(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
H04N1/60
(21)【出願番号】P 2021016617
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 克之
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-158136(JP,A)
【文献】特開2005-269201(JP,A)
【文献】特開2016-019122(JP,A)
【文献】特開2018-105639(JP,A)
【文献】特開2007-030302(JP,A)
【文献】特開2018-101842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/60
G06T 1/00
B41J 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の濃度パターンが形成された印刷物の色を読み取って、当該印刷物を出力した第1の画像形成装置の色特性を取得する取得手段と、
前記印刷物から当該印刷物に関する特徴を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出した前記印刷物に関する特徴を基に、前記第1の画像形成装置で出力した前記印刷物に対応する入力色空間を特定する特定手段と、
前記取得手段で取得した前記第1の画像形成装置の色特性を基に、
前記特定手段で特定した入力色空間に対応し、
第2の画像形成装置において前記第1の画像形成装置の色特性を再現する色変換パラメータを作成する作成手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の濃度パターンは、各パッチが特定の濃度の色に対応した複数のパッチで構成され、
前記検出手段は、前記複数のパッチそれぞれについての複数の測色値から、前記複数のパッチそれぞれの領域を示す領域情報を検出し、検出した前記複数のパッチそれぞれの領域情報を用いて、前記パッチに関する特徴を取得し、
前記特定手段は、前記印刷物の特徴および前記パッチの特徴のうち少なくとも一方を基に、前記印刷物に対応する入力色空間を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記印刷物1枚にて行方向に形成された前記パッチの数、前記印刷物1枚にて列方向に形成された前記パッチの数、前記印刷物1枚に形成された前記パッチの総数、前記印刷物の全頁に形成された前記パッチの総数のうち少なくとも1つを前記パッチの特徴として検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記所定の濃度パターンは、各パッチが特定の濃度の色に対応した複数のパッチで構成され、
前記検出手段は、前記複数のパッチそれぞれについての複数の測色値から、前記複数のパッチの配置パターンを検出し、
前記特定手段は、前記検出手段で検出した前記複数のパッチの配置パターンと、入力色空間に対応したパッチの配置パターンとを基に、前記印刷物に対応する入力色空間を特定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の画像形成装置が出力した印刷物には、入力色空間を識別する識別コードが形成されており、
前記検出手段は、前記第1の画像形成装置が出力した印刷物を読み取って、前記識別コードを検出し、
前記特定手段は、前記検出手段で検出した前記識別コードを基に、前記印刷物に対応する入力色空間を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
情報をユーザに提供する提供手段をさらに有し、
前記特定手段が、前記印刷物に対応する入力色空間を特定したとき、
前記提供手段は、前記特定手段で特定した入力色空間に対応する前記色変換パラメータを作成する指示を受け付けるUI画面を前記ユーザに提供する
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特定手段が、前記印刷物に対応する入力色空間としてCMYK色空間を特定したとき、
前記提供手段は、印刷対象の画像データにおけるCMYK色空間の色値をL
*a
*b
*色空間の色値に変換する四次元のルックアップテーブルを、前記色変換パラメータとして作成する指示を受け付けるUI画面を前記ユーザに提供する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記提供手段で提供した前記UI画面にて、前記四次元のルックアップテーブルを作成する指示を受け付けたとき、
前記作成手段は、前記四次元のルックアップテーブルを、前記色変換パラメータとして作成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記特定手段が、前記印刷物に対応する入力色空間としてRGB色空間を特定したとき、
前記提供手段は、印刷対象の画像データにおけるRGB色空間の色値をL
*a
*b
*色空間の色値に変換する三次元のルックアップテーブルを、前記色変換パラメータとして作成する指示を受け付けるUI画面を前記ユーザに提供する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記提供手段で提供した前記UI画面にて、前記三次元のルックアップテーブルを作成する指示を受け付けたとき、
前記作成手段は、前記三次元のルックアップテーブルを、前記色変換パラメータとして作成することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
所定の濃度パターンが形成された印刷物の色を読み取って、当該印刷物を出力した第1の画像形成装置の色特性を取得する取得工程と、
前記印刷物から当該印刷物に関する特徴を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した前記印刷物に関する特徴を基に、前記第1の画像形成装置で出力した前記印刷物に対応する入力色空間を特定する特定工程と、
前記取得工程で取得した前記第1の画像形成装置の色特性を基に、
前記特定工程で特定した入力色空間に対応し、
第2の画像形成装置において前記第1の画像形成装置の色特性を再現する色変換パラメータを作成する作成工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から10の何れか一項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データを印刷するプリンタにおける色調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるフルカラー印刷が可能な画像処理装置のリプレースや買い足しの際には、リプレース前或いは既存の画像処理装置による印刷物の色味を、リプレース後や買い足した画像処理装置においても継承したいという要望がある。ここで、リプレース前の画像処理装置や既存の画像処理装置といった目標となる側の印刷デバイスを「目標デバイス」と呼び、リプレース後の画像処理装置や買い足した画像処理装置といった調整する側の印刷デバイスを「調整デバイス」と呼ぶこととする。上述した異なるデバイス間での色合わせを行う際、目標デバイスから出力した印刷物を読み取って目標デバイスの色特性を取得し、取得した目標デバイスの色特性を基に調整対象デバイスの色変換パラメータを作成している。この作成した調整対象デバイスの色変換パラメータを用いることで、入力された所定の色空間の画像データを印刷用の色空間の画像データに変換し、目標デバイスによる印刷物と同じ色味を持つ印刷物を出力している。特許文献1は、色変換パラメータを他の色空間で入力された画像データに対して適用する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調整対象デバイスにて色変換パラメータを作成する際に、目標デバイスの色特性と色変換パラメータとで画像データの入力色空間が異なると、調整対象デバイスから出力される印刷物と目標デバイスから出力される印刷物とで、色味が異なってしまう。
【0005】
本開示は、画像データの入力色空間に対応した色変換パラメータを適切に作成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る画像処理装置は、所定の濃度パターンが形成された印刷物の色を読み取って、当該印刷物を出力した第1の画像形成装置の色特性を取得する取得手段と、前記印刷物から当該印刷物に関する特徴を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した前記印刷物に関する特徴を基に、前記第1の画像形成装置で出力した前記印刷物に対応する入力色空間を特定する特定手段と、前記取得手段で取得した前記第1の画像形成装置の色特性を基に、前記特定手段で特定した入力色空間に対応し、第2の画像形成装置において前記第1の画像形成装置の色特性を再現する色変換パラメータを作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、画像データの入力色空間に対応した色変換パラメータを適切に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像形成システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図2】画像形成システムにおける色合わせプロファイル作成処理のシーケンス例を示す図である。
【
図4】目標デバイスにて色合わせプロファイル作成処理を実行するためのUI画面例を示す図である。
【
図5】色特性チャートを読み込むときに表示されるUI画面例を示す図である。
【
図6】色特性チャートの入力色空間を判定したときに表示されるUI画面例を示す図である。
【
図7】色合わせプロファイルの名称を入力するときに表示されるUI画面例を示す図である。
【
図8】印刷設定を行うためのUI画面例を示す図である。
【
図9】CMYK向けの色合わせプロファイルを設定するためのUI画面例を示す図である。
【
図10】目標デバイスの色合わせプロファイル作成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】目標デバイスの色特性チャートの特徴を検出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】目標デバイスの色特性チャートのパッチ領域を検出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】色特性チャートのエッジ座標を検出する方法を説明する図である。
【
図14】色特性チャートのエッジ座標の検出例を示す図である。
【
図15】色特性チャートのパッチのエッジ座標を検出する方法を説明する図である。
【
図16】一次微分信号値例および自己相関係数データ例を示す図である。
【
図17】目標デバイスの色特性チャートの特徴を検出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図19】目標デバイスの色特性チャートの特徴を検出する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の説明に先立ち、色特性プロファイルを調節することで異なるデバイス間における印刷物の色味を一致させる技術の概要について説明する。
【0010】
調整対象デバイスによる印刷物の色味を目標デバイスによる印刷物の色味に合わせ込むためのプロファイル作成ツールが知られている。プロファイル作成ツールは、先ず、デバイスの色空間に依存しない色空間の一つであるsRGB空間でサンプリングされたパッチと呼ばれる矩形領域内で同一色値となる画像領域が複数個あるような色特性チャートを作成する。ユーザによる操作によって、作成した色特性チャートのファイルを目標デバイスで印刷し、印刷結果を測色することで、人間の視覚特性を考慮した視覚均等となるデバイスに依存しない色空間の一つであるL*a*b*値で表現された測定ファイルが生成される。
【0011】
生成された測定ファイルをプロファイル作成ツールに読み込ませることで、目標デバイスがsRGBの各色をどのようなL*a*b*値に変換するかを表現した色合わせプロファイル(sRGB→L*a*b*プロファイル)が作成される。作成された色合わせプロファイルが調整対象デバイスに設定された場合、入力された画像データの色空間がsRGB色空間であると、作成された色合わせプロファイルが入力された画像データに対して適用され、一度、L*a*b*値の画像データに変換される。さらに、L*a*b*値の画像データは、調整対象デバイスの内部でデバイスに依存した色空間であるCMYKに変換されて印刷される。このようなプロセスを経ることで、調整対象デバイスは、目標デバイスの色を再現した印刷物を出力することが可能となる。
【0012】
特許文献1の技術では、例えば、アドビシステムズ社が提案するAdobeRGBで画像データが入力された場合、AdobeRGB色空間を一度sRGB色空間に変換し、色合わせプロファイルを適用して印刷する。これにより、AdobeRGB色空間で入力された画像データに関しても、調整対象デバイスが目標デバイスの色特性を再現した状態で印刷することができる。同様にCMYK色空間で構成された画像データが入力された場合、例えばJapanColorやFOGRAなどの各国の標準色規格に変換するプロファイル(CMYK→L*a*b*プロファイル)を用いてCMYK色空間をL*a*b*色空間に変換する。そして、所定の演算を用いて、変換したL*a*b*色空間からsRGB色空間に画像データを変換することで、作成された色合わせプロファイル(sRGB→L*a*b*プロファイル)を適用することができる。
【0013】
しかしながら、各国の標準色規格を表現するため、CMYK色空間からsRGB色空間に画像データを変換する色合わせプロファイルを調整対象デバイスに適用しても、調整対象デバイスから出力される印刷物に画質劣化が発生する場合がある。この要因は、デバイスに依存したCMYKで表現される色空間はデバイスに依存しないsRGB色空間に比べると、CMYKで表現される色空間の方が狭いことにある。
【0014】
sRGB色空間からL*a*b*色空間を介して、プリンタで印刷するためのCMYK色空間に色空間変換をした場合、多くは知覚的色域圧縮(Preceptual)が行われる。そのため、CMYKで表現された色空間の入力画像データに対して色合わせプロファイル(sRGB→L*a*b*プロファイル)を介した色変換が行われると、非常に狭い色域の画像データを生成してしまう。すなわち、上記色合わせプロファイルは、元々、広い色域のものを狭い色域へと圧縮するものであるが、狭い色域のものに色合わせプロファイルを適用すると、さらに狭い色域で表現された色値に変換されてしまう。その結果、変換された画像データはくすんだ画像となって印刷されることになる。そのため、目標デバイスの色特性を示す色特性チャートの入力色空間に対応した色合わせプロファイルを適切に作成する必要があった。
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本開示を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本開示の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0016】
[実施形態1]
本実施形態では、所定の濃度パターンが形成された印刷物(色特性チャート)の色を読み取って、当該印刷物を出力した目標デバイスの色特性を取得し、印刷物から印刷物に関する特徴を検出する。検出した印刷物に関する特徴を基に、目標デバイスで出力した印刷物に対応する入力色空間を特定する。そして、取得した目標デバイスの色特性を基に、調整対象デバイスにおいて、特定した入力色空間に対応し、目標デバイスの色特使を再現する色合わせプロファイルを作成する態様について説明する。すなわち、検出した色特性チャートに関する特徴を基に色特性チャートの入力色空間を判別し、判別した入力色空間に応じて、色合わせプロファイルを適切に作り分ける態様について説明する。なお、色合わせプロファイルは、色変換パラメータともいえる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示される通り、本実施形態の画像形成システムは、調整対象デバイス100と、目標デバイス130と、外部処理装置115と、PC150とを有する。これら装置は、ネットワーク101を介してデータを相互に送受信可能に接続されている。なお、調整対象デバイス100および目標デバイス130には、例えば、複写機、複合機や、別途スキャナが用意されているレーザプリンタ、ファクシミリといった電子写真方式によるカラー印刷が可能な画像形成装置を適用可能である。
【0018】
調整対象デバイス100は、画像処理装置であり、装置制御部102と、ユーザインターフェース104と、画像読取部108と、ディスプレイ109と、画像出力部110と、給紙部112と、排紙部113とを有する。なお、以降、ユーザインターフェース(User Interface)をUIと称す。装置制御部102は、CPU105と、RAM106と、記憶部107と、画像データを処理するASICなどで構成される画像処理部103とを有する。画像出力部110は、CPU111と、RAM114とを有する。
【0019】
UI104は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどの入出力装置を有し、UI画面を表示し、ユーザによる、各種の設定値や指定値などの入力を受け付ける。
【0020】
CPU(Central Processing Unit)105は、演算処理装置であり、記憶部107に記憶されている初期プログラムを実行して、メインプログラムを記憶部107から読出してRAM106に展開する。RAM(Random Access Memory)106はプログラム格納用や、ワーク用のメインメモリとして使用される。そして、CPU105は、メインプログラムに従って装置制御部102を制御する。装置制御部102はコントローラ基盤であり、装置制御部102上に、CPU105、RAM106、記憶部107、画像処理部103の各デバイスが実装されている。
【0021】
画像読取部108は、束状のまたは一枚の原稿を図示しない光源で照射し、原稿からの反射光をレンズでCCD(Charge Coupled Device)センサなどの固体撮像素子上に結像する。そして、固体撮像素子から得られた画像読み取り信号をレッド、グリーン、ブルー(以降、R、G、Bと示す)の多値の画像データとして得る。画像読取部108は、複数ページの紙原稿を連続して読み込み、画像データに変換する自動原稿送り装置(Auto Document Feeder(以降、ADFと示す))を有してもよい。
【0022】
画像処理部103は、詳細につき後述するPC150のプリンタドライバ154からネットワーク101を介して送信された印刷データや、画像読取部108などで取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部103の詳細については後述する。
【0023】
記憶部107は、画像処理部103で処理された画像データやPC150のプリンタドライバ154から送信された印刷データ、後述するユーザ毎の色覚情報を保持するDB(データベース)及びユーザ毎のグループ設定情報を保持するDBなどを記憶する。記憶部107は、例えばハードディスクドライブやROM(Read Only Memory)などである。
【0024】
ディスプレイ109は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、画像処理装置100の設定状態、実行中の処理の状況、エラー状態などの表示に使用される。なお、ディスプレイ109は、UI104と一体であってもよい。
【0025】
画像出力部110は、装置制御部102と接続されており、画像処理部103で処理された画像データに基づき、C、M、Y、K等の有色トナーを用いて、紙等の記録媒体上に画像を形成するプリンタである。なお、Cはシアンを表し、Mはマゼンタを表し、Yはイエローを表し、Kはブラックを表す。画像出力部110はコントローラ基盤であり、画像出力部110上に、CPU111、RAM114の各デバイスが実装されている。画像出力部110はCPU111によって制御され、画像が形成される紙の給紙を行う給紙部112と、画像が形成された紙を排紙する排紙部113とを有する。
【0026】
外部処理装置115は、装置制御部120を有する。装置制御部120は、画像処理部116、CPU117、RAM118、記憶部119を有する。CPU117は、演算処理装置であり、記憶部119に記憶されている初期プログラムを実行して、メインプログラムを記憶部119から読出してRAM118に展開する。RAM118はプログラム格納用や、ワーク用のメインメモリとして使用される。そして、CPU117は、メインプログラムに従って装置制御部120を制御する。装置制御部120はコントローラ基盤であり、装置制御部120上に、CPU117、RAM118、記憶部119、画像処理部116の各デバイスが実装されている。なお、調整対象デバイス100の一部機能を、ネットワーク101を介して通信を相互に行うことにより、外部処理装置115で実行することが可能である。
【0027】
以上説明した調整対象デバイス100は一例であり、画像読取部108を有さない構成の画像処理装置100であってもよい。また、調整対象デバイス100の一部機能を、ネットワーク101を介して通信を相互に行うことにより、外部処理装置115で実行してもよい。外部処理装置115は、サーバなどのコンピュータ装置で実装してもよいし、インターネット上のクラウドサーバで実装してもよい。その他必要に応じて、その他の構成を備えてもよい。
【0028】
目標デバイス130は、調整対象デバイス100にとって目標となる色特性を持つ画像を形成した印刷物を出力する画像処理装置であり、調整対象デバイス100と同じハードウェア構成を有するため、目標デバイス130のハードウェア構成の説明を省略する。
【0029】
PC150は、ユーザが使用するPC(Personal Computer)であり、CPU151、RAM152、記憶部153、プリンタドライバ154を有する。PC150は、ネットワーク101を介して、調整対象デバイス100、目標デバイス130および外部処理装置115と相互にデータを送受信可能となっている。
【0030】
CPU151は、記憶部153に記憶されている初期プログラムを実行して、メインプログラムを記憶部153から読出してRAM152に展開する。RAM152はプログラム格納用や、ワーク用のメインメモリとして使用される。そして、CPU151は、メインプログラムに従って、ユーザが使用しているアプリケーションやプリンタドライバ154を制御する。
【0031】
プリンタドライバ154は、ユーザが使用しているアプリケーションで展開されている画像データや、印刷する際にユーザによって設定される印刷設定を印刷データとして調整対象デバイス100または目標デバイス130に送信する。
【0032】
<画像形成システム全体の処理の流れ>
図2は、本実施形態に係る画像形成システムにて、ユーザによる操作で目標デバイスにて色特性チャートを印刷し、印刷した色特性チャートを用いて、調整対象デバイスにて色合わせプロファイルを作成する際の、処理の流れを示すシーケンス図である。ここでは、ユーザおよび装置間のやり取りを中心に説明する。
図2に示される各処理は、ユーザ201が、PC150及び目標デバイス130、調整対象デバイス100を操作することによって実行される。このとき、PC150の処理は、記憶部153に記憶されたプログラムコードがRAM152に展開され、CPU151によって不図示の装置制御部が制御されることにより実行される。また、調整対象デバイス100の処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。また、目標デバイス130の処理は、記憶部137に記憶されたプログラムコードがRAM136に展開され、CPU135によって装置制御部132が制御されることにより実行される。なお、調整対象デバイス100において色合わせプロファイル作成処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107に一時的に記憶される。以下、
図2のシーケンス図に沿って、装置間のやり取りを時系列に説明する。なお、以下の説明において記号「SQ」はステップを表す。
【0033】
まず、SQ210では、ユーザ201は、PC150に対して、目標デバイス130にて色特性チャートの画像データ(色特性チャートデータともいう)を印刷する指示を行う。そして、SQ211では、PC150は、SQ210の印刷指示を受け取ると、色特性チャートの画像データを対応するアプリケーションによって展開する。本実施形態では、色特性チャートを表現する入力色空間は、CMYKまたはRGBであるとする。そのため、SQ210の処理では、入力色空間がCMYKまたはRGBである色特性チャートデータの印刷指示が行われることになる。SQ211の処理では、SQ210で指示された入力色空間に対応した色特性チャートデータが展開されることになる。
【0034】
ここで、色特性チャートの構成について図を用いて説明する。
図3は、目標デバイスの色特性を確認するために印刷する色特性チャートの構成例を示す図である。なお、詳細につき後述する通り、色特性チャートを測色することで、画像処理装置(目標デバイス)が有する色特性を確認することができる。色特性チャートは、
図3に示すように、複数(
図3ではM×Nの個)の矩形領域の画像を有しており、所定の濃度パターンが形成された印刷物である。矩形領域の画像は、領域内で同一の信号値(RGB値またはCMYK値)を持つ画像であり、パッチと呼ばれる。
【0035】
本実施形態では、入力色空間がRGBである色特性チャートのパッチの信号値(RGB値)は、デバイスの色空間に依存しない色空間の一つであるsRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているものとする。RGB用色特性チャートにおけるパッチの信号値(RGB値)は、例えば、R、G、Bのそれぞれを8bitで表現し、信号値の間隔が32となるようにサンプリングすると、R、G、Bをそれぞれで9つずつのサンプリング数となる。そのため、RGB用色特性チャートは、総数9×9×9=729個のパッチで構成することになる。また、sRGB色空間とは、IEC(国際電気標準会議)が策定した色空間の国際標準規格であり、入出力機器などの異なる環境間で色の再現性を確保するために定められた色空間である。
【0036】
一方、本実施形態では、入力色空間がCMYKである色特性チャートのパッチの信号値(CMYK値)は、デバイスの色空間に依存した色空間の一つであるCMYK色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているものとする。CMYK用色特性チャートにおけるパッチの信号値(CMYK値)は、例えば、C、M、Y、Kのそれぞれを8bitで表現し、信号値の間隔が32となるようにサンプリングすると、C、M、Y、Kをそれぞれで9つずつのサンプリング数となる。そのため、CMYK用色特性チャートは、総数9×9×9×9=6561個のパッチで構成することになる。
【0037】
上述したRGB用色特性チャートとCMYK用色特性チャートの違いについて、表1を用いて説明する。表1は、RGB用及びCMYK用色特性チャートに関し、色特性チャートの合計枚数(P)および色合わせプロファイルの作成に必要なパッチ数の各項目を示している。さらに、表1は、印刷物1枚にて行方向に形成されたパッチの数を示す色特性チャート1枚当たりのパッチの行数(M)と、印刷物1枚にて列方向に形成されたパッチの数を示す色特性チャート1枚当たりのパッチの列数(N)の各項目も示している。表1は、印刷物1枚に形成されたパッチの総数を示す色特性チャート1枚当たりのパッチ数(M×N)と、印刷物全頁に形成されたパッチの総数を示す色特性チャート全ページのパッチ数(P×M×N)の各項目も示している。これらの各項目の違いが、RGB用色特性チャートの特徴とCMYK用色特性チャートの特徴との違いとなる。例えば、入力色空間がCMYKである場合、色合わせプロファイルの作成に必要な色特性チャートの枚数は8枚であり、色合わせプロファイルの作成に必要なパッチ数は6561個である。一方、入力色空間がRGBである場合、色合わせプロファイルの作成に必要な色特性チャートの枚数は1枚であり、色合わせプロファイルの作成に必要なパッチ数は729個である。
【0038】
【0039】
なお、本実施形態では、色特性チャートの画像データは、TIFF(Tagged Image File Format)やPDF(Portable Document Format)といった形式の画像データであるとする。色特性チャートの画像データは、このような形式の画像データに限定されない。色特性チャートの画像データは、ユーザの操作対象であるPC150及び目標デバイス130、調整対象デバイス100で動作するアプリケーションによって読み込み(展開)可能な形式の画像データであればよい。
【0040】
SQ212では、PC150は、SQ211にて展開された色特性チャートの画像データとプリンタドライバ154で設定できる色に関する設定情報とを、プリンタドライバ154およびネットワーク101を介して目標デバイス130に送信する。本実施形態では、プリンタドライバ154で設定できる設定情報は、濃度調整やカラーモードなどの色処理に関係する印刷設定情報を有する。設定情報には、目標デバイス130で印刷するときにユーザが普段使用している色処理に関係する印刷設定が反映されているものとする。
【0041】
SQ213では、目標デバイス130は、SQ212にてPC150から受信した色設定情報に従ってSQ212にてPC150から受信した色特性チャートの画像データに対して色変換処理を実行する。そして、目標デバイス130は、色変換処理後の画像データを用いて画像出力部140で印刷する。よって、画像出力部140から出力される印刷物は、SQ210で指示された入力色空間に対応した色特性チャートが記録媒体に印刷されたものとなる。
【0042】
SQ214では、SQ213にて実行された色特性チャートの印刷処理が完了すると、目標デバイス130は、目標デバイス130にて色特性チャートの印刷処理が完了したことをPC150に通知する。
【0043】
SQ215では、PC150は、SQ214にて実行された印刷完了通知を目標デバイス130から受信すると、アプリケーションを介して、目標デバイス130にて印刷処理が完了したことをユーザ201に通知する。
【0044】
SQ220では、ユーザ201は、調整対象デバイス100に対して、調整対象デバイス100の色合わせプロファイル作成処理を実行する指示(色合わせプロファイル作成指示ともいう)を行う。ユーザ201による調整対象デバイス100に対する色合わせプロファイル作成処理の実行の指示は、例えば、UI104に表示されるUI画面を介して行われる。ここで、ユーザ201によって色合わせプロファイル作成処理の実行を指示するUI画面例について図を用いて説明する。
図4は、色合わせプロファイル作成処理の実行を調整対象デバイスに対して指示するUI画面例を示す図である。
図4(a)に初期画面である調整対象デバイス100の操作画面を示し、
図4(b)に
図4(a)に示される「色合わせプロファイル作成」ボタン407が押下された後の画面である調整対象デバイス100の操作画面を示す。
図4(c)に
図4(b)に示される「PS/PDF」ボタン413が押下された後の画面である調整対象デバイス100の操作画面を示す。
【0045】
UI画面401は、UI104に表示される操作画面である。UI画面401は、調整対象デバイス100が有する各種機能の実行を指示する初期画面であり、
図4(a)に示すように、各種の機能に対応するボタン402~407を有する。UI画面401は、「コピー」ボタン402と、「プリント」ボタン403と、「ファックス」ボタン404と、「スキャンして送信」ボタン405と、「ダイレクトプリント」ボタン406と、「色合わせプロファイル作成」ボタン407とを有する。ボタン402~407は、調整対象デバイス100が有する機能を実行させるときにユーザによって押下されるボタンであり、押下されたボタンに対応した機能は、プログラムに従って実行される。色合わせプロファイル作成処理を実行するタイミングは、ユーザによって、ボタン407が押下されたときとする。本実施形態では、ボタン形式で画像処理装置の各種の機能の実行指示を与える態様を示しているが、これに限定されない。リスト形式で各種の機能の実行指示を与える態様としてもよい。
【0046】
UI画面411は、ユーザによって「色合わせプロファイル作成」ボタン407が押下された後にUI104に表示される画面である。UI画面411は、
図4(b)に示すように、「PCL」ボタン412と、「PS/PDF」ボタン413と、「戻る」ボタン414とを有する。ボタン412およびボタン413は、色合わせプロファイル作成の対象となるプリント種類をユーザによって実行されるときに押下されるボタンであり、押下されたボタンは、プログラムに従って対応するプリントのプロファイルの作成処理を実行する。本実施形態に係る色合わせプロファイル作成処理では、画像データの入力色空間がRGBおよびCMYKの何れも対応できるプリントを対象とするため、「PS/PDF」ボタン413に記載されているPS(Post Script)およびPDFが対象となる。そのため、ユーザによって「PS/PDF」ボタン413が押下されると、調整対象デバイス100は、詳細につき後述する色合わせプロファイル作成処理を実行する。なお、「PCL」ボタン412に記載のプリント種類であるPCL(Printer Control Language)は、Hewlett-Packard社が開発したページ記述言語であり、画像データの入力色空間がRGBのみ対応したプリントである。
【0047】
「戻る」ボタン414がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面が初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0048】
UI画面421は、ユーザによって「PS/PDF」ボタン413が押下された後にUI104に表示される画面である。UI画面421は、
図4(c)に示すように、「色合わせプロファイル作成」ボタン422と、「色合わせプロファイル削除」ボタン423と、「戻る」ボタン424とを有する。「色合わせプロファイル作成」ボタン422は、調整対象デバイス100で色合わせプロファイルを作成するときにユーザによって押下されるボタンである。「色合わせプロファイル削除」ボタン423は、調整対象デバイス100にこれまでに作成された色合わせプロファイルを削除するときにユーザによって押下されるボタンである。なお、本実施形態では、ユーザによって「色合わせプロファイル作成」ボタン422を押下されたときに後述する色合わせプロファイル作成処理を実行する。
【0049】
「戻る」ボタン424がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面が初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0050】
図2の説明に戻る。SQ221では、調整対象デバイス100は、SQ220の色合わせプロファイル作成指示を受け取ると、画像読取部108が有する不図示のADFを用いて、SQ213にて目標デバイス130が印刷した印刷物である色特性チャートに対しスキャン処理を行う。そして、スキャン処理で得たスキャン画像に対し不図示の測色器を用いて測色することで、調整対象デバイス100は、色特性チャートの測色データである色値を取得する。
【0051】
SQ221のスキャンを実行する際、調整対象デバイス100は、まず、SQ213にて目標デバイス130が印刷した目標デバイス130の色特性チャートを調整対象デバイス100のADFに載置するよう、ユーザ201に対して指示する(報知する)。ユーザに対する色特性チャートの載置の指示は、例えば、UI104に表示されるUI画面を介して行われる。
【0052】
ここで、スキャンを実行する際、目標デバイス130による色特性チャートを調整対象デバイス100のADFに載置するようユーザに指示するUI画面例について図を用いて説明する。
図5は、色特性チャートを読み込むときに表示されるUI画面例を示す図であり、
図5(a)に読み込み処理が未実施であるときに表示されるUI画面例を示し、
図5(b)に読み込み処理が成功しなかったときに表示されるUI画面例を示す。
【0053】
図5(a)に示されるUI画面501は、色合わせプロファイル作成指示を受け取ったときにUI104に表示される画面であり、メッセージ502と、「チャート読込」ボタン503と、「戻る」ボタン504とを有する。メッセージ502は、目標デバイスで印刷した色特性チャートをフィーダーにセットするようユーザに指示する(報知する)メッセージを含む。
【0054】
「チャート読込」ボタン503は、目標デバイス130で印刷された色特性チャートが調整対象デバイス100のADFに載置された後、調整対象デバイス100にスキャン処理を実行させるときにユーザによって押下されるボタンである。ユーザによって「チャート読込」ボタン503が押下されると、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行命令を行い、調整対象デバイス100のADFに載置された色特性チャートを読み込む処理を実行する。調整対象デバイス100のADFに色特性チャートが載置されていない状態で、ユーザによって「チャート読込」ボタン503が押下されても、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理を実行させないようにしてもよい。
【0055】
「戻る」ボタン504は、SQ221のスキャン処理を中止するときにユーザによって押下されるボタンである。「戻る」ボタン504がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面が初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0056】
図5(b)に示されるUI画面511は、色特性チャートの読み込み処理が成功しなかったときにUI104に表示される画面であり、メッセージ512と、「チャート読込」ボタン513と、「戻る」ボタン514とを有する。メッセージ512は、目標デバイスで印刷した色特性チャートをフィーダーに再度セットするようユーザに指示する(報知する)メッセージを含む。
【0057】
「チャート読込」ボタン513は、目標デバイス130で印刷された色特性チャートが調整対象デバイス100のADFに載置された後、調整対象デバイス100にスキャン処理を実行させるときにユーザによって押下されるボタンである。ユーザによって「チャート読込」ボタン513が押下されると、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行命令を行い、調整対象デバイス100のADFに載置された色特性チャートを読み込む処理を再度実行する。調整対象デバイス100のADFに色特性チャートが載置されていない状態で、ユーザによって「チャート読込」ボタン513が押下されても、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理を実行させないようにしてもよい。
【0058】
「戻る」ボタン514は、「戻る」ボタン504と同様、SQ221のスキャン処理を中止するときにユーザによって押下されるボタンである。「戻る」ボタン514がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面が初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0059】
SQ222では、調整対象デバイス100は、SQ221のスキャン処理で得た色特性チャートの測色データを基に、表1に示すような項目の特徴を検出する。そして、調整対象デバイス100は、検出した特徴を基に、スキャンした色特性チャートの入力色空間がRGBまたはCMYKのいずれであるかを分類する(判別する)処理を実行する。表1に示すような項目について色特性チャートの特徴を検出し、色特性チャートの入力色空間がRGBまたはCMYKのいずれであるかを分類する処理を実行する方法の詳細については後述する。
【0060】
入力色空間を分類する処理が終わると、調整対象デバイス100は、分類結果に応じた、色合わせプロファイルを作成する指示を受け付けるUI画面をユーザ201に提供し、受け付けた作成指示に対応する色合わせプロファイルを作成する処理を実行する。色合わせプロファイルの作成指示を受け付けるUI画面のユーザへの提供は、例えば、UI画面を表示するUI104を介して行われる。
【0061】
SQ222の処理で、入力色空間がCMYKであるとの分類結果が得られると、SQ223では、調整対象デバイス100は、CMYK向けの色合わせプロファイルを作成する指示を受け付けるUI画面をUI104に表示する。CMYK向けの色合わせプロファイルの作成指示を受け付けると、調整対象デバイス100は、測色で得た色特性チャートの色値(測色値)を用いてCMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実行し、CMYK向けの色合わせプロファイルを作成する。色特性チャートの色値は、パッチの読み取り値ともいう。なお、CMYK向けの色合わせプロファイルの作成処理の詳細については後述する。
【0062】
ここで、色合わせプロファイルを作成する指示を受け付けるUI画面例について図を用いて説明する。
図6は、色特性チャートの入力色空間を判定したときに表示されるUI画面例を示す図である。
図6(a)に色特性チャートの入力色空間がCMYKであるときに表示されるUI画面例を示し、
図6(b)に色特性チャートの入力色空間がRGBであるときに表示されるUI画面例を示す。
【0063】
図6(a)に示されるUI画面601は、色特性チャートの入力色空間がCMYKに分類されたときにUI104に表示される画面であり、メッセージ602と、「戻る」ボタン603と、「OK」ボタン604とを有する。メッセージ602は、色特性チャートの読み込みに成功しCMYK向けの色合わせプロファイルを作成することをユーザに示すメッセージを含む。
【0064】
「戻る」ボタン603は、SQ223の色合わせプロファイル作成処理を中止するときにユーザによって押下されるボタンである。「戻る」ボタン603がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面を初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0065】
「OK」ボタン604は、調整対象デバイス100にCMYK向け色合わせプロファイルの作成処理を実行させるときにユーザによって押下されるボタンである。ユーザによって「OK」ボタン603が押下されると、調整対象デバイス100は、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実行し、色変換パラメータであるCMYK向けの色合わせプロファイルを作成する。CMYK向けの色合わせプロファイルとして、例えば、以下の表2に示すようなルックアップテーブルが作成される。
【0066】
【0067】
SQ222の処理で、入力色空間がRGBであるとの分類結果が得られると、SQ224では、調整対象デバイス100は、RGB向けの色合わせプロファイルを作成する指示を受け付けるUI画面をUI104に表示する。RGB向けの色合わせプロファイルの作成指示を受け付けると、調整対象デバイス100は、測色で得た色特性チャートのパッチの色値(測色値)を用いて、RGB向けの色合わせプロファイルの作成処理を実行し、RGB向けの色合わせプロファイルを作成する。なお、RGB向けの色合わせプロファイルの作成処理の詳細については後述する。
【0068】
図6(b)に示されるUI画面611は、色特性チャートの入力色空間がRGBに分類されたときにUI104に表示される画面であり、メッセージ612と、「戻る」ボタン613と、「OK」ボタン614とを有する。メッセージ612は、色特性チャートの読み込みに成功しRGB向けの色合わせプロファイルを作成することをユーザに示すメッセージを含む。
【0069】
「戻る」ボタン613は、SQ224の色合わせプロファイル作成処理を中止するときにユーザによって押下されるボタンである。「戻る」ボタン613がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面を初期画面である
図4(a)のUI画面401に遷移する。
【0070】
「OK」ボタン614は、調整対象デバイス100にRGB向け色合わせプロファイルの作成処理を実行させるときにユーザによって押下されるボタンである。ユーザによって「OK」ボタン614が押下されると、調整対象デバイス100は、RGB向けの色合わせプロファイル作成処理を実行し、色変換パラメータであるRGB向けの色合わせプロファイルを作成する。RGB向けの色合わせプロファイルとして、例えば、以下の表3に示すようなルックアップテーブルが作成される。
【0071】
【0072】
SQ225では、調整対象デバイス100は、SQ223またはSQ224にて作成された色合わせプロファイルを記憶部107に記憶(保存)し、ユーザが使用可能な状態に設定する。
【0073】
作成された色合わせプロファイルを記憶部107に記憶させる際、作成された色合わせプロファイルの名称は、ユーザによって設定可能とする。ユーザ201が記憶時の色合わせプロファイルの名称を入力するときに表示されるUI画面例について図を用いて説明する。
図7は、記憶時のプロファイルの名称を入力するときに表示されるUI画面例を示す図である。
図7に示されるUI画面701は、色合わせプロファイルの作成が終了したときにUI104に表示される画面であり、メッセージ702と、テキストボックス703と、「OK」ボタン704と、「キャンセル」ボタン705とを有する。メッセージ702は、色合わせプロファイルの名称を入力するようユーザに指示する(報知する)メッセージを含む。
【0074】
テキストボックス703は、作成された色合わせプロファイルを記憶するときの名称を入力及び表示するテキストボックスである。テキストボックス703がユーザ201によって押下されると、ソフトウェアキーボードなどの不図示である入力用のUI画面が表示され、入力用のUI画面に対するユーザ操作によって色合わせプロファイルの名称の入力が可能であるとする。色合わせプロファイルの名称の入力方法は、これに限定されず、UI104のキーボードや外部の入力機器に対するユーザ操作であってもよい。
【0075】
「OK」ボタン704は、テキストボックス703への色合わせプロファイルの名称の入力が完了して確定するときにユーザによって押下されるボタンである。「OK」ボタン704がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、テキストボックス703に表示されている名称(設定名)に従って、作成された色合わせプロファイルを保存する。
【0076】
「キャンセル」ボタン705は、SQ223またはSQ224の色合わせプロファイル作成処理を中止するときにユーザによって押下されるボタンである。「キャンセル」ボタン705がユーザによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理の実施を中止し、UI104に表示される画面を初期画面である
図4(a)のUI画面401の初期画面に遷移する。
【0077】
本実施形態に係るCMYK向けの色合わせプロファイル作成処理前後におけるプリンタドライバ154により提供される印刷設定を示すUI画面例について、図を用いて説明する。
図8(a)および
図8(b)は、プリンタドライバ154により提供され、プリンタドライバ154でカラーモードに関する印刷設定を行うときにPC150の表示装置(不図示)に表示される印刷設定のためのUI画面例を示す図である。
【0078】
図8(a)に示されるUI画面801は、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実施する前の状態を示す画面である。一方、
図8(b)に示されるUI画面811は、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実施した後の状態を示す画面である。なお、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実施した後のUI画面811は、調整対象デバイス100の印刷設定に関する最新の情報(以下、最新の設定情報ともいう)を調整対象デバイス100から取得していた状態とする。本実施形態では、プリンタドライバ154は、ユーザ201による最新の設定情報を取得する指示を受けた場合に、調整対象デバイス100から調整対象デバイス100の最新の設定情報を取得するものとする。最新の設定情報を取得するタイミングは、ユーザの指示を受けたタイミングに限定されず、プリンタドライバ154を使用するタイミングや、予め決められた期間を経過したタイミングなど、最新の設定情報を取得できればどのようなタイミングでもよい。PC150の表示装置(不図示)は、例えば液晶ディスプレイであり、UI画面などを表示する。
【0079】
UI画面801は、カラーモード設定用のリストボックス802と、RGB入力プロファイル設定用のリストボックス803と、CMYKシミュレーションプロファイル設定用のリストボックス804とを有する。UI画面801は、さらに、「OK」ボタン805と、「キャンセル」ボタン806とを有する。
【0080】
UI画面811は、カラーモード設定用のリストボックス812と、RGB入力プロファイル設定用のリストボックス813と、CMYKシミュレーションプロファイル設定用のリストボックス814とを有する。UI画面811は、さらに、「OK」ボタン815と、「キャンセル」ボタン816とを有する。
【0081】
リストボックス802及びリストボックス812は、ユーザが調整対象デバイス100に対し印刷時のカラーモードを設定する際に使用するリストボックスである。設定されたカラーモードに応じて、プリンタドライバ154及び画像処理装置100内の画像処理が切り替えられる。なお、ユーザがカラーモードを設定するときに、リストボックス802、812内で不図示の設定項目が展開され、各設定項目を選択することができるものとする。
【0082】
リストボックス803及びリストボックス813は、ユーザが調整対象デバイス100に対し印刷時に色空間変換で適用するRGBの入力プロファイル(sRGB→L*a*b*プロファイル)を設定する際に使用するリストボックスである。印刷する画像データの入力色空間がRGBである場合、設定されたプロファイルに応じて、色変換時に適用されるRGBの入力プロファイルが切り替わる。L*a*b*値は、CIE(国際照明委員会)が作成したデバイスに依存しない色空間の一つであるL*a*b*色空間上の値である。L*a*b*色空間は、人間の視覚特性を考慮した視覚均等となるデバイスに非依存な3次元の色空間である。
【0083】
リストボックス804及びリストボックス814は、ユーザが調整対象デバイス100に対し印刷時に色空間変換で適用するCMYKの入力プロファイル(CMYK→L*a*b*プロファイル)を設定する際に使用するリストボックスである。印刷する画像データの入力色空間がCMYKである場合、設定されたプロファイルに応じて、色変換時に適用されるCMYKの入力プロファイルが切り替わる。SQ225にて、CMYK向けの色合わせプロファイルが保存された場合、本実施形態ではリストボックス814に色合わせプロファイルの名称が追加され、追加された色合わせプロファイルがユーザにとって選択可能な状態となる。なお、CMYKの入力プロファイルは、CMYKシミュレーションプロファイルともいう。
【0084】
「OK」ボタン805及び「OK」ボタン815は、プリンタドライバ154の印刷設定に関する操作が終了し、ユーザによって調整対象デバイス100に対し印刷処理を指示するときに押下されるボタンである。「OK」ボタン805及び「OK」ボタン815がユーザによって押下されると、UI画面801及びUI画面811の表示を終了し、調整対象デバイス100に対し各印刷に関する設定項目が適用され、印刷するための処理が実行される。
【0085】
「キャンセル」ボタン806及び「キャンセル」ボタン816は、ユーザによって調整対象デバイス100の印刷を中止するときに押下されるボタンである。「キャンセル」ボタン806及び「キャンセル」ボタン816がユーザによって押下されると、UI画面801及びUI画面811の表示を終了し、調整対象デバイス100による、印刷するための処理が中止される。
【0086】
なお、リストボックス803、813、804、814に関して、印刷時に適用される設定項目は、背景色がグレーになっているものとする。また、印刷時に適用される設定項目は、ユーザによる設定が終了し、UI画面801及びUI画面811の表示を終了する直前に設定されていた項目であるとする。
【0087】
本実施形態に係るCMYK向けの色合わせプロファイル作成処理前後における、調整対象デバイス100内で色空間変換に適用するプロファイルを設定するUI画面例について、図を用いて説明する。
図9(a)および
図9(b)は、CMYK向けの色合わせプロファイルを設定するためのUI画面を示す図である。
【0088】
図9(a)に示されるUI画面901は、調整対象デバイス100内で色空間変換に適用するCMYK向けの色合わせプロファイルを設定するときにUI104に表示される画面である。UI画面901は、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実施する前の状態を示す画面である。CMYK向けの色合わせプロファイルは、印刷対象の画像データにおけるCMYK色空間の色値(入力色空間のCMYK値)をL
*a
*b
*色空間の色値に変換する色合わせプロファイルである。一方、
図9(b)に示されるUI画面911は、調整対象デバイス100内で色空間変換に適用するCMYK向けの色合わせプロファイルを設定するときにUI104に表示される画面である。UI画面911は、CMYK向けの色合わせプロファイル作成処理を実施した後の状態を示す画面である。
【0089】
UI画面901は、リストボックス902と、「OK」ボタン903と、「キャンセル」ボタン904とを有する。UI画面911は、リストボックス912と、「OK」ボタン913と、「キャンセル」ボタン914とを有する。
【0090】
リストボックス902及びリストボックス912は、ユーザが調整対象デバイス100に対し印刷時の色空間変換に適用するプロファイルを設定する際に使用するリストボックスである。設定されたプロファイルに応じて、色空間変換時に適用されるCMYK向けの色合わせプロファイル(入力プロファイルともいう)が切り替えられる。SQ225にて作成した色合わせプロファイルの設定が行われた場合、リストボックス912に色合わせプロファイルの名称が追加され、追加された色合わせプロファイルがユーザにとって選択可能な状態となる。リストボックス902及びリストボックス912に関して、印刷時に適用される設定項目は、背景色がグレーになっているものとする。
【0091】
「OK」ボタン903及び「OK」ボタン913は、色空間変換時に適用されるCMYKの入力プロファイルの設定が終了し、ユーザによって調整対象デバイス100に対し設定した項目を適用するときに押下されるボタンである。「OK」ボタン903及び「OK」ボタン913がユーザによって押下されると、UI画面901及びUI画面911の表示を終了し、調整対象デバイス100に対し各印刷に関する設定項目が適用される。
【0092】
「キャンセル」ボタン904及び「キャンセル」ボタン914は、ユーザによって色空間変換時に適用されるCMYKの入力プロファイルの設定をキャンセルするときに押下されるボタンである。「キャンセル」ボタン904及び「キャンセル」ボタン914がユーザによって押下されると、UI画面901及びUI画面911の表示を終了し、調整対象デバイス100に対する設定が中止される。そのため、この設定操作が行われる前の各項目の設定が調整対象デバイス100にて維持されることになる。
【0093】
図2の説明に戻る。SQ226では、調整対象デバイス100は、色合わせプロファイル作成処理が終了したことをユーザ201に通知する。
【0094】
SQ230では、ユーザ201は、PC150に対して、ユーザ201が印刷したい画像データを印刷する指示を行う。
【0095】
SQ231では、PC150は、SQ230の印刷指示を受け取ると、ユーザ201が印刷したい画像データを対応するアプリケーションによって展開する。本実施形態では、ユーザ201が印刷したい画像データの入力色空間は、RGBまたはCMYKであるとし、SQ225にて保存された(設定された)プロファイルが使用可能な状態であるとする。なお、本実施形態では、ユーザ201が印刷したい画像データは、TIFFまたはPDFといった形式の画像データであるとする。ユーザ201が印刷したい画像データは、このような形式の画像データに限定されず、ユーザの操作対象であるPC150で動作するアプリケーションによって読み込み(展開)可能な形式の画像データであればよい。
【0096】
SQ232では、PC150のプリンタドライバ154は、SQ231で展開されたユーザが印刷したい画像データとSQ225で保存された色合わせプロファイルを使用するときの設定情報を、ネットワーク101を介して調整対象デバイス100に送信する。
【0097】
SQ233では、調整対象デバイス100は、SQ232にてPC150から受信した設定情報に従ってSQ232にてPC150から受信した画像データに対して色合わせプロファイルを用いた色空間変換処理を実行する。SQ223で作成した色合わせプロファイルが設定され、画像データの入力色空間がCMYKである場合には、SQ223で作成した色合わせプロファイルを用いた色変換処理が行われる。SQ224で作成した色合わせプロファイルが設定され、画像データの入力色空間がRGBである場合には、SQ224で作成した色合わせプロファイルを用いた色変換処理が行われる。そして、調整対象デバイス100は、色空間変換処理後の画像データを用いて画像出力部110で印刷する。
【0098】
SQ234では、SQ233にて実行された画像データの印刷処理が完了すると、調整対象デバイス100は、調整対象デバイス100にて画像データの印刷処理が完了したことをPC150に通知する。
【0099】
SQ235では、PC150は、SQ234にて実行された印刷完了通知を調整対象デバイス100から受信すると、アプリケーションを介して、調整対象デバイス100にて印刷処理が完了したことをユーザ201に通知する。
【0100】
以上が本実施形態に係る画像形成システムによる色合わせプロファイル作成処理の全体の流れに関する説明である。
【0101】
(色合わせプロファイル作成処理)
本実施形態に係る色合わせプロファイル作成処理について、図を用いて説明する。
図10は、目標デバイスの色合わせプロファイル作成処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示される処理は、調整対象デバイス100がユーザによる色合わせプロファイル作成処理を実行する指示を受けた場合に実行される処理である。このとき、調整対象デバイス100の処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。なお、処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107に一時的に記憶される。以下の説明において記号「S」は、ステップを表す。
【0102】
まず、S1001では、装置制御部102は、目標デバイス130によって印刷された色特性チャートを画像読取部108でスキャンしてスキャン画像データを取得する。取得した色特性チャートのスキャン画像データは、目標デバイス130の色特性の確認に用いられる。なお、S1001の処理は、
図2のSQ221にて行われる処理に対応する。
【0103】
S1002では、装置制御部102は、S1001の処理で得たスキャン画像データに対し、特徴を検出する色特性チャートの特徴検出処理を実行する。検出する特徴は、表1に示されるような特徴であり、色特性チャートの入力色空間がRGBであるかまたはCMYKであるかを判定するために用いられる。本実施形態では、特徴として、スキャン処理で読み取った色特性チャートの枚数、色特性チャートの1枚あたりのパッチ数、色特性チャートの全ページのパッチ数が検出される。そして、装置制御部102は、検出した特徴を用いて、スキャン画像データを、RGB色空間の色特性チャート、CMYK色空間の色特性チャート、またはそれ以外の色特性チャートに分類して特定する。なお、本実施形態に係る色特性チャートの特徴検出処理の詳細については、図を用いて後述する。S1002の処理は、
図2のSQ222にて行われる処理に対応する。
【0104】
S1003では、装置制御部102は、S1002にてRGB色空間の特徴またはCMYK色空間の特徴を検出できたか否かを判定する。RGB色空間の特徴またはCMYK色空間の特徴を検出できたとの判定結果を得た場合(S1003のYES)、処理がS1005に移行される。他方、RGB色空間の特徴およびCMYK色空間の特徴を検出できなかったとの判定結果を得た場合、つまり、対象でない特徴を検出したとの判定結果を得た場合(S1003のNO)、処理がS1004に移行される。
【0105】
S1004では、装置制御部102は、色特性チャートを再度スキャンするようユーザに指示する(報知する)。具体的には、装置制御部102は、目標デバイス130で印刷された色特性チャートを例えば不図示のADFなどの所定の場所に載置するようユーザに指示する(報知する)UI画面をUI104に表示する。装置制御部102は、例えば、
図5(b)に示されるUI画面511をUI104に表示する。
【0106】
S1005では、装置制御部102は、S1003にて検出した色特性チャートの特徴がCMYK用色特性チャートの特徴(CMYK色空間の特徴)であるか否かを判定する。S1003にて検出した色特性チャートの特徴がCMYK用色特性チャートの特徴ではないとの判定結果を得た場合(S1005のNO)、処理がS1009に移行される。他方、S1003にて検出した色特性チャートの特徴がCMYK用色特性チャートの特徴であるとの判定結果を得た場合(S1005のYES)、処理がS1006に移行される。
【0107】
S1006では、装置制御部102は、S1001にて取得した色特性チャートのスキャン画像データから色特性チャートのパッチ単位でCMYK用の色合わせプロファイルを作成するための色特性チャートのRGB信号値を取得する。そして、CMYK用の色合わせプロファイルを作成するために必要なデータの順番への並び替えも行われるものとする。本実施形態では、データの並び替えは、スキャン画像データのパッチ配置の特徴を基にどのパッチであるかが対応付けられるものとするが、これに限定されない。データの順番を並び替えられる方法であればどのような方法でもよい。
【0108】
S1007では、装置制御部102は、S1006にて取得したRGB信号値をL*a*b*値に変換する。本実施形態では、RGB信号値からL*a*b*値への変換は、以下のように行われる。本実施形態では、入力値のRGB値と入力値のRGB値に対応した出力値のL*a*b*値との関係を表す三次元テーブルの3D-LUT(Look Up Table)を用いた補間演算を実行することで、入力のRGB値が出力のL*a*b*値に変換される。これにより、目標デバイス130にて色特性チャートを印刷したときに表現する目標デバイス130の色特性を示すL*a*b*値のデータ群を得ることができる。なお、3D-LUTは、調整対象デバイス100に予め保持されているとする。3D-LUTは、三次元のルックアップテーブルともいう。
【0109】
S1008では、装置制御部102は、S1007にて変換されたCMYKの色特性チャートのL
*a
*b
*値を用いて、CMYK色空間の信号値をL
*a
*b
*値に変換するCMYK向けの色合わせプロファイル(CMYK→L
*a
*b
*)を作成する。すなわち、装置制御部102は、目標デバイス130の色特性を再現する色変換パラメータとして、印刷対象の画像データにおけるCMYK色空間の色値をL
*a
*b
*色空間の色値に変換する色合わせプロファイルを作成する。本実施形態では、CMYKのパッチの信号値は、C、M、Y、Kのそれぞれを8bitで表現し、信号値の間隔が32となる信号値であるため、入力の信号値の間隔に対応した出力値のL
*a
*b
*を表す4D-LUTとなる。4D-LUTを色空間変換時に適用するためのプロファイルのフォーマットに合わせて変換することで色合わせプロファイル(CMYK→L
*a
*b
*)が完成する。なお、S1008の処理は、
図2のSQ223にて行われる処理に対応する。4D-LUTは、四次元のルックアップテーブルともいう。
【0110】
S1009では、装置制御部102は、S1003にて検出した色特性チャートの特徴がRGB用色特性チャートの特徴(RGB色空間の特徴)であるか否かを判定する。S1003にて検出した色特性チャートの特徴がRGB用色特性チャートの特徴ではないとの判定結果を得た場合(S1009のNO)、処理がS1013に移行される。他方、S1003にて検出した色特性チャートの特徴がRGB用色特性チャートの特徴であるとの判定結果を得た場合(S1009のYES)、処理がS1010に移行される。
【0111】
S1010では、装置制御部102は、S1001にて取得した色特性チャートのスキャン画像データから色特性チャートのパッチ単位でRGB用の色合わせプロファイルを作成するための色特性チャートのRGB信号値を取得する。そして、RGB用の色合わせプロファイルを作成するために必要なデータの順番への並び替えも行われるものとする。S1010にて行われるデータの並び替えは、S1006と同様であり、その説明を省略する。
【0112】
S1011では、装置制御部102は、S1010にて取得したRGB信号値をL*a*b*値に変換する。なお、S1011にて実行される変換処理は、S1007と同様であり、その説明を省略する。
【0113】
S1012では、装置制御部102は、S1011にて変換されたRGBの色特性チャートのL
*a
*b
*値を用いて、RGB色空間の信号値をL
*a
*b
*値に変換するRGB向けの色合わせプロファイル(sRGB→L
*a
*b
*)を作成する。すなわち、装置制御部102は、目標デバイス130の色特性を再現する色変換パラメータとして、印刷対象の画像データにおけるRGB色空間の色値をL
*a
*b
*色空間の色値に変換する色合わせプロファイルを作成する。本実施形態では、RGBのパッチの信号値は、R、G、Bのそれぞれを8bitで表現し、信号値の間隔が32となる信号値であるため、入力の信号値の間隔に対応した出力値のL
*a
*b
*を表す3D-LUTとなる。3D-LUTを色空間変換時に適用するためのプロファイルのフォーマットに合わせて変換することで色合わせプロファイル(sRGB→L
*a
*b
*)が完成する。なお、S1012の処理は、
図2のSQ224にて行われる処理に対応する。
【0114】
S1013では、装置制御部102は、S1008またはS1012にて作成された色合わせプロファイルを調整対象デバイス100の記憶部107に記憶し、ユーザが調整対象デバイス100にて使用可能な状態に設定する。なお、S1013の処理は、
図2のSQ225にて行われる処理に対応する。
【0115】
以上が、本実施形態に係る色合わせプロファイル作成処理の流れに関する説明となる。
【0116】
(色特性チャートの特徴検出処理)
上述したS1002の処理である色特性チャートの特徴検出処理の詳細について、図を用いて説明する。
図11は、色特性チャートの特徴検出処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示される処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。なお、処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107に一時的に記憶される。
図11に示される処理では、表1に示される、色特性チャートの合計枚数および色特性チャート全ページのパッチ数の判定結果を基に、色特性チャートの入力色空間がRGBまたはCMYKであるか、特徴検出が不可であるかが判定される。
【0117】
まず、S1101では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像のうち、1枚の色特性チャートに対応するスキャン画像から、色特性チャートのパッチ領域を示す領域情報を検出する。パッチ領域検出処理は、1枚の色特性チャートに対応するスキャン画像の全領域から複数のパッチそれぞれの領域情報を検出することで、各パッチの座標位置を検出する処理である。なお、パッチ領域検出処理では、パッチの個数などが導出される。パッチ領域検出処理の詳細については、図を用いて後述する。
【0118】
S1102では、装置制御部102は、スキャンした原稿を全て処理したか否かを判定する。すなわち、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得た全てのスキャン画像に対してS1101のパッチ領域検出処理を実行したか否かを判定する。未処理のスキャン画像があり、全てのスキャン画像に対してパッチ領域検出処理を実行していないとの判定結果を得た場合(S1102のNO)、処理がS1101に戻され、S1101の処理が繰り返し実行される。他方、未処理のスキャン画像がなく、全てのスキャン画像に対してパッチ領域検出処理を実行したとの判定結果を得た場合(S1102のYES)、処理がS1103に移行される。
【0119】
S1103では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像が、RGB向けの色合わせプロファイルの作成に必要な色特性チャートの合計枚数相当であるか否かを判定する。すなわち、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像が色特性チャートの1枚相当であるか否かを判定する。スキャン画像が色特性チャートの1枚相当であるとの判定結果を得た場合(S1103のYES)、処理がS1104に移行される。他方、スキャン画像が色特性チャートの1枚相当ではないとの判定結果を得た場合(S1103のNO)、処理がS1106に移行される。
【0120】
S1104では、装置制御部102は、S1101の処理で導出した、全ページのパッチ数が、RGB向けの色合わせプロファイルの作成に必要な全ページのパッチ数であるか否かを判定する。すなわち、装置制御部102は、S1101の処理で導出した、全ページのパッチ数が736個であるか否かを判定する。全ページのパッチ数が736個であるとの判定結果を得た場合(S1104のYES)、処理がS1105に移行される。他方、全ページのパッチ数が736個ではないとの判定結果を得た場合(S1104のNO)、処理がS1107に移行される。
【0121】
S1105では、装置制御部102は、スキャン画像の入力色空間はRGBであると判定し、
図11に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。
【0122】
S1106では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像が、CMYK向けの色合わせプロファイルの作成に必要な色特性チャートの合計枚数相当であるか否かを判定する。すなわち、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像が色特性チャートの8枚相当であるか否かを判定する。スキャン画像が色特性チャートの8枚相当であるとの判定結果を得た場合(S1106のYES)、処理がS1108に移行される。他方、スキャン画像が色特性チャートの8枚相当ではないとの判定結果を得た場合(S1106のNO)、処理がS1107に移行される。
【0123】
S1107では、装置制御部102は、スキャン画像の特徴検出は失敗したと判定し、
図11に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。
【0124】
S1108では、装置制御部102は、S1101の処理で導出した、全ページのパッチ数が、CMYK向けの色合わせプロファイルの作成に必要な全ページのパッチ数であるか否かを判定する。すなわち、装置制御部102は、S1101の処理で導出した、全ページのパッチ数が6600個であるか否かを判定する。全ページのパッチ数が6600個であるとの判定結果を得た場合(S1108のYES)、処理がS1109に移行される。他方、全ページのパッチ数が6600個ではないとの判定結果を得た場合(S1108のNO)、処理がS1107に移行される。
【0125】
S1109では、装置制御部102は、スキャン画像の入力色空間はCMYKであると判定し、
図11に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。
【0126】
以上が、本実施形態に係る特徴検出処理の流れに関する説明となる。なお、
図11に示す特徴検出処理では、色特性チャートの合計枚数および色特性チャート全ページのパッチ数の両方の判定結果を基に色特性チャートの入力色空間がRGBまたはCMYKであるか、または特徴検出の失敗かを特定したが、これに限定されない。色特性チャートの合計枚数の判定結果または色特性チャート全ページのパッチ数の判定結果を基に色特性チャートの入力色空間を特定してもよい。また、上述の表1に示す項目など、RGBおよびCMYKの色特性チャートにて特徴が異なる項目についての判定結果を基に色特性チャートの入力色空間を特定してもよい。
【0127】
(色特性チャートのパッチ領域検出処理)
上述したS1101の処理である色特性チャートのパッチ領域検出処理の詳細について、図を用いて説明する。
図12は、複数のパッチそれぞれの領域を示す領域情報を検出する色特性チャートのパッチ領域検出処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示される処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。なお、処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107に一時的に記憶される。
【0128】
まず、S1201では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像に対してフィルタ処理(スキャン画像データのフィルタ処理)を実行する。フィルタ処理は、調整対象デバイスで印刷された色特性チャートで構成される網点がなくなるようなスムージングフィルタを用いたフィルタ処理である。このフィルタ処理を実行することにより、同一のパッチについての複数の測色値が同一の値となり、網点に影響されることなく隣接するパッチ間の各RGB値の差分を確認することが可能となる。
【0129】
S1202では、装置制御部102は、S1201で得たフィルタ処理後のスキャン画像データを用いて、複数のパッチそれぞれについての複数の測色値から色特性チャートにおいて上下方向の端部となる上下端部の座標を検出するエッジ検出処理を実行する。本実施形態における色特性チャートの上下端部となるエッジの座標を検出する方法について図を用いて説明する。
図13は、色特性チャートのエッジ座標を検出する方法を説明する図である。
図13に示される色特性チャートは、
図3に示される色特性チャートと同様の構成となっており、
図13ではx軸方向を左右方向、y軸方向を上下方向と定義する。S1202では、上下端部の座標として、
図13のy1、y2、y3、y4の4つの座標を検出する。上下端部の座標を検出する場合、y軸方向にてエッジ検出処理を実行する。S1202のエッジ検出処理では、注目座標の信号値(各RGB値)とその近傍座標の信号値(各RGB値)との差分を算出し、この算出で得た差分値が予め決められた所定値以上となる場合に、注目座標が上下端部のいずれかの座標として検出される。
【0130】
S1203では、装置制御部102は、S1201で得たフィルタ処理後のスキャン画像データを用いて、複数のパッチそれぞれについての複数の測色値から色特性チャートにおいて左右方向の端部となる左右端部の座標を検出するエッジ検出処理を実行する。S1203では、左右端部の座標として、
図13のx1、x2、x3、x4の4つの座標を検出する。左右端部の座標を検出する場合、x軸方向にてエッジ検出処理を実行する。S1203のエッジ検出処理では、注目座標の信号値(各RGB値)とその近傍座標の信号値(各RGB値)との差分を算出し、この算出で得た差分値が予め決められた所定値以上となる場合に、注目座標が左右端部のいずれかの座標として検出される。
【0131】
ここで、左右端部の座標の検出方法の詳細について図を用いて説明する。
図14は、左右端部の座標の検出例を示す図である。エッジ検出用のデータ1400は、
図14に示すように、x座標1401と、y座標1402と、信号値(RGB値)1403と、差分値1404とを有する。差分値1404は、該当する座標での信号値1403と、該当する座標の1つ前で隣接する座標での信号値1403との差分を算出することで得られた値である。x座標1401が100から107までは信号値1403が255であり、x座標1401が108にて信号値1403が128に変わることから、x座標1401が108での差分値1404として、128と255の差分である-127が算出される。
【0132】
本実施形態では、注目座標の信号値とその近傍座標の信号値との差分値を基にエッジの座標を検出したが、この手法に限定されない。エッジの座標を検出できればどのような手法でもかまわない。
【0133】
S1204では、装置制御部102は、S1202及びS1203の処理で得た上下左右の端部の座標を用いて、色特性チャートの頂点座標を算出する処理を実行する。S1204では、色特性チャートの頂点の座標として、
図13のe1、e2、e3、e4の4つの座標を算出するものとする。S1204の処理では、座標y1および座標y2を通る直線と、座標x1および座標x2を通る直線との交点座標が、色特性チャートの頂点座標e1として算出される。同様の方法で、座標y3および座標y4を通る直線と、座標x1および座標x2を通る直線との交点座標が、色特性チャートの頂点座標e2として算出される。座標y1および座標y2を通る直線と、座標x3および座標x4を通る直線との交点座標が、色特性チャートの頂点座標e3として算出される。座標y3および座標y4を通る直線と、座標x3および座標x4を通る直線との交点座標が、色特性チャートの頂点座標e4として算出される。
【0134】
S1205では、装置制御部102は、S1201の処理で得たフィルタ処理後のスキャン画像データを用いて、色特性チャート領域内で上下方向であるy軸方向にて信号値を抽出し、抽出した信号値を用いて一次微分信号値を算出する。本実施形態における一次微分信号値の算出方法について図を用いて説明する。
図15は、色特性チャートのパッチのエッジ座標を検出する方法を説明する図である。
図15に示される色特性チャートは、
図3に示される色特性チャートと同様の構成となっており、
図15ではx軸方向を左右方向、y軸方向を上下方向と定義する。S1205にて算出する一次微分信号は、
図15に示す矢印1501のようにy方向にて、上から下へ抽出信号を一次微分することで算出される信号値である。一次微分信号値の変化量はパッチのエッジ付近で大きくなるため、S1205の処理で得た一次微分信号値を参照することで、上下方向にてパッチのエッジ座標を検出することが可能となる。
【0135】
S1206では、装置制御部102は、S1201の処理で得たフィルタ処理後のスキャン画像データを用いて、色特性チャート領域内で左右方向であるx軸方向にて信号値を抽出し、抽出した信号値を用いて一次微分信号値を算出する。S1206にて算出する一次微分信号は、
図15に示す矢印1502のようにx方向にて、左から右へ抽出信号を一次微分することで算出される信号値である。一次微分信号値の変化量はパッチのエッジ付近で大きくなるため、S1206の処理で得た一次微分信号値を参照することで、左右方向にてパッチのエッジ座標を検出することが可能となる。
【0136】
S1207では、装置制御部102は、S1205及びS1206の処理で得た一次微分信号値を用いて信号値の周期成分を抽出する。本実施形態における信号値の周期成分の抽出処理では、S1205及びS1206の処理で得た一次微分信号値に対して自己相関解析を行い、自己相関係数データを算出する。自己相関係数データは、以下の(1)式に示す自己相関関数Rx(τ)用いて算出する。
【0137】
【0138】
(1)式では、xは一次微分信号値、Nは一次微分信号値の個数、τはずれ量を示している。
【0139】
続いて、(1)式で算出した自己相関関数Rx(τ)を用いて、以下の(2)式に示す自己相関係数データφx(τ)を算出する。
【0140】
【0141】
自己相関解析によって、信号がその信号のずれ量τシフトした信号との整合性を確認することができ、自己相関係数データの中で、相関係数が大きい値となるτは、信号が持つ周期性を示している。つまり、自己相関係数データφx(τ)の中で相関係数が大きくなるずれ量τを抽出することで、パッチの大きさを含んだ周期成分を抽出することが可能となる。そのため、自己相関係数データφx(τ)の中で、予め決められた閾値を超えていた局所的な最大値となるずれ量τを抽出する。なお、Rx(0)が0となる場合、自己相関係数データを算出できないため、自己相関係数データφxを0とする。また、本実施形態では、予め決められた閾値は、統計的に相関性があると判断できる0.3であるとするが、これに限定されるものではなく、例えばユーザが任意に設定できる所定値であるとしてもよい。
【0142】
S1208では、装置制御部102は、S1207にて抽出された信号値の周期成分を用いて、x軸方向及びy軸方向のパッチの大きさを算出する。本実施形態では、パッチの大きさとして、S1207にて抽出された信号値の周期成分の中で、整数倍したときの値が周期成分に含まれているものが算出される。これは、周期成分となる自己相関係数データがパッチの大きさの整数倍毎に大きくなるためである。
【0143】
ここで、パッチの大きさ(長さ)を算出する処理について図を用いて説明する。
図16は、一次微分信号値および自己相関係数データ例を示す図であり、パッチの長さを算出する処理例を説明する図である。パッチの長さの算出データ1600は、x座標1601、y座標1602、信号値1603、一次微分信号値1604、ずれ量(τ)1605、自己相関係数データφ(τ)1606を有する。1微分信号値および自己相関係数データφ(τ)については、上述しておりその説明を省略する。ずれ量(τ)1605が8、16、24それぞれにて自己相関係数データφ(τ)1606が0.6、0.5、0.4となる。ずれ量(τ)1605が1から7、9から15、17から23、25から31にて自己相関係数データφ(τ)1606が0となる。
【0144】
S1209では、装置制御部102は、S1204の処理で得た色特性チャートの頂点座標と、S1208の処理で得たx軸方向及びy軸方向のパッチの大きさとを用いて、パッチの数を算出する。具体的には、まず、色特性チャートの頂点座標(
図13では、頂点座標e1、e2、e3、e4)を用いて、チャート領域の面積を算出する。次に、x軸方向及びy軸方向のパッチの大きさを用いて、パッチの面積を算出する。チャート領域の面積をパッチの面積で除算することによって、チャート領域内のパッチ数を算出する。
【0145】
S1210では、装置制御部102は、S1204の処理で得た色特性チャートの頂点座標と、S1208の処理で得たパッチの大きさとを用いて、各パッチの中心座標を算出する。
【0146】
以上が、本実施形態に係る色特性チャートのパッチ領域検出処理の流れに関する説明となる。なお、パッチ領域検出処理は、
図12に示される処理に限定されず、色特性チャートのチャート領域、パッチの数およびパッチの大きさを算出できる手法であればよい。
【0147】
以上が、本実施形態に係る調整対象デバイス(画像処理装置)100による色合わせプロファイル作成処理の流れである。
【0148】
以上説明した通り、本実施形態によれば、目標デバイス130で印刷した色特性チャートの測色結果から検出した色特性チャートの特徴を基に、色特性チャートの入力色空間を特定する(判別する)。これにより、特定した入力色空間に応じた色合わせプロファイルを適切に作り分けることが可能となる。
【0149】
目標デバイス130で印刷したsRGB色空間の色特性チャートを測色して得た測定値を基に、色合わせプロファイル(sRGB→L*a*b*)を作成することができる。また、CMYK色空間の色特性チャートを印刷し、測色して得た測定値を基に色合わせプロファイル(CMYK→L*a*b*)を作成することができる。これにより、CMYK色空間で入力された画像データに対して、作成された色合わせプロファイルを適用することで、くすまない画像を印刷することが可能となる。
【0150】
[実施形態2]
本実施形態では、色特性チャートのパッチ配列パターンを基に色特性チャートの特徴を検出して色特性チャートの入力色空間を特定する態様について説明する。なお、パッチ配列パターンは、パッチの配置パターンともいう。
【0151】
以下、本実施形態について、前述の実施形態1と異なる部分について説明する。
【0152】
本実施形態に係る色特性チャートの特徴検出処理の詳細について、図を用いて説明する。
図17は、本実施形態に係る色特性チャートの特徴検出処理の流れを示すフローチャートである。
図17に示される処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。なお、処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107に一時的に記憶される。
【0153】
まず、S1701では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像のうち、1枚の色特性チャートに対応するスキャン画像に対し、色特性チャートのパッチの領域に対応するパッチ領域を検出する処理を実行する。パッチ領域検出処理の詳細は、実施形態1のS1101の処理と同様のため、説明を省略する。なお、パッチ領域検出処理では、各パッチの中心座標などが導出される。
【0154】
S1702では、装置制御部102は、S1701の処理で得た各パッチの中心座標を用いて、スキャン画像から色特性チャートの各パッチの信号値(RGB値)を取得する。
【0155】
S1703では、装置制御部102は、S1702の処理で得た信号値を用いて、各パッチの色相を算出する。本実施形態における色相の算出処理では、まずS1007と同様に入力の信号値であるRGB値をL*a*b*値に変換し、a*b*平面上で第1象限、第2象限、第3象限、第4象限の4つの象限に区切り、どの象限に属しているのかを計算する。L*a*b*色空間では、a*b*は色相と彩度を示す色度であるため、a*b*を用いることで各パッチの色値を4つの象限に分類することができる。
【0156】
S1704では、装置制御部102は、記憶部107に記憶されているRGB用色特性チャートのパッチ配列パターン情報を呼び出す。なお、RGB用色特性チャートのパッチ配列パターン情報は、スキャン画像データがRGB用の色特性チャートであるかを判定するために用いられる。
【0157】
S1705では、装置制御部102は、RGB用色特性チャートのパッチ配列パターンを用いて、スキャン画像のページ判定を実行する。具体的には、装置制御部102は、S1704で呼び出したRGB用色特性チャートのパッチ配列パターン情報を基に求めた象限とS1703で算出した象限をパッチ毎に比較する。そして、同一象限となるパッチの数が予め決められた閾値以上である場合、装置制御部102は、スキャン画像がRGB用の色特性チャートであると判定する。他方、同一象限となるパッチの数が予め決められた閾値未満である場合、装置制御部102は、スキャン画像がRGB用の色特性チャートではないと判定する。
【0158】
ここで、S1705のRGB用の色特性チャートの判定処理について、具体的に説明する。表4は、色特性チャートのスキャン画像と呼び出したRGB用の色特性チャートについて、L*a*b*値および象限をパッチ単位で比較した例を示す表である。表4に示すようにL*a*b*値を基に象限に分類し、同一象限となるパッチの個数をカウントし、カウント値と閾値との比較結果を用いて、対象のスキャン画像がRGB用の色特性チャートのパッチ配列パターンに該当するか否かを確認することができる。この閾値は、同一の配列パターンであると決定するために用いられる値である。閾値は、例えば全パッチ数の半分となる値であり、この閾値を超えた場合に、色特性チャートのスキャン画像と呼び出したRGB用の色特性チャートとが同一の配列パターンであると決定される。それは、プロファイルや色設定を含めた目標デバイスで再現する色特性チャートの色値が変化する場合、スキャナの面内ムラなどによる測色精度に影響がある場合、a*b*値が0に近いことで象限が変わる場合などの分類のバラつきを考慮するためである。異なる配列パターンである場合、一致する象限の数も減るため、配列パターンを判別することができる。また、上述のS1704の処理で読み出し可能に、RGB用色特性チャートの読み取り向きを90度または180度変えた場合に対応したRGB用色特性チャートのパッチ配列パターンを用意してもよい。このように読み取り向きを変えた場合に対応したRGB用色特性チャートのパッチ配列パターンを用意することで、スキャンするRGB用色特性チャートの向きの変化にも対応することが可能となる。
【0159】
本実施形態に係るRGB向けの色特性チャートの判定処理では、同一象限となるパッチ数をカウントし、カウント値が、全パッチ数の半分となる368個以上である場合に、RGB用の色特性チャートであると判定する。表4の例では、スキャン画像及び配列パターンの象限に関し、2番目のパッチで何れも第2象限で同一であり、N番目のパッチで何れも第1象限で同一であることから、2番目およびN番目のパッチが、同一象限となるパッチの個数としてカウントされる。
【0160】
【0161】
S1706では、装置制御部102は、スキャン画像データがRGB用の色特性チャートに対応したパッチ配列パターンであるか否かを判定する。具体的には、S1705の処理で得た判定結果がRGB用の色特性チャートである場合(S1706のYES)、処理がS1707に移行される。他方、S1705の処理で得た判定結果がRGB用の色特性チャートではない場合(S1706のNO)、処理がS1711に移行される。
【0162】
S1707では、装置制御部102は、S1705にて判定されたRGB用の色特性チャートの該当ページの読み取りフラグを読み取り済みと設定する。フラグは、1bitで表現される変数であり、本実施形態における読み取りフラグでは、該当するページを読み取りした状態を真(読み取り済み)、読み取っていない状態を偽とする。これにより、RGBまたはCMYK用の色特性チャートの読み取りフラグを確認し、読み取りフラグの全てが読み取り済みであると、RGBまたはCMYK用の色合わせプロファイルを作成するための色特性チャートを全て読み取ったと判定することが可能となる。
【0163】
S1708では、装置制御部102は、S1707にて設定されたRGB用の色特性チャートの読み取りフラグが全てのページにて読み取り済みか否かを確認する。RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されている場合(S1708のYES)、処理がS1709に移行される。他方、RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されていない場合(S1708のNO)、処理がS1711に移行される。
【0164】
S1709では、装置制御部102は、スキャン画像に対応する色特性チャートの入力色空間はRGBであると判定する。
【0165】
S1710では、装置制御部102は、S1001の処理で得たスキャン画像データを全て処理したか否かを判定する。全てのスキャン画像データを処理していないとの判定結果を得た場合(S1710のNO)、処理がS1701に戻され、未処理のスキャン画像に対してS1701以降の一連の処理が実行される。そのため、全てのページ対して処理が実行されるまで、S1701以降の一連の処理が繰り返される。他方、全てのスキャン画像データを処理したとの判定結果を得た場合(S1710のYES)、処理がS1717に移行される。
【0166】
S1711では、装置制御部102は、記憶部107に記憶されているCMYK用色特性チャートのパッチ配列パターン情報を呼び出す。なお、CMYK用色特性チャートのパッチ配列パターン情報は、スキャン画像データがCMYK用色特性チャートであるかを判定するために用いられる。
【0167】
S1712では、装置制御部102は、CMYK用色特性チャートのパッチ配列パターンを用いて、スキャン画像のページ判定を実行する。具体的には、装置制御部102は、S1711で呼び出したCMYK用色特性チャートのパッチ配列パターン情報を基に求めた象限とS1703で算出した象限をパッチ毎に比較する。そして、同一象限となるパッチの数が予め決められた閾値以上である場合、装置制御部102は、スキャン画像がCMYK用の色特性チャートであると判定する。他方、同一象限となるパッチの数が予め決められた閾値未満である場合、装置制御部102は、スキャン画像がCMYK用の色特性チャートではないと判定する。象限の演算方法に関しては、S1705のRGB用の色特性チャートの場合と同様のため、説明は省略する。本実施形態に係るCMYK向けの色特性チャートの判定処理では、同一象限となるパッチ数をカウントし、カウント値が、全パッチ数の半分となる412個以上である場合に、CMYK用の色特性チャートであると判定する。
【0168】
S1713では、装置制御部102は、スキャン画像データがCMYK用の色特性チャートに対応したパッチ配列パターンであるか否かを判定する。具体的には、S1712の処理で得た判定結果がCMYK用の色特性チャートである場合(S1713のYES)、処理がS1714に移行される。他方、S1712の処理で得た判定結果がCMYK用の色特性チャートではない場合(S1713のNO)、処理がS1710に移行される。
【0169】
S1714では、装置制御部102は、S1712にて判定されたCMYK用の色特性チャートの該当ページの読み取りフラグを読み取り済みと設定する。CMYK用の色特性チャートの読み取りフラグは、RGB用の色特性チャートの読み取りフラグと同じであり、その説明を省略する。
【0170】
S1715では、装置制御部102は、S1714にて設定されたCMYK用の色特性チャートの読み取りフラグが全てのページにて読み取り済みか否かを確認する。CMYK用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されている場合(S1715のYES)、処理がS1716に移行される。他方、CMYK用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されていない場合(S1715のNO)、処理がS1710に移行される。
【0171】
S1716では、装置制御部102は、スキャン画像に対応する色特性チャートの入力色空間はCMYKであると判定する。
【0172】
S1717では、装置制御部102は、S1709またはS1716の入力色空間の判定結果のいずれかを得られたかを確認する。S1709またはS1716の入力色空間の判定結果のいずれかを得られた場合(S1717のYES)、特徴検出結果に応じた色合わせプロファイル作成処理が可能となるため、
図17に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。他方、S1709またはS1716の入力色空間の判定結果のいずれも得られていない場合(S1717のNO)、処理がS1718に移行される。
【0173】
S1718では、装置制御部102は、特徴検出は失敗したと判定し、
図17に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。
【0174】
以上が、本実施形態に係る画像処理装置(調整対象デバイス)100による特徴検出処理の流れに関する説明となる。
【0175】
以上説明した通り、本実施形態によれば、色特性チャートのパッチ配列パターンを用いた、特徴検出処理を行い、特徴検出結果を基に色特性チャートの入力色空間を特定する(判別する)。これにより、特定した入力色空間に応じた色合わせプロファイルを適切に作り分けることが可能となる。
【0176】
なお、特徴検出処理に関し、パッチの配列パターンとの色相の象限を比較することで色特性チャートの入力色空間を特定(判別)する手法について説明したが、色特性チャートの入力色空間を特定できる手法であれば、どのような手法でも構わない。
【0177】
なお、上記では、RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されていない場合(S1708のNO)、処理がS1711に移行する態様について説明したが、これに限定されない。例えば、RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されていない場合(S1708のNO)、処理がS1710に移行してもよい。
【0178】
[実施形態3]
本実施形態では、色特性チャートのパッチ領域外に形成された判別コードを基に色特性チャートの特徴を検出して色特性チャートの入力色空間を特定する態様について説明する。なお、判別コードは、入力色空間を識別するための識別コードともいう。
【0179】
以下、本実施形態について、前述の実施形態1と異なる部分について説明する。
【0180】
本実施形態に係る色特性チャートの構成例について図を用いて説明する。
図18は、目標デバイスの色特性を確認するために印刷する色特性チャートの構成例を示す図である。
図18に示すように、色特性チャート1801は、判別用文字列1802と、パッチ領域1803とを有する。判別用文字列1802は、色特性チャートの入力色空間がRGBまたはCMYKであるかと、色特性チャートのページ数とを判別する(分類する)ための判別コードを表す特定の文字列を含む。色特性チャート1801の判別用文字列1802を読み取ることで、色特性チャートの入力色空間と色特性チャートのページ数とを判別する(分類する)ことができる。
【0181】
判別用文字列1802は、例えば、入力色空間がRGBである色特性チャートの場合には判別用文字列1802として「RGB」を含み、入力色空間がCMYKの色特性チャートの場合は、判別用文字列1802として「CMYK」を含むものとする。CMYKの色特性チャートのように複数ページある場合、判別用文字列1802は、例えば、ページ数の判別として、「Nページ(Nは整数)」を含んでもよい。
【0182】
文字列を判別する方法として、例えば、画像データに対して文字認識処理であるOCR(Optical Character Recognition)を実行し、認識した文字列の中に判別用文字列と一致する文字列を検出する方法を用いてもよい。
【0183】
次に、本実施形態に係る色特性チャートの特徴検出処理の詳細について、図を用いて説明する。
図19は、本実施形態に係る色特性チャートの特徴検出処理の流れを示すフローチャートである。
図19に示される処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。なお、処理中に作成されたデータは、RAM106または記憶部107にて一時的に記憶される。
【0184】
まず、S1901では、装置制御部102は、S1001のスキャン処理で得たスキャン画像のうち、1枚の色特性チャートに対応するスキャン画像に対し、色特性チャートのパッチの領域に対応するパッチ領域を検出する処理を実行する。パッチ領域検出処理の詳細は、実施形態1のS1101の処理と同様のため、説明を省略する。
【0185】
S1902では、装置制御部102は、S1001の処理で得た、1枚の色特性チャートに対応するスキャン画像(画像データ)に対して判別コードを検出する処理を実行する。判別コード検出処理では、スキャン画像に対しOCRを実行して認識した文字列の中から判別コードを検出する処理が行われる。
【0186】
S1903では、装置制御部102は、RGBに対応した判別コードを検出したか否かを判定する。具体的には、装置制御部102は、S1902の処理で認識した文字列の中にRGBのいずれかのページの判別コードが含まれているか否かを判定する。RGBのいずれかのページの判別コードが含まれているとの判定結果を得た場合(S1903のYES)、処理がS1904に移行される。他方、RGBのいずれかのページの判別コードが含まれていないとの判定結果を得た場合(S1903のNO)、処理がS1907に移行される。
【0187】
S1904では、装置制御部102は、S1903にて判定されたRGB用の色特性チャートの該当ページの読み取りフラグを読み取り済みと設定する。読み取りフラグは、上述の実施形態2の場合と同じであり、その説明を省略する。
【0188】
S1905では、装置制御部102は、S1904にて設定されたRGB用の色特性チャートの読み取りフラグが全てのページにて読み取り済みか否かを確認する。RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されている場合(S1905のYES)、処理がS1906に移行される。他方、RGB用の色特性チャートの全てのページの読み取りフラグが読み取り済みに設定されていない場合(S1905のNO)、処理がS1911に移行される。
【0189】
S1906では、装置制御部102は、スキャン画像に対応する色特性チャートの入力色空間はRGBであると判定する。
【0190】
S1907では、装置制御部102は、CMYKに対応した判別コードを検出したか否かを判定する。具体的には、装置制御部102は、S1902の処理で認識した文字列の中にCMYKのいずれかのページの判別コードが含まれているか否かを判定する。CMYKのいずれかのページの判別コードが含まれているとの判定結果を得た場合(S1907のYES)、処理がS1908に移行される。他方、CMYKのいずれかのページの判別コードが含まれていないとの判定結果を得た場合(S1907のNO)、処理がS1911に移行される。
【0191】
S1908では、装置制御部102は、S1907にて判定されたCMYK用の色特性チャートの該当ページの読み取りフラグを読み取り済みと設定する。
【0192】
S1909では、装置制御部102は、S1908にて設定されたCMYK用の色特性チャートの読み取りフラグが全てのページにて読み取り済みかを確認する。CMYK用の色特性チャートの全てのページが読み取り済みに設定されている場合(S1909のYES)、処理がS1910に移行される。他方、CMYK用の色特性チャートの全てのページが読み取り済みに設定されていない場合(S1909のNO)、処理がS1911に移行される。
【0193】
S1910では、装置制御部102は、スキャン画像に対応する色特性チャートの入力色空間はCMYKであると判定する。
【0194】
S1911では、装置制御部102は、S1001の処理で得たスキャン画像データを全て処理したか否かを判定する。全ての画像データを処理していないとの判定結果を得た場合(S1911のNO)、処理がS1901に戻され、未処理のスキャン画像に対してS1901以降の一連の処理が実行される。そのため、全てのページに対して処理が実行されるまでS1901以降の一連の処理が繰り返される。他方、全てのスキャン画像データを処理したとの判定結果を得た場合(S1911のYES)、処理がS1912に移行される。
【0195】
S1912では、装置制御部102は、S1906またはS1910の入力色空間の判定結果のいずれかを得られたかを確認する。S1906またはS1910の入力色空間の判定結果のいずれかを得られた場合(S1912のYES)、特徴検出結果に応じた色合わせプロファイル作成処理が可能となるため、
図19に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。他方、S1906またはS1910の入力色空間の判定結果のいずれも得られていない場合(S1912のNO)、処理がS1913に移行される。
【0196】
S1913では、装置制御部102は、特徴検出は失敗したと判定し、
図19に示す色特性チャートの特徴検出処理を終了する。
【0197】
以上が、本実施形態に係る画像処理装置(調整対象デバイス)100による特徴検出処理の流れに関する説明となる。
【0198】
以上説明した通り、本実施形態によれば、色特性チャートの判別コードを用いた、特徴検出処理を行い、特徴検出結果を基に色特性チャートの入力色空間を特定する(判別する)。これにより、特定した入力色空間に応じた色合わせプロファイルを適切に作り分けることが可能となる。
【0199】
なお、判別コードに関し、特定の文字列とした態様について説明したが、これに限定されない。例えば、バーコードやQRコード(登録商標)などのコード情報のように色特性チャートの入力色空間に関する情報を色特性チャートに形成し、色特性チャートに形成した情報を読み取り可能な態様としてもよい。この場合、調整対象デバイス100および目標デバイス130は、コード情報を認識する機能を備えており、S1902の処理では、S1001の処理で得た、スキャン画像から色特性チャートに形成されたコード情報を認識できるものとする。
【0200】
[その他の実施形態]
上記では、周期性または自己相関解析を用いて、色特性チャートにおけるパッチの大きさを算出する方法について説明したが、これに限定されず、パッチの大きさを算出できれば、どのような方法でもよい。例えば、一次微分フィルタや二次微分フィルタのようなエッジ検出フィルタをスキャン画像に適用し、検出されたエッジ間の距離を用いてパッチの大きさを算出する方法でもよい。
【0201】
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。