(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】食品製造装置、回転方法、及び食品製造方法
(51)【国際特許分類】
A21C 9/08 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
A21C9/08 A
(21)【出願番号】P 2021514632
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030327
(87)【国際公開番号】W WO2021029345
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2019147800
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜一
(72)【発明者】
【氏名】平山 卓
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 透
(72)【発明者】
【氏名】間宮 稔
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08550228(US,B1)
【文献】特開2002-226082(JP,A)
【文献】特開2009-261310(JP,A)
【文献】特開2010-246480(JP,A)
【文献】米国特許第06343686(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00-15/04
A23L 7/109-7/113
A23P 10/00-30/40
B65H 5/04
B65H 5/18
B65H 9/00- 9/20
B65H 13/00-15/02
B65G 1/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材ワークを搬送する第1コンベアと、
前記食材ワークを回転させる回転機構と、
前記回転機構を制御する制御部と、を備える食品製造装置であって、
前記回転機構は、能動的に回転可能に設けられている第1回転部及び第2回転部であって、お互いの間隔が可変であるように少なくともいずれか一方が移動可能に設けられている第1回転部及び第2回転部
、並びに高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部を有し、
前記制御部は、前記第1回転部及び前記第2回転部の両方の回転、及び、前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方の移動を制御して、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを前記昇降弾性部により防止し、
前記食材ワークを挟んで保持している前記第1回転部及び前記第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記第2回転部は、前記第1回転部と対向する位置に設けられており、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
食品製造装置。
【請求項2】
前記第1コンベアは、複数の紐状体を有し
、
前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持する場合、前記複数の突出部が紐状体間を貫通し且つ前記第1コンベアから前記食材ワークを持ち上げる請求項1に記載の食品製造装置。
【請求項3】
複数の紐状体を有し、食材ワークを搬送する第1コンベアと、
前記食材ワークを回転させる回転機構と、
前記回転機構を制御する制御部と、を備える食品製造装置であって、
前記回転機構は、
第1回転部と、
前記第1回転部と対向する位置に設けられ、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有する第2回転部と、
高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部と、を有し、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの一方は能動的に回転可能に設けられており、他方は受動的に回転可能に設けられており、
前記制御部は、前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方の移動及び回転を制御して、
前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを前記昇降弾性部により防止し、
前記第1回転部及び前記第2回転部が前記食材ワークを挟んで保持している状態で、前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの一方を能動的に回転させ、
前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
食品製造装置。
【請求項4】
前記第1回転部は、前記第2回転部に向かって突出し且つ前記複数の突出部と対向する1以上の凸部を有する請求項
1~
3のいずれか一項に記載の食品製造装置。
【請求項5】
前記食材ワークを送り出す食材ワーク供給部と、
前記食材ワーク供給部から送り出される前記食材ワークを上方から受け取って当該食材ワークを前記第1コンベアに引き渡す第2コンベアと、を更に備え、
前記食材ワークの搬送方向の単位長さ当たりに関し、前記第2コンベアに載せられる前記食材ワークと前記第2コンベアとの間の接触面積は、前記第1コンベアに載せられる前記食材ワークと前記第1コンベアとの間の接触面積よりも大きい請求項1~
4のいずれか一項に記載の食品製造装置。
【請求項6】
前記第2コンベアと前記第1コンベアとの距離は、前記食材ワークの一部分が前記第2コンベアに載せられている状態で当該食材ワークの他の部分が前記第1コンベアに着地するような距離に設定されている請求項
5に記載の食品製造装置。
【請求項7】
食材ワークを回転させる回転方法であって、
第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを、高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部により防止し、
前記食材ワークを挟んで保持している前記第1回転部及び前記第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記第2回転部は、前記第1回転部と対向する位置に設けられており、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
回転方法。
【請求項8】
食材ワークを回転させる回転方法であって、
前記食材ワークは複数の紐状体を有する第1コンベアにより搬送され、互いに対向するように第1回転部及び第2回転部が設けられ、前記第2回転部は、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを、高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部により防止し、
前記第1回転部及び前記第2回転部が前記食材ワークを挟んで保持している状態で、前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの一方を能動的に回転させつつ他方を受動的に回転させ、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
回転方法。
【請求項9】
食材ワークを回転させる食品製造方法であって、
第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを、高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部により防止し、
前記食材ワークを挟んで保持している前記第1回転部及び前記第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記第2回転部は、前記第1回転部と対向する位置に設けられており、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
食品製造方法。
【請求項10】
食材ワークを回転させる食品製造方法であって、
前記食材ワークは複数の紐状体を有する第1コンベアにより搬送され、互いに対向するように第1回転部及び第2回転部が設けられ、前記第2回転部は、前記第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部により挟んで保持
するとともに、前記第1回転部と前記第2回転部との間の前記食材ワークに過大な力が作用するのを、高さ方向に弾性圧縮可能な部材からなる昇降弾性部により防止し、
前記第1回転部及び前記第2回転部が前記食材ワークを挟んで保持している状態で、前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの一方を能動的に回転させつつ他方を受動的に回転させ、
前記第1回転部及び前記第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、前記食材ワークを前記第1回転部及び前記第2回転部から解放
し、
前記複数の突出部は、前記第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、前記第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含む
食品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造装置、回転方法、及び食品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な加工食品が、一般消費者に対してだけではなく、店舗に対しても広く提供されている。加工食品は、食品加工技術の発展(とりわけ冷蔵及び冷凍の技術の発展)によって、常温食品、冷蔵食品、チルド食品及び冷凍食品などの様々な形態で提供可能である。そのような加工食品の需要は、消費者の嗜好の多様化、利便性のニーズの高まり及び食品安全性に対する意識の向上に伴って、今後益々の高まりが期待されている。特に、加工が容易な加工食品だけではなく、加工が複雑で難しい加工食品も提供されることが望まれている。
【0003】
そのような加工食品として、例えば春巻きやエッグロール等の巻物食品が挙げられる。巻物食品を作るには、小麦粉等で作られた皮によって具材を包んで巻く必要がある。皮によって具材を綺麗且つ適切に巻くには相応の技術及び経験が必要であり、そのような作業は調理に慣れていない者にとって非常に難しく、敬遠されることが多い。また巻物食品を均一の品質で大量に作ることは、調理に慣れている者にとっても難しく、時間及び手間を要する負担の大きい作業である。そのため加工業者は、そのような巻物食品を自動的に作ることができる食品製造装置を使って、大量の巻物食品を作っている。
【0004】
例えば特許文献1は、多角形の生地シートを使った食品を製造するための装置を教示しており、特に生地シートを搬送中に所定角度回転させる装置を開示する。
【0005】
また特許文献2は、シート状の食品生地から切断分離された三角形状の切断片を正回転方向及び逆回転方向の各々へ90°旋回させる旋回装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,550,228号明細書
【文献】特許第5647777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように皮等のシート状食材ワークは、所望角度回転させられて姿勢が調整された後に、後段に送られることがある。この場合、後段で行われる食品加工を安定的且つ高精度に行うために、食材ワークを安定的且つ正確に回転させることが求められる。しかしながら、多数の食材ワークを継続して安定的且つ正確に回転させることは簡単ではない。特に、柔軟なシート状の食材ワークの形状及び姿勢は、回転時に意図せずに変わりやすいため、そのような食材ワークを安定的に所望角度回転させることは難しい。
【0008】
特許文献1の装置によれば、生地シートがプレスプレートと複数のプッシュバーとの間に挟まれた状態で複数のプッシュバーが回転することにより、生地シートが回転させられる。しかしながら特許文献1の装置において、プッシュバーは動力源からの動力によって能動的に回転させられるが、プレスプレートは回転可能に設けられているものの能動的には回転させられない。そのため、生地シートを回転させる際にプレスプレートがプッシュバーの回転に適切に追従することができず、プレスプレートの回転量と複数のプッシュバーの回転量との間にズレが生じてしまうことがある。この場合、プレスプレートが生地シートの回転を阻害するように働くため、複数のプッシュバーによって生地シートが適切に保持されていないと、生地シートを所望角度回転させることができないことがある。
【0009】
複数のプッシュバーによって適切な箇所が保持される生地シートであれば、特許文献1の装置によって安定的且つ正確に回転させられることが可能であるが、そのような生地シートのサイズ及び形状は複数のプッシュバーの配置に応じて限定される。特に、特許文献1の装置における複数のプッシュバーは、回転中心からお互いに等距離に配置されているため、適切に回転させることが可能な生地シートのサイズ及び形状は非常に限定される。例えば正多角形や真円の平面形状を持ち且つプッシュバー間水平距離と同程度の平面長さを有する生地シートであれば、特許文献1の装置によって安定的且つ正確に回転させられることが可能かもしれない。しかしながら、例えばプッシュバー間水平距離よりも大きな平面長さを有する生地シートを、特許文献1の複数のプッシュバーによって適切に保持することは難しい場合がある。特に、特許文献1のベルトコンベアのように隙間を有するコンベアによって生地シートを搬送する場合、生地シートの外周部分がプッシュバーによって適切に保持されていない状態で生地シートが回転させられると、生地シートの外周部が意図せずにコンベアの隙間に入り込んでしまって生地シートが縒れたり損傷したりすることがある。
【0010】
一方、特許文献2の旋回装置では、食品生地から分離された切断片がコンベア上でピンにより突き刺された状態で回転させられる。そのため、ピンを突き刺すことができない食材ワーク、ピンを突き刺すことが好ましくない食材ワーク、及び回転時にコンベアから摩擦力を受けることが好ましくない食材ワークに対しては、特許文献2の旋回装置を使用することが難しい。例えば、非常に柔らかかったり脆かったりする食材ワークを特許文献2の旋回装置で回転させると、食材ワークは、ピンの突き刺しやコンベアから受ける摩擦力のために縒れたり損傷したりする。またピンが突き刺されることによって食材ワークには孔が形成されるため、例えば食材ワークに包まれた具材がそのような孔から漏出したり、食材ワークの孔の周辺部分が破断したりする懸念がある。
【0011】
上述のように、シート状の食材ワークを安定的且つ正確に所望角度回転させることは簡単ではない。食材ワークが正確に回転させられていないと、後段で行われる食品加工の精度も悪化してしまう。また食材ワークの回転時に縒れたり損傷したりすると、生産ラインを止めてそのような食材ワークの形状及び姿勢を直したり不具合のある食材ワークを取り除いたりしなければならない場合もある。このように、食材ワークを安定的に正確に所望角度回転させられないと、後段で行われる食品加工の精度が安定しないだけではなく、食品加工の高速化や歩留まりの向上が阻害されたりもする。
【0012】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、食材ワークを安定的且つ正確に所望角度回転させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、食材ワークを搬送する第1コンベアと、食材ワークを回転させる回転機構と、回転機構を制御する制御部と、を備える食品製造装置であって、回転機構は、能動的に回転可能に設けられている第1回転部及び第2回転部であって、お互いの間隔が可変であるように少なくともいずれか一方が移動可能に設けられている第1回転部及び第2回転部を有し、制御部は、第1回転部及び第2回転部の両方の回転、及び、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方の移動を制御して、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、食材ワークを挟んで保持している第1回転部及び第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、食品製造装置に関する。
【0014】
第1コンベアは、複数の紐状体を有し、第2回転部は、第1回転部と対向する位置に設けられており、第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持する場合、複数の突出部が紐状体間を貫通し且つ第1コンベアから食材ワークを持ち上げてもよい。
【0015】
本発明の他の態様は、複数の紐状体を有し、食材ワークを搬送する第1コンベアと、食材ワークを回転させる回転機構と、回転機構を制御する制御部と、を備える食品製造装置であって、回転機構は、第1回転部と、第1回転部と対向する位置に設けられ、第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有する第2回転部と、を有し、第1回転部及び第2回転部のうちの一方は能動的に回転可能に設けられており、他方は受動的に回転可能に設けられており、制御部は、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方の移動及び回転を制御して、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、第1回転部及び第2回転部が食材ワークを挟んで保持している状態で、第1回転部及び第2回転部のうちの一方を能動的に回転させ、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、食品製造装置に関する。
【0016】
複数の突出部は、第2回転部の回転軸線から相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部と、第2回転部の回転軸線から相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部と、を含んでもよい。
【0017】
第1回転部は、第2回転部に向かって突出し且つ複数の突出部と対向する1以上の凸部を有してもよい。
【0018】
食品製造装置は、食材ワークを送り出す食材ワーク供給部と、食材ワーク供給部から送り出される食材ワークを上方から受け取って当該食材ワークを第1コンベアに引き渡す第2コンベアと、を更に備え、食材ワークの搬送方向の単位長さ当たりに関し、第2コンベアに載せられる食材ワークと第2コンベアとの間の接触面積は、第1コンベアに載せられる食材ワークと第1コンベアとの間の接触面積よりも大きくてもよい。
【0019】
第2コンベアと第1コンベアとの距離は、食材ワークの一部分が第2コンベアに載せられている状態で当該食材ワークの他の部分が第1コンベアに着地するような距離に設定されていてもよい。
【0020】
本発明の他の態様は、食材ワークを回転させる回転方法であって、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、食材ワークを挟んで保持している第1回転部及び第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、回転方法に関する。
【0021】
本発明の他の態様は、食材ワークを回転させる回転方法であって、食材ワークは複数の紐状体を有する第1コンベアにより搬送され、互いに対向するように第1回転部及び第2回転部が設けられ、第2回転部は、第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、第1回転部及び第2回転部が食材ワークを挟んで保持している状態で、第1回転部及び第2回転部のうちの一方を能動的に回転させつつ他方を受動的に回転させ、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、回転方法に関する。
【0022】
本発明の他の態様は、食材ワークを回転させる食品製造方法であって、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、食材ワークを挟んで保持している第1回転部及び第2回転部をお互いに同調させながら能動的に回転させ、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、食品製造方法に関する。
【0023】
本発明の他の態様は、食材ワークを回転させる食品製造方法であって、食材ワークは複数の紐状体を有する第1コンベアにより搬送され、互いに対向するように第1回転部及び第2回転部が設けられ、第2回転部は、第1回転部に向かって延在する複数の突出部を有し、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部により挟んで保持し、第1回転部及び第2回転部が食材ワークを挟んで保持している状態で、第1回転部及び第2回転部のうちの一方を能動的に回転させつつ他方を受動的に回転させ、第1回転部及び第2回転部のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークを第1回転部及び第2回転部から解放する、食品製造方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、食材ワークを安定的且つ正確に所望角度回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、食品製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、食材ワークを回転させる回転方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、食品製造装置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る回転機構を示す側方図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る回転機構を示す側方図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る回転機構を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る回転機構を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る制御部及び回転機構の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る回転機構を示す側方図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る回転機構を示す側方図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る制御部及び回転機構の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係る制御部及び回転機構の機能構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第1回転部が有する凸部の第1例を示す側方図である。
【
図14】
図14は、第1回転部が有する凸部の第1例を示す下面図である。
【
図15】
図15は、第1回転部が有する凸部の第2例を示す側方図である。
【
図16】
図16は、第1回転部が有する凸部の第2例を示す下面図である。
【
図17】
図17は、第1回転部が有する凸部の第3例を示す側方図である。
【
図18】
図18は、第1回転部が有する凸部の第3例を示す下面図である。
【
図19】
図19は、第3変形例に係る回転機構を示す平面図である。
【
図20】
図20は、第4変形例に係る回転機構を示す平面図である。
【
図21】
図21は、第4変形例に係る回転機構を示す側方図である。
【
図22】
図22は、第5変形例に係る回転機構を示す平面図である。
【
図23】
図23は、第5変形例に係る回転機構を示す側方図である。
【
図24】
図24は、第6変形例に係る回転機構の一例を示す平面図である。
【
図25】
図25は、第6変形例に係る回転機構の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の典型的な実施形態を例示する。各図面に示される要素のサイズ及び縮尺は、図示及び理解の便宜上、必ずしも実物と一致せず、また図面間でも必ずしも一致していない。ただし当業者であれば、本明細書及び特許請求の範囲の記載を考慮し、各図に示されている要素の構成及び作用効果を明確に把握することが可能である。
【0027】
本明細書において「上」及び「下」の用語は、特にことわりがない限り、重力の作用方向である鉛直方向を基準としており、鉛直方向は下方向であり、鉛直方向とは逆の方向は上方向である。高さ方向は鉛直方向と平行な方向であり、水平方向は鉛直方向と直角を成す方向である。また「上流」及び「下流」の用語は、特にことわりがない限り、食材(後述の生地及び食材ワーク)の搬送方向を基準としている。
【0028】
以下の実施形態では、一例として、春巻きを製造する装置(食品製造装置)について説明し、春巻きの皮が「食材ワーク」として使われる。ただし本発明は以下に説明される実施形態に限定されず、春巻き以外の食品に対しても応用可能である。典型的には、具材を包むシート状の柔軟な皮を使った食品に対して本発明を好適に適用することができる。ただし、他の食品を製造する装置及び方法に対しても本発明を適用することが可能であり、例えば内側に具材を配置することなく皮のみによって構成される巻物食品(例えばたまごが焼かれたり蒸されたりすることで形成されたシート状食材によって作られる巻物食品等)を製造する装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0029】
図1は、食品製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0030】
春巻きを製造する食品製造装置では、まず、具材が準備されるとともに(
図1のS1)、具材を包むための食材ワーク(本例では皮)が準備される(S2)。食材ワークは、具材を包むのに適した形状及びサイズを有する。所望の形状及びサイズを有する食材ワークは、食品製造装置に供給される前に予め準備されていてもよいし、食品製造装置において作られてもよい。典型的には、食品製造装置において、シート状の大きな食材生地から食材ワークを切り出すことができる。
【0031】
そして、食材ワークの上に所望量の具材が載せられ(S3)、食材ワークが折り畳まれることによって具材が食材ワークにより包まれる(S4)。
【0032】
上述の一連の処理(S1~S4)を高速且つ連続的に行うことによって、食材ワーク及び具材を有する食品(本実施形態では春巻き)を大量に製造することができる。上述の食品製造方法で使用可能な食材ワークは限定されず、具材を包み込むことが可能な任意の形状、サイズ及び組成の食材ワークを使うことが可能である。
【0033】
ただし食材ワークが形状等の性質に関して異方性を有する場合、食材ワークの向きに注意が必要である。例えば春巻きの場合、予め定められた姿勢を有する食材ワークの所定箇所を所定の順序で折り畳む必要がある。その一方で、食品製造装置において、食材ワークは、必ずしも最初から折り畳みに適した姿勢で搬送されているとは限らない。食材ワークの姿勢が折り畳みに適していない場合、折り畳みに適した向きを持つように食材ワークを回転させることにより、食材ワークの姿勢が調整される。
【0034】
図2は、食材ワークを回転させる回転方法の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、所望形状及び所望サイズの食材ワークがコンベアに載せられ(
図2のS11)、コンベアによって当該食材ワークが下流側に向けて搬送される(S12)。この際、コンベア上に載せられた食材ワークの向きは、主として、コンベア上に食材ワークを供給する供給装置(食材ワーク供給部)の仕様に応じて決められ、本例では後段で行われる食品加工処理に適した向きとは異なっている。
【0036】
そのため回転機構によって、コンベアから食材ワークが持ち上げられ、持ち上げられた状態の食材ワークが回転させられる(S13)。これにより、食材ワークが後段の食品加工処理に適した向きに持つように、食材ワークの姿勢が調整される。そして食品加工処理に適した姿勢を有する回転後の食材ワークは、再びコンベアに載せられ(S14)、コンベアによって後段に向けて搬送される(S15)。なお、食材ワークをコンベアから持ち上げる際(S13)及び食材ワークをコンベアに再び載せる際(S14)、コンベアは走行を継続していてもよいし走行を停止していてもよい。ただし、食材ワークの回転処理が行われる箇所よりも前段及び後段における処理の中断を防ぐ観点からは、コンベアは、食材ワークの回転処理の実行の有無にかかわらず、走行を継続することが好ましい。
【0037】
次に、上述の食品製造方法及び回転方法を実施可能な食品製造装置の構成例について説明する。
【0038】
図3は、食品製造装置10の一例を示す図である。
図3には、各要素の概略構成が示されており、具体的構成の図示は省略されている。
図3に示されている要素には、実際のサイズとは異なるサイズで示されている要素が含まれる。
図3に示されている実線の矢印はコンベア(特に搬送部)の移動方向を示し、点線の矢印は食材(具体的には生地W0及び食材ワークW)の搬送方向を示す。
【0039】
図3に示す食品製造装置10は、食材を搬送するコンベアとして第1コンベア11、第2コンベア12及び第3コンベア13を備える。
【0040】
第3コンベア13は、生地W0を下流側に向けて搬送する。生地W0のうち第3コンベア13から放出された部分は、切断ユニット14に向かって第3コンベア13から垂れ下がった状態となる。
【0041】
第3コンベア13に対する生地W0の供給方法は限定されない。例えば生地W0を作り出す装置から直接的に生地W0が第3コンベア13に供給されてもよいし、予め作られていた生地W0が第3コンベア13に供給されてもよい。第3コンベア13は典型的には所謂ネットコンベア(すなわちメッシュコンベア)によって構成されることができ、第3コンベア13のうち生地W0が載せられた状態で走行する第3コンベア移送部23は、金網等のネット状部材により構成可能である。図示の第3コンベア移送部23は、無端状を有しており、第3コンベアローラ25に掛け渡され、第3コンベアローラ25の回転に応じて走行する。
【0042】
第3コンベア13よりも下方に設けられる切断ユニット14は、食材ワークWを送り出す食材ワーク供給部として働く。具体的には、切断ユニット14は、第3コンベア13から供給される生地W0を切断して食材ワークWを作り出し、当該食材ワークWを第2コンベア12に向けて送り出す。切断ユニット14は、生地W0から所望形状及び所望サイズの食材ワークWを切り出すことが可能な任意の切断機構を採用することができる。典型的には、切断ユニット14が有するカッターを生地W0に押し当てることで生地W0を切断することができるが、切断ユニット14は非物理的な手段によって生地W0を切断してもよい。
【0043】
切断ユニット14は、予め定められたタイミングで規則的に生地W0の切断を行ってもよいし、制御部(
図8参照)の制御下で切断ユニット14に供給される生地W0の量に応じて生地W0の切断を行ってもよい。切断ユニット14に供給される生地W0の量は、任意の方法で求めることが可能である。例えば、切断ユニット14への生地W0の供給量を検出して検出結果を制御部に送信するセンサが、切断ユニット14自体に設けられていてもよいし、切断ユニット14よりも上流側において設けられていてもよい。或いは制御部は、第3コンベア13の生地W0の搬送量又は搬送速度(例えば第3コンベア移送部23の走行量又は走行速度)に基づいて、切断ユニット14に供給される生地W0の量を求めてもよい。
【0044】
切断ユニット14よりも下方に設けられる第2コンベア12は第2コンベア移送部22を有する。第2コンベア移送部22は、切断ユニット14から送り出される食材ワークWを上方から受け取って、当該食材ワークWを下方に放出し、最終的には当該食材ワークWを第1コンベア11(特に複数の紐状体21)に引き渡す。
【0045】
高さ方向に関して切断ユニット14と第1コンベア11との間に設けられる第2コンベア12は、切断ユニット14から送り出される食材ワークWの姿勢の乱れを防ぐ役割を有する。そのため第2コンベア移送部22は、切断ユニット14から引き渡される食材ワークWを適切に受け止めて下流側に向けて搬送することが可能な構成を有し、典型的にはベルト部材によって構成可能である。
【0046】
本実施形態では、食材ワークWの搬送方向の単位長さ当たりに関し、第2コンベア移送部22に載せられる食材ワークWと第2コンベア移送部22との間の接触面積は、第1コンベア11の複数の紐状体21に載せられる食材ワークWと複数の紐状体21との間の接触面積よりも大きい。また第2コンベア移送部22と複数の紐状体21との距離は、食材ワークWの一部分が第2コンベア移送部22に載せられている状態で当該食材ワークWの他の部分が複数の紐状体21に着地するような距離に設定されている。これらの条件を満たす第2コンベア移送部22によれば、切断ユニット14から第1コンベア11(すなわち複数の紐状体21)に食材ワークWが直接的に引き渡される場合に比べ、切断ユニット14から放出された食材ワークWの姿勢の乱れを抑えることができる。
【0047】
図3に示す食品製造装置10は、第2コンベア移送部22から複数の紐状体21に引き渡される食材ワークWの乱れ(特に食材ワークWのうちの搬送方向後端部の巻き上がり(跳ねあがり))を防ぐため、巻き上がり防止部17を更に備える。食材ワークWは、切断ユニット14から放出される際に巻きぐせがつけられたり、第2コンベア移送部22から第1コンベア11に移る際の勢いで跳ねあがったりする。これらの場合、食材ワークWが偶発的に折れ曲がって、食材ワークWの尾部が食材ワークWの他の部分に重なることがある。巻き上がり防止部17は、そのような意図しない食材ワークWの折れ曲がりを防ぐように設けられている。
【0048】
図3に示す巻き上がり防止部17は、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に延在する棒状部材を有する。第2コンベア移送部22から放出された食材ワークWは、巻き上がり防止部17と複数の紐状体21との間を通過する。食材ワークWが第2コンベア移送部22から第1コンベア11に移動する際に折れ曲がった場合、食材ワークWの尾部が巻き上がって巻き上がり防止部17に上方から被さることがある。この場合、食材ワークWの尾部以外の部分が第1コンベア11と巻き上がり防止部17との間を通過するので、食材ワークWの尾部も、最終的には第1コンベア11と巻き上がり防止部17との間を通過する。このような巻き上がり防止部17を設置することによって、折れ曲がりやすい柔軟な食材ワークWであっても複数の紐状体21上に適切に載せることができる。
【0049】
第2コンベア12よりも下方に設けられる第1コンベア11は、複数の紐状体21を有し、第2コンベア12から送られてくる食材ワークWを回転機構15及び食品加工機構16に向けて搬送する。複数の紐状体21はお互いに水平方向に離れており、隣り合う紐状体21間には空間が形成されている。
図3には簡略化された第1コンベア11(紐状体21)が示されている。第1コンベア11の具体的な構成例は後述される。
【0050】
なお
図3に示す例では、第1コンベア11に含まれる全ての紐状体21の全体が、第2コンベア12の第2コンベア移送部22よりも下方に設けられているが、これには限定されない。例えば、一部の紐状体21(特に、紐状体21のうち食材ワークWの搬送方向に関して第2コンベア移送部22に対応する部分)が第2コンベア移送部22(特に下流側部分)と同じ又はほぼ同じ高さに位置していてもよい。この場合、第2コンベア移送部22から紐状体21への食材ワークWの受け渡しをスムーズ且つ安定的に行うことができ、当該受け渡しの際における食材ワークWの乱れを効果的に防ぐことができる。
【0051】
各紐状体21の断面(すなわち走行方向と直角を成す断面)において、横方向(例えば水平方向)のサイズは、縦方向(例えば高さ方向)のサイズ以下となっており、好ましくは縦方向のサイズよりも小さい。各紐状体21の断面(特に走行方向と直角を成す断面)の形状は限定されず、各紐状体21は、多角形状、円形状(例えば真円形状又は楕円形状)或いは他の形状の断面を有することができる。各紐状体21が円形状断面を有する場合のように、各紐状体21の上側面(特に食材ワークWが接触する面)が滑らかな面である場合、各紐状体21から食材ワークWに対して局所的に大きな力が作用することを効果的に防ぐことができる。
【0052】
回転機構15は、制御部(
図8参照)の制御下で、食材ワークWを回転させる。具体的には、回転機構15は、第1コンベア11の複数の紐状体21から食材ワークWを持ち上げて、当該食材ワークWを回転させ、回転後の当該食材ワークWを再び複数の紐状体21上に載せる。水平方向に延在する食材ワークWは、回転機構15によって、高さ方向と平行に延びる軸線を中心に回転させられる。回転機構15の具体的な構成例は後述される。
【0053】
回転機構15よりも下流側に設けられる食品加工機構16は、回転機構15によって向きが調整された後の食材ワークWを受け取って、当該食材ワークWを使った食品加工を行う。本実施形態の食品加工機構16は、上述のように具材を食材ワークWにより包み込んで春巻きを作る。食品加工機構16は、任意の構成を有することができ、その詳細な説明及び図示は省略する。なお食品加工機構16の構成及び作用は限定されず、実際に製造される食品に応じた適切な構成を持つことができる。
【0054】
次に、回転機構15及び食材ワークWの回転方法の具体例を説明する。
【0055】
[第1実施形態]
図4及び
図5は、第1実施形態に係る回転機構15を示す側方図である。
図6及び
図7は、第1実施形態に係る回転機構15を示す平面図である。
図8は、第1実施形態に係る制御部50及び回転機構15の機能構成を示すブロック図である。
【0056】
本実施形態の回転機構15は、第1回転部31及び第2回転部32を有する。第1回転部31の少なくとも一部(図示の例では第1回転部31の全体)は、第1コンベア11(特に複数の紐状体21)より上方に設けられている。第1回転部31は、真円形状の断面を有する円盤状部材により構成されており、第1回転部31の下面は水平方向に一様に延びる平面によって構成されている。第2回転部32は、第1回転部31と高さ方向に対向する位置に設けられており、第1回転部31に向かって延在する複数の突出部41を有する。
【0057】
第1回転部31は受動的に回転可能に設けられており、第2回転部32は能動的に回転可能に設けられている。すなわち第1回転部31は、外力を受けることなく単独で回転することはできないが、外力を受けることによって回転軸線Axを中心に回転することができる。第2回転部32は、第2移動回転駆動部54に接続されており、第2移動回転駆動部54から伝えられる動力によって、外力を受けることなく単独で回転軸線Axを中心に回転することができる。
【0058】
本実施形態の第1回転部31は、昇降ガイド35によって高さ方向へ移動可能に支持されている。その一方で、弾性ストッパー37と第1回転部31との間には第1昇降弾性部36が設けられており、第1昇降弾性部36が弾性ストッパー37と第1回転部31との間で圧縮されることで第1回転部31は第1昇降弾性部36から下向きの弾性力を受ける。第1昇降弾性部36は、常に第1回転部31と弾性ストッパー37との間で圧縮されていてもよいし、第1回転部31の高さ方向位置に応じて圧縮状態及び非圧縮状態のいずれかに置かれてもよい。昇降ガイド35は受動回転ユニット38に固定されている。弾性ストッパー37は支持軸39を介して受動回転ユニット38に固定されている。したがって第1回転部31は、下方から力を受けない間は重力の影響下で相対的に下方に位置する(
図4参照)。一方、第1回転部31は、後述のように第2回転部32の上昇に伴って下方から力を受けた場合(
図5参照)、昇降ガイド35に沿って上方に移動し、第1回転部31と第2回転部32との間に挟まれる部材(すなわち食材ワークW)に過大な力が作用するのを防ぐ。
【0059】
受動回転ユニット38は、回転軸線Axを中心に回転可能に設けられており、例えば第1回転部31が受けた力に応じて受動的に回転する。図示の受動回転ユニット38は、一方向にのみ回転することができ、具体的には第2回転部32が食材ワークWを回転させる方向と同じ方向にのみ回転することができる。受動回転ユニット38の具体的な構成は限定されず、任意の構成を有することができる。
【0060】
本実施形態の第2回転部32は、第2移動回転駆動部54の第2移動回転軸54aに固定されている。第2移動回転軸54aは、回転軸線Axを中心に回転可能であるとともに、第2移動回転駆動部54の本体部からの高さ方向への突出量を変えることが可能である。したがって第2移動回転駆動部54は、制御部50の制御下で、第2回転部32の回転駆動及び移動駆動の両方を行う。すなわち第2移動回転駆動部54は、機能的には、第2回転部32を移動させるための第2移動駆動部55と、第2回転部32を回転させるための第2回転駆動部56とを有する。
【0061】
第2移動回転駆動部54は、第2移動駆動部55及び第2回転駆動部56として機能する任意の構成を有することができる。例えば、第2移動駆動部55として働くデバイスと第2回転駆動部56として働くデバイスとが別個に設けられており、両デバイスが連結されることによって第2移動回転駆動部54が構成されていてもよい。或いは、第2移動駆動部55及び第2回転駆動部56が一体不可分な共通のデバイスによって実現されていてもよい。第2移動回転駆動部54によって行われる第2回転部32の移動及び第2回転部32の回転は、お互いに独立して実行可能である。このように第2移動駆動部55及び第2回転駆動部56として機能する第2移動回転駆動部54は、既知の要素(例えばボールねじ、エアーシリンダー或いはモーター等)によって実現可能であり、例えば日本ベアリング株式会社製のNBボールベアリング(SPBR形、SPBF形)を使って実現することもできる。
【0062】
第2回転部32が有する複数の突出部41は、第2回転部32の回転軸線Axから相対的に近い位置に設けられる2以上の内側突出部41aと、第2回転部32の回転軸線Axから相対的に遠い位置に設けられる1以上の外側突出部41bと、を含む(
図6及び
図7参照)。図示の第2回転部32は、4つの内側突出部41a及び2つの外側突出部41bから構成される6つの突出部41を有する。図示の例において、4つの内側突出部41aは、第2回転部32の本体部のうち円形断面を有する円盤状部分32aに固定されており、2つの外側突出部41bは、第2回転部32の本体部のうち当該円盤状部分32aから水平方向外向きに突出した2つの延長部32bに固定されている。これらの内側突出部41aは回転軸線Axを中心に等角度間隔で配置されており、これらの外側突出部41bも回転軸線Axを中心に等角度間隔で配置されている。図示の例では、隣り合う内側突出部41aによって形成される回転軸線Ax周りの角度は90度(=360度/4)であり、隣り合う外側突出部41bによって形成される回転軸線Ax周りの角度は180度(=360度/2)である。このように第2回転部32が有する複数の内側突出部41aは回転軸線Axを中心とする回転対称の位置に設けられることが好ましい。また第2回転部32が有する複数の外側突出部41bも回転軸線Axを中心とする回転対称の位置に設けられることが好ましい。さらに第2回転部32が有する複数の突出部41は、全体として、回転軸線Axを中心とする回転対称の位置に設けられることが好ましい。
【0063】
複数の紐状体21は、第1紐状体21a、第2紐状体21b及び第3紐状体21cに分類される。第1紐状体21aは、回転機構15を通過するように走行する紐状体21であり、本実施形態では回転機構15よりも上流側から回転機構15よりも下流側にわたって走行する。第2紐状体21bは、回転機構15よりも上流側を走行する紐状体21である。第3紐状体21cは、回転機構15よりも下流側を走行する紐状体21である。第2紐状体21bは、回転機構15よりも上流側に設けられる第1リターンローラ26に掛け渡され、当該第1リターンローラ26において反転する。第3紐状体21cは、回転機構15よりも下流側に設けられる第2リターンローラ27に掛け渡され、当該第2リターンローラ27において反転する。第1紐状体21aは、回転機構15よりも上流側では第2紐状体21bと平行に走行し、回転機構15よりも下流側では第3紐状体21cと平行に走行し、回転機構15に対応する領域(例えば第1回転部31と第2回転部32との間)では案内プレート45によって下方から支持されつつ走行する。
【0064】
第1紐状体21aは、案内プレート45の上方を通過するように走行するが、第2紐状体21b及び第3紐状体21cは、それぞれ案内プレート45よりも上流側のみ及び下流側のみを走行する。したがって案内プレート45の上方では、紐状体21の走行方向と直角を成す水平方向に関し、案内プレート45の中央部分に対応するスペースにおいてのみ紐状体21(すなわち第1紐状体21a)が走行し、案内プレート45の両端部分に対応するスペースには紐状体21が存在しない。このように、紐状体21の走行方向と直角を成す水平方向に関する両端部側において紐状体21を設けないことによって、食材ワークWを案内プレート45の上方で回転させる際に、当該食材ワークWの端部(例えば角部)が紐状体21に引っかかるのを防ぐことができ、食材ワークWを安定的に回転させることができる。特に、食材ワークWのうち「紐状体21の走行方向とは逆方向の成分を含む方向に回転させられる端部」は、紐状体21に意図せずに引っかかると、回転方向とは逆方向に働く摩擦力を紐状体21から受けるため乱れやすい。上述の本実施形態の紐状体21(すなわち第1紐状体21aは、第2紐状体21bと第3紐状体21c)によれば、そのような食材ワークWの端部の乱れを効果的に防ぐことができる。
【0065】
案内プレート45は、図示しない支持部により支持されて固定的に設けられており、第1紐状体21aを走行自在に下方から支持する。本実施形態の案内プレート45は、それぞれの内側突出部41aに対応する位置に設けられた複数の内側移動孔46aと、それぞれの外側突出部41bに対応する位置に設けられた複数の外側移動孔46bとを有する。各内側移動孔46aは、第2回転部32が上昇位置に配置される場合に対応の内側突出部41aによって貫通され(
図5参照)、対応の内側突出部41aの回転を阻害しないように対応の内側突出部41aの回転軌道を含む範囲にわたって設けられている。同様に、各外側移動孔46bは、第2回転部32が上昇位置に配置される場合に対応の外側突出部41bによって貫通され、対応の外側突出部41bの回転を阻害しないように対応の外側突出部41bの回転軌道を含む範囲にわたって設けられている。なお図示の例では、それぞれの内側突出部41a及び外側突出部41bに対して別個の内側移動孔46a及び外側移動孔46bが設けられている。ただし、2以上の内側突出部41a及び外側突出部41bに対して共通の1つの移動孔が設けられていてもよい。
【0066】
本実施形態の制御部50は、以下のようにして、上述の構成を有する回転機構15(特に第2回転部32の移動及び回転)を制御し、各食材ワークWを回転させる。
【0067】
まず制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量が第1突出量に調整されるとともに、第2移動回転軸54aの回転方向の位置が第1回転位置に調整される。これにより第2回転部32は第1高さ方向位置に配置され、第2回転部32の複数の突出部41が第1紐状体21aよりも下方(
図4に示す例では案内プレート45よりも下方)に位置する。また複数の突出部41は第1回転位置(
図6に示す内側突出部41a及び外側突出部41b参照)に配置される。
【0068】
そして制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第1コンベア11により搬送される食材ワークWが第1回転部31と第2回転部32との間に位置するタイミングに応じて、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量を第1突出量よりも大きな第2突出量に調整する。これにより第2回転部32は、複数の突出部41が第1コンベア11の紐状体21間(特に第1紐状体21a間)を貫通し且つ第1コンベア11の紐状体21から食材ワークWを持ち上げるように上方向へ移動し、第2高さ方向位置に配置される(
図5参照)。これにより食材ワークWは、第1回転部31及び第2高さ方向位置に配置された第2回転部32(特に複数の突出部41)により挟まれて保持される。
【0069】
そして制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、食材ワークWが第1回転部31及び第2回転部32によって保持されている状態で、第2移動回転軸54aを回転させて第2回転位置に配置する。これにより第2回転部32の複数の突出部41は、第1回転位置から回転させられて第2回転位置(
図7に示す内側突出部41a及び外側突出部41b参照)に配置される。この際、第1回転部31は、食材ワークWを介して第2回転部32から回転方向に力を受け、第2回転部32と同じ方向に回転させられる。したがって食材ワークWは、第1回転部31及び第2回転部32(特に複数の突出部41)に挟まれて保持されている状態で、第1回転部31及び第2回転部32とともに回転軸線Axを中心に回転させられる。
【0070】
そして制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量を第1突出量に調整する。この際、第2移動回転軸54aの回転方向の位置は第2回転位置に維持されている。これにより第2回転部32は第2回転位置に配置された状態で下方向に移動させられ、複数の突出部41が第1紐状体21aよりも下側に配置される。食材ワークWは、第2回転部32が降下することによって第1回転部31から解放され、また第1コンベア11(特に第1紐状体21a)に載せられることによって第2回転部32から解放される。
【0071】
上述の一連の処理が行われることにより、食材ワークWは回転機構15によって回転させられる(
図6及び
図7参照)。回転後の食材ワークWは複数の第1紐状体21aに載せられて搬送され、回転機構15よりも下流側では第1紐状体21a及び第3紐状体21cに載せられて搬送され、食品加工機構16に供給される。
【0072】
以上説明したように本実施形態によれば、食材ワークWは、回転軸線Axからの距離が異なる内側突出部41a及び外側突出部41bにより支持された状態で回転させられる。これにより食材ワークWを第2回転部32(すなわち複数の突出部41)によって安定的に保持しつつ、精度良く回転させることができる。このように内側突出部41aだけではなく外側突出部41bも設けることによって、食材ワークWを安定的且つ正確に所望角度回転させることが可能である。
【0073】
特に、食材ワークWのうち垂れ下がりやすい外周部分を外側突出部41bにより支持し、当該外周部分を紐状体21(特に第1紐状体21a)から十分な距離離れた位置に配置することによって、食材ワークWを安定的且つ正確に所望角度回転させることができる。回転機構15によって食材ワークWを回転させる際に食材ワークWの外周部分が紐状体21と接触していると、紐状体21から当該外周部分に作用する摩擦力によって食材ワークWの回転精度が悪化し、場合によっては当該外周部分が縒れたり損傷したりすることがある。特に、隙間の割合が比較的大きい複数の紐状体21によって食材ワークWを搬送する場合、そのような意図しない食材ワークWの縒れや損傷が生じやすい。したがって本実施形態のように、紐状体21によって食材ワークWを搬送する装置に外側突出部41bを設けることにより、食材ワークWの回転精度の悪化を防ぐことができるとともに、食材ワークWの縒れや損傷を防ぐことができる。
【0074】
なお食材ワークWが水平方向に比較的大きな広がりを有するにもかかわらず、当該食材ワークWの外周部分のみが突出部によって支持される場合、食材ワークWの中央部分が弛んで紐状体21に接触した状態で、食材ワークWは回転させられうる。この場合、食材ワークWを正確に回転させることができなかったり、食材ワークWが縒れたり損傷したりする懸念がある。一方、本実施形態によれば、内側突出部41aによって食材ワークWの中央部分が支持されるため、食材ワークWの中央部分が紐状体21に接触した状態で食材ワークWが回転させられることを防ぐことができる。
【0075】
また食材ワークWは、上方へ移動する第2回転部32によって、下方から持ち上げられた状態で回転させられる。これにより、たとえ食材ワークWを回転させる際に食材ワークWの少なくとも一部が第1コンベア11に接触している場合であっても、第1コンベア11から食材ワークWが受ける力(摩擦力)を低減しつつ、食材ワークWを精度良く回転させることができる。第1コンベア11(すなわち第1紐状体21a)から全体が完全に持ち上げられた食材ワークW(すなわち第1コンベア11とは非接触の食材ワークW)を第1回転部31及び第2回転部32により挟みつつ回転させる場合には、食材ワークWは第1コンベア11から力(摩擦力)を全く受けることなく、より高い精度で回転させられることができる。また食材ワークWを回転させるために第1コンベア11(すなわち第1紐状体21a)を停止させる必要がないため、回転機構15よりも上流側及び下流側における装置及び処理に対して大きな悪影響を及ぼすことなく、食材ワークWを回転させることが可能である。
【0076】
また第2回転部32が有する複数の突出部41が内側突出部41a及び外側突出部41bを含むことによって、形状及び/又はサイズが異なる様々な種類の食材ワークWを、精度を悪化させることなく回転させることも可能である。
【0077】
また複数の紐状体21を使って食材ワークWを搬送する構成は、食材ワークWに対する各種の処理を行う上での利便性に優れている。例えば、本実施形態のように食品加工機構16において食材ワークWを折り曲げる場合、紐状体21間の隙間から食材ワークWにエアーを吹き付けることによって食材ワークWを簡単に折り曲げることが可能である。
【0078】
また第2コンベア12を介して切断ユニット14(食材ワーク供給部)から第1コンベア11に食材ワークWを供給することにより、第1コンベア11に供給される食材ワークWの姿勢を安定化させることができる。特に第1コンベア11が複数の紐状体21を含む場合、実際には、非常に小さいながらも紐状体21間には速度差が存在することがある。食材ワークWが起立姿勢で複数の紐状体21に供給される場合、そのような紐状体21間の速度差の影響で食材ワークWの姿勢が乱されやすい。一方、食材ワークWが水平姿勢に近い姿勢で複数の紐状体21に供給される場合、紐状体21間の速度差が食材ワークWの姿勢に及ぼす影響は比較的小さい。したがって上述の第2コンベア移送部22から複数の紐状体21に食材ワークWを供給することにより、当該複数の紐状体21に供給される食材ワークWの姿勢を安定化させることができる。
【0079】
このように回転機構15によって行われる食材ワークWの回転の精度及び安定性を向上させることによって、食品加工機構16において行われる食品加工の精度及び安定性も向上する。また食品製造装置10全体における加工速度を高速化させたり、歩留まりを向上させたりすることもでき、良品質の食品を安定的且つ高速に製造することができる。
【0080】
なお本件発明者は、特許文献1が開示する技術に基づく回転機構を使った食品製造装置と、上述の本実施形態の回転機構15を使った食品製造装置10とを、実際に製造して比較した。その結果、本実施形態の回転機構15を使った食品製造装置10は、特許文献1が開示する技術に基づく回転機構を使った食品製造装置に比べ、効率的に食品(すなわち春巻き)を製造することができた。
【0081】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
本実施形態の回転機構15の第1回転部31及び第2回転部32は、両者が能動的に回転可能に設けられている。また第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくともいずれか一方が、第1回転部31と第2回転部32との間の間隔が可変であるように、移動可能に設けられている。すなわち第1回転部31と第2回転部32との間の間隔が可変であるように、第1回転部31及び第2回転部32の一方のみが或いは両方が移動可能に設けられている。以下、一例として、第1回転部31は高さ方向に昇降できないが、第2回転部32が高さ方向に昇降可能に設けられている例について説明する。
【0083】
図9及び
図10は、第2実施形態に係る回転機構15を示す側方図である。
図11は、第2実施形態に係る制御部50及び回転機構15の機能構成を示すブロック図である。
【0084】
第1回転部31は、第2昇降弾性部61を介して第1回転軸53aに固定されており、第2昇降弾性部61及び第1回転軸53aと一体的に回転軸線Axを中心に回転可能に設けられている。第2昇降弾性部61は、高さ方向に関して弾性圧縮可能な部材によって構成されており、上述の第1昇降弾性部36(
図4及び
図5参照)と同様に、第1回転部31と第2回転部32との間に挟まれる部材(すなわち食材ワークW)に過大な力が作用するのを防ぐ。第1回転駆動部53の第1回転軸53aは、回転軸線Axを中心に回転可能に設けられており、第1回転駆動部53は制御部50の制御下で第1回転軸53aを回転させる。
【0085】
このように第1回転部31は、第1回転駆動部53(特に第1回転軸53a)から第2昇降弾性部61を介して伝達される回転動力によって、能動的に回転することができる。
【0086】
なお本例では、基本的に第1回転部31を高さ方向に昇降させないので、第1回転軸53aは、第1回転駆動部53の本体部からの高さ方向への突出量を変えない。ただし第1回転軸53aは、第1回転駆動部53の本体部からの高さ方向への突出量を変えることが可能であってもよい。
【0087】
他の構成は、上述の第1実施形態における構成と同様である。
【0088】
本実施形態の制御部50は、以下のようにして、上述の構成を有する回転機構15(特に、第1回転部31及び第2回転部32の両方の回転、及び、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくともいずれか一方の移動(
図9~
図11に示す例では第2回転部32の移動))を制御し、各食材ワークWを回転させる。
【0089】
まず制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量が第1突出量に調整されるとともに、第2移動回転軸54aの回転方向の位置が第1回転位置に調整される。これにより第2回転部32は第1高さ方向位置に配置され、第2回転部32の複数の突出部41が第1紐状体21aよりも下方(
図9に示す例では案内プレート45よりも下方)に位置する。また複数の突出部41は第1回転位置に配置される。
【0090】
一方、第1回転部31は、制御部50の制御下で回転方向の位置が調整されてもよいし、回転方向の位置が調整されなくてもよい。円形断面を有する円盤状部材のように水平方向の形状に関して異方性を持たない部材によって第1回転部31が構成されている場合には、第1回転部31の回転方向の位置は調整されなくてもよい。一方、第1回転部31のうちの特定の箇所を第2回転部32の複数の突出部41と対向させる必要がある場合、制御部50は第1回転駆動部53を制御して、第1回転部31の回転方向の位置を調整する。
【0091】
そして制御部50は、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくともいずれか一方(本例では第2回転部32)を移動させて、第1コンベア11の複数の第1紐状体21aから持ち上げられた食材ワークWを第1回転部31及び第2回転部32により挟んで保持するように、制御を行う。すなわち制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第1コンベア11により搬送される食材ワークWが第1回転部31と第2回転部32との間に位置するタイミングに応じて、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量を第1突出量よりも大きな第2突出量に調整する。これにより第2回転部32は、複数の突出部41が第1コンベア11の紐状体21(特に第1紐状体21a)間を貫通し且つ第1コンベア11の紐状体21から食材ワークWを持ち上げるように上方向へ移動し、第2高さ方向位置に配置される(
図10参照)。食材ワークWは、第1回転部31及び第2高さ方向位置に配置された第2回転部32(特に複数の突出部41)により挟まれて保持される。
【0092】
また制御部50は第1回転駆動部53及び第2移動回転駆動部54を制御し、第1回転軸53a及び第2移動回転軸54aを回転させて第2回転位置に配置する。この際、制御部50は、食材ワークWを挟んで保持している第1回転部31及び第2回転部32をお互いに同調させながら能動的に回転させる。これにより第1回転部31と第2回転部32の複数の突出部41とは、第1回転位置から回転させられて第2回転位置に配置される。したがって食材ワークWは、第1回転部31及び第2回転部32(特に複数の突出部41)に挟まれて保持されている状態で、第1回転部31及び第2回転部32とともに回転軸線Axを中心に回転させられる。特に、第1回転部31及び第2回転部32は同調回転するため、食材ワークWに対する第1回転部31及び第2回転部32からの負荷を軽減しつつ、食材ワークWを確実且つ正確に所望角度回転させることができる。
【0093】
そして制御部50は、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、食材ワークWを第1回転部31及び第2回転部32から解放して第1コンベア11の第1紐状体21aに載せるように、制御を行う。本例の制御部50は第2移動回転駆動部54を制御し、第2移動回転軸54aの本体部からの突出量を第1突出量に調整する。この際、第2移動回転軸54aの回転方向の位置は第2回転位置が維持される。これにより第2回転部32は第2回転位置に配置された状態で下方向に移動させられ、複数の突出部41が第1紐状体21aよりも下側に配置される。食材ワークWは、第2回転部32が降下することによって第1回転部31から解放され、また第1コンベア11(特に第1紐状体21a)に載せられることによって第2回転部32から解放される。
【0094】
以上説明したように本実施形態によれば、食材ワークWは、同調回転する第1回転部31及び第2回転部32(特に複数の突出部41)によって保持されつつ回転させられる。したがって食材ワークWを、安定的且つ正確に所望角度回転させることができる。
【0095】
上述の第1実施形態のように第1回転部31が能動的に回転しない場合、食材ワークWを回転させる際に、第1回転部31は必ずしも食材ワークWと同様には回転せず、食材ワークWが第1回転部31に擦りつけられることがある。この場合、食材ワークWは削られ、食材ワークWのカスが生じうる。このようにして生じる食材ワークWのカスは、第1回転部31に付着したり、複数の紐状体21及び第2回転部32(複数の突出部41)に付着したりする。第1回転部31に食材ワークWのカスが付着していると、食材ワークWが第1回転部31に対して必要以上に強固に粘着してしまい、食材ワークWを第1回転部31から適切に解放することができない懸念がある。また複数の紐状体21及び第2回転部32(複数の突出部41)に付着している食材ワークWのカスは、食材ワークWの搬送不良や回転不良をもたらしうる。
【0096】
一方、本実施形態のように第1回転部31及び第2回転部32を同調回転させることで、食材ワークWのカスは発生しにくく、食材ワークWのカスに起因する各種不良の発生を効果的に回避することができる。
【0097】
[第1変形例]
上述の第1実施形態及び第2実施形態において、第1回転部31は受動的に高さ方向に移動可能に設けられているが、能動的には高さ方向に移動することができない。しかしながら、第1回転部31も能動的に高さ方向に移動可能に設けられていてもよい。
【0098】
図12は、第1変形例に係る制御部50及び回転機構15の機能構成を示すブロック図である。第1回転部31は、第1移動回転駆動部51に接続され、制御部50の制御下で第1移動回転駆動部51から伝えられる動力によって、外力を受けることなく単独で、高さ方向に移動してもよいし、回転軸線Axを中心に回転してもよい。
【0099】
第1移動回転駆動部51は、機能的には、第1回転部31を移動させるための第1移動駆動部52と、第1回転部31を回転させるための第1回転駆動部53とを有する。第1移動回転駆動部51は、第1移動駆動部52及び第1回転駆動部53として機能する任意の構成を有することができる。例えば、第1移動駆動部52として働くデバイスと第1回転駆動部53として働くデバイスとが別個に設けられており、両デバイスが連結されることによって第1移動回転駆動部51が構成されていてもよい。また第1移動駆動部52及び第1回転駆動部53が一体不可分な共通のデバイスによって実現されていてもよい。また第1移動回転駆動部51によって行われる第1回転部31の移動及び第1回転部31の回転は、お互いに独立して実行可能である。このような第1移動回転駆動部51は、例えば上述の第2移動回転駆動部54と同様の構成を有することができる。
【0100】
[第2変形例]
上述の第1実施形態及び第2実施形態の第1回転部31は、水平方向に一様に延びる平面によって構成される下面を有するが、第1回転部31の下面の形状は限定されない。例えば、食材ワークWが第1回転部31に対して意図せずに粘着してしまうことを防ぐために食材ワークWに対する第1回転部31の剥離性を向上させる観点からは、食材ワークWが第1回転部31及び第2回転部32により挟まれる際、食材ワークWと第1回転部31との間の接触面積は小さい方が好ましい。
【0101】
したがって第1回転部31は、第2回転部32に向かって突出し且つ複数の突出部41と対向する1以上の凸部を有することが好ましい。この場合、第1回転部31及び第2回転部32によって食材ワークWが挟まれた際に、食材ワークWは凸部に対しては接触するが、第1回転部31のうち凸部以外の部分に対して食材ワークWは接触しない。
【0102】
図13、
図15及び
図17は、それぞれ第1回転部31が有する凸部70の第1例~第3例を示す側方図である。
図14、
図16及び
図18は、それぞれ第1回転部31が有する凸部70の第1例~第3例を示す下面図である。
【0103】
第1回転部31は、例えば
図13~
図16(第1例及び第2例)に示すように、中央が凹部71として形成される円環状の凸部70を有していてもよい。
図13及び
図14に示す第1例の第1回転部31は単一の凸部70を有し、当該凸部70は、全ての突出部41(すなわち全ての内側突出部41a及び全ての外側突出部41b)と高さ方向に対向する。一方、
図15及び
図16に示す第2例の第1回転部31も単一の凸部70を有するが、当該凸部70は、全ての内側突出部41aと高さ方向に対向するが、全ての外側突出部41bと対向しない。
【0104】
第1回転部31は、上述の第1例及び第2例のように1つの凸部に対して複数の突出部41を対向させてもよいし、1つの凸部に対して1つの突出部41のみを対向させてもよい。
図17及び
図18に示す第3例の第1回転部31は複数の柱状の凸部70を有し、これらの凸部70は、それぞれの内側突出部41aと高さ方向に対向する。
【0105】
このように本変形例によれば、第1回転部31が1又は複数の凸部70を有するため、食材ワークWに対する第1回転部31の剥離性を向上させることができる。また食材ワークWと第1回転部31との間の接触面積が低減されるため、第1回転部31の接触面に対する食材ワークWのカスの付着を軽減することができる。
【0106】
[第3変形例]
図19は、第3変形例に係る回転機構15を示す平面図である。本変形例は、食材ワークWの剛性が比較的大きい場合に好適である。特に、後述のように食材ワークWの端部のみが紐状体21(第1コンベア11)により支持されても、食材ワークWが殆ど撓まない場合若しくは不具合がない程度にしか撓まない場合に、本変形例は好適である。
【0107】
本変形例において、第2回転部32は、円盤形状を有し、水平方向と平行に延びる平坦な上面を有する。
図19において図示が省略されている第2移動回転駆動部54(
図4等参照)によって、第2回転部32は、回転軸線Axを中心に回転させられるとともに、高さ方向に昇降させられる。
【0108】
第1コンベア11は、少なくとも2つ紐状体21を含む。第2回転部32は、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して2つの紐状体21間に設けられ、紐状体21間のスペースにおいて昇降可能に設けられている。
【0109】
図19では図示が省略されている本変形例の第1回転部31は、本変形例に係る第2回転部32と同様に構成されていてもよいし、上述のいずれかの実施形態又は変形例の第1回転部31と同様に構成されていてもよい。
【0110】
本変形例によれば、食材ワークWが第2回転部32の上方に位置するタイミングで、第2回転部32は上昇して食材ワークWを紐状体21から持ち上げて回転させる。この際、食材ワークWは第1回転部31と第2回転部32との間に挟まれた状態で回転させられる。食材ワークWが回転させられた後、第2回転部32は降下して食材ワークWを紐状体21に載せる。
【0111】
[第4変形例]
図20は、第4変形例に係る回転機構15を示す平面図である。
図21は、第4変形例に係る回転機構15の側方図である。
図20及び
図21において回転機構15は概略的に示されている。例えば、
図20において第2回転部32と第2移動回転駆動部54との間の接続構造は簡略化されている。また
図21において、第1コンベア11(紐状体21)及び食材ワークWの図示は省略されている。
【0112】
本変形例の第1コンベア11は、
図20に示すように、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関し、食材ワークWの中央部を支持する紐状体21(以下「中央紐状体21」とも称する)を含む。
図20に示す中央紐状体21は比較的大きな幅を有するが、食材ワークWを適切に支持しつつ搬送することができるのであれば、中央紐状体21の幅は大きくても小さくてもよい。また第1コンベア11は、複数の紐状体21を含んでいてもよい。例えば、回転機構15よりも上流側及び/又は下流側において、
図20に示す中央紐状体21に加え、この中央紐状体21に隣り合う位置に他の紐状体(図示省略)が第1コンベア11として設けられていてもよい。
【0113】
第2回転部32は複数(
図20では2つ)設けられ、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して第1コンベア11を挟むように配置される。各第2回転部32は、第1コンベア11の走行方向と平行に走行する無端状ベルトを有し、対応の第2移動回転駆動部54により駆動されて食材ワークWの回転方向に応じた方向に走行する。具体的には、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して第1コンベア11の一方側に配置される第2回転部32(
図20の右側に配置される第2回転部32)のうち食材ワークWと接触する面は、第1コンベア11と同じ方向に走行する。食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して第1コンベア11の他方側に配置される第2回転部32(
図20の左側に配置される第2回転部32)のうち食材ワークWと接触する面は、第1コンベア11とは逆の方向に走行する。
【0114】
各第2回転部32は、駆動プーリ81b及び駆動プーリ81cに掛け渡されている。駆動プーリ81b及び駆動プーリ81cの各々は、回転支持軸84を介して支持体83に回転自在に連結されている。支持体83は昇降プレート85上に固定されており、昇降プレート85は昇降機86(特に昇降軸86a)によって昇降自在に支持されている。昇降機86は、図示しない支持部材によって固定的に支持されている。
【0115】
昇降プレート85及び支持体83には、モーター等によって構成される第2移動回転駆動部54が固定されている。第2移動回転駆動部54は、回転支持軸84を介して駆動プーリ81aに連結されており、制御部50の制御下で、これらの回転支持軸84及び駆動プーリ81aを回転させる。駆動プーリ81a及び駆動プーリ81bには駆動ベルト82が掛け渡されている。駆動ベルト82は駆動プーリ81aの回転に応じて走行し、第2移動回転駆動部54から回転支持軸84及び駆動プーリ81aを介して伝えられる動力を、駆動プーリ81bに伝える。駆動プーリ81bは駆動ベルト82の走行に応じて回転し、駆動プーリ81bの回転に応じて第2回転部32が走行する。
【0116】
各第2移動回転駆動部54は、対応の第2回転部32が掛け渡される2つの駆動プーリ81b、81cのうち、対応の第2回転部32の走行方向の先頭側の駆動プーリ(
図21に示す例では左側の駆動プーリ81b)に動力を伝達する。これにより、第2回転部32をエネルギー効率良く走行させることができる。
【0117】
第1回転部31も第2回転部32と同様の構成を有する。すなわち第1回転部31は複数(本変形例では2つ)設けられ、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して第1コンベア11を挟むように配置される。各第1回転部31は、第1コンベア11の走行方向と平行に走行する無端状ベルトを有し、対応の第1回転駆動部53により駆動されて食材ワークWの回転方向に応じた方向に走行する。具体的には、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して第1コンベア11の一方側に配置される第1回転部31の食材ワークWとの接触面は第1コンベア11と同じ方向に走行し、他方側に配置される第1回転部31の食材ワークWとの接触面は、第1コンベア11とは逆の方向に走行する。各第1回転部31は、回転支持軸84、駆動プーリ81a、81b、81c及び駆動ベルト82を介して対応の第1回転駆動部53に連結され、対応の第1回転駆動部53から伝えられる動力によって走行する。
【0118】
各第1回転部31は、駆動プーリ81b及び駆動プーリ81cに掛け渡されている。これらの駆動プーリ81b及び駆動プーリ81cの各々は、回転支持軸84及び支持体83を介して昇降プレート85上に固定されており、昇降プレート85は、図示しない支持部材により固定的に支持されている昇降機86によって、昇降自在に支持されている。各第1回転駆動部53(モーター等)は、昇降プレート85及び支持体83に固定されている。各第1回転駆動部53は、回転支持軸84を介して駆動プーリ81aに連結されており、制御部50の制御下で、これらの回転支持軸84及び駆動プーリ81aを回転させる。これらの駆動プーリ81a及び駆動プーリ81bには駆動ベルト82が掛け渡されている。駆動ベルト82は駆動プーリ81aの回転に応じて走行し、第1回転駆動部53から回転支持軸84及び駆動プーリ81aを介して伝えられる動力を、駆動プーリ81bに伝える。駆動プーリ81bは駆動ベルト82の走行に応じて回転し、駆動プーリ81bの回転に応じて第1回転部31が走行する。
【0119】
本変形例によれば、食材ワークWが第2回転部32の上方に位置するタイミングで、第2回転部32は上昇して食材ワークWを紐状体21から持ち上げて回転させる。この際、食材ワークWは第1回転部31及び第2回転部32によって挟まれ、食材ワークWと接触する第1回転部31の面(すなわち下面)及び第2回転部32の面(すなわち上面)とは同じ方向(
図21の左向き方向)に走行する。食材ワークWが回転させられた後、第2回転部32は降下して食材ワークWを紐状体21に載せる。
【0120】
[第5変形例]
図22は、第5変形例に係る回転機構15を示す平面図である。
図23は、第5変形例に係る回転機構15の側方図である。
図22及び
図23において回転機構15は概略的に示されている。例えば、
図22において第2回転部32と第2移動回転駆動部54との間の接続構造は簡略化されている。また
図21において、第1コンベア11(紐状体21)及び食材ワークWの図示は省略されている。
【0121】
本変形例の第1コンベア11は、
図22に示すように複数の紐状体21(図示の例では4つの紐状体21)を含み、食材ワークWの搬送方向と直角を成す水平方向に関して食材ワークWの両端部を支持する。第1コンベア11は、
図22に示されていない1以上の紐状体21を更に含んでいてもよい。例えば、回転機構15よりも上流側及び/又は下流側において、
図22に示す4つの紐状体21に加え、食材ワークWの中央部を支持するための紐状体21が設けられていてもよい。
【0122】
第2回転部32は複数(
図22では4つ)設けられている。4つの第2回転部32は、高さ方向に延びる軸線(図示省略)を中心にお互いに等角度間隔に配置されており、当該軸線から等距離に配置されている。各第2回転部32は、対応の第2移動回転駆動部54によって回転駆動されるローラーを有し、食材ワークWの回転方向に応じた方向に回転走行する。具体的には、
図22の左右に配置される2つの第2回転部32のうちの一方(右側の第2回転部32)の回転方向は第1コンベア11の走行方向に対応し、他方(左側の第2回転部32)の回転方向は第1コンベア11の走行方向とは逆の方向に対応する。また
図22の上下に配置される2つの第2回転部32は、第1コンベア11の走行方向と直角を成す水平方向に対応するが、お互いに逆向きである。
【0123】
各第2回転部32は、回転支持軸94を介して支持体93により回転自在に支持されており、回転支持軸94を介して駆動プーリ91bに連結されている。支持体93は、ベアリングホルダ95及び回転支持軸94を介して駆動プーリ91aを回転自在に支持する。駆動プーリ91aは、回転支持軸94を介し、モーター等により構成される第2移動回転駆動部54に連結されている。各第2移動回転駆動部54は、昇降プレート96に固定されており、制御部50の制御下で駆動される。昇降プレート96は昇降機97(特に昇降軸97a)によって昇降可能に支持されている。昇降機97は制御部50によって制御される。
【0124】
第1回転部31も第2回転部32と同様の構成を有する。すなわち第1回転部31は複数(図示の例では4つ)設けられ、高さ方向に延びる軸線(図示省略)を中心にお互いに等角度間隔に配置され、当該軸線から等距離に配置され、それぞれの第2回転部32と向かい合う位置に設けられている。各第1回転部31は、対応の第1回転駆動部53によって回転駆動されるローラーを有し、食材ワークWの回転方向に応じた方向に走行する。
【0125】
各第1回転部31は、回転支持軸94を介して支持体93により回転自在に支持されており、回転支持軸94を介して駆動プーリ91bに連結されている。当該支持体93は、ベアリングホルダ95及び回転支持軸94を介して駆動プーリ91aを回転自在に支持する。駆動プーリ91aは、回転支持軸94を介し、モーター等により構成される第1回転駆動部53に連結されている。各第1回転駆動部53は、昇降プレート96に固定されており、制御部50の制御下で駆動される。
【0126】
本変形例によれば、食材ワークWが第2回転部32の上方に位置するタイミングで、第2回転部32は上昇して食材ワークWを紐状体21から持ち上げて回転させる。この際、食材ワークWは第1回転部31及び第2回転部32によって挟まれ、食材ワークWと接触する第1回転部31の面及び第2回転部32の面は同じ方向に走行する。食材ワークWが回転させられた後、第2回転部32は降下して食材ワークWを紐状体21に載せる。
【0127】
[第6変形例]
図24は、第6変形例に係る回転機構15の一例を示す平面図である。
図25は、第6変形例に係る回転機構15の他の例を示す平面図である。
【0128】
案内プレート45は、案内プレート45の表面(特に搬送される食材ワークWと対向する表面)に開口を形成する開口形成部を有していてもよい。開口形成部は、案内プレート45を貫通していてもよいし、案内プレート45を貫通しない窪み部として設けられていてもよい。したがって案内プレート45は、そのような開口形成部として、例えば貫通孔74を有していてもよいし(
図24参照)、有底の溝部75を有していてもよい(
図25参照)し、貫通孔及び窪み部の両方を有していてもよい。
図24に示す貫通孔74は円形の平面形状を有し、
図25に示す溝部75は食材ワークWの搬送方向と平行に延びているが、開口形成部の形状、位置及び延在方向等の形態は限定されない。
【0129】
案内プレート45が開口形成部を有することによって、食材ワークWに接触しうる案内プレート45の表面積を小さくして、食材ワークWが案内プレート45から受ける力(摩擦力及び粘着力等)を小さくすることができる。特に、食材ワークWの水分含有量が多い場合や食材ワークWが粘着食材により構成される場合、食材ワークWに接触しうる案内プレート45の表面積を小さくすることで、食材ワークWが案内プレート45から受ける摩擦力及び粘着力等の力を効果的に低減できる。
【0130】
なお、食材ワークWは、案内プレート45のうち上方に紐状体21が設けられない部分(すなわち露出部分)に接触しやすい。そのため、案内プレート45のうち紐状体21によって覆われない部分に開口形成部を設けることで、食材ワークWが案内プレート45から受ける力を効率的に低減しうる。その一方で、案内プレート45の露出部分は、食材ワークWを案内プレート45の上方で回転させる際に食材ワークWを下方から支持して、食材ワークWを安定的に回転させるのに役立つ。そのため、開口形成部を案内プレート45(例えば露出部分)において離散的に設けることで、案内プレート45から食材ワークWが受ける力の低減と案内プレート45による食材ワークWの支持とを、バランス良く両立させることができる。
【0131】
[他の変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。
【0132】
例えば、上述の第1実施形態の第1コンベア11は複数の紐状体21によって構成されているが、複数の紐状体21の代わりに他の部材(例えばベルト部材、ローラー状部材或いはネット状部材)によって構成されていてもよい。
【0133】
また上述の第2変形例の第1回転部31は複数の突出部41と対向する1以上の凸部70を有するが、第1回転部31の全体が、第2回転部32の1又は2以上の突出部41とのみ対向する形状及びサイズ(すなわち第2回転部32のうちの当該1又は2以上の突出部41以外の部分とは対向しない形状及びサイズ)を有していてもよい。
【0134】
また制御部50は、第1移動回転駆動部51及び第2移動回転駆動部54を制御する代わりに、別個に設けられた第1移動駆動部52及び第1回転駆動部53の各々を制御してもよいし、別個に設けられた第2移動駆動部55及び第2回転駆動部56の各々を制御してもよい。
【0135】
また内側突出部41a及び外側突出部41bの具体的な数及び配置形態は限定されず、内側突出部41a及び外側突出部41bを支持する第2回転部32の本体部の形状も限定されない。例えば、突出部を持たない円盤状の第2回転部32の本体部によって内側突出部41a及び外側突出部41bが支持されてもよい。
【0136】
また第2回転部32が受動的に回転可能に設けられ且つ第1回転部31が能動的に回転可能に設けられていてもよい。第1回転部31及び第2回転部32が食材ワークWを挟んで保持している状態で、第1回転部31及び第2回転部32のうちの一方を能動的に回転させつつ、他方を受動的に回転させてもよい。
【0137】
また第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくともいずれか一方が、第1回転部31及び第2回転部32のうちの一方から他方に向かって延在する複数の突出部(上述の「突出部41」参照)を有していればよい。したがって第1回転部31及び第2回転部32のうち、第1回転部31のみが複数の突出部を有していてもよいし、第2回転部32のみが複数の突出部を有していてもよいし、両者が複数の突出部を有していてもよい。
【0138】
第1回転部31及び第2回転部32のうちの一方は、第1回転部31及び第2回転部32のうちの他方に向かって突出し且つ当該他方が有する複数の突出部41と対向する1以上の凸部70を有してもよい。したがって、第1回転部31が複数の突出部を有し、第2回転部32が1以上の凸部70を有していてもよい。
【0139】
また食材ワークWを回転機構15によって回転させる際、食材ワークWは必ずしも第1コンベア11から持ち上げられなくてもよい。食材ワークWが第1コンベア11に接触している状態で、回転機構15は食材ワークWを回転させてもよい。
【0140】
例えば、食材ワークWが第1コンベア11に接触している状態で、上方に配置される第1回転部31と、下方に配置され且つ複数の突出部を有する第2回転部32(特に突出部)とにより当該食材ワークWを挟んで保持し、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくとも一方を能動的に回転させることによって、食材ワークWが回転させられてもよい。また食材ワークWが第1コンベア11に接触している状態で、上方に配置され且つ複数の突出部を有する第1回転部31(特に突出部)と、下方に配置される第2回転部32とにより当該食材ワークWを挟んで保持し、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくとも一方を能動的に回転させることによって、食材ワークWが回転させられてもよい。また食材ワークWが第1コンベア11に接触している状態で、上方に配置され且つ複数の突出部を有する第1回転部31(特に突出部)と、下方に配置され且つ複数の突出部を有する第2回転部32(特に突出部)とにより当該食材ワークWを挟んで保持し、第1回転部31及び第2回転部32のうちの少なくとも一方を能動的に回転させることによって、食材ワークWが回転させられてもよい。
【0141】
上述の第1回転部31及び第2回転部32の構成及び作用の少なくとも一部は、お互いに交換可能である。
【0142】
なお上述の実施形態及び変形例では春巻きを製造する食品製造装置10及び食品製造方法について説明したが、食品製造装置10及び食品製造方法は他の食品を製造してもよいし、回転機構15は春巻きの皮以外の食材ワークを回転させてもよい。例えば、食品製造装置10及び食品製造方法はシュウマイ及び餃子を製造してもよいし、回転機構15はシュウマイ及び餃子の皮を製造してもよい。また回転機構15は、具材を包む皮以外の食材ワークを回転させてもよい。上述の実施形態及び変形例に係る食品製造装置10(回転機構15を含む)及び食品製造方法(回転方法を含む)は、柔軟なシート状の食材によって構成される食材ワークWに対して好適であるが、剛性が比較的大きい食材によって構成される食材ワークW及び非シート状の食材によって構成される食材ワークWに対しても適用可能である。
【0143】
上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の構成要素及び/又は方法以外の構成要素及び/又は方法を含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素及び/又は方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、本開示のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本開示の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本開示の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本開示の実施形態に含まれる。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0144】
10 食品製造装置
11 第1コンベア
12 第2コンベア
13 第3コンベア
14 切断ユニット
15 回転機構
16 食品加工機構
17 巻き上がり防止部
21 紐状体
21a 第1紐状体
21b 第2紐状体
21c 第3紐状体
22 第2コンベア移送部
23 第3コンベア移送部
24 第2コンベアローラ
25 第3コンベアローラ
26 第1リターンローラ
27 第2リターンローラ
31 第1回転部
32 第2回転部
35 昇降ガイド
36 第1昇降弾性部
37 弾性ストッパー
38 受動回転ユニット
39 支持軸
41 突出部
41a 内側突出部
41b 外側突出部
45 案内プレート
46a 内側移動孔
46b 外側移動孔
50 制御部
51 第1移動回転駆動部
52 第1移動駆動部
53 第1回転駆動部
53a 第1回転軸
54 第2移動回転駆動部
54a 第2移動回転軸
55 第2移動駆動部
56 第2回転駆動部
61 第2昇降弾性部
70 凸部
71 凹部
74 貫通孔
75 溝部
81a 駆動プーリ
81b 駆動プーリ
81c 駆動プーリ
82 駆動ベルト
83 支持体
84 回転支持軸
85 昇降プレート
86 昇降機
86a 昇降軸
91a 駆動プーリ
91b 駆動プーリ
92 駆動ベルト
93 支持体
94 回転支持軸
95 ベアリングホルダ
96 昇降プレート
97 昇降機
97a 昇降軸
Ax 回転軸線
W 食材ワーク
W0 生地