり、磁気的挙動または特性は、特に反磁性、超常磁性、常磁性、強磁性、およびフェリ磁性の挙動または特性からなる群から選択される。
【0125】
場合によっては、以下の温度より低い温度で磁気挙動または特性が観察されまたは存在する場合がある。
i)105、103、500、350、200、100、50、20、10、1、0.5または1K(ケルビン)、
ii)キュリー温度、または
iii)ブロッキング温度。
【0126】
他の場合には、磁気挙動または特性は、以下の温度より高い温度で観察されまたは存在し得る。
i))0.5、1、10、20、50、100、200、350、500、103または105K、
ii)キュリー温度、または
iii)ブロッキング温度。
【0127】
さらに他のいくつかのケースでは、10-20と1020K、または0.1と1000Kの温度で磁気挙動または特性が観察されまたは存在し得る。
【0128】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、以下の特性の少なくとも1つを有するか、またはそれによって特徴付けられる。
i)コアの存在、特に磁性、特に鉱物性、特に酸化鉄などの金属酸化物をふくむ、最も特にマグヘマイトまたは磁性鉄、またはマグヘマイトと磁鉄鉱の中間組成物、
ii)コアを取り囲み、ナノ粒子の凝集を特に防止するコーティングの存在、特に生物または身体部分へのナノ粒子の投与を可能にする、またはナノ粒子コアを安定化させる、なおここでコーティングの厚さは、0.1nmから10μm、0.1nmと1μm、0.1nmと100nm、0.1nmと10nm、または1nmと5nmの間にある、
iii)反磁性、常磁性、超常磁性、強磁性、またはフェリ磁性挙動を引き起こす磁気特性、
iv)0.01、0.1、1、10、100、103、104、105、109または1020Oeより大きい保磁力、
v)0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、0.9または0.99より大きい残留磁化と飽和磁化の比、
vi)0.1、1、5、10、または50emu/gより大きい飽和磁化、
vii)0.1K、1K、10K、20K、50K、100K、200K、300K、350Kまたは3000Kを超える温度で特に測定または観察される保磁力、残留磁化、飽和磁化などの磁気特性、
viii)結晶化度、すなわち、少なくとも1、2、5、10、または100の結晶面を特に所有し、電子顕微鏡で特に観察または測定できるナノ粒子、
ix)単一ドメインの存在、
x)0.1、0.5、1.5、10、15、20、25、30、50、60、70、80、100、120、150または200nmより大きいサイズ、
xi)0.1nmから10μm、0.1nmから1μm、0.1nmから100nm、1nmから100nm、または5nmから80nmのサイズ、
xii)非発熱性または発熱性、これは、ナノ粒子がナノ粒子のmgあたりまたはナノ粒子に含まれる鉄のmgあたり1020、10000、1000、100、50、10、5、2、または1EU(内毒素単位)より低いエンドトキシン濃度を所有することを特に意味し、またはナノ粒子は、生体または身体部分への投与後、発熱または100、50、6.6、5、3、2、または1℃を超える全身温度の上昇を引き起こさないことを意味する。
xiii)合成する生物による合成、特に細菌による合成、
xiv)化学合成、
xv)合成する生物に由来する有機または炭素材料の50、25、15、10、5、2または1%以下の存在、
xv)、99、95、80、70、60、50、または25%を超える、合成する生物に由来する鉱物物質の存在、または
xvi)ナノ粒子1グラムあたり1、10、1000、または104ワットを超える比吸収率(SAR)、特に0.1、1、10、または100mTを超える強度の交流磁場の適用下で特に測定され、および/または1,10,100or1000KHzより大きい周波数、あるいは音波の適用下、あるいは電磁音響または光放射などの放射の適用下で特に測定される。
【0129】
場合によっては、その合成する生物は、走磁性細菌、走磁性細菌以外のタイプの細菌、特にマイコバクテリウム・パラテュバキュロシス(Mycobacteriumparatuberculosis)、シュバネラ・オネイデンシ、(Shewanellaoneidensi)、ジオスリックス・フェルメンタンス(Geothrixfermentans)、など細胞外でナノ粒子を合成する特定の細菌の酵素、アリ、菌類、またはさまざまな植物であり得る。
【0130】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有するか、またはそれによって特徴付けられる、
i)0.01、0.1、1、10、100、103、104、105、109または1020Oeよりも低い保磁力、
ii)0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、0.9または0.99以下の残留磁化と飽和磁化の比率、
iii)0.1、1、5、10、50、200、1000、または5000emu/g以下の飽和磁化、
iv)0.1K、1K、10K、20K、50K、100K、200K、300K、350Kまたは3000K以下の温度で特に測定または観察される磁気特性、、
v)0.1、0.5、1.5、10、15、20、25、30、50、60、70、80、100、120、150または200nmより小さいサイズ、
vi)合成中の生物に由来する有機または炭素材料が50、25、15、10、5、2または1%以上存在する、
vii)合成中の生物に由来する鉱物物質の99、95、80、70、60、50または25%以下の存在、または
viii)ナノ粒子1グラムあたり1、10、1000、または104ワット以下の比吸収率(SAR)、これは特に0.1、1、10、または100、200、500、103または105mT以下の強度の、および/または特に1、10、100、103、105または109KHzより低い周波数の交流磁場の適用下で特に測定される、代わりに特に音波の適用下、代わりに電磁音響などの放射、または光放射の適用下で特に測定される。
【0131】
場合によっては、ミネラルは、有機材料を含まないか、有機材料の質量の割合が低い、特に100、99、50、20、10、5、1、10-1または10-2パーセントまたは有機材料の質量におけるパーセント以下であるナノ粒子またはマグネトソームの一部であり得る。ミネラルは特にナノ粒子のコアである。
【0132】
いくつかの他の場合では、ミネラルは、質量パーセントで0、10-50、10-10、10-2、10-1または1より大きいパーセントまたは有機物質の質量パーセントの有機物質を含み得る。これは、精製ステップで有機物質の除去に失敗した場合、または精製ステップ後に有機物質がミネラルに追加された場合であり得る。
【0133】
場合によっては、ナノ粒子をコーティングで囲むことがある。コーティングは、合成物質、有機物質、無機物質、またはカルボン酸、リン酸、スルホン酸、エステル、アミド、ケトン、アルコール、フェノール、チオール、アミン、エーテル、硫化物、酸無水物、ハロゲン化アシル、アミジン、アミド、ニトリル、ヒドロペルオキシド、イミン、アルデヒド、および過酸化物からなる群から選択される機能を含む物質であり得る。場合によっては、コーティングは、カルボキシメチルデキストラン、クエン酸、ホスファチジルコリン(DOPC)、またはオレイン酸でできていることがある。場合によっては、コーティングにより、特にナノ粒子の凝集または沈降なしに、マトリックスまたは水などの溶媒にナノ粒子を分散させることが可能となり得る。場合によっては、コーティングにより細胞内のナノ粒子の内在化が可能になる。他のいくつかの場合、コーティングにより、i)2つ以上のナノ粒子を特に鎖状に結合させる、ii)ナノ粒子の凝集を防ぐ、および/またはiii)均一なナノ粒子分布を得ることができ得る。
【0134】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は非発熱性である。非発熱性ナノ粒子は特に:
i)10100、1050、1020、108、105、103、または10EU以下(エンドトキシンユニット)または身体部分のcm3あたりのEUまたはナノ粒子のmgあたりのEUまたは身体部分のcm3あたりのEUまたはナノ粒子mgあたりのEUを含む、または
ii)特に身体温度以上で、ナノ粒子への音波または放射の前、後または適用なしで105、103、102、50、10、5、5、4、3、2または1°C以下の個人または身体部分の温度上昇を誘発する。
【0135】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子または化合物は、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属)、半金属、非金属(ハロゲン元素、希ガス)、カルコゲン元素、ランタニド、およびアクチニドからなる群から選択されるファミリーの化学元素で構成されるか、またはそれを含む。
【0136】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子または化合物は、以下のグループから選択された化学元素で構成されているか含んでいる:水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド、アクチニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ラザフォルジウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ドゥブニウム、クロム、モリブデン、タングステン、シーボルギウム、マンガン、テクネチウム、レニウム、ボーリウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、ヘシウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、マグネシウム、ニッケル、パラジウム、白金、ダルムスタチウム、銅、銀、金、レンテニウム、亜鉛、カドミウム、水銀、コペルニクス、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ウンウントリウム、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、フレオビウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ウンウンペンチウム、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、肝臓モリウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ウンセプチウム、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、ウンウンオクチウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロニウムホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、プロクタクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、ベルケリウム、カリホルニウム、アインステイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノベリウム、およびローレンシウム。
【0137】
場合によっては、ナノ粒子または化合物は、上記の化学元素の合金、混合物、または酸化物で構成されるか、またはそれらを含むこともある。
【0138】
場合によっては、ナノ粒子または化合物は、10-50、10-20、10-10、10-5、10-2、1、5、10、50、75、80、90、95、または99%の1つまたは複数の上記の元素から構成される。この百分率は、ナノ粒子または化合物に含まれる上記の化学要素の質量または数を、ナノ粒子または化合物に含まれるすべての化学要素の合計質量または総数、またはナノ粒子または化合物の総質量で割った値を表し得る。
【0139】
いくつかの他の場合では、ナノ粒子または化合物は、10-50、10-20、10-10、10-5、10-2、1、5、10、50、75、80、90、95または99%以下の上記の1つまたは複数の化学元素で構成または含むことができる。
【0140】
さらに他のいくつかのケースでは、上記の1つまたは複数の化学元素は、ナノ粒子または化合物の内部に、またはナノ粒子または化合物の表面に、またはナノ粒子または化合物のミネラルまたは中心部に含まれ、またはナノ粒子または化合物のコーティングの中に含まれる。
【0141】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子または化合物は、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属)、半金属、非金属(ハロゲン元素、希ガス)、カルコゲン元素、ランタニド、アクチニドのグループから選ばれるファミリーに属する少なくとも1つの化学元素から構成されず、または含まない。
【0142】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子または化合物は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学元素を欠いているか、または含まない、
水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド、アクチニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ラザフォルジウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ドゥブニウム、クロム、モリブデン、タングステン、シーボルギウム、マンガン、テクネチウム、レニウム、ボーリウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、ヘシウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、マグネシウム、ニッケル、パラジウム、白金、ダルムスタチウム、銅、銀、金、レンテニウム、亜鉛、カドミウム、水銀、コペルニクス、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ウンウントリウム、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、フレオビウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ウンウンペンチウム、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、肝臓モリウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ウンセプチウム、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、ウンウンオクチウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロニウムホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、プロクタクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、ベルケリウム、カリホルニウム、アインステイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノベリウム、およびローレンシウム。
【0143】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子または化合物は、この(これらの)化学元素の合金、混合物、または酸化物で構成されないか、または含まない。
【0144】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、1次元のサイズが10-1,1,2,5,10,20,50,70,100,200or500nmより大きい粒子として定義される。大きなサイズのナノ粒子は、小さなサイズのナノ粒子よりも保磁力および/または残留磁化が大きく、およびまたは音波のエネルギーまたはパワーをより強くまたはより効率的に吸収することができる。場合によっては、ナノ粒子のサイズを1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105、または107を超える係数で大きくすることにより、ナノ粒子に吸収されるエネルギーまたは電力の量が1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105または107倍に増加する。
【0145】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、一次元のサイズが104、103、102、10、1または10-1nm以下の粒子として定義される。小さいサイズのナノ粒子は、静脈内などにより簡単に投与できる。また、塞栓症などの毒性効果を回避することもできる。
【0146】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子サイズは、10-2と1020の間、、10-2と104nmの間、10-1と103nmの間、または1と102nmの間にある。これはナノ粒子またはナノ粒子集合体が明確に定義された、特にサイズの狭い分布を持っている場合である。
【0147】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子サイズ分布は、1000、100、75、50、25、10、5、2、または1nm以下である。凝集を防ぐため、またはナノ粒子の鎖の組織化を促進するために、ナノ粒子サイズの分布が狭いのが望ましい場合がある。
【0148】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子サイズ分布は、1000、100、75、50、25、10、5、2、または1nmより大きい。ナノ粒子のサイズ分布が大きいと、ナノ粒子をより迅速に除去できる場合がある。
【0149】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子の表面電荷は、-200、-100、-50、-10、-5、0.1、1、2、5、10、50または100mVより大きく、特に0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14以下のpHとなる。特に、ナノ粒子は、破壊されることなくそのような電荷に到達できるコーティングに囲まれている場合、低pHで大きな表面電荷を持つことができる。
【0150】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、好ましくは-200、-100、-50、-10、-5、0.1、1、2、5、10、50または100mVより低い表面電荷を有し、特に0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14より大きいpHを持つ。ナノ粒子は、破壊されることなくそのような電荷に到達することを可能にするコーティングに囲まれている場合、高pHで低い表面電荷を持つことができる。
【0151】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子は+200と-200mV、+100と-100mV、+50と-50mV、+40et-40mV、+20と-20、+10と-10mV、または+5と-5mVの間の表面電荷を持ち、特に0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以下のpHにある。
【0152】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子は+200と-200mV、+100と-100mV、+50と-50mV、+40et-40mV、+20と-20、+10と-10mV、または+5と-5mVの間の表面電荷を持ち、特に0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14より大きいpHである。
【0153】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、グラム(g)、キログラム(kg)、またはミリグラム(mg)などの単位で特に表される重量または質量を有する。ナノ粒子のグラムは、ナノ粒子に含まれる鉄などの金属のグラムであり得る。ナノ粒子の質量または重量は、1つのナノ粒子の質量または重量、またはナノ粒子の集合体の質量または重量に対応し得る。
【0154】
一実施形態では、ナノ粒子の質量は、10-20、10-10、10-5、10-2、1、10、103、109または1020グラムより大きい。場合によっては、ナノ粒子に吸収される音波エネルギーの量を増やすために、大きなナノ粒子の質量が望ましい場合がある。
【0155】
ある実施形態では、ナノ粒子の質量は、10-20、10-10、10-5、10-2、1、10、103、109または1020グラム以下である。場合によっては、ナノ粒子の毒性を防止または最小限に抑えるために、ナノ粒子の質量を小さくすることが望ましい場合がある。
【0156】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子、ナノ粒子の懸濁液、組成物、または集合体は、特に時間の経過中に安定であり、特にその安定期間が10-10、5、10、1050または10100分より大きい。場合によっては、ナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子の集合体は、溶媒、マトリックスまたはナノ粒子を取り囲むまたは含む身体部分の1mLあたりナノ粒子1、5、10、50、100、200、500または1000mgを超えるナノ粒子の濃度で安定であり得る。場合によっては、ナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子の集合体は、次の場合に安定であり得る:
i)ナノ粒子が劣化していないか、そのコーティングを部分的または完全に失っていないか、身体部分に投与できる、または
ii)ナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子の集合体の光学密度が、この懸濁液または組成物の均質化または混合または光学密度測定または吸収測定後、1、5、10、103、107または1020秒以内に、480nmまたは別の固定波長で特に測定されると1、5、10、50、75、または90%以上、または10-10、10-3、10-1、0.5または0.7以上には減少しない。この割合は、(ODB-ODA)/ODBまたはODA/ODBに等しくなる。ODBは、均質化または混合の前に測定されるナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子のアセンブリの光学密度、またはナノ粒子、懸濁液、組成、またはナノ粒子の集合体の光学密度測定または吸収測定であり、ODAは、均質化または混合後に測定されるナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子の集合体の光学密度、または、ナノ粒子、懸濁液、組成物、またはナノ粒子の集合体の光学密度測定または吸収測定である。
【0157】
場合によっては、ナノ粒子を液体に懸濁させるか、マトリックスまたは身体部分に分散させて、均一なナノ粒子分散液または非常に安定したナノ粒子組成物または懸濁液を得る。
【0158】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35または40個を超えるナノ粒子を含む鎖状に配置される。
【0159】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は鎖状で以下のように配列される、
i)2・1010、2・105、2・103または2・102nmより短い長さ、または
ii)2、5、10、102または103より小さい各鎖のナノ粒子の数。
場合によっては、ナノ粒子の短い鎖は、例えば、細胞内でのナノ粒子の内在化を促進するために、または長鎖の部分的または完全な破壊後が望まれまたはそれで得られる。
【0160】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は鎖状に配列され、それらは以下を有する:
i)10-1、1、5、10、2・102、2・103または2・105より長い長さ、または
ii)2、5、10、102または103より大きい各鎖のナノ粒子の数。
【0161】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子は鎖城に配列され、以下を持つ、
i)10-1と1010nmの間、1と105nmの間の長さ、または
ii)2と105、2と103、2と102、または2と50の間の各鎖のナノ粒子の数。
【0162】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子は、それらが互いに結合または連結されているときに、またはチェーン内の2つの隣接するナノ粒子の結晶学的方向が整列し、そのような整列は、90、80、70、60、50、20、10、3、または2°(度)以下のチェーン内の2つの隣接するナノ粒子に属する2つの結晶学的方向間の角度によって特に特徴付けられるときに、鎖状に配置される。
【0163】
ナノ粒子を生物学的に合成する場合、特にナノ粒子を鎖状に配置することができ、
i)特に、ナノ粒子は、この有機体からの抽出または分離の前後に鎖状に配置され、
ii)この生体の外に。
特に、ナノ粒子は、この有機体からの抽出または分離の前後に鎖状に配置される。
【0164】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は鎖状に配列されていない。
【0165】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、酸化鉄の結晶化、酸化鉄ミネラルの安定化、ナノ粒子の組織化などの生産の1、2、5、10、または100ステップ以下が、生体に関与するか、生体に起因する場合、化学的に合成されるか、生物によって合成されない。場合によっては、化学合成は、生物、またはDNA、RNA、タンパク質、酵素、脂質などの生物の一部が関与せずに発生する化学反応を伴う大部分のステップ、1、2、5、または10以上のステップ、または1、2、5、25、50、75、または90%以上のステップを含む合成として定義できる。
【0166】
本発明の別の実施形態では、化学合成を使用して、コンパートメント、オルガネラ、または他の生物学的材料を、模倣、コピー、または複製する化学物質または化合物を生成することができ、そこではナノ粒子の生産にこの化学合成または化学物質を使用するか、またはその結果として得ることができる。場合によっては、このコンパートメント、オルガネラ、または他の生物学的材料は、リソソーム、エンドソーム、小胞、特に、結晶化した鉄を遊離鉄に溶解または変換するか、または遊離鉄を結晶化した鉄に変換するいずれかの能力または機能を有する生物学的材料であり得る。場合によっては、この変換は部分的であり、特に鉄原子または鉄の部分的に結晶化した集合体を破壊または形成し、または特に結晶化鉄と非結晶化鉄の混合物をもたらす。場合によっては、結晶化した鉄は、結晶面の存在をもたらす鉄原子またはイオンの集合体として定義でき、特に透過型または走査型電子顕微鏡などの技術を特性評価手法として使用して観察でき、そして遊離鉄を特に結晶面の存在をもたらさないいくつかの鉄原子またはイオンの1つとして定義でき、これは例えば、透過型または走査型電子顕微鏡を特性評価手法として使用して、回折パターンの欠如によって特に強調される。
【0167】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、特に少なくとも1、2、5、10、103、106または109個の真核細胞、原核細胞、またはこれらの細胞の一部からなるまたは構成される、合成生物と呼ばれる生物によって、生物学的にまたは生物によって合成される。場合によっては、真核細胞または原核細胞の一部は、RNA、DNA、オルガネラ、核小体、核、リボソーム、小胞、粗面小胞体、ゴルジ体、細胞骨格、平滑小胞小胞体、ミトコンドリア、液胞、サイトゾル、リソソーム、中心体、細胞膜などの細胞に源を発するまたは生成される生物学的物質であり得る。場合によっては、生物学的合成は、少なくとも1、2、10、103、106または109の生物、またはDNA、RNA、タンパク質、酵素、脂質などの生物の一部が関与して発生する化学反応が絡む、大部分のステップ、1、2、5、または10を超えるステップ、または1、2、5、25、50、75、または90%を超えるステップを含む合成として定義されることがある。
【0168】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子は、コンパートメント、オルガネラ、または特に真核細胞または原核細胞によって産生されるまたは由来するタンパク質、脂質、酵素、DNA、またはRNAなどの他の生物学的材料によって、ナノ粒子に合成または生成または結晶化または組み立てまたは変換される。
【0169】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つの真核細胞、原核細胞、またはこの細胞の一部によってまたはその中で合成される。
【0170】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、
i)少なくとも1つの真核細胞、原核細胞、またはこの細胞の一部の外側に位置するマトリックスまたは培地または環境、または
ii)細胞外マトリックスによってまたはその中で合成される。
【0171】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、酸化鉄の結晶化、酸化鉄ミネラルの安定化、例えば鎖または凝集体におけるナノ粒子の組織化などの生産の少なくとも1、2、5、10または100ステップが生体が関与するかまたは生体によって合成される場合、生体によって合成される。
【0172】
本発明はまた、使用のためのナノ粒子に関し、ここで、ナノ粒子は、走磁性細菌によって合成され、それを起源とし、そこから抽出され、または単離されたマグネトソームである。
【0173】
本発明の一実施形態では、マグネトソームは、走磁性細菌によって合成され、生産され、由来し、抽出され、単離される。
【0174】
本発明の一実施形態では、走磁性細菌は、以下の群から選択される:マグネトスピリルム・マグネタム株AMB-1、走磁性球菌MC-1、3つの通性嫌気性ビブリオ株MV-1、MV-2およびMV-4、マグネトスピリルム(Magnetospirillum)磁気走性株MS-1、マグネトスピリルム・グリフィスバルデンス(gryphiswaldense)株MSR-1、通性嫌気性磁気走性スピリルム、マグネトスピリルム磁気走性株MGT-1、および偏性嫌気性菌、およびデサルフォビブリオ・マグネティカス(Desulfovibriomagneticus)RS-1。
【0175】
本発明の一実施形態では、走磁性細菌は、マグネトソームを合成することができる細菌として定義され、これらのマグネトソームは、以下の特性のうちの少なくとも1つによって特に特徴付けられる:
i)細胞内で産生される、
ii)それらは磁性である、
iii)それらは鉱物を含む、
iv)コアは特に酸化鉄などの金属酸化物で構成される、
v)コアは脂質、タンパク質、エンドトキシンなどの生物学的材料に囲まれ、特に除去され得る、、
vi)それらは鎖状に配置されている、
vii)交番磁場の適用下で熱を発生する。
【0176】
本発明の一実施形態では、マグネトソームは、少なくとも1つの磁性、サイズ、組成、鎖配列、電荷、コア、鉱物、コーティング、または結晶化度特性などのナノ粒子と共通の1つまたはいくつかの特性を有する。
【0177】
本発明の一実施形態では、マグネトソームは、走磁性細菌により合成されるミネラル部分、すなわち、これらの細菌により生成される結晶化酸化鉄を特に含む。この場合、マグネトソームまたはマグネトソームミネラル部分は、タンパク質、脂質、エンドトキシン、または炭素を含む生物学的物質を含まないか、またはこれらのバクテリアによって生成される炭素の0.1、1、10、30、50、または75%または質量における百分率以上を含まないか、それ以下を含む。
【0178】
本発明はまた、ナノ粒子の利用に関し、そこではナノ粒子が、マグネトソームの化学的類似体、例えばシグマナノ粒子(参照番号:637106-25G)、SPION20(nanomag(R)-D-spio20、参照番号:79-02-201)、SPION50(synomag-D50、参照番号:104-000-501)、SPION100(nanomag(R)-D-spio100、参照番号:79-00-102)、またはこれらのナノ粒子と同様の方法を使用して合成されるが、鎖の配置などが改善された特性または追加の特性が得られるナノ粒子でありまたはそれに同化される。場合によっては、マグネトソームの化学的類似体は化学的に合成でき、および/または走磁性細菌によって合成されない。
【0179】
場合によっては、マグネトソームの化学的類似体は、マグネトソームと少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の共通の特性を持ち、そこでは特に0、5、10、50、100、200、300、500または1000Kよりも高い温度で、10-50、10-10、10-2、1、5、10または100Oeより大きい保磁力、大きなサイズ特に1、5、10、20、50または70nmよりも大きいサイズ、および/またはチェーン配置特にチェーン内の1、2、5または10を超えるナノ粒子の配置である。
【0180】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子またはマグネトソームを精製して、内毒素および/または合成生物または磁気走性細菌に由来するタンパク質または脂質などの他の生体物質の質量で10、50または90パーセントまたはパーセントを超える量を除去する。他の場合には、ナノ粒子またはマグネトソームを精製して、100、99.9、99、95、または90パーセント以下のエンドトキシンおよびまたは他の生体物質を除去する。この精製ステップにより、特に精製されたナノ粒子またはマグネトソームが生成される。場合によっては、この割合は[QBP-QAP]/QBPまたはQAP/QBPに等しくなり得る。ここでQBPおよびQAPは、それぞれ精製ステップの前と後のエンドトキシン、生物学的物質、タンパク質、または脂質の量である。
【0181】
場合によっては、精製ステップは、特に合成生物または走磁性細菌または細菌の破片と混合されるNaOHおよび/またはKOHなどの方法または界面活性剤を使用することで構成され得、それによって特に有機物質を除去するか、ナノ粒子またはマグネトソームに含まれる無機物質から有機物資を分離し、そして特にナノ粒子またはマグネトソームに含まれるナノ粒子またはマグネトソームのミネラルを特に採取することができる。
【0182】
場合によっては、精製されたナノ粒子またはマグネトソームは、ナノ粒子またはマグネトソームミネラルである。
【0183】
本発明の一実施形態では、本発明によるナノ粒子は、薬物、医療機器、化粧品、生物学的製品、研究目的で使用される製品、または生物学的サンプルの特性を決定するために使用される製品である。
【0184】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は超音波増感剤であり、特に音響力学療法で使用される。
【0185】
本発明の一実施形態では、超音波増感剤は、音波の効果を高める物質、すなわち生物学的物質、特に死んでいる、破壊されている、変性したまたは不活性化な病理学的細胞の数を、特に1.2、1.5、2、5、10、103または105倍に増加させる、およびまたは特に死んでいる、破壊されている、変性し、または不活性化されている健康な細胞の数を特に1.2、1.5、2、5、10、103または105の係数で減少させる物質として定義される。音波増感剤は、音波の印加下で温度上昇を引き起こす物質として定義される場合もあり、温度上昇は、音波増感剤の非存在下よりも存在下で大きい、すなわち温度上昇が特に10-100、10-50、10-10、10-5、0.1、1、2、5、10、20または50°C以上音波増感剤の非存在下よりも存在下で大きく、ここで音波増感剤の濃度は特に身体部位のmLまたはcm3あたり10-50、10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、100または103mgより大きい。
【0186】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子、ナノ粒子懸濁液または集合体または組成物は、ナノ粒子、金属、金属化学元素、鉄、酸化鉄、マグヘマイト、磁鉄鉱のリットル(l)、ミリリットル(ml)、cm3、m3などの単位体積あたり、または単位表面積あたり、または単位長あたりグラム(g)、キログラム(kg)、またはミリグラム(mg)などの単位で特に表現される濃度を有する。それは特に、身体部分への投与前または投与後の濃度を有し、そこで体積、表面積、または長さとは、身体部分への投与の前または後のナノ粒子の懸濁液、集合体、または組成の体積、表面積、または長さ、または身体部分の体積、表面積、または長さである。
【0187】
本発明は、本発明に従って使用するためのナノ粒子にも関し、ここで、特に身体の部分またはナノ粒子領域に位置する、音波または放射に特にさらされる、または音波または放射が適用されるナノ粒子の濃度が、身体部分のcm3あたりのナノ粒子のgで、または身体部分のcm3あたりのナノ粒子に含まれる鉄のgで10より低い。場合によっては、ナノ粒子の濃度は、cm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子、またはcm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子のグラム(g)で1050、1020、1010、105、103、102、10、5、2、1、10-3、10-6または10-9よりも小さいことがある。場合によっては、高濃度のナノ粒子で発生する可能性のある毒性を防ぐために、低濃度のナノ粒子が必要または望ましいかもしれない。
【0188】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ここで、特に身体の部分またはナノ粒子領域に位置する、音波または放射線に特に曝露される、または音波または放射線が適用されるナノ粒子の濃度が、cm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子、またはcm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子のグラム(g)で10-50、10-20、10-10、10-9、10-6、10-3、1、2、5、10、102、105、1010、1020または1050より大きい。温度の上昇やナノ粒子からの化合物の解離など、ナノ粒子への音波の印加の効果をもたらすには、高濃度のナノ粒子が必要な場合がある。場合によっては、ナノ粒子濃度は、鉄、酸化物、酸化鉄、または鉄以外の金属など、ナノ粒子に含まれる少なくとも1つの物質の濃度である。
【0189】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、ここで、特に身体の部分またはナノ粒子領域に位置する、音波または放射に特に曝露される、または音波または放射が適用されるナノ粒子の濃度は、cm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子、またはcm3あたりまたは身体部分のcm3あたりで測定されたナノ粒子のグラム(g)で10-50と1050、10-20と1020、10-3と103、0と1050、1と10100、1と1020、または1と105の間である。
【0190】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子濃度は最小値と最大値の間に含まれる。場合によっては、最小値は、ナノ粒子による熱の生成またはナノ粒子からの化合物の解離を特にレーザー放射の適用下で可能にするのに十分なだけ大きい。他の場合には、最大値は身体部分の結像を可能にするために十分なだけ小さい。
【0191】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、それは以下の特性の少なくとも1つを有するかまたはもたらす。
i)ナノ粒子のグラムあたり、または身体部分のcm3あたりまたは身体部分のcm3あたりナノ粒子のグラムあたりで測定した場合に1秒あたり10-9または10-50°Cを超える特に増加する温度の初期変化の勾配の生成。
ii)ナノ粒子のグラムあたりまたは身体部分のcm3あたりのワットで10-9ワットより大きい比吸収率、および/または
iii)ナノ粒子濃度の減少とともに増加できる速度でナノ粒子に適用される音波のパワーの増加とともに増加する比吸収率。
【0192】
場合によっては、ナノ粒子または身体部分に音波を適用することにより、温度の時間変化に伴う特に増加する初期変化の勾配を測定または取得できる。
【0193】
場合によっては、(ΔT/δt)(N)は、ナノ粒子を含む身体部分の時間による温度の初期変動であり得る。
【0194】
場合によっては、(ΔT/δt)(WN)は、ナノ粒子を含まない身体部分の時間による温度の初期変動であり得る。
【0195】
場合によっては、ナノ粒子の略語Nはマグネトソームの略語Mに置き換え得る。
【0196】
場合によっては、(ΔT/δt)real、(ΔT/δt)(N)、または(ΔT/δt)(WN)は、音波または放射の初期適用時間(tiと指定)に1、5、10、50、75、102または103%、を超える温度変化を表し得る、この百分率は、tiの間に到達した温度変化と音波または放射適用直前の初期温度との比であり得る。
【0197】
場合によっては、(ΔT/δt)realは(ΔT/δt)(N)-(ΔT/δt)(WN)と等しくなる。
【0198】
場合によっては、(ΔT/δt)real、(ΔT/δt)(N)、および/または(ΔT/δt)(WN)は、以下の測定される時間に対する初期温度変動の勾配であり得る、
i)音波の適用の最初の10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、または105分の間、
ii)103、102、10、1、10-2、10-3、10-6または10-9秒以下、特に音波または放射の適用開始後、
iii)温度が線形にすなわち時間に比例して変化するとき、
iv)飽和温度に達する前、
v)加熱または加熱ステップの合計期間の1、5、10、25、50、75、80、90、95、または99%以下である加熱または加熱ステップの初期時間中
【0199】
本発明の一実施形態では、(ΔT/δt)(N)、(ΔT/δt)(WN)、およびまたは(ΔT/δt)realの値は10-100、10-50、10-20、10-9、10-7、10-6、10-5、10-3、10-1、1、103、105、106または109°C/secより大きい。場合によっては、ナノ粒子の加熱力が大きい場合、またはナノ粒子に加えられた音波または放射の力が大きい場合、(ΔT/δt)(N)およびまたは(ΔT/δt)realは大きい。
【0200】
本発明の別の実施形態では、(ΔT/δt)(N)、(ΔT/δt)(WN)、およびまたは(ΔT/δt)realの値は10100、1050、1020、109、106、103、1、10-1、10-3、10-6または10-9°C/secより小さい。場合によっては、(ΔT/powert)(N)および/または(ΔT/δt)realは、ナノ粒子の加熱パワーが低い場合、またはナノ粒子に適用される音波または放射のパワーが低い場合に小さい。
【0201】
本発明のさらに別の実施形態では、(ΔT/δt)(N)、(ΔT/δt)(WN)、および/または(ΔT/δt)realの値は10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、または10-5と10、10-5と°C/秒の間である。
【0202】
場合によっては、単位の℃/秒は、ナノ粒子のグラム、身体部分のグラム、ナノ粒子のcm3、ナノ粒子のcm2、ナノ粒子のcm、身体部分のcm3あたり、身体部分のcm2あたり、または身体部分のcmあたりで測定される°C/秒に置き換え得る。
【0203】
本発明の一実施形態では、(ΔT/δt)(N)は(ΔT/δt)(WN)より係数aだけ大きく、ここでaは、
i)1.00001、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105または109より大きく、または10-100、10-50、10-20、10-9、10-6、10-3、10-1、1、103、106または109°C/秒より大きい、
ii)105、103、102、5、2または1.1より小さい、または10100、1050、105、102、5、2または1.5より小さい、または
iii)さらに別の場合10-100と10100、10-5と105、10-1と10、または10-100と10100°C/sec、または10-10と105°C/秒の間である。
【0204】
本発明の一実施形態では、(ΔT/δt)(M)の適切な値の範囲は、0.09°C/秒から0.7°C/秒の間である。この範囲の最小値(0.09°C/sec)は、組織のcm3あたり45μgのマグネトソームまたはナノ粒子を0.5W/cm2の音波にさらすことによって推定された。場合によっては、この最小値は、特にマグネトソームまたはナノ粒子の濃度を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で減少させることで、または音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で減少させることで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で減少し得る。この範囲の最大値(0.7°C/秒)は、100μLの水に混合した100μgのマグネトソームを1.5W/cm2の音波にさらすことで推定された。場合によっては、この最大値は、、特にマグネトソームまたはナノ粒子の濃度を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させルことで、または音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させることで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させることができる。
【0205】
本発明の別の実施形態では、(ΔT/δt)(WM)の適切な値の範囲は、0.063°C/秒から0.645°C/秒の間である。この範囲の最小値(0.063°C/sec)は、0.5W/cm2の音波を組織片に適用することにより推定された。場合によっては、この最小値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020を超える係数で減少させることで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で減少させ得る。この範囲の最大値(0.645°C/sec)は、水溶液に1.5W/cm2の音波を印加することにより推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で増加させることによって、または音波の吸収が少ない身体部分を使用することで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で増加させ得る。
【0206】
本発明の一実施形態では、SARとも呼ばれるナノ粒子の比吸収率(SAR)は、身体部分に含まれる、混合される、または挿入されるナノ粒子の比吸収率である。ワットなどの電力単位をグラムなどの質量単位で除算して、または電力単位をcm、cm2、cm3などの長さ、表面積、または体積単位で除算して表し得る。
【0207】
特に、SARは、ナノ粒子の存在下で特に温度上昇を引き起こす音波または放射の適用下で測定される。場合によっては、そのような放射または音波は以下を持ち得る、
i)10-9、10-5、10-3、10-1、1、10または103W/cm、W/cm2、またはW/cm3
ii)10-6、10-3、10-1、1、10、103または106MHzより大きい周波数。
【0208】
他のいくつかの場合では、そのような放射は、特に次のものの交番磁場であり得る:
i)10-9、10-6、10-3、1、103、106、または109kHzより大きい周波数、および/または
ii)ナノ粒子を含む容器またはチューブ、およびこの容器またはチューブの外側。
【0209】
特に、75、60、50、25、10、5、2、1または0.1°C以下の温度低下が生じた場合、熱交換は最小限に抑えられる。
【0210】
本発明の一実施形態では、SARは、身体部分に特に含まれるナノ粒子を音波または放射に曝露することにより推定される。場合によっては、SARは、ナノ粒子を囲む媒体の比熱容量に等しいか、比例することがあり、特に、音波または放射の適用に起因する時間に温度変化の初期勾配を掛け、特にナノ粒子の濃度で除算する。
【0211】
本発明の別の実施形態では、SARは、ナノ粒子を交流磁場または音波または放射以外の別の励起源にさらすことによって推定されるSARに対応しないか、関連付けられないか、またはそれではない。
【0212】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ここで、ナノ粒子は、身体部分で特に測定される比吸収率(SAR)を有し、それはナノ粒子のグラムあたり(W/gnano)、ナノ粒子のcm3あたり(W/cm3 nano)、身体の部分のグラムあたり(W)/gbp)、または身体部位のcm3あたり(W/cm3 bp)の測定で10-100、10-50、10-20、10-9、10-6、10-3、1、103、106または109W(ワット)以上である。場合によっては、特定の条件で大きなSAR値が得られる場合があり、それはたとえば、高出力または周波数の音波または放射を使用するか、高ナノ粒子濃度を使用するか、音波の適用を別のエネルギー源の適用を併用するかまたはさまざまな種類の音波または放射の適用と結合するかである。
【0213】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ナノ粒子は、身体部分で特に測定される比吸収率(SAR)を有し、それは、ナノ粒子のグラムあたり(W/gnano)、ナノ粒子のcm3あたり(W/cm3 nano)、身体の部分のグラムあたり(W)/gbp)、または身体部位のcm3あたり(W/cm3 bp)の測定で10100、1050、1020、10-9、10-6、10-3、1、103、106または109ワットより低い。
【0214】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ナノ粒子は、身体部分で特に測定される比吸収率(SAR)を有し、それは、ナノ粒子のグラムあたり(W/gnano)、ナノ粒子のcm3あたり(W/cm3 nano)、身体の部分のグラムあたり(W)/gbp)、または身体部位のcm3あたり(W/cm3 bp)の測定で10-100と10100、10-10と1010、10-5と105、10-3と103、0と10100、10と1010、10と104Wである。
【0215】
本発明の一実施形態において、音波の適用下で特に測定されるナノ粒子SARの適切な範囲は、特に鉄中のナノ粒子1グラム当たり1.2ワットと、特に鉄中のナノ粒子1グラム当たり424ワットの間である。場合によっては、この範囲の最小値(1.2W/gM)は、特に身体部分の粘度が増加するとき、身体部分の熱拡散が減少するとき、ナノ粒子の身体部分から離れる拡散が増加するとき、音波のパワーが減少するとき、またはナノ粒子の非存在下で音波によって生成される熱が増加するとき、たとえば1.5、2、5、10、103、105、107または109の係数で低下し得る。いくつかの他の場合、この範囲の最大値(424W/gM)は、身体部分の粘性が減少するとき、身体部分の熱拡散が増加するとき、身体部分のナノ粒子濃度が増加するとき、音波のパワーが増加するとき、またはナノ粒子の非存在下で音波によって生成される熱が減少するとき、たとえば1.5、2、5、10、103、105、107または109以上の係数で大きくなり得る。
【0216】
本発明の別の実施形態では、SARの最低値は、SAR値がナノ粒子濃度またはナノ粒子数の減少とともに、特にナノ粒子濃度またはナノ粒子数が1.1、2、5、10、102、103、105または1010を超える係数で減少する場合、特に1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で減少する可能性があるという事実によって正当化できる。たとえば、107個のナノ粒子の場合、ナノ粒子のグラムあたり1WのSARは、単一のナノ粒子の場合には、ナノ粒子のグラムあたり10-7WのSAR値になる。この挙動は、個々のナノ粒子のSAR値が加算されてナノ粒子の集合体のSARを生成する集合的効果によって説明できる。これは、単一のナノ粒子のSAR値の合計または比例する。
【0217】
本発明のさらに別の実施形態では、サイズが特に1、10、20、50、100、200または500nmよりも小さい小さなナノ粒子は、SARを持たない、またはナノ粒子1グラムあたり105、103、10、1、10-1、10-3、10-6または10-9ワットよりも小さいSARを持つ。本発明のさらに別の実施形態では、特に1、10、20、50、100、200または500nmより大きいサイズを有する大きなナノ粒子は、特にナノ粒子1グラムあたり10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103または105よりも大きいSARを有する。
【0218】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、そこではナノ粒子はSARを有し、ナノ粒子濃度の減少とともに増加し得る速度でナノ粒子に適用される音波のパワーの増加とともに増加する。
【0219】
場合によっては、SARは、ナノ粒子に加えられる音波または放射のパワーが、特に、ナノ粒子の濃度が1.01、1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で増加するレートで特に1.01、1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で減少するとき、特に1.01、1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で増加すると、特に1.01、1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で増加する。この特徴を満たすために、ナノ粒子濃度は、特に身体部分のmLあたりまたはcm3あたり10-9と109、10-5と105、10-2と102、または10-1と10の間のmgのナノ粒子を含める必要がある。
【0220】
本発明の一実施形態では、音波または放射の強度の増加に伴うSAR増加の割合は、SAR増加の百分率、すなわち(SARI2-SARI1)/SARI1に対応する。ここで、SARI1およびSARI2は2つの異なる音波または放射の強度I1およびI2で測定されるSARである。あおここでI2>I1、特にI2/I1で除算される。
【0221】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子のSARは、異なるナノ粒子濃度間で105、500、90、70、50、25、10、5または2%を超えて変化または減少せず、この百分率はC2-C1/C1を表し得る。ここでC1とC2は2つの異なるナノ粒子の濃度である。場合によっては、この状況はナノ粒子濃度が10-6と106、10-5と105、10-3と103、または10-2と102の間のmg/mLまたは身体部分のcm3当たりmgのときに発生する。他のいくつかのケースでは、ナノ粒子濃度が1000、100、10、1、0.1、または0.01mlあたりmgまたは身体部分身体部分のcm3あたりmg以下の場合にこの状況が発生する。さらに他のいくつかのケースでは、ナノ粒子濃度が1000、100、10、1、0.1または0.01mLあたりmgまたは身体部分のcm3あたりmgより大きい場合にこの状況が発生する。
【0222】
発明の一実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子濃度が減少すると増加するSARを有する。場合によっては、ナノ粒子の濃度が1.1、2、5、10、102、103、105または1010の係数で減少すると、ナノ粒子のSARは1.1、2、5、10、102、103、105または1010以上の係数で増加する。この特徴を満たすために、ナノ粒子の濃度が特にナノ粒子のmLあたり10-9と109、10-5と105、10-2と102、または10-1と10の間のmg、またはナノ粒子の濃度がナノ粒子のmLあたり10-9、10-7、10-5、10-2、10-1、1、10または100mg以下でなければならない。この挙動は、SARが交番磁場を適用して測定されたときに観察される挙動の反対であるため、興味深い。
【0223】
場合によっては、SARは(SAR)(real)を指定し得る。
【0224】
場合によっては(SAR)(real)は、ナノ粒子の有無による身体部分の温度変化の初期勾配を考慮した、ナノ粒子のSARであり得る。
【0225】
本発明の一実施形態では、音波パワーの増加に伴うSAR増加率の適切な範囲は、15%から440%の間である。この範囲の最小値と最大値は、それぞれ表2と1に示されているSARreal(M)の値を使用して推定された。場合によっては、音波の強度を下げるか、身体部分の最大濃度を変更することにより、この範囲の最小値を特に2、5、10、103または105倍に減らし得る。
【0226】
場合によっては、次の式を使用してSAR(real)を推定できる、
SAR(real)=areal[(ΔT/δt)(real)]
ここで、arealはCv/Cnanoに等しい比例係数であり、ここで、Cvは、特にナノ粒子を構成する身体部分、組織、水、のSAR、Cnanoは特に身体部分に含まれるナノ粒子の濃度または量または数である。
【0227】
本発明の別の実施形態では、SAR(実)の値の適切な範囲は5W/gから427W/gの間である。この範囲の最小値(5W/g)は、組織のcm3あたり45μgのマグネトソームに1W/cm2の音波を当てることにより推定された。場合によっては、この最小値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で減少させることによって1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020。以上の係数で減少し得る。この範囲の最大値(427W/g)は、100μlのマグネトソームを100μlの水に混合した水溶液に1W/cm2の音波を印加することによって推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させるか、音波の吸収が少ない身体部分を使用することによって、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加し得る。
【0228】
他の場合には、SARはSAR(N)と等しくなる場合がある。
【0229】
場合によっては、SAR(N)=aN(ΔT/δt)(N)で、ここでaNはCv/Cmagと等しくなる場合がある。この範囲の最小値(37W/g)は、組織1cm3あたり45μgのマグネトソームに0.5W/cm2の音波を適用することで推定された。場合によっては、この最小値(37W/g)は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で減少させることによって、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で減少し得る。この範囲の最大値(3124W/g)は、100μlの水に100μgのマグネトソームを混合した水溶液に1.5W/cm2の音波を印加することにより推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で増加させることによって、または音波の吸収が少ない身体部分を使用することによって、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109、または1020以上の係数で増加し得る。
【0230】
本発明のさらに別の実施形態では、aおよび/またはaWNの値は、10-9、10-6、10-3、1、103、106または109(秒/℃)・(W/gnano)または(sec/°C)・(W/gbp)または(sec/°C)・(W/cm3 bp)または(sec/°C)・(W/cm3 nano)よりも小さい。
【0231】
本発明のさらに別の実施形態では、aNおよび/またはaWNの値は10-9、10-6、10-3、1、103、106または109(秒/℃)・(W/gnano)または(sec/°C)・(W/gbp)または(sec/°C)・(W/cm3 bp)または(sec/°C)・(W/cm3 nano)よりも大きい。
【0232】
さらに他のいくつかのケースでは、SARはSARAWに等しい場合がある。これは、ナノ粒子に音波を適用することによって測定されたSARである。SARAWは、SARAMFと呼ばれる交番磁場を適用することで測定されるSARとは異なる場合がある。場合によっては、SARAWはSARAMFと少なくとも10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109%異なる。この百分率は(SARAW-SARAMF)/SARAWに等しいことがあり得る。この百分率は、与えられたナノ粒子の濃度に対して特に測定され、それは特に
i)場合によっては、身体部分のcm3またはcm3あたりで測定されるナノ粒子で109、107、105、103、10、1、10-3、10-5、10-7または10-9mgより小さい、
ii)いくつかの他の場合、cm3当たりまたは身体部分のcm3当たりで測定されるナノ粒子109、107、105、103、10、1、10-3、10-5、10-7または10-9mgより大きい、または
iii)cm3または身体部分のcm3あたり10-9と109、10-7と107、10-5と105、10-3と103、または10-1と10mgの間のナノ粒子を含む。
【0233】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子に印加された磁場または交番磁場の存在下でSARは測定されない。場合によっては、SARは特にヒステリシス損失、ブラウン運動、ネール緩和、音波の印加下でのナノ粒子の動き、または音波の適用下のナノ粒子の磁気モーメントの反転、またはナノ粒子の磁気モーメントと音波の結合によるものではない。
【0234】
本発明の別の実施形態では、SARAWは、ブラウン運動、ネール緩和、またはヒステリシス損失に起因するものではない、または、それだけが原因ではない、または主な原因ではない。場合によっては、SARAWは、特に部分的または主に、ナノ粒子またはナノ粒子を含む身体部分による音波の吸収に起因する。場合によっては、SARAWは、特に部分的または主に、ナノ粒子を含まないまたは含まない身体部分による音波の吸収に起因し、特に、ナノ粒子無しのまたは含まない身体部分とナノ粒子ありのまたは含む身体部分との間の熱拡散が続く。
【0235】
本発明の一実施形態では、身体部分は、ナノ粒子を含む身体部分の部分とナノ粒子を含まない身体部分の部分との間で分割される。
【0236】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子を含む身体部分の部分は、ナノ粒子領域、またはナノ粒子、ナノ粒子集合体、またはナノ粒子懸濁液が投与される、または投与された身体部分の部分である。
【0237】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子のない身体部分の部分は、ナノ粒子、ナノ粒子集合体、またはナノ粒子懸濁液が投与されない、または投与されていない身体部分の部分、例えばナノ粒子投与前の身体部分の部分またはナノ粒子領域外である。
【0238】
場合によっては、ナノ粒子を含む身体部分の部分は、音波または放射線のエネルギーを10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%以上を吸収することができ、ナノ粒子を含まない身体部分は、特に音波または放射のエネルギーの10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%以下を吸収することができる。いくつかの他の場合、ナノ粒子を含む身体部分のその部分は音波または放射線のエネルギーの10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%以下を吸収することができ、そしてナノ粒子を含まない身体部分のその部分は、音波または放射のエネルギーの10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75または80%以上のエネルギーを特に吸収できる。この実施形態および前の実施形態で言及した百分率は、ナノ粒子に適用される音波または放射のエネルギーを、身体部分に適用される音波または放射のエネルギーまたは音波のエネルギーで除算したもの、またはナノ粒子または身体部分に適用される放射線のエネルギーを音波または放射線を生成する機器によって生成される音波または放射線のエネルギーで除算したものである。
【0239】
場合によっては、身体部分は、身体部分の部分またはナノ粒子を含む身体部分の部分を指示し得る。
【0240】
いくつかの他の場合では、身体部分は、身体部分の部分またはナノ粒子を含まない身体部分の部分を指示し得る。
【0241】
さらに他のいくつかの場合、身体部分は、ナノ粒子またはナノ粒子領域を含む身体部分の部分と、ナノ粒子またはナノ粒子領域を含まない身体部分の部分の両方を指示し得る。
【0242】
場合によっては、身体部分は、
i)特にmm3あたりまたは身体部分のcm3あたり、または病理学的または健康な細胞あたり10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mg以上のナノ粒子を特に含み得る。または
ii)特にmm3あたりまたは身体部分のcm3あたり10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mg以上の病理学的または健康な細胞、
である。
【0243】
いくつかの他の場合、身体部分は、
i)特にmm3あたりまたは身体部分のcm3あたり、または病理学的または健康な細胞あたり10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mg以下のナノ粒子、または、
ii)特に体の1mm3または1cm3あたり10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mg以下の病的または健康な細胞。
を含み得る。
【0244】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、そこでは投与されるナノ粒子の濃度が身体部分のmm3あたり10-3mgよりも大きい。場合によっては、ナノ粒子の濃度は、身体部分のmm3あたり、ナノ粒子を含む懸濁液のmLあたり、またはマトリックスまたは(生物学的または非生物学的)のmm3あたりで測定して10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109グラムまたはミリグラム以上である。
【0245】
本発明の一実施形態では、身体部分に含まれるナノ粒子濃度の適切な範囲は、身体部分のmm3あたり1ngのナノ粒子、特に鉄中、と身体部分のmm3あたり1gのナノ粒子、特に鉄の間である。この範囲の最小値(1ng/mm3)は、身体部分に投与できるマグネトソームまたはナノ粒子懸濁液の最低濃度、つまり通常検出できるマグネトソームまたはナノ粒子の最低濃度を計算することで推定された。場合によっては、この最小値は、マグネトソームまたはナノ粒子の存在を検出するために、より感度の高い検出方法が使用または開発されている場合、またはその一部がマグネトソームまたはナノ粒子の一部が、身体部分への投与後に身体部分から離れて拡散している場合、低減される。この範囲の最大値(1g/mm3)は、安定した懸濁液を生成する最大のマグネトソームまたはナノ粒子の濃度を計算することにより推定された。この最大値は、たとえばマグネトソームまたはナノ粒子が、固体、半固体、または水よりも粘性の高いマトリックスまたは溶媒に挿入される場合、またはマグネトソームが身体部分に投与された後に身体部分に集中しており、注射に使用されるマグネトソームまたはナノ粒子懸濁液よりも身体部分により大きな濃度が生じている場合、たとえば10、103、106または109倍大きい。この範囲の最大値(1g/mm3)は、安定した懸濁液を生成する最大のマグネトソームまたはナノ粒子の濃度を計算することにより推定された。この最大値は、たとえばマグネトソームまたはナノ粒子が、固体、半固体、または水よりも粘性の高いマトリックスまたは溶媒に挿入される場合、またはマグネトソームが身体部分に投与された後に身体部分に集中しており、注射に使用されるマグネトソームまたはナノ粒子懸濁液よりも身体部分により大きな濃度が生じている場合、たとえば10、103、106または109倍大きくなる可能性がある。
【0246】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、処置中、特に1、2、5、10、20、50、100、103または104を超えるシーケンスまたはセッションの間、特に1、2、5、10、50、100または103日以上、特に身体部分に残る。本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、処置中、特に1、2、5、10、20、50、100、103または104以下のシーケンスまたはセッションの間、特に1、2、5、10、50、100または103日以下、特に身体部分に残る。
【0247】
いくつかの場合、ナノ粒子は、特に身体部分への投与前または処置開始前のナノ粒子のサイズに比較してサイズが10-4、10-1、1、10、20、50、100、500、103または104%以上減少することなく、処置中身体部分に残る。場合によっては、この百分率は、身体部分への投与後のナノ粒子の部位と身体部分への投与前のナノ粒子のサイズとの間の比率に等しくなり得る。
【0248】
場合によっては、身体部分は放射線または音波にさらされる身体部分である。
【0249】
本発明において、音波または放射線に曝露される身体部分またはナノ粒子は、音波または放射線が標的を覆い、その中に存在する、中または上に存在する、または特に少なくとも身体部分またはナノ粒子の10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75、または80%に位置することを意味し得る。この百分率は、音波または放射線にさらされたナノ粒子または身体部分の数または体積を、ナノ粒子または身体部分の総数または体積で割ったものを表すことができる。場合によっては、音波または放射は、毒性を誘発しないよう、特にこれらの音波または放射が十分に低いパワーまたはエネルギーではない場合、体の部分またはナノ粒子の外側、外側、または内側に適用、存在、適用、または配置することができる。
【0250】
さらに、場合によっては、音波または放射線が身体部分またはナノ粒子に適用されるとき、または身体部分またはナノ粒子に音波が適用されるとき、または身体部分またはナノ粒子が音波または放射線に曝露される可能性があるとき、または身体の部分またはナノ粒子が音波または放射線を受けるとき、または身体の部分またはナノ粒子が音波または放射線の影響を受けるとき、または身体の部分またはナノ粒子が音波または放射線によって生じる妨害を受けるとき、または身体の部分またはナノ粒子が音波または放射線の妨害を受けるとき、身体部分またはナノ粒子は、音波または放射の暴露を受け得る。
【0251】
本発明の一実施形態では、身体部分は、i)音波または放射線にさらされる身体部分、またはii)音波または放射線のエネルギーまたはパワーを受ける身体部分、またはiii)音波または放射のエネルギーまたはパワーを吸収する身体部分、であり、または関連する。
【0252】
場合によっては、身体部分はまた、i)音波または放射線にさらされていない身体部分、またはii)音波または放射線のエネルギーまたはパワーを受けていない身体部分、またはiii)音波または放射のエネルギーまたはパワーを吸収しない身体部分。であるか、または関連する可能性もあり得る。
【0253】
本発明は、本発明に従って使用するためのナノ粒子にも関し、身体部分への音波または放射線の適用は、好ましくは10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10または103°C以上の身体部分の温度上昇をもたらす。
【0254】
場合によっては、温度上昇は、ナノ粒子の非存在下よりも存在下で少なくとも10-10、10-5、10-1、1、2、5、10、50、75または80%より大きくなる可能性があります身体部分。場合によっては、この百分率は、ナノ粒子を含まない身体部分の温度上昇と、ナノ粒子を含む身体部分の温度上昇との比率であり得る。
【0255】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子にも関し、そこでは身体部分の温度上昇、身体部分の温度低下、またはナノ粒子からの化合物の解離が身体部分の1020、1010、105、103、500、200、90、70、50%、10または1%以下で起こる。
【0256】
他のいくつかの場合では、身体部分の温度上昇、身体部分の温度低下、またはナノ粒子からの化合物の解離は、身体部分の10-10、10-5、10-1、1、10、50、70、90、200、500、103、105または1020%以上で起こる。
【0257】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子にも関し、そこでは身体部分の温度上昇、身体部分の温度低下、またはナノ粒子からの化合物の解離が身体部分のナノ粒子が占める体積の10-10、10-5、10-1、1、10、50、70、90、200、500、103、105、1010または1020%以上で起こる。この割合は、身体部分の温度上昇、身体部分の温度低下、またはナノ粒子からの化合物の解離が発生する体積と、身体部分のナノ粒子が占める総体積との比率であり得る。
【0258】
いくつかの他の場合では、体の部分の温度上昇、体の部分の温度低下、またはナノ粒子からの化合物の解離は、身体部分のナノ粒子が占める体積の1020、1010、105、103、500、200、90、70、50%、10または1%以下で起こり得る。
【0259】
本発明の一実施形態では、身体部分は、1以上、2、5、10、または100以上の類似または異なる生物、装置、器官、組織、細胞または生体分子を含む。場合によっては、身体部分は、頭、首、肩、腕、脚、膝、足、手、足首、肘、胴体、下肢、または上肢の全体または一部であり得る。他のいくつかのケースでは、身体部分は臓器、筋骨格、筋肉、消化器、呼吸器、尿、女性の生殖器、男性の生殖器、循環器、心血管、内分泌、循環器、リンパ管、神経系(末梢または非)、または心室、腸神経、感覚系、または外皮系、生殖器官(内部または外部)、感覚器官、内分泌腺、でありまたは属し得る。臓器または身体部分は、人間の骨格、関節、靭帯、腱、口、歯、舌、唾液腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺、咽頭、食道、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、大腸、肝臓、胆嚢、腸間膜、膵臓、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、横隔膜、腎臓、尿管、膀胱、尿道、卵巣、卵管、子宮、膣、外陰部、クリトリス、胎盤、精巣、精巣上体、輸精管、精嚢、前立腺、尿道腺、陰茎、陰嚢、下垂体、松果体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓、心臓、動脈、静脈、毛細血管、リンパ管、リンパ節、骨髄、胸腺、脾臓、腸関連リンパ組織、扁桃腺、脳、大脳、大脳半球、間脳、脳幹、中脳、橋、髄質、横長、小脳、脊髄、脈絡叢、神経、脳神経、脊髄神経、神経節、目、角質、虹彩、毛様体、水晶体、網膜、耳、外耳、耳たぶ、鼓膜、中耳、耳小骨、内耳、蝸牛、耳の前庭、半規管、嗅上皮、舌、味覚芽、乳腺、または肌、であり得る。身体部分または器官は、血液循環または循環系に属し得る。
【0260】
場合によっては、身体部分は、少なくとも1つの腫瘍、癌、ウイルス、細菌、または病理学的細胞であるか、またはそれらを含み得る。
【0261】
本発明の一実施形態において、身体部分は、水、賦形剤、溶液、懸濁液、少なくとも1つの化学元素、有機材料、またはゲルであり、またはそれらを含み、これらは合成されまたは生物によって生成され得る。
【0262】
好ましくは、身体部分としても指定されるの個体身体部分は、個体または個体全体を表し、またはその一部であり、個体は特に人間、動物、または生物、特に生きているか不活化または死んでいる、少なくとも1つの原核細胞または真核細胞を含む生物である。
【0263】
本発明の一実施形態では、身体部分は生きている(または生きていない)、組織、水、培地、物質、細胞、細胞小器官、器官タンパク質、脂質、DNA、RNA、生物材料であり、特に個人の、特にそのような部位から源を発しまたは抽出された、特定の領域に特に局在する。
【0264】
本発明の一実施形態では、身体部分は、病理学的部位、健康的部位、およびまたはナノ粒子領域を含む。
【0265】
場合によっては、病的部位は、不健康な部位、または健康な個体の部位、または不健康な個体の部位から異なる状態にある部位として定義し得る。
【0266】
それは、腫瘍細胞、細菌、真核細胞または原核細胞などの病理学的細胞、ならびにウイルスまたは他の病理学的物質を含むことができる。病理学的細胞は、次のような細胞である可能性がある、
i)健康な個人で通常行うように整えられまたは作業していない、
ii)健康な細胞よりも速く分裂する、
iii)形質転換または修飾を受けた健康な細胞、
iv)時にはウイルスまたは他の生物の存在による死、または
v)個人に属していないウイルスのような異物との接触、相互作用中、そこでこれらの細胞内でウイルスが侵入、コロニー化、または複製する可能性がある。
場合によっては、病的細胞はウイルスまたは他の生物に同化することがあり、細胞または標的細胞にコロニーを形成するか、細胞を破壊するか、細胞を使用するか、細胞と相互作用して特に自身の生殖、増殖、生存、または死を可能にする。場合によっては、病理学的部位は健康な細胞を含み得るが、病理学的細胞の数、活性または増殖よりも特に少ない。
【0267】
本発明の一実施形態では、身体部分は、健康な部位または健康な細胞であるか、またはそれを含む。場合によっては、健康な部位は健康な細胞を含む部位または領域として定義でき、健康な細胞は健康な個体または健康な個体の身体部分に属する細胞として定義できる。
【0268】
場合によっては、健康な部位が病的部位から1、10-1、10-3、10-6または10-9m以下の距離にある場合、病的部位を囲むことがある。
【0269】
場合によっては、音波または放射線にさらされる身体部分または体積に特に含まれる病理学的または健康な細胞の数は、特に身体部位のcm3あたり10100、1050、1020、1010、105、10、5、2または1細胞よりも少ないことがあり得る。
【0270】
他のいくつかの場合では、音波または放射線にさらされる身体部分または体積に特に含まれる病理学的または健康な細胞の数は、特に体の部位のcm3あたり1、10、103、105、107、109、1020、1050または10100の細胞より多いことがある。
【0271】
さらに他のいくつかの場合、特に音波または放射線にさらされる身体部分または体積に含まれる病理学的細胞の数と健康な細胞の数との間の比は10100、1050、1020、1010、105、103、102、10、5、2または1以下であり得る。
【0272】
さらに他のいくつかの場合では、特に音波または放射線にさらされる身体部分または体積に含まれる病理学的細胞の数と健康な細胞の数との間の比は、1、2、5、10、103、105、1020または10100より大きいことがある。
【0273】
本発明の別の実施形態では、身体部位、健康部位または病理学的部位、またはナノ粒子領域は、それぞれm、m2、またはm3で測定して103、1、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、または10-9または10-20よりも大きい長さ、表面積、または体積を有する。
【0274】
本発明の別の実施形態では、身体部位、健康部位または病理学的部位、またはナノ粒子領域は、それぞれm、m2、またはm3で測定された103、1、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、または10-9よりも小さい長さ、表面積、または体積を有する。
【0275】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、身体部分に直接投与される場合、または身体部分の近く、特に身体部分から1、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6または10-9m以下で投与される場合、身体部分へまたは身体部分中に投与される。、この場合、ナノ粒子は、それらが投与される部位から身体部分に輸送または拡散する必要がない場合がある。
【0276】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、身体部分から遠く、特に身体部分から1、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6または10-9m以上離れて投与される場合、身体部分にまたは身体部分に投与される。この場合、ナノ粒子は、それらが投与された部位から身体部分に輸送または拡散され得る。
【0277】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、身体部分へまたはの中に注入、混合、導入、または挿入されるときに、身体部分にまたは身体部分に投与される。
【0278】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子は、それらが身体部分の10-9、10-7、10-5、10-3、1、10、25、50または75%以上を占めるときに、身体部分にまたは身体部分に投与される。なおこの百分率は、身体部分またはナノ粒子領域内のナノ粒子が占める領域の体積と身体部分の体積との間の比率であり得る。この占拠は、ナノ粒子投与後10-5、10-3、10-1、1、10、103または105分で測定された占拠に対応し得る。
【0279】
本発明の別の実施形態において、ナノ粒子は、以下の投与経路の少なくとも1つに従って身体部分へまたは身体部分中に投与される:局所、経腸、胃腸、非経口、局所、経口、吸入、筋肉内、皮下、腫瘍内、臓器内、静脈内、動脈内、血液内、または組織内。
【0280】
本発明の一実施形態では、身体部分の熱伝導率または密度、音波の速度、音波の減衰、音波の吸収、音波の弾性、または音波の音響インピーダンスは、ナノ粒子を含まない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分において少なくとも1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、50、102、103または105以上大きい。
【0281】
本発明の一実施形態では、身体部分の熱伝導率または密度、音波の速度、音波の減衰、音波の吸収、音波の弾性、または音波の音響インピーダンスは、ナノ粒子を含まない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分の方が少なくとも1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、50、102、103または105小さい。
【0282】
本発明の一実施形態では、身体部分の熱伝導率はナノ粒子を含まない身体部分よりもナノ粒子を含む身体部分で少なくとも1020、1010、105、103、102、50、10、5、2、1、10-1、10-2、10-3、10-5、10-10または10-20W/m・K(Watt/meter・kelvin)大きくなる。
【0283】
本発明の一実施形態では、身体部分の熱伝導率はナノ粒子を含まない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分で少なくとも1020、1010、105、103、102、50、10、5、2、1、10-1、10-2、10-3、10-5、10-10または10-20W/m・K(ワット/メートル・ケルビン)低くなる。
【0284】
本発明の一実施形態では、身体部分の密度は、ナノ粒子を含まない身体部分の部分におけるよりもナノ粒子を含む身体部分で少なくとも10-9、10-6、10-3、10-1、1、2、5、10、103または106g/cm3だけ大きい。
【0285】
本発明の一実施形態では、身体部分の部分の密度は、ナノ粒子を含む身体部分では、ナノ粒子を含まない身体部分の部分よりも少なくとも10-9、10-6、10-3、10-1、1、2、5、10、103または106g/cm3だけ低い。
【0286】
本発明の一実施形態では、音波の速度は少なくとも10-5、10-3、10-1、1、10、100、1000、1500、2000、3000、5000、104または106m/sだけナノ粒子を含まない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分の方が大きい。
【0287】
本発明の一実施形態では、音波の速度は少なくとも10-5、10-3、10-1、1、10、100、1000、1500、2000、3000、5000、104または106m/sだけナノ粒子を含まない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分の方が低い。
【0288】
本発明の一実施形態では、音波の減衰は、身体部分において、少なくとも10-5、10-3、10-1、1、10、100、103または105dB/cmだけナノ粒子のない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分の方が大きい。
【0289】
本発明の一実施形態では、音波の減衰は、身体部分の一部において少なくとも10-5、10-3、10-1、1、10、100、103または105dB/cmだけナノ粒子のない身体部分の部分よりもナノ粒子を含む身体部分の部分の方が低い。
【0290】
本発明の一実施形態では、音波の音響インピーダンスは、少なくとも10-3、10-2、10-1、0.5、1、1.5、2、5、10、102、104、106、109または1020MRaylまたはKg・m-2s-1だけナノ粒子を含まない身体部分の部分よりも、ナノ粒子を含む身体部分の部分で大きい。
【0291】
本発明の一実施形態では、音波の音響インピーダンスは、少なくとも10-3、10-2、10-1、0.5、1、1.5、2、5、10、102、104、106、109または1020MRaylまたはKg・m-2s-1だけナノ粒子を含まない身体部分の部分よりも、ナノ粒子を含む身体部分の部分で低い。
【0292】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子を含まない身体部分の部分とナノ粒子を含む身体部分の部分との間の身体部分の熱伝導率または密度、音波の速度、音波の減衰、音波の吸収、音波の弾性の増加、減少、または変動、または音波の音響インピーダンスは、以下の特性の少なくとも1つに起因する:
i)身体部分のナノcm3あたり、または身体部分のcm3あたり粒子濃度が10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mgより大きい、
ii)ナノ粒子サイズが10-6、10-3、10-1、1、20、50、103または106nmよりも大きい、
iii)ナノ粒子のチェーン配列、または
iv)凝集体を形成するナノ粒子。
【0293】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子を含まない身体部分とナノ粒子を含む身体部分との間の身体部分の熱伝導率または密度、音波の速度、音波の減衰、音波の吸収、音波の弾性または音波の音響インピーダンスの、増加、減少、または変動は、以下の特性の少なくとも1つに起因する、
i)mm3あたり、または身体部分のcm3あたり10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109mgより低い身体部分のナノ粒子の濃度、
ii)10-6、10-3、10-1、1、20、50、103または106nm以下のナノ粒子のサイズ。
【0294】
本発明の一実施形態では、音波処置は、医学的治療または治療を指す処置である。場合によっては、処置は、ナノ粒子または身体部分に特に適用される、音波エネルギーの強度、またはパワーを使用するか、それによるものである。場合によっては、処置は、ナノ粒子に特に適用される、音波を絡むか、音波によるか、音波に起因する可能性がある。場合によっては、処置は医学的、薬学的、免疫学的、代謝的、診断的、医療機器、薬物、生物学的、または美容効果を引き起こす。場合によっては、医学的処置は、感染症、癌、または処置的処置などの病気の処置であり得る。それは、臓器または身体部分の機能不全による病気の処置であり得る。これは、個人の身体部分の機能不全が原因である可能性がある。場合によっては、病気の診断または美容処置になる。場合によっては、細胞、特に病理学的細胞、RNA、DNA、タンパク質、脂質、または酵素などの少なくとも1、10、103、106、または109個の生体物質の死、破壊、変性、または不活化を誘発する可能性がある。細胞の死はアポトーシスまたは壊死、特にアポトーシスを介して発生する。
【0295】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ここで、医学的処置は、健康な人における細胞増殖とは異なる細胞の増殖に関連する疾患からなる次の群から選択される疾患または障害の治療である。個人、身体部分の病理学的細胞の存在に関連する疾患、個人または身体部分の病理学的部位の存在に関連する疾患、身体部分の疾患または障害または機能不全、存在に関連する疾患、放射線抵抗性または音響抵抗性細胞、感染症、自己免疫疾患、神経病理学、癌、腫瘍、少なくとも1つの癌または腫瘍細胞を含むまたはそれに起因する疾患、皮膚疾患、内分泌疾患、眼の疾患または障害、腸疾患、コミュニケーション障害、遺伝障害、神経障害、音声障害、外陰膣障害、肝臓不全、心臓障害、加熱障害、気分障害、貧血、特に鉄貧血、および人格障害。
【0296】
場合によっては、疾患または障害は、個人または身体部分のまたはそれに属する疾患または障害、または個人が苦しんでいる疾患または障害であり得る。
【0297】
本発明の一実施形態において、癌または腫瘍は、以下の群から選択される。臓器の癌、血液の癌、生体の系の癌、副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌。骨がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸/直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、心臓がん、腎臓がん、喉頭および下咽頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および中咽頭がん、骨肉腫がん、卵巣がん、膵臓がん、膵臓陰茎がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、皮膚がん、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮肉腫がん、膣がん、外陰がん、ワルデンストロームマクログロブリン血症ウィルムス腫瘍、キャッスルマン病ユーイング腫瘍、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、骨髄異形成症候群下垂体腫瘍、および妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、悪性中皮腫などの癌性疾患。
【0298】
一実施形態では、身体部分の障害または機能不全は、例えば、より急速に分裂するかまたはアポトーシスまたは壊死状態に入る細胞の機能不全、または免疫系または免疫細胞の機能不全に関連する。
【0299】
本発明の一実施形態では、医学的処置は、前述の実施形態で述べたような疾患の検出または診断であるか、またはそれを含む。
【0300】
本発明の一実施形態では、医学的処置は、貧血の処置であり、ナノ粒子は貧血、好ましくは身体の部分または化合物に含まれる物質の貧血、特に、特にナノ粒子のコアおよびまたはコーティングに含まれる鉄または物質の貧血の処置に使用される。場合によっては、貧血は、個体に含まれる物質の濃度として定義することができ、これは罹患している個体では健康な個人より1.001、1.01、1.1、2、5、10、102、105、1010または1020倍以上低い。
【0301】
場合によっては、身体部分に含まれる物質の貧血は、鉄または酸化物などのナノ粒子または化合物に含まれる物質の濃度として定義され、ナノ粒子投与前またはなしの身体部分で、ナノ粒子投与後またはナノ粒子投与ありよりも特に1.001、1.01、1.1、2、5、10、102、105、1010または1020倍低い。
【0302】
本発明はまた、貧血または貧血疾患の治療のための方法、または貧血疾患、特に鉄貧血疾患の治療に使用するためのナノ粒子、特にマグネトソームに関し、マグネトソームが、特に貧血を軽減または停止するために、個人の身体部分に投与される。
【0303】
本発明はまた、貧血疾患の治療方法に関し、この疾患は以下の群から選択される:鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏性貧血、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血、骨髄疾患に伴う貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、サラセミア、悪性貧血、ファンコニ貧血、鉄芽球性貧血、先天性赤芽球性貧血(CDA)、ダイヤモンド-ブラックファン貧血、および巨赤芽球性貧血。場合によっては、貧血は、血液中の赤血球(RBC)またはヘモグロビンの総量の減少、または血液の酸素運搬能力の低下である。
【0304】
本発明は、貧血または貧血疾患の治療方法にも関し、治療は、ナノ粒子、特にマグネトソームからの鉄または遊離鉄の放出または解離に起因するかまたは関与するかまたは引き起こされる。場合によっては、ナノ粒子、特にマグネトソームによって放出される鉄の割合は、10-5、10-3、10-1、1、5、10、50、75、90または99%よりも大きい。他の場合には、ナノ粒子、特にマグネトソームによって放出される鉄の割合は、100、99、90、75、50、10、5、1または1%以下である。場合によっては、この割合はQFI/QIMの比率になり、ここでQFIはナノ粒子、特にマグネトソームによって放出される遊離鉄の量であり、QIMはナノ粒子、特にマグネトソームに含まれる鉄の総量である。他のいくつかの場合、この割合はSMFI/SM比であり、ここでSMFIはナノ粒子、特にマグネトソームから遊離鉄が放出された後に測定されたナノ粒子、特にマグネトソームのサイズ、SMはナノ粒子、特にマグネトソームから遊離鉄が放出される前に測定されたナノ粒子、特にマグネトソーム中のナノ粒子のサイズである。
【0305】
本発明は、ナノ粒子、特にマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量が個体の身体部分に含まれる鉄の量よりも多い貧血または貧血疾患の治療方法にも関する。場合によっては、ナノ粒子、特にマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量は、身体部分に含まれる鉄の量よりも1.00001、1.1、2、5、10または50倍以上大きくなる。他の場合には、ナノ粒子、特にマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量は、特に治療が開始される前の個人の身体部分に含まれる鉄の量より1.00001、1.1、2、5、10または50以上の係数で大きい。他の場合には、ナノ粒子、特にマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量は、10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-2、10-1、1、10または103ナノ粒子、特にマグネトソームあたりグラム、またはナノ粒子、特にマグネトソーム1グラムあたりのグラム、またはナノ粒子、特にマグネトソームを特に含む身体部分のcm3あたりのグラムである。
【0306】
本発明は、貧血または貧血疾患の治療方法にも関し、そこではナノ粒子、特にマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量がナノ粒子、特にマグネトソームあたりの遊離鉄のグラムで、またはナノ粒子、特にマグネトソーム1グラムあたりのグラムで、またはナノ粒子、特にマグネトソームを特に含む身体部分のcm3あたりのグラムで10100、1050、1020、1010、105、103、10、1、10-1、10-5、10-10または10-50以下である。
【0307】
本発明はまた、貧血または貧血疾患の治療のための方法に関し、ここで、治療は以下によるものであるか、またはそれに起因する、または引き起こされる。
i)細胞内のナノ粒子の内在化、
ii)細胞からのナノ粒子の外部化、
iii)ナノ粒子の構造、形状、組成、サイズ、サイズ分布、表面電荷の変化、およびまたは
iv)ナノ粒子への放射線または音波の適用。
【0308】
場合によっては、ナノ粒子の特性の変化は10-50、10-10、1、5、10または50%を超える変動であり、なおここでナノ粒子の特性はナノ粒子の構造、幾何形状、組成、サイズ、サイズ分布、または表面電荷であり得る。他の場合には、ナノ粒子の特性の変化は、この特性の100、99、90、80、70、50、25、10または5%以下の変動である。場合によっては、この割合はPAT/PBTに等しくなる場合があり、PATとPBTは、それぞれ貧血治療前後のこのプロパティの値である。
【0309】
本発明はまた、放射がX線、光波、マイクロ波、電波、および音波からなる群から選択される貧血または貧血疾患の治療方法に関する。場合によっては、ナノ粒子に放射線を照射すると、ナノ粒子から解離または放出される遊離鉄の量が、特に1.0001、1.1、2、5、10、103、105または1010の係数で増加する。ここでこの係数はQFIR/QFIと等しく、QFIRとQFIは、それぞれナノ粒子に放射線を照射した後と照射する前に、ナノ粒子から放出または解離した遊離鉄の量である。
【0310】
本発明はまた、貧血または貧血疾患の治療のための方法に関し、ここで、放射線の出力は、身体部分の10-10と1010の間のワットまたはcm3あたりワットまたは身体部分cm3あたりワットまたは細胞当たりのワットである。
【0311】
本発明はまた、放射線がナノ粒子に連続的に照射される貧血または貧血疾患の治療方法に関し、そこではシーケンスは以下のステップを含む。
i)時間t1:放射線の適用中
ii)時刻t2の間:放射線の非適用またはt1のときよりも低い電力の放射線の適用中。
【0312】
場合によっては、ナノ粒子またはマグネトソームに放射線を逐次適用すると、ナノ粒子またはマグネトソームから解離または放出される遊離鉄の量が、特に1.0001、1.1、2、5、10、103、105または1010、以上の係数で増加し、ここでこの係数はQFISR/QFIRに等しくなり、QFISRとQFIRは、それぞれナノ粒子またはマグネトソームに放射線を連続照射した、および放射線を非連続的に照射した後の、ナノ粒子またはマグネトソームから放出または解離した遊離鉄の量である。
【0313】
本発明の一実施形態では、本発明による治療は音響力学療法である。
【0314】
いくつかの場合、音響力学療法は、i)ナノ粒子または身体部分に低強度の音波を適用するか、ii)ナノ粒子を超音波増感剤として使用することにより、治療活動を誘発する療法として定義できる。場合によっては、音響力学療法は、温度の上昇が1050、105、103、500、200、100、50、25、10、5、2または1°C、以下、およびまたは化合物の解離の割合は10-5、10-2、10-1、1、10、103または107%以上の治療と定義される。
【0315】
場合によっては、化合物の解離の割合または解離した化合物の割合は、次の比率として定義できる、
i)特に音波または放射の適用に続いてのナノ粒子に連結していない、または結合していない、または解離した化合物の数または質量、および
ii)特に音波または放射の適用の前またはなしでのナノ粒子に結合しまたは解離していない化合物の数または質量。
【0316】
他のいくつかのケースでは、音響力学療法は、温度上昇が105、103、500、200、100、50、25、10、5、2または1°C以上、および/または化合物の解離率は10-5、10-2、10-1、1、10、103または107%以下である療法として定義されます。
【0317】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ナノ粒子または身体部分への音波または放射線の適用は、身体部分またはナノ粒子の温度上昇を誘導し、それは10-10と1010、10-5と105、10-1と104°C、または1と30(摂氏度)の間である。場合によっては、身体部分またはナノ粒子の温度は、10-10と1010、10-5と105、または10-1と104°Cの間で上昇する。
【0318】
いくつかの他の場合、温度はナノのスケール、すなわち、2、5、10、103、105または109以下のナノ粒子を含むスケール、または以下よりも小さいスケールで測定され得る。i)1、2、5、10、103、105または109以下のナノ粒子またはii)105、103、102、10または1nm。
【0319】
場合によっては、温度は巨視的スケール、すなわち以下のスケールで測定され得る。i)ナノスケールより少なくとも1.001、1.1、1.2、1.5、5、10、103または105倍大きい、ii)1、10、103、105または109個のナノ粒子のサイズ、またはiii)2、5、10、103、105または109個以上のナノ粒子を含む。
【0320】
本発明の一実施形態では、音波にさらされる身体部分またはナノ粒子の温度上昇ΔTは、生理学的温度を超えるまたは音波または放射線の適用前に到達するナノ粒子の身体部分の温度以上のまたは生理学的温度以上の温度上昇である。場合によっては、ΔT=TNPBP-TBPであり、ここで、TNPBPは、音波または放射線にさらされたナノ粒子を含む身体部分の温度または温度上昇であり、TBPは、i)音波または放射にさらされたナノ粒子を含まない身体部分の温度または温度上昇である、ii)音波または放射にさらされていないナノ粒子を含まない身体部分の温度または温度上昇である。他のいくつかのケースでは、ΔTは以下で発生または測定され得る、i)ナノ粒子を含む身体部分で、ii)ナノ粒子領域で、iii)ナノ粒子のない身体部分で、iv)ナノ粒子のない身体部分およびナノ粒子領域で、またはv)ナノ粒子領域で、かつナノ粒子のない身体部分でないところで。ナノ粒子を含まない身体部分よりも、ナノ粒子を含む身体部分またはナノ粒子領域でより大きな温度上昇が生じることが好ましい場合がある。
【0321】
場合によっては、温度上昇ΔTは、ナノ粒子に逐次に適用される音波または放射に対して測定または発生する温度と、ナノ粒子に連続的に適用される音波または放射に対して測定または発生する温度との差になる。
【0322】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ナノ粒子または身体部分への音波または放射線の適用は、0.01、0.1、1、2、5、10、30、50、100または1000°Cよりも大きい身体部分またはナノ粒子の温度上昇を誘発する。場合によっては、音波または放射線がナノ粒子または身体部分に加えられると、ナノ粒子の温度が0.01、0.1、1、2、5、10、30、50、100、または1000°Cを超えて上昇する。
【0323】
本発明の一実施形態では、音波または放射、好ましくは音波または放射周波数は熱的である。この場合、音波または放射は温度の上昇を引き起こし、特に0.1、1、2、5、10、102または103°Cより大きくなる。熱音波の周波数は、特に10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、1010または1020Hzより大きくなる。
【0324】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、ここで、ナノ粒子または身体部分への音波または放射線の適用は、身体部分またはナノ粒子の温度上昇を誘導し、それは10100、1050、1020、1010、105、103、102、50、30、10、5、2、1、0.1または0.01°C以下である。場合によっては、音波または放射線がナノ粒子または身体部分に適用されると、身体部分またはナノ粒子の温度は103、102、50、30、10、5、2、1または0.1°C以下しか上昇しない。
【0325】
本発明の一実施形態では、音波または放射の周波数は非熱的である。この場合、音波または放射の周波数は、温度の上昇を引き起こさないか、103、102、10、5、2、1または0.1°C以下の温度上昇を引き起こします。この場合、音波または放射の周波数は、特に1020、1010、105、103、101、1、10、10-3、10-5、10-10または10-20Hzよりも低い。
【0326】
本発明の一実施形態では、温度上昇の適切な範囲ΔTは、3℃から28℃の間である。この範囲の最小値(3°C)は、100μlの水に100μgのマグネトソームを混ぜて、1.5W/cm2の音波にさらすことで推定された。場合によっては、この最小値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020倍以上の係数で減らすか、または身体部分のナノ粒子濃度を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で減少させることによって減少させることができる。この範囲の最大値(28℃)は、組織のcm3あたり45μgのマグネトソームを1.5W/cm2の音波にさらすことで推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させることで、または身体部分のナノ粒子濃度を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で増加させることで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で増加させることができる。
【0327】
本発明の別の実施形態では、TNPBPの適切な範囲は18℃から56℃の間である。この範囲の最小値(18℃)は、100μlの水に100μgのマグネトソームを含む懸濁液を0.5W/cm2の音波にさらすことで推定された。別の実施形態では、この最小値は、強度、電力、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で減少させることにより、または1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で身体部分のナノ粒子濃度を減少させることにより、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で減少させ得る。この範囲の最大値(56℃)は、組織のcm3あたり45μgのマグネトソームを1.5W/cm2の音波にさらすことで推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で増加させることにより、または1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で身体部分のナノ粒子濃度を増加させることにより、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020倍以上増加させることができる。
【0328】
本発明のさらに別の実施形態では、TBPの適切な範囲は13℃から32℃の間である。この範囲の最小値(13°C)は、水溶液を0.5W/cm2の音波にさらすことによって推定された。場合によっては、この最小値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で減少させることにより、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020以上の係数で1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020の係数で減少させ得る。この範囲の最大値(32℃)は、組織を1W/cm2の音波にさらすことで推定された。場合によっては、この最大値は、音波の強度、パワー、または周波数を1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020を超える係数で増加させることで、1.5、2、5、10、50、102、105、107、109または1020の係数で増加させ得る。
【0329】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子への音波または放射の適用は飽和温度(ST)をもたらすか、音波または放射はSTに到達するまでナノ粒子に適用される。場合によっては、飽和温度が望ましい温度であり得る。
【0330】
本発明の一実施形態では、飽和温度に達するとすぐに、特に過熱を回避するために、音波または放射の印加が停止される。
【0331】
特に、飽和温度は、音波または放射の適用時に到達できる最高温度であるか、tsとして指定されたまたはt1またはt3である音波または放射の適用時間中1、5、10、50、75、102または103%を超えて変化しない温度を表す。
【0332】
時間。ts、t1、t3は、特に時間t1に続き、これは、音波または放射が適用され始める最初の時間である。tsがt1よりも小さい場合がある
。さらに他のいくつかのケースでは、t1/(t1+ts)は10-9、10-7、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、0.5、0.75または0.9より大きい。さらに他のいくつかのケースでは、ts/t1は10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、106または109よりも大きい。さらに他のいくつかのケースでは、ts/t1は10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、106または109より小さい。
【0333】
本発明の別の実施形態では、t1=ti+tsである。
【0334】
場合によっては、STは次のようになる。i)-270、-200、-100、-50、0、1、10、103、または105°Cより大きい。またはii)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で少なくとも1.00001、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105または109の係数でより大きい。
【0335】
他の場合には、STは次のようになる。i)1020、105、103、10、1、-100または-200°Cより低い、またはii)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で少なくとも1.00001、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105または109で下がる。
【0336】
さらに他のいくつかのケースでは、STは-270と1050、-100と1020、0と1010、10と105、37と103、または41と103°Cの間である。
【0337】
本発明の一実施形態では、STの値の適切な範囲は、初期温度が生理学的温度であることを考慮して表2から推定されるように、(37±4)°Cから(73±4)°Cである。場合によっては、この範囲の最小値(37±4)°Cは、例えば、身体の部分の温度を下げる装置や氷などの物質を使用するか、音波の強度、出力、周波数を下げるか、ナノ粒子の濃度を下げることにより、特に身体部分の温度が下がったときに、たとえば1、5、10、20、50、または100°C以上低減させ得る。いくつかの他の場合、この範囲の最大値(73±4)°Cは、例えば、身体部分の温度を上げる機器や物質を使用するか、音波の強度、出力、周波数を上げるか、ナノ粒子の濃度を上げることにより特に身体部位の温度を上昇させると、例えば1、5、10、20、50、または100°C以上に上昇させ得る。
【0338】
本発明の一実施形態では、特にナノ粒子に音波または放射線を適用する前または適用しないで、特に身体部分に投与される化合物をナノ粒子に結合または付着させる。
【0339】
本発明の一実施形態では、以下の場合、化合物はナノ粒子に付着するか、ナノ粒子から解離しない、
i)ナノ粒子から105、103、100または10nmよりも短い距離に位置する場合、
ii)ナノ粒子に結合または連結する場合、特に、水素、ファンデルウォール、ロンドン、共有結合、金属結合、またはイオン結合を介して、
iii)ナノ粒子から化合物を磁気的に分離できない、
iv)ナノ粒子に結合または連結した、または10、1 、10-1、10-3、10-6または10-9cm以下の距離にある化合物の割合が99、90、75、50、30、20、10、5、2または1%よりも大きい、なおこの割合は、磁気分離前のナノ粒子に結合または関連付けられた化合物の数または質量と、磁気分離後のナノ粒子にリンクまたは関連付けられた化合物の数または質量との比率であり得る。
【0340】
本発明はまた、本発明による使用のためのナノ粒子に関し、そこでは化合物がナノ粒子に付着しても、音波のナノ粒子への適用がナノ粒子からの化合物の解離を誘発する。
【0341】
場合によっては、化合物は次の場合にナノ粒子に連結しないかまたは結合しないか、ナノ粒子から解離することがある。
i)それがナノ粒子またはナノ粒子の表面またはナノ粒子のコーティングから10-3、10-1、1、5、10、100、103または105nmより大きいまたは1と1010nmの距離にある。
ii)ナノ粒子に、水素、ファンデルウォール、ロンドン、共有結合、金属結合、またはイオン結合を介して結合または連結されていない、
iii)ナノ粒子は、特にナノ粒子を引き付ける磁石を使用して化合物から磁気的に分離できる、
iv)ナノ粒子に関連または連結している、またはナノ粒子から10、1 、10-1、10-3、10-6または10-9cm以下の距離にある化合物の割合が99、90、75、50、30、20、10、5、2または1%以下である。
【0342】
場合によっては、磁気分離は、ナノ粒子に強度が空間的に変化する磁場を適用し、特に強度が10、1、10-1、10-3または10-9T以下の磁石を使用することにより、ナノ粒子から化合物を分離することで成立し得る。この強度は、表面または磁石の近くで特に測定され、磁石から離れるにつれて減少する。
【0343】
他の場合には、化合物はナノ粒子に結合または結合するか、ナノ粒子から解離しないことがある。この場合、ナノ粒子またはナノ粒子の表面またはナノ粒子のコーティングから、10100、1050、1010、105、102、10、5、2または1nm以下、または10-3と1nmの間の距離に配置され得る。
【0344】
特に、化合物は、音波または放射の適用なしでナノ粒子に付着し、音波または放射の適用下でナノ粒子から解離する。
【0345】
本発明の一実施形態では、音波または放射は、特にナノ粒子からの化合物の解離後、化合物の運動、振動、または振動に関連する、連結する、誘導する、生成する、結果になる、責任がある、または作成する。
【0346】
本発明の一実施形態では、化合物は、治療用、免疫原性、代謝性、発光性、蛍光性、放射性、診断用、生物学的、または化学的化合物である。場合によっては、化合物は、1、10、102、103、105、107、1010、1020または1050を超える化合物の集合体であるか、それを表し得る。ナノ粒子に特に連結または結合する。場合によっては、音波または放射の適用下で、化合物がナノ粒子から解離する可能性がある。場合によっては、10-5、10-3、10-1、1、5、10、25、50、75、85または90%を超える化合物がナノ粒子から解離する。この割合は、音波または放射の適用後または適用中にナノ粒子から解離した化合物の量と、音波または放射の適用前または適用前にナノ粒子に結合または結合した化合物の量との比率である。場合によっては、1つのナノ粒子にリンクまたは結合された化合物の数が1、2、5、10、103、105または1010を超える。他の場合には、1つのナノ粒子にリンクまたは結合された化合物の数が2、5、10、103、105または1010以下である。さらに他のいくつかのケースでは、解離する化合物の割合は、ナノ粒子への音波または放射の適用の前と後の間に少なくとも1.01、1.1、2、5、7、10、102または105倍に増加する。
【0347】
本発明の一実施形態では、化合物はナノ粒子の一部である。この場合、それは特にイオン形態であり、特にナノ粒子または身体部分への音波または放射の適用の最中または後に、特にナノ粒子の溶解または分解後に、特に身体部分へのへのナノ粒子の投与後に、ナノ粒子から特に解離または漏出または拡散する遊離鉄または遊離酸素であり得る。
【0348】
本発明の別の実施形態では、単一のナノ粒子に特に結合する化合物の質量、数、または重量と、単一のナノ粒子の質量、数、または重量との間の比は、1020、109、105、102、2、1、10-2、10-5、10-9または10-20よりも小さい。
【0349】
本発明の別の実施形態では、単一のナノ粒子に特に結合する化合物の質量、数、または重量と、単一のナノ粒子の質量、数、または重量との比は、1020、109、105、102、1、10-2、10-5、10-9または10-20よりも大きい。
【0350】
本発明の一実施形態では、単一のナノ粒子に特に結合する化合物の数の値の適切な範囲は1~178であり、この最小値1は単一のナノ粒子に結合できる化合物の最小数に対応し、また、178の最大値は、参照として組み込まれた特許WO2017/068252の単一マグネトソームにリンクされ、少なくとも部分的に単一マグネトソームから解離することができるRhB分子の数に対応する。場合によっては、178のこの最大値は、いかによって、特に5、10、103、107、1010、または1020、以上の係数で増加できる。
i)ナノ粒子に結合した化合物のサイズまたは質量を特に1.1、2、5、10、103、107、1010、または1020以上の係数で小さくする、
ii)化合物とナノ粒子間の結合のタイプを変更する、または
iii)ナノ粒子への化合物を結合または結合する方法を変更する。
【0351】
本発明の重要な実施形態では、音波または放射の逐次の適用は、特に、少なくとも1つのシーケンス中に、音波の放射の連続適用を使用することにより到達する最大温度よりも低い温度または最大温度に到達するために使用されまたは可能にする。一方では、音波または放射を連続的に適用する場合と比較して、より低い温度で加熱することにより毒性が低くなる可能性がある。一方、少なくとも1つのシーケンス中に温度勾配、またはナノ粒子の速度または動きの勾配を生成することにより、より高い効率、特に抗腫瘍または抗癌効果が得られ、本発明で開示される処置の少なくとも1つのメカニズムは、音波または放射の連続的な適用よりも大きい。
【0352】
本発明はまた、本発明によるナノ粒子の使用に関し、そこでは、身体部分またはナノ粒子上の音波または放射線の逐次適用が以下を誘導する:
i)身体部分またはナノ粒子の一連の温度上昇とそれに続く身体部分またはナノ粒子の温度低下、およびまたは
ii)ナノ粒子からの化合物の一連の解離とそれに続くナノ粒子からの化合物の非解離。
【0353】
本発明の一実施形態では、音波または放射線は、次の場合に、特に身体部分またはナノ粒子に逐次的に適用される。
i)時間の経過とともに連続的に適用されない、
ii)時間の経過とともに連続的な電力、強度、または周波数が適用されない、または
iii)少なくとも1つのシーケンスを作成、関連付け、または生成する。
【0354】
場合によっては、時間t1は音波または放射の適用期間である。
【0355】
他のいくつかの場合、時間t2は、音波または放射の非適用の期間である。
【0356】
さらに他のいくつかの場合、時間t3は音波または放射の適用期間であり、その強度、エネルギー、電力、または周波数は、時間t1またはtの間にナノ粒子に加えられるものよりも低い。
【0357】
場合によっては、シーケンスは、時間t1の間の音波または放射の適用に対応し、または時間t2の間の音波または放射の非適用がその後に続き得る。
【0358】
他のいくつかの場合では、シーケンスは、時間t1の間に音波または放射を適用した後、時間t3の間に別の音波または放射を適用し得る、ここで時間t3の間に加えられた音波または放射は、時間t1の間に加えられた音波または放射の強度、電力、エネルギー、または周波数よりも低い。
【0359】
本発明の一実施形態では、時間t1は加熱ステップの持続時間である。
【0360】
本発明の一実施形態では、加熱ステップは、身体部分またはナノ粒子の温度が上昇するステップである。
【0361】
本発明の一実施形態では、加熱工程の温度上昇は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
i)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で大きい。
ii)t2またはt3よりもt1の方が大きい、
iii)10-20、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、25、50、100、200、500、103、105または109°Cよりも大きいか、大きさを持つ。
iv)初期温度上昇につながるか、または初期温度上昇を特徴とし、またこれは、時間による温度上昇の初期勾配ΔT/δtとも呼ばれ、10-40、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、102、103または105°C/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたりで測定される°C/秒、またはナノ粒子または身体部分のcm3あたりで測定される°C/秒より大きい。
v)、加熱ステップ中に到達する最大温度が25、30、37、39、41、45、50、100、103、105、109または1011°C以下である、または
vi)ナノ粒子の非存在下で音波または放射を適用することにより到達する温度上昇より少なくとも10-5、10-3、10-1、1、2、5、または10、103、105、または109°C以上大きい。
【0362】
本発明の別の実施形態では、加熱ステップの温度上昇は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
i)それより低いか、または1050、109、105、103、10、5、2、1、10-1、10-3または10-5°C以下の大きさを有する、
ii)1050、1020、1010、103、102、10、5、2、1、10-1、10-3、10-5、10-7、10-10、10-20または10-40°C/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたりで測定した°C/秒または、ナノ粒子または身体部分のcm3ごとに測定した°C/秒より小さいΔT/δtの値になるか、またはそれによって特徴付けられる、
iii)加熱ステップ中に到達する最大温度が1011、109、105、103、100、50、45、41、39、37、30、25、10、5、0、-100、-200または-273°C以下に止まる、
iv)ナノ粒子の非存在下で音波または放射を適用することにより到達される温度上昇よりも少なくとも10-50、10-5、10-3、10-1、1、2、5、または10、103、105、または109°C低い、または
v)10100、1040、1020、105、103、102、10、5、2、1、10-1、10-3、10-5、10-7、10-20または10-40 ℃/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたりで測定される°C/秒、またはナノ粒子または身体部分のcm3あたりで測定される°C/秒より小さいΔT/δt値になる、またはそれによって特徴付けられる。
【0363】
本発明の一実施形態では、特に加熱工程の温度上昇またはこの上昇の初期勾配は、以下で測定されるかまたは発生する:i)生理学的温度、ii)加熱ステップ、iii)冷却ステップ中の個人または身体部分の温度、またはiv)ナノ粒子なしで身体部分に音波または放射を適用することにより到達する温度上昇。
【0364】
本発明の一実施形態では、加熱工程中に特に発生または測定される温度上昇は、以下で測定された温度間の温度差である:
i)音波または放射の適用後および前、
ii)開始およびt1の終了時。
【0365】
場合によっては、加熱ステップ中に特に発生または測定される温度上昇は、10-20、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103または105°Cを超え得る。
【0366】
いくつかの他の場合、加熱ステップ中に特に発生または測定される温度上昇は、1020、105、103、102、10、1、10-1、10-2または10-3°Cより低くなり得る。
【0367】
さらに他のいくつかのケースでは、加熱ステップ中に特に発生または測定される温度上昇は、10-50と1050、10-5と1050、10-1と1010、10-5と103、または10-2と103°Cの間である。
【0368】
さらに他のいくつかのケースでは、加熱ステップ中に特に発生または測定される温度上昇は、ナノ粒子の非存在下よりも存在下で10-50、10-20、10-5、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103または105°Cだけ高くなり得る。
【0369】
本発明の一実施形態では、温度上昇の大きさの適切な範囲は、表2から推測されるように、0℃から36℃の間である。場合によっては、この範囲の最大値(36°C)は、たとえば、身体部分の温度を上げる機器や物質を使用したり、音波の強度、出力、周波数を上げたり、ナノ粒子の濃度を上げたりして特に身体部分の温度が上昇したときに、たとえば1、5、10、20、50または100°C以上上昇し得る。
【0370】
本発明の一実施形態では、音波または放射の連続的な適用の場合、t2および/またはt3=0秒である。
【0371】
場合によっては、t1、t2、および/またはt3は、合計期間n・(t1+t2)またはn・(t1+t3)の終わりに、特に音波または連続時間n・t1の放射の連続印加の終わりに到達した温度より少なくとも1.00001、1.1、2または5の係数で低い温度に到達するように選択する。ここで音波または放射の加熱時間は逐次および連続的の適用で同じとする。nは1~10100の整数である。
【0372】
本発明はまた、本発明に従って使用するためのナノ粒子に関し、ナノ粒子または身体部分への音波または放射線の適用は、好ましくは少なくとも1つの加熱ステップ中に温度上昇を誘導し、それは
i)病理学的部位で10-10、10-5、10-3、10-1、1、5または10°Cを超える、および/または
ii)特に病理学的部位を囲む健康な部位で1010、105、103、100、50、20、10、5、2、1、10-1、10-5または10-10°C以下である
【0373】
本発明の別の実施形態では、時間t2またはt3は冷却ステップの持続時間である。
【0374】
本発明の一実施形態では、冷却ステップは、身体部分の温度が低下するステップである。場合によっては、冷却ステップの温度低下は、この低下の大きさまたは絶対値になり得る。
【0375】
本発明の一実施形態では、冷却ステップの温度低下は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
i)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で大きい、
ii)t1の間よりもt2またはt3の間でより大きい、
iii)10-20、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、25、50、100、200、500、103、105または109°Cより大きい、
iv初期温度低下につながるか、または初期温度低下を特徴とし、これは、時間に伴う温度低下の初期勾配ΔT/δtとも呼ばれ、°C/秒、または°C/秒ナノ粒子、または身体部分のcm3あたり°C/秒で測定した場合10-40、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、102、103または105以上である。
v)冷却ステップ中に到達する最低温度が--273、-150、-100、-75、-50、-30、-10、0、5、10、25、30、37、39、41、45、50、100、103、105、109または1011°C以上のままであること、
vi)ナノ粒子の非存在下での音波の非適用によって到達した温度低下よりも少なくとも10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、103、105または109°Cだけ大きい、または
vii)それはΔT/δt値となるかそれによって特徴付けられ、その値は℃/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたり°C/秒、またはナノ粒子または身体部分のcm3あたり°C/秒で測定して10-40、10-20、10-10、10-7、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、102、103または105より大きい。
【0376】
本発明の別の実施形態では、冷却工程の温度は、以下の特性の少なくとも1つを有する:
i)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で低い、
ii)1050、109、105、103、10、5、2、1、10-1、10-3または10-5°Cより低い、
iii)これは、ΔT/δtの値となるか、またはそれによって特徴付けられ、その値は℃/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたり°C/秒、またはナノ粒子または身体部分のcm3あたりで測定される°C/秒で測定され1050、1020、1010、103、102、10、5、2、1、10-1、10-3、10-5、10-7、10-10、10-20または10-40以下である、
iv)冷却ステップ中に到達する最低温度が1011、109、105、103、100、50、45、41、39、37、30、25、10、5、0、-100、-200または-273°C以下に留まる、
v)ナノ粒子非存在下で到達する温度低下よりも少なくとも10-50、10-5、10-3、10-1、1、2、5、または10、103、105、または109°Cだけ低い、または
vi)これは、ΔT/δtの値となるか、またはそれによって特徴付けられ、その値は℃/秒またはナノ粒子または身体部分のグラムあたり°C/秒、またはナノ粒子または身体部分のcm3あたりで測定される°C/秒で測定され10100、1040、1020、105、103、102、10、5、2、1、10-1、10-3、10-5、10-7、10-20または10-40より低い、
【0377】
本発明の一実施形態では、温度低下、特に冷却ステップの温度低下の初期勾配が以下で測定されるか、発生する。
i)冷却ステップなし、冷却ステップの前後の個人または身体部分の温度、または
ii)加熱ステップ中の個人または身体部分の温度。
【0378】
本発明の一実施形態では、冷却ステップ中に特に発生または測定される温度低下は、t2またはt3の開始と終了の間で測定される温度間の温度差である。
【0379】
場合によっては、冷却ステップ中に特に発生または測定される温度低下は、10-20、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103または105°Cより大きくなる場合がある。
【0380】
いくつかの他のケースでは、冷却ステップ中に特に発生または測定される温度低下は、1020、105、103、102、10、1、10-1、10-2または10-3°Cよりも低くなる可能性がある。
【0381】
さらに他のいくつかのケースでは、冷却ステップ中に特に発生または測定される温度低下は、10-50と1050、10-5と1050、10-1と1010、10-5と103、または10-2と103°Cの間である。
【0382】
さらに他のいくつかのケースでは、冷却ステップ中に特に発生または測定される温度低下は次であり得る、
i)ナノ粒子の非存在下よりも存在下で場合によっては10-50、10-20、10-5、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103または105°C大きい、および/または
ii)いくつかの他の場合ではナノ粒子の非存在下よりも存在下で10-50、10-20、10-5、10-3、10-2、10-1、1、10、102、103または105°C低い。
【0383】
本発明の一実施形態では、時間t1は、解離ステップの持続時間であり、解離ステップは、化合物がナノ粒子から解離するステップである。
【0384】
場合によっては、0.01、0.1、1、5、10、25、50、75、80または90%を超える化合物が、特に解離ステップ中にナノ粒子から解離されまたは解離する。
【0385】
他の場合には、100、99、90、80、75、50、20、10、5、2、1または0.1%以下の化合物が、特に解離ステップ中にナノ粒子から解離されまたは解離する。
【0386】
さらに他のいくつかの場合では、特に解離工程中に、10-1と100、1と99、1と50、または2と10%の間の化合物がナノ粒子から解離されまたは解離する。
【0387】
この割合は、ナノ粒子から解離した化合物の数または濃度または質量をナノ粒子から解離していない化合物および/またはナノ粒子に付着していない化合物の総数または濃度または質量で除算した比率に等しい。
【0388】
本発明の別の実施形態では、時間t2またはt3は非解離ステップの持続時間であり、非解離ステップは化合物がナノ粒子から解離しないステップである。
【0389】
場合によっては、ナノ粒子から解離されまたは解離する化合物の割合が、解離ステップ中に到達または取得した値より特に1.00001、1.1、1.2、1.5、2、5、10、105または1010の係数で低い場合、化合物はナノ粒子から解離しない。
【0390】
場合によっては、t2の値はt1の値と同じであり得る。
【0391】
本発明の一実施形態では、時間t1、t2、またはt3は、10-3、10-2、10-1、1、10、102または103、105、1020、10100または101000分よりも短い。場合によっては、t1、t2、またはt3は、10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109秒よりも短くなります。
【0392】
本発明のさらに別の実施形態では、時間t1、t2、またはt3は、10-3、10-2、10-1、1、10、102、または103分よりも長い。場合によっては、t1、t2、またはt3は、10-100、10-50、10-20、10-9、10-7、10-5、10-3、10-1、1、10、103、105、107または109秒よりも長い。
【0393】
本発明の一実施形態では、時間t1、t2、またはt3は、パルスの時間よりも、好ましくは少なくとも1.1、1.5、2、5、10、102、103、105、107、109、1012、1015または1020の係数で短い。
【0394】
本発明のさらに別の実施形態では、時間t1、t2、またはt3は、パルスの時間よりも特に少なくとも1.1、1.5、2、5、10、102、103、105、107、109、1012、1015または1020の係数で長い。
【0395】
本発明のさらに別の実施形態において、パルスは、音波または放射、特に106、103、1、10-3、10-6または10-9よりも短い時間中の音波または放射の電力、エネルギー、または強度のナノ粒子または身体部分への適用として定義される。
【0396】
本発明の一実施形態では、比率t1/t3、またはt2/t3は、10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109、1020、1050または10100より小さい。
【0397】
本発明のさらに別の実施形態では、比率t1/t3、またはt2/t3は、10-100、10-50、10-20、10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、106または109より大きい。
【0398】
本発明の一実施形態では、t3中に印加される音波または放射強度、エネルギー、電力、または周波数は、t1の間に適用された音波または放射強度、エネルギー、電力、または周波数よりも少なくとも1.1、1.3、1.5、2、5、10、102、103、105、107または109低い。
【0399】
本発明の一実施形態では、値の適切な範囲は、t1では0.2と0.43分の間であり、t2では0.2と0.36分の間である。この範囲の最小値と最大値は、例1(c)で説明したように、100μlの水に混合した500μgのマグネトソームを1.5W/cm2の音波と周波数3MHzに連続して曝露し、2つの異なるシーケンス間のt1およびt2値の最小値と最大値を予測することで予測された。
【0400】
本発明の別の実施形態では、t1またはt2値の範囲の最小値を、例えば、1.5、2、5、10、103、106または109以上の係数で減少させることができる。これは、身体部分中のナノ粒子の量を、例えば1.5、2、5、10、103、106または109以上の係数で減らすことにより、異なるシーケンス間で身体の部分から離れるナノ粒子の拡散またはナノ粒子の分解を減少させることにより達成できる。これは、音波のパワー、強度、または周波数を、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109以上の係数で増やすことによっても実現できる。これは、ナノ粒子を含まない身体部分の吸収を減少させることで、そして特にこの吸収から生じる温度変動を減少させることによって実現できる。t1およびt2については、これは身体部分を加熱する(t1への効果を求めるため)か、身体部分を冷却する(t2への効果を求めるため)特に化合物またはナノ粒子とは異なる装置、物質を使用して達成できる。
【0401】
本発明の別の実施形態では、t1またはt2の値の範囲の最大値を、例えば1.5、2、5、10、103、106または109以上の係数だけ増加させることができる。これは、身体部分中のナノ粒子の量を、異なるシーケンス間の身体部分からのナノ粒子拡散の増加またはナノ粒子分解の増加により、例えば1.5、2、5、10、103、106または109の係数で減少させることで達成される。これは、音波のパワー、強度、または周波数を、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109倍以上減らすことによっても実現できる。これは、ナノ粒子を含まない身体部分の吸収を増やすことによっても、および特にこの吸収から生じる温度変化を増加させることによって、実現できる。t1およびt2の場合、これは化合物またはナノ粒子とは特に異なる身体部分を加熱する(t1への効果を求めるため)か、身体部分を冷却する(t2への効果を求めるため)装置、物質を使用して達成できる。
【0402】
場合によっては、特に持続時間t1、t2、またはt3の加熱、冷却、解離、または非解離ステップ、特に持続時間t1+t2またはt1+t3のシーケンスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、250、500、102、103、105、107または109回より多く繰り返すことができる。
【0403】
場合によっては、処置は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、250、500、102、103、105、107または109以上のシーケンスを含み得る。
【0404】
いくつかの他の場合では、処置は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、250、500、102、103、105、107または109以下のシーケンスを含み得る。
【0405】
本発明の一実施形態では、時間t1、t2、またはt3は、2つのシーケンス間で99.9、99、90、75、50、25、10または10-1%以上は変化しない。場合によっては、この変動の割合は(t1-t1')/t1、(t2-t2')/t2の絶対値、または(t3-t3')/t3として推定できる。ここで、t1およびt1'、t2とt2'、またはt3とt3'は、2つの異なるシーケンスに属する2つの異なる加熱/解離ステップまたは冷却/非解離ステップの持続時間である。
【0406】
本発明の一実施形態では(t1-t1')/t1の適切な割合の範囲は5%~43%であり、(t2-t2')/t2の適切な割合の範囲は5%~44%である。これらの範囲の最小値と最大値は、例1(c)で説明したように、100μlの水に混合した500μgのマグネトソームを1.5W/cm2の音波と周波数3MHzに逐次的に曝露し、2つの異なるシーケンス間のt1およびt2値の最小および最大変動を予測して、予測される。
【0407】
本発明の一実施形態では、持続時間(t1+t2)または(t1+t3)は、2つの異なる配列間で99.9、99、90、75、50、25、10または10-1%を超えては変化しない。場合によっては、この変動の割合は、[(t1+t2)-(t1+t2)']/(t1+t2)、または[(t1+t3)-(t1+t3)']/(t1+t3)の絶対値として推定でき、ここで(t1+t2)と(t1+t2)’、または(t1+t3)と(t1+t3)'は、2つの異なるシーケンスの継続時間である。
【0408】
本発明の一実施形態では、[(t1+t2)-(t1+t2)']/(t1+t2)のパーセンテージの適切な範囲は、2%から35%の間である。これらの範囲の最小値と最大値は、例1(c)で説明したように、100μlの水に混合した500μgのマグネトソームを1.5W/cm2と周波数3MHzの音波に逐次的に曝露し、2つの異なるシーケンス間の(t1+t2)値の最小および最大の変動を求めることによって、推定できる。
【0409】
本発明の別の実施形態では、値(t1-t1')/t1、(t2-t2')/t2、[(t1+t2)-(t1+t2)']/(t1+t2)は、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109の係数で減少させることができる。これは、身体部分のマグネトソームの量を、異なるシーケンス間で身体部分からのナノ粒子の拡散またはナノ粒子の分解を減少させることにより、例えば1.5、2、5、10、103、106または109倍以上増加させることで、達成できる。これは、音波のパワー、強度、または周波数を、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109倍以上増やすことによっても実現できる。これは、ナノ粒子を含まない身体部分の吸収を減らすことによって、および特にこの吸収から生じる温度上昇を減少させることによって、実現できる。
【0410】
本発明の別の実施形態では(t1-t1')/t1、(t2-t2')/t2、[(t1+t2)-(t1+t2)']/(t1+t2)の値によって与えられる範囲の最大値は、たとえば50、70、80、90、95、99または99.9%まで増やすことができる。これは、身体部分から離れるナノ粒子の拡散または異なるシーケンス間のナノ粒子の分解を減らすことでナノ粒子の量を、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109以上の係数で減少させて、達成できる。これは、音波のパワー、強度、または周波数を、たとえば1.5、2、5、10、103、106または109の係数で減らすことによっても実現できる。これは、ナノ粒子を含まない身体部分の吸収を増やすことによって、特にこの吸収から生じる温度上昇を増加させることによって、実現できる。
【0411】
本発明の一実施形態では、処置は、1、2、5、10または103以上のセッションを含むことができ、これには以下を含む、
i)1、5、10、または100を超えるシーケンス、
ii)一連の加熱または解離ステップとそれに続く冷却または非解離ステップ。
【0412】
場合によっては、セッションは1、5、10、20、50、102、103または105分以上続き得る。
【0413】
その他の場合、セッションは1050、1020、1010、105、103、10、5、2または1分以下だけ続き得る。
【0414】
さらに他のいくつかのケースでは、各セッションは、1、5、10、102、103、105、1010または1050分以上の時間の経過によって分離し得る。
【0415】
さらに他のいくつかのケースでは、各セッションは、1050、1010、105、103、103、102、10、5または1分以下の時間経過で分離し得る。
【0416】
2つのセッションを分離する時間の経過は、特に時間t1、t2、t3、t1+t2、またはt1+t3よりも、特に1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、20、50、100、103、105または109以上の係数で長い。
【0417】
本発明は、音波処置または放射線処置にも関し、そこで音波または放射線は、特に逐次的に、特に空間的に逐次的にナノ粒子または身体部分に適用され、そこでは:
i)音波または放射がボリュームV1に適用される、
ii)ナノ粒子または身体部分が体積V2に含まれ、
V2はV1よりも小さい。場合によっては、ボリュームV2はV1より1.0001、1.1、1.2、2、5、10、103、105または1020以上の係数aで、または10-5、10-1、1、5、10、103または105nm3またはcm3より大きい係数または体積だけ小さいことがあり得る。他のいくつかのケースでは、ボリュームV2はV1より、1020、105、10、5または2より小さい係数aで、または10100、1050、1010、105、103、10、1または10-5nm3またはcm3より小さい係数または10100、1050、1010、105、103、10、1または10-5nm3またはcm3以下の体積だけ小さいことがあり得る。さらに他のいくつかのケースでは、ボリュームV2はV1よりも1.0001と1020、1.2と1010、または2と105の間の係数aで、または10-5と10100、10-1と1010、または1と105nm3またはcm3の間の体積だけ小さいことがあり得る。
【0418】
本発明の一実施形態では、音波または放射線は、次の場合または場所で、特にナノ粒子または身体部分に逐次適用される。
-まず、ナノ粒子を含む領域、体積、表面、または長さよりも大きい領域、体積、表面、または長さ内に音波または放射が適用される。
-第二に、ナノ粒子を含む領域、体積、表面または長さは、音波または放射を吸収し、温度上昇を引き起こし、またはナノ粒子を含まない領域、体積表面または長さ内の身体部分、病理細胞または腫瘍細胞の抗腫瘍活性または破壊を生じる。
【0419】
本発明のさらに別の実施形態では、加熱、冷却、解離、または非解離ステップは、特にナノ粒子領域が音波または放射体積の1020、1010、105、103、90、70、50、20、10または1%以下に含まれる場合、音波または放射体積の1020、1010、105、103、90、70、50、20、10または1%以下で特に発生する。これらの割合は、
i)加熱、冷却、解離、または非解離のステップが発生する体積と音波体積、または
ii)ナノ粒子が含まれる体積と音波または放射体積の比率である。
【0420】
本発明は、音波処置または放射線処置にも関し、音波または放射線は、特に逐次的に、特に空間的に逐次的にナノ粒子または身体部分に適用され、そこでは
i)音波または放射がボリュームV1に適用され、
ii)ナノ粒子または身体部分が体積V2に含まれ、
V2はV1よりも大きい。場合によっては、ボリュームV2はV1より1.0001、1.1、1.2、2、5、10、103、105または1020以上の係数aで、または10-5、10-1、1、5、10、103または105nm3またはcm3以上の係数または体積だけ大きいことがあり得る。他のいくつかの場合、ボリュームV2はV1より、1020、105、10、5または2より小さい係数aで、または10100、1050、1010、105、103、10、1または10-5nm3またはcm3より小さい係数または体積だけ大きいことがあり得る。さらに他のいくつかのケースでは、ボリュームV2はV1より1.0001と1020、1.2と1010、または2と105の間の係数aで、または10-5と10100、10-1と1010、または1と105nm3またはcm3の間の係数または体積だけ大きいことがあり得る。
【0421】
本発明の別の実施形態では、音波または放射線は、次の場合または場所で、特にナノ粒子または身体部分に逐次適用される。
-まず、ナノ粒子を含む領域、体積、表面、または長さよりも小さい領域、体積、表面、長さ内に適用される。
-第二に、音波の被曝または照射を受けていないナノ粒子を含む領域、体積、表面または長さは、温度上昇を引き起こし、または抗腫瘍活性または身体部分、病理学的または腫瘍の破壊をもたらす細胞は、キャビテーション、ナノ粒子の動き、温度上昇などのナノ粒子への音波の適用によって誘発される効果が、音波にさらされたナノ粒子から音波にさらされていないナノ粒子にメカニズムを介して伝達される。
【0422】
本発明の別の実施形態では、、特に、ナノ粒子領域が音波体積の10-10、10-5、10-1、1、10、20、50、70、90、103、105、1010または1020%以上を含む場合、加熱、冷却、解離、または非解離のステップは、特に音波または放射体積の10-10、10-5、10-1、1、10、20、50、70、90、103、105、1010または1020%以上で行われる。
【0423】
本発明は、音波処置または放射線処置にも関し、音波または放射線は、特に連続的に、特に空間的に連続的にナノ粒子または身体部分に適用される。
i)音波または放射がボリュームV1に適用され、
ii)ナノ粒子または身体部分が体積V2に含まれ、
また、V2はV1と同等または同等である。場合によっては、ボリュームV2はV1と、1.0001、1.1、1.2、2、5、10、103、105または1020よりも大きい係数aで、または係数によって変わらない場合、V1と同様または等しくすることができる。または10-5、10-1、1、5、10、103または105nm3またはcm3以上大きいボリュームである。
【0424】
本発明の一実施形態では、加熱、冷却、解離、または非解離ステップは、ナノ粒子領域またはナノ粒子領域の10-9、10-5、10-3、10-1、1、10、20、50、70、109、90または99%以上で生じ、そしてこの領域外では特に発生しない。この割合は、加熱、冷却、解離、または非解離のステップが発生する体積とナノ粒子領域の体積との比率である。
【0425】
本発明の一実施形態では、音波または放射線がナノ粒子または身体部分に適用されると、ナノ粒子による熱、ラジカルまたは反応種、気泡、キャビテーション、またはキャビテーション気泡の生成または生成が特に生じ、これは体積V2においておよび特に体積V1ではなく、または特に体積V1よりも体積V2に、特に以下の係数aで生じる:
i)1.0000001、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103または105よりも大きい場合
ii)10100、1050、1020、1010、105、102、10、5、2、1.2または1.000001よりも小さい場合、
iii)1.000001と10100、または1.1と105の間のさらに他の場合。
【0426】
場合によっては、体積V2およびまたはV1は、それぞれ
i)表面S2および/またはS1、または
ii)長さL2および/またはL1
であり、同化され、置換される。
【0427】
本発明の一実施形態では、特にt1またはt3の間に適用される音波強度、音波電力、音波電力密度、音波エネルギー、音波エネルギー密度、放射エネルギー、放射エネルギー密度、放射強度、放射電力、または放射電力密度は、10100、1050、1020、109、106、103、100、10、1、10-1、10-2または10-5WまたはW/cmまたはW/cm2またはW/cm3またはW・secまたはW・sec/cm、またはW・sec/cm2またはW・sec/cm3より低い。
【0428】
本発明の一実施形態では、特にt1またはt3の間に適用される音波強度、音波パワー、音波パワー密度、音波エネルギー、音波エネルギー密度、放射エネルギー、放射エネルギー密度、放射強度、放射パワー、または放射パワー密度は、10-100、10-50、10-20、10-9、10-6、10-2、1、10、1102または105WまたはW/cmまたはW/cm2またはW/cm3またはW・secまたはW・sec/cmまたはW・sec/cm2またはW・sec/cm3より大きい
【0429】
本発明の一実施形態では、特にt1またはt3中に適用される音波または放射の周波数は、10100、1050、1020、1010、105、103、10、1、10-3、10-6、10-9または10-20GHzよりも低い。
【0430】
本発明の別の実施形態では、特にt1またはt3中に適用される音波または放射の周波数は、10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、103、106、109または1020GHzよりも高い。
【0431】
場合によっては、音波または放射は、セル当たりまたは身体部分のmm3あたりベースで10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109または1020以下のナノ粒子またはmgのナノ粒子に適用される。
【0432】
他のいくつかの場合では、音波または放射線は、セルごと、または身体部分のmm3ごとに10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109、または1020個以上のナノ粒子またはmgのナノ粒子に適用される。
【0433】
本発明の別の実施形態では、音波または放射がナノ粒子または身体部分に適用されると、それは以下をもたらす:
i)ナノ粒子または身体部分の温度上昇、
ii)ナノ粒子からの化合物の解離、
iii)身体部分に特に属する細胞、特に病理細胞または腫瘍細胞の破壊または成長阻害、
iv)病理学的部位または身体部分に特に属する生体物質の死、破壊、変性、減少または不活性化、
v)ナノ粒子の運動または振動、
vi)身体部分またはナノ粒子に加えられる圧力、
vii)ナノ粒子による音波または放射の吸収、または
viii)細胞内のナノ粒子の内在化。
【0434】
本発明の一実施形態では、細胞、好ましくは身体部分のmm3またはcm3あたり1、10、103、106、109または1020個を超える細胞の破壊または成長阻害は、音波または放射の周波数、強度、エネルギー、またはパワーを適合させまたは調整することにより可能になる。
【0435】
本発明の一実施形態において、音波または放射は、ナノ粒子の質量が以下の場合にナノ粒子の運動または振動を誘発する、
i)ナノ粒子あたり10-50、10-5、10-1または1μgより大きい場合、または
ii)ナノ粒子あたり1020、1010、105、103、102、1、10-3、または10-5μgより小さい他の場合この場合、音波は、ナノ粒子に、ナノ粒子内に配置または集合されていない他の物質、原子、イオンよりも大きいまたは低い動きまたは振動を誘発し、ナノ粒子を特に取り囲み得る。
【0436】
本発明の一実施形態では、音波または放射は、ナノ粒子または身体部分に圧力を加える。これは、
i)特に体の部位cm3あたり10-9、10-5、10-3、10-1、1、10、103、106または109MPaより大きい場合もある、または
ii)特に体の部位cm3あたり10-9、10-5、10-3、10-1、1、10、103、106または109Mpa以下の場合もある。
【0437】
本発明の一実施形態では、音波エネルギーは、ナノ粒子に配置または組み立てられていないか、ナノ粒子に含まれておらず、特にナノ粒子を取り囲むか、特に身体部分に属する他の物質、原子、イオンによるよりも特に少なくとも1.1、2、5、10、25、50または100の係数で特にナノ粒子により吸収される。場合によっては、ナノ粒子またはナノ粒子領域で、ナノ粒子領域外の他の物質または領域での温度上昇よりも少なくとも10-9、10-6、10-3、1、2、5、10または20°C大きい温度上昇が生じ得る。
【0438】
本発明の一実施形態では、細胞内へのナノ粒子の内在化、特に細胞あたり、または身体部分のmm3あたり10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109、または1020個以上のナノ粒子またはmgの細胞内在化は、音波または放射の周波数、強度、エネルギー、適用時間、またはパワーの値を適合または調整することで可能になる。
【0439】
本発明の一実施形態では、細胞内へのナノ粒子の内在化、セルごとまたは身体部分のmm3あたり、特に10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109または1020個以上のナノ粒子またはmgのナノ粒子の内在化のナノ粒子は、音波または放射の周波数、強度、エネルギー、適用時間、または出力を前の実施形態とは異なる値に適合または調整することにより防止される。
【0440】
本発明の別の実施形態では、音波または放射線がナノ粒子または身体部分に適用されるとき、細胞、特に健康な細胞の破壊または成長阻害をもたらさない。
【0441】
本発明の一実施形態では、細胞、好ましくは健康な細胞、好ましくはこれらの細胞の1、10、103、106、109または1020を超える細胞の破壊または成長阻害は、音波または放射の周波数、強度、エネルギー、適用時間、またはパワーの適合または調整によって予防される。
【0442】
本発明の一実施形態では、音波処置またはその有効性、または腫瘍、身体部分、または病理学的部位の破壊または処置または体積減少は、処置のメカニズム、特に処置メカニズムに起因するかまたは関連する。場合によっては、このメカニズムは、ナノ粒子または身体部分に音波または放射が適用されると特に発生し、ナノ粒子または身体部分に音波または放射が適用されないときには特に発生しない。
【0443】
本発明の一実施形態では、処置のメカニズム、特にこのメカニズムの始まりまたは開始は、以下を含むかまたは起因するかまたは関連する:
i)身体部分またはナノ粒子の優先的な温度上昇、
ii)特にラジカル酸素種(ROS)などのナノ粒子によるラジカルまたは反応種の生成または生産、
iii)ナノ粒子からの化合物の解離、
iv)化合物による優先的な薬学的効果、
v)代謝効果、または
vi)キャビテーション(空洞現象)。
【0444】
本発明の一実施形態では、キャビテーションは気泡の生成に関連している。場合によっては、キャビテーションは細胞、特に細胞膜に機械的ストレスを誘発し、細胞死を誘発する。ナノ粒子の存在下では、気泡のサイズと数を変更できる。それらは、1.5、2、10、100、103または109よりも大きいまたは小さい係数で増加または減少できる。場合によっては、気泡のサイズと数が音波または放射にさらされたナノ粒子のサイズと数に近くなる傾向があるが、および/またはこれらのナノ粒子のサイズおよび数とは、109、105、103、102または10以下の係数で異なる。
【0445】
本発明の別の実施形態では、この処置のメカニズムの開始または開始に特に続くまたは起因するメカニズムは、以下に関与し、または起因し、関連する:
i)免疫システムまたは身体部分に対する優先的なそのようなシステムの活性化
ii)病理学的細胞の優先的なアポトーシスメカニズム、
iii)間接的メカニズム、またはスタンダー効果。
場合によっては、それはこのメカニズムの始まりまたは開始から1、5、10、103、105または1010秒以上後に発生する。
【0446】
場合によっては、間接的なメカニズムまたはスタンダー効果によって、ナノ粒子またはナノ粒子領域から離れた場所にある病理学的細胞の破壊が関与、起因、または関連し得る:
i)5、2、1、10-1、10-3、10-3、10-6または10-9mより近い、
ii)10-1、1、5、10、103または105nmよりも大きい、または
iii)さらに他のいくつかのケースでは10-1と1020nm、または1と1010nm、または1と105nmの間。
【0447】
場合によっては、処置のメカニズムは、ナノ粒子の直接的な効果、特に免疫効果または傍観者効果、または病理細胞または腫瘍細胞の破壊を誘発する可能性のあるいくつかの効果を特に除外することを含む、起因する、または関連し得る、または、ナノ粒子からある距離で、ナノ粒子から1、10、103、105、1010、1020、1050または10100nmよりも特に大きい距離で、身体部分の体積が減少する。
【0448】
本発明の一実施形態では、特に少なくとも1つのセッションまたはシーケンス中での処置のメカニズムは:
i)音波または放射線を最初に適用することにより活性化される、
ii)音波または放射を再適用することにより再活性化される、または
iii)活性化または再活性化に続いて音波または放射の適用を停止することにより非活性化される。
【0449】
本発明の一実施形態では、放射、音波、およびナノ粒子のパラメータは以下である:
i)音波または放射のパワー、強度、強度、周波数、エネルギー、
ii)音波または放射にさらされる体積または身体部分、
iii)音波または放射の適用時間、
iv)時間t1、t2、またはt3
v)シーケンスまたはセッションの継続時間、
vi)2つのシーケンスまたはセッションを分離する時間、およびまたは
vii)ナノ粒子の濃度、組織、分布、サイズ、組成などのナノ粒子特性。
【0450】
他の場合には、放射、音波、ナノ粒子のパラメーターは、調整、固定、最適化、十分に長いまたは大きい、十分に小さいまたは低い、または以下の処置パラメータのうち少なくとも1つ、特に望ましい処置パラメータ、に達するように選択された特定の値に設定される:
i)処置のメカニズム、
ii)キャビテーションの望ましいまたは特定のレベル、
iii)ラジカル酸素種(ROS)などのラジカルまたは反応種の望ましいまたは特定のレベルまたは濃度、
iv)アポトーシスまたはアポトーシス細胞の望ましいまたは特定のレベル、
v)望ましいまたは加熱ステップ中の特定の温度、
vi)解離ステップ中の解離化合物の所望または特定の割合、
vii)冷却ステップ中の所望または特定の温度、
viii)非解離ステップ中の解離化合物の所望または特定の割合。
【0451】
本発明の一実施形態では、所望の処置パラメータは、処置中に到達したい処置パラメータである。場合によっては、ナノ粒子または身体部分に音波または放射線を10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10、50、100、104、105または1010%以下で適用することで到達する処置パラメーターとは異なる。他のいくつかの場合では、ナノ粒子または身体部分に10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10、50、100、104、105または1010%以上異なる音波または放射線を適用することにより到達した処置パラメーターとは異なる。さらに他のいくつかのケースでは、この割合は、所望の処置パラメータと、ナノ粒子または身体部分に音波または放射線を適用することにより到達した処置パラメータとの間の比率であり得る。
【0452】
場合によっては、少なくとも1つの処置パラメータは、特に少なくとも1、1.2、1.5、2、5、10、102、103、105、109または1020に等しい係数で、t2またはt3の間よりもt1の間の方が高くまたは大きくなり得る。
【0453】
場合によっては、キャビテーションは気泡またはキャビテーション気泡となる可能性がある。他のいくつかの場合では、ラジカルまたは反応性の種または気泡は、化合物に関連付けられるか、または化合物であり得る。
【0454】
他の場合には、ラジカルまたは反応種または気泡は化合物ではない。
【0455】
場合によっては、加熱ステップ中の望ましい温度は、0、5、10、25、30、37、39、41、45、50、100、103または105°C以上であり得る。
【0456】
場合によっては、加熱ステップ中の望ましい温度は、105、103、100、50、45、41、39、37、30、25、30または37°Cより低くなり得る。
【0457】
さらに他のいくつかの場合、加熱ステップ中の望ましい温度は、-273と1010、0と103、または10と100°Cの間である。
【0458】
本発明の一実施形態では、所望の温度の値の適切な範囲は、41℃と100℃の間であり、41℃は、特に、抗腫瘍活性のような治療効果を引き起こすことができる最小値であり、そして100℃は身体部分の大部分を構成する水の沸騰温度である。場合によっては、この範囲の最小値(41°C)は、例えば身体の部分が冷却したとき1、5、10、50、100、150、200、または250°C以上低減し得る。他のいくつかの場合、この範囲の最大値(100°C)は、例えば、身体部分が主として水を含まない場合、または身体部分が加熱される場合、音波の強度、周波数が増加する場合、またはマグネトソームまたはナノ粒子の濃度が増加する場合に、上昇し得る。
【0459】
場合によっては、解離ステップ中の解離化合物の望ましい割合は、0.1、1、5、10、25、50、75または90%以上となり得る。
【0460】
いくつかの他の場合では、解離ステップ中の解離化合物の望ましい割合は、100、90、75、50、25、10、5、1または0.1%よりも低くし得る。
【0461】
さらに他のいくつかの場合、解離ステップ中の解離化合物の望ましい割合は、0と100%、0.1と99%、または5と75%の間であり得る。
【0462】
場合によっては、冷却ステップ中の望ましい温度は、加熱ステップの温度より10-5、1、5、103または105°C以上低くなる。
【0463】
他のいくつかの場合では、冷却ステップ中の望ましい温度は、加熱ステップの温度より105、103、5、1または10-5°C以下で低い。
【0464】
場合によっては、化合物の解離の望ましい割合は、非解離ステップ中に、解離ステップより0.001、0.01、0.1、1、2、5、10、25、50、75、80、90または99%以上低い。
【0465】
さらに他のいくつかの場合、化合物の解離の望ましい割合は、非解離ステップ中に、解離ステップ中よりも100、90、80、75、50、25、10、5、2、1、0.1、0.01または0.001%以下で低い。
【0466】
本発明の一実施形態では、加熱ステップ中に所望の温度、または解離ステップ中に解離化合物の所望のレベルに到達するために、特に係数bで、特に時間t2またはt3と時間t1との間に以下を増加させ得る、
i)音波または放射のパワー、強度、強度、周波数、エネルギー、
ii)音波または放射にさらされる体積または身体部分、
iii)音波または放射の適用時間、および/または
iv)ナノ粒子濃度。
【0467】
本発明の一実施形態では、冷却工程中に所望の温度または非解離工程中に解離化合物の所望のレベルに到達するために、特に係数bで、特に時間t1と時間t2またはt3の間で以下を減少させることができる、
i)音波または放射のパワー、強度、強度、周波数、エネルギー、
ii)音波または放射にさらされた体積または身体部分、およびまたは
iii)音波または放射の適用時間。
【0468】
場合によっては、bは1.00001、1.0001、1.001、1.01、1.1、1.2、1.5、2、5、10、103、105、1010、1020または1040より大きくなり得る。
【0469】
他の場合には、bは1050、1020、1010、105、103、10、5、2、1.5、1.2、1.1、1.01、1.001、1.000または1.00001よりも小さくなり得る。
【0470】
さらに他のいくつかのケースでは、bは1.00001と1050、1.1と105、または1.2と103の間になり得る。
【0471】
本発明はまた、音波処置または放射線処置または個体の身体部分の処置に使用するためのナノ粒子に関し、処置は以下のステップの少なくとも1つに関与するかまたは含む:
-ナノ粒子の懸濁液または組成物、好ましくは身体部分の処置を可能にするために十分に大きい安定性および濃度の調製(ステップ1)、
-ナノ粒子の身体部分または個人への投与(ステップ2)、
-ナノ粒子を身体部分に向ける(ステップ3)、
-ナノ粒子の検出またはイメージング(ステップ4)、
-特にナノ粒子を含む身体部分の検出またはイメージング(ステップ5)、
-ナノ粒子への音波または放射の適用(ステップ6)、
-特に手術による身体部分の除去(ステップ7)、
-音波または放射線処置とは別の治療法を使用した身体部分の治療。たとえば、手術または化学療法を使用する(ステップ8)。
【0472】
本発明の一実施形態では、温度、好ましくは身体部分またはナノ粒子の温度は、ステップ1から8の間に、好ましくはステップ6の間、その前、または後に測定される。
【0473】
本発明の一実施形態では、ステップ1から8のいくつかは、示された順序または任意の他の順序で互いに続く。
【0474】
本発明の一実施形態では、特にステップ4または5の処置方法は、特に治療などのイメージング技術を使用して、特に処置後の身体部分の進化または成長を追跡するために、身体部分の以下のようなイメージングを使用する:磁気共鳴画像(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)、スキャナー、ポジトロン放出断層撮影(PET)、X線撮影、または超音波検査。場合によっては、ナノ粒子の濃度が大きすぎて、身体部分の効率的なイメージングができない。ナノ粒子は、場合によってはスクリーンのように動作したり、身体部分を隠したりして、身体部分の効率的なイメージングを妨げることがある。場合によっては、ナノ粒子の組成を調整または変更して、身体部分のイメージングを可能にする。身体部分または処置の画像化を可能にするために、場合によっては次のアクションを実行できる。
i)酸化鉄組成物は以下から選択される他の物質を含む化合物で置き換え得る:リチウム、ベリリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、またはヘリウム族、またはアルカリ金属、またはアルカリ土類金属、または硬貨金属、またはトリエル、またはテトレラ、またはペンテル、またはプニクトゲン、またはカルコゲン、またはハロゲン、または希ガス、または
ii)ナノ粒子の濃度が、特に10-20、10-9、10-6、10-3、10-1、1、10、103、106、109または1020cm3当たりmgまたは身体部分のcm3当たりmg以下に減少される。
【0475】
好ましくは、本発明による放射または音波は、特にそれらがナノ粒子またはマグネトソームに適用される場合、ラジカルまたは反応種を生成する。
【0476】
本発明はまた、身体部分またはナノ粒子への音波または放射線の逐次的な適用が身体部分またはナノ粒子の温度の低下を防止するのに使用するためのナノ粒子にも関する。
【0477】
本発明の一実施形態では、音波または放射線が身体部分またはナノ粒子に適用されると、好ましくは、適用される音波のナノ粒子濃度、周波数、電力、および/またはエネルギーに関する条件下で、温度低下を防止する音波または放射の逐次的な適用は温度低下を防止するが、音波または放射の連続的な適用はそのような温度低下を防止しない。
【0478】
場合によっては、防止される温度低下の大きさは、1分あたり、身体部分のcm3あたり、またはナノ粒子のグラムあたりで測定して0、10-50、10-20、10-10、10-5、10-1、1、5、10または102°Cよりも大きくなり得る。
【0479】
他のいくつかのケースでは、防止される温度低下の大きさは、特に分、身体部分のcm3あたり、またはナノ粒子のグラムあたり1050、1020、1010、105、102、10、5、2、1、10-1または10-2°Cより低くなり得る。
【0480】
さらに他のいくつかの場合、防止される温度低下の大きさは、特に身体部分のcm3あたり、またはナノ粒子のグラムあたり10-50と1050、10-20と1020、10-10と1010、または10-3と103°Cの間であり得る。
【0481】
防止される温度低下の適切な範囲は、マグネトソームの濃度が500μg/mLの場合、約2°Cまでであり、音波に12分間100W/cm2のパワーで逐次的にさらされる。温度低下のより大きな防止増加は、以下の増加により到達する可能性がある
i)500μg/mLを超えるマグネトソーム濃度、
ii)1MHzを超える音波の周波数、およびまたは
iii)100mW/cm2を超える音波パワー。
【0482】
本発明はまた、本発明によるナノ粒子の使用に関し、そこではナノ粒子への音波または放射線の適用は、ラジカルまたは反応種を生成または生成する。
【0483】
本発明はまた、ナノ粒子または音波処置による反応性種またはラジカルの生成方法に関し、そこでは:
i)ナノ粒子に放射波または音波が逐次適用される、
ii)ナノ粒子が劣化している、およびまたは
iii)ナノ粒子はマグネトソームである。
【0484】
場合によっては、ナノ粒子は、細胞、身体部分、オルガネラ、またはリソソームによって特に溶解、分解、およびまたは脱結晶すると劣化する。
【0485】
本発明はまた、ナノ粒子による反応種またはラジカルの生成のための、本発明による音波処置または放射線処置に関する。
【0486】
場合によっては、音波処置または放射線処置は、ナノ粒子による反応種またはラジカルの生成のための方法であるか、またはそれを含むことができる。
【0487】
本発明の一実施形態において、反応種またはラジカルは、スーパーオキシド、酸素ラジカル、ヒドロキシル、アルコキシラジカル、ペルオキシラジカル、酸化窒素、一酸化窒素、および二酸化窒素である。
【0488】
本発明の一実施形態では、反応性またはラジカルは、H2O2に関連する、由来する、抽出される、または生成される。場合によっては、反応種またはラジカルは、H2O2の誘導体、またはH2O2の変換による結果、またはH2O2が関与する化学反応による結果であり得る。
【0489】
本発明の一実施形態では、ラジカルまたは反応種は、ナノ粒子から分離または解離されるときに遊離している。場合によっては、ラジカルまたは反応種は化合物であり、ナノ粒子または身体部分に放射線または音波を適用すると、ナノ粒子から特に解離する。
【0490】
本発明の一実施形態では、特にナノ粒子によるラジカルまたは反応種の産生または生成は、以下に関連するかまたはそこに導くかまたは生産する
i)音波処置の有効性、
ii)身体部分の破壊に関連するか、または導く、および/または
iii)身体部分の体積の減少。
【0491】
本発明の一実施形態では、特にナノ粒子による反応種またはラジカルの生成または生成は、特に放射または音波がナノ粒子に適用されるとき、以下に起因または関連する:
i)特に生物学的物質、細胞、細胞小器官によるナノ粒子の劣化、
ii)特に10-5、10-3、1、5、10、50または75%、以上でのナノ粒子のサイズの減少、なおこの百分率は音波処置に続くナノ粒子のサイズおよび音波処置前のナノ粒子のサイズ間の比率で、特に音波処置前の1、5、10、50、75または100nmよりも大きいサイズから音波処置後の105、103、102、50、20、10、5、2または1nmよりも小さいサイズまでのものである、または
iii)化合物または遊離酸素、窒素、鉄などの遊離イオンのナノ粒子からの生成または放出または解離。
【0492】
本発明はまた、以下のための、反応種またはラジカルの生成方法、または音波医学的処置、または放射線医学的処置に関する:
i)放射線耐性または音響耐性細胞を含む疾患の治療、
ii)身体部分に特に含まれる少なくとも1つの放射線耐性または音響耐性細胞の破壊または死、または
iii)身体部分の体積の減少。
【0493】
場合によっては、放射線耐性細胞は、ナノ粒子の非存在下で放射線が照射されたときに破壊されないが、ナノ粒子の存在下で放射線が照射されたときに破壊される細胞であり得る。同様の放射線、放射線出力、放射線強度、およびまたは放射線頻度が、特にナノ粒子または身体部分に適用され、特にナノ粒子の存在下および非存在下での細胞破壊または死の比較を可能にする。
【0494】
いくつかの場合、音響耐性細胞は、ナノ粒子の非存在下で音波がそれらに適用されたときに破壊されず、ナノ粒子の存在下で音波がそれらに適用されたときに破壊される細胞であり得る。同じまたは類似の音波、音波パワー、音波強度、および/または音波周波数が、特にナノ粒子または身体部分に適用され、特にナノ粒子の存在下と非存在下での細胞破壊の比較を可能にする。
【0495】
本発明はまた、ラジカルまたは反応種の生成方法、または音波処置に関するものであり、ラジカルまたは反応種は:
i)病理学的細胞、腫瘍細胞、細菌、ウイルス、または病理学的部位を破壊する、およびまたは
ii)健康な細胞、非病理学的細胞、非腫瘍細胞、健康な部位、または健康な個人に属する細胞を破壊しない。
【0496】
本発明はまた、本発明に従ったナノ粒子の使用に関し、ナノ粒子は、病的部位を特に取り囲む健康な部位の破壊なしに身体部分の病的部位の破壊を誘発する。
【0497】
場合によっては、ナノ粒子は、1、10、103、106、109または1015以上の病理細胞の破壊、および/または1、10、103、106、109または1015以下の健康な細胞の破壊を引き起こし得る。場合によっては、ラジカルまたは反応種は酸化ストレスを生成し、特に細胞、特に病理学的細胞、特に腫瘍細胞、バクテリア、またはウイルスの破壊または死をもたらす。
【0498】
本発明はまた、ラジカルまたは反応種の生成方法または音波処置に関し、ここで、特にナノ粒子によって生産または生成されるラジカルまたは反応種の量または濃度は、放射または音波がナノ粒子または身体部分に連続的に適用される場合よりも、放射または音波がナノ粒子または身体部分に逐次的に適用される場合に、特に係数aでより高い。場合によっては、係数aは、次の値より大きいかまたは等しい:
i)1.0001、1.1、1.2、1.5、2、5、10または103以上、または
ii)1、2、5、10、103、105、1010または1050ラジカルまたは反応種または身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応種またはナノ粒子のグラムあたりのラジカルまたは反応種、または
iii)10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、103、105、1010または1050μMの反応種またはラジカル。
これは、ナノ粒子への放射または音波の適用が、ナノ粒子によって生成または生成されるラジカルまたは反応種の量をより穏やかに変化または増加させない場合に当てはまる可能性がある。
【0499】
本発明の別の実施形態では、特にナノ粒子によって生成または生成されるラジカルまたは反応種の量または濃度は、放射または音波がナノ粒子または身体部分に逐次的に印加される場合、放射線または音波は、ナノ粒子または身体部分に連続的に適用される場合よりも特に係数aでより低い。場合によっては、係数aは次の値以上にまたは等しくすることができる:
i)1.0001、1.1、1.2、1.5、2、5、10または103、または
ii)1、2、5、10、103、105、1010または1050ラジカルまたは反応種、または生体粒子1cm3あたりのラジカルまたは反応種、またはナノ粒子1グラムあたりのラジカルまたは反応種、または
iii)10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、2、5、10、103、105、1010または1050μMの反応種またはラジカル。
これは、たとえば鉄または酸素イオンなどのナノ粒子に由来するイオンまたはラジカルまたは反応種が解離または離脱するのを防ぐことにより、放射線または音波の適用によるラジカルまたは反応種の量が大幅に減少する場合である。いくつかの他の場合、係数aは次に等しいかそれ以下であり得る、
i)10100、1010、105、103、10、5、3または2、または
ii)10100、1050、1020、1010、105、102、10または5ラジカルまたは反応種または身体部分cm3あたりのラジカルまたは反応種またはナノ粒子1グラムあたりのラジカルまたは反応種、または
iii)10100、1050、1020、1010、105、10、10-5または10-10μMのラジカルまたは反応種。
これは、ナノ粒子への放射または音波の適用が、ナノ粒子によって生成または生成されるラジカルまたは反応種の量をより緩やかに変化または減少させない場合である。
【0500】
また、本発明は、ナノ粒子が以下の特性のうちの少なくとも1つを有する、ラジカルまたは反応種の生成方法または音波処置に関する、
i)10-50nm-1より大きい表面/体積比
ii)以下を含む組成または化学式:a)Fe2およびFe3などの少なくとも2つの異なる化学量論係数または酸化状態または還元状態を持つ原子、b)異なる数の電荷または酸化状態またはFe2+などの還元状態を持つイオンおよびc)Fe2+およびFe3+など、電荷数、酸化状態または還元状態が異なる少なくとも2種類のイオンを形成する原子、
iii)フェントン反応またはハーバーワイス反応を可能にする、または導く組成およびまたはサイズおよびまたは表面/体積比、
iv)溶解、分解、または非結晶化。特にナノ粒子に由来する、またはナノ粒子から解離した遊離イオンの反応を促進するもの。
v)鎖状配置、および/または
vi)1cm3あたり1mgまたは細胞あたり1mgまたは身体部分のcm3あたり1mg以下の濃度、
ここで、これらの特性の少なくとも1つは、放射または音波の非存在下で生成されたものより、ナノ粒子に加えられた放射または音波の存在下で、特に1.0001、1.1、1.5、2、5、10、103または105倍以上の係数でより大量に生成されるラジカルまたは反応種の量または濃度を導く。
【0501】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子の表面/体積比は特に10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-3、10-1、1、5、10または100nm-1以上大きい。、
【0502】
ナノ粒子の表面/体積比が十分に大きいと、ナノ粒子の表面の多数の原子を放射または音波にさらすことができ、これらの原子は特に反応してフリーラジカルまたは反応種を形成できる。
【0503】
特に、ナノ粒子の内部または内部に位置する原子は、ナノ粒子の表面に位置する原子よりもフリーラジカルまたは反応種の生成はより困難である。
【0504】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子の表面/体積比は小さく、特に10100、1050、1020、1010、105、103、10、5、2、1、10-5、10-10、10-20または10-50nm-1よりも小さい。ナノ粒子の表面/体積比が十分に小さいことが、ナノ粒子が三次元の体積または幾何形状を維持できるようにするため、および/またはナノ粒子が三次元から二次元システムに切り替わるのを防ぐため、および/またはナノ粒子が放射または音波との吸収または相互作用を可能にし、そこでは放射または音波との吸収または相互作用は、2次元システムよりも3次元で顕著である。
【0505】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノ粒子の表面/体積比は10-5nm-1と103nm-1または10-2nm-1と1nm-1の間に含まれる。
【0506】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子の化学式の組成は、その係数または化学量論係数aの少なくとも2つの異なる値が可能な少なくとも1つの原子Aaを含み、ここでaは0、1、2、3、4、5、67、8、9、10、11、12、13、14、15に等しい整数または十進数であり得る。
【0507】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子はフェントン反応をもたらす。場合によっては、フェントン反応は次のように記述できる。i)Fe2+H2O2---->Fe3+・OH+OH-、およびまたは、ii)Fe3+H2O2---->Fe2+・OOH+H+。場合によっては、フェントン反応は次のようになる:
i)鉄(II)は過酸化水素によって酸化されて鉄(III)になり、プロセス中にヒドロキシルラジカルと水酸化物イオンを形成し、およびまたは
ii)鉄(III)は過酸化水素の別の分子によって還元されて鉄(II)に戻り、ヒドロペルオキシルラジカルとプロトンを形成する。
場合によっては、以下の場合にフェントン反応が好まれる、増加する、または有効になる、
i)ナノ粒子またはナノ粒子の化学式がFe2、Fe2+、Fe3、およびまたはFe3+イオンまたは原子を含む場合、
ii)ナノ粒子がマグヘマイトおよびマグネタイトを含む場合、または
iii)放射または音波がナノ粒子または身体部分に適用される場合。
他の場合にはフェントン反応によりラジカルまたは反応種が生成される。
【0508】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、いくつかの場合に次のように書くことができるヒーバーワイス反応をもたらすか、または受ける。すなわち、Fe3++・O2 →Fe2++O2,Fe2++H2O2→Fe3++OH+・OHそしてまたは・O2 +H2O2→・OH+OH+O2
【0509】
場合によっては、ハーバーワイス反応またはフェントン反応により、H2O2(過酸化水素)および/またはスーパーオキシド(・O2 -)から・OH(ヒドロキシルラジカル)および/または・OOH(ヒドロペルオキシラジカル)が生成される。場合によっては、この反応は、ナノ粒子またはナノ粒子に含まれるまたは由来する鉄によって触媒される。
【0510】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子の溶解は、ナノ粒子の質量の部分的または全体的な損失であり、特にナノ粒子の質量が10-50、10-10、10-1、1、5、10、50、75または90%よりも大きく減少することである。ここでこの百分率は、溶解後のナノ粒子の質量と溶解前のナノ粒子の質量との比率である。
【0511】
本発明の別の実施形態では、ナノ粒子の分解は、ナノ粒子の組成の部分的または全体的な変化、特に10-50、10-10、10-1、1、5、10、50、75または90%を超える範囲でのナノ粒子の組成の変化である。この百分率は、組成変化が起こるナノ粒子の原子の体積または数と、ナノ粒子の全原子の合計体積または合計数との比率である。
【0512】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子の脱結晶化は、ナノ粒子の結晶性または結晶面または秩序原子配列の部分的または全体的な損失である、またはナノ粒子の結晶構造から非晶質構造への遷移、特にナノ粒子内の1、10、103または105を超える結晶面の損失である。場合によっては、電子顕微鏡または電子顕微鏡と同様の情報を取得できる機器によって、少なくとも1つの結晶面の損失を観察できる。
【0513】
本発明はまた、ラジカルまたは反応種の生成方法、または音波処置または放射線処置に関し、そこにおいては、
i)第1:一定量のラジカルに到達するまで(時間1)、放射または音波がナノ粒子に適用される(ステップ1)、第2:ステップ1と比較して生成されるラジカルまたは反応種の量を減らすため放射または音波がナノ粒子に時間t2に適用されない(ステップ2)、第3:オプションでステップ1と2を2回以上繰り返す、および/または
ii)ナノ粒子または身体部分に適用される放射または音波は、ナノ粒子の周囲にラジカルまたは反応種を局所的に生産または生成する。この局所のラジカルまたは反応種の生産または生成は、以下を使用して特に実現できる:
a)、低濃度ナノ粒子、体の部位1cm3あたり特に1050、1020、105、103、10、5、2、1、10-2または10-5グラム以下のナノ粒子を、または
b)身体部分の一部を占めるナノ粒子またはナノ粒子反応性またはラジカルを生成できるリソソームなどの細胞を使用して。
【0514】
本発明はまた、ラジカルまたは反応種の生成方法、または音波処置または放射線処置に関するものであり、ナノ粒子によって特に生産または生成されるラジカルまたは反応種の量は以下より大きい:
i)1、2、5、10、103、105、1010または1050ナノ粒子あたりのラジカルまたは反応種、またはナノ粒子1グラムあたりのラジカルまたは反応種、または体のcm3あたりのラジカルまたは反応種、体のcm3あたりのナノ粒子のグラムあたりの部分またはラジカルまたは反応種または表面またはナノ粒子に特に含まれる原子あたりのラジカルまたは反応種、
ii)10-50、10-20、10-10、10-5、1、5、10、103、105または1010ナノモル(nM)またはマイクロモル(μM)のラジカルまたは反応種、またはナノ粒子のグラムあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応種のμM、または身体部分のcm3あたりのナノ粒子のグラムあたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、
iii)10-50、10-20、10-10、10-5、1、5、10、103、105または1010ワットあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、またはワットあたり身体部分のcm3あたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、またはナノ粒子1グラムあたりワットあたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはGyあたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはGyあたり身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはGyあたりのナノ粒子1グラムあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM。
場合によっては、ラジカルまたは反応種の生成が大きくなることがある。それは特に、ナノ粒子を自由イオンに溶解できる場合、フェントン反応またはヒーバーワイス反応が発生する場合、またはナノ粒子の表面が十分に大きい場合、および/またはこれらの種の生産をもたらすために反応する場合である。
【0515】
場合によっては、反応種またはラジカルはH2O2であり得る。
【0516】
本発明はまた、ラジカルまたは反応種の生成方法または音波処置または放射線処置に関し、そこではナノ粒子によって特に産生または生成されるラジカルまたは反応種の量または濃度が次より低い、。
i)10100、1050、1020、1010、105、103、10、5、2または1のナノ粒子あたりラジカルまたは反応種、またはナノ粒子のグラムあたりラジカルまたは反応種、または身体部分のcm3あたりラジカルまたは反応種、またはナノ粒子のグラムあたり身体部分のcm3あたりラジカルまたは反応種、特にナノ粒子の表面または内部に含まれる原子ごとのラジカルまたは反応種、
ii)10100、1050、1020、1010、105、102、10、5、2、1、10-1、10-3または10-5のラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはナノ粒子のグラムあたりの反応種のnMまたはμM、または身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、または身体部分のcm3あたりナノ粒子のグラムあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM、または
iii)10100、1050、1020、1010、105、103、10、5、2、1または10-3ワットあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM、または身体のcm3あたりワットあたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはナノ粒子1グラムあたり1ワットあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはGyあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM、または身体部分cm3あたりGyあたりラジカルまたは反応種のnMまたはμM、またはまたはナノ粒子1グラムあたりGyあたりのラジカルまたは反応種のnMまたはμM。
場合によっては、ナノ粒子が遊離イオンに溶解できない場合、フェントン反応またはヒーバーワイス反応が起こらない場合、またはナノ粒子の表面がこれらの種の生産をもたらすのに十分な大きさおよびまたは反応性がない場合、ラジカルまたは反応種の生成が低くなる可能性がある。
【0517】
本発明の一実施形態では、ナノ粒子によって特に産生または生成されるラジカルまたは反応種の量または濃度は、次の範囲になる:
i)1と10100、10と1050、または103と1020の間のナノ粒子あたりラジカルまたは反応種、またはナノ粒子1グラムあたりのラジカルまたは反応性種、または身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応性種、またはナノ粒子1グラムあたり身体部分のcm3あたりのラジカルまたは反応性種、表面またはナノ粒子に特に含まれる原子ごとのラジカルまたは反応性種、または
ii)10-100と10100、10-50と1050、10-10と1010、1と1010、または1と105nMまたはμMのラジカルまたは反応種、またはナノ粒子1グラムあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、または身体部分1cm3あたりnMまたはμMのラジカルまたは反応性種、または身体部分1cm3あたりナノ粒子1グラムあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応性種、または
iii)10-100と10100、10-50と1050、10-10と1010、1と1010、または1と105の間のワットあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、またはワットあたり身体部分のcm3あたりのnMまたはμMのラジカルまたは反応種、ナノ粒子グラムあたり1ワットあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、またはGyあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種、ナノ粒子グラムあたりGyあたりnMまたはμMのラジカルまたは反応種。
【0518】
本発明の一実施形態において、ラジカルまたは反応種の量または濃度は、測定されるものであり、これは、
i)最初の場合は、ナノ粒子によって生産または生成されるラジカルまたは反応種の実際の量または濃度と同じまたは類似している、
ii)2番目のケースでは、ナノ粒子によって生成または生成されたラジカルまたは反応種の実際の量または濃度とは異なる。
2番目のケースは、反応性種またはラジカルの寿命が短く、反応し、検出できない場所にあるか、検出するには少なすぎるか多すぎる、一部の化合物と反応している、相互作用している、または吸収されている。
【0519】
また、本発明は、ラジカルの生成方法、または音波処置または放射線処置に関し、それは以下による:
i)ナノ粒子または身体部分の温度を、場合によっては特に10-10、10-5、10-1、1、5、10、100または103°C(摂氏度)以上に、またはある他の場合、特に1010、105、103、102、10、5、2または1°C以下に、上昇させる。
ii)ナノ粒子の動きを増加させるが、それは、場合によっては特に10-100、10-50、10-20、10-10、10-5、10-1、1、5、10、102、103または105nm/秒以上、また他の場合には10100、1050、1020、1010、105、10、5、2、1、10-1、10-3または10-5nm/秒以下、さらに他の場合10-100と10100、10-50と1050、10-5と105、10-1と103、または10-1と10nm/秒の間である、および/または
iv)ナノ粒子からの化合物の解離。
【0520】
本発明はまた、ナノ粒子または音波または放射線処置に音波または放射線を適用することによりラジカルまたは反応種を生成する方法に関し、ラジカル酸素種は、少なくとも1つの健康な細胞を破壊することなく、少なくとも病理細胞を特に破壊する。
【0521】
本発明はまた、場合により薬学的に許容される賦形剤(ビヒクル)と関連した、本発明で定義される少なくとも1つのナノ粒子を含む組成物、特に医薬組成物に関する。
【0522】
一実施形態では、賦形剤は化合物である。
【0523】
本発明はまた、医薬上許容される賦形剤が化合物である医薬組成物に関する。
【0524】
本発明はまた、本発明で定義される少なくとも1つのナノ粒子を含む診断組成物に関する。
【0525】
本発明はまた、本発明で定義される少なくとも1つのナノ粒子を含む医療道具に関する。
【0526】
本発明はまた、化合物と結び付きまたは結合した少なくとも1つのナノ粒子を含む医療道具に関する。
【0527】
本発明はまた、本発明のナノ粒子を含む組成物、医療機器、薬物、または化粧品組成物に関し、任意に化合物と結び付きまたは結合する。
【0528】
本発明はまた、貧血、好ましくは鉄貧血の治療に使用するマグネトソームに関する。
【0529】
本発明はまた、反応性またはラジカルの生成のための、または反応性またはラジカルの生成のための方法としての音波処置または放射線処置に関する。
【0530】
本発明はまた、以下の方法としての音波処置または放射線処置に関する。
i)身体部分または腫瘍の細胞密度を減少させる、および/または
ii)身体部分の体積を減少させる、
ここで、この方法は、特に身体部分にナノ粒子を投与することを可能にする。
【0531】
本発明のさらに別の実施形態では、本特許出願の個々の実施形態またはセクションまたは文に記載されているナノ粒子または方法または処置の特性または特徴は、組み合わせて、特にナノ粒子または方法または処置の組み合わせの特性または特徴となり得る。
【0532】
本発明のさらに別の実施形態では、化合物、物質、ナノ粒子、放射線などの実体が、P2の値を持つ特性よりも高い、長い、または係数aだけ大きいP1の値を持つ特性を有する場合、P1=a・P2(a>1)またはP1=a+P2を意味する。
【0533】
本発明のさらに別の実施形態では、化合物、物質、ナノ粒子、放射線などの実体が、P2の値を有する特性よりも因子aだけ低い、小さい、または短いP1の値を有する特性を有する場合、P1=a・P2(a<1)、P1=P2/a(a>1)P1=P2-aまたはP1=a-P2である。
【0534】
本発明を、以下の非限定的な図および実施例によりさらに説明する。

【図面の簡単な説明】
【0535】
図1
(a)周波数3MHzおよび出力0.5W/cm2の超音波にさらされた4.6cm3の組織に挿入されたナノ粒子(マグネトソームまたはシグマ)の鉄210μgの場合、ΔTは、ナノ粒子を含む組織または身体部分について測定された温度と、ナノ粒子を含まない組織または身体部分について測定された温度との温度差を超音波の持続時間(分単位の時間)の関数として指定する、
(b)(a)と同じで超音波出力が1W/cm2場合。
(c)(a)と同じで超音波出力が1.5W/cm2場合。
【0536】
図2
(a)周波数3MHzの超音波と電力0.5W/cm2、1W/cm2、または1.5W/cm2、にさらされた水100μlに分散したマグネトソームの鉄100μgの場合、ΔTは、水に分散したマグネトソームで測定した温度とマグネトソームを含まない水で測定した温度との温度差を超音波の印加時間(分単位)の関数として指定する。
(b)周波数3MHzおよび出力0.5W/cm2、1W/cm2、または1.5W/cm2の超音波にさらされた100μlの水に分散したシグマナノ粒子の鉄100μg、ΔTは、水100μlに分散したシグマナノ粒子で測定した温度と、シグマナノ粒子を含まない100μlの水で測定した温度との温度差を超音波の印加時間(分単位)の関数として指定する。
(c)SPION50ナノ粒子鉄100μgを分散させた100μlの水を、周波数3MHzおよび出力0.5W/cm2、1W/cm2、または1.5W/cm2の超音波にさらした場合、ΔTは、100μlの水に分散したSPION50ナノ粒子で測定した温度と、SPION50ナノ粒子を含まない100μlの水で測定した温度との温度差を超音波の印加時間(分単位)の関数として指定する。
(d)SPION100ナノ粒子鉄100μgを分散させた100μlの水を周波数3MHz、電力0.5W/cm2、1W/cm2、または1.5W/cm2の超音波にさらし、ΔTは、100μlの水に分散したSPION100ナノ粒子で測定した温度と、SPION100ナノ粒子を含まない100μlの水で測定した温度との温度差を超音波の適用時間(分単位)の関数として指定する。
(e)周波数3MHzおよび出力0.5W/cm2、1W/cm2、または1.5W/cm2の超音波にさらされた100μlの水に分散したSPION20ナノ粒子の鉄100μgに対して、ΔTは、100μlの水に分散したSPION20ナノ粒子で測定した温度と、SPION20ナノ粒子を含まない100μlの水で測定した温度との温度差を超音波の印加時間(分単位)の関数として指定する。
【0537】
図3:(a)マグネトソームの鉄800μgを分散した100μlの水(マグネトソーム)と、マグネトソームを含まない100μlの水(水)が、中に周波数3MHzおよび出力1.5W/cm2の超音波にさらされた持続時間t1の加熱ステップと、超音波にさらされない持続時間t2の冷却ステップがあり、そこでシーケンス1から13(SQ1からSQ13)の間の加熱および冷却時間の異なる値(t1およびt2)は表3に示す。
(b)異なったシーケンスの間の超音波の適用の持続時間の関数として示した水に分散したマグネトソームの温度((a)のマグネトソーム)とマグネトソームを含まない水の温度((b)の水)の違い。
【0538】
図4:平均強度30mT、周波数196kHzの交流磁場にさらされる水に混合されたBNF-澱粉ナノ粒子(Micromod:10-00102参照)の懸濁液100μlに対して、BNF-澱粉に含まれる鉄濃度の関数としてナノ粒子に含まれる鉄のグラムあたりワットで表現されたSARの変動。BNF-澱粉は、平均サイズ18nmの種々のシーケンスでのフェリ磁性酸化鉄ナノ粒子である。
【0539】
図5:(a)次の処理から生じるU87-MGの生存細胞の割合を表すヒストグラム:U105-MGの生細胞2.5・105個を、3つの濃度のマグネトソーム(培地および細胞1mlあたり0、100、および500μgの鉄のマグネトソーム)に入れ、そして100mW/cm2の超音波(上昇および下降方向の線と黒丸で塗りつぶされた中央の列)または500mW/cm2の超音波に5分間連続して曝露し(下向きの線でハッチングされ、黒い四角で塗りつぶされている右の列)または超音波照射なし(ハッチングなしでグレーの左の列)とした。
(b)2.5・105U87-MG細胞の場合、マグネトソームの鉄中の3つの異なる濃度、すなわち0mg/mL(黒い実線と塗りつぶされた黒丸)、100μg/mL(白い正方形と接触する破線)および500μg/mL(半分の実線と黒いダイヤモンド)、100mW/cm2の出力の超音波に5分間連続して曝露、温度の変化を赤外線カメラで測定、連続超音波曝露時間の関数として示した。
(c)2.5・105U87-MG細胞の場合、マグネトソームの鉄中の3つの異なる濃度、すなわち0mg/ml(黒い実線と黒で満たされた円)、100μg/mL(破線と白い正方形)、および500μg/mL(半分の実線と黒いダイヤモンド)、500mW/cm2の出力で5分間超音波に連続的に曝露、温度の変化、赤外線カメラで測定、連続超音波露出時間の関数として示した。
【0540】
図6
(a)次の処理後のU87-MG生存細胞の割合を表すヒストグラム:2.5・105U87-MG生きた細胞を3つの濃度のマグネトソーム(1mLあたり0、100および500μgのマグネトソームの鉄)と接触させる、そして逐次的に超音波にさらす。シーケンスの詳細は次のとおりである:第1の1分間の超音波照射、1分間の超音波照射なし、第2の1分24秒間の超音波照射、1分24秒間の超音波照射なし、第3の1分間の超音波照射、1分30秒間の超音波照射なし、第4の1分間の超音波照射、1分間18秒間の超音波照射なし、第5の1分12秒間の超音波照射、1分18秒の超音波照射なし、超音波の印加中に超音波出力は100mW/cm2(黒丸で塗りつぶされた上昇線と下降線を含む中央の列)、または500mW/cm2の出力(塗りつぶされた黒い正方形と下降線でハッチングされた右の列)に設定した。超音波照射なしの処置で得られる生細胞の割合は、ハッチングなしの左の灰色の列で示されている。
(b)3つの異なる濃度のマグネトソーム、すなわち0mg/ml(黒い実線の点)、100μg/ml(破線と白い正方形)および500μg/ml(実線の半分と黒いダイヤモンド)、100mW/cm2のパワーで逐次的に超音波にさらした(シーケンスの詳細は図6(a)の凡例に記載)、温度変化は処置中に測定した。
(c)2.5・105U87-MG細胞の場合、3濃度のマグネトソーム、つまり0mg/ml(黒い実線と黒丸)、100μg/ml(破線と白い正方形)、および500μg/mL(実線の半分と黒いダイヤモンド)のマグネトソームと接触させた。500mW/cm2のパワーで逐次的に超音波にさらし(シーケンスの詳細は図6(a)の凡例に示されている)、温度変動は処置中に測定した。
【0541】
図7
(a)次の処理後の生存細胞の割合:U87-MG細胞をマグネトソームの鉄中の1mg/mLと接触させるか、マグネトソームと接触させない(0mg/mL)か、レーザーに曝露しない(W/oL)か、3W/cm2の平均出力でレーザーに連続的に照射するか、シーケンスの詳細は図7(c)(逐次的L)の凡例に示されている、6分間、平均出力3W/cm2のレーザーで連続的に照射する(連続L)。
(b)0mg/mLおよび1mg/mLのマグネトソームと接触させ、6分間3W/cm2の平均出力のレーザーを連続的に照射したU87-MG細胞の温度の時間の関数としての変動。
(c)0mg/mLおよび1mg/mLのマグネトソームと接触させ、レーザーに3W/cm2の平均出力で逐次的に照射したU87-MG細胞の温度の時間の関数としての変動。シーケンスの詳細は次のとおりである。
第1シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで60秒間に3W/cm2でレーザーを平均電力で照射、ii)18秒間にレーザーを照射しない45°Cから37°Cまで温度低下;
第2シーケンス:i)17.5秒中に3W/cm2でレーザーを平均出力すると、温度が37°Cから45°Cに上昇した。ii)レーザーを適用しなかった結果、24秒間に温度が45℃から37℃まで低下した。
第3シーケンス:i)17.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果20秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第4シーケンス:i)15.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果20.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第5シーケンス:i)15秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果21.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第6シーケンス:i)14.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果21.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第7シーケンス:i)15秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果20秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第8シーケンス:i)13.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果22秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第9シーケンス:i)13秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果21秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第10シーケンス:i)15秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果23秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第11シーケンス:i)14.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果20秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第12シーケンス:i)15秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果25秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第13シーケンス:i)14.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果20秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第14シーケンス:i)12.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果24秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第15シーケンス:i)12.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果18.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第16シーケンス:i)15秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果23秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第17シーケンス:i)12.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果22.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第18シーケンス:i)13.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果24秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第19シーケンス:i)13.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果21.5秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第20シーケンス:i)14秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果21秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第21シーケンス:i)14.5秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果23秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
第22シーケンス:i)14秒中に3W/cm2で平均出力のレーザーを適用すると、温度が37°Cから45°Cに上昇し、ii)レーザーを非適用、その結果16秒間で45°Cから37°Cまで温度が低下した。
全体のレーザー照射時間は6分2秒であった。
【0542】
図8
(a)以下の処理後の生細胞の割合:3T3細胞をマグネトソームの鉄中1mg/mLに接触させるか、マグネトソームに接触させない(0mg/mL)か、またレーザーに曝さない(W/oL)か、3W/cm2の平均出力でレーザーに逐次的に露光させるか、そのシーケンスの詳細は図8(c)(シーケンシャルL)の凡例に示されている。または6分間3W/cm2の平均パワーで連続的にレーザーに露光させる(連続L)。
図8:(a)以下の処理後の生細胞の割合:3T3細胞をマグネトソームの鉄中1mg/mLに接触させるか、マグネトソームに接触させない(0mg/mL)か、レーザーに曝さない(W/oL)、3W/cm2の平均出力でレーザーに逐次的に露光させる、シーケンスの詳細は図8(c)(逐次L)の凡例に示されているか、6分間で3W/cm2の平均パワーで連続的にレーザーに露光させる(連続L)。
(b)マグネトソーム0mg/mLおよび1mg/mLと接触させ、6分間3W/cm2の平均出力のレーザーを連続的に照射した3T3細胞の温度の時間の関数としての変動。
(c)マグネトソーム0mg/mLおよび1mg/mLと接触させ、3W/cm2で平均出力のレーザーを逐次的に照射した3T3細胞の温度の時間の関数としての変動。シーケンスの詳細は次のとおりである。
第1シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで、90秒間3W/cm2でレーザーを平均したパワーで照射、ii)21秒間にレーザーを照射しないで45℃から37°Cに温度が低下;
第2シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)22秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第3シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)20.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第4シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)20.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第5シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第6シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第7シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)20秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第8シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)21秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第9シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを20秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)20秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第10シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第11シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)18.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第12シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第13シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)18.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第14シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)18.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第15シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを19.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)21.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第16シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを18秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第17シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)19.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第18シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)20秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
第19シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを19秒間照射すると温度が37℃から45℃に上昇した、ii)18.5秒間レーザーを照射しないと温度が45°Cから37°Cに低下した。
【0543】
図9
(a)以下の処理後のROS生成率:3T3細胞をマグネトソームの鉄中の1mg/mL(M-CMD)と接触させるか、マグネトソームと接触させない(0mg/mL)およびレーザーにさらされていない(W/oL)、6分間に3W/cm2の平均出力でレーザーに連続的にさらされている、または3W/cm2の平均出力で逐次的にレーザーにさらされているシーケンスは、図7(c)の凡例に示されている。
(b)、以下の処理後のROS生成率:U87-MG細胞をマグネトソームの鉄中1mg/mLと接触させるか、マグネトソームと接触させない(0mg/mL)か、レーザーに曝露しない(W/oL)か、6分間に平均出力3W/cm2のレーザーを連続的に照射するか、3W/cm2の平均出力のレーザーを逐次的に照射する、そのシーケンスの詳細は図8(c)に示す。
【0544】
図10:(a)、以下の処理後のROS生成率:3T3細胞をマグネトソームの鉄中1mg/mLと接触させるか、マグネトソームと接触させない(0mg/mL)か、またはAMF(交互磁場)に暴露しない(W/oAMF)か、または30分間強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFに連続的に曝露するか、または強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFに逐次的に曝露する、なおシーケンスの詳細は次のとおりである:
第1シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで5分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.2分間のAMF非適用により、45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第2シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで3.7分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第3シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで3.1分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.3分間のAMF非適用により、45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第4シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.3分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.5分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第5シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで1.8分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)1.5分間のAMF非適用により、45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第6シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.2分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.6分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第7シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.4分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.9分間のAMF非適用により、45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第8シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.8分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第9シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.4分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.4分間のAMF非適用により、45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第10シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.1分間、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
(b)以下の処理後のROS生成率:U87-MG細胞をマグネトソームの鉄中1mg/mLに接触させるか、またはマグネトソーム(0mg/mL)に接触させないか、AMFに曝露しない(W/oAMF)か、または30分間強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFに連続的にさらすか、強度34-47mTおよび周波数198KHzのAMFに逐次的にさらす、なおシーケンスの詳細は次のとおりである。
第1シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで5分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.2分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第1シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで3.7分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第3シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで3.1分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.2分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第4シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.3分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.5分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第5シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで1.8分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)1.5分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第6シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.2分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.6分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第7シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.4分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.9分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第8シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.8分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第9シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.4分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.4分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
第10シーケンス:i)温度が45°Cに達するまで2.1分間、強度34-47mT、周波数198KHzのAMFを適用、ii)2.7分間のAMFの非適用により45℃から37°Cまでの温度低下をもたらす。
【0545】
図11
(a)以下の処理後の生細胞の割合:3T3細胞をマグネトソームの鉄中の1000、500、250、16μg/mLに接触させるか、マグネトソームに接触させない(0mg/mL)、またガンマ線にさらさない(制御)か、5、10、20、40、80Gyの異なる線量のガンマ線にさらすかのいずれか。
(b)、次の処理後のROS生成率:3T3細胞をマグネトソームの鉄中の1000、500、250、16μg/mLと接触させるか、マグネトソーム(0mg/mL)と接触させない、またガンマ線にさらさない(制御)か、5、10、20、40、80Gyの異なる線量のガンマ線にさらすかのいずれか。
【0546】
図12
(a)以下の処理後の生細胞の割合:CAL-33細胞を1000、500、250、16μg/mLのマグネトソームと接触させるか、またはマグネトソームと接触させない(0mg/mL)またガンマ線にさらさない(制御)か、5、10、20、40、80Gyの異なる線量のガンマ線にさらすかのいずれか。
(b)以下の処理後のROS産生率:CAL-33細胞をマグネトソームの鉄中の1000、500、250、16μg/mLと接触させるか、マグネトソーム(0mg/mL)と接触させない。またガンマ線にさらさない(制御)か、5、10、20、40、80Gyの異なる線量のガンマ線にさらすかのいずれか。

【例1】
【0547】
【材料と方法】
【0548】
ナノ粒子:走磁性細菌から抽出され、さらにほとんどの有機材料を走磁性細菌から除去するために精製されたマグネトソームを使用した、それは以下から構成される:
i)走磁性細菌に由来する有機物質の質量パーセントが0.3%のマグヘマイトのコアまたは鉱物、および
ii)コアを囲むカルボキシメチルデキストランでできたコーティング。
マグネトソームは鎖を形成し、参考文献に組み込まれた特許PCT/FR2016/000095(公開番号WO2016/203121A1)に記載された適合および改善されたプロトコルを使用して調製された(実施例8)。これらのマグネトソームはM-CMDと呼ばれる。また以下も用いた、
i)シグマナノ粒子(参照番号:637106-25G、ロット#MKBK2270V)として指定されたSigmaから購入したサイズ35×13nmの酸化鉄を含むナノ粒子、
ii)Micromodから購入した20nmの酸化鉄からなる超常磁性ナノ粒子も使用したSPION20(nanomag(R)-D-spio20、Ref:79-02-201)、
iii)MicromodからSPION50と指定された50nmの酸化鉄で構成される超常磁性ナノ粒子(synomag-D50、Ref:104-000-501)、
iv)SPION100と呼ばれるMicromodから購入した100nmの酸化鉄で構成される超常磁性ナノ粒子(nanomag(R)-D-spio100、Ref:79-00-102)。
【0549】
組織に挿入された、または水に分散されたナノ粒子を含むサンプルの調製:組織での加熱実験のために、水のみまたはナノ粒子の鉄(マグネトソームおよびシグマまたはシグマナノ粒子)204μgを含む懸濁液10μlが4.5cm3の肝臓組織に均一に挿入され、肝臓組織のcm3あたりナノ粒子の鉄中濃度が45μgに至った。水性条件下での加熱実験では、水100μlのみ、または鉄ナノ粒子(マグネトソーム、シグマ、SPION20、SPION50、SPION100)100μgと混合した水100μlをエッペンドルフ200μlに分散させた。
【0550】
超音波を生成する加熱装置:ナノ粒子を含む/含まない組織またはナノ粒子を含むまたは含まない水で作られたサンプルは、強度0.5、1、または1.5W/cm3、周波数3MHzの超音波に10分間曝された。強度は、装置上の赤色に対応し、身体部分の超音波強度とフィアクション190iが示す超音波強度との間に差がある可能性がある。
【0551】
温度の測定:実験中、時間の関数として温度の空間分布を測定するために、トランスデューサーの13cm上に配置された赤外線カメラ(EasIRTM-2、Optophase)を使用した。次の時点で温度分布を測定した:0秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分各時点で記録された最高温度のみを考慮した。
【0552】
結果と考察:
【0553】
a)組織での非逐次加熱実験
図1は、各時点で測定されたナノ粒子を含む組織とナノ粒子を含まない組織の温度差であるΔTを示し、超音波出力0.5W/cm2図1(a))、1W/cm2図1(b))、および1.5W/cm2図1(c))に対応する。テストされた3つの異なる出力で、ΔTは正であり、ナノ粒子を含まない組織よりもナノ粒子を含む組織の方が温度上昇がより大きいことを示している。0.5W/cm2の最低電力では、シグマナノ粒子はマグネトソームよりも多くの熱を生成するが、1.5W/cm2では、反対の現象が観察され、マグネトソームはシグマナノ粒子よりも多くの熱を生成する。
【0554】
組織に混合され、0.5、1、または1.5W/cm2の異なる超音波パワーに曝されたマグネトソームについて、ΔT10minreal(M)の値も推定した。これは、ΔT10min(M)-ΔT10min(W)であり、ここで、ΔT10min(M)およびΔT10min(W)は、マグネトソームを含む組織およびマグネトソームを含まない組織をそれぞれ含むサンプルに10分間超音波を適用した後に観察される温度上昇である。ΔT10minreal(M)は、0.5W/cm2の6°Cから1.5W/cm2の28°Cに増加することが観察された(表1)。また、温度上昇率(Temperaturerise(M))を、Temperaturerise(M)=(ΔT10min(M)/ΔT10min(W)-1)×100の式を使用して推定した。0.5W/cm2での37%から1.5W/cm2での100%まで増加する(表1)。また、式SARreal(M)=Slopereal(M)xCv/Cnanoを使用して、鉄に含まれるマグネトソーム1グラムあたりのワット数(W/gFe)で表される、組織に挿入されたマグネトソームの比吸収率SARreal(M)の値を推定した。ここでSlopereal(M)=Slope(M)-Slope(W)、Slope(M)およびSlope(W)は、図1(a)のプロットから推定される温度変化の初期勾配を表す。1(c)まで、Cv=4.2JK-1g-1は水の比熱であり、Cnanoは水1mLあたりのナノ粒子のグラム数でのナノ粒子濃度である。SARreal(M)は、0.5-1W/cm2で5-12W/gFeから1.5W/cm2で71W/gFeに増加する(表1)。式Sloperise(M)=[(Slope(M)/Slope(W))-1]×100を使用して表された勾配上昇率、Sloperise(M)も推定した。0.5-1W/cm2で9-47%から1.5W/cm2で124%に増加する。
【0555】
組織に混合され、0.5、1、または1.5W/cm2の異なる超音波パワーにさらされたシグマナノ粒子について、ΔT10minreal(S)の値も推定した。これは、ΔT10min(S)-ΔT10min(W)、ここで、ΔT10min(S)およびΔT10min(W)は、それぞれシグマナノ粒子を含む組織およびシグマナノ粒子を含まない組織を含むサンプルに10分間の超音波照射を行った後に観察される温度上昇である。ΔT10minreal(S)は0.5W/cm2での14fromCから1-1.5W/cm2での6-7°Cに減少することが観察された(表1)。また、
Temperaturerise(S)=(ΔT10min(S)/ΔT10min(W)-1)×100
の式を使用して表される温度上昇(Temperaturerise(S))の割合を推定した。0.5W/cm2での90%から1-1.5W/cm2での17-26%に減少する(表1)。また、式SARreal(S)=Slopereal(S)×Cv/Cnanoを使用して、組織に挿入されたシグマナノ粒子の比吸収率の値SARreal(S)を鉄中のシグマナノ粒子1グラムあたりのワット数(W/gFe)で推定した。ここで、Slopereal(S)は、シグマナノ粒子の図1(a)から1(c)のプロットから推定される温度変化の初期勾配を表し、Cv=4.2JK-1g-1は水とCnanoの比熱は、水1mLあたりのシグマナノ粒子のグラム単位のナノ粒子濃度である。SARreal(S)は、0.5~1.5W/cm2の間で16~28W/gFeのままである(表1)。式Sloperise(S)=(Slope(S)/Slope(W)-1)×100を使用して表される、勾配上昇の割合、Sloperise(S)も推定した。0.5W/cm2での118%から1-1.5W/cm2での30-36%に減少する。
【0556】
b)水中での非逐次加熱実験
【0557】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、および2(e)は、ΔT、水に分散した異なるナノ粒子を含む懸濁液の温度と水温の差を示している。ナノ粒子なしで、異なる懸濁液を10分間に0.5、1、または1.5W/cm2の超音波にさらした場合。図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、および2(e)は、それぞれマグネトソーム、シグマ、SPION50、SPION100、およびSPION20のΔTを時間の関数として示している。異なるナノ粒子と3つの異なるテスト出力では、ΔTは正であり、水のみに比べて水に分散したナノ粒子の方が温度上昇がより大きいことを示している。
【0558】
水に混合され、0.5、1、または1.5W/cm2の異なる超音波パワーに曝されたマグネトソームについて、ΔT10minreal(M)の値を推定した。これはΔT10min(M)-ΔT10min(W)に等しくなる。ここで、ΔT10min(M)およびΔT10min(W)は、マグネトソームを含む組織およびマグネトソームを含まない組織をそれぞれ含むサンプルに10分間超音波を照射した後に観察される温度上昇である。WT10minreal(M)は0.5W/cm2から1.5W/cm2(表2)まで3から9°Cにとどまり、1.5W/cm2で組織で観察された値(表2)よりも小さい値(表1)。また、Temperaturerise(M)=(ΔT10min(M)/ΔT10min(W)-1)×100の式を使用して表される温度上昇(Temperaturerise(M))の割合を推定した。0.5-1W/cm2で37-43%から1.5W/cm2で10%に減少し(表2)、1.5W/cm2で組織で測定されたTemperaturerise(M)(表1)よりも小さくなっている。また、式SARreal(M)=Slopereal(M)×Cv/Cnanoを使用して、鉄中のマグネトソーム1グラムあたりのワット(W/gFe)で表される水に分散したマグネトソームの比吸収率SARreal(M)の値を推定した。ここでSlopereal(M)図2(a)のプロットから推定される時間による温度変化の初期勾配を表し、Cv=4.2JK-1g-1は水の比熱であり、Cnanoは水1mLあたりのマグネトソームのグラム数で表したマグネトソーム濃度である。SARreal(M)は、0.5W/cm2での294W/gFeから1.5W/cm2での424W/gFeに増加し(表2)、組織で測定された値(表1)よりも高くなっている。式Sloperise(M)=(Slope(M)/Slope(W)-1)x100を使用して表された勾配上昇率、勾配上昇率(M)も推定した。0.5-1.5W/cm2で16-24%にとどまり(表2)、1.5W/cm2で組織で推定される124%よりも小さい値である(表1)。
【0559】
水に分散し、0.5、1、または1.5W/cm2の異なる超音波パワーにさらされたシグマナノ粒子について、ΔT10minreal(S)の値も推定した。これは、ΔT10min(S)-ΔT10min(W)に等しくここで、ΔT10min(S)およびΔT10min(W)は、それぞれ分散したシグマナノ粒子を含む水およびシグマナノ粒子なしの水のサンプルに10分間の超音波照射後に観察される温度上昇である。0.5~1.5W/cm2の超音波エネルギーに対して、ΔT10minreal(S)は6~12°Cのままであることがわかった(表2)。また、
Temperaturerise(S)=(ΔT10min(S)/ΔT10min(W)-1)×100の式を使用して表される温度上昇
(Temperaturerise(S))の割合を推定した。0.5-1.5W/cm2の電力では31-60%のままである(表2)。
また、組織に挿入されたシグマナノ粒子のSARの値SARreal(S)を式
SARreal(S)=Slopereal(S)×Cv/Cnanoを用いて鉄中のシグマナノ粒子のグラムあたりのワット数(W/gFe)で推定した、Slopereal(S)は、シグマナノ粒子の図2(b)のプロットから推定される温度変化の初期勾配を表し、Cv=4.2JK-1g-1は水の比熱容量でCnanoは、水1mLあたりの鉄中のシグマナノ粒子のグラム単位のナノ粒子濃度である。SARreal(S)は、0.5W/cm2での0W/gFeから1.5W/cm2での2686W/gFeに増加する
(表2)。式 Sloperise(S)=(Slope(S)/Slope(W)-1)×100を使用して表された勾配上昇率、勾配上昇率(S)も推定した。0.5-1W/cm2で0-8%から1.5W/cm2で99%に増加する。
【0560】
水に分散し、0.5、1、または1.5W/cm2の異なる超音波出力にさらされたSPION50、SPION100、およびSPION20ナノ粒子について、ΔT10minreal(S50)、ΔT10minreal(S100)そしてΔT10minreal(S20)の値も推定した。それらはそれぞれΔT10min(S50)-ΔT10min(W)、ΔT10min(S100)-ΔT10min(W)そしてΔT10min(S20)-ΔT10min(W)、に等しい。ΔT10min(S50)、ΔT10min(S100)、ΔT10min(S20)とΔT10min(W)は、それぞれ水に分散したSPION50、SPION100、およびSPION20ナノ粒子を含むサンプルとナノ粒子を含まない水の10分間の超音波照射後に観察される温度上昇である。ΔT10minreal(S50)、ΔT10minreal(S100)そしてΔT10minreal(S20)は、0.5-1.5W/cm2の超音波エネルギーに対して0-7°Cのままであることが観察された(表2)。
また、温度上昇(S)の式
SPION50に対しTemperaturerise(S50)=(ΔT10min(S50)/ΔT10min(W)-1)×100、
SPION100に対しTemperaturerise(S100)=(ΔT10min(S100)/ΔT10min(W)-1)×100、
SPION20に対しTemperaturerise(S20)=(ΔT10min(S20)/ΔT10min(W)-1)×100
を使って表現される温度上昇Temperaturerise(S)も推定した。異なるSPIONの出力は0.5-1.5W/cm2の場合、1-35%のままであった(表2)。
また、組織に挿入されたSPION50、SPION100、およびSPION20ナノ粒子の比吸収率の値、SARreal(S50)、SARreal(S100)、、SARreal(S20)を、SPION50、SPION100、およびSPION20ナノ粒子の鉄のグラムあたりのワット数で推定した(W/gFe)。そのために、SPION50、SPION100、およびSPION20ナノ粒子のそれぞれ以下の式を使用した:
SARreal(S50)=Slopereal(S50)×Cv/Cnano
SARreal(S100)=Slopereal(S100)×Cv/Cnano
SARreal(S20)=Slopereal(S20)×Cv/Cnano
Slopereal(S50)、Slopereal(S100)、Slopereal(S20)は、SPION50の図2(c)、SPION100の図2(d)、およびSPION20の図2(e)のプロットから推定される時間による温度変化の初期勾配を表し、Cv=4.2JK-1g-1は水の比熱であり、Cnanoは水1mLあたりの鉄中のSPION50、SPION20、またはSPION100ナノ粒子のグラム単位のナノ粒子濃度である。SARreal(S20)、SARreal(S50)そしてSARreal(S100)は、0.5-1W/cm2の0-677W/gFeから1.5W/cm2の787-2795W/gFeに増加する(表2)。
また、スロープ上昇、Sloperise(S20)、Sloperise(S50)、Sloperise(S100)の割合も推定した。それらは次の式を使用して表される。
SPION20に対してSloperise(S20)=(Slope(S20)/Slope(W)-1)×100、
SPION50に対してSloperise(S50)=(Slope(S50)/Slope(W)-1)×100、
SPION100に対してSloperise(S100)=(Slope(S100)/Slope(W)-1)×100。
0.5~1.5W/cm2の間は0~104%のままである。
【0561】
c)水中での連続加熱実験
【0562】
100μlの水に分散した500μgのマグネトソームを含むエッペンドルフを、超音波に連続的に曝露した。図3(a)は、時間t1でパワー1.5W/cm2および周波数3MHzの超音波を印加し、その後時間t2で超音波を印加しない13シーケンス(SQ1からSQ13)を示している。時間t1は、加熱ステップ中に43.5±1.5°Cの目標温度に到達するのに必要な時間に対応し、時間t2は、冷却ステップ中にサンプルを43.5±1.5°Cから34.5±0.5°Cに冷却するのに必要な時間に対応する。t1およびt2の値は、さまざまなシーケンスについて表3に示されている。シーケンスの平均周波数、1/(t1av+t2av)は33mHzと推定された。ここで、t1avとt2avは、13シーケンスにわたるt1とt2の平均値を表す。
図3(b)は、時間の関数として、マグネトソームを含む水を含むチューブの温度とマグネトソームを含まない水を含むチューブの温度の差であるΔTの変化を示している。ΔTは正で、13シーケンス全てにおいて、マグネトソームを含まない水のみを含むチューブよりもマグネトソームを含む水を含むチューブの方が温度上昇がより大きいことを示している。さらに、図3(b)に示すように、マグネトソームの存在による加熱と冷却のステップを何度も繰り返すことができ(13)、超音波がマグネトソームに損傷を与えていないか、マグネトソームの加熱力を強く損なわないことを示している。加熱ステップは、最初の2つのシーケンス中のマグニチュードがより大きい。これは、他の残りのシーケンス中よりも最初の2つのシーケンス中のマグネトソームの分散とマグネトソームの凝集が少ないためである。また、異なるシーケンス間で53%を超えて変化しない加熱時間と冷却時間でシーケンスを繰り返すことができることも確認している(表3)。
【0563】
結論
【0564】
この例から次の結論を導き出すことができる。
(i)ΔT(超音波にさらされた組織または水の中のナノ粒子の温度と超音波にさらされた組織または水だけの温度との温度差)の値は常に正であり、種々のナノ粒子(マグネトソーム、シグマ、SPION20、SPION50、SPION100)は、テストされた条件(超音波周波数=3MHz、超音波出力=0.5-1.5W/cm2、ナノ粒子濃度は60μg/mL~8mg/mLの間で変化し、ナノ粒子が組織内に挿入された状態でまたは水に分散して)で超音波の加熱効率を高めることを示している。
(ii)水懸濁液について、マグネトソームで観察されたSAR値が他のナノ粒子よりも低いことは(表2)、超音波を適用した後のマグネトソームの凝集が他のナノ粒子よりも多いことで説明できる(目で観察されたように)。
(iii)場合によっては、組織を加熱し、超音波にさらされたナノ粒子が生成する熱を妨げる超音波を生成するトランスデューサーが生成する熱のために、SARが過小評価されている可能性がある。これは、たとえばSAR値の一部が0W/gと報告される理由かもしれない。
(iv)SARrealがゼロの場合、ΔT10minrealの値はゼロではなく(表2)、ナノ粒子は音波によって生成される熱量を増加させるが、SARrealはおそらくトランスデューサーによって生成される熱との干渉により過小評価されることを示す。
(v)さまざまなナノ粒子を含む組織に超音波を適用することによって推定されたナノ粒子SAR値は、マグネトソームで最大値に達する。
(vi)マグネトソームを使用して、加熱ステップ(マグネトソームへの超音波の適用)に続く冷却ステップ(マグネトソームへの超音波の非適用)で構成されるシーケンスを作成でき、マグネトソームなしで得られた加熱および冷却ステップと比較して、加熱および冷却の大きさが強化されている(図3(a)および3(b))。

【0565】
例2
【0566】
図4は、水中に混合したBNF-Starchナノ粒子の懸濁液100μlを平均強度30mT、周波数196kHzの交流磁場に30分間曝すと、SARが。mLあたりナノ粒子に含まれる鉄500グラムの濃度のナノ粒子の鉄1グラムあたり4ワットから、mLあたりナノ粒子に含まれる鉄5ミリグラムの濃度のナノ粒子に含まれる鉄1グラムあたり114ワットまで、増加することを示している。ナノ粒子濃度が10倍に増加するのに対してSARは29倍に増加する。5mg/mLを超えると、SARはナノ粒子に含まれる鉄1グラムあたり110ワットで飽和する。
【0567】
例3:異なる濃度のマグネトソームと接触させられ、超音波の逐次的または連続的な適用にさらされた(またはされなかった)細胞の細胞毒性および温度測定。
【0568】
材料と方法
【0569】
この例で使用されるマグネトソームはM-CMDU87-MGであり、膠芽腫細胞はATCC(ATCC(R)HTB-14)から購入し、1mMピルビン酸、10%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ(Dullbecco’s)変法イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を培地を含むT175フラスコに播種した。80-90%の重なり状態に達したら、上清を除去し、PBSで置き換えて細胞を洗浄した。その後、PBS溶液を除去し、5%の容量の0.25%トリプシン-EDTAで置き換えた。細胞を、湿度90~95%のインキュベーター内で、5%二酸化炭素とともに37℃で5分間培養した。次に、細胞を回収した。トリプシンの作用を不活性化するために、10mlの容量の培地を加え、細胞を均質化した。30μLの細胞を回収し、30μLの4%トリパンブルーと混合して、細胞カウンター(Countess(登録商標)IIFL自動セルカウンター(ThermoFisherScientific))を使用して細胞をカウントし、細胞濃度を測定した。ペトリ皿あたり250mLの細胞2mLを5%CO2で37°Cで24時間培養し、細胞がペトリ皿の表面に付着するようにした。その後、細胞培地を除去し、マグネトソームを含まない新しい培地、または鉄中100μg/mLまたは500μg/mLの濃度のマグネトソームを含む新しい培地に交換した。次に、細胞を連続的に超音波にさらすか、逐次的に超音波にさらした。使用した超音波の出力は0mW/cm2、100mW/cm2、または500mW/cm2で、使用した超音波の周波数は1MHzであった。
【0570】
超音波は次のように適用された。変換器の表面を上に向け、超音波ゲルでコーティングされたゲルパッドを変換器の表面に堆積させて、変換器から放出される熱を減らした。次に、ゲルパッドの上にペトリ皿を置いた。ペトリ皿をゲルパッドの上に5分間保持し、超音波が異なる表面を横断できるようにした。
【0571】
超音波を連続的に適用するために、マグネトソームの有無にかかわらず細胞を含むペトリ皿に5分間超音波を連続的に適用した。
【0572】
超音波の連続的な適用のために、以下の方法で、マグネトソームの有無にかかわらず細胞を含むペトリ皿に超音波を連続して適用した。第1に1分間の超音波の適用、1分間の超音波の適用なし、第2に1分24秒間の超音波の適用、1分24秒間の超音波の適用なし、第3に1分間の超音波の適用、1分30秒間の超音波の適用なし、第4に1分間の超音波の適用、1分間18秒間の超音波の適用なし、第5に1分間12秒間の超音波照射、1分間18秒間に超音波の適用なし。
【0573】
超音波の適用中に、加熱温度はペトリ皿の20cm上に配置されたGuideInfrared社の赤外線カメラEasyIR-2を使用して測定された。
【0574】
処理の24時間後、マグネトソームを含む培地と含まない培地を除去し、PBS緩衝液と交換した。細胞をPBS緩衝液で2回洗浄した後、1mg/mlの3-(4、5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2、5-ジフェニル-テトラゾリウムの臭化物溶液2mlを接触させた。4時間の間にセルからテトラゾリウム塩を除去し、2mLのイソプロパノールで置き換えた。穏やかに撹拌した後、各ペトリ皿の容量100μLを96ウェルプレートに移した。620nmで吸光度を測定した。生存細胞の割合は、マグネトソームを含む/含まない超音波で処理された細胞で測定された光学密度と、マグネトソームなしで単独で処理された細胞で測定された光学密度の比を測定することによって決定され、その比率が100と乗算された。
【0575】
結果
【0576】
図5(a)は、次の処理後の生きているU87-Luc細胞の割合を示すヒストグラムである。U87-Luc細胞は、1mLあたり0、100、または500μgのマグネトソームの鉄と接触させ、出力100mW/cm2または500mW/cm2の超音波に連続的に曝露した(またはさせなかった)。ここでW/cm2は、超音波を生成する機器によって示される超音波の出力を表す。
【0577】
一方では、マグネトソーム濃度が0から500μg/mLに増加すると、生きている細胞の割合が減少することが観察されるi)超音波を当てない場合の100%から35%、およびii)500mW/cm2の出力の超音波を当てる場合の87%から10%。
【0578】
一方、超音波の出力が0mW/cm2から500mW/cm2に増加すると、生きている細胞の割合が減少することが観察される。i)マグネトソームの非存在下で100%から87%、500μg/mLのマグネトソームの存在下で35%~10%。
【0579】
超音波の出力とマグネトソーム濃度が増加すると、生細胞の割合が減少することが観察されている。
【0580】
図5(b)は、IRカメラで測定した、鉄のさまざまな濃度(mLあたり0、100、または500μg)のマグネトソームと接触させ、出力100mW/cm2、周波数1MHzの超音波に連続的に曝されたU87-Luc細胞の温度変化を時間の関数として表している。図5(b)は、100mW/cm2の電力では、テストされたさまざまなマグネトソーム濃度で温度が上昇しないことを示している。
【0581】
図5(c)は、赤外線カメラで測定した、鉄中の異なる濃度(0、100、または500μgparmL)のマグネトソームと接触したU87-Luc細胞の500mW/cm2の出力と1MHzの周波数の超音波に連続的に暴露された時の温度変化を時間の関数として表したものである。図5(c)は、500mW/cm2の出力で超音波照射5分後に、マグネトソーム0および100μg/mLでは4°C、マグネトソーム500μg/mLでは15°Cの温度が上昇することを示している。
【0582】
これらの結果から次のことが推測できる。
【0583】
i)マグネトソームに連続的に超音波を当てて温度を上昇させるには、十分に大きなマグネトソーム濃度(500μg/mL)と、500mW/cm2の超音波の十分に大きな出力を使用する必要がある(図5(c))。温度上昇は、マグネトソームの存在下で到達する温度上昇とマグネトソームの非存在下で到達する温度上昇の差である。
【0584】
ii)マグネトソームに100mW/cm2および500mW/cm2の超音波を印加する処理から生じる生存細胞の割合は、マグネトソームの濃度が100および500μg/mLの場合に類似しており、500mW/cm2の超音波と100mW/cm2の超音波の出力に対して32-40%で、この範囲の濃度でマグネトソーム濃度が細胞破壊の有効性に限定的な影響しか及ぼさないことを示す(図5(a))。これは、低マグネトソーム濃度で細胞破壊の高い有効性に到達できることを示唆している。
【0585】
iii)出力500mW/cm2の超音波を100μg/mLおよび500μg/mLの濃度のマグネトソームに適用すると、同様の割合の生細胞が得られる(図5(a))。100μg/mLの場合、温度の上昇はないが、500μg/mLの場合は15℃の温度上昇があり(図5(c))、温度の上昇の存在(またはなし)はこれらの条件下で細胞の生存率に役割を果たすようには見えない。
【0586】
図6(a)は、次の処理後の生きているU87-Luc細胞の割合を示すヒストグラムである。出力100mW/cm2または500mW/cm2の超音波。cm2は超音波を生成するトランスデューサーの表面を表す。全体として、結果は超音波を連続的に適用した場合の図5(a)で得られた結果と類似している。
【0587】
図6(b)は、IRカメラで測定した、さまざまな量のマグネトソーム(例:mL当たりマグネトソームの鉄中0、100、または500μg)に接触したU86-Luc細胞の、出力100mW/cm2、周波数1MHzの超音波に連続的に曝された時の時間の関数としての温度変化である。図6(b)は、100mW/cm2の超音波に逐次的にさらされたマグネトソーム0および100μg/mLの場合、温度が23°Cから21°Cにわずかに低下することを示している。100mW/cm2の超音波に連続的にさらされた500μg/mLのマグネトソームでは、温度は23°Cで大域的に変化しないか変化がない。
【0588】
図6(c)は、IRカメラを使用して測定した、さまざまなマグネトソーム濃度、すなわちmLあたりマグネトソームの鉄中の0、100、または500μgに接触させたU87-Luc細胞のパワー500mW/cm2および周波数1MHzの超音波に逐次的に暴露させたときの経時的な温度変化である。図6(c)は、中程度の温度上昇とそれに続く中程度の温度低下のシリーズまたはシーケンスを示し、その大きさは、マグネトソーム0μg/mL(マグネトソームなし)で1.2-2°C、100μg/mLで2.2-6°Cである。および500μg/mLのマグネトソームで2.4~4°Cである。温度の変動は、マグネトソームの非存在下よりも存在下で、特に500μg/mLでわずかに大きいが、非常に穏やかである。
【0589】
これでマグネトソームなしで超音波を単独で適用すると細胞毒性が限定的またはまったくないようなパワーと周波数で、マグネトソームの存在下でこれらの細胞に超音波を適用することにより、U87腫瘍細胞を効率的に破壊する可能性を示した。
【0590】
500mW/cm2の超音波に連続的にさらされるマグネトソームの量を100μg/mLから500μg/mLに増やすと、マグネトソームを使用しない500W/cm2の超音波照射の条件と比較して100μg/mLでの追加加熱がないが、500μg/mLで温度がさらに11°C(15-4°C)上昇する。(図5(c))。100~500μg/mLの加熱特性の違いにもかかわらず、これら2つの条件では、同様の割合で10%の生存細胞が得られる(図5(a))。
【0591】
500μg/mLの量のマグネトソームが500mW/cm2の出力の超音波に逐次的に曝されると、2.4-4°Cの異なるシーケンス中に中程度の温度上昇と温度低下が起こり、10%の生存細胞の割合が生じる。これは、500μg/mLのマグネトソームに500mW/cm2の出力の超音波を連続的に印加することで得られる10%の生細胞の割合では類似しているが、15℃のより顕著な温度上昇をもたらすのとは異なる。
【0592】
これらの結果は、低マグネトソーム濃度で、およびまたは温度上昇が制限されている、または温度上昇がない条件で得られる効果的な処置への道を開き、現在、高温度のナノ粒子を磁気温熱療法で使用するような強力な加熱と組み合わせることが多いナノ粒子ベースの処置の毒性を潜在的に低減し、これは現在クリニックでテストされている。
【0593】
例4:マグネトソームと接触させられ、レーザーの連続的または逐次的適用にさらされた(またはされなかった)細胞の細胞毒性および温度測定。
【0594】
材料と方法
【0595】
この例で使用されているマグネトソームはM-CMDを食べた。U87-MG膠芽腫細胞はATCC(ATCC(R)HTB-14)から購入し、1mMピルビン酸、10%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を培地を含むT175フラスコに播種した。80-90%のコンフルエンス(重なり状態)に達したら、上清を除去し、PBSで置き換えて細胞を洗浄した。続いて、PBS溶液を除去し、5mLの0.25%トリプシン-EDTAと交換した。細胞を、湿度90~95%のインキュベーター内で、5%二酸化炭素とともに37℃で5分間培養した。次に、細胞を回収した。トリプシンの作用を不活性化するために、10mlの容量の培地を加え、細胞を均質化しました。30μLの細胞を回収し、30μLの4%トリパンブルーと混合して、細胞カウンター(Countess(登録商標)IIFL自動セルカウンター(ThermoFisherScientific))を使用して細胞をカウントし、初期懸濁液の細胞濃度を測定した。100μLの104細胞を96ウェルプレートの各ウェルに挿入し、細胞を37℃、5%CO2で24時間培養して、細胞がウェルの表面に付着するようにした。次に、細胞培地を除去し、マグネトソームを含まない新しい培地、またはマグネトソームの鉄に1mg/mLの濃度でマグネトソームを含む新しい培地のいずれかに交換した。
【0596】
BALB/3T3クローンA31線維芽細胞はATCC(ATCC(R)CCL-163)から購入し、1mMピルビン酸、10%ウシウシ血清、100単位/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を培地を含むT175フラスコに播種した。80-90%のコンフルエンスに達したら、上清を除去し、PBSで置き換えて細胞を洗浄した。続いて、PBS溶液を除去し、5mLの0.25%トリプシン-EDTAと交換した。細胞を、湿度90~95%のインキュベーター内で、5%二酸化炭素とともに37℃で5分間培養した。次に、細胞を回収した。トリプシンの作用を不活性化するために、10mlの容量の培地を加え、細胞を均質化した。30μLの細胞を回収し、30μLの4%トリパンブルーと混合して、細胞カウンター(Countess(登録商標)IIFL自動セルカウンター(ThermoFisherScientific))を使用して細胞をカウントし、初期懸濁液の細胞濃度を測定した。100μLの104細胞を96ウェルプレートの各ウェルに入れ、細胞を37℃、5%CO2で24時間培養して、細胞がウェルの表面に付着するようにした。次に、細胞培地を除去し、マグネトソームを含まない新しい培地、またはマグネトソームの鉄に1mg/mLの濃度でマグネトソームを含む新しい培地のいずれかに交換した。
【0597】
次に、上記のように処理したU87-MGまたは3T3セルを、平均出力3W/cm2のレーザーに6分間連続して曝露するか、または逐次的にレーザーに曝露した。使用したレーザーのパワーは約3W/cm2で、パワーはファイバーの端と露出した表面(ウェルの表面)のレーザーパワーの比率である。レーザーの波長は808nmであった。レーザー光のビームは、マグネトソームを含む/含まない細胞を含むウェルの底に焦点を合わせた。
【0598】
レーザー光は次のように照射された。
【0599】
レーザーの継続的な適用のために、レーザーは6分間継続的に適用された。。
【0600】
レーザーの連続照射では、2つの条件がテストされた。条件1では、細胞を1mg/mLのマグネトソームと接触させ、次の方法で逐次レーザーに曝露した。
(a)U87-MGの場合:
第1シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを温度が45°Cに達するまで、60秒間適用するii)レーザーを18秒間適用せずに温度を45°Cから37°Cに下げる。
第2シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第3シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第4シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第5シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第6シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第7シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第8シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第9シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを13秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第10シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第11シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第12シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)25秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第13シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第14シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第15シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第16シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第17シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第18シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第19シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第20シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第21シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第22シーケンス:i)平均出力3W/cm2のレーザーを14秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)26秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
レーザー照射の合計時間は6分2秒である。
3T3について
第1シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)26秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第2シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第3シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第4シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第5シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第6シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第7シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第8シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第9シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを20秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第10シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第11シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第12シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第13シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第14シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第15シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを19.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第16シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第17シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第18シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第19シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを149秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
条件2では、細胞はマグネトソームと接触せず、条件1と同じシーケンス期間を使用してレーザーに逐次曝された。
【0601】
レーザーの照射中、GuideInfrared社の赤外線カメラEasyIR-2を使用して加熱温度を測定した。
【0602】
処理の24時間後、マグネトソームを含む培地と含まない培地を除去し、PBS緩衝液と交換した。細胞をこの緩衝液で2回洗浄した後、3-(4、5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2、5-ジフェニル-テトラゾリウムの臭化物の1mg/ml溶液100μlを接触させた。4時間の間に細胞は、テトラゾリウム塩が除去され、100μLのイソプロパノールで置き換えられた。穏やかに攪拌した後、マイクロプレート分光光度計システムを使用して、620nmで吸光度を測定した。生存細胞の百分率は、レーザーとマグネトソームで処理した細胞の光学密度と、レーザーを適用せずにマグネトソームなしで単独で処理した細胞の光学密度の比率を測定することによって決定され、比率に100を掛けた。
【0603】
結果
【0604】
図7(b)および8(b)は、U87-Lucおよび3T3細胞がマグネトソームと接触していないか、1mg/mLのマグネトソームと接触していて、6分間3W/cm2の平均出力のレーザーに連続的にさらされた場合に得られる温度変化を示している。レーザー照射前の初期温度は21°Cである。1mg/mLの濃度の場合、レーザーを照射してから6分後に50~54°Cの温度に達するが、マグネトソームがない場合は、25°Cの温度になる。
【0605】
図7(c)および8(c)は、U87-Lucおよび3T3細胞が1mg/mLのマグネトソームと接触するか、またはマグネトソームと接触せず、その後平均出力3W/cm2のレーザーに逐次曝露される場合に得られる温度変化を示している。レーザーの連続照射の合計加熱時間は、逐次照射の合計加熱時間と同様である。
【0606】
U87-MGセルのシーケンスの詳細は次のとおりである。
第1シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを60秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第2シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第3シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第4シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第5シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第6シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第7シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第8シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第9シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを135秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第10シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第11シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第12シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)25秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第13シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第14シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第15シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第16シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第17シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを12.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第18シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)24秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第19シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを13.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第20シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第21シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)23秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第22シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)16秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
レーザー照射の合計時間は6分2秒である。
【0607】
シーケンスの詳細は、3T3セルの場合は次のとおりである。
第1シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを90秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第2シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第3シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)22秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第4シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを14.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第5シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第6シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを15.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第7シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第8シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第9シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを20秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第10シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第11シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第12シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第13シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第14シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第15シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを19.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)21.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第16シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを18秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第17シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)19.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第18シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを17.5秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)20秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
第19シーケンス:平均出力3W/cm2のレーザーを19秒間適用すると、37°Cから45°Cに温度が上昇する。ii)18.5秒間レーザーを照射しないと、温度が45°Cから37°Cに低下する。
図7(c)および8(c)は、次のことを示している。
i)1mg/mLのマグネトソームが存在する場合、加熱および冷却ステップに到達できる。
ii)マグネトソームが存在しない場合、細胞は熱を生成しない。そして加熱および冷却ステップは到達できない。
【0608】
図7(a)および8(a)は、1mg/mLのマグネトソーム(右)と接触したU87-MG細胞(図7(a))および3T3細胞(図8(a))の生存細胞の割合を示している(右カラム)。またはマグネトソームと接触させず(左のカラム)、レーザーに曝されていない(コントロール、W/OL)、平均パワー3W/cm2のレーザーに6分間連続的に曝された(連続L)、または逐次的に平均出力3W/cm2のレーザーに13分間(逐次L)照射した。
【0609】
図7(a)は、U87-MG細胞と接触するマグネトソームの量が0から1mg/mLに増加すると、生存細胞の割合が減少することを示している:100%から65%(レーザー照射なし)、95%から25%(連続レーザー適用)、95%~10%(逐次レーザー適用)。
【0610】
図8(a)は、3T3細胞と接触するマグネトソームの量が0から1mg/mLに増加すると、生きている細胞の割合が100%から85%(レーザー照射なし)、95%から40%(連続レーザー適用)、95%~15%(逐次レーザー適用)に減少した。
【0611】
結論として、次のことを示した。
i)平均出力3W/cm2のレーザーを適用した後、45°Cから37°Cに温度を下げることにより、平均持続時間16秒の最大45°Cまでの定期的または定期的な温度上昇を実行することができた。その後、レーザーを当てないことにより、温度が45℃から37℃に低下するのに平均所要時間は22秒であった。
【0612】
ii)レーザーの遂次照射は、2つの試験細胞株(U87-Lucおよび3T3細胞)でレーザーの連続照射よりも多くの細胞を破壊することができる。
【0613】
例5 ROS産生
【0614】
材料と方法
【0615】
マグネトソームM-CMDを使用した。U87-MG膠芽腫細胞およびCAL-33はATCCから購入し、1mMピルビン酸、10%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリンおよび100μg/mLを添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。ストレプトマイシン細胞を培地を含むT175フラスコに播種した。80-90%のコンフルエンスに達したら、上清を除去し、PBSで置き換えて細胞を洗浄した。続いて、PBS溶液を除去し、5mLの0.25%トリプシン-EDTAと交換した。細胞を、湿度90~95%のインキュベーター内で、5%二酸化炭素とともに37℃で5分間培養した。次に、細胞を回収した。トリプシンの作用を不活性化するために、10mlの容量の培地を加え、細胞を均質化した。30μLの細胞を回収し、30μLの4%トリパンブルーと混合して、細胞カウンター(Countess(登録商標)IIFL自動セルカウンター(ThermoFisherScientific))を使用して細胞をカウントし、初期懸濁液の細胞濃度を測定した。ウェルあたり100μLの104細胞が96プレートウェルのウェルごとに沈着し、細胞がウェルの表面に付着するように、37℃、5%CO2で24時間培養した。次に細胞培地を取り除き、2'、7'ジクロロフルオレセインジアセテート(DCFH-DA)を100μMの濃度で含む新しい培地に交換した。次に、細胞を37℃、5%CO2で45分間培養し、培地を除去してPBSと交換し、細胞をリンスして細胞内ROSの産生を測定した。次に、PBSを、マグネトソームを含まない新しい培地、または次の濃度のマグネトソームを含む新しい培地と交換した:i)AMFまたはレーザーに曝されたU87-MGのマグネトソームの鉄の1mg/mL、またはii)ガンマ線に曝されたcal33細胞のマグネトソームの鉄の1000、500、250および16μg/mL。
【0616】
BALB/3T3クローンA31線維芽細胞はATCC(ATCC(R)CCL-163)から購入し、1mMピルビン酸、10%ウシウシ血清、100単位/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を培地を含むT175フラスコに播種した。80-90%のコンフルエンスに達したら、上清を除去し、PBSで置き換えて細胞を洗浄した。続いて、PBS溶液を除去し、5mLの0.25%トリプシン-EDTAと交換した。細胞を、湿度90~95%のインキュベーター内で、5%二酸化炭素とともに37℃で5分間培養した。次に、細胞を回収した。トリプシンの作用を不活性化するために、10mlの容量の培地を加え、細胞を均質化した。30μLの細胞を回収し、30μLの4%トリパンブルーと混合して、細胞カウンター(Countess(登録商標)IIFL自動セルカウンター(ThermoFisherScientific))を使用して細胞をカウントし、初期懸濁液の細胞濃度を測定した。96プレートウェルの各ウェルに100μLの104細胞を入れ、37℃、5%CO2で24時間培養して、細胞がウェルの表面に付着するようにした。次に細胞培地を取り除き、2'、7'ジクロロフルオレセインジアセテート(DCFH-DA)を100μMの濃度で含む新しい培地に交換した。次に、細胞を37℃、5%CO2で45分間培養し、培地を除去してPBSと交換し、細胞をすすぎ、ROSの細胞内産生を測定した。次に、PBSを次のものに交換した:i)マグネトソームを含まない新しい培地、ii)AMFまたはレーザー処置用にマグネトソームの鉄の1mg/mLの濃度でマグネトソームを含む新しい培地、またはiii)細胞にガンマ線を照射するときにはマグネトソームの鉄1000、500、250および16μg/mL。
【0617】
次に、上記のように処理したU87-MGまたは3T3細胞を、平均出力3W/cm2のレーザーに6分間連続して照射するか、または遂次レーザーに照射した。使用したレーザーの出力は約3W/cm2で、レーザーの波長は808nmでした。レーザー光のビームは、マグネトソームを含む/含まない細胞を含むウェルの底に焦点を合わせた。
【0618】
レーザー光は以下のように照射された:レーザーの連続照射のために、レーザーは6分間連続して照射された。レーザーの遂次照射については、レーザー照射のシーケンスが図7(c)の凡例に記載されている。
【0619】
AMFは次のように適用された。AMFを継続的に適用するために、マグネトソームを含む/含まない細胞を含むウェルをコイルの中心に配置し、強度34-47mTのAMFと周波数198KHzペンダントに30分間曝した。レーザーの遂次適用の場合、使用されるシーケンスの詳細は図10(a)の凡例に示されている。
【0620】
レーザーとAMFの適用中、ウェルの20cm上に配置されたGuideInfrared社の赤外線カメラEasyIR-2を使用して、加熱温度を測定した。
【0621】
ガンマ線照射の場合、ウェルは、GammaServiceMedicalGmbHから購入した総放射能190TBqのセシウム137(GSRCs137/C)の4つのソースを含むGSR_D1照射器内のプレートの中央に配置された。照射線量は、ウェルの表面、したがって細胞の照射への曝露時間によってリアルタイムで決定され、その時間は5分から1.7時間で、照射線量は5から80Gyであった。
【0622】
処理の30分後、マグネトソームを含むおよび含まない培地を除去し、次にPBS緩衝液で置き換えた。マイクロプレート蛍光光度計システムを使用して、485nmでの励起により530nmで蛍光を測定した。ROS生成率は、レーザーまたはAMFまたはガンマ線で処理された細胞とマグネトソームで測定された蛍光の強度と、レーザーまたはAMFまたはガンマ放射線を適用せずにマグネトソームなしで単独で処理された細胞で測定された蛍光の強度との比によって決定され、そしてこの比率は100倍された。
【0623】
MTTアッセイでは、処理の72時間後に、マグネトソームを含む培地と含まない培地を取り除き、PBSバッファー溶液と交換した。細胞をこの緩衝液で2回洗浄した後、3-(4、5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2、5-ジフェニル-テトラゾリウムの臭化物の1mg/ml溶液100μlで細胞を4時間かけて、テトラゾリウム塩を除去し、100μLのイソプロパノールと交換した。穏やかに攪拌した後、吸光度を620nmで測定した。生きている細胞の割合は、レーザーまたはAMFまたはガンマ線で処理された細胞とマグネトソームで測定された光学密度と、レーザーまたはAMFまたはガンマ線を適用せずにマグネトソームなしで単独で処理された細胞で測定された光学密度との比を測定することによって決定され、この比は100倍された。
【0624】
結果
【0625】
ROS生成率は、マグネトソームに接触した(または接触していない)細胞の存在下で、DCFH-DAと反応した一重項酸素、過酸化物、アニオンスーパーオキシド、ヒドロキシルなどのフリーラジカルの生成率に対応し、レーザー、AMF、またはガンマ線で連続的にまたは遂次的に曝される。
【0626】
図9(a)および9(b)は、次の処理後のROS生成率を示している:3T3およびU87-MG細胞は、マグネトソームの鉄(M-CMD)中の1mg/mLと接触するか、マグネトソーム(0mg/mL)で接触しないか、またレーザーに曝されない(W/oL)か、または6分間平均パワー3W/cm2のレーザーに連続的に曝される、または平均パワー3W/cm2のレーザーに遂次的に曝される、そのシーケンスの詳細は、図7および8の凡例に記載されている。
【0627】
3T3細胞の場合、マグネトソームがない場合、レーザーに連続的または遂次的に曝された細胞は、ROS生成の割合が約30%と同様に低くなる。マグネトソームが存在する場合、この30%の割合は次のように増加する。
i)レーザー励起なしで3倍程度最大100%まで穏やかに、
ii)さらに大きい、連続レーザー励起する場合は15倍最大450%まで、および
iii)遂次レーザー励起に対して22倍強く最大650%まで(図9(a))。
【0628】
同様の動作がU87-MG細胞でも見られる。マグネトソームが存在しない場合、連続的または遂次的にレーザーに曝されたU87-MG細胞は、ROS生成の割合が約50%と同様に低くなる。マグネトソームの存在下では、この50%の割合がつぎのように増加する。
i)レーザー励起なしで中程度の3倍の最大150%、
ii)より大きい連続レーザー励起で11倍最大550%、および
iii)遂次適用で強力に16倍最大800%(図9(b))。
【0629】
図10(a)および10(b)は、次の処理後のROS生成率を示している:3T3およびU87-MG細胞は、マグネトソームの鉄で1mg/mLと接触するか、マグネトソームと接触しない(0mg/mL)、AMFに曝されない(AMFなし)、AMFに連続的に曝されている、またはAMFに逐次的に曝されている、連続および遂次適用の詳細は図10の凡例に示されている。
【0630】
3T3細胞の場合、マグネトソームがない場合、AMFに連続的または逐次的に曝露された細胞は、ROSの割合が30~50%と低くなる。マグネトソームの存在下では、この割合は30~50%増加する。
i)AMFが適用されていない場合は中程度に100%まで、
ii)より連続的にAMFが適用されている場合はより大きく810%まで、
iii)強く遂次AMFアプリケーションが存在する場合、最大1100%(図10(a))
【0631】
同様の動作がU87-MG細胞でも見られる。マグネトソームが存在しない場合、AMFに連続的または連続的に曝露されたU87-MG細胞は、ROS産生の割合が50~80%と低い。マグネトソームの存在下では、この割合は50~80%増加する。
i)AMFを適用しない場合は中程度に最大200%、
ii)連続的にAMFを適用している場合は最大1450%、
iii)強く遂次AMF適用が存在する場合最大1700%。
【0632】
図11(a)は、次の処理後の生細胞の割合を示している。3T3細胞は、マグネトソームの鉄に含まれる1000、500、250、または16μg/mLと接触するか、マグネトソームと接触しない(0mg/mL)。ガンマ線照射に曝されていないか、または異なる線量のガンマ線に曝されている(5、10、20、40、および80Gy)。5、10、20、40、および80Gyのガンマ線に曝されたマグネトソームのない細胞は、それぞれ80、70、65、60、および60%の生存細胞の割合を示す。細胞を16μg/mLのマグネトソームと接触させても、比較的類似した結果が得られる。マグネトソーム濃度が250から1000μg/mLに増加すると、生細胞の割合が70%から45%に減少する。ガンマ線の存在下で生細胞の割合はわずかに減少するが、異なる濃度のマグネトソームの存在は、この減少の大きさを増幅するようには見えない。
【0633】
図11(b)は、次の処理後のROS生成率を示している。3T3細胞は、マグネトソームの鉄に含まれる1000、500、250、16μg/mLと接触するか、マグネトソームと接触しない(0mg/mL)。そして、ガンマ線照射に曝されていないか、または異なる線量のガンマ線に曝されている(5、10、20、40、および80Gy)。マグネトソームがなく、さまざまな線量のガンマ線(5、10、20、40、および80Gy)に曝された細胞は、200%という低い割合のROS生成をもたらす。これらの結果は、マグネトソーム濃度が16μg/mLの場合に比較的似ている。250μg/mLを超えるマグネトソーム濃度(鉄中)の場合、ROS生成率は大幅に増加する。
i)250μg/mLのM-CMDの場合、0Gyで50%から80Gyで1050%、
ii)150から500μg/mLのM-CMDの場合、0Gyで1%から80Gyで1250%、
iii)1000μg/mLのM-CMDで0Gyで200%から80Gyで1600%。
【0634】
図12(a)は、次の処理後の生細胞の割合を示している。Cal33細胞は、マグネトソームの鉄で1000、500、250、16μg/mLと接触するか、マグネトソーム(0mg/mL)と接触しない)、ガンマ線照射に曝されていないか、または異なる線量のガンマ線に曝されている(5、10、20、40、および80Gy)。5、10、20、40、80Gyのガンマ線に曝されたマグネトソームのない細胞は、それぞれ98、98、95、80、80%の生細胞の百分率を生み出す。生細胞の割合は、マグネトソームの存在下で強く減少する。照射がない場合、生きている細胞の割合は、16μg/mLのマグネトソームの100%から1000μg/mLの0%まで減少する。興味深いことに、マグネトソームが存在しない場合、生存細胞の割合は照射によって減少するが、マグネトソームが存在する場合、生存細胞の割合は増加する。実際、250μg/mLのマグネトソームが5Gyで照射されると、生きている細胞の割合は5%(照射なし)から35%(5Gy照射)に増加する。
【0635】
図12(b)は、次の処理後のROS生成率を示している。Cal33細胞は、マグネトソームの鉄に含まれる1000、500、250、または16μg/mLと接触するか、マグネトソーム都接触しない(0mg/mL)であり、ガンマ線照射に曝されていないか、異なる線量のガンマ線に曝されている(5、10、20、40、80Gy)。マグネトソームが存在しない場合、Cal-33細胞のみが5または10Gyの低出力ガンマ線に曝されても、ROS産生は起こらない。これらの細胞が20~80Gyのガンマ線に曝されると、ROS生成率が50~400%になる。マグネトソーム濃度が250、500、または1000μg/mLの場合、ROSの生成率は、放射線が存在しない場合の約50%から80Gyが存在する場合の1900-2400%に大幅に増加する。
【0636】
この例から次の結論を導き出すことができる。
i)異なる細胞株(Cal-33、3T3、U87-MG)と接触させたマグネトソームは、1mg/mLの濃度でROSを生成する。細胞株Cal-33および3T3の場合、ROSの産生は250、500、および1000μg/mLで観察されるが、16μg/mLでは観察されない。これは、励起源がない場合に産生されるROSの量がマグネトソーム濃度を変化させることにより調整し得ることを示している。
ii)励起源(レーザーおよびAMF)の場合、ROS生成率は、マグネトソームに連続的に励起を適用することにより適度に増加し、3T3およびU87-MG細胞の両方でマグネトソームに逐次的に励起を適用することにより強く増加する。
iii)マグネトソーム(マグネトソーム濃度が500μg/mLを超える)の存在下で3T3細胞にガンマ線を照射すると、照射線量の増加に伴ってROS生成率が上昇するが、細胞生存率は照射線量の増加に伴って大きく低下しない。健康な細胞の場合、ROSの産生は、ガンマ線照射下での細胞生存率に強く影響するようには見えない。
【0637】
表1. 4.6cm3の組織に挿入され周波数3MHzで0.5W/cm2、1W/cm2、1.5W/cm2の超音波に曝された210μgの鉄のナノ粒子について、(Slope(M))は組織と混合されたマグネトソームの時間的温度変化の起点での勾配を示し、Slopereal(M)は、組織と混合されたマグネトームの時間的温度変化の起点での勾配(Slope(M))とナノ粒子なしの組織の時間的温度変化の起点での勾配(Slope(w))との差を示す。

SloperealN(M)は、Slopereal(M)をマグネトソーム1mLに含まれる鉄のグラム単位でのマグネトソーム濃度で割った値である。勾配の上昇(Sloperise(M))は、マグネトソームの式
Sloperise(M)(%)=((Slope(M)/Slope(W))-1)×100を使用して推定された勾配の上昇のパーセンテージを示す。マグネトソームのグラムあたりのワット数で見積もられたマグネトソームの比吸収率(SAR(M))は、式
SAR(M)=Cv・Slope(M)/Cnanoで勾配Slope(M)の値から推定される。ここで
Cv=4.2J・K-1・g-1は水の比熱であり、Cnanoは組織のcm3あたりのマグネトソームのグラムでのマグネトソーム濃度である。超音波の適用前に測定された初期温度と超音波の適用の10分後に測定された温度との間の温度差は、マグネトソームの
ΔT10min(M)と指定される。ΔT10min(M)とΔT10min(w)の差は、ΔT10minreal(M)と指定される。マグネトソームの温度上昇の割合は、次の式を使用して推定される、
Temperaturerise(M)(%)=((ΔT10min(M)/ΔT10min(W))-1)×100。
4.6cm3の組織に挿入され周波数3MHz、電力0.5W/cm2、1W/cm2、1.5W/cm2に曝された鉄210μgのシグマナノ粒子について(Slope(S))は、組織と混合されたシグマナノ粒子の時間による温度変化の原点での勾配を指定し、(Slopereal(S))は、組織と混合されたシグマナノ粒子の時間による温度変化の起点での勾配(Slope(S))と、ナノ粒子のない組織の時間による温度変化の起点での勾配(Slope(w))との差を指定する。SloperealN(S)は、Slopereal(S)を、シグマナノ粒子に含まれる鉄のmLあたりのグラム単位でのシグマナノ粒子濃度で割ったものである。マグネトソームについての勾配の立ち上がり(Sloperise(S))は、次の式
Sloperise(S)(%)=((Slope(S)/Slope(W))-1)×100を使用して推定された勾配の立ち上がりのパーセンテージを示す。シグマナノ粒子のグラムあたりのワット数で推定されたシグマナノ粒子の比吸収率(SAR(S))は、次の式を使用してスロープ(S)の値から推定される:SAR(S)=Cv・Slope(S)/Cnanoここで、Cv=4.2J・K-1g-1は水の比熱で、Cnanoは組織のcm3あたりのシグマナノ粒子のグラムで表したシグマナノ粒子濃度である。超音波の適用前に測定された初期温度と超音波の適用の10分後に測定された温度との間の温度差は、シグマナノ粒子のΔT10min(S)として指定される。ΔT10min(S)とΔT10min(w)の差は、ΔT10minreal(S)と指定される。温度上昇のパーセンテージは、次の式を使用してシグマナノ粒子に対して推定される:
Temperaturerise(S)(%)=((ΔT10min(S)/ΔT10min(W))-1)×100。

【表1】
【0638】
表2.100μgの鉄のナノ粒子(マグネトソーム、シグマ、SPION20、SPION50、SPION100)が、周波数3MHz、出力0.5W/cm2、1W/cm2、1.5W/cm2の超音波に曝された100μlの水に分散されている場合、水に分散されたさまざまなナノ粒子の時間による温度変化の起点での勾配は、マグネトソームに対してSlope(M)、シグマナノ粒子に対してSlope(S)、SPION20のに対してSlope(S20)、SPION50に対してSlope(S50)、SPION100に対してSlope(S100)として指定される。水中に分散したナノ粒子の時間による温度変化の起点での勾配とナノ粒子のない水の時間による温度変化の起点での勾配の差は、マグネトソームに対してSlopereal(M)、シグマナノ粒子に対してSlopereal(S)、SPION20に対して、Slopereal(S20)、SPION50に対して、Slopereal(S50)、SPION100に対して、Slopereal(S100)で指定される。
次の式を使用して推定された勾配上昇率のパーセンテージは:
マグネトソームに対してSloperise(M)=((Slope(M)/Slope(W)-1)×100、
SPION20に対してSloperise(S20)=((Slope(S20)/Slope(W))-1)×100、
SPION50に対してSloperise(S50)=((Slope(S50)/Slope(W)-1)×100、
SPION100に対してSloperise(S100)=((Slope(S100)/Slope(W)-1)×100である。
ナノ粒子1グラムあたりのワット数で測定された比吸収率(SAR)はCvを使用してSlopeの値から次の式で推定される:
マグネトソームに対してSAR(M)=Cv・Slope(M)/Cnano
シグマに対してSAR(S)=Cv・Slope(S)/Cnano
SPION20に対してSAR(S20)=Cv・Slope(S20)/Cnano
SPION50に対してSAR(S50)=Cv・Slope(S50)/Cnano
SPION100に対してSAR(S100)=Cv・Slope(S100)/Cnanoである。
ここで、Cv=4.2J・K-1g-1は水の比熱で、Cnanoはナノ粒子(マグネトソーム、シグマ、SPION20、SPION50、またはSPION100)の濃度で、水1mLあたりのナノ粒子のグラム数であるSlopereal(M)、Slopereal(S)、Slopereal(S20)、Slopereal(S50)Slopereal(S100)は、水中に分散したナノ粒子の時間による温度変化の初期勾配と、ナノ粒子を含まない水の時間による温度変化の初期勾配との差を指定するものである。
水に分散されたナノ粒子の場合、超音波の適用前に測定された初期温度と超音波の適用の10分後に測定された温度との間の温度差は、水のみの場合はΔT10min(W)、マグネトソームの場合はΔT10min(M)、シグマナノ粒子の場合はΔT10min(S)、SPION20の場合はΔT10min(S20)、SPION50の場合はΔT10min(S50)、SPION100の場合はΔT10min(S100)と指定される。
ΔT10min(M)とΔT10min(w)、ΔT10min(S)とΔT10min(w)、ΔT10min(S20)とΔT10min(w)、ΔT10min(S50)とΔT10min(w)、ΔT10min(S100)とΔT10min(w)、の違いは、magnetosomes、Sigmananoparticles、SPION20、SPION50、SPION100のそれぞれに対してΔT10minreal(M)、ΔT10minreal(S)、ΔT10minreal(S20)、ΔT10minreal(S50)、ΔT10minreal(S100)。と指定される。
温度上昇の百分率は次の式を使用してそれぞれ推定される:
シグマに対してTemperaturerise(%)=((ΔT10min(S)/ΔT10min(W))-1)×100、
マグネトソームに対してTemperaturerise(%)=((ΔT10min(M)/ΔT10min(W))-1)×100、
SPION20に対してTemperaturerise(%)=((ΔT10min(S20)/ΔT10min(W))-1)×100、
SPION50に対してTemperaturerise(%)=((ΔT10min(S50)/ΔT10min(W))-1)×100、
SPION100に対してTemperaturerise(%)=((ΔT10min(S100)/ΔT10min(W))-1)×100。

【表2】
【0639】
100μlの水に500μgのマグネトソームを分散させ、超音波に逐次的に曝した場合、13シーケンスのそれぞれの間に加熱ステップ(周波数3MHzの超音波と1.5W/cm2の超音波の適用)中に43±1.5°Cの望ましい温度に到達するのに必要な時間はt1、冷却ステップ(超音波の非印加)中に34.5±0.5°Cに到達するのに必要な時間はt2、各シーケンスの周波数は(mHz、1/t1+t2)である。

【表3】
図1
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図12