(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20250114BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20250114BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20250114BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 F
H01F27/29 H
H01F27/28 152
(21)【出願番号】P 2021019392
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-11-27
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 晨
(72)【発明者】
【氏名】杉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】レオ ヤオ
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/082489(WO,A1)
【文献】特開2009-016797(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217830(JP,U)
【文献】特開2012-065453(JP,A)
【文献】特開2014-127637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23-27/30
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
H01F 38/42-41/04
H01F 41/08
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体状の外形状を有するコアと、
前記コアの内部に所定の方向に沿って配置される複数のコイルと、を有し、
前記コアは、
隣接する前記各コイルの間に位置し、前記所定の方向に直交する前記コアの幅方向に間隔を有している第1ギャップ部と、
前記コイルの内側に位置し、前記幅方向に間隔を有している第2ギャップ部と、を有し、
前記コアの
前記第2ギャップ部の間隔は
、前記コアの
前記第1ギャップ部の間隔よりも大きいコイル装置。
【請求項2】
前記第1ギャップ部は、隣接する前記各コイルを結ぶ方向に延びており、
前記第2ギャップ部は、前記コイルの内周面を結ぶ方向に延びている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記コアは、隣接する前記各コイルの間に形成される外側脚部と、前記コイルの内側に形成される内側脚部とを有し、
前記第1ギャップ部は、前記外側脚部に形成され、
前記第2ギャップ部は、前記内側脚部に形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記コイルの両端部には、外部回路に接続される実装部が形成されている請求項1~3のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項5】
前記実装部の一部は、前記コアの幅方向の側面から露出している請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記実装部は、前記コアの幅方向の側面から露出してはいない請求項4に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記実装部は、複数の前記コイルの配列方向に沿うように延在している請求項4~6のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項8】
隣接する一方の前記コイルの前記実装部と他方の前記コイルの前記実装部とは、略同一の方向に延びている請求項4~7のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項9】
前記コアは、複数の前記コイルの上方を覆う天板部を有する請求項1~8のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項10】
前記コイルの横幅は、前記コイルの高さ方向に直交する方向の長さよりも大きい請求項1~9のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項11】
前記コアは、第1コアと第2コアとからなり、
前記第1コアは、少なくとも1つの前記外側脚部と、複数の前記内側脚部とを有し、
前記第2コアは、少なくとも1つの前記外側脚部と、複数の前記内側脚部とを有し、
前記第1ギャップ部は、前記外側脚部が形成された位置で前記第1コアと前記第2コアとの間に形成され、
前記第2ギャップ部は、前記内側脚部が形成された位置で前記第1コアと前記第2コアとの間に形成される請求項3に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記コアは、E型形状のコアと平板形状のコアとからなる請求項1~10のいずれかに記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ等として用いられるコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタ等として用いられるコイル装置として、例えば特許文献1に記載のコイル装置が知られている。特許文献1に記載のコイル装置では、ギャップを介して組み合わされた二組のコアの内側に複数のコイルが配置されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のコイル装置では、隣接するコイル相互間の磁気結合が強くなり、各コイルの磁気特性が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、隣接する各コイル間の磁気結合が小さいコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
コアと、
前記コアの内部に配置される複数のコイルと、を有し、
前記コイルの内側に位置する前記コアの第2ギャップ部の間隔は、隣接する前記各コイルの間に位置する前記コアの第1ギャップ部の間隔よりも大きい。
【0007】
本発明に係るコイル装置では、コイルの内側に位置するコアの第2ギャップ部の間隔が、隣接する各コイルの間に位置するコアの第1ギャップ部の間隔よりも大きい。そのため、第2ギャップ部における磁気抵抗は、第1ギャップ部における磁気抵抗よりも大きくなる。その結果、あるコイルから発生する磁束は、そのコイルに隣接するコイルの内側(すなわち、磁気抵抗が高い第2ギャップ部が形成された部分)を通過することが困難となる一方で、これら各コイルの間(すなわち、磁気抵抗が低い第1ギャップ部が形成された部分)を容易に通過するようになる。したがって、あるコイルから発生した磁束が、そのコイルに隣接するコイルを通過することを防止することが可能となり、隣接する各コイル間の磁気結合を小さくすることができる。
【0008】
また、隣接する各コイル間の磁気結合が小さくなることにより、複数のコイルをコア内に近接して配置しても良好な磁気特性を得ることが可能となり、コイル装置のコンパクト化を効果的に図ることができる。
【0009】
好ましくは、前記第1ギャップ部は、隣接する前記各コイルを結ぶ方向に延びており、前記第2ギャップ部は、前記コイルの内周面を結ぶ方向に延びている。このような構成とすることにより、あるコイルから発生した磁束の大部分が、あるコイルとそのコイルに隣接するコイルとの間に形成された第1ギャップ部を横切るように通過するようになるとともに、あるコイルの内側に形成された第2ギャップ部を横切るように通過するようになり、上述した効果を効果的に得ることができる。
【0010】
好ましくは、前記コアは、隣接する前記各コイルの間に形成される外側脚部と、前記コイルの内側に形成される内側脚部とを有し、前記第1ギャップ部は、前記外側脚部に形成され、前記第2ギャップ部は、前記内側脚部に形成されている。この場合、あるコイルから発生した磁束を外側脚部および内側脚部に通過させることにより、十分なインダクタンス特性を確保することができる。また、あるコイルから発生した磁束を外側脚部に形成された第1ギャップ部および内側脚部に形成された第2ギャップ部に通過させることにより、上述した効果を得ることができる。
【0011】
好ましくは、前記コイルの両端部には、外部回路に接続される実装部が形成されている。このような構成とすることにより、実装部を介して、コイルを外部回路に容易に接続することができる。
【0012】
前記実装部の一部は、前記コアの幅方向の側面から露出していてもよい。このような構成とすることにより、コイル装置を外部回路基板に実装するときに、コアの側面から露出した実装部の一部にはんだフィレットを形成することが可能となり、外部回路に対するコイル装置の実装強度を向上させることができる。
【0013】
前記実装部は、前記コアの幅方向の側面から露出してはいなくてもよい。この場合、実装部の構成が簡素化される(例えば、コアの側面から突出する突出部を実装部に具備させる必要がない)ため、コイルをコアの内部に容易に配置することが可能となり、コイル装置の製造が容易になる。
【0014】
好ましくは、前記実装部は、複数の前記コイルの配列方向に沿うように延在している。このような構成とすることにより、各コイルの実装部を介してコイル装置のバランスを十分に確保することが可能となり、コイルの横幅が狭いような場合であっても、コイル装置を安定して外部回路に実装することができる。
【0015】
好ましくは、隣接する一方の前記コイルの前記実装部と他方の前記コイルの前記実装部とは、略同一の方向に延びている。このような構成とすることにより、隣接する一方のコイルの実装部と他方のコイルの実装部との間の間隔を十分に大きく確保することが可能となり、隣接する各コイル間におけるショート不良を防止することができる。
【0016】
好ましくは、前記コアは、複数の前記コイルの上方を覆う天板部を有する。このような構成とすることにより、天板部の上面を吸着面として用いることが可能となり、コイル装置のハンドリング性能を高めることができる。
【0017】
好ましくは、前記コイルの横幅は、前記コイルの高さ方向に直交する方向の長さよりも大きい。このような構成とすることにより、コアの内部に複数のコイルを配置する場合であっても、複数のコイルの配列方向に沿う方向のコアの長さを短くすることが可能となり、コイル装置の小型化(薄型化)を図ることができる。
【0018】
前記コアは、第1コアと第2コアとからなり、前記第1コアは、少なくとも1つの前記外側脚部と、複数の前記内側脚部とを有し、前記第2コアは、少なくとも1つの前記外側脚部と、複数の前記内側脚部とを有し、前記第1ギャップ部は、前記外側脚部が形成された位置で前記第1コアと前記第2コアとの間に形成され、前記第2ギャップ部は、前記内側脚部が形成された位置で前記第1コアと前記第2コアとの間に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、第1コアと第2コアとの組み合わせにより、第1ギャップ部および第2ギャップ部を容易に形成することが可能となり、上述した効果を容易に得ることができる。
【0019】
前記コアは、E型形状のコアと平板形状のコアとからなっていてもよい。このような構成とすることにより、E型形状のコアの脚部と平板形状のコアの板面との組み合わせ位置に第1ギャップ部および第2ギャップ部を形成することが可能となる。この場合も上述した効果を効果的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは本発明の第2実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図6】
図6は
図5Aに示すコイル装置のコア(第1コア)の斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の第3実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0022】
第1実施形態
図1Aに示すように、コイル装置10は、略直方体状の外形状を有するコア20と、コア20の内部に配置される複数(図示の例では6個)のコイル30とを有する。コイル装置10は、例えばインダクタであり、複数のコイル30をX軸方向に沿って配置したアレイ構造からなる。コイル装置10の大きさは、特に限定されないが、例えば各軸方向の長さを3~20mmの範囲内で適宜決定することができる。
【0023】
図3Aに示すように、コイル30は略U字形状を有する導体板からなる。コイル30の材料としては、例えば、銅および銅合金、銀、ニッケルなどの金属の良導体が挙げられるが、導体材料であれば特に限定されない。コイル30は、例えば、金属の板材を機械加工して形成される。ただし、コイル30の形成方法としては、これに限定されない。図示の例では、コイル30のY軸方向の横幅は、コイル30のX軸方向の長さよりも小さく、コイル30のZ軸方向の高さよりも小さくなっている。
【0024】
コイル30は、第1側面部31と、第2側面部32と、上面部33と、実装部34とを有する。第1側面部31および第2側面部32は、それぞれZ軸方向に沿って延びている。コイル30のうち、第1側面部31が配置されている側が入力端子(あるいは、出力端子でもよい)となり、第2側面部32が配置されている側が出力端子(あるいは、入力端子でもよい)として機能する。
図1Aに示す例では、複数のコイル30の各々は、X軸方向の負方向側に第1側面部31が位置し、X軸方向の正方向側に第2側面部32が位置するように配置されている。上面部33は、X軸方向に延びており、一対の第1側面部31および第2側面部32の各々を接続している。
【0025】
本実施形態では、
図3Aに示すように、コイル30の両端部、すなわち第1側面部31および第2側面部32の各々の下端部は実装部34として用いられており、実装部34を介して、コイル30を実装基板の外部回路(図示略)に接続することが可能となっている。
図1Aに示すように、コイル30をコア20(第1コア20aおよび第2コア20bの組立体)の内部に配置したときに、
図4に示すように、第1コア20aの底面よりもZ軸方向の外側(下方)にはみ出した部分が実装部34として機能する。なお、コイル30の外部回路(図示略)への接合は、例えばはんだや導電性接着剤等の接続部材を介して行われる。
【0026】
図1Aに示すように、本実施形態では、コア20は、第1コア20aと第2コア20bとからなり、第1コア20aと第2コア20bとは、Y軸方向に対向するように配置されている。第1コア20bは、第1コア20aと対応する形状(図示の例では、同形状)を有し、各コア20a,20bは接着剤等を用いて接合される。コア20は、磁性体で構成され、たとえば、比較的透磁率の高い磁性材料、例えばNi-Zn系フェライトや、Mn-Zn系フェライト、あるいは金属磁性体などで構成してある磁性粉体を、成型および焼結することにより作製される。
【0027】
図2Bに示すように、第1コア20aは、第1ベース部21aと、複数(図示の例では7個)の第1外側脚部22aと、複数(図示の例では6個)の第1内側脚部23aと、複数(図示の例では6個)の第1溝部24aとを有する。第1ベース部21aは、略平板形状(略直方体形状)からなる。
【0028】
第1外側脚部22aは、第1ベース部21aのY軸方向の一方側の面から、Y軸方向の一方側に向けて所定長だけ突出している。第1外側脚部22aは、Z軸方向に細長い形状を有し、第1ベース部21aのZ軸方向の上端から下端にかけて延在している。
図2Bおよび
図4に示すように、複数の第1外側脚部22aの各々は、第1ベース部21aのY軸方向の一方側の面に、X軸方向に沿って、隣接する各コイル30の間に所定間隔で形成されている。
【0029】
図1Cに示すように、第1コア20aのX軸方向の両端に位置する2つの第1外側脚部22aの各々のX軸方向幅W1は、これら2つの第1外側脚部22aの各々の間に位置する5つの第1外側脚部22aの各々のX軸方向幅W2よりも小さくなっている。
【0030】
図1A~
図1Cにおいて、隣接して配置された各コイル30について、
図3Aに示す第1側面部31が配置されている側を入力端子(出力端子)とし、第2側面部32が配置されている側を出力端子(入力端子)とした場合、上記幅W2と上記幅W1との比W2/W1は、好ましくは1.5~2.5であり、さらに好ましくは1.8~2.2であり、特に好ましくは2である。この場合、上記幅W2で規定される第1外側脚部22aの内部には、これに隣接して配置された一方のコイル30で発生した磁束と他方のコイル30で発生した磁束の両方が同方向に通過する。そのため、W2/W1の値を上記の範囲に設定することにより、これら各コイル30で発生した磁束が、上記幅W2で規定される第1外側脚部22aの内部を通過しやすくなり、コイル装置10の磁気飽和を効果的に防止することができる。
【0031】
また、隣接して配置された各コイル30のうち、一方のコイル30の第1側面部31が配置されている側を入力端子(出力端子)とし、第2側面部32が配置されている側を出力端子(入力端子)とするとともに、他方のコイル30の第1側面部31が配置されている側を出力端子(入力端子)とし、第2側面部32が配置されている側を入力端子(出力端子)とした場合、上記幅W2と上記幅W1との比W2/W1は、好ましくは0.5~1.5であり、さらに好ましくは0.8~1.2であり、特に好ましくは1である。この場合、上記幅W2で規定される第1外側脚部22aの内部には、これに隣接して配置された一方のコイル30で発生した磁束と他方のコイル30で発生した磁束の両方が異なる方向に通過する。そのため、上記幅W2を比較的小さくしても、上記各コイル30で発生した磁束は上記幅W2で規定される第1外側脚部22aの内部を十分に通過可能であり、W2/W1の値を上記の範囲に設定することにより、上記幅W2で規定される第1外側脚部22aのX軸方向幅を比較的小さくし、コイル装置10の小型化を図ることができる。
【0032】
図2Bに示すように、第1内側脚部23aは、第1ベース部21aのY軸方向の一方側の面から、Y軸方向の一方側に向けて所定長だけ突出している。第1内側脚部23aは、Z軸方向に細長い形状を有し、第1ベース部21aのZ軸方向の上部(上端よりも凡そコイル30の厚み分だけ下方の位置)から下端にかけて延在している。複数の第1内側脚部23aの各々は、第1ベース部21aのY軸方向の一方側の面に、X軸方向に沿って所定間隔で形成されている。より詳細には、
図2Bおよび
図4に示すように、各第1内側脚部23aは、各コイル30の内側に形成されている。第1内側脚部23aのY軸方向への突出幅は、第1外側脚部22aのY軸方向の突出幅よりも大きくなっている。
図2Bに示す例では、第1内側脚部23のX軸方向幅は、第1外側脚部22aのX軸方向幅よりも大きく、略2倍程度となっている。
【0033】
複数の第1内側脚部23aの各々は、複数の第1外側脚部22aの各々の間に挟まれるように位置している。X軸方向に隣接する各第1外側脚部22a,22aと、その間に形成された第1内側脚部23aとの間には、第1溝部24aが形成されている。
【0034】
第1溝部24aは、コイル30の形状に対応する形状(略U字形状)を有しており、第1内側脚部23aの周囲に沿うように延在している。第1溝部24aには、コイル30を配置させることが可能となっている。第1溝部24aは、第1側方部241と、第2側方部242と、上方部243とを有する。
【0035】
第1側方部241および第2側方部242は、それぞれZ軸方向に沿って略直線状に延在しており、第1ベース部21aのZ軸方向の上端から下端にかけて延在している。側方部241,242の各々は、第1外側脚部22aと第1内側脚部23aとの間に形成されている。第1側方部241および第2側方部242の各々のX軸方向幅は、コイル30の厚み(板厚)と同程度、あるいはそれよりも大きくなっている。
図4に示すように、第1側方部241にはコイル30の第1側面部31が配置され、第2側方部242にはコイル30の第2側面部32が配置される。
【0036】
図2Bに示すように、上方部243は、第1ベース部21aの上方に形成されており、X軸方向に沿って延在している。上方部243は、第1側方部241の上端部と第2側方部242の上端部とを接続している。上方部243のZ軸方向幅は、コイル30の厚み(板厚)と同程度、あるいはそれよりも大きくなっている。
図4に示すように、上方部243には、コイル30の上面部33が配置される。
【0037】
複数の第1溝部24aの各々の内部に、複数のコイル30の各々を配置させたとき、各コイル30の内側には第1内側脚部23aが配置され、隣接する各コイル30の間には第1外側脚部22aが配置される。すなわち、隣接する各コイル30は、これらの間に位置する第1外側脚部22aによって仕切られている。コア20(第1コア20aおよび第2コア20b)の内部において、コイル30は第1内側脚部23aに引っ掛けられて固定される。
【0038】
図2Aに示すように、第2コア20bは、第1ベース部21aに対応する第2ベース部21bと、複数の第1外側脚部22aの各々に対応する複数の第2外側脚部22bと、複数の第1内側脚部23aの各々に対応する複数の第2内側脚部23bと、複数の第1溝部24aの各々に対応する複数の第2溝部24bとを有する。
【0039】
第1外側脚部22aおよび第2外側脚部22bは外側脚部22を構成し、第1内側脚部23aおよび第2内側脚部23bは内側脚部23を構成する。また、第1コア20aおよび第2コア20bはコア20を構成する。第1コア20aと第2コア20bとは、Y軸方向に沿って組み合わされる。
【0040】
図1A~
図1Cに示すように、第1コア20aと第2コア20bとを組み合わせた状態において、実装部34は、コア20(第1コア20aおよび第2コア20bの各々)の幅方向(Y軸方向)の側面から露出(突出)してはおらず、コア20のY軸方向の内側に収まっている。
【0041】
コイル30の各実装部34(第1側方部241の下端部に位置する実装部34と、第2側方部242の下端部に位置する実装部34)は、
図1Cに示すように、コア20の底面(より詳細には、
図2Bに示す第1側方部241の下端および第2側方部242の下端)から露出(突出)しているのみである。各実装部34をコア20の底面から露出させることにより、実装部34の周辺に生じる熱を効率的にコア20の外部に放熱することが可能となっている。
【0042】
図1Cおよび
図2Aに示すように、第1コア20aと第2コア20bとをY軸方向に対向させつつ組み合わせると、第1コア20aと第2コア20bとの間に、外側脚部22が形成された位置でY軸方向に所定幅を有する第1ギャップ部25が形成され、内側脚部23が形成された位置でY軸方向に所定幅を有する第2ギャップ部26が形成される。
【0043】
図1Aに示すように、第1コア20aと第2コア20bとの組み合わせは、第1ベース部21aとはY軸方向の反対側に位置する第1コア20aの一方側の面と、第2ベース部21bとはY軸方向の反対側に位置する第2コア20bの一方側の面とを接着剤等(図示略)を介して接合することにより可能となっている。より詳細には、コア20a,20bの外側脚部22a,22b同士および/または内側脚部23a,23b同士が接合される。
【0044】
図1B、
図1Cおよび
図2Aに示すように、第1ギャップ部25は、X軸方向に所定の長さを有し、第1外側脚部22aと第2外側脚部22bとの間に(外側脚部22に)形成されている。第1ギャップ部25のX軸方向の長さは、外側脚部22a,22bのX軸方向の長さに対応している(等しくなっている)。また、第1ギャップ部25は、Z軸方向にも所定の長さを有し、その長さは外側脚部22a,22bのZ軸方向の長さに対応している(等しくなっている)。
【0045】
複数の第1ギャップ部25の各々は、複数の外側脚部22a,22bの各々の配置位置に対応して、X軸方向に所定間隔で形成されている。第1ギャップ部25のY軸方向の間隔は、X軸方向あるいはZ軸方向に沿って一定となっている。
【0046】
第2ギャップ部26は、X軸方向に所定の長さを有し、第1内側脚部23aと第2内側脚部23bとの間に(内側脚部23に)形成されている。第2ギャップ部26のX軸方向の長さは、内側脚部23a,23bのX軸方向の長さに対応している(等しくなっている)。図示の例では、第2ギャップ部26のX軸方向の長さは、第1ギャップ部25のX軸方向の長さよりも短くなっている。また、第2ギャップ部26はZ軸方向にも所定の長さを有し、その長さは第1内側脚部23a,23bのZ軸方向の長さに対応している(等しくなっている)。
【0047】
複数の第2ギャップ部26の各々は、複数の内側脚部23a,23bの各々の配置位置に対応して、X軸方向に所定間隔で形成されている。第2ギャップ部26のY軸方向の間隔は、X軸方向あるいはZ軸方向に沿って一定となっている。
【0048】
第1ギャップ部25と第2ギャップ部26とは、第1側方部241または第2側方部242を間に挟んで、X軸方向に沿って交互に配置されており、第1コア20aと第2コア20bとの境界線に沿って同一直線状に形成されている。
【0049】
コア20のX軸方向の両端部に形成される各第1ギャップ部25のX軸方向の長さは、上記各第1ギャップ部25の内側に形成される5つの第1ギャップ部25の各々のX軸方向の長さよりも小さくなっている。複数の第2ギャップ部26の各々は、各コイル30の内側に形成され、
図3Aに示す第1側面部31と第2側面部32との間に位置する(挟まれる)。
【0050】
本実施形態では、コイル30の内側に位置するコア20の第2ギャップ部26のY軸方向の間隔は、隣接する各コイル30の間に位置するコア20の第1ギャップ部25のY軸方向の間隔よりも大きい。すなわち、第1コア20aと第2コア20bとの間に形成されるギャップのうち、第1ギャップ部25は幅狭部を構成し、第2ギャップ部26は幅広部を構成しており、第2ギャップ部26における磁気抵抗は、第1ギャップ部25における磁気抵抗よりも大きくなっている。
【0051】
図1Cに示すように、第1ギャップ部25のY軸方向の間隔G1は、好ましくは0.03~0.3mmであり、さらに好ましくは0.03~0.2mmである。また、第2ギャップ部26のY軸方向の間隔G2は、好ましくは0.1~1.0mmであり、さらに好ましくは0.1~0.5mmである。
【0052】
第1ギャップ部25は、コア20の内部にコイル30を配置した状態では、隣接する各コイル30を結ぶ方向(本実施形態では、X軸方向)に延びている。また、詳細な図示は省略するが、コア20の内部にコイル30を配置したとき、第2ギャップ部26は、コイル30の内周面を結ぶ方向(本実施形態では、X軸方向)に延びる。
【0053】
コイル装置10の製造では、
図2Aに示す第1コア20aおよびこれに対応する形状からなる第2コア20bを準備するとともに、
図3Aに示すコイル30を複数(本実施形態では6個)準備する。次いで、各コイル30を第1コア20a(第2コア20b)の第1溝部24a(第2溝部24b)の内部に配置する。
【0054】
次いで、第1コア20a(第2コア20b)の第1溝部24a(第2溝部24b)に第2コア20b(第1コア20a)の第2溝部24b(第1溝部24a)が重複して配置されるように、第1コア20a(第2コア20b)に第2コア20b(第1コア20a)を接着剤等で接合することにより、
図1A~
図1Cに示すコイル装置10が得られる。なお、第1コア20aおよび第2コア20bを予め接着剤等で接合しコア20を構成した後に、コア20の上方(上方部243が形成されている側)から複数のコイル30をコア20の内部に配置してもよい。
【0055】
本実施形態におけるコイル装置10では、コイル30の内側に位置するコア20の第2ギャップ部26の間隔が、隣接する各コイル30の間に位置するコア20の第1ギャップ部25の間隔よりも大きい。そのため、第2ギャップ部26における磁気抵抗は、第1ギャップ部25における磁気抵抗よりも大きくなる。その結果、あるコイル30から発生する磁束は、そのコイル30に隣接するコイル30の内側(すなわち、磁気抵抗が高い第2ギャップ部26が形成された部分)を通過することが困難となる一方で、これら各コイル30の間(すなわち、磁気抵抗が低い第1ギャップ部25が形成された部分)を容易に通過するようになる。したがって、あるコイル30から発生した磁束が、そのコイル30に隣接するコイル30を通過することを防止することが可能となり、隣接する各コイル30間の磁気結合を小さくすることができる。
【0056】
また、隣接する各コイル30間の磁気結合が小さくなることにより、複数のコイル30をコア20内に近接して配置しても良好な磁気特性を得ることが可能となり、コイル装置10のコンパクト化を効果的に図ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1ギャップ部25は、隣接する各コイル30を結ぶ方向に延びており、第2ギャップ部26は、コイル30の内周面を結ぶ方向に延びている。そのため、あるコイル30から発生した磁束の大部分が、あるコイル30とそのコイル30に隣接するコイル30との間に形成された第1ギャップ部25を横切るように通過するようになるとともに、あるコイル30の内側に形成された第2ギャップ部26を横切るように通過するようになり、上述した効果を効果的に得ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、コア20は、隣接する各コイル30の間に形成される外側脚部22と、コイル30の内側に形成される内側脚部23とを有し、第1ギャップ部25は、外側脚部22に形成され、第2ギャップ部26は、内側脚部23に形成されている。この場合、あるコイル30から発生した磁束を外側脚部22および内側脚部23に通過させることにより、十分なインダクタンス特性を確保することができる。また、あるコイル30から発生した磁束を外側脚部22に形成された第1ギャップ部25および内側脚部23に形成された第2ギャップ部26を通過させることにより、上述した効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、コイル30の両端部には、外部回路に接続される実装部34が形成されている。そのため、実装部34を介して、コイル30を外部回路に容易に接続することができる。
【0060】
また、本実施形態では、コア20は、第1コア20aと第2コア20bとからなり、第1コア20aは、少なくとも1つの第1外側脚部22aと、複数の第1内側脚部23aとを有し、第2コア20bは、少なくとも1つの第2外側脚部22bと、複数の第2内側脚部23bとを有する。そして、第1ギャップ部25は、外側脚部22(第1外側脚部22aおよび第2外側脚部22b)が形成された位置で第1コア20aと第2コア20bとの間に形成され、第2ギャップ部26は、内側脚部23(第1内側脚部23aおよび第2内側脚部23b)が形成された位置で第1コア20aと第2コア20bとの間に形成されている。そのため、第1コア20aと第2コア20bとの組み合わせにより、第1ギャップ部25および第2ギャップ部26を容易に形成することが可能となり、上述した効果を容易に得ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、実装部34は、コア20の幅方向(Y軸方向)の側面から露出してはいない。この場合、実装部34の構成が簡素化される(例えば、
図7に示すコイル130のように、突出部340を実装部34に具備させる必要がない)ため、コイル30をコア20の内部に容易に配置する(例えば、コア20の上方から差し込むように挿入する)ことが可能となり、コイル装置10の製造が容易になる。
【0062】
第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0063】
図5Aに示すように、コイル装置110は、コア120と、複数(本実施形態では3個)のコイル130とを有する。コア120は、第1コア120aと第2コア120bとからなり、コア120a,120bを組み合わせて構成される。
図6に示すように、第1コア120aは、切欠部127を有するという点において、第1実施形態における第1コア20a(
図2B参照)とは異なる。なお、以下において、第2コア120bの形状は第1コア120aの形状と同様であるため、その説明については省略する。
【0064】
切欠部127は、
図2Bにおいて、第1外側脚部22aと第1内側脚部23aとの間に位置する第1ベース部21aの下端部をY軸方向に向かって切り欠くことにより形成される。切欠部127は第1側方部241または第2側方部241の下端部に連続的に接続されており、切欠部127には
図7に示すコイル130の実装部134の一部(後述する突出部340)を挿通させることが可能となっている。
【0065】
図7に示すように、コイル130は実装部134を有する。実装部134は、複数(図示の例では4個)の突出部340を有するという点において、第1実施形態における実装部34とは異なる。
【0066】
第1側面部31側の実装部134が有する2個の突出部340,340のうち、一方の突出部340は実装部134におけるY軸方向の一方側に位置し、Y軸方向の一方側に向かって突出している。他方の突出部340は、実装部134におけるY軸方向の他方側に位置し、Y軸方向の他方側に向かって突出している。
【0067】
第2側面部32側の実装部134が有する2個の突出部340,340のうち、一方の突出部340は実装部134におけるY軸方向の一方側に位置し、Y軸方向の一方側に向かって突出している。他方の突出部340は、実装部134におけるY軸方向の他方側に位置し、Y軸方向の他方側に向かって突出している。
【0068】
突出部340のY軸方向への突出幅は、上述した切欠部127のY軸方向の長さと略等しくなっており、突出部340は切欠部127の内側に配置される。
【0069】
本実施形態では、
図5Aに示すように、突出部340(実装部134の一部)は、コア120の幅方向(Y軸方向)の側面から露出している。より詳細には、
図7に示す実装部134のY軸方向の一方側に位置する各突出部340は、
図5Aに示す第1コア120aの第1ベース部21aの下端部からY軸方向の外側に露出(突出)している。実装部134のY軸方向の他方側に位置する各突出部340は、第2コア120bの第2ベース部21bの下端部からY軸方向の外側に露出(突出)している。
【0070】
図5Bに示すように、実装部134は、コア120の底面からZ軸方向の下方に向けて突出している。実装部134の突出幅は、突出部340のZ軸方向の高さと同程度であるか、それよりも小さい。実装部134において、コイル130のY軸方向幅は、コア120のY軸方向幅と略等しくなっている。
【0071】
本実施形態では、実装部134の一部(突出部340)が、コア120の幅方向の側面から露出している。そのため、コイル装置110を外部回路基板に実装するときに、コア120の側面から露出した実装部134の一部(突出部340)にはんだフィレットを形成することが可能となり、外部回路に対するコイル装置110の実装強度を向上させることができる。また、突出部340に形成されたはんだフィレットの状態に基づいて、実装部134に対するはんだの付き具合を確認することができる。
【0072】
また、本実施形態では、突出部340を設けた分だけコイル130(実装部134)の横幅が広くなるため、外部回路の配線(ランド)を短くすることが可能であり、直流抵抗(DCR)を低減することができる。
【0073】
また、実装部134に突出部340が具備されることにより、実装部134のY軸方向の横幅が大きくなり、コイル装置110を外部回路に実装したときに、実装姿勢における安定性を向上させ、コイル装置110を外部回路に安定的に実装することができる。
【0074】
第3実施形態
本発明の第3実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0075】
図8に示すように、コイル装置210は、複数(本実施形態では3個)のコイル230を有する。
図9Aに示すように、コイル230は実装部234を有し、実装部234は、屈曲部341を有するという点において、第1実施形態における実装部34とは異なる。
【0076】
第1側面部31側の実装部234が有する屈曲部341は、第1側面部31の下端部をZ軸方向からX軸方向に略直角に屈曲させた形状を有する。第2側面部232側の実装部234が有する屈曲部341は、第2側面部32の下端部をZ軸方向からX軸方向に略直角に屈曲させた形状を有する。
【0077】
図8に示すように、コア20の内部に複数(3個)のコイル230を配置させた状態において、いずれのコイル230においても、第1側面部231側の実装部234が有する屈曲部341の延在方向と、第2側面部232側の実装部234が有する屈曲部341の延在方向とは等しくなっている。
【0078】
本実施形態では、各コイル230の実装部234(屈曲部341)は、複数(3個)のコイル230の配列方向(X軸方向)に沿うように延在している。そのため、各コイル230の実装部234を介してコイル装置230のバランスを十分に確保することが可能となり、コイル230のY軸方向の横幅が狭いような場合であっても、コイル装置230を安定して外部回路に実装することができる。
【0079】
また、本実施形態では、隣接する一方のコイル230の実装部234(屈曲部341)と他方のコイル230の実装部(屈曲部341)とは、略同一の方向に延びている。そのため、隣接する一方のコイル230の実装部234と他方のコイル230の実装部234との間の間隔を十分に大きく確保する(あるいは一定間隔とする)ことが可能となり、隣接する各コイル230間におけるショート不良を防止することができる。
【0080】
第4実施形態
本発明の第4実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0081】
図10Aおよび
図10Bに示すように、コイル装置310は、第1コア320aと第2コア320bとを有する。本実施形態では、第1コア320aと第2コア320bとは、対応する形状を有してはおらず、異なる形状からなる。
【0082】
図11に示すように、第1コア320aは、複数(図示の例では4個)の第1外側脚部322aと、複数(図示の例では3個)の第1内側脚部323aとを有する。第1外側脚部322aは、その突出方向の長さ(長手方向に沿う長さ)が、第1実施形態における第1外側脚部22aに比べて長くなっている。第1内側脚部323aは、その突出方向の長さ(長手方向に沿う長さ)が、第1実施形態における第1内側脚部23aに比べて長くなっている。本実施形態では、第1コア320aの第1外側脚部322aのみで外側脚部322が構成されており、第1コア320aの第1内側脚部323aのみで内側脚部322が構成されている。
【0083】
第2コア320bは、第2ベース部221bのみを有し、第1実施形態における第2外側脚部22bおよび第2内側脚部23bに対応する構成を具備しおらず、平板形状(I型形状)のコアからなる。
【0084】
第1コア320aと第2コア320bとをY軸方向に対向させつつ組み合わせると、第1コア320aと第2コア320bとの間に、外側脚部322が形成された位置でY軸方向に所定幅を有する第1ギャップ部25が形成され、内側脚部323が形成された位置でY軸方向に所定幅を有する第2ギャップ部26が形成される。したがって、本実施形態のように、第1コア320aおよび第2コア320bの形状を変更した場合であっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0086】
上記各実施形態において、
図1Cに示す第1ギャップ部25のY軸方向幅G1は0であってもよい。この場合も、G1<G2とすることが可能であり、上記各実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、第1ギャップ25が省略されることになるため、コア20を1個のコア(すなわち、第2ギャップ26のみが形成されたコア)で構成することが可能である。
【0087】
上記第1実施形態では、
図1Aに示すように、コイル装置10の内部には6個のコイル30が配置されていたが、コイル30の数は、複数であれば特に限定されるものではない。上記第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0088】
上記第1実施形態では、
図2Aに示すように、第1コア20aには、複数(
図2Bに示す例では7個)の第1外側脚部22aが具備されていたが、第1外側脚部22aの数はこれに限定されるものではない。例えば、第1コア20aには、第1外側脚部22aが1個だけ具備されていてもよい。ただし、この場合、第1外側脚部22aは、2個の第1内側脚部22a,22aの各々の間に配置される。また、第1外側脚部22aの数は、2個以上6個以下であってもよく、あるいは8個以上であってもよい。上述した点は第2コア20bについても同様である。
【0089】
また、上記各実施形態では、
図1Cに示すように、第1ギャップ部25は、Y軸方向に沿ってまっすぐに延びていたが、Y軸に対して傾斜して延びていてもよい。また、第2ギャップ部26についても同様である。
【0090】
上記第2実施形態では、
図5Aに示すように、コア120は各々同一形状からなる対称なコア120a,120bの組み合わせにより構成されたが、コア120の構成はこれに限定されるものではなく、各々異なる形状からなる非対称なコア120a,120bの組み合わせにより構成されてもよい。例えば、コア120は、E型形状のコアと平板形状(I型形状)のコアとからなるEI型のコアであってもよい。この場合、E型形状のコアの脚部と平板形状のコアの板面との組み合わせ位置に第1ギャップ部25および第2ギャップ部26を形成することが可能となり、この場合も上記第2実施形態と同様の効果が得られる。上記第3実施形態についても同様である。
【0091】
上記各実施形態において、
図3Bに示すように、コイル30のY軸方向の横幅L1は、コイル30の高さ方向(Z軸方向)に直交する方向(X軸方向)の長さL2よりも大きくてもよい。このような構成とすることにより、コア20の内部に複数のコイル30を配置する場合であっても、複数のコイル30の配列方向(X軸方向)に沿う方向のコア20の長さを短くすることが可能となり、コイル装置10の小型化(薄型化)を図ることができる。
【0092】
上記各実施形態において、コア20は、複数のコイル30の上方を覆う天板部を有していてもよい。この場合、天板部は
図1Aに示す第1コア20aおよび第2コア20bの各々の第1外側脚部22aの上端面を覆うように取り付けられる。このような構成とすることにより、天板部の上面を吸着面として用いることが可能となり、コイル装置10のハンドリング性能を高めることができる。なお、天板部はコア20とは別体で構成されていてもよく、あるいはコア20と一体に構成されていてもよい。
【0093】
上記第3実施形態において、
図9Bに示すように、第1側面部231側の実装部234が有する屈曲部341の延在方向と、第2側面部232側の実装部234が有する屈曲部341の延在方向とは異なっていてもよい。図示の例では、第1側面部231側の実装部234が有する屈曲部341と、第2側面部232側の実装部234が有する屈曲部341とはX軸方向に沿って互いに反対側を向いている。
【符号の説明】
【0094】
10,110,210,310…コイル装置
20,120,320…コア
20a,120a,320a…第1コア
20b,120b,320b…第2コア
21a…第1ベース部
21b…第2ベース部
22,322…外側脚部
22a,322a…第1外側脚部
22b…第2外側脚部
23,323…内側脚部
23a,323a…第1内側脚部
23b…第2内側脚部
24a…第1溝部
24b…第2溝部
241…第1側方部
242…第2側方部
243…上方部
25…第1ギャップ部
26…第2ギャップ部
127…切欠部
30,130,230…コイル
31…第1側面部
32…第2側面部
33…上面部
34,134,234…実装部
340…突出部
341…屈曲部