(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】人事評価の支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20250114BHJP
【FI】
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2024159828
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523377151
【氏名又は名称】社会保険労務士法人ロイヤル総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】森崎 和敏
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7420423(JP,B1)
【文献】特開2020-187743(JP,A)
【文献】黒田 兼一,AI(人工知能)と人事労務管理,明大商學論叢,明治大学商学研究所,2020年05月30日,Vol.104 No.2,pp.51-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報を取得する情報取得部と、
前記職場情報及び前記対象者情報を第1機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記対象者の人事評価に係る仮目標を前記対象者の上司に提供する仮目標提供部と、
前記上司から提供された前記人事評価に係る本目標を取得する本目標取得部と、
前記本目標に係る実績及び前記本目標を第2機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記対象者の人事評価に係る仮評価を前記上司に提供する仮評価提供部と、
前記上司から提供された前記人事評価に係る本評価を取得する本評価取得部と、
前記第1機械学習モデル及び前記第2機械学習モデルに係る機械学習を行う機械学習部と、
を備え、
前記機械学習部は、前記職場情報及び前記対象者情報を説明変数として含み、前記本目標を目的変数として含む学習データを用いた前記第1機械学習モデルに係る機械学習と、前記実績及び前記
本目標を説明変数として含み、前記本評価を目的変数として含む学習データを用いた前記第2機械学習モデルに係る機械学習と、を行う、
人事評価の支援装置。
【請求項2】
前記対象者に係るスキルマップを取得するスキルマップ取得部と、
前記スキルマップを第3機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記対象者の人材育成カリキュラムを提供するカリキュラム提供部と、
をさらに備え、
前記第3機械学習モデルは、スキルマップを説明変数として含み、前記スキルマップに係る人材に対する人材育成カリキュラムを目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記人事評価に係る職場の諸元を取得する職場諸元取得部と、
前記諸元を第4機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記職場の人事制度の草案を提供する人事制度草案提供部と、
をさらに備え、
前記第4機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、前記職場に係る人事制度を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
前記職場諸元を第5機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記職場が受ける助成金の申請を支援する支援情報を提供する助成金支援情報提供部をさらに備え、
前記第5機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、前記職場が受ける助成金の申請を支援する情報を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている、
請求項3に記載の支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人事評価の支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等によって例示される組織の運営管理に関し、従業員等によって例示されるメンバーの業績を評価する人事評価が行われている。適正な人事評価は、組織の一員として行うべきことをメンバーに伝え、メンバーの意欲を高める。
【0003】
しかしながら、目標を設定し、その達成度を上司が評価する人事評価によって例示される人手による人事評価は、評価されるメンバーを十分に納得させることができないことが懸念される。メンバーは、例えば、人事評価に係る目標設定又は目標の達成度の評価が評価する者の主観に依拠して偏向している、あるいは、人間の手で定められた目標にバラつきがあるとの懸念から、当該評価に納得しないことがある。そこで、客観的な人事評価を支援する技術が求められている。
【0004】
従来のサービス及び従来技術等における、客観的な人事評価を支援する技術等に関し、特許文献1は、営業担当者が売り上げた内容を示す売上データを記憶する売上データ記憶手段と、営業担当者が行った販売活動の業績を評価する情報の要求を取得すると、前記売上データ記憶手段に記憶されている前記売上データを営業担当者ごとに集計し、前記情報を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段により生成された前記情報を、前記要求元の情報端末に供給する情報供給手段と、を備えるサーバ及び前記情報端末を具備すること等を特徴とする業績評価システムを開示している。当該業績評価システムの情報生成手段が生成する情報は、例えば、選定商品の売上、地域経済指数、顧客満足度等を用いて補正された売上データである。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、補正された売上データの多寡により、営業担当者が他の営業担当者に対する自己の業績の優劣を判別できるようにすることを通じて、営業担当者についての業績評価を適正に行うことを支援し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような他のメンバーとの比較を用いた評価は、メンバー全員が優れた業績を挙げたにもかかわらず、他のメンバーより業績が劣っているとの理由で低く評価されたメンバーに不満を抱かせることが懸念される。また、このような比較を用いた相対的な評価は、特許文献1が対象とするような、同様の業務を行うメンバーのみで構成された組織であれば適正な評価として機能し得るものの、多種多様な業務を組み合わせて目標の達成を目指す組織によって例示される同一の指標を用いた業績評価が難しい組織への適用が困難である。
【0008】
よって、特許文献1に記載の技術は、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるようにする点において、さらなる改良の余地がある。
【0009】
本発明の課題は、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、業績の評価のみならず、当該評価の指標となる業績目標そのものの生成においても機械学習モデルを活用すること等によって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の一態様は、人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報を取得する情報取得部と、前記職場情報及び前記対象者情報を第1機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記対象者の人事評価に係る仮目標を前記対象者の上司に提供する仮目標提供部と、前記上司から提供された前記人事評価に係る本目標を取得する本目標取得部と、前記本目標に係る実績及び前記本目標を第2機械学習モデルに入力する処理により生成された、前記対象者の人事評価に係る仮評価を前記上司に提供する仮評価提供部と、前記上司から提供された前記人事評価に係る本評価を取得する本評価取得部と、前記第1機械学習モデル及び前記第2機械学習モデルに係る機械学習を行う機械学習部と、を備え、前記機械学習部は、前記職場情報及び前記対象者情報を説明変数として含み、前記本目標を目的変数として含む学習データを用いた前記第1機械学習モデルに係る機械学習と、前記実績及び前記本目標を説明変数として含み、前記本評価を目的変数として含む学習データを用いた前記第2機械学習モデルに係る機械学習と、を行う、人事評価の支援装置を提供する。
【0012】
本発明の当該態様は、本目標に係る後述の機械学習が行われる第1機械学習モデルにより、人事評価に係る仮目標を生成する。当該仮目標は、機械学習モデルにより生成されたものであるため、客観的な目標であると言える。
【0013】
しかしながら、機械学習モデルの事前学習が不十分である等の事情により、このようにして生成された仮目標は、組織等の人事評価に係る要望を十分に反映した適正な目標でないことが懸念される。そこで、本発明の当該態様は、当該仮目標を上司に提供し、必要に応じて上司が修正した本目標を取得する。さらに、本発明の当該態様は、当該本目標を含む学習データによる第1機械学習モデルの機械学習を行い、よりいっそう適正な仮目標が生成されるようにする。
【0014】
加えて、本発明の当該態様は、本評価に係る後述の機械学習が行われる第2機械学習モデルにより、人事評価に係る仮評価を生成する。当該仮評価は、機械学習モデルにより生成されたものであるため、客観的な評価であると言える。
【0015】
しかしながら、機械学習モデルの事前学習が不十分である等の事情により、このようにして生成された仮評価は、適正な評価でないことが懸念される。そこで、本発明の当該態様は、当該仮評価を上司に提供し、必要に応じて上司が修正した本評価を取得する。さらに、本発明の当該態様は、当該本評価を含む学習データによる第2機械学習モデルの機械学習を行い、よりいっそう適正な仮評価が生成されるようにする。
【0016】
このように、本発明の当該態様は、業績の評価のみならず、当該評価の指標となる業績目標そのものの生成においても機械学習モデルを活用し、さらに、必要に応じて上司が修正した目標又は評価をそれぞれの機械学習モデルにフィードバックさせることにより、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援できる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明は、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、職場情報データベース131の一例である。
【
図3】
図3は、本実施形態の支援装置1で実行される支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【
図4】
図4は、前図から続くフローチャートである。
【
図5】
図5は、前図から続くフローチャートである。
【
図6】
図6は、前図から続くフローチャートである。
【
図7】
図7は、前図から続くフローチャートである。
【
図8】
図8は、前図から続くフローチャートである。
【
図9】
図9は、前図から続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず初めに、以下の開示、図表、及び/又は請求項等が、単独であるか、又は1つ以上の他の側面との組み合わせとして記述されていると説明されているものの、即時開示の主題はそのように限定されることを意図していない。つまり、即時開示、図表、及び請求項は、ここで記載されている様々な側面を、それぞれ単独であるか、又はお互いと1つ以上の組み合わせで包含することを意図する。例えば、即時開示が第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態を、第1実施形態が特に第2実施形態に関連して記述及び図示されるか、第2実施形態が第3実施形態に関連してのみ記述及び図示されるような方法で記述及び図示する場合でも、即時開示と図示はそのように限定されるものではなく、第1実施形態のみ、第2実施形態のみ、第3実施形態のみ、又は第1、第2及び/又は第3実施形態の1つ以上の組み合わせ、例えば第1実施形態と第2実施形態、第1実施形態と第3実施形態、第2実施形態と第3実施形態、又は第1、第2、及び第3実施形態が含まれることがある。
【0020】
本文中でのフレーズ「又は」の使用は、明示的に指定されていない限り、「排他的ではない」取り決めを意味するものとする。例えば、「項目xがA又はBである」と言う場合、次のいずれかを意味するものとする:(1)項目xがA又はBのどちらか一方のみである、(2)項目xがAとBの両方である。言い換えれば、単語「又は」は、「排他的」な取り決めを定義するために使用されない。
【0021】
また、本文中で用いられるフレーズ「少なくとも1つを含む」や「以下の少なくとも1つを含む」は、システム又は要素と組み合わせて使用される場合、そのシステム又は要素がフレーズの後に列挙された要素の1つ以上を含むことを意味する。例えば、要素が第1要素から第3要素の3種類である場合、フレーズ「少なくとも1つを含む」や「以下の少なくとも1つを含む」は、次のような構造的配置のいずれかとして解釈する:第1要素を含むデバイス、第2要素を含むデバイス、第3要素を含むデバイス、第1要素と第2要素を含むデバイス、第1要素と第3要素を含むデバイス、第2要素と第3要素を含むデバイス、又は第1要素、第2要素、第3要素を含むデバイス。
【0022】
本文中で「以下の少なくとも1つで使用されている」というフレーズが使用される場合も同様の解釈が意図されている。さらに、本文中で使用される「及び/又は」は、言語的な接続詞として用いられ、記載された要素や条件の1つ以上が含まれるか発生することを示すために使用されている。例えば、第1要素、第2要素、及び/又は第3要素を含むデバイスは、次の構造的配置のいずれかとして解釈される:第1要素を含むデバイス、第2要素を含むデバイス、第3要素を含むデバイス、第1要素と第2要素を含むデバイス、第1要素と第3要素を含むデバイス、第2要素と第3要素を含むデバイス、又は第1要素、第2要素、第3要素を含むデバイス。
【0023】
なお、本文中でのフレーズ「及び/又は」の使用が「排他的ではない」取り決めを意味することは、日本産業規格(JIS)の「規格票の様式及び作成方法 JIS Z 8301」にも規定されている。
【0024】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0025】
<システムS>
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。以下は、
図1を用いた、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の好ましい態様の一例の説明である。
【0026】
システムSは、人事評価の支援装置1と、支援装置1とネットワークNを介して通信するよう構成された端末Tとを含んで構成される。
【0027】
〔支援装置1〕
支援装置1は、制御部11、記憶部13、及び通信部14を備える。支援装置1の種類は、特に限定されず、例えば、サーバ装置、クラウドサーバ等で良い。
【0028】
[制御部11]
制御部11は、Central Processing Unit(CPU)、Random Access Memory(RAM)、及びRead Only Memory(ROM)等を備える。
【0029】
制御部11は、必要に応じて、記憶部13及び通信部14のうち、少なくとも何れか一方と協働する。そして、制御部11は、支援装置1で実行される本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素である、情報取得部111、仮目標提供部112、本目標取得部113、仮評価提供部114、本評価取得部115、機械学習部116、スキルマップ取得部117、カリキュラム提供部118、職場諸元取得部119、人事制度草案提供部120、助成金支援情報提供部121等を実現する。
【0030】
[記憶部13]
記憶部13は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によってデータを非一時的に格納するストレージ部を有する。記憶部13には、マイクロコンピューターで実行されるプログラム、職場情報データベース131、機械学習モデル等が格納されている。
【0031】
(職場情報データベース131)
職場情報データベース131には、人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報等が格納される。これにより、支援装置1は、職場情報及び対象者情報を第1機械学習モデルに入力する処理により、対象者の人事評価に係る仮目標を生成・提供できる。
【0032】
本例示においては、職場情報及び対象者情報が同一の職場情報データベース131に格納されているが、本実施形態の職場情報及び対象者情報は、それぞれ独立したデータベースに格納されてもよい。格納、取得、更新等のデータ処理を効率的に実行すべく、職場情報及び対象者情報は、情報ID等によって例示される、当該情報を特定する情報と関連付けられて格納されることが好ましい。
【0033】
職場情報は、対象者が所属する職場の様々な階層ごとの情報を含む。このような階層ごとの情報として、例えば、所属する企業全体の方針・諸元、所属する企業内の部署の方針、及び所属する部署内のチームの方針を含む情報が挙げられる。方針は、当月、当期等の期間と関連付けられた方針を含んでもよい。企業全体の諸元は、例えば、当該企業の業種、売上規模、又は従業員規模等である。職場情報が職場の諸元を含むことにより、支援装置1は、職場の諸元を第4機械学習モデルに入力する処理により、当該職場の人事制度の草案、又は助成金の申請を支援する支援情報等を生成・提供できる。
【0034】
対象者情報は、例えば、対象者の実績、対象者の等級(役職なし、班長、係長、課長等)、対象者のスキルマップ、又は対象者に係る以前の評価等に係る情報を含む。実績、又は以前の評価は、先週、先月、前期等の期間と関連付けられていてもよい。実績は、例えば、数値又は数値に類する記号(例えば、「A、B、C」等の等級を示す記号)により示される実績、文章により示される実績等を含む。スキルマップは、例えば、職場に係る資格等によって例示されるスキルのうち、対象者が取得又は習熟しているスキルを列挙したデータ等である。対象者情報がスキルマップを含むことにより、支援装置1は、スキルマップを第3機械学習モデルに入力する処理により対象者の人材育成カリキュラムを生成・提供できる。
【0035】
図2は、職場情報データベース131の一例である。当該例のデータベースには、情報ID「D0001」によって特定される企業全体に係る職場情報、情報ID「D0011」によって特定される経理部に係る職場情報、情報ID「D0111」によって特定される対象者「田中△△(経理部)」に係る対象者情報、情報ID「D0112」によって特定される対象者「鈴木△△(経理部)」に係る対象者情報等が格納されている。
【0036】
情報ID「D0001」によって特定される企業全体に係る職場情報は、業種「製造業」、売上規模「△△億円」、従業員規模「△△人」、企業全体の方針「業務のデジタル化推進」「業務のペーパレス化推進」等の情報を含む。これにより、支援装置1は、当該企業の業種、規模、又は全体方針が反映された、人事評価に係る仮目標を生成・提供できる。また、これにより、支援装置1は、当該企業の業種、又は規模に適した助成金を判別し、当該助成金の申請を支援する支援情報を生成し、提供できる。
【0037】
情報ID「D0011」によって特定される部署(経理部)に係る職場情報は、当該部署の方針「請求管理システムの刷新」「証票管理システムの刷新」「インボイス業務フローの確立」等の情報を含む。これにより、支援装置1は、当該部署の方針が反映された、人事評価に係る仮目標を生成し、提供できる。
【0038】
情報ID「D0111」によって特定される対象者「田中△△(経理部)」に係る対象者情報は、実績「請求管理システム刷新に係る要望取りまとめ済」「インボイス業務対応△△件(前月)」、等級「班長」、スキルマップ「△△資格(2級)」、以前の評価「△△業務についてリーダーシップ・・・」等の情報を含む。これにより、支援装置1は、当該対象者の実績、等級、スキルマップ、又は以前の評価が反映された、人事評価に係る仮目標を生成・提供できる。また、これにより、支援装置1は、スキルマップ等が反映された人材育成カリキュラムを生成し、提供できる。
【0039】
情報ID「D0112」によって特定される対象者「鈴木△△(経理部)」に係る対象者情報は、実績「請求管理システム刷新に係る要望取りまとめ済」「インボイス業務対応△△件(前月)」、等級「役職なし」、スキルマップ「△△資格(4級)」、以前の評価「△△業務についてなお一層の努力・・・」等の情報を含む。これにより、支援装置1は、当該対象者の実績、等級、スキルマップ、又は以前の評価が反映された、人事評価に係る仮目標を生成・提供できる。また、これにより、支援装置1は、スキルマップ等が反映された人材育成カリキュラムを生成し、提供できる。
【0040】
このように、対象者それぞれによって異なる実績、等級、スキルマップ、及び以前の評価等が職場情報データベース131に格納され、第1機械学習モデルによって利用されることにより、支援装置1は、例えば、実績、等級、スキルマップ、及び以前の評価が「鈴木△△」等の他の対象者より優れた対象者「田中△△」に対し、「鈴木△△」よりさらに高い仮目標を生成し、当該対象者の上司が用いる端末Tに提供できる。また、支援装置1は、職場全体の方針、部署の方針等が反映されたより適切な仮目標を生成し、提供できる。
【0041】
記憶部13には、少なくとも、第1機械学習モデルを用いる処理及び第2機械学習モデルを用いる処理に必要な各種データが格納される。これらのデータは、機械学習モデルそのものを含むことが好ましいが、外部の装置に格納され、実行される機械学習モデルの利用に必要となる各種データ(例えば、Application Programming Interface(API)に係るデータ)等でもよい。記憶部13には、第3機械学習モデル、第4機械学習モデル、又は第5機械学習モデルを用いる処理に必要な各種データがさらに格納されることが好ましい。
【0042】
(第1機械学習モデル)
第1機械学習モデルは、人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報を入力することで、対象者の人事評価に係る仮目標を生成する機械学習モデルである。第1機械学習モデルは、後述する第2機械学習モデル、第3機械学習モデル、第4機械学習モデル、又は第5機械学習モデルと共通部分があるモデルでもよい。
【0043】
職場情報及び対象者情報が適切に反映された仮目標を生成すべく、第1機械学習モデルは、職場情報及び対象者情報を説明変数として含み、これらの情報に基づく目標を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。これにより、第1機械学習モデルは、職場の目標並びに対象者の実績、等級及びスキルマップ等の複雑な相関を有する入力に対して適切な仮目標を事前学習に基づいて演繹し、生成できる。このような相関として、例えば、職場の目標と無関係の実績及びスキルが目標の設定に及ぼす影響が小さく、職場の目標と深く関連する実績及びスキルが目標の設定に及ぼす影響が大きいとの相関が挙げられる。
【0044】
自然言語で記載された職場情報及び対象者情報を入力として利用できるようにすべく、第1機械学習モデルは、言語モデルを含むことが好ましい。多種多様な自然言語表現で記載された職場情報及び対象者情報を入力として利用できるようにすべく、当該言語モデルは、ChatGPT(登録商標)等によって例示される、大規模言語モデルであることが好ましい。大規模言語モデルは、例えば1,000億以上の大量のパラメータを有する大規模なニューラルネットワーク、例えば1,000億トークン以上の膨大な量の学習データ等により獲得した自然言語に係る創発的能力により、多種多様な自然言語表現で記載された職場情報及び対象者情報等の入力を理解し、この理解が反映された人事評価に係る目標等の生成に寄与する。
【0045】
(第2機械学習モデル)
第2機械学習モデルは、目標に係る実績及び目標を入力することで、対象者の人事評価に係る仮評価を生成する機械学習モデルである。第2機械学習モデルは、第1機械学習モデル、後述する第3機械学習モデル、第4機械学習モデル、又は第5機械学習モデルと共通部分があるモデルでもよい。
【0046】
目標に係る実績及び目標が適切に反映された仮評価を生成すべく、第2機械学習モデルは、目標に係る実績及び目標を説明変数として含み、当該実績及び目標に基づく評価を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。これにより、第2機械学習モデルは、目標及び実績等の複雑な相関を有する入力に対して適切な仮評価を事前学習に基づいて演繹し、生成できる。このような相関として、例えば、目標と無関係の実績が評価に及ぼす影響が小さく、目標と深く関連する実績が評価の設定に及ぼす影響が大きいとの相関が挙げられる。
【0047】
自然言語で記載された実績及び目標を入力として利用できるようにすべく、第2機械学習モデルは、言語モデルを含むことが好ましい。多種多様な自然言語表現で記載された実績及び目標を入力として利用できるようにすべく、当該言語モデルは、ChatGPT(登録商標)等によって例示される、大規模言語モデルであることが好ましい。
【0048】
(第3機械学習モデル)
第3機械学習モデルは、対象者のスキルマップを入力することで、当該対象者に係る人材育成カリキュラムを生成する機械学習モデルである。第3機械学習モデルは、第1機械学習モデル、第2機械学習モデル、後述する第4機械学習モデル、又は第5機械学習モデルと共通部分があるモデルでもよい。対象者に係るスキルマップの他の事情を反映すべく、第3機械学習モデルは、スキルマップの他に、対象者の実績、等級、又は以前の評価が入力された場合に、当該入力が反映された人材育成カリキュラムを生成することが好ましい。
【0049】
スキルマップ等の入力が適切に反映された人材育成カリキュラムを生成すべく、第3機械学習モデルは、スキルマップ等の入力されるデータを説明変数として含み、当該入力に基づく人材育成カリキュラムを目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。これにより、第3機械学習モデルは、多数のスキルを含むスキルマップ等の複雑な相関を有する入力に対して適切な人材育成カリキュラムを事前学習に基づいて演繹し、生成できる。このような相関として、例えば、現在有しているスキルと無関係のスキルを育成する優先度が低く、現在有しているスキルと深く関連するスキルを育成する優先度が高いとの相関が挙げられる。
【0050】
自然言語で記載されたスキルマップ等の入力を利用できるようにすべく、第3機械学習モデルは、言語モデルを含むことが好ましい。多種多様な自然言語表現で記載されたスキルマップ等を入力として利用できるようにすべく、当該言語モデルは、ChatGPT(登録商標)等によって例示される、大規模言語モデルであることが好ましい。
【0051】
(第4機械学習モデル)
第4機械学習モデルは、人事評価に係る職場の諸元を入力することで、職場の人事制度の草案を生成する機械学習モデルである。第4機械学習モデルは、第1機械学習モデル、第2機械学習モデル、第3機械学習モデル、又は後述する第5機械学習モデルと共通部分があるモデルでもよい。
【0052】
職場の人事制度の草案を生成すべく、第4機械学習モデルは、人事評価に係る職場の諸元を説明変数として含み、当該諸元に係る職場の人事制度の草案を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。これにより、第4機械学習モデルは、多数の要素を含む諸元等の複雑な相関を有する入力に対して適切な草案を事前学習に基づいて演繹し、生成できる。このような相関として、例えば、会社規模が小さいが業務における指揮系統が重要である業種である場合に等級数を増やし、会社規模が小さいが業務における個々の自主性が重要である業種である場合に等級数を減らすとの相関が挙げられる。
【0053】
ここで言う人事制度の草案は、例えば、等級制度、評価シート、及び賃金テーブルの草案を含む。これにより、第4機械学習モデルは、等級制度、等級ごとの評価に用いる評価シート、及び、等級等に応じた賃金テーブルが一体となった人事制度の草案を生成できる。
【0054】
自然言語で記載された諸元の入力を利用できるようにすべく、第4機械学習モデルは、言語モデルを含むことが好ましい。多種多様な自然言語表現で記載された諸元を入力として利用できるようにすべく、当該言語モデルは、ChatGPT(登録商標)等によって例示される、大規模言語モデルであることが好ましい。
【0055】
(第5機械学習モデル)
第5機械学習モデルは、職場の諸元を入力することで、職場が受ける助成金の申請を支援する支援情報を生成する機械学習モデルである。第5機械学習モデルは、第1機械学習モデル、第2機械学習モデル、第3機械学習モデル、又は第4機械学習モデルと共通部分があるモデルでもよい。
【0056】
職場の諸元に対して適切な助成金の申請を支援する支援情報を生成すべく、第5機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、当該諸元に対して適切な助成金の申請を支援する支援情報を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。これにより、第5機械学習モデルは、多数の要素を含む諸元等の複雑な相関を有する入力に対して適切な支援情報を事前学習に基づいて演繹し、生成できる。このような相関として、例えば、会社規模が小さく特定の業種である場合と当該業種の中小企業向け助成金への応募に係る支援情報とを関連付ける相関が挙げられる。
【0057】
適切な助成金を申請できるよう支援すべく、第5機械学習モデルは、職場の諸元を入力することで、当該諸元を有する職場が受けるものとして適切な助成金を示す情報を含む支援情報を生成することが好ましい。このとき、第5機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、当該諸元に対して適切な助成金を示す情報を含む支援情報を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。
【0058】
自然言語で記載された諸元の入力を利用できるようにすべく、第5機械学習モデルは、言語モデルを含むことが好ましい。多種多様な自然言語表現で記載された諸元を入力として利用できるようにすべく、当該言語モデルは、ChatGPT(登録商標)等によって例示される、大規模言語モデルであることが好ましい。
【0059】
[通信部14]
通信部14は、支援装置1をネットワークNに接続して通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部14として、例えば、イーサネット規格に対応したネットワークカード、無線LANに対応した通信機器等が挙げられる。
【0060】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、支援装置1等を通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNの種類は、例えば、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0061】
〔端末T〕
端末Tは、人事評価を行う組織の上司等により利用される。端末Tは、仮目標又は仮評価を提供するよう支援装置1に指示する処理、生成された仮目標又は仮評価を支援装置1から取得し、表示する処理、表示した仮目標又は仮評価を参照して入力された本目標又は本評価を支援装置1に提供する処理、人材育成カリキュラム、人事制度の草案、又は助成金申請の支援情報を提供するよう支援装置1に指示する処理等を実行する。端末Tの種類は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の携帯端末、デスクトップパソコン等の据置端末等である。
【0062】
〔支援処理のメインフローチャート〕
図3は、本実施形態の支援装置1で実行される支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、及び
図9は、それぞれ、前図から続くフローチャートである。以下は、
図3から
図9を用いた、支援処理の好ましい流れの一例の説明である。
【0063】
支援処理は、対象者の人事評価に係る仮目標を生成し、生成された仮目標を提供し、仮目標を提供された上司から提供された本目標を取得し、当該本目標を第1機械学習モデルの機械学習に用いる一連の処理を実行する。ステップS1からステップS8は、当該処理の一例である。
【0064】
[ステップS1:仮目標を生成するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、対象者の人事評価に係る仮目標を生成するか判別する処理を実行する(仮目標生成判別ステップ)。生成すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS2に移す。生成すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS5に移す。
【0065】
仮目標生成判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末TからAI目標設定に係る指令等によって例示される仮目標を提供するよう指示する指令が行われた場合に、仮目標を生成すると判別する。
【0066】
[ステップS2:職場情報及び対象者情報を取得]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、情報取得部111を実行する。そして、制御部11は、情報取得部111により、人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報を取得する処理を実行する(情報取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS3に移す。
【0067】
情報取得ステップにおいて情報取得部111は、例えば、職場情報データベース131の項において例示された職場情報及び対象者情報を、職場情報データベース131から取得する。職場情報データベース131にデータを追加又は格納されたデータを更新すべく、情報取得部111は、職場情報又は対象者情報の一部又は全部を端末Tから取得してもよい。
【0068】
[ステップS3:仮目標を生成]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、仮目標提供部112を実行する。そして、制御部11は、仮目標提供部112により、情報取得ステップにおいて取得された職場情報及び対象者情報を第1機械学習モデルに入力する処理により、上述の対象者の人事評価に係る仮目標を生成する処理を実行する(仮目標生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS4に移す。
【0069】
第1機械学習モデルが言語モデルを含む場合、仮目標提供部112は、職場情報、対象者情報、及び目標の生成指示を含むプロンプトを当該言語モデルに入力する処理により、上述の仮目標を生成してもよい。
【0070】
生成する仮目標の数が指定されている場合、仮目標提供部112は、当該数の仮目標を生成してもよい。職場全体、部署、グループ等によって別個に定められた方針ごとに仮目標を提供すべく、仮目標提供部112は、職場情報又は対象者情報が示す方針ごとに仮目標を生成してもよい。
【0071】
[ステップS4:仮目標を提供]
制御部11は、仮目標提供部112により、仮目標生成ステップにおいて生成された仮目標を提供する処理を実行する(仮目標提供ステップ)。制御部11は、処理をステップS5に移す。仮目標提供部112は、例えば、端末Tに仮目標を提供する。
【0072】
ステップS1からステップS4までの一連の処理により、端末Tを利用する上司は、対象者の人事評価に係る仮目標を得ることができる。そして、当該上司は、仮目標をそのまま本目標として用いる、又は、仮目標を修正して本目標として用いることができる。
【0073】
[ステップS5:本目標を取得するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、本目標取得部113を実行する。そして、制御部11は、本目標取得部113により、上述の仮目標に係る本目標を取得するか判別する処理を実行する(本目標取得判別ステップ)。取得すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS6に移す。取得すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0074】
本目標取得判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから送信された本目標のデータを受信した場合に、本目標を取得すると判別する。
【0075】
[ステップS6:本目標を取得]
制御部11は、本目標取得部113により、上述の本目標を取得する処理を実行する(本目標取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS7に移す。
【0076】
[ステップS7:本目標を格納]
制御部11は、本目標取得部113により、上述の本目標を記憶部13に格納する処理を実行する(本目標格納ステップ)。制御部11は、処理をステップS8に移す。
【0077】
[ステップS8:第1機械学習モデルの機械学習を実行]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、機械学習部116を実行する。そして、制御部11は、機械学習部116により、上述の職場情報及び対象者情報を説明変数として含み、上述の本目標を目的変数として含む学習データを用いた、第1機械学習モデルの機械学習を実行する処理を実行する(第1機械学習ステップ)。制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0078】
第1機械学習ステップにおいて機械学習部116は、上述の機械学習を行うことにより、必要に応じて上司が仮目標を修正する等して立てられた本目標を第1機械学習モデルに反映する。これにより、支援装置1は、必要に応じて修正された本目標が反映されたより一層適正な仮目標を生成するようになる。
【0079】
本目標の提供後、本実施形態の支援処理は、実績及び本目標に基づいて仮評価を生成し、仮評価を提供された上司から提供された本評価を取得し、当該本評価を第2機械学習モデルの機械学習に用いる一連の処理を実行する。ステップS9からステップS16は、当該処理の一例である。
【0080】
[ステップS9:仮評価を生成するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、対象者の人事評価に係る仮評価を生成するか判別する処理を実行する(仮評価生成判別ステップ)。生成すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS10に移す。生成すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS13に移す。
【0081】
仮評価生成判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末TからAI評価に係る指令等によって例示される仮評価を提供するよう指示する指令が行われた場合に、仮評価を生成すると判別する。
【0082】
[ステップS10:実績及び本目標を取得]
制御部11は、情報取得部111により、人事評価の対象者に係る実績及び本目標を取得する処理を実行する(実績取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS11に移す。
【0083】
実績取得ステップにおいて情報取得部111は、例えば、職場情報データベース131の項において例示された実績を、職場情報データベース131から取得する。職場情報データベース131にデータを追加又は格納されたデータを更新すべく、情報取得部111は、実績の一部又は全部を端末Tから取得してもよい。
【0084】
[ステップS11:仮評価を生成]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、仮評価提供部114を実行する。そして、制御部11は、仮評価提供部114により、上述の実績及び本目標を第2機械学習モデルに入力する処理により、上述の対象者の人事評価に係る仮評価を生成する処理を実行する(仮評価生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS12に移す。
【0085】
第2機械学習モデルが言語モデルを含む場合、仮評価提供部114は、実績、本目標、及び評価の生成指示を含むプロンプトを当該言語モデルに入力する処理により、上述の仮評価を生成してもよい。
【0086】
[ステップS12:仮評価を提供]
制御部11は、仮評価提供部114により、仮評価生成ステップにおいて生成された仮評価を提供する処理を実行する(仮評価提供ステップ)。制御部11は、処理をステップS13に移す。仮評価提供部114は、例えば、端末Tに仮評価を提供する。
【0087】
ステップS9からステップS12までの一連の処理により、端末Tを利用する上司は、対象者の人事評価に係る仮評価を得ることができる。そして、当該上司は、仮評価をそのまま本評価として用いる、又は、仮評価を修正して本評価として用いることができる。
【0088】
[ステップS13:本評価を取得するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、本評価取得部115を実行する。そして、制御部11は、本評価取得部115により、上述の仮評価に係る本評価を取得するか判別する処理を実行する(本評価取得判別ステップ)。取得すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS14に移す。取得すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS17に移す。
【0089】
本評価取得判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから送信された本評価のデータを受信した場合に、本評価を取得すると判別する。
【0090】
[ステップS14:本評価を取得]
制御部11は、本評価取得部115により、上述の本評価を取得する処理を実行する(本評価取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0091】
[ステップS15:本評価を格納]
制御部11は、本評価取得部115により、上述の本評価を記憶部13に格納する処理を実行する(本評価格納ステップ)。制御部11は、処理をステップS16に移す。
【0092】
[評価の一覧表示]
上司における複数のメンバーについての評価の確認を容易にすべく、支援処理は、複数のメンバーに係る上述の仮評価又は本評価を一覧表示する手順(評価表示ステップ)を含むことが好ましい。評価の段階を一覧しやすくすべく、当該手順は、評価を色分けして表示することが好ましい。等級と評価との対応関係を容易に把握できるようにすべく、当該手順は、等級を併記する表示を行うことが好ましい。等級の段階を一覧しやすくすべく、当該手順は、等級を色分けして表示することが好ましい。上司にとって見やすい表示を行うべく、これらの色分けの基準は、カスタマイズ可能であることが好ましい。
【0093】
[ステップS16:第2機械学習モデルの機械学習を実行]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、機械学習部116を実行する。そして、制御部11は、機械学習部116により、上述の実績及び本目標を説明変数として含み、上述の本評価を目的変数として含む学習データを用いた、第2機械学習モデルの機械学習を実行する処理を実行する(第2機械学習ステップ)。制御部11は、処理をステップS17に移す。
【0094】
第2機械学習ステップにおいて機械学習部116は、上述の機械学習を行うことにより、必要に応じて上司が仮評価を修正する等して立てられた本評価を第2機械学習モデルに反映する。これにより、支援装置1は、必要に応じて修正された本評価が反映されたより一層適正な仮評価を生成するようになる。
【0095】
支援処理は、対象者のスキルマップ等に基づいて、当該対象者に係る人材育成カリキュラムを生成し、提供する一連の処理を含むことが好ましい。ステップS17からステップS20は、当該処理の一例である。
【0096】
[ステップS17:人材育成カリキュラムを生成するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、対象者の人材育成カリキュラムを生成するか判別する処理を実行する(カリキュラム生成判別ステップ)。生成すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS18に移す。生成すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS21に移す。
【0097】
カリキュラム生成判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、AIカリキュラム生成に係る指令等によって例示される人材育成カリキュラムを提供するよう指示する指令が端末Tから行われた場合に、人材育成カリキュラムを生成すると判別する。
【0098】
[ステップS18:スキルマップを取得]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、スキルマップ取得部117を実行する。そして、制御部11は、スキルマップ取得部117により、上述の対象者に係るスキルマップを取得する処理を実行する(スキルマップ取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS19に移す。
【0099】
スキルマップ取得ステップにおいてスキルマップ取得部117は、例えば、職場情報データベース131の項において例示されたスキルマップを、職場情報データベース131から取得する。職場情報データベース131にデータを追加又は格納されたデータを更新すべく、スキルマップ取得部117は、スキルマップの一部又は全部を端末Tから取得してもよい。
【0100】
[スキルマップの表示について]
支援処理は、スキルマップ取得ステップにおいて取得されたスキルマップを表示する手順(スキルマップ表示ステップ)を含むことが好ましい。このとき、複数のメンバー間の比較を容易にすべく、当該手順は、複数のメンバーに係るスキルマップを一覧可能に表示することが好ましい。このような表示として、例えば、メンバーとスキルマップに表示するスキルを縦横異なる軸に取ったテーブル表示が挙げられる。
【0101】
一覧表示においては、等級とスキルとの対応関係を容易に把握できるようにすべく、当該手順は、等級を併記する表示を行うことが好ましい。スキル、等級の段階を一覧しやすくすべく、当該手順は、スキル又は等級を色分けして表示することが好ましい。上司にとって見やすい表示を行うべく、これらの色分けの基準は、カスタマイズ可能であることが好ましい。
【0102】
[ステップS19:人材育成カリキュラムを生成]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、カリキュラム提供部118を実行する。そして、制御部11は、カリキュラム提供部118により、上述のスキルマップ等の入力データを第3機械学習モデルに入力する処理により、上述の対象者の人材育成カリキュラムを生成する処理を実行する(人材育成カリキュラム生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS20に移す。
【0103】
人材育成カリキュラム生成ステップにおいて、カリキュラム提供部118は、スキルマップの他に、対象者の実績、等級、又は以前の評価を、第3機械学習モデルに対する追加の入力データとして用いることが好ましい。これにより、カリキュラム提供部118は、追加の入力データが反映された人材育成カリキュラムを生成することができる。第3機械学習モデルが言語モデルを含む場合、カリキュラム提供部118は、スキルマップ及び人材育成カリキュラムの生成指示を含むプロンプトを当該言語モデルに入力する処理により、上述の人材育成カリキュラムを生成してもよい。
【0104】
[ステップS20:人材育成カリキュラムを提供]
制御部11は、カリキュラム提供部118により、人材育成カリキュラム生成ステップにおいて生成された人材育成カリキュラムを提供する処理を実行する(カリキュラム提供ステップ)。制御部11は、処理をステップS21に移す。カリキュラム提供部118は、例えば、端末Tに人材育成カリキュラムを提供する。
【0105】
[人材育成カリキュラムにおける上司による修正及び機械学習について]
自動生成における不備を上司の手によって正すべく、人材育成カリキュラムを生成し、提供する一連の処理は、提供された仮目標に基づく本目標を取得する一連の処理と同様に、第3機械学習モデルにより生成された人材育成カリキュラムの提供後、必要に応じて上司等により修正された人材育成カリキュラムを上司等が利用する端末Tから取得する手順を含むことが好ましい。
【0106】
このとき、当該一連の処理は、スキルマップを説明変数として含み、端末Tから取得された人材育成カリキュラムを目的変数として含む学習データを用いた第3機械学習モデルの機械学習を行う手順をさらに含むことが好ましい。これにより、第3機械学習モデルは、よりいっそう適正な人材育成カリキュラムを生成するようになる。
【0107】
支援処理は、職場の諸元等に基づいて、当該職場の人事制度の草案を生成し、提供する一連の処理を含むことが好ましい。ステップS21からステップS24は、当該処理の一例である。
【0108】
[ステップS21:人事制度を生成するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、職場に係る人事制度の草案を生成するか判別する処理を実行する(人事制度草案生成判別ステップ)。生成すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS22に移す。生成すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS25に移す。
【0109】
人事制度草案生成判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、AI人事制度生成に係る指令等によって例示される人事制度の草案を提供するよう指示する指令が端末Tから行われた場合に、草案を生成すると判別する。
【0110】
[ステップS22:職場の諸元を取得]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、職場諸元取得部119を実行する。そして、制御部11は、職場諸元取得部119により、上述の職場の諸元を取得する処理を実行する(第1職場諸元取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS23に移す。
【0111】
第1職場諸元取得ステップにおいて職場諸元取得部119は、例えば、職場情報データベース131の項において例示された職場の諸元を、職場情報データベース131から取得する。職場情報データベース131にデータを追加又は格納されたデータを更新すべく、職場諸元取得部119は、職場の諸元の一部又は全部を端末Tから取得してもよい。
【0112】
[ステップS23:人事制度を生成]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、人事制度草案提供部120を実行する。そして、制御部11は、人事制度草案提供部120により、上述した職場の諸元等の入力データを第4機械学習モデルに入力する処理により、上述した職場の人事制度の草案を生成する処理を実行する(人事制度草案生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS24に移す。
【0113】
人事制度草案生成ステップにおいて、人事制度草案提供部120は、例えば、等級制度、評価シート、及び賃金テーブルの草案を含む人事制度の草案を生成する。これにより、人事制度草案提供部120は、等級制度、等級ごとの評価に用いる評価シート、並びに、等級等に応じた賃金テーブルが一体となった人事制度の草案を生成できる。
【0114】
第4機械学習モデルが言語モデルを含む場合、人事制度草案提供部120は、職場の諸元及び人事制度の草案の生成指示を含むプロンプトを当該言語モデルに入力する処理により、上述の人事制度の草案を生成してもよい。
【0115】
[ステップS24:人事制度を提供]
制御部11は、人事制度草案提供部120により、人事制度草案成ステップにおいて生成された人事制度の草案を提供する処理を実行する(人事制度草案提供ステップ)。制御部11は、処理をステップS25に移す。人事制度草案提供部120は、例えば、端末Tに人事制度の草案を提供する。
【0116】
[人事制度における利用者による修正及び機械学習について]
自動生成における不備を利用者の手によって正すべく、人事制度の草案を生成し、提供する一連の処理は、提供された仮目標に基づく本目標を取得する一連の処理と同様に、第4機械学習モデルにより生成された人事制度の草案の提供後、必要に応じて利用者により修正された人事制度を端末Tから取得する手順を含むことが好ましい。
【0117】
このとき、当該一連の処理は、職場の諸元を説明変数として含み、端末Tから取得された人事制度を目的変数として含む学習データを用いた第4機械学習モデルの機械学習を行う手順をさらに含むことが好ましい。これにより、第4機械学習モデルは、よりいっそう適正な人事制度の草案を生成するようになる。
【0118】
[給与管理について]
支援処理は、生成された草案に係る人事制度及び対象者の実績に基づいて、対象者の定期昇給を自動査定する手順(昇給査定ステップ)を含むことが好ましい。当該手順は、例えば、人事制度に含まれる実績及び定期昇給の対応関係、並びに、対象者の実績に基づく処理により対象者の定期昇給を自動査定する手順を含む。
【0119】
多種多様な実績において客観的な査定を実現すべく、当該処理は、機械学習モデルを用いた処理であることが好ましい。適切な査定を実現すべく、当該機械学習モデルは、実績及び対応関係を説明変数として含み、査定された定期昇給を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。
【0120】
また、支援処理は、生成された草案に係る人事制度及び対象者の実績に基づいて、対象者の賞与を自動査定する手順(賞与査定ステップ)を含むことが好ましい。当該手順は、例えば、人事制度に含まれる実績及び賞与の対応関係、並びに、対象者の実績に基づく処理により対象者の賞与を自動査定する手順を含む。
【0121】
多種多様な実績において客観的な査定を実現すべく、当該処理は、機械学習モデルを用いた処理であることが好ましい。適切な査定を実現すべく、当該機械学習モデルは、実績及び対応関係を説明変数として含み、査定された賞与を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われていることが好ましい。
【0122】
給与を管理するソフトウェアとの連携を実現すべく、支援処理は、給与管理を行うソフトウェアで利用可能な態様で上述の査定結果等を出力する手順を含むことが好ましい。
【0123】
支援処理は、職場の諸元等に基づいて、当該職場が受ける助成金の申請を支援する支援情報を生成し、提供する一連の処理を含むことが好ましい。ステップS25からステップS29は、当該処理の一例である。
【0124】
[ステップS25:助成金の申請を支援するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、助成金の申請を支援するか判別する処理を実行する(支援情報生成判別ステップ)。支援すると判別したならば、制御部11は、処理をステップS26に移す。支援すると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS29の処理を繰り返す。
【0125】
支援情報生成判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、AI助成金申請に係る指令等によって例示される助成金申請の支援情報を提供するよう指示する指令が端末Tから行われた場合に、助成金の申請を支援すると判別する。
【0126】
[ステップS26:職場の諸元を取得]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、職場諸元取得部119を実行する。そして、制御部11は、職場諸元取得部119により、上述の職場の諸元を取得する処理を実行する(第2職場諸元取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS27に移す。第2職場諸元取得ステップは、第1職場諸元取得ステップと同様でよい。
【0127】
第5機械学習モデルが上述の諸元を有する職場が受けるものとして適切な助成金を示す情報を含む支援情報を生成するよう構成されている場合、上述の一連の処理は、上述の諸元を有する職場にとって適切な助成金があるか判別し、適切な助成金がある場合に支援情報を生成及び提供する一連の手順を含むことが好ましい。ステップS27からステップS29は、当該手順の一例である。これにより、支援装置1は、当該職場が受けるものとして適切な助成金を判別し、そのような助成金の申請を支援する支援情報を生成できる。
【0128】
[ステップS27:適切な助成金があるか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、助成金支援情報提供部121を実行する。そして、制御部11は、助成金支援情報提供部121により、上述の諸元を第5機械学習モデルに入力し、当該諸元に係る職場が受けるものとして適切な助成金を示す情報を生成させ、当該情報に基づいて適切な助成金があるか判別する処理を実行する(助成金有無判別ステップ)。あると判別したならば、制御部11は、処理をステップS28に移す。あると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS29の処理を繰り返す。
【0129】
[ステップS28:支援情報を生成]
制御部11は、助成金支援情報提供部121により、上述した職場の諸元等の入力データを第5機械学習モデルに入力する処理により、職場が受ける助成金の申請を支援する支援情報を生成する処理を実行する(支援情報生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS29に移す。
【0130】
助成金有無判別ステップにおいて適切な助成金を示す情報を生成されている場合、助成金支援情報提供部121は、当該情報をさらに含む入力データを第5機械学習モデルに入力する処理により、当該適切な助成金の申請を支援する支援情報を生成することが好ましい。これにより、支援装置1は、当該職場が受けるものとして適切であると判別された助成金の申請を支援する支援情報を生成できる。
【0131】
[ステップS29:支援情報を提供]
制御部11は、助成金支援情報提供部121により、支援情報生成ステップにおいて生成された支援情報を提供する処理を実行する(助成金支援情報提供ステップ)。制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS29の処理を繰り返す。
助成金支援情報提供部121は、例えば、端末Tに支援情報を提供する。
【0132】
[助成金に係る支援情報における利用者による修正及び機械学習について]
自動生成における不備を利用者の手によって正すべく、支援情報を生成し、提供する一連の処理は、提供された仮目標に基づく本目標を取得する一連の処理と同様に、第5機械学習モデルにより生成された支援情報の提供後、必要に応じて利用者により修正された支援情報を端末Tから取得する手順を含むことが好ましい。
【0133】
このとき、当該一連の処理は、職場の諸元を説明変数として含み、端末Tから取得された支援情報を目的変数として含む学習データを用いた第5機械学習モデルの機械学習を行う手順をさらに含むことが好ましい。これにより、第5機械学習モデルは、よりいっそう適正な支援情報を生成するようになる。
【0134】
[面談の管理]
部下との面談に係る記録及びその利用を支援すべく、支援処理は、上司と部下との面談を記録し、閲覧可能にする手順(面談管理ステップ)を含むことが好ましい。当該手順は、面談に係る音声通話又は映像通話を記録する手順を含むことが好ましい。面談に係る部下の不安を払拭すべく、当該手順は、上司が面談について書き留めたメモを部下と共有する手順を含むことが好ましい。
【0135】
[支援処理の効果]
上述の支援処理を実行することにより、本実施形態の支援装置1は、本目標に係る機械学習が行われる第1機械学習モデルにより、人事評価に係る仮目標を生成する(ステップS1からステップS3)。当該仮目標は、機械学習モデルにより生成されたものであるため、客観的な目標であると言える。
【0136】
しかしながら、機械学習モデルの事前学習が不十分である等の事情により、このようにして生成された仮目標は、組織等の人事評価に係る要望を十分に反映した適正な目標でないことが懸念される。一方、上述の支援処理では、当該仮目標を上司に提供し、必要に応じて上司が修正した本目標を取得する(ステップS4からステップS7)。さらに、上述の支援処理では、当該本目標を含む学習データによる第1機械学習モデルの機械学習を行い、よりいっそう適正な仮目標が生成されるようにする(ステップS8)。
【0137】
加えて、上述の支援処理では、本評価に係る後述の機械学習が行われる第2機械学習モデルにより、人事評価に係る仮評価を生成する。当該仮評価は、機械学習モデルにより生成されたものであるため、客観的な評価であると言える(ステップS9からステップS11)。
【0138】
しかしながら、機械学習モデルの事前学習が不十分である等の事情により、このようにして生成された仮評価は、適正な評価でないことが懸念される。そこで、上述の支援処理では、当該仮評価を上司に提供し、必要に応じて上司が修正した本評価を取得する(ステップS12からステップS15)。さらに、上述の支援処理では、当該本評価を含む学習データによる第2機械学習モデルの機械学習を行い、よりいっそう適正な仮評価が生成されるようにする(ステップS16)。
【0139】
このように、上述の支援処理を実行する支援装置1は、業績の評価のみならず、当該評価の指標となる業績目標そのものの生成においても機械学習モデルを活用し、さらに、必要に応じて上司が修正した目標・評価をそれぞれの機械学習モデルにフィードバックさせることにより、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援できる。
【0140】
また、上述の支援処理は、対象者のスキルマップに基づいて人材育成カリキュラムを生成する態様を取り得る(ステップS17からステップS20)。この態様において支援装置1は、対象者に係るスキルマップを取得するスキルマップ取得部117と、スキルマップを第3機械学習モデルに入力する処理により生成された、対象者の人材育成カリキュラムを提供するカリキュラム提供部118と、をさらに備え、第3機械学習モデルは、スキルマップを説明変数として含み、スキルマップに係る人材に対する人材育成カリキュラムを目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている。これにより、当該態様における本実施形態の支援装置1は、人事評価と連携した人材育成カリキュラムを提供できる。
【0141】
加えて、上述の支援処理は、職場の諸元に基づいて人事制度の草案を生成する態様を取り得る(ステップS21からステップS24)。この態様において支援装置1は、人事評価に係る職場の諸元を取得する職場諸元取得部119と、この諸元を第4機械学習モデルに入力する処理により生成された、職場の人事制度の草案を提供する人事制度草案提供部120と、をさらに備え、第4機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、職場に係る人事制度を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている。これにより、当該態様における本実施形態の支援装置1は、人事評価と連携した人事制度の構築を支援できる。
【0142】
さらに、上述の支援処理は、職場の諸元に基づいて助成金の申請を支援する態様を取り得る(ステップS25からステップS29)。この態様において支援装置1は、人事評価に係る職場の諸元を取得する職場諸元取得部119と、職場諸元を第5機械学習モデルに入力する処理により生成された、職場が受ける助成金の申請を支援する支援情報を提供する助成金支援情報提供部121をさらに備え、第5機械学習モデルは、職場の諸元を説明変数として含み、職場が受ける助成金の申請を支援する情報を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われている。これにより、当該態様における本実施形態の支援装置1は、人事評価が行われる職場の業務を支援できる。
【0143】
よって、上述の支援処理を実行する支援装置1は、他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援できる。
【0144】
<支援装置1の使用例>
以下は、本実施形態の支援装置1の使用例である。
【0145】
〔職場情報及び対象者情報の登録〕
上司及び対象者本人等は、端末T等を介して、人事評価に係る職場情報及び対象者情報を支援装置1に登録する。支援装置1は、登録された職場情報及び対象者情報を職場情報データベース131等に格納する。
【0146】
〔AI目標設定の指令〕
図10は、端末Tにおける表示例である。上司は、当該例において端末Tの右上に表示された「AI目標設定」ボタンをクリックし、部下「田中△△」に係る仮目標等の提供に係るポップアップメニューを表示するよう支援装置1に指令する。支援装置1は、端末Tに「AI目標設定を実施します」との見出しで、仮目標等の提供に係るパラメータの設定を促すポップアップメニューを表示する。
【0147】
当該例において、上司は、ポップアップメニューの目標区分において業務目標にチェックを入れ、業務に係る仮目標を提供するよう指令する。また、上司は、ポップアップメニューの目標区分において能力目標にチェックを入れ、能力に係る目標を提供するよう指令する。加えて、上司は、ポップアップメニューの目標区分において行動目標からチェックを外し、行動目標に係る仮目標を提供しないよう指令する。
【0148】
さらに、上司は、ポップアップメニューにおいて各区分ごとの目標の数を「4」に設定する。そして、上司は、ポップアップメニューにおける「参考となる情報を選択」のユーザインタフェース要素において、全社目標、所属目標、等級、スキルマップ、前回の評価シートを参照するよう指定する。
【0149】
そして、上司は、必要に応じて「その他特記事項」に特記事項を入力し、ポップアップメニュー下部の「実行」をクリックしてAI目標設定の指令を支援装置1に指令する。支援装置1は、当該指令に応じて、第1機械学習モデル等を用いた処理により、仮目標及び人材育成カリキュラムを生成する。そして、支援装置1は、端末Tに表示させることを介して、生成されたこれら情報を上司に提供する。当該例においては、生成された仮目標として、全社目標(職場全体の方針)であるテーマ「デジタル化」に対応する仮目標「業務のデジタル化を進め、5件以上の業務をデジタル化する」が表示されている。その他、当該例には、所属目標(職場のうち所属部署の方針)「トラブル対応」「目標設定と数値化」「関連部門との調整」のそれぞれについても、対応する仮目標が表示されている。
【0150】
〔本目標の設定〕
上司は、上記手順で提供された仮目標を参照し、適宜修正するなどして、部下「田中△△」に係る本目標を設定する。仮目標が提供されているため、上司は、いちから目標を検討することなく、手早く容易に本目標を設定できる。支援装置1は、設定された本目標を取得し、職場情報データベース131等に格納する。また、支援装置1は、当該本目標を用いた機械学習を行う。
【0151】
〔人材育成カリキュラムの手直し〕
上司は、上記手順で提供された人材育成カリキュラムを参照して、適宜修正するなどして、部下「田中△△」に係る人材育成カリキュラムを設定する。支援装置1が起案したカリキュラムが提供されているため、上司は、いちからカリキュラムを検討することなく、手早く容易にカリキュラムを設定できる。支援装置1は、設定された人材育成カリキュラムを取得し、職場情報データベース131等に格納する。また、支援装置1は、当該人材育成カリキュラムを用いた機械学習を行う。
【0152】
〔仮評価生成の指令〕
上記手順で設定された本目標に係る業務期間が終わった後に、上司は、当該期間における業績及び本目標に基づく仮評価を提供するよう支援装置1に指令する。支援装置1は、業績及び本目標を入力とする第2機械学習モデルを用いた処理により、仮評価を生成し、端末Tに表示させることを介して、生成された仮評価を上司に提供する。
【0153】
〔本評価の設定〕
上司は、上記手順で提供された仮評価を参照し、適宜修正するなどして、部下「田中△△」に係る本評価を設定する。仮評価が提供されているため、上司は、いちから評価を検討することなく、手早く容易に本評価を設定できる。支援装置1は、設定された本評価を取得し、職場情報データベース131等に格納する。また、支援装置1は、当該本評価を用いた機械学習を行う。
【0154】
〔人事制度の草案起案〕
利用者は、職場に係る諸元を支援装置1に提供し、当該諸元に基づいて人事制度の草案を起案するよう支援装置1に指令する。支援装置1は、当該諸元を第4機械学習モデルに入力する処理により、人事制度の草案を生成し、端末Tに表示させることを介して、生成された人事制度の草案を利用者に提供する。利用者は、当該草案を参照して、人事制度の見直しを進める。
【0155】
〔助成金への応募〕
利用者は、職場に係る諸元を支援装置1に提供し、当該諸元に基づいて助成金への応募を支援する支援情報を提供するよう支援装置1に指令する。支援装置1は、当該諸元を第5機械学習モデルに入力する処理により、支援情報を生成し、端末Tに表示させることを介して、生成された支援情報を利用者に提供する。利用者は、当該支援情報を参照して、助成金への応募を進める。
【0156】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
S システム
1 支援装置
11 制御部
111 情報取得部
112 仮目標提供部
113 本目標取得部
114 仮評価提供部
115 本評価取得部
116 機械学習部
117 スキルマップ取得部
118 カリキュラム提供部
119 職場諸元取得部
120 人事制度草案提供部
121 助成金支援情報提供部
13 記憶部
131 職場情報データベース
14 通信部
N ネットワーク
T 端末
【要約】
【課題】他のメンバーとの比較を必須の要件としない、客観的かつ適正な人事評価が行われるよう支援すること。
【解決手段】本発明に係る人事評価の支援装置1は、人事評価の対象者に係る職場情報及び対象者情報を取得する情報取得部111と、この職場情報及び対象者情報を第1機械学習モデルに入力する処理により生成された、対象者の人事評価に係る仮目標を対象者の上司に提供する仮目標提供部112と、上司から提供された人事評価に係る本目標を取得する本目標取得部113と、本目標に係る実績及び本目標を第2機械学習モデルに入力する処理により生成された、対象者の人事評価に係る仮評価を上司に提供する仮評価提供部114と、上司から提供された人事評価に係る本評価を取得する本評価取得部115と、第1機械学習モデル及び第2機械学習モデルに係る機械学習を行う機械学習部116と、を備える。
【選択図】
図1