(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセンス材料及びデバイス
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20250114BHJP
C07F 5/02 20060101ALI20250114BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20250114BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20250114BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C07F15/00 F
C07F5/02 D
C09K11/06 660
H05B33/14 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020097393
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エー・マコール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】シャオ-ファン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ゲザ・シゲシー
(72)【発明者】
【氏名】ダイアナ・ドレナン
(72)【発明者】
【氏名】ネイル・パルマ-
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ-チュン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-ルク・ティー・ブードロー
(72)【発明者】
【氏名】チーチャン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ウヨン・ソ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-500674(JP,A)
【文献】英国特許第02515491(GB,B)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233424(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351812(US,A1)
【文献】特開2014-197607(JP,A)
【文献】国際公開第2014/153648(WO,A1)
【文献】特開2011-119576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0214818(US,A1)
【文献】特表2009-544167(JP,A)
【文献】特開2013-056880(JP,A)
【文献】REGISTRY(STN)[Online],2014年06月13日,pp.1-2,[検索日:2023.10.13]CAS登録No.1610622-41-7,1311953-28-2,1003566-69-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式M(L
A)x(L
B)y(L
C)zで表され、
式中、L
B及びL
Cは、それぞれ二座配位子であり;Mが、Ir又はPtであり;
xは、1、2、又は3であり;yは、0、1、又は2であり;zは、0、1、又は2であり;及びx+y+zは、金属Mの酸化状態であり、
L
Aが下記の式Iの配位子であり、;
【化1】
(式中、
環Aは、Z
1及びZ
3がNであるイミダゾール環であり;
環Bは、ベンゼン環であり;
Z
2、Z
4、Z
5は、Cであり;
Xは、BR
1であり;
Yは、NR
3であり;
R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;
R
A及びR
Bのそれぞれは、独立して、水素である、又は重水素、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり、任意の2つのR
Aは、互いに結合又は縮合して環を形成することができ;
R
1が下記式IIで表され:
【化2】
(式中、環Cは、5員又は6員の炭素環又は5員又は6員のヘテロ環であり;
Z
6、Z
7、及びZ
8は、それぞれ独立して、C又はNであり;
R
Xは、R
A又はR
Bと同一の定義を有し;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択され;
R
5及びR
6の少なくとも一方は、水素ではない。);
R
3は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
R
1とR
3、R
1と任意のR
A、R
3と任意のR
Bは互いに結合又は縮合して環を形成せず、任意の2つのR
Bは互いに結合又は縮合して環を形成せず、
前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;
前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。)
L
B及びL
Cが、それぞれ独立して下記からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【化3】
【化4】
(式中、
Y
1~Y
13のそれぞれは、独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Y’は、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
fからなる群から選択され;式中、R
e及びR
fは、縮合又は結合して、環を形成することができ;
R
a、R
b、R
c、及びR
dのそれぞれは、独立して、ゼロ、モノ、又はその関連する環で許容される最大の置換数までを表し;
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fのそれぞれは、独立して、水素である、又は重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ボリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、
カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基からなる群から選択され;
R
a、R
b、R
c、及びR
dの任意の2つ隣接する置換基は、縮合又は結合して、環を形成することができる又は多座配位子を形成することができる。)
【請求項2】
前記配位子L
Aが、以下のLAリスト1の構造からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
LAリスト1;
【化5】
(式中、R
Ai、R
Ak、R
Ao、R
Ap、は、以下のRAリスト1で定義される構造を有する。)
RAリスト1;
【化6】
【化7】
(式中、L
Qsは、以下のLQリスト1で定義される構造を有する。)
LQリスト1;
【化8】
【請求項3】
前記化合物が、以下の化合物からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項4】
式M(L
A)x(L
B)yで表され、
Mは、Ptであり;
x、yは1であり;
任意のR
Bが、前記配位子L
Bと結合して、四座配位子を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
有機発光デバイス(OLED)であって、
アノードと、
カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含む有機発光デバイス(OLED)であって、前記有機層が、請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする有機発光デバイス(OLED)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2019年6月10日出願の米国仮出願第62/859,433号に対する優先権を主張し、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用する。本願は、また、2018年12月12日出願の米国特許出願第16/217,467号の一部継続出願であり、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、一般に、有機金属化合物及び組成物、並びに有機発光ダイオード及び関連する電子デバイスなどのデバイスにおける発光体を含むそれらの各種使用に関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、各種理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一の発光層(EML)デバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、本開示は、下記式Iの配位子L
Aを含む化合物を提供する。
【化1】
式中、環A及び環Bは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;Z
1~Z
5は、それぞれ独立して、C又はNであり;Xは、BR
1、BR
1R
2、AlR
1、AlR
1R
2、GaR
1、GaR
1R
2、InR
1、InR
1R
2、CO、SO
2、又はPOR
1であり;Yは、NR
3、NR
3R
4、PR
3、O、S、SO、SO
2、CR
3R
4、SiR
3R
4、PR
3R
4、又はGeR
3R
4であり;R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;R
A、R
B、R
1、R
2、R
3、及びR
4のぞれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して環を形成することができ、前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。
【0007】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される式Iの配位子LAを含む化合物の組成物を提供する。
【0008】
更に別の態様において、本開示は、本明細書に記載される式Iの配位子LAを含む化合物を含む有機層を有するOLEDを提供する。
【0009】
更に別の態様において、本開示は、本明細書に記載される式Iの配位子LAを含む化合物を含む有機層を有するOLEDを含む消費者製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【0011】
【
図2】
図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.用語
特段の断りがない限り、本明細書に使用される下記用語は、以下のように定義される。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び低分子有機材料を含む。「低分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「低分子」は実際にはかなり大型であってよい。低分子は、幾つかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「低分子」クラスから分子を排除しない。低分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。低分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性低分子発光体であってよい。デンドリマーは「低分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーは全て低分子であると考えられている。
【0014】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第1の層が第2の層「の上に配置されている」と記述される場合、第1の層のほうが基板から遠くに配置されている。第1の層が第2の層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第1の層と第2の層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0015】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送されることができ、且つ/又は該媒質から堆積されることができるという意味である。
【0016】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0017】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第2のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0018】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第1の仕事関数は第2の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0019】
「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハライド」という用語は、相互交換可能に使用され、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0020】
「アシル」という用語は、置換されたカルボニル基(C(O)-Rs)を指す。
【0021】
「エステル」という用語は、置換されたオキシカルボニル(-O-C(O)-Rs又は-C(O)-O-Rs)基を指す。
【0022】
「エーテル」という用語は、-ORs基を指す。
【0023】
「スルファニル」又は「チオエーテル」という用語は、相互交換可能に使用され、-SRs基を指す。
【0024】
「スルフィニル」という用語は、-S(O)-Rs基を指す。
【0025】
「スルホニル」という用語は、-SO2-Rs基を指す。
【0026】
「ホスフィノ」という用語は、-P(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
「シリル」という用語は、-Si(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
「ボリル」という用語は、-B(Rs)2基、又はそのルイス(Lewis)付加物-B(Rs)3基を指し、Rsは同一であっても異なっていてもよい。
【0029】
上記のそれぞれにおいて、Rsは、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。好ましいRsは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0030】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基の両方を指し、含む。好ましいアルキル基としては、1個から15個までの炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、及び2,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。更に、前記アルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0031】
「シクロアルキル」という用語は、単環式、多環式、及びスピロアルキル基を指し、含む。好ましいシクロアルキル基は、3~12個の環炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、アダマンチルなどが挙げられる。更に、前記シクロアルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0032】
「ヘテロアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。更に、前記ヘテロアルキル基又は前記ヘテロシクロアルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0033】
「アルケニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖のアルケン基の両方を指し、含む。アルケニル基は、本質的に、アルキル鎖中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基である。シクロアルケニル基は、本質的に、シクロアルキル環中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキル基である。本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルケニル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。好ましいアルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルケニル、前記シクロアルケニル、又は前記ヘテロアルケニル基は、任意に置換されていてもよい。
【0034】
「アルキニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖アルキン基の両方を指し、含む。アルキニル基は、本質的に、アルキル鎖に少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含むアルキル基である。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルキニル基は、任意に置換されていてもよい。
【0035】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、相互交換可能に使用され、アリール基で置換されたアルキル基を指す。更に、前記アラルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0036】
「複素環式基(ヘテロ環基;heterocyclic group)」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族及び非芳香族の環式基を指し、含む。任意に、前記少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。ヘテロ芳香族環式基は、ヘテロアリールと相互交換可能に使用され得る。好ましいヘテロ非芳香族環式基は、3~7個の環原子を含むものであって、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環式アミン、及び例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェンなどの環式エーテル/チオエーテルを含む。更に、前記複素環式基は、任意に置換されていてもよい。
【0037】
「アリール」という用語は、単環式芳香族ヒドロカルビル基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)に2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族ヒドロカルビル基であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。好ましいアリール基は、6~30個の炭素原子を含むものであり、6~20個の炭素原子を含むものが好ましく、6~12個の炭素原子を含むものが更に好ましい。6個の炭素を有するアリール基、10個の炭素を有するアリール基、又は12個の炭素を有するアリール基が特に好ましい。好適なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナンスレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等が挙げられ、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、フルオレン、及びナフタレンが好ましい。更に、前記アリール基は、任意に置換されていてもよい。
【0038】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環式芳香族基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、B、Si、及びSeが挙げられるが、これらに限定されない。多くの例においては、O、S、又はNが好ましいヘテロ原子である。ヘテロ単環式芳香族系は、好ましくは5個又は6個の環原子を有する単環であり、前記環は1~6個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロ多環式環系は、2つの原子が2つの隣接する環(前記環は「縮合している」)に共通している2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つはヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。複素多環式芳香族環系は、多環式芳香族環系の環当たり1~6個のヘテロ原子を有することができる。好ましいヘテロアリール基は、3~30個の炭素原子を含むものであり、3~20個の炭素原子を含むものが好ましく、3~12個の炭素原子を含むものがより好ましい。好適なヘテロアリール基としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジンが挙げられ、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボリン、1,3-アザボリン、1,4-アザボリン、ボラジン、及びこれらのアザ類似体が好ましい。更に、前記ヘテロアリール基は、任意に置換されていてもよい。
【0039】
上記にリストされる前記アリール及び前記ヘテロアリール基のうち、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、及びベンズイミダゾールの基、並びにそのそれぞれのアザ類似体が、特に興味深い。
【0040】
本明細書において使用される用語であるアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環基、アリール、及びヘテロアリールは、独立して非置換である、又は独立して1つ以上の一般的な置換基で置換される。
【0041】
多くの例において、前記一般的な置換基は、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、ボリル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0042】
幾つかの例において、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、ボリル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0043】
幾つかの例においては、より好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ボリル、アリール、ヘテロアリール、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0044】
更に他の例においては、最も好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0045】
「置換された」及び「置換」という用語は、関連する位置(例えば炭素又は窒素)に結合されているH以外の置換基を指す。例えば、R1がモノ置換を表す場合、1つのR1はH以外でなければならない(即ち、置換)。同様に、R1がジ置換を表す場合、R1の2つはH以外でなければならない。同様に、R1がゼロ又は無置換を表す場合、R1は、例えば、ベンゼンにおける炭素原子及びピロール中の窒素原子の場合のように、環原子の利用可能な原子価における水素であることができる、又は完全に満たされた原子価を有する環原子(例えば、ピリジン中の窒素)の場合には単に何も表さない。環構造において可能な置換の最大数は、環原子における利用可能な原子価の総数に依存する。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「これらの組合せ」は、適用されるリストから当業者が想到することができる、知られた又は化学的に安定な配置を形成するために、適用されるリストの1つ以上のメンバーが組み合わされることを示す。例えば、アルキル及び重水素は、組み合わされて、部分的又は完全に重水素化されたアルキル基を形成することができる;ハロゲン及びアルキルは、組み合わされて、ハロゲン化アルキル置換基を形成することができる;ハロゲン、アルキル、及びアリールは、組み合わされて、ハロゲン化アリールアルキルを形成することができる。1つの例においては、置換という用語は、リストされた基の2~4個の組合せを含む。別の例においては、置換という用語は、2~3個の基の組合せを含む。更に別の例では、置換という用語は、2個の基の組合せを含む。置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素でない50個までの原子を含むもの、又は水素又は重水素ではない40個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない30個までの原子を含むものである。多くの例においては、置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素ではない20個までの原子を含む。
【0047】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各芳香族環中のC-H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素類似体を容易に想像することができ、このような類似体全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「重水素」は、水素の同位体を指す。重水素化化合物は、当該分野で公知の方法を用いて容易に調製されることができる。例えば、それらの内容の全体を参照によって援用する、米国特許第8,557,400号明細書、国際公開第WO2006/095951号、及び米国特許出願公開第2011/0037057号には、重水素で置換された有機金属錯体の作製が記載されている。更なる参照は、それらの内容の全体を参照によって組み込まれる、Tetrahedron 2015,71,1425~30(Ming Yanら)及びAngew.Chem.Int.Ed.(Reviews)2007,46,7744~65(Atzrodtら)によって為され、ベンジルアミン中のメチレン水素の重水素化及び芳香族環水素を重水素で置換する効率的な経路が、それぞれ記載されている。
【0049】
分子フラグメントが置換基であるとして記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0050】
ある例においては、対の隣接する置換基は、任意に結合又は縮合し、環を形成することができる。好ましい環は、5員環、6員環、又は7員環の炭素環又は複素環であり、対の置換基によって形成される環の部分が飽和されている例及び対の置換基によって形成される環の部分が不飽和である例の両方を含む。本明細書中で使用される「隣接する」は、安定した縮合環系を形成することができる限り、関連する2つの置換基が、互いに隣り合って同じ環上にあることができる、又はビフェニルにおける2位と2’位、及びナフタレンにおける1位と8位など、2つの最も近い利用可能な置換可能位置を有する2つの隣どうしの環上にあることができることを意味する。
B.本開示の化合物
【0051】
一態様において、本開示は、下記式Iの配位子L
Aを含む化合物を提供する。
【化2】
式中、環A及び環Bは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
Z
1~Z
5は、それぞれ独立して、C又はNであり;
Xは、BR
1、BR
1R
2、AlR
1、AlR
1R
2、GaR
1、GaR
1R
2、InR
1、InR
1R
2、CO、SO
2、又はPOR
1であり;
Yは、NR
3、NR
3R
4、PR
3、O、S、SO、SO
2、CR
3R
4、SiR
3R
4、PR
3R
4、又はGeR
3R
4であり;
R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;
R
A、R
B、R
1、R
2、R
3、及びR
4のぞれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して環を形成することができ、
前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;
前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。
【0052】
幾つかの実施形態においては、RA及びRBのそれぞれが、独立して、水素である、又は重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ボリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。
【0053】
幾つかの実施形態においては、Mは、Os、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、及びAuからなる群から選択することができる。幾つかの実施形態においては、Mは、Os、Ir、Pd、及びPtからなる群から選択されることができる。幾つかの実施形態においては、Mは、Irであることができる。幾つかの実施形態においては、Mは、Ptであることができる。
【0054】
幾つかの実施形態においては、前記配位子L
Aは、下記式IAを有することができる。
【化3】
式中
Z
1~Z
4の少なくとも2つが、Cであり;
XがBR
1であり且つYがNR
3若しくはOであり、又はXがBR
1R
2であり且つYがNR
3R
4であり;
R
1、R
2、R
3、及びR
4のそれぞれは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シリル、ボリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
残りの可変部は、式Iにおいて以前に定義したものと同一であり、
前記配位子L
Aaは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができ;
XがBR
1であり且つYがNR
3であるとき、BR
1のR
1が、NR
3のR
3と環を形成しない以外は、2つの置換基は結合して環を形成することができる。
【0055】
式IAに関して、幾つかの実施形態においては、R
A及びR
Bのそれぞれは、独立して、水素であることができる、又は又は本明細書に定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であることができる。幾つかの実施形態においては、XがBR
1であることができ、YがNR
3であってもよい。幾つかの実施形態においては、R
1及びR
3のそれぞれは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。幾つかの実施形態においては、XがBR
1であることができ、R
1は、下記式IIを有することができる。
【化4】
式中、環Cは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;Z
6、Z
7、及びZ
8は、それぞれ独立して、C又はNであり;R
Xは、式IにおけるR
A又はR
Bと同一の定義を有し;R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択され;R
5及びR
6の少なくとも一方は、水素ではない。前記実施形態の幾つかにおいては、環Cは、ベンゼン環であることができる。前記実施形態の幾つかにおいては、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、メチル、CD
3、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、及び置換又は無置換のフェニルからなる群から選択することができる。
【0056】
式IAに関し、幾つかの実施形態においては、Yは、NR3であることができ、R3は、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。幾つかの実施形態においては、環Aは、5員ヘテロ環であることができる。幾つかの実施形態においては、環Bは、6員の炭素環、又はヘテロ環であることができる。幾つかの実施形態においては、Z1及びZ3は、Nであることができ、Z2及びZ4は、Cであることができる。幾つかの実施形態においては、Xは、BR1であることができ、Yは、NR3であることができ、Z3は、Nであることができ、環Aは、5員環であることができる。
【0057】
幾つかの実施形態においては、配位子L
Aは、下記からなる群から選択することができる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
式中、R
Z及びR
Cは、式IにおけるR
Aと同一の定義を有し;R
7~R
17は、式IAにおけるR
1と同一の定義を有する。
【0058】
前記化合物の幾つかの実施形態においては、配位子L
Aは、以下のLAリスト1の構造からなる群から選択することができる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
式中R
Ai、R
Aj、R
Ak、R
Al、R
Am、R
An、R
Ao、R
Ap、R
Aq、R
Ar、R
Ax、R
Ay、及びR
Azは、以下のRAリスト1で定義される構造を有する。
【化22】
【化23】
【化24】
L
Qs、L
Qt、L
Qu、L
Qv、及びL
Qwは、以下のLQリスト1で定義される構造を有する。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【0059】
化合物の幾つかの実施形態においては、配位子L
Aは、下記の式IB
【化36】
を有することができ、
式中、
X
1、X
2、及びX
3は、それぞれ独立して、C又はNであり、それらの少なくとも2つは、Cであり;
Z
1及びZ
5の一方はCであり、他方はNであり;
残りの可変部は、式Iにおいて以前に定義したのと同一である。
【0060】
式IBに関して、幾つかの実施形態においては、RA及びRBのそれぞれが、独立して、水素である、又は本明細書中に定義される好ましい一般的な置換基からなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、Xは、BR1R2であることができる。幾つかの実施形態においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はそれらの組合せであることができる。幾つかの実施形態においては、R1及びR2は、それぞれ独立してFであることができる。幾つかの実施形態においては、Yは、NR3又はOであることができる。幾つかの実施形態においては、R3は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はそれらの組合せであることができる。幾つかの実施形態においては、X1、X2、及びX3は、それぞれ独立してCであることができる。幾つかの実施形態においては、Z1はNであることができ、Z5はCであることができる。幾つかの実施形態においては、環Bは、6員芳香環であることができる。幾つかの実施形態においては、環Bは、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、又はトリアジンであることができる。幾つかの実施形態においては、環Bは、ベンゼンであることができる。幾つかの実施形態においては、2つの隣接するRA置換基は、結合して縮合環を形成することができる。幾つかの実施形態においては、2つの隣接するRB置換基は、結合して縮合環を形成することができる。幾つかの実施形態においては、縮合環は、6員芳香環であることができる。幾つかの実施形態においては、縮合環は、ベンゼン又はピリジンであることができる。
【0061】
式IBを有する配位子L
Aの幾つかの実施形態においては、配位子L
Aは、下記からなる群から選択することができる。
【化37】
【化38】
式中、Y
1は、O、S、NR
3、PR
3、CR
3R
4、又はSiR
3R
4であり;残りの可変部は、以前に定義したのと同一である。
【0062】
式IBを有する配位子L
Aの幾つかの実施形態においては、配位子L
Aは、以下のLAリスト2に定義される構造からなる群から選択することができる。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
式中、R
Ai、R
Aj、及びR
Akは、以下に定義される構造を有する。
【化44】
【0063】
前記実施形態の幾つかにおいては、化合物は、式M(LA)x(LB)y(LC)zを有することができ、式中、LAは、式I、式IA、又は式IBを有すると記載される配位子であり;LB及びLCは、それぞれ二座配位子であり;xは、1、2、又は3であり;yは、0、1、又は2であり;zは、0、1、又は2であり;及びx+y+zは、金属Mの酸化状態である。
【0064】
前記実施形態の幾つかにおいては、化合物は、Ir(LA)3、Ir(LA)(LB)2、Ir(LA)2(LB)、Ir(LA)2(LC)、及びIr(LA)(LB)(LC)からなる群から選択される式を有することができ;式中、LA、LB、及びLCは、互いに異なる。
【0065】
前記実施形態の幾つかにおいては、化合物は、式Pt(LA)(LB)を有することができ;式中、LA及びLBは、同一であっても異なっていてもよい。これらの実施形態の幾つかにおいては、LA及びLBは、結合して四座配位子を形成することができる。
【0066】
前記実施形態の幾つかにおいては、L
B及びL
Cは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択することができる。
【化45】
【化46】
式中、
Y
1~Y
13のそれぞれは、独立して、C及びNからなる群から選択され;
Y’は、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
fからなる群から選択され:式中、R
e及びR
fは、縮合又は結合して、環を形成することができ;
R
a、R
b、R
c、及びR
dのそれぞれは、独立して、ゼロ、モノ、又はその関連する環で許容される最大の置換数までを表し;
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fのそれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書中に記載される一般的な置換基からなる群から選択され;
R
a、R
b、R
c、及びR
dの任意の2つ隣接する置換基は、縮合又は結合して、環を形成することができる又は多座配位子を形成することができる。
【0067】
前記実施形態の幾つかにおいては、L
B及びL
Cは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択することができる。
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
式中、
R
a’、R
b’、及びR
c’は、それぞれ独立して、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;
R
a、R
b、R
c、R
N、R
a’、R
b’、及びR
c’のそれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に記載される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;
R
a’、R
b’、及びR
c’の2つの隣接する置換基は、縮合又は結合して、環を形成することができる又は多座配位子を形成することができる。
【0068】
幾つかの実施形態においては、化合物は、式Ir(LA)3、式Ir(LA)(LB)2、式Ir(LA)2(LC)、又は式Ir(LA)(LB)(LC)を有することができ、式中、LAは、式I、式IA、又は式IBを有し、LBは、本明細書に記載される第1のLBリスト群から選択され、LCは、本明細書に記載される第1のLCリスト群から選択される。
【0069】
幾つかの実施形態においては、化合物は、式Ir(LA)3、式Ir(LA)(LB)2、式Ir(LA)2(LC)、又は式Ir(LA)(LB)(LC)を有することができ、式中、LAは、式IAを有する配位子であり、LBは、本明細書に記載される第1のLBリスト群から選択され、LCは、本明細書に記載される第1のLCリスト群から選択される。
【0070】
幾つかの実施形態においては、化合物は、式Ir(LA)3、式Ir(LA)(LB)2、式Ir(LA)2(LC)、又は式Ir(LA)(LB)(LC)を有することができ、式中、LAは、式IBを有する配位子であり、LBは、本明細書に記載される第1のLBリスト群から選択され、LCは、本明細書に記載される第1のLCリスト群から選択される。
【0071】
化合物が式M(L
A)
x(L
B)
y(L
C)
zを有する前記実施形態の幾つかにおいては、L
Aは、上で定義した実施形態のいずれかであることができ、L
Bは、下記からなるLBリスト1群から選択することができる。
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
式中、L
Cは、下記の構造:
【化69】
に基づくL
Cj-I、及び下記の構造:
【化70】
に基づくL
Cj-IIからなる「第1のLCリスト」群から選択することができ、式中、jは、1~768の整数であり、L
Cj-I及びL
Cj-IIにおける各L
Cjの場合、R
1’及びR
2’は、以下のLCリスト1に示されるように定義される。
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
【化77】
式中、R
D1~R
D192は、以下の構造を有する。
【化78】
【化79】
【化80】
【0072】
LBが第1のLBリストからなる群から選択される前記実施形態の幾つかにおいては、LBは、下記からなる群から選択することができる:
LB1、LB2、LB18、LB28、LB38、LB108、LB118、LB122、LB124、LB126、LB128、LB130、LB32、LB134、LB136、LB138、LB140、LB142、LB144、LB156、LB58、LB160、LB162、LB164、LB168、LB172、LB175、LB204、LB206、LB214、LB216、LB218、LB220、LB222、LB231、LB233、LB235、LB237、LB240、LB242、LB244、LB246、LB248、LB250、LB252、LB254、LB256、LB258、LB260、LB262、LB263、LBB1、LBB2、LBB3、LBB4、LBB5、LBB6、LBB7、LBB8、LBB9、LBB10、LBB11、LBB12、LBB13、LBB14、LBB15、LBB16、LBB17、LBB18、LBB20、LBB22、LBB24、LBB34、LBB37、LBB71、LBB74、LBB88、LBB90、LBB97、LBB103、LBB104、LBB105、LBB106、LBB107、LBB112、LBB113、LBB115、LBB16、LBB117、LBB118、LBB119、LBB121、LBB122、及びLBB123。
【0073】
LBが第1のLBリストからなる群から選択される前記実施形態の幾つかにおいては、LBは、下記からなる群から選択することができる:
LB1、LB2、LB18、LB28、LB38、LB108、LB118、LB122、LB124、LB126、LB128、LB132、LB136、LB138、LB142、LB156、LB162、LB204、LB206、LB214、LB216、LB218、LB220、LB231、LB233、LB237、LBB1、LBB2、LBB3、LBB4、LBB5、LBB6、LBB13、LBB14、LBB18、LBB20、LBB22、LBB24、LBB34、LBB37、LBB103、LBB104、LBB105、LBB106、LBB107、LBB113、LBB115、LBB16、及びLBB121。
【0074】
L
Cが第1のLCリストからなる群から選択される前記実施形態の幾つかにおいては、L
Cは、対応するR
1’及びR
2’が、それぞれ独立して下記構造から選択されるとき、L
Cj-I及びL
Cj-IIからなる群から選択することができる。
【化81】
【0075】
L
Cが第1のLCリストからなる群から選択される前記実施形態の幾つかにおいては、L
Cは、対応するR
1’及びR
2’が、それぞれ独立して下記構造から選択されるとき、L
Cj-I及びL
Cj-IIからなる群から選択することができる。
【化82】
【0076】
前記実施形態の幾つかにおいては、L
Cは、下記からなる群から選択することができる。
【化83】
【化84】
【0077】
幾つかの実施形態においては、化合物は、以下の化合物リスト1における構造からなる群から選択することができる。
【化85】
【化86】
【化87】
【化88】
【化89】
【化90】
【化91】
【化92】
【0078】
幾つかの実施形態においては、化合物は、下記式IIIの構造を有することができる。
【化93】
式中、
Mは、Pd又はPtであり;環C及びDは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;M
1及びM
2は、それぞれ独立して、C又はNであり;A
1~A
3は、それぞれ独立して、C又はNであり;K
1及びK
2は、それぞれ独立して、直接結合、O、及びSからなる群から選択され;L
1~L
3は、それぞれ独立して、直接結合、O、S、CR’R’’、SiR’R’’、BR’、及びNR’からなる群から選択され;R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素又は本明細書に記載される一般的な置換基からなる群から選択され;m、n、及びoは、それぞれ独立して、0又は1であり;m+n+o=2又は3であり;R
C及びR
Dは、それぞれ、式IにおけるR
Aと同一の定義を有し;残りの可変部は、以前に定義したものと同一であり;任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して、環を形成することができる。
【0079】
式IIIに関して、幾つかの実施形態においては、L2は、直接結合又はNR’であることができる。幾つかの実施形態においては、L3は、O、CNR’であることができる。幾つかの実施形態においては、mは、0であることができる。幾つかの実施形態においては、環Cは、5員芳香環であることができる。幾つかの実施形態においては、環Dは、6員芳香環であることができる。幾つかの実施形態においては、M1がNであることができ、M2がCであることができる。幾つかの実施形態においては、M1がCであることができ、M2がNであることができる。幾つかの実施形態においては、A1、A2、及びA3は、それぞれCであることができる。幾つかの実施形態においては、A1がNであることができ、A2がCであることができ、A3がCであることができる。幾つかの実施形態においては、A1がCであることができ、A2がCであることができ、A3がCであることができる。幾つかの実施形態においては、K1及びK2は、直接結合であることができる。幾つかの実施形態においては、Mは、Ptであることができる。
【0080】
式IIIを有する化合物の幾つかの実施形態においては、化合物は、(V
i)Pt(W
j)からなる群から選択することができ、式中、iは、1~28の整数であり、jは、1~57の整数であり、V
iは、下記の構造を有する。
【化94】
【化95】
【化96】
式中、W
jは、下記の構造を有する。
【化97】
【化98】
【化99】
式中、Xは、B、Al、Ga、又はInであり;
R
E、R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、式I中のR
Aと同一の定義を有し、R
5~R
28は、式I中のR
1と同一の定義を有する。
【0081】
式IIIを有する化合物の幾つかの実施形態においては、化合物は、下記からなる群から選択することができる。
【化100】
式中、可変部はいずれも、以前に定義と同一である。
【0082】
式IIIを有する化合物の幾つかの実施形態においては、化合物は、化合物Pt(L
Ax)(L
Ax’)及び化合物Pt(L
Ax)(L
By)からなる群から選択することができ、式中、L
Axは、以下のL
AxYに基づく配位子から選択することができ、L
Ax’は、以下のLAリスト3のL
Ax’Yに基づく配位子から選択することができ、式中、Yは、1~74の整数である。
【化101】
【化102】
【化103】
【化104】
【化105】
【化106】
【化107】
【化108】
【化109】
【化110】
【化111】
【化112】
【化113】
【化114】
【化115】
【化116】
【化117】
【化118】
【化119】
【化120】
【化121】
【化122】
式中、全てのL
Axについて、a=1であり、全てのL
Ax’について、a=0であり、a=0は、常にL
By=L
Axであり、
L
Byは、以下の構造を有する。
【化123】
【化124】
【化125】
【化126】
【化127】
【化128】
【化129】
式中、R
Ai、R
Aj、R
Ak、R
Al、R
Am、R
An、R
Ao、R
Ap、R
Aq、R
Ar、R
Ax、R
Ay、R
Az、L
Qs、L
Qt、L
Qu、L
Qv、及びL
Qwは、以前に定義したものと同一である
【0083】
幾つかの実施形態においては、化合物は、下記からなる群から選択することができる。
【化130】
【化131】
式中、R
Eは、式IにおけるR
Aと同一の定義を有し;残りの可変部は、以前に定義したのと同一である。
【0084】
幾つかの実施形態においては、化合物は、以下の化合物リスト2に記載の構造からなる群から選択することができる。
【化132】
【化133】
【化134】
【化135】
【化136】
【化137】
【化138】
【化139】
【化140】
【化141】
【化142】
C.本開示のOLED及びデバイス
【0085】
別の態様において、本開示は、本開示の前記化合物セクションに開示される化合物を含有する有機層を含むOLEDデバイスも提供する。
【0086】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、下記式Iの配位子L
Aを含む化合物を含むことができる。
【化143】
式中、環A及び環Bは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;Z
1~Z
5は、それぞれ独立して、C又はNであり;Xは、BR
1、BR
1R
2、AlR
1、AlR
1R
2、GaR
1、GaR
1R
2、InR
1、InR
1R
2、CO、SO
2、又はPOR
1であり;Yは、NR
3、NR
3R
4、PR
3、O、S、SO、SO
2、CR
3R
4、SiR
3R
4、PR
3R
4、又はGeR
3R
4であり;R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;R
A、R
B、R
1、R
2、R
3、及びR
4のぞれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に定義される一般的な置換基であり;任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して環を形成することができ、前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。
【0087】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、発光層であることができ、本明細書に記載される化合物は、発光ドーパント又は非発光ドーパントであることができる。
【0088】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、更に、ホストを含むことができ、前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み、前記ホスト中のいずれの置換基は、独立して、CnH2n+1、OCnH2n+1、OAr1、N(CnH2n+1)2、N(Ar1)(Ar2)、CH=CH-CnH2n+1、C≡C-CnH2n+1、Ar1、Ar1-Ar2、CnH2n-Ar1からなる群から選択される非縮合置換基である、又は無置換であることができ、nは1~10であり、Ar1及びAr2は、独立して、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びこれらの複素芳香族類似体からなる群から選択されることができる。
【0089】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、更に、ホストを含むことができ、前記ホストは、ナフタレン、フルオレン、トリフェニレン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、5,9-ジオキサ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン、アザ-ナフタレン、アザ-フルオレン、アザ-トリフェニレン、アザ-カルバゾール、アザ-インドロカルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾセレノフェン、及びアザ-(5,9-ジオキサ-13b-ボロナフト[3,2,1-de]アントラセン)からなる群から選択される少なくとも1つの化学部分を含む。
【0090】
幾つかの実施形態においては、前記ホストは、下記からなる群から選択されるホスト群から選択することができる。
【化144】
【化145】
【化146】
【0091】
幾つかの実施形態においては、有機層は、更に、ホストを含むことができ、前記ホストは、金属錯体を含む。
【0092】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載の化合物は、増感剤であることができ、デバイスは、更に、アクセプターを含むことができ、前記アクセプターは、蛍光発光体、遅延蛍光発光体、及びこれらの組合せから選択することができる。
【0093】
更に別の態様において、本開示のOLEDは、また、本開示の前記化合物セクションに開示される化合物を含む発光領域を含むことができる。
【0094】
幾つかの実施形態においては、前記発光領域は、下記式Iの配位子L
Aを含む化合物を含むことができる。
【化147】
式中、環A及び環Bは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;Z
1~Z
5は、それぞれ独立して、C又はNであり;Xは、BR
1、BR
1R
2、AlR
1、AlR
1R
2、GaR
1、GaR
1R
2、InR
1、InR
1R
2、CO、SO
2、又はPOR
1であり;Yは、NR
3、NR
3R
4、PR
3、O、S、SO、SO
2、CR
3R
4、SiR
3R
4、PR
3R
4、又はGeR
3R
4であり;R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;R
A、R
B、R
1、R
2、R
3、及びR
4のぞれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に定義される一般的な置換基であり;任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して環を形成することができ、前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。
【0095】
更に別の態様において、本開示は、また、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを有する有機発光デバイス(OLED)であって、前記有機層が、本開示の前記化合物セクションに開示される化合物を含むOLEDを含む消費者製品を提供する。
【0096】
幾つかの実施形態においては、前記消費者製品は、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを有するOLEDであって、前記有機層が、下記式Iの第1の配位子L
Aを含む化合物を含むことができるOLEDを含む。
【化148】
式中、環A及び環Bは、それぞれ独立して、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;Z
1~Z
5は、それぞれ独立して、C又はNであり;Xは、BR
1、BR
1R
2、AlR
1、AlR
1R
2、GaR
1、GaR
1R
2、InR
1、InR
1R
2、CO、SO
2、又はPOR
1であり;Yは、NR
3、NR
3R
4、PR
3、O、S、SO、SO
2、CR
3R
4、SiR
3R
4、PR
3R
4、又はGeR
3R
4であり;R
A及びR
Bは、それぞれ、ゼロ、モノ、又は、その関連する環で許容される最大の置換数までを表し;R
A、R
B、R
1、R
2、R
3、及びR
4のぞれぞれは、独立して、水素である、又は本明細書に定義される一般的な置換基であり;任意の2つの置換基は、互いに結合又は縮合して環を形成することができ、前記配位子L
Aは、2本の標示される波線によって金属Mに配位し;前記配位子L
Aは、他の配位子と結合して、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる。
【0097】
幾つかの実施形態においては、消費者製品は、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、対角で2インチ未満のマイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板のうちの1つであることができる。
【0098】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。幾つかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0099】
幾つかのOLEDの材料及び構成が、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,844,363号明細書、米国特許第6,303,238号明細書、及び米国特許第5,707,745号明細書に記載されている。
【0100】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号明細書において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0101】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0102】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第1の導電層162及び第2の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0103】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF4-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を有するMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0104】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることができる。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、幾つかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0105】
図1及び
図2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本開示の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び
図2に関して記述されている異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0106】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び
図2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されているメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されているくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0107】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及び有機蒸気ジェット印刷(OVJP)等の堆積法の幾つかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、低分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける低分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0108】
本開示の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を含む前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。非ポリマー材料に対するポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作製され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0109】
本開示の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本開示の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種のビジュアルディスプレイを含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、曲がったディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、丸めることができるディスプレイ、折り畳むことができるディスプレイ、伸ばすことができるディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本開示にしたがって製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(20~25℃)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80℃で用いることもできる。
【0110】
OLEDに関する更なる詳細、及び前記した定義は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書に見ることができる。
【0111】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0112】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折り畳むことができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0113】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェアラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0114】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも呼ばれる;例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国出願第15/700,352号参照)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる。幾つかの実施形態においては、前記発光ドーパントは、ラセミ混合物であることができる、又は1つのエナンチオマーに富む(enriched)ことができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、ホモレプティックであることができる(各配位子が同じである)。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、ヘテロレプティックであることができる(少なくとも1つの配位子が他と異なっている)。金属に配位する配位子が1超存在する場合、幾つかの実施形態においては、これらの配位子は、全て同一であることができる。幾つかの他の実施形態においては、少なくとも1つの配位子が、他の配位子と異なる。幾つかの実施形態においては、全ての配位子が、互いに異なることができる。このことは、金属に配位している配位子が、その金属に配位している他の配位子と結合し、三座、四座、五座、又は六座配位子を形成することができる実施形態においても当てはまる。したがって、配位している配位子が互いに結合されている場合、幾つかの実施形態においては、配位子の全てが同一であることができ、幾つかの他の実施形態においては、結合している配位子の少なくとも1つが、他の配位子と異なることができる。
【0115】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、OLEDにおけるリン光増感剤として、用いられることができ、前記OLEDにおける1つ又は複数の層は、1つ以上の蛍光及び/又は遅延蛍光発光体の形態で、アクセプターを含む。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、増感剤として用いられるエキシプレックス(exciplex)の1つの成分として用いられることができる。リン光増感剤として、前記化合物は、前記アクセプターへのエネルギー移動が可能でなくてはならず、前記アクセプターは、エネルギーを発光する又はエネルギーを最終発光体に更に移動する。前記アクセプター濃度は、0.001%~100%の範囲であり得る。前記アクセプターは、リン光増感剤と同じ層にあることも、又は1つ以上の異なる層にあることもできる。幾つかの実施形態においては、前記アクセプターは、TADF発光体である。幾つかの実施形態においては、前記アクセプターは、蛍光発光体である。幾つかの実施形態においては、前記発光は、前記増感剤、前記アクセプター、及び前記最終発光体のいずれか又は全てから生じることができる。
【0116】
他の態様によれば、本明細書に記載される化合物を含む組成物も開示される。
【0117】
本明細書中に開示される前記OLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。前記有機層は、発光層であることができ、幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0118】
本開示の更に他の態様においては、本明細書に開示される新規化合物を含む組成物が記載される。前記組成物は、本明細書に開示される溶媒、ホスト、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、正孔ブロッキング材料、及び電子輸送材料からなる群から選択される1つ以上の成分を含むこともできる。
【0119】
本開示は、本開示の新規化合物、又はその一価又は多価のバリアントを含む任意の化学構造を包含する。言い換えれば、本発明化合物又はその一価又は多価のバリアントは、より大きな化学構造の一部であることができる。そのような化学構造は、モノマー、ポリマー、巨大分子、及び超分子(supramolecule)(超分子(supermolecule)としても知られている)からなる群から選択されることができる。本明細書中で使用される、「化合物の一価のバリアント」は、1個の水素が除去され、化学構造の残りへの結合で置き換えられていることを除いては、前記化合物と同一である部分を指す。本明細書中で使用される、「化合物の多価のバリアント」は、1個超の水素が除去され、化学構造の残りへの結合で置き換えられていることを除いては前記化合物と同一である部分を指す。超分子の例においては、発明化合物は、共有結合なしで前記超分子錯体に組み込まれることもできる。
D.本開示の化合物の他の材料との組合せ
【0120】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
a)伝導性(導電性)ドーパント:
【0121】
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
【0122】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる伝導性ドーパントの非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP01617493、EP01968131、EP2020694、EP2684932、US20050139810、US20070160905、US20090167167、US2010288362、WO06081780、WO2009003455、WO2009008277、WO2009011327、WO2014009310、US2007252140、US2015060804、US20150123047、及びUS2012146012
【化149】
【化150】
b)HIL/HTL:
【0123】
本開示において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを有するポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoOx等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0124】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化151】
【0125】
Ar1からAr9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各Arは、無置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0126】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化152】
(式中、kは1から20までの整数であり;X
101からX
108はC(CHを含む)又はNであり;Z
101はNAr
1、O、又はSであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。)からなる群から独立に選択される。
【0127】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化153】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y
101-Y
102)は二座配位子であり、Y
101及びY
102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は補助配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0128】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0129】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるHIL材料及びHTL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN102702075、DE102012005215、EP01624500、EP01698613、EP01806334、EP01930964、EP01972613、EP01997799、EP02011790、EP02055700、EP02055701、EP1725079、EP2085382、EP2660300、EP650955、JP07-073529、JP2005112765、JP2007091719、JP2008021687、JP2014-009196、KR20110088898、KR20130077473、TW201139402、US06517957、US20020158242、US20030162053、US20050123751、US20060182993、US20060240279、US20070145888、US20070181874、US20070278938、US20080014464、US20080091025、US20080106190、US20080124572、US20080145707、US20080220265、US20080233434、US20080303417、US2008107919、US20090115320、US20090167161、US2009066235、US2011007385、US20110163302、US2011240968、US2011278551、US2012205642、US2013241401、US20140117329、US2014183517、US5061569、US5639914、WO05075451、WO07125714、WO08023550、WO08023759、WO2009145016、WO2010061824、WO2011075644、WO2012177006、WO2013018530、WO2013039073、WO2013087142、WO2013118812、WO2013120577、WO2013157367、WO2013175747、WO2014002873、WO2014015935、WO2014015937、WO2014030872、WO2014030921、WO2014034791、WO2014104514、WO2014157018
【化154】
【化155】
【化156】
【化157】
【化158】
【化159】
【化160】
【化161】
c)EBL:
【0130】
電子ブロッキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして用いられる、同じ分子又は同じ官能基を含む。
d)ホスト:
【0131】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いたホスト材料を含むことができる。前記ホスト材料としては特に限定されず、前記ホストの三重項エネルギーがドーパントのものよりも大きければ、任意の金属錯体又は有機化合物が用いられることができる。いずれのホスト材料も、三重項の基準が満たされる限り、任意のドーパントと共に用いられることができる。
【0132】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化162】
式中、Metは金属であり;(Y
103-Y
104)は二座配位子であり、Y
103及びY
104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0133】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化163】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0134】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0135】
1つの態様においては、前記ホスト化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される群の少なくとも1つを含む。各基内の各オプションは、非置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0136】
一つの態様においては、前記ホスト化合物は、分子中に、下記の基の少なくとも1つを含む。
【化164】
【化165】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数である。X
101~X
108は、独立して、C(CHを含む)又はNから選択される。Z
101及びZ
102は、独立して、NR
101、O、又はSから選択される。
【0137】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるホスト材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP2034538、EP2034538A、EP2757608、JP2007254297、KR20100079458、KR20120088644、KR20120129733、KR20130115564、TW201329200、US20030175553、US20050238919、US20060280965、US20090017330、US20090030202、US20090167162、US20090302743、US20090309488、US20100012931、US20100084966、US20100187984、US2010187984、US2012075273、US2012126221、US2013009543、US2013105787、US2013175519、US2014001446、US20140183503、US20140225088、US2014034914、US7154114、WO2001039234、WO2004093207、WO2005014551、WO2005089025、WO2006072002、WO2006114966、WO2007063754、WO2008056746、WO2009003898、WO2009021126、WO2009063833、WO2009066778、WO2009066779、WO2009086028、WO2010056066、WO2010107244、WO2011081423、WO2011081431、WO2011086863、WO2012128298、WO2012133644、WO2012133649、WO2013024872、WO2013035275、WO2013081315、WO2013191404、WO2014142472、US20170263869、US20160163995、US9466803
【化166】
【化167】
【化168】
【化169】
【化170】
【化171】
e)追加の発光体:
【0138】
1つ以上の追加の発光体ドーパントを本開示の化合物と共に使用することができる。前記追加の発光体ドーパントの例としては、特に限定されず、前記化合物が典型的に発光体材料として用いられるものであれば、いずれの化合物も用いられることができる。好適な発光体材料の例としては、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる発光体材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN103694277、CN1696137、EB01238981、EP01239526、EP01961743、EP1239526、EP1244155、EP1642951、EP1647554、EP1841834、EP1841834B、EP2062907、EP2730583、JP2012074444、JP2013110263、JP4478555、KR1020090133652、KR20120032054、KR20130043460、TW201332980、US06699599、US06916554、US20010019782、US20020034656、US20030068526、US20030072964、US20030138657、US20050123788、US20050244673、US2005123791、US2005260449、US20060008670、US20060065890、US20060127696、US20060134459、US20060134462、US20060202194、US20060251923、US20070034863、US20070087321、US20070103060、US20070111026、US20070190359、US20070231600、US2007034863、US2007104979、US2007104980、US2007138437、US2007224450、US2007278936、US20080020237、US20080233410、US20080261076、US20080297033、US200805851、US2008161567、US2008210930、US20090039776、US20090108737、US20090115322、US20090179555、US2009085476、US2009104472、US20100090591、US20100148663、US20100244004、US20100295032、US2010102716、US2010105902、US2010244004、US2010270916、US20110057559、US20110108822、US20110204333、US2011215710、US2011227049、US2011285275、US2012292601、US20130146848、US2013033172、US2013165653、US2013181190、US2013334521、US20140246656、US2014103305、US6303238、US6413656、US6653654、US6670645、US6687266、US6835469、US6921915、US7279704、US7332232、US7378162、US7534505、US7675228、US7728137、US7740957、US7759489、US7951947、US8067099、US8592586、US8871361、WO06081973、WO06121811、WO07018067、WO07108362、WO07115970、WO07115981、WO08035571、WO2002015645、WO2003040257、WO2005019373、WO2006056418、WO2008054584、WO2008078800、WO2008096609、WO2008101842、WO2009000673、WO2009050281、WO2009100991、WO2010028151、WO2010054731、WO2010086089、WO2010118029、WO2011044988、WO2011051404、WO2011107491、WO2012020327、WO2012163471、WO2013094620、WO2013107487、WO2013174471、WO2014007565、WO2014008982、WO2014023377、WO2014024131、WO2014031977、WO2014038456、WO2014112450
【化172】
【化173】
【化174】
【化175】
【化176】
【化177】
f)HBL:
【0140】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
【0141】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストに用いられる場合と同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0142】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含む。
【化178】
式中、kは1から20までの整数であり;L
101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
g)ETL:
【0143】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0144】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化179】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0145】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化180】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0146】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるETL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。CN103508940、EP01602648、EP01734038、EP01956007、JP2004-022334、JP2005149918、JP2005-268199、KR0117693、KR20130108183、US20040036077、US20070104977、US2007018155、US20090101870、US20090115316、US20090140637、US20090179554、US2009218940、US2010108990、US2011156017、US2011210320、US2012193612、US2012214993、US2014014925、US2014014927、US20140284580、US6656612、US8415031、WO2003060956、WO2007111263、WO2009148269、WO2010067894、WO2010072300、WO2011074770、WO2011105373、WO2013079217、WO2013145667、WO2013180376、WO2014104499、WO2014104535
【化181】
【化182】
【化183】
h)電荷発生層(CGL)
【0147】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0148】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスも、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。
E. 本開示の実験セクション
a)例示化合物の調製
【0149】
カリウム(2,6-ジイソプロピルフェニル)トリフルオロボレート
【化184】
水(30mL)中のフッ化カリウム(18.0g,310mmol)を、アセトニトリル(300mL)中の(2,6-ジイソプロピルフェニル)ボロン酸(15g,73mmol)の攪拌溶液に、RTで添加した。THF(165mL)中のL-(+)-酒石酸(22.5g,150mmol)の温溶液を添加し、混合物を45℃で一晩攪拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた固体を、1:1イソヘキサン/MTBE(200mL)に懸濁し、RTで1.5時間攪拌し、ろ過した(フィルターへの移行を完了させるために追加の1:1イソヘキサン:MTBE(3×40mL)を要した)。固体を、真空デシケーター中で乾燥させ、カリウム(2,6-ジイソプロピルフェニル)トリフルオロボレート(10.5g,38.2mmol,53%収率,>98%純度)を白色固体として得た。
【0150】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-2’-イルボロン酸
【化185】
CPME(70mL)中の2’-ヨード-1,1’:3’,1’’-ターフェニル(6.85g,19.2mmol)の溶液に、RTで、nBuLi(ヘキサン中2M,10mL,20mmol)を10分間かけて添加した。反応混合物を、RTで2時間攪拌した後、-70℃に冷却した。トリイソプロピルボレート(7.0mL,31mmol)を10分間かけて添加し、反応物をRTで一晩攪拌した。反応混合物をDCM(200mL)で希釈し、10%K
2HPO
4(aq)(2×100mL)とブライン(100mL)で洗浄した、合わせた水層をDCM(2×100mL)で逆抽出し、合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過、濃縮した。残渣をDCM(50mL)に溶解し、酢酸(3.0mL,52mmol)を激しく攪拌しながら添加し、続いて水(1.5mL,83mmol)を添加した。得られた混合物を2時間攪拌下放置した後、真空下で濃縮した。残渣をヘプタン(15mL)に懸濁し、固体をろ過により回収し、ろ過ケーキをヘプタン(5×5mL)でリンスして、[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-2’-イルボロン酸(3.21g,11.4mmol,59%収率,>98%純度)を白色固体として得た。
【0151】
3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン
【化186】
4-ブロモ-2,6-ジイソプロピルアニリン(10g,39mmol),フェニルボロン酸(5.5g,45mmol)、及びSPhos-Pd(クロチル)Cl[CAS:1798781-99-3](500mg,0.823mmol)を含む窒素パージフラスコに、アセトニトリル(100mL)及びK
2CO
3(aq)(1.5M,80mL,120mmol)を入れた。反応混合物を、窒素下、75℃で16時間激しく攪拌した。反応物を冷却し、ろ過した。層分離後、有機物を20%w/wのNaCl(aq)(100mL)で洗浄し、シリカゲル(30g)に予吸着させ(preadsorbed)、カラムクロマトグラフィーによって精製して、3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(5.5g,21mmol,53%収率,95%純度)を濃厚無色油状物として得た。
【0152】
4-ヨード-3,5-ジイソプロピル-1,1’-ビフェニル
【化187】
トシル酸一水和物(pTSA,7.5g,39mmol)を、ビーカー内の、
tBuOH(50mL)中の3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(3.4g,13mmol)攪拌溶液に添加した。濃厚な流動しない沈殿物が生成した。再度攪拌されるように水(5mL)と
tBuOH(10mL)を添加した。水(20mL)中の亜硝酸ナトリウム(2.0g,29mmol)及びKI(6.0g,36mmol)の溶液を滴下した(ガス発生)。混合物を、攪拌が再開するまで、スパチュラで手混合した後、激しい攪拌を90分間続けた。反応混合物を、飽和Na
2S
2O
3(60mL)とEtOAc(100mL)で分配し、有機物を分離し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過及び濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(10g)に予吸着させ、カラムクロマトグラフィーによって精製して、4-ヨード-3,5-ジイソプロピル-1,1’-ビフェニル(3.7g,9.9mmol,73%収率,97%純度)を無色油状物として得、これを放置して結晶化させた。
【0153】
(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ボロン酸
【化188】
nBuLi(ヘキサン中2M,6.0mL,12mmol)を、RTで窒素下、乾燥CPME(50mL)中の4-ヨード-3,5-ジイソプロピル-1,1’-ビフェニル(4.5g,12mmol)の溶液に滴下した。20℃~25℃の僅かな発熱に注目し、濃厚な黄褐色沈殿物が生成した。反応物を、窒素下にて2時間、攪拌下放置し、-70℃に冷却し、トリメチルボレート(1.8mL,16mmol)を滴下した。反応物を放置して一晩でRTまで加温し、1MのHCl(aq)(20mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層をTBME(20mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過及び濃縮して、濃厚油状物を得、これを放置して結晶化させた。固体を、ヘキサンで粉砕し、ろ過して、黄褐色固体を得た。この固体を1MのHCl(aq)(20mL)及びMeCN(20mL)に懸濁、75℃で2時間激しく攪拌して、RTまで冷却した。混合物をTBME(20mL)で抽出し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、シリカゲル(5g)に予吸着させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ボロン酸(1.9g,6.7mmol,55%収率,>98%純度)を無色固体として得た。
【0154】
ジメチル(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ボロネート
【化189】
2-ブロモ-1,3,5-トリ-tert-ブチルベンゼン(2g,6.15mmol)を、N
2雰囲気下、THF(25mL)に溶解し、-78℃に冷却した。n-ブチルリチウム(2.5ml,6.25mmol)を添加した後、得られた溶液を-78℃で1時間攪拌した。トリメチルボレート(.7ml,6.28mmol)を添加し、次いで、反応物を50℃まで3日間加温加熱した。反応物を1MのHCl水溶液でクエンチした後、分液漏斗に移し、DCMで希釈した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、0.88g(45%)のジメチル(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ボロネートを無色油状物として得、これをゆっくりと白色固体に結晶化させた。
【0155】
2-(2-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール
【化190】
アンモニウムアセテート(105g,1362mmol)を、水(250ml)及びメタノール(250ml)中の2-フルオロベンズアルデヒド(28ml,266mmol)及びグリオキサール(40%aq.,63ml,549mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで16時間攪拌した。ロトバップでMeOHを除去し、水層を3×150mLのEtOAcで抽出した。有機物を合わせ、3×100mLの飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した後、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、褐色油状物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーで精製して結晶物を得、エーテル/ヘプタンで洗浄することにより、オフホワイトの固体13.78g(32%)を得た。
【0156】
2-(2-フルオロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール
【化191】
2-フルオロ-4-メチルベンズアルデヒド(26.3ml,181mmol)を2LのRBF中の400mLのMeOHに溶解した後、グリオキサール(200ml,1744mmol)の40%水溶液200mLを添加した。次に、水酸化アンモニウム(30%水酸化,200ml,1541mmol)を、数回に分け、~15分間かけて添加し、黄色溶液をN
2下で24時間攪拌した。灰色固体を吸引ろ過により回収し、MeOHで洗浄した。次いで、固体をEtOAc(3×50mL)でスラリー化し、ろ過した。合わせたろ液を取り出し乾燥させ、褐色固体を得、これを昇華により精製して、ベージュ色の結晶性固体11.01g(35%)を得た。
【0157】
2-(2-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
【化192】
シクロヘキサン-1,2-ジオン(5.00g,44.6mmol)を500mLの2口RBFに入れた後、150mLのiPrOHをシリンジで添加して、淡黄色溶液2-フルオロベンズアルデヒド(11.75ml,111mmol)を得、続いて固体のアンモニウムアセテート(34.4g,446mmol)を添加した。不均一な混合物を砂浴中で24時間加熱還流して、この間、橙色、次いで赤色、最後に赤色且つ完全に均一になった。RTまで冷却し、iPrOHをロータリーエバポレーションにより除去して、明るい赤色液を得、これを、DCM(300mL)中に取り、飽和NaHCO
3水溶液と水で洗浄した後、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、明るい赤色の泡状物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、橙色固体を得、ヘプタンで粉砕することにより、所望化合物3.40g(35%)を黄色半結晶性固体として得た。
【0158】
2-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン
【化193】
1LのRBFに、グリオキサール(100ml,872mmol)の40%水溶液を添加し、続いて200mLのMeOHを添加した。無色溶液に、2-フルオロニコチンアルデヒド(8,00ml,80mmol),ニートを添加し、淡黄色溶液を得た。水酸化アンモニウム(30%水,100ml,770mmol)溶液を、数回に分けて添加し、MeOH還流を防ぐために各回の間に、~10分間かけて少量の氷を添加した。N
2下で16時間攪拌した。300mLの水を添加し、混合物を3×150mLのEtOAcで抽出した。有機物を合わせ、1×100mLのブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、蒸発させて、半結晶性固体を得、カラムクロマトグラフィーで精製して、無色結晶性固体を得た(4.52g,35%)。
【0159】
2-(2-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-イミダゾール
【化194】
THF(300mL)及び水(75mL)中の2-ブロモベンズイミダミド塩酸塩(40.4g,168mmol)の懸濁液に、重炭酸ナトリウム(30g,350mmol)を数回に分け、5分間かけて添加した。反応混合物を70℃に加熱し、50分間攪拌した(ガス放出停止)。THF(195mL)中の2-ブロモ-1-フェニルエタン-1-オン(33.5g,168mmol)の溶液を、還流を維持しつつ15分間かけて滴下した。次いで、反応混合物を、70℃で一晩攪拌し、RTまで冷却し、真空濃縮して、橙色油状物を得た。粗生成物をDCM(1L)と水(300mL)で希釈し、水層をDCM(300mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、シリカゲルに予吸着させた。物質を、カラムクロマトグラフィーで精製して、次いで、イソヘキサン(300mL)中に懸濁させ、55℃に5時間で加熱し、RTまで冷却させ、一晩攪拌した。混合物を真空濃縮して、2-(2-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-イミダゾール(27.1g,53%収率,>98%純度)を橙色固体として得た。
【0160】
2-(2-ブロモフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール
【化195】
ベンジル(13.6g,64.9mmol)、アンモニウムアセテート(41.7g,540mmol)及び2-ブロモベンズアルデヒド(6.3mL,54mmol)を酢酸(200mL)に懸濁させ、混合物を90℃で24時間攪拌した。反応混合物を冷却し、pHを2M NaOH(aq)(ca.1.5L)で~6に調整した。ろ過により沈殿固体を回収し、ろ過ケーキを水(500mL)及びトルエン(500mL)でリンスした。得られた固体をDCM(250mL)中に懸濁させ、RTで2時間攪拌し、ろ過により回収し、真空デシケーター中で乾燥して、2-(2-ブロモフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール(16.6g,43.9mmol,81%収率,>98%純度)をオフホワイトの固体として得た。
【0161】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノール
【化196】
アンモニウムアセテート(67g,869mmol)を、水(200ml):メタノール(200ml)中のサリチルアルデヒド(15.5ml,145mmol)及びグリオキサール(25ml,218mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮してMeOHを除去し、次いで分液漏斗に移した。EtOAcで抽出し、次いで、合わせた有機物をNaHCO
3水溶液で洗浄した。有機物を乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、8.91g(38%収率)の2-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノールを、オフホワイトの結晶性固体として得た。
【0162】
2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)
【化197】
ベンジル(4g,19.03mmol)及びアンモニウムアセテート(16g,208mmol)を酢酸(30ml)中で合わせ、全ての固体が溶解するまでN2雰囲気下で120℃に加熱した。2-ヒドロキシベンズアルデヒド(10ml,94mmol)を添加した後、反応物を4時間還流させた。rtに冷却した後、反応混合物を80mLの水に注いだ。得られた溶液を、水酸化アンモニウム溶液で中和した後、分液漏斗に移し、EtOAcで希釈した。層分離後、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、ろ過し、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製して、2.38g(40%収率)の2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノールをオフホワイトの固体として得た。
【0163】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン
【化198】
2-(2-ブロモフェニル)-1H-イミダゾール(10g,45mmol)、銅(I)ヨージド(0.40g,2.1mmol)、及び粉砕直後の(freshly ground)リン酸カリウム(30g,140mmol)を含む窒素パージ後のフラスコに、DMSO(150mL)及びメタンアミン(EtOH中33%wt,100mL,800mmol)を入れた。反応混合物を45℃で1時間攪拌した後、ろ過した。ろ液を水(1L)中にゆっくりと注ぎ、1時間攪拌した。得られた固体を、ろ過により回収し、乾燥した(6g)。ろ液をTBME(3×500mL)で抽出し、合わせた有機層を濃縮して、黄色ゴム状物(1.8g,画分1)を得た。固体をTHF(250mL)に懸濁し、ろ過した。ろ液を蒸発させ、黄色ゴム状物を得、これを放置して結晶化した(画分2)。画分1及び2をTHF中で合わせ、シリカゲル(30g)に予吸着させ、カラムクロマトグラフィーで精製して、2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン(5.4g,31mmol,70%収率,>98%純度)を無色結晶性固体として得た。
【0164】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソプロピルアニリン
【化199】
250mLのRBFに、2-(2-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール(1.16g,7.15mmol)を入れ、続いて40mLのジグリムを入れて、無色の溶液を得た。イソプロピルアミン(1.60ml,19.54mmol)をシリンジで確実に(neat)添加し、溶液を0℃に冷却した後、塩化イソプロピルマグネシウム(2.0M,12ml,24.00mmol)を、~15分間かけて滴下した。混合物を150℃に3時間で加熱し、RTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、3×20mLのDCMで抽出した。有機物を合わせて、Na
2SO
4上で乾燥した。溶媒を除去することにより、褐色油状物を得、これを冷却し固形化した。化合物を、カラムクロマトグラフィーで精製し、無色固体1.29g(90%)として単離した。
【0165】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-5-メチル-N-フェニルアニリン
【化200】
2-(2-フルオロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール(3.00g,17.03mmol)を、500mLのオーブン乾燥済みRBFにN
2下で入れた後、ジグリム(85mL)とアニリン(3.90ml,42.7mmol)を入れた。溶液を氷/水浴で0℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム(THF中の2.0M溶液,26.0ml,52.0mmol)をシリンジで添加した。次いで、フラスコをバンプトラップに取り付け、150℃に3時間で加熱した。混合物をRTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした。揮発物を全て、Kughelrhorで除去した。次いで、固体をEtOAc/飽和NaHCO
3水溶液に溶解させ、水層を2×EtOAcで抽出した。有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して、褐色固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの固体2.70g(64%)を得た。
【0166】
N-メチル-2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アニリン
【化201】
2-(2-フルオロフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(3.123g,14.44mmol)を60mLのジグリムに溶解させ、氷/水浴で0℃に冷却した。メチルアミン(THF中2.0M,18.00ml,36.0mmol)をシリンジで添加し、続いて塩化イソプロピルマグネシウム(THF中の2.0M溶液,21.0ml,42.0mmol)を約2分間かけて滴下した。混合物を125℃(砂浴)に6時間で加熱し、RTまで冷却した。~20mLの水を添加し、揮発物を全て、Kugelrhorで直接除去して、黄色/褐色固体を得、これをNaHCO
3(aq)とEtOAc(100mL)中に取り出した。層分離後、水層を2×100mLのEtOAcで抽出した。有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、黄色固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、無色結晶性固体1.08g(33%)を得た後、ペンタンで洗浄した。
【0167】
3-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソプロピルピリジン-2-アミン
【化202】
2-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン(3.00g,18.39mmol)を、500mLのオーブン乾燥済みRBFに入れ、90mLのジグリムに溶解させた。イソプロピルアミン(4.60ml,56.2mmol)をシリンジで添加し、無色溶液を氷/水浴で0℃に冷却した。THF中の塩化イソプロピルマグネシウム(2M,23.0ml,46.0mmol)を、~5分間かけてゆっくりと添加した後、120℃に16時間加熱した。少量の水を添加し、揮発物を全て、Kugelrhorで除去した。次に、固体をEtOAc/飽和NaHCO
3水溶液に溶解させ、水層を2×EtOAcで抽出した。有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して、褐色固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、無色固体1.77g(48%)を得た。
【0168】
N-メチル-2-(5-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)アニリン
【化203】
DMSO(200mL)中の2-(2-ブロモフェニル)-5-フェニル-1H-イミダゾール(19.6g,65.5mmol)、銅(I)ヨージド(1.3g,6.8mmol)、及びリン酸カリウム(40.0g,188mmol)の懸濁物に、メチルアミン(EtOH中33%wt,60mL,480mmol)を添加した。反応混合物を、窒素下40℃で3時間攪拌した。反応混合物を、EtOAc(600mL)で希釈し、1:1:1(飽和NaHCO
3(aq))/(飽和NH
4Cl(aq))/ブライン(2×600mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥し、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによる精製により、N-メチル-2-(5-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)アニリン(11.3g,44.4mmol,68%収率,>98%純度)を黄色固体として得た。
【0169】
2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン
【化204】
リン酸三カリウム(14g,66mmol)、2-(2-ブロモフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール(8.0g,21mmol)、及び銅(I)ヨージド(200mg,1.05mmol)の懸濁物を、DMSO(70mL)に窒素下にて懸濁した。メタノールアミン(EtOH中33%,24mL,200mmol)を添加し、反応物を60℃で一晩攪拌した。反応物をRTに冷却し、水(250mL)で希釈し、30分間攪拌し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を濃縮し、残渣をEtOAc(10mL)で粉砕して、2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン(6.03g,17.8mmol,83%収率,96%純度)を褐色固体として得た。
【0170】
2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール
【化205】
5-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド(25g,123mmol)を、MeOH(300mL)、グリオキサール溶液(H
2O中40%wt.,100.mL,872mmol)、次いで追加のH
2O(50mL)に合わせた。RTで攪拌しながら、水酸化アンモニウム(250mL,1798mmol)を数回に分けて1時間かけて添加したところ、発熱し、沈殿物が生成した。追加の50mLのH
2Oを添加し、次いで、反応混合物を一晩攪拌した。反応物を濃縮し、分液漏斗に移し、EtOAcで抽出し、有機物を合わせて、飽和NaHCO
3水溶液及びブラインで洗浄した。乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮を行い、褐色固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた褐色固体をDCM中で粉砕し、真空ろ過により回収して、10.4g(35%収率)の2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1H-イミダゾールをオフホワイトの固体として得た。
【0171】
2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール
【化206】
2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール(7.61g,31.6mmol)と4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(p-TSA,0.300g,1.58mmol)をジオキサン(30ml)中で合わせ、次いで3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(15mL ml,164mmol)を添加した。混合物を、N
2雰囲気下、100℃で還流させ、3日間攪拌した。反応物を室温まで冷却し、次いでDCMで希釈し、飽和NaHCO
3でクエンチした。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮して、粗油状物を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、5.57g(54%)の2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾールを淡黄色/褐色油状物として得た。
【0172】
9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾール
【化207】
2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール(1.07g,3.29mmol)、9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル-9H-カルバゾ-2-オール(1.04g,3.29mmol)、ピコリン酸(0.608g,4.94mmol)、銅(I)ヨージド(0.188g,0.987mmol)、及びリン酸三カリウム一水和物(potassium phosphate トリbasic monohydrate)(2.65g,11.52mmol)を合わせ、DMSO(33mL)に溶解した後、反応容器を隔膜で封止し、連続的な脱気により脱ガスし、N
2を再充填した。N
2雰囲気下、フラスコを150℃の油浴中に置き、反応物を3日間攪拌した。反応物を室温まで冷却し、混合物を、DCMを含む分液漏斗に移し、飽和NH
4Clで希釈した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を、水とブラインで洗浄した。乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮して、粗油状物を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、1.27g(69%収率)の9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾールをオフホワイトの固体として得た。
【0173】
9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾール
【化208】
9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾール(1.27g,2.265mmol)、及び攪拌子を含むフラスコに、4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(0.051g,0.268mmol)を秤量した。メタノール(40mL)を添加した後、混合物を70℃に加熱し、一晩攪拌した。室温まで冷却した後、MeOHを真空除去した。DCMを含む分液漏斗に移し、飽和Na
2CO
3水溶液で洗浄した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製して、1.03g(95%収率)の9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾールをオフホワイトの固体として得た。
【0174】
4-((9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール-2-イル)オキシ)-2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-フェニルアニリン
【化209】
9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-2-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-9H-カルバゾール(WNP2019-2-013)(.777g,1.630mmol))をジグリム(2.5ml)に溶解した。アニリン(0.38ml,4.16mmol)を添加し、反応混合物を氷浴中で0℃に冷却した。次いで、塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2.0M,24ml,48.0mmol)を添加した。rtまで加温して、30分間攪拌した後、150℃の油浴中に置き、4時間攪拌した。rtまで冷却し、次いで、水でクエンチした。溶媒除去後、DCMに溶解し、分液漏斗に移し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製して、0.718g(80%収率)の4-((9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール-2-イル)オキシ)-2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-フェニルアニリンを白色固体として得た。
【0175】
3-メチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン
【化210】
ジオキサン(5L)中の2-ブロモ-3-メチルアニリン(530g,2.94mol,1当量)、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン(41.3g,0.118mmol,0.04当量)、及びトリエチルアミン(1.23L,8.83mol,3equiv)の溶液を、窒素で35分間スパージした。ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)(15.3g,0.0589mol,0.02当量)を添加し、得られた溶液を、更に20分間窒素でスパージした。反応混合物を4℃に冷却し、温度を10℃未満に維持しながら、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.854L,5.89mol,2当量)を滴下した。反応温度をゆっくりと80℃まで昇温し、17時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、生成した3-メチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリンを単離せずに次工程に用いた。
【0176】
2’-アミノ-4-メトキシ-6’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボニトリル
【化211】
上で得られた反応混合物を0℃に冷却した。水(0.5L)を注意深く添加し、得られた溶液を窒素で20分間スパージした。2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(193g,0.471mol,0.16当量),SPhosPdG2(170g,0.236mol,0.08当量)、及び炭酸カリウム(407g,2.944mol,1当量)を添加し、反応混合物を、更に20分間窒素でスパージした。反応物を85℃で20時間還流し、室温まで冷却し、セライトパッドを通してろ過した。ろ液をジエチルエーテル(5L)で希釈し、飽和ブライン(1.8L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下濃縮した。得られた赤色濃厚油状物を温トルエン(4.5L)に溶解し、ろ過し、ろ液を水(2×2.5L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下濃縮して、2’-アミノ-4-メトキシ-6’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボニトリルを褐色固体(850g)として得、これを次工程に用いた。
【0177】
8-メトキシ-1-メチルフェナントリジン-6-アミン
【化212】
鉱油(40g,1mol,0.34当量)中の水酸化ナトリウムの60%分散物を、無水テトラヒドロフラン(4L)中の粗2’-アミノ-4-メトキシ-6’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボニトリル(850g)の溶液に0℃で数回に分けて添加した。室温で20時間攪拌後、反応混合物を0℃に冷却し、水(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(6L)で希釈した。混合物を飽和ブライン(2.5L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、ヘプタン(2×2L)、ジエチルエーテルとヘプタンの1対4混合物(2L)、及びトルエンとヘプタンの1対1混合物(2.4L)で順次粉砕し、8-メトキシ-1-メチルフェナントリジン-6-アミン(390g,3工程後の収率55.7%)を褐色固体として得た。
【0178】
メチル3-ブロモ-4-オキソブタノエート
【化213】
臭素(21.6mL,0.421mol,1当量)を、ジクロロメタン(1.8L)中のエチル4-オキソブタノエート(48.9g,0.421mol,1当量)の溶液に添加した。反応物を、室温で45分間攪拌した後、5~8℃で減圧下濃縮した。残渣の黄色濃厚油状物(83g)メチル3-ブロモ-4-オキソブタノエートを、更なる精製は行わずに次工程に用いた。
【0179】
メチル2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)アセテート
【化214】
アセトニトリル(0.75L)中のメチル3-ブロモ-4-オキソブタノエート(83g,0.84mol,1.25当量)の溶液を、アセトニトリルとTHFの6対1混合物(7L)中の8-メトキシ-1-メチルフェナントリジン-6-アミン(160g,0.67mol)と重炭酸ナトリウム(142g,1.69mol,2.5当量)の懸濁物に40℃で添加した。18時間の還流後、反応混合物を5℃に冷却し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、得られた固体をジエチルエーテルとヘプタンの1対1混合物(1L)で粉砕し、ろ過した。ろ過ケーキを、ジエチルエーテルとヘプタンの1対2.5混合物(0.7L)で洗浄し、乾燥し、ジクロロメタン(1.3L)に溶解した。得られた溶液を、硫酸ナトリウム(50g)上で乾燥し、減圧下濃縮して、メチル2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)アセテート(139g,62%収率)を明るい褐色の固体として得た。
【0180】
2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-2-メチルプロパネート
【化215】
THF(1.7L,1.7mol,4当量)中の1Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを、無水THF(2L)中のメチル2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)アセテート(139g,0.416mol,1当量)の溶液に、0℃で滴下した。反応物を室温で1時間攪拌した。ヨウ化メチル(105mL,1.7mol,4当量)を0℃で滴下した。室温にて2時間攪拌後、反応物をメタノール(0.1L)でクエンチした。反応混合物を、ジクロロメタン(1L)と水(1L)で希釈した。層分離後、有機層を水(1L)と飽和ブライン(0.8L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(50g)上で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、ジクロロメタン(1L)中の5%メタノールに溶解し、シリカゲル(250g)のプラグを通してろ過した。ろ液を硫酸ナトリウム(50g)上で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をトルエン(2L)に溶解し、ろ過した。不溶物を廃棄し、ろ液を減圧下濃縮して、メチル2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-2-メチルプロパノエート(136.5g,91%収率)を淡黄色として得た。
【0181】
3-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-3-メチルブタン-2-オン
【化216】
ジエチルエーテル(0.71L,1.13mol,3当量)中の1.6Mのメチルリチウムを、無水THF(2L)中のメチル2-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-2-メチルプロパノエート(136.5g,0.38mol,1当量)の懸濁物に、-30℃で2.5時間かけてゆっくりと添加した。-20℃で更に3時間攪拌した後、反応物をメタノール(50mL)でクエンチした。反応混合物を、ジクロロメタン(1L)と水(1L)で希釈した。層分離後、有機層を水(1L)、飽和ブライン(0.8L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(100g)上で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、トルエン(250mL)から共沸して、3-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-3-メチルブタン-2-オン(102.9g,79%収率)を淡黄色固体として得た。
【0182】
3-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン
【化217】
カリウムtert-ブトキシド(106.8g,0.952mol,3.2当量)を、無水THF(2.9L)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(318.7g 0.892mol,3当量)の懸濁物に、室温で添加した。40分間攪拌した後、3-(11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン-3-イル)-3-メチルブタン-2-オン(102.9g,0.297mol,1当量)を添加し、反応物を58℃で17時間攪拌した。反応混合物を水(1.5L)とジクロロメタン(2L)で希釈した。層分離後、有機層を水(1L)、飽和ブライン(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(200g)上で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、ヘプタン中25~60%エチルアセテートのグラジエントで溶出するシリカゲル(500g)で精製し、3-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン(81.1g,79%収率)を得た。
【0183】
10-メトキシ-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン
【化218】
3-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-11-メトキシ-8-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジン(119.3g,0.387mol,1.0当量)を、イートン試薬(1L)に添加した。反応物を室温で20時間攪拌した。反応混合物を、注意深く氷上に注ぎ、50%水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水性混合物を、ジクロロメタン(2×2L)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム(200g)上で乾燥し、減圧下濃縮して、10-メトキシ-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン(116.1g,97%収率)を明るい黄色固体として得た。
【0184】
3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-オール
【化219】
ジクロロメタン(950mL,0.95mol,4当量)中の1Mの三臭化ホウ素を、ジクロロメタン(2.3L)中の10-メトキシ-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン(80g,233mmol,1.0当量)の溶液に、-78℃で滴下した。反応物を室温まで加温し、一晩攪拌した。メタノール(0.8L)を注意深く添加して反応をクエンチした後、1Mの水酸化ナトリウム(1.6L)を添加した。得られた混合物を1時間激しく攪拌した。有機層を分離し、飽和ブライン(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下濃縮して、3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-オール(77g,100%収率,95%純度)を淡黄色固体として得た。
【0185】
10-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン
【化220】
2-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール(1.11g,3.41mmol)、3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-オール(1.13g,3.41mmol)、ピコリン酸(0.630g,5.12mmol)、銅(I)ヨージド(0.195g,1.02mmol)、及びリン酸三カリウム一水和物(2.75g,11.95mmol)を、DMSO(30mL)中で合わせて溶解した後、反応容器を隔膜で封止し、連続的な脱気により脱ガスし、N
2を再充填した。N
2雰囲気下、フラスコを150℃に加熱し、16時間攪拌した。反応物を室温に冷却し、混合物を、DCMを含む分液漏斗に移し、飽和NH
4Clで希釈した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を水とブラインで洗浄した。乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、及び濃縮を行い、粗油状物とし、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、1.42g(72%収率)の10-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジンを白色固体として得た。
【0186】
10-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン
【化221】
10-(4-フルオロ-3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン(1.42g,2.47mmol)及び攪拌子を含むフラスコに、4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(0.079g,0.415mmol)を秤量した。メタノール(40mL)を添加した後、混合物を70℃に加熱し、一晩攪拌した。室温まで冷却した後、1.0mLのトリエチルアミンを添加した。反応混合物を、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、1.15gのオフホワイトの固体として、純度88%(79%収率)で、所望の10-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジンを得た。12%の不純物が出発材料として同定され、更なるカラムクロマトグラフィーで除去することができたか、又は次工程以降の反応物中に残存した。
【0187】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソブチル-4-((3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-イル)オキシ)アニリン
【化222】
10-(4-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジンを、ジグリム(40ml)中に懸濁させた後、イソブチルアミン(20ml,201mmol)を添加した。反応物を、迅速な連続的脱気/再充填サイクルにより脱ガスした後、塩化イソプロピルマグネシウム(6ml,12.00mmol)を添加した。次いで、反応混合物を110℃に3時間で加熱した後、一晩で150℃に加熱した。rtまで冷却後、水でクエンチした。溶媒除去後、DCMに溶解し、分液漏斗に移し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮を行った。カラムクロマトグラフィーで精製して、0.29g(40%)の2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソブチル-4-((3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-イル)オキシ)アニリンをオフホワイトの固体として得た。
【0188】
5-(2,6-ジメチルフェニル)-6-イソプロピル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化223】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソプロピルアニリン(250mg,1.242mmol)を、シュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させた。THF(4mL)を添加し、無色透明溶液を得、これを-78℃に冷却し、続いてブチルリチウム(シクロヘキサン中2.0M,1.25ml,2.50mmol)を滴下し、溶液を-78℃で1時間攪拌させた。分離シュレンクフラスコに、カリウム2,6-ジメチルフェニルトリフルオロボレート(280mg,1.320mmol)を入れた。真空/N
2を3回循環させた後、THF(4mL)を添加し、無色透明溶液を得た。塩化リチウム(THF中0.5M,3.00ml,1.500mmol)溶液を、シリンジで添加し、混合物をRTで30分間攪拌して、淡黄色の僅かに濁った溶液を得た。次に、この混合物を、シリンジでジアニオンに滴下し、得られた混合物を50℃で16時間油浴に置き、続いてRTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、3×20mLのDCMで抽出した。有機物を合わせて、Na
2SO
4上で乾燥した。溶媒除去により、ゴム状の黄色残渣を得、カラムクロマトグラフィーで精製して、無色結晶性固体306mg(78%)を得た。
【0189】
5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-8-メチル-6-フェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化224】
2-(1H-イミダゾール-2-イル)-5-メチル-N-フェニルアニリン(1.00g,4.01mmol)を、250mLのシュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させた。無水THF(10mL)を添加し、無色溶液を得た。-78℃に冷却し、ブチルリチウム(シクロヘキサン中2M,4.00mL,8.00mmol)を滴下した。-78℃で1時間攪拌した。この間、分離シュレンク管に、固体塩化リチウムを(210mg,4.95mmol)を入れ、ヒートガンで真空下5分間加熱した。カリウム2,6-ジイソプロピルフェニルトリフルオロボレート(1.13g,4.21mmol)を添加した後、15mLのTHFを添加した。ジアニオンを1時間攪拌した後、トリフルオロボレート/塩化リチウム混合物をカニューレで移し、混合物をRTまで加温させた。RTで1時間攪拌後、50℃まで16時間加熱した。RTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした。DCMで3回抽出し、有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、黄色残渣を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。無色固体(1.32g,78%)を得た。
【0190】
5-(2,6-ジメチルフェニル)-6-イソプロピル-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-c]ピリド[3,2-e][1,3,2]ジアザボリニン
【化225】
3-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソプロピルピリジン-2-アミン(200mg,0.989mmol)をシュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させ、続いて4mLのTHFを添加して、褐色溶液を得た。-78℃まで冷却し、ブチルリチウム(シクロヘキサン中2M,1.00ml,2.000mmol)を滴下した。-78℃で15分間攪拌した。この間、カリウム2,6-ジメチルフェニルトリフルオロボレート(231mg,1.089mmol)を、分離シュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させた。1.5mLのTHFを添加した後、塩化リチウム(THF中0.5M,2.5ml,1.250mmol)溶液をシリンジで添加した。Rtで10分間攪拌した。次いで、トリフルオロボレート/塩化リチウム混合物を、ビス-アミド溶液を-78℃にてシリンジで滴下し、混合物を50℃まで16時間加熱した。RTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした。DCMで3回抽出し、有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、黄色残渣を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、無色固体を(192mg,61%)を得た。
【0191】
6-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-5-メチル-5,6,8,9,10,11-ヘキサヒドロベンゾ[e]ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化226】
N-メチル-2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アニリン(525mg,2.310mmol)を250mLのシュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させた。無水THF(20mL)を添加し、黄色溶液を得た。-78℃まで冷却し、ブチルリチウム(シクロヘキサン中2M,2.35ml,4.70mmol)を滴下した。-78℃で1時間攪拌した。この間、分離シュレンク管に、固体塩化リチウム(196mg,4.62mmol)を入れ、ヒートガンで真空下5分間加熱した。カリウム2,6-ジイソプロピルフェニルトリフルオロボレート(867mg,3.23mmol)を添加した後、10mLのTHFを添加した。ジアニオンを1時間攪拌した後、トリフルオロボレート/塩化リチウム混合物をカニューレで移し、混合物をRTまで加温させた。RTで1時間攪拌後、50℃まで16時間加熱した。RTまで冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした。DCMで3回抽出し、有機物を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒除去により、黄色残渣を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。無色固体(740mg,81%)を得た。
【0192】
5-(2,6-ジメチルフェニル)-6-メチル-2-フェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化227】
カリウム2,6-ジメチルフェニルトリフルオロボレート(55mg,0.259mmol)及びN-メチル-2-(4-フェニル-1H-イミダゾール-2-イル)アニリン(50mg,0.201mmol)を、分離シュレンク管に入れ、真空/N
2を3回循環させた後、1mLのTHFをそれぞれに添加し、無色溶液を得た。トリフルオロボレート塩溶液に、塩化リチウム(0.550ml,0.275mmol)の0.5MのTHF溶液を、RTで20分間攪拌した。この間、イミダゾロアニリン(imidazoloaniline)溶液を-78℃に冷却した後、ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,0.260ml,0.416mmol)を滴下して、明るい黄色溶液を得た。-78℃で20分間攪拌した後、トリフルオロボレート/塩化リチウム混合物をシリンジで滴下して、明るい緑色混合物を得、これはRTに加温後、黄色になった。60℃に24時間で加熱した。RTに冷却し、飽和NH
4Cl水溶液でクエンチした後、DCMに3回抽出した。Na
2SO
4上で乾燥し、溶媒除去により、黄色泡状物を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製して、無色泡状物35mg(48%)を得た。
【0193】
5-([1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-2’-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化228】
キシレン(25mL)中の[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-2’-イルボロン酸(1.6g,5.3mmol)及び2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン(1.0g,5.8mmol)の溶液を、栓を備えた目盛り付きディーン・スターク装置内で加熱還流した。ディーン・スタークトラップは、6時間の間毎時間、栓を介してドレインした(反応物が乾燥したら新しいキシレンを添加した)。反応混合物を24時間加熱還流した後、濃縮した。残渣をDCM(10mL)中に懸濁し、ろ過した。ろ液を、カラムクロマトグラフィーで精製して、5-([1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-2’-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(1.6g,3.9mmol,73%収率,99.6%HPLC)を無色固体として得た。
【0194】
5-(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化229】
キシレン(50mL)中の(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ボロン酸(2.1g,7.4mmol)及び2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン(1.5g,8.7mmol)の溶液を、栓を備えた目盛り付きディーン・スターク装置内で1時間加熱還流した。ディーン・スタークトラップをドレインし(キシレン12mLを除去した)、還流を更に1時間続け、トラップを再度ドレインした(12mL)。反応物を冷却し、新しいキシレン(50L)を添加した。還流を続け、キシレンを更に12mL、トラップからドレインした後、還流を一晩続けた。ほぼ全ての溶媒が装置から出ると、褐色の結晶性固体が残った。この物質を、DCM(50mL)に懸濁し、固体をろ過で除去した。ろ液を、カラムクロマトグラフィーで精製して、5-(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(2.1g,5.0mmol,67%収率,99.5%HPLC)を無色固体として得た。
【0195】
5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-メチル-2,3-ジフェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化230】
THF(40mL)中の2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルアニリン(3.12g,9.59mmol)の溶液に、-78℃で、
nBuLi(ヘキサン中2.1M,9.0mL,19mmol)を滴下し、混合物をこの温度で30分間攪拌した(混合物1)。一方、乾燥THF(20mL)中のカリウム(2,6-ジイソプロピルフェニル)トリフルオロボレート(2.70g,10.1mmol)の溶液に、TMS-Cl(1.3mL,11mmol)を添加し、混合物をRTで15分間攪拌した(混合物2)。混合物2を混合物1に滴下し、反応混合物をRTに加温させた後、60℃で3時間攪拌した。反応混合物をRTまで冷却し、水(100mL)で希釈し、EtOAc(3×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を濃縮して、粗5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-メチル-2,3-ジフェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(3.04g,5.09mmol,54%収率,83%UPLC純度)を白色固体として得た。
5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-メチル-2,3-ジフェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(3.0g,83%純度;0.3g,92%純度;0.5g,94%純度;0.6g,98%純度;0.2g,83%純度)の5つのバッチを、温THF(30mL)に完全に溶解させた。THFを蒸発させ、残渣をMeCN(6mL)に懸濁し、30分間攪拌した。固体をろ過で回収し、MeCN(10mL)に再懸濁し、30分間攪拌した。固体をろ過で回収し、真空デシケーターで乾燥させて、5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-メチル-2,3-ジフェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(3.92g,7.88mmol,85%収率,99.6%HPLC)を白色固体として得た。。
【0196】
9-((9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール-2-イル)オキシ)-5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-フェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン
【化231】
塩化リチウム(.11g,2.59mmol)及び(2,6-ジイソプロピルフェニル)トリフルオロ-l4-ボラン,カリウム塩(.48g,1.790mmol)を、N
2雰囲気下、無水THF(10ml)に溶解させた。得られた濁った溶液を30分間rtで攪拌した。同時に、4-((9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール-2-イル)オキシ)-2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-フェニルアニリン(.68g,1.237mmol)を、無水THF(10ml)に溶解し、-78℃まで冷却した。n-ブチルリチウム(1.3ml,2.60mmol)をシリンジで添加し、得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、この時点で、ボロネート/LiCl溶液をカニューレで移した。合わせた混合物を、-78℃で更に5分間攪拌した後、rtまで加温後、60℃に一晩加熱した。反応物をrtに冷却後、NH
4Cl水溶液でクエンチした。DCMと水で希釈し、分液漏斗に移した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮を行い、カラムクロマトグラフィーで精製して、0.65g(73%収率)の9-((9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール-2-イル)オキシ)-5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-フェニル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニンを白色固体として得た。
【0197】
10-((5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-イソブチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン-9-イル)オキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン
【化232】
塩化リチウム(0.069g,1.63mmol)及び(2,6-ジイソプロピルフェニル)トリフルオロ-l4-ボラン,カリウム塩(0.200g,0.747mmol)を、N
2雰囲気下、無水THF(6ml)に溶解させた。得られた濁った溶液をrtで45分間攪拌した。同時に、2-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-イソブチル-4-((3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン-10-イル)オキシ)アニリン(.29g,0.533mmol)を、無水THF(40ml)に溶解し、-78℃まで冷却した。n-ブチルリチウム(0.6ml,2.60mmol)をシリンジで添加し、得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、この時点で、ボロネート/LiCl溶液をカニューレで移した。合わせた混合物を、-78℃で更に5分間攪拌した後、rtまで加温後、60℃に一晩加熱した。反応物をrtに冷却後、NH
4Cl水溶液でクエンチした。DCMと水で希釈し、分液漏斗に移した。層分離後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)、ろ過、濃縮を行い、カラムクロマトグラフィーで精製して、0.302g(79%収率)の10-((5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-イソブチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン-9-イル)オキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジンを白色固体として得た。
【0198】
5-(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)-5H-ベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]オキサザボリニン
【化233】
ジメチル(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ボロネート(.727g,2.284mmol)を、N
2雰囲気下、塩化鉄(III)(.018g,0.111mmol)と合わせ、無水ジクロロメタン(15ml)に溶解させた。得られた混合物を0℃まで冷却した。トリクロロボラン(ヘプタン中1.0M,4.6ml,4.60mmol)を添加した後、反応物を0℃で1時間攪拌し、次いで、rtまで加温し、3時間攪拌した。揮発性溶媒と試薬を真空蒸留で除去し、次いで、無水トルエン(20ml)を添加後、2-(1H-イミダゾール-2-イル)フェノール(0.366g,2.284mmol)と2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(DBU,1.025ml,6.85mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、N
2下にて一晩還流した。反応物をrtまで冷却し、濃縮し、そのままカラムクロマトグラフィーで精製して、0.248g(26%)の5-(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)-5H-ベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]オキサザボリニンを無色油状物として得、これをゆっくりと白色固体に結晶化させた。
【0199】
2,3-ジフェニル-5-(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)-5H-ベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]オキサザボリニン
【化234】
ジメチル(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ボロネート(1.77g,5.56mmol)を、N
2雰囲気下、塩化鉄(III)(.065g,0.401mmol)と合わせ、無水ジクロロメタン(15ml)に溶解させた。得られた混合物を0℃まで冷却した。トリクロロボラン(ヘプタン中1.0M,14ml,14.00mmol)を添加し、次いで、反応物を0℃で1時間攪拌後、rtまで加温し、22時間攪拌した。揮発性溶媒と試薬を真空蒸留で除去し、次いで、無水トルエン(20ml)を添加後、2-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノール(1.737g,5.56mmol)及び2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(DBU,3.0ml,20.mmol)を添加した。反応混合物を、N
2下にて一晩還流した。反応物をrtまで冷却し、そのままカラムクロマトグラフィーで精製して、0.245g(7.8%)の2,3-ジフェニル-5-(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)-5H-ベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]オキサザボリニンを白色固体として得た。
【0200】
2-ブロモ-3,5-ジメチルピリジン
【化235】
2-(ジメチルアミノ)エタン-1-オール(5.37ml,53.4mmol)を、窒素下にて、ヘプタン(250ml)に溶解し、氷/水浴中で冷却した。ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液,42.7ml,107mmol)を、数回に分けて添加したところ、淡黄色の濁った混合物になった。30分間冷却状態で攪拌後、3,4-ジメチルピリジン(5ml,44.5mmol)をゆっくりと添加し、黄色沈殿物を生成した。混合物を1時間冷却攪拌した後、
iPrOH/CO
2浴中で冷却した。これとは別に、パーブロモメタン(22.14g,66.8mmol)をTHF(50ml)に溶解し、カニューレで添加し、手攪拌を要する暗色塊を生成した。再度攪拌して、混合物を室温まで加温し、16時間攪拌して、水とブラインでクエンチした。混合物をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥し、真空下濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色/褐色油状物2.10g(25%)を得、これは約10%の異性体不純物を含んだ。この物質を、更なる精製を行わずに用いた。
【0201】
9-(4,5-ジメチルピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール
【化236】
2-ブロモ-4,5-ジメチルピリジン(2.112g,11.35mmol)(~90%純度)、9H-カルバゾール(1.46g,8.73mmol)、リチウム2-メチルプロパン-2-オレート(1.398g,17.46mmol)、及びヨウ化銅(I)(0.665g,3.49mmol)を、窒素フラッシュ済みフラスコ中で合わせた。1-メチル-1H-イミダゾール(0.693ml,8.73mmol)をシリンジで添加し、トルエン(21.83ml)をカニューレで添加した。暗褐色混合物を3日間還流した後、NH4Cl水溶液とEtOAcとの間で分液した。濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、1.91gのほぼ白色の固体(80%)を得た。
【0202】
[(NBN)
2IrCl]
2の代表的合成:
【化237】
IrCl
3(MeCN)
3(0.170g,0.403 mmol)及び5-(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(0.507g,1.209mmol)を、ジグリム(3mL)中で合わせ、混合物を16時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、3mLのMeOHを添加した。ろ過とMeOHによる洗浄を行い、345mgのイリジウムダイマーを黄色固体として得た(80%)。
【0203】
ソルベント-[IrL
2]OTfの代表的合成:
【化238】
イリジウムダイマー(0.650g,0.305mmol)をDCM(25ml)に溶解し、MeCN(3.57ml)中の銀トリフレート(0.161g,0.626mmol)の溶液を添加し、混合物を室温で16時間攪拌し、ホイル中てカバーした。ほぼ無色の懸濁物を、セライトを通してろ過し、これをDCM/MeCNで洗浄した。溶媒除去後、DCM/ヘプタンから共沸して、淡黄色固体(定量収率)を得た。
【0204】
Ir(NBN)2(PyCz)の代表的合成:
【化239】
ソルベント-[IrL
2]OTf(0.027g,0.021mmol)と9-(4,5-ジメチルピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール(0.012g,0.043mmol)を、窒素下シュレンクフラスコ中で合わせた。トリエチルアミン(5.97μl,0.043mmol)及びジオキサン(1ml)をシリンジで添加し、混合物を16時間加熱還流した。溶媒を真空下除去し、残渣をセライト上にコートした。カラムクロマトグラフィーで精製することにより、10mgのIr[L
Aa12-B(76)(1)(15)(15)]
2[L
BB164]を黄色固体として得た(36%)。
【0205】
Ir(L)
3錯体の代表的合成:
【化240】
5-(3,5-ジイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-メチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(0.048g,0.114mmol)及びイリジウム前駆体(0.015g,0.033mmol;Brooksら,US20180090691)を、窒素下にてフェノール(0.5ml)中で合わせ、混合物を16時間加熱還流した。カラムクロマトグラフィーで精製することにより、Ir[L
Aa12-B(76)(1)(15)(15)]
3を黄色固体として得た。
【0206】
Ir(L
BB139)
2(acac)の合成:
【化241】
1,2-ジクロロベンゼン(120ml)中の4,4-ジメチル-3,3,7-トリス(メチル-d3)-2-フェニル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン(19.24g,48.2mmol)を、窒素で10分間スパージし、次いで、Ir
2(acac)
6(11.5g,11.75mmol)を添加し、窒素で更に10分間スパージした。反応物を180℃で24時間加熱した。カラムクロマトグラフィー後、MeOH中で粉砕することにより、明るい黄色固体として生成物12g(47%)を得た。
【0207】
ソルベント-[Ir(L
BB139)
2]OTf錯体の合成:
【化242】
IrL
2(acac)錯体(10g,9.19mmol)をアセトニトリル(40ml)中に懸濁させた。5mLのアセトニトリルに溶解させたトリフルオロメタンスルホン酸(1.784ml,20.21mmol)を、室温で混合物に滴下し、均一溶液を得、これを24時間攪拌した。混合物を、減圧下濃縮して、沈殿物をろ取し、ろ液が無色になるまで少量ずつのMTBEで洗浄して、6.9gの生成物を無色固体として得た(61%)。
【0208】
Ir(L
BB139)
n(NBN)
3-n錯体の代表的合成:
【化243】
ソルベント-[IrL
2]OTf錯体(1g,0.819mmol)及び5-(2,6-ジメチルフェニル)-6-(メチル-d3)-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン(0.476g,1.639mmol)を、圧力管中の1,2-ジクロロベンゼン(15ml)中で互いに混合し、Arで10分間スパージした。管を封止し、140℃で16時間攪拌した。反応混合物をセライトにコートし、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製した後、逆相クロマトグラフィーを行うことにより、前記両錯体を>99%純度で得た。
【0209】
四配座-(L)Ptの代表的合成:
【化244】
10-((5-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-6-イソブチル-5,6-ジヒドロベンゾ[e]イミダゾ[1,2-c][1,3,2]ジアザボリニン-9-イル)オキシ)-3,3,4,4,7-ペンタメチル-3,4-ジヒドロジベンゾ[b,ij]イミダゾ[2,1,5-de]キノリジン(0.302g,0.423mmol)及びPt(II)アセチルアセトネート(0.170g,0.432mmol)を、1,2-ジクロロベンゼン(2.0mL)に溶解させた。得られた溶液を、連続的脱気/再充填(N
2)の循環により脱ガスし、次いで、N
2雰囲気下で、反応物を3日間加熱還流した。混合物をrtまで冷却し、濃縮した後、そのままカラムクロマトグラフィーで精製して、金属錯体を黄色固体として得た。
【表1】
表1中の化合物の構造を以下に示す。
【化245】
【化246】
【化247】
【化248】
【化249】
b)本開示の例示デバイスの調製
【化250】
【0210】
OLEDを、シート抵抗15-Ω/sq.の酸化インジウムスズ(ITO)層がプレコートされたガラス基板上に成長させた。有機層の堆積又はコーティングに先立ち、基板を溶媒で脱脂して、次いで、酸素プラズマで1.5分間、50W、100mTorrで処理し、UVオゾンで5分間処理した。デバイスはいずれも、作成直後に窒素グローブボックス(H2OとO2が<1ppm)内にて、エポキシ樹脂で封止したガラス製蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージ内部に入れた。ドーピングパーセンテージは、体積パーセンテージである。
【0211】
表2の各デバイスは、高真空下(<10-6Torr)における熱蒸着で作成した。アノード電極は、750Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。デバイス実施例の有機層は、ITO表面から順に、100Å厚の化合物1(HIL)、250Å層の化合物2(HTL)、発光化合物を記載のパーセンテージドープした300Åの化合物3(EML)、50Åの化合物4(EBL)、300Åの化合物7(ETL)、10Åの化合物8又はLiF(電子/励起子注入層)、1,000ÅのAl(カソード)からなった。
【表2】
【0212】
表3の各デバイスは、高真空下(<10-6Torr)における熱蒸着で作成した。アノード電極は、750Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。デバイス実施例の有機層は、ITO表面から順に、100Å厚の化合物1(HIL)、250Å層の化合物2(HTL)、化合物5を20%、化合物6を10%、発光体を12%ドープした300Åの化合物3(EML)、50Åの化合物4(EBL)、300Åの化合物7(ETL)、10Åの化合物8又はLiF(電子/励起子注入層)、1,000ÅのAl(カソード)からなった。
【表3】
【0213】
表2のデータが示すように、本発明イリジウム化合物は、比較化合物1に比べて優れたエレクトロルミネセンス寿命を示す。これらの最大5.3倍の寿命の上昇、及び最大4.5倍のEQEの上昇は、N-及びB-置換の両方で広範囲に亘って観察され、ここでも、本発明イリジウム化合物が優れたイリジウム系リン光ドーパントであることを示している。更に、これらの望ましいエレクトロルミネセンス特性は、λmaxでの最大5nmの青色シフトを伴うことができ、本発明化合物を、より飽和度の高いディープブルーカラーポイントをターゲットとするディスプレイ用途にとって、より好適なものとする。
【0214】
表3の本発明Pt化合物は、同様の色を有するが、Ir化合物よりも狭いFWHMを有することが示される。したがって、イリジウム化合物と同様に、本発明白金化合物は、ディープブルー発光エレクトロルミネセンス用途にとって有望な候補である。
【0215】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【符号の説明】
【0216】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第1の導電層
164 第2の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード