(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】放熱構造及びそれを用いた中性子ビーム発生装置
(51)【国際特許分類】
G21K 5/08 20060101AFI20250114BHJP
G21K 1/00 20060101ALI20250114BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
G21K5/08 N
G21K1/00 N
F28F9/22
G21K5/08 C
(21)【出願番号】P 2023090971
(22)【出願日】2023-06-01
【審査請求日】2023-06-01
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518296517
【氏名又は名称】禾榮科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HERON NEUTRON MEDICAL CORP.
【住所又は居所原語表記】No.66-2, Shengyi 5th Rd., Zhubei City, Hsinchu County, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】盧 成基
(72)【発明者】
【氏名】游 鎮帆
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-112413(JP,A)
【文献】特開2020-187122(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/00-7/00
G21K 1/00
F28F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する上面と下面、及び前記上面と前記下面との間に設置される流体通路を有するハウジングを含む放熱構造であって、
前記流体通路は流体が通過するように配置され、且つ前記流体通路は、
第1の内壁面と前記第1の内壁面に対向する第2の内壁面とを有する入液バッファタンクと、
第1の内壁面と前記第1の内壁面に対向する第2の内壁面とを有する出液バッファタンクであって、前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面が前記第1の内壁面よりも前記入液バッファタンクに近く、前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面が前記第1の内壁面よりも前記出液バッファタンクに近い出液バッファタンクと、
前記入液バッファタンクと前記出液バッファタンクとに設置され、前記ハウジングの前記上面に接続される第1の斜面及び第2の斜面を有する連通構造と、
を含む放熱構造。
【請求項2】
前記連通構造の前記第1の斜面と前記入液バッファタンクの前記第1の内壁面との間の第1の内角が、180度よりも大きく、
前記連通構造の前記第2の斜面と前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面との間の第2の内角が、180度よりも大きい、請求項1に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記連通構造の前記第1の斜面は、前記入液バッファタンクの前記第1の内壁面に接続され、且つ前記連通構造の前記第2の斜面は、前記出液バッファタンクの前記第1の内壁面に接続される請求項1に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面は、前記ハウジングの前記上面に対して傾斜し、且つ前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面は、前記ハウジングの前記上面に対して傾斜する請求項1に記載の放熱構造。
【請求項5】
前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面と前記入液バッファタンクの底面との間の第1の内角は、90度よりも大きく、
前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面と前記出液バッファタンクの底面との間の第2の内角は、90度よりも大きい、請求項1に記載の放熱構造。
【請求項6】
前記ハウジングの前記上面に垂直な方向から前記放熱構造を見れば、前記入液バッファタンクは、第1の円弧輪郭を有し、且つ前記出液バッファタンクは、前記第1の円弧輪郭と異なる第2の円弧輪郭を有する請求項1に記載の放熱構造。
【請求項7】
対向する上面と下面、及び前記上面と前記下面との間に設置される流体通路を有するハウジングを含む放熱構造であって、
前記流体通路は流体が通過するように配置され、且つ前記流体通路は、
第1の内壁面と前記第1の内壁面に対向する第2の内壁面とを有する入液バッファタンクと、
第1の内壁面と前記第1の内壁面に対向する第2の内壁面とを有する出液バッファタンクであって、前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面が前記第1の内壁面よりも前記入液バッファタンクに近く、前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面が前記第1の内壁面よりも前記出液バッファタンクに近
く、前記ハウジングの前記上面に垂直な方向から前記放熱構造を見れば、前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面の円弧長は、前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面の円弧長よりも大きい、
出液バッファタンクと、
前記入液バッファタンクと前記出液バッファタンクとに設置され、前記ハウジングの前記上面に接続される第1の斜面及び第2の斜面を有する連通構造と、
を含む放熱構造。
【請求項8】
前記連通構造は、前記入液バッファタンクの前記第2の内壁面と前記出液バッファタンクの前記第2の内壁面とを接続する底面を更に有する請求項1に記載の放熱構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の放熱構造と、
通路を有するイオンビーム管体であって、前記放熱構造の上方に設置され、且つ前記放熱構造の前記ハウジングの前記上面に向けられ、前記イオンビーム管体と前記放熱構造の前記ハウジングの前記上面との間に間隔があるイオンビーム管体と、
前記イオンビーム管体に接続され、且つ前記通路を介して前記放熱構造の前記ハウジングの前記上面に向けてイオンビームを発射するように配置される加速器と、
を含む中性子ビーム発生装置。
【請求項10】
前記イオンビーム管体は、前記放熱構造の前記ハウジングの前記上面に垂直である請求項9に記載の中性子ビーム発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱構造及び放熱構造を用いた中性子ビーム発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy;BNCT)は、ホウ素含有薬物を血液循環によって腫瘍細胞と結合させ、中性子ビームで腫瘍組織の位置を中心として照射することにより、ホウ素が中性子を吸収してリチウムとヘリウムイオンを生成し、他の正常な組織を破壊せずに癌細胞を正確に破壊することである。
【0003】
患者に対し、ホウ素中性子捕捉療法は、ほとんど損傷を与えない上に、外科手術及び麻酔の必要がない。更に、脳腫瘍を治療する際にホウ素中性子捕捉療法で浸透率の低い熱中性子を採用する場合、患者の頭蓋骨を別途開く必要がある。それに対して、ホウ素中性子捕捉療法で超熱中性子を採用する場合、患者の頭蓋骨を開く必要がない。これについて、中性子ビームの生成方法は、加速器型の中性子ビーム源発生器を用いてターゲットにイオンビームを衝突させてよい。しかしながら、中性子ビームを生成する過程において、イオンビームの衝突を受けたターゲットは、放熱不良により予期しない損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
これに鑑みて、中性子ビームを生成する過程におけるターゲットの放熱問題をどのように効果的に解決するかは依然として現在業界が研究に取り組んでいる目標の1つである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術的態様は放熱構造である。
【0006】
本開示の幾つかの実施形態によれば、ハウジングを含む放熱構造であって、ハウジングは、対向する上面と下面、及び上面と下面との間に設置される流体通路を有し、流体通路は、流体が通過するように配置され、第1の内壁面及び第1の内壁面に対向する第2の内壁面を有する入液バッファタンクと、出液バッファタンクであって、第1の内壁面と第1の内壁面に対向する第2の内壁面とを有し、且つ第2の内壁面は、第1の内壁面よりも入液バッファタンクに近く、入液バッファタンクの第2の内壁面は、第1の内壁面よりも出液バッファタンクに近い出液バッファタンクと、入液バッファタンク及び出液バッファタンクに設置され、ハウジングの上面に接続される第1の斜面及び第2の斜面を有する連通構造と、を含む放熱構造を提供する。
【0007】
本開示の幾つかの実施形態において、連通構造の第1の斜面及び第2の斜面は、ハウジングの下面に向かって徐々に収縮する。
【0008】
本開示の幾つかの実施形態において、連通構造の第1の斜面は、入液バッファタンクの第1の内壁面に接続され、且つ連通構造の第2の斜面は、出液バッファタンクの第1の内壁面に接続される。
【0009】
本開示の幾つかの実施形態において、入液バッファタンクの第2の内壁面は、ハウジングの上面に対して傾斜し、且つ出液バッファタンクの第2の内壁面は、ハウジングの上面に対して傾斜する。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態において、入液バッファタンクの第2の内壁面及び出液バッファタンクの第2の内壁面は、ハウジングの上面に向かって徐々に収縮する。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態において、ハウジングの上面に垂直な方向から放熱構造を見れば、入液バッファタンクは、第1の円弧輪郭を有し、且つ出液バッファタンクは、第1の円弧輪郭と異なる第2の円弧輪郭を有する。
【0012】
本開示の幾つかの実施形態において、ハウジングの上面に垂直な方向から放熱構造を見れば、入液バッファタンクの第2の内壁面の円弧長は、出液バッファタンクの第2の内壁面の円弧長よりも大きい。
【0013】
本開示の幾つかの実施形態において、連通構造は、入液バッファタンクの第2の内壁面と出液バッファタンクの第2の内壁面とを連通する底面を更に有する。
【0014】
本開示の別の技術的態様は、中性子ビーム発生装置である。
【0015】
本開示の幾つかの実施形態によれば、中性子ビーム発生装置であって、前述の放熱構造と、通路を有し、放熱構造の上方に設置され、且つ放熱構造のハウジングの上面に向けられ、且つ放熱構造のハウジングの上面との間に間隔があるイオンビーム管体と、イオンビーム管体に接続され、且つ通路を介して放熱構造のハウジングの上面に向けてイオンビームを発射するように配置される加速器と、を含む中性子ビーム発生装置を提供する。
【0016】
本開示の幾つかの実施形態において、イオンビーム管体は、放熱構造のハウジングの上面に垂直である。
【0017】
上記実施形態において、連通構造は、ハウジングの上面に接続される第1の斜面と第2の斜面とを有するため、流体通路内の流体を、速い流速でハウジングの中央(即ち、ターゲットの中央に対応する)に集中させることができ、それによりターゲットを放熱する効果を向上させる。また、このメカニズムにより、放熱構造は、中性子ビーム発生装置に配置されてよい。
【0018】
本開示の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより分かりやすくするために、以下の添付図面を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態による放熱構造の断面図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による放熱構造の断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による中性子ビーム発生装置の構造概略図である。
【
図6】本開示の別の実施形態による中性子ビーム発生装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に合わせて本開示の複数の実施形態を開示し、明らかに説明するために、多くの実務上の細部を下記叙述で併せて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実際的な細部は本開示を制限するためのものではない。即ち、本開示の一部の実施形態において、これらの実務上の細部は、必要ではないため、本開示を制限するものとすべきではない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び要素は、図面において簡単で模式的に示される。また、読者が見やすいように、図面における各素子のサイズは、実際の比率に応じて示されるものではない。
【0021】
本開示に使用される「約」、「近似」又は「実質的」は、一般的に所定の値又は範囲の20%以内を指し、好ましくは10%以内であり、より好ましくは5%以内である。ここで与えられた数値は近似するものであり、これは、明確に説明しない限り、用語「約」、「近似」又は「実質的」の意味を推定してよいことを意味する。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態による放熱構造100の断面図であり、
図2は、
図1の上面図であり、ここで
図1は、
図2の線A-Aに沿った断面図を示し、且つ
図2は、ハウジング110の上面111に垂直な方向から放熱構造100を見た断面投影である。
図1及び
図2では、説明の便宜上で、第1の方向D1及び第2の方向D2が示され、第1の方向D1は第2の方向D2と異なる。例えば、第1の方向D1は、
図2の横方向であってよく、第2の方向D2は、
図2の縦方向であってよく、且つ第1の方向D1は、第2の方向D2に垂直である。
【0023】
放熱構造100は、ハウジング110を含む。ハウジング110は、対向する上面111と下面113、及び上面111と下面113との間に設置される流体通路120を有し、流体通路120は、流体130が通過するように配置される。流体通路120は、入液バッファタンク126、出液バッファタンク128、及び連通構造129を含む。入液バッファタンク126は、第1の内壁面126A及び第1の内壁面126Aに対向する第2の内壁面126Bを有し、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bは、第1の内壁面126Aよりも出液バッファタンク128に近い。出液バッファタンク128は、第1の内壁面128A及び第1の内壁面128Aに対向する第2の内壁面128Bを有し、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、第1の内壁面128Aよりも入液バッファタンク126に近い。連通構造129は、入液バッファタンク126と出液バッファタンク128とに設置され、連通構造129は、ハウジング110の上面111に接続される第1の斜面129Aと第2の斜面129Bとを有する。上記配置により、流体通路120内の流体130を、速い流速でハウジング110の中央(即ち、ターゲット140の中央に対応する)に集中させることができ、それによりターゲット140を放熱する効果が向上する。
【0024】
連通構造129は、流体通路120のハウジング110の上面111に位置する収容空間と見なしてよい。換言すれば、連通構造129は、ターゲット140とバッファタンク(入液バッファタンク126と出液バッファタンク128)との間に位置する。流体130は、入液バッファタンク126から連通構造129に流入し、且つ連通構造129から出液バッファタンク128に流れる。連通構造129の第1の斜面129Aは、ハウジング110の上面111と入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとを接続する。詳しくは、連通構造129の第1の斜面129Aは、ハウジング110の上面111に対して傾斜し、且つハウジング110の上面111から下方に延伸する。入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aは、連通構造129の第1の斜面129Aから下方に延伸する。幾つかの実施形態において、
図1において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aは、ハウジング110の上面111及び/又は下面113に垂直である。連通構造129の第2の斜面129Bは、ハウジング110の上面111と出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとを接続する。詳しくは、連通構造129の第2の斜面129Bは、ハウジング110の上面111に対して傾斜し、且つハウジング110の上面111から下方に延伸する。出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aは、連通構造129の第2の斜面129Bから下方に延伸する。幾つかの実施形態において、
図1において、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aは、ハウジング110の上面111及び/又は下面113に垂直である。
【0025】
幾つかの実施形態において、連通構造129の第1の斜面129Aと第2の斜面129Bとは、対称的に設置される。例えば、上面111と第1の斜面129Aとの間の内角は、上面111と第2の斜面129Bとの間の内角と実質的に等しい(又は、第1の斜面129Aの勾配は第2の斜面129Bの勾配と実質的に等しい)が、本開示はこれに限定されない。幾つかの実施形態において、連通構造129の第1の斜面129Aと第2の斜面129Bとは、ハウジング110の上面111からハウジング110の下面113に向かって徐々に収縮する。例えば、連通構造129の第1の斜面129Aと入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとの間の第1の内角は、180度よりも大きく、且つ連通構造129の第2の斜面129Bと出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとの間の第2の内角は、180度よりも大きい。幾つかの実施形態において、第1の内角は、第2の内角に実質的に等しくてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0026】
幾つかの実施形態において、連通構造129は、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bと出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bとを連通する底面129Cを更に有し、連通構造129の底面129Cは、入液バッファタンク126の第2の内壁面126B及び/又は出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bに対して傾斜する。幾つかの実施形態において、連通構造129は、ハウジング110の上面111とバッファタンク(入液バッファタンク126と出液バッファタンク128)との間に位置し、流体130は、連通構造129によってターゲット140に接触することができ、それによりターゲット140を冷却する効果を達成する。換言すれば、連通構造129は、入液バッファタンク126の直上に位置する第1の部分、出液バッファタンク128の直上に位置する第2の部分、及び第1の部分と第2の部分とを接続する第3の部分(即ち、底面129Cの直上の部分)を含む。幾つかの実施形態において、
図1及び
図2に示すように、流体通路120内の流体130が連通構造129の第1の斜面129A及び第2の斜面129Bに制限されることにより、流体130は、ハウジング110の中央に集中し(例えば、流体130を底面129Cの直上に制限する)、それによりターゲット140を放熱する効果が向上する。例えば、第1の斜面129Aは、ハウジング110の上面111における点d1を有し、且つ第2の斜面129Bは、ハウジング110の上面111における点d2を有する。
図1の点d1と点d2とは、
図2の円C3を画定することができる。例えば、連通構造129は、入液バッファタンク126と出液バッファタンク128の上方に設置されるディスク状の構造と見なしてよい。ハウジング110の上面111に垂直な方向から放熱構造100を見れば、流体通路120の、点d1と点d2との間(即ち、連通構造129)で第1の方向D1に沿った断面投影は、円盤(又は円形)輪郭を有し、且つ
図2では円C3として示される。例えば、ハウジング110の上面111に垂直な方向から放熱構造100を見れば、連通構造129の第1の斜面129A、連通構造129の底面129C及びその延伸面(即ち、底面129Cの入液バッファタンク126と出液バッファタンク128とに延伸する面)、及び連通構造129の第2の斜面129Bは、共に円盤輪郭を形成し、円盤輪郭のエッジは、
図2では円C3として示される。点d1と点d2とはそれぞれ、円C3の第1の斜面129Aと第2の斜面129Bとにある端点(又はエッジ)と見なしてよい。又は、点d1と点d2とはそれぞれ、円C3と
図2の線A-Aとの境界点と見なしてよい。第1の斜面129A及び第2の斜面129Bは、流体130を円C3の範囲内から流出させないように制限することができる。幾つかの実施形態において、第1の斜面129Aの勾配と第2の斜面129Bの勾配とは、液体圧力によって変化してよい。具体的には、連通構造129の底面129C(又は底面129Cの延伸面)と第1の斜面129Aの延伸面とは、(仮想)点d3で交差する。第1の斜面129Aの勾配を決定するように、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aと連通構造129の底面129C(又は底面129Cの延伸面)との間での点d3の位置を液体圧力に応じて調整してよい。例えば、点d3は、入液バッファタンク126内(即ち、入液バッファタンク126の底面126Cの直上)又は連通構造129の底面129Cに位置してよい。同様に、連通構造129の底面129C(又は底面129Cの延伸面)と第2の斜面129Bの延伸面とは、(仮想)点d4で交差する。第2の斜面129Bの勾配を決定するように、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aと連通構造129の底面129C(又は底面129Cの延伸面)との間での点d4の位置を液体圧力に応じて調整してよい。例えば、点d4は、出液バッファタンク128内(即ち、出液バッファタンク128の底面128Cの直上)又は連通構造129の底面129Cに位置してよい。
図1の点d3と点d4とは、
図2の円C1を画定することができる。詳しくは、ハウジング110の上面111に垂直な方向から放熱構造100を見れば、流体通路120の、点d3と点d4との間(即ち、入液バッファタンク126、出液バッファタンク128、及び連通構造129の一部)で第1の方向D1に沿った断面投影は、円盤(又は円形)輪郭を有し、且つ
図2では円C1として示される。点d3と点d4とはそれぞれ、円C1と
図2の線A■Aとの境界点と見なしてよい。
【0027】
幾つかの実施形態において、ターゲット140が連通構造129の上方に設置されることにより、流体130は、連通構造129によってターゲット140に接触し、ターゲット140を冷却する効果を達成する。幾つかの実施形態において、ターゲット140は、連通構造129を完全に覆う。幾つかの実施形態において、連通構造129の第1の斜面129Aは、流体130がターゲット140の中央に集中するように制限することができるため、ターゲット140の冷却とターゲット140の放熱とを向上させる効果を達成することができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、
図1(即ち、
図2の線A-Aに沿った断面図)において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aと平行である。又は、
図2において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aと出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとは、同心円の円弧を形成することができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、
図1に示すように、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bは、ハウジング110の上面111及び/又は下面113に対して傾斜する。詳しくは、
図1に示すように、入液バッファタンク126は、第2の内壁面126Bに接続される底面126Cを更に含み、且つ入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bは、底面126Cに対して傾斜する。これにより、液体圧力を低下させ、且つ放熱効率を向上させることができる。幾つかの実施形態において、
図1に示すように、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、ハウジング110の上面111及び/又は下面113に対して傾斜する。詳しくは、
図1に示すように、出液バッファタンク128は、第2の内壁面128Bに接続される底面128Cを更に含み、且つ出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、底面128Cに対して傾斜する。このようにして、液体圧力を低下させ、且つ乱流又は負圧の発生を回避することができる。幾つかの実施形態において、
図1(即ち、
図2の線A-Aに沿った断面図)において、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bは、第1の内壁面126Aと平行ではなく、且つ出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、第1の内壁面128Aと平行ではない。幾つかの実施形態において、
図1に示すように、入液バッファタンク126の底面126Cは、出液バッファタンク128の底面128Cと面一する。例えば、
図1において、入液バッファタンク126の底面126Cと出液バッファタンク128の底面128Cとは、実質的に同じ水平位置に位置する。幾つかの実施形態において、
図1に示すように、連通構造129の底面129Cは、入液バッファタンク126の底面126Cの上方に位置し、且つ連通構造129の底面129Cは、出液バッファタンク128の底面128Cの上方に位置する。幾つかの実施形態において、
図1に示すように、連通構造129の底面129Cのハウジング110の上面111での垂直投影は、入液バッファタンク126の底面126C(又は出液バッファタンク128の底面128C)のハウジング110の上面111での垂直投影と重ならない。
【0030】
幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bと出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、ハウジング110の上面111に向かって徐々に収縮する。このようにして、流体通路120内の流体130をハウジング110の中央に集中させることができ、それにより放熱効率を向上させることができる。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aと第2の内壁面126Bとの間の第1の方向D1に沿った距離は、ハウジング110の下面113からハウジング110の上面111に向かって大きくなる。出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aと第2の内壁面128Bとの間の第1の方向D1に沿った距離は、ハウジング110の下面113からハウジング110の上面111に向かって大きくなる。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bと底面126Cとが形成した内角は、90度よりも大きく、且つ出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bと底面128Cとが形成した内角は、90度よりも大きい。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bの勾配(例えば、第2の内壁面126Bと底面126Cとの内角)は、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bの勾配(例えば、第2の内壁面128Bと底面128Cとの内角)と異なる。例えば、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bの勾配は、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bの勾配よりも大きい。
【0031】
幾つかの実施形態において、ハウジング110の材料は、アルミニウムなどの金属であってよい。ハウジング110は、一体成形されてもよく、組み立てによって形成されてもよい。ハウジング110の上面111は、ハウジング110の最高の表面と見なしてよく、且つハウジング110の下面113は、ハウジング110の最低の表面と見なしてよい。ハウジング110は、ターゲット140を担持するように配置されてもよく、ターゲット140は板状のターゲットであってよい。ターゲット140は、ハウジング110の上面111に設置される。ターゲット140は、連通構造129の全体を覆う。具体的には、ターゲット140は、連通構造129の第1の斜面129A、底面129C、及び第2の斜面129Bを完全に覆う。
【0032】
流体通路120は、入液通路122及び出液通路124を更に含む。入液通路122と出液通路124はそれぞれ、ハウジング110の対向する両端に位置する。流体通路120の入液通路122と出液通路124とは、同じ方向(例えば、第1の方向D1)に沿って延伸することができる。入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aは、入液通路122に接続され、且つ入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bは、第1の内壁面126Aよりも出液通路124に近い。出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aは、出液通路124に接続され、且つ出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bは、第1の内壁面128Aよりも入液通路122に近い。
【0033】
幾つかの実施形態において、放熱構造100は、ハウジング110の対向する両端に接続される入液管150及び出液管160を更に含む。入液管150は、ハウジング110の入液通路122に接続され、且つ出液管160は、ハウジング110の出液通路124に接続される。幾つかの実施形態において、放熱構造100は、加圧装置(図示せず)を更に含み、加圧装置が流体130を入液管150からハウジング110内の入液通路122に送り込むように配置されることにより、矢印A1に示すように、流体130は、入液バッファタンク126と連通構造129とを流れてターゲット140に接触することができる。次に、流体130は更に、矢印A2に示すように、出液バッファタンク128及び出液通路124を経由してハウジング110から出液管160に離れることができる。
【0034】
図3は、
図2の部分概略図である。
図3では、説明の便宜上で、
図2に示される入液管150、入液通路122、出液通路124、及び出液管160を省略する。
図3に示すように、ハウジング110、ターゲット140、円C1、円C3、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aを円周とする円と、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aを円周とする円とは、同心である。幾つかの実施形態において、ハウジング110とターゲット140とは、円盤構造であり、且つハウジング110とターゲット140とは、中心110Cを共有する。第1の線L1は、中心110Cを通過し、且つ第1の方向D1に沿って延伸する仮想線であり、第2の線L2は、中心110Cを通過し、且つ第2の方向D2に沿って延伸する仮想線であり、第1の線L1は第2の線L2に垂直である。
【0035】
図1~
図3を参照されたい。ハウジング110の上面111に垂直な方向から放熱構造100を見れば(即ち、
図2及び
図3に示す放熱構造100の上面図)、入液バッファタンク126は、第1の円弧輪郭を有し、且つ出液バッファタンク128は、第1の円弧輪郭と異なる第2の円弧輪郭を有する。このようにして、流体通路120内の流体130を、速い流速でハウジング110の中央(即ち、ターゲット140の中央に対応する)に集中させることができ、それによりターゲット140を放熱する効果が向上する。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aの円弧長は、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aの円弧長よりも大きい。入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bの円弧長は、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bの円弧長よりも大きい。換言すれば、入液バッファタンク126は、中心110Cに対応して中心角a
Iを形成し、且つ出液バッファタンク128は、中心110Cに対応して中心角a
Oを形成し、入液バッファタンク126の中心角a
Iは、出液バッファタンク128の中心角a
Oよりも大きい。このようにして、流体130が入液バッファタンク126から出液バッファタンク128の方向へ連通構造129を流れる時、流体130は、ハウジング110の中央(例えば、円C2の範囲内)に集中し、且つ流速が変化する。具体的には、流体130は、ハウジング110の中央(例えば、円C2の範囲内)で流速が速く、それによりターゲット140を放熱する効果が向上する。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の中心角a
I及び出液バッファタンク128の中心角a
Oは、入射イオンビーム(例えば、
図5のイオンビーム230)の半値全幅によって異なり、調整してよい。例えば、入液バッファタンク126の中心角a
I及び出液バッファタンク128の中心角a
Oはそれぞれ、約40度と約120度との範囲にある。
【0036】
幾つかの実施形態において、
図3に示すように、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aと第2の内壁面126Bとの間の第1の線L1に沿った幅W
Iは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aと第2の内壁面128Bとの間の第1の線L1に沿った幅W
Oと異なる。更に言えば、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aと第2の内壁面126Bとの間の第1の線L1に沿った幅W
Iは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aと第2の内壁面128Bとの間の第1の線L1に沿った幅W
Oよりも小さい。入液バッファタンク126の幅W
Iと出液バッファタンク128の幅W
Oとは、入液管150の設計液体圧力によって調整してよい。理解すべきなのは、ここでの「幅」は、入液バッファタンク126/出液バッファタンク128の2つの内壁面の間(例えば、第1の内壁面126Aと第2の内壁面126Bとの間、又は第1の内壁面128Aと第2の内壁面128Bとの間)の垂直距離を意味する。入液バッファタンク126を例として、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aに点P1があり、且つ第2の内壁面126Bに点P1に最も近い点P2がある。点P1の垂直な法線N1と点P2の垂直な法線N2との間の距離は、第1の内壁面126Aと第2の内壁面126Bの幅W
I(即ち、垂直距離)として定義される。
【0037】
幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離(又は第1の内壁面126Aを円周とする半径)R
IAは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離(又は第1の内壁面128Aを円周とする半径)R
OAと異なる。例えば、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IAは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OAよりも大きい。代替的に、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IAは、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OA以下であるが、本開示はこれに限定されない。また、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離(又は第2の内壁面126Bを円周とする半径)R
IBは、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離(又は第2の内壁面128Bを円周とする半径)R
OBと異なる。例えば、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IBは、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OBよりも大きい。代替的に、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IBは、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OB以下であるが、本開示はこれに限定されない。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126は、2つの末端1261及び2つの末端1261の間の中央端1262を有し、入液バッファタンク126の中央端1262は、入液通路122に接続され、且つ中央端1262は、2つの末端1261よりも入液通路122に近い。同様に、出液バッファタンク128は、2つの末端1281及び2つの末端1281の間の中央端1282を有し、出液バッファタンク128の中央端1282は、出液通路124に接続され、且つ中央端1282は、2つの末端1281よりも出液通路124に近い。入液バッファタンク126の2つの末端1261の一方とハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IBは、出液バッファタンク128の2つの末端1281の一方とハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OBよりも大きい。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126の第1の内壁面126Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IAと、出液バッファタンク128の第1の内壁面128Aとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OAとは、入射イオンビーム(例えば、
図5のイオンビーム230)の半値全幅によって異なり、調整してよい。また、入液バッファタンク126の第2の内壁面126Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
IBと、出液バッファタンク128の第2の内壁面128Bとハウジング110の中心110Cとの最短距離R
OBとは、入射イオンビーム(例えば、
図5のイオンビーム230)の半値全幅によって異なり、調整してよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、本開示の入液バッファタンク126、出液バッファタンク128、及び連通構造129の配置により、流体通路120内の流体130が対応するハウジング110の中央(例えば、円C2の範囲内)で流速が速く、且つ流体130がターゲット140に高い放熱効果を提供することができる。即ち、流体130がターゲット140に提供する放熱効果は、ハウジング110の中央(例えば、円C2の範囲内)から第2の方向D2において中央から両側へ低下する。このメカニズムにより、放熱構造100は、熱源の分布が「中央から両側へ低下する」ターゲット140を放熱するように配置されてよく、「中央から両側へ低下する」表現としては、例えばガウス分布、正規分布、又はベル形曲線であってよい。
【0039】
幾つかの実施形態において、
図1に示すように、放熱構造100は、シールガスケット172を更に含む。ハウジング110は、上面111に溝170を有してよく、且つシールガスケット172が溝170内に設置されてよい。シールガスケット172は、気密性及び防水効果を提供することができる。理解すべきなのは、図面を簡略化するために、
図2及び
図3に
図1の溝170及びシールガスケット172が示されない。
【0040】
放熱構造100は熱源の分布が中央から両側へ低下するターゲット140を放熱するように配置されてよいため、放熱構造100は、動作中にターゲット140がこのような熱源の分布を有する装置、例えば中性子ビーム発生装置に適用するように配置されてよい。
【0041】
図4は、本開示の別の実施例による放熱構造100aの概略図である。
図4の放熱構造100aは、
図1の放熱構造100とほぼ同じであり、それらの違いは、放熱構造100aの入液管150aと出液管160aとの配置にある。放熱構造100aの入液管150aと出液管160aとは、ハウジング110の下面113に位置する。入液管150aは、流体通路120aの入液バッファタンク126に接続され、出液管160aは、流体通路120aの出液バッファタンク128に接続される。幾つかの実施形態において、放熱構造100は、加圧装置(図示せず)を更に含んでよく、加圧装置は、流体130を入液管150から流体通路120aの入液バッファタンク126に送り込むように配置され、矢印A3に示すように、流体130は、入液バッファタンク126と連通構造129とを流れてターゲット140に接触することができる。次に、流体130は更に、矢印A4に示すように、出液バッファタンク128を経由してハウジング110から出液管160aに離れることができる。入液管150aと出液管160aの設置方向(即ち、矢印A3と矢印A4との方向)は、ハウジング110の下面113に垂直である。
【0042】
幾つかの実施形態において、流体通路120aは、ハウジング110の下面113に設置される入液通路と出液通路とを更に含み、入液バッファタンク126は、入液通路と連通し、且つ出液バッファタンク128は、出液通路に接続される。即ち、矢印A3の方向において、入液通路は、入液管150aと入液バッファタンク126との間に位置し、矢印A4の方向において、出液通路は、出液管160aと出液バッファタンク128との間に位置する。入液バッファタンク126の底面126Cは、開口を有してよく、それにより流体130が入液通路から開口を介して流入する。同様に、出液バッファタンク128の底面128Cは、開口を有してよく、それにより流体130が開口を介して出液通路に排出される。
【0043】
図5は、本開示の一実施形態による中性子ビーム発生装置200の構造概略図である。図面を過度に複雑にしないために、
図5に描かれた各層の間の比例関係は、必ずしも実際の比例と同じではなく、且つ描かれた構造は、説明を補助するためのものであり、構造内の各層の相対的な位置関係を限定するためのものではなく、他の実施形態において、一部の層を省略するか、又は他の層を追加してもよい。
【0044】
図5を参照されたい。中性子ビーム発生装置200は、放熱構造100、イオンビーム管体210、及び加速器220を含む。イオンビーム管体210は、放熱構造100の上方に設置され、且つ放熱構造100のハウジング110の上面111に向けられ、且つイオンビーム管体210と放熱構造100のハウジング110の上面111との間に間隔Gがある。幾つかの実施形態において、イオンビーム管体210と放熱構造100との間の間隔Gは、ターゲット140を収容するように配置される。イオンビーム管体210と放熱構造100のハウジング110の上面111とはそれぞれ、ターゲット140の対向する両面に当接するように配置される。ターゲット140の材料は、ベリリウム(Be)を含んでよい。イオンビーム管体210は通路212を有し、且つ加速器220は、イオンビーム管体210に接続されてよく、加速器220は、通路212によって放熱構造100のハウジング110の上面111に向けてイオンビーム230を発射するように配置される。即ち、加速器220は、通路212によってターゲット140に向けてイオンビーム230を発射するように配置される。幾つかの実施形態において、加速器220から生成されたイオンビーム230が通路212を通過することができることにより、イオンビーム230は、ターゲット140に衝突することができ、これにより、ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy;BNCT)に使用される中性子ビームを励起することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、イオンビーム管体210の延伸方向は、放熱構造100のハウジング110の上面111に垂直である。換言すれば、イオンビーム管体210の延伸方向は、ターゲット140に垂直であり、イオンビーム管体210と放熱構造100との両面に当接される。幾つかの実施形態において、入液バッファタンク126のハウジング110の上面111での第1の方向D1に沿った垂直投影の長さは、出液バッファタンク128のハウジング110の上面111での第1の方向D1に沿った垂直投影の長さよりも小さい。入液バッファタンク126のターゲット140での第1の方向D1に沿った垂直投影の長さは、出液バッファタンク128のターゲット140での第1の方向D1に沿った垂直投影の長さよりも小さい。幾つかの実施形態において、入液管150及び/又は出液管160の延伸方向は、イオンビーム管体210の延伸方向に垂直である。幾つかの実施形態において、イオンビーム管体210の通路212の幅は、ほぼ連通構造129と面一する。詳しくは、イオンビーム管体210の通路212の両側はそれぞれ、連通構造129の第1の斜面129Aと第2の斜面129Bと面一する。
【0046】
幾つかの実施形態において、加速器220が通路212によってターゲット140に向けてイオンビーム230を発射する際に、発射されたイオンビーム230の密度分布は、ガウス分布となり、それによりイオンビーム230の衝突を受けたターゲット140の熱源の分布もガウス分布となる。即ち、ターゲット140は、ガウス分布を有する熱源と見なしてよく、放熱構造100は、このような熱源を放熱するように配置されてよいため、放熱構造100は、中性子ビーム発生装置200の動作中に予期しない損傷が発生すること、例えばターゲット140が過度の熱応力によって爆発することを防止することができる。幾つかの実施形態において、加速器220は、サイクロトロンである。
【0047】
図6は、本開示の別の実施形態による中性子ビーム発生装置200aの概略図である。
図6の中性子ビーム発生装置200aは、
図5の中性子ビーム発生装置200とほぼ同じであり、それらの違いは、放熱構造100aの配置にある。放熱構造100aの入液管150aと出液管160aとは、ハウジング110の下面113に位置する。入液管150a及び/又は出液管160aの延伸方向は、イオンビーム管体210の延伸方向と平行である。放熱構造100aに関する他の説明は、
図4の実施例を参照してよく、ここで簡潔のために説明を省略する。
【0048】
以上より、本開示の連通構造は、ハウジングの上面に接続される第1の斜面と第2の斜面とを有するため、流体通路内の流体を、速い流速でハウジングの中央(即ち、ターゲットの中央に対応する)に集中させることができ、それによりターゲットを放熱する効果を向上させる。また、このメカニズムにより、放熱構造は、中性子ビーム発生装置に配置されてよい。
【0049】
本発明は、実施例に基づいて以上のように開示されたが、実施例は本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義されたものを基準とする。
【符号の説明】
【0050】
100、100a 放熱構造
110 ハウジング
110C 中心
111 上面
113 下面
120 流体通路
122 入液通路
124 出液通路
126 入液バッファタンク
126A、128A 第1の内壁面
126B、128B 第2の内壁面
1261、1281 末端
1262、1282 中央端
128 出液バッファタンク
126C、128C、129C 底面
129 連通構造
129A 第1の斜面
129B 第2の斜面
130 流体
140 ターゲット
150、150a 入液管
160、160a 出液管
170 溝
172 シールガスケット
200、200a 中性子ビーム発生装置
210 イオンビーム管体
212 通路
230 イオンビーム
A■A 線
A1、A2、A3、A4 矢印
aI、aO 中心角
C1、C2、C3 円
D1 第1の方向
D2 第2の方向
G 間隔
N1、N2 法線
L1 第1の線
L2 第2の線
d1、d2、d3、d4、P1、P2 点
RIA、RIB、ROA、ROB 距離
WI、WO 幅