(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】非ISO準拠のIV容器に使用するIVスパイク
(51)【国際特許分類】
A61M 5/162 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
A61M5/162 500Z
A61M5/162 500T
(21)【出願番号】P 2021552545
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020020708
(87)【国際公開番号】W WO2020180822
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン、ベンジャミン、ヤン テーク
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/049932(WO,A1)
【文献】特開2007-236438(JP,A)
【文献】実開昭50-066069(JP,U)
【文献】特表2015-536212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/162
F16B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から薬液を投与するための静脈内(IV)スパイクであって、
点滴筒に連結されるよう構成され、上部及び下部を備える細長い本体であって、
前記下部は、前記上部の外径よりも大きい外径を画定する外面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体の前記下部の
前記外面に沿って配置され、前記外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山であって、
前記外面が、連結構成において、前記容器の出口ポートの内面と係合するよう構成され、
前記連結構成において、前記ネジ山の縁部が、前記容器の前記出口ポートの前記内面を把持して係合し、前記細長い本体の前記下部と前記容器の前記出口ポートとの間に封止を作り出し、前記本体を前記出口ポート内に保持する、複数のネジ山と
を備える、IVスパイク。
【請求項2】
前記細長い本体の前記上部に配置されたスパイク・ヘッドをさらに備え、前記スパイク・ヘッドが、穿刺先端と、上端部に流体入口を有する穿刺基部とを備え、流体チャネルが、前記流体入口から前記細長い本体を通って前記点滴筒内まで延在する、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項3】
前記出口ポートの前記内面が、密封部材なしで構成されている、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項4】
前記下部に配置され、前記複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に挿置された密封部材をさらに備え、前記連結構成において、前記密封部材が、前記出口ポートの前記内面と前記本体の前記下部の前記外面との間を塞ぎ、封止を形成する、請求項3に記載のIVスパイク。
【請求項5】
前記密封部材が、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項4に記載のIVスパイク。
【請求項6】
前記連結構成において、前記ネジ山のうちの少なくとも1つの縁部が、少なくとも部分的に、前記出口ポートの前記内面に貫入する、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項7】
前記ネジ山のそれぞれの外径が、前記出口ポートの内径よりも大きい、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項8】
前記ネジ山が、前記細長い本体の前記下部の少なくとも一部分に沿って、一定の間隔で互いに離間された一連の放射状バンドの形で形成される、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項9】
前記ネジ山が、少なくとも部分的に、前記細長い本体の前記下部に沿って、螺旋構成で形成される、請求項1に記載のIVスパイク。
【請求項10】
流体を収め、内面を有する流体出口ポートを備えるIV容器であって、前記内面が、密封部材なしで構成されている、IV容器と、
点滴筒に連結されるよう構成された細長い本体を備え、前記細長い本体が、上部
と下部
を備え、前記下部は、前記上部の外径よりも大きい外径を画定する外面を有し、前記細長い本体が、該細長い本体の
前記下部の前記外面に沿って配置され、前記外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山を備える、スパイクであって、
前記下部の前記外面が、連結構成において、前記IV容器の前記流体出口ポートの前記内面と係合するよう構成され、
前記連結構成において、前記ネジ山が、前記IV容器の前記出口ポートの前記内面に少なくとも部分的に貫入し、前記スパイクと前記容器の前記出口ポートとの間に封止を作り出し、前記スパイクを前記出口ポート内に保持する、スパイクと
を備える、静脈内(IV)点滴システム。
【請求項11】
前記スパイクが、
穿刺先端及び前記細長い本体の前記上部に流体入口を有する穿刺基部と、
前記穿刺基部から前記細長い本体を通って点滴筒内まで延在する、流体チャネルと
をさらに備える、請求項10に記載のIV点滴システム。
【請求項12】
前記細長い本体の前記下部に配置され、前記複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に挿置された密封部材をさらに備え、前記連結構成において、前記密封部材が、前記出口ポートの前記内面と前記細長い本体の前記下部の前記外面との間に封止を形成する、請求項10に記載のIV点滴システム。
【請求項13】
前記密封部材が、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項12に記載のIV点滴システム。
【請求項14】
前記ネジ山のそれぞれの外径が、前記出口ポートの内径よりも大きい、請求項10に記載のIV点滴システム。
【請求項15】
前記IV容器が、国際標準化機構(ISO)準拠でないIV容器を含む、請求項10に記載のIV点滴システム。
【請求項16】
静脈内(IV)点滴システム用スパイクを製造する方法であって、
上部にスパイク先端を備え、下部に基部を備える細長い本体を設けること
であって、前記下部は、前記上部の外径よりも大きい外径を画定する外面を有する、細長い本体を設けることと、
前記細長い本体の前記基部の外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山を形成することと、
前記複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に、密封部材を位置決めすることと
を含む、方法。
【請求項17】
前記密封部材が、前記細長い本体の前記基部の前記外面から径方向外向きに、前記細長い本体の前記基部の前記外面から径方向外向きに突出する前記複数のネジ山よりも広い範囲まで突出する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記密封部材を位置決めすることが、前記密封部材を前記細長い本体の前記基部に固定的に連結することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記密封部材を位置決めすることが、前記細長い本体の前記基部に、締まり嵌めによって前記密封部材を配置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のネジ山を形成することが、前記基部の材料の一部を取り除いて前記ネジ山を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、IVセット構成要素に関し、より具体的には、非ISO準拠のIV流体バッグ及びボトルの膜を穿刺及び密封するIVスパイクに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的治療で最も広く使用されている方法の1つは、患者の血流への液状薬剤及び/又は栄養素の静脈内(IV:intravenous)注入である。多くのIV注入用途で使用されるよく知られた器具は、患者に注入されるべき液体を収めるIVバッグ又はボトルなどのIV容器である。
【0003】
IV容器がバッグ又はボトルである場合、硬質で中空の、鋭利なIVスパイクがバッグ内に押し込まれ、液体がバッグから流出することができる、流体連通する通路を確立する。スパイクは通常、一般的にポートと呼ばれる密封膜を貫通してバッグに挿入される。次に、スパイクは、一般には「点滴筒」と呼ばれる、小さく細長い、透明な中空容器の入口ポートと連結されるか又は一体に形成され、スパイクの流体通路は、点滴筒の内部と流体連通する。
【0004】
上記で論じられたバッグ又はボトルの形態のIV容器は、一般に、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)準拠又は非ISO準拠として分類され得る。既存のIVスパイクを使用して、非ISO準拠の容器に突き刺す(「スパイクする」)場合、非ISO準拠の容器は、スパイク時に漏れる傾向又はリスクがより高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施例によれば、容器から薬液を投与するための静脈内(IV)スパイクは、上部及び下部を備える細長い本体であって、点滴筒に連結されるよう構成された、細長い本体と、細長い本体の上部に配置され、穿刺先端、及び上端部に流体入口を有する穿刺基部を備えるスパイク・ヘッドであって、流体チャネルが、流体入口から細長い本体を通って点滴筒内まで延在する、スパイク・ヘッドと、細長い本体の下部の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山であって、外面が、連結構成において、容器の出口ポートの内面と係合するよう構成され、また連結構成において、ネジ山の縁部が、容器の出口ポートの内面を把持して係合し、細長い本体の下部と容器の出口ポートとの間に封止を作り出し、本体を出口ポート内に保持する、複数のネジ山とを備える。
【0006】
いくつかの実施例によれば、静脈内(IV)点滴システムは、流体を収め、内面を有する流体出口ポートを備えるIV容器であって、内面が、密封部材なしで構成されている、IV容器と、細長い本体を備え、細長い本体が、上部、下部、及び細長い本体の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山を備える、スパイクであって、下部の外面が、連結構成において、IV容器の流体出口ポートの内面と係合するよう構成され、また連結構成において、ネジ山が、IV容器の出口ポートの内面に少なくとも部分的に貫入し、スパイクと容器の出口ポートとの間に封止を作り出し、スパイクを出口ポートに保持する、スパイクとを備えることができる。
【0007】
いくつかの実施例によれば、静脈内(IV)点滴システム用スパイクを製造する方法は、上部にスパイク先端を備え、下部に基部を備える細長い本体を設けることと、細長い本体の基部の外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山を形成することと、複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に、密封部材を位置決めすることとを含む。
【0008】
本明細書で開示されているモデル及び方法の態様及び機能は、本明細書の教示及び開示に基づいて提供、除外、又は修正され得る。
【0009】
以下の図は、実施例の特定の態様を例示するためにあり、排他的な実施例と見なされるべきではない。開示される主題は、当業者が思いつき、この開示の利益を享受することになる、形態及び機能におけるかなりの修正、変更、組合せ、及び同等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1B】
図1Aの従来のIVスパイクによってスパイクされた、非ISO準拠のIV容器を備える、IVセットの断面図である。
【
図1C】
図1Bの従来のIVスパイクによってスパイクされた、非ISO準拠のIV容器を備える、IVセットの拡大部分断面図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施例による、IVスパイクの斜視図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイクの断面図である。
【
図2C】本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイクによってスパイクされた非ISO準拠のIV容器を備える、IVセットの断面図である。
【
図2D】
図2AのIVスパイクによってスパイクされた、非ISO準拠のIV容器を備える、IVセットの拡大部分断面図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイクを使って非ISO準拠のIV容器をスパイクし、密封する方法を示す図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイクを使って非ISO準拠のIV容器をスパイクし、密封する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の様々な実施例は、非ISO準拠のIV流体バッグ及びボトルの膜を穿刺(「スパイク」)する、IVスパイクを提供することに関し、IVスパイクは、IV容器内にIVスパイクを保持するための改善された保持機能を有する。
【0012】
本開示の様々な実施例は、さらに、非ISO準拠のIV流体バッグ及びボトルのスパイク膜用IVスパイクを提供することに関し、IVスパイクは、流体が、IVスパイクの外面とIV流体バッグ及びボトルの内面との間で、不用意に漏れるのを防ぐように改善された、密封能力を有する。
【0013】
本明細書に開示されている実施例は、既存のIVスパイクと比較して、改善された密封能力及び保持能力を有するIVスパイクを提供することに関する。いくつかの実施例によれば、IVスパイク120は、概ね、上部及び下部又は基部を備える、本体を備えることができる。IVスパイクの下部又は基部は、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルにスパイクする際に、出口ポートでIVスパイクを密封して確実に係合するための密封及び保持機構を、下部又は基部上に設けることができる。具体的には、図示されているように、下部は、下部の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山を備えることができる。いくつかの実施例では、ネジ山は、IVスパイクの本体を非ISO準拠のIVバッグ又はボトルに係留し、保持するための保持機構として作用することができる。
【0014】
IVスパイクが非ISO準拠のIV容器の出口ポートに挿入又はスパイクされる、連結構成又は「スパイク」構成では、ネジ山の縁部は、出口ポートの内面に少なくとも部分的に貫入し、非ISO準拠のIV容器の出口ポート116の内面を把持し、係合することができる。ネジ山の出口ポート116の内面112への貫入により、IVスパイクと非ISO準拠のIV容器の出口ポートとの間に、1次封止が作り出される。有利なことに、作り出された封止は、スパイクするとき、スパイクしている間、又はスパイクした後に、流体が、IVスパイクと非ISO準拠のIV容器102の出口ポートとの間で、不用意に漏れることを防ぐ。
【0015】
いくつかの実施例では、ネジ山はまた、IV容器に挿入又は「スパイクされた」IVスパイクを保持するための、非ISO準拠のIV容器の性能を改善する、保持機構として作用することができる。したがってネジ山は、IVスパイクが、非ISO準拠のIV容器から分離する(さもなければ、外れる)のを防ぐことができる。ネジ山136が、出口ポートの内面に回動して貫入するか、さもなければ「噛み込む」か又は「掘り込む」と、出口ポートの内面の材料が、ネジ山136間で圧縮され、これにより、非ISO準拠のIV容器の、引き抜き及び剪断荷重に対する抵抗力がさらに増大する。したがって、有利なことに、ネジ山は、本開示の範囲から逸脱することなく、IVスパイクが非ISO準拠のIV容器から容易に外れ得ないように、IVスパイクと出口ポートとの間の摩擦を増加させる構造体として機能することができる。
【0016】
本開示の様々な実施例によれば、IVスパイクは、IVスパイク本体の下部に配置され、1対の隣接するネジ山間に挿置される密封部材を備え、構成され得る。連結構成では、密封部材は、出口ポートの内面とIVスパイク本体の下部の外面との間を塞ぎ、第2の封止を形成する。密封部材135が、非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116内に進むと、密封部材135は、ネジ山136が貫入することで作り出された経路を密封する。したがって、IVスパイク120は、IVスパイク上に2次封止として密封部材を組み込むことによって、既存のIVスパイク20の欠陥を改善し、流体が、連結構成において、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間で不用意に漏れるのをさらに防止する。
【0017】
図1Aは、従来のIVスパイク20の斜視図を示している。
図1Bは、
図1Aの従来のIVスパイク20によってスパイクされたIV容器12を備える、IVセット10の断面図である。
図1Cは、
図1Bの従来のIVスパイクによってスパイクされたIV容器12を備える、IVセットの拡大部分断面図である。IV容器12は、非ISO準拠のIV流体バッグ又はボトルであり得る。本明細書で説明されているように、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルとは、出口ポート上にいかなる形態の密封構造又は密封部材も持たない出口ポート、たとえば出口ポート16を備えるものである。非ISO準拠のIVバッグ又はボトルとは対照的に、ISO準拠のIVバッグ又はボトルは一般的に、たとえば出口ポートに、スパイクする際に出口ポートと従来のIVスパイク20とを密封して連結する、ゴム栓、プラグ、又はストッパの形態の、何らかの形態の密封要素を備えている。したがって、ISO準拠のIVバッグに組み込まれた密封要素は、出口ポートの内面と、従来のIVスパイク20の本体の外面との間の、流体の漏れを最小限に抑えることができる。
【0018】
図示のように、従来のIVスパイク20は、一般的に、上部27及び下部26を備える、本体24を備えることができる。従来のIVスパイク20は、点滴筒28に連結されるよう構成され得る。穿刺先端29及び穿刺基部31を備えるスパイク23は、本体24の上部27に配置され得る。穿刺基部31は、上端部に流体入口25を有することができる。図示されているように、流体チャネル33は、穿刺基部31から本体24を通って点滴筒28内まで延在することができる。下部26は、IVスパイク20の基部として機能することができ、細長い本体24の上部27の外径よりも大きい外径を有することができる。
図1Bに示されているように、非ISO準拠のIV容器12を、IVスパイク20が突き刺すか又はスパイクする連結構成では、基部24と出口ポート16の内面との接触点34で、基部と出口ポートの内面との間に挿置される何らかの形態の密封要素が欠如しているため、流体の漏れが生じる可能性がある。
【0019】
したがって、スパイクするときの、スパイクしている間の、且つ/又はスパイクした後の、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルからの流体の漏出を防止するために、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルを十分に密封することができるIVスパイクを有することは有利であろう。非ISO準拠のIVバッグ又はボトルにIVスパイクを保持するために、従来の又は現在存在するIVスパイクよりも改善された保持機能を有するIVスパイクを有することは、さらに有利である。本開示の様々な実施例は、従来の又は現在存在するIVスパイクに欠けている、前述の機能を有するIVスパイクを提供することに関する。
【0020】
図2Aは、本開示のいくつかの実施例による、IVスパイク120の斜視図を示している。
図2Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイク120の断面図を示している。
図2Cは、本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイク120によってスパイクされたIV容器102を備える、IVセットの断面図である。
図2Dは、
図2AのIVスパイク120によってスパイクされたIV容器102を備える、IVセット100の拡大部分断面図である。
【0021】
図2C及び
図2Dに示されているように、IV容器102は、非ISO準拠のIV流体バッグ又はボトルであり得る。上記のように、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルは、本明細書では、出口ポート上にいかなる形態の密封構造又は密封部材も持たない出口ポート、たとえば出口ポート116を備える、IVバッグ又はボトルとして論じられている。非ISO準拠のIVバッグ又はボトルとは対照的に、ISO準拠のIVバッグ又はボトルは一般的に、たとえば出口ポートに、スパイクする際に出口ポートとIVスパイクとを密封して連結する、ゴム栓、プラグ、又はストッパの形態の、何らかの形態の密封要素を備えている。したがって、既存のISO準拠のIVバッグの出口ポートに組み込まれた密封要素は、出口ポートの内面と、既存のIVスパイクの本体の外面との間の、流体の漏れを最小限に抑えることができる。対照的に、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルの出口ポート又はノズルには、組み込まれている何らかの形態の密封部材又は密封要素が欠如していることにより、スパイクしている間又はスパイクした後に、流体が出口ポートから漏れる可能性がある。
【0022】
本開示の様々な実施例は、既存のIVスパイク、たとえばIVスパイク20と比較して、改善された密封能力及び保持能力を有する、IVスパイク120を提供することに関する。
図2A及び
図2Bに戻って参照すると、IVスパイク120は、概ね、上部127及び下部又は基部126を備える、本体124を備えることができる。IVスパイク120は、点滴筒128に連結されるよう構成され得る。穿刺先端129及び穿刺基部131を備えるスパイク・ヘッド123は、本体124の上部127に配置され得る。本開示の様々な実施例によれば、下部126は、本明細書ではまた、IVスパイク本体124の基部126と呼ばれてもよく、細長い本体24の上部27の外径よりも大きい外径を有することができる。前述の構成は、IVスパイク120の基部126と出口ポート116の内面112との間に緊密な締まり嵌めが形成され得るという点で、有利であり得る。緊密な締まり嵌めはさらに、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102内のIVスパイク120の保持を補助することができる。
【0023】
本開示の様々な態様によれば、IVスパイク120の下部又は基部126は、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102にスパイクする際に、出口ポート116内でIVスパイク20を密封して確実に係合するための密封及び保持機構を、下部又は基部上に設けることができる。具体的には、図示されているように、下部126は、下部126の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山136を備えることができる。いくつかの実施例では、ネジ山136は、IVスパイク20の本体124を、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102内に係留することができる。
【0024】
様々な実施例によれば、複数のネジ山136の形状及び構成は、いかなる特定の構成にも限定されるものではない。ネジ山136は、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102の出口ポートに係合して「噛み込む」のに十分な鋭さを有する、尖端を備えることができる。いくつかの実施例では、複数のネジ山136のピッチを変えることができる。たとえば、複数のネジ山136は、本体124の下部126の外面の周囲に、隣接するスレッド136が互いに近接して配置された状態で、スレッド136の多くのターンを設けた、浅いスレッドのピッチで形成され得る。別法として、複数のネジ山136は、隣接するスレッド136が、急峻なピッチを有する構成よりも一層離間された状態で、スレッド136の少数のターンを設けた、急峻なスレッドのピッチで形成され得る。いくつかの実施例では、IVスパイク本体124の下部126の外面からスレッドの尖端までのネジ山136の高さは、出口ポート116の内面112を掘り込むか、さもなければ切り込むのに十分な高さで、径方向外向きに延在し、突出することができる。したがって、各ネジ山の外径は、出口ポートの内径よりも大きくすることができる。
【0025】
いくつかの実施例では、複数のネジ山136は、本体124の下部126に沿って、少なくとも部分的に形成され得る。他の実施例では、複数のネジ山136は、本体124の下部126に沿って、全範囲に形成され得る。
図2Aに示されているように、複数のネジ山136は、本体124の下部126に沿って、螺旋構成で形成され得る。しかし、本開示の様々な実施例は、前述の構成に限定されるものではない。いくつかの実施例では、ネジ山136は、本体124の下部126に沿って、一連の放射状バンドの形で形成されている。いくつかの実施例では、ネジ山136は、一定の間隔で、たとえば等間隔で互いに離間され得る。しかし、他の実施例では、ネジ山136は、不規則な間隔で互いに離間されてもよく、たとえば、様々な間隔で離間されていてもよい。
【0026】
図2Aに示されているように、複数のネジ山136は、本体124の下部126の周囲に、螺旋状の渦線を形成することができる。スレッドの数及びスレッドのピッチは、IVスパイク120が挿入されるべきIV容器102の、出口ポート116の材料に応じて変化し得るパラメータである。たとえば、ネジ山136がIVスパイク120を出口ポート116に係留すべきである場合、ネジが大きな剪断荷重及び軸方向荷重に耐えることができるように、スレッドのピッチ及び他のネジのパラメータを選択する必要がある。ネジ山136が他の諸目的に使用されることになっている場合、他の要因がネジ設計パラメータの選択を決定づけるであろう。
【0027】
様々な実施例によれば、IVスパイク120の外面は、連結構成で、容器の出口ポート116の内面112と係合するよう構成される。本明細書でさらに論じられているように、連結構成とは、IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116に挿入又はスパイクされている構成を指す。
図2Dに示されているように、連結構成では、ネジ山136の少なくとも1つの縁部は、出口ポート116の内面112に少なくとも部分的に貫入し、非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116の内面112を把持し、係合する。したがって、ネジ山136は、出口ポート116の内面112に十分に「噛み込む」か、「貫入する」か、又はさもなければ係合するように、アンダーカットで形成され得る。ネジ山136の出口ポート116の内面112への貫入により、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間に、封止が作り出される。有利なことに、作り出された封止は、流体140が、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間で不用意に漏れることを防ぐ。
【0028】
いくつかの実施例では、ネジ山136はまた、連結構成で、IV容器内に挿入されたIVスパイク120を保持するための、非ISO準拠のIV容器102の性能を改善する、保持機構として作用することができる。したがってネジ山136は、IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102から分離する(さもなければ、外れる)のを防ぐことができる。ネジ山136が、出口ポート116の内面112に、回動して貫入するか、さもなければ「噛み込む」又は「掘り込む」と、出口ポート116の内面112の材料が、ネジ山136間で圧縮される。ネジ山間での出口ポート116の内面112の材料の挟み込みが、非ISO準拠のIV容器102の、引き抜き及び剪断荷重に対する抵抗力をさらに増大させる。したがって、有利なことに、ネジ山136は、本開示の範囲から逸脱することなく、IVスパイク120が非ISO準拠のIV容器102から容易に外れ得ないように、IVスパイク120と出口ポート116との間の摩擦を増加させるよう構造化され得る。
【0029】
いくつかの実施例では、ネジ山136は、IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102内に挿入されるか又は進むと、出口ポート116の内面112に貫入するか、「噛み込む」か、さもなければ「掘り込む」よう構成された、わずかなアンダーカットを有する傾斜部として構造化され得る。IVスパイク120が引っ張られ、非ISO準拠のIV容器102から引き出されるときに、スレッドは、IVスパイク120を非ISO準拠のIV容器102内に固定するであろう。いくつかの実施例では、ネジ山136の傾斜部の上部又はアンダーカット部分は、IVスパイク120を非ISO準拠のIV容器102内から引き出そうとすると、出口ポート116の内面112を掘り込むか、又は把持するであろう。結果として、有利なことに、IVスパイク120を非ISO準拠のIV容器102から取り出すか、又は他の方法で外すのに必要な引張力が増加し、したがって、IVスパイク120は、非ISO準拠のIV容器102によりよく固定される。
【0030】
図中のIVスパイク120の外面上のネジ山の場所は、単に実例であり、ネジ山136の場所は、本開示の範囲から逸脱することなく変更できることに留意されたい。さらに、図は複数のネジ山136を示しているが、複数のネジ山136は、たとえば、出張り及び/又は有刺機能(barbed feature)と置き換えることができ、ネジ山の数は制限され得るものではなく、本開示の範囲から逸脱することなく増減できる。たとえば、複数の出張りは、IVスパイク本体124の下部126の外面に沿って、一定の間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、出張りは、IVスパイク本体124の下部126の外面に沿って、不規則な間隔で配置され得る。同様に、複数の有刺機能は、IVスパイク本体124の下部126の外面に沿って、一定の間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、有刺機能は、不規則な間隔で配置され得る。スパイク本体124から径方向外側に向く、有刺機能の周方向の広がりは、本開示の範囲から逸脱することなく、用途又は設計によって必要とされるように、増加又は減少され得る。
【0031】
したがって、本明細書に記載の様々な実施例のIVスパイク120は、非ISO準拠のIV容器、たとえば、容器12及び102に連結された場合、現在存在するIVスパイク20を超えるさらなる利点をもたらす。具体的には、
図1B及び
図1Cに示されているように、現在存在するIVスパイク20が連結構成にあり、IVスパイク20が非ISO準拠のIV容器12を突き刺すか又はスパイクする場合、基部24と出口ポート16の内面21との接触点34で流体漏れが生じる可能性がある。以前に論じられたように、漏れは、基部24と出口ポート16の内面21との間に挿置される、密封要素又は密封機構が欠如している結果として生じ得る。本明細書に記載の様々な実施例のIVスパイク120は、ネジ山136を、IVスパイク120が非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116に挿入又は「スパイク」されるときに、出口ポート116の内面112に少なくとも部分的に貫入するか又は「掘り込む」密封面として、IVスパイク上に組み込むことによって、既存のIVスパイク20の欠陥を改善する。ネジ山136は、IVスパイク120が出口ポート116内へ回動すると、出口ポート116の内部に螺旋経路を切り込むことができる。さらに有利なことに、ネジ山136は、出口ポート116の内面112に回動して貫入するか、さもなければ「噛み込む」か又は「掘り込む」ので、それによってネジ山136は、IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102から分離する(さもなければ、外れる)のを防ぐことができる。ネジ山136は、有利なことには、IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102から軸方向に引き抜かれないようにする。
【0032】
上記のように、非ISO準拠のIVバッグ又はボトルは、本明細書では、いかなる形態の密封構造又は密封部材もIVバッグ又はボトル上に持たない出口ポート、たとえば出口ポート116を備える、IVバッグ又はボトルとして論じられている。したがって、本開示の様々な実施例によれば、IV容器102(たとえば、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル)の出口ポート116の内面112には、密封部材がなくてもよい。たとえば、出口ポートに配置された密封部材を備える一部のISO準拠のIVバッグ及びボトルとは対照的に、IV容器102は、IV容器の内面112に密封部材がないか、さもなければ排除することができる。したがって、IV容器12が、現在存在するIVスパイク20でスパイクされると、基部24と出口ポート16の内面21との接触点34で、流体漏れが生じる可能性がある。
【0033】
本明細書に記載の様々な実施例のIVスパイク120は、IVスパイク120の本体124上に密封部材135を組み込むことによって、既存のIVスパイク20の欠陥を改善する。具体的には、
図2A~
図2Dに示されているように、密封部材135が、スパイクの下部126に配置され、1対の隣接するネジ山136間に挿置され得る。密封部材135が、非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116内に進むと、密封部材135は、ネジ山136が貫入することで作り出された経路を密封する。したがって、密封部材135は、流体140が、連結構成において、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間で不用意に漏れるのをさらに防止する、2次封止として作用する。
【0034】
いくつかの実施例では、密封部材は、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、シリコーン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む。さらに、密封部材は、射出成形、圧縮成形、転写成形、鋳造、及び押出技法のうちの少なくとも1つ、又はそれらの組合せによって処理され得る、任意の化学的な種類の合成物質、天然エラストマ、及びエラストマ化合物で作製され得る。かかる既存のエラストマの実例は、FDA21CFR177.2600に見られ得るが、本開示の様々な実施例は、この特定の規制基準に限定されるものではない。
【0035】
本開示の様々な態様によれば、穿刺基部131は、上端部に流体入口125を有することができる。図示されているように、流体チャネル133は、穿刺基部131から本体124を通って点滴筒128内まで延在することができる。したがって、IV容器102からの流体140は、流体入口125でIVスパイク120に入り、流体チャネル133を通って点滴筒128に流れ込むことができる。
【0036】
図3A及び
図3Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図2AのIVスパイクを使ってIV容器をスパイクし、密封する方法を示している。
図3Aに示されているように、IVスパイク120は、IVスパイク本体124の下部126と出口ポート116の内面112との間の、緊密な締まり嵌めによって、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102の出口ポート116に挿入される。次いで、IVスパイク120が、非ISO準拠のIVバッグ又はボトル102の出口ポート116内に回動され、さらに押し上げられる。IVスパイク120が回動され、非ISO準拠の容器102内をさらに進むと、ネジ山135は、出口ポート116の内面112に貫入するか、「噛み込む」か、さもなければ「掘り込む」ことができる。IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102から引っ張られ、引き出されるときに、スレッド136は、IVスパイク120を非ISO準拠のIV容器102内に固定するであろう。結果として、有利なことに、IVスパイク120を非ISO準拠のIV容器102から取り出すか、又は他の方法で外すのに必要な引張力が増加し、したがって、IVスパイク120は、非ISO準拠のIV容器102内によりよく固定される。
【0037】
さらに有利なことには、ネジ山136の出口ポート116の内面112への貫入により、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間に、1次封止が作り出される。有利なことに、作り出された封止は、流体140が、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間で不用意に漏れることを防ぐ。
【0038】
IVスパイク120が、非ISO準拠のIV容器102内をさらに進むと、ネジ山136は、出口ポート116の内面112に凹路(たとえば、螺旋経路)を形成する。密封部材135が、非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116内に進むと、密封部材135は、ネジ山136が貫入することで作り出された経路を密封する。したがって、密封部材135は、流体140が、連結構成において、IVスパイク120と非ISO準拠のIV容器102の出口ポート116との間で不用意に漏れるのをさらに防止する、2次封止として作用する。
【0039】
本開示の様々な実施例によれば、静脈内(IV)点滴システム100用スパイク120を製造する方法は、上部にスパイク先端123を備え、下部に基部126を備える細長い本体124を設けることを含むことができる。この方法は、細長い本体124の基部126の外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山136を形成することをさらに含むことができる。いくつかの実施例では、細長い本体124の基部126の外径は、上部127の外径よりも大きい。ネジ山124は、一連の溝を作り出すために、IVスパイクの基部126から材料を切り出すか又は取り除くことによって形成され得る。隣接する溝は、隣接する溝間のネジ山136を画定することができ、ネジ山のピッチ及びサイズは、ユーザのニーズに応じて変えることができる。他の実施例では、ネジ山136は、ネジ山136の形状の材料を、基部126(本明細書では「下部」とも呼ばれる)に加えることによって形成され得る。さらに他の実施例では、ネジ山136は、当技術分野で知られている他のネジ山形成プロセスによって形成され得る。
【0040】
いくつかの実施例によれば、IVスパイク120を製造する方法は、複数のネジ山136のうちの1対の隣接するスレッド136間に、密封部材135を位置決めすることをさらに含むことができる。密封部材135は、細長い本体の基部126の外面から径方向外向きに、細長い本体の基部126の外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山よりも広い範囲まで突出するように、位置決めされ得る。密封部材135は、超音波溶接、熱溶着、インサート成形、接着、又は他の取り付け方法を含むがこれらに限定されるものではない、任意の適切な方法によって、IVスパイク120の基部126(又は下部126)の外面に連結されるか、取り付けられるか、さもなければ接合され得る。他の実施例では、密封部材135は、緊密な締まり嵌めによって、IVスパイク120の基部126(又は下部126)の外面に連結されるか、取り付けられるか、さもなければ接合され得る。いくつかの実施例では、密封部材135は、細長い本体124の基部126に固定的に連結され得る。しかし、他の実施例では、密封部材135は、細長い本体124の基部126に取外し可能に連結され得る。
【0041】
いくつかの実施例によれば、密封部材135は、流体不透過性である、可撓な弾性材料で形成され得る。たとえば、密封部材135は、シリコーン材料でできていてもよい。しかし、他の実施例では、弁部材35は、天然若しくは合成ゴム、プラスチック、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの、任意の非粘着性の弾性材料で形成され得る。
【0042】
本開示の態様の様々な実例が、便宜上番号を付けた条項(1、2、3など)として説明されている。これらは実例として提示されており、本技術を限定するものではない。図及び参照番号の識別表示は、単に実例として、例示する目的で以下に提示されており、条項は、そうした識別表示によって限定されるものではない。
【0043】
条項1
容器から薬液を投与するための静脈内(IV)スパイクであって、IVスパイクが、上部及び下部を備える細長い本体であって、点滴筒に連結されるよう構成された、細長い本体と、細長い本体の下部の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山であって、外面が、連結構成において、容器の出口ポートの内面と係合するよう構成され、また連結構成において、ネジ山の縁部が、容器の出口ポートの内面を把持して係合し、細長い本体の下部と容器の出口ポートとの間に封止を作り出し、本体を出口ポート内に保持する、複数のネジ山とを備える、IVスパイク。
【0044】
条項2
細長い本体の上部に配置されたスパイク・ヘッドをさらに備え、スパイク・ヘッドが、穿刺先端と、上端部に流体入口を有する穿刺基部とを備え、流体チャネルが、流体入口から細長い本体を通って点滴筒内まで延在する、条項1のIVスパイク。
【0045】
条項3
出口ポートの内面が、密封部材なしで構成されている、条項1のIVスパイク。
【0046】
条項4
下部に配置され、複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に挿置された密封部材をさらに備え、連結構成において、密封部材が、出口ポートの内面と本体の下部の外面との間を塞ぎ、封止を形成する、条項3のIVスパイク。
【0047】
条項5
密封部材が、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、条項4のIVスパイク。
【0048】
条項6
連結構成において、ネジ山のうちの少なくとも1つの縁部が、少なくとも部分的に、出口ポートの内面に貫入する、条項1のIVスパイク。
【0049】
条項7
ネジ山のそれぞれの外径が、出口ポートの内径よりも大きい、条項1のIVスパイク。
【0050】
条項8
ネジ山が、細長い本体の下部の少なくとも一部分に沿って、一定の間隔で互いに離間された一連の放射状バンドの形で形成される、条項1のIVスパイク。
【0051】
条項9
ネジ山が、少なくとも部分的に、細長い本体の下部に沿って、螺旋構成で形成される、条項1のIVスパイク。
【0052】
条項10
流体を収め、内面を有する流体出口ポートを備えるIV容器であって、内面が、密封部材なしで構成されている、IV容器と、細長い本体を備え、細長い本体が、上部、下部、及び細長い本体の外面に沿って配置され、外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山を備える、スパイクであって、下部の外面が、連結構成において、IV容器の流体出口ポートの内面と係合するよう構成され、また連結構成において、ネジ山が、IV容器の出口ポートの内面に少なくとも部分的に貫入し、スパイクと容器の出口ポートとの間に封止を作り出し、スパイクを出口ポート内に保持する、スパイクとを備える、静脈内(IV)点滴システム。
【0053】
条項11
スパイクは、穿刺先端及び細長い本体の上部に流体入口を有する穿刺基部と、穿刺基部から細長い本体を通って点滴筒内まで延在する、流体チャネルとをさらに備える、条項10のIV点滴システム。
【0054】
条項12
スパイク上に配置され、複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に挿置された密封部材をさらに備え、連結構成において、密封部材が、出口ポートの内面と細長い本体の下部の外面との間に封止を形成する、条項10のIV点滴システム。
【0055】
条項13
密封部材が、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、条項12のIV点滴システム。
【0056】
条項14
ネジ山のそれぞれの外径が、出口ポートの内径よりも大きい、条項10のIV点滴システム。
【0057】
条項15
IV容器が、国際標準化機構(ISO)準拠でないIV容器を含む、条項10のIV点滴システム。
【0058】
条項16
静脈内(IV)点滴システム用スパイクを製造する方法であって、上部にスパイク先端を備え、下部に基部を備える細長い本体を設けることと、細長い本体の基部の外面から径方向外向きに突出する、複数のネジ山を形成することと、複数のネジ山のうちの1対の隣接するスレッド間に、密封部材を位置決めすることとを含む、方法。
【0059】
条項17
密封部材が、細長い本体の基部の外面から径方向外向きに、細長い本体の基部の外面から径方向外向きに突出する複数のネジ山よりも広い範囲まで突出する、条項16の方法。
【0060】
条項18
密封部材を位置決めすることが、密封部材を細長い本体の基部に固定的に連結することを含む、条項16の方法。
【0061】
条項19
密封部材を位置決めすることが、細長い本体の基部に、締まり嵌めによって密封部材を配置することを含む、条項16の方法。
【0062】
条項20
細長い本体の基部の外径が、上部の外径より大きく、複数のネジ山を形成することが、基部の材料の一部を取り除いてネジ山を形成することを含む、条項16の方法。
【0063】
本明細書で使用される「配管」、「流体ライン」という用語、及びそれらの任意の変形は、医療を受けている患者に、又は患者から液体、溶剤、又は流体(ガスを含む)を送達するために使用される、医療ライン又は管を指す。たとえば、流体ライン(配管)は、流体の静脈内(IV)送達、流体排出、酸素送達、それらの組合せなどに使用され得る。
【0064】
前述の説明は、いかなる当業者も、本明細書で説明されている様々な態様を実施できるようにするために提示されている。前述の内容は、最も適切なモード及び/又は他の実例であると考えられるものを説明してきたが、これらの態様に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義されている一般的な原則は、他の態様にも適用され得ることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示されている態様に限定されることを意図するものではなく、言語での特許請求の範囲と一貫する全範囲が与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「ただ1つだけ」を意味するのではなく、「1つ以上」を意味することを意図している。特に明記されていない限り、「1セット」及び「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性の代名詞(たとえば、彼の)には、女性及び中性(たとえば、彼女の、及びその)が含まれ、逆も同様である。見出し及び小見出しは、もしあれば、便宜上でしか使用されておらず、本発明を限定するものではない。
【0065】
開示されたプロセス内のステップの特定の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることを理解されたい。設計の好みに基づいて、プロセス内のステップの特定の順序又は階層が再配置され得ることを理解されたい。ステップの一部は、同時に実行され得る。添付の方法クレームは、例の順序での様々なステップの要素を提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図しない。
【0066】
この開示で使用される「上」、「底」、「前」、「後」などの用語は、通常の重力による座標系ではなく、任意の座標系を参照するものと理解されたい。したがって、上面、底面、前面、及び後面は、重力による座標系における上方へ、下方へ、斜めに、又は水平に広がることができる。
【0067】
「態様」などの句は、かかる態様が本技術に不可欠であること、又はかかる態様が本技術のすべての構成に適用されることを示唆するものではない。態様に関する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に適用され得る。態様などの句は、1つ又は複数の態様を指す場合があり、逆も同様である。「実施例」などの句は、かかる実施例が本技術に不可欠であること、又はかかる実施例が本技術のすべての構成に適用されることを示唆するものではない。実施例に関する開示は、すべての実施例、又は1つ又は複数の実施例に適用され得る。かかる実施例という句は、1つ又は複数の実施例を指す場合があり、逆も同様である。
【0068】
「例示的な」という単語は、本明細書では、「実例又は例示として機能する」ことを意味するように使用される。「例示的な」として本明細書で説明されているどの態様又は設計も、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0069】
当業者に知られている、又は後に当業者に知られるようになる、この開示全体にわたって説明されている様々な態様の要素に対する、すべての構造的及び機能的同等物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図している。さらに、本明細書で開示されているものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公共に捧げられることを意図しない。クレーム要素は、「~する手段」という句を使用して要素が明示的に列挙されていない限り、又は方法クレームの場合、「~するステップ」という句を使用して要素が列挙されていない限り、米国特許法第112条6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。さらに、説明又は特許請求の範囲で、「含む」、「備える」などの用語が使用されている限りにおいて、かかる用語は、「有する」という用語が、「有する」がクレームの中で転換語として使用されているときに解釈されるのと同様の形で、包括的であることを意図している。