(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】化合物、及び組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 43/13 20060101AFI20250114BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
C07C43/13 D CSP
C11D1/68
(21)【出願番号】P 2020198410
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 寛
(72)【発明者】
【氏名】亀ノ上 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】若狭 崇志
(72)【発明者】
【氏名】高力 駿介
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-020166(JP,B1)
【文献】Phytochemistry,1992年,31(7),p.2341-2349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/00-409/44
C11D 1/68
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)、化学式(2)又は化学式(3)で表される化合物。
【化1】
(式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は脂肪族炭化水素基であり、R
11とR
12の合計炭素数は2以上34以下であり、R
13とR
14の合計炭素数は2以上34以下であ
り、R
11
とR
12
の合計炭素数及び/又はR
13
とR
14
の合計炭素数は、8以上18以下である。)
【化2】
(式中、R
21、R
22、R
23及びR
24は脂肪族炭化水素基であり、R
21とR
22の合計炭素数は2以上34以下であり、R
23とR
24の合計炭素数は2以上34以下であ
り、R
21
とR
22
の合計炭素数及び/又はR
23
とR
24
の合計炭素数は、8以上18以下である。)
【化3】
(式中、R
31、R
32、R
33及びR
34は脂肪族炭化水素基であり、R
31とR
32の合計炭素数は2以上34以下であり、R
33とR
34の合計炭素数は2以上34以下であり、
R
31
とR
32
の合計炭素数及び/又はR
33
とR
34
の合計炭素数は、8以上18以下であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立
に-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【請求項2】
前記化合物は、界面活性剤、乳化剤、濡れ剤、浸透剤、油回収用薬剤、洗浄剤、油剤添加剤、又は防錆剤である請求項
1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項
1に記載の化合物を少なくとも1種含有する組成物。
【請求項4】
前記組成物は、界面活性剤組成物、乳化剤組成物、濡れ剤組成物、浸透剤組成物、油回収用組成物、洗浄剤組成物、油剤組成物、又は防錆剤組成物である請求項
3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、及び当該化合物を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシアルカンと多価アルコールとの反応によって得られるエーテルアルコールは、乳化剤、界面活性剤、及び分散剤などの原料として有用である。
【0003】
例えば、特許文献1では、炭素数8~20のエポキシアルカンと炭素原子1~10個及びアルコール性水酸基1~4個を有するモノ又はポリ官能性アルコールとの反応によって得られるエーテルアルコールが開示されている。
【0004】
また、非特許文献1では、炭素数8~16の末端エポキシアルカンとグリセロールとの反応によって得られるヒドロキシエーテル(モノマーとダイマー)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】SYNTHETIC COMMUNICATIONS, 24(21),3009-3019(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のエーテルアルコールや非特許文献1のヒドロキシエーテルは、融点が高いため取扱い性に劣り、当該エーテルアルコールやヒドロキシエーテルによって形成される膜は疎水性が低いという問題があることが分かった。
【0008】
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、融点が低く、疎水性の高い膜を形成することができる化合物、及び当該化合物を含有する組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定構造の化合物により、上記課題を解決しうることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記化学式(1)、化学式(2)又は化学式(3)で表される化合物、に関する。
【化1】
(式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は脂肪族炭化水素基であり、R
11とR
12の合計炭素数は2以上34以下であり、R
13とR
14の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化2】
(式中、R
21、R
22、R
23及びR
24は脂肪族炭化水素基であり、R
21とR
22の合計炭素数は2以上34以下であり、R
23とR
24の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化3】
(式中、R
31、R
32、R
33及びR
34は脂肪族炭化水素基であり、R
31とR
32の合計炭素数は2以上34以下であり、R
33とR
34の合計炭素数は2以上34以下であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に水素原子、-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の前記化学式(1)、化学式(2)又は化学式(3)で表される化合物(以下、これら化合物又はこれら化合物の混合物をエーテルアルコールという)は、融点が低いという特徴を有する。この特徴は、炭素鎖の内部に水酸基を有し、かつ水酸基が結合する炭素鎖は分岐構造を有しているため、立体障害による分子間反発や分子配列の不均等によって分子の凝集力が低いために発現すると考えられる。また、本発明のエーテルアルコールは、低融点であるためハンドリング性に優れ、また、疎水性膜の形成性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
<エーテルアルコール>
本発明のエーテルアルコールは、下記化学式(1)、化学式(2)又は化学式(3)で表される化合物又はこれら化合物の混合物である。
【化4】
(式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は脂肪族炭化水素基であり、R
11とR
12の合計炭素数は2以上34以下であり、R
13とR
14の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化5】
(式中、R
21、R
22、R
23及びR
24は脂肪族炭化水素基であり、R
21とR
22の合計炭素数は2以上34以下であり、R
23とR
24の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化6】
(式中、R
31、R
32、R
33及びR
34は脂肪族炭化水素基であり、R
31とR
32の合計炭素数は2以上34以下であり、R
33とR
34の合計炭素数は2以上34以下であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に水素原子、-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【0014】
前記化学式(1)におけるR11、R12、R13及びR14、前記化学式(2)におけるR21、R22、R23及びR24、並びに前記化学式(3)におけるR31、R32、R33及びR34は、脂肪族炭化水素基であり、製造効率及び製造容易性の観点から、好ましくは直鎖又は分岐アルキル基、より好ましくは直鎖アルキル基、更に好ましくは1級の直鎖アルキル基である。前記R11、R12、R13、R14、R21、R22、R23、R24、R31、R32、R33及びR34の炭素数は、それぞれ独立に1以上33以下であり、分布を有しても良い。前記化学式(1)におけるR11、R12、R13及びR14は、同じ脂肪族炭化水素基であってもよく、異なる脂肪族炭化水素基であってもよい。前記化学式(2)におけるR21、R22、R23及びR24、並びに前記化学式(3)におけるR31、R32、R33及びR34についても前記と同様である。
【0015】
前記化学式(1)におけるR11とR12の合計炭素数、及びR13とR14の合計炭素数は、それぞれ2以上34以下であり、疎水性膜の形成性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、低融点及びハンドリング性の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
【0016】
前記化学式(1)におけるR11、R12、R13及びR14は、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である。
【0017】
前記化学式(1)で表される化合物が、R11とR12のそれぞれの炭素数及び/又はR13とR14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、R11の炭素数が5以上かつR12の炭素数が5以上の化合物、又はR13の炭素数が5以上かつR14の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(1)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0018】
前記化学式(2)におけるR21とR22の合計炭素数、及びR23とR24の合計炭素数は、それぞれ2以上34以下であり、疎水性膜の形成性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、低融点及びハンドリング性の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
【0019】
前記化学式(2)におけるR21、R22、R23及びR24は、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である。
【0020】
前記化学式(2)で表される化合物が、R21とR22のそれぞれの炭素数及び/又はR23とR24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、R21の炭素数が5以上かつR22の炭素数が5以上の化合物、又はR23の炭素数が5以上かつR24の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(2)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0021】
前記化学式(3)におけるR31とR32の合計炭素数、及びR33とR34の合計炭素数は、それぞれ2以上34以下であり、疎水性膜の形成性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、低融点及びハンドリング性の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
【0022】
前記化学式(3)におけるR31、R32、R33及びR34は、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である。
【0023】
前記化学式(3)で表される化合物が、R31とR32のそれぞれの炭素数及び/又はR33とR34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、疎水性膜の形成性、低融点及びハンドリング性の観点から、R31の炭素数が5以上かつR32の炭素数が5以上の化合物、又はR33の炭素数が5以上かつR34の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(3)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0024】
前記化学式(3)におけるA1及びA2は、それぞれ独立に水素原子、-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2であり、疎水性膜の形成性の観点から、好ましくは-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2である。
【0025】
前記エーテルアルコールの融点は、ハンドリング性及び有機溶媒に対する溶解性の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下であり、また、-200℃以上であってよい。
【0026】
前記エーテルアルコールの製造方法は特に制限されず、例えば、内部オレフィンの二重結合を過酸化水素、過酢酸等の過酸化物により酸化して内部エポキシドを合成し、得られた内部エポキシドにグリセリンを反応させ、さらに得られた内部エポキシドのグリセリン開環物に前記内部エポキシドを反応させるか、あるいは得られた内部エポキシドのグリセリン開環物を脱水縮合させることにより製造することができる。なお、前記製造方法により得られる前記エーテルアルコールは、通常、前記化学式(1)で表される化合物、前記化学式(2)で表される化合物、及び前記化学式(3)で表される化合物(A1及びA2が、それぞれ独立に-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2である化合物)を含む混合物である。また、前記製造方法の場合、前記化学式(1)で表される化合物は、通常、R11とR12のそれぞれの炭素数及び/又はR13とR14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、前記化学式(2)で表される化合物は、R21とR22のそれぞれの炭素数及び/又はR23とR24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、前記化学式(3)で表される化合物は、R31とR32のそれぞれの炭素数及び/又はR33とR34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む。また、前記製造方法の場合、前記化学式(3)で表される化合物は、通常、A1及びA2が-CH2-CH(OH)-CH2OHである化合物と、A1及びA2が-CH(-CH2OH)2である化合物と、A1及びA2のうち一方が-CH2-CH(OH)-CH2OHであり、他方が-CH(-CH2OH)2である化合物との混合物である。なお、前記化学式(3)で表される化合物において、A1又はA2が水素原子である化合物は、前記内部エポキシドにグリセリンを反応させたグリセリン開環物と、前記内部エポキシドに水を反応させた水開環物とを脱水縮合させることにより製造することができる。また、前記化学式(3)で表される化合物において、A1及びA2が水素原子である化合物は、前記内部エポキシドに水を反応させた水開環物を脱水縮合させることにより製造することができる。
【0027】
前記エーテルアルコールの製造に用いられるオレフィンは、内部オレフィンの他に、末端オレフィンを含有していてもよい。その場合、オレフィン中に含まれる末端オレフィンの含有量は、例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、また、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下などである。
【0028】
前記エーテルアルコールは、前記化学式(1)で表される化合物1種、前記化学式(2)で表される化合物1種、又は前記化学式(3)で表される化合物1種であってよい。また、前記エーテルアルコールは、2種以上の前記化学式(1)で表される化合物の混合物、2種以上の前記化学式(2)で表される化合物の混合物、又は2種以上の前記化学式(3)で表される化合物の混合物であってよい。また、前記エーテルアルコールは、前記化学式(1)で表される化合物及び前記化学式(2)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む混合物、前記化学式(1)で表される化合物及び前記化学式(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む混合物、又は前記化学式(2)で表される化合物及び前記化学式(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む混合物であってよい。また、前記エーテルアルコールは、前記化学式(1)~(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む混合物であってよい。
【0029】
前記エーテルアルコールは、界面活性剤、乳化剤、分散剤、ポリマー及び樹脂などの原料、潤滑油等の油剤の添加剤、塗料添加剤、農薬添加剤、樹脂添加剤、金属表面改質剤、化粧品基材、医療用助剤、繊維用油剤、石油薬剤、加工薬剤、滑剤、可塑剤、乳化剤、分散剤、防曇剤、帯電防止剤、消泡剤、濡れ剤、浸透剤、油回収用薬剤、洗浄剤、又は防錆剤であってよい。前記油回収用薬剤は、好ましくは原油回収用薬剤、より好ましくはEOR(Enhanced Oil Recovery、以下同様)用薬剤、更に好ましくはケミカルEOR用薬剤である。
【0030】
<組成物>
本発明の組成物は、少なくとも前記エーテルアルコールを含有する。
【0031】
前記組成物中の前記エーテルアルコールの総含有量は特に制限されないが、運搬や貯蔵コストを低減する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
【0032】
本発明の組成物は、界面活性剤組成物、乳化剤組成物、分散剤組成物、塗料添加剤組成物、農薬添加剤組成物、樹脂添加剤組成物、金属表面改質剤組成物、化粧品基材組成物、医療用助剤組成物、繊維用油剤組成物、石油薬剤組成物、加工薬剤組成物、滑剤組成物、可塑剤組成物、防曇剤組成物、帯電防止剤組成物、消泡剤組成物、濡れ剤組成物、浸透剤組成物、油回収用組成物、洗浄剤組成物、油剤組成物、又は防錆剤組成物であってよい。前記油回収用組成物は、好ましくは原油回収用組成物、より好ましくはEOR用組成物、更に好ましくはケミカルEOR用組成物である。
【0033】
前記組成物は、取扱い容易性及び保存安定性などの観点から、用途に応じて適宜添加される溶剤や添加剤を含有してもよい。
【0034】
以下に、本発明及び本発明の好ましい実施態様を示す。
<1>
下記化学式(1)、化学式(2)又は化学式(3)で表される化合物。
【化7】
(式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は脂肪族炭化水素基であり、R
11とR
12の合計炭素数は2以上34以下であり、R
13とR
14の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化8】
(式中、R
21、R
22、R
23及びR
24は脂肪族炭化水素基であり、R
21とR
22の合計炭素数は2以上34以下であり、R
23とR
24の合計炭素数は2以上34以下である。)
【化9】
(式中、R
31、R
32、R
33及びR
34は脂肪族炭化水素基であり、R
31とR
32の合計炭素数は2以上34以下であり、R
33とR
34の合計炭素数は2以上34以下であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に水素原子、-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
<2>
前記脂肪族炭化水素基は、好ましくは直鎖又は分岐アルキル基、より好ましくは直鎖アルキル基、更に好ましくは1級の直鎖アルキル基である、<1>に記載の化合物。
<3>
前記R
11、R
12、R
13、R
14、R
21、R
22、R
23、R
24、R
31、R
32、R
33及びR
34の炭素数は、それぞれ独立に1以上33以下である、<1>又は<2>に記載の化合物。
<4>
前記化学式(1)におけるR
11、R
12、R
13及びR
14は、同じ脂肪族炭化水素基、又は異なる脂肪族炭化水素基である、<1>~<3>のいずれかに記載の化合物。
<5>
前記化学式(2)におけるR
21、R
22、R
23及びR
24は、同じ脂肪族炭化水素基、又は異なる脂肪族炭化水素基である、<1>~<4>のいずれかに記載の化合物。
<6>
前記化学式(3)におけるR
31、R
32、R
33及びR
34は、同じ脂肪族炭化水素基、又は異なる脂肪族炭化水素基である、<1>~<5>のいずれかに記載の化合物。
<7>
前記化学式(1)におけるR
11とR
12の合計炭素数及び/又はR
13とR
14の合計炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の化合物。
<8>
前記化学式(1)におけるR
11とR
12の合計炭素数及び/又はR
13とR
14の合計炭素数は、8以上18以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の化合物。
<9>
前記化学式(1)におけるR
11とR
12の合計炭素数及び/又はR
13とR
14の合計炭素数は、10以上16以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の化合物。
<10>
前記化学式(1)におけるR
11、R
12、R
13及びR
14は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である、<1>~<9>のいずれかに記載の化合物。
<11>
前記化学式(1)で表される化合物が、R
11とR
12のそれぞれの炭素数及び/又はR
13とR
14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
11の炭素数が5以上かつR
12の炭素数が5以上の化合物、又はR
13の炭素数が5以上かつR
14の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(1)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の化合物。
<12>
前記化学式(1)で表される化合物が、R
11とR
12のそれぞれの炭素数及び/又はR
13とR
14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
11の炭素数が5以上かつR
12の炭素数が5以上の化合物、又はR
13の炭素数が5以上かつR
14の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(1)で表される化合物全体に対して、10質量%以上90質量%以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の化合物。
<13>
前記化学式(1)で表される化合物が、R
11とR
12のそれぞれの炭素数及び/又はR
13とR
14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
11の炭素数が5以上かつR
12の炭素数が5以上の化合物、又はR
13の炭素数が5以上かつR
14の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(1)で表される化合物全体に対して、20質量%以上80質量%以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の化合物。
<14>
前記化学式(1)で表される化合物が、R
11とR
12のそれぞれの炭素数及び/又はR
13とR
14のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
11の炭素数が5以上かつR
12の炭素数が5以上の化合物、又はR
13の炭素数が5以上かつR
14の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(1)で表される化合物全体に対して、30質量%以上70質量%以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の化合物。
<15>
前記化学式(2)におけるR
21とR
22の合計炭素数及び/又はR
23とR
24の合計炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の化合物。
<16>
前記化学式(2)におけるR
21とR
22の合計炭素数及び/又はR
23とR
24の合計炭素数は、8以上18以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の化合物。
<17>
前記化学式(2)におけるR
21とR
22の合計炭素数及び/又はR
23とR
24の合計炭素数は、10以上16以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の化合物。
<18>
前記化学式(2)におけるR
21、R
22、R
23及びR
24は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である、<1>~<17>のいずれかに記載の化合物。
<19>
前記化学式(2)で表される化合物が、R
21とR
22のそれぞれの炭素数及び/又はR
23とR
24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
21の炭素数が5以上かつR
22の炭素数が5以上の化合物、又はR
23の炭素数が5以上かつR
24の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(2)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である、<1>~<18>のいずれかに記載の化合物。
<20>
前記化学式(2)で表される化合物が、R
21とR
22のそれぞれの炭素数及び/又はR
23とR
24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
21の炭素数が5以上かつR
22の炭素数が5以上の化合物、又はR
23の炭素数が5以上かつR
24の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(2)で表される化合物全体に対して、10質量%以上90質量%以下である、<1>~<18>のいずれかに記載の化合物。
<21>
前記化学式(2)で表される化合物が、R
21とR
22のそれぞれの炭素数及び/又はR
23とR
24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
21の炭素数が5以上かつR
22の炭素数が5以上の化合物、又はR
23の炭素数が5以上かつR
24の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(2)で表される化合物全体に対して、20質量%以上80質量%以下である、<1>~<18>のいずれかに記載の化合物。
<22>
前記化学式(2)で表される化合物が、R
21とR
22のそれぞれの炭素数及び/又はR
23とR
24のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
21の炭素数が5以上かつR
22の炭素数が5以上の化合物、又はR
23の炭素数が5以上かつR
24の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(2)で表される化合物全体に対して、30質量%以上70質量%以下である、<1>~<18>のいずれかに記載の化合物。
<23>
前記化学式(3)におけるR
31とR
32の合計炭素数及び/又はR
33とR
34の合計炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である、<1>~<22>のいずれかに記載の化合物。
<24>
前記化学式(3)におけるR
31とR
32の合計炭素数及び/又はR
33とR
34の合計炭素数は、8以上18以下である、<1>~<22>のいずれかに記載の化合物。
<25>
前記化学式(3)におけるR
31とR
32の合計炭素数及び/又はR
33とR
34の合計炭素数は、10以上16以下である、<1>~<22>のいずれかに記載の化合物。
<26>
前記化学式(3)におけるR
31、R
32、R
33及びR
34は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数3以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基である、<1>~<25>のいずれかに記載の化合物。
<27>
前記化学式(3)で表される化合物が、R
31とR
32のそれぞれの炭素数及び/又はR
33とR
34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
31の炭素数が5以上かつR
32の炭素数が5以上の化合物、又はR
33の炭素数が5以上かつR
34の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(3)で表される化合物全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である、<1>~<26>のいずれかに記載の化合物。
<28>
前記化学式(3)で表される化合物が、R
31とR
32のそれぞれの炭素数及び/又はR
33とR
34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
31の炭素数が5以上かつR
32の炭素数が5以上の化合物、又はR
33の炭素数が5以上かつR
34の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(3)で表される化合物全体に対して、10質量%以上90質量%以下である、<1>~<26>のいずれかに記載の化合物。
<29>
前記化学式(3)で表される化合物が、R
31とR
32のそれぞれの炭素数及び/又はR
33とR
34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
31の炭素数が5以上かつR
32の炭素数が5以上の化合物、又はR
33の炭素数が5以上かつR
34の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(3)で表される化合物全体に対して、20質量%以上80質量%以下である、<1>~<26>のいずれかに記載の化合物。
<30>
前記化学式(3)で表される化合物が、R
31とR
32のそれぞれの炭素数及び/又はR
33とR
34のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む場合、R
31の炭素数が5以上かつR
32の炭素数が5以上の化合物、又はR
33の炭素数が5以上かつR
34の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、前記化学式(3)で表される化合物全体に対して、30質量%以上70質量%以下である、<1>~<26>のいずれかに記載の化合物。
<31>
前記化学式(3)におけるA
1及びA
2は、それぞれ独立に、-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である、<1>~<30>のいずれかに記載の化合物。
<32>
前記化学式(1)で表される化合物の融点は、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下であり、また、-200℃以上である、<1>~<31>のいずれかに記載の化合物。
<33>
前記化学式(2)で表される化合物の融点は、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下であり、また、-200℃以上である、<1>~<32>のいずれかに記載の化合物。
<34>
前記化学式(3)で表される化合物の融点は、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下であり、また、-200℃以上である、<1>~<33>のいずれかに記載の化合物。
<35>
前記化合物は、界面活性剤、乳化剤、濡れ剤、浸透剤、油回収用薬剤、洗浄剤、油剤添加剤、又は防錆剤である、<1>~<34>のいずれかに記載の化合物。
<36>
前記油回収用薬剤は、好ましくは原油回収用薬剤、より好ましくはEOR(Enhanced Oil Recovery、以下同様)用薬剤、更に好ましくはケミカルEOR用薬剤である、<35>に記載の化合物。
<37>
<1>~<36>のいずれかに記載の化合物を少なくとも1種含有する組成物。
<38>
前記組成物は、前記化学式(1)で表される化合物を2種以上含む、<37>に記載の組成物。
<39>
前記組成物は、前記化学式(2)で表される化合物を2種以上含む、<37>に記載の組成物。
<40>
前記組成物は、前記化学式(3)で表される化合物を2種以上含む、<37>に記載の組成物。
<41>
前記組成物は、前記化学式(1)で表される化合物及び前記化学式(2)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む、<37>に記載の組成物。
<42>
前記組成物は、前記化学式(1)で表される化合物及び前記化学式(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む、<37>に記載の組成物。
<43>
前記組成物は、前記化学式(2)で表される化合物及び前記化学式(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む、<37>に記載の組成物。
<44>
前記組成物は、前記化学式(1)で表される化合物、前記化学式(2)で表される化合物、及び前記化学式(3)で表される化合物をそれぞれ1種以上含む、<37>に記載の組成物。
<45>
前記組成物中の前記化合物の総含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは100質量%である、<37>~<44>のいずれかに記載の組成物。
<46>
前記組成物は、界面活性剤組成物、乳化剤組成物、濡れ剤組成物、浸透剤組成物、油回収用組成物、洗浄剤組成物、油剤組成物、又は防錆剤組成物である、<37>~<45>のいずれかに記載の組成物。
<47>
前記油回収用組成物は、好ましくは原油回収用組成物、より好ましくはEOR用組成物、更に好ましくはケミカルEOR用組成物である、<46>に記載の組成物。
【実施例】
【0035】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量(%)は質量%を示し、比(/)は質量比を示す。また、各種測定方法は以下のとおりである。
【0036】
<オレフィンの二重結合分布の測定方法>
オレフィンの二重結合分布は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。それぞれのピーク面積よりオレフィンの二重結合分布を求めた。なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。
GC装置:商品名HP6890(HEWLETT PACKARD社製)
カラム:商品名Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm(フロンティア・ラボ株式会社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
インジェクション温度:300℃
ディテクター温度:350℃
オーブン:60℃(0min.)→2℃/min.→225℃→20℃/min.→350℃→350℃(5.2min.)
【0037】
<アルキルグリセリルエーテルの構造異性体の含有量比の測定方法>
アルキルグリセリルエーテルの構造異性体(グリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体)の比は、1H-NMRにて測定した。具体的には、アルキルグリセリルエーテル0.05g、トリフルオロ酢酸無水物0.2g、重クロロホルム1gを混合し、1H-NMRにて測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
核磁気共鳴装置:Agilent 400-MR DD2、アジレント・テクノロジー株式会社製
観測範囲:6410.3Hz
データポイント:65536
測定モード:Presat
パルス幅:45°
パルス遅延時間:10sec
積算回数:128回
【0038】
<ジアルキルグリセリルエーテルの測定方法>
ジアルキルグリセリルエーテルは高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと省略)により測定した。具体的には、ジアルキルグリセリルエーテル0.1gとメタノール1gを混合し、LCで分離した。ピーク面積よりジアルキルグリセリルエーテルの純度を求めた。なお、測定条件は次の通りである。
HPLC装置:商品名DIONEX Ultimаte3000
カラム:L-cоlumn ODS、5μm、Cat.No622070、Size4.6×150mm
移動相:10mM酢酸アンモニウムメタノール溶液
流量:1mL/min
オーブン温度:40℃
検出器:荷電化粒子検出器(CAD)
【0039】
<ジアルキルグリセリルエーテル中の各成分の算出方法>
ジアルキルグリセリルエーテル中の各成分は前記アルキルグリセリルエーテルとジオール比及びアルキルグリセリルエーテルの構造異性体の含有比から算出した。なお、1級水酸基と2級水酸基の反応選択性は75/25として算出した。具体的には以下のように算出した。
化学式(1)=(アルキルグリセリルエーテルの割合(%))×(グリセリンの1級水酸基付加体(%))×0.6
化学式(2)=((アルキルグリセリルエーテルの割合(%))×(グリセリンの1級水酸基付加体(%))×0.2)+((アルキルグリセリルエーテルの割合(%))×(グリセリンの2級水酸基の割合(%))×0.8)
化学式(3)=((アルキルグリセリルエーテルの割合(%))×(グリセリンの1級水酸基付加体(%))×0.2)+((アルキルグリセリルエーテルの割合(%))×(グリセリンの2級水酸基付加体(%))×0.2)+(ジオールの割合(%))
【0040】
<内部オレフィンの製造>
製造例A1
(炭素数16の内部オレフィン(内部オレフィン1)の製造)
撹拌装置付きフラスコに1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREMChemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、撹拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら32時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C16オレフィン純度は99.6%であった。得られた粗C16内部オレフィンを蒸留器に移し、136~160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の内部オレフィン1を得た。得られた内部オレフィン1の二重結合分布はC1位0.2%、C2位15.8%、C3位14.5%、C4位15.7%、C5位17.3%、C6位16.5%、C7位、8位の合計が20.0%であった。
【0041】
製造例A2
(炭素数18の内部オレフィン(内部オレフィン2)の製造)
撹拌装置付き反応器に1-オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王株式会社製)800kg(3.0キロモル)、固体酸触媒として活性アルミナGP-20(水澤化学工業株式会社)80kg(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、撹拌下、280℃にて系内に窒素(15L/分)を流通させながら16時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18オレフィン純度は98.7%であった。得られた粗C18内部オレフィンを蒸留器に移し、163~190℃/4.6mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の内部オレフィン2を得た。得られた内部オレフィン2の二重結合分布はC1位0.3%、C2位13.3%、C3位12.6%、C4位13.9%、C5位14.8%、C6位13.7%、C7位12.6、C8位、9位の合計が18.8%であった。
【0042】
製造例A3
(炭素数14の内部オレフィン(内部オレフィン3)の製造)
製造例A1の1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)28.9モルに代えて、1-テトラデカノール(製品名:カルコール4098、花王株式会社製)28.9モルを用いた以外は、製造例A1と同様の製造方法で、内部オレフィン3を得た。得られた内部オレフィン3の二重結合分布はC1位0.2%、C2位22.4%、C3位19.5%、C4位20.3%、C5位16.5%、C6位、7位の合計が21.1%であった。
【0043】
製造例A4
(炭素数12の内部オレフィン(内部オレフィン4)の製造)
製造例A1の1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)28.9モルに代えて、1-ドデカノール(製品名:カルコール2098、花王株式会社製)28.9モルを用いた以外は、製造例A1と同様の製造方法で、内部オレフィン4を得た。得られた内部オレフィン4の二重結合分布はC1位0.1%、C2位25.0%、C3位22.5%、C4位22.9%、C5位、C6位の合計が29.5%であった。
【0044】
<内部エポキシドの製造>
製造例B1
(炭素数16の内部エポキシド(内部エポキシド1)の製造)
撹拌装置付きフラスコに製造例A1で得た内部オレフィン1(800g、3.56モル)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)107g(1.78モル)、硫酸(和光純薬工業株式会社製)15.6g(0.15モル)、35%過酸化水素(和光純薬工業株式会社製)415.7g(4.28モル)、硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)25.3g(0.18モル)を仕込み、50℃で4時間反応した。その後、70℃に昇温し更に2時間反応を行った。反応後、分層して水層を抜出し、油層をイオン交換水、飽和炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、1%食塩水(和光純薬工業株式会社製)にて洗浄を行いエバポレーターにて濃縮し、内部エポキシド1を820g得た。
【0045】
製造例B2
(炭素数18の内部エポキシド(内部エポキシド2)の製造)
撹拌装置付きフラスコに製造例A2で得た内部オレフィン2(595g、2.38モル)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)71.7g(1.20モル)、硫酸(和光純薬工業株式会社製)9.8g(0.10モル)、35%過酸化水素(和光純薬工業株式会社製)324g(4.00モル)を仕込み、50℃で4時間反応した。その後、80℃に昇温し更に5時間反応を行った。反応後、分層して水層を抜出し、油層をイオン交換水、飽和炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、イオン交換水にて洗浄を行いエバポレーターにて濃縮し、内部エポキシド2を629g得た。
【0046】
製造例B3
(炭素数14の内部エポキシド(内部エポキシド3)の製造)
製造例A1で得た内部オレフィン1(3.56モル)に代えて、製造例A3で得た内部オレフィン3(3.56モル)を用いた以外は製造例B1と同様にして、内部エポキシド3を得た。
【0047】
製造例B4
(炭素数12の内部エポキシド(内部エポキシド4)の製造)
製造例A1で得た内部オレフィン1(3.56モル)に代えて、製造例A4で得た内部オレフィン4(3.56モル)を用いた以外は製造例B1と同様にして、内部エポキシド4を得た。
【0048】
<エポキシドとグリセリンの反応物(アルキルグリセリルエーテル、AGE)の製造>
以下、アルキルグリセリルエーテルをAGEと記載する。また、AGE1、AGE2、AGE3、AGE4、AGE5、AGE6、AGE7、などは、それぞれ、アルキルグリセリルエーテル1、アルキルグリセリルエーテル2、アルキルグリセリルエーテル3、アルキルグリセリルエーテル4、アルキルグリセリルエーテル5、アルキルグリセリルエーテル6、アルキルグリセリルエーテル7、などを表す。
【0049】
製造例C1
(内部エポキシド1とグリセリンの反応物(AGE1)の製造)
撹拌装置付きフラスコにグリセリン(和光純薬工業株式会社製)2298g(25.0モル)、98%硫酸(和光純薬工業株式会社製)0.122g(1.25ミリモル)を仕込み130℃に昇温した。その後、製造例B1で得た内部エポキシド1(300g、1.25モル)を1時間かけ滴下した後、130℃/8時間反応を行った。この反応により得られた液にヘキサンを加えイオン交換水にて水洗を行った後、エバポレーターにて減圧濃縮を行い、AGE1を400g得た。得られたAGE1のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=96/4であった。また、得られたAGE1のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=73/27であった。
【0050】
製造例C2
(内部エポキシド2とグリセリンの反応物(AGE2)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、製造例B2で得た内部エポキシド2(1.25モル)を用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE2を得た。得られたAGE2のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=95/5であった。また、得られたAGE2のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=74/26であった。
【0051】
製造例C3
(内部エポキシド3とグリセリンの反応物(AGE3)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、製造例B3で得た内部エポキシド3(1.25モル)を用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE3を得た。得られたAGE3のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=93/7であった。また、得られたAGE3のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=74/26であった。
【0052】
製造例C4
(内部エポキシド4とグリセリンの反応物(AGE4)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、製造例B4で得た内部エポキシド4(1.25モル)を用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE4を得た。得られたAGE4のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=90/10であった。また、得られたAGE4のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=76/24であった。
【0053】
製造例C5
(C14末端エポキシドとグリセリンの反応物(AGE5)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、C14末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)1.25モルを用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE5を得た。得られたAGE5のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=92/8であった。また、得られたAGE5のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=74/26であった。
【0054】
製造例C6
(C16末端エポキシドとグリセリンの反応物(AGE6)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、C16末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)1.25モルを用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE6を得た。得られたAGE6のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=95/5であった。また、得られたAGE6のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=76/23であった。
【0055】
製造例C7
(C18末端エポキシドとグリセリンの反応物(AGE7)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、C18末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)1.25モルを用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE7を得た。得られたAGE7のアルキルグリセリルエーテルとジオールの比はアルキルグリセリルエーテル/ジオール=94/6であった。また、得られたAGE7のグリセリンの1級水酸基付加体及びグリセリンの2級水酸基付加体の比は1級水酸基付加体/2級水酸基付加体=73/27であった。
【0056】
<アルキルグリセリルエーテルとエポキシドの反応物(ジアルキルグリセリルエーテル、DAGE)の製造>
以下、ジアルキルグリセリルエーテルをDAGEと記載する。また、DAGE1、DAGE2、DAGE3、DAGE4、DAGE5、DAGE6、DAGE7、などは、それぞれ、ジアルキルグリセリルエーテル1、ジアルキルグリセリルエーテル2、ジアルキルグリセリルエーテル3、ジアルキルグリセリルエーテル4、ジアルキルグリセリルエーテル5、ジアルキルグリセリルエーテル6、ジアルキルグリセリルエーテル7、などを表す。
【0057】
製造例D1
(AGE1とエポキシドの反応物(DAGE1)の製造)
撹拌装置付きフラスコに製造例B1で得た内部エポキシド1(300g、1.25モル)、98%硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.122g(1.25ミリモル)、製造例C1で得たAGE1(400g、1.25モル)を仕込み150℃に昇温した。その後、150℃/5時間反応を行った。この反応により得られた液にヘキサンを加えてイオン交換水にて水洗を行った後、エバポレーターにて減圧濃縮を行い、DAGE1を700g得た。得られたDAGE1は、前記化学式(1)において、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ炭素数1~13のアルキル基を含み、R11とR12の合計炭素数が14であり、R13とR14の合計炭素数が14であり、前記化学式(2)において、R21、R22、R23及びR24はそれぞれ炭素数1~13のアルキル基を含み、R21とR22の合計炭素数が14であり、R23とR24の合計炭素数が14であり、前記化学式(3)において、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ炭素数1~13のアルキル基を含み、R31とR32の合計炭素数が14であり、R33とR34の合計炭素数が14であり、A1及びA2は、それぞれ-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2であり、前記化学式(1)で表される化合物を42.0%、前記化学式(2)で表される化合物を34.8%、前記化学式(3)で表される化合物を23.2%含んでいた。
【0058】
製造例D2
(AGE2とエポキシドの反応物(DAGE2)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、製造例B2で得た内部エポキシド2(1.25モル)及び製造例C2で得たAGE2(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG2を得た。得られたDAGE2は、前記化学式(1)において、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ炭素数1~15のアルキル基を含み、R11とR12の合計炭素数が16であり、R13とR14の合計炭素数が16であり、前記化学式(2)において、R21、R22、R23及びR24はそれぞれ炭素数1~15のアルキル基を含み、R21とR22の合計炭素数が16であり、R23とR24の合計炭素数が16であり、前記化学式(3)において、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ炭素数1~15のアルキル基を含み、R31とR32の合計炭素数が16であり、R33とR34の合計炭素数が16であり、A1及びA2は、それぞれ-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2であり、前記化学式(1)で表される化合物を42.2%、前記化学式(2)で表される化合物を33.8%、前記化学式(3)で表される化合物を24.0%含んでいた。
【0059】
製造例D3
(AGE3とエポキシドの反応物(DAGE3)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、製造例B3で得た内部エポキシド3(1.25モル)及び製造例C3で得たAGE3(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG3を得た。得られたDAGE3は、前記化学式(1)において、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ炭素数1~11のアルキル基を含み、R11とR12の合計炭素数が12であり、R13とR14の合計炭素数が12であり、前記化学式(2)において、R21、R22、R23及びR24はそれぞれ炭素数1~11のアルキル基を含み、R21とR22の合計炭素数が12であり、R23とR24の合計炭素数が12であり、前記化学式(3)において、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ炭素数1~11のアルキル基を含み、R31とR32の合計炭素数が12であり、R33とR34の合計炭素数が12であり、A1及びA2は、それぞれ-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2であり、前記化学式(1)で表される化合物を41.3%、前記化学式(2)で表される化合物を33.1%、前記化学式(3)で表される化合物を25.6%含んでいた。
【0060】
製造例D4
(AGE4とエポキシドの反応物(DAGE4)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、製造例B4で得た内部エポキシド4(1.25モル)及び製造例C4で得たAGE4(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG4を得た。得られたDAGE4は、前記化学式(1)において、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ炭素数1~9のアルキル基を含み、R11とR12の合計炭素数が10であり、R13とR14の合計炭素数が10であり、前記化学式(2)において、R21、R22、R23及びR24はそれぞれ炭素数1~9のアルキル基を含み、R21とR22の合計炭素数が10であり、R23とR24の合計炭素数が10であり、前記化学式(3)において、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ炭素数1~9のアルキル基を含み、R31とR32の合計炭素数が10であり、R33とR34の合計炭素数が10であり、A1及びA2は、それぞれ-CH2-CH(OH)-CH2OH、又は-CH(-CH2OH)2であり、前記化学式(1)で表される化合物を41.0%、前記化学式(2)で表される化合物を31.0%、前記化学式(3)で表される化合物を28.0%含んでいた。
【0061】
製造例D5
(AGE5とエポキシドの反応物(DAGE5)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、C14末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)1.25モル及び製造例C5で得たAGE5(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG5を得た。得られたDAGE5は、下記化学式(4)で表される化合物を40.8%、下記化学式(5)で表される化合物を32.8%、下記化学式(6)で表される化合物を26.4%含んでいた。
【化10】
(式中、R
41及びR
42のうち一方は水素原子、他方はラウリル基であり、R
43及びR
44のうち一方は水素原子、他方はラウリル基である。)
【化11】
(式中、R
51及びR
52のうち一方は水素原子、他方はラウリル基であり、R
53及びR
54のうち一方は水素原子、他方はラウリル基である。)
【化12】
(式中、R
61及びR
62のうち一方は水素原子、他方はラウリル基であり、R
63及びR
64のうち一方は水素原子、他方はラウリル基であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【0062】
製造例D6
(AGE6とエポキシドの反応物(DAGE6)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(2.5モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、C16末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)2.5モル及び製造例C6で得たAGE6(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG5を得た。得られたDAGE6は、下記化学式(7)で表される化合物を43.3%、下記化学式(8)で表される化合物を32.7%、下記化学式(9)で表される化合物を24.0%含んでいた。
【化13】
(式中、R
71及びR
72のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基であり、R
73及びR
74のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基である。)
【化14】
(式中、R
81及びR
82のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基であり、R
83及びR
84のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基である。)
【化15】
(式中、R
91及びR
92のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基であり、R
93及びR
94のうち一方は水素原子、他方はミリスチル基であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【0063】
製造例D7
(AGE7とエポキシドの反応物(DAGE7)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(2.5モル)及び製造例C1で得たAGE1(1.25モル)に代えて、C18末端エポキシド(東京化成工業株式会社製)2.5モル及び製造例C7で得たAGE7(1.25モル)を用いた以外は、製造例D1と同様の製造方法で、DAEG7を得た。得られたDAGE7は、下記化学式(10)で表される化合物を41.2%、下記化学式(11)で表される化合物を34.0%、下記化学式(12)で表される化合物を24.8%含んでいた。
【化16】
(式中、R
101及びR
102のうち一方は水素原子、他方はセチル基であり、R
103及びR
104のうち一方は水素原子、他方はセチル基である。)
【化17】
(式中、R
111及びR
112のうち一方は水素原子、他方はセチル基であり、R
113及びR
114のうち一方は水素原子、他方はセチル基である。)
【化18】
(式中、R
121及びR
122のうち一方は水素原子、他方はセチル基であり、R
123及びR
124のうち一方は水素原子、他方はセチル基であり、A
1及びA
2は、それぞれ独立に-CH
2-CH(OH)-CH
2OH、又は-CH(-CH
2OH)
2である。)
【0064】
実施例1~4、比較例1~3
製造例D1~D7で作製した各生成物を用いて、以下の測定及び評価を行った。
<融点の測定>
高感度型示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:DSC7000X)を使用し、70μLパンに製造例D1~D7で作製した各生成物を入れ、-60℃から80℃まで2℃/minで昇温し、昇温時間に対する示差熱電極で検出する温度差の最大ピーク時の温度を融点とした。結果を表1に示す。
【0065】
<接触角の測定>
ヘキサン100mL中に、製造例D1~D7で作製した各生成物5.0gを加え、十分に撹拌してヘキサン溶液を調製した。スライドガラス(76mm×26mm×1mm)を前記方法で調製したヘキサン溶液に10秒間浸漬した後、5mLのヘキサンに10秒間浸漬し、120℃の熱風で10秒乾燥した。その後、スライドガラスを接触角計(協和界面科学株式会社製、DM-701)のステージに水平に設置し、設置したスライドガラス上にイオン交換水2μLをシリンジで滴下し、5秒後に接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の化合物及び組成物は、界面活性剤、乳化剤、分散剤、ポリマー及び樹脂などの原料、潤滑油等の油剤の添加剤、塗料添加剤、農薬添加剤、樹脂添加剤、金属表面改質剤、化粧品基材、医療用助剤、繊維用油剤、石油薬剤、加工薬剤、滑剤、可塑剤、乳化剤、分散剤、防曇剤、帯電防止剤、消泡剤、濡れ剤、浸透剤、油回収用薬剤、洗浄剤、又は防錆剤などに有用である。