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特許7618442記録材検知装置、画像形成装置および超音波発信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】記録材検知装置、画像形成装置および超音波発信装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 17/02 20060101AFI20250114BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250114BHJP
   G01G 9/00 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
G01G17/02 Z
G03G21/00 370
G01G9/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020210444
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097071
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】門出 昌文
(72)【発明者】
【氏名】阿左見 純弥
(72)【発明者】
【氏名】熊田 博光
(72)【発明者】
【氏名】荒木 隆一
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135321(JP,A)
【文献】特開2009-274772(JP,A)
【文献】特開2013-44555(JP,A)
【文献】特開2019-119578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 9/00
G01G 17/02
G03G 15/00-21/20
G01B 17/02
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発信する発信手段と、前記超音波を受信する受信手段と、を有し、前記発信手段と前記受信手段が、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられた超音波センサと、
第1の最大振幅の超音波を発信させるための第1の駆動入力、または前記第1の最大振幅よりも大きい第2の最大振幅の超音波を発信させるための第2の駆動入力を前記発信手段に入力する指示手段と、
前記第1の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信した第1の値と、前記第2の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信した第2の値と、に応じて記録材の坪量に関する情報を検知する検知手段と、
を備えることを特徴とする記録材検知装置。
【請求項2】
前記指示手段は、前記発信手段の第1の端子に接続される第1の出力回路部と、前記発信手段の第2の端子に接続される第2の出力回路部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録材検知装置。
【請求項3】
前記指示手段は、前記発信手段の前記第2の端子に接続される第3の出力回路部と、を含み、
前記発信手段の前記第2の端子に前記第2の出力回路部を接続するか、前記発信手段の前記第2の端子に前記第3の出力回路部を接続するか、を切り替える第1の切替手段を有することを特徴とする請求項2に記載の記録材検知装置。
【請求項4】
前記指示手段から前記発信手段に前記第1の駆動入力が入力される場合、
前記第1の切替手段は、前記第2の端子に前記第3の出力回路部を接続し、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第1の駆動入力を出力し、且つ前記第3の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第1の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第3の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第2の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項3に記載の記録材検知装置。
【請求項5】
前記指示手段から前記発信手段に前記第2の駆動入力が入力される場合、
前記第1の切替手段は、前記第2の端子に前記第2の出力回路部を接続し、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第3の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力する第4の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項3または4に記載の記録材検知装置。
【請求項6】
前記第2の出力回路部に接続され、前記第2の出力回路部に駆動信号を出力する第4の出力回路部と、
前記第2の出力回路部に接続され、前記第2の出力回路部にグランドに応じた入力を出力する第5の出力回路部と、
前記第2の出力回路部に前記第4の出力回路部を接続するか、前記第2の出力回路部に前記第5の出力回路部を接続するか、を切り替える第2の切替手段を有することを特徴とする請求項2に記載の記録材検知装置。
【請求項7】
前記指示手段から前記発信手段に前記第1の駆動入力が供給される場合、
前記第2の切替手段は、前記第2の出力回路部に前記第5の出力回路部を接続し、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第1の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第5の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第6の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項6に記載の記録材検知装置。
【請求項8】
前記指示手段から前記発信手段に前記第2の駆動入力が供給される場合、
前記第2の切替手段は、前記第2の出力回路部に前記第4の出力回路部を接続し、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第7の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力する第8の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項6または7に記載の記録材検知装置。
【請求項9】
前記指示手段から前記発信手段に前記第1の駆動入力が供給される場合、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第1の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第9の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部から前記第1の駆動入力を出力する第10の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項2に記載の記録材検知装置。
【請求項10】
前記指示手段から前記発信手段に前記第2の駆動入力が供給される場合、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第11の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力する第12の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項2または9に記載の記録材検知装置。
【請求項11】
前記指示手段から前記発信手段に前記第1の駆動入力が供給される場合、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第1の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第13の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第14の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項2に記載の記録材検知装置。
【請求項12】
前記指示手段から前記発信手段に前記第2の駆動入力が供給される場合、
前記指示手段は、前記第1の出力回路部から前記第2の駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第15の状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する第16の状態と、を切り替えることを特徴とする請求項2または11に記載の記録材検知装置。
【請求項13】
超音波を発信する発信手段と、前記超音波を受信する受信手段と、を有し、前記発信手段と前記受信手段が、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられた超音波センサと、
前記発信手段に駆動入力を入力する指示手段と、を有し、
前記指示手段は、前記発信手段の第1の端子に接続される第1の出力回路部と、前記発信手段の第2の端子に接続される第2の出力回路部と、を含み、
前記第1の出力回路部から前記駆動入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部からグランドに応じた入力を出力する状態と、前記第1の出力回路部からグランドに応じた入力を出力し、且つ前記第2の出力回路部から前記駆動入力を出力する状態と、を切り替えることを特徴とする超音波発信装置。
【請求項14】
超音波を発信する発信手段と、前記超音波を受信する受信手段と、を有し、前記発信手段と前記受信手段が、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられた超音波センサと、
前記発信手段に駆動入力を入力する指示手段と、
記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信する場合、前記発信手段に入力される駆動入力を第1の増幅率を用いて前記駆動入力よりも小さい第1の変換入力値に変換し、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信する場合、前記発信手段に入力される前記駆動入力を第2の増幅率を用いて第2の変換入力値に変換する増幅率切替手段と、
前記第1の変換入力値を前記発信手段に入力した場合に前記発信手段から発信された超音波を前記受信手段により受信した第1の値と、前記第2の変換入力値を前記発信手段に入力した場合に前記発信手段から発信された超音波を前記受信手段により受信した第2の値と、に応じて記録材の坪量に関する情報を検知する検知手段と、を備えることを特徴とする記録材検知装置。
【請求項15】
前記発信手段に入力される駆動入力の増幅率を切り替える増幅率切替信号を前記増幅率切替手段に出力する増幅率切替指示手段を有し、
前記増幅率切替指示手段は、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信する場合、前記第1の増幅率を用いることを指示する信号を出力し、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信する場合、前記第2の増幅率を用いることを指示する信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の記録材検知装置。
【請求項16】
記録材に画像を形成する画像形成手段を有し、
請求項1乃至1のいずれか一項に記載の記録材検知装置によって検知した検知結果に基づいて前記画像形成手段により画像を形成する条件を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
超音波を発信する発信手段と、前記超音波を受信する受信手段と、を有し、前記発信手段と前記受信手段が、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられた超音波センサと、
第1の最大振幅の超音波を発信させるための第1の駆動入力、または前記第1の最大振幅よりも大きい第2の最大振幅の超音波を発信させるための第2の駆動入力を前記発信手段に入力する指示手段と、
前記第1の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信した第1の値と、前記第2の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信した第2の値と、に応じて画像形成条件を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いた記録材の坪量の検知に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、サイズ、坪量、表面性などの様々な特徴を備えた記録材に画像が形成される。特許文献1には、これらの記録材に応じた画像形成を行うため、画像形成装置内部に記録材の種類(以下、紙種と称す)を判別するための記録材検知装置を備えている。この記録材検知装置は、例えば、超音波を発信する発信手段と超音波を受信する受信手段とが、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられている。この発信手段が記録材に向けて超音波を発信し、記録材を介した超音波の受信レベルを用いて紙種を判別する方法が提案されている。このような超音波を用いて記録材の坪量を検知する記録材検知装置においては、記録材検知装置が置かれる環境によって検知結果が変化することがある。そのため、特許文献2では、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルと、記録材を介した超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルと、に応じて坪量を検知する方法が提案されている。この方法においては、記録材を介した超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルは、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルよりも小さい。このため、記録材を介した超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルの増幅率を、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信した場合の受信レベルの増幅率に比べて大きくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-219856
【文献】特許第6399747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受信手段によって受信した超音波の受信レベルの増幅率を上げると、超音波を受信する回路に存在するノイズまで増幅することとなる。このため、ノイズによって坪量に関する情報の検知精度が低下してしまう虞がある。
【0005】
本出願に係る発明は、発信手段に供給する駆動入力を制御することにより、記録材の坪量に関する情報の検知精度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0007】
超音波を発信する発信手段と、前記超音波を受信する受信手段と、を有し、前記発信手段と前記受信手段が、記録材が搬送される搬送路を挟むように設けられた超音波センサと、
第1の最大振幅の超音波を発信させるための第1の駆動入力、または前記第1の最大振幅よりも大きい第2の最大振幅の超音波を発信させるための第2の駆動入力を前記発信手段に入力する指示手段と、
前記第1の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信した第1の値と、前記第2の駆動入力が供給された前記発信手段から発信された超音波であって、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信した第2の値と、に応じて記録材の坪量に関する情報を検知する検知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、発信手段に供給する駆動電圧を制御することにより、記録材の坪量に関する情報の検知精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る画像形成装置1の概略構成図である。
図2】実施例1に係る記録材検知装置19における制御ブロック図である。
図3】位置補正係数Tと記録材Pの坪量の値との関係をプロットして得た近似式を示すグラフである。
図4】実施例1に係る発信制御部22の概略構成図の一例である。
図5】実施例1に係る発信制御部22の概略構成図の一例である。
図6】実施例1に係る発信制御部22の概略構成図の一例である。
図7】実施例1に係る発信制御部22の概略構成図の一例である。
図8】実施例1に係る記録材検知装置が実行する記録材Pの坪量の検知値を算出する処理のフローチャートである。
図9】(a)~(h)実施例1に係る記録材検知装置19が実行する坪量の検知値を算出する処理に関わる信号の状態や電圧の状態等を示すタイムチャートである。
図10】実施例1に係る発信回路部28の出力波形と、受信信号の波形と、検知信号の波形の一例と、信号雑音比の関係の一例を示す図である。
図11】実施例4に係る記録材検知装置19における制御ブロック図である。
図12】実施例4に係る記録材検知装置が実行する記録材Pの坪量の検知値を算出する処理のフローチャートである。
図13】(a)~(h)実施例4に係る記録材検知装置19が実行する坪量の検知値を算出する処理に関わる信号の状態や電圧の状態等を示すタイムチャートである。
図14】実施例4の変形例に係る記録材検知装置19における制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲の発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組合せの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【実施例1】
【0011】
[画像形成装置]
図1は、画像形成装置1の概略構成図である。画像形成装置1は、中間転写方式を採用した電子写真方式のフルカラープリンタである。画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する4つの画像形成ステーションを備えている。これらの4つの画像形成ステーションは一定の間隔をおいて一列に配置されている。なお、以下の説明では、参照符号の末尾の英文字Y、M、C及びKは、それぞれ当該部材がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像の形成に関する部材であることを示している。以下の説明において色を区別する必要が無い場合には、末尾の英文字Y、M、C及びKを除いた参照符号を使用することもある。
【0012】
給紙カセット2は、例えば紙である記録材Pを積載する。給紙カセット2に積載された記録材Pは、給紙ローラ3によって給紙される。給紙ローラ3によって給紙された記録材Pは、搬送ローラ対4や、レジストローラ対5により搬送される。レジストローラ対5の近傍には、記録材Pの有無を検知するためのレジセンサ6が配置されている。
【0013】
感光ドラム7は、アルミニウムのドラム状の基体上に感光層を有しており、駆動装置(不図示)によって図中矢印の方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。なお、ここでいうプロセススピードは、感光ドラム7の周速度(表面移動速度)に相当する。帯電ローラ8は、感光ドラム7を一様に所定の電位に帯電する。レーザスキャナ9は、画像情報に対応したレーザ光を照射し、感光ドラム7の表面を露光する。これにより、感光ドラム7の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0014】
プロセスカートリッジ10は、現像ローラ11を備え、プロセスカートリッジ10に収容されたトナーを用いて現像ローラ11により感光ドラム7上に形成された静電潜像を現像する。一次転写ローラ12は、感光ドラム7上に形成した画像を中間転写ベルト13に一次転写する。中間転写ベルト13は、駆動ローラ14によって駆動される。
【0015】
二次転写ローラ15は、中間転写ベルト13上に一次転写された画像を記録材Pに二次転写する。定着器16は、加熱及び加圧することで二次転写された画像を記録材Pに定着する。以上説明した、画像形成に関する感光ドラム7から定着器16が画像形成部17の一例の構成である。排紙ローラ18は、定着器16によって定着が行われた記録材Pを排紙トレイに排紙する。
【0016】
検知手段としての記録材検知装置19は、記録材Pの坪量に関する情報を検知する。以下、記録材Pの坪量に基づき、記録材Pの種類を判別する方法と画像形成条件(二次転写条件、定着条件)を制御する方法について説明する。一般的に記録材Pの坪量によって記録材Pの抵抗値が異なるため、坪量に応じてトナーを二次転写するための二次転写バイアスの印加などの二次転写条件を変更する必要がある。また、記録材Pの坪量によって記録材Pの熱容量が異なるため、坪量に応じてトナーを定着するための定着温度や定着時間、記録材Pの搬送速度などの定着条件を変更する必要がある。
【0017】
制御部20は、CPU等を備えたMPU、画像形成装置1を制御するのに必要なデータの演算や一時的な記憶等に使われるRAM、画像形成装置1を制御するプログラムや各種データを格納するROM等の記憶部からなる。制御部20は、記録材検知装置19による坪量に関する情報の検知値に基づき、記録材Pの種類を判別する。そして、記録材Pの種類に応じた画像形成条件を決定し、記録材Pの種類に応じた画像形成条件で画像形成装置1の動作させるように制御する。
【0018】
[記録材検知装置19]
図2は、記録材検知装置19に関するブロック図である。
【0019】
記録材検知装置19は、坪量検知手段である超音波センサ21および発信制御部22、受信検知部23によって構成され、制御部20により制御される。
【0020】
超音波センサ21は超音波によって記録材Pの坪量を検知するセンサであり、超音波を発信する発信手段21aと、超音波を受信する受信手段21bによって構成される。なお、超音波センサ21は、超音波発信装置とも称する。
【0021】
制御部20は、記録材検知装置19を制御するための切替指示部20a、発信指示部20b、受信レベル検知部20cの機能を有する。切替指示部20aは、記録材検知装置19に供給する駆動電圧を切り替えるための切替信号を出力する。発信指示部20bは、発信手段21aに超音波の発信を指示するための駆動信号を出力する。このとき、発信指示部20bにより生成される駆動信号の波形は、図9の(d)、(e)のようになり、第2の駆動信号は、オペアンプ34によって第1の駆動信号とはHigh信号とLow信号が逆の信号となる。つまり、第1の駆動信号がHigh信号である場合、第2の駆動信号はLow信号となる。また、第1の駆動信号がLow信号である場合、第2の駆動信号はHigh信号となる。受信レベル検知部20cは、受信手段21bが受信した超音波の受信レベル(電圧値)を検知する。なお、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合の第1の駆動信号および第2の駆動信号を第1の駆動入力とも称する。また、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合の第1の駆動信号および第2の駆動信号を第2の駆動入力とも称する。
【0022】
本実施例では、受信信号を1回の測定するために、駆動信号としてパルス波を出力した後、パルス波の出力を所定の時間休止し、超音波が減衰してから、再度パルス波を出力して次の測定を行う。これにより、記録材Pや周囲の部材による反射波等の影響を低減して、発信手段21aが発信した直接波を受信手段21bによって受信できる。このような信号はバースト波と呼ばれている。なお、本実施例では、一例として、1回の測定で、周波数が40kHzであるパルス波を、2パルス、バースト波の周期を10msecとしている。
【0023】
発信制御部22は、制御部20からの第1の駆動信号、および、第2の駆動信号、切替信号に応じて、発信手段21aを駆動する機能を有する回路部である。第1の出力回路部24と、第2の出力回路部25と、第3の出力回路部26と、切替部27と、からなる発信回路部28と、電圧変換部29(電圧供給手段とも称する)と、により構成される。第1の出力回路部24からの出力端は、発信手段21aのUSS-H端子に接続される。第2の出力回路部25の出力端と第3の出力回路部26の出力端は、切替部27にそれぞれ接続され、切替部27からの出力端は、発信手段21aのUSS-L端子に接続される。なお、本実施例では、USS-H端子を第1の端子、USS-L端子を第2の端子とも称する。切替部27は、切替指示部20aからの切替信号により、第2の出力回路部25からの出力と、第3の出力回路部26からの出力とのいずれかを切り替え、発信手段21aのUSS-L端子に出力する機能を有するスイッチ素子である。なお、切替部27を第1の切替手段とも称する。本実施例では、切替信号がHigh信号であるとき、第2の出力回路部25から駆動信号が出力され、切替信号がLow信号であるとき、第3の出力回路部26から駆動信号が出力される。
【0024】
発信手段21aは発信回路部28からの出力に応じて、周波数40kHzの超音波を発信する。受信手段21bは、発信手段21aから発信された超音波を受信し、受信した超音波の振幅に応じた受信信号を受信検知部23に出力する。なお、本実施形態では超音波の周波数を40kHzとしたものの、記録材Pの坪量の特性値を検知できる周波数であればよく、素子の特定に応じて周波数を設定することができる。また、発信手段21aと受信手段21bは、記録材Pを介した超音波を受信できるように、各々記録材Pを搬送する搬送路の近傍に、搬送路を挟むように配置されている。
【0025】
なお、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合に発信手段21aにより発信される超音波の振幅の最大振幅を第1の最大振幅とも称し、第1の最大振幅の超音波を発信させるための発信手段21aへの入力を第1の駆動入力とも称する。また、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合に発信手段21aにより発信される超音波の振幅の最大振幅を第2の最大振幅とも称し、第2の最大振幅の超音波を発信させるための発信手段21aへの入力を第2の駆動入力とも称する。
【0026】
受信検知部23は、図10(a)に示すような、記録材Pを介した超音波を受信手段21bにより受信した受信信号の振幅を増幅させ、半波整流する機能を有する回路部である。受信検知部23により生成された検知信号は、制御部20のADポートに入力され、受信レベル検知部20cによりアナログ信号からデジタル信号へ変換される。制御部20は、受信レベル検知部20cにより変換されたデジタル信号に基づいて、検知信号の波形を検知し、そのピーク値(最大値)を算出し、超音波の受信レベルとして算出する。また、本実施例では、受信レベルの算出に、受信検知部23により出力される検知信号のうちのピーク値を用いたが、実効値や平均値など、受信信号のレベルを判断できる特性値であればよい。なお、受信検知部23を受信検知手段とも称する。
【0027】
ここで、本実施例において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、切替信号をLow信号として、発信手段21aに供給する電圧Vcを2Vとした理由について説明する。
【0028】
本実施例においては、図10に示すように、受信手段21bによって受信した受信信号は、受信検知部23によって半端整流された検知信号となる。このとき、受信検知部23において受信信号の増幅率を調整しない場合においては、受信検知部23が生成できる検知信号の値には上限がある。検知信号が上限以下である場合は、受信レベル検知部20cによりアナログ信号から変換されたデジタル信号に基づいて算出されるピーク値(最大値)を、超音波の受信レベルとして算出できる。しかし、受信信号の振幅が大きく、検知信号が、受信検知部23が生成できる検知信号の上限の値以上となってしまう場合は、受信レベル検知部20cにより算出されるピーク値(最大値)が、検知信号が生成できる検知信号の上限の値までとなってしまう。このため、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合にも、10Vを発信手段21aに供給してしまうと、受信信号の振幅が大き過ぎるため、検知信号が、受信検知部23が生成できる検知信号の上限の値を超えてしまう。このため、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合は、切替信号をLow信号として、発信手段21aに供給する電圧Vcを2Vとしている。
【0029】
また、本実施例では、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、発信手段21aに供給する電圧Vcを2Vとしたが、2V以上であっても良い。なお、後述する受信レベルVaの値が、受信検知部23が生成することができる検知信号の値以下となるのであれば、発信手段21aに供給する電圧Vcは2V以上であっても良い。
【0030】
<受信手段21bと発信手段21aの位置ばらつきの補正>
次に、紙種判別を行うにあたり必要となる受信手段21bと発信手段21aの位置ばらつきの補正について説明する。
【0031】
画像形成装置1の製造工程では、超音波センサ21の画像形成装置1への取り付け時において、検知対象である記録材Pに対する受信手段21bと発信手段21aの位置がばらつく場合がある。この位置のばらつきにより、超音波が受信手段21bに到達する時間が変化し、受信レベル検知部20cにより検知される受信レベルがピーク値となる時間も変化してしまう場合がある。このため、以降のような補正係数を算出することにより、位置のばらつきを補正して坪量を検知することができる。
【0032】
受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、受信レベル検知部20cにより出力された受信レベルをVaとする。また、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、受信レベル検知部20cにより出力された受信レベルをVpとする。受信レベルVaと受信レベルVpを用いて位置補正係数Tを算出する。なお、本実施例では、受信レベルVaを第1の値、受信レベルVpを第2の値とも称する。
T=Vp/Va・・・(式1)
【0033】
制御部20は、図3に示すような、位置補正係数Tと記録材Pの坪量の値との関係をプロットして得た近似式を示すグラフを用いて、坪量を算出する。そして、算出した坪量に基づいて記録材Pの紙種を判断し、記録材Pの種類に応じた画像形成条件を決定し、画像形成装置1の動作を制御する。ここでの近似式は、予め実際の坪量と補正係数Tとから求め、制御部20の不揮発性メモリに保存されている。本実施例では、近似式を用いたが、位置補正係数Tと記録材Pの坪量の値との関係を示す変換テーブルを用いても良い。
【0034】
<記録材Pによる超音波の減衰と紙種の判別方法>
以降で、記録材Pによって超音波が減衰されることについて説明する。記録材Pを透過する超音波の減衰量は記録材Pの坪量に比例して大きくなる。つまり、記録材Pの坪量が増えるほど超音波の減衰量は大きくなるため、受信レベルVpの値が小さくなる。記録材Pが坪量の小さい薄紙である場合、超音波の減衰量は普通紙よりも少ないため、受信レベルVpの値は普通紙よりも大きくなる。一方、記録材Pが坪量の大きい厚紙である場合、超音波の減衰量は普通紙よりも多いため、受信レベルVpの値は普通紙よりも小さくなる。つまり、受信レベルVpの値が大きくなる場合、位置補正係数Tの値も大きくなる。
【0035】
例えば、制御部20は、図3に示す近似線を用いて、位置補正係数Tの値に対応する坪量を求める。制御部20により求めた坪量が、任意の閾値よりも小さい場合、記録材Pの紙種を薄紙と判別する。また、制御部20により求めた坪量が、任意の閾値よりも大きい場合、記録材Pの紙種を厚紙と判別する。このときの任意の閾値とは、例えば、図3に示すように、坪量が59g/m以下の場合は薄紙、坪量が60g/m~90g/mの場合は普通紙、坪量が90g/mの場合は厚紙、というような値である。なお、紙種の判別方法についてはこれに限らず、坪量と紙種の関係をあらかじめ不揮発性メモリに記憶させ、その情報を用いても良い。
【0036】
<発信制御部22の動作概要>
発信制御部22の動作概要について、図4を用いて説明する。図4は、発信制御部22の概略構成図の一例である。
【0037】
発信制御部22には、画像形成装置1にある電源ユニット(不図示)から電圧Vbが供給される。電圧変換部29は、電源ユニット(不図示)から供給された電圧Vbから、任意の電圧Vcに変換する降圧コンバータである。電圧変換部29により供給された電圧Vcは、発信回路部28に供給される。本実施例では、電圧変換部29は、切替指示部20aにより出力される切替信号に応じて、電圧Vcを2Vと10Vとのいずれかに切り替える。切替信号がHigh信号である場合、電圧Vcは10Vになり、切替信号がLow信号である場合、電圧Vcは2Vになる。なお、本実施例において、切替信号がLow信号である場合の電圧Vcである2Vを第1の駆動電圧、切替信号がHigh信号である場合の電圧Vcである10Vを第2の駆動電圧とも称する。なお、本実施例では、電圧変換部29として降圧コンバータを用いたが、発信回路部28を駆動する場合に必要な電圧を切り替えることが可能であればよい。例えば、電圧3.3Vを昇圧する昇圧コンバータを用いても良い。また、電圧Vcは、発信手段21aが超音波を発信することが可能な電圧範囲(動作可能範囲電圧とも称する)によって適宜設定すればよい。さらに電圧Vcは、発信手段21aが超音波を発信することが可能な電圧範囲の上限側の電圧と下限側の電圧とに切り替え可能にすることが望ましい。本実施例における発信手段21aの動作可能範囲電圧は、2Vから10Vであるため、切り替える電圧Vcを2V、10Vとしている。
【0038】
発信回路部28は第1の出力回路部24と第2の出力回路部25と第3の出力回路部26と、により構成される。第1の出力回路部24は、ゲートドライブ回路部30とハーフブリッジ回路部31から構成される。第2の出力回路部25は、ゲートドライブ回路部32とハーフブリッジ回路部33から構成される。第3の出力回路部25は、GND(グランドとも称する)に接続され、固定電圧である0Vを出力可能な回路で構成される。
【0039】
ハーフブリッジ回路部31は、電圧Vcに接続されたスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1に直列に接続されたスイッチング素子Q2を備える。スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2はいずれもMOSFETによって構成される。スイッチング素子Q1には電圧Vcが供給され、スイッチング素子Q2にはグランドに応じた電圧が供給される。
【0040】
ゲートドライブ回路部30は、スイッチング素子Q1を駆動するゲートドライブ回路部30aと、スイッチング素子Q2を駆動するゲートドライブ回路部30bによって構成される。ゲートドライブ回路部30aは、NPN型トランジスタTr1と、PNP型トランジスタTr2と、NPN型トランジスタTr3と、抵抗R1を備える。Tr3はグランドと接続されており、抵抗R1は電源電圧Vbと接続されている。ゲートドライブ回路部30bは、NPN型トランジスタTr4と、PNP型トランジスタTr5と、NPN型トランジスタTr6と、抵抗R2と、抵抗R3を備える。Tr6はグランドと接続されており、抵抗R2は電圧Vbと接続されている。
【0041】
発信指示部20bによって出力された第1の駆動信号は、ゲートドライブ回路部30bの抵抗R3とTr6に入力される。第1の駆動信号がHigh信号である場合、Tr6はグランドと接続されているため、0VがTr4とTr5のベース端に入力される。Tr4とTr5のベース端に0Vが入力されると、Tr4のエミッタ端とTr5のコレクタ端の接続点からスイッチング素子Q2の駆動信号として0Vが出力される。また、第1の駆動信号がHigh信号である場合、前述の理由により、0VがTr6のコレクタ端からゲートドライブ回路部30aのTr3に入力される。
【0042】
第1の駆動信号がLow信号である場合、抵抗R2を介して電圧VbがTr4とTr5のベース端に入力される。Tr4とTr5のベース端に電圧Vbが入力されると、Tr4のエミッタ端とTr5のコレクタ端の接続点からスイッチング素子Q2の駆動信号として電圧Vbが出力される。また、第1の駆動信号がLow信号である場合、前述の理由により、電圧VbがTr6のコレクタ端からゲートドライブ回路部30aのTr3に入力される。
【0043】
ゲートドライブ回路部30aのTr3に電圧Vbが入力された場合、Tr3はグランドと接続されているため、0VがTr1とTr2のベース端に入力される。Tr1とTr2のベース端に0Vが入力されると、Tr1のエミッタ端とTr2のコレクタ端の接続点からスイッチング素子Q1の駆動信号として0Vが出力される。
【0044】
ゲートドライブ回路部30aのTr3に0Vが入力された場合、抵抗R1を介して電圧VbがTr1とTr2のベース端に入力される。Tr1とTr2のベース端に電圧Vbが入力されると、Tr1のエミッタ端とTr2のコレクタ端の接続点からスイッチング素子Q1の駆動信号として電圧Vbが出力される。
【0045】
このように、第1の駆動信号がHigh信号である場合、ゲートドライブ回路部30bからの出力は0V、ゲートドライブ回路部30aからの出力は電圧Vbとなる。また、第1の駆動信号がLow信号である場合、ゲートドライブ回路部30bからの出力は電圧Vb、ゲートドライブ回路部30aからの出力は0Vとなる。このため、第1の駆動信号がHigh信号の場合と、Low信号の場合とでは、ゲートドライブ回路部30bとゲートドライブ回路部30aの出力の関係が逆となっている。つまり、第1の駆動信号がHigh信号である場合、スイッチング素子Q1には電圧Vbが入力されるためONの状態となり、スイッチング素子Q2には0Vが入力されるためOFFの状態となる。このため、スイッチング素子Q2からは電圧が供給されず、スイッチング素子Q1から電圧Vcが、ハーフブリッジ回路部31の出力電圧として出力される。また、第1の駆動信号がLow信号である場合、スイッチング素子Q1に0Vが入力されるためOFFの状態となり、スイッチング素子Q2には電圧Vbが入力されるためONの状態となる。このため、スイッチング素子Q1からは電圧が供給されず、スイッチング素子Q2から0Vが、ハーフブリッジ回路部31の出力電圧として出力される。このように、第1の駆動信号の変化に応じて、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2のスイッチング動作によって電圧Vcと0Vが交互にハーフブリッジ回路部31の出力として発信手段21aのUSS-H端子に入力される。
【0046】
第2の出力回路部25へ入力される第2の駆動信号は、第1の駆動信号とHigh信号とLow信号が逆となっている点で異なるものの、第1の出力回路部24と同様の回路構成である。このため、第2の出力回路部25の動作概要については、説明を省略する。
【0047】
発信手段21aのUSS-L端子へ接続される回路は、切替指示部20aにより出力される信号に応じて、切替部27によって第2の出力回路部25と、第3の出力回路部26とが切り替えられる。この切り替えにより、発信手段21aの駆動モードが、ハーフブリッジ駆動モードと、フルブリッジ駆動モードと、に切り替わる。以下でそれぞれのモードについて説明する。
【0048】
[ハーフブリッジ駆動モード]
切替信号がLow信号の時、USS-L端子は第3の出力回路部26のグランドに接続される。このため、発信手段21aは、第1の出力回路部24のみによって2Vで駆動する。つまり、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から2Vのバースト波が入力されるときに、第3の出力回路部26によってUSS-L端子から0Vが入力される。本実施例では、この状態を第1の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第3の出力回路部26によってUSS-L端子から0Vが入力される。本実施例では、この状態を第2の状態とも称する。
【0049】
このように、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2によって、USS-H端子から0Vと2Vのバースト波が交互に入力されることによって超音波を発信する。なお、切替信号がLow信号のときのブリッジ回路の動作モードをハーフブリッジ駆動モードとも称する。
【0050】
[フルブリッジ駆動モード]
切替信号がHigh信号の時、USS-L端子は第2の出力回路部25に接続される。このため、発信手段21aは、第1の出力回路部と第2の出力回路部の両方に接続されることによって、10Vで駆動する。つまり、発信手段21aは、スイッチング素子Q1によってUSS-H端子から10Vのバースト波が入力されるときに、スイッチング素子Q4によってUSS-L端子から0Vが入力される。本実施例では、この状態を第3の状態とも称する。また、発信手段21aは、スイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、スイッチング素子Q3によってUSS-L端子から10Vのバースト波が入力される。本実施例では、この状態を第4の状態とも称する。このように、USS-H端子とUSS-L端子とから交互に10Vのバースト波が入力されることによってハーフブリッジ駆動モードよりも振幅の大きい超音波を発信することができる。なお、切替信号がHigh信号のときのブリッジ回路の動作モードをフルブリッジ駆動モードとも称する。このため、本実施例では、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、発信手段21aをフルブリッジ駆動モードで駆動する。
【0051】
なお、本実施例では、フルブリッジ駆動モードからハーフブリッジ駆動モードに切り替える方法として、切替部27のスイッチ素子によって、第2の出力回路部25の出力から第3の出力回路部26の出力に切り替えていた。しかし、発信手段21aのUSS-L端子に固定電圧を入力できれば良い。例えば、図5に示すように、切替部40によって、発信指示部20bから第2の駆動信号を第2の出力回路部25に入力するか、グランドに応じた固定電圧(0V)を第2の出力回路部25に入力するか、を切り替えても良い。なお、切替部40は、第2の切替手段とも称する。また、このとき、切替指示部20aによる切替信号がHigh信号の時、発信指示部20bから第2の駆動信号が第2の出力回路部25に入力される。なお、第2の出力回路部25に入力される第2の駆動信号を出力する発信指示部20bを第4の出力回路部とも称する。また、切替指示部20aによる切替信号がLow信号の時、グランドに応じた固定電圧(0V)が第2の出力回路部25に入力される。なお、グランドに接続され、固定電圧である0Vを出力可能な回路を第5の出力回路部とも称する。この場合においても、切替信号がLow信号であれば、発信指示部20bからの駆動信号によらず、グランドから第2の出力回路部25に0Vが入力される。これによりUSS-L端子に0Vが供給される状態を維持することができる。このため、ハーフブリッジ駆動モードとして動作する。
【0052】
以下、切替指示部20aによる切替信号がLow信号であって、切替部40によって、グランドに応じた固定電圧(0V)が第2の出力回路部25に入力される場合の動作について説明する。発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から2Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25から0V入力される。この状態を第5の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25からも0Vが入力される。この状態を第6の状態とも称する。
【0053】
以下、切替指示部20aによる切替信号がHigh信号であって、切替部40によって、発信指示部20bから第2の駆動信号が第2の出力回路部25に入力される場合の動作について説明する。発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から10Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q4によって0Vが入力される。この状態を第7の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q3によって10Vのバースト波が入力される。この状態を第8の状態とも称する。
【0054】
なお、ハーフブリッジ駆動モードとフルブリッジ駆動モードを切り替えることができればよく、ハーフドライブ回路の素子の種類やゲートドライブ回路の構成は、適宜変更可能とする。
【0055】
[記録材Pの有無に応じた電圧Vcの切り替え]
以降で、電圧変換部29を制御することにより受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信した場合に、受信レベル検知部20cにより出力された受信レベルVpの信号雑音比を小さくする方法について、図8図9を用いて説明する。図8は、記録材Pの坪量を算出する処理のフローチャートであり、図9(a)~(h)は、坪量を算出する処理に関わる信号の状態や電圧の状態等を示すタイムチャートである。
【0056】
S100において、制御部20は、印刷指示を受信することにより、給紙動作を開始させる。
【0057】
S101において、切替指示部20aは、図9(b)に示すように切替信号として電圧変換部29にLow信号を出力することにより、電圧変換部29によって第1の出力回路部24に2Vの電圧Vcを出力させる。これにより、ハーフブリッジ駆動モードで発信手段21aが駆動される。
【0058】
S102において、制御部20は、給紙動作が開始され後にまだ記録材Pが超音波センサ21に到達していないタイミングにおいて、下記の処理を実行する。すなわち、制御部20は、図9(a)に示すように、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合の受信手段21bによる超音波の受信レベルの測定を開始する。このとき、発信回路部28は、ハーフブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動する。つまり、図9(f)に示すように第1の出力回路部24からUSS-H端子へ、電圧2Vと0Vが交互に入力され、図9(g)に示すように第3の出力回路部26からUSS-L端子へ、0Vが入力される。
【0059】
S103において、受信検知部23は、受信信号の受信レベルの測定開始から所定時間が経過する間に受信手段21bによる受信信号に基づいて図9(h)に示すような検知信号の生成を行い、受信レベルVaを算出する。このとき、受信検知部23によって生成された検知信号は、受信検知部23により、発信手段21aから発信された超音波の周波数と同じ40kHzの半波毎にピーク値を持つ波形に変換される。また、このとき、図9(d)に示すように第1の駆動信号のパルス数が2パルスであっても、図9(h)に示すような検知信号の波形の個数は、2を超える数となる。これは、発信手段21aあるいは受信手段21bの残響があるためである。制御部20は、受信レベル検知部20cにより変換された検知信号の2番目の波形を検出し、そのピーク値を算出する。このとき、2番目の波形のピーク値は、第1の駆動信号と同期した任意の所定時間の間の検知信号を検知することによって算出する。ここでの所定時間とは、発信手段21aと受信手段21bとの距離と超音波の音速との関係から予め計算して設定する。なお、本実施形態において、制御部はS100において給紙動作を開始させたが、受信検知部23によって受信レベルVaが算出された後に、給紙動作を開始させても良い。
【0060】
S104において、切替指示部20aは、図9(b)に示すように切替信号として電圧変換部29にHigh信号を出力することにより図9(c)に示すように第1の出力回路部24に10Vの電圧Vcを出力させる。これにより、フルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動させる。
【0061】
S105において、制御部20は、記録材Pの先端がレジセンサ6に到達し、レジセンサ6の出力が変化したか否かによって、記録材Pを検知した出力となった場合、処理をS106に進める。
【0062】
S106において、制御部20は、記録材Pの先端がレジセンサ6に到達してから超音波センサ21に到達するタイミングを検知する為に、パルスモータ(不図示)のステップ数Sのカウントを開始する。
【0063】
S107において、制御部20は、ステップ数Sのカウント値が所定の値(100)に到達したか否かに応じて、ステップ数Sのカウント値が所定の値(100)となったら、処理をS108に進める。
【0064】
S108において、制御部20は、発信回路部28により超音波センサ21を駆動させ、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合の受信検知部23による受信信号の受信レベルの測定を開始する。このとき、発信回路部28は、フルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動する。このため、図9(f)に示すように第1の出力回路部24から、USS-H端子へ10Vの電圧が、図9(g)に示すように第2の出力回路部25から、USS-L端子へ10Vの電圧が、交互に入力される。
【0065】
S109において、受信検知部23は、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合の測定方法と同様に、下記の処理を実行する。すなわち、受信検知部23は、測定開始から所定時間が経過する間に検知信号の検知を行い、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合の受信レベルVpを算出する。
【0066】
S110において、制御部20は、受信レベルVaとVpを式(1)に代入して、位置補正係数Tを算出する。S111において、算出した位置補正係数Tと記憶部に保持していた近似式を用いて記録材Pの坪量を算出する。S112において、算出した坪量に応じて、画像形成条件を決定し、処理を終了する。なお、本実施例では、位置補正係数Tに基づいて坪量を算出しても良いし、位置補正係数Tに基づいて画像形成条件を変更しても良い。また、本実施例では、位置補正係数Tに基づいて紙種を判別しても良い。
【0067】
このように、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、発信回路部28によりUSS-H端子に2Vを入力し、USS-L端子に0Vを入力することによって、発信手段21aは、2Vが供給された場合の振幅の超音波を発信する。一方、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、発信回路部28によりUSS-H端子およびUSS-L端子に交互に10Vを入力することによって、発信手段21aは、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波を発信することができる。このため、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、超音波の受信信号の増幅率を小さくすることができ、超音波を受信する回路に存在するノイズが坪量の検知結果に及ぼす影響を低減することができる。
【0068】
<実施例1における方法と従来方法との比較>
以降で、本実施例における、坪量の検知精度の低下を抑制するための対処方法を、従来方法と比較して説明する。図10は、発信回路部28の出力波形と、受信信号の波形と、検知信号の波形の一例と、信号雑音比の関係の一例を示す図である。図10(a)は従来方法における図であり、図10(b)は本実施例における図を示す。
【0069】
従来方法では、図10(a)に示すように、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合の受信信号は、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合の受信信号よりも減衰する。このため、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、記録材Pがどの紙種であっても、受信信号をあらかじめ設定した一定の増幅率で増幅させることによって得た検知信号を用いて受信レベルVpを算出し、坪量を検知していた。(本図例では増幅率を1倍から20倍に上げている)。しかしこのとき、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信した場合の受信信号を増幅すると、超音波を受信する回路に存在するノイズの信号(不図示)も増幅してしまう。このため、超音波の受信信号に対するノイズの信号の比である信号雑音比が大きくなっていた。
【0070】
一方、本実施例では、図10(b)に示すように、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合、受信信号を増幅するのではなく、発信回路部28の出力電圧を大きくしている。このように、発信手段20aに供給される駆動電圧を大きくすることにより、大きい振幅の受信信号を得ることができる。このため、超音波の受信レベルの増幅率を小さくすることができ、信号雑音比が大きくなることを抑制できる。
【0071】
以上説明したように、本実施例によれば、次のような効果がある。記録材Pを介していない超音波を受信する場合は、発信手段21aの動作可能範囲電圧の下限側の電圧を用いて、ハーフブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動させ、受信レベル検知部20cによって受信レベルVaを算出する。受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合は、発信手段21aの動作可能範囲電圧の上限側の電圧を用いて、フルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動させ、受信レベル検知部20cによって受信レベルVpを算出する。電圧及びブリッジ回路の動作モードを切り替えることにより発信手段21aが発信する超音波の振幅を大きくすることができ、受信手段21bに到達する記録材Pを介した超音波の振幅も大きくすることができる。このため、受信信号の信号雑音比が大きくなることを抑制することができる。よって、記録材Pの坪量の検知を従来よりも高精度で行うことが可能となる。
【0072】
なお、本実施例では、記録材Pの有無によって、ブリッジ回路に供給する電圧を切り替えるだけでなく、ブリッジ回路の動作モードも、切替指示部20aにより出力される切替信号によって切り替えている。しかし、記録材Pの有無によって、記録材Pに発信される超音波の振幅を変えることができればよく、例えば、ブリッジ回路の電圧と、ブリッジ回路の動作モードと、のどちらか一方を切り替える方法をとっても良い。
【実施例2】
【0073】
本実施例では、図6に示すように第3の出力回路部26を有さず、フルブリッジ駆動モードからハーフブリッジ駆動モードに切り替えなくても良い。つまり、第1の出力回路部24と第2の出力回路部25を用いて、常にフルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動しても良い。
【0074】
切替信号がLow信号の場合、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から2Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q4から0V入力される。この状態を第9の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q3から2Vのバースト波が入力される。この状態を第10の状態とも称する。
【0075】
また、切替信号がHigh信号の場合、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から10Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q4から0V入力される。この状態を第11の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25のスイッチング素子Q3から10Vのバースト波が入力される。この状態を第12の状態とも称する。
【0076】
なお、このとき、発信手段21aが発信する超音波の下限は、4Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となるが、発信手段21aは、実施例1と同様に20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波まで発信可能となる。
【0077】
以上説明したように、発信手段21aが発信する超音波は、実施例1においては2V~20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となる一方、実施例2においては4V~20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となる。このとき、本実施例においては、発信手段21aが発信する超音波の振幅の下限が2V分大きくなったとしても、受信レベルVaの値が、受信検知部23が生成することができる検知信号の値以下となる。このように、坪量に関する値の検知精度を満たす場合、発信手段21aが発信する超音波の振幅の下限を大きくしたとしても、実施例1と同様の効果を得ることが出来る。さらに、実施例2においては、切替部27あるいは切替部40を用いることなく、発信手段21aから、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波を発信することを可能にできる。このため、部品点数を削減でき、製造にかかるコストを削減させることができる。
【実施例3】
【0078】
さらに、本実施例では、図7に示すように第2の出力回路部25および第3の出力回路部26を有さず、常に第1の出力回路部24を用いて、ハーフブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動しても良い。
【0079】
切替指示部20aによる切替信号がLow信号の場合、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から2Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25から0V入力される。この状態を第13の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25からも0Vが入力される。この状態を第14の状態とも称する。
【0080】
また、切替指示部20aによる切替信号がHigh信号の場合、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q1によってUSS-H端子から10Vのバースト波が入力されるときに、第2の出力回路部25から0V入力される。この状態を第15の状態とも称する。また、発信手段21aは、第1の出力回路部24のスイッチング素子Q2によってUSS-H端子から0Vが入力されるときに、第2の出力回路部25からも0Vが入力される。この状態を第16の状態とも称する。
【0081】
この場合、発信手段21aが発信する超音波の下限は、2Vが供給された場合に相当する振幅の超音波、発信手段21aが発信する超音波の上限は、10Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となる。
【0082】
以上説明したように、発信手段21aが発信する超音波は、実施例1においては2V~20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となる一方、実施例3においては2V~10Vが供給された場合に相当する振幅の超音波となる。このとき、発信手段21aが発信する超音波の振幅の上限が10V分小さくなったとしても、坪量に関する値の検知精度を満たす場合、実施例1と同様の効果を得ることが出来る。さらに、実施例3においては、第2の出力回路部25および第3の出力回路部26、切替部27あるいは切替部40を用いることなく、発信手段21aから、10Vが供給された場合に相当する振幅の超音波を発信することを可能にできる。このため、部品点数を削減でき、製造にかかるコストを削減させることができる。
【0083】
なお、実施例1乃至3において、発信手段21aは発信回路部28からの出力に応じて、周波数40kHzの超音波を発信するとし、記録材Pの有無に応じて発信手段20aに供給される駆動電圧を切り替える場合について説明した。しかし、受信信号の信号雑音比が大きくなることを抑制するために、駆動電圧は記録材Pの有無によらず一定で、記録材Pの有無に応じて発信指示部20bにより出力される駆動信号の周波数を切り替えても良い。例えば、超音波の振幅が最大となるときの駆動信号の周波数を第1の周波数とし、駆動信号が第1の周波数である時の超音波よりも振幅が小さい超音波となる駆動信号の周波数を第2の周波数とする。この場合、受信手段21bは、記録材Pを介した超音波を受信する場合において、発信指示部20bは第1の周波数であるパルス波を駆動信号として出力する。また、受信手段21bは、記録材Pを介していない超音波を受信する場合において、発信指示部20bは第2の周波数であるパルス波を駆動信号として出力する。これにより、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合よりも大きな振幅の超音波を、発信手段21aによって出力することが出来る。このため、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合に受信信号を増幅することにより生じる信号雑音比が大きくなることを抑制することができる。よって、記録材Pの坪量の検知を従来よりも高精度で行うことが可能となる。
【0084】
また、駆動電圧と発信指示部20bにより出力される駆動信号の周波数は記録材Pの有無によらず一定とし、記録材Pの有無に応じて前記駆動信号のHigh信号とLow信号のDuty比を切り替えても良い。これにより、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合よりも大きな振幅の超音波を、発信手段21aによって出力することが出来る。このため、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合に受信信号を増幅することにより生じる信号雑音比が大きくなることを抑制することができる。
【実施例4】
【0085】
実施例1乃至3においては、受信検知部23において受信信号の増幅率を調整しない場合において、記録材Pの有無に応じて発信手段20aに供給される駆動電圧を切り替える。すなわち、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合よりも大きな駆動信号を発信手段20aに供給することにより大きい振幅の受信信号を得る。これにより、受信手段21bが記録材Pを介した超音波を受信する場合において、記録材Pにより減衰した超音波の受信信号の増幅率を大きくすることによる信号雑音比の増大を抑制している。本実施例では、切替指示部20aを有さず、記録材の有無に関わらず発信手段20aに10Vの駆動電圧を供給する。そして、実施例2と同様に第1の出力回路部24と第2の出力回路部25を用いて、常にフルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動し、記録材の有無に関わらず、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波まで発信可能とする。そして、受信検知部23において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、受信手段20bにより生成された受信信号の振幅を小さくすることにより、受信レベル検知部20cによって検知可能な受信レベルを得る。
【0086】
[受信検知部23における記録材Pの有無に応じた超音波の増幅率の切り替え]
図11は、本実施例における記録材検知装置19に関するブロック図である。なお、以降の説明において、図2と同一の構成に関しては、同一の番号を付与し説明を省略する。
【0087】
制御部20は、受信検知部23の増幅率を制御するためのゲイン指示部20dを有する。受信検知部23は、前述のように、受信手段21bからの受信信号を増幅し半波整流する機能を有する回路部である。受信検知部23は、ゲイン指示部20dからのゲイン指示信号に応じて受信手段21bからの受信信号の増幅率を切り替える。以降で、受信検知部23による受信手段21bからの受信信号の増幅率の切り替えについて、オペアンプを用いた反転増幅回路を用いて説明する。なお、本実施例においては反転増幅回路を用いるが、トランジスタを用いた増幅回路などの、信号を増幅可能な回路であれば代用可能であるものとする。
【0088】
反転増幅回路とは、マイナス端子に接続される入力部の抵抗値と、マイナス入力端子と出力端子間にあるフィードバック部の抵抗値との比率で増幅率が決まる回路である。よって、入力部の抵抗値あるいは、フィードバック部の抵抗値をスイッチで切り替えることで、増幅率を変えることができる。なお、本実施例において、受信検知部23は、ゲイン指示部21dにより出力されるゲイン指示信号に応じて、増幅率を例えば1/10倍と1倍とのいずれかに切り替える。受信検知部23は、ゲイン指示信号がLow信号のとき増幅率を1/10倍とし、ゲイン指示信号がHigh信号のとき増幅率を1倍とする。なお、本実施例においては、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信した受信信号を第1の受信値とも称し、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信した受信信号を第2の受信値とも称する。また、ゲイン指示部20dを増幅率切替指示手段とも称し、ゲイン指示部20dにより出力されるゲイン指示信号を増幅率切替信号とも称する。また、ゲイン指示信号のうちLow信号を第1の増幅率切替信号とも称し、1/10倍となる増幅率を第1の増幅率とも称し、第1の増幅率によって受信信号を増幅させることにより得られた検知信号を第1の変換値とも称する。また、ゲイン指示信号のうちHigh信号を第2の増幅率切替信号とも称し、1倍となる増幅率を第2の増幅率とも称し、第2の増幅率によって受信信号を増幅させることにより得られた検知信号を第2の変換値とも称する。なお、本実施例においては、増幅率を例えば1/10倍と1倍とのいずれかに切り替えるとしたが、この倍率に限らない。記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信する場合の増幅率は例えば1/20倍でも良く、受信信号を小さくできる増幅率であれば良い。また、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信する場合の増幅率は、坪量検知に用いる値の精度を満たす倍率あれば良い。
【0089】
続いて、以降で受信検知部23における増幅率の設定について説明する。記録材を介した超音波を受信手段によって受信する場合、受信検知部23に入力される受信信号の振幅は小さくなる。このため、受信検知部23による増幅率を1倍に設定するため、ゲイン指示部20dはゲイン指示信号としてHigh信号を出力する。また、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信する場合、受信検知部23に入力される受信信号の振幅が大きくなる。このため、受信検知部23により受信信号が増幅され半波整流される際に、受信信号が受信検知部23により半端整流される範囲の振幅を超えてしまう(以降で飽和する、とも称する)ことを抑制することが望まれる。このため、ゲイン指示部20dはゲイン指示信号としてLow信号を出力し、増幅率をゲイン指示信号がHigh信号のときよりも少ない倍率として1/10倍に設定する。
【0090】
以上説明したように、本実施例において、ゲイン指示部21dは、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信する場合、Low信号を出力し、記録材を介した超音波を受信手段によって受信する場合、High信号を出力する。
【0091】
<記録材の有無に応じて、受信検知部23による受信信号の増幅率を切り替える方法>
以降で、記録材の有無に応じて、ゲイン指示部20dがゲイン指示信号を切り替えることにより受信検知部23による受信信号の増幅率を切り替える方法について図11図12を用いて説明する。図11は、本実施例において記録材Pの坪量の検知値を算出する処理のフローチャートである。図12は、本実施例において記録材検知装置19が実行する坪量の検知値を算出する処理に関わる信号の状態や電圧の状態等を示すタイムチャートである。なお、図8および図9と同一の構成に関しては、同一の番号を付与し説明を省略する。同じ符号の箇所については、同一の機能、動作を行うため説明を省略する。
【0092】
S100において、制御部20は、印刷指示を受信することにより、給紙動作を開始させる。
【0093】
S301において、ゲイン切替指示部20dは、図13(b)に示すようにゲイン切替信号として受信検知部23にLow信号を出力する。電圧変換部29は、第1の出力回路部24に10Vの電圧Vcを出力させ、フルブリッジ駆動モードで発信手段21aが駆動される。このため、ゲイン切替指示部20dが、ゲイン切替信号として受信検知部23にLow信号を出力することにより、受信検知部23によって受信信号の増幅率が1/10倍に設定される。
【0094】
S302において、制御部20は、給紙動作が開始され後にまだ記録材Pが超音波センサ21に到達していないタイミングにおいて、下記の処理を実行する。すなわち、制御部20は、図13(a)に示すように、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合の受信手段21bによる超音波の受信レベルの測定を開始する。このとき、発信回路部28は、フルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動する。つまり、図13(f)に示すように第1の出力回路部24からUSS-H端子へ、電圧10Vと0Vが交互に入力され、図13(g)に示すように第2の出力回路部26からUSS-L端子へ、電圧10Vと0Vが交互に入力される。
【0095】
S103において、受信検知部23は、受信信号の受信レベルの測定開始から所定時間が経過する間に受信手段21bによる受信信号に基づいて図13(h)に示すような検知信号の生成を行い、受信レベルVaを算出する。このとき、受信検知部23によって生成された検知信号は、受信検知部23により、発信手段21aから発信された超音波の周波数と同じ40kHzの半波毎にピーク値を持つ波形に変換される。また、このとき、図13(d)に示すように第1の駆動信号のパルス数が2パルスであっても、図13(h)に示すような検知信号の波形の個数は、2を超える数となる。これは、発信手段21aあるいは受信手段21bの残響があるためである。制御部20は、受信レベル検知部20cにより変換された検知信号の2番目の波形を検出し、そのピーク値を算出する。このとき、2番目の波形のピーク値は、第1の駆動信号と同期した任意の所定時間の間の検知信号を検知することによって算出する。ここでの所定時間とは、発信手段21aと受信手段21bとの距離と超音波の音速との関係から予め計算して設定する。なお、本実施形態において、制御部はS100において給紙動作を開始させたが、受信検知部23によって受信レベルVaが算出された後に、給紙動作を開始させても良い。
【0096】
S303において、ゲイン切替指示部20dは、図13(b)に示すようにゲイン切替信号として受信検知部23にHigh信号を出力することにより、受信検知部23によって受信信号の増幅率を1倍に設定する。
【0097】
以降の処理は、図8と同一であるため、説明を省略する。
【0098】
以上説明したように、本実施例によれば、切替指示部20aを有さず、記録材の有無に関わらず発信手段20aに10Vの駆動電圧を供給する。そして、実施例2と同様に第1の出力回路部24と第2の出力回路部25を用いて、常にフルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動し、記録材の有無に関わらず、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波まで発信可能とする。そして、受信検知部23において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、受信手段20bにより生成された受信信号の振幅を小さくすることにより、受信レベル検知部20cによって検知可能な受信レベルを得る。このように、記録材Pの有無に応じて受信検知部23により受信信号の増幅率を切り替え、受信信号の振幅の大きさを調整することにより、受信信号の信号雑音比が大きくなることを抑制することができる。なお、本実施例においては、実施例2の動作に加えて、受信検知部23の増幅率を最適化することで、受信信号の信号雑音比を改善する構成について説明した。しかし、切替指示部20aを有さず記録材の有無に関わらず発信手段20aに10Vの駆動電圧を供給する場合、実施例1または3との組み合わせにも適用可能であるものとする。
【0099】
[実施例4の変形例]
実施例4において、下記のような方法について記載した。まず切替指示部20aを有さず、記録材の有無に関わらず発信手段20aに10Vの駆動電圧を供給する。そして、実施例2と同様に第1の出力回路部24と第2の出力回路部25を用いて、常にフルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動し、記録材の有無に関わらず、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波まで発信可能とする。そして、受信検知部23において、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、受信手段20bにより生成された受信信号の振幅を小さくすることにより、受信レベル検知部20cによって検知可能な受信レベルを得る方法である。
【0100】
本実施例においては、実施例4と同様に、切替指示部20aを有さず、記録材の有無に関わらず発信回路部28に10Vの駆動電圧を供給する。そして、実施例2と同様に第1の出力回路部24と第2の出力回路部25を用いて、常にフルブリッジ駆動モードで発信手段21aを駆動し、記録材の有無に関わらず、20Vが供給された場合に相当する振幅の超音波まで発信可能とする。そして、本実施例においては、制御部20がゲイン指示部20eを有し、発信回路部28が第1の増幅率切替部(不図示)と第2の増幅率切替部(不図示)を有する。そして、受信手段21bが記録材Pを介していない超音波を受信する場合、第1の増幅率切替部と第2の増幅率切替部により、発信回路部28に入力された電圧の増幅率を例えば1/5倍にすることにより、発信手段21aに入力する駆動電圧を小さくする。
【0101】
[発信制御部22における記録材Pの有無に応じた駆動電圧の増幅率の切り替え]
図14は、本実施例における記録材検知装置19に関するブロック図である。なお、以降の説明において、図13と同一の構成に関しては、同一の番号を付与し説明を省略する。
【0102】
制御部20は、発信回路部28に入力された電圧の増幅率を制御するためのゲイン指示部20eを有する。発信回路部28のうちの第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部は、ゲイン指示部20eからのゲイン指示信号に応じて発信回路部28に入力された電圧の増幅率を切り替える。なお、本実施例において、第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部によって変換される電圧値は同一の電圧値とする。また、本実施例において、増幅率の切り替えはオペアンプを用いた反転増幅回路を用いており、実施例4と同一の構成であるため、説明を省略する。なお、本実施例においては反転増幅回路を用いるが、トランジスタを用いた増幅回路などの、信号を増幅可能な回路であれば代用可能であるものとする。
【0103】
続いて、以降で第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部における増幅率の設定について説明する。記録材を介した超音波を受信手段によって受信する場合、受信検知部23に入力される受信信号の振幅は小さくなる。このため、発信手段21aにより発信される超音波の振幅は大きい振幅であることが望まれる。このため、第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部における増幅率を1倍に設定するため、ゲイン指示部20eはゲイン指示信号としてHigh信号を出力する。また、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信する場合、受信検知部23に入力される受信信号の振幅が大きくなる。発信手段21aにより発信される超音波の振幅は小さい振幅であることが望まれる。このため、ゲイン指示部20eはゲイン指示信号としてLow信号を出力し、第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部における増幅率をゲイン指示信号がHigh信号のときよりも少ない倍率として1/5倍に設定する。
【0104】
以上説明したように、本実施例において、ゲイン指示部21eは、記録材を介していない超音波を受信手段によって受信する場合、Low信号を出力し、記録材を介した超音波を受信手段によって受信する場合、High信号を出力する。
【0105】
このように、記録材Pの有無に応じて、第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部により、発信回路部28に入力された電圧の増幅率を切り替えることにより、受信信号の信号雑音比が大きくなることを抑制する。
【0106】
なお、本実施例においては、記録材を介していない超音波を前記受信手段により受信した受信信号を第1の受信値とも称し、記録材を介した超音波を前記受信手段により受信した受信信号を第2の受信値とも称する。また、ゲイン指示部20eを増幅率切替指示手段とも称し、ゲイン指示部20eにより出力されるゲイン指示信号を増幅率切替信号とも称する。また、ゲイン指示信号のうちLow信号を第1の増幅率切替信号とも称し、1/5倍となる増幅率を第1の増幅率とも称し、第1の増幅率によって発信回路部28に入力された電圧を変換した電圧を第1の変換入力値とも称する。また、第1の増幅率切替部および第2の増幅率切替部を合わせて、増幅率切替手段とも称する。さらに、ゲイン指示信号のうちHigh信号を第2の増幅率切替信号とも称し、1倍となる増幅率を第2の増幅率とも称し、第2の増幅率によって発信回路部28に入力された電圧を変換した電圧を第2の変換入力値とも称する。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
19 記録材検知装置
20 制御部
20a 切替指示部
20b 発信指示部
20c 受信レベル検知部
20d ゲイン指示部
20e ゲイン指示部
21 超音波センサ
21a 発信手段
21b 受信手段
22 発信制御部
24 第1の出力回路部
25 第2の出力回路部
26 第3の出力回路部
27 切替部
28 発信回路部
29 電圧変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14