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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】シート検知装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
B65H7/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154855
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048821
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 寛人
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-093655(JP,A)
【文献】特開2010-191202(JP,A)
【文献】特開2015-199550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を有し、シートが搬送されていない状態では待機位置にあり、搬送されるシートに当接されることで前記回動軸を中心に前記待機位置から第1方向に回動する回動部材と、
前記回動部材の回動を検知する検知部と、
前記回動軸を回動可能に支持する支持部材と、
前記回動部材を前記第1方向とは反対の第2方向に付勢する付勢部材と、
前記シートが前記回動部材を通過した後に、前記回動部材が前記待機位置を超えて前記第2方向に回動することを規制する規制部と、
を有し、
前記回動部材が前記待機位置にある場合に前記付勢部材によって前記回動軸に作用する第1の力の方向と、前記回動部材が前記規制部に当接して前記第2方向の回動を停止するときに前記回動部材が前記規制部から受ける第2の力の方向とが、略同一方向である、
ことを特徴とするシート検知装置。
【請求項2】
回動軸を有し、シートが搬送されていない状態では待機位置にあり、搬送されるシートに当接されることで前記回動軸を中心に前記待機位置から第1方向に回動する回動部材と、
前記回動部材の回動を検知する検知部と、
前記回動軸を回動可能に支持する支持部材と、
前記回動部材を前記第1方向とは反対の第2方向に付勢する付勢部材と、
前記シートが前記回動部材を通過した後に、前記回動部材が前記待機位置を超えて前記第2方向に回動することを規制する規制部と、
を有し、
前記回動部材の回動軸線方向に見た場合に、前記回動部材が前記待機位置にある場合に前記付勢部材によって前記回動軸に作用する第1の力の方向と、前記回動部材が前記規制部に当接して前記第2方向の回動を停止するときに前記回動部材が前記規制部から受ける第2の力の方向との間の角が20度以下であ
前記付勢部材を第1の付勢部材として、前記回動部材を前記第2方向に付勢する第2の付勢部材をさらに有し、
前記支持部材は、前記回動部材の回動軸線方向における前記回動軸の一方の端部を支持する第1の軸受部と、前記回動軸の他方の端部を支持する第2の軸受部と、を有し、
前記第1の付勢部材は、前記回動軸の前記一方の端部に設けられ、
前記第2の付勢部材は、前記回動軸の前記他方の端部に設けられ、
前記回動部材は、前記シートに当接される第1の当接部と、前記規制部と当接する第2の当接部と、を有し、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、前記回動部材の回動軸線方向に関して前記第1の付勢部材と同じ側に配置され、
前記第1の付勢部材の付勢力は、前記第2の付勢部材の付勢力より大きい、
ことを特徴とするシート検知装置。
【請求項3】
前記回動部材の回動軸線方向に見た場合に、前記第1の力の方向と前記第2の力の方向との間の角が10度以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート検知装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記回動軸の周りに取付けられると共に、一端部を前記支持部材に取り付けられ、他端部を前記回動部材に取付けられた捩りコイルバネである、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項5】
前記回動部材が前記待機位置にある状態で前記回動部材の回動軸線方向に見た場合、前記規制部及び前記捩りコイルバネの前記端部は、前記回動部材の回動軸線を挟んで前記シートが搬送される搬送路とは反対側に設けられ、前記捩りコイルバネの前記端部は、前記回動部材の回動軸線に対して前記搬送路と同じ側に設けられ、
前記捩りコイルバネの前記端部は、前記搬送路における前記シートの搬送方向に関して前記回動部材を下流側に押圧し、
前記捩りコイルバネの前記端部は、前記搬送方向に関して前記支持部材を下流側に押圧している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート検知装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記回動部材に設けられた遮光部によって遮光される光学センサである、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート検知装置と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを検知するシート検知装置、及び、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリン夕、ファクシミリ等の画像形成装置において、記録媒体として用いる印刷用紙等のシートが搬送経路上の所定位置を通過したこと及びそのタイミングを検知するシート検知装置(媒体検知装置)が用いられている。画像形成装置は、シート検知装置の検知結果に基づいて、装置内におけるシートの搬送状態を監視して搬送遅れ、重送、ジャム等を検知し、画像形成動作を制御する。
【0003】
シート検知装置としては、シートに接触することで回動する回動部材(レバー部材、フラグ部材とも呼ばれる)と、回動部材の回動を検知するフォトインタラプタ等の光学センサとを組み合わせたものが知られている。特許文献1には、搬送中の記録媒体の先端と当接して回動するセンサレバーと、センサレバーの回動によって透過状態と遮光状態とが切り替わる光学センサと、を有する媒体検知装置が記載されている。上記文献によると、センサレバーを所定の回動方向に付勢するスプリングが設けられ、記録媒体通過後はスプリングの付勢力によってセンサレバーが待機位置に復帰すると共に、センサレバーがストッパと当接することで待機位置に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-25568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献に記載の構成では、スプリングの付勢力によりセンサレバーが受ける力の方向と待機位置への復帰時にストッパからセンサレバーが受ける力の方向とが異なっていた。このことは、センサレバーが待機位置に復帰する際にセンサレバーの回動軸と軸受け部との遊びに起因する振動を発生させ、センサレバーの動作音が大きくなる一因となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、シート検知に伴う動作音を低減可能なシート検知装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、回動軸を有し、シートが搬送されていない状態では待機位置にあり、搬送されるシートに当接されることで前記回動軸を中心に前記待機位置から第1方向に回動する回動部材と、前記回動部材の回動を検知する検知部と、前記回動軸を回動可能に支持する支持部材と、前記回動部材を前記第1方向とは反対の第2方向に付勢する付勢部材と、前記シートが前記回動部材を通過した後に、前記回動部材が前記待機位置を超えて前記第2方向に回動することを規制する規制部と、を有し、前記回動部材が前記待機位置にある場合に前記付勢部材によって前記回動軸に作用する第1の力の方向と、前記回動部材が前記規制部に当接して前記第2方向の回動を停止するときに前記回動部材が前記規制部から受ける第2の力の方向とが、略同一方向である、ことを特徴とするシート検知装置である。
【0008】
本発明の他の一態様は、回動軸を有し、シートが搬送されていない状態では待機位置にあり、搬送されるシートに当接されることで前記回動軸を中心に前記待機位置から第1方向に回動する回動部材と、前記回動部材の回動を検知する検知部と、前記回動軸を回動可能に支持する支持部材と、前記回動部材を前記第1方向とは反対の第2方向に付勢する付勢部材と、前記シートが前記回動部材を通過した後に、前記回動部材が前記待機位置を超えて前記第2方向に回動することを規制する規制部と、を有し、前記回動部材の回動軸線方向に見た場合に、前記回動部材が前記待機位置にある場合に前記付勢部材によって前記回動軸に作用する第1の力の方向と、前記回動部材が前記規制部に当接して前記第2方向の回動を停止するときに前記回動部材が前記規制部から受ける第2の力の方向との間の角が20度以下であ前記付勢部材を第1の付勢部材として、前記回動部材を前記第2方向に付勢する第2の付勢部材をさらに有し、前記支持部材は、前記回動部材の回動軸線方向における前記回動軸の一方の端部を支持する第1の軸受部と、前記回動軸の他方の端部を支持する第2の軸受部と、を有し、前記第1の付勢部材は、前記回動軸の前記一方の端部に設けられ、前記第2の付勢部材は、前記回動軸の前記他方の端部に設けられ、前記回動部材は、前記シートに当接される第1の当接部と、前記規制部と当接する第2の当接部と、を有し、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、前記回動部材の回動軸線方向に関して前記第1の付勢部材と同じ側に配置され、前記第1の付勢部材の付勢力は、前記第2の付勢部材の付勢力より大きい、ことを特徴とするシート検知装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート検知に伴う動作音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るシート給送装置の斜視図。
図2】実施例1に係るシート給送装置の断面構成を表す概略図。
図3】実施例1に係るシートセンサ部の斜視図。
図4】実施例1に係るセンサレバーの動作を表す図(a、b)。
図5】実施例1に係るセンサレバーに作用する力の方向を説明するための図(a~c)。
図6】復帰バネから受ける力の方向と復帰時にストッパから受ける力の方向との間の角度と、センサレバー戻り音の騒音レベルとの関係を示すグラフ。
図7】比較例に係るセンサレバーに作用する力の方向を説明するための図(a~c)。
図8】実施例2に係るシートセンサ部の斜視図。
図9】実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(画像形成装置)
図9は、本開示の実施形態に係る画像形成装置200の断面構成を示す概略図である。画像形成装置200は、外部機器から入力される画像情報に基づいて、記録媒体であるシートSに画像を形成(記録)する中間転写方式の電子写真プリンタである。記録媒体としては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを使用可能である。
【0013】
画像形成装置200は、画像形成部19と、定着部40と、カセット給送部10及びマルチパーパス給送部(手差し給送部とも呼ばれる)100と、排出部50と、を備えている。画像形成部19は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各色のトナー像を作成する4つのプロセスカートリッジ20と、中間転写ユニット30と、を含むタンデム型中間転写方式の構成を有する。各プロセスカートリッジ20は、像担持体(電子写真感光体)としての感光ドラム21と、帯電器22と、現像器24と、を有しており、4つのプロセスカートリッジ20の下方に露光ユニット23が配置されている。画像形成装置200が画像形成動作を実行する場合、感光ドラム21が回転し、帯電器22が感光ドラム21の表面を一様に帯電させる。露光ユニット23は画像情報に基づいて変調した光を照射して感光ドラム21を露光し、感光ドラム21の表面に静電潜像を書き込む。現像器24は、帯電したトナーを含む現像剤を用いて、感光ドラム21に担持されている静電潜像をトナー像に現像する。
【0014】
中間転写ユニット30は、中間転写体としての中間転写ベルト31を有する。各プロセスカートリッジ20において感光ドラム21に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト31を挟んで感光ドラム21に対向する一次転写ローラ26により、中間転写ベルト31へと一次転写される。このとき、各色のトナー像が互いに重なり合うように多重転写されることで、中間転写ベルト31の表面にフルカラー画像が形成される。中間転写ベルト31に担持されたフルカラー画像は、中間転写ベルト31の回転により、二次転写部へ向けて搬送される。二次転写部は、中間転写ベルト31の外周面に接する二次転写ローラ33と、中間転写ベルト31を挟んで二次転写ローラ33と対向する対向ローラ32との間に形成されるニップ部である。
【0015】
上記の画像形成プロセスに並行して、カセット給送部10又はマルチパーパス給送部100から1枚ずつシートSが給送される。図1の搬送経路aは、マルチパーパス給送部100から給送されるシートSが画像形成されて排出されるまでの経路の例を表している。
【0016】
マルチパーパス給送部100は、シート支持部としてのトレイ105にセットされたシートSを1枚ずつ給送する。即ち、シートSはピックアップローラ101によりトレイ105から給送された後、給送ローラ102および分離ローラ103によって1枚のみに分離され、シートセンサ部120を通過してさらに下流へ搬送される。シートセンサ部120の構成については後で詳述する。そして、シートSは、搬送ローラ対13を介してレジストレーションローラ対14へと搬送される。
【0017】
シートSの先端が停止状態のレジストレーションローラ対14のニップ部に突き当てられる。そして、さらに上流の搬送ローラ対13がシートSを押し込むことで、レジストレーションローラ対14と搬送ローラ対13の間でシートSに撓み(以下ループと記載)を形成させる。シートSのループ形成に伴い、シートSの先端がニップ部に揃うようシートSの斜行が補正される。その後、レジストレーションローラ対14は、画像形成部19による画像形成プロセスに同期したタイミングでシートSを搬送する。
【0018】
画像形成部19において中間転写ベルト31上に形成された画像は、二次転写部において、レジストレーションローラ対14によって二次転写部に搬送されてきたシートSに二次転写される。二次転写部を通過したシートSは定着部40に送られる。定着部40は、定着ローラ41と、定着ローラ41に圧接する加圧ローラと、定着ローラ41を介してシートS上の画像を加熱する加熱手段(例えば、ハロゲンランプ)を有し、シートSを搬送しながら画像を加熱及び加圧する。これによりトナーが溶融し、その後固着することで、シートSに定着した画像が得られる。定着部を通過したシートSは排出部50に搬送され、排出ローラ対15によって装置本体201から排出され、装置本体201の上部に設けられた積載台51に積載される。
【0019】
なお、カセット給送部10からシートを給送する場合、カセット11に収納されているシートを給送ローラ12によって1枚ずつ給送し、搬送ローラ対13によってさらに搬送する。以降は、マルチパーパス給送部100から給送されるシートSと同様の過程で画像形成された後、装置本体201から排出されて積載台51に積載される。
【0020】
また、画像形成装置200の図1における右側の側部は、装置本体201に対して開閉可能なカバーユニット70として構成されている。カバーユニット70は、ヒンジ等の開閉構成により、点線で示す境界70bで装置本体201から分離することができる。これにより、搬送経路aを構成する搬送路の少なくとも一部が開放されるため、画像形成装置200の内部で詰まったシートの処理を容易に行うことができる。
【0021】
以上の説明において、画像形成部19は画像形成手段の一例であり、直接転写方式の電子写真ユニットや、インクジェット方式又はオフセット印刷方式の画像形成ユニットを用いても良い。
【0022】
(シート給送装置)
本実施形態に係るシートセンサ部120を適用可能なシート給送装置の一例として、マルチパーパス給送部100の構成を図1及び図2を用いて説明する。図1はマルチパーパス給送部100の斜視図であり、図2図1に矢印Aで表す断面における断面図である。また、図1はトレイ105を省略したマルチパーパス給送部100を下方側(図2の矢印I参照)から見た斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、マルチパーパス給送部100は、ピックアップローラ101、給送ローラ102、分離ローラ103、昇降プレート106、ローラホルダ107、トルクリミッタ104、トレイ105等を備えている。ピックアップローラ101は、昇降プレート106に保持されるローラ軸101Aによって回転可能に支持されている。昇降プレート106は、給送ローラ102を支持するローラ軸102Aを中心にして略上下方向に揺動可能であり、枠体150に支持される加圧バネ113の付勢力Pによって下方側に付勢されている。昇降プレート106には駆動ギア列116が設けられており、ローラ軸102Aに入力される回転は駆動ギア列116を介してピックアップローラ101に伝達される。
【0024】
分離ローラ103は、トルクリミッタ104を介して、ローラホルダ107に固定されたローラ軸103Aに支持されている。ローラホルダ107は、軸107aを中心にして画像形成装置の枠体に対して回動可能に支持され、加圧バネ112によって上方側に付勢されている。これにより、分離ローラ103は、給送ローラ102に所定のニップ圧で当接し、給送ローラ102と分離ローラ103の間のニップ部(分離ニップ)を形成している。
【0025】
以下、給送ローラ102によりシートSが搬送される方向を搬送方向Xとする。また、搬送方向Xに垂直な方向(ピックアップローラ101、給送ローラ102及び分離ローラ103の互いに平行な回動軸線方向)を、シート幅方向Yとする。また、搬送方向及びシート幅方向に垂直な方向(分離ニップの下流側近傍におけるシートSの搬送経路に対して垂直な方向)を、搬送路に対する垂直方向Zとする。
【0026】
給送ローラ102のローラ軸102Aはシート幅方向Yに延びており、一方の端部に給送ローラ102が取り付けられ、他方の端部に給送ギア111が取り付けられている(図1)。給送ギア111は、画像形成装置内部に設けられた駆動源としてのモータに連結され、モータから伝達される駆動力によって回転する。
【0027】
また、昇降プレート106もシート幅方向Yに延びており、シート幅方向Yにおけるピックアップローラ101及び給送ローラ102とは反対側の端部に、カム機構DTによって押圧される被押圧部106aが設けられている。カム機構DTは、カム軸108Aに取付けられたカム108及びカム駆動ギア110と、アーム軸109Aに取付けられたアーム109と、を含む。カム駆動ギア110は、給送ギア111と噛み合っており、カム108と一体的に回転する。アーム109は、カム108の回転によって周期的に昇降プレート106の被押圧部106aを押圧し、加圧バネ113の付勢力に抗して昇降プレート106を上方側に揺動させ、ピックアップローラ101を上昇させることが可能である。アーム109が被押圧部106aを押圧していない場合、昇降プレート106は加圧バネ113の付勢力に従ってピックアップローラ101がトレイ105上の最上位シートStと当接する位置をとる。
【0028】
シート給送動作を実行する場合、モータから供給される駆動力によって給送ギア111が回転する。すると、ローラ軸102Aの回転により、ピックアップローラ101及び給送ローラ102がシートSを給送方向に送り出す回転方向(図2における反時計回り方向CC)に回転を開始する。そして、カム108の回転によってアーム109が被押圧部106aから離脱すると、加圧バネ113の付勢力によって昇降プレート106に作用する図中反時計回り方向のモーメントMCCにより、昇降プレート106が回動する。これにより、ピックアップローラ101が最上位シートStに当接して給送ローラ102へ向けて送り出す。
【0029】
最上位シートStは、搬送方向Xにおけるトレイ105の下流端に設けられたガイド105aに案内され、分離ニップに到達する。このとき、複数枚のシートSが分離ニップに進入すると、最上位シートStが給送ローラ102によって搬送方向Xに搬送される一方で、他のシートは分離ローラ103から受ける摩擦力によって搬送方向Xへの移動を妨げられる。言い換えると、トルクリミッタ104のトルク値は、重なり合うシート間の摩擦力に打ち克って分離ローラ103の回転を規制することが可能な大きさに設定される。一方、分離ニップに最上位シートStのみが進入した場合、最上位シートStから分離ローラ103が受ける力によってトルクリミッタ104が滑り、分離ローラ103は給送ローラ102に追従して回転する。分離ニップを抜けた最上位シートStは、搬送方向Xの下流に設けられた搬送ローラ対13(図9)によりさらに搬送される。
【0030】
最上位シートStの先端(搬送方向Xの下流端)が分離ニップに到達した後、再びアーム109が昇降プレート106の被押圧部106aを押圧することで昇降プレート106が上方側に揺動し、ピックアップローラ101はシートSから離間する。これにより、最上位シートStの下のシートSが続けて送り出されることが防がれる。
【0031】
そして、給送ギア111の回転によって昇降プレート106の昇降動作が繰り返されることで以上の動作が繰り返され、トレイ105にセットされたシートSが1枚ずつ分離しながら給送される。
【0032】
なお、上記の分離ローラ103はシートを分離するための分離部材の一例であり、トルクリミッタを介して給送ローラ102の回転に逆らう方向の駆動力を入力されるリタードローラを用いてもよく、パッド状の摩擦部材を用いてもよい。また、シートを給送する給送手段としては、ピックアップローラ101及び給送ローラ102に限らず、例えば空気の吸引によって回転するベルトにシートを吸着して搬送してもよい。
【0033】
ところで、図2に示すように、搬送方向Xにおける分離ニップの下流に、マルチパーパス給送部100から給送されるシートを検知する検知機構としてシートセンサ部120が設けられている。シートセンサ部120は、搬送路を通過するシートに当接されて回動するセンサレバーを有し、センサレバーの位置に応じて検知信号が変化するように構成されている。従って、画像形成装置の制御部は、シートセンサ部120の検知信号に基づいて、マルチパーパス給送部100から正常にシートが給送されたか否か、シートの先端及び後端が通過したタイミング等を判断し、画像形成装置の動作を適切に制御することができる。以下、シートセンサ部120の具体的な構成例について説明する。
【実施例1】
【0034】
実施例1に係るシートセンサ部120について、図3及び図4を用いて説明する。図3はシートセンサ部120の全体構成を表す斜視図である。図4(a、b)は、シート幅方向Yに垂直な断面におけるシートセンサ部120の断面図であり、シート当接部122a及び戻しバネ124の付近の構成を表している。
【0035】
シートセンサ部120は、図3に示すようにセンサ121、センサレバー122、支持部材123、戻しバネ124、及びストッパ125を備えている。センサレバー122は本実施例の回動部材であり、センサ121は回動部材の回動を検知する本実施例の検知部である。また、ストッパ125は回動部材の位置を規制する本実施例の規制部であり、戻しバネ124は回動部材を付勢する本実施例の付勢部材である。
【0036】
本実施例では、各部材はホルダとしての支持部材123に支持され、支持部材123を画像形成装置の枠体等に固定することでまとめて取り付け可能なユニットとしてシートセンサ部120が構成されている。ただし、このようにユニット化された構成に限らず、センサレバー122やセンサ121を個別に取付ける構成としてもよい。
【0037】
センサ121は、光を発する発光部121aと、シート幅方向Yに発光部121aと対向し、発光部121aからの光を受光する受光部121bとを有するフォトインタラプタ(光電センサ、光学センサとも呼ばれる)である。受光部121bが発する信号(例えば電圧)は、受光部121bに入射する光量に応じて変化する。
【0038】
センサレバー122は、シート幅方向Yに延びる回動軸122fと、それぞれ回動軸122fからシート幅方向Yに対して略垂直に交差する方向に突出するシート当接部122a、ストッパ当接部122b、センサ遮光部122eと、を有する。回動軸122fの一方の端部122c(一端部)及び他方の端部122d(他端部)は、それぞれ支持部材123の軸受部123a(第1の軸受部)及び軸受部123b(第2の軸受部)に回転可能に嵌合している。つまり、センサレバー122は、回動軸122fの中心を回動軸線として回動可能な状態で支持部材123に支持されている。また、本実施例におけるセンサレバー122の回動軸線方向は、シート幅方向Yと同一である。
【0039】
回動軸122fの端部122c,122dと軸受部123a,123bとの間には、部品公差や環境変動などを考慮して若干の遊び(例えば、直径で0.2mmの差)を設けている。これは、部品公差や環境変動(温度変化に伴う熱膨張の差等)があったとしても、回動軸122fが軸受部123a,123bから過度の摩擦抵抗を受けることなく、センサレバー122がスムーズに回動できるようにするためである。
【0040】
シート当接部122aは、回動軸122fからシートSの搬送路に向かって延びている。搬送路とは、分離ニップから送り出されるシートSが通過する空間であって、例えば搬送方向Xに沿って延びる板状の搬送ガイドによって形成される。図4(a)に示すように、シートSがセンサレバー122に到達していない場合、シート当接部122aは搬送路内に突出する。
【0041】
以下、図4(a)に示すようにシートSがセンサレバー122と接触していない時のセンサレバー122の位置を、センサレバー122の「待機位置」とする。また、センサレバー122が待機位置にあるときのシートセンサ部120の状態を待機状態(非検知状態)とする。搬送路を搬送されるシートSの先端が搬送方向Xにおける上流側からシート当接部122aに当接すると、図4(b)に示すようにセンサレバー122が待機位置から図中反時計回りの作動方向R1(第1方向)に回動する。これによりシート当接部122aが上方に移動するため、シートSの通過が許容される。
【0042】
センサ遮光部122eは、シート幅方向Yにおけるセンサ121の発光部121aと受光部121bの間に配置され、シート幅方向Yに見て、発光部121aと受光部121bを結ぶ光軸を遮ることが可能な大きさに形成されている。本実施例のセンサ遮光部122eは、センサレバー122が待機位置にある場合にはセンサ121を遮光しない位置にあり、センサレバー122が待機位置から作動方向R1に所定角度以上回動するとセンサ121を遮光するように配置されている。これにより、センサレバー122の位置に応じて受光部121bに入射する光量が変化する。
【0043】
センサレバー122が作動方向R1に回動したことで、受光部121bの信号が所定の閾値を超えた(又は下回った)状態を、シートセンサ部120の作動状態(検知状態)とする。なお、センサ遮光部122eは、センサレバー122が待機位置にある場合にはセンサ121を遮光し、センサレバー122が待機位置から作動方向R1に所定角度以上回動するとセンサ121を遮光しない構成とすることもできる。
【0044】
シート当接部122aは、例えば、図4(a)の状態で、搬送路を挟んで回動軸122fとは反対側の搬送ガイドのガイド面129に設けられた開口部を介してガイド面129に侵入する長さを有する。これにより、搬送路を搬送されるシートがより確実にシート当接部122aと当接する。
【0045】
ストッパ当接部122bは、回動軸122fからシート当接部122aが延びる方向とは異なる方向に延びている。本実施例では、回動軸122fから略下方(垂直方向Zにおいて搬送路に向かう方向)に延びるシート当接部122aに対し、ストッパ当接部122bは回動軸122fから略上方(搬送路から遠ざかる方向)に延びている。
【0046】
戻しバネ124は、回動軸122fの周りに取付けられた捩りコイルバネ(トーションコイルスプリング)である。戻しバネ124の一端部である腕124aは、図3に示すように支持部材123に設けられたバネ掛け部123cに取付けられている。戻しバネ124の他端部である腕124bは、図4(a)に示すようにセンサレバー122に設けられたバネ掛け部122gに取付けられている。
【0047】
戻しバネ124は、シートSに当接されたときのセンサレバー122の回動方向である作動方向R1とは反対の戻り方向R2(第2方向)にセンサレバー122を付勢している。具体的には、戻しバネ124の一方の腕124aが支持部材123に保持されている状態で、他方の腕124bによってセンサレバー122のバネ掛け部122gを図4(a)の右側に押圧している。これにより、バネ掛け部122gを力の作用点として、センサレバー122には回動軸122fを中心とする戻り方向R2の力のモーメントが作用する。
【0048】
ストッパ125は、回動軸122fを中心とする周方向においてストッパ当接部122bの先端部と対向する位置に設けられている。本実施例では、センサレバー122が待機位置にある状態で、ストッパ当接部122bに対し搬送方向Xの下流側からストッパ125が当接する配置としている。ストッパ125は、センサレバー122が待機位置にある場合にストッパ当接部122bと当接してセンサレバー122の戻り方向R2への回動を規制することで、戻しバネ124の付勢力に抗してセンサレバー122を待機位置に保持する。ストッパ125は、支持部材123の一部として一体成形してもよく、支持部材123に取付けた部材であってもよい。
【0049】
なお、センサレバー122の内、シート当接部122a及びストッパ当接部122bは、シート幅方向Yに関して回動軸122fの一方の端部122c付近に設けられ、センサ遮光部122eは回動軸122fの他方の端部122d付近に設けられる(図3)。言い換えると、シート当接部122aはシート幅方向Yにおける搬送路の中央付近に設けられ、センサ遮光部122eはシート幅方向Yに関してより外側に配置されている。これにより、搬送路を搬送されるシートのサイズによらず、シートをセンサレバー122に当接させることができ、シートセンサ部120がシートを検知することができる。また、センサ121をシート当接部122aから遠ざけたことで、シートから剥落した紙粉等の異物がセンサ121に付着する可能性を低減することができると共に、センサ121の配線長を短くできる。ただし、シート当接部122a、ストッパ当接部122b及びセンサ遮光部122eを互いに接近させて、センサレバー122のシート幅方向Yの長さがより短い構成としてもよい。
【0050】
(センサレバーに作用する力の向き)
図5(a~c)を用いて、本実施例に係るセンサレバー122に作用する力の向きと動作音との関係を説明する。
【0051】
図5(a)はセンサレバー122が待機位置にある状態を示している。上述した通り、待機状態においては、戻しバネ124によってセンサレバー122が戻り方向R2に付勢され、ストッパ125とストッパ当接部122bの当接によってセンサレバー122が待機位置に保持される。
【0052】
ここで、戻しバネ124のセンサレバー側の腕124bは、センサレバー122のバネ掛け部122gに対し図中略右方向の力f1dを作用させている。一方、戻しバネ124の支持部材側の腕124aは、支持部材123のバネ掛け部123c(図3も参照)に対し図中略右方向の力f1cを作用させている。従って、戻しバネ124は、支持部材123及びセンサレバー122のバネ掛け部123c、122gから力f1c,f1dの反作用力f1a,f1bを受けている。戻しバネ124のコイル部はセンサレバー122の回動軸122fに取付けられているから、これらの反作用力f1a,f1bの合力に相当する力F1が、コイル部を介して回動軸122fに作用することになる。
【0053】
待機位置にあるセンサレバー122に対して搬送されてきたシートが当接すると、センサレバー122は作動方向R1に回動する(図4(b)参照)。このとき、戻しバネ124の付勢力はチャージアップされる。そして、シートの後端がセンサレバー122を抜けると、シートから開放されたセンサレバー122は戻しバネ124の付勢力に従って戻り方向R2に回動する。
【0054】
図5(b)は、戻り方向R2に回動するセンサレバー122が待機位置に到達した瞬間(以下、「センサレバー戻り時」とする)の様子を表している。センサレバー122は、チャージアップされた戻しバネ124の付勢力によって勢いよく回動しているから、ストッパ当接部122bがストッパ125に当接すると、センサレバー122は図中左側に動こうとする。つまり、ストッパ当接部122bとストッパ125との当接位置を中心として、ストッパ当接部122bがストッパ125から受ける力f2の方向に回動軸122fが移動する方向に、センサレバー122全体が回動しようとする。
【0055】
このことは、次のように言い表すこともできる。センサレバー122がストッパ125から力f2を受けて回転を停止する時、センサレバー122のイナーシャにより、ストッパ当接部122bとストッパ125との当接位置を中心とするモーメントM2が生じる。力F2は、このモーメントM2を、回動軸122fに仮想的な力F2が作用することで生じたと考えたときの力F2を表す。
【0056】
図5(c)は、支持部材123の軸受部123aとセンサレバー122の回動軸122fの端部122cとを模式的に示したものである。上述した通り、待機状態においては、回動軸122fは、戻しバネ124が支持部材123及びセンサレバー122のバネ掛け部123c、122gから受ける反作用力f1a,f1bの合力に相当する力F1(第1の力)で軸受部123aに押し付けられている。一方、センサレバー戻り時に、回動軸122fは、センサレバー122がストッパ125から受ける力f2に相当する力F2(第2の力)で軸受部123aに押し付けられることになる。
【0057】
本実施例では、待機状態において回動軸122fを軸受部123aに押し付ける力F1の方向と、センサレバー戻り時に回動軸122fを軸受部123aに押し付ける力F2の方向とが、略同一方向に設定されている。つまり、第1の力(F1)と第2の力(F2)の方向が略同一方向となるように、戻しバネ124を配置している。
【0058】
本実施例では、シート幅方向Yに見た状態(図5(a~c)の状態)で力F1、F2の間の角をα(度)としたとき、α=1に設定した。これにより、図5(c)に実線で示す待機状態での回動軸122fの位置と、センサレバー戻り時の回動軸122fの位置(破線)とが略同一となる。つまり、待機状態とセンサレバー戻り時との間で、回動軸122fが軸受部123aに対してガタ寄せされる方向が略同一となるため、回動軸122fの軸位置の変動が非常に少なく抑えられる。
【0059】
(比較例との比較)
本実施例に対する比較例として、図7(a~c)に示す構成を用いた場合について説明する。本比較例は、戻しバネ124の配置が異なることにより、待機状態及びセンサレバー戻り時にセンサレバー122の回動軸122fに作用する力F1,F2の向きの関係が実施例1と異なることを除いて、実施例1と共通の構成を有する。
【0060】
図7(a)に示すように、本比較例においても戻しバネ224としてトーションコイルスプリングが用いられている。ただし、戻しバネ224のセンサレバー側の腕部224bは、センサレバー122のバネ掛け部122g’に対して図中略下方向きの力f1d’を作用させることでセンサレバー122を戻り方向R2に付勢している。また、戻しバネ224の支持部材側の腕部224aは、支持部材123のバネ掛け部123c’に対して図中略左方向きの力f1c’を作用させている。従って、待機状態において、戻しバネ224には力f1c’,f1d’の反作用力f1a’,f1b’が作用し、回動軸122fには、反作用力f1a’,f1b’の合力に相当する力F1’が作用する。この力F1’の向きは搬送方向Xに関して下流側を向いており、実施例1における力F1の向き(図5(a、c))とは異なっている。
【0061】
一方、図7(b)に示すように、センサレバー122とストッパ125の位置関係は実施例1と同様であるから、本比較例においてセンサレバー戻り時に回動軸122fを軸受部123aに押し付ける力F2’の方向は実施例1と実質的に同一である。
【0062】
図7(c)に示すように、本比較例の場合、待機状態において回転軸222cを軸受部123aに押し付ける力F1’と、センサレバー戻り時に回転軸222cを軸受部123aに押し付ける力F2’との間の角αは150度である。この場合、待機状態とセンサレバー戻り時との間で、回動軸122fが軸受部123aに対してガタ寄せされる方向が大きく異なることになり、回動軸122fの位置変動が大きくなる。その結果、軸受部123aと回動軸122fとの間の遊びに起因するセンサレバー122の振動の振れ幅が大きくなり、センサレバー122の動作音が大きくなる原因となる。
【0063】
これに対し、図5(c)に示した本実施例の構成では、上述した通り待機状態とセンサレバー戻り時との間で、回動軸122fが軸受部123aに対してガタ寄せされる方向が略同一となるため、回動軸122fの軸位置の変動が非常に少なく抑えられる。その結果、センサレバー122が待機位置に戻った時の振動の振れ幅を減少させ、センサレバー122の動作音を抑制することができる。
【0064】
ところで、図6に、力F1と力F2との間の角度αと騒音レベルの関係を示す。グラフから分かるように、角度αが大きくなる程、騒音レベルが大きくなる相関関係がある。従って、角度αは、所定角度以下(例えば20度以下、さらに好ましくは10度以下)に設定すると、センサレバー122の動作音を効果的に低減できる。
【実施例2】
【0065】
実施例2として、センサレバー122を戻し方向R2に付勢する付勢部材を複数配置した構成例について説明する。図8は、本実施例に係るシートセンサ部120の斜視図(図3に相当する図)である。以下、実施例1と実質的に同一の構成及び作用を有する要素には実施例1と共通の符号を付して説明を省略する。
【0066】
実施例1と同じく、センサレバー122の回動軸122fはシート幅方向Yに延びた部材であり、第1の付勢部材としての戻しバネ124は、回動軸122fの一方側の端部122cに取付けられている。この構成では、戻しバネ124とは反対側の端部122dと支持部材123の軸受部123bとの間の遊びに起因するセンサレバー122の振動が生じる場合がある。例えば、合成樹脂で作成されるセンサレバー122の捩れ剛性が十分に高くない場合や、回動軸122fが非常に長い場合、戻しバネ124の付勢力が回動軸122fの反対側の端部122dまで十分に伝わらない可能性がある。
【0067】
そこで、本実施例では、反対側の端部122dにも第2の付勢部材としての戻しバネ126を取り付けている。戻しバネ126は、回動軸122fの周りに取付けられた捩りコイルバネであり、一方の端部(腕)を支持部材123に支持され、他方の端部(腕)をセンサレバー122に取付けられることで、センサレバー122を戻り方向R2に付勢している。戻しバネ126を追加したことで、回動軸122fの端部122dを軸受部123bに対してガタ寄せしてセンサレバー122の動作音をさらに低減することができる。
【0068】
本実施例では、追加した戻しバネ126を補助的に使用し、戻しバネ126の付勢力(R2方向への付勢力)を戻しバネ124の付勢力より小さく設定しており、具体的には、戻しバネ124の付勢力の20~30%に設定している。戻しバネ124,126の付勢力に差をつける場合、シート当接部122a(第1の当接部)及びストッパ当接部122b(第2の当接部)と同じ側の戻しバネ124の付勢力を大きくすると好適である。これにより、センサレバー122の動作音を効果的に低減することができる。
【0069】
また、本実施例においても待機状態において回動軸122fを軸受部123aに押し付ける力F1の方向と、センサレバー戻り時に回動軸122fを軸受部123aに押し付ける力F2の方向とが、略同一方向となるように、戻しバネ124,126を配置する。例えば、追加した戻しバネ126が待機状態において回動軸122fの端部122dを軸受部123bに押し付ける力と、力F2との間の角度αを20度に設定すると好適である。
【0070】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、シート給送装置にシート検知装置としてのシートセンサ部120を配置した構成例を説明したが、本開示に係るシート検知装置は、シートが搬送される他の部分に適用してもよい。例えば、画像形成装置からシートを排出する排出部において排出されるシートを検知するシート検知装置として用いてもよい。また、画像形成装置に限らず、原稿としてのシートを給送する自動原稿給送装置を備えた画像読取装置において、給送されるシートを検知するシート検知装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
120…シート検知装置(シートセンサ部)/121…検知部(センサ部)/122…回動部材(センサレバー)/122f…回動軸/123…支持部材/124…付勢部材(戻しバネ)/125…規制部(ストッパ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9