(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】マルチモーダル輸送システム、マルチモーダル輸送方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20250114BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20250114BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20250114BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250114BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250114BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20250114BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/005
G01C21/26 P
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021156842
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 智晴
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207118(JP,A)
【文献】特開2021-009675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/005
G01C 21/26
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の移動体を利用してユーザが出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送システムであって、
前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程を生成する生成部と、
前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定部と、
利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末へ出力する提案部と、
前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視部と、を備え、
前記生成部は、前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの
、前記ユーザが今後利用する予定の第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部
の変更
を判断した場合、前記旅程の前記一部を変更し、
前記提案部は、前記旅程の前記一部の
前記変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程を前記外部端末へ出力する、マルチモーダル輸送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチモーダル輸送システムであって、
前記旅程は、前記ユーザが前記第1移動体を利用して前記移動経路のうちの第1地点から第2地点まで移動し、且つ前記ユーザが前記第2移動体を利用して前記移動経路のうちの第3地点から前記第1地点まで移動することを含み、
前記監視部は、前記第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報に基づき、前記第1移動体が前記旅程に基づく所定時刻までに前記第2地点に到着できるか否かを判定し、
前記第1移動体が前記所定時刻までに前記第2地点に到着できないと判定された場合、前記生成部は、前記第1地点を前記第1地点とは異なる第4地点に変更することにより、前記第1移動体および前記第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する、マルチモーダル輸送システム。
【請求項3】
請求項2に記載のマルチモーダル輸送システムであって、
前記旅程は、前記ユーザが前記複数種類の移動体のうちの第3移動体を利用して前記移動経路のうちの第5地点から前記第3地点まで移動することをさらに含み、
前記ユーザが前記第3移動体を利用して移動中に、前記第1移動体が前記所定時刻までに前記第2地点に到着できないと判定された場合、前記生成部は、前記第1地点を前記第4地点に変更するとともに、前記第3地点を前記第3地点とは異なる第6地点に変更することにより、前記第1移動体、前記第2移動体および前記第3移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する、マルチモーダル輸送システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のマルチモーダル輸送システムであって、
前記第2移動体の種類は航空輸送手段であり、前記第1移動体の種類は前記航空輸送手段とは異なる輸送手段である、マルチモーダル輸送システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマルチモーダル輸送システムであって、
前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの着座位置を識別する情報を取得する識別部をさらに備え、
前記提案部は、前記着座位置に応じて前記外部端末を決定し、決定した前記外部端末へ、変更された前記旅程を出力する、マルチモーダル輸送システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のマルチモーダル輸送システムであって、
前記提案部は、前記旅程とともに、前記複数種類の移動体の利用予約を提案する予約伺いを前記外部端末へ出力し、
前記旅程の前記一部が変更されると、前記提案部は、変更された前記旅程とともに、前記利用予約の変更を提案する予約変更伺いを、前記外部端末へ出力する、マルチモーダル輸送システム。
【請求項7】
複数種類の移動体を利用してユーザが出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送方法であって、
前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程を生成する生成ステップと、
前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定ステップと、
利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末へ出力する提案ステップと、
前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視ステップと、
前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの
、前記ユーザが今後利用する予定の第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部
の変更
を判断した場合、前記旅程の前記一部を変更する変更ステップと、
前記旅程の前記一部の
前記変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程を前記外部端末へ出力する出力ステップと、を含む、マルチモーダル輸送方法。
【請求項8】
請求項7に記載のマルチモーダル輸送方法をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチモーダル輸送システム、マルチモーダル輸送方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、陸上輸送手段および航空輸送手段を併用してユーザを輸送するためのシステムにおいて、ユーザを輸送中に、現在の輸送手段による輸送の進行状態を、後続の輸送手段による輸送の状態に用いることで、後続の輸送を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2021/0241234号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたマルチモーダル輸送システムでは、後続の輸送によるユーザの移動が旅程通りに進行しない状況に至ることが予測されても、その状況を回避することが困難という課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、複数種類の移動体を利用してユーザが出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送システムであって、前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程を生成する生成部と、前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定部と、利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末へ出力する提案部と、前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視部と、を備え、前記生成部は、前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更し、前記提案部は、前記旅程の前記一部の変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程を前記外部端末へ出力する。
【0007】
本発明の第2の態様は、複数種類の移動体を利用してユーザが出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送方法であって、前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程を生成する生成ステップと、前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定ステップと、利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末へ出力する提案ステップと、前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視ステップと、前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する変更ステップと、前記旅程の前記一部の変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程を前記外部端末へ出力する出力ステップと、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様は、第2の態様のマルチモーダル輸送方法をプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開始された輸送の後続の輸送によるユーザの移動が旅程通りに進行しない状況を回避する可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施の形態におけるマルチモーダル輸送システムの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、旅程の生成および移動体の利用予約のシーケンスを示す図である。
【
図5】
図5は、旅程の一部変更および移動体の利用予約変更のシーケンスを示す図である。
【
図6】
図6は、生成され、確定した旅程を例示する図である。
【
図7】
図7は、変更された旅程を例示する図である。
【
図8】
図8は、旅程サーバで行われる旅程の生成処理および移動体の利用予約処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、旅程サーバで行われる旅程の一部を変更する処理および移動体の利用予約を変更する処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例1におけるマルチモーダル輸送システムで変更された旅程を例示する図である。
【
図11】
図11は、変形例2におけるマルチモーダル輸送システムでユーザの着座位置を識別するセンサの移動体への搭載例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施の形態におけるマルチモーダル輸送システム10の構成を示す図である。マルチモーダル輸送システム10は、ユーザが、複数種類の移動体を利用して出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供する。本実施の形態におけるマルチモーダル輸送システム10は、旅程サーバ30、ユーザ端末40、複数の情報提供サーバ50および複数の移動体管理サーバ60を含む。これらの装置は、それぞれ通信ネットワーク20を介して接続されている。なお、本実施の形態で利用される移動体としては、例えば自動車、航空機、列車、バス、船舶といった、様々な移動体が適用される。
【0012】
各情報提供サーバ50は、上記した移動体の移動に関する交通情報、或いはユーザ端末40の位置情報を提供する。各移動体管理サーバ60は、複数種類の移動体の利用サービスに参加する移動体のプロバイダが、自らが保有する移動体を管理するためのサーバである。各移動体管理サーバ60は、プロバイダが保有する移動体の利用可否を判断し、移動体の利用予約を処理し、移動体が移動中であれば移動体の現在地の情報を提供する。
【0013】
旅程サーバ30は、ユーザ端末40を介してユーザから旅程の生成依頼を受けると、移動体管理サーバ60に対して移動体の利用可否を問合せ、問合せ結果に基づいて旅程を生成する。旅程サーバ30は、複数種類の移動体を利用する旅程を、ユーザ端末40を介してユーザに提案する。旅程サーバ30は、ユーザにより旅程が指定され、その旅程に含まれる移動体の利用予約の申請依頼があると、移動体管理サーバ60に対して予約申請を行う。移動体の利用予約が確定すると、旅程サーバ30は、旅程を確定し、ユーザ端末40を介してユーザに通知する。
【0014】
旅程サーバ30は、確定した旅程に沿ってユーザが移動中に情報提供サーバ50から取得した交通情報に基づいて、旅程の一部を変更することを、ユーザ端末40を介してユーザに提案する。旅程の一部が変更されると、旅程サーバ30は、移動体管理サーバ60に対して、移動体の利用予約の変更を申請する。
【0015】
ユーザ端末40は、ユーザが旅程サーバ30に旅程の生成を依頼する際の、旅程生成条件の入力および送信に用いられる。ユーザ端末40は、旅程サーバ30から提案される旅程および移動体の利用予約の予約伺いを表示するだけでなく、それらの変更提案および変更伺いも表示する。
【0016】
図2は、旅程サーバ30の構成を示す図である。旅程サーバ30は、処理回路と、プログラム等を記憶するメモリとを有する。旅程サーバ30の処理回路がプログラムを実行することで、本実施の形態の旅程サーバ30として機能する。旅程サーバ30は、ユーザの出発地から目的地までの移動経路と、その移動経路に沿って移動する複数種類の移動体を含む旅程を生成し、その旅程をユーザに提案するためにその旅程をユーザ端末40へ出力する。処理回路は、CPU等のプロセッサを含む。旅程サーバ30の処理回路がプログラムを実行することにより、旅程サーバ30は、生成部110、決定部120、提案部130、予約部140、監視部150および識別部160として機能する。これらのうちの少なくとも一部が、ASIC、FPGA、またはその他の集積回路によって実現されてもよい。旅程サーバ30のメモリは、RAM等の揮発性メモリと、ROMおよびフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを含む。
【0017】
生成部110は、ユーザの出発地と目的地とに基づいて、出発地から目的地までの移動経路と、移動経路に沿って移動する複数種類の移動体を含む旅程を生成する。生成部110は、ユーザにより指定された旅程に基づいて移動中のユーザの移動状況と、第1移動体による移動に関連する交通情報とに基づいて、第2移動体による移動に関する旅程の一部を変更する。第1移動体および第2移動体は、いずれもユーザが旅程に基づいて今後利用する予定の移動体である。ユーザは、第1移動体よりも前に第2移動体を利用する予定である。
【0018】
決定部120は、旅程に基づく複数種類の移動体を利用できるか否かを、移動体管理サーバ60に問い合わせた結果に基づいて決定する。旅程の一部が変更された場合、移動体の利用予約を変更できるか否かを、移動体管理サーバ60に問い合わせた結果に基づいて決定する。
【0019】
提案部130は、利用できると決定された旅程をユーザに提案するために旅程をユーザ端末40へ出力する。提案部130は、その旅程に含まれる複数種類の移動体の利用予約を提案する予約伺いを、その旅程とともにユーザ端末40へ出力する。提案部130は、旅程の一部の変更をユーザに提案するために、変更された旅程をユーザ端末40へ出力する。旅程の一部が変更されると、提案部130は、変更された旅程とともに、移動体の利用予約の変更を提案する予約変更伺いを、ユーザ端末40へ出力する。
【0020】
予約部140は、ユーザ端末40から、移動体の利用予約の申請依頼、或いは、移動体の利用予約の変更申請依頼を受け取ると、移動体管理サーバ60に対し、移動体の利用予約或いはその変更を申請する。
【0021】
監視部150は、旅程に基づいて移動するユーザの移動状況を監視する。ユーザの移動状況は、移動体管理サーバ60から提供される移動体の現在地の情報と、情報提供サーバ50から提供されるユーザ端末40の位置情報とに基づいて得られる。
【0022】
識別部160は、旅程に基づき移動するユーザの、移動体における着座位置を識別する情報を、移動体に搭載されたセンサから取得する。
【0023】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、ユーザ端末40の画面表示例を示す図である。スマートフォン等のユーザ端末40において、アプリケーションソフトウェアが実行されることにより、これらの画面が表示される。
図3Aに例示される画面は、ユーザが旅程サーバ30に旅程の生成を依頼する際に旅程生成条件を入力するために表示される。ユーザは、ユーザ端末40を操作して、入力フィールド210に、旅程生成条件として、出発地、出発時刻、目的地および到着時刻を入力する。ユーザは、旅程生成条件を入力完了後、画面に表示されている送信ボタン220を押す。ユーザ端末40から旅程サーバ30へ、通信ネットワーク20を介して、旅程生成条件が送信される。
【0024】
図3Bは、旅程サーバ30の提案部130が複数の旅程の案をユーザに提案するためにユーザ端末40へ出力した結果として表示される画面の一例を示している。この画面は、提案部130が提案した旅程に含まれる複数種類の移動体の利用予約を提案する予約伺いの役割も兼ねている。ユーザは、ユーザ端末40を操作して、画面に表示される複数の旅程の案のうちの一つに対応するラジオボタン230を選択することにより、旅程を指定する。ユーザは、旅程を指定後、その旅程に含まれる複数種類の移動体の利用予約申請を旅程サーバ30に依頼するために、画面に表示されている予約ボタン240を押す。ユーザ端末40から旅程サーバ30へ、通信ネットワーク20を介して、移動体の利用予約申請の依頼が送信される。
【0025】
図3Cは、旅程サーバ30の提案部130が、旅程の一部の変更を、当初指定された旅程に基づいて移動中のユーザに提案するために、変更後の旅程をユーザ端末40へ出力した結果として表示される画面の一例を示している。この画面は、旅程の一部の変更に必要な移動体の利用予約の変更を提案する予約変更伺いの役割も兼ねている。ユーザは、現在進行中の旅程、ユーザの現在地、および目的地への到着時刻の予想値を表示したコンテンツ250と、今後の旅程の変更案、ユーザの現在地、および目的地への到着時刻の予想値を表示したコンテンツ260とを、ユーザ端末40の画面表示で確認する。ユーザは、予約の変更申請を旅程サーバ30に依頼する場合、画面に表示されている予約変更ボタン270を押す。ユーザ端末40から旅程サーバ30へ、通信ネットワーク20を介して、移動体の利用予約を変更する申請の依頼が送信される。
【0026】
図4は、旅程の生成および移動体の利用予約のシーケンスを示す図である。ユーザ端末40において、
図3Aに示す画面表示を用いて、ユーザにより旅程生成条件が入力され、旅程作成依頼が旅程サーバ30へ送信される。旅程サーバ30において、生成部110は、取得した旅程生成条件に基づき複数の旅程を生成する。決定部120は、生成された旅程に基づく複数種類の移動体を利用できるか否かを、それぞれの種類の移動体に対応する移動体管理サーバ60に問い合わせる。旅程に含まれる複数種類の移動体が、例えばライドシェアサービスの複数のプロバイダにより、それぞれ提供される場合、決定部120は、複数種類の移動体のそれぞれの利用可否を、複数のプロバイダがそれぞれ運用する移動体管理サーバ60に問い合わせる。
【0027】
各プロバイダが運用する移動体管理サーバ60は、各プロバイダが保有する移動体の利用可否を判断し、旅程サーバ30へ回答する。
【0028】
旅程サーバ30の決定部120は、移動体管理サーバ60からの回答を取得し、取得した回答に基づき、利用できる移動体を決定する。移動体が自動車の場合、そのユーザのみによる利用に供する配車が可能であれば、その移動体は利用できる。移動体が多数のユーザを輸送する定期便の航空機或いは列車等の場合、空席があって座席予約が可能であれば、その移動体は利用できる。生成部110は、生成されている複数の旅程のうち、移動体が利用できると決定された旅程に、利用できる移動体の情報を含めて、ユーザに提案される旅程を生成する。提案部130は、ユーザに提案する旅程に対応して、利用できる移動体の利用予約をユーザに提案する利用予約伺いを作成する。提案部130は、生成部110により生成された旅程とともに、ユーザに提案する移動体の利用予約伺いを、ユーザ端末40へ出力する。
【0029】
ユーザ端末40において、
図3Bに示す画面表示を用いて、複数の旅程の案が表示される。ユーザにより、1つの旅程の案が指定されるとともに、移動体の利用予約申請が入力され、利用予約申請の依頼が旅程サーバ30へ送信される。
【0030】
旅程サーバ30の予約部140は、ユーザ端末40から移動体の利用予約申請の依頼を受信すると、移動体管理サーバ60へ移動体の利用予約を申請する。
【0031】
移動体管理サーバ60は、移動体の利用予約申請を受け付け、その移動体の利用が可能であれば、移動体の利用予約を確定する。移動体管理サーバ60は、移動体の利用予約を確定したことを、旅程サーバ30に通知する。
【0032】
旅程サーバ30の予約部140は、移動体の利用予約の確定の通知を移動体管理サーバ60から受けると、利用予約が確定した移動体を含む旅程を確定し、確定した旅程をユーザ端末40へ出力する。
【0033】
ユーザ端末40は、確定した旅程を、画面に表示する。
【0034】
図5は、旅程の一部変更および移動体の利用予約変更のシーケンスを示す図である。移動体管理サーバ60は、移動体を利用して移動するユーザの現在地を特定する。ユーザの現在地に関する情報は、移動体の位置情報、ユーザ端末40の位置情報、およびユーザが移動体の利用を開始または終了する際の手続情報等に基づいて得られる。手続情報としては、例えば移動体の運転手による乗客輸送サービスの開始受付の完了通知、或いはチェックインカウンターにおけるチェックイン手続の完了通知等が挙げられる。ユーザが移動体を利用する際の移動体管理サーバ60は、特定したユーザの現在地を、旅程サーバ30の監視部150からの要求に応じて監視部150へ通知する。
【0035】
旅程サーバ30の監視部150は、移動体管理サーバ60から取得したユーザの現在地の情報に基づいてユーザの移動状況を監視する。監視部150は、情報提供サーバ50からユーザ端末40の位置情報を取得し、その位置情報に基づいてユーザの移動状況を監視してもよい。監視部150は、現在移動するユーザが利用している移動体の製造業者が運営する他の外部サーバから移動体の位置情報を取得し、その位置情報に基づいてユーザの移動状況を監視してもよい。監視部150は、ユーザの移動状況として、ユーザの現在地と、ユーザが現在利用している移動体を特定する。このユーザが現在利用している移動体を第3移動体とする。
【0036】
情報提供サーバ50は、旅程に含まれる複数種類の移動体によるユーザの移動に関連する交通情報を、旅程サーバ30の監視部150からの要求に応じて生成し、監視部150へ提供する。このユーザが今後利用する予定の移動体のうちの1つを第1移動体とする。情報提供サーバ50が監視部150へ提供する交通情報には、第1移動体によるユーザの移動に関連する交通情報が含まれる。交通情報は、例えば渋滞情報である。
【0037】
旅程サーバ30の監視部150は、情報提供サーバ50から、第1移動体を含む複数種類の移動体によるユーザの移動に関連する交通情報を取得する。移動体管理サーバ60が監視部150へ交通情報を提供可能な場合、監視部150は、移動体管理サーバ60から交通情報を取得してもよい。監視部150は、取得した交通情報に基づき、第1移動体が旅程に基づく所定時刻までに第1移動体が目指す終点に到着できるか否かを判定する。第1移動体が目指す終点を第2地点とする。所定時刻は、旅程で定められる第2地点への第1移動体の到着予定時刻と一致する時刻であってもよいし、到着予定時刻よりも遅い時刻であってもよい。
【0038】
旅程サーバ30の生成部110は、監視部150により取得されたユーザの移動状況と交通情報とに基づき、旅程の一部を変更するか否かを判断する。例えば、監視部150により、ユーザがまだ第3移動体で移動中であることが特定された場合であって、且つ第1移動体が上記所定時刻までに第2地点に到着できないと判断された場合に、生成部110は旅程の一部を変更する。例えば、ユーザが、第3移動体の利用後であって、且つ第1移動体の利用前に、第2移動体を利用する予定である場合、その第2移動体によるユーザの移動に関する旅程の一部が変更される。ただし、旅程の一部が変更されてもなお、第1移動体が所定時刻までに第2地点に到着できない場合は、生成部110は旅程の一部を変更しなくてもよい。
【0039】
旅程サーバ30の決定部120は、変更される旅程に対応して第1移動体および第2移動体の利用予約をそれぞれ変更することができるか否かを、予約変更の対象となる第1移動体および第2移動体にそれぞれ対応する移動体管理サーバ60に問い合わせる。移動体の利用予約の変更では、例えばユーザが第2移動体から第1移動体へ乗り継ぐ地点が、第1地点から第4地点に変更される。
【0040】
各移動体管理サーバ60は、第1移動体および第2移動体の各移動体の利用予約の変更可否を判断し、旅程サーバ30へ回答する。
【0041】
旅程サーバ30の決定部120は、各移動体管理サーバ60からの回答を取得し、取得した回答に基づき、各移動体の利用予約を変更できるか否かを決定する。生成部110は、変更した旅程に、第1移動体および第2移動体の利用予約の変更に関する情報を含めて、ユーザに提案される旅程を生成する。提案部130は、ユーザに提案する変更された旅程に対応して、第1移動体および第2移動体の利用予約の変更をユーザに提案する利用予約の変更伺いを作成する。提案部130は、生成部110により生成された変更後の旅程とともに、移動体の利用予約の変更をユーザに提案する利用予約変更伺いを、ユーザ端末40へ出力する。
【0042】
ユーザ端末40において、
図3Cに示す画面表示を用いて、変更後の旅程の案が表示され、ユーザにより移動体の利用予約の変更申請が決定され、変更申請の依頼が旅程サーバ30へ送信される。
【0043】
旅程サーバ30の予約部140は、ユーザ端末40から移動体の利用予約の変更申請の依頼を受信すると、移動体管理サーバ60へ移動体の利用予約の変更を申請する。
【0044】
移動体管理サーバ60は、移動体の利用予約の変更申請を受け付け、利用予約の変更が可能であれば、その利用予約変更を確定する。移動体管理サーバ60は、移動体の利用予約の変更を確定したことを、旅程サーバ30に通知する。
【0045】
旅程サーバ30の予約部140は、移動体の利用予約変更の確定の通知を移動体管理サーバ60から受けると、利用予約の変更が確定した第1移動体および第2移動体を含む変更後の旅程を確定し、確定した変更後の旅程をユーザ端末40へ出力する。
【0046】
ユーザ端末40は、確定した変更後の旅程を、画面に表示する。
【0047】
図6は、生成され、確定した旅程310を例示する図である。旅程310は、
図4に示すシーケンスに沿って生成される。旅程310には、出発地OPから目的地DPまでの移動経路と、移動経路に沿って移動する複数の移動体とが含まれている。
図6に示す例において、旅程310に含まれる複数種類の移動体は、プロバイダPA、PBおよびPCがそれぞれ提供する自動車MA、垂直離着陸型航空機(VTOL)MBおよび自動車MCである。自動車MAは上記第1移動体に対応し、垂直離着陸型航空機MBは上記第2移動体に対応し、自動車MCは上記第3移動体に対応する。すなわち、第2移動体の種類は航空輸送手段であり、第1移動体の種類および第3移動体の種類は、いずれも陸上輸送手段である。ただし、第1移動体の種類、第2移動体の種類および第3移動体の種類は、陸上輸送手段および航空輸送手段の組み合わせに限られない。
【0048】
ユーザは、出発地OPから経由地TBまでの区間を、プロバイダPCが提供する自動車MCに乗車して移動する。自動車MCは、出発地OPを7:00に出発し、経由地TBに8:00に到着する。ユーザは、経由地TBから経由地TAまでの区間を、プロバイダPBが提供する垂直離着陸型航空機MBに搭乗して移動する。垂直離着陸型航空機MBは、経由地TBを9:00に出発し、経由地TAに10:20に到着する。経由地TAは上記第1地点に対応する。ユーザは、経由地TAから目的地DPまでの区間を、プロバイダPAが提供する自動車MAに乗車して移動する。自動車MAは、経由地TAを10:40に出発し、目的地DPに11:30に到着する。目的地DPは上記第2地点に対応する。
【0049】
図7は、変更された旅程320を例示する図である。変更された旅程320は、
図5に示すシーケンスに沿って得られる。例えば、
図6に示す旅程310に基づいてユーザが出発地OPから経由地TBへ向かって自動車MCで現在移動中に、ユーザが今後、自動車MAに乗車して移動する予定の経由地TAから目的地DPまでの区間における交通情報が得られたとする。その交通情報によると、渋滞のため、自動車MAが所定時刻までに目的地DPへ到着できないと判定されたとする。所定時刻は、
図6に示す旅程310に定められた自動車MAの目的地DPへの到着予定時刻11:30からX分後の、設定により可変な時刻である。例えばX=30の場合、所定時刻は、到着予定時刻11:30から30分後の12:00である。目的地DPへの自動車MAの到着時刻の予測値が、所定時刻12:00よりも遅くなると見積もられた場合、自動車MAは所定時刻までに目的地DPへ到着できないと、監視部150により判定される。
【0050】
生成部110は、ユーザが今後利用する予定の垂直離着陸型航空機MBから自動車MAへ乗り継ぐ地点を
図6に示す経由地TAから
図7に示す経由地TCに変更することにより、旅程の一部を変更する。経由地TCは上記第4地点に対応する。なお、経由地TCは、経由地TAに次いで目的地DPに近い距離に位置する航空機の離着陸場のうち、目的地DPへの到着時刻の予測値が最も早くなる離着陸場となるのが、より好ましい。
図7に例示する変更された旅程320において、垂直離着陸型航空機MBは経由地TCに10:40に到着する予定となり、経由地TCを11:00に出発する予定である自動車MAの目的地DPへの到着時刻の予測値は11:45である。したがって、旅程の一部が変更されたことにより、自動車MAは所定時刻12:00までに目的地DPへ到着できる見通しに変化している。
【0051】
自動車MAおよび垂直離着陸型航空機MBの各移動体の利用予約の変更が確定すると、変更後の旅程320は確定する。
【0052】
図8は、旅程サーバ30で行われる旅程310の生成処理および移動体の利用予約処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば旅程サーバ30の処理回路がプログラムを実行することにより行われる。本処理が開始されると、ステップS812で、生成部110は、旅程生成条件を取得する。ステップS814で、生成部110は、旅程を生成する。ステップS816で、決定部120は、旅程に基づく複数種類の移動体の利用可否を、各移動体に対応する移動体管理サーバ60に問い合わせる。ステップS818で、決定部120は、移動体管理サーバ60から、移動体利用可否の判断結果を取得する。ステップS820で、決定部120は、移動体管理サーバ60からの回答に基づき、複数種類の移動体の利用可否を決定する。
【0053】
ステップS822で、生成部110は、ユーザに提案される旅程を生成する。ステップS824で、提案部130は、ユーザに提案する複数種類の移動体の利用予約伺いを作成する。ステップS826で、ステップS822で生成された旅程およびステップS824で作成された複数種類の移動体の予約伺いを、ユーザ端末40へ出力する。
【0054】
ステップS828で、予約部140は、ユーザ端末40から複数種類の移動体の利用予約申請の依頼を取得する。ステップS830で、予約部140は、移動体管理サーバ60へ複数種類の移動体の利用予約を申請する。ステップS832で、予約部140は、複数種類の移動体の利用予約の確定通知を移動体管理サーバ60から取得する。ステップS834で、予約部140は、利用予約が確定した移動体を含む旅程310を確定する。ステップS836で、予約部140は、確定した旅程310をユーザ端末40へ出力する。ステップS836が完了すると、本処理は終了する。
【0055】
図9は、旅程サーバ30で行われる旅程310の一部を変更する処理および移動体の利用予約を変更する処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば旅程サーバ30の処理回路がプログラムを実行することにより行われる。本処理は、旅程310に基づいてユーザが移動を開始した後、例えば定期的に繰り返し実行される。本処理が開始されると、ステップS912で、監視部150は、旅程310に基づいて移動中のユーザの現在地の情報を移動体管理サーバ60から取得する。ステップS914で、監視部150は、取得したユーザの現在地の情報に基づいてユーザの移動状況を監視する。ステップS916で、監視部150は、情報提供サーバ50から、交通情報を取得する。ステップS918で、監視部150は、取得した交通情報に基づき、ユーザが目的地に到着する時刻の予測値を算出する。ステップS920で、監視部150は、ユーザが所定時刻までに目的地へ到着できるか否かを判定する。ステップS920でYESとなると、本処理は終了する。ステップS920でNOとなると、本手順はステップS922へ進む。
【0056】
ステップS922で、生成部110は、旅程の一部を変更する。ステップS924で、決定部120は、変更される旅程に対応して移動体の利用予約の変更可否を、移動体管理サーバ60に問い合わせる。ステップS926で、決定部120は、移動体の利用予約変更可否の判断結果を、移動体管理サーバ60から取得する。ステップS928で、決定部120は、移動体の利用予約変更の可否を決定する。ステップS930で、生成部110は、ユーザに提案される変更後の旅程を生成する。ステップS932で、提案部130は、ユーザに提案する移動体の利用予約の変更伺いを作成する。ステップS934で、提案部130は、変更後の旅程とともに、移動体の利用予約変更伺いを、ユーザ端末40へ出力する。
【0057】
ステップS936で、予約部140は、ユーザ端末40から移動体の利用予約変更の申請依頼を取得する。ステップS938で、予約部140は、移動体管理サーバ60へ移動体の利用予約変更を申請する。ステップS940で、予約部140は、移動体の利用予約変更の確定通知を移動体管理サーバ60から取得する。ステップS942で、予約部140は、移動体の利用予約の変更が確定した変更後の旅程320を確定する。ステップS944で、予約部140は、確定した変更後の旅程320をユーザ端末40へ出力する。ステップS944が完了すると、本処理は終了する。
【0058】
[変形例]
上記実施の形態は、以下のように変形されることとしてもよい。
【0059】
(変形例1)
上記実施の形態において、旅程310から旅程320へ変更される際、第2移動体である垂直離着陸型航空機MBによる移動の終点である第1地点の経由地TAは、第4地点である経由地TCに変更された。さらに、垂直離着陸型航空機MBによる移動の始点もまた、変更されることとしてもよい。
【0060】
図10は、変形例1におけるマルチモーダル輸送システム10で変更された旅程330を例示する図である。変更された旅程330もまた、上記旅程320と同様に、
図5に示すシーケンスに沿って得られる。本変形例においては、第2移動体による移動の終点が、第1地点から第4地点に変更される場合、垂直離着陸型航空機MBによる移動の始点が、第3地点から第6地点に変更される。これに伴い、第5地点を出発した第3移動体による移動の終点が、第3地点から第6地点に変更される。変更された旅程330においては、垂直離着陸型航空機MBによる移動の終点が、
図6に示す経由地TAから
図10に示す経由地TCに変更されるとともに、垂直離着陸型航空機MBによる移動の始点が、
図6に示す経由地TBから
図10に示す経由地TDに変更されている。また、出発地OPを出発した自動車MCによる移動の終点が、
図6に示す経由地TBから
図10に示す経由地TDに変更されている。
【0061】
図10に例示する変更された旅程330において、出発地OPを7:00に出発した自動車MCは、経由地TDに8:10に到着する予定となり、経由地TDを9:10に出発する予定の垂直離着陸型航空機MBは、経由地TCに10:35に到着する予定となっている。経由地TCを10:55に出発する予定である自動車MAの目的地DPへの到着時刻の予測値は11:40である。したがって、旅程の一部が変更されたことにより、自動車MAは所定時刻12:00までに目的地DPへ到着できる見通しに変化している。
【0062】
(変形例2)
上記実施の形態において、変更後の旅程320は、ユーザ端末40へ出力される。しかし、旅程320は、ユーザ端末40に代えて、第3移動体に搭載された端末へ出力されてもよい。
【0063】
図11は、変形例2におけるマルチモーダル輸送システムでユーザの着座位置を識別するセンサの移動体400への搭載例を示す図である。移動体400は、前列シート410および後列シート420を有する。前列シート410および後列シート420は、それぞれ乗員が座っているか否かを検出する着座センサ430および440を有する。移動体400は、車載機450と、カメラ460と、無線通信機器470とをさらに有する。車載機450は、タッチパネル、スピーカおよびマイクを有する。車載機450のタッチパネルおよびカメラ460は、移動体400の車内前方に取り付けられる。車載機450のタッチパネルの表示面およびカメラ460のレンズは車内に向けられる。
【0064】
本変形例において、
図11に示す移動体400は、旅程310に基づいて移動を開始したユーザが利用する第3移動体である。ユーザが前列シート410に着座している場合、着座センサ430からセンサ信号が、無線通信機器470を介して旅程サーバ30へ送信される。ユーザが後列シート420に着座している場合、着座センサ440からセンサ信号が、無線通信機器470を介して旅程サーバ30へ送信される。
図2に示す旅程サーバ30の識別部160は、着座センサ430または440からのセンサ信号に基づき、移動体400におけるユーザの着座位置を識別する情報を取得する。
【0065】
着座センサ430または440に代えて、カメラ460がユーザの着座位置を識別するためのセンサとして用いられてもよい。移動体400の前列シート410および後列シート420と、前列シート410または後列シート420に着座するユーザは、カメラ460により撮影される車内映像に含まれる。車内映像は、無線通信機器470を介して旅程サーバ30へ送信される。識別部160は、カメラ460から送信された車内映像に基づき、移動体400におけるユーザの着座位置を識別する情報を取得する。
【0066】
識別部160により、ユーザの着座位置が前列シート410であることが識別されると、ユーザ端末40に代えて、移動体400の車内前方に取り付けられた車載機450のタッチパネルに、変更後の旅程320が表示される。識別部160により、ユーザの着座位置が後列シート420であることが識別されると、ユーザ端末40に、変更後の旅程320が表示される。
【0067】
移動体400である第3移動体が、上記したライドシェアサービスのプロバイダPCが提供する自動車MCである場合は、ユーザの着座位置が後列シート420であることが多いと考えられるため、ユーザ端末40に、変更後の旅程320が表示される。移動体400である第3移動体が、事業者により運行が管理される移動体である場合であって、且つ乗客が着座するシートごとに車載機450のタッチパネルが取り付けられている場合は、そのタッチパネルに、変更後の旅程320が表示される。ただし、この場合における事業者は、ライドシェアサービスのプロバイダではない。乗客が着座するシートごとに車載機450のタッチパネルが取り付けられていない場合は、ユーザ端末40に、変更後の旅程320が表示される。車載機450のタッチパネルまたはユーザ端末40に変更後の旅程320が表示される際、スピーカおよびマイクを用いた音声案内および音声入力が用いられてもよい。
【0068】
移動体400である第3移動体が、ユーザが所有する自動車或いは他人からユーザに貸渡しされた自動車である場合は、ユーザの着座位置が前列シート410であると識別されることがある。着座位置が運転席ではないため、或いは自動運転のため、ユーザが自ら移動体400を運転しないことが識別された場合は、車内前方のタッチパネルに、変更後の旅程320が表示される。その際、スピーカおよびマイクを用いた音声案内および音声入力が用いられてもよい。ユーザの着座位置が前列シート410の運転席であって、且つユーザが自ら移動体400を運転することが識別された場合は、車内前方のタッチパネルに、変更後の旅程320が表示されるとともに、スピーカおよびマイクを用いた音声案内および音声入力が用いられる。或いは、ユーザ端末40に、変更後の旅程320に関する音声案内および音声入力が、スピーカおよびマイクを用いて行われてもよい。
【0069】
(変形例3)
上記実施の形態および変形例において、ユーザが第2移動体から第1移動体へ乗り継ぐ地点が、第1地点から第4地点に変更される。すなわち、第2移動体による移動の終点が第1地点から第4地点に変更される。しかし、第2移動体が、ライドシェアサービスのプロバイダにより提供される場合、上記ユーザ以外の同乗者が第2移動体を利用している可能性がある。そこで、そうした同乗者が存在しない場合に限って、第2移動体の到着地点が第1地点から第4地点に変更されることとしてもよい。
【0070】
同乗者が存在する場合であっても、同乗者の最終目的地への到着時刻の予測値が、第2移動体の到着地点が変更されない場合の到着予定時刻よりも早い等、同乗者にとっても有利であるか否かが判断されることとしてもよい。同乗者にとっても有利であるか否かは、第2移動体を提供するプロバイダの移動体管理サーバ60により判断される。同乗者にとっても有利であると判断され、且つ同乗者の合意が得られると、第2移動体の到着地点が第1地点から第4地点に変更される。
【0071】
(変形例4)
上記変形例1において、ユーザが第3移動体から第2移動体へ乗り継ぐ地点が、第3地点から第6地点に変更される。すなわち、第3移動体による移動の終点が第3地点から第6地点に変更される。第6地点は、変更された第2移動体による移動の始点でもある。第2移動体が垂直離着陸型航空機MBである場合、第6地点は航空機の離着陸場である。第3移動体が、ユーザが所有する自動車である場合、第3移動体から第2移動体へ乗り継ぐユーザが帰路に就くまで自動車を駐車するスペースが第6地点に必要となる。そこで、旅程サーバ30の予約部140が移動体管理サーバ60へ移動体の利用予約変更を申請する際に、第6地点にユーザの自動車を駐車するスペースを確保する予約の申請を、駐車場を管理する所定のサーバに対して行ってもよい。
【0072】
(変形例5)
上記実施の形態および変形例において、旅程310に含まれる第2移動体によるユーザの移動が変更される際、ライドシェアサービスのプロバイダPBが提供する垂直離着陸型航空機MBによる移動の少なくとも終点が変更される。しかし、垂直離着陸型航空機MBによる移動を、鉄道会社或いはバス会社が運行を管理する列車或いはバスによる移動に変更してもよい。
【0073】
(変形例6)
上記実施の形態および変形例は、任意に組み合わされてもよい。
【0074】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0075】
(1)複数種類の移動体を利用してユーザが出発地(OP)から目的地(DP)まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送システム(10)は、前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程(310)を生成する生成部(110)と、前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定部(120)と、利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末(40)へ出力する提案部(130)と、前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視部(150)と、を備え、前記生成部は、前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの第1移動体(MA)による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体(MB)による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更し、前記提案部は、前記旅程の前記一部の変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程(320)を前記外部端末へ出力する。これにより、第2移動体によるユーザの移動の後続の第1移動体による移動が旅程通りに進行しない状況を回避する可能性が高まる。
【0076】
(2)前記旅程は、前記ユーザが前記第1移動体を利用して前記移動経路のうちの第1地点(TA)から第2地点(DP)まで移動し、且つ前記ユーザが前記第2移動体を利用して前記移動経路のうちの第3地点(TB)から前記第1地点まで移動することを含み、前記監視部は、前記第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報に基づき、前記第1移動体が前記旅程に基づく所定時刻までに前記第2地点に到着できるか否かを判定し、前記第1移動体が前記所定時刻までに前記第2地点に到着できないと判定された場合、前記生成部は、前記第1地点を前記第1地点とは異なる第4地点(TC)に変更することにより、前記第1移動体および前記第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する。これにより、第2移動体によるユーザの移動の後続の第1移動体による移動が旅程通りに進行しない状況を、第2移動体より前のユーザの移動への影響無しに、回避する可能性が高まる。
【0077】
(3)前記旅程は、前記ユーザが前記複数種類の移動体のうちの第3移動体(MC)を利用して前記移動経路のうちの第5地点(OP)から前記第3地点まで移動することをさらに含み、前記ユーザが前記第3移動体を利用して移動中に、前記第1移動体が前記所定時刻までに前記第2地点に到着できないと判定された場合、前記生成部は、前記第1地点を前記第4地点に変更するとともに、前記第3地点を前記第3地点とは異なる第6地点(TD)に変更することにより、前記第1移動体、前記第2移動体および前記第3移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する。第3移動体が、ユーザが所有し、且つユーザが運転する自動車である場合、第3移動体が目指す地点を第3地点から第6地点に変更することは、比較的難易度が低い。これにより、第2移動体によるユーザの移動の後続の第1移動体による移動が旅程通りに進行しない状況を回避する可能性が、より高まる。
【0078】
(4)前記第2移動体の種類は航空輸送手段であり、前記第1移動体の種類は前記航空輸送手段とは異なる輸送手段である。これにより、第2移動体によるユーザの移動の後続の第1移動体による移動が、航空輸送手段を含む旅程通りに進行しない状況を回避する可能性が高まる。
【0079】
(5)前記マルチモーダル輸送システムは、前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの着座位置(410、420)を識別する情報を取得する識別部(160)をさらに備え、前記提案部は、前記着座位置に応じて前記外部端末(40、450)を決定し、決定した前記外部端末へ、変更された前記旅程(320、330)を出力する。これにより、変更された旅程を、ユーザが視認する際の利便性が高まる。
【0080】
(6)前記提案部は、前記旅程とともに、前記複数種類の移動体の利用予約を提案する予約伺いを前記外部端末へ出力し、前記旅程の前記一部が変更されると、前記提案部は、変更された前記旅程とともに、前記利用予約の変更を提案する予約変更伺いを、前記外部端末へ出力する。これにより、旅程に基づく移動を開始したユーザに対し、柔軟且つ迅速な旅程変更を提供できる。
【0081】
(7)複数種類の移動体を利用してユーザが出発地から目的地まで移動するためのサービスを提供するマルチモーダル輸送方法は、前記出発地と前記目的地とに基づいて、前記出発地から前記目的地までの移動経路と、前記移動経路に沿って移動する前記複数種類の移動体とを含む旅程を生成する生成ステップと、前記旅程に基づく前記複数種類の移動体を利用できるか否かを決定する決定ステップと、利用できると決定された前記複数種類の移動体を含む前記旅程を前記ユーザに提案するために前記旅程を外部端末へ出力する提案ステップと、前記旅程に基づいて移動する前記ユーザの移動状況を監視するとともに、前記複数種類の移動体による前記ユーザの移動に関連する交通情報を取得する監視ステップと、前記ユーザにより指定された前記旅程に基づく前記ユーザの前記移動状況と、前記複数種類の移動体のうちの第1移動体による前記ユーザの前記移動に関連する前記交通情報とに基づいて、前記複数種類の移動体のうちの、前記第1移動体よりも前に前記ユーザが利用する予定の第2移動体による前記ユーザの前記移動に関する前記旅程の一部を変更する変更ステップと、前記旅程の前記一部の変更を前記ユーザに提案するために、変更された前記旅程を前記外部端末へ出力する出力ステップと、を含む。これにより、第2移動体によるユーザの移動の後続の第1移動体による移動が旅程通りに進行しない状況を回避する可能性が高まる。
【0082】
(8)プログラムは、前記マルチモーダル輸送方法をプロセッサに実行させるためのプログラムである。これにより、旅程の一部を簡便に変更することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…マルチモーダル輸送システム 20…通信ネットワーク
30…旅程サーバ 40…ユーザ端末(外部端末)
50…情報提供サーバ 60…移動体管理サーバ
110…生成部 120…決定部
130…提案部 140…予約部
150…監視部 160…識別部
210…入力フィールド 220…送信ボタン
230…ラジオボタン 240…予約ボタン
250、260…コンテンツ 270…予約変更ボタン
310、320、330…旅程 400…移動体
410…前列シート(着座位置) 420…後列シート(着座位置)
430、440…着座センサ 450…車載機(外部端末)
460…カメラ 470…無線通信機器