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特許7618575N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびその塩の結晶形態および非晶質形態、ならびにその製造方法および治療的使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびその塩の結晶形態および非晶質形態、ならびにその製造方法および治療的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20250114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/00
A61K31/506
A61P43/00 111
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021556424
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020023828
(87)【国際公開番号】W WO2020191283
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】62/821,141
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511008001
【氏名又は名称】ベータ・ファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BETA PHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】グレコ,マイケル ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コスタンゾ,マイケル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ジロン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ドン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507883(JP,A)
【文献】国際公開第2018/045993(WO,A1)
【文献】特表2017-522390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/14
A61P 35/00
A61K 31/506
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよび塩酸(HCl)を1:1のモル比で含み、4.7°、9.2°、11.2°、19.5°および28.3°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末解回折パターンによって特徴付けられる結晶形態(形態A)である、結晶形態のN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの酸付加塩。
【請求項2】
(a)4.7°、8°、9.2°、11.2°、11.9°、13°、13.8°、14.4°、15.2°、16.1°、18.4°、18.9°、19.5°、20°、20.5°、21°、21.7°、22.5°、23.2°、23.9°、24.4°、24.8°、25.9°、27.6°、28.3°、29°、30.5°、31.5°、32.3°、33.4°、34.1°、および38.1°の回折角2θのピークを含むX線粉末回折パターン;または(b)44.8℃および277.9℃に特徴的なピークを含み、275.4℃の開始温度を有する融点を持つ、DSCプロファイル;のいずれかによって特徴付けられる、結晶形態(形態A)の、請求項1に記載の酸付加塩。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1つに記載の酸付加塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
組成物が、1 wt%-70 wt%の請求項1~2のいずれか1つに記載の酸付加塩を含む経口剤形である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
請求項1~2のいずれか1つに記載の酸付加塩を含む、CDK4および/またはCDK6活性に関連する疾患または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項6】
疾患または障害が、脳腫瘍、転移性脳腫瘍、扁平上皮がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝がん、多形性膠芽腫乳がん、頭部がん、頸部がん、食道がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、腎がん(renal cancer)、腎臓がん(kidney cancer)、卵巣がん、婦人科がん、甲状腺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、難治性卵巣がん、および頭頸部がんからなる群から選択される炎症またはがんである、請求項5に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法119条(e)の下に、2019年3月20日出願の米国仮出願第62/821,141号に対する優先権を主張し、上記出願の開示の全体は、参照することにより本出願に組み込まれる。
技術分野
本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶形態および非晶質形態およびその薬学的に許容される塩、ならびにさまざまながんなどのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)によって媒介される疾患または病状の治療または予防における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞分裂と増殖を調節するプロテインキナーゼのファミリーである。細胞周期の進行は、サイクリンならびにCDK1-CDK4およびCDK6などのそれに関連するサイクリン依存性キナーゼによって制御されるが、CDK7-CDK9などのその他のCDKは、転写にとって重要である。サイクリンに結合するCDKは、セリンおよびスレオニン残基の基質をリン酸化するヘテロ二量体複合体を形成し、これにより、細胞周期の転写と進行に必要なイベントが開始される(Malumbresら、Trends Biochem. Sci. 2005、30、630-641)。制御されていない細胞増殖はがんの特徴であり、ほとんどのがん細胞はCDKの脱制御を示すため、CDKの阻害が、さまざまながんの潜在的な治療法として浮上している。CDKに対する選択性の程度が異なる阻害剤が報告されているが、選択的CDK4/6阻害剤は、細胞増殖の調節におけるCDK4/6の重要な役割と他のCDKの阻害に関連する毒性効果により、現在、有望なクラスの潜在的ながん治療薬と見なされている。化合物1、すなわちN-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンは、さまざまな種類のがんや炎症関連状態など、特定のCDK、特にCDK4およびCDK6によって媒介される疾患、障害、または病状の治療または予防に役立つCDK4/6の強力な選択的阻害剤である。WO2016/014904 A1および米国特許第9,878,994号を参照されたい。これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、化合物1を実行可能な治療薬に発展させるために、望ましい化学的および物理的特性を示しうる適切な固体形態を同定する必要性が残っている。適切な製剤を開発するために、化合物1を製造および精製するための信頼性が高く再現性のある方法を開発することも不可欠であろう。しかしながら、溶解性、安定性、融点、生物学的利用能などを含むがこれらに限定されない、適切な物理的および生物学的特性を有する製剤を製造するための適切な塩および/または結晶形を見つけることは、完全には予測可能ではないことが多い。本発明は、そのような要求を満たすことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概略
本発明は、非晶質形態および結晶形態を含む、遊離塩基または塩形態の式1の化合物(化合物1)のさまざまな固体形態、およびそれらを製造する方法を提供する。本願は、化合物1およびそのさまざまな医薬塩形態および多形の特徴付けのための物理的形態データを開示する。
【0005】
1つの態様では、本発明は、遊離塩基としての化合物1の固体形態を提供する:
【化2】
【0006】
化合物1の遊離塩基は、1つまたは複数の結晶形態で存在し、それぞれ、結晶形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および形態Fとして指定される。
【0007】
他の態様では、本発明は、化合物1および酸を含む化合物1の薬学的に許容される塩を提供し、酸には、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。塩のいずれも、非晶質またはさまざまな結晶形態で存在しうる。
【0008】
1つの態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの塩酸塩を提供し、ここで、化合物1と塩酸塩は、約1:1のモル比である。
【0009】
もう1つの態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの硫酸塩を提供する。
【0010】
1つの実施態様では、硫酸塩は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよび硫酸を約1:1のモル比で含む。
【0011】
もう1つの実施態様では、硫酸塩は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよび硫酸を約2:1のモル比で含む。
【0012】
いくつかの実施態様では、硫酸塩は、約1:1または約2:1のモル比で、固体の非晶質形態で存在する。
【0013】
いくつかの実施態様では、硫酸塩は、約1:1または約2:1のモル比で、さまざまな結晶形態(多形)で存在する。
【0014】
もう1つの態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンのリン酸塩を提供する。
【0015】
1つの実施態様では、リン酸塩は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびリン酸を約1:1のモル比で含む。
【0016】
もう1つの態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの-トルエンスルホン酸(トシル酸)塩を提供する。
【0017】
1つの実施態様では、トシル酸塩は、-トルエンスルホン酸およびN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびリン酸を約1:1のモル比で含む。
【0018】
もう1つの態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンのメタンスルホン酸(メシル酸)塩を提供する。
【0019】
1つの実施態様では、メシル酸塩は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびメタンスルホン酸を約1:2のモル比で含む。
【0020】
もう1つの実施態様では、メシル酸塩は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンおよびメタンスルホン酸を約1:1のモル比で含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、メシル酸塩は、約1:1または約2:1のモル比で、固体の非晶質形態で存在する。
【0022】
いくつかの実施態様では、メシル酸塩は、約1:1または約2:1のモル比で、さまざまな結晶形態(多形)で存在する。
【0023】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1の固体非晶質形態およびその塩、特に、本明細書に開示されるHCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸塩を製造する方法を提供する。
【0024】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1の結晶形態およびその塩、特に、本明細書に開示されるHCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸塩を製造する方法を提供する
【0025】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1の非晶質形態またはその塩のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1の結晶形態またはその塩のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0027】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1の非晶質または結晶形態またはその塩を使用することにより、生物学的サンプルまたは対象においてサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を阻害する方法を提供する。
【0028】
もう1つの態様では、本発明は、CDK活性に関連する、対象における疾患または障害を治療または予防する方法を提供し、対象に、非晶質または結晶形態の化合物1および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0029】
もう1つの態様では、本発明は、CDK活性に関連する、対象における疾患または障害を治療または予防する方法を提供し、対象に、非晶質または結晶形態の化合物1の医薬的塩および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0030】
上記の態様または実施態様のいずれかでは、医薬的塩は、好ましくは、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される。
【0031】
いくつかの好ましい実施態様では、化合物1の薬学的に許容される塩の結晶形態には、該当する場合、式1の化合物またはその塩の結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、または結晶形態Eが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明に従って治療することができる、CDKに関連する疾患または障害には、脳腫瘍、転移性脳腫瘍、扁平上皮がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝がん、多形性膠芽腫乳がん、頭部がん、頸部がん、食道がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、腎がん(renal cancer)、腎臓がん(kidney cancer)、卵巣がん、婦人科がん、甲状腺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、難治性卵巣がん、または頭頸部がんが含まれるが、これらに限定されない。1つの実施態様では、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、CDK4またはCDK6である。
【0033】
本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲を考慮してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、化合物1の遊離塩基(形態A)原料のPLM画像を示す。
図2図2Aおよび2Bは、化合物1の遊離塩基(形態A)のX線粉末回折パターン(A);および(B)ピークプリントアウトを示す。
図3図3は、化合物1の遊離塩基多形(形態A)のDSCおよびTGAプロファイルを示す。
図4図4は、化合物1の遊離塩基多形(形態A~D)のX線粉末回折パターンを示す。
図5図5A、5B、5C、5D、5Fおよび5Gは、図4に示される式1の化合物の遊離塩基多形のX線粉末回折パターンに対応するピークリストを示す。パネルA~Bは化合物1の形態Cに対応し、パネルC~Gは化合物1の形態Bに対応する。
図6図6は、化合物1の遊離塩基(形態B)のDSCおよびTGAプロファイルを示す。
図7図7は、化合物1の遊離塩基(形態C)のDSCおよびTGAプロファイルを示す。
図8図8は、化合物1の遊離塩基(形態D)のDSCおよびTGAプロファイルを示す。
図9図9は、化合物1の遊離塩基(形態D)の動的水蒸気収着(DVS)を示す。
図10図10は、DVS前後の化合物1の遊離塩基(形態D)のX線粉末回折パターンを示す。
図11図11は、化合物1の50 mg塩スクリーン(遊離塩基:酸)のX線粉末回折パターン(ウェットサンプル)を示す。
図12図12は、化合物1の50 mgスケール塩スクリーン(遊離塩基:酸)のX線粉末回折パターン(ドライサンプル)を示す。
図13図13Aおよび13Bは、50 mgスケール化合物1・H2SO4(1:1;形態A)の(A)X線粉末回折パターン(ドライサンプル)および(B)ピークプリントアウトを示す。
図14図14は、化合物1(形態A)の50 mgスケール塩スクリーン(遊離塩基:酸)のX線粉末回折パターン(ドライサンプル)を示す。
図15図15A、15B、15C、および15Dは、図14に示す化合物1(ドライサンプル)の500 mgスケール塩スクリーン(遊離塩基:酸)のピークプリントアウトを示す:(A)H2SO4(2:1;形態A)塩、(B)H3PO4(1:1;形態A)塩、(C)HCl(1:1;形態A)塩、(D)p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)塩。
図16図16は、化合物1・HCl(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイル(ドライサンプル)を示す。
図17図17は、化合物1・HCl(1:1;形態A)のDVS等温線解析を示す。
図18図18A、18Bおよび18Cは、DVS前後の化合物1・HCl(1:1;形態A)のX線粉末回折パターンを示す。(B)DVS前のピークプリントアウト。(C)DVS後のピークプリントアウト。
図19図19は、DMSO-d6中の化合物1・HCl(1:1;形態A)の400 MHz 1H NMRを示す。
図20図20は、50 mgスケール塩スクリーンからの化合物1・H2SO4(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図21図21は、50 mgスケール塩からの化合物1・H2SO4(1:1;形態A)のDVS等温線解析を示す。
図22図22は、DVS等温線解析前後の50 mgスケールからの化合物1・H2SO4(1:1;形態A)のX線粉末回折パターンを示す。
図23図23は、化合物1・H3PO4(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図24図24は、化合物1・H3PO4(1:1;形態A)のDVS等温線解析を示す。
図25図25は、DVS前後の化合物1・H3PO4(1:1;形態A)のX線粉末回折パターンを示す。
図26図26は、化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図27図27は、化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)のDVS等温線解析を示す。
図28図28は、DVS前後の化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)のX線粉末回折パターンを示す。
図29図29は、DMSO-d6中の化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)の400 MHz 1H NMR特性決解析を示す。
図30図30は、化合物1・メタンスルホン酸(1:2;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを示す。
図31図31は、化合物1・メタンスルホン酸(1:2;形態A)のドライサンプルのX線粉末回折パターンを示す。
図32図32は、DMSO-d6中の化合物1・メタンスルホン酸(1:2;形態A)の400 MHz 1H NMRを示す。
図33図33は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の化合物1・HCl(1:1;形態A)のスラリーを撹拌することから誘導された多形スクリーンのウエットサンプルのX線粉末回折パターンを示す。
図34図34は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の形態Aのスラリーを撹拌することから誘導された化合物1・H2SO4(1:1)多形のウエットサンプルのX線粉末回折パターンを示す。
図35図35は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の形態Aのスラリーを撹拌することから誘導された化合物1・H2SO4(1:1)多形形態A、CおよびDのドライサンプルのX線粉末回折パターンを示す。形態Bは、40℃にて加熱後に形態Aに変換された。
図36図36は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の形態Aのスラリーを撹拌することから誘導された化合物1・H2SO4(1:1)の新規結晶多形形態B、C、EおよびFのドライサンプルのX線粉末回折パターンを示す。形態Dは、非晶質であり、数時間にわたるEtOH:H2O(3:1)の蒸発後に単離された。
図37図37は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の形態Aのスラリーを撹拌することから誘導された化合物1・p-トルエンスルホン酸についての多形スクリーニング研究からのウエットサンプルのX線粉末回折パターンを示す。形態Cは、大部分は非晶質であり、数時間にわたるEtOH:H2O(3:1)の蒸発後に単離された。
図38図38は、40℃にて1日間の100μlのさまざまな溶媒中の形態Aのスラリーを撹拌することから誘導された化合物1・p-トルエンスルホン酸についての多形スクリーニング研究からのドライサンプルのX線粉末回折パターンを示す。形態Cは、大部分は非晶質であり、数時間にわたるEtOH:H2O(3:1)の蒸発後に単離された。
図39図39は、化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態B)のDSCプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な記載
1つの態様では、本発明は、さまざまな固体状態での化合物1の遊離塩基を提供する:
【化3】
【0036】
化合物1遊離塩基は、1つまたは複数の結晶形態で存在し、それぞれ、結晶形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および形態Fとして指定される。
【0037】
1つの実施態様では、本発明は、約5.9°、11.9°、および25.6°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す化合物1遊離塩基の結晶形態(形態A)を提供する。
【0038】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、面間距離を単位として表される、14.9A、7.5A、および3.5Aに、特徴的なピークを含む。
【0039】
1つの実施態様では、結晶形態Aでの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、約5.6°、5.9°、11.9°、16.5°、25.6°および26.2°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含む。
【0040】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、面間距離を単位として表される、15.7A、14.9A、7.5A、5.4A、3.5Aおよび3.4Aに、特徴的なピークを含む。
【0041】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、実質的に図2Aのように示される。
【0042】
図2Aに記載のX線回折パターンを図2Bにまとめる。
【0043】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基は、図3に示されるTGAプロファイルを有する。
【0044】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基は、図3に示されるDSCプロファイルを有する。
【0045】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基は、100.3℃、124.3℃および166.3℃に特徴的なピークを有するDSCプロファイルを有する。
【0046】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1遊離塩基は、約162.3℃の開始温度を有する融点を持つ。
【0047】
もう1つの実施態様では、本発明は、約4.7°、11.2°、14.1°、15.3°および21.2°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す化合物1遊離塩基の結晶形態(形態B)を提供する。
【0048】
1つの実施態様では、結晶形態Bの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、面間距離を単位として表される、18.7A、7.9A、6.3A、5.8Aおよび4.2Aに、特徴的なピークを含む。
【0049】
1つの実施態様では、結晶形態Bの化合物1遊離塩基は、実質的に図6に示されるTGAプロファイルを有する。
【0050】
1つの実施態様では、結晶形態Bの化合物1遊離塩基は、実質的に図6に示されるDSCプロファイルを有する。
【0051】
1つの実施態様では、結晶形態Bの化合物1遊離塩基は、61.5℃、118.8℃および166.8℃に特徴的なピークを有するDSCプロファイルを有する。
【0052】
1つの実施態様では、結晶形態Bの化合物1遊離塩基は、約165.4℃の開始温度を有する融点を有する。
【0053】
もう1つの実施態様では、本発明は、表1に示されるように、エタノール、イソプロパノールまたはエタノール:水(3:1)の混合溶媒中で、約50℃で約24時間、結晶形態Aの化合物1遊離塩基をスラリー化するステップ;および得られた結晶形態Bを単離するステップを含む、化合物1遊離塩基の結晶形態Bの製造方法を提供する。
【0054】
もう1つの実施態様では、本発明は、約5.7°、6.4°、9.2°、12.8°、15.7°および20.7°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す化合物1遊離塩基の結晶多形(形態C)を提供する。
【0055】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、面間距離を単位として表される、15.5A、13.8A、9.6A、6.9A、5.6Aおよび4.3Aに、特徴的なピークを含む。
【0056】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、約6.4°、12.8°および20.7°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含む。
【0057】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基のX線粉末回折パターンは、面間距離を単位として表される、113.8A、6.9Aおよび5.6Aに、特徴的なピークを含む。
【0058】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基は、実質的に図7に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0059】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基は、実質的に図7に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0060】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基は、162.8℃に特徴的なピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0061】
1つの実施態様では、結晶形態Cの化合物1遊離塩基は、約160.9℃の開始温度を有する融点を有する。
【0062】
もう1つの実施態様では、本発明は、表1に示されるように、アセトン中で、約50℃で約24時間、結晶形態Aの化合物1遊離塩基をスラリー化するステップ;および得られた結晶形態を単離するステップを含む、結晶形態Cの化合物1遊離塩基の製造方法を提供する。
【0063】
もう1つの実施態様では、本発明は、約4.8°、8.3°、10.5°、11.5°、14.0°、18.2°、20.0°、23.5°、および28.5°の回折角2θに特徴的なピークを含む回折パターンを含む、実質的に図10に示すX線粉末回折パターンによって特徴付けられる化合物1遊離塩基の結晶多形(形態D)を提供する。
【0064】
1つの実施態様では、結晶形態Dの化合物1遊離塩基は、実質的に図8に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0065】
1つの実施態様では、結晶形態Dの化合物1遊離塩基は、実質的に図8に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0066】
1つの実施態様では、結晶形態Dの化合物1遊離塩基は、55.9℃、118.8℃および168.4℃に特徴的なピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0067】
1つの実施態様では、結晶形態Dの化合物1遊離塩基は、図9に示される動的水蒸気収着等温線解析を特徴とする。
【0068】
1つの態様では、本発明は、播種の有無にかかわりなく、スラリー化、溶媒の蒸発、貧溶媒の添加、および/または冷却、ならびにそれらの組み合わせから選択される結晶化法による、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族炭化水素、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、および水からなる群から選択される1つまたは2つの結晶化溶媒に化合物1を溶解またはスラリー化することを含む、化合物1遊離塩基の結晶形態の製造方法を提供する。
【0069】
いくつかの実施態様では、水などの貧溶媒の、制御されているか、またはゆっくりとした添加および/または漸進的な冷却は、結晶形態の形成を制御するのに役立つ可能性がある。
【0070】
いくつかの実施態様では、播種は、特定の所望の結晶形態の形成を助けるか、または形成を促進しうる。当業者に知られているこれらすべてまたはその他の技術を組み合わせて、所望の結果を得ることができる。たとえば、いくつかの実施態様では、そのような結晶化プロセスは、化合物1を有機溶媒に溶解することから開始し、続いて播種の有無にかかわりなく、貧溶媒を添加し、冷却することができる。
【0071】
もう1つの実施態様では、本発明は、表1に示されるように、メタノール中で、室温で約24時間、結晶形態Aの化合物1遊離塩基をスラリー化するステップ;および得られた結晶形態を単離するステップを含む、結晶形態Dの化合物1遊離塩基の結晶形態の製造方法を提供する。
【0072】
本発明はさらに、化合物1の結晶形態塩を提供する。
【0073】
本発明は、式1の化合物および酸を含む化合物1の塩を提供し、ここで、酸は、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸から選択される。
【0074】
1つの態様では、本発明はまた、播種の有無にかかわりなく、スラリー化、溶媒の蒸発、貧溶媒の添加、および/または冷却、ならびにそれらの組み合わせから選択される結晶化法による、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族炭化水素、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、および水からなる群から選択される1つまたは2つの結晶化溶媒中で、化合物1と適切な酸、たとえば、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸とを混合し、混合物を攪拌することを含む、化合物1の薬学的に許容される塩の結晶形態の製造方法を提供する。
【0075】
いくつかの実施態様では、播種は、特定の所望の結晶形態の形成を助けるか、または形成を促進しうる。たとえば、いくつかの実施態様では、そのような結晶化プロセスは、化合物1を有機溶媒に昇温下で溶解することから開始し、続いて播種の有無にかかわりなく、貧溶媒を添加し、冷却することができる。
【0076】
いくつかの実施態様では、播種は、特定の所望の結晶形の形成を助けるか、または形成を促進しうる。水溶性塩の場合、脂肪族炭化水素などの一部の非極性有機溶媒が貧溶媒として機能する場合がある。当業者に知られているこれらすべてまたは他の技術を組み合わせて、所望の結果を得ることができる。
【0077】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶性塩酸塩を提供する。
【0078】
1つの実施態様では、結晶性塩酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対塩酸塩の比は、1:1である。
【0079】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の塩酸塩は、約4.7°、9.2°、11.2°、19.4°および28.3°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0080】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の塩酸塩のX線粉末回折パターンは、実質的に図18に示される。
【0081】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性塩酸塩は、実質的に図16に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0082】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性塩酸塩は、実質的に図16に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0083】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性塩酸塩は、44.8℃および277.9℃に特徴的なピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0084】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性塩酸塩は、約275.4℃の開始温度を有する融点を特徴とする。
【0085】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性塩酸塩は、実質的に図17に示される動的水蒸気収着等温線解析を有する。
特徴とする。
【0086】
もう1つの実施態様では、本発明は、化合物1の結晶性塩酸塩(形態A)の製造方法であって、以下:
(a)HCl/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の結晶性HCl塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0087】
いくつかの実施態様では、化合物1の酸付加塩は、実質的に図35または36に示されるように、形態B、形態C、または形態Dからなる群から選択される結晶形態で、化合物1およびH2SO4が約1:1のモル比である硫酸塩であり、ここで、形態Bは、約4.2°、4.8°、7.0°、9.1°、10.8°、11.3°、12.0°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;ここで、形態Cは、約5.0°、8.6°、10.2°、18.3°、および25.7°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;および、ここで、形態Dは、約8.1°、9.8°、12.6°、15.8°、16.6°、21.4°、および23.2°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0088】
もう1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶性硫酸塩を提供する。
【0089】
1つの実施態様では、結晶性硫酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対硫酸塩の比は、1:1である。
【0090】
1つの実施態様では、結晶性硫酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対硫酸塩の比は、2:1である。
【0091】
いくつかの実施態様では、化合物1の酸付加塩は、実質的に図36に示されるように、形態A、形態B、形態C、形態E、および形態Fからなる群から選択される結晶形態で、化合物1およびH2SO4が約2:1のモル比である硫酸塩であり、ここで、形態Aは、約4.3°、5.4°および8.4°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;形態Bは、約7.9°、11.6°、12.1°、14.5°、16.1°、20.4°、23.1°、26.1°、および27.4°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;形態Cは、約4.6°、7.5°、9.3°、12.3°、および12.6°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;および、ここで、形態Eは、約4.5°、5.4°、10.8°、14.2°、16.1°、18.9°、22.6°、23.0°、23.7°、および27.5°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;形態Fは、約4.5°、7.2°、10.7°、15.7°、16.0°、17.2°、18.2°、19.5°、22.8°、および26.0°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とし;ここで、形態Fは、約7.3°、8.3°、9.7°、10.4°、12.8°、および25.6°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0092】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性硫酸塩は、約4.3°、5.4°および8.4°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とし、および/または実質的に図22に示されるX線粉末回折パターンを特徴とする(最下行、DVS前)。
【0093】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1の結晶性硫酸塩は、実質的に図20に示されるDSCおよび/またはTGAプロファイルを特徴とする。
【0094】
もう1つの実施態様では、本発明は、化合物1の結晶性硫酸塩(形態A)の製造方法であって、以下:
(a)H2SO4/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の結晶性H2SO4塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0095】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶性リン酸塩を提供する。
【0096】
1つの実施態様では、結晶性リン酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対硫酸塩の比は、約1:1である。
【0097】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、約4.7°、9.4°、14.2°、23.0°および26.7°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0098】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1のリン酸塩のX線粉末回折パターンは、実質的に図25に示される。
【0099】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、実質的に図23に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0100】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、229.1℃の開始温度を有する融点を特徴とする。
【0101】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、実質的に図23に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0102】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、約47.8℃および234.7℃にピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0103】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性リン酸塩は、実質的に図24に示される動的水蒸気収着等温線解析を特徴とする。
【0104】
もう1つの実施態様では、本発明は、化合物1の結晶性リン酸塩(形態A)の製造方法であって、以下:
(a)H3PO4/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の結晶性H3PO4塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0105】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶性トシル酸塩を提供する。
【0106】
1つの実施態様では、結晶性トシル酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対トシル酸塩の比は、約1:1である。
【0107】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、約7.4°、9.8°、14.7°、18.4°、19.5°、および28.0°、それぞれ±0.2°の回折角2θに特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0108】
1つの実施態様では、結晶形態Aの化合物1のトシル酸塩のX線粉末回折パターンは、実質的に図28に示される。
【0109】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、実質的に図26に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0110】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、実質的に図26に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0111】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、約230.9℃にピークを有するDSCプロファイルを特徴とする
【0112】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、約229.5℃の開始温度を有する融点を特徴とする。
【0113】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態A)の結晶性トシル酸塩は、実質的に図27に示される動的水蒸気収着等温線解析を特徴とする。
【0114】
もう1つの実施態様では、本発明は、実質的に図39に示されるDSCプロファイルを特徴とする化合物1(結晶形態B)の結晶性トシル酸塩を提供する。
【0115】
1つの実施態様では、化合物1(結晶形態B)の結晶性トシル酸塩は、約7.8°、10.0°、15.7°、16.9°、19.7°、および20.6°の回折角2θに特徴的なピークの任意の3つを含むX線粉末回折パターン;および82.2℃および229.0℃にピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0116】
本発明はまた、化合物1の結晶性 p-トルエンスルホン酸塩(形態A)の製造方法であって、以下:
(a)p-トルエンスルホン酸/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の結晶性p-トルエンスルホン酸塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0117】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンの結晶性メタンスルホン酸塩を提供する。
【0118】
1つの実施態様では、結晶性メタンスルホン酸塩におけるN-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対メタンスルホン酸塩の比は、約1:2である。
【0119】
1つの実施態様では、結晶形態Aにおいて約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメシル酸塩のX線粉末回折パターンは、実質的に図31に示される。
【0120】
1つの実施態様では、結晶形態Aにおいて約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメタンスルホン酸塩は、実質的に図30に示されるTGAプロファイルを特徴とする。
【0121】
1つの実施態様では、結晶形態Aにおいて約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメタンスルホン酸塩は、実質的に図30に示されるDSCプロファイルを特徴とする。
【0122】
1つの実施態様では、結晶形態Aにおいて約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメタンスルホン酸塩は、約225.0℃にピークを有するDSCプロファイルを特徴とする。
【0123】
1つの実施態様では、結晶形態Aにおいて約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメタンスルホン酸塩は、約223.4℃の開始温度を有する融点を特徴とする。
【0124】
もう1つの実施態様では、本発明は、約1:2のモル比で化合物1とメシル酸塩を含む化合物1のメタンスルホン酸塩(形態A)の製造方法であって、以下:
(a)メタンスルホン酸/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の結晶性メタンスルホン酸塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0125】
もう1つの態様では、本発明は、化合物1およびその塩、特に、本明細書に開示されるHCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸塩の固体非晶質形態の製造方法を提供する。
【0126】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン硫酸塩の固体非晶質形態を提供する。
【0127】
1つの実施態様では、固体非晶質形態における、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対硫酸塩のモル比は、1:1である。
【0128】
1つの実施態様では、固体非晶質形態における、N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対硫酸塩のモル比は、2:1である。
【0129】
1つの実施態様では、本発明は、化合物1の非晶質硫酸塩の製造方法であって、以下:
(a)H2SO4/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態Aを使用するが、これに限定されない)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の非晶質H2SO4塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0130】
1つの実施態様では、本発明は、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミンメタンスルホン酸塩の固体非晶質形態を提供する。
【0131】
1つの実施態様では、固体非晶質形態における、N-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン対メタンスルホン酸塩のモル比は、1:1である
【0132】
もう1つの実施態様では、本発明は、化合物1の非晶質メタンスルホン酸塩の製造方法であって、以下:
(a)メタンスルホン酸/メタノールの溶液を、メタノール中の式1の化合物(形態A)の混合物に加えること;
(b)ほぼ室温で約24時間撹拌すること;および
(c)得られた化合物1の非晶質メタンスルホン酸塩を単離すること;
を含む方法を提供する。
【0133】
本発明のすべての結晶多形は、実質的に純粋である。
【0134】
本明細書で使用される「実質的に純粋な」という用語は、少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の式1の化合物またはその塩が、本発明の結晶形態、特に形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および形態Fの結晶形態で存在することを意味する。
【0135】
上記の結晶形態のX線粉末回折(XRPD)パターンに記載される主なピークは、再現性があり、誤差限界内(2θまたは2シータ値の場合は指定値±0.2°)であり、たとえば、「約」または「およそ(approximately)」という用語が修飾語として使用されているかどうかにかかわらず、11.5の2θ値は、ピークが11.3°から11.7°の範囲内の値を有することを示す。
【0136】
本発明において、「図2Aに示されるX線粉末回折パターン」は、図2Aに示されるような主要なピークを示すX線粉末回折パターンを意味し、ここで、主要なピークは、図1の最高ピーク(相対強度が100%であると指定されている)と比較して、相対強度が10%を超える、好ましくは30%を超えるピークを意味する。同様に、本発明において、図10、11、12、13、14、18、22、25、28、31、33、34、35、36、37または38に示されるX線粉末回折パターンは、図10、11、12、13、14、18、22、25、28、31、33、34、35、36、37または38のような主要なピークを示すX線粉末回折パターンを意味し、ここで、主要なピークとは、それぞれ、図10、11、12、13、14、18、22、25、28、31、33、34、35、36、37または38における最高ピーク(相対強度を100%に指定)と比較して、相対強度が10%を超える、好ましくは30%を超えるピークを意味する。
【0137】
本発明はまた、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、結晶形態E、および結晶形態Fの製造方法を提供する。少なくとも1つの溶媒を含む適切な溶媒系からの本発明の化合物の結晶化は、溶媒系の過飽和を達成するために、自発的沈殿(蒸発)、冷却、および/または貧溶媒(本発明の化合物が比較的より低い溶解度)の添加によって達成されうる。
【0138】
本発明はまた、化合物1の塩形態の製造方法であって、塩が、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸塩でありうる方法を提供する。
【0139】
結晶化はまた、本発明の化合物を結晶化するのに適した結晶種を使用するか、または使用しないことによって達成することができる。
【0140】
本発明はまた、以下の式:
【化4】
[式中、Xは、ハロゲン、好ましくは、BrまたはClである]
で示される化合物の製造方法を提供する。
【0141】
1つの実施態様では、化合物1の結晶形態Aの製造方法は、(a)触媒の存在下で式IIの化合物を式3の化合物と反応させて、化合物1を含む反応混合物を得る;(b)反応混合物を処理し、化合物1の粗生成物を単離する;(c)化合物1の粗生成物をHCl水溶液に溶解し、水溶液をエステルで洗浄する;および(d)水溶液を塩基で7以上に塩基性化して、化合物1の遊離塩基を沈殿させ、形態Aの化合物1遊離塩基の生成物を単離する;ステップを含む。
【0142】
化合物1を製造するための一般的な方法については、WO 2016/014904 A1を参照されたい。この文献は、出版物全体が本明細書に記載されているかのように、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。結晶形態Aでの化合物1の製造方法の特定の実施態様は、実施例1に記載されている。
【0143】
1つの実施態様では、化合物1の結晶形態Bの製造方法は、(a)エタノール、イソプロパノール、またはエタノール:水(3:1 v/v)の混合溶媒中で、高温で一定期間、式1の遊離塩基の化合物をスラリー化する;(b)ステップ(a)のスラリーを室温まで冷却する;および(c)得られた結晶形態Bをろ過により単離する;および(d)必要に応じて、ステップ(c)で単離された結晶形態Bを乾燥させる;ステップを含む。1つの実施態様では、ステップ(a)における式1の化合物の遊離塩基は、結晶形態Aである。1つの実施態様では、高温は、約50℃であり;1つの実施態様では、スラリー化の時間は約24時間である。
【0144】
1つの実施態様では、化合物1の結晶形態Cの製造方法は、(a)アセトン中で、高温で一定期間、式1の遊離塩基の化合物をスラリー化する;(b)ステップ(a)のスラリーを室温まで冷却する;および(c)得られた結晶形態Cをろ過により単離する;および(d)必要に応じて、ステップ(c)で単離された結晶形態Cを乾燥させる;ステップを含む。1つの実施態様では、ステップ(a)における式1の化合物の遊離塩基は、結晶形態Aである。1つの実施態様では、高温は、約50℃であり;1つの実施態様では、スラリー化の時間は約24時間である。
【0145】
1つの実施態様では、化合物1の結晶形態Dの製造方法は、(a)アセトン中で、室温で一定期間、式1の遊離塩基の化合物をスラリー化する;(b)得られた結晶形態Dをろ過により単離する;および(c)必要に応じて、ステップ(c)で単離された結晶形態Dを乾燥させる;ステップを含む。1つの実施態様では、ステップ(a)における式1の化合物の遊離塩基は、結晶形態Aである。1つの実施態様では、スラリー化の時間は約24時間である。
【0146】
1つの実施態様では、化合物1の結晶性塩酸塩を形態Aで製造する方法は、(a)メタノール中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とHClの混合物を室温で撹拌して、形態Aの結晶性塩酸塩を含むスラリーを得る;および(b)得られた式1の化合物の形態Aの結晶性HCl塩を単離する;ステップを含む。
【0147】
1つの実施態様では、化合物1の結晶性硫酸塩を形態Aで製造する方法は、(a)メタノール中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)と硫酸(H2SO4)の混合物を室温で撹拌して、形態Aの結晶性硫酸塩を含むスラリーを得る;(b)得られた式1の化合物の形態Aの結晶性H2SO4塩を単離する;および(c)必要に応じて、単離されたH2SO4塩の結晶形態Aを乾燥させる;ステップを含む。
【0148】
1つの実施態様では、化合物1の結晶性リン酸塩を形態Aで製造する方法は、(a)メタノール中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とリン酸(H3PO4)の混合物を室温で撹拌して、形態Aの結晶性リン酸塩を含むスラリーを得る;(b)得られた式1の化合物の結晶性H3PO4塩(形態A)を単離する;および(c)必要に応じて、単離されたH3PO4塩の結晶形態Aを乾燥させる;ステップを含む。
【0149】
1つの実施態様では、化合物1の結晶性p-トルエンスルホン酸塩を形態Aで製造する方法は、(a)メタノール中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とp-トルエンスルホン酸の混合物を室温で撹拌して、形態Aの結晶性p-トルエンスルホン酸塩を含むスラリーを得る;(b)得られた式1の化合物の結晶性p-トルエンスルホン酸塩(形態A)を単離する;および(c)必要に応じて、単離されたp-トルエンスルホン塩の結晶形態Aを乾燥させる;ステップを含む。
【0150】
1つの実施態様では、化合物1の結晶性メタンスルホン酸塩を形態Aで製造する方法は、(a)メタノール中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とメタンスルホン酸の混合物を室温で撹拌して、形態Aの結晶性メタンスルホン酸塩を含むスラリーを得る;(b)得られた式1の化合物の結晶性メタンスルホン酸塩(形態A)を単離する;および(c)必要に応じて、単離されたメタンスルホン塩の結晶形態Aを乾燥させる;ステップを含む。
【0151】
1つの実施態様では、化合物1の非晶質硫酸塩の製造方法は、(a)有機溶媒(たとえば、メタノール)中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とH2SO4酸の約2:1のモル比の混合物を高音または室温で撹拌する;および(b)蒸発または遠心分離乾固によって溶媒(たとえば、メタノール)を除去して、約2:1のモル比の式1の化合物の非晶質H2SO4酸塩を得る;ステップを含む。
【0152】
1つの実施態様では、化合物1の非晶質硫酸塩の製造方法は、(a)有機溶媒(たとえば、メタノール)中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とH2SO4酸の約1:1のモル比の混合物を高音または室温で撹拌する;および(b)蒸発または遠心分離によって溶媒(たとえば、メタノール)を除去して、約1:1のモル比の式1の化合物の非晶質H2SO4酸塩を得る;ステップを含む。
【0153】
1つの実施態様では、化合物1の非晶質リン酸塩の製造方法は、(a)有機溶媒(たとえば、メタノール)中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とH3PO4酸の約1:1のモル比の混合物を高音または室温で撹拌する;および(b)蒸発または遠心分離によって溶媒(たとえば、メタノール)を除去して、約1:1のモル比の式1の化合物の非晶質H3PO4酸塩を得る;ステップを含む。
【0154】
1つの実施態様では、化合物1の非晶質メタンスルホン酸塩の製造方法は、(a)有機溶媒(たとえば、メタノール)中の式1の遊離塩基の化合物(形態A)とメタンスルホン酸の約1:1のモル比の混合物を高音または室温で撹拌する;および(b)蒸発または遠心分離乾固によって溶媒(たとえば、メタノール)を除去して、約1:1のモル比の式1の化合物の非晶質メタンスルホン酸塩を得る;ステップを含む。
【0155】
本発明はまた、治療有効量の1つまたは複数の、式1の化合物の結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、または結晶形態Eの結晶多形、および薬学的に許容される賦形剤、アジュバントまたは担体を含む医薬組成物を提供する。
【0156】
本発明はまた、治療有効量の1つまたは複数の、式1の化合物の塩、および薬学的に許容される賦形剤、アジュバントまたは担体を含む医薬組成物を提供する。1つの実施態様では、医薬組成物は、経口投与で使用される。好ましい実施態様では、組成物は、錠剤またはカプセル剤で使用される。ここで、医薬組成物は、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、または結晶形態Eの式1の化合物の1 wt%-99 wt%の結晶多形、またはより好ましくは、1 wt%-70 wt%の結晶多形、またはより好ましくは、1 wt%-30 wt%の式1の化合物を含む。
【0157】
さらに、本発明は、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、または結晶形態Eの式1の化合物の結晶多形を対象に投与することによって、対象のサイクリン依存性キナーゼを阻害する方法を提供する。サイクリン依存性キナーゼが、CDK4またはCDK6であるのが好ましい。
【0158】
もう1つの実施態様では、方法は、結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、結晶形態D、または結晶形態Eの式1の化合物の結晶多形を対象に投与することによって、対象のがんまたは炎症関連状態を治療または予防する方法を提供する。
【0159】
さらに、本発明は、式1の化合物の塩を対象に投与することによって、対象のサイクリン依存性キナーゼを阻害する方法を提供し、ここで、塩は、HCl、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸塩から選択される。
【0160】
1つの実施態様では、方法は、CDK4またはCDK6関連炎症またはがんを治療する方法を提供し、ここで、がんは、脳腫瘍、転移性脳腫瘍、扁平上皮がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝がん、多形性膠芽腫乳がん、頭部がん、頸部がん、食道がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、腎がん、腎臓がん、卵巣がん、婦人科がん、甲状腺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、難治性卵巣がん、または頭頸部がんからなる群から選択される。特定の実施態様では、がんは、膠芽腫または転移性脳腫瘍である。
【0161】
もう1つの態様では、本発明は、CDK4またはCDK6関連炎症またはがんの治療のための薬剤の製造における、式1の化合物の結晶または非晶質形態のいずれかの使用を提供し、ここで、がんは、脳腫瘍、転移性脳腫瘍、扁平上皮がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝がん、多形性膠芽腫乳がん、頭部がん、頸部がん、食道がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、腎がん、腎臓がん、卵巣がん、婦人科がん、甲状腺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、難治性卵巣がん、または頭頸部がんからなる群から選択される。特定の実施態様では、がんは、膠芽腫または転移性脳腫瘍である。
【0162】
本発明の用語は、具体的に定義されていない場合、当業者によって理解されるであろうそれらの通常の意味をとる。
【0163】
たとえば、「アルコール」、「アルコール溶媒」などの用語は、C1-C6アルキルアルコール、好ましくはC1-C4アルキルアルコール、たとえば、いくつかの実施態様では、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを意味する。
【0164】
「ケトン」、「アルキルケトン」などの用語は、式RCOR’を有するC3-C7アルカノンを意味し、ここで、RおよびR’はそれぞれ独立して、C1-C4アルキルであり、たとえば、いくつかの実施態様では、アセトン、ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などである。
【0165】
「エステル」などの用語は、式RCOOR’を有する低級アルキル脂肪酸エステルを意味し、ここで、RおよびR’はそれぞれ独立して、C1-C4アルキルであり、たとえば、いくつかの実施態様では、好ましくは、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルなどである。
【0166】
「エーテル」などの用語は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサンなどを含むがこれらに限定されない、低級アルキルエーテルまたは環状エーテル(各アルキルは1~4個の炭素原子を有する)を意味する。
【0167】
「芳香族炭化水素」などの用語は、1~3個のメチル基またはエチル基で任意に置換されたベンゼンを意味し、たとえば、いくつかの実施態様では、好ましくは、トルエン、1,2-キシレン、1,4-キシレン、1,3-キシレン、クメン、エチルベンゼンなどである。
【0168】
「ハロゲン化炭化水素」などの用語は、1~6個、好ましくは1~4個のFおよび/またはCl原子で置換されたC1~C6アルカンを意味し、たとえば、いくつかの実施態様では、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,1-トリフルオロエタンなどである。「ニトリル」、「ニトリル溶媒」などの用語は、C2-C4アルキルニトリル、すなわち、CH3CN、CH3CH2CN、CH3CH2CH2CN、またはCH3CH(CN)CH3、好ましくは、CH3CNである。
【0169】
本明細書で使用される「室温」という用語は、特に断りのない限り、約20~約25℃の範囲の温度を意味し、平均は約23℃である。
【0170】
化合物遊離塩基またはその塩の結晶形態または非晶質形態のいずれか、特に前者は、溶媒和形態で存在することができ、これは、さまざまな従来の分析方法を通じて当業者によって容易に決定されうる。そのような固体形態の溶媒和物は、本発明に含まれる。
【0171】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と化学量論的または非化学量論的量の溶媒分子との物理的会合を意味する。たとえば、化合物の1つの分子は、1つまたは複数、好ましくは1~3個の溶媒分子と会合する。化合物の複数(たとえば、1.5または2個)の分子が1つの溶媒分子を共有することも可能である。この物理的結合には、水素結合が含まれる場合がある。特定の例において、溶媒和物は、結晶性固体として単離することができるであろう。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置および/または無秩序な配置で存在しうる。例示的な溶媒和物には、水和物、エタノレート、メタノレート、およびイソプロパノレートが含まれるが、これらに限定されない。溶媒和の方法は、当技術分野で一般的に知られている。
【0172】
「治療」または「治療すること」という用語は、疾患、状態または障害と闘うことを目的とした患者の管理およびケアを意味する。
【0173】
「治療有効量」という用語は、研究者または臨床医によって求められている組織、系統、または動物(ヒトを含む)の所望の生物学的および/または医学的応答を誘発する薬物または治療薬の量を意味する。
【0174】
「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物を意味する。
【0175】
「哺乳類」または「哺乳動物」という用語には、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギおよびマウスが含まれるが、これらに限定されない。好ましい哺乳類は、ヒトである。
【0176】
「投与する」という用語は、治療を必要とする対象に、本発明の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、または組成物を適用することを意味する。本発明の治療方法を実施するための本発明の組成物の投与は、そのような治療または予防を必要とする対象に、治療有効量の組成物中の化合物を投与することによって実施される。本発明の方法による予防的投与の必要性は、周知の危険因子を使用することによって決定される。個々の化合物の有効量は、最終的な分析において、症例を担当する医師によって決定されるが、治療される正確な疾患、疾患の重症度、および患者が苦しんでいる他の疾患または状態などの要因、選択された投与経路、患者が付随して必要とする可能性のある他の薬物および治療、および医師の判断における他の要因によって異なる。
【0177】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、哺乳動物、特にヒトの組織と、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応およびその他の問題の合併症なしで、接触するのに適している化合物、材料、組成物および/または剤形を意味する。
【0178】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、疾患、または疾患または障害の臨床症状の少なくとも1つを治療するために対象に投与された場合に、病気、障害、または症状のためのそのような治療に影響を与えるのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患、障害、および/または疾患もしくは障害の症状、疾患や障害の重症度、および/または疾患または障害の症状、治療される対象の年齢、および/または治療される対象の体重によって異なりうる。任意の所与の場合における適切な量は、当業者には明らかであるか、または日常的な実験によって決定することができる。併用療法の場合、「治療有効量」とは、疾患、障害または状態の効果的な治療のための併用対象の総量を意味する。
【0179】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、治療を必要とする対象に経口、吸入、直腸、非経口または局所投与を介して投与することができる。経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、粉末、顆粒、カプセルなどの通常の固体製剤、水または油懸濁液などの液体製剤、またはシロップ、溶液、懸濁液などの他の液体製剤でありうる;非経口投与の場合、医薬組成物は、溶液、水溶液、油性懸濁液濃縮物、凍結乾燥粉末などでありうる。1つの実施態様では、医薬組成物の製剤は、錠剤、コーティングされた錠剤、カプセル、坐剤、点鼻薬または注射剤、より好ましくは錠剤またはカプセルから選択される。医薬組成物は、正確な投与量での単回投与でありうる。さらに、医薬組成物は、追加の有効成分をさらに含みうる。
【0180】
本発明の医薬組成物のすべての製剤は、製薬分野における従来の方法によって製造することができる。たとえば、有効成分を1つまたは複数の賦形剤と混合し、次に、所望の製剤にすることができる。「薬学的に許容される担体」は、所望の製剤に適した従来の医薬担体、たとえば、希釈剤、水などのビヒクル、さまざまな有機溶媒など、デンプン、スクロースなどの充填剤;セルロース誘導体、アルギネート、ゼラチンおよびポリビニルピロリドン(PVP)などの結合剤;グリセロールなどの湿潤剤;寒天、炭酸カルシウムおよび重炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;ヘキサデカノールなどの界面活性剤;カオリンおよび石鹸粘土などの吸収担体;タルク、カルシウム、ステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤を意味する。さらに、医薬組成物は、分散剤、安定剤、増粘剤、錯化剤、緩衝剤、浸透促進剤、ポリマー、芳香族化合物、甘味料、および染料などの他の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。1つの実施態様では、賦形剤は、所望の製剤および投与タイプに適している。「疾患」または「障害」または「状態」という用語は、あらゆる疾患、不快感、病気、症状または徴候を意味する。
【0181】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含むことを留意すべきである。一般に、名詞の単数形または複数形のいずれかが使用される場合、それは名詞の単数形と複数形の両方を意味する。
【0182】
「約」または「おおよそ」という用語は、特に定義されていない限り、一般に、表示された数の最大でプラスマイナス10%を含む。たとえば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示すことができ、「約20」は、18~22を意味することができる。好ましくは、「約」は、表示された値のプラスマイナス6%までの値を含む。あるいは、「約」には、表示された値の最大プラスマイナス5%の値が含まれる。「約」の他の意味は、四捨五入などの文脈から明らかになる可能性があるため、たとえば、「約1」は、0.5~1.4を意味する場合もある。
【0183】
ただし、DSCサーモグラムで測定される結晶形の融解または開始温度の場合、当業者によって理解されるように、「約」という用語は、融解または開始温度の絶対値に関係なく、通常、融解または開始温度が±2℃以内で変動する可能性があることを示す。当業者によって理解されるように、パラメータが重要でない場合、番号は、限定的ではなく、説明の目的でのみ与えられることが多い。
【0184】
「含む(including)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、または「有する(having)」という用語およびそれらの変形は、特に断りのない限り、その後に記載される項目およびその同等物、ならびに追加の主題を包含することを意味する。以下の非限定的な例は、本発明の特定の態様をさらに説明する。
【0185】
実施例
本発明は、本発明を説明する以下の実施例によってさらに例示されるが、これらに限定されない。本発明の実施例では、技術または方法は、特に明記しない限り、当技術分野における従来の技術または方法である。
【実施例1】
【0186】
化合物1(形態A)の合成
化合物1
N-(5-((4-エチルピペラジン-イル)メチル)ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(1)
【化5】
【0187】
184 Lの1,4-ジオキサン中の5-(2-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)-2-メチル-3-(プロパン-2-イル)-2H-インダゾール(2)、(20.7 mol、1.0当量)、5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチルピリジン-2-アミン(3)(24.5 mol、1.2当量)、K3PO4・3H2O(69.5 mol、3.4当量)、Pd2(dba)3(0.97 mol、0.05当量)およびキサントホス(1.02 mol、0.05当量)の混合物を、N2で脱気し、次に、撹拌しながら90-100℃で24時間加熱した。混合物を40-50℃に冷却し、L-システイン(0.05当量)および水(6.8 L)の混合物に加え、次に、40-50℃で3-5時間撹拌した。混合物を0-10℃に冷却し、1-3時間撹拌し、遠心分離し、次に、新鮮な水で洗浄した。ウエットケーキを1N 水性HClに溶解し、酢酸イソプロピルで2回洗浄し、活性炭で脱色した。溶液を17%水性Na2CO3でpH9-10に調節し、遠心分離した。ウエットケーキを水で3回洗浄し、乾燥させて、4.9 kg(47%)の1(形態A)の遊離塩基をオフホワイト固体で得た(純度:99.4%);N-(5-((4-エチルピペラジン-イル) メチル) ピリジン-2-イル-5-フルオロ-4-(3-イソプロピル-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル) ピリミジン-2-アミン(1)。MS m/z MH+ 489;1H NMR(300 MHz、CDCl3、ppm): δ 0.97(t、3H、J = 7.1 Hz)、1.51(d、2H、J = 7.0 Hz)、2.27-2.51(重複 m、10 H)、3.33(s、3H)、3.54-3.68(m、1H)、4.15(s、3H)、7.64-8.71(重複 m、7H)、10.00(s、1H)。
【0188】
1(形態A)の遊離塩基を、偏光顕微鏡(PLM)、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、および熱重量分析(TGA)によって特徴付けた;図1-3。PLMおよびXRPDの結果(図1および2)に示されるように、それは、不規則な小さな粒子を持つ結晶である(図1および2)。DSCプロファイル(図3)は、3つの吸熱ピークがあり、融点の開始温度が162.3℃(54.5 J/g)であることを示す。TGAプロファイルは、室温~120℃まで0.64%の重量損失があることを示す。
【0189】
すべてのサンプルについてのXRPD条件を以下に示す:
SCAN:4.0/39.9779/0.01972/18.6(sec)、Cu(40kV,40mA);
PEAK:パラボリック・フィルター、Peak-Top=Summit;
NOTE:強度=カウント、2T(0)=0.0(°)、計算する波長 d-Spacing = 1.54056A(Cu/K-alpha1)。
【実施例2】
【0190】
化合物1についての遊離塩基多形スクリーニング:
化合物1(形態A)の遊離塩基を5つのガラスバイアルのそれぞれに入れ、続いて、第1表に記載されているように各バイアルに溶媒を加えた。透明な溶液が得られた場合は、次に、懸濁液が形成されるまで1を加えた。それ以外の場合、懸濁液を50℃で24時間撹拌した。得られた固体をXRPDで調べた後、40℃で一晩真空乾燥させた。乾燥させたサンプルもXRPDで分析した。図4を参照されたい。
【0191】
得られた3つの新しい結晶性遊離塩基形態(形態B、CおよびD)を、第1表に要約した。元の形態Aは、イソプロパノール、エタノールおよび3:1のエタノール:水の混合物中では形態Bに変換され、一方、アセトン中では形態Cに変換された。形態Dはメタノールから得られた。
【0192】
第1表
スラリー法による化合物1(形態A)の遊離塩基多形スクリーニング
【表1】
【0193】
化合物1遊離塩基(形態B)
化合物1の遊離塩基(形態B)は、IPA、またはエタノールおよび3:1の比率のエタノール/水中で得られた。DSCプロファイルには3つの吸熱ピークが見られ、融点は165.4℃であった。TGAプロファイルは、0.43%の重量損失があることを示し、これは、溶媒の放出が原因である可能性がある(図6)。
【0194】
化合物1遊離塩基(形態C)
1の遊離塩基(形態C)はアセトン中で得られた。TGAおよびDSCプロファイル(図7)に基づくと、融点は、開始温度160.9℃(103.6 J/g)であり、室温~120℃までの重量損失は0.43%である。
【0195】
化合物1遊離塩基(形態D)
1の遊離塩基(形態D)は、メタノール中で得られた。図8に示すように、DSCプロファイルには3つのピークがある。最初のピークは開始温度55.9℃(54.6 J/g)で、1.16%の重量損失があり、2番目のピークは開始温度118.8℃(13.2 J/g)で、これは残留溶媒の放出に関連している可能性がある。3番目のピークは168.4℃(68.5J/g)の温度である。動的水蒸気収着(DVS)等温線分析(図9)は、1の遊離塩基(形態D)が吸湿性(80%RHで5.13%)であり、DVS後の結晶形態の変化がないことを示す(図10)。
【0196】
図4に記載の選択されたデータを以下に記載する。
化合物1遊離塩基の形態B(IPAからのドライ):
【表2】
【0197】
化合物1遊離塩基の形態C(アセトンからのドライ形態):
【表3】
【実施例3】
【0198】
化合物1の塩形態(50mgスケール)の製造および特徴付け
約50mgの遊離塩基1(形態A)を6つのガラスバイアルのそれぞれに入れ、2.0mLのメタノールに溶解した。適量の塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸のメタノール溶液を、第2表に要約されているモル比でバイアルに添加した。混合物を室温で24時間磁気的に撹拌した。透明な溶液が得られた場合は、60℃で真空遠心分離を行って、溶媒を蒸発させた。そうでなければ、懸濁液を10,000rpmで5分間遠心分離して、残りの固体を分離した。得られた湿った固体をXRPD(図11)によって分析し、次いで、真空下、40℃で4時間乾燥させた。続いて、ドライサンプルをXRPDで分析し(図12および13)、ウエット塩とドライ塩の両方の結果を第2表に示す。XRPDの結果は、50 mgスケールで、ドライ塩酸塩(1:1;形態A)、リン酸塩(1:1;形態A)、硫酸塩(1:1;形態A)およびトシル酸塩(1:1;形態A)は結晶性物質であるが、硫酸塩(2:1)およびメタンスルホン酸塩(1:1)塩は非晶質である。
【0199】
第2表
メタノール中の化合物1についての50 mgスケール塩スクリーン
【表4】
*ND:決定されず。
【実施例4】
【0200】
化合物1の塩形態(500mgスケール)の製造および特徴付け
約500mgの遊離塩基1(形態A)を6つのガラスバイアルのそれぞれに入れ、20mLのメタノールに溶解した。第3表に示されるモル比を含む、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸のメタノール溶液を、各バイアルに添加し、混合物を室温で24時間撹拌した。透明な溶液が得られた場合は、50℃で1.5時間の真空遠心分離を用いて、固体物質を単離した。続いて、20mLのMTBEを濃縮物に加え、混合物を30分間撹拌し、収集し、乾燥させた。透明な溶液が得られなかった場合、懸濁液を10,000rpmで5分間遠心分離して、残っている固体を分離した。固体を真空下40℃で1日間乾燥させ、ドライサンプルをXRPDで分析し、結果を第3表に示す。
【0201】
500 mgスケールのXRPDディフラクトグラム(図14および15)に基づいて、化合物1の塩酸塩(1:1;形態A)、リン酸塩(1:1;形態A)、トシル酸塩(1:1;形態A)および硫酸塩(2:1;形態A)は、結晶性であったが、(1:1)硫酸塩は非晶質であった。500 mgの硫酸塩の結果は、50 mgのスケールでは、(1:1;配置A)硫酸塩が結晶性であり(図13)、(2:1)硫酸塩が非晶質であった(図 12)ので、50 mgのスケールの結果とは対照的である。同様に、(1:1)塩としてのメタンスルホン酸塩は、50 mgスケールで非晶質であり、500 mgスケールでは(1:2;形態A)塩として単離後、結晶性であった。
【0202】
第3表の化合物1の単離塩のモル比(遊離塩基1:酸)は、蒸発光散乱検出(ELSD;第4表)を用いたRP-HPLC分析によって、塩酸塩(1:1;形態A)、リン酸塩(1:1;形態A)、硫酸塩(1:1;形態A)および硫酸塩(2:1;形態A)について確認され、1H NMR分光分析によって、メタンスルホン酸塩(1:2;形態A)およびトシル酸塩(1: 1;形態A)について確認された。
【0203】
第3表
メタノール中の化合物1についての500 mgスケール塩スクリーン
【表5】
【0204】
第4表
ELSD検出アッセイ条件によるRP-HPLC
【表6】
【実施例5】
【0205】
化合物1の塩のDVS、TGA、DSCおよび 1 H-NMR特徴付け
化合物1・HCl(1:1;形態A)
化合物1・HCl(1:1;形態A)(ドライ)のTGAおよびDSCプロファイルを図16に示す。DSCプロファイルは、2つの吸熱ピークと、275.4℃(198.5J/g)の開始温度での融点を示す。TGAプロファイルは、2.95%の重量損失を示し、DVS等温線分析(図17)は、1・HCl(1:1;形態A)が吸湿性(80%RHで3.64%)であり、DVS前後のXRPDディフラクトグラム(図18)に示されるように、結晶形態が変化しないことを示す。これらの結果は、1・HCl(1:1;形態A))が一水和物形態(理論含水率3.3%、w/w)であることを示す。1・HCl(1:1;形態A)の1H NMRスペクトルを図19に示す。
【0206】
化合物1・H 2 SO 4 (1:1)
50 mgスケールの結晶性化合物1・H2SO4(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを図20に示す。TGAプロファイルは、31.6℃~120℃で4.92%の重量損失を示し、DSCプロファイルは、2つの吸熱ピークを示し、最初のピークは開始温度34.3℃(268.1 J/g)であり、2番目のピークは開始温度136.0℃(13.2 J/g)である。DVS等温線分析(図21)は、化合物1・H2SO4(1:1;形態A)が非常に吸湿性が高く(80%RHで26.42%)、DVS後のXRPDによって示されるように、ある程度の結晶形態の変化があることを示した(図22)。
【0207】
化合物1・H 3 PO 4 (1:1;形態A)
化合物1・H3PO4(1:1;形態A)のDSCおよびTGAプロファイルを図23に示す。DSCプロファイルは、229.1℃(152.2 J/g)で融点開始を示し、TGAプロファイルは、31.4℃~120℃で0.59%の重量損失を示した。DVS等温線分析(図24)は、化合物1・H3PO4(1:1)が吸湿性であり(80%RHで3.16%)、XRPDによって示されるように(図25、以下に記載するピークを有する)、DVS後に結晶形態がある程度変化することを示した。
【表7】
【0208】
化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)
化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを図26に示す。TGAプロファイルは、室温~120℃まで0.53%の重量損失を示し、DSCプロファイルは、229.5℃(85.0 J/g)の融解開始温度で吸熱ピークを示した。DVS等温線分析(図27)は、化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)がわずかに吸湿性であり(80%RHで1.67%)、XRPD(図28)によって示されるように、DVS後の結晶形態の変化が無いことを示した。
【0209】
化合物1・メタンスルホン酸(1:2;形態A)
化合物1・メタンスルホン酸(1:2;形態A)のTGAおよびDSCプロファイルを図30に、XRPDパターンを図31に示す。DSCプロファイルは、223.4℃(56.3 J/g)の融解開始温度で吸熱ピークを示し、TGAプロファイルは、31℃~120℃で2.48%の重量損失を示した。DMSO-d6の400MHz 1H NMRスペクトルは、化合物1とメタンスルホン酸のモル比が1:2であることを示した(図32)。
【実施例6】
【0210】
化合物1の塩についての多形スクリーニング
一般的手順:
化合物1の各初期塩形態(形態A)約20 mgを9つのガラスバイアルのそれぞれに入れ、第5~8表に記載されているさまざまな溶媒100 μLに懸濁した。透明な溶液が得られた場合は、数時間蒸発させた。それ以外の場合は、スラリーを40℃で24時間撹拌した。スラリーのサンプルを抜き取り、XRPDで分析した(ウェットサンプル)。残りの固体を減圧下40℃で一晩加熱した後、XRPDで分析した(ドライサンプル)。
【0211】
化合物1・HCl(1:1;形態A)
化合物1・HCl(1:1;形態A)に由来する新しい結晶多形は、リストされた溶媒のいずれにおいても形成されなかった(第5表、図33)。
第5表
化合物1・HCl(1:1;形態A)の多形スクリーニング
【表8】
*100μLの各種溶媒中の化合物1・HCl(1:1;形態A)のスラリーを40℃で1日攪拌した結果;ND:決定されず。
【0212】
化合物1・硫酸塩(1:1;形態B、C、およびD)
化合物1・H2SO4(1:1;形態A)からスラリー法により3つの新しい結晶形態が得られた:形態B、CおよびD(第6表、図34および35)。形態Bは40℃で加熱した後、形態Aに変換された。
第6表
化合物1・H2SO4 (1:1;形態A)の多形スクリーニング
【表9】
*100μLの各種溶媒中の化合物1・H2SO4(1:1;形態A)のスラリーを40℃で1日攪拌した結果;ND:決定されず。
【0213】
形態B(IPAからのウエット):
【表10】
【0214】
形態C(アセトンからのウエット):
【表11】
【0215】
形態D(THFからのウエット):
【表12】
【0216】
形態D(THFからのドライ):
【表13】
【0217】
化合物1・硫酸塩(2:1;形態B、C、D、EおよびF)
1・H2SO4(2:1)の5つの新しい形態は、化合物1・H2SO4(2:1;形態A)から誘導され、第7表と図36にまとめている。形態B、C、E、およびFは結晶性であったが、形態Dは非晶質であった。
【0218】
第7表
化合物1・H2SO4(2:1;形態A)の多形スクリーニング
【表14】
*100μLの各種溶媒中の化合物1・H2SO4(2:1;形態A)のスラリーを40℃で1日攪拌し、これを数時間蒸発させた結果。
【0219】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態A
【表15】
【0220】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態B(ACNからのドライ)
【表16】
【0221】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態C(EtOHからのドライ)
【表17】
【0222】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態E(アセトンからのドライ)
【表18】
【0223】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態F(THFからのドライ)
【表19】
【0224】
化合物1・H 2 SO 4 (2:1)の形態G(またはC)(トルエンからのドライ)
【表20】
【0225】
化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態B)
1つの新しい結晶形態(形態B)が、化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)から誘導されたが、形態Cは、ほとんど非晶質であった(第8表および図37、38)。化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態B)のDSCプロファイルは、2つの吸熱ピークを示した(図39)。1つ目は開始温度82.2℃(9.9 J/g)であり、これは形態Aへの固体形態の移行に関連している可能性があり、2つ目は開始温度229.0℃(81.4 J/g)で融解した可能性があった。
【0226】
第8表
化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)の多形スクリーニング
【表21】
*100μLの各種溶媒中の化合物1・p-トルエンスルホン酸(1:1;形態A)のスラリーを40℃で1日攪拌した結果。形態Cは、ほとんど非晶質であり、EtOH:H2O(3:1)を数時間蒸発させた後に単離された。ND:決定されず。
【0227】
化合物1・p-トシル酸塩の形態A(DVS後のドライ、図28参照)
【表22】
【0228】
化合物1・p-トシル酸塩の形態B(THFからのウエット)
【表23】
【0229】
定義
アセトニトリル(ACN)
示差走査熱量測定(DSC)
動的水蒸気収着(DVS)
エタノール(EtOH)
酢酸エチル(EtOAc)
蒸発光散乱検出(ELSD)
イソプロピルアルコール(IPA)
メタノール(MeOH)
メチルt-ブチルエーテル(MTBE)
核磁気共鳴分光法(NMR)
偏光顕微鏡(PLM)
テトラヒドロフラン(THF)
熱重量分析(TGA)
X線粉末回折(XRPD)
第9表
器具類
【表24】
【0230】
本明細書で引用されているすべての刊行物は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本明細書に記載の実施態様は、本発明の範囲を限定することなく、例示としてのみ考慮されるべきであることを理解されたい。各実施態様内の特徴または態様の説明は、通常、他の実施態様における他の同様の特徴または態様に利用可能であると見なされるべきである。いくつかの実施態様が上記の実施例に記載されているが、以下の特許請求の範囲によって定義される開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細のさまざまな変更を行うことができることが当業者によって理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39