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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250114BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20250114BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G03B27/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021016791
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119566
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瓜田 彰
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03B 27/50-27/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取面の第1位置に載置された原稿から画像情報を読み取る読取ユニットと、
前記読取面の第2位置へ向けて原稿を搬送する搬送ユニットと、
前記読取ユニットに対して前記搬送ユニットを回動可能に支持すると共に、前記搬送ユニットを回動することにより、前記搬送ユニットが前記読取面を閉塞した閉位置と前記搬送ユニットが前記読取面を開放した開位置とに開閉可能にするヒンジ機構と、
前記読取ユニットに取り付けられる第1取付部と、前記ヒンジ機構に取り付けられる第2取付部と、を有し、前記読取ユニットに前記ヒンジ機構を取り付けるヒンジ取付部材と、
前記第1取付部とは異なる位置で前記読取ユニットに取り付けられる第3取付部と、前記ヒンジ取付部材に取り付けられる第4取付部と、を有し、前記読取ユニットと前記ヒンジ取付部材とを連結する連結部材と、を備え、
前記ヒンジ機構は、前記ヒンジ取付部材と前記連結部材とによって前記読取ユニットに支持される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記ヒンジ機構のヒンジ軸から前記第3取付部までの距離は、前記ヒンジ軸から前記第1取付部までの距離より長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第3取付部は、前記読取ユニットに取り付けられ、かつ、前記読取面に平行な取付面を有し、
前記第4取付部は、前記ヒンジ取付部材に取り付けられ、かつ、前記読取面に垂直な取付面を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第3取付部は、前記読取面の垂直方向から視たときに、前記ヒンジ機構のヒンジ軸に直交する方向に関して、前記読取ユニットの長さの10%以上の長さを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第3取付部は、前記読取ユニットの底面に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ヒンジ機構は、前記搬送ユニットが所定角度より開いたときに前記搬送ユニットの自重によるトルクと均衡するトルクを発生する付勢部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取ユニットにより読み取られた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を支持するフレームと、を備え、
前記ヒンジ取付部材は、前記フレームに取り付けられる第5取付部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置では、上部に原稿の画像を読み取る画像読取装置を備えたものが知られている。このような画像読取装置としては、原稿を読み取る読取ユニット(読取装置本体)と、読取ユニットに原稿を搬送する搬送ユニット(自動原稿搬送装置)と、を有するものがある。自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)は、読取ユニットに対してヒンジ機構によって開閉自在に設けられている。ユーザがADFを用いずに原稿の画像を読み取らせたい場合には、ADFを上側に持ち上げて読取ユニットの原稿台を開放し、原稿台に原稿を載置して画像を読み込ませる。また、ADFの下面には原稿押圧板が設けられており、ADFが下側に閉じられた際に原稿押圧板が原稿を原稿台に押圧する。
【0003】
ADFを回動可能に支持するヒンジ機構の読取ユニットへの取付構造としては、例えば、読取ユニットの筐体にヒンジ取付部材を取り付け、このヒンジ取付部材にヒンジ機構をねじ止めにより取り付ける構造が知られている(特許文献1参照)。一方、ADFはその重量が10kg以上の物もあるため、ユーザが開閉する際には大きな負荷が掛かる。そのため、上述した画像読取装置では、ADFに取り付けられたヒンジ機構に、ユーザに掛かる負荷を軽減して開閉の途中で姿勢を保持するような機構(フリーストップ機構と呼ぶ)を備えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-055164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、ヒンジ機構をヒンジ取付部材によって読取ユニットに取り付けているため、使用状況によって読取ユニットの筐体が変形し易くなる虞がある。例えば、ADFを略垂直に開放した際には、ヒンジ取付部材に下方への荷重が作用するが、ADFをフリーストップ機構によって傾斜姿勢で保持した際には、ヒンジ取付部材には下方への荷重に加えてトルクが作用してしまう。特に近年、コストダウンのために読取ユニットの筐体を合成樹脂製にすることが普及しており、この場合、傾斜姿勢のADFによってヒンジ取付部材を介して作用したトルクにより、読取ユニットの筐体が変形し易くなる虞がある。読取ユニットの筐体の変形は、読取画像の画質の低下につながる虞があるため、ヒンジ機構の取付構造における読取ユニットの筐体の変形の抑制が望まれていた。
【0006】
本発明は、読取ユニットの筐体の変形による読取画像の画質低下を抑制可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像読取装置は、読取面の第1位置に載置された原稿から画像情報を読み取る読取ユニットと、前記読取面の第2位置へ向けて原稿を搬送する搬送ユニットと、前記読取ユニットに対して前記搬送ユニットを回動可能に支持すると共に、前記搬送ユニットを回動することにより、前記搬送ユニットが前記読取面を閉塞した閉位置と前記搬送ユニットが前記読取面を開放した開位置とに開閉可能にするヒンジ機構と、前記読取ユニットに取り付けられる第1取付部と、前記ヒンジ機構に取り付けられる第2取付部と、を有し、前記読取ユニットに前記ヒンジ機構を取り付けるヒンジ取付部材と、前記第1取付部とは異なる位置で前記読取ユニットに取り付けられる第3取付部と、前記ヒンジ取付部材に取り付けられる第4取付部と、を有し、前記読取ユニットと前記ヒンジ取付部材とを連結する連結部材と、を備え、前記ヒンジ機構は、前記ヒンジ取付部材と前記連結部材とによって前記読取ユニットに支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、読取ユニットの筐体の変形による読取画像の画質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る画像読取装置においてADFが閉じた状態を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る画像読取装置においてADFが傾斜姿勢で保持された状態を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る画像読取装置における図1のA-A線で切断した状態を示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る画像読取装置における図2のB-B線で切断した状態を示す断面図である。
図5】第1の実施形態に係る読取ユニットを下側から視た斜視図である。
図6】第2の実施形態に係る画像形成装置を示す正面図である。
図7】第2の実施形態に係る画像読取装置においてADFが傾斜姿勢で保持された状態を示す画像読取装置の左側から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1図5を参照しながら詳細に説明する。まず、画像読取装置1の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。図1及び図2は、それぞれ画像読取装置1おいて、リーダ10に対してADF20が閉じた状態と開いた状態とを示している。画像読取装置1は、読取ユニットの一例であるリーダ10と、搬送ユニットの一例であるADF20と、ADF20をリーダ10に対して回動可能に支持するヒンジ機構30と、を備えている。本実施形態では、ADF20の開放端側を前側Fとし、その反対側を後側Bとし、前側Fに向かったときの左方向を左側L、右方向を右側Rとする。また、画像読取装置1において原稿として用いられるシートとしては、薄紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、コート紙等の表面処理がされた紙、封筒等の特殊形状のシート、及び布が含まれる。
【0012】
図2に示すように、リーダ10は、合成樹脂製の筐体11と、読取センサユニット12と、ガイドシャフト13と、駆動ベルト14と、駆動モータ15と、原稿台ガラス16と、流し読みガラス17とを有している。これらのうち、読取センサユニット12と、ガイドシャフト13と、駆動ベルト14と、駆動モータ15とは、筐体11の内部に収容されている。また、読取面の第1位置の一例である原稿台ガラス16と、読取面の第2位置の一例である流し読みガラス17は、筐体11の上部に露出して設けられている。即ち、リーダ10は、原稿台ガラス16に載置された原稿から画像情報を読み取る。また、ADF20は、流し読みガラス17へ向けて原稿を搬送する。尚、本実施形態では、原稿台ガラス16と流し読みガラス17とは別個に設けられているが、これには限られず、原稿台ガラス16の一部を流し読みガラスとして適用するようにしてもよい。
【0013】
ユーザは、原稿の種類や状況などにより原稿読取の方法を2種類から選択可能である。原稿読取方法の1つは原稿台ガラス16の上に原稿を載置して読み込ませる原稿台読みであり、もう1つはADF20を閉じた状態でADF20に設けられた原稿トレイ21に原稿をセットして読み込ませる流し読みである。
【0014】
前者の原稿台読みの場合、ユーザは、原稿台ガラス16に原稿を載置した後、画像読取を開始する。画像読取の開始により、駆動モータ15は、駆動ベルト14を介して読取センサユニット12を副走査方向(以下、移動方向という)D1へ移動させる。読取センサユニット12は、駆動モータ15により移動方向D1へ移動されながら、原稿台ガラス16の上に載置された原稿の画像を読み取る。原稿台ガラス16の上に載置された原稿は、ADF20に設けられた原稿押圧板22によって原稿台ガラス16に押圧される。ユーザは、原稿の画像読取が終了すると、ADF20を開いて原稿台ガラス16に載置する原稿を交換する。尚、読取センサユニット12は、縮小光学系に限られず、密着光学系(コンタクトイメージセンサ)の読取装置であってもよい。例えば、読取センサユニット12は、移動方向D1に直交する主走査方向に延在するラインイメージセンサを有していてもよい。
【0015】
後者の流し読みの場合、ユーザは、閉じた状態のADF20の原稿トレイ21に原稿をセットした後、に画像読取を開始する。画像読取の開始により、駆動モータ15は、駆動ベルト14を介して読取センサユニット12を流し読みガラス17の下の所定の読取位置まで移動させ、ADF20により搬送された原稿を流し読みガラス17の下で読み取る。
【0016】
[ヒンジ機構]
次に、ヒンジ機構30について、図3及び図4を用いて説明する。ADF20は後側Bの端部に設けられた2つのヒンジ機構30によって、リーダ10に対して開閉可能な状態で連結支持されている。ヒンジ機構30は、リーダ10に対してADF20を回動可能に支持すると共に、ADF20を回動することにより、ADF20が原稿台ガラス16を閉塞した閉位置(図3)と、ADF20が原稿台ガラス16を開放した開位置(図4)と、に開閉可能にする。
【0017】
ヒンジ機構30は、ADF20にねじ止めにより固定される開閉板31と、リーダ10に設けられたヒンジ取付部材40にねじ止めにより固定されるベース板32と、開閉板31及びベース板32を回転自在に連結するヒンジ軸33と、を有している。また、ヒンジ機構30は、付勢部の一例としてトルク発生機構34を有しており、ADF20の開閉途中に質量によって発生するトルク(モーメント)を打ち消すように反力となるトルクを発生させることで途中角度での姿勢を保持することができる。即ち、トルク発生機構34は、ADF20が所定角度(上限角度)より開いたときに、ADF20の自重によるトルクと均衡するトルクを発生する。これにより、ヒンジ機構30は、ADF20の開閉時にユーザに掛かる負荷を軽減して開閉の途中で姿勢を保持するフリーストップ機構を有したものとなっている。
【0018】
[ヒンジ取付部材]
画像読取装置1は、リーダ10の筐体11にねじ止めにより取り付けられたヒンジ取付部材40を備えている。ヒンジ取付部材40は、リーダ10に取り付けられる第1取付部41と、ヒンジ機構30に取り付けられる第2取付部42と、を有し、リーダ10にヒンジ機構30を取り付けている。即ち、ADF20は、ヒンジ機構30を介してヒンジ取付部材40にボルトで固定され、開閉自在に設けられている。ヒンジ取付部材40の第1取付部41は、ボルト61によりリーダ10の筐体11にねじ止めされている。ヒンジ取付部材40の第2取付部42は、ボルト62によりヒンジ機構30のベース板32に取り付けられている。
【0019】
本実施形態では、第2取付部42は、ベース板32に対してリーダ10のカバー部材18を介してねじ止めされている。このように、第1取付部41、第2取付部42、後述する第3取付部51、第4取付部52は、いずれも直接ねじ止めすることの他に、他の部材を挟んで間接的にねじ止めする場合も含むものとする。また、第1取付部41、第2取付部42、第3取付部51、第4取付部52は、いずれもある程度の面積を有して相手部材に取り付けられているものとする。更に、第1取付部41、第2取付部42、第3取付部51、第4取付部52は、それぞれボルト61,62,63,64によりねじ止めされるようにしているが、これには限られず、接着やリベット止め等、既存の締結方法を適宜適用することができる。
【0020】
ここで、図4に示すように、ADF20をリーダ10に対してヒンジ軸33を中心に開くと、ADF20の重量F1がヒンジ機構30とヒンジ取付部材40とを介してリーダ10の筐体11に集中して加わることになる。更に、トルク発生機構34により発生されるトルクはヒンジ機構30を常に開く方向に発生しているため、ヒンジ機構30を固定しているヒンジ取付部材40には上方に持ち上げられるような荷重が掛かっている。即ち、ヒンジ取付部材40が受ける荷重は、ADF20の重量F1のみならず、ヒンジ機構30が発生させるトルクT1による反力T2をも受けることになる。これにより、筐体11に作用する力によって筐体11が変形してしまい、読取画像の画質の低下につながる虞があった。このため、画像読取装置1の筐体11及びヒンジ取付部材40は、その構造を強固なものにすることが望まれる。そこで、本実施形態では、筐体11とヒンジ取付部材40とを連結する連結部材50を設け、筐体11とヒンジ取付部材40との取り付け部分の剛性を向上するようにしている。
【0021】
[連結部材]
図3図5に示すように、画像読取装置1は、リーダ10とヒンジ取付部材40とを連結する連結部材50を備えている。連結部材50は、リーダ10に取り付けられる第3取付部51と、ヒンジ取付部材40に取り付けられる第4取付部52とを有している。本実施形態では、連結部材50は水平部分と垂直部分とを有する略L字形状のブラケットからなり、第3取付部51は水平部分、第4取付部52は垂直部分に設けられている。また、第3取付部51は、リーダ10に取り付けられ、かつ、原稿台ガラス16に平行な取付面51aを有している。第4取付部52は、ヒンジ取付部材40に取り付けられ、かつ、原稿台ガラス16に垂直な取付面52aを有している。第3取付部51は、ボルト63によりリーダ10の筐体11にねじ止めされている。第4取付部52は、ボルト64によりヒンジ取付部材40に取り付けられている。尚、ここでは、連結部材50はブラケットからなるものとしているが、これには限られず、他の形状であってもよい。
【0022】
第3取付部51は、ヒンジ取付部材40の第1取付部41とは異なる位置に設けられている。本実施形態では、第1取付部41は、ヒンジ取付部材40の前後部に設けられ、第3取付部51は、第1取付部41よりも更に前側Fに配置されている。即ち、ヒンジ軸33から第3取付部51までの距離は、ヒンジ軸33から第1取付部41までの距離より長く設けられている。
【0023】
このようにして、ヒンジ機構30は、ヒンジ取付部材40と連結部材50とによってリーダ10に支持される。これにより、ヒンジ機構30がヒンジ取付部材40のみによりリーダ10に支持される場合に比べて、第1取付部41とは異なる位置で第3取付部51によりヒンジ機構30が発生させるトルクT1による反力T2を分散して受けることができる。従って、筐体11とヒンジ取付部材40とを連結する連結部材50を設けることで、筐体11とヒンジ取付部材40との取り付け部分の剛性を向上することができる。
【0024】
本実施形態では、第3取付部51は筐体11の底面11aに取り付けられている。これにより、第3取付部51はリーダ10の重量も受けることができるので、ヒンジ取付部材40をより強固に支持することができる。但し、第3取付部51は筐体11の底面11aに取り付けられることには限られず、筐体11の側面や内部や他の取付箇所に取り付けるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態では、第3取付部51は、原稿台ガラス16の垂直方向から視たときに、ヒンジ軸33に直交する方向、即ち前後方向に関して、リーダ10の長さL1(図1参照)の10%以上の長さL2(図3参照)を有するようにしている。第3取付部51が前後方向に関してリーダ10の長さL1の10%未満の長さを有するものとすると、反力T2に対して十分な剛性を得ることが困難になる場合がある。また、第3取付部51は、前後方向に関して、リーダ10の長さL1の50%以下であることが好ましい。第3取付部51が前後方向に関してリーダ10の長さL1の50%を超える長さを有するものとすると、連結部材50が過大になり、組立性に支障が生じたり、部品コストが必要以上に増加する虞がある。尚、本実施形態では、例えば、ADF:7kg、ADFの前後長さL1:504mm、第3取付部51の前後長さL2:183.2mmとし、第3取付部51が前後方向に関してリーダ10の長さの36%程度としている。このように、第3取付部51が前後方向に関してリーダ10の長さL1の20~40%である場合に、反力T2に対して十分な剛性を得られると共に、連結部材50が過大にならず、特に好ましい。尚、第3取付部51の前後方向に関してリーダ10の長さL1に対する割合は、ADF20の重量や筐体11の剛性で変わるものであり、上述した数値は一例に過ぎない。
【0026】
上述したように、本実施形態の画像読取装置1によれば、ヒンジ機構30は、ヒンジ取付部材40と連結部材50とによってリーダ10に支持される。これにより、ヒンジ機構30がヒンジ取付部材40のみによりリーダ10に支持される場合に比べて、第1取付部41とは異なる位置で第3取付部51によりヒンジ機構30が発生させるトルクT1による反力T2を分散して受けることができる。従って、筐体11とヒンジ取付部材40との取り付け部分の剛性を向上し、リーダ10の筐体11の変形を抑え、読取画像の画質低下を抑制することができる。
【0027】
また、ADF20を開閉するときにヒンジ取付部材40に生じる荷重、即ちADF20の重量F1とヒンジ機構30が発生させるトルクT1によってヒンジ取付部材40の位置姿勢が変位してしまわないようにできる。これにより、リーダ10とADF20の合体状態においても、ADF20はリーダ10に対して姿勢を正しく保持することができ、読取画像の劣化を抑制することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態の画像読取装置1によれば、ヒンジ軸33から第3取付部51までの距離は、ヒンジ軸33から第1取付部41までの距離より長く設けられている。このため、ヒンジ軸33を中心とした場合に、第3取付部51の方が第1取付部41に比べて、より大きなトルクを受けることかできる。これにより、ヒンジ機構30で発生するトルクT1及びその反力T2に対して、第3取付部51によってより効果的に受けることができる。
【0029】
尚、上述した実施形態では、ヒンジ軸33から第3取付部51までの距離は、ヒンジ軸33から第1取付部41までの距離より長く設けた場合について説明したが、これには限られない。例えば、取付箇所の剛性などにより、第1取付部41よりも第3取付部51の方がより大きなトルクを受けられるものであれば、ヒンジ軸33からの距離は必ずしも関係ない。
【0030】
また、上述した実施形態では、連結部材50は、ヒンジ取付部材40に対して別部材である場合について説明したが、これには限られず、連結部材50がヒンジ取付部材40と一部材であるようにしてもよい。この場合、ヒンジ取付部材は、リーダ10に取り付けられる第1取付部と、ヒンジ機構30に取り付けられる第2取付部と、第1取付部とは異なる位置でリーダ10に取り付けられる第3取付部と、を有し、リーダ10にヒンジ機構30を取り付けるものとする。これにより、ヒンジ機構30は、ヒンジ取付部材の第1取付部と第3取付部とによってリーダ10に支持されるようになる。このため、ヒンジ機構30が第1取付部のみによりリーダ10に支持される場合に比べて第3取付部により反力T2を分散して受けることができ、筐体11とヒンジ取付部材40との取り付け部分の剛性を向上することができる。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図6及び図7を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、ヒンジ取付部材40が画像形成装置70のフレームに取り付けられている点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0032】
図6に示すように、画像読取装置の一例である画像形成装置70は、装置本体71と、装置本体71の上部に装着され、原稿の画像の読取を行うための画像読取装置1とを備えている。装置本体71は、不図示の画像形成部72と、画像形成部72に記録材であるシートを給送するための不図示の給送部と、画像形成部72により画像が形成されたシートを積載するトレイ74とを有している。画像形成部72は、従来周知の電子写真方式によるプリントエンジンとして構成され、不図示のレーザ書き込み部、電子写真プロセス部、定着部等を内蔵している。即ち、画像形成部72は、リーダ10により読み取られた画像情報に基づいて画像を形成する。給送部は、シートカセット73に載置されたシートを分離給送するための不図示の給送ローラ等が内蔵されており、画像形成部72にシートを供給する。
【0033】
装置本体71は、画像形成部72を支持するフレーム75(図7参照)を有している。図7に示すように、画像読取装置1のヒンジ取付部材40は、フレーム75に取り付けられる第5取付部43を有している。第5取付部43は、フレーム75にボルト65によってねじ止めされている。従って、ヒンジ取付部材40は、リーダ10の筐体11だけではなく、フレーム75によっても支持されている。
【0034】
上述したように、本実施形態の画像読取装置1によれば、ヒンジ取付部材40は、筐体11とフレーム75によって支持されている。これにより、ヒンジ取付部材40が筐体11のみにより支持される場合に比べて、第1取付部41とは異なる位置で第3取付部51によりヒンジ機構30が発生させるトルクT1による反力T2をより分散して受けることができる。従って、筐体11とヒンジ取付部材40との取り付け部分の剛性を向上し、ユーザの操作による強い衝撃などが与えられてもヒンジ取付部材40や筐体11などの変形を抑え、読取画像の画質低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…画像読取装置、10…リーダ(読取ユニット)、11a…底面、16…原稿台ガラス(読取面の第1位置)、17…流し読みガラス(読取面の第2位置)、20…ADF(搬送ユニット)、30…ヒンジ機構、33…ヒンジ軸、34…トルク発生機構(付勢部)、40…ヒンジ取付部材、41…第1取付部、42…第2取付部、43…第5取付部、50…連結部材、51…第3取付部、51a…取付面、52…第4取付部、52a…取付面、70…画像形成装置(画像読取装置)、72…画像形成部、75…フレーム、L1…リーダの長さ、L2…第3取付部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7