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特許7618559タバコ小箱包装の密封度の非破壊試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】タバコ小箱包装の密封度の非破壊試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/32 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
G01M3/32 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021538114
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 CN2020103435
(87)【国際公開番号】W WO2021036593
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】201910788793.0
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521281874
【氏名又は名称】チョンチョウ タバコ リサーチ インスティテュート オブ シーエヌティーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リー ビン
(72)【発明者】
【氏名】スン ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン レ
(72)【発明者】
【氏名】チウ グアンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミンジエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ラン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ケ
(72)【発明者】
【氏名】デン ナン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-033349(JP,U)
【文献】特開2003-294570(JP,A)
【文献】特開2003-065885(JP,A)
【文献】特開2017-211223(JP,A)
【文献】特開2007-212338(JP,A)
【文献】実開昭63-063742(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/30-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ箱の密封度の非破壊試験方法であって、以下の工程を含む、方法:
試験対象のタバコ箱を気密室に配置し、平衡室を使用して該気密室に安定した負圧を迅速に形成させる工程;
平衡に達するまで該気密室内の圧力変化を測定し続け、ダルシーの法則、フィックの拡散法則、および分子運動論の物理的過程解析を使用することによってデータモデルを確立する工程であって、
該ダルシーの法則に基づくデータモデルが
であり、ここで、
α:タバコ箱の有効通気性(cm/分);As:タバコ箱の表面積(m2);V1:タバコ箱の外部容積(m3);P0:タバコ箱の初期圧力(1.01*105Pa);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)
であり、
該フィックの拡散法則に基づくデータモデルが
であり、ここで、
k:タバコ箱の有効拡散係数(m2/秒);L:有効距離(m);V1:タバコ箱の外部容積(m3);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)
であり、
該分子運動論に基づくデータモデルが
であり、ここで、
A:タバコ箱の有効漏れ面積(m2)、KB:ボルツマン定数(1.38*10-23J/K)、m:分子量(29*1.67*10-27kg);V1:タバコ箱の外部容積(m3);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)
である、
工程;
密封空間の圧力および時間のデータに基づいて、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」、およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」の3つの指標を得る工程であって、該3つの指標が、異なる密封度を反映し、これら3つのデータ値が大きいほど、密封度が悪い、工程。
【請求項2】
タバコ箱の密封度の前記非破壊試験方法で使用される試験装置が、圧力調整弁(2)、真空発生装置(3)、平衡室(6)、圧力計(7)、および気密室(9)、タバコ箱(10)、差圧センサ(11)およびコンピュータ(12)を含み、
真空発生装置(3)の一端が圧力調整弁(2)と接続され、他端がマフラ(4)と接続され、
圧力調整弁(2)が給気源(1)に接続され、
真空発生装置(3)が、第1の遮断弁(5)、平衡室(6)、圧力計(7)、第2の遮断弁(8)、気密室(9)、タバコ箱(10)、差圧センサ(11)およびコンピュータ(12)に順次に接続される、
請求項1記載のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
【請求項3】
(1) 前記試験を開始する前に、特定の真空度の平衡室(6)のタンクを準備し、第2の遮断弁(8)を閉じる工程;
(2) 給気源(1)を開き、第1の遮断弁(5)を開き、圧力調整弁(2)をゆっくりとひねり、この時、真空発生装置(3)は作動しており、かつ、平衡室(6)が負圧を発生させ;圧力計(7)が-3500Pa~-5000Paを表示するように引き続き圧力調整弁(2)をひねり、圧力計(7)の指針が安定した後、第1の遮断弁(5)を閉じ、この時、平衡室(6)における負圧が、圧力計(7)に示された値に等しい、工程;
(3) 気密室(9)を開き、タバコ箱(10)を気密室(9)に配置し、次いで気密室(9)を閉じて密封する工程;
(4) コンピュータ(12)を作動させ、データ取得ソフトウェアを開いて差圧センサ(11)の出力信号に接続し、データ取得頻度を10Hzに設定する工程;
(5) 該データ取得ソフトウェアをクリックしてデータ収集を開始し、次いで第2の遮断弁(8)を直ちに開き、次いでそれを2秒~4秒内で迅速に閉じ測定圧力値Ptが安定した時に、データ収集を停止し、該データをエクスポートして保存し、次いで気密室(9)を開いてタバコ箱(10)を取り出し、該タバコ箱の密封度測定を完了し、数セットのタバコ箱(10)を連続して測定した後、圧力計7に示される負圧値が-3500Paより大きい場合は、工程(2)を繰り返す、工程;
(6) 測定データを保存し、タバコ箱の外部容積V1、気密室の最終圧力Pe、気密室の測定圧力Pt、時間t、および気密室の初期測定圧力Pt0 データに基づき、該データを3つのモデルを使用して計算して、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」の3つの指標を得、該3つの指標すべてが、該タバコ箱の密封度を独立して反映することができる、工程
を含み、ここで、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」が、それぞれ該タバコ箱の密封度を表し、値が大きいほど、密封度が悪い、
請求項1または2記載のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ品質試験の分野に関し、より詳細には、タバコ箱の密封度の非破壊試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タバコの包装は、完成したタバコの最後の製造手順である。製造技術の発展に伴い、タバコの包装工程では、主に、機械を使用してタバコ箱の両端の折り目を密封する。密封不良のタバコが長期間保管されると、湿潤環境では白カビが発生し、乾燥気候ではタバコが乾燥して脆くなる。同時に、タバコの香りも大量に漏れることになり、消費者の利益およびタバコ製造者の信用に直接影響を及ぼす。近年、一部の消費者が一部のタバコに白カビおよび乾燥によるひび割れがあることを指摘している。タバコ箱の密封度を測定することは、タバコの包装技術を改善し、タバコ箱の密封度を高めるために重要であることが分かる。
【0003】
密封度試験は、最初軍事製品に適用され、密封は、長期保管後に軍事製品の信頼できる機能を保証するための不可欠な手段の1つである。経済発展および技術の進歩に伴い、人々は包装の性能および品質に対するますます高い要件を提示するようになっており、一部の製品の密封度には対応する国家規格も設定されている。包装についての密封度試験に関しては、インフレーション法、目視法、タルク法、密封性能試験機、気泡法などの既存の方法がある。
【0004】
インフレーション法が広く使用されている。ASTM(米国材料・試験協会)F2095には、パッケージ内部を膨張させ、圧力を徐々に減衰させることによってパッケージの密封度を測定する方法が記載されており、これは破壊的検出方法である。また同時に、膨張の圧力制御は、試験結果(平均漏れ率の式)に大きな影響を及ぼす。これは破壊的試験方法であり、タバコのソフトパックの試験に適している。境界制限を有するタバコのハードパックの場合、インフレーション試験を適用することも、タバコ箱の密封度試験に適用することもできない。
【0005】
1998年に、国家タバコ専売局は、業界標準YC/T140-1998≪タバコ箱の密封度のインフレーション試験法≫を公布した。この方法は、ソフトパックタバコの密封度測定にのみ適しており、試験精度は高くない。この方法は2013年に廃止された。
【0006】
上記の方法は、タバコ箱の密封度試験には適さない。中国特許(公開番号:CN 104792470 A(特許文献1))には、タバコ箱の密封度の圧力感知に基づくものであり、漏れの位置を特定することができる、タバコ箱の密封度を測定するための方法が記載されている。しかしながら、この方法は、タバコ箱の打ち抜きおよび位置決めを必要とする。測定後、タバコ箱をリサイクルすることはできず、通常のタバコパックに混入される危険性がある。さらに、測定室は、測定中に一定の流量で排気される必要があり、これはタバコ箱のフィルムに損傷を与え、タバコ箱の密封度の測定精度に影響を及ぼす可能性がある。この方法もまた、タバコ箱の密封度を試験するための破壊的方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】CN 104792470 A
【発明の概要】
【0008】
先行技術の上記の欠点を克服するために、本発明は、タバコ箱の密封度の非破壊試験方法を提案する。多孔質媒体内の圧力差および流速の基本法則を反映するダルシーの法則と、濃度勾配の存在下での気体のフィックの拡散法則とによって、この方法は、分子運動論(気体の状態方程式)での物理的過程解析を通じてデータモデルを確立して、密封度の指標を取得する、非破壊試験方法を実現する。
【0009】
タバコ箱の密封度の非破壊試験方法は、以下の工程を含む:
試験対象のタバコ箱を気密室に配置し、平衡室を使用して気密室に安定した負圧(-3500Pa~-5000Pa、運転時間が5秒未満)を迅速に形成させる工程;
平衡に達するまで気密室内の圧力変化を測定し続け、ダルシーの法則、フィックの拡散法則、および分子運動論の物理的過程解析を使用することによってデータモデルを確立する工程;
密封空間内の圧力および時間のデータに基づいて、3つの指標が得られる。これらのうち、タバコ箱の有効通気性(単位:cm/分、すなわちCORESTA)は、気体が多孔質媒体を流れる場合に、圧力降下と流量との間の線形関係の原理(ダルシーの法則)を適用し;タバコ箱の有効拡散係数「k」(単位:m2/秒)は、圧力差または濃度が駆動力として使用される場合に、線形関係を示す質量流束および濃度勾配の原理(フィックの拡散法則)を適用し;タバコ箱の有効漏れ面積「A」(単位:m2)は、漏出点を通過する物質量の一定の質量平衡に存在する原理または気体の状態方程式(分子運動論)を適用する。これら3つの指標は、タバコパッケージの異なる密封度を独立して反映することができる。3つのデータ値が大きいほど、密封度は悪い。
【0010】
前記方法において、タバコ箱の密封度の非破壊試験方法の試験装置は、
圧力調整弁、真空発生装置、平衡室、圧力計、気密室、タバコ箱、差圧センサおよびコンピュータ
を含み、
真空発生装置の一端は圧力調整弁と接続され、他端はマフラと接続され;ここで、圧力調整弁は給気源に接続され、
真空発生装置は、第1の遮断弁、平衡室、圧力計、第2の遮断弁、気密室、タバコ箱、差圧センサ、およびコンピュータに順次接続される。
【0011】
試験プロセスにおいて、
(1) 試験を開始する前に、特定の真空度の平衡室のタンクを準備し、給気源を開き、遮断弁を閉じ;
(2) 第1の遮断弁を開き、圧力調整弁をゆっくりとひねり、この時、真空発生装置は作動しており、かつ、平衡室は負圧を発生させ;圧力計が-3500Pa~-5000Paを表示するように引き続き圧力調整弁を回転させ、圧力計の指針が安定した後、第1の遮断弁を閉じ、この時、平衡室における負圧は、圧力計に示された値に等しく;
(3) 気密室を開き、タバコ箱を気密室に配置し、次いで気密室を閉じて密封し;
(4) コンピュータを作動させ、データ取得ソフトウェアを開いて微小圧力センサの出力信号に接続し、データ取得頻度を10Hzに設定し;
(5) データ取得ソフトウェアをクリックしてデータ収集を開始し、次いで第2の遮断弁を直ちに開き、次いでそれを迅速に閉じ(2秒~4秒内で)、測定圧力値Ptが安定した時に、データ収集を停止し、データをエクスポートして保存し、次いで気密室を開いてタバコ箱を取り出し、タバコ箱の密封度測定を完了し;数セットのタバコ箱を連続して測定した後、圧力計に示される負圧値が-3500Paより大きい場合は、これらの工程を繰り返し;
(6) 測定データを保存し、タバコ箱の外部容積V1、気密室の最終圧力Pe、気密室の測定圧力Pt、時間t、および気密室の初期圧力Pt0のデータに基づき、データを3つのモデルを使用して計算して、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」の3つの指標を得て、タバコ箱の密封度を求め、
タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」、およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」は、タバコ箱の密封度を独立して反映することができ、値が大きいほど、密封度は悪い。
【0012】
本発明のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法により、タバコ箱の密封度を測定するための従来の破壊的測定(タバコ箱の損壊)は、非破壊試験に変わり;試験結果は明確な物理的意味を有し、初期の負圧が範囲内で制御され、データが優れた再現性で得られ;単一サンプルの試験時間が、破壊的試験に使用される時間の1/5に短縮される。
[本発明1001]
タバコ箱の密封度の非破壊試験方法であって、以下の工程を含む、方法:
試験対象のタバコ箱を気密室に配置し、平衡室を使用して該気密室に安定した負圧を迅速に形成させる工程;
平衡に達するまで該気密室内の圧力変化を測定し続け、ダルシーの法則、フィックの拡散法則、および分子運動論の物理的過程解析を使用することによってデータモデルを確立する工程;
密封空間の圧力および時間のデータに基づいて、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」、およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」の3つの指標を得る工程であって、該3つの指標が、異なる密封度を反映し、これら3つのデータ値が大きいほど、密封度が悪い、工程。
[本発明1002]
タバコ箱の密封度の前記非破壊試験方法で使用される試験装置が、圧力調整弁(2)、真空発生装置(3)、平衡室(6)、圧力計(7)、および気密室(9)、タバコ箱(10)、差圧センサ(11)およびコンピュータ(12)を含み、
真空発生装置(3)の一端が圧力調整弁(2)と接続され、他端がマフラ(4)と接続され、
圧力調整弁(2)が給気源(1)に接続され、
真空発生装置(3)が、第1の遮断弁(5)、平衡室(6)、圧力計(7)、第2の遮断弁(8)、気密室(9)、タバコ箱(10)、差圧センサ(11)およびコンピュータ(12)に順次に接続される、
本発明1001のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
[本発明1003]
(1) 前記試験を開始する前に、特定の真空度の平衡室(6)のタンクを準備し、第2の遮断弁(8)を閉じる工程;
(2) 給気源(1)を開き、第1の遮断弁(5)を開き、圧力調整弁(2)をゆっくりとひねり、この時、真空発生装置(3)は作動しており、かつ、平衡室(6)が負圧を発生させ;圧力計(7)が-3500Pa~-5000Paを表示するように引き続き圧力調整弁(2)をひねり、圧力計(7)の指針が安定した後、第1の遮断弁(5)を閉じ、この時、平衡室(6)における負圧が、圧力計(7)に示された値に等しい、工程;
(3) 気密室(9)を開き、タバコ箱(10)を気密室(9)に配置し、次いで気密室(9)を閉じて密封する工程;
(4) コンピュータ(12)を作動させ、データ取得ソフトウェアを開いて微小圧力センサ(11)の出力信号に接続し、データ取得頻度を10Hzに設定する工程;
(5) 該データ取得ソフトウェアをクリックしてデータ収集を開始し、次いで第2の遮断弁(8)を直ちに開き、次いでそれを迅速に閉じ(2秒~4秒内で)、測定圧力値P t が安定した時に、データ収集を停止し、該データをエクスポートして保存し、次いで気密室(9)を開いてタバコ箱(10)を取り出し、該タバコ箱の密封度測定を完了し、数セットのタバコ箱(10)を連続して測定した後、圧力計7に示される負圧値が-3500Paより大きい場合は、工程(2)を繰り返す、工程;
(6) 測定データを保存し、タバコ箱の外部容積V 1 、気密室の最終圧力P e 、気密室の測定圧力P t 、時間t、および気密室の初期測定圧力P t0 などのデータに基づき、該データを3つのモデルを使用して計算して、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」の3つの指標を得、該3つの指標すべてが、該タバコ箱の密封度を独立して反映することができる、工程
を含み、ここで、タバコ箱の有効通気性「α」、タバコ箱の有効拡散係数「k」およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」が、それぞれ該タバコ箱の密封度を表し、値が大きいほど、密封度が悪い、
本発明1001または1002のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
[本発明1004]
工程(6)において、ダルシーの法則に基づくデータモデルが
であり、ここで、
α:タバコ箱の有効通気性(cm/分);A s :タバコ箱の表面積(m 2 );V 1 :タバコ箱の外部容積(m 3 );P 0 :タバコ箱の初期圧力(1.01*10 5 Pa);Pe:気密室の最終圧力(Pa);P t :気密室の測定圧力(Pa);P t0 :気密室の初期圧力(Pa)
である、本発明1001のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
[本発明1005]
工程(6)において、フィックの拡散法則に基づくデータモデルが
であり、ここで、
k:タバコ箱の有効拡散係数(m 2 /秒);L:有効距離(m);V 1 :タバコ箱の外部容積(m 3 );P e :気密室の最終圧力(Pa);P t :気密室の測定圧力(Pa);P t0 :気密室の初期圧力(Pa)
である、本発明1001のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。
[本発明1006]
工程(6)において、分子運動論に基づくデータモデルが
であり、ここで、
A:タバコ箱の有効漏れ面積(m 2 )、K B :ボルツマン定数(1.38*10 -23 J/K)、m:分子量(29*1.67*10 -27 kg);V 1 :タバコ箱の外部容積(m 3 );P e :気密室の最終圧力(Pa);P t :気密室の測定圧力(Pa);P t0 :気密室の初期圧力(Pa)
である、本発明1001のタバコ箱の密封度の非破壊試験方法。

【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、タバコ箱の密封度用の非破壊試験装置の概略図である。
図2図2は、3つのモデルの測定データであるPt-tデータおよび最小二乗フィッティングデータを示す図である。
図3a図3aは、得られたタバコ箱の有効通気性「α」と従来の測定方法(破壊的)によって得られた結果との比較図である。
図3b図3bは、得られたタバコ箱の有効拡散係数「k」と従来の測定方法(破壊的)によって得られた結果との比較図である。
図3c図3cは、得られたタバコ箱の有効漏れ面積「A」と従来の測定方法(破壊的)によって得られた結果との比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下で、添付の図面およびその特定の態様を参照して、本発明によって提供されるタバコ箱の密封度の非破壊試験方法のための方法をさらに詳細に説明する。
【0015】
タバコ箱の密封度の非破壊試験方法のための方法は、以下の工程を含む。
試験対象のタバコ箱を気密室に配置し、平衡室を使用して気密室に安定した負圧を迅速に形成させる工程;
平衡に達するまで気密室内の圧力変化を測定し続け、ダルシーの法則、フィックの拡散法則、および分子運動論の物理的過程解析を使用することによってデータモデルを確立する工程;
密封空間の圧力および時間のデータに基づいて、タバコ箱の有効通気性、タバコ箱の有効拡散係数、およびタバコ箱の有効漏れ面積である、物理的意味を有する3つの指標を得る工程であって、3つの指標が、異なる密封度を独立して反映することができ、これら3つのデータ値が大きいほど、密封度が悪い、工程。
【0016】
図1に示されるように、タバコ箱の密封度の非破壊試験方法の試験装置は、圧力調整弁2、真空発生装置3、平衡室6、圧力計7、気密室9、タバコ箱10、微小圧力差センサ11およびコンピュータ12を含み、
真空発生装置3の一端は圧力調整弁2に接続され、他端はマフラ4に接続され;ここで、圧力調整弁2は給気源1と接続され;
真空発生装置3は、第1の遮断弁5、平衡室6、圧力計7、第2の遮断弁8、気密室9、タバコ箱10、差圧センサ11およびコンピュータ12に順次に接続される。
【0017】
具体的な実施工程は以下のとおりである:
(1) 試験を開始する前に、特定の真空度の平衡室6のタンクを準備し、給気源1を開き、第2の遮断弁8を閉じる。
(2) 第1の遮断弁5を開き、圧力調整弁2を手でゆっくりとひねり、この時、真空発生装置3は作動しており、かつ、平衡室6が負圧を発生させる。マフラ4の機能は、真空発生装置3が作動しているときに発生する雑音を低減することである。圧力計7が-3500Pa~-5000Paを表示するように引き続き圧力調整弁2をひねり、圧力計7の指針が安定した後、第1の遮断弁5を閉じる。この時、平衡室6における負圧は、圧力計7に示された値に等しい。
(3) 気密室9を開き、特定のブランドのタバコパック10を気密室9に配置し、次いで気密室9を閉じて密封する。
(4) コンピュータ12を作動させ、データ取得ソフトウェアを開いて微小圧力センサ11の出力信号に接続し、データ取得頻度を10Hzに設定する。
(5) データ取得ソフトウェアの「開始」ボタンをクリックしてデータ収集を開始し、次いで第2の遮断弁8を直ちに開き、そしてそれを迅速に閉じ(2秒~4秒内で)、測定圧力値Ptが安定した時に、データ収集を停止し、データをエクスポートして保存し、次いで気密室9を開いてタバコパック10を取り出し、タバコパックの密封度測定を完了する。数セットのタバコパックを連続して測定した後、圧力計7に示される負圧値が-3500Paより大きい場合は、工程(2)を繰り返す。
(6) 測定データを保存し、タバコ箱の外部容積V1(m3)、気密室の最終圧力Pe(Pa)、気密室の測定圧力(Pa)~時間t、気密室の初期測定圧力Pt0(Pa)などのデータに基づき、図2に示されるように、データを3つのモデルの式を使用してそれぞれ計算する。
【0018】
タバコ箱の有効通気性「α」(単位:cm/分、すなわちCU)、有効拡散係数「k」(単位:m2/秒)および有効漏れ面積「A」(単位:m2)である3つの指標を計算し、次いでタバコ箱の密封度が得られる。
【0019】
上記の作業を繰り返して10個のタバコ箱サンプルを試験し、得られたデータを従来の破壊的試験方法(中国特許(公開番号:CN 104792470 A))と比較する。
【0020】
図3に示されるように、タバコ箱の密封度の従来の破壊的試験の結果(圧力差の絶対値で示される)を、タバコ箱の有効通気性「α」(図3a)(単位:cm/分、すなわちCU)、タバコ箱の有効拡散係数「k」(図3b)(単位:m2/秒)およびタバコ箱の有効漏れ面積「A」(図3c)(単位:m2)の3つの指標と比較すると、データは、本発明の測定結果が従来の破壊的試験のデータと一致することを示す。3つのデータ指標の低減により、タバコ箱の密封度が向上する。
【0021】
工程(6)において、ダルシーの法則に基づく式は以下である:
α:タバコ箱の有効通気性(cm/分);A:タバコ箱の表面積(m2;V1:タバコ箱の外部容積(m3);P0:タバコ箱の初期圧力(1.01*105Pa);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)。
【0022】
工程(6)において、フィックの拡散法則に基づく式は以下である:
k:タバコ箱の有効拡散係数(m2/秒);L:有効距離(m);V1:タバコ箱の外部容積(m3);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)。
【0023】
工程(6)において、分子運動論に基づく式は以下である:
A:タバコ箱の有効漏れ面積(m2)、KB:ボルツマン定数(1.38*10-23J/K)、m:分子量(29*1.67*10-27kg);V1:タバコ箱の外部容積(m3);Pe:気密室の最終圧力(Pa);Pt:気密室の測定圧力(Pa);Pt0:気密室の初期圧力(Pa)。
【0024】
最後に、上記の態様は、本発明の技術的解決策を説明するために使用されているにすぎず、本技術的方法を限定するためのものではないことに留意されたい。本発明の適用を、他の改変、変更、用途および態様に拡張することができ、したがって、そのようなすべての改変、変更、用途および態様はすべて、本発明の趣旨および教示の範囲内であるとみなされる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c