(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】放送用素材バンクシステム及びその整合チェック方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/27 20110101AFI20250114BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20250114BHJP
H04H 60/04 20080101ALI20250114BHJP
【FI】
H04N21/27
H04N21/258
H04H60/04
(21)【出願番号】P 2021072921
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆志
(72)【発明者】
【氏名】魏 トウレイ
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋子
(72)【発明者】
【氏名】川越 健一
(72)【発明者】
【氏名】今村 剛志
(72)【発明者】
【氏名】小松 創
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雄三
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-014829(JP,A)
【文献】特開2001-016549(JP,A)
【文献】特開2002-016566(JP,A)
【文献】特開2004-120414(JP,A)
【文献】特開2016-058783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H04H 40/90 -60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位システムの営放システムから配信される番組用、CM(Commercial Message)用、VAF(Video Audio File)用それぞれのファイリング指示データを番組用ファイリング指示データのデータベース、CM用ファイリング指示データのデータベース、VAF用ファイリング指示データのデータベースに格納する手段と、
上位システムのデータサーバシステムから配信される番組用、CM用、VAF用それぞれのプレイリストデータを番組用プレイリストデータのデータベース、CМ用プレイリストデータのデータベース、VAF用プレイリストデータのデータベースに格納する手段と、
ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの整合チェックの開始の指示を受けて整合チェックを実行する整合チェック手段と
を具備し、
前記整合チェック手段は、
整合チェック用の素材リスト画面をモニタ表示し、
前記ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの選択を受けて、選択されたチェック対象の番組用プレイリストデータ整合チェック、CM用プレイリストデータ整合チェック、VAF用プレイリストデータ整合チェックのいずれかを実行し、
前記整合チェックが完了した場合には、チェック結果をモニタ表示し、
前記チェック対象とする素材を任意に切り換えて他の素材の整合チェックを行う放送用素材バンクシステム。
【請求項2】
前記整合チェック手段は、ユーザが指定する検索条件に従ってチェック対象を特定する請求項1記載の放送用素材バンクシステム。
【請求項3】
前記整合チェック手段は、前記チェック結果の一覧リストと前記検索条件の入力画面を同時に表示する請求項2記載の放送用素材バンクシステム。
【請求項4】
前記整合チェック手段は、前記チェック結果の一覧リストで、1番組に複数エラー情報が内包する場合に、リスト展開の指定アイコンを表示して、当該指定アイコンの操作に応じてアコーディオン形式によりエラー群を全て表示する請求項2記載の放送用素材バンクシステム。
【請求項5】
上位システムの営放システムから配信される番組用、CM(Commercial Message)用、VAF(Video Audio File)用それぞれのファイリング指示データを番組用ファイリング指示データのデータベース、CM用ファイリング指示データのデータベース、VAF用ファイリング指示データのデータベースに格納し、
上位システムのデータサーバシステムから配信される番組用、CM用、VAF用それぞれのプレイリストデータを番組用プレイリストデータのデータベース、CМ用プレイリストデータのデータベース、VAF用プレイリストデータのデータベースに格納する放送用素材バンクシステムに用いられ、
ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの整合チェックの開始の指示を受けて、整合チェック用の素材リスト画面をモニタ表示し、
前記ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの選択を受けて、選択されたチェック対象の番組用プレイリストデータ整合チェック、CM用プレイリストデータ整合チェック、VAF用プレイリストデータ整合チェックのいずれかを実行し、
前記整合チェックが完了した場合には、チェック結果をモニタ表示し、
前記チェック対象とする素材を任意に切り換えて他の素材の整合チェックを行う放送用素材バンクシステムの整合チェック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、放送用素材バンクシステム及びその整合チェック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送システムでは、放送用素材バンクシステム(いわゆる統合バンクシステム)により、番組、CM(Commercial Message)、VAF(Video Audio File)それぞれの素材ファイルを一括して管理している。この際、上位システムである営放システムから配信される番組、CM、VAFそれぞれの素材に関するファイリング指示データを第1のデータベースに格納し、上位システムのデータサーバシステムから配信される放送日、放送時刻、放送する素材ID、素材そのもの等の情報が記載されているプレイリストデータを第2のデータベースに格納する。放送用素材バンクシステムでは、番組、CM、VAFそれぞれの素材ごとに整合チェック用のアプリケーションソフトを備えており、素材ごとにアプリケーションソフトを切り換えて、ファイリング指示データとプレイリストデータとを突き合わせて各素材の整合チェックを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、従来の放送用素材バンクシステムでは、番組、CM、VAFそれぞれの素材ごとに用意されるアプリケーションソフトによって、個別にファイリング指示データとプレイリストデータとを突き合わせて整合チェックを行っており、番組、CM、VAFの素材をまとめて整合チェックを行う場合には、素材ごとのアプリケーションソフトをその都度切り替えなければならず、煩雑な作業が強いられている。
【0005】
本発明に係る実施形態の課題は、番組、CM、VAFの素材をまとめて整合チェックを行う場合でも、アプリケーションソフトを切り替えることなく、シームレスに整合チェックを行うことのできる放送用素材バンクシステム及びその整合チェック方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る放送用素材バンクシステムによれば、上位システムの営放システムから配信される番組用、CM(Commercial Message)用、VAF(Video Audio File)用それぞれのファイリング指示データを番組用ファイリング指示データのデータベース、CM用ファイリング指示データのデータベース、VAF用ファイリング指示データのデータベースに格納し、上位システムのデータサーバシステムから配信される番組用、CM用、VAF用それぞれのプレイリストデータを番組用プレイリストデータのデータベース、CМ用プレイリストデータのデータベース、VAF用プレイリストデータのデータベースに格納するシステムであって、ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの整合チェックの開始の指示を受けて整合チェックを実行する整合チェック手段を備える。前記整合チェック手段は、整合チェック用の素材リスト画面をモニタ表示し、前記ユーザ操作により指定される番組、CM、VAFの少なくともいずれかの選択を受けて、選択されたチェック対象の番組用プレイリストデータ整合チェック、CM用プレイリストデータ整合チェック、VAF用プレイリストデータ整合チェックのいずれかを実行し、前記整合チェックが完了した場合には、チェック結果をモニタ表示し、前記チェック対象とする素材を任意に切り換えて他の素材の整合チェックを行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る放送用素材バンクシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図1に示すシステムにおけるプレイリストのチェック結果一覧画面の全体レイアウト例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すチェック結果で複数エラー情報を表示し、リスト展開で他エラー群を全て表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る放送用素材バンクシステム(以下、バンクシステムと記す)の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すバンクシステム11は、情報処理装置として、演算処理装置(CPU)111、プログラム格納用の読み出し専用メモリ(ROM)112、ユーザ操作を入力するためのインターフェース113、モニタ用ディスプレイ114を備える。これらはバス115に接続される。また、バス115には、上位システムの営放システム21から配信される素材に関するファイリング指示データを受信するインターフェース(IF)116、上位システムのデータサーバシステム31から配信される、放送日、放送時刻、素材コード、送出時間が記載されたプレイリストデータを受信するインターフェース(IF)117が接続される。さらに、バス115には、番組用ファイリング指示データを格納するデータベース1181、CM用ファイリング指示データを格納するデータベース1182、VAF用ファイリング指示データを格納するデータベース1183、番組用プレイリストデータを格納するデータベース1191、CM用プレイリストデータを格納するデータベース1192、VAF用プレイリストデータを格納するデータベース1193が接続される。
【0011】
上記ROM112には、一連のデータベース格納処理及び整合チェック処理を行うアプリケーションソフト(プログラム)が格納されており、ユーザのアプリケーション実行指示入力によってROM112からプログラムがロードされ、CPU111によって一連の処理が実行される。
【0012】
上記構成によるバンクシステムにおいて、
図2から
図4を参照して一連の処理動作を説明する。
図2は、
図1に示すバンクシステム11において、ROM112に格納されるアプリケーションソフト(プログラム)による一連のデータ格納処理及び整合チェック処理の流れを示すフローチャート、
図3は、
図1に示すバンクシステム11におけるプレイリストのチェック結果一覧画面の全体レイアウト例を示す図、
図4は、
図3に示すチェック結果で複数エラー情報を表示し、リスト展開で他エラー群を全て表示する例を示す図である。
【0013】
まず、バンクシステム11は、インターフェース116で上位システムの営放システム21から配信される番組用、CM用、VAF用それぞれのファイリング指示データを受信すると、番組用ファイリング指示データをデータベース1181に格納し、CM用ファイリング指示データをデータベース1182に格納し、VAF用ファイリング指示データをデータベース1183に格納する(ステップS1)。また、バングシステム11は、インターフェース117で上位システムのデータサーバシステム31から配信される番組用、CM用、VAF用それぞれのプレイリストデータを受信すると、番組用プレイリストデータをデータベース1191に格納し、CМ用プレイリストデータをデータベース1192に格納し、VAF用プレイリストデータをデータベース1193に格納する(ステップS2)。
【0014】
ファイリング指示データ及びプレイリストデータのデータベース格納後、ユーザ操作により整合チェックの開始が指示されると(ステップS3)、バンクシステム11は整合チェック用の素材リスト画面をモニタ表示する(ステップS4)。次に、ユーザがチェック対象として番組用、CM用、VAF用のいずれかを選択すると(ステップS5)、選択された番組用プレイリストデータ整合チェック(ステップS6)、CM用プレイリストデータ整合チェック(ステップS7)、VAF用プレイリストデータ整合チェック(ステップS8)のいずれかを実行する。整合チェックが完了した場合には、チェック結果をモニタ表示する(ステップS9)。続けてチェック対象を切り換えて他の素材の整合チェックを行いたい場合には(ステップS10)、ステップS4に戻り、チェック対象とする素材を選択する。チェック対象の切換指示がなければ一連の処理を終了する。
【0015】
【0016】
図3は、全ての番組、CM、VAFの放送素材プレイリストデータからフィルタリングして、放送予定日時、放送種別(サービス、ブロック、ケース)を同時に一覧する画面を示している。ここでは、システム区分の番組、CM、VAFをリスト形式で一括表示している。番組、CM、VAFの全て表示する場合に限らず、単独または2種のみの表示も可能である。
【0017】
本実施形態では、チェック結果一覧リストと検索条件入力画面を同時に表示し、ユーザが指定する検索条件に従ってチェック対象を特定することで、所望の素材のチェック結果を一覧表示する。この場合、番組、CM、VAFの放送素材ファイルを一括管理しているため、検索条件を変更することで、簡単に再検索が可能となる。必要に応じて、チェック項目で絞り込んで検索することも可能である。
【0018】
例として、
図3に示す表示画面では、右側のプレイリストチェック条件の欄に、システム区分の番組、CM、VAFを任意に選択し、放送日(指定日、期間)、放送種別(サービス、ブロック、ケース)、チェック項目(例えば、素材データなし、未収録、未PV、A系未転送、B系未転送、A系転送中、B系転送中、A系ハッシュ不一致、B系ハッシュ不一致、素材DT、使用期限切れ、字幕未登録、字幕モード、映像モード(4K)、音声モード、枠内DTチェック、スーパーチェック)に示される各種条件を任意に選択して目的に沿った検索が可能となっている。
【0019】
これにより、例えば3つ番組、CM、VAFの同時表示するモード、2つ表示できるモード、1つ表示できるモードなど、モードを切り替える制御が可能である。
【0020】
また、例えば放送日のように、時間の絞り表示で同じ時間で3つの素材が同じ並びに当て嵌まる情報を表示することができる。
【0021】
表示に際して、全体の配色として、エラーや未完了など重要情報に、目立つ暖色系(赤色/橙色/黄色)を配することで、作業忘れ防止の一助となる。また、全体の配色として、作業者が注力している間だけ、該当アイテムに有彩色を使い、それ以外は無彩色で表示することで、多くの情報量で煩雑に見えないように工夫するとよい。結果一覧は、情報粒度(俯瞰と詳細)を快適に扱う工夫として、アコーディオン形式によるリスト表示を適用する。具体的には、左端の[+]ボタン操作でリスト拡張表示を実行し、[-]ボタン操作でリスト縮小表示を実行することが可能となっている。なお、リスト拡張表示、リスト縮小表示については、右端の[≫]を上方向、下方向に示すシンボルのボタン操作でも同様に実施可能である。
【0022】
図3の表示画面では、1番組に複数エラー情報が内包する場合に、[他]ボタンを点灯表示で明示している。例えば、
図4(a)に示すように、[他]ボタンを押下することで、
図4(b)に示すように、アコーディオン形式によるリスト展開で他エラー群を全て表示することができる。[閉]ボタンを押下することで展開されたリストを縮退することができる。
【0023】
なお、[他]のアイコンにエラー情報を集約し、[他]アイコンをクリックしたらエラー詳細を展開できるようにしてもよい。
【0024】
また、当画面をプリントアウトして、事前資料として配布可能とするとよい。この際、画面のカラー配色を印刷用のカラー配色に置き換える機能を備えるようにするとよい。
【0025】
以上のように、本実施形態では、番組、CM、VAFそれぞれの整合チェック用アプリケーションソフトを個別に用意するのではなく、1つのアプリケーションソフトで素材別に切り換えて整合チェックを行うことができ、一括または単独または2つを選択してチェック結果を提示することができるので、番組、CM、VAFの素材をまとめて整合チェックを行う場合でも、アプリケーションソフトを切り替えることなく、シームレスに整合チェックを行うことができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0027】
11…バンクシステム、111…演算処理装置(CPU)、112…読み出し専用メモリ(ROM)、113…操作入力インターフェース、114…モニタ用ディスプレイ、115…バス、116…ファイリング指示データ受信インターフェース(IF)、117…プレイリストデータ受信インターフェース(IF)、1181…番組用ファイリング指示データ格納データベース、1182…CM用ファイリング指示データ格納データベース、1183…VAF用ファイリング指示データ格納データベース、1191…番組用プレイリストデータを格納するデータベース、1192…CM用プレイリストデータ格納データベース、1193…VAF用プレイリストデータ格納データベース、21…上位システム(営放システム)、31…上位システム(データサーバシステム)。