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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】車両搭載コンピュータ制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250114BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20250114BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B66F9/24 Z
G08G1/09 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024114732
(22)【出願日】2024-07-18
【審査請求日】2024-07-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521494212
【氏名又は名称】株式会社グリーンワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田畑 雅弘
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-042867(JP,A)
【文献】特開2021-164138(JP,A)
【文献】特開2014-146122(JP,A)
【文献】特開2023-117845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるコンピュータの操作可能状態と操作不能状態とを切り替える車両搭載コンピュータ制御システムであって、
前記コンピュータと無線ネットワークで接続されるサーバーと、
前記車両の速度状態を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記速度状態の情報を前記無線ネットワークで用いる周波数帯と異なる周波数帯のRF信号で送信する信号送信部と、
前記信号送信部からの前記RF信号を受信し前記サーバーに前記検出部からの情報を伝達する信号受信部と、を備え、
前記サーバーは、前記検出部で前記車両が減速状態または停止状態であることを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、前記無線ネットワークを介して前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を送信し、前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態でないことを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、前記無線ネットワークを介して前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を送信する車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記車両のブレーキペダルの動きから前記速度状態を検出する請求項1に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記車両の速度を測定する速度センサである請求項1に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項4】
前記信号送信部から送信する前記RF信号は、前記車両の識別情報を含み、
前記サーバーは、前記RF信号を受信したら、当該RF信号に含まれる前記識別情報に対応した前記車両を特定した前記指令情報を送信する請求項1に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項5】
前記車両に搭載されるコンピュータは、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を受信したら、画面の照度を小さくすることにより前記操作不能状態となり、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を受信したら、画面の照度を大きくすることにより前記操作可能状態となる請求項1~4のいずれか1項に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項6】
前記車両に搭載されるコンピュータは、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を受信したら、一定時間の間に前記サーバーから前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を受信しなかった場合に、前記操作可能状態となる請求項1~4のいずれか1項に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【請求項7】
前記サーバーは、前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態であることを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、一定時間の間に前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態でないことを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されなかった場合に、前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令信号を送信する請求項1~4のいずれか1項に記載の車両搭載コンピュータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトなどの車両に搭載されて運転者が操作するコンピュータを一定条件下でのみ操作可能とする車両搭載コンピュータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトなどの車両には、運転者が操作するコンピュータが搭載されていることがある。コンピュータは画面およびキーボードなどの入力部を備え、無線ネットワークを介してサーバーに接続されている。運転者は車両の行先や次に運ぶべき荷物などの情報をコンピュータから得ることができる。
【0003】
しかし、車両の運転中に運転者がコンピュータの画面を見たり操作したりすることは、「ながら運転」であり危険を生じる。自動車のナビゲーション装置においては、「ながら運転」を抑制するため、自動車の走行中には運転者の入力操作を受け付けないようにしたものが知られている。このような装置として、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-69662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォークリフトに搭載されるコンピュータには、汎用のノート型PCなどが使用される。自動車のナビゲーション装置は、自動車の速度センサ等の各種機器と連携するように設計されているが、汎用のノート型PCは、フォークリフトの速度状態を検出することができない。このため、フォークリフトに速度状態を検出するセンサ等の検出部を設け、検出部で検出した速度状態をコンピュータに何らかの方法で伝達することが考えられる。
【0006】
検出部からの情報をコンピュータに伝達する手段として、例えばデジタル機器用の近距離無線通信規格を使用した場合、通信が不安定であり、接続状態が常時維持されないことがある。また、この手段として無線LANを使用することも考えられるが、コンピュータは既にサーバーとの接続のために無線ネットワークに接続しており、別の無線LANネットワークを形成することは現実的ではない。より単純な方法として、検出部から無線LANとは異なる無線信号(RF信号)をコンピュータに対し送信することも考えられるが、この場合、専用の受信機を個々のコンピュータに設ける必要がある。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、車両の速度状態を検出する検出部からの情報を安定的かつ簡易な構成で車両に搭載されたコンピュータに伝達できる車両搭載コンピュータ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両搭載コンピュータ制御システムは、車両に搭載されるコンピュータの操作可能状態と操作不能状態とを切り替える車両搭載コンピュータ制御システムであって、前記コンピュータと無線ネットワークで接続されるサーバーと、前記車両の速度状態を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記速度状態の情報を前記無線ネットワークで用いる周波数帯と異なる周波数帯のRF信号で送信する信号送信部と、前記信号送信部からの前記RF信号を受信し前記サーバーに前記検出部からの情報を伝達する信号受信部と、を備え、前記サーバーは、前記検出部で前記車両が減速状態または停止状態であることを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、前記無線ネットワークを介して前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を送信し、前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態でないことを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、前記無線ネットワークを介して前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を送信する。
【0009】
また、前記検出部は、前記車両のブレーキペダルの動きから前記速度状態を検出するようにしてもよい。
【0010】
また、前記検出部は、前記車両の速度を測定する速度センサであってもよい。
【0011】
また、前記信号送信部から送信する前記RF信号は、前記車両の識別情報を含み、前記サーバーは、前記RF信号を受信したら、当該RF信号に含まれる前記識別情報に対応した前記車両を特定した前記指令情報を送信するようにしてもよい。
【0012】
また、前記車両に搭載されるコンピュータは、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を受信したら、画面の照度を小さくすることにより前記操作不能状態となり、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を受信したら、画面の照度を大きくすることにより前記操作可能状態となるようにしてもよい。
【0013】
また、前記車両に搭載されるコンピュータは、前記サーバーから前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令情報を受信したら、一定時間の間に前記サーバーから前記コンピュータを前記操作不能状態とする指令情報を受信しなかった場合に、前記操作可能状態となるようにしてもよい。
【0014】
また、前記サーバーは、前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態であることを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されたら、一定時間の間に前記検出部で前記車両が前記減速状態または前記停止状態でないことを検出した旨の情報が前記信号受信部から伝達されなかった場合に、前記コンピュータを前記操作可能状態とする指令信号を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車両搭載コンピュータ制御システムによれば、車両に信号送信部を設けることで、コンピュータが接続される無線ネットワークとは別のルートで車両の速度状態をサーバーに伝達し、速度状態に応じてサーバーから無線ネットワークを介してコンピュータの操作可能状態と操作不能状態とを切り替えることができる。このため、検出部からの情報を安定的かつ簡易な構成で車両に搭載されたコンピュータに伝達して、車両に搭載されたコンピュータの状態を切り替え、運転者がコンピュータ20の画面を見ながら運転する「ながら運転」を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】運転者が運転する車両の側面図である。
図2】本実施形態の車両搭載コンピュータ制御システムの全体構成図である。
図3】複数の車両と通信する場合における車両搭載コンピュータ制御システムの全体構成図である。
図4】車両搭載コンピュータ制御システムにおけるブレーキのオン・オフに対応した信号およびコンピュータの画面照度のタイムチャートである。
図5】第1変形例に係る車両搭載コンピュータ制御システムにおけるブレーキのオン・オフに対応した信号およびコンピュータの画面照度のタイムチャートである。
図6】第2変形例に係る車両搭載コンピュータ制御システムにおけるブレーキのオン・オフに対応した信号およびコンピュータの画面照度のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の車両搭載コンピュータ制御システムは、車両10の速度状態に応じて、車両10に搭載されたコンピュータ20につき操作可能状態と操作不能状態とを切り替えることで、運転中に運転者がコンピュータ20を操作することによる危険を発生させないようにするものである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態において車両1は荷物を運搬するフォークリフトである。ただし、車両1はフォークリフトに限定されず、コンピュータ20を搭載できる車両であれば他の種類であってもよい。車両1は運転者100が運転する。車両1は、運転者100が操作できる位置にコンピュータ20を搭載している。コンピュータ20は、通信機能を有した汎用のノート型PCである。ただし、コンピュータ20はノート型PCに限定されず、タブレットPCやスマートフォンなどその他の種類であってもよい。コンピュータ20は、Wi-Fiなどの無線ネットワークで他のコンピュータと接続される。
【0019】
車両10は、走行時に減速、停止させるためのブレーキペダル12を備えている。運転者100は、ブレーキペダル12を踏んで操作することができる。車両10は、ブレーキペダル12の動きを検出する検出部14を有している。検出部14は、例えばブレーキペダル12の動きによって押圧されるスイッチで構成することができる。また、検出部14は、ブレーキペダル12の動きを赤外線などの非接触で検出するものであってもよいし、その他のセンサ等であってもよい。検出部14はブレーキペダル12の動きを検出することで、ブレーキペダル12が踏まれて車両10が減速または停止しているか、あるいはブレーキペダル12が踏まれておらず車両10が加速あるいは定速で走行しているかを検出する。すなわち、検出部14は、ブレーキペダル12の動きを検出することで、車両10が減速状態または停止状態であるか否かの速度状態を検出することができる。なお、検出部14は、車両10の速度状態を検出できるものであればよく、例えば車両10の速度を検出できる速度センサなどであってもよい。検出部14が速度センサである場合は、検出部14で車両10が減速状態または停止状態であるか否かを、検出した速度の情報から検出することができる。
【0020】
車両10は、検出部14で検出した車両10の速度状態の情報をコンピュータ20が接続される無線ネットワークで用いる周波数帯と異なる周波数帯の無線信号で送信する信号送信部16を有している。信号送信部16が送信する無線信号は、ブレーキペダル12の動きを示す情報と車両10に固有の識別情報とを含むRF信号である。コンピュータ20が接続される無線ネットワークは、Wi-Fiの場合、2.4GHzおよび5GHzの周波数帯が使用される。これに対し、信号送信部16が送信する無線信号は、2.4GHz、5GHz以外の周波数帯、例えば920MHzの周波数帯を用いることができる。ただし、無線信号の周波数帯はこれに限定されない。
【0021】
図2に示すように、車両搭載コンピュータ制御システムは、車両10に搭載されたコンピュータ20と前述の無線ネットワークで接続されるサーバー30を有している。コンピュータ20は、画面22とキーボードなどの入力部24とを有している。コンピュータ20とサーバー30は、無線ルーター40を介して接続されている。コンピュータ20は、無線ネットワークを介してサーバー30から必要な情報、例えば車両の行先や次に運ぶべき荷物などの情報を取得することができる。
【0022】
サーバー30には、車両10の信号送信部16からの無線信号を受信しサーバー30に検出部14からの情報の伝達する信号受信部50が接続されている。なお、信号受信部50は、サーバー30に内蔵されていてもよい。コンピュータ20には、無線ネットワークを介してサーバー30から送信される指令情報を受信し、当該指令情報に含まれる情報に基づきコンピュータ20の操作可能状態と操作不能状態とを切り替えるソフトウェアが予めインストールされている。コンピュータ20は、画面22の照度を0から100までの範囲に設定することができ、コンピュータ20にインストールされているソフトウェアは、画面22の照度を0とすることでコンピュータ20を操作不能状態とし、画面22の照度を100とすることでコンピュータ20を操作可能状態とする。
【0023】
図3に示すように、車両搭載コンピュータ制御システムには、複数台の車両10およびコンピュータ20を含むことができる。この場合、それぞれの車両10に搭載されたコンピュータ20は、同じ無線ネットワークにてサーバー30と通信することができる。また、各車両10は、それぞれ検出部14および信号送信部16を備え、無線ネットワークとは異なる周波数帯にて無線信号を信号受信部50に向かって送信することができる。信号送信部16からの無線信号には、前述のようにそれぞれの車両10に固有の識別情報を含んでいるので、サーバー30は、無線信号に含まれる識別情報に対応した車両10を特定した指令情報を無線ネットワークで送信することができる。
【0024】
次に、車両10でブレーキ操作がされた際の車両搭載コンピュータ制御システムの動作について説明する。図4に示すように、ブレーキペダル12が時間T1においてオンとなり、時間T2においてオフになったことを検出部14が検出したものとする。ブレーキペダル12がオフからオンになったことを検出部14が検出したら、車両10の信号送信部16は無線信号を送信する。無線信号を信号受信部50で受信したら、サーバー30は無線信号に含まれる情報、すなわち車両10の識別情報とブレーキペダル12がオンになった旨の情報を取得することができる。当該情報を取得したサーバー30は、受信した無線信号に含まれる識別情報に対応する車両10を指定した指令情報を、無線ネットワークを介して送信する。サーバー30からの指令情報を受信した対象となる車両10のコンピュータ20は、画面22の照度を0から100に変更する。これにより、コンピュータ20は操作不能状態から操作可能状態に切り替わる。
【0025】
なお、車両10においてブレーキペダル12がオンになったことを検出部14が検出してから無線信号が送信されるまでには若干のタイムラグが発生する。同様に、サーバー30において無線信号が送信されてから指令情報が送信されるまで、およびコンピュータ20において指令情報を受信してから画面22の照度が変更されるまでには、それぞれ若干のタイムラグが発生する。図4は、信号の送信にかかる時間およびこれらのタイムラグを誇張して示している。また、これ以降の図においても同様である。
【0026】
ブレーキペダル12がオンからオフになったことを検出部14が検出したら、車両10の信号送信部16は無線信号を送信し、当該無線信号を信号受信部50が受信したら、サーバー30は無線信号に含まれる識別情報に対応する車両10を指定した指令情報を、無線ネットワークを介して送信する。サーバー30からの指令情報を受信した対象となる車両10のコンピュータ20は、画面22の照度を100から0に変更する。これにより、コンピュータ20は操作可能状態から操作不能状態に切り替わる。このため、ブレーキペダル12がオンになって車両10が減速あるいは停止した状態では、コンピュータ20は操作可能状態となり、ブレーキペダル12がオフになって車両10が動いている状態では、コンピュータ20は操作不能状態となる。これによって、運転者がコンピュータ20の画面を見ながら運転する「ながら運転」を防止することができる。
【0027】
図4では、時間T2より後の時間T3でブレーキペダル12がオフからオンになり、T4でブレーキペダル12がオンからオフになっている。時間T3から時間T4までの長さは、時間T1から時間T2までの長さより短い。この場合も、時間T3と時間T4の後にそれぞれ車両10の信号送信部16から無線信号が送信され、信号受信部50で無線信号を受信して情報が伝達されたサーバー30は、無線ネットワークを介して指令情報を送信し、指令情報を受信した車両10のコンピュータ20は、画面22の照度を変更する。
【0028】
検出部14でブレーキペダル12の動きを検出してから一定時間後にコンピュータ20の画面22の照度を変更するようにしてもよい。図5に示すように、検出部14において時間T1でブレーキペダル12がオフからオンになったことを検出したら、信号送信部16から無線信号が送信され、当該無線信号を受信した信号受信部50から時間T1’に情報を伝達されたサーバー30は、一定時間Δtの間に、検出部14でブレーキペダル12がオンからオフになったことを検出した旨の情報が信号受信部50から伝達されなかった場合に、コンピュータ20を操作可能状態とする指令情報を送信する。図5の例では、時間T1’からΔtの経過後である時間T1’’までの間に、ブレーキペダル12がオンからオフになっていないため、サーバー30はコンピュータ20を操作可能状態とする指令信号を送信し、当該指令信号を受信したコンピュータ20は、画面22の照度を0から100に変更し、コンピュータ20を操作可能状態とする。
【0029】
図5では、時間T3においてブレーキペダル12がオフからオンになった際に、サーバー30には時間T3’においてブレーキペダル12がオフからオンになったことを検出した旨の情報が伝達され、それからΔtの経過後である時間T3’’までの間である時間T4にブレーキペダル12がオンからオフになっている。この場合、サーバー30から指令信号が送信されないため、コンピュータ20は、画面22の照度を変更せず、操作不能状態を維持する。このように、ブレーキペダル12の操作から一定時間経過後に操作可能状態への切替を行うことにより、車両10がごく短い時間だけ減速した場合にコンピュータ20を操作可能状態としないようにすることができ、頻繁な画面22の照度変更を抑制できる。
【0030】
一定時間の経過は、コンピュータ20において待機するようにしてもよい。図6に示すように、検出部14において時間T1でブレーキペダル12がオフからオンになったことを検出したら、信号送信部16から無線信号が送信され、当該無線信号を受信した信号受信部50から時間T1’に情報を伝達されたサーバー30は、コンピュータ20を操作可能状態とする指令情報を送信する。当該情報を受信したコンピュータ20は、一定時間Δtの間に、サーバー30からコンピュータ20を操作不能状態とする指令情報を受信しなかった場合に、操作不能状態から操作可能状態に切り替わる。図6の例では、時間T1’からΔtの経過後である時間T1’’までの間に、サーバー30からコンピュータ20を操作不能状態とする指令情報を受信していないため、コンピュータ20は画面22の照度を0から100に変更し、コンピュータ20を操作可能状態とする。
【0031】
図6では、時間T3においてブレーキペダル12がオフからオンになった際に、サーバー30には時間T3’においてブレーキペダル12がオフからオンになったことを検出した旨の情報が伝達され、それからΔtの経過後である時間T3’’までの間である時間T4にブレーキペダル12がオンからオフになっている。この場合、コンピュータ20は画面22の照度を変更せず、操作不能状態を維持する。
【0032】
車両搭載コンピュータ制御システムには、照度センサを設けてもよい。照度センサは、検出部14を構成するものとして車両10に設置され、信号送信部16は、照度センサで検出した車両10における照度の情報を含む無線信号を送信する。信号受信部50を介して照度の情報が伝達されたサーバー30は、検出された照度の情報に応じた画面22の照度を指定した指令情報を、無線ネットワークを介して送信する。サーバー30は、例えば、車両10における照度が昼間の明るさに相当する場合、画面22の照度を100とし、車両10における照度が夜間の明るさに相当する場合、画面22の照度を70とする。このように、車両10で検出された照度に応じてサーバー30が画面22の照度を指定することで、画面が見にくかったり、あるいは眩しすぎることを抑制できる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。上述の実施形態において、コンピュータ20の操作不能状態は、画面22の照度を0にすることにより実現しているが、それ以外の手段によりコンピュータ20を操作不能状態としてもよく、例えば、コンピュータ20の入力部24からの入力を受け付けないようにすることで、コンピュータ20を操作不能状態としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 車両
12 ブレーキペダル
14 検出部
16 信号送信部
20 コンピュータ
30 サーバー
40 無線ルーター
50 信号受信部
100 運転者

【要約】      (修正有)
【課題】車両の速度状態を検出する検出部からの情報を安定的かつ簡易な構成で車両に搭載されたコンピュータに伝達できる車両搭載コンピュータ制御システムを提供する。
【解決手段】コンピュータ20と無線ネットワークで接続されるサーバーと、車両10の速度状態を検出する検出部14と、検出部14で検出した速度状態の情報を無線ネットワークで用いる周波数帯と異なる周波数帯の無線信号で送信する信号送信部16と、信号送信部16からの無線信号を受信しサーバーに検出部14からの情報を伝達する信号受信部と、を備え、サーバーは、検出部14で車両10が減速状態または停止状態であることが検出されたら、無線ネットワークを介してコンピュータ20を操作可能状態とする指令情報を送信し、検出部14で車両10が減速状態または停止状態でないことが検出されたら、無線ネットワークを介してコンピュータ20を操作不能状態とする指令情報を送信する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6