(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 19/02 20060101AFI20250114BHJP
B65G 19/22 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
B65G19/02 B
B65G19/22 C
(21)【出願番号】P 2021206696
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 守
(72)【発明者】
【氏名】山口 文也
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭52-054146(JP,Y1)
【文献】実開昭58-078806(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/02
B65G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に間隔を置いて配列される複数の物品が載せられる搬送板と、
前記搬送板の下方において、前記搬送方向に延びる走行レールと、
無端状に設けられ、全周のうち一部の搬送区間が前記搬送板の下方において前記搬送方向に延び、循環する無端索体と、
前記無端索体に沿って間隔を置いて前記無端索体に取り付けられ、前記搬送方向に対して直交する軸の回りに揺動可能な複数の押送部材と、を備え、
前記搬送区間の前記無端索体に取り付けられる前記押送部材は、前記走行レール上に立って前記搬送板の上に突き出た状態で、前記無端索体の循環によって前記搬送方向に前記物品を押し進め、
前記走行レールの中途部に、前記搬送方向の逆方向となる後方に前記押送部材を傾動させるための少なくとも1つの切欠きが形成され
、
前記走行レールは、前記切欠きの前部の底が前方に向かって上りに傾斜して前記走行レールの上面にまで続いている
搬送装置。
【請求項2】
前記走行レール上に立った状態の前記押送部材の重心が前記軸よりも前記搬送方向の逆方向となる後方に設定されている
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記押送部材が、前記切欠きを通過の際に前記切欠きに落ち込んで、前記搬送方向の逆となる後方に傾動する
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送方向における前記切欠きの後端から前方、且つ、前記軸よりも上において、前記押送部材の進路の脇に固定され、その固定箇所から前記押送部材の進路に延び出た弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部材
を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品又は日用品などの物品を包装する包装ラインでは、搬送装置と包装機が直列に配設されている。搬送装置は、物品を次々と包装機に供給する。包装機は、供給された物品と一緒に送られるフィルムのうち隣り合う物品の部分を横方向綴じ目用シール装置(トップシール装置、エンドシール装置又は横シール装置ともいう。)により物品供給周期と同周期で周期的にシールする。これにより物品は個別に包装される。
【0003】
決まったタイミングで周期的に物品が包装機に供給されるように、搬送装置には押送コンベヤ(例えば、特許文献1参照)が利用される。押送コンベヤは、無端チェーン及び複数の押送部材を備えている。無端チェーンは物品の搬送レーンの下方においてスプロケットに掛け渡され、無端チェーンの一部の区間が搬送レーンに沿って設けられている。複数の押送部材は、一定間隔を置いて無端チェーンに取り付けている。搬送レーンに沿った区間にある押送部材は、搬送レーンの下方から上方に突出しており、無端チェーンの牽引により包装機に向かって進行する。物品は、後ろから押送部材によって押されて搬送される。そのため、搬送中の物品の位置はそれを押す押送部材の前面の位置を基準として決まり、物品は、押送部材の前面が包装機に到達する正規のタイミングで包装機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、押送コンベヤに対する物品の供給ミスが生じた場合、物品が押送部材に乗り上げた状態で搬送されるか、或いは、物品が搬送レーンの脇のサイドガイドと押送部材との間に挟まれた状態で搬送される。そうした場合、物品は、押送部材の前面から搬送方向の後方に位置ずれした状態で搬送されることから、正規のタイミングよりも遅れて包装機に供給される。そうすると、物品が包装機の横方向綴じ目用シール装置によって噛み込まれるため、不良な包装品が作製されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、物品が押送部材に乗り上げた状態で搬送される場合であっても、或いは、物品がサイドガイドと押送部材との間に挟まれた状態で搬送される場合でもあっても、物品を押送部材の前に位置させることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための搬送装置は、搬送方向に間隔を置いて配列される複数の物品が載せられる搬送板と、前記搬送板の下方において、前記搬送方向に延びる走行レールと、無端状に設けられ、全周のうち一部の搬送区間が前記搬送板の下方において前記搬送方向に延び、循環する無端索体と、前記無端索体に沿って間隔を置いて前記無端索体に取り付けられ、前記搬送方向に対して直交する軸の回りに揺動可能な複数の押送部材と、を備え、前記搬送区間の前記無端索体に取り付けられる前記押送部材は、前記走行レール上に立って前記搬送板の上に突き出た状態で、前記無端索体の循環によって前記搬送方向に前記物品を押し進め、前記走行レールの中途部に、前記搬送方向の逆方向となる後方に前記押送部材を傾動させるための少なくとも1つの切欠きが形成されている。
【0008】
以上によれば、押送部材が揺動可能となって無端索体に取り付けられ、切欠きが走行レールに形成されているため、走行レール上を立った状態で走行する押送部材が切欠きに至ると、その押送部材が切欠きに落ち込んで後方に傾動する。そのため、押送部材に乗り上げていた物品は、押送部材の前に落ちる。或いは、押送部材とその側方のガイドとの間に挟まれていた物品は、押送部材の前に倒れる。よって、押送部材が物品を後ろから押し進められるようになる。
切欠きを通過した押送部材は、走行レールに乗り上げるため、後傾状態から立ち上がる。そのため、押送部材によって押し進められる物品の位置は、正規な位置、つまり、立った状態の押送部材の前面の位置を基準として決まる。よって、物品が押送部材の前面の位置から後方に位置ずれした状態で搬送されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、押送部材が切欠きを通過する際に、押送部材が後傾した後に立ち上がる。押送部材が切欠きに至る前に物品が押送部材に乗り上げた状態で搬送される場合であっても、或いは、物品がサイドガイドと押送部材との間に挟まれた状態で搬送される場合でもあっても、切欠きにおける押送部材の後傾によって物品が押送部材の前に配される。そのため、押送部材が物品をその後方から押し進められるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1中のII-II線に沿った面を矢印方向に見て示す断面図である。
【
図3】
図1中のIII領域における搬送装置の内部の側面図である。
【
図4】搬送装置の押送部材及び弾性部材の動作の説明図である。
【
図5】搬送装置の押送部材及び弾性部材の動作の説明図である。
【
図6】搬送装置の押送部材及び弾性部材の動作の説明図である。
【
図7】
図1中のIII領域における変形例の搬送装置の内部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
1. 搬送装置の構成
(1) 搬送装置の概要
図1は、搬送装置1の概略側面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿った面を矢印方向から見た断面図である。
図3は、
図1に示すIII領域における搬送装置1の内部の側面図である。
図1及び
図3中の左から右に向かう方向が搬送方向であり、右から左に向かう方向が搬送方向の逆向きとなる後方である。以下では、搬送方向を前方向又は前方ということもある。
【0013】
搬送装置1は、包装機100に隣接して設置されている。搬送装置1は、水平な搬送方向に間隔を置いて一列に配列された複数の物品99を、搬送方向に搬送し、これら物品99を次々包装機100に供給する。包装機100は、包装フィルム101によって物品99を次々と個別に包装する。包装機100は、例えばピロー包装機、三方シール包装機又は四方シール包装機である。物品99は、煎餅又は焼き菓子等の加工食品であるが、加工食品以外の物品であってもよい。
【0014】
搬送装置1は、機枠10、搬送板11,12、天板15,16、無端索体21、複数のスプロケット22~25、モーター29、複数の押送部材30、ガイドレール41、走行レール42及び弾性部材50を備える。
【0015】
(2) 機枠
機枠10は、搬送装置1の骨組みとなる構造物である。
【0016】
(3) 搬送板
図2に示される搬送板11,12は、搬送方向に延びた水平な帯板材である。搬送板11,12は、搬送方向に直交する水平な幅方向に互いに離間した状態で、機枠10に取り付けられている。搬送板11,12の間の隙間は、搬送方向に延びたスリット13である。搬送板11,12は、搬送方向に一列に配列された複数の物品99を下から支持する。これら物品99は、スリット13を跨いだ状態で搬送板11,12に載せられて、それぞれ押送部材30によって搬送方向に押し進められる。
【0017】
(4) 天板
図2に示される天板15,16は、搬送方向に延びた水平な帯板材である。天板15,16は、それぞれ搬送板11,12の上において、幅方向に互いに離間した状態で機枠10に取り付けられている。天板15,16の側端面15a,16aは、これらの間に間隔を置いて互いに対向する。側端面15a,16aの間の隙間はスリット13の上方に位置し、側端面15a,16aの間隔はスリット13の幅よりも広い。側端面15a,16aの間の隙間は、搬送方向に延びた搬送レーン17となる。側端面15a,16aは、搬送板11,12上の物品99の両脇においてこれら物品99を搬送方向に案内するサイドガイドである。なお、
図1においては、天板15,16の図示が省略され、物品99及び押送部材30が天板15,16によって隠れないようにする。
【0018】
天板15,16は、作業者が複数の物品99を散開させるための作業台である。作業者は、天板15,16上に散開させた物品99を搬送レーン17に供給する。搬送レーン17に供給された物品99は、それぞれ押送部材30によって進行方向に押し進められる。
【0019】
(5) スプロケット、無端索体、モーター及びガイドレール
スプロケット22~25は、搬送板11,12の下方において機枠10に取り付けられている。各スプロケット22~25は、機枠10に取り付けられた状態で、回転可能となっている。スプロケット22は、機枠10の後部に取り付けられている。スプロケット23は、スプロケット22の上方且つ前方に配置されている。スプロケット24は、スプロケット23から前方に離れた位置に配置されている。また、スプロケット24は、包装機100の製袋器の近傍に配置されている。スプロケット25は、スプロケット24の下方に配置されている。
【0020】
ガイドレール41は、搬送板11,12の下方において機枠10に取り付けられている。ガイドレール41は、スプロケット23からスプロケット24まで搬送板11,12及びスリット13に沿って水平に搬送方向に延びている。ガイドレール41は、無端索体21の全周のうち、スプロケット23からスプロケット24までの搬送区間21aの部分を下から支持する。
【0021】
無端索体21は、複数のリンクが直列且つ無端状に複数の連結ピンによって連結されてなる無端ローラーチェーンである。連結ピンは、搬送方向に対して直交する。
【0022】
無端索体21は、搬送板11,12の下方においてスプロケット22~25に掛け渡されている。搬送区間21aの無端索体21は、ガイドレール41上に載せられて、ガイドレール41によって搬送板11,12に沿って搬送方向に案内される。搬送区間21aの無端索体21は、スリット13に沿って設けられている。
なお、無端索体21は、歯付き無端ベルト、歯無し無端ベルト又は無端ワイヤであってもよい。無端索体21が歯無し無端ベルト又は無端ワイヤである場合、スプロケット22~25の代わりにプーリーが用いられる。
【0023】
モーター29は、スプロケット25に連結されて、スプロケット25を駆動する。モーター29は、例えばサーボモーターである。モーター29により駆動されたスプロケット25は、無端索体21を牽引する。これにより、無端索体21が循環し、搬送区間21aの無端索体21が搬送方向に走行する。
【0024】
なお、無端索体21がスプロケット23,24に巻き掛けられることによって、搬送区間21aの無端索体21が搬送板11,12及びスリット13に沿って設けられていれば、スプロケット22,25の設置位置を変更してもよい。また、スプロケット22又は25が設けられなくてもよいし、無端索体21がスプロケット22~25に加えて他のスプロケットに巻き掛けられてもよい。また、モーター29によって駆動されるスプロケットはスプロケット25に限らない。
【0025】
(6) 走行レール
走行レール42は、搬送板11,12の下方において機枠10に取り付けられている。走行レール42は、ガイドレール41と一体に形成されている。走行レール42は、ガイドレール41と平行に設けられている。走行レール42は、スプロケット23からスプロケット24まで搬送板11,12及びスリット13に沿って搬送方向に水平に延びている。
【0026】
走行レール42の中途部には切欠き42aが形成されている。切欠き42aは、走行レール42の上面において開口する。切欠き42aの後端の内面42bは、走行レール42の上面に対して垂直に、走行レール42の上面から走行レール42の下面まで立ち下がっている。切欠き42aの後部は走行レール42の下面まで通じており、切欠き42aの前部の底42cは前方に向かって上りに傾斜して走行レール42の上面にまで続いている。
【0027】
(7) 押送部材
複数の押送部材30は、それぞれL字に形作られている。具体的に、各押送部材30は枢軸31をL字の角部に有する。これら押送部材30は、無端索体21に沿って一定の間隔を置いて配列されて、無端索体21に取り付けられている。具体的に、これら押送部材30の枢軸31は無端索体21の連結ピン(図示無し)とそれぞれ同軸になって連結ピンにそれぞれ連結され、これによりこれら押送部材30が無端索体21に取り付けられている。無端索体21に対して、一定の間隔をあけて取り付けられている。押送部材30は、無端索体21に対して相対的に、搬送方向に対して直交する枢軸31を中心にして枢軸31の回りに揺動可能となっている。押送部材30は、L字の角部から延びたL字の一片にウエイト32を有する。
【0028】
搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30は、ウエイト32を搬送方向の逆向きとなる後方に向けた姿勢で、且つ、枢軸31を搬送方向に向けた姿勢で、走行レール42に載せられて、走行レール42によって搬送方向に案内される。搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30は、下から走行レール42に支持されて、走行レール42によって立てられた状態に保たれる。立った状態の押送部材30は、スリット13から上方へ突き出ている。また、押送部材30が走行レール42上に立った状態では、ウエイト32を含めた押送部材30の重心が枢軸31よりも後方に設定されている。
【0029】
無端索体21が循環すると、押送部材30が周回する。搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30は、走行レール42の上を搬送方向に走行する。搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30は、スリット13から突き出た部分によって物品99の後ろから物品99を搬送方向へ押し進める。
【0030】
(8) 弾性部材
弾性部材50は、ゴム弾性材からなる棒状の部材である。弾性部材50は、搬送板11,12の下方において、且つ、搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30の枢軸31よりも上において、押送部材30の進路を横切るよう片持ち状に設けられている。弾性部材50の基部は、押送部材30の進路の脇において機枠10に固定された固定端となっている。弾性部材50は、その基部の固定箇所からスリット13の下方の押送部材30の進路まで延び出ている。弾性部材50の先端は、固定されていない自由端となっている。
【0031】
搬送方向における弾性部材50の設置位置は、搬送方向における切欠き42aの位置又は切欠き42aの前方且つ近傍である。また、搬送方向における弾性部材50の設置位置は、切欠き42aの後ろ側の内面42bから前方に離れた箇所である。切欠き42aの後ろ側の内面42bから弾性部材50までの搬送方向に沿う距離Dは、搬送方向に沿う押送部材30の長さLに等しいことが好ましい。但し、切欠き42aの後ろ側の内面42bから弾性部材50までの搬送方向に沿う距離Dは、搬送方向に沿う押送部材30の長さLよりも長くてもよい。搬送方向に沿う押送部材30の長さLとは、立った状態の押送部材30の前端から後端までの長さをいう。
【0032】
2. 搬送装置の動作
モーター29がスプロケット25を駆動すると、無端索体21がスプロケット25によって牽引される。これにより、無端索体21が循環し、押送部材30が周回する。搬送区間21aの無端索体21に取り付けられた押送部材30は、立った状態で走行レール42の上を搬送方向に走行する。
【0033】
押送部材30の周回中、作業者が物品99を天板15,16の上から搬送レーン17に供給すると、それら物品99が後ろからそれぞれ押送部材30によって搬送方向に押し進められて、包装機100へ次々に供給される。
【0034】
なお、搬送レーン17に供給された物品99は、
図4中の二点鎖線で示すように押送部材30の頂部に乗り上げることがある。また、搬送レーン17に供給された物品99は、
図2中の二点鎖線で示すように立った状態で、押送部材30と天板15の側端面15aとの間に挟まれることもある。これらの状態の物品99は、正規の位置、つまり押送部材30の前面の位置から後ろにずれた状態で、搬送される。
【0035】
図4及び
図5を参照して、走行中の押送部材30が走行レール42の切欠き42aを通過する際の押送部材30及び弾性部材50の動作について説明する。
【0036】
図4に示すように、押送部材30が切欠き42aの上に到達すると、押送部材30が弾性部材50に当たる。そうすると、
図5に示すように、押送部材30が弾性部材50からの反力及び重力によって枢軸31の回りに後傾し、押送部材30の一部が切欠き42aに落ち込んで切欠き42aの底42cに当たる。このように押送部材30が後傾するのは、押送部材30の重心が枢軸31よりも後方に設定されているためである。
なお、押送部材30の走行速度が低ければ、
図6に示すように押送部材30が弾性部材50からの反力を受けずとも、押送部材30が重力により後傾する。
【0037】
押送部材30が切欠き42aに至る前に物品99が
図4中の二点鎖線で示すように押送部材30の頂部に乗り上げていた場合には、押送部材30が後傾することによって、物品99が
図5又は
図6中の二点鎖線に示すように押送部材30の頂部から押送部材30の前の搬送板11,12上に落ちる。或いは、押送部材30が切欠き42aに至る前に物品99が
図3中の二点鎖線で示すように立った状態で、押送部材30と天板15の側端面15aとの間に挟まれていた場合には、押送部材30が後傾することによって、物品99が
図5又は
図6の二点鎖線に示すように押送部材30の前に倒れる。よって、押送部材30は確実に物品99を押し進めることが可能となる。
【0038】
押送部材30の後傾の後、押送部材30が更に進行すると、弾性部材50が押送部材30によって押されて搬送方向に撓んだ後、押送部材30が弾性部材50を押送部材30の進路の脇へ押し退ける。そうすると、弾性部材50が元に復元するため、次の押送部材30が弾性部材50に当たるようになる。
【0039】
押送部材30が弾性部材50を進路の脇に押し退ける際、押送部材30が切欠き42aから走行レール42の上に乗り上げるため、押送部材30が勢いよく前に揺動して立った状態に戻る。押送部材30が後傾後に前に勢いよく起立することによって、物品99が押送部材30によって前方に弾かれるため、物品99が押送部材30の前に確実に配される。起立後の押送部材30によって押し進められる物品99の位置は、正規な位置、つまり立った状態の押送部材30の前面の位置を基準として決められる。従って、物品99の位置ずれが解消される。
【0040】
切欠き42aを通過した押送部材30は、搬送板11,12上を包装機100に向かって物品99を押し進める。
【0041】
3. 有利な効果
(1) 以上に説明したように、本実施形態に係る搬送装置1は、搬送方向に間隔を置いて配列される複数の物品99が載せられる搬送板11,12と、搬送板11,12の下方において、搬送方向に延びる走行レール42と、無端状に設けられ、全周のうち一部の搬送区間が搬送板11,12の下方において搬送方向に延び、循環する無端索体21と、無端索体21に沿って間隔を置いて無端索体21に取り付けられ、搬送方向に対して直交する軸の回りに揺動可能な複数の押送部材30と、を備える。搬送区間21aの無端索体21に取り付けられる押送部材30は、走行レール42上に立って搬送板11,12の上に突き出た状態で、無端索体21の循環によって搬送方向に物品99を押し進める。走行レール42の中途部に、搬送方向の逆方向となる後方に押送部材30を傾動させるための切欠き42aが形成されている。
このような搬送装置1において、無端索体21の循環により走行レール42上を搬送方向に走行する押送部材30は、切欠き42aを通過する際に切欠き42aに落ち込んで後傾する。それゆえ、物品99が押送部材30に乗り上げた状態で搬送される場合であっても、或いは、物品99が天板15の側端面15a又は天板16の側端面16aと押送部材30との間に挟まれた状態で搬送される場合でもあっても、物品99は、押送部材30の後傾によって押送部材30の前に配される。よって、押送部材30は、物品99を後方から押し進められるようになる。
また、切欠き42aを通過した押送部材30は、走行レール42に乗り上げるため、押送部材30が後傾状態から立ち上がる。そのため、物品99の位置は、正規な位置、つまり、立った状態の押送部材30の前面の位置を基準として決まる。よって、物品99は、正規のタイミングで包装機100に供給される。包装機100(具体的には横方向綴じ目用シール装置)は、物品99を噛み込むことなく包装フィルム101をシールすることができる。
【0042】
(2) 本実施形態に係る搬送装置1において、走行レール42上に立った状態の押送部材30の重心は、枢軸31よりも後方に設置されている。押送部材30の重心をこのように設定することにより、切欠き42aに至った押送部材30は、自重により後傾する。よって、物品99が押送部材30に乗り上げた状態で搬送される場合であっても、或いは、物品99が天板15の側端面15a又は天板16の側端面16aと押送部材30との間に挟まれた状態で搬送される場合でもあっても、物品99は、押送部材30の後傾又はその後の起立によって押送部材30の前に配される。
【0043】
(3) 本実施形態に係る搬送装置1において、弾性変形可能な弾性部材50が切欠き42aの後ろ側の内面42bの前方、且つ、押送部材30の枢軸31よりも上において、押送部材30の進路の脇に固定され、その弾性部材50がその固定箇所から押送部材30の進路に延び出ている。このような搬送装置1によれば、押送部材30は、切欠き42aを通過する際、弾性部材50に当たって弾性部材50から反力を受ける。そのため、押送部材30が確実に後傾する。
【0044】
(4) 本実施形態に係る搬送装置1において、切欠き42aの後ろ側の内面42bは、走行レール42の上面に対して垂直に走行レール42の上面から立ち下がっている。そのため、押送部材30が切欠き42aの上に至ると、その押送部材30が勢いよく後傾する。従って、物品99が押送部材30の頂部に乗り上がっている場合、物品99は、押送部材30の後傾動作に追従しづらいため、押送部材30の前に落ちる。よって、押送部材30は、物品99をその後方から押し進められるようになる。
【0045】
(5) 本実施形態に係る搬送装置1において、切欠き42aの前部の底42cは前方に向かって上りに傾斜して走行レール42の上面にまで続いているため、後傾した押送部材30が切欠き42aから走行レール42の上面に乗り上がりやすい。
【0046】
4. 変形例
(1) 上述の実施の形態では、1つの切欠き42aが走行レール42に形成されている。それに対して、複数の切欠き42aが搬送方向に間隔を置いて走行レール42に形成されていてもよい。この場合、押送部材30がスプロケット23からスプロケット24まで走行する間に、その押送部材30が複数回後傾する。また、この場合、複数の弾性部材50が複数の切欠き42aのそれぞれに対応して設けられている。
【0047】
(2) 切欠き42aが設けられる位置は、包装機100の製袋器の近傍であってもよい。切欠き42aが包装機100の製袋器の近傍であれば、切欠き42aを通過した物品99が押送部材30の頂部に乗り上げる確率が小さい。但し、切欠き42aが包装機100の製袋器に近過ぎると、後傾した押送部材30が起立する際に、物品99が押送部材30によって包装機100の製袋器へ弾かれてしまう。これを防止するべく、切欠き42aが包装機100の製袋器の近傍であっても、起立した押送部材30が製袋器に物品99を押し進める程度の距離が、切欠き42aと製袋器との間に存在する。
【0048】
(3) 弾性部材50は、コイルスプリング又は板ばねであってもよい。
【0049】
(4)
図7に示すように、突起35が、搬送板11,12の上面よりも下方において、押送部材30の前面に設けられていてもよい。このような突起35が設けられていると、押送部材30が後傾することによって、突起35が搬送版11,12の下からスリット13に進入する。そのため、物品99が部分的にスリット13に入り込んだ状態で搬送されても、その物品99が突起35によって搬送版11,12の上に掻き出される。なお、押送部材30が後傾した場合でも、突起35が搬送板11,12の上面から上に突き出ない。
【0050】
(5) 弾性部材50は、必須の構成ではない。たとえば、押送部材30の走行速度が低い場合、搬送装置1は、弾性部材50が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…搬送装置
11,12…搬送板
21…無端索体
21a…搬送区間
30…押送部材
31…枢軸
42…走行レール
42a…切欠き
50…弾性部材