(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】表面又は空中照明効果を生成するための照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20250114BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20250114BHJP
F21V 7/07 20060101ALI20250114BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20250114BHJP
F21V 7/06 20060101ALN20250114BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20250114BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20250114BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250114BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21S2/00 621
F21V7/00 590
F21V7/07 100
G02B17/08
F21V7/06 100
F21Y101:00 300
F21Y105:18
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019547633
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018054802
(87)【国際公開番号】W WO2018158246
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デスタイン パトリック レネ マリー
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】高橋 学
【審判官】澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/01787(WO,A1)
【文献】米国特許第6758582(US,B1)
【文献】特開2005-107465(JP,A)
【文献】特開2014-170175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/05- 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源出力を生成するための光源と、
前記光源出力をビーム制御プレーンに集束するための光学システムと、
前記ビーム制御プレーンの後に前記光源出力を事前整形するための第1のレンズシステムであって、光を第1のリフレクタに方向付けるように適合されている、第1のレンズシステムと、
前記第1のリフレクタと、
前記第1のリフレクタによって反射された光からコリメートされた出力ビームを生成するための第2のリフレクタと、
前記ビーム制御プレーンに位置するビーム制御システムであって、通過する光のピクセル変調を提供するためのピクセル化ディスプレイデバイスを含む、ビーム制御システムと、
を備える照明システムであって、
前記第1のリフレクタ及び前記第2のリフレクタは、前記第1のリフレクタは双曲面ミラーであり前記第2のリフレクタは放物面ミラーである、前記第1のリフレクタ及び前記第2のリフレクタは双曲面ミラーである、前記第1のリフレクタ及び前記第2のリフレクタは球面ミラーである、並びに、前記第1のリフレクタは平面ミラーであり前記第2のリフレクタは双曲面ミラーである、から成る群から選択され、
前記第1のレンズシステム、前記第1のリフレクタ及び前記第2のリフレクタは、カタディオプトリック光学システムとして機能するよう構成される、照明システム。
【請求項2】
前記ピクセル化ディスプレイデバイスは、液晶パネル又はMEM変形可能ミラーアレイを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のレンズシステムは、3つのレンズのレンズ群を備える、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光学システムは、楕円面リフレクタ又は放物面リフレクタを備え、該リフレクタのフォーカルプレーンに前記光源が取り付けられる、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源は、アークランプ
を備える、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学システムは、前記光源の出力にレンズシステムを備える、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記光源はLEDのアレイを備え、前記レンズシステムはマイクロレンズアレイを備える、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記光源は、LEDの環状アレイを備える、請求項
6又は
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明効果、とりわけ、スポットライトデザインに基づく照明効果を生成するための照明システムに関する。本発明は、例えば、表面上に又は空中効果(mid-air effect)として色、形状又は画像生成を提供するために舞台照明、アリーナ照明又はコンサート照明で用いるのに有意義である。
【背景技術】
【0002】
スポット照明は、基本的に、コリメートされた光出力ビームを提供することを目的とする。高密度で高度にコリメートされたビームを作成するために、出力ビームのダイバージェンスが小さいほど、必要とされる出力レンズは大きくなる。
【0003】
単純なスポット光照明のために、いくつかの既知のデザインは、鏡のフォーカルプレーンにアークランプを備えた単純な放物面ミラーを使用している。これらのデザインは、一般にサーチライトと呼ばれる。これらは、コンパクトな照明ソリューションを提供する。しかしながら、これらは、光出力効果の顕著な制御(significant control)を行えない。例えば、光源が集束される及び画像生成又は画像修正システムが配置され得る場所(すなわち、ゲート)がないため、画像(image)が表示されることはできない。同様に、放物面ミラーの前面に単一の(大きな)フィルタを設ける以外に、カラーフィルタリングを実装するオプションはない。
【0004】
ステージ照明及びコンサート照明等のための、より一般的にはスポット照明を使用して異なる演出照明効果を作成するための多くのアプリケーションにおいては、スポット照明システムによって生成される色、形状又は画像を制御できることが望ましい。これは、コリメートされた光出力ビームを形成する前に光源出力が集束されるフォーカルプレーンを設けることにより実現されることができる。その後、画像、色又は形状の修正が、当該フォーカルプレーンにおいて行われてもよい。
【0005】
この機能を実装するスポットライトシステムも知られている。
【0006】
屈折力レンズは、一般に、そのようなスポットライトアプリケーション内で最終ビーム形成要素(いわゆる「前側の群」のレンズ("front group" of lenses))として使用される。しかしながら、屈折レンズは色収差を引き起こす。これは、ビームのエッジがレインボー効果を持つことを意味する。この色収差を補正するために、追加のレンズが使用されてもよいが、これは、スポットライトデザインにコスト、重量及びサイズを上乗せする。例えば、1つのレンズに代えて少なくとも3つのレンズが通常必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、色、形状又は画像等の制御可能な光出力特性を備え、軽量且つ低コストで実装されることができ、屈折レンズの色収差に関連する問題を回避することができる照明システムの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特許請求の範囲により規定される。
【0009】
本発明の一態様による例によれば、
光源出力を生成するための光源と、
光源出力をビーム制御プレーンに集束するための光学システムと、
ビーム制御プレーンの後に光源出力を事前整形するための第1のレンズシステムと、
第1のリフレクタであって、第1のレンズシステムは、光を該第1のリフレクタに方向付けるように適合されている、第1のリフレクタと、
第1のリフレクタによって反射された光から出力ビームを生成するための第2のリフレクタと
を備える照明システムが提供される。
【0010】
このシステムは、ビーム制御プレーンに集束光を提供するため、適切な制御要素をビーム制御プレーンに設けることにより、出力ビームの色及び/又は形状の制御が実施され得る。1つ以上のレンズシステムと組み合わせた2つのリフレクタは、カタディオプトリック光学システムとして機能し、大きな屈折出力レンズの必要性を回避し、ゆえに色収差補正の必要性を回避する。さらに、同じ焦点距離の場合、ミラーの曲率半径は等価屈折平凸レンズの2倍であるため、システム全体を(光軸方向に)よりコンパクトにすることができる。リフレクタはまた、屈折率が同等のものよりも薄く、ゆえにより軽く形成されることができる。
【0011】
システムは、ビーム制御プレーンに位置するビーム制御システムを備えることが好ましい。ビーム制御システムは、色又は形状等の出力ビームの特性が制御されることを可能にし、ましてはピクセル化された画像の生成を可能にする。ビーム制御プレーンより先のシステムの光学部品は、システムのコリメートされた出力にビーム制御プレーンにおける画像を投影するための投影システムとして機能する。これは、任意の所望の光出力効果が生成されることを可能にする。
【0012】
ビーム制御システムは、ビーム出力色を選択するためのカラーフィルタ、又はビームの所望の外形を形成するための形状生成機能(shape generating feature)を備えてもよい。カラーフィルタは、例えば、ビーム制御プレーンに手動で挿入可能であってもよい。
【0013】
ビーム制御システムは、通過する光のピクセル変調(pixelated modulation)を提供するためのピクセル化ディスプレイデバイスを備えてもよい。このようにして、照明システムは、画像プロジェクタとして機能してもよい。ピクセル化ディスプレイデバイスは、例えば、光源がディスプレイのバックライトとして機能し、ディスプレイデバイスが電気的に制御可能な光変調を提供する、液晶パネル、MEM変形可能ミラーアレイ、又はその他の任意の小型の制御可能ディスプレイデバイスを備えてもよい。
【0014】
第1のレンズシステムは、3つのレンズのレンズ群を備えてもよい。このレンズ群は、光が第1のリフレクタの領域をカバーするようにビームの再整形を提供し、第1のリフレクタに起因するオブスキュレーションが、最小限に抑えられる。
【0015】
ある配列では、
図7aに示されるように、第1のリフレクタは双曲線ミラーを備え、第2のリフレクタは放物面ミラーを備える。これは、カセグレン式反射望遠鏡の構成となる。
【0016】
別の配列では、
図7bに示されるように、第1のリフレクタは双曲面ミラーを備え、第2のリフレクタは双曲面ミラーを備える。これは、リッチークレチアン式反射望遠鏡の構成となる。
【0017】
別の配列では、
図7cに示されるように、第1のリフレクタ及び第2のリフレクタは球面ミラーを備える。これは、シュヴァルツシルト式反射望遠鏡の構成となる。
【0018】
別の配列では、
図7dに示されるように、第1のリフレクタは平面ミラーであり、第2のリフレクタは双曲面ミラーを備える。これは、ニュートン式望遠鏡の構成となる。
【0019】
斯くして、リフレクタのペアには多くの異なる構成があることが明らかである。出力は、例えば6度未満のビームダイバージェンス(拡がり角(full angle))を持つ一般にコリメートされたビームである。
【0020】
リフレクタは、鏡面反射フロントコーティングを備えてもよい。しかしながら、例えばマンジンミラー構造が使用される場合、反射は裏面で行われてもよい。負レンズとリフレクタとを組み合わせたマクストフ反射ミラーが使用されてもよい。
【0021】
ある例のセットでは、第1の光学システムは、楕円面リフレクタ又は放物面リフレクタを備え、該リフレクタのフォーカルプレーンに光源が取り付けられる。光源は、例えば、アークランプ又はLED若しくはLED配列を備える。
【0022】
別の例のセットでは、第1の光学システムは、光源の出力にレンズシステムを備える。このようにして、後方リフレクタが回避され、よりコンパクトなシステムが提供される。例えば、光源はLEDのアレイを備え、レンズシステムはマイクロレンズアレイを備える。マイクロレンズアレイは、ビーム制御プレーンに所望のフォーカシングを提供するために各LED出力のビーム整形及びステアリングを提供する。
【0023】
光源は、LEDの環状アレイを備えてもよい。これは、効率的なシステムを提供する。光源の中央領域は第1のリフレクタによって隠される(obscured)ため、光源の中央部分を省略することによりシステムはより効率的になる。斯くして、環状LEDデザインの開口部は、第1のリフレクタから生じるオブスキュレーションとマッチし、ゆえに(生成されるすべての光が出力ビームに寄与する点で)ロスレスシステムを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、本発明の例を添付の図面を参照して詳細に述べる。
【
図1】
図1は、出力ビームの特性の制御を可能にする既知のスポットライトシステムを示す。
【
図2】
図2は、本発明による照明システムを概略的な形態で示す。
【
図3】
図3は、楕円面リフレクタの焦点におけるアーク放電ランプに基づく詳細な例を示す。
【
図6】
図6は、
図2の光学システムとして機能するマイクロレンズのアレイを有するLEDアレイを示す。
【
図7】
図7a~7dは、本発明による異なる第1及び第2のリフレクタ配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、光源出力がビーム制御プレーンに集束される照明システムを提供する。ここでは、ビーム制御プレーンで修正され得る特性を持つ、一般にコリメートされた出力ビームを生成するための二重リフレクタ出力システムがある。当該リフレクタ出力システムは、システムのサイズ及び重量を減らすだけでなく、色収差効果も減らす。
【0026】
図1は、出力ビームの特性の制御を可能にする既知のスポットライトシステムを示している。光源(図示せず)は、制御プレーン10に集束される出力を持つ。制御プレーンには、光出力ビームの特性を制御するために、テンプレート又はステンシルが置かれてもよい。このステンシルはゴボとして既知であり、制御プレーンは、ゴボプレーンと呼ばれることもある。ゴボは、所望の外形を有してもよく、及び/又は孔のパターンを含んでもよい。
【0027】
ビーム制御プレーンはゲートと呼ばれ、光源とさらに下流のオプティクスとの間のフォーカスポイント(point of focus)にある。
【0028】
ゴボは、シートメタル部品、反射及び/若しくはカラーフィルタリングパターンを備えるガラスシート、又はとりわけ低温LED照明のためのプラスチックシートとして形成されてもよい。
【0029】
ビーム制御プレーン10の下流の光学システムは、後側レンズ群12及び前側レンズ群14を備える。とりわけ複数のレンズが色収差補正を行うために用いられる場合、大きな前側レンズ群14によって生じる色収差、並びに前側レンズ群の重量及びサイズが問題である。大きな出力レンズは、所望のコリメートされたビームを作成するために前側レンズ群14に必要とされる。例として、最終出力レンズは、15cm~30cmの範囲の直径を有する場合がある。
【0030】
図2は、本発明による照明システム20を概略的な形態で示している。
【0031】
当該システムは、光源出力を生成するための光源22を備える。光学システム24は、光源出力をビーム制御プレーン26に集束する。これは、
図1を参照して述べたゴボプレーンである。
【0032】
第1のレンズシステム28は、ビーム制御プレーン26の後の光源出力の事前整形を提供する。これは、光ビームが第1のリフレクタ30の領域にマッピングされるように設計される。斯くして、これは、ビーム制御プレーン26における射出瞳を第1のリフレクタ30上に結像する。第2のリフレクタ32は、第1のリフレクタ30によって反射された光から出力ビーム34を生成する。
【0033】
出力ビームの色及び/又は形状の制御は、ビーム制御プレーンに適切な制御要素(例えばゴボ)を設けることによって実施されてもよい。
【0034】
図2は、ビーム制御システム27の3つの可能なデザインを示している。第1の例はカラーフィルタ27aであり、第2の例は整形されたステンシル27bであり、第3の例はピクセル化ディスプレイ27cである。
【0035】
2つのリフレクタは、大きな屈折出力レンズの必要性を回避し、ゆえに色収差補正の必要性を回避する。その結果、システム全体のサイズ及び重量が減少し得る。
【0036】
任意のタイプのビーム制御システム27が、ビーム制御プレーン26に位置付けられてもよい。既知のゴボは、とりわけビーム形状若しくはビーム色等の出力ビームの特性が制御されることを可能にし、又は出力画像の生成を可能にする。
【0037】
ビーム制御システムは静的(ステンシル若しくは他のテンプレート、又はカラーフィルタ等)であってもよいが、動的に制御可能であってもよい。この目的のために、ビーム制御システムは、動的に制御可能な画像を作成するために光源からの光を変調するための電子的に制御可能なディスプレイシステム27cを備えてもよい。この目的のために、液晶パネル、又は変形可能ミラーアレイ若しくはMEMシャッターアレイ等の微小電気機械システム(MEMs)デバイス等、さまざまなディスプレイ技術が使用されてもよい。光源はバックライトとして機能し、ディスプレイシステムはピクセル光変調(pixelated light modulation)を提供する。
【0038】
ビーム制御プレーン26より先のシステムの光学部品は、システムのコリメートされた出力にビーム制御プレーンにおける画像を投影するための投影システムとして機能する。
【0039】
システムのさまざまなコンポーネントの実装にはさまざまなオプションがあり、そのいくつかが以下で述べられる。しかしながら、一つの詳細な例を最初に示す。
【0040】
図3は、(
図2の光学システム24として機能する)楕円面リフレクタ42の焦点におけるアーク放電ランプ40に基づく例を示している。アークランプは、例えば、1500Wのランプである。システムの出力の直径は、340mmである。
【0041】
この特定の例では、リフレクタ42は、以下の表1に示されるパラメータを有する。
【0042】
【0043】
この例では、ビーム制御プレーン26(ゴボプレーン)は、アークランプから148mmにある。
【0044】
第1のレンズシステム28は、3つのレンズのレンズ群を備える。
【0045】
図4は、レンズをより詳細に示している。レンズ群は、ビーム制御プレーン26から順にレンズL1、L2及びL3を有し、L4として示される平面出力カバー(窓(Window))がある。
【0046】
例えば、
図3及び
図4のデザインは、以下の光学特性を実現する(一次近似)。
【0047】
焦点距離(Focal length):295mm
f値(f number):f/1
オブスキュレーション比(Obscuration ratio):0.24
視野(Field of view):31.6mm(ビーム制御プレーンのサイズ)
ビームダイバージェンス(Beam divergence):<6度
【0048】
焦点距離は、第1のレンズL1から第1のリフレクタM1までの光学システムを指す。
【0049】
光学システムのf値は、焦点距離を出力ビームの径(第2のリフレクタM2の径ではない)で割った比として定義される。
【0050】
オブスキュレーション比は、大きなミラー径(mirror diameter)と小さなミラー径の線形比(linear ratio)である。面積比(area ration)は、その値の2乗である。
【0051】
以下の表2は、
図4に示されるコンポーネントのパラメータを示している。
【0052】
【0053】
各レンズ(Lens)の厚さ(Thickness)の2つの値は、レンズの厚さ、及びレンズシステムにおける次のコンポーネントへのエアギャップを表す。曲率は、各レンズL1~L3の入射面及び出射面に対して与えられ、正の半径(Radius)は、ビーム制御プレーン26から見た凸面、すなわち、ビーム制御プレーン26に向かって曲がる表面を表す。Infinityは無限大を意味する。
IMAは、イメージプレーン(image plane)を指し、OBJは、オブジェクトプレーン(object plane)を指す。絞り(Stop)は、入射瞳の像と一致する物理的開口(ハードアパーチャ)である。図示のデザインでは、絞りは、オブスキュレーションを最小限にするためにリフレクタM1にあるが、これは必須ではない。
【0054】
CAOは、クリアアパーチャ出力(clear aperture output)であり、通常、仕上げ、曲率半径、コーティング等の光学要件が満たされるレンズの直径である。これは、遮るもののない開口(unobstructed aperture)としても知られる。通常、クリアアパーチャ出力は、メカニカルアパーチャ(直径(Diameter))よりも数ミリメートル小さい。
【0055】
円錐係数値(conic)は、曲率の非球面形状を定義する(conic=0は球面に相当し、conic=-1は放物面であり、0<conic<-1は楕円面であり、conic<-1は双曲面である)。
【0056】
このシステムは、光軸に近い光が第1のリフレクタM1から跳ね返り、ゴボプレーンに戻るのを防ぐことにより、迷光及び後方反射を最小限に抑えるようデザインされている。斯かる使用不能光(unusable light)の反射を最小限に抑える方法は、反射コーティングを施さないことにより、ミラーを通過できるようにすることである。その後、光は、ヒートシンクとして機能するミラーサポート(例えば、スパイダーウェブアームを備えるメカニカルマウント)によってブロックされる。18mmのオブスキュレーション(Obscuration)(ARコート又は未コート(AR coated or uncoated))は、光を通過させる孔(hole)の直径である。
【0057】
この配列では、第1のリフレクタM1は双曲面ミラーを備え、第2のリフレクタM2は放物面ミラーを備える。これは、カセグレン式反射望遠鏡の構成となる。
【0058】
【0059】
前窓は、保護目的のために必要である。前窓は、レンズとして整形されることもでき、又は(空中又はイメージプレーンに)エフェクトを生成する任意のタイプのものでもあり得る。
【0060】
リフレクタペアには多くのさまざまな構成が可能である。
【0061】
例えば、第1のリフレクタは双曲面ミラーを備えてもよく、第2のリフレクタは双曲面ミラーを備えてもよい。これは、リッチークレチアン式反射望遠鏡の構成となる。
【0062】
第1のリフレクタ及び第2のリフレクタは、シュヴァルツシルト式反射望遠鏡の構成となるように球面ミラーを備えてもよく、又は第1のリフレクタは、ニュートン式望遠鏡の構成となるように平面ミラーであってもよい。ビームダイバージェンス(拡がり角(full angle))は、6度未満であることが好ましい。
【0063】
2つのリフレクタは、反射が前面から逸れるように、コーティングされたプラスチック又は金属基板を備えてもよい。しかしながら、マンジンミラー構造が使用されてもよい。マクストフ反射ミラー等、他のリフレクタデザインが使用されてもよい。
【0064】
楕円面リフレクタに代えて、放物面リフレクタが使用されてもよい。
【0065】
上記の例は、大きな(直径340mm)システムに関する。しかしながら、本発明のデザインは、より大きいデザイン及びより小さいデザインにスケーリングされることができる。
【0066】
上記の例は、アーク放電ランプに基づいている。しかしながら、システムは、LED光源、例えばLEDのアレイを使用してもよい。これは、システム改善のためのさらなるオプションを与える。
【0067】
第1に、LED光源は、前向きのオプティクスを使用することにより、後方リフレクタ(楕円面又は放物面リフレクタ)の使用が回避されることを可能にする。
【0068】
図6は、
図2の光学システム24として機能するマイクロレンズ62のアレイを有するLEDアレイ60を示している。各マイクロレンズは、ローカルコリメータ及びビームステアリングシステムとして機能する。一緒に、これらはフライアイレンズ配列を形成する。また、さらなる共用集光レンズ(図示せず)が、マイクロレンズアレイ上に設けられてもよい。
【0069】
LEDアレイを使用する1つの特定の利点は、光出力領域の形状が選択され得ることである。
図6は、環状の形状を示している。光源出力の中央部は、いずれにせよ、さらに光学的に下流の第1のリフレクタ30によって隠される(obscured)。斯くして、この領域からの光源出力を省略することにより、光効率が改善され、ゆえに、高輝度システムが、LED光源配列に基づいたものとなり得る。この場合、環状LEDアレイの開口部は、第1のリフレクタから生じるオブスキュレーションとマッチする。
【0070】
上記で説明したように、本発明は、表面照明効果が望まれる照明システムにとってとりわけ有意義である。しかしながら、本発明は、そのような表面効果が使用されることなく、例えば、ヘリコプターのサーチライト等の空中監視アプリケーションにも適用可能である。軽量、高効率及びコンパクトなサイズの利点は、画像生成又は色制御が必要とされない場合がある、このアプリケーション及びその他のアプリケーションでもすべて有益である。
【0071】
開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、クレームされた発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。