(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
C08F 30/02 20060101AFI20250114BHJP
C08F 2/18 20060101ALI20250114BHJP
C08J 9/32 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
C08F30/02
C08F2/18
C08J9/32 CFG
(21)【出願番号】P 2020209334
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】原田 良祐
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光一朗
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-294815(JP,A)
【文献】特開2000-311518(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054816(WO,A1)
【文献】特表2017-525585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/18
C08F 30/02
C08J 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子内部に空孔部を有する中空樹脂粒子であって、
該中空樹脂粒子が、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)の両方を含む重合体(P)を含み、
該重合体(P)は、ビニル系モノマーとリン酸エステル系モノマーを含む全モノマー成分を重合して得られ、該ビニル系モノマー100重量部に対するリン酸エステル系モノマーの含有量が0.001重量部~5重量部であり、
下記に示す測定方法で測定した比誘電率Dk1と比誘電率Dk0から算出した、該比誘電率Dk1の該比誘電率Dk0に対する低減率が3%以上である、
半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
ただし、上記比誘電率Dk1と比誘電率Dk0については、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=3.45、誘電正接Df=0.032のポリイミドを用い、測定対象の中空樹脂粒子を、全固形分(ポリイミド樹脂+中空樹脂粒子)に対して中空樹脂粒子濃度が20重量%となるようにして酢酸エチルに分散させ、遊星撹拌脱泡機を用いて脱泡撹拌して作製した評価用混合物を、厚み5mmのガラス板にウエット厚250μmに設定したアプリケーターを用いて塗工した後、60℃で30分、90℃にて10分、150℃にて30分、200℃にて30分加熱することで酢酸エチルを除去した後、室温下まで冷却し、得られたポリイミド80重量部と中空樹脂粒子20重量部が配合されたフィルム(F1)の比誘電率Dk1を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて測定し、他方、中空樹脂粒子を用いずに、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=3.45、誘電正接Df=0.032のポリイミドを用いて同様に行って得られたポリイミドのみからなるフィルム(F0)の比誘電率Dk0を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて測定した。
【請求項2】
下記に示す測定方法で測定した誘電正接Df1と誘電正接Df0から算出した、該誘電正接Df1の該誘電正接Df0に対する低減率が3%以上である、請求項1に記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
ただし、上記誘電正接Df1と誘電正接Df0については、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=3.45、誘電正接Df=0.032のポリイミドを用い、測定対象の中空樹脂粒子を、全固形分(ポリイミド樹脂+中空樹脂粒子)に対して中空樹脂粒子濃度が20重量%となるようにして酢酸エチルに分散させ、遊星撹拌脱泡機を用いて脱泡撹拌して作製した評価用混合物を、厚み5mmのガラス板にウエット厚250μmに設定したアプリケーターを用いて塗工した後、60℃で30分、90℃にて10分、150℃にて30分、200℃にて30分加熱することで酢酸エチルを除去した後、室温下まで冷却し、得られたポリイミド80重量部と中空樹脂粒子20重量部が配合されたフィルム(F1)の誘電正接Df1を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて測定し、他方、中空樹脂粒子を用いずに、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=3.45、誘電正接Df=0.032のポリイミドを用いて同様に行って得られたポリイミドのみからなるフィルム(F0)の誘電正接Df0を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて測定した。
【請求項3】
前記中空樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm~100μmである、請求項1または2に記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項4】
前記リン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)がエチレン系不飽和基を有する、請求項1から3までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項5】
前記リン酸エステル系モノマーが一般式(1)で表される、請求項1から4までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【化1】
(一般式(1)中、R
1は(メタ)アクリル基又はアリル基、R
2は直鎖状又は分岐状のアルキレン基、mは1~30の整数、nは0又は1、vは1~10の整数、xは1又は2である。)
【請求項6】
比表面積が1m
2/g~30m
2/gである、請求項1から5までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項7】
嵩比重が0.01g/cm
3~0.6g/cm
3である、請求項1から6までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項8】
前記粒子内部の空孔部の構造が多孔質構造である、請求項1から7までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項9】
前記粒子内部の空孔部の構造が単中空構造である、請求項1から7までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかに記載の半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子を含む、半導体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の情報処理量と通信速度の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化などの実装技術が急速に進展している。半導体デバイスにおいて用いられる半導体部材に用いられる絶縁樹脂材料には、高い周波数の信号の伝送速度を高め、信号伝送時の損失を低減させるために、絶縁樹脂の比誘電率及び誘電正接が低いことが要求される。
【0003】
このような要求に対し、シェル部と該シェル部により囲われた中空部分を有する中空粒子を絶縁樹脂に混在させることで、絶縁樹脂内に空域を導入し、低比誘電化、低誘電正接化を図る技術が報告されている。
【0004】
このような技術として、例えば、メソポーラス構造とその表面に形成された外郭からなる中空多孔質性樹脂粒子に関する技術が報告されている(特許文献1)。この中空多孔質性樹脂粒子は、重合性単量体を水系で懸濁重合する際に、油溶性重合開始剤と水溶性重合開始剤を同時に作用させることにより得られる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法で作製された中空多孔質性樹脂粒子は、表層部が極めて薄くて脆いため、外力が加わると粒子が破壊されてしまうリスクが高い。
【0006】
このように、従来の中空多孔質性樹脂粒子は機械的強度が十分でなく、外力を加えた際に変形及び破壊が生じやすく、外力の加わる状況でその形状を維持することが困難である。このように機械的強度が十分ではない中空多孔質性樹脂粒子は、半導体パッケージや半導体モジュールなどの半導体部材に用いる樹脂組成物に適用した場合、その半導体部材や該半導体部材を有する半導体デバイスなどを製造する際に、外力によって破壊されてしまい、低比誘電化、低誘電正接化が図れないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、半導体部材用樹脂組成物に用いることで優れた低誘電特性を発現できる半導体部材を提供し得る、半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、
粒子内部に空孔部を有する中空樹脂粒子であって、
ポリイミド80重量部と該中空樹脂粒子20重量部が配合されたフィルム(F1)の比誘電率Dk1の該ポリイミドのみからなるフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率が3%以上である。
【0010】
一つの実施形態においては、上記フィルム(F1)の誘電正接Df1の上記フィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率が3%以上である。
【0011】
一つの実施形態においては、上記中空樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm~100μmである。
【0012】
一つの実施形態においては、上記中空樹脂粒子が、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体(P)を含む。
【0013】
一つの実施形態においては、上記リン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)がエチレン系不飽和基を有する。
【0014】
一つの実施形態においては、上記リン酸エステル系モノマーが一般式(1)で表される。
【化1】
(一般式(1)中、R
1は(メタ)アクリル基又はアリル基、R
2は直鎖状又は分岐状のアルキレン基、mは1~30の整数、nは0又は1、vは1~10の整数、xは1又は2である。)
【0015】
一つの実施形態においては、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、比表面積が1m2/g~30m2/gである。
【0016】
一つの実施形態においては、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、嵩比重が0.01g/cm3~0.6g/cm3である。
【0017】
一つの実施形態においては、上記粒子内部の空孔部の構造が多孔質構造である。
【0018】
一つの実施形態においては、上記粒子内部の空孔部の構造が単中空構造である。
【0019】
本発明の実施形態による半導体部材は、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、半導体部材用樹脂組成物に用いることで優れた低誘電特性を発現できる半導体部材を提供し得る、半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例1で得られた樹脂粒子(1)の表面SEM画像である。
【
図2】実施例1で得られた樹脂粒子(1)の断面SEM画像である。
【
図3】実施例9で得られた樹脂粒子(9)の表面SEM画像である。
【
図4】実施例9で得られた樹脂粒子(9)の断面SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0023】
本明細書において、半導体部材とは、半導体を構成する部材を意味し、例えば、半導体パッケージや半導体モジュールが挙げられる。本明細書において、半導体部材用樹脂組成物とは、半導体部材に用いる樹脂組成物を意味する。したがって、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、半導体部材用樹脂組成物に用いられ、よって、半導体パッケージや半導体モジュールなどの半導体部材に好適に用いられる。このような半導体部材は、本発明の実施形態による半導体部材であり、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子を含む。
【0024】
半導体パッケージとは、ICチップを必須構成部材として、モールド樹脂、アンダーフィル材、モールドアンダーフィル材、ダイボンド材、半導体パッケージ基板用プリプレグ、半導体パッケージ基板用金属張積層板、及び半導体パッケージ用プリント回路基板のビルドアップ材料から選ばれる少なくとも1種の部材を用いて構成されるものである。
【0025】
半導体モジュールとは、半導体パッケージを必須構成部材として、プリント回路基板用プリプレグ、プリント回路基板用金属張積層板、プリント回路基板用ビルドアップ材料、ソルダーレジスト材、カバーレイフィルム、電磁波シールドフィルム、及びプリント回路基板用接着シートから選ばれる少なくとも1種の部材を用いて構成されるものである。
【0026】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
【0027】
≪≪中空樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による中空樹脂粒子は、半導体部材用樹脂組成物に用いる。半導体部材用樹脂組成物は、前述したように、半導体部材に用いる樹脂組成物である。このような樹脂組成物は、代表的には、絶縁樹脂を含む。このような絶縁樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な樹脂を採用し得る。このような絶縁樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリビスマレイミド、ポリアリレート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、PTFE等のフッ素樹脂、シクロオレフィン樹脂が挙げられる。
【0028】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、粒子内部に空孔部を有する中空樹脂粒子である。粒子内部の空孔部の構造としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な構造を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、このような構造としては、多孔質構造、単中空構造が挙げられる。ここでいう空孔部とは、内部が樹脂以外の物質、例えば、気体や液体等で満たされている状態を意味し、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、気体で満たされている状態を意味する。
【0029】
中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、好ましくは0.5μm~100μmであり、より好ましくは1.0μm~80μmであり、さらに好ましくは1.5μm~60μmであり、特に好ましくは2.0μm~40μmである。中空樹脂粒子の体積平均粒子径が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。中空樹脂粒子の体積平均粒子径が上記範囲を外れて小さすぎる場合、粒子の表層部の厚みが相対的に薄くなるため、十分な機械的強度を有する中空樹脂粒子とならないおそれがある。中空樹脂粒子の体積平均粒子径が上記範囲を外れて大きすぎる場合、懸濁重合中にモノマー成分が重合して生じるポリマーと溶剤との相分離が生じにくくなるおそれがあり、これによって表層部の形成が困難となるおそれがある。なお、中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、後述するようなコールター法により得ることができる。
【0030】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、ポリイミド80重量部と該中空樹脂粒子20重量部が配合されたフィルム(F1)の比誘電率Dk1の該ポリイミドのみからなるフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率が、好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上である。フィルム(F1)の比誘電率Dk1のフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率は大きければ大きいほどよいが、現実的には、35%以下である。フィルム(F1)の比誘電率Dk1のフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。フィルム(F1)の比誘電率Dk1のフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率が上記範囲を外れて小さすぎると、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子が優れた低誘電特性を発現できないおそれがある。
【0031】
なお、フィルム(F1)の比誘電率Dk1のフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率は、下記の式によって算出される。
フィルム(F1)の比誘電率Dk1のフィルム(F0)の比誘電率Dk0に対する低減率(%)
=[(Dk0-Dk1)/Dk0]×100
【0032】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率が、好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上である。フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率は大きければ大きいほどよいが、現実的には、35%以下である。フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率が上記範囲を外れて小さすぎると、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子が優れた低誘電特性を発現できないおそれがある。
【0033】
なお、フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率は、下記の式によって算出される。
フィルム(F1)の誘電正接Df1のフィルム(F0)の誘電正接Df0に対する低減率(%)
=[(Df0-Df1)/Df0]×100
【0034】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、比表面積が、好ましくは1m2/g~30m2/gであり、より好ましくは1m2/g~25m2/gであり、さらに好ましくは1m2/g~20m2/gであり、特に好ましくは1m2/g~15m2/gである。上記比表面積が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。上記比表面積が上記範囲を外れて小さすぎると、粒子と絶縁樹脂の界面に空隙ができやすくなり、絶縁樹脂材料の強度が低下するおそれや、低吸湿性が悪化するおそれがある。上記比表面積が上記範囲を外れて大きすぎると、中空樹脂粒子の強度が低下し、製造工程において粒子が破壊され、中空部が維持できなくなるおそれがある。
【0035】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、嵩比重が、好ましくは0.01g/cm3~0.6g/cm3であり、より好ましくは0.02g/cm3~0.55g/cm3であり、さらに好ましくは0.03g/cm3~0.5g/cm3であり、特に好ましくは0.05g/cm3~0.45g/cm3である。上記嵩比重が上記範囲を外れて小さすぎると、中空樹脂粒子の強度が低下し、製造工程において粒子が破壊され、中空部が維持できなくなるおそれがある。上記嵩比重が上記範囲を外れて大きすぎると、中空部が少なくなり、十分な低誘電特性が発現できないおそれがある。
【0036】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、好ましくは、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体(P)を含む。
【0037】
代表的には、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、その主成分が、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体(P)である。ここで、「主成分」とは、全体中の含有割合が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上であることを意味する。
【0038】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子中の、重合体(P)の含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。
【0039】
重合体(P)は、好ましくは、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)の両方を含む重合体である。
【0040】
本明細書においては、重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分をモノマー組成物と称することがある。
【0041】
ビニル系モノマー由来の構成単位(I)は、ビニル系モノマーが、重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分の一つとして重合された場合に形成される構成単位である。このようなビニル系モノマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なビニル系モノマーを採用し得る。ビニル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0042】
ビニル系モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能ビニル系モノマー、エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能ビニル系モノマーが挙げられる。
【0043】
エチレン性不飽和基を1つ有する単官能ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、カルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、、窒素原子含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、オレフィン類、ビニルエーテル類、塩化ビニルが挙げられる。
【0044】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、エチルビニルベンゼン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンが挙げられる。
【0045】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、これらの酸無水物(例えば、無水マレイン酸や無水イタコン酸)が挙げられる。
【0046】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなど、炭素数が1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。なお、ここでいうアルキル基には、脂環式炭化水素基、脂環式炭化水素基を有するアルキル基を含む。懸濁重合時の分散液の安定性が優れており、結果として高い機械的強度の中空樹脂粒子が得られやすい点で、アルキル基は、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
【0047】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルコール、アリルアルコールが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)が挙げられる。
【0048】
窒素原子含有モノマーは、分子内に窒素原子を少なくとも一つ有するモノマーである。本明細書では、分子内に水酸基と窒素原子とを併有するモノマーは、水酸基含有モノマーには含まれないものとし、窒素原子含有モノマーに含まれるものとする。窒素原子含有モノマーとしては、例えば、N-ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド類、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、複素環含有モノマー、イミド基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーが挙げられる。
【0049】
N-ビニル環状アミドとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、およびN-ビニル-3,5-モルホリンジオンが挙げられる。
【0050】
(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0051】
N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのような、アミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。
【0052】
N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0053】
N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0054】
N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0055】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルが挙げられる。
【0056】
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
【0057】
複素環含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジン、N-メチルビニルピロリドンが挙げられる。
【0058】
イミド基含有モノマーとしては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;が挙げられる。
【0059】
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
【0060】
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。
【0061】
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0062】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルが挙げられる。
【0063】
芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0064】
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが挙げられる。
【0065】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエンが挙げられる。
【0066】
オレフィン類としては、例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンが挙げられる。
【0067】
ビニルエーテル類としては、例えば、ビニルアルキルエーテルが挙げられる。
【0068】
エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能ビニル系モノマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族ジビニル系モノマーが挙げられる。
【0069】
多官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0070】
芳香族ジビニル系モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体が挙げられる。
【0071】
本発明の効果をより発現させ得る点で、ビニル系モノマーは、多官能ビニル系モノマーを含むことが好ましい。ビニル系モノマー全量中の多官能ビニル系モノマーの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは3重量%~70重量%であり、より好ましくは5重量%~50重量%であり、さらに好ましくは7重量%~45重量%であり、特に好ましくは10重量%~40重量%である。ビニル系モノマー全量中の多官能ビニル系モノマーの含有割合が上記範囲を外れて小さすぎると、粒子内部に空孔部を形成し難くなるおそれがある。ビニル系モノマー全量中の多官能ビニル系モノマーの含有割合が上記範囲を外れて大きすぎると、得られる中空樹脂粒子の表面の収縮が大きくなり、機械的強度が弱くなるおそれがある。
【0072】
リン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)は、リン酸エステル系モノマーが、重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分の一つとして重合された場合に形成される構成単位である。このようなリン酸エステル系モノマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なリン酸エステル系モノマーを採用し得る。リン酸エステル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0073】
リン酸エステル系モノマーとしては、懸濁重合時に、液滴表面近傍でビニル系モノマーと共重合することで粒子硬度を高められるという点で、エチレン性不飽和基を有することが好ましい。
【0074】
リン酸エステル系モノマーとしては、懸濁重合時に、液滴表面に配向しやすく、無機系分散剤と作用し、粒子表面近傍の硬度を高めることができるという点で、酸性リン酸エステル系モノマーが好ましい。
【0075】
エチレン性不飽和基を有する酸性リン酸エステル系モノマーとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、一般式(1)で表されるリン酸エステル系モノマーが好ましい。
【化2】
【0076】
一般式(1)中、R1は(メタ)アクリル基又はアリル基、R2は直鎖状又は分岐状のアルキレン基、mは1~30の整数、nは0又は1、vは1~10の整数、xは1又は2である。
【0077】
本発明の効果をより発現させ得る点で、一般式(1)で表されるリン酸エステル系モノマーとしては、式(2)で表されるカプロラクトンEO変性リン酸ジメタクリレート、式(3)で表されるポリオキシプロピレンアリルエーテルリン酸エステル、2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートが好ましい。
【0078】
【0079】
式(2)中、a及びbは、a=1、b=2、又は、a=2、b=1である。
【0080】
【0081】
式(3)中、pは1~30の整数である。qは1又は2である。
【0082】
式(2)で表されるカプロラクトンEO変性リン酸ジメタクリレートとしては、例えば、日本化薬株式会社の製品名「KAYAMER PM-21」として入手可能である。
【0083】
式(3)で表されるポリオキシプロピレンアリルエーテルリン酸エステルとしては、例えば、株式会社ADEKA社の製品名「アデカリアソープ PP-70」として入手可能である。
【0084】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子においては、その主成分である重合体(P)がビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)の両方を含む重合体である場合、該重合体を製造するために用いられる全モノマー成分中におけるリン酸エステル系モノマーの含有量は、ビニル系モノマー100重量部に対して、好ましくは0.001重量部~5重量部であり、より好ましくは0.01重量部~3重量部であり、さらに好ましくは0.03重量部~1重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~0.8重量部である。リン酸エステル系モノマーの含有量がビニル系モノマー100重量部に対して上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現し得る。
【0085】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、ビニル系モノマー由来の構成単位(I)及びリン酸エステル系モノマー由来の構成単位(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体(P)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような他の成分としては、例えば、顔料、酸化防止剤、香料、紫外線防御剤、界面活性剤、防腐剤、薬効成分が挙げられる。
【0086】
≪≪中空樹脂粒子の製造方法≫≫
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造し得る。
【0087】
このような製造方法としては、例えば、分散工程(工程1)、重合工程(工程2)、洗浄工程(工程3)、乾燥工程(工程4)を含む。
【0088】
≪工程1:分散工程≫
工程1は、分散剤を含む水溶液に、ビニル系モノマー及びリン酸エステル系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種を含むモノマー組成物と重合開始剤と非重合性有機化合物を含む有機混合溶液を分散させる工程である。
【0089】
水溶液中への有機混合溶液の分散は、水溶液中で有機混合溶液を液滴状で存在させることができさえすれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散方法を採用し得る。このような分散方法としては、代表的には、ホモミキサーやホモジナイザーを用いた分散方法である。
【0090】
水溶液は、水性媒体と分散剤を含む。
【0091】
水性媒体としては、例えば、水、水と低級アルコール(メタノール、エタノール等)との混合媒体などが挙げられる。水としては、脱イオン水、イオン交換水、及び蒸留水から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0092】
分散剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。このような分散剤としては、例えば、無機系分散剤、界面活性剤が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、分散剤として無機系分散剤を採用する。分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0093】
無機系分散剤としては、例えば、アルカリ土類金属のピロリン酸塩(ピロリン酸マグネシウムなど)、アルカリ土類金属のリン酸塩(第三リン酸カルシウムなど)、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の水に難溶性の塩類;シリカ、酸化ジルコニウム等の無機分散剤;タルク、ベントナイト、珪酸、珪藻土、粘度等の無機高分子物質;が挙げられる。ここでいうアルカリ土類金属としては、好ましくは、マグネシウム、カルシウムである。これらの中でも、アルカリ土類金属のピロリン酸塩及びアルカリ土類金属のリン酸塩は、金属イオンがリン酸エステル系モノマーにおけるリン酸エステル部と相互作用して表層に緻密な被膜が形成され、その結果、機械的強度の高い中空樹脂粒子が得ることができる点で好ましい。
【0094】
無機系分散剤の添加量としては、油滴の安定性を確保し、粒子径の揃った中空樹脂粒子が得られ得る点で、モノマー組成物(中空樹脂粒子の主成分である重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~30重量部であり、より好ましくは0.5重量部~20重量部である。
【0095】
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0096】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等の非反応性のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等の反応性のアニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0097】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルトリエチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルジエチルアンモニウム塩、N-ポリオキシアルキレン-N,N,N-トリアルキルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0098】
両性イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド、リン酸エステル塩、亜リン酸エステル系界面活性剤などが挙げられる。
【0099】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
【0100】
界面活性剤の添加量は、有機混合溶液100重量部に対して、0.01重量部~1重量部が好ましい。界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0101】
水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。
【0102】
有機混合溶液は、ビニル系モノマー及びリン酸エステル系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種を含むモノマー組成物と重合開始剤と非重合性有機化合物を含む。
【0103】
有機混合溶液に含まれるモノマー組成物としては、≪≪中空樹脂粒子≫≫の項目における説明をそのまま援用し得る。
【0104】
重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。
【0105】
重合開始剤は、10時間半減期温度が90℃以下であることが好ましい。このような重合開始剤を用いれば、中空樹脂粒子内に残存する重合開始剤を完全に分解することができ、例えば、中空樹脂粒子を含む半導体部材をはんだリフロー等で加熱する時に、残存する重合開始剤による樹脂の酸化劣化やガス発生を抑制することができる。
【0106】
重合開始剤は、下記式により算出される重合開始剤の分解率が98%以上となる反応温度および反応時間の組み合わせで重合することが好ましい。このような重合条件にすることで、中空樹脂粒子内に残存する重合開始剤を完全に分解することができ、例えば、中空樹脂粒子を含む半導体部材をはんだリフロー等で加熱する時に、残存する重合開始剤による樹脂の酸化劣化やガス発生を抑制することができる。
【0107】
分解率(%)=(1-exp(-kdt))×100
kd=Aexp(-ΔE/RT)
【0108】
上記式中、kdは熱分解速度定数を表し、tは反応時間(hr)を表し、Aは頻度因子(hr-1)を表し、ΔEは活性化エネルギー(J/mol)を表し、Rは気体定数(8.314J/mol・K)を表し、Tは反応温度(K)を表す。
【0109】
重合開始剤としては、例えば、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;などが挙げられる。
【0110】
重合開始剤の添加量は、モノマー組成物(中空樹脂粒子の主成分である重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分)100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~10重量部であり、より好ましくは0.01重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~5重量部である。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0111】
非重合性有機化合物は、いわゆる溶剤としての働きを有すると共に、中空樹脂粒子の粒子内部に、多孔質構造や単中空構造の空孔部が形成されることにも寄与する。
【0112】
このような非重合性有機化合物としては、重合工程(工程2)が実施される温度領域において液体として存在しているという理由から、沸点が30℃以上200℃以下の有機溶剤を使用することが好ましい。より具体的には、非重合性有機化合物としては、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等の飽和の脂肪族炭化水素類;トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系化合物;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素系化合物;からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0113】
非重合性有機化合物の使用量としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、モノマー組成物(中空樹脂粒子の主成分である重合体(P)を製造するために用いられる全モノマー成分)100重量部に対して、好ましくは10重量部~250重量部である。モノマー組成物100重量部に対する非重合性有機化合物の使用量が上記範囲を外れて小さすぎると、中空樹脂粒子の粒子内部に、多孔質構造や単中空構造の空孔部が確実に形成できないおそれがある。モノマー組成物100重量部に対する非重合性有機化合物の使用量が上記範囲を外れて大きすぎると、得られる中空樹脂粒子に十分な強度を付与できないおそれがある。
【0114】
有機混合溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。
【0115】
≪工程2:重合工程≫
工程2は、工程1で得られる分散液を加熱して懸濁重合する工程である。
【0116】
重合温度は、懸濁重合に適した温度であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合温度を採用し得る。このような重合温度としては、好ましくは30℃~105℃である。
【0117】
重合時間は、懸濁重合に適した時間であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合時間を採用し得る。このような重合時間としては、好ましくは0.1時間~20時間である。
【0118】
重合後に好ましく行う後加熱は、完成度の高い中空樹脂粒子を得るために好適な処理である。
【0119】
重合後に好ましく行う後加熱の温度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような後加熱の温度としては、好ましくは50℃~120℃である。
【0120】
重合後に好ましく行う後加熱の時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような後加熱の時間としては、好ましくは1時間~10時間である。
【0121】
≪工程3:洗浄工程≫
工程3は、工程2で得られたスラリーを洗浄する工程である。
【0122】
洗浄方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な洗浄方法を採用し得る。このような洗浄方法としては、例えば、(1)中空樹脂粒子を形成させた後、高速遠心機等を用いて、非常に高い遠心加速度を与えて該中空樹脂粒子を沈降させて上澄みを除去し、新たにイオン交換水または蒸留水を加え、沈降した中空樹脂粒子をイオン交換水に分散させ、この操作を数回繰り返すことにより不純物を除去する方法、(2)セラミックスフィルター等を用いたクロスフロー式のろ過方法により洗浄を行うことで不純物を除去する方法、(3)中空樹脂粒子に対して、粒子の凝集剤となる溶媒を添加することにより、溶媒中において粒子を凝集沈降させ、フィルター等を用いて該中空樹脂粒子を分離し、洗浄溶媒により洗浄する方法、などが挙げられる。
【0123】
上記(1)の洗浄方法においては、イオン交換水または蒸留水はスラリー重量の5倍以上の量を用いて、洗浄することが好ましい。
【0124】
比重が小さい中空樹脂粒子に対しては、(2)のセラミックスフィルター等を用いクロスフロー式のろ過方法により洗浄を行うことが好ましい。
【0125】
≪工程4:乾燥工程≫
工程4は、工程3で得られた洗浄後のスラリーを乾燥する工程である。
【0126】
乾燥方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乾燥方法を採用し得る。このような乾燥方法としては、例えば、加熱による乾燥が挙げられる。
【0127】
加熱の温度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような加熱の温度としては、好ましくは50℃~120℃である。
【0128】
加熱の時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような加熱の時間としては、好ましくは1時間~50時間である。
【実施例】
【0129】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
【0130】
<体積平均粒子径の測定>
粒子の体積平均粒子径の測定は、以下のようにしてコールター法により行った。
粒子の体積平均粒子径は、コールターMultisizer(登録商標)3(ベックマン・コールター株式会社の測定装置)により測定した。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizer(登録商標)3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施した。なお、測定に用いるアパチャーは、測定する粒子の大きさによって、適宜選択した。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定した。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は-800、Gain(ゲイン)は4と設定した。
測定用試料としては、粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社、「TOUCHMIXER MT-31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア、「ULTRASONIC CLEANER VS-150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用した。測定中は、ビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了した。なお、粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均とした。
【0131】
<嵩比重>
粒子の嵩比重は、JISK5101-12-1(顔料試験方法-第12部:見掛け密度又は見掛け比容-第1節:静置法)に準拠して測定した。
【0132】
<比表面積>
粒子の比表面積は、ISO 9277第1版 JIS Z 8830:2001記載のBET法(窒素吸着法)により測定した。対象となる粒子について、株式会社島津製作所社の自動比表面積/細孔分布測定装置「TristarII」を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出した。
加熱ガスパージによる前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm2の条件下で定容量法を用いて測定を行った。なお、前処理は、具体的には、粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、窒素パージを20分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、容器内の圧力が0.05mmHg以下になるまで真空脱気を行うことにより、行った。
【0133】
<絶縁樹脂としてポリイミド樹脂(A)を用いた場合の比誘電率Dk及び誘電正接Dfの測定>
ポリイミド樹脂(A)としてポリイミドKPI-MX300F(河村産業株式会社、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=3.45、誘電正接Df=0.032)を用いた。測定対象の粒子を、全固形分(ポリイミド樹脂+粒子)に対して粒子濃度が20重量%となるようにして酢酸エチルに分散させた。遊星撹拌脱泡機(KURABO社、マゼルスターKK-250)を用いて脱泡撹拌し、評価用混合物を作製した。評価用混合物を厚み5mmのガラス板にウエット厚250μmに設定したアプリケーターを用いて塗工した後、60℃で30分、90℃にて10分、150℃にて30分、200℃にて30分加熱することで酢酸エチルを除去した後、室温下まで冷却することで、各粒子を含むフィルムサンプルを得た。得られたフィルムの比誘電率・誘電正接評価を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて実施した。
【0134】
<絶縁樹脂としてポリイミド樹脂(B)を用いた場合の比誘電率Dkの測定>
ポリイミド樹脂(B)として超高耐熱ポリイミドワニス(SPIXAREA HR002、ソマール株式会社、、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz及び測定温度23℃の条件で測定した比誘電率Dk=2.5)を用いた。測定対象の粒子を、全固形分(ポリイミド樹脂+粒子)に対して粒子濃度が20重量%となるようにしてN-メチル-2-ピロリドンに分散させた。遊星撹拌脱泡機(KURABO社、マゼルスターKK-250)を用いて脱泡撹拌し、評価用混合物を作製した。評価用混合物を厚み5mmのガラス板にウエット厚250μmに設定したアプリケーターを用いて塗工した後、120℃にて10分、180℃にて180分、270℃にて60分加熱することで溶剤を除去した後、室温まで冷却することで各粒子を含むフィルムサンプルを得た。得られたフィルムの比誘電率評価を空洞共振法(測定周波数:5.8GHz)にて実施した。
【0135】
<SEM観察>
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像し、表面SEM画像を得た。さらに、粒子をエポキシ樹脂に包埋後、薄膜切片に切り出してから、粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像し、断面SEM画像を得た。
【0136】
〔実施例1〕
メチルメタクリレート(MMA)105重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTA)45重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしての「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×10
18hr
-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル75重量部とシクロヘキサン75重量部とを混合して油相を調製した。
また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、分散剤としての、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム23重量部とを混合して、水相を調製した。
次に、上記油相を上記水相中にTK-ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、8000rpmにて5分間分散させ、体積平均粒子径がおよそ8μmの分散液を得た。その後、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、重合器の内部温度を55℃に昇温して上記懸濁液の撹拌を5時間続けた後、重合器の内部温度を70℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を70℃で7時間撹拌する(ABN-Vの分解率=99.57%)ことによって、懸濁重合反応を完了させた。
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、遠心濾過機を用いて、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分なイオン交換水により固形分を洗浄した。その後、70℃で24時間真空乾燥することで非重合性有機化合物を除去し、球状の樹脂粒子(1)を得た。
樹脂粒子(1)の体積平均粒子径は7.8μmであった。樹脂粒子(1)は、SEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(1)の嵩比重は0.33g/cm
3であった。
樹脂粒子(1)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、8.2m
2/g、23.2m
2/gであった。これは、ジェットミル前後の比表面積の数値差が小さいほど、ジェットミルの衝撃に対して、粒子が十分な耐久強度を有することを示し、これは、半導体部材の製造時におけるせん断力や圧力等の外力に対して、粒子が破壊されないことを意味する。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。
結果を表1に示す。
図1に樹脂粒子(1)の表面SEM画像を示す。
図2に樹脂粒子(1)の断面SEM画像を示す。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと多官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとを用いて製造した樹脂粒子(1)において、粒子表面は空孔の無い緻密なシェルであり、粒子内部は多孔質構造であることを確認した。
【0137】
〔実施例2〕
スチレン(St)54重量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)36重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしての「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル105重量部とシクロヘキサン105重量部とを混合して油相を調製した以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(2)を得た。
結果を表1に示す。
【0138】
〔実施例3〕
メチルメタクリレート(MMA)135重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTA)15重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしての「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル75重量部とシクロヘキサン75重量部とを混合して油相を調製した以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(3)を得た。
結果を表1に示す。
【0139】
〔実施例4〕
イソブチルメタクリレート(IBMA)105重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTA)45重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしての「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル75重量部とシクロヘキサン75重量部とを混合して油相を調製した以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(4)を得た。
結果を表1に示す。
【0140】
〔実施例5〕
スチレン105重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTA)45重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしての「アデカリアソープPP-70」(ADEKA社製)0.8重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル75重量部とシクロヘキサン75重量部とを混合して油相を調製した以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(5)を得た。
結果を表1に示す。
【0141】
〔実施例6〕
非重合性有機化合物をシクロヘキサン150重量部とした以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(6)を得た。樹脂粒子(6)は、SEM観察によると、内部に孔が1つだけの存在する粒子であった。
結果を表1に示す。
【0142】
〔実施例7〕
実施例1において、調製した油相を水相に分散させる際に、TK-ホモミキサーの回転数を2500rpmに変更し、およそ35μmの分散液を得た以外は、実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(7)を得た。
結果を表1に示す。
【0143】
〔実施例8〕
メチルメタクリレート(MMA)65重量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)85重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマー「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)0.75重量部、非重合性有機化合物として酢酸エチル75重量部とシクロヘキサン75重量部とを混合して油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、分散剤としての、第三リン酸カルシウム90重量部とを混合して、水相を調製した。
上記以外は実施例1と同様にして、球状の樹脂粒子(8)を得た。
樹脂粒子(8)の体積平均粒子径は8.0μmであった。樹脂粒子(8)は、SEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(8)の嵩比重は0.32g/cm3であった。
樹脂粒子(8)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、7.2m2/g、10.2m2/gであった。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。
結果を表1に示す。
【0144】
〔実施例9〕
スチレン(St)63重量部、ジビニルベンゼン(DVB)810(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、81%含有品、19%はエチルビニルベンゼン(EVB))102重量部、HSクリスタ4100(側鎖結晶性ポリオレフィン、豊国製油株式会社製)15重量部、酸性リン酸エステル基を有する重合性モノマー「KAYAMER(登録商標)PM-21」(日本化薬社製)0.3重量部、油溶性重合開始剤としてのLPO(日油社製、商品名「パーロイルL」、10時間半減期温度=61.6℃、活性化エネルギーΔE=126.5kJ/mol、頻度因子A=3.81×10
18hr
-1)1.5重量部、非重合性有機化合物としてヘプタン120重量部とを混合して油相を調整した。また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、分散剤としての、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム23重量部とを混合して、水相を調製した。
次に、上記油相を上記水相中にTK-ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、8000rpmにて5分間分散させて、体積平均粒子径が約8.0μmの分散液を得た。その後、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、重合器の内部温度を55℃に昇温して上記懸濁液の撹拌を5時間続けた後、重合器の内部温度を70℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を80℃で8時間撹拌(パーロイルLの分解率=99.73%)することによって、懸濁重合反応を完了させた。
上記懸濁液を冷却した後、遠心濾過機を用いて、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分なイオン交換水により固形分を洗浄した。その後、70℃で24時間真空乾燥することで非重合性有機化合物を除去し、球状の樹脂粒子(9)を得た。
樹脂粒子(9)の体積平均粒子径は8.0μmであった。樹脂粒子(9)は、SEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(9)の嵩比重は0.07g/cm
3であった。
樹脂粒子(9)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、15.6m
2/g、21.3m
2/gであった。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。結果を表1に示す。
図3に樹脂粒子(9)の表面SEM画像を示す。
図4に樹脂粒子(9)の断面SEM画像を示す。スチレン系モノマーと芳香族ジビニル系モノマーとを用いて製造した樹脂粒子(9)において、粒子表面は空孔の無い緻密なシェルであり、粒子内部は多孔質構造であることを確認した。
【0145】
〔実施例10〕
スチレン(St)105重量部、ジビニルベンゼン(DVB)810(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、81%含有品、19%はエチルビニルベンゼン(EVB))45重量部、油溶性重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日本ファインケム社製、商品名「ABN-V」、10時間半減期温度=51℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)1.5重量部、非重合性有機化合物としてシクロヘキサン150重量部とを混合して油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、分散剤としての、ラウリル硫酸ナトリウム1重量部、水溶性重合開始剤としての2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]4水和物(富士フイルム和光純薬社製、商品名「VA-057」)、10時間半減期温度=57℃、活性化エネルギーΔE=122.7kJ/mol、頻度因子A=1.80×1018hr-1)2.3重量部を混合して水相を調製した。
次に、上記油相を上記水相中にTK-ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、8000rpmにて5分間分散させておよそ8μmの分散液を得た。その後、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、重合器の内部温度を60℃に昇温して上記懸濁液の撹拌を5時間続けた後、重合器の内部温度を70℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を70℃で16時間撹拌する(VA-057の分解率=99.76%)ことによって、懸濁重合反応を完了させた。十分なジビニルベンゼンの反応時間を確保することで高い強度を得ることができる。
上記懸濁液を冷却した後、遠心濾過機を用いて、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な蒸留水により固形分を洗浄した。その後、70℃で24時間真空乾燥することで非重合性有機化合物を除去し、球状の樹脂粒子(10)を得た。
樹脂粒子(10)の体積平均粒子径は8.1μmであった。樹脂粒子(10)はSEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(10)の嵩比重は0.30g/cm3であった。
樹脂粒子(10)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、1.9m2/g、28.3m2/gであった。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。
結果を表1に示す。
【0146】
〔実施例11〕
スチレン(St)63重量部、ジビニルベンゼン(DVB)810(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、81%含有品、19%はエチルビニルベンゼン(EVB))102重量部、HSクリスタ4100(側鎖結晶性ポリオレフィン、豊国製油株式会社製)15重量部、油溶性重合開始剤としてのLPO(日油社製、商品名「パーロイルL」、10時間半減期温度=61.6℃、活性化エネルギーΔE=126.5kJ/mol、頻度因子A=3.81×1018hr-1)1.65重量部、非重合性有機化合物としてへプタン120重量部とを混合して油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、分散剤としての、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム23重量部とを混合して、水相を調製した。
次に、上記油相を上記水相中にTK-ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、9000rpmにて10分間分散させた後、分散液をマイクロフルイダイザー(HC-5000、みずほ工業社製)で100kg/cm2の圧力下で1回通すことで、およそ4μmの分散液を得た。その後、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、重合器の内部温度を70℃に昇温して上記懸濁液の撹拌を10時間続けた後、重合器の内部温度を80℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を80℃で8時間撹拌する(パーロイルLの分解率=99.73%)ことによって、懸濁重合反応を完了させた。
上記懸濁液を冷却した後、遠心濾過機を用いて、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分なイオン交換水により固形分を洗浄した。その後、70℃で24時間真空乾燥することで非重合性有機化合物を除去し、球状の樹脂粒子(11)を得た。
樹脂粒子(11)の体積平均粒子径は3.5μmであった。樹脂粒子(11)はSEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(11)の嵩比重は0.2g/mlであった。
樹脂粒子(11)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、3.8m2/g、20m2/gであった。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。
結果を表1に示す。
【0147】
〔実施例12〕
スチレン(St)63重量部、ジビニルベンゼン(DVB)810(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、81%含有品、19%はエチルビニルベンゼン(EVB))102重量部、HSクリスタ4100(側鎖結晶性ポリオレフィン、豊国製油株式会社製)15重量部、油溶性重合開始剤としてのLPO(日油社製、商品名「パーロイルL」、10時間半減期温度=61.6℃、活性化エネルギーΔE=126.5kJ/mol、頻度因子A=3.81×1018hr-1)1.65重量部、非重合性有機化合物としてシクロヘキサン120重量部とを混合して油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水900重量部と、界面活性剤としての、ラウリル硫酸ナトリウム1重量部を混合して水相を調製した。
次に、上記油相を上記水相中に「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用い、8000rpmにて5分間予備分散させた後、18000rpmにて10分間分散させることで、およそ1μmの分散液を得た。その後、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、重合器の内部温度を70℃に昇温して上記懸濁液の撹拌を10時間続けた後、重合器の内部温度を80℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を80℃で8時間撹拌する(パーロイルLの分解率=99.73%)ことによって、懸濁重合反応を完了させた。
上記懸濁液を冷却した後、遠心濾過機を用いて、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分なイオン交換水により固形分を洗浄した。その後、70℃で24時間真空乾燥することで非重合性有機化合物を除去し、球状の樹脂粒子(12)を得た。
樹脂粒子(12)の体積平均粒子径は1.2μmであった。樹脂粒子(12)はSEM観察によると、内部が多孔質状の形状であった。樹脂粒子(12)の嵩比重は0.3g/mlであった。
樹脂粒子(12)をジェットミルにて0.4MPaの圧力で処理した前後の比表面積を測定したところ、5.6m2/g、12.4m2/gであった。
また、比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定した。
結果を表1に示す。
【0148】
【0149】
実施例1~12に示すように、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、優れた低誘電特性を発現できることが分かった、したがって、本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、優れた低誘電特性を発現でき、信頼性の高い半導体部材を提供し得る。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の実施形態による半導体部材用樹脂組成物に用いる中空樹脂粒子は、半導体部材用樹脂組成物に用いられ、したがって、半導体パッケージや半導体モジュールなどの半導体部材に好適に利用できる。