(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250114BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20250114BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250114BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20250114BHJP
【FI】
H01M50/204 401Z
H01M10/0562
H01M50/204 401D
H01M50/211
H01M50/507
(21)【出願番号】P 2023539368
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 KR2022013343
(87)【国際公開番号】W WO2023096101
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163384
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドゥスン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】セホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ギ・パク
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-049038(JP,A)
【文献】特開2014-036780(JP,A)
【文献】特表2014-506384(JP,A)
【文献】特開2018-073802(JP,A)
【文献】特開2020-202104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0265699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を囲むモジュールフレームと、
前記電池セル積層体のうち前記モジュールフレームから露出する部分を覆うバスバーフレームと、
前記バスバーフレームを介して前記電池セル積層体から突出した電極リードに連結されたバスバーと、
前記バスバーフレームに形成されたガスセンサと、
前記バスバーを覆うバスバーカバー部と、
前記バスバーカバー部上に形成される
硫化水素反応剤収容部とを含む電池モジュール。
【請求項2】
前記ガスセンサは、前記バスバーと隣接するように形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記バスバーは、端子バスバーを含み、
前記ガスセンサは、前記端子バスバーの端子部と隣接するように形成される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記バスバーカバー部は、前記端子バスバーの端子部を覆う、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記バスバーフレームを覆うエンドプレートをさらに含み、
前記エンドプレートに形成されるガスセンサをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セル積層体の上部と前記モジュールフレームとの間に形成されるガスセンサをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記
硫化水素反応剤収容部の内部に形成される
硫化水素反応剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記
硫化水素反応剤は、鉄化合物および触媒を含む群より選択された1種以上の成分を含む、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記
硫化水素反応剤収容部は、パッド、ポケット、エアゾール、およびバルブを含む群より選択された1種以上の形態を含む、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記
硫化水素反応剤収容部に形成される
硫化水素反応剤噴射部をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年11月24日付の韓国特許出願第10-2021-0163384号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的には、安全性が向上した電池モジュールおよび電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの注目を集めている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台あたり1個、または2、3、4個の電池セルが用いられるのに対し、自動車などのような中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが用いられる。
【0005】
中大型電池モジュールは、できるだけ小さいサイズと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層可能であり、容量に対する重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に用いられている。このような電池モジュールは、高出力を得るために、複数の単位電池セルを含む多数のセルアセンブリを直列に連結した構造を有している。そして、前記電池セルは、正極および負極集電体、セパレータ、活物質、電解液などを含み、構成要素間の電気化学的反応によって繰り返しの充放電が可能である。
【0006】
この時、上記で説明した電解液を全固体物質として用いる全固体電池(all-solid-state battery)に対する開発が行われているが、全固体電池は、前記液体電解質の代わりに固体電解質を用いる電池であって、既存の液体電解質を適用したリチウム二次電池に比べて熱的安定性が高いというメリットがある。また、前記全固体電池は、高いエネルギー密度および出力特性や、製造工程の単純化および電池の大型化/コンパクト化の面でも、既存のリチウム二次電池に比べて有利であるので、最近、これに関する研究および関心が集中している。
【0007】
特に、前記全固体電池の中でも、硫化物系電解質を用いる硫化物系全固体電池は、比較的安価で安全であるという特性があるが、硫化物系電解質が水分に露出する場合、有害物質の硫化水素(H2S)を発生させる危険性がある。
【0008】
そのため、硫化水素が発生しても電池モジュールおよび電池パックの外部に硫化水素が漏洩しないように硫化水素を中和できる新規技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、安全性が向上した電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0010】
しかし、本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を囲むモジュールフレームと、前記電池セル積層体のうち前記モジュールフレームから露出する部分を覆うバスバーフレームと、前記バスバーフレームを介して前記電池セル積層体から突出した電極リードに連結されたバスバーと、前記バスバーフレームに形成されたガスセンサと、前記バスバーを覆うバスバーカバー部と、前記バスバーカバー部上に形成される硫化水素反応剤収容部とを含む。
【0012】
前記ガスセンサは、前記バスバーと隣接するように形成される。
【0013】
前記バスバーは、端子バスバーを含み、前記ガスセンサは、前記端子バスバーの端子部と隣接するように形成される。
【0014】
前記バスバーカバー部は、前記端子バスバーの端子部を覆うことができる。
【0015】
本発明の他の実施例による電池モジュールは、前記バスバーフレームを覆うエンドプレートをさらに含み、前記エンドプレートに形成されるガスセンサをさらに含むことができる。
【0016】
本発明のさらに他の実施例による電池モジュールは、前記電池セル積層体の上部と前記モジュールフレームとの間に形成されるガスセンサをさらに含むことができる。
【0017】
前記電池モジュールは、前記硫化水素反応剤収容部の内部に形成される硫化水素反応剤をさらに含むことができる。
【0018】
前記硫化水素反応剤は、鉄化合物および触媒を含む群より選択された1種以上の成分を含むことができる。
【0019】
前記硫化水素反応剤収容部は、エアゾール、パッド、ポケット、およびバルブを含む群より選択された1種以上の形態を含むことができる。
【0020】
前記電池モジュールは、前記硫化水素反応剤収容部に形成される硫化水素反応剤噴射部をさらに含むことができる。
【0021】
本発明のさらに他の実施例による電池パックは、前記電池モジュールを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施例による電池モジュールは、硫化水素の漏洩を検知できるガスセンサおよび硫化水素を中和できる硫化水素反応剤収容部を含むことによって、硫化水素が漏洩した場合、これを検知および中和して電池モジュールおよび電池パックの安全性を向上させることができる。
【0023】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による電池モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図1の構成要素がすべて結合した図面を示す斜視図である。
【
図3】
図1の構成要素の一部を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施例による電池モジュールの構成要素の一部を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施例による電池モジュールを示す図である。
【
図6】本発明の電池モジュールに含まれるバスバーカバー部および
硫化水素反応剤収容部を示す斜視図である。
【
図7】本発明の電池モジュールに含まれる他の形態のバスバーカバー部および
硫化水素反応剤収容部を示す斜視図である。
【
図8】本発明の電池モジュールに含まれる電池セルを示す斜視図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施例による電池パックおよび前記電池パックが含まれるデバイスで作動する硫化水素中和システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0027】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0028】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するのではない。
【0029】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0030】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0031】
本出願で使用される第1、第2の用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0032】
以下、
図1~
図3、
図6~
図8を参照して、本発明の一実施例による電池モジュールについて説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例による電池モジュールを示す斜視図である。
図2は、
図1の構成要素がすべて結合した図面を示す斜視図である。
図3は、
図1の構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図6は、本発明の電池モジュールに含まれるバスバーカバー部および
硫化水素反応剤収容部を示す斜視図である。
図7は、本発明の電池モジュールに含まれる他の形態のバスバーカバー部および
硫化水素反応剤収容部を示す斜視図である。
図8は、本発明の電池モジュールに含まれる電池セルを示す斜視図である。
【0034】
図1~
図3を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120と、電池セル積層体120を囲むモジュールフレーム200とを含む。
【0035】
まず、電池セル110は、パウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート状の構造に形成される。例えば、
図8を参照すれば、本実施例による電池セル110は、2つの電極リード111、112が互いに対向してセル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。つまり、電池セル110は、互いに対向する方向に突出した電極リード111、112を含む。より詳しくは、電極リード111、112は、電極組立体(図示せず)に連結され、前記電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。ただし、
図8に示されたものとは異なり、2つの電極リード111、112は、同一の電池セル110の一側面から突出した構造であってもよい。したがって、2つの電極リード111、112は、同一の方向に突出してもよい。
【0036】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態で、セルケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cとを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施例による電池セル110は、計3箇所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは、熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残りの他の一側部は、連結部115からなる。特に、シーリング部114sa、114sb、114scは、電池セルの長手方向に形成されるシーリング部114scと、電池セルの幅方向に形成されるシーリング部114sa、114sbとを含むことができる。また、前記3箇所のシーリング部114sa、114sb、114scと共に電池セルの長手方向に形成される1つのシーリング部をさらに含むことによって、4箇所のシーリング部を有することもできる。セルケース114は、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートからなる。この時、電池ケース114の両端部114a、114bの間を電池セル110の長手方向と定義し、電池ケース114の両端部114a、114bを連結する一側部114cと連結部115との間を電池セル110の幅方向と定義することができる。
【0037】
また、連結部115は、電池セル110の一周縁に沿って長く延びることができ、連結部115の端部にはバットイヤ110pが形成される。さらに、突出した電極リード111、112を挟んでセルケース114が密封されながら、電極リード111、112とセル本体113との間にテラス部116が形成される。つまり、電池セル110は、電極リード111、112が突出した方向にセルケース114から延長形成されたテラス部116を含むことができる。
【0038】
このような電池セル110は、複数個構成されてもよいし、複数の電池セル110は、相互電気的に連結できるように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、
図3に示されているように、y軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層される。これによって、電極リード111、112は、x軸方向と-x軸方向にそれぞれ突出できる。ただし、上記で説明したように、電極リード111、112が同一の方向に突出する電池セル110は、2つの電極リード111、112がx軸方向に同一に突出するか、-x軸方向に同一に突出する。
【0039】
図1~
図3を再び参照すれば、モジュールフレーム200は、前後面を除いて電池セル積層体120を囲むモノフレームであってもよい。ただし、モジュールフレーム200はこれに限定されたわけではなく、L字状フレームまたは上部面、前面および後面が開放されて電池セル積層体120の下部および両側部を覆うU字状フレームと、電池セル積層体120の上部を覆う上部プレートとを含むモジュールフレーム構造を含むことができる。モジュールフレーム200を介してモジュールフレーム200の内部に収容された電池セル積層体120を物理的に保護できる。
【0040】
また、図示しないが、本実施例による電池モジュール100は、電池セル積層体120の下面とモジュールフレーム200の底部との間に位置する熱伝導性樹脂層をさらに含むことができ、前記熱伝導性樹脂層は、電池セル110から発生する熱を、電池モジュール100の底に伝達し、電池セル積層体120を固定する役割を果たすことができる。これとともに、前記熱伝導性樹脂層と共に、電池セル積層体120の下面と接触するように形成される冷却流路または追加の放熱素材が形成されることによって、電池セル積層体120の面の冷却も可能になる。
【0041】
エンドプレート150は、モジュールフレーム200で開放されている電池セル積層体120の前後面を覆うことができる。エンドプレート150は、モジュールフレーム200の前後端角と溶接により結合可能である。
【0042】
エンドプレート150と電池セル積層体120の前後面との間にはバスバーフレーム130が形成される。つまり、エンドプレート150は、バスバーフレーム130を覆うことができる。この時、バスバーフレーム130は、電池セル積層体120のうちモジュールフレーム200から露出する部分を覆うことができる。
【0043】
バスバーフレーム130に装着された複数のバスバー140は、バスバーフレーム130を介して電池セル110から突出形成されて、バスバーフレーム130上に装着された電極リード111、112に連結される。この時、バスバー140は、端子バスバー141(terminal busbar)を含むことができ、端子バスバー141は、端子部141aを含むことができる。
【0044】
また、本実施例による電池モジュールは、前記バスバー140、特に、端子バスバー141がエンドプレート150の外部に露出する部分を覆うバスバーカバー部400を含むことができる。具体的には、バスバーカバー部400は、端子バスバー141の端子部141aを覆うように形成されることによって、端子部141aが電池モジュール100の外部に露出するのを防止することができる。また、後述する内容のように、端子部141aを通して流出する危険の高い硫化水素の漏洩を一次的に防止する役割を果たすことができる。
【0045】
硫化物系電解液を使用する電池および電解液を全固体物質として用いる全固体電池(all-solid-state battery)の中でも、硫化物系電解質を使用する硫化物系全固体電池は、硫化物系電解質が水分に露出する場合、有害物質の硫化水素(H2S)を発生させる危険性がある。
【0046】
そのため、硫化水素が発生しても電池モジュールおよび電池パックの外部に硫化水素が漏洩しないように硫化水素を中和できる構造が必要である。
【0047】
したがって、
図1~
図3を参照すれば、本実施例による電池モジュールは、バスバーフレーム130に形成されたガスセンサ300と、バスバー140を覆うバスバーカバー部400と、バスバーカバー部400上に形成される
硫化水素反応剤収容部500とを含む。
【0048】
具体的には、
図3を参照すれば、本実施例によるガスセンサ300は、バスバー140と隣接するようにバスバーフレーム130上に形成される。
【0049】
一般に、硫化水素が漏洩する場合、前記硫化水素は、電池モジュール100の端子部(terminal、141a)を介して漏洩する可能性が非常に高いので、硫化水素を検知できる構造を端子部141aと隣接するように形成して硫化水素の漏洩を直ちに把握する必要性がある。
【0050】
そのため、本実施例によるガスセンサ300は、バスバー140と隣接するように形成され、より具体的には、ガスセンサ300は、端子バスバー141の端子部141aと隣接するように形成されることによって、硫化水素の漏洩を直ちに検知する効果を達成することができる。
【0051】
この時、ガスセンサ300が硫化水素の漏洩を検知した後、硫化水素の即刻除去のために硫化水素を中和する構造を形成する必要性がある。
【0052】
したがって、
図6を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、上記で説明したように、バスバーカバー部400上に形成される
硫化水素反応剤収容部500を含む。
【0053】
硫化水素反応剤収容部500は、ガスセンサ300が硫化水素の漏洩を検知した後、直ちに硫化水素を除去するために、硫化水素の漏洩の危険が高い端子バスバー141の端子部141aと隣接して形成される。
【0054】
したがって、硫化水素反応剤収容部500は、端子バスバー141の端子部141aをカバーするバスバーカバー部400上に形成される。
【0055】
一方、硫化水素反応剤収容部500は、硫化水素反応剤収容部500の内部に形成される硫化水素反応剤を含むことができる。
【0056】
この時、前記硫化水素反応剤は、鉄化合物および触媒を含む群より選択された1種以上の成分を含むことができる。前記鉄化合物は、硫酸第2鉄(Fe2(SO4)3)、酸化鉄(III)(Fe2O3)、鉄オキシ水酸化物(FeO(OH))および/またはクエン酸鉄(FeC6H5O7)を含むことができる。前記触媒は、水酸化鉄(Fe(OH)2、Fe(OH)3)および/または水酸化亜鉛を含むことができる。したがって、前記硫化水素反応剤は、前記鉄化合物および前記触媒を含む群より選択された1種以上の成分を含むことができ、前記成分により硫化水素を中和することができる。
【0057】
また、硫化水素反応剤収容部500は、パッド、ポケット、エアゾールおよびバルブ(bulb)を含む群より選択された1種以上の形態を含むことができる。
【0058】
具体的には、硫化水素反応剤収容部500は、前記パッド形態を含むことによって、前記パッド形態の内部に前記硫化水素反応剤がマイクロカプセル形態で保管されて、前記硫化水素反応剤によって硫化水素が中和されるものを含むことができる。具体的には、前記パッド形態の硫化水素反応剤収容部500は、硫化水素が前記パッドを通過しながら前記パッドの内部で硫化水素と前記硫化水素反応剤とが反応することができる。
【0059】
また、前記ポケット形態は、高分子素材および/または金属素材のポケットを形成し、内部に硫化水素反応剤を収容するものであってもよい。したがって、硫化水素の発生時、前記ポケットが破砕され、前記硫化水素反応剤が外部に漏洩して硫化水素と反応する。
【0060】
この時、前記パッド形態および前記ポケット形態は、
図6に示されているように、バスバーカバー部400上に形成されるものであってもよい。
【0061】
一方、
図7を参照すれば、
硫化水素反応剤収容部500は、エアゾール形態で前記
硫化水素反応剤を空中に噴射するエアゾール消火形態を含むことができる。具体的には、
図7に示されているように、前記エアゾール形態の
硫化水素反応剤収容部500は、
硫化水素反応剤収容部500の下部に形成される
硫化水素反応剤噴射部510を含むことができる。さらに、
硫化水素反応剤噴射部510の突出部位を最小化するために、バスバーカバー部400上にはホール410が形成される。この時、
硫化水素反応剤噴射部510は、ホール410と結合するように形成され、硫化水素の流出時、
硫化水素反応剤噴射部510を通して広い範囲の領域に前記
硫化水素反応剤を噴射して硫化水素を中和することができる。
【0062】
また、前記バルブ形態は、具体的には、プラスチックバルブ形態を含むものであってもよい。前記バルブ形態は、
図7に示されているように、
硫化水素反応剤収容部500および
硫化水素反応剤噴射部510を含むことができ、場合によっては、
硫化水素反応剤噴射部510に形成される液体をさらに含むものであってもよい。したがって、電池モジュール100の発熱時、前記液体が気化することによって
硫化水素反応剤噴射部510が開放されたり、場合によっては、前記バルブ形態の
硫化水素反応剤収容部500が破砕されることによって硫化水素が中和される。
【0063】
この時、前記形態、つまり、前記パッド、ポケット、エアゾール、および/またはバルブ(bulb)形態を含む硫化水素反応剤収容部500は、バスバーカバー部400上に形成されるために、直方体または角の丸い六面体形状に形成される。また、本発明の硫化水素反応剤収容部500の中和性能を確保できる範囲内で硫化水素反応剤収容部500は多様な形状に形成される。
【0064】
したがって、硫化水素反応剤収容部500は、前記形態を含み、硫化水素反応剤収容部500の内部に硫化水素反応剤を収容することによって、ガスセンサ300によって硫化水素の漏洩が検知される場合、硫化水素反応剤収容部500が開放されて、前記硫化水素反応剤を噴射することによって硫化水素を中和することができる。また、有害物質の硫化水素の漏洩時、これを中和できる構造を確保することによって、電池モジュール100、電池モジュール100が含まれる電池パックおよびデバイスの安全性を向上させることができる。
【0065】
以下、
図4および
図5を参照して、本発明の変形実施例による電池モジュールについて説明する。本実施例は、上記で説明した電池モジュールの内容をすべて含むことができ、上記で説明した内容と重複しない内容だけを説明する。
【0066】
図4は、本発明の他の実施例による電池モジュールの構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図5は、本発明のさらに他の実施例による電池モジュールを示す図である。
【0067】
図4を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、エンドプレート150に形成されるガスセンサ310をさらに含むことができる。ガスセンサ310は、端子バスバー141の端子部141aと隣接して形成される。したがって、ガスセンサ310は、端子部141aと隣接するエンドプレート150の内側面、または外側面に形成されることによって、ガスセンサ310により硫化水素の発生および漏洩を直ちに検知することができる。
【0068】
図5を参照すれば、本実施例による電池モジュールは、電池セル積層体120の上部とモジュールフレーム200との間に形成されるガスセンサ320をさらに含むことができる。ガスセンサ320は、端子バスバー141の端子部141aと隣接した電池セル積層体120の上部とモジュールフレーム200の上側部との間に形成される。
【0069】
特に、ガスセンサ320は、モジュールフレーム200の前記上側部の内側面に形成され、電池セル積層体120の前記上部に形成される。
【0070】
前記位置に形成されたガスセンサ320により、硫化水素の漏洩を検知して硫化水素を直ちに中和することができる。
【0071】
また、上記の内容に基づいて、本発明の実施例によるガスセンサ300、310、320は、バスバーフレーム130と端子部141aとの間、エンドプレート150と端子部141aとの間、および電池セル積層体120とモジュールフレーム200との間の中から選択された少なくとも1つの位置に形成される。そのため、上記で説明したガスセンサ300、310、320が形成可能な位置のすべてにガスセンサが形成される場合のみならず、前記形成可能位置の一部にガスセンサが形成される場合もすべて本発明の権利範囲に含まれる。
【0072】
また、上記のように、バスバー140、特に端子バスバー141の端子部141aと隣接してガスセンサ300を単数個または複数個形成することによって、硫化水素の漏洩を検知することができる。さらに、前記硫化水素の漏洩位置と隣接して硫化水素反応剤収容部500を形成することによって、硫化水素の漏洩を把握すると同時に、前記硫化水素反応剤を噴射して硫化水素を中和することができる。そのため、硫化水素の漏洩によって電池モジュール100の安全性が低下するのを防止することができ、さらに電池モジュール100が配置される電池パックおよびデバイスの安全性を確保できる。
【0073】
以下、本発明のさらに他の実施例による電池パックについて説明する。
【0074】
本実施例による電池パックは、先に説明した電池モジュールを含む。これとともに、本発明の電池パックは、本実施例による電池モジュールを1つ以上まとめて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であってもよい。
【0075】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを用いることができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0076】
図9は、本発明のさらに他の実施例による電池パックおよび前記電池パックが含まれるデバイスで作動する硫化水素中和システムの概略図である。
【0077】
図9を参照すれば、本発明の電池モジュールが含まれる電池パックおよびデバイスは、硫化水素の漏洩をガスセンサにより検知する段階と、前記漏洩した硫化水素の濃度を把握する段階とを含むことができる。この時、漏洩した硫化水素の濃度を把握した後(slave BMS)、
硫化水素反応剤収容部500を開放して
硫化水素反応剤を噴射する段階(BMS)をさらに含むことができる。また、前記のように
硫化水素反応剤が噴射された後、
硫化水素反応剤の噴射を使用者に知らせる段階(DTC、計器板)をさらに含むことができる。
【0078】
したがって、本実施例で説明した電池モジュール100に含まれるガスセンサ300、310、320および硫化水素反応剤収容部500は、電池パックおよびデバイスに含まれるslave BMS、BMSおよび計器板の構成により硫化水素の中和システムを構成することができる。つまり、本実施例による電池パックおよびデバイスは、ガスセンサにより検知された硫化水素漏洩の程度を把握して、硫化水素反応剤収容部500を開放し、これを使用者に知らせる段階を含む硫化水素中和システムを含むことによって、より向上した安全性を確保できる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について図示および説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0080】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
130:バスバーフレーム
140:バスバー
141:端子バスバー
150:エンドプレート
200:モジュールフレーム
300:ガスセンサ
400:バスバーカバー部
500:硫化水素反応剤収容部