(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】固体電解質、固体電解質層及び固体電解質電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0562 20100101AFI20250114BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20250114BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250114BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20250114BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/054
H01B1/06 A
(21)【出願番号】P 2021537256
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029019
(87)【国際公開番号】W WO2021024876
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2019145663
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】上野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 長
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/135348(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/070955(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0562
H01M 4/62
H01M 10/052
H01M 10/054
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを主元素として含む化合物を有し、
前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°
、2θ=34.4°±0.5°
、2θ=43.7°±0.5°、2θ=45.0°±0.5°、2θ=54.2°±0.5°、2θ=59.1°±0.5°、2θ=60.5°±0.5°、2θ=62.2°±0.5°、の位置に
それぞれ回折ピークを有し、
前記化合物は、組成式Li
2+a
M
b
Zr
1+c
Cl
6+d
で表され、
-1.5≦a≦1.5、0≦b≦1.5、-0.7≦c≦0.2、-0.2≦d≦0.2を満たし、
Mは、Al、Ca、Nb、Mgから選択される1種以上の元素であり、
2θ=32.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IAに対する2θ=34.4°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IBの比率IB/IAは、0<IB/IA≦3を満たす、固体電解質。
【請求項2】
アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを主元素として含む化合物を有し、
前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°
、2θ=30.0°±0.5°
、2θ=43.7°±0.5°、2θ=45.0°±0.5°、2θ=54.2°±0.5°、2θ=59.1°±0.5°、2θ=60.5°±0.5°、2θ=62.2°±0.5°、の位置に
それぞれ回折ピークを有し、
前記化合物は、組成式Li
2+a
M
b
Zr
1+c
Cl
6+d
で表され、
-1.5≦a≦1.5、0≦b≦1.5、-0.7≦c≦0.2、-0.2≦d≦0.2を満たし、
Mは、Al、Ca、Nb、Mgから選択される1種以上の元素であり、
2θ=32.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IAに対する2θ=30.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度ICの比率IC/IAは、0<IC/IA≦2を満たす、固体電解質。
【請求項3】
前記化合物は、CuKα線の波長に対して、
2θ=16.1°±0.5°、
2θ=41.7°±0.5°、
2θ=49.9°±0.5°、
の位置にそれぞれ回折ピークを有する、請求項1又は2に記載の固体電解質。
【請求項4】
前記化合物は、CuKα線の波長に対して、
2θ=30.0°±0.5°、
2θ=34.4°±0.5°、
の位置にそれぞれ回折ピークを有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の固体電解質。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固体電解質を有する、固体電解質層。
【請求項6】
正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれた固体電解質層と、を備え、
前記正極、前記負極、前記固体電解質層のうちの少なくとも一つが、請求項1~
4のいずれか一項に記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
【請求項7】
正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれた固体電解質層と、を備え、
前記固体電解質層が、請求項1~
4のいずれか一項に記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質、固体電解質層及び固体電解質電池に関する。本願は、2019年8月7日に、日本に出願された特願2019-145663号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス技術の発達はめざましく、携帯電子機器の小型軽量化、薄型化、多機能化が図られている。それに伴い、電子機器の電源となる電池に対し、小型軽量化、薄型化、信頼性の向上が強く望まれており、電解質として固体電解質を用いる固体電解質電池が注目されている。
【0003】
固体電解質電池の作製方法の一例として、焼結法と粉末成形法とがある。焼結法は、負極と固体電解質層と正極とを積層後、焼結して固体電解質電池を形成する。粉末成形法は、負極と固体電解質層と正極とを積層後、圧力を加えて固体電解質電池を形成する。固体電解質層に用いることができる材料は、製造方法によって異なる。固体電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、錯体水素化物系固体電解質(LiBH4など)などが知られている。
【0004】
特許文献1には、正極と負極と一般式Li3-2XMXIn1-YM´YL6-ZL´Zで表される化合物からなる固体電解質とを有する固体電解質二次電池が開示されている。上記の一般式中、MおよびM´は金属元素であり、LおよびL´はハロゲン元素である。また、X、YおよびZは独立に0≦X<1.5、0≦Y<1、0≦Z≦6 を満たす。また正極は、Li元素を含む正極活物質を含有する正極層および正極集電体を備える。また負極は、負極活物質を含有する負極層および負極集電体を備える。
【0005】
特許文献2には、下記の組成式(1)により表される、固体電解質材料が開示されている。
Li6-3ZYZX6・・・式(1)
ここで、0<Z<2、を満たし、Xは、ClまたはBrである。
また、特許文献2には、負極と正極のうちの少なくとも1つは、前記固体電解質材料を含む電池が記載されている。
【0006】
特許文献3には、第一固体電解質材料と、第二固体電解質材料と、を有する電極活物質層を備える全固体電池が記載されている。第一固体電解質材料は、単相の電子-イオン混合伝導体であり、活物質と、前記活物質に接触し、前記活物質のアニオン成分とは異なるアニオン成分を有する材料である。第二固体電解質材料は、第一固体電解質材料に接触し、第一固体電解質材料と同じアニオン成分を有し、電子伝導性を有しないイオン伝導体である。また第一固体電解質材料は、Li2ZrS3であり、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=34.2°±0.5°の位置と2θ=31.4°±0.5°の位置にピークを有する。第一固体電解質材料の2θ=34.2°±0.5°におけるLi2ZrS3のピークの回折強度をIAとし、2θ=31.4°±0.5°におけるZrO2のピークの回折強度をIBとした場合に、IB/IAの値が0.1以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-244734号公報
【文献】国際公開第2018/025582号
【文献】特開2013-257992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1~3に記載された固体電解質は、いずれもイオン伝導度が充分とは言えなかった。このため、従来の固体電解質電池では、十分な放電容量が得られなかった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、イオン伝導度が向上した固体電解質、固体電解質層及びこれを用いた固体電解質電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。
その結果、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを含む化合物を主元素として有し、X線回折(XRD)の測定結果において特徴的な構造が確認される固体電解質は、可動イオンのイオン伝導度が高いことを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0011】
(1)第1の態様にかかる固体電解質は、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを含む化合物を主元素として有し、前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°及び2θ=34.4°±0.5°の位置に回折ピークを有し、2θ=32.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IAに対する2θ=34.4°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IBの比率IB/IAは、0<IB/IA≦3を満たす。
【0012】
(2)第2の態様に係る固体電解質は、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを主元素として含む化合物を有し、前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°及び2θ=30.0°±0.5°の位置に回折ピークを有し、2θ=32.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度IAに対する2θ=30.0°±0.5°において回折強度が最も強いピークの回折強度ICの比率IC/IAは、0<IC/IA≦2を満たす。
【0013】
(3)上記態様にかかる固体電解質の前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=16.1°±0.5°、2θ=41.7°±0.5°、2θ=49.9°±0.5°、の位置にそれぞれ回折ピークを有してもよい。
【0014】
(4)上記態様にかかる固体電解質の前記化合物は、CuKα線の波長に対して、2θ=43.7°±0.5°、2θ=45.0°±0.5°、2θ=54.2°±0.5°、2θ=59.1°±0.5°、2θ=60.5°±0.5°、2θ=62.2°±0.5°、位置にそれぞれ回折ピークを有してもよい。
【0015】
(5)上記態様にかかる固体電解質の前記化合物は、CuKα線の波長に対して、θ=30.0°±0.5°、2θ=34.4°±0.5°、の位置にそれぞれ回折ピークを有してもよい。
【0016】
(6)上記態様にかかる固体電解質は、前記4価の金属元素は、Zr、Hf、Ti、Sn、Geからなる群から選択される1種以上の元素であってもよい。
【0017】
(7)上記態様にかかる固体電解質において、前記化合物は組成式Li2+aMbZr1+cCl6+dで表され、-1.5≦a≦1.5、0≦b≦1.5、-0.7≦c≦0.2、-0.2≦d≦0.2を満たし、Mは、Al、Y、Ca、Nb、Mgから選択される1種以上の元素であってもよい。
【0018】
(8)第3の態様にかかる固体電解質層は、上記態様にかかる固体電解質を有する。
【0019】
(9)第4の態様にかかる固体電解質電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれた固体電解質層と、を備え、前記正極、前記負極、前記固体電解質層のうちの少なくとも一つが、上記態様に係る固体電解質を含む。
【0020】
(10)第5の態様にかかる固体電解質電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれた固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層が、上記態様に係る固体電解質を含む。
【発明の効果】
【0021】
上記態様にかかる固体電解質、固体電解質層及び固体電解質電池は、イオン伝導度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態にかかる固体電解質電池の断面模式図である。
【
図3】実施例1、実施例9、実施例10、比較例2に係る固体電解質のX線回折結果である。
【
図4】実施例1、実施例9、実施例10、比較例2に係る固体電解質のX線回折結果の要部を拡大した図である。
【
図5】実施例1、実施例2、実施例5、比較例1に係る固体電解質のX線回折結果である。
【
図6】実施例1、実施例14、実施例16に係る固体電解質のX線回折結果である。
【
図7】実施例1、実施例22、実施例29に係る固体電解質のX線回折結果である。
【
図8】実施例10、実施例32に係る固体電解質のX線回折結果である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0024】
[固体電解質電池]
図1は、第1実施形態にかかる固体電解質電池の断面模式図である。
図1に示すように、固体電解質電池10は、正極1と負極2と固体電解質層3とを有する。固体電解質層3は、正極1と負極2とに挟まれる。正極1及び負極2には、外部端子が接続され、外部と電気的に接続される。全固体電池は固体電解質電池の一態様である。
【0025】
固体電解質電池10は、正極1と負極2の間で固体電解質層3を介したイオンの授受により充電又は放電する。固体電解質電池10は、正極1、負極2及び固体電解質層3が積層された積層体でも、積層体を巻回した巻回体でもよい。固体電解質電池は、例えば、ラミネート電池、角型電池、円筒型電池、コイン型電池、ボタン型電池等に用いられる。また固体電解質電池は、固体電解質層3を溶媒に溶解又は分散させた注液型でもよい。
【0026】
「固体電解質層」
固体電解質層3は、固体電解質を含む。
【0027】
固体電解質は、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを主元素として含む化合物を有する。以下、この化合物をハロゲン化化合物と称する。
【0028】
固体電解質がこのような組成の化合物を有すると、4価の金属元素の存在により、ハロゲン元素によるアルカリ金属の束縛が弱められる。その結果、固体電解質の内部に、イオン伝導経路が形成され、アルカリ金属(可動イオン)が動きやすくなる。また4価の金属元素とハロゲン元素とは、結晶構造内に可動イオンが伝導する空間を形成する。これらの作用が組み合わさって、固体電解質のイオン伝導性が向上する。
【0029】
ここで「主元素として含む」とは、化合物を構成する基本元素としてこれらの元素を含むことを意味する。例えば、ハロゲン化化合物の基本骨格をなす元素が、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素である。ハロゲン化化合物は、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とからなってもよい。またハロゲン化化合物は、アルカリ金属元素、4価の金属元素及びハロゲン元素の一部が置換されたものでもよい。固体電解質層は、例えば、ハロゲン化化合物を主として有する。「主として」とは、固体電解質層に含まれる化合物のうちハロゲン化化合物が占める割合が最も高いことを示す。固体電解質層は、ハロゲン化化合物からなってもよい。
【0030】
ハロゲン化化合物に含まれるアルカリ金属元素は、例えば、Li、K、Naのいずれかである。ハロゲン化化合物に含まれるアルカリ金属元素は、Liであることが好ましい。アルカリ金属元素は、固体電解質電池10において固体電解質層3内を移動する可動イオンである。可動イオンは、正極1と負極2との間で授受されるイオンであり、例えばLiイオンである。
【0031】
ハロゲン化化合物に含まれる4価の金属元素は、例えば、Zr、Hf、Ti、Sn、Geからなる群から選択される1種以上の元素である。ハロゲン化化合物に含まれる4価の金属元素は、Zrであることが好ましい。Zrは低コスト、低重量で、電池の安定性を高める。
【0032】
ハロゲン化化合物に含まれるハロゲン元素は、例えば、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される1種以上の元素である。ハロゲン化化合物に含まれるハロゲン元素は、Clであることが好ましい。
【0033】
ハロゲン化化合物は、アルカリ金属元素、4価の金属元素、ハロゲン元素以外の元素を含んでもよい。例えば、アルカリ金属元素、4価の金属元素、ハロゲン元素以外に、1価から6価の金属元素(4価の金属元素を除く)を含んでもよい。ハロゲン化化合物に含まれる1価の金属元素は、例えばAg、Auである。ハロゲン化化合物に含まれる2価の金属元素は、例えばMg、Ca、Sr、Ba、Cu、Pb、Snである。ハロゲン化化合物に含まれる3価の金属元素は、例えばY、Al、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Bi、In、Sb、Nbである。ハロゲン化化合物に含まれる5価の金属元素は、例えばTaである。ハロゲン化化合物に含まれる6価の金属元素は、例えばWである。
【0034】
ハロゲン化化合物に含まれる1価から6価の金属元素(4価の金属元素を除く)は、例えば、4価の金属元素またはアルカリ金属元素の少なくとも一方と置換されている。
【0035】
ハロゲン化化合物は、例えば、組成式Li2+aMbZr1+cCl6+dで表される化合物である。上記組成式は、-1.5≦a≦1.5、0≦b≦1.5、-0.7≦c≦0.2、-0.2≦d≦0.2を満たす。
【0036】
Mは、ZrのサイトまたはLiサイトを置換する元素である。Mは、例えば、上記の1価から6価の金属元素(4価の金属元素を除く)である。Mは、Al、Y、Ca、Nb、Mgから選択される1種以上の元素であることが好ましい。以下は、上記組成式における各添え字についての規定である。すなわち、4価の金属元素がZrの場合を例に記載している。
【0037】
Mが1価の元素でZrサイトを置換する場合、上記組成式は、a=3b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。
【0038】
Mが1価の元素でLiサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。
【0039】
Mが2価の元素でZrサイトを置換する場合、上記組成式は、a=2b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。Mは、MgとCaとのうちの少なくとも一方であることが好ましい。
【0040】
Mが2価の元素でLiサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-2b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。Mは、MgとCaとのうちの少なくとも一方であることが好ましい。
【0041】
Mが3価の元素でZrサイトを置換する場合、上記組成式は、a=b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。Mは、Al、Y、Nbから選ばれる群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。
【0042】
Mが3価の元素でLiサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-3b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。Mは、Al、Y、Nbから選ばれる群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。
【0043】
Mが5価の元素でZrサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。
【0044】
Mが5価の元素でLiサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-5b、0≦b<0.4をさらに満たすことが好ましい。
【0045】
Mが6価の元素でZrサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-2b、0≦b≦0.5をさらに満たすことが好ましい。
【0046】
Mが6価の元素でLiサイトを置換する場合、上記組成式は、a=-6b、0≦b≦1/3をさらに満たすことが好ましい。
【0047】
4価の金属元素の一部を、1価~3価の元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素で置換すると、減少したカチオン分の可動イオンキャリアを増加させることができる。その結果、固体電解質のイオン伝導性が向上する。
【0048】
4価の金属元素の一部を、他の4価の元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素で置換すると、ハロゲン元素によるアルカリ金属の束縛が弱められ、アルカリ金属(可動イオン)が動きやすくなる。その結果、固体電解質のイオン伝導性が向上する。
【0049】
4価の金属元素の一部を、5価、6価の元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素で置換すると、増加したカチオン分の可動イオンが減少し、結晶構造内に空孔が増加する。その結果、固体電解質のイオン伝導性が向上する。
【0050】
固体電解質は、少なくとも一部が結晶質である。例えばハロゲン化化合物の一部は、結晶質である。固体電解質の一部が結晶質であることで、CuKα線を用いてX線回折測定を行った際に回折ピークが確認される。固体電解質は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°及び2θ=34.4°±0.5°の位置に回折ピークを有する。固体電解質は、CuKα線の波長に対して、2θ=32.0°±0.5°及び2θ=30.0°±0.5°の位置に回折ピークを有してもよい。CuKα線に対して所定の位置に回折ピークを有するとは、例えば、固体電解質に対してCuKα線の波長の光を入射させた際に生じる回折光が所定の位置に回折ピークを有することを意味する。
【0051】
また固体電解質は、CuKα線に対して、2θ=16.1°±0.5°、2θ=41.7°±0.5°、2θ=49.9±0.5°の位置にそれぞれ回折ピークを有することが好ましい。また固体電解質は、CuKα線に対して、2θ=43.7±0.5°、45.0±0.5°、2θ=54.2°±0.5°、2θ=59.1°±0.5°、2θ=60.5°±0.5°、2θ=62.2°±0.5°、の位置にそれぞれ回折ピークを有することがさらに好ましい。固体電解質が上記回折ピークを有すると、結晶構造内にイオン伝導経路が確保され、イオン伝導性が向上する。
【0052】
また固体電解質は、CuKα線に対して、2θ=30.0°±0.5°、2θ=34.4°±0.5°、位置にそれぞれ回折ピークを有することがより好ましい。またこれらの回折ピークは、例えば、ハロゲン化化合物に伴う回折ピークである。上記回折ピークが確認されると、結晶構造内にイオン伝導経路がより確保され、イオン伝導性が向上する。
【0053】
また2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとは、0<IB/IA≦3を満たすことが好ましく、0<IB/IA≦2を満たすことがより好ましい。このような特定の範囲値を満たす結晶構造とすることにより、結晶構造内に一部イオン伝導性の高い経路が形成され、更にイオン伝導性が向上する。
【0054】
また2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとは、0<IC/IA≦2を満たすことが好ましく、0<IC/IA≦1.5を満たすことがより好ましい。このような特定の範囲値を満たす結晶構造とすることにより、結晶構造内に一部イオン伝導性の高い経路が形成され、更にイオン伝導性が向上する。
【0055】
固体電解質層3は、固体電解質以外の材料を含んでもよい。固体電解質層3は、例えば、上述のアルカリ金属元素の酸化物又はハロゲン化物、上述の4価の金属元素の酸化物又はハロゲン化物、上述のM元素の酸化物又はハロゲン化物を含んでもよい。固体電解質層3は、0.1質量%以上1.0質量%以下これらの材料を含んでいることが好ましい。これらの材料は、固体電解質層3内において電気的な絶縁性を高め、固体電解質電池の自己放電を改善する。
【0056】
固体電解質層3は、結着材を含んでも良い。固体電解質層3は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などのイミド系樹脂、イオン導電性高分子等を含んでもよい。イオン導電性高分子は、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiTFSI等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させた化合物である。結着材の含有率は固体電解質層3全体の0.1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。結着材は、固体電解質層3の固体電解質間の良好な接合を維持することを助け、固体電解質間のクラックなどの発生を防止し、イオン伝導性の低下、粒界抵抗の増大を抑制する。
【0057】
「正極」
図1に示すように、正極1は、例えば、正極集電体1Aと、正極活物質を含む正極活物質層1Bとを有する。
【0058】
(正極集電体)
正極集電体1Aは、導電率が高いことが好ましい。例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属およびそれらの合金、または導電性樹脂を用いることができる。正極集電体1Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
【0059】
(正極活物質層)
正極活物質層1Bは、正極集電体1Aの片面又は両面に形成される。正極活物質層1Bは、正極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、結着剤、上述の固体電解質を含んでもよい。
【0060】
(正極活物質)
正極活物質層1Bに含まれる正極活物質は、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフッ化物、遷移金属オキシ硫化物、遷移金属オキシ窒化物である。
【0061】
正極活物質は、リチウムイオンの放出及び吸蔵、リチウムイオンの脱離及び挿入を可逆的に進行させることが可能であれば、正極活物質として特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質を使用できる。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO2(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5、Li3V2(PO4)3、LiVOPO4)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、V、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素を示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物である。
【0062】
また、あらかじめ負極に金属リチウムやリチウムイオンをドープした負極活物質を配置しておけば、電池を放電から開始することで、リチウムを含有していない正極活物質も使用できる。このような正極活物質としては、リチウム非含有金属酸化物(MnO2、V2O5など)、リチウム非含有金属硫化物(MoS2など)、リチウム非含有フッ化物(FeF3、VF3など)などが挙げられる。
【0063】
「負極」
図1に示すように、負極2は、例えば、負極集電体2Aと、負極活物質を含む負極活物質層2Bとを有する。
【0064】
(負極集電体)
負極集電体2Aは、導電率が高いことが好ましい。例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属およびそれらの合金、または、導電性樹脂を用いることが好ましい。負極集電体2Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
【0065】
(負極活物質層)
負極活物質層2Bは、負極集電体2Aの片面又は両面に形成される。負極活物質層2Bは、負極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、結着剤、上述の固体電解質を含んでもよい。
【0066】
(負極活物質)
負極活物質層2Bに含まれる負極活物質は、可動イオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質は、例えば、アルカリ金属単体、アルカリ金属合金、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ、ゲルマニウムおよびその合金等のアルカリ金属等の金属と化合することのできる金属、SiOx(0<x<2)、酸化鉄、酸化チタン、二酸化スズ等の酸化物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等のリチウム金属酸化物である。
【0067】
(導電助剤)
導電助剤は、正極活物質層1B、負極活物質層2Bの電子伝導性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。導電助剤は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素系材料や、金、白金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属、ITOなどの伝導性酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。前記伝導助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
【0068】
(結着材)
結着材は、正極集電体1Aと正極活物質層1B、負極集電体2Aと負極活物質層2B、正極活物質層1B、および負極活物質層2Bと固体電解質層3、正極活物質層1Bを構成する各種材料、負極活物質層2Bを構成する各種材料を接合する。
【0069】
結着材は、正極活物質層1B、負極活物質層2Bの機能を失わない範囲内で用いることが好ましい。結着材は、上述の接合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。更に、上記の他に、結着材として、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、結着材として電子伝導性を有する導電性高分子や、イオン伝導性を有するイオン導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性を有する導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、結着材が導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性を有するイオン導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等を伝導するものを使用することができ、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤などである。結着材に要求される特性としては、酸化・還元耐性があること、接着性が良いことが挙げられる。
【0070】
正極活物質層1B中のバインダーの含有量は特に限定されないが、正極活物質層の0.5~30体積%であることが正極活物質層1Bの抵抗を低くする観点から好ましい。
【0071】
負極活物質層2B中のバインダーの含有量は特に限定されないが、負極活物質層の0.5~30体積%であることが負極活物質層2Bの抵抗を低くする観点から好ましい。
【0072】
正極活物質層1B、負極活物質層2B、固体電解質層3のうち少なくとも1つには電池特性の一つであるレート特性を向上させる目的で、非水電解液、イオン液体、ゲル電解質が含まれてもよい。
【0073】
(固体電解質の製造方法)
本実施形態にかかる固体電解質の製造方法について説明する。固体電解質は、目的とする組成となるように所定のモル比で原料粉末を混合、反応させることで得られる。反応させる方法は問わないが、メカノケミカルミリング法、焼結法、溶融法、液相法、固相法などを用いることができる。
【0074】
固体電解質は、例えばメカノケミカルミリング法により製造できる。まず、遊星ボールミル装置を準備する。遊星ボールミル装置は、専用容器にメディア(粉砕またはメカノケミカル反応を促進するための硬いボール)と材料を投入し、自転および公転を行い、材料を粉砕または材料同士のメカノケミカル反応を起こさせる装置である。
【0075】
次に、アルゴンガスを循環させた、露点-80℃以下、酸素濃度1ppm以下のグローブボックス内で、ジルコニア製の容器に、所定量のジルコニアボールを用意する。次いで、目的とする組成となるように、ジルコニア製の容器に、所定のモル比で所定の原材料を用意し、ジルコニア製の蓋で密閉する。原材料は粉末であっても液体であっても良い。例えば塩化チタン(TiCl4)および塩化すず(SnCl4)などは、常温で液体である。次に所定の自転および公転速度において所定時間、メカノケミカルミリングを行うことで、メカノケミカル反応を起こす。この方法により、目的の組成を有する化合物からなる粉末状の固体電解質を得ることができる。遊星ボールミル装置内部を加熱または冷却することでメカノケミカル反応を制御することができる。ヒーターなどを用いた加熱や、水冷、冷媒を用いた空冷などを当該処理に用いることができる。
【0076】
また焼結体の固体電解質を得る場合は、所定のモル比で所定の元素原材料を含む原料粉末を混合し、混合した原料粉末を所定の形状に成形し、真空中または不活性ガス雰囲気中で焼結することにより、焼結体の固体電解質が得られる。
【0077】
(固体電解質電池の製造方法)
次いで、本実施形態にかかる固体電解質電池の製造方法について説明する。本実施形態にかかる固体電解質電池は、粉末成型法を用いて作製できる。
【0078】
(粉末成型法)
まず、中央に貫通穴を有する樹脂ホルダーと、下パンチと、上パンチとを用意する。樹脂ホルダーの貫通穴の直径は例えば10mmとし、下パンチ及び上パンチの直径は例えば9.99mmとする。樹脂ホルダーの貫通穴の下から下パンチを挿入し、樹脂ホルダーの開口側から、粉末状の固体電解質を投入する。次いで投入した粉末状の固体電解質の上に上パンチを挿入し、プレス機に載置し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。粉末状の固体電解質は、樹脂ホルダー内で上パンチと下パンチとでプレスされることで、固体電解質層3となる。
【0079】
次いで、上パンチを一旦取り外し、固体電解質層3の上パンチ側に、正極活物質層の材料を投入する。その後、再度、上パンチを挿入し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。正極活物質層の材料は、プレスにより正極活物質層1Bとなる。
【0080】
次いで、下パンチを一旦取り外し、固体電解質層3の下パンチ側に、負極活物質層の材料を投入する。例えば、試料を上下逆にして、固体電解質層3上に、負極活物質層の材料を投入する。その後、再度、下パンチを挿入し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。負極活物質層の材料は、プレスにより負極活物質層1Bとなる。上記手順を経て、本実施形態の固体電解質電池10が得られる。
【0081】
固体電解質電池10は、必要に応じて、4か所にねじ穴を有するステンレス製円板およびテフロン(商標登録)製円板で、ステンレス円板/テフロン(商標登録)円板/全固体電池10/テフロン(商標登録)円板/ステンレス円板の順序で積載し、4か所のネジを締めしてもよい。また固体電解質電池10は、保形機能を有する類似した機構であってもよい。
【0082】
また必要に応じて、外部引き出し正極端子、外部引き出し負極端子を取り付けた外装体(アルミラミネート袋)の中に挿入し、上パンチ側面のネジと外装体内の外部引き出し正極端子と、及び、下パンチ側面のネジと外装体内の外部引き出し負極端子とをリード線で接続し、最後に外装体の開口部をヒートシールしてもよい。外装体により耐候性が向上する。
【0083】
上述した固体電解質電池10の製造方法は、粉末成型法を例に挙げて説明したが、樹脂を含有させたシート成型方法で製造してもよい。
【0084】
例えば、初めに、粉末状の固体電解質を含む固体電解質ペーストを作製する。作製した固体電解質ペーストをPETフィルムやフッ素系樹脂フィルムなどに塗布、乾燥、剥離することにより固体電解質層3を作製する。また、正極集電体1A上に、正極活物質を含む正極活物質ペーストを塗布し、乾燥させて正極活物質層1Bを形成することにより、正極1を作製する。また、負極集電体2A上に、負極活物質を含むペーストを塗布し、乾燥させて負極合剤層2Bを形成することにより、負極2を作製する。
【0085】
次に、固体電解質層3を正極1と負極2で挟み、全体を加圧、接着する。以上の工程により、本実施形態の固体電解質電池10が得られる。
【0086】
本実施形態の固体電解質電池は、従来のリチウムイオン二次電池の電解液の代わりに、正極とセパレータと負極の空孔に、固体電解質を充填したものであってもよい。
このような固体電解質電池は、例えば、以下に示す方法により製造できる。まず、粉末の状態の固体電解質と溶剤とを含む固体電解質塗料を作製する。また、正極とセパレータと負極からなる電極素体を作製する。そして、電極素体に固体電解質塗料を含浸させた後、溶剤を除去する。このことにより、電極素体の空孔に固体電解質が充填された固体電解質電池が得られる。
【0087】
本実施形態に係る固体電解質は、後述する実施例で示すようにイオン伝導度に優れる。このため、本実施形態の固体電解質を備える本実施形態の固体電解質電池は、内部抵抗が小さく放電容量の大きいものとなる。
【0088】
またX線回折において特定の回折ピークを有する固体電解質は、イオン伝導度に優れる。X線の回折ピークは、原子が規則的に配列した配列面にX線を入射した際に、各原子で散乱されたX線が互いに干渉し、強め合う場合に生じる。すなわち、特定の回折ピークを有するということは、結晶の一部の配向性が高まり、特定の配列面が形成されていることを示す。
【0089】
固体電解質は、正極1と負極2との間の可動イオンの伝導を担う。可動イオンは、固体電解質を構成する原子の間の隙間を伝導する。固体電解質に特定の配列面が形成されると、特定の配列面同士の間に、可動イオンの伝導経路が形成される。固体電解質のイオン伝導度は、可動イオンの伝導経路が形成されると向上する。X線回折において特定の回折ピークを有する固体電解質は、可動イオンの伝導経路が確保されており、イオン伝導度が向上していると考えられる。
【0090】
また本実施形態にかかる固体電解質は、構成元素の一つとして4価の金属元素を含む。例えば、特許文献2にはハロゲン化化合物としてLi6-3zYzX6(XはCl又はBr)が開示されている。Li6-3zYzX6において、Yは3価のY3+として存在する。6配位のY3+のイオン半径は0.9Åである。これに対し、本実施形態にかかる固体電解質に含まれる4価の金属元素は、4価の金属元素のイオン半径が6配位のY3+のイオン半径より小さい。例えば、6配位のZr4+は0.72Åであり、6配位のHf4+は0.71Åであり、6配位のTi4+は0.605Åであり、6配位のSn4+は0.69Åである。4価のイオンは、Y3+よりイオン半径が小さく、静電気力が強い。そのため、固体電解質中に含まれるハロゲンイオン(例えば、Cl-)が4価のイオンによって強く束縛される。可動イオンは、ハロゲンイオンが4価のイオンによって束縛されると、ハロゲンイオンによる電気的な影響を受けにくくなり移動しやすくなるため、固体電解質の可動イオン伝導度が向上する。したがって、固体電解質層の可動イオン伝導度も向上する。
【0091】
また本実施形態にかかる固体電解質が1価から3価の金属元素を含む場合、例えば、4価の金属元素の一部が1価から3価の金属元素で置換される。その結果、固体電解質におけるカチオンの量が減少する。置換後の固体電解質の電荷中性は可動イオンの量を増加させることで保たれる。可動イオンが増加することにより、固体電解質の可動イオンの伝導度がより向上する。
【0092】
また本実施形態にかかる固体電解質が5価又は6価の金属元素を含む場合、例えば、4価の金属元素の一部が5価又は6価の金属元素で置換される。その結果、固体電解質中に含まれるハロゲンイオン(例えば、Cl-)が5価又は6価のイオンによってより強く束縛される。可動イオンがハロゲンイオンによる電気的な影響を受けにくくなるため、可動イオンは固体電解質内を伝導しやすくなるため、固体電解質の可動イオン伝導度がより向上する。
【0093】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【実施例】
【0094】
(実施例1)
[固体電解質の作製]
アルゴンガスを循環している露点-99℃、酸素濃度1ppmのグローブボックス内で固体電解質の合成および固体電解質電池の作製を行った。
上記環境のグローブボックス内で、原料粉であるLiClとZrCl4とを、モル比で2:1となるように秤量し、Zr容器に直径5mmのZrボールとともに入れ、遊星型ボールミルを用いてメカノケミカルミリング処理を行った。処理は、回転数500rpmの条件で、冷却を行いながら50時間混合し、その後100μmメッシュの篩にかけた。これによりLi2ZrCl6の粉末を得た。
【0095】
[イオン伝導度の測定]
次いで、アルゴンガスを循環している露点-99℃、酸素濃度1ppmのグローブボックス内で、得られたLi2ZrCl6の粉末を加圧成形用ダイスに充填し、圧力373MPaで加圧成形し、イオン伝導度の測定セルを作製した。
【0096】
加圧成型用ダイスは、直径10mmの樹脂ホルダー、電子伝導性のSKD材(ダイス鋼)の直径9.99mmの上パンチおよび下パンチから構成される。加圧成型用ダイスに、Li2ZrCl6の粉末を110mg充填し、プレス機で373MPaの圧力で成形した。成形したものを加圧成型後ダイスとする。
【0097】
その後、4か所にねじ穴を有する直径50mm、厚み5mmのステンレス製円板およびテフロン(商標登録)製円板を用意し、次のように加圧成型ダイスをセットした。ステンレス円板/テフロン(商標登録)円板/加圧成型後ダイス/テフロン(商標登録)円板/ステンレス円板の順序で積載し、4か所のネジを締めた。また、上下パンチの側面に設けたネジ穴にネジを差し込み、外部接続端子とした。
【0098】
外部接続端子を、周波数応答アナライザを搭載したポテンシオスタットに接続し、電気化学的インピーダンス測定法を用いて、イオン伝導度の測定を行った。測定周波数範囲7MHz~0.1Hz、振幅10mV、温度25℃において測定した。
【0099】
測定された実施例1の固体電解質のイオン伝導度は、5.0×10-4S/cmであった。
【0100】
[XRD測定]
アルゴンガスを循環している露点-99℃、酸素濃度1ppmのグローブボックス内で、得られたLi2ZrCl6の粉末をXRD測定用ホルダーに充填した。その後充填面を覆うように、防湿のためのカプトンテープ(70℃で16時間真空乾燥させたもの)を張り付け封止し、XRD測定試料を準備した。次いで大気中に取り出し、X線回折装置(パナリティカル社製 X‘PertPro)を用いてXRD測定を行った。X線源は、Cu-Kα線を用いた。
【0101】
また、上記XRD測定と同様の条件で、防湿のために用いたカプトンテープのみをXRD測定用ホルダーに張り付け、バックグラウンド測定を行った。
図2に、測定された、カプトンテープのX線回折結果を示す。
【0102】
図3、
図5~
図7に、実施例1に係る固体電解質のX線回折結果を示した。
図3は、同時に後述する実施例9、実施例10、比較例2の結果を示す。
図5は、同時に後述する実施例2、実施例5、比較例1の結果を示す。
図6は、同時に後述する実施例14、実施例16の結果を示す。
図7は、同時に後述する実施例22、実施例29の結果を示す。なお、数種類の実施例を表示する都合上、任意単位で表示した。各実施例における回折ピークは、各実施例で測定されたX線回折結果から、バックグラウンドを除去して求めた。
【0103】
実施例1に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.1°、32.0°、34.4°、41.7°、43.7°、45.1°、49.9°、53.9°、54.8°、59.4、60.7°、62.3°のそれぞれの位置に回折ピークが観察された。
【0104】
図4に、IB/IA及びIC/IAの関係を示すグラフを示す。
図4は、
図2における回折角30°近傍を拡大した図である。実施例1に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.195であった。
【0105】
また実施例1に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.151であった。
【0106】
(実施例2)
実施例2は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.1:0.1:0.9とした。原料粉の混合反応によりLi2.1Al0.1Zr0.9Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0107】
実施例2に係る固体電解質のイオン伝導度は、8.5×10-4S/cmであった。
【0108】
実施例2に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.0°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、44.9°、49.8°、54.2°、54.6°、59.4、60.5°、62.4°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0109】
実施例2に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.187であった。
また実施例2に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.145であった。
【0110】
(実施例3)
実施例3は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.2:0.2:0.8とした。原料粉の混合反応によりLi2.2Al0.2Zr0.8Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0111】
実施例3に係る固体電解質のイオン伝導度は、7.0×10-4S/cmであった。
【0112】
実施例3に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.0°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、44.9°、49.8°、54.2°、54.6°、59.4、60.5°、61.9°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0113】
実施例3に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.347であった。
【0114】
また実施例3に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.285であった。
【0115】
(実施例4)
実施例4は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.25:0.25:0.75とした。原料粉の混合反応によりLi2.25Al0.25Zr0.75Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0116】
実施例4に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.8×10-4S/cmであった。
【0117】
実施例4に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.0°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、45.0°、49.9°、54.2°、54.6°、59.0、60.5°、61.9°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0118】
実施例4に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.452であった。
【0119】
また実施例4に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.372であった。
【0120】
(実施例5)
実施例5は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.3:0.3:0.7とした。原料粉の混合反応によりLi2.3Al0.3Zr0.7Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0121】
実施例5に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.1×10-4S/cmであった。
【0122】
実施例5に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.8°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、45.0°、49.9°、54.2°、54.6°、59.0、60.5°、61.9°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0123】
実施例5に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.549であった。
【0124】
また実施例5に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.460であった。
【0125】
(実施例6)
実施例6は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.35:0.35:0.65とした。原料粉の混合反応によりLi2.35Al0.35Zr0.65Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0126】
実施例6に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.5×10-4S/cmであった。
【0127】
実施例6に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.8°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、45.0°、49.9°、54.2°、54.6°、59.0、60.5°、61.8°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0128】
実施例6に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.789であった。
【0129】
また実施例6に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.647であった。
【0130】
(実施例7)
実施例7は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.4:0.4:0.6とした。原料粉の混合反応によりLi2.4Al0.4Zr0.6Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0131】
実施例7に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.1×10-4S/cmであった。
【0132】
実施例7に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.8°、32.0°、34.4°、41.6°、43.6°、45.0°、49.9°、54.3°、54.6°、59.0、60.5°、61.8°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0133】
実施例7に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.290であった。
【0134】
また実施例7に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.044であった。
【0135】
(実施例8)
実施例8は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.45:0.45:0.55とした。原料粉の混合反応によりLi2.45Al0.45Zr0.55Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0136】
実施例8に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.9×10-4S/cmであった。
【0137】
実施例8に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.7°、32.0°、34.4°、41.6°、43.6°、44.9°、49.4°、54.3°、54.6°、59.0、60.5°、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0138】
実施例8に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.018であった。
【0139】
また実施例8に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.578であった。
【0140】
(比較例1)
比較例1は、原料粉に塩化アルミニウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例2と異なる。LiClとAlCl3とZrCl4とのモル比は、2.5:0.5:0.5とした。原料粉の混合反応によりLi2.5Al0.5Zr0.5Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0141】
比較例1に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.4×10-4S/cmであった。
【0142】
比較例1に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.7°、32.0°、34.4°、41.6°、43.6°、44.9°、49.4°、54.3°、54.6°、58.8、60.5°、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0143】
比較例1に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、3.026であった。
【0144】
また比較例1に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、2.409であった。
【0145】
(実施例9)
実施例9は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.2:0.95とした。原料粉の混合反応によりLi2.2Zr0.95Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0146】
実施例9に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.5×10-4S/cmであった。
【0147】
実施例9に係る固体電解質は、2θ=16.0°、30.0°、32.0°、34.4°、41.6°、43.6°、44.9°、49.7°、54.2°、54.7°、59.4、60.5°、62.1°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0148】
実施例9に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.239であった。
【0149】
また実施例9に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.137であった。
【0150】
(実施例10)
実施例10は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.4:0.9とした。原料粉の混合反応によりLi2.4Zr0.9Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0151】
実施例10に係る固体電解質のイオン伝導度は、6.7×10-4S/cmであった。
【0152】
実施例10に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.9°、31.9°、34.5°、41.6°、43.6°、44.8°、49.8°、54.2°、54.7°、59.4、60.5°、62.2°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0153】
実施例10に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.520であった。
【0154】
また実施例10に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.342であった。
【0155】
(実施例11)
実施例11は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.5:0.875とした。原料粉の混合反応によりLi2.5Zr0.875Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0156】
実施例11に係る固体電解質のイオン伝導度は、7.1×10-4S/cmであった。
【0157】
実施例11に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.9°、31.9°、34.5°、41.6°、43.7°、44.8°、49.8°、54.2°、54.7°、59.4、60.5°、62.2°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0158】
実施例11に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.873であった。
【0159】
また実施例11に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.524であった。
【0160】
(実施例12)
実施例12は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.6:0.85とした。原料粉の混合反応によりLi2.6Zr0.85Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0161】
実施例12に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.5×10-4S/cmであった。
【0162】
実施例12に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.9°、31.9°、34.5°、41.6°、43.7°、44.7°、49.8°、54.2°、54.7°、59.4、60.5°、62.3°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0163】
実施例12に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.709であった。
【0164】
また実施例12に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.962であった。
【0165】
(実施例13)
実施例13は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.7:0.825とした。原料粉の混合反応によりLi2.7Zr0.825Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0166】
実施例13に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.4×10-4S/cmであった。
【0167】
実施例13に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.8°、31.9°、34.4°、41.6°、43.7°、44.7°、49.7°、54.2°、54.7°、59.4、60.2、62.0°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0168】
実施例13に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.831であった。
【0169】
また実施例13に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.540であった。
【0170】
(比較例2)
比較例2は、原料粉の比率を変えた点が実施例1と異なる。LiClとZrCl4とのモル比は、2.8:0.8とした。原料粉の混合反応によりLi2.8Zr0.8Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0171】
比較例2に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.6×10-4S/cmであった。
【0172】
比較例2に係る固体電解質は、2θ=16.1°、29.7°、31.9°、34.3°、41.6°、43.7°、44.7°、49.7°、54.1°、54.7°、59.4、60.1、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0173】
比較例2に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、4.522であった。
【0174】
また比較例2に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、2.355であった。
【0175】
(実施例14)
実施例14は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.1:0.1:0.9とした。原料粉の混合反応によりLi2.1Y0.1Zr0.9Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0176】
実施例14に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.8×10-4S/cmであった。
【0177】
実施例14に係る固体電解質は、2θ=16.0°、30.0°、32.0°、34.2°、41.7°、43.5°、44.8°、49.8°、53.8°、54.5°、59.6、60.5、62.5°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0178】
実施例14に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.213であった。
【0179】
また実施例14に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.184であった。
【0180】
(実施例15)
実施例15は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.2:0.2:0.8とした。原料粉の混合反応によりLi2.2Y0.2Zr0.8Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0181】
実施例15に係る固体電解質のイオン伝導度は、6.6×10-4S/cmであった。
【0182】
実施例15に係る固体電解質は、2θ=16.0°、30.0°、32.0°、34.2°、41.7°、43.5°、44.8°、49.8°、53.8°、54.5°、59.6、60.5、62.5°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0183】
実施例15に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.318であった。
【0184】
また実施例15に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.245であった。
【0185】
(実施例16)
実施例16は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.3:0.3:0.7とした。原料粉の混合反応によりLi2.3Y0.3Zr0.7Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0186】
実施例16に係る固体電解質のイオン伝導度は、6.3×10-4S/cmであった。
【0187】
実施例16に係る固体電解質は、2θ=16.0°、29.8°、31.8°、34.1°、41.7°、43.5°、44.8°、49.7°、53.8°、54.5°、59.6、60.4、62.3°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0188】
実施例16に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.492であった。
【0189】
また実施例16に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.348であった。
【0190】
(実施例17)
実施例17は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.4:0.4:0.6とした。原料粉の混合反応によりLi2.4Y0.4Zr0.6Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0191】
実施例17に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.5×10-4S/cmであった。
【0192】
実施例17に係る固体電解質は、2θ=16.0°、29.8°、31.7°、34.1°、41.5°、43.4°、44.7°、49.6°、53.8°、54.4°、59.4、60.3、62.1°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0193】
実施例17に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.841であった。
【0194】
また実施例17に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.557であった。
【0195】
(実施例18)
実施例18は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.5:0.5:0.5とした。原料粉の混合反応によりLi2.5Y0.5Zr0.5Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0196】
実施例18に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.4×10-4S/cmであった。
【0197】
実施例18に係る固体電解質は、2θ=15.9°、29.7°、31.6°、34.1°、41.4°、43.4°、44.7°、49.6°、53.8°、54.4°、59.2、60.2、62.0°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0198】
実施例18に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.188であった。
【0199】
また実施例18に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.748であった。
【0200】
(実施例19)
実施例19は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.6:0.6:0.4とした。原料粉の混合反応によりLi2.6Y0.6Zr0.4Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0201】
実施例19に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.8×10-4S/cmであった。
【0202】
実施例19に係る固体電解質は、2θ=15.9°、29.7°、31.6°、34.0°、41.3°、43.3°、44.6°、49.4°、53.7°、54.4°、59.0、60.2、61.9°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0203】
実施例19に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.218であった。
【0204】
また実施例19に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.344であった。
【0205】
(比較例3)
比較例3は、原料粉に塩化イットリウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例14と異なる。LiClとYCl3とZrCl4とのモル比は、2.7:0.7:0.3とした。原料粉の混合反応によりLi2.7Y0.7Zr0.3Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0206】
比較例3に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.4×10-4S/cmであった。
【0207】
比較例3に係る固体電解質は、2θ=15.9°、29.6°、31.5°、34.0°、41.2°、43.2°、44.5°、49.4°、53.7°、54.4°、58.9、60.1、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0208】
比較例3に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、3.533であった。
【0209】
また比較例3に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、2.071であった。
【0210】
(実施例20)
実施例20は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.9:0.1:0.9とした。原料粉の混合反応によりLi1.9Nb0.1Zr0.9Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0211】
実施例20に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.4×10-4S/cmであった。
【0212】
実施例20に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.0°、32.0°、34.4°、41.7°、43.6°、44.9°、49.8°、54.1°、54.6°、59.4、60.5、62.4°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0213】
実施例20に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.177であった。
【0214】
また実施例20に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.104であった。
【0215】
(実施例21)
実施例21は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.8:0.2:0.8とした。原料粉の混合反応によりLi1.8Nb0.2Zr0.8Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0216】
実施例21に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.0×10-4S/cmであった。
【0217】
実施例21に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.0°、32.0°、34.4°、41.8°、43.7°、45.0°、49.9°、54.2°、54.6°、59.4、60.5、62.4°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0218】
実施例21に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.169であった。
【0219】
また実施例21に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.135であった。
【0220】
(実施例22)
実施例22は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.7:0.3:0.7とした。原料粉の混合反応によりLi1.7Nb0.3Zr0.7Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0221】
実施例22に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.4×10-4S/cmであった。
【0222】
実施例22に係る固体電解質は、2θ=16.2°、30.1°、32.1°、34.3°、41.9°、43.9°、45.1°、49.9°、54.2°、54.7°、59.5、60.9、62.5°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0223】
実施例22に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.229であった。
【0224】
また実施例22に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.180であった。
【0225】
(実施例23)
実施例23は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.6:0.4:0.6とした。原料粉の混合反応によりLi1.6Nb0.4Zr0.6Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0226】
実施例23に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.9×10-4S/cmであった。
【0227】
実施例23に係る固体電解質は、2θ=16.2°、30.1°、32.1°、34.3°、41.9°、43.9°、45.1°、50.0°、54.2°、54.7°、59.5、60.9、62.5°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0228】
実施例23に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.362であった。
【0229】
また実施例23に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.257であった。
【0230】
(実施例24)
実施例24は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.5:0.5:0.5とした。原料粉の混合反応によりLi1.5Nb0.5Zr0.5Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0231】
実施例24に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.4×10-4S/cmであった。
【0232】
実施例24に係る固体電解質は、2θ=16.2°、30.1°、32.1°、34.3°、41.9°、43.9°、45.1°、50.0°、54.2°、54.7°、59.5、61.0、62.6°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0233】
実施例24に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.654であった。
【0234】
また実施例24に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.429であった。
【0235】
(実施例25)
実施例25は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.4:0.6:0.4とした。原料粉の混合反応によりLi1.4Nb0.6Zr0.4Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0236】
実施例25に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.4×10-4S/cmであった。
【0237】
実施例25に係る固体電解質は、2θ=16.2°、30.2°、32.2°、34.2°、42.0°、43.9°、45.1°、50.0°、54.3°、54.7°、59.5、61.0、62.6°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0238】
実施例25に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.602であった。
【0239】
また実施例25に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.007であった。
【0240】
(実施例26)
実施例26は、原料粉に塩化ニオブを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例20と異なる。LiClとNbCl5とZrCl4とのモル比は、1.3:0.7:0.3とした。原料粉の混合反応によりLi1.3Nb0.7Zr0.3Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0241】
実施例26に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.8×10-4S/cmであった。
【0242】
実施例26に係る固体電解質は、2θ=16.3°、30.2°、32.2°、34.2°、42.0°、44.0°、45.2°、50.1°、54.4°、54.7°、59.6、61.0、62.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0243】
実施例26に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.895であった。
【0244】
また実施例26に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.763であった。
【0245】
(実施例27)
実施例27は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、2.1:0.05:0.95とした。原料粉の混合反応によりLi2.1Mg0.05Zr0。95Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0246】
実施例27に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.5×10-4S/cmであった。
【0247】
実施例27に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.1°、32.1°、34.4°、41.8°、43.7°、45.1°、49.9°、53.9°、54.6°、59.4、60.7、62.3°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0248】
実施例27に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.191であった。
【0249】
また実施例27に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.655であった。
【0250】
(実施例28)
実施例28は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、2.2:0.1:0.9とした。原料粉の混合反応によりLi2.2Mg0.1Zr0。9Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0251】
実施例28に係る固体電解質のイオン伝導度は、6.0×10-4S/cmであった。
【0252】
実施例28に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.2°、32.1°、34.4°、41.8°、43.7°、45.1°、49.8°、54.0°、54.6°、59.4、60.7、62.2°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0253】
実施例28に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.495であった。
【0254】
また実施例28に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.838であった。
【0255】
(実施例29)
実施例29は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl
2とZrCl
4とのモル比は、2.3:0.15:0.85とした。原料粉の混合反応によりLi
2.3Mg
0.15Zr
0。85Cl
6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
図7に、そのX線回折結果を示す。なお、数種類の実施例を表示する都合上、任意単位で表示した。
【0256】
実施例29に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.5×10-4S/cmであった。
【0257】
実施例29に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.3°、31.9°、34.4°、41.8°、43.7°、45.1°、49.8°、54.1°、54.6°、59.3、60.6、61.8°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0258】
実施例29に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、1.757であった。
【0259】
また実施例29に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.008であった。
【0260】
(実施例30)
実施例30は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、2.4:0.2:0.8とした。原料粉の混合反応によりLi2.4Mg0.2Zr0。8Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0261】
実施例30に係る固体電解質のイオン伝導度は、4.3×10-4S/cmであった。
【0262】
実施例30に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.3°、31.9°、34.4°、41.8°、43.6°、45.0°、49.7°、54.1°、54.7°、59.3、60.6、61.8°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0263】
実施例30に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.177であった。
【0264】
また実施例30に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.233であった。
【0265】
(実施例31)
実施例31は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、2.6:0.3:0.7とした。原料粉の混合反応によりLi2.6Mg0.3Zr0。7Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0266】
実施例31に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.9×10-4S/cmであった。
【0267】
実施例31に係る固体電解質は、2θ=16.1°、30.3°、31.9°、34.4°、41.7°、43.6°、45.0°、49.7°、54.2°、54.7°、59.2、60.5、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0268】
実施例31に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、2.786であった。
【0269】
また実施例31に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、1.552であった。
【0270】
(比較例4)
比較例4は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、2.8:0.4:0.6とした。原料粉の混合反応によりLi2.8Mg0.4Zr0。6Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0271】
比較例4に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.5×10-4S/cmであった。
【0272】
比較例4に係る固体電解質は、2θ=16.0°、30.2°、31.8°、34.5°、41.7°、43.5°、45.0°、49.7°、54.2°、54.7°、59.2、60.5、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0273】
比較例4に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、3.725であった。
【0274】
また比較例4に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、2.053であった。
【0275】
(比較例5)
比較例5は、原料粉に塩化マグネシウムを加えた点が実施例1と異なり、混合比が実施例27と異なる。LiClとMgCl2とZrCl4とのモル比は、3.0:0.5:0.5とした。原料粉の混合反応によりLi3.0Mg0.5Zr0。5Cl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0276】
比較例5に係る固体電解質のイオン伝導度は、3.0×10-4S/cmであった。
【0277】
比較例5に係る固体電解質は、2θ=16.0°、30.2°、31.8°、34.5°、41.6°、43.4°、44.9°、49.6°、54.3°、54.7°、59.1、60.5、61.7°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0278】
比較例5に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、5.320であった。
【0279】
また比較例5に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、2.919であった。
【0280】
(比較例6)
比較例6は、ZrCl4に変えてYCl3を原料粉に用いた点が実施例1と異なる。LiClとYCl3とのモル比は、3:1とした。原料粉の混合反応によりLi3.0YCl6の粉末を得た。その他の条件は、実施例1と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
【0281】
比較例6に係る固体電解質のイオン伝導度は、2.3×10-4S/cmであった。
【0282】
比較例6に係る固体電解質は、2θ=30.0°±0.5°、2θ=32.0°±0.5°、2θ=34.4°±0.5°、のそれぞれの位置には回折ピークを有していなかった。そのためIB/IA、およびIC/IAを算出することができなかった。
【0283】
(実施例32)
実施例32は、メカノケミカルミリング処理時間を20時間とした点が実施例10と異なり、その他の条件は、実施例10と同様にして、イオン伝導度とX線回折を行った。
図8に、実施例10と実施例32のX線回折結果を示す。原料粉の混合反応によりLi
2.4Zr
0.9Cl
6の粉末を得た。
【0284】
実施例32に係る固体電解質のイオン伝導度は、5.7×10-4S/cmであった。
【0285】
実施例32に係る固体電解質は、2θ=16.0°、29.9°、32.0°、34.6°、41.7°、49.8°のそれぞれの位置に回折ピークを有していた。
【0286】
実施例32に係る固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=34.4°±0.5°における回折ピークの回折強度IBとの比IB/IAは、0.848であった。
【0287】
また実施例32に示す固体電解質の2θ=32.0°±0.5°における回折ピークの回折強度IAと、2θ=30.0°±0.5°における回折ピークの回折強度ICとの比IC/IAは、0.799であった。
【0288】
[固体電解質電池の作成]
以下に示す方法により、実施例1~実施例32および比較例1~比較例6の固体電解質を有する固体電解質電池をそれぞれ作製し、以下に示す方法により、放電容量を測定した。
【0289】
まず、リン酸鉄リチウム(LiFePO4):実施例1~実施例32又は比較例1~6の各固体電解質:アセチレンブラック=67:20:13重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、正極合剤とした。
【0290】
次に、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12):実施例1~実施例32又は比較例1~6の各固体電解質:カーボンブラック=68:20:12重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、負極合剤とした。
【0291】
樹脂ホルダーと下パンチ(兼負極集電体)、上パンチ(兼正極集電体)を用意した。
樹脂ホルダーの下から下パンチを挿入し、樹脂ホルダーの上から実施例1~実施例32又は比較例1~6の固体電解質を110mg投入した。次いで固体電解質の上に上パンチを挿入した。この第1ユニットをプレス機に載置し、圧力373MPaで固体電解質層を成形した。第1ユニットをプレス機から取り出し、上パンチを取り外した。
【0292】
次いで、樹脂ホルダー内の固体電解質層(上パンチ側)の上に正極合剤を10mg投入し、その上に上パンチを挿入し、プレス機に第2ユニットを静置し、圧力373MPaで成形した。次に第2ユニットを取り出し、上下を逆にして下パンチを取り外した。固体電解質層(下パンチ側)の上に負極合剤を11mg投入し、その上に下パンチを挿入し、プレス機に第3ユニットを静置し、圧力373MPaで成形した。このように、正極集電体/正極/固体電解質/負極/負極集電体からなる電池要素を作製した。
【0293】
その後、4か所にねじ穴を有する直径50mm、厚み5mmのステンレス製円板およびテフロン製円板を用意し、次のように電池要素をセットした。ステンレス円板/テフロン円板/電池要素/テフロン円板/ステンレス円板の順序で積載し、4か所のネジを締め第3ユニットを作製した。なお、上下パンチの側面のネジ穴には、充放電用の端子としてネジを差し込んだ。
【0294】
第4ユニット4を封入する外装体として、A4サイズのアルミニウムラミネート袋を用意した。アルミラミネート袋の開口部の一辺に、外部引き出し端子として、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)を巻き付けたアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)と、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)とを短絡が生じないように間隔をあけて熱接着した。外部引き出し端子を取り付けたアルミラミネート袋の中に、第4ユニットを挿入し、上パンチ側面のネジと外装体内のアルミニウム端子、下パンチ側面のネジと外装体内のニッケル端子とをリード線で接続した。最後に外装体の開口部をヒートシールして固体電解質電池とした。
【0295】
充放電試験は、25℃の恒温槽内にて行った。充電は0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧(CCCVと言う)で行った。充電終了は、電流が1/20Cになるまで行った。放電は、0.1Cで3.0Vまで放電した。その結果を、表1に示す。実施例1から実施例32及び比較例1から比較例6の測定結果を表1にまとめた。
【0296】
【0297】
表1に示すように、実施例1~実施例32の固体電解質は、いずれも十分にイオン伝導度の高いものであった。また、実施例1~実施例32の固体電解質を有する固体電解質電池は、いずれも十分に放電容量の大きいものであった。
【0298】
(考察)
実施例1~実施例32と比較例1~6とを比較すると、実施例1~実施例32は室温近傍において、3.5×10-4S/cmよりも高いイオン伝導性を示すことがわかる。
【0299】
実施例1から実施例32に係る固体電解質は、比較例1から比較例6に係る固体電解質よりも優れたイオン伝導性を示すことがわかる。実施例1~32及び比較例1~5は、比較例6よりも、アルカリ金属元素と4価の金属元素とハロゲン元素とを主元素として含む化合物とすることで、ハロゲン元素によるアルカリ金属の束縛が弱められ、可動イオンが動きやすくなり、イオン伝導性が向上したものと考えられる。
【0300】
また、IB/IA及びIC/IAの値が所定の範囲内にある実施例は、イオン伝導度が高かった。これによりこれはすなわち
図4に示すように、固体電解質が2θ=30.0°±0.5°、2θ=32.0°±0.5°、2θ=34.4°±0.5°のそれぞれの位置に回折ピークを有し、2θ=32.0°±0.5°の回折ピーク強度がその他の回折ピーク強度より大きい場合、イオン伝導度が向上した。このような特徴的な構造とすることで可動イオンの伝導経路が確保されたためイオン伝導性が向上したものと考えられる。
【符号の説明】
【0301】
1…正極、1A…正極集電体、1B…正極活物質層、2…負極、2A…負極集電体、2B…負極活物質層、3…固体電解質層、10…固体電解質電池