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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】エアゾール化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20250114BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20250114BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/06
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/46
A61K8/891
A61Q15/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021048969
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147638
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 真有奈
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳史
(72)【発明者】
【氏名】永松 壮晃
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062504(JP,A)
【文献】特開2020-075892(JP,A)
【文献】特開2014-047186(JP,A)
【文献】特開2017-222615(JP,A)
【文献】特開2012-106949(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157995(WO,A1)
【文献】特開2007-119741(JP,A)
【文献】特開2013-151436(JP,A)
【文献】特開2019-119720(JP,A)
【文献】特開2007-161671(JP,A)
【文献】特開2017-132723(JP,A)
【文献】特開2020-125291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器と、
原液と、
噴射剤とを備え、
前記エアゾール容器内に、前記原液と前記噴射剤とが充填されており、
前記原液が、油中水型乳化組成物であり、
前記原液が、下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分Dとを含み、
前記成分Bが、下記成分B1を含み、
前記成分Dが、下記成分D1を含み、
前記成分Aと前記成分Bとの合計の含有量の、前記成分Cの含有量に対する質量比が、3.5以下であり、
前記成分Aと前記成分Bとの合計の含有量の、前記成分Dの含有量に対する質量比が、100.0以下であり、
前記成分Cの含有量の、前記成分Dの含有量に対する質量比が、1.3以上であり、
前記成分Aがエタノールを含む場合に、前記成分A100質量%中、前記エタノールの含有量が、60.0質量%以下であり、
前記原液が、界面活性剤を含まないか又は含み、
前記原液が前記界面活性剤を含む場合に、前記原液100質量%中、前記界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下である、エアゾール化粧料。
成分A:水、又は、水及びエタノール
成分B:制汗成分
成分B1:クロルヒドロキシアルミニウム及びパラフェノールスルホン酸亜鉛からなる群より選ばれる制汗成分
成分C:シリコーン油、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤
成分D:疎水性粉体
成分D1:シリコーン被覆粉体、及びシリコーン粉体からなる群より選ばれる疎水性粉体
【請求項2】
前記原液100質量%中、前記成分Aの含有量が、10.0質量%以上であり、
前記成分Aがエタノールを含む場合に、前記成分A100質量%中、前記エタノールの含有量が、50.0質量%以下である、請求項1に記載のエアゾール化粧料。
【請求項3】
前記噴射剤が、下記成分Xを含む、請求項1又は2に記載のエアゾール化粧料。
成分X:液化ガス
【請求項4】
前記成分Aと前記成分Bとの合計の含有量100質量%中、前記成分Bの含有量が、60.0質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のエアゾール化粧料。
【請求項5】
前記原液と前記噴射剤との合計100質量%中、前記原液の含有量が、5.0質量%以上、50.0質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のエアゾール化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器内に、原液と噴射剤とが充填されているエアゾール化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
腋臭等の体臭は、汗と皮脂とが混ざり、これらが皮膚常在菌によって分解されることにより生じる。したがって、体臭を防止するためには、臭いの原因となる汗を抑制することが効果的であり、制汗成分が配合された制汗剤組成物が用いられている(例えば、特許文献1,2)。上記制汗成分による制汗効果は、溶媒等に溶解した状態又はゲル化した状態の制汗成分が汗腺を閉塞したり、汗腺に浸透したりすることにより発揮される。
【0003】
ジェル、クリーム、ローション及びロールオンなどのタイプの制汗剤では、制汗剤組成物中にて、制汗成分が水やエタノールなどの溶媒に溶解した状態で存在している。このため、これらのタイプの制汗剤では、短時間で制汗効果を高めることができる。
【0004】
一方、エアゾールタイプの制汗剤では、制汗剤組成物中にて、制汗成分が粉体の状態で存在していることが一般的である。このため、エアゾールタイプの制汗剤では、まず、制汗成分(粉体)が汗に溶解する必要があり、制汗効果が発揮されるまでに時間を要する。また、発汗後でなければ制汗効果が発揮されないため、汗によって制汗剤組成物が流れ落ちることがあり、制汗効果が十分に発揮されないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2013/081055A1
【文献】特開2015-117239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のエアゾールタイプの制汗剤において、制汗成分が粉体の状態で配合されている理由の1つとして、エアゾール容器の腐食のリスクを抑えることが挙げられる。エアゾールタイプの制汗剤において、制汗成分が溶媒に溶解した状態で存在していると、制汗成分及び制汗成分由来の成分(塩化物イオン等)とエアゾール容器(アルミニウム等の金属製容器)とが接触し、エアゾール容器に腐食が生じることがある。
【0007】
エアゾール容器が腐食するリスクを抑えつつ、制汗成分を溶媒に溶解した状態で存在させることができれば、エアゾールタイプの制汗剤であっても、短時間で高い制汗効果を発揮させることができる。
【0008】
本発明者らは、エアゾール容器が腐食するリスクを抑えつつ、制汗成分を溶媒に溶解した状態で存在させるために、エアゾール容器に充填する原液を、制汗成分の溶解した水相を有する油中水型のエマルションとすることを試みた。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、油中水型のピッカリングエマルションの状態で充填物を存在させることができるエアゾール化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エアゾール容器と、原液と、噴射剤とを備え、前記エアゾール容器内に、前記原液と前記噴射剤とが充填されており、前記原液が、油中水型乳化組成物であり、前記原液が、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)と、下記成分(D)とを含み、前記成分(A)と前記成分(B)との合計の含有量の、前記成分(C)の含有量に対する質量比が、3.5以下であり、前記成分(A)と前記成分(B)との合計の含有量の、前記成分(D)の含有量に対する質量比が、100.0以下であり、前記成分(C)の含有量の、前記成分(D)の含有量に対する質量比が、1.3以上である、エアゾール化粧料を提供する。
【0011】
成分(A):水、又は、水及びエタノール
成分(B):制汗成分
成分(C):シリコーン油、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤
成分(D):疎水性粉体
【0012】
本発明のエアゾール化粧料では、前記成分(B)が、下記成分(B1)を含むことが好ましい。
【0013】
成分(B1):クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム及び硫酸アルミニウムカリウムからなる群より選ばれる制汗成分
【0014】
本発明のエアゾール化粧料では、前記成分(D)が、下記成分(D1)を含むことが好ましい。
【0015】
成分(D1):シリコーン被覆粉体、及びシリコーン粉体からなる群より選ばれる疎水性粉体
【0016】
本発明のエアゾール化粧料では、前記原液が、界面活性剤を含まないか又は含み、前記原液が前記界面活性剤を含む場合に、前記原液100質量%中、前記界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明のエアゾール化粧料では、前記噴射剤が、下記成分(X)を含むことが好ましい。
【0018】
成分(X):液化ガス
【0019】
本発明のエアゾール化粧料では、前記成分(A)と前記成分(B)との合計の含有量100質量%中、前記成分(B)の含有量が、60.0質量%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明のエアゾール化粧料では、前記原液と前記噴射剤との合計100質量%中、前記原液の含有量が、5.0質量%以上、50.0質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のエアゾール化粧料では、油中水型のピッカリングエマルションの状態で充填物を存在させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明のエアゾール化粧料は、エアゾール容器と、原液と、噴射剤とを備え、上記エアゾール容器内に、上記原液と上記噴射剤とが充填されており、上記原液が、油中水型乳化組成物である。
【0024】
本発明のエアゾール化粧料では、上記原液が、「水、又は、水及びエタノール」と、「制汗成分」と、「シリコーン油、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤」と、「疎水性粉体」とを含む。
【0025】
本明細書においては、上記「水、又は、水及びエタノール」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0026】
本明細書においては、上記「制汗成分」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0027】
本明細書においては、上記「シリコーン油、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0028】
本明細書においては、上記「疎水性粉体」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0029】
本発明のエアゾール化粧料では、成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(C)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)が、3.5以下である。
【0030】
本発明のエアゾール化粧料では、成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(D)の含有量)が、100.0以下である。
【0031】
本発明のエアゾール化粧料では、成分(C)の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)が、1.3以上である。
【0032】
本発明のエアゾール化粧料では、上記の構成が備えられているので、油中水型(W/O)のピッカリングエマルションの状態で充填物を存在させることができる。本発明のエアゾール化粧料では、上記の3つの質量比が特定の構成を備えるので、エアゾール容器内にて、原液を油中水型乳化組成物の状態で存在させることができる。そのため、エアゾール容器の内面は、油相(成分(C)及び噴射剤等)と接触し、水相(成分(A)及び成分(B)等)とは接触しにくい。したがって、本発明のエアゾール化粧料では、エアゾール容器が腐食するリスクを抑えることができる。
【0033】
また、本発明のエアゾール化粧料では、水相中に制汗成分(成分(B))を存在させることができる。これにより、短時間で高い制汗効果を発揮させることができる。
【0034】
さらに、本発明では、水相の乳化に、界面活性剤ではなく、成分(D)を用いているので、界面活性剤を用いた場合と比べて、べたつきを抑えることができ、また、さらさら感を高めることができる。また、油水界面へ吸着された粉体(成分(D))が強固な界面膜を形成するため、乳化粒子の凝集・合一が起こりにくく、界面活性剤を用いた場合と比べて経時安定性を高めることができる。さらに、原液と噴射剤とを混合した場合にも乳化状態が極めて壊れにくく、安定性を高めることができる。
【0035】
上記原液は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)とを少なくとも含む。上記原液は、成分(A)~(D)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0036】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0037】
なお、本明細書において、原液中に含まれる各成分の含有量とは、原液中に含まれる全ての該成分の含有量の合計を意味する。例えば、成分(B)の含有量とは、原液中の全ての成分(B)の含有量の合計を意味する。
【0038】
[原液]
(成分(A))
成分(A)は、水、又は、水及びエタノールである。成分(A)は、水であってもよく、水及びエタノールであってもよい。成分(A)は、水を少なくとも含む。成分(A)は、水のみを含んでいてもよく、水とエタノールとの双方を含んでいてもよい。なお、上記原液が水を含みかつエタノールを含まない場合には、成分(A)は水であり、上記原液が水及びエタノールを含む場合には、成分(A)は水及びエタノールである。上記水は、精製水であることが好ましい。
【0039】
上記原液100質量%中、成分(A)の含有量は、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、更に好ましくは20.0質量%以上、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下、更に好ましくは40.0質量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限以上あると、べたつきがより一層抑えられ、使用感をより一層高めることができる。成分(A)の含有量が上記上限以下であると、W/Oピッカリングエマルションをより一層良好に形成させることができる。
【0040】
成分(A)がエタノールを含む場合に、成分(A)100質量%中、エタノールの含有量は、好ましくは60.0質量%以下であり、より好ましくは50.0質量%以下である。
【0041】
(成分(B))
成分(B)は、制汗成分である。成分(B)として、従来公知の制汗成分を使用可能である。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
成分(B)としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム、アラントインクロロヒドロキシアルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム・プロピレングリコール錯体、クロロヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体、及びパラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0043】
制汗効果をより一層高める観点からは、成分(B)は、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム及び硫酸アルミニウムカリウムからなる群より選ばれる制汗成分を含むことが好ましく、クロルヒドロキシアルミニウムを含むことがより好ましい。
【0044】
本明細書においては、上記「クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム及び硫酸アルミニウムカリウムからなる群より選ばれる制汗成分」を「成分(B1)」と称する場合がある。
【0045】
したがって、成分(B)は、成分(B1)を含むことが好ましい。上記原液は、成分(B1)を含むことが好ましい。また、本発明では、上記原液が成分(B1)を含む場合でも、エアゾール容器が腐食するリスクを抑えることができる。
【0046】
上記原液100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、好ましくは35.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上であると、制汗効果を効果的に高めることができる。成分(B)の含有量が上記上限以下であると、塗布後の肌のつっぱり感を抑えることができる。
【0047】
上記原液100質量%中、成分(A)と成分(B)との合計の含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上、更に好ましくは40.0質量%以上、好ましくは75.0質量%以下、より好ましくは70.0質量%以下、更に好ましくは65.0質量%以下である。上記合計の含有量が上記下限以上であると、べたつきをより一層抑えることができる。上記合計の含有量が上記上限以下であると、W/Oピッカリングエマルションを良好に形成させることができ、また、W/Oピッカリングエマルションの安定性を高めることができる。
【0048】
成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(C)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)は、3.5以下である。上記質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)が3.5を超えると、水相の乳化に必要な油性成分が不足するため、水相を乳化させることは困難である。
【0049】
成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(C)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)は、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。上記質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)が上記下限以上であると、べたつきをより一層抑えることができる。上記質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(C)の含有量)が上記上限以下であると、W/Oピッカリングエマルションをより一層良好に形成させることができる。
【0050】
成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(D)の含有量)は、100.0以下である。上記質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(D)の含有量)が100.0を超えると、水相の乳化に必要な成分(D)が不足するため、水相を乳化させることは困難である。
【0051】
成分(A)と成分(B)との合計の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(D)の含有量)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは5.0以上、好ましくは50.0以下、より好ましくは20.0以下、更に好ましくは15.0以下である。上記質量比(成分(A)と成分(B)との合計の含有量/成分(D)の含有量)が上記上限以下であると、乳化粒子の粒子径を小さく抑えることができるため、振とう後の乳化粒子の沈降速度を抑え、エアゾール化粧料の使用性をより良好にすることができる。
【0052】
成分(A)と成分(B)との合計の含有量100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、好ましくは60.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上であると、制汗効果を効果的に高めることができる。成分(B)の含有量が上記上限以下であると、成分(B)を成分(A)に良好に溶解させることができ、W/Oピッカリングエマルションにおける水相を良好に形成させることができる。
【0053】
(成分(C))
成分(C)は、シリコーン油、炭化水素油及びエステル油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤(少なくとも1の油剤)である。上記「25℃で液状」とは、25℃で流動性がある性状を意味する。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0055】
上記炭化水素油としては、例えば、α-オレフィンオリゴマー、ワセリン、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、及びイソドデカン等が挙げられる。
【0056】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、及びヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0057】
乳化粒子の粒子径をある程度小さくし乳化粒子の沈降速度を遅くする観点、及び、べたつきを抑制し使用感を高める観点から、成分(C)は、シリコーン油及び炭化水素油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤を含むことが好ましく、シリコーン油及び炭化水素油からなる群より選ばれる25℃で液状の油剤であることがより好ましい。
【0058】
上記原液100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは25.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは70.0質量%以下、更に好ましくは60.0質量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限以上であると、W/Oピッカリングエマルションをより一層良好に形成させることができる。成分(C)の含有量が上記上限以下であると、べたつきをより一層抑えることができる。
【0059】
成分(C)の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)は、1.3以上である。上記質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)が1.3未満であると、成分(D)が油相に分散できずに、成分(D)が凝集しやすい。
【0060】
成分(C)の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下である。上記質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、W/Oピッカリングエマルションを良好に形成させることができ、また、W/Oピッカリングエマルションの安定性を高めることができる。
【0061】
(成分(D))
成分(D)は、疎水性粉体である。成分(D)を用いることにより、水相を乳化させることができる。成分(D)を用いることにより、べたつきを抑えることができ、また、さらさら感を高めることができる。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
成分(D)の水に対する接触角は120°以上である。すなわち、水に対する接触角が120°以上である粉体を、疎水性粉体(成分(D))とする。
【0063】
成分(D)の水に対する接触角は、好ましくは130°以上である。成分(D)の水に対する接触角は、160°以下であってもよく、150°以下であってもよい。
【0064】
水に対する接触角は、接触角計(例えば、共和界面化学社製「DM500」)を用いて測定される。
【0065】
成分(D)としては、シリコーン被覆粉体、及びシリコーン粉体等が挙げられる。上記シリコーン被覆粉体としては、シリコーン被覆シリカ、シリコーン被覆タルク、シリコーン被覆セリサイト、及びシリコーン被覆マイカ等が挙げられる。
【0066】
成分(D)は、シリコーン被覆粉体、及びシリコーン粉体からなる群より選ばれる疎水性粉体(少なくとも1の疎水性粉体)を含むことが好ましい。
【0067】
本明細書においては、上記「シリコーン被覆粉体、及びシリコーン粉体からなる群より選ばれる疎水性粉体」を「成分(D1)」と称する場合がある。
【0068】
したがって、成分(D)は、成分(D1)を含むことが好ましい。上記原液は、成分(D1)を含むことが好ましい。
【0069】
成分(D)の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、好ましくは15.0μm以下、より好ましくは10.0μm以下である。成分(D)の平均粒径が上記下限以上であると、さらさら感をより一層高めることができる。成分(D)の平均粒径が上記上限以下であると、乳化粒子がよりきめ細かくなり、W/Oピッカリングエマルションをより良好に形成させることができる。
【0070】
成分(D)の平均粒径(平均1次粒径)は、体積平均粒径である。上記平均粒径は、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能である。上記粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-920」等が挙げられる。
【0071】
上記原液100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは4.0質量%以上、好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。成分(D)の含有量が上記下限以上であると、W/Oピッカリングエマルションを良好に形成させ、かつさらさら感をより一層高めることができる。成分(D)の含有量が上記上限以下であると、白浮き(塗布・乾燥後に化粧料が析出して白く見える現象)を抑えながら良好なさらさら感を付与することができる。
【0072】
(他の成分)
上記原液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した成分(A)~(D)以外の他の成分を含んでいてもよい。上述した成分(A)~(D)以外の他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0073】
上記他の成分としては、例えば、殺菌剤、植物油、高級アルコール、高級脂肪酸、皮膜形成ポリマー、界面活性剤、保湿剤、消臭剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、清涼剤、抗炎症剤、植物エキス、親水性粉体、及び香料等が挙げられる。
【0074】
上記殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化リゾチウム、ヒノキチオール、及びサリチル酸等が挙げられる。
【0075】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、及びこれらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0076】
上記高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びオレイルアルコールなどの炭素数12~22の脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0077】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの炭素数12~22の脂肪酸等が挙げられる。
【0078】
上記清涼剤としては、メントール、カンフル、及びメンチルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0079】
上記原液は、界面活性剤を含まないか又は0.1質量%以下の含有量で含むことが好ましい。上記原液が界面活性剤を含む場合に、上記原液100質量%中、界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下である。上記原液は、界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
【0080】
上記原液は、従来公知の油中水型乳化化粧料組成物の製造方法により製造することができる。例えば、上記原液は、別途調製した油相成分に、必要に応じて加熱しながら疎水性粉体を添加して撹拌し、水相成分を撹拌乳化させることにより製造することができる。混合及び乳化には、ホモミキサー等が用いられる。
【0081】
[噴射剤]
上記噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソブタン、フルオロカーボン及び窒素ガス等が挙げられる。上記噴射剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0082】
原液と噴射剤との相溶性を高める観点及び吐出安定性を高める観点からは、上記噴射剤は、液化ガスを含むことが好ましく、液化石油ガスであることがより好ましい。
【0083】
本明細書においては、上記「液化ガス」を「成分(X)」と称する場合がある。
【0084】
したがって、上記噴射剤は、成分(X)を含むことが好ましく、成分(X)であることがより好ましい。
【0085】
上記噴射剤100質量%中、成分(X)の含有量は、好ましくは50.0質量%以上、より好ましくは60.0質量%以上、更に好ましくは80.0質量%以上、特に好ましくは90.0質量%以上、最も好ましくは100質量%(全量)である。成分(X)の含有量が上記下限以上であると、原液と噴射剤との相溶性をより一層高めることができ、また、吐出安定性をより一層高めることができる。
【0086】
[エアゾール化粧料]
本発明のエアゾール化粧料は、エアゾール容器と、上記原液と、上記噴射剤とを備える。上記エアゾール化粧料では、上記エアゾール容器内に、上記原液と上記噴射剤とが充填されている。上記原液は、上記エアゾール化粧料において、上記エアゾール容器内に充填されている充填物のうち、上記噴射剤を除く配合物である。
【0087】
上記原液は、油中水型乳化制汗剤組成物であることが好ましい。上記エアゾール化粧料は、エアゾール制汗剤であることが好ましい。
【0088】
上記エアゾール化粧料は、エアゾールスプレー化粧料であってもよく、エアゾールフォーム化粧料であってもよい。上記エアゾール化粧料では、上記原液を、エアゾール容器よりスプレー状(霧状)に吐出可能であってもよく、フォーム状(泡状)に吐出可能であってもよい。上記エアゾール容器は、ボタン型アクチュエーターを有していてもよく、フォーム用アクチュエーター有していてもよい。上記エアゾール化粧料は、エアゾールスプレー化粧料であることが好ましい。上記エアゾール化粧料では、上記原液を、エアゾール容器よりスプレー状(霧状)に吐出可能であることが好ましい。
【0089】
上記エアゾール容器の材質としては、金属等が挙げられ、該金属としては、アルミニウム等が挙げられる。本発明では、エアゾール容器の材質が金属である場合であっても、制汗成分及び制汗成分に由来する成分と金属とが接触しにくいため、エアゾール容器が腐食するリスクを抑えることができる。
【0090】
上記エアゾール化粧料は、従来公知の方法により作製することができる。上記エアゾール化粧料の作製方法としては、上記原液又は上記原液に含有される各配合成分をエアゾール容器内に充填して、エアゾール用バルブによりエアゾール容器をクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、ステムに適した噴射ボタンを装着する方法等が挙げられる。
【0091】
上記原液と上記噴射剤との合計100質量%中、上記原液の含有量は、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下である。上記原液の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、吐出性がより一層良好になる。また、上記原液の含有量が上記上限以下であると、べたつきをより一層効果的に抑えることができる。
【実施例
【0092】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0093】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0094】
(成分(A))
精製水
エタノール
【0095】
(成分(B))
クロルヒドロキシアルミニウム
パラフェノールスルホン酸亜鉛
【0096】
(成分(C))
メチルポリシロキサン
ミネラルオイル
イソドデカン
エチルヘキサン酸セチル
イソノナン酸イソノニル
パルミチン酸エチルヘキシル
トリオクタノイン
【0097】
(成分(D))
シリコーン被覆シリカ1(三好化成社製「SI-SB-300 LHC」)
シリコーン被覆シリカ2(三好化成社製「SA-SB-300」)
シリコーン被覆タルク(三好化成社製「SI-タルク JA-46R LHC」)
シリコーン被覆セリサイト(大東化成社製「SI01-2 SERICITE FSE」)
ポリメチルシルセスキオキサン(信越化学工業社製「KMP-591」)
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(信越化学工業社製「KSP-300」)
【0098】
上述した粉体(成分(D))の水に対する接触角は、いずれも120°以上であった。
【0099】
(成分(D)に相当しない粉体:親水性粉体)
シリカ(日揮触媒化成社製「シリカマイクロビートP-1500」)
タルク(松村産業社製「クラウンタルク 局方PP」)
【0100】
上述した粉体(成分(D)に相当しない粉体)の水に対する接触角は、いずれも120°未満であった。
【0101】
(その他)
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
【0102】
(噴射剤)
液化石油ガス(LPG)
ジメチルエーテル(DME)
HFO-1234ze
【0103】
(実施例1~37及び比較例1~7)
エアゾール化粧料(エアゾールスプレー化粧料)の作製:
下記の表1~6に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、下記の表1~6に示す組成を有する原液を調製した。得られた原液をエアゾールスプレー容器(容量95mL、アルミニウム製)に充填した。次いで、エアゾール用バルブをエアゾールスプレー容器にクリンチした後、下記の表1~6に示す噴射剤をステムより充填し、ステムに適したボタンを装着して、エアゾールスプレー化粧料を作製した。また、ボタン孔径は約0.5mmであった。表中の配合量(原液100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。なお、エアゾールスプレー容器内の原液と噴射剤との質量比は表に示したとおりであり、原液と噴射剤との合計量は40gである。
【0104】
(評価)
(試験例1:W/Oピッカリングエマルションの形成性)
透明耐圧瓶(容量100mL)に、原液と噴射剤との合計量が30gになるように原液及び噴射剤を充填した。なお、原液の組成、噴射剤の組成、原液と噴射剤との質量比は、エアゾール化粧料の組成及び質量比と同一(表に示す組成及び質量比)とした。乳化粒子の外観及び性状をマイクロスコープ(倍率120倍)にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0105】
<W/Oピッカリングエマルションの形成性の評価基準>
○(良好):W/Oピッカリングエマルションが形成されている
×(不良):W/Oピッカリングエマルションが形成されていない
【0106】
なお、試験例1の評価結果が×(不良)であったエアゾール化粧料については、以降の試験を行わなかった。
【0107】
(試験例2:エアゾールスプレー容器の内面の状態観察)
得られたエアゾールスプレー化粧料を、50℃の恒温槽に2週間保管した。保管後、エアゾールスプレー容器の内面の状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0108】
<エアゾールスプレー容器の内面の状態観察の評価基準>
○(良好):エアゾールスプレー容器の内面に、錆及びブリスタが観察されない
×(不良):エアゾールスプレー容器の内面に、錆又はブリスタが観察される
【0109】
なお、水80.0質量%とクロルヒドロキシアルミニウム20.0質量%とを含む混合液に、アルミニウム片を浸し、この状態で50℃の恒温槽に2週間保管した。保管後、アルミニウム片の表面を観察したところ、アルミニウム片の表面に腐食が観察された。
【0110】
(試験例3:沈降速度)
透明耐圧瓶(容量100mL)に、原液と噴射剤との合計量が30gになるように原液及び噴射剤を充填した。なお、原液の組成、噴射剤の組成、原液と噴射剤との質量比は、エアゾール化粧料の組成及び質量比と同一(表に示す組成及び質量比)とした。次いで、透明耐圧瓶を、25℃及び常圧の環境下で20cmの上下幅で5回振り、静置した。静置後、乳化粒子が透明耐圧瓶の底に沈降するまでの時間を計測し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0111】
<沈降速度の評価基準>
A:振とう後、乳化粒子が透明耐圧瓶の底に沈降するまでに要する時間が3秒以上
B:振とう後、乳化粒子が透明耐圧瓶の底に沈降するまでに要する時間が1秒以上、3秒未満
C:振とう後、乳化粒子が透明耐圧瓶の底に沈降するまでに要する時間が1秒未満
【0112】
なお、上記評価結果が「C」である実施例のエアゾールスプレー化粧料であっても、実用上使用可能である。
【0113】
(試験例4:使用感(べたつき感及びさらさら感))
得られたエアゾールスプレー化粧料を、常温常圧の環境下で20cmの上下幅で5回振り、その直後、肌上へ1秒間噴射した。使用感について、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価は専門パネル3名で行い、協議して評価結果を決定した。
【0114】
<使用感の評価基準>
A:べたつきが少なく、かつ、さらさら感がある
B:べたつきが少ないが、さらさら感がない
C:べたつきがあり、かつ、さらさら感がない
【0115】
なお、上記評価結果が「C」である実施例のエアゾールスプレー化粧料であっても、実用上使用可能な程度の使用感は有していた。
【0116】
組成及び結果を下記の表1~6に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
実施例12~15,21,22で観察されたW/Oピッカリングエマルションの粒子径は、それ以外の実施例で観察されたW/Oピッカリングエマルションの粒子径よりも大きかった。
【0124】
以下に、本発明のエアゾール化粧料の処方例を示す。
【0125】
(処方例1)デオドラント剤
<原液>
クロルヒドロキシアルミニウム 20.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
ジメチコン 40.0質量%
シリコーン被覆シリカ 6.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
<噴射剤>
LPG 100.0質量%
原液:噴射剤(質量比)=20:80
【0126】
(処方例2)デオドラント剤
<原液>
エタノール 10.0質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 20.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
ジメチコン 35.0質量%
シリコーン被覆シリカ 5.0質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
<噴射剤>
LPG 100.0質量%
原液:噴射剤(質量比)=30:70