(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】強化された高速加工性を備えた光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C03C 25/285 20180101AFI20250114BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20250114BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
C03C25/285
C08F2/50
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2021569576
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020064032
(87)【国際公開番号】W WO2020239563
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-27
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521218700
【氏名又は名称】コベストロ (ネザーランズ) ビー.ヴィー.
(73)【特許権者】
【識別番号】592109732
【氏名又は名称】日本特殊コーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, ヨハン フランツ グラドゥス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】篠原 宣康
(72)【発明者】
【氏名】望月 大剛
【審査官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-006155(JP,A)
【文献】特開平02-048434(JP,A)
【文献】特開昭63-215707(JP,A)
【文献】特開昭63-079733(JP,A)
【文献】特開昭61-215236(JP,A)
【文献】特表2005-533874(JP,A)
【文献】特開2004-059662(JP,A)
【文献】特開2006-119559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 25/285
C08F 290/06
C08F 2/50
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性基を含む少なくとも一の反応性オリゴマーを含むか
、又はそれからなる反応性オリゴマー成分であって;
反応性オリゴマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも20%、又は少なくとも30%がメタクリレート基からなる、反応性オリゴマー成分
であって、
反応性ウレタンオリゴマーが、2000g/モルを超える理論分子量(Mn,theo)を有し;
反応性オリゴマー成分の重合性基と(共)重合することができる少なくとも一の重合性基を有する反応性希釈モノマーを含むか、
又はそれから
なり、単官能性アクリレートモノマーを含む、反応性希釈モノマー成分であって、
反応性希釈モノマー成分の重合性基のモル分率の少なくとも50%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、アクリレート基、アクリルアミド基、N-ビニルアミド基、又はそれらの混合物からなる、反応性希釈モノマー成分;
及び
光開始剤成
分
を含み、
反応性オリゴマーが、
ポリオール化合物;
ジイソシアネート化合物;
少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性合物;
及び
ヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合
物
の反応生成物を含
み、
全組成物中に存在する重合性基の全量に対する全組成物中に存在するメタクリレート基のモル比が、2%から20%である、
光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物。
【請求項2】
反応性オリゴマーが、2000g/モルを超え、又は4000g/モルを超え、又は5000g/モルを超える理論分子量(Mn,theo)を有する、請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項3】
反応性オリゴマー及び/又は反応性オリゴマー成分が、2000g/モルを超え、又は4000g/モルを超え、又は5000g/モルを超え、又は6000g/モルを超え、又は9000g/モルを超え、又は2000g/モルから30000g/モル、又は2000g/モルから20000g/モル、又は4000/モルから30000g/モル、又は4000g/モルから20000g/モル、又は6000g/モルから20000g/モルの数平均分子量(Mn)を有し;ここで、Mnは
、三重検出器アレイを使用するSEC法に従って決定される、請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項4】
反応性希釈モノマー成分が、86g/モルから800g/モル、又は100g/モルから350g/モル、又は86g/モルから150g/モルのMn,theo又はMnを有する単官能性アクリレートモノマーを含むか、
又はそれからな
る、請求項1から3の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項5】
反応性オリゴマーがシランカップリング基を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項6】
少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物が二以上のメタクリロイル基を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項7】
二以上のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物が、1,2-グリセロールジメタクリレート、1,3-グリセロールジメタクリレート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項8】
反応性オリゴマーが、少なくとも一端がヒドロキシル官能性末端基で終端しており;及び/又は反応性オリゴマー成分が、単官能性反応性オリゴマーを含むか、
又はそれからな
る、請求項1から7の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項9】
ヒドロキシル官能性末端基が、2-エチルヘキサノールの反応生成物である、請求項8に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項10】
少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物が、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、又はグリセロールモノメタクリレート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項11】
反応性オリゴマー成分の重合性基のモル分率で少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%がメタクリレート基からなる、請求項1から10の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項12】
反応性オリゴマー成分の重合性基が、メタクリレート基から
なり;
及び/又は
反応性希釈モノマー成分の重合性基が、アクリレート基からな
る、請求項1から11の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項13】
全組成物中に存在する重合性基の全量に対する全組成物中に存在するメタクリレート基のモル比が
、2%から18%、又は2%から15%、又は3%から18%、又は4%から20%、又は4%から18%、又は2%から16%、又は4%から15%、又は5%から15%、又は5%から12%、又は9%から20%、又は9%から18%、又は9%から15%である、請求項1から12の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項14】
全組成物中のアクリレート基とメタクリレート基のモル比が、4:1から50:1、又は4:1から25:1、又は4:1から10:1、又は4.6:1から50:1、又は4.6:1から25:1、又は4.6:1から10:1、又は5.6:1から50:1、又は5.6:1から25:1、又は5.6:1から10:1である、請求項1から13の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項15】
組成物の全重量に対して、
反応性オリゴマー成分が、20重量%から95重量%、又は40重量%から80重量%の量で存在し;
反応性希釈モノマー成分が、4重量%から75重量%、又は20重量%から50重量%の量で存在し;
光開始剤が、0.25重量%から7重量%、又は0.5重量%から3重量%、又は1重量%から7重量%の量で存在し;及び
添加剤が、0重量%から50重量%の量で存在する、請求項1から14の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項16】
次の条件(a)、(b)、(c)、又は(d):
(a)ポリオール化合物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリカプロラクトン、又はアクリル部分を含むか、
又はそれからな
る;
(b)ジイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、2,4-異性体トルエンジイソシアネート、2,4-及び/又は4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、(水素化)キシリレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせを含むか、
又はそれからな
る;及び/又は
(c)少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物が、メタクリレート化合物であり、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、又はそれらの組み合わせを含むか、
又はそれからな
る;
(d)ヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合物が、n-ブタノール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、又はそれらの組み合わせを含むか、
又はそれからな
る
のうちの少なくとも一つが適用される、請求項1から15の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項17】
反応性希釈モノマー成分が、2-エチルヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ジメチルアクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、エトキシル化2-フェノキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソデシルアクリレート、又はエトキシル化ノニルフェノールアクリレート、又はそれらの混合物を含むか、
又はそれからな
る、請求項1から16の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項18】
光開始剤が、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル(1-ヒドロキシイソプロピル)ケトン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、及び4-イソプロピルフェニル(1-ヒドロキシイソプロピル)ケトン、ベンジルジメチルケタール、オリゴ-[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン];2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、又は4,4’-ビス(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーのケトン)を含むか、
又はそれからな
る、請求項1から17の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項19】
添加剤が接着促進剤を含む、請求項1から18の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項20】
接着促進剤が、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、テトラエトキシシラン、又は3-トリメトキシシリルプロパン-1-チオールを含む、請求項19に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項21】
添加剤が、酸化防止剤、重合阻害剤、光増感剤、担体界面活性剤、粘着付与剤、触媒、安定剤、表面剤、及び/又は光学的光沢剤を含む、請求項1から20の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項22】
組成物が、2秒未満、又は1.5秒未満、又は1.25秒未満、又は1.00秒未満、又は0.3から2秒、又は0.3から1.5秒、又は0.3から1.25秒、又は0.3から1.00秒のT
30%,modulus max値を有し、ここで、T
30%,modulus max値が、ここに記載の手順によって測定され、及び/又は
組成物が、0.65MPa未満、又は0.5MPa未満、又は0.25MPa未満、又は0.10から1MPa、又は0.10から0.65MPa、又は0.10から0.5MPa、又は0.10から0.25MPaの最大弾性率(G’)値を有し、ここで、G’値が、ここに記載の手順によって測定される、請求項1から21の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項23】
前記少なくとも一のメタクリロイル基を有する
ヒドロキシル官能性化合物と2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)との間の共重合において、
少なくとも一のメタクリロイル基を有する化合物の自己反応性比(R
1)が、少なくとも1、又は少なくとも1.3、又は少なくとも1.4、又は1と5の間、又は1.4と3.5の間、又は1.2と1.7の間であり;
かつ少なくとも一のメタクリロイル基を有する化合物とHEAとの反応性比(R
2)が、0.1から0.5、又は0.1から0.4、又
は0.15か
ら0.35であり、
ここで、R
1及びR
2が、コポリマー入力化合物の赤外スペクトルを使用する多変量解析に従って決定される、請求項1から22の何れか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項24】
R
1/R
2が1より大きく、又は3より大きく、又は5より大きく、又は8より大きく、又は2から12、又は3から11、又は10から12である、請求項23に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項25】
光ファイバーをコーティングするための方法であって、
ガラス光ファイバーを提供し;ガラス光ファイバーの表面に一次コーティング組成物を塗布し
;
一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を塗布し;
一次コーティング組成物及び二次コーティング組成物を、紫外線を放出することができる少なくとも一の放射線源に曝露して、前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化に影響を及ぼし、光ファイバーの表面に硬化した一次コーティングを、硬化した一次コーティングの表面に硬化した二次コーティングを形成することを含み;
ここで、一次コーティング組成物が、請求項1から24の何れか一項に記載の組成物である、方法。
【請求項26】
光ファイバーをコーティングするための方法であって、
ガラス光ファイバーを提供し;ガラス光ファイバーの表面に一次コーティング組成物を塗布し;
前記一次コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な量のUV光を与え;
一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を塗布し;
一次コーティング組成物及び二次コーティング組成物を、紫外線を放出することができる少なくとも一の放射線源に曝露して、前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化に影響を及ぼし、光ファイバーの表面に硬化した一次コーティングを、硬化した一次コーティングの表面に硬化した二次コーティングを形成することを含み;
ここで、一次コーティング組成物が、請求項1から24の何れか一項に記載の組成物である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光ファイバーをコーティングする方法、高速、低ヘリウム、及び/又は高温の線引きを使用して製造される光ファイバーでの使用に適した放射線硬化性コーティング、並びにそれから製造された光ファイバーに関する。
【0002】
[関連出願との相互参照]
この出願は、ここに完全に記載されているかのようにその全体が出典明示によりここに援用される、2019年5月24日出願の欧州特許出願第19176577.5号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバーは様々な用途で使用されており、他の媒体に比べて幾つかの利点を有している。例えば、データを、ワイヤよりも速いデータ速度で光ファイバーを介して送信できる。光ファイバーはまたワイヤよりも軽量で可撓性がある。従って、光ファイバー、特にガラス製の光ファイバーは、電気通信産業においてデータ伝送にしばしば使用される。しかし、保護しないままでは、光信号が伝送される細いガラスストランドが壊れやすいため、光ファイバーは現場での使用には適していない。物理的損傷を受けやすいことに加えて、未コーティング光ファイバーはまた水分との接触によって悪影響を受ける。その結果、保護と高レベルの性能を確保するために光ファイバーには表面コーティングが長い間施されてきている。
【0004】
例えば約2000℃の温度に局所的かつ対称的に加熱された特別に調製された円筒状プリフォームからガラス繊維を線引きすることはよく知られている。プリフォームを炉に送り込むなどしてプリフォームを加熱すると、溶融材料からガラス繊維が線引きされる。ガラス繊維がプリフォームから線引きされた後、好ましくは冷却直後に、表面コーティング組成物がガラス繊維に塗布される。コーティング組成物がついで硬化されて、コーティングされた光ファイバーが製造される。移動しているガラス繊維にコーティング組成物の二重層を塗布する一般的な方法は、当該技術分野で周知であり、Taylorの米国特許第447830号及びRennell等の米国特許第4851165号に開示されている。より新しいファイバーの設計概念は、米国特許第8837892号、米国特許出願公開第2014/0294355号、及び米国特許出願公開第2015/0071595号に見出すことができる。
【0005】
それらを保護するために、光ファイバーは、ファイバーが線引きによって製造された直後に、二層以上の重ねられた放射線硬化性コーティングでコーティングされることが多い。「放射線硬化性」とは、液体(未硬化)状態から固体(硬化)状態など、組成物の架橋を開始するために放射線が必要とされることを意味する。
【0006】
典型的には、放射線硬化性光ファイバーコーティングは、照射の影響下でフリーラジカル重合による架橋を受ける一又は複数のエチレン性不飽和(C=C)結合を有する一又は複数の成分の混合物を含む組成物の硬化生成物である。そのような組成物はまた典型的には、特に硬化が紫外線(UV)波長での照射によって達成される場合、放射線硬化の補助をするための光開始剤を含む。
【0007】
光ファイバーに直接接触するコーティングを「内側一次コーティング」と呼び、オーバーレイコーティングを「外側一次コーティング」と呼ぶ。幾つかの文献では、内側一次コーティングは単に「一次コーティング」とも呼ばれ、外側一次コーティングは「二次コーティング」と呼ばれる。内側一次コーティングは、典型的には二次コーティングよりも有意に低い弾性率を持つように配合される。
【0008】
比較的柔らかい内側一次コーティングは、コーティングされた光ファイバーの信号伝送の追加の減衰(すなわち、信号損失)が生じるので望ましくないマイクロベンドに対する耐性をもたらす。マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位と数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバーの微視的な湾曲である。マイクロベンドは、熱応力及び/又は機械的な横力によって引き起こされうる。コーティングは、光ファイバーをマイクロベンドから保護する横力保護をもたらしうるが、コーティング厚が減少すると、もたらされる保護の量が減少する。コーティングとマイクロベンドにつながる横応力からの保護の関係は、例えば、D.Gloge,“Optical-fiber packaging and its influence on fiber straightness and loss”,Bell System Technical Journal,Vol.54,2,245(1975);W.B.Gardner,“Microbending Loss in Optical Fibers”,Bell System Technical Journal,Vol.54,No.2,p.457(1975);J.Baldauf,“Relationship of Mechanical Characteristics of Dual Coated Single Mode Optical Fibers and Microbending Loss”,IEICE Trans.Commun.,Vol.E76-B,No.4,352(1993);及びK.Kobayashi,“Study of Microbending Loss in Thin Coated Fibers and Fiber Ribbons”,IWCS,386(1993)において検討されている。より硬い外側一次コーティング、すなわち二次コーティングは、コーティングされたファイバーがリボン状及び/又はケーブル状にされたときに遭遇するもののような取り扱い力に対する耐性を提供する。
【0009】
光ファイバー二次コーティング組成物は、一般に、硬化前に、液体のエチレン性不飽和希釈剤及び光開始剤に溶解又は分散される一又は複数種のアクリレート官能性オリゴマーからなるエチレン性不飽和化合物の混合物を含む。コーティング組成物は、典型的には、液状で光ファイバーに塗布され、ついで化学線に曝露されて硬化する。
【0010】
一次コーティングは、光ファイバーのコアから誤った光信号を取り除くことを可能にするために、関連する光ファイバーのクラッドよりも高い屈折率を有することが好ましい。一次コーティングは、熱的及び加水分解的エージング中にガラス繊維への十分な接着を維持する必要があるが、(必要に応じて)スプライシング目的でガラス繊維から剥がすことができる。一次コーティングは、典型的には、20-50μmの範囲の厚さ(例えば、約25又は32.5μm)を有し、200μm繊維では15-25μmの範囲のより薄い厚さを有する。
【0011】
一次コーティングは、典型的には約40μm未満の厚さを有するが、他の厚さを使用することもできる。一次コーティングは、典型的にはガラス繊維に塗布され、続いて硬化される。酸化防止剤、接着促進剤、抑制剤、光増感剤、担体界面活性剤、粘着付与剤、触媒、安定剤、界面活性剤、及び蛍光増白剤を含む、一次コーティングの一又は複数の特性を増強する様々な添加剤もまた存在しうる。
【0012】
二次コーティングは外側コーティングである。二次コーティングは、例えば、重合時に分子が高度に架橋されるコーティング組成物の重合生成物である。二次コーティングは、典型的には、高いその場弾性率(例えば、25℃で約800MPaを超え、より好ましくは約1GPaから約3GPaの間)と高いTg(例えば、約50℃を超える)を有する。その場二次弾性率は、好ましくは約1000MPaよりも大きい。二次コーティングは、多くの場合、約40μm未満の厚さを有している。
【0013】
一次層と二次層を含む光ファイバーコーティングは、典型的には、ウェットオンウェット(WOW)とウェットオンドライ(WOD)の二つのプロセスの一つを使用して塗布される。WODプロセスでは、ファイバーは最初に一次コーティング塗布を通過し、これは紫外線(UV)放射への暴露によって硬化される。ついで、ファイバーは二次コーティング塗布を通過し、これは続いて同様の手段で硬化される。WOWプロセスでは、繊維は一次コーティング塗布と二次コーティング塗布の両方を通過すると直ぐに、ファイバーは硬化工程に進む。ウェットオンウェットプロセスでは、一次コーティング塗布と二次コーティング塗布の間の硬化ランプが省略される。
【0014】
放射光エネルギーが、光ファイバーのための放射線硬化性コーティングの製造に使用される。特に、硬化プロセスでは、UVランプからの放射エネルギーを使用して光ファイバーコーティングを硬化させる。広帯域水銀スペクトルを持つUVランプが、そのような放射線硬化性コーティングの迅速かつ完全な硬化を確実にするその高強度及び広発光スペクトルのために、産業界で一般的に使用されている。UV-LED(発光ダイオード)ランプを利用した硬化システムがまた、その効率的な構造により、少ないエネルギー入力でファイバー製造プロセスが可能になるので、益々使用され始めている。
【0015】
光ファイバーの世界的な需要は、年々増加し続けている。この増大する需要に応え、またそのような競争の激しい産業において生産性の優位性をもたらすためには、とりわけ、光ファイバーが形成され、コーティングされ、硬化される速度を増加させることが有益であろう。現在のコーティング及びプロセス技術により、殆どのファイバー製造業者は、線引きタワーを少なくとも1000m/分のライン速度で快適に操作でき、最大1500m/分、更には2500m/分以上の速度も可能である。
【0016】
しかしながら、ファイバーの線引き速度が増加するにつれて、幾つかの技術的課題がプロセスに発生し、それにより、適切にコーティングされた光ファイバーを製造することがより困難になる。これらの技術的課題の中には、相対的な硬化曝露時間が短縮されるため、一次及び二次コーティング組成物を完全に硬化させるのに十分な線量の放射線を与えるUV光源の能力の低下が含まれる。更なる課題には、より速いライン速度を特徴とする振動が、正確なコーティング塗布の許容範囲を超える物理的な動きを引き起こす可能性があるため、コーティングされたファイバーの塗布における振れ又は同心度エラーの傾向の増加が含まれる。また更なる課題には、気泡の閉じ込め、コーティングの層間剥離、及びマイクロベンドによって引き起こされる減衰の増加が含まれる。
【0017】
これらの課題の多くは、より速いライン速度では、新たに塗布された液体コーティングが、(ガラス又は先に塗布されたコーティング層に対する)十分な完全性又は接着性を備えたコーティングを形成するのに十分に速くは硬化できないことによって誘発され又は悪化する。より速い線引速度によって引き起こされる温度の上昇は、既知の組成物の硬化速度を更に遅らせる。市販のアクリレート官能化コーティングは迅速に硬化するように設計されているが、コーティングの硬化は、多くの場合依然として、光ファイバー製造の増加に対する律速段階である。従って、放射線硬化性光ファイバーコーティングの硬化速度を更に改善するための更なる解決手段が必要とされる。
【0018】
増大するプロセス上の要求により適した光ファイバーコーティングを提供する試みは知られている。DSM IP Assets B.V.に譲渡された国際公開第2018220605A1号は、コーティングが改善されたレオロジー特性を示す点で、増加したライン速度によって誘発される追加の熱応力に対処するように構成される、アクリレート官能化反応性オリゴマー及びアクリレート官能化反応性希釈モノマーを用いた新規コーティングを開示している。
【0019】
これにもかかわらず、益々増大するライン速度での光ファイバーへの塗布及びコーティング後にシステムに課せられる増大する要求に対処するのに十分に迅速に十分に架橋された網目構造を形成し、かつ必ずしも高価な光増感剤、光開始剤、又は他の特殊な添加剤の量を増やす必要がない、光ファイバーコーティング、特に一次コーティングを提供する必要性が継続して存在する。また、速い硬化速度を示すが、それから製造された硬化コーティングに望ましい特性を付与し、特に低弾性率を有することによって優れたマイクロベンド耐性に寄与する光ファイバーコーティングを提供する必要性が継続して存在する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ここで試験された様々な放射線硬化性組成物(配合物68、69、70、及び73)に対して、G’maxに基づく相対弾性率を時間の関数として示すグラフである。
【0021】
【
図2】
図1に示される同じ放射線硬化性組成物の反応した不飽和%を時間の関数として示すグラフである。
【0022】
【
図3】ここに記載の実施態様に係る光ファイバーの断面を概略的に示す。
【0023】
【
図4】A-A線に沿って取られた断面図であり、
図3の光ファイバーの一実施態様の構成を示している。
【発明の概要】
【0024】
ここに記載されるのは、本発明の幾つかの態様及び実施態様である。第一の態様は、(1)重合性基を含む少なくとも一の反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる反応性オリゴマー成分であって;反応性オリゴマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも20%、又は少なくとも30%がメタクリレート基からなる、反応性オリゴマー成分;(2)反応性オリゴマー成分の重合性基と(共)重合することができる少なくとも一の重合性基を有する反応性希釈モノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になり、単官能性アクリレートモノマーを含む、反応性希釈モノマー成分であって、反応性希釈モノマー成分の重合性基のモル分率の少なくとも50%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、アクリレート基、アクリルアミド基、N-ビニルアミド基、又はそれらの混合物からなる、反応性希釈モノマー成分;(3)光開始剤成分;及び(4)場合によっては、添加剤成分を含み;反応性オリゴマーが、(a)ポリオール化合物;(b)ジイソシアネート化合物;(c)少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物;(d)ヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合物;及び(e)場合によっては、シランカップリング剤の、反応生成物を含む、光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物である。
【0025】
第一の態様の他の実施態様によれば、反応性オリゴマーは、ポリオール、ジイソシアネート、及び少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物、及び場合によっては、ヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合物の、反応生成物である。第一の態様に係る別の更なる実施態様では、反応性オリゴマー及び/又は反応性オリゴマー成分は、理論分子量又は数平均分子量の何れかによって決定される規定の分子量値を有する。第一の態様の様々な実施態様では、反応性オリゴマーは、ヒドロキシル基で、シングルエンドキャップ、マルチエンドキャップ、又は部分的エンドキャップされうる。重合性基は、重合性末端基又は重合性骨格基、あるいはその両方として生じうる。別の更なる実施態様では、反応性オリゴマーの重合性基は、規定の量及び/又は比率のメタクリレート基を有し、反応性希釈モノマーの重合性基は、規定の量及び/又は比率のアクリレート基を有する。加えて、重合性基が形成される化合物は、規定の反応性比を有する。
【0026】
本発明の第二の態様は、光ファイバーをコーティングするための方法であって、ガラス光ファイバーを提供し;ガラス光ファイバーの表面に一次コーティング組成物を塗布し;場合によっては、前記一次コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な量のUV光を与え;一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を塗布し;一次コーティング組成物及び二次コーティング組成物を、紫外線を放出することができる少なくとも一の放射線源に曝露して、前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化に影響を及ぼし、光ファイバーの表面に硬化した一次コーティングを、硬化した一次コーティングの表面に硬化した二次コーティングを形成することを含み;ここで、一次コーティング組成物が、本発明の第一の態様の実施態様の何れかに係る組成物である、方法である。
【0027】
第二の態様の別の実施態様は、一次コーティング組成物が、1500m/分を超え、又は1700m/分を超え、又は2000m/分を超え、又は2500m/分を超え、又は3000m/分を超え、及び5000m/分未満、又は4000m/分未満、又は3100m/分未満の線引き速度でガラス光ファイバーの表面に塗布される光ファイバーコーティング方法を記述する。
【0028】
本発明の第三の態様は、コーティングされた光ファイバーであって、ガラスコアと、前記ガラスコアと接触し、それを囲繞するクラッド層;及びコーティング部であって、前記クラッド層と接触し、それを囲繞する一次コーティング層;及び前記一次コーティング層と接触し、それを囲繞する二次コーティング層を更に含む、コーティング部を含む、コーティングされた光ファイバーである。この第三の態様によれば、一次コーティング層は、第一の態様の実施態様の何れかに係る放射線硬化性組成物の硬化生成物であり、一次及び二次コーティングは、第二の態様の実施態様の何れかに従って塗布され硬化される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第一の態様は、重合性基を含む少なくとも一の反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる反応性オリゴマー成分であって;
反応性オリゴマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも20%、又は少なくとも30%がメタクリレート基からなる、反応性オリゴマー成分;
反応性オリゴマー成分の重合性基と(共)重合することができる少なくとも一の重合性基を有する反応性希釈モノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になり、
単官能性アクリレートモノマーを含む、反応性希釈モノマー成分であって、
反応性希釈モノマー成分の重合性基のモル分率の少なくとも50%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、アクリレート基、アクリルアミド基、N-ビニルアミド基、又はそれらの混合物からなる、反応性希釈モノマー成分;
光開始剤成分;及び
場合によっては、添加剤成分
を含み、
反応性オリゴマーが、
ポリオール化合物;
ジイソシアネート化合物;
少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物;
ヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合物;及び
場合によっては、シランカップリング剤
の反応生成物を含む、光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物である。
【0030】
本発明の第一の態様に係る光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物は、反応性オリゴマー成分、反応性希釈モノマー成分、光開始剤成分、及び場合によっては添加剤成分を含む。好ましい実施態様では、本発明の第一の態様に係る光ファイバーをコーティングするための放射線硬化性組成物は、反応性オリゴマー成分、反応性希釈モノマー成分、光開始剤成分、及び場合によっては一又は複数の添加剤からなる。以下に記載されるそのような成分は、第一の態様に係る組成物、第二の態様に係る光ファイバーをコーティングする方法において使用される組成物、及び第三の態様に係るコーティングされた光ファイバーに関連して記載されるそのコーティングが硬化される組成物を含む、本発明の態様の何れかに係る放射線硬化性組成物において使用されうる。
【0031】
[反応性オリゴマー成分]
本発明に係る放射線硬化性組成物は、反応性オリゴマー成分を含む。ここで使用される場合、「反応性」とは、別の分子と化学反応、好ましくは重合反応を形成する能力を意味する。而して、反応性化合物は、少なくとも一の反応性又は官能基を有すると言われるであろう。そのような反応性又は官能基は重合性基であることが好ましい。一方、オリゴマーは、ここでは、その構造が、実際に又は概念的に、より低い相対分子量の分子から誘導された複数の単位を含む、中間の相対分子量の分子を意味するために使用される。ここで使用される場合、成分は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定されて、約1000g/モルから約35000g/モルの数平均分子量(Mn)を更に有する場合、オリゴマーと見なされる。好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、1000g/モルから30000g/モル、又は800g/モルから25000g/モル、又は1000g/モルから20000g/モルのMnを有する一又は複数の反応性オリゴマーからなる。
【0032】
好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、複数の個々の反応性オリゴマー分子を含む。一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、複数の反応性オリゴマー分子からなるか、又はそれから本質的になり、ここで、各分子は、同じ又は実質的に同じ化学構造を有する。代替の実施態様では、反応性オリゴマー成分は、異なる化学構造を有する複数の反応性オリゴマー分子からなる。一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、二又は二を超える異なるタイプの反応性オリゴマーからなる。
【0033】
本発明に係る反応性オリゴマー成分は、少なくとも一の重合性基を有する少なくとも一の反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、少なくとも一の重合性基を有する反応性オリゴマーからなる。重合性基は、任意の既知のタイプのものでありうる。しかしながら、一実施態様では、重合性基は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、又はN-ビニルアミド基、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなりうる。反応性オリゴマーは、好ましくは、一又は複数の反応性オレフィン二重結合を含むエチレン性不飽和重合性化合物である。
【0034】
重合性基は、重合性骨格基又は重合性末端基を含み、反応性オリゴマーの長さに沿って任意の実行可能な点で生じうる。重合性骨格基は、オリゴマーの長さに沿って存在し、又はそこから分枝し、直鎖である一方、重合性末端基は、オリゴマーの末端に存在する重合性基である。重合性基は、例えば、オリゴマーの末端での分枝又は分岐パターンなど、他の重合性基から分離し、又は直接的又は間接的に隣接して生じうる。一実施態様では、重合性基は、重合性末端基を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。代替の実施態様では、重合性基は、重合性末端基と重合性骨格基の混合物を含む。
【0035】
好ましい実施態様では、重合性基は、メタクリル部分などの反応性部分を有する構成ヒドロキシ官能性モノマーの反応生成物に由来する。一実施態様では、ヒドロキシ官能性モノマーは、所望の反応性比を有するように選択される。ここで使用される場合、特に明記しない限り、反応性比は、重合性基が2-ヒドロキシエチルアクリレート(CAS番号818-61-1)を持って誘導されるヒドロキシ官能性モノマーの理論的モノマー混合物から決定される。この発明が適用される技術分野で知られているように、反応性比を決定する際には、メイ-ルイス式を用いて、反応性鎖で理論的に起こり、既知の反応速度定数を持つ二種のモノマーの何れかで終端しうる四つの異なる反応を考慮することができる。次に、反応性比は、選択された標準の2-ヒドロキシエチルアクリレートへの付加に対する重合性基が誘導されるヒドロキシ官能性モノマーの付加の速度定数の比である。
【0036】
実施態様では、反応性部分を有するヒドロキシ官能性モノマーである化合物は、前記化合物と2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)との間の共重合において、前記化合物(R1)の自己反応性比が、少なくとも1、又は少なくとも1.1、又は少なくとも1.2、又は少なくとも1.3、又は少なくとも1.4、又は少なくとも1.5、又は少なくとも1.6、又は少なくとも2、又は少なくとも2.9;又は1と3の間、又は1と2の間、又は1.01と1.8の間、又は1.1と1.7の間、又は1.2と1.6の間、又は1.3と1.5の間になるように選択される。更に、化合物は、HEAとの同じ共重合において、前記化合物とHEA(R2)との反応性比が、0.1から0.5、又は0.1から0.4、又は約0.15から約0.35となるように選択される。R1/R2の比率は、例えば、3から15、又は3から12、又は3から11、又は4から15、又は4から10、又は5から12でありうる。そのような実施態様では、R1及びR2は、コポリマー入力化合物の赤外スペクトルを使用する多変量解析に従って決定されうる。好ましい実施態様では、反応性部分を有するヒドロキシ官能性モノマーである化合物は、少なくとも一のメタクリロイル基を有する。
【0037】
多くのヒドロキシ官能性モノマーの反応性比は当該技術分野においてよく知られており、大きなリストが、J.Brandrup,E,H,Immergut,E.A.Grulke(編),Polymer Handbookに見出されうる。現在、反応性比を決定するための最良の経験的方法の一つは、パルスレーザー重合-サイズ排除クロマトグラフィー-質量分析(PLP-SEC-MS)法によるもので、MS法としてマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI-TOF)の何れかの電子スプレーを用いる。分離可能なIRシグナルを持つ化合物の場合、Jansen等:Real-Time Infrared Determination of Photoinitiated Copolymerization Reactivity Ratios:Application of the Hilbert Transform and Critical Evaluation of Data Analysis Techniques;Macromolecules 2004,37,2275-2286(2004)に記載されている方法が、UV重合過程の十分な模倣であるため、また適切であると考えられる。実施されるRT-FTIR分析の性質は多変量であり、反応性比分析のためのNLLS方法論と組み合わせることが好ましい。
【0038】
本発明に係る反応性オリゴマーは、ここの他の場所に記載された定義と一致する任意の既知のタイプのものでありうる。しかしながら、好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、一又は複数のウレタン系反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。ここで「反応性ウレタンオリゴマー」とも呼ばれるウレタン系反応性オリゴマーは、好ましくは、骨格、ウレタン基、及び重合性基を含む。好ましい実施態様では、ウレタン系オリゴマーは、ウレタンメタクリレートオリゴマーを含む。ウレタンメタクリレートオリゴマーは、好ましくは、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、及びヒドロキシル基含有メタクリレート化合物の反応生成物である。
【0039】
適切なポリオール化合物の例には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオール、及び他のポリオールが含まれる。これらのポリオールは、個別に又は二種以上の組み合わせで、使用されうる。好ましい実施態様では、ウレタン系反応性オリゴマーの骨格は、ポリプロピレングリコール(PPG)に由来する化合物を含む。ここで使用される場合、ポリプロピレングリコールに由来する化合物は、EOでエンドキャップされたPPGなどのエンドキャップされたPPGを含む。これらのポリオールの構造単位の重合方法に特定の制限はない。ランダム重合、ブロック重合、又はグラフト重合のそれぞれが許容される。
【0040】
ここで使用される場合、ブロックコポリマーは、多くの構成単位を含むオリゴマー又はポリマーの一部を意味し、少なくとも一つの構成単位が、隣接部分に存在しない特徴を含む。ここで使用される場合、モノ、ジ、及びトリブロックコポリマーは、オリゴマー中に存在する特定のブロックの平均量を指す。好ましい実施態様では、特定のブロックは、ここの他の場所に記載されている一又は複数のポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールに由来するポリエーテルブロックを指す。一実施態様では、モノ、ジ、及び/又はトリブロックコポリマーが言及するブロックは、ここの他の場所に記載されているポリオールの一又は複数に由来するポリエーテルブロックである。一実施態様では、モノブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックなどの特定のブロックの平均で約1、又は約0.9から1.5未満の単位のみを有するコポリマーとして記述されうる。一実施態様では、ジブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックなどの特定のブロックの平均で約2、又は少なくとも1.5から2.5未満の単位を有するコポリマーとして記述されうる。一実施態様では、トリブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックなどの特定のブロックの平均で約3、又は2.5から3.5未満の単位を有するコポリマーとして記述されうる。所与のオリゴマー中のポリエーテル単位の数は、単一のオリゴマーの合成に利用されるポリエーテルポリオール分子の数によって決定されうる。
【0041】
ポリエーテルポリオールの例として挙げられるのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール-エチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、及び二以上のイオン重合性環状化合物の開環共重合によって得られるポリエーテルジオールである。ここで、イオン重合性環状化合物の例として挙げられるのは、環状エーテル、例えばエチレンオキシド、イソブテンオキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、及びグリシジルベンゾエートである。二種以上のイオン重合性環状化合物の組み合わせの具体例には、テトラヒドロフランと2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3-メチルテトラヒドロフラン、及びテトラヒドロフランとエチレンオキシドなどの二元コポリマーを製造するための組み合わせ;並びにテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びエチレンオキシドの組み合わせ、テトラヒドロフラン、ブテン-1-オキシド、及びエチレンオキシドの組み合わせなどのような三元コポリマーを製造するための組み合わせが含まれる。これらのイオン重合性環状化合物の開環コポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーの何れかでありうる。
【0042】
これらのポリエーテルポリオールに含まれるものは、例えば、PTMG1000、PTMG2000(三菱ケミカル株式会社製)、PEG#1000(日本油脂株式会社製)、PTG650(SN)、PTG1000(SN)、PTG2000(SN)、PTG3000、PTGL1000、PTGL2000(保土谷化学工業株式会社製)、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG4000、PEG6000(第一工業製薬株式会社製)及びPluronics(BASF製)の商標で市販されている製品である。
【0043】
多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオールが、ポリエステルポリオールの例として挙げられる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールなどが含まれる。多塩基酸の例には、フタル酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸などが含まれる。
【0044】
これらのポリエステルポリオール化合物は、MPD/IPA500、MPD/IPA1000、MPD/IPA2000、MPD/TPA500、MPD/TPA1000、MPD/TPA2000、Kurapol A-1010、A-2010、PNA-2000、PNOA-1010、及びPNOA-2010(クラレ株式会社製)などの商標で市販されている。
【0045】
ポリカーボネートポリオールの例には、限定されないが、ポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、ポリ(ヘキサンジオールカーボネート)、ポリ(ノナンジオールカーボネート)、ポリ(3-メチル-1,5-ペンタメチレンカーボネート)などが含まれる。
【0046】
これらのポリカーボネートポリオールの市販品には、限定されないが、DN-980、DN-981(日本ポリウレタン工業株式会社製)、Priplast 3196、3190、2033(Unichema製)、PNOC-2000、PNOC-1000(クラレ株式会社製)、PLACCEL CD220、CD210、CD208、CD205(ダイセル化学工業株式会社製)、PC-THF-CD(BASF製)などが含まれる。
【0047】
一方、ポリカプロラクトンジオールは、e-カプロラクトンとジオール化合物を反応させて得られる。一実施態様では、ポリカプロラクトンポリオールは、0℃以上の融点を有する。ここで、ジオール化合物の例として挙げられるのは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2-ポリブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブタンジオールなどである。
【0048】
これらのポリカプロラクトンポリオールの市販品には、PLACCEL240、230、230ST、220、220ST、220NP1、212、210、220N、210N、L230AL、L220AL、L220PL、L220PM、L212AL(全てダイセル化学工業株式会社製)、Rauccarb 107(Enichem製)などが含まれる。
【0049】
他のポリオールの例として、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールFエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールFエーテルなどを挙げることができる。
【0050】
これらの他のポリオールとして、分子中にアルキレンオキシド構造を有するもの、特にポリエーテルポリオールが好ましい。一実施態様では、ポリテトラメチレングリコールを含むポリオールと、ブチレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマーグリコールが好ましい。
【0051】
これらのポリオールのヒドロキシル数に由来する数平均分子量は、通常、約50から約15000、好ましくは約1000から約8000である。ここで使用される場合、特に明記しない限り、分子量は、SEC法によって決定される、グラム/モル(g/モル)で特定される数平均分子量を指す。
【0052】
ウレタン系反応性オリゴマーはまた好ましくは、ポリイソシアネート化合物、好ましくはジイソシアネート化合物の反応生成物である。適切なジイソシアネートの例には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、(水素化)キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-及び/又は4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナト-エチル)フマレート、6-イソプロピル-1,3-フェニルジイソシアネート、4-ジフェニルプロパンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが含まれる。
【0053】
これらのジイソシアネート化合物は、個々に、又は二種以上の組み合わせで使用することができる。好ましいジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、及び2,6-トリレンジイソシアネートである。
【0054】
ウレタン系反応性オリゴマーは、また好ましくは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の反応生成物である。使用されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの例には、(メタ)アクリル酸及びエポキシから誘導される(メタ)アクリレート、及びアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート、より具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-オキシフェニル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシエチルカプロラクトンアクリレートが含まれる。以下に記載されるように、メタクリレート化合物が強く好まれる。
【0055】
驚くべきことに、本発明者は、ここの他の場所で検討され、請求項に記載されるように規定された場合、メタクリレート官能基を含む組成物が優れた特定用途向けの特性を示すことをここで発見した。より具体的には、反応性オリゴマー成分が特定量のメタクリレート官能性重合性基を含む場合、本発明者は、本発明に係る組成物が、伝統的に規定されたオールアクリレート系から誘導されるものよりも速く実行可能な光ファイバーコーティングを形成することをここで予想外に発見した。更に、そのようなコーティング組成物は、伝統的なオールアクリレート類似物に匹敵するか、又はそれよりも更に低い極限弾性率を有する硬化光ファイバーコーティングの形成をまた促進しながら、これを達成することがここで観察されている。これは、等価なオールアクリレート組成物と比較して反応した不飽和率(%RAU)によって測定した場合、そのようなコーティングがより遅い硬化である場合にもかかわらず、しかりであることがここで観察されている。実際、アクリル不飽和を含む系が、メタクリル二重結合を含む系よりもかなり反応性が高いことが十分に確立されており(例えば、Radiation Curing in Polymer Science and Technology-Vol.1:Fundamentals and Methods,I.Fouassier,J.P等,Elsevier Science Publishers Ltd.1993 pp.8-9を参照)、更にメタクリル不飽和生成物が同等のアクリル生成物よりも硬く、柔軟性が低いことが知られている(同上)ことを考慮すると、これらの結果は本当に驚くべきものである。
【0056】
従って、本発明者は、驚くべきことに、メタクリレート官能性反応性オリゴマーを含む組成物は、伝統的な%RAUメトリックでは必ずしもより速く硬化するわけではないが、それにもかかわらず、専らアクリレート官能性反応性オリゴマーを有する反応性オリゴマーを含む組成物よりも速い十分に高い網目構造弾性率を構築することを発見した。これにより、このような組成物が、高ライン速度と次の製造操作(二次コーティングの塗布又は新たにコーティングされた光ファイバーのスプーリング)の近接性が、最も重要である高速の網目構造特性の構築を支配する、光ファイバーコーティング塗布での高速塗布により適したものになる。伝統的に依存していた%RAU法を超えた方法で硬化速度性能を研究する本発明者の洞察は、数十年のこれまでの光ファイバーコーティング開発にもかかわらずこれまで見過ごされてきた本願の優れた性能の組み合わせの発見を容易にした。
【0057】
従って、反応性オリゴマー成分中の反応性オリゴマーの重合性基の少なくとも幾らかは、メタクリル二重結合を含む。好ましい実施態様では、反応性オリゴマーの重合性基は、メタクリレート基を含む。好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分の重合性基の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも33%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも99%、又は約100%が、メタクリレート基からなる。好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分の全ての反応性オリゴマー中に存在するメタクリレート基とアクリレート基の比は、1:9より大きく、又は1:4より大きく、又は1:3より大きく、又は1:2より大きく、又は1:1より大きく、又は3:2より大きく、又は2:1より大きく、又は3:1より大きく、又は5:1より大きく、又は8:1より大きく、又は9:1より大きく、又は100:1より大きい。
【0058】
一実施態様では、反応性オリゴマー成分中に存在する重合性基は、メタクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる。別の実施態様では、重合性基として全ての反応性オリゴマー中に存在するメタクリレート及びアクリレート基の全数のみを数える場合、反応性オリゴマー成分は、メタクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる。
【0059】
一方、組成物全体に関して、好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分及び反応性希釈モノマー成分中に存在する重合性基の全量のうち、組成物中に存在するメタクリレート基のモル百分率は、1%から20%、又は1%から18%、又は1%から15%、又は2%から20%、又は2%から18%、又は2%から15%、又は4%から20%、又は4%から18%、又は4%から15%、又は9%から20%、又は9%から18%、又は9%から15%である。別の実施態様では、(メタ)アクリレート基(すなわち、全てのメタクリレート基及び全てのアクリレート基)に対するメタクリレート基のモル比は、2%から20%、又は2%から18%、又は2%から15%、又は4%から20%、又は4%から18%、又は4%から15%、又は9%から20%、又は9%から18%、又は9%から15%である。
【0060】
反応性オリゴマー成分における反応性オリゴマーを合成するために使用される化合物の様々な比率を使用することができる。ウレタン系反応性オリゴマーに関して、一実施態様では、ウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーを調製するために使用されるポリオール、ジイソシアネート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの比率は、ジイソシアネートに含まれる約1.1から約3当量のイソシアネート基と、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートに含まれる約0.1から約1.5当量のヒドロキシル基が、ポリオールに含まれる1当量のヒドロキシル基に対して使用されるように決定される。
【0061】
ウレタン系反応性オリゴマーを作製するために使用される三成分の反応においては、ウレタン化触媒もまた好ましく使用される。そのような触媒には、一例として、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジ-n-ブチルスズジラウレート、トリエチルアミン、及びトリエチレンジアミン-2-メチルトリエチレンアミンが含まれる。触媒は、任意の適切な量で、又は例えば反応物の全量の約0.01から約1重量%で使用されうる。反応は、約10から約90℃、好ましくは約30から約80℃の温度などの任意の適切な温度で実施されうる。
【0062】
反応性オリゴマー成分はまた一又は複数のウレタン不含有反応性オリゴマーを含みうる。ウレタン不含有反応性オリゴマーの例には、(メタ)アクリレート化アクリルオリゴマー、ウレタン不含有ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及びウレタン不含有アルキド(メタ)アクリレートオリゴマーが含まれる。使用されうる他のそのようなオリゴマーには、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリアミド(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンオリゴマー、及び(メタ)アクリル酸とグリシジルメタクリレート及び他の重合性モノマーのコポリマーとを反応させることによって得られる反応性オリゴマーが含まれる。反応性オリゴマーの更なる例には、マレイン酸、フタル酸及び一又は複数のジオールから通常調製され、約500を超える分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂が含まれる。このタイプの不飽和オリゴマーはまたプレポリマーとして知られている。不飽和化合物の典型的な例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドのエステル、及び鎖又は側鎖にエチレン性不飽和基を含むポリマーで、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びそれらのコポリマー、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖に(メタ)アクリル基を含むポリマー及びコポリマー、並びに一又は複数のそのようなポリマーの混合物である。
【0063】
不飽和カルボン酸の例示的な例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、リノレン酸又はオレイン酸などの不飽和脂肪酸である。適切なポリオールは、芳香族、脂肪族及び脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールは、典型的には、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、並びにノボラック及びクレゾールである。ポリエポキシドには、引用されたポリオール、例えば芳香族ポリオール及びエピクロロヒドリンに基づくものが含まれる。
【0064】
一実施態様では、反応性オリゴマー成分には、アルコキシル化ビスフェノール-A-ジ(メタ)アクリレート及びジグリシジル-ビスフェノール-A-ジ(メタ)アクリレートなどの一又は複数のビスフェノールA系の(メタ)アクリレートオリゴマーが含まれる。別の実施態様では、反応性オリゴマー成分は、ポリエーテル系のメタクリレートオリゴマー、ポリカーボネートメタクリレートオリゴマー、ポリエステルメタクリレートオリゴマー、アルキドメタクリレートオリゴマー及びメタクリレート化アクリルオリゴマー、並びにそれらの混合物を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0065】
好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、一又は複数の二官能性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。ここで使用される場合、「二官能性」とは、NMR法によって決定されて、1分子当たり平均1.5から2.5未満の重合性基を有することを意味する。しかしながら、他の実施態様では、反応性オリゴマー成分は、二官能性エンドキャッパーがオリゴマーの末端に配置される状況の場合のように、2.5を超える官能性を有する少なくともオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。従って、一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、三官能性(すなわち、1分子当たり2.5から3.4の重合性基)又は四官能性(すなわち、1分子当たり3.5から4.4の重合性基)オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0066】
更に、好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、2000g/モルを超えるMnを有する一又は複数の反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。反応性オリゴマーの何れか(又は全て)のMnがこの値を下回ると、最終的なコーティング特性に悪影響が及ぶ場合があり、及び/又は組成物が室温で固化する傾向がある場合がある。一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、更に高い、例えば、3000を超え、又は4000を超え、又は5000を超え、又は6000を超え、又は7000を超え、又は8000g/モルを超えるMnを有する。
【0067】
好ましい実施態様では、反応性オリゴマー成分は、7000g/モルから25000g/モルのMnを有する二官能性ウレタン含有反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい実施態様では、そのようなオリゴマーは、上記ポリオールのブレンドを使用する脂肪族ポリエーテルウレタンメタクリレートオリゴマー及び脂肪族ウレタンメタクリレートオリゴマーである。反応性オリゴマーに関してここで使用される場合、「脂肪族」という用語は、全体的に脂肪族のジイソシアネートが使用されるという事実を指す。
【0068】
前述の反応性オリゴマーの一又は複数を、任意の適切な量で本発明に係る組成物において用いることができ、単独で又はここに列挙される一又は複数のタイプの組み合わせで選択することができる。一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、組成物の全重量に対して、約5重量%から約90重量%、又は約10重量%から約90重量%、又は約10重量%から約80重量%の量で存在する。一実施態様では、反応性オリゴマー成分は、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は25-90重量%、又は30-85重量%、又は40-80重量%、又は45-85重量%、又は55-80重量%、又は60-85重量%、又は60-80重量%の量で存在する。
【0069】
[反応性希釈モノマー]
本発明の第一の態様に係る組成物はまた反応性希釈モノマー成分を含む。ここの他の場所に記載されているオリゴマー成分の適格性に関して特定される場合、「反応性」とは、別の分子と化学反応、好ましくは重合反応を形成する能力を意味する。而して、反応性化合物は、少なくとも一の反応性又は官能性基を有すると言われるであろう。そのような反応性又は官能基は重合性基であることが好ましい。一方、モノマーは、ここでは、その構造は重合を受けることができ、それによって高分子の本質的な構造に構成単位を提供する相対分子量が低い分子を意味するために使用される。ここで使用される場合、成分は、それが約1000g/モル未満の数平均分子量(Mn)を更に有する場合、モノマーと見なされる。しかしながら、好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、適切なSEC法で測定して、約86g/モル(メチルアクリレートのモル質量)から800g/モル、又は100g/モルから350g/モルのMnを有する一又は複数の反応性希釈モノマーからなる。別の実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、約86g/モルから800g/モル、又は100g/モルから350g/モルの理論分子量を有する一又は複数の反応性希釈モノマーからなり、ここで、Mn,theoは、特定の化合物に関連する理想的な化学構造中の全ての原子の標準原子重量を加算することによって決定される。従って、化合物のMn,theoは、一般にその化合物のモル質量とも呼ばれる。
【0070】
ここで使用される場合、「希釈剤」は、それが添加されるか又はそれが関連するより大きな組成物の粘度を低下させる物質を意味する。様々な希釈剤を使用して、それらが関連する光ファイバーコーティング組成物の流動性、ひいては加工性が最大化される。
【0071】
好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、複数の個々の反応性希釈モノマー分子を含む。一実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、複数の反応性希釈モノマー分子からなるか、又はそれから本質的になり、ここで、各分子は、同じ又は実質的に同じ化学構造を有する。代替の実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、異なる化学構造を有する複数の反応性希釈モノマー分子からなる。一実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、二又は二を超える異なるタイプの反応性希釈モノマーからなる。
【0072】
本発明に係る反応性希釈モノマー成分は、少なくとも一の重合性基を有する反応性希釈モノマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、平均して一の重合性基を有する反応性希釈モノマーからなる。反応性希釈モノマーの重合性基は、好ましくは、関連する反応性オリゴマー成分中に存在する重合性基と(共)重合することができる。
【0073】
反応性希釈モノマー成分の重合性基は、任意の既知のタイプのものでありうる。しかしながら、一実施態様では、重合性基は、アクリレート、アクリルアミド、又はN-ビニルアミド基、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなりうる。反応性希釈モノマーは、好ましくは、少なくとも一の反応性オレフィン二重結合を含むエチレン性不飽和重合性化合物である。
【0074】
重合性基は、反応性希釈モノマーの長さに沿った任意の実行可能点に生じうる。しかしながら、好ましい実施態様では、重合性基は、重合性末端基を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0075】
本発明に係る反応性希釈モノマーは、ここの他の場所で特定された定義と一致する任意の既知のタイプのものでありうる。しかしながら、好ましい実施態様では、反応性希釈モノマーは、一の二重結合を含む一又は複数の反応性希釈モノマーを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0076】
一の二重結合を含むそのような反応性希釈モノマーの典型的な例は、アルキル又はヒドロキシアルキルアクリレート、例えば、メチル、エチル、ブチル、2-フェノキシエチル、2-エチルヘキシル、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチル及びエチルアクリレート、ラウリル-アクリレート、エトキシル化ノニル-フェノールアクリレート、及びジエチレン-グリコール-エチル-ヘキシルアシレート(DEGEHA)である。これらのモノマーの更なる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、N-置換アクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、スチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。一を超える二重結合を含むモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’-ビス(2-アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びテトラアクリレート、及びビニルアクリレートである。
【0077】
使用されるモノマーは、非極性又は極性でありうる。適切に使用されうる所定の非極性モノマーには、2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)、トリデシルアクリレート(TDA)、イソデシルアクリレート(IDA)、ラウリルアクリレート(LA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、及び様々なカプロラクトンアクリレート、例えばToneTMM100又はSartomer SR495Bとして商業的に知られているものなどが含まれる。
【0078】
使用されうるより高い極性のモノマーには、ジメチルアクリルアミド(dMAA)、N-ビニルピロリドン(nVP)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(EOEOA)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)、2-フェノキシエチルアクリレート(PEA)、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(ENPA)、エトキシル化2-フェノキシエチルアクリレート(EPEA)、及びプロポキシル化ノニルフェノールアクリレート(PONPA)が含まれる。
【0079】
上で検討されたように、本発明者は、上記のように、メタクリレート官能基を有する反応性オリゴマーを導入した組成物が、優れた特定用途向けの特性の形成を容易にすることをここで予想外に発見した。しかしながら、そのような特性は、そのようなメタクリレート官能性オリゴマーが所定のタイプの反応性希釈モノマーと対にされる場合に達成可能であることが更にここで知見された。具体的には、本発明者は、メタクリレート官能性オリゴマーが、アクリレート、アクリルアミド、又はN-ビニルアミド官能基を有する希釈モノマーなど、少なくとも幾つかの非メタクリレート官能基を有する反応性希釈モノマーと対にされる場合、これらの優れた結果を驚くべくことに発見した。
【0080】
従って、反応性希釈モノマー成分中の反応性希釈モノマーの重合性基の少なくとも幾らかは、アクリル又はN-ビニル二重結合を含む。好ましい実施態様では、反応性希釈モノマーの重合性基は、アクリレート、アクリルアミド、又はN-ビニルアミド基を含む。好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分の重合性基の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも99%、又は約100%は、アクリレート、アクリルアミド、及び/又はN-ビニルアミド基の一又は複数からなる。
【0081】
代替の実施態様では、反応性希釈モノマー成分中に存在する重合性基は、アクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる。別の実施態様では、反応性希釈モノマー成分中の全ての反応性希釈モノマー中に重合性基として存在するメタクリレート及びアクリレート基の全数のみを数える場合、反応性希釈モノマー成分は、アクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる。
【0082】
好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分の重合性基の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも99%、又は約100%が、一又は複数のアクリレート基からなる。好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分の重合性基又は重合性末端基は、アクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる。更に、反応性希釈モノマー成分中のメタクリレート基の数を可能な限り少なく、好ましくは反応性希釈モノマー成分中の重合性基の全数の20%未満、又は10%未満、又は5%未満、又は1%未満、又は好ましくは約0%に維持することが好ましい。
【0083】
しかしながら、全組成物に関して、一実施態様では、全組成物中に存在するアクリレート基とメタクリレート基の比は、4:1よりも大きいか、又は25:1よりも大きいが、好ましくは50:1未満である。あるいは、全組成物中に存在するアクリレート基とメタクリレート基の比は、4:1から50:1、又は4:1から25:1、又は4:1から10:1、又は4.6:1から50:1、又は4.6:1から25:1、又は4.6:1から10:1、又は5.6:1から50:1、又は5.6:1から25:1、又は5.6:1から10:1である。
【0084】
好ましい実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、一又は複数の単官能性希釈モノマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。ここで使用される場合、「単官能性」とは、核磁気共鳴分光法(NMR)法によって決定されて、1分子当たり平均で0.5から1.4の間の重合性基を有していることを意味する。
【0085】
前述の反応性希釈モノマーの一又は複数を、それらが関連する配合物の粘度を調整して、本発明が適用される技術分野においてよく知られた方法に従ってそれと共に使用される光ファイバーコーティング方法に適したものにするために、任意の適切な量で本発明に係る組成物において用いることができ、単独で、又はここに列挙された一又は複数のタイプとの組み合わせで選択することができる。一実施態様では、反応性希釈モノマー成分は、放射線硬化性組成物の全重量に対して、1重量%から50重量%、又は1重量%から30重量%、又は5重量%から70重量%、又は5重量%から50重量%、又は10重量%から70重量%、又は10重量%から60重量%、又は10重量%から50重量%、又は20重量%から50重量%の量で存在する。
【0086】
[光開始剤成分]
好ましい実施態様では、本発明の光ファイバーをコーティングするための液体放射線硬化性樹脂は、光開始剤成分を含む。光開始剤は、光の作用又は光の作用と増感色素の電子励起との間の相乗効果によって化学的に変化して、ラジカル、酸、及び塩基のうちの少なくとも一つを生成する化合物である。よく知られているタイプの光開始剤には、カチオン性光開始剤及びフリーラジカル光開始剤が含まれる。本発明の一実施態様によれば、光開始剤は、フリーラジカル光開始剤である。
【0087】
一実施態様では、光開始剤は、アシルホスフィンオキシド光開始剤を含む。アシルホスフィンオキシド光開始剤は、例えば、米国特許第4324744号、第4737593号、第5942290号、第5534559号、第6020529号、第6486228号、及び第6486226号に開示されている。
【0088】
アシルホスフィンオキシド光開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)又はモノアシルホスフィンオキシド(MAPO)である。
【0089】
ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式Iのものである:
上式中、R
50は、非置換であるか、1から4のハロゲン又はC
1-C
8アルキルで置換されている、C
1-C
12アルキル、シクロヘキシル又はフェニルであり;
R
51及びR
52は、それぞれ他方から独立してC
1-C
8アルキル又はC
1-C
8アルコキシであり;
R
53は水素又はC
1-C
8アルキルであり;及び
R
54は水素又はメチルである。
【0090】
例えば、R50は、非置換であるか、1から4のC1-C4アルキル、Cl又はBrで置換されている、C2-C10アルキル、シクロヘキシル又はフェニルである。別の実施態様は、R50が、非置換であるか、又は2-、3-、4-又は2,5-位置がC1-C4アルキルで置換されているC3-C8アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルである場合である。例えば、R50は、C4-C12アルキル又はシクロヘキシルであり、R51及びR52は、それぞれ他方から独立してC1-C8アルキル又はC1-C8アルコキシであり、R53は水素又はC1-C8アルキルである。例えば、R51及びR52はC1-C4アルキル又はC1-C4アルコキシであり、R53は水素又はC1-C4アルキルである。別の実施態様は、R51及びR52がメチル又はメトキシであり、R53が水素又はメチルである場合である。例えば、R51、R52、及びR53はメチルである。別の実施態様は、R51、R52、及びR53がメチルであり、R54が水素である場合である。別の実施態様は、R50がC3-C8アルキルである場合である。例えば、R51及びR52はメトキシ、R53及びR54は水素、R50はイソオクチルである。例えば、R50はイソブチルである。例えば、R50はフェニルである。本ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(CAS#162881-26-7)であるか、又はビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-(2,4-ビス-ペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシドである。
【0091】
モノアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式IIのものである:
上式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、非置換であるか、又はハロゲン、C
1-C
8アルキル及び/又はC
1-C
8アルコキシで1から4回置換されている、C
1-C
12アルキル、ベンジル、フェニルであり、又はシクロヘキシル又は基-COR
3であり、あるいは
R
1は-OR
4であり;
R
3は、非置換であるか、又はC
1-C
8アルキル、C
1-C
8アルコキシ、C
1-C
8アルキルチオ及び/又はハロゲンによって1から4回置換されているフェニルであり;かつ
R
4はC
1-C
8アルキル、フェニル又はベンジルである。例えば、R
1は-OR
4である。例えば、R
2は、非置換であるか、又はハロゲン、C
1-C
8アルキル及び/又はC
1-C
8アルコキシによって1から4回置換されているフェニルである。例えば、R
3は、非置換であるか、又はC
1-C
8アルキルによって1から4回置換されているフェニルである。例えば、本モノアシルホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434-11-7)又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(CAS#12790-72-6)である。
【0092】
本発明に係る組成物は、更なる光開始剤、例えば、式IIIのα-ヒドロキシケトン光開始剤をまた用いうる:
上式中
R
11及びR
12は、互いに独立して、水素、C
1-C
6アルキル、フェニル、C
1-C
6アルコキシ、OSiR
16(R
17)
2又は-O(CH
2CH
2O)
q-C
1-C
6アルキルであり、あるいは
R
11及びR
12は、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成し;
qは1から20までの数であり;
R
13は、OH、C
1-C
16アルコキシ又は-O(CH
2CH
2O)
q-C
1-C
6アルキルであり;
R
14は、水素、C
1-C
18アルキル、C
1-C
12ヒドロキシアルキル、C
1-C
18アルコキシ、-OCH
2CH
2-OR
15、-CH=CH
2、-C(CH
3)=CH
2であり、又は
であり、
nは2から10までの数であり;
R
15は水素、-COCH=CH
2又は-COC(CH
3)=CH
2であり;
R
16及びR
17は、互いに独立して、C
1-C
8アルキル又はフェニルであり;かつ
G
3及びG
4は、互いに独立して、ポリマー構造の末端基、好ましくは水素又はメチルである。
【0093】
対象となるα-ヒドロキシケトン光開始剤は、R
11及びR
12が互いに独立して水素、C
1-C
6アルキル又はフェニルであり、又はR
11及びR
12が、それらが結合している炭素原子と共にシクロヘキシル環を形成し、R
13はOHであり、R
14は水素、C
1-C
12アルキル、C
1-C
12アルコキシ、-OCH
2CH
2OR
15、-C(CH
3)=CH
2であり、又は
であるものである。
【0094】
例えば、α-ヒドロキシケトン光開始剤として適切なのは、R
11及びR
12が互いに独立してメチル又はエチルであるか、あるいはR
11及びR
12が、それらが結合している炭素原子と共にシクロヘキシル環を形成し、R
13が水素であり、R
14が水素、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4アルコキシ又は-OCH
2CH
2OHであるものである。また興味深いものは、R
14が
である化合物である。
【0095】
例えば、適切なα-ヒドロキシケトン光開始剤は、
α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピルフェニル)プロパノン、
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ドデシルフェニル)プロパノン、
2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン及び
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノン
である。
【0096】
本α-ヒドロキシケトン光開始剤は、例えば、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン又は2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノンである。直鎖又は分枝鎖アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、イソオクチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル又はドデシルである。同様に、アルコキシ又はアルキルチオは、同じ直鎖又は分枝鎖のものである。
【0097】
本発明に係る光開始剤は、単独で、又は一又は複数を組み合わせてブレンドとして用いることができる。適切な光開始剤ブレンドは、例えば米国特許第6020528号及び米国特許出願第60/498848号に開示されている。一実施態様によれば、光開始剤成分は、例えば、約1:11、1:10、1:9、1:8又は1:7の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(CAS#162881-26-7)と2,4,6,-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434-11-7)の光開始剤ブレンドを含む。
【0098】
別の特に適切な光開始剤ブレンドは、例えば約3:1:15又は3:1:16又は4:1:15又は4:1:16の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6,-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(CAS#7473-98-5)の混合物である。別の適切な光開始剤ブレンドは、例えば約1:3、1:4又は1:5の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノンの混合物である。一実施態様では、本アシルホスフィンオキシド又は光開始剤ブレンドは、放射線硬化性組成物中に、組成物の重量に基づいて、約0.2から約10重量%で存在する。例えば、光開始剤ブレンドは、放射線硬化性組成物の重量に基づいて、約0.5から約8重量%、約1から約7重量%、又は約2、3、4、5又は6重量%で存在する。
【0099】
本発明に係る他の適切な光開始剤は、例えば、他のモノ又はビスアシルホスフィンオキシド、例えばジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド又はビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド;α-ヒドロキシケトン、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン又は2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン;α-アミノケトン、例えば2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン又は2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[3,4-ジメトキシフェニル]-1-ブタノン;ベンゾフェノン類、例えばベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、2-メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(クロロメチル)-ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチル-4’-フェニル-ベンゾフェノン又は3-メチル-4’-フェニル-ベンゾフェノン;ケタール化合物、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタノン;及び単量体又は二量体フェニルグリオキシル酸エステル、例えばメチルフェニルグリオキシル酸エステル、5,5’-オキソ-ジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)又は1,2-(ベンゾイルカルボキシ)エタンである。
【0100】
アシルホスフィンオキシド光開始剤の有無にかかわらず、本発明に従って使用される他の適切な光開始剤は、例えば、米国特許第6596445号に開示されているようなオキシムエステルである。適切なオキシムエステル光開始剤は、例えば
である。
【0101】
アシルホスフィンオキシド光開始剤の有無にかかわらず、本発明に係る別のクラスの適切な光開始剤は、例えば、米国特許第6048660号に開示されているような、例えばフェニルグリオキサレートである。例えば、式:
のフェニルグリオキサレートであり、上式中、YはC
1-C
12アルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシレン、O、S、又はNR
30によって一又は複数回中断されたC
2-C
40アルキレンであり、R
30は水素、C
1-C
12アルキル又はフェニルであり、好ましくはYはCH
2CH
2-O-CH
2CH
2である。
【0102】
別の実施態様によれば、組成物は、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換化合物である光開始剤を含みうる。一実施態様では、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換光開始剤は、炭素(14族)族の原子を有するか、又はそれを中心としている。そのような場合、(放射線の吸収を介して)励起されると、光開始剤化合物中に存在する第14族原子がラジカルを形成する。従って、そのような化合物は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫、及び鉛からなる群から選択される原子を有するか、又はそれらを中心としているラジカルを生成しうる。一実施態様では、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換光開始剤は、アシルゲルマニウム化合物である。そのような光開始剤は、その全体が出典明示によりここに援用される、DSM IP Assets B.V.に譲渡された米国特許第9708442号に記載されている。
【0103】
一実施態様では、組成物は、次の式:
(上式中、Ar
1は、非置換かあるいは一又は複数のアルキル基、エーテル、硫化物、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族又は複素環式基、アルキル基、あるいは一又は複数のエーテル、硫化物、シリル、カルボキシル、もしくはビニル基によって中断された芳香族又は複素環式基によって任意の位置で更に置換された、芳香族基であり、かつR
1、R
2、及びR
3は、独立して、非置換かあるいは一又は複数のアルキル基、エーテル、硫化物、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族又は複素環式基、アルキル基、あるいは一又は複数のエーテル、硫化物、シリル、カルボキシル、もしくはビニル基によって中断された芳香族又は複素環式基によって更に置換された、アシル、アリール、アルキル、又はカルボニル基でありうる)に従う構造を有するゲルマニウム系化合物である光開始剤を含む。アシルゲルマニウム化合物を含む重合性組成物は、とりわけ、Ivoclar Vivadent AGに譲渡された米国特許第7605190号に記載されている。
【0104】
一実施態様では、R1-R3のそれぞれは、アリール置換又は芳香族アシル基である。一実施態様では、R1-R3の正確に二つはアリール置換又は芳香族アシル基であり、残りの置換基がC1-C10、又はC1-C6、又はC1-C3アルキルである。一実施態様では、R1-R3の正確に一つはアリール置換又は芳香族アシル基であり、残りの二つの置換基がC1-C10、又はC1-C6、又はC1-C3アルキルである。別の実施態様では、R1-R3のそれぞれはC1-C10、又はC1-C6、又はC1-C3アルキルである。
【0105】
一実施態様では、アシルゲルマニウム光開始剤は、次の分子構造:
の一つを有する化合物である。
【0106】
一実施態様では、フリーラジカル光開始剤はアシルゲルマニウム化合物である。一実施態様では、アシルゲルマニウムは、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTG)又はビスアシルゲルマノイル(Ivoclar Vivadent AG,9494 Schaan/LiechtensteinからIvocerin(登録商標)として市販)である。
【0107】
前述の光開始剤の一又は複数を、任意の適切な量で本発明に係る組成物において用いることができ、単独で又はここに列挙される一又は複数のタイプとの組み合わせで選択することができる。好ましい実施態様では、光開始剤成分は、フリーラジカル光開始剤を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。一実施態様では、光開始剤成分は、組成物の全重量に対して、約0.1重量%から約10重量%、又は約0.1重量%から約5重量%、又は約1重量%から約5重量%の量で存在する。
【0108】
[添加剤]
添加剤は、典型的には、改善された保存期間、改善されたコーティングの酸化的及び加水分解的安定性などのような所定の望ましい特性を達成するために光ファイバーコーティングにまた添加される。多くの異なるタイプの望ましい添加剤があり、ここで検討される本発明は、これらによって限定されることは意図されないが、それらは望ましい効果を有するので、想定される実施態様に含められる。
【0109】
これらの例は、未成熟重合を防止することを意図した熱阻害剤であり、例は、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p-メトキシフェノール、ベータ-ナフトール、又は2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾールなどの立体障害フェノールである。暗所での保存期間は、例えば、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅又はオクタン酸銅などの銅化合物、リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル又は亜リン酸トリベンジル、テトラメチルアンモニウムクロリド又はトリメチルベンジルアンモニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物を使用することによって延長することができる。
【0110】
重合中に大気中の酸素を遮断するために、パラフィン又は同様のワックス様物質を添加することができる;これらは、ポリマーへの溶解度が低いため、重合開始時に表面に移動し、空気の侵入を防ぐ透明な表面層を形成する。同様に、酸素バリア層を適用することも可能である。
【0111】
添加できる光安定剤は、UV吸収剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニル-ベンゾフェノン、オキサルアミド又はヒドロキシフェニル-s-トリアジンタイプの周知の市販のUV吸収剤である。立体障害のある比較的非塩基性のアミン光安定剤(HALS)の使用の有無にかかわらず、個々のそのような化合物又はそれらの混合物を使用することが可能である。立体障害のあるアミンは、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンに基づいている。UV吸収剤と立体障害アミンは、例えば次の通りである:
【0112】
2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、例えば、米国特許第3004896号;第3055896号;第3072585号;第3074910号;第3189615号;第3218332号;第3230194号;第4127586号;第4226763号;第4275004号;第4278589号;第4315848号;第4347180号;第4383863号;第4675352号;第4681905号、第4853471号;第5268450号;第5278314号;第5280124号;第5319091号;第5410071号;第5436349号;第5516914号;第5554760号;第5563242号;第5574166号;第5607987号、第5977219号及び第6166218号に開示されている既知の市販のヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール、例えば2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-sec-ブチル-5-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ビス-α-クミル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-(ω-ヒドロキシ-オクタ-(エチレンオキシ)カルボニル-エチル)-,フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-ドデシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニル)エチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、ドデシル化2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-(2-(2-エチルヘキシルオキシ)-カルボニルエチル)-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-(2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレン-ビス(4-t-オクチル-(6-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-t-オクチル-5-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-フルオロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、メチル3-(5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、5-ブチルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジt-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-ブチルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び5-フェニルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール。
【0113】
2-ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクチルオキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシ及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体。
【0114】
置換及び非置換安息香酸のエステル、例えば、サリチル酸4-tert-ブチルフェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート。
【0115】
光重合を加速するために、例えば、欧州特許出願公開第438123号及び英国特許出願公開第2180358号に記載されているように、チオール、チオエーテル、ジスルフィド及びホスフィンなどの促進剤、共開始剤及び自動酸化剤を添加することが可能である。
【0116】
光重合は、スペクトル感度をシフト又は拡大する光増感剤の添加によっても加速することができる。これらは、特に芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体及び3-アシルクマリン誘導体、並びに3-(アロイルメチレン)チアゾリン、並びにエオシン、ローダミン及びエリスロシン染料である。あるいは、非芳香族カルボニル化合物を使用してもよい。非芳香族カルボニルの例は、ジメトキシアントラセンである。
【0117】
硬化手順は、特に、(例えば、二酸化チタンで)着色された組成物によって、また、熱的条件下でフリーラジカルを形成する成分、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエンなどのアゾ化合物、又は例えば、ヒドロペルオキシド又はペルオキシカーボネート、例えば米国特許第4753817号に記載されているようなt-ブチルヒドロペルオキシドのようなペルオキシ化合物を添加することによって、支援されうる。この目的に更に適しているのは、ベンゾピナコール化合物である。
【0118】
新規組成物はまた、光還元性染料、例えば、キサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、チアジン、ピロニン、ポルフィリン又はアクリジン染料、及び/又は放射線によって切断されうるトリハロメチル化合物を含みうる。同様の組成物は、例えば、米国特許第5229253号に記載されている。
【0119】
意図された用途に応じて、他の従来の添加剤を使用してもよい。例としては、蛍光増白剤、フィラー、顔料、染料、湿潤剤又はレベリング補剤がある。例えば、米国特許第5013768号に記載されているように、厚い着色されたコーティングには、ガラスマイクロビーズ又は粉末ガラス繊維を含めることもできる。
【0120】
好ましい実施態様では、添加剤成分は、一又は複数の接着促進化合物を含む。そのような接着促進剤は、ポリマー一次コーティングと光ガラスファイバーの表面との間の結合をもたらす。加水分解性であるシランカップリング剤が、ガラス接着促進剤として使用されている。シランカップリング剤は、一般構造(RO)3-Si-R’-Xを有し、ここで、Xは有機官能基、R’はアルキレン結合、及びROは加水分解性基(アルコキシ基など)である。そのような薬剤は、とりわけ米国特許第4932750号に記載されている。一実施態様では、接着促進剤は、メルカプト基及び/又は複数のアルコキシ基を含む加水分解性シラン化合物である。そのような接着促進剤は知られており、その関連部分が出典明示によりここに援用される米国特許出願第20020013383号に記載されている。
【0121】
一実施態様では、接着促進剤は、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリイルプロピルアクリレート、又は3-トリメトキシシリルプロパン-1-チオールの一又は複数を含む。あるいは、シランカップリング基を、オリゴマー成分中のオリゴマー上に反応させることができる;そのような場合、それらは添加剤としてではなく、オリゴマー成分の一部と見なされる。添加剤として使用される場合でも、オリゴマーで使用される場合でも、加工中及び使用中に対応するガラス光ファイバーの外面にコーティングが適切に接着する(かつ接着を維持する)ことを保証するために、接着促進剤化合物を利用することが非常に好ましい。
【0122】
上述の添加剤の一又は複数は、任意の適切な量で本発明に係る組成物に用いることができ、単独であるいはここに列挙される一又は複数のタイプの組み合わせで選択することができる。好ましい実施態様では、添加剤成分は、組成物の全重量に対して、約0.01重量%から約5重量%、より好ましくは約0.1重量%から約2重量%の量で存在する。別の実施態様によれば、上述の添加剤の一又は複数は、約1重量%から約5重量%の量で含められる。
【0123】
本発明の第二の態様は、光ファイバーをコーティングするための方法であって、ガラス光ファイバーを提供すること;ガラス光ファイバーの表面に一次コーティング組成物を塗布すること;場合によっては、前記一次コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な量のUV光を与えること;一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を塗布すること;一次コーティング組成物及び二次コーティング組成物を、紫外線を放出することができる少なくとも一の放射線源に曝露して、前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化に影響を及ぼし、光ファイバーの表面に硬化した一次コーティングを、硬化した一次コーティングの表面に硬化した二次コーティングを形成することを含み;ここで、一次コーティング組成物が、本発明の第一の態様の実施態様の何れかに係る組成物である、方法である。
【0124】
好ましくは、ガラス光ファイバーは、光ファイバーコーティングを作製する分野の当業者に従ってよく理解されている方法で、線引タワーを通して前記光ファイバーを線引きすることによってもたらされる。
【0125】
第四の態様の別の実施態様は、次の条件:1500m/分を超え、又は1700m/分を超え、又は2000m/分を超え、又は2500m/分を超え、又は3000m/分を超え、かつ5000m/未満、又は4000m/分未満、又は3100m/分未満の線引速度;あるいはヘリウムの非適用下、あるいは20標準リットル/分(SLM)未満、10SLM未満、5SLM未満、又は1から20SLM、又は1から10SLM、又は1から5SLM、又は5から20SLM、又は5から10SLMの流量でのヘリウムの適用下の一つに従う光ファイバーコーティング方法を記述する。
【0126】
本発明の第三の態様は、コーティングされた光ファイバーであり、コーティングされた光ファイバーは、ガラスコアと、該ガラスコアと接触し、それを囲繞するクラッド層;及びコーティング部であって、前記クラッド層と接触し、それを囲繞する一次コーティング層と、前記一次コーティング層と接触し、それを囲繞する二次コーティング層を更に含むコーティング部を含む。この第三の態様によれば、一次コーティング層は、第一の態様の実施態様の何れかに係る放射線硬化性組成物の硬化生成物である。
【0127】
第三の態様の実施態様に係るコーティングされた光ファイバーを、
図3及び
図4に示す。
図3には、ここで検討したファイバー10の側面図を示す。一方、
図4は、ここに記載されたコーティングされたファイバーの結果の一例のファイバー10の断面図である。
【0128】
光ファイバー10は、コア11、クラッド12、外側環状クラッド領域に接触してそれを囲繞する一次コーティング13、及び二次コーティング14を含む。コア11の外径はD1であり、クラッド12の外径はD2である。一次コーティング13は、1.5MPa未満、又は1.2MPa未満、又は0.35MPa、0.3MPa、又は0.25MPaと低く、他の実施態様では、0.2MPa以下のその場(又はファイバー上)引張弾性率を有する典型的な一次コーティングである。その場弾性率を記述する方法は当該技術分野で周知であり、とりわけ、米国特許第7171103号及び米国特許第6961508号に記載されており、これらはそれぞれDSM IP Astests BVに譲渡されている。硬化した一次コーティング13は、-35℃未満、又は-40℃未満、又は-45℃未満であり、他の実施態様では-50℃以下のその場ガラス転移温度を有する。低いその場弾性率を有する一次コーティングは、ファイバー内を伝搬するモード間のカップリングメカニズムであるマイクロベンディングを低減する。低いその場ガラス転移温度は、ファイバーが非常に寒い環境に敷設された場合でも、一次コーティングのその場弾性率が低いままであることを担保する。従って、マイクロベンディング性能は温度に対して安定しており、全ての状況で低モードカップリングが得られる。二次コーティング14は、一次コーティング13と接触し、それを囲繞する。二次コーティング14は、800MPaを超え、又は1110MPaを超え、又は1300MPaを超え、又は1400MPaを超え、又は1500MPaを超えるその場引張弾性率を有する。高いその場弾性率を有する二次コーティングは、ファイバー内を伝搬するモード間のカップリングメカニズムであるマイクロベンディングを低減する。
【0129】
ここに示され、記載される実施態様では、コア11は、純シリカガラス(SiO2)又はドープされていない純シリカガラスに対してガラスコアの屈折率を増加させる一又は複数種のドーパントを含むシリカガラスを含む。コアの屈折率を増加させるための適切なドーパントには、限定されないが、GeO2、Al2O3、P2O5、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。クラッド12は、純シリカガラス(SiO2)、クラッドが「アップドープ」されている場合など、屈折率を増加させる一又は複数種のドーパント(GeO2、Al2O3、P2O5、TiO2、ZrO2、Nb2O5、及び/又はTa2O5)を含むシリカガラス、又は内部クラッドが「ダウンドープ」されている場合など、コア11の最大相対屈折率[Δ1MAX]がクラッド12の最大相対屈折率[Δ4MAX]よりも大きい限り、フッ素のような屈折率を低下させるドーパントを含むシリカガラスを含みうる。一実施態様によれば、クラッド12は純シリカガラスである。
【0130】
本発明の第三の態様の実施態様では、任意の光ファイバータイプを使用することができる。しかし、好ましい実施態様では、コーティングされた光ファイバーは、1310nmの波長で8から10μmのモードフィールド径、又は1550nmの波長で9から13μmのモードフィールド径、及び/又は20から200μm2の有効面積を有する。そのようなファイバーは、より速いライン又は加工速度を利用するこれらファイバーのコーティングプロセスに対する予想される需要を考えると、シングルモード及び/又は大有効面積ファイバーでありうる。しかし、マルチモードファイバーなどの他のファイバータイプもまた使用できる。
【0131】
一次コーティング13は、光ファイバーのコアから逸脱した光信号を取り除くことを可能にするために、好ましくは、光ファイバー10のクラッド12よりも高い屈折率を有する。例えば、例示的な透過光ファイバー10は、コア及びクラッドについて、それぞれ、1.447及び1.436の、波長1550nmにおける屈折率値を有し得;従って、一次コーティング13の屈折率は、1550nmにおいて1.44よりも大きいことが望ましい。一次コーティング13は、熱的及び加水分解的エージング中にガラス繊維への十分な接着性を維持するが、(必要ならば)スプライシング目的でガラス繊維から剥がすことができる。一次コーティング13は、典型的には、20-50μmの範囲の厚さ(例えば、約25又は32.5μm)を有し、200μmファイバーについては15-25μmの範囲のより薄い厚さを有する。
【0132】
コーティング13は一次コーティングであり、通常はガラス繊維に直接塗布される。コーティング13は、好ましくは、低いその場弾性率及び低いその場Tgを有する軟質架橋ポリマー材料から形成される。
【0133】
一次コーティング13は、好ましくは、約40μm未満、より好ましくは約20から約40μmの間、最も好ましくは約20から約30μmの間の厚さを有する。以下にここでより詳細に説明するように、一次コーティング13は、典型的には、ガラス繊維に塗布され、その後硬化される。酸化防止剤、接着促進剤、PAG化合物、光増感剤、担体界面活性剤、粘着付与剤、触媒、安定剤、表面剤、及び上述のタイプの光学的光沢剤を含む、一次コーティングの一又は複数の特性を向上させる様々な添加剤もまた存在しうる。
【0134】
前述のように、一次コーティング組成物は、ここの他の場所に記載されている本発明の第一の態様の実施態様の何れかから選択されうる。一実施態様では、適切な一次コーティング組成物は、限定されないが、約10から95重量パーセント、又は10から90重量パーセント、又は約25から約75重量パーセントの一又は複数種のウレタンアクリレートオリゴマー;約10から約65重量パーセント、より好ましくは約25から約65重量パーセントの一又は複数の単官能性エチレン性不飽和モノマー;約0から約10重量パーセントの一又は複数の多官能性エチレン性不飽和モノマー;約1から約5重量パーセントの一又は複数の光開始剤;約0.5から約1.5pphの一又は複数の酸化防止剤;場合によっては約0.5から約1.5pphの一又は複数の接着促進剤;場合によっては約0.1から約10pphのPAG化合物;及び約0.01から約0.5pphの一又は複数の安定剤を含みうる。
【0135】
コーティング14は外側コーティングであり、「二次コーティング」の伝統的な目的を果たす。外側コーティング材料14は、例えば、その分子が重合時に高度に架橋されるコーティング組成物の重合生成物である。ここに記載の実施態様では、コーティング14は、高いその場弾性率(例えば、25℃において約800MPaを超える)及び高いTg(例えば、約50℃を超える)を有する。その場二次弾性率は、好ましくは約1000MPaより大きく、より好ましくは約1100MPaより大きく、最も好ましくは約1200MPaより大きい。幾つかの好ましい実施態様によれば、その場二次弾性率は1200MPaより大きい。他の好ましい実施態様では、その場二次弾性率は、約1000MPaと約8000MPaの間、より好ましくは約1200MPaと約5000MPaの間、最も好ましくは約1500MPaと約3000MPaの間である。二次コーティングのその場Tgは、好ましくは約50℃と約120℃の間、より好ましくは約50℃と約100℃の間である。一実施態様では、二次コーティング14は、約40μm未満、より好ましくは約20から約40μmの間、最も好ましくは約20から約30μmの間の厚さを有する。
【0136】
外側(又は二次)コーティング材料において使用するための他の適切な材料、並びにこれらの材料の選択に関連する考慮事項は、当該技術分野において周知であり、例えば、Chapinの米国特許第4962992号及び第5104433号に記載されている。これらの代替として、高弾性率コーティングが、Botelho等の米国特許第6775451号、及びChou等の米国特許第6689463号に記載されているように、低オリゴマー含有量のコーティング系を使用してまた得られている。加えて、非反応性オリゴマー成分が、Schissel等の米国出願公開第20070100039号に記載されているように、高弾性率コーティングを達成するために使用されている。以下にここでより詳細に説明するように、外側コーティングは、典型的には、先にコーティングされたファイバーに(事前の硬化の有無にかかわらず)塗布され、その後硬化される。酸化防止剤、PAG化合物、光増感剤、触媒、潤滑剤、低分子量非架橋樹脂、安定剤、界面活性剤、表面剤、スリップ添加剤、ワックス、微粉化ポリテトラフルオロエチレンなどを含む、コーティングの一又は複数の特性を向上させる様々な添加剤もまた存在しうる。当該技術分野でよく知られているように、二次コーティングはまたインクを含みうる。
【0137】
二次又は外側コーティング14に適した組成物は、限定されないが、約0から70重量パーセントの一又は複数のウレタンアクリレートオリゴマー;約20から約95重量パーセントの一又は複数の多官能性エチレン性不飽和モノマー;約0から約10重量パーセントの一又は複数の単官能性エチレン性不飽和モノマー;約1から約5重量パーセントの一又は複数の光開始剤;約0から約5pphの一又は複数のスリップ添加剤;及び約0.5から約1.5pphの一又は複数の酸化防止剤を含む。
【0138】
上記のようなファイバーの一次及び二次コーティング、並びに広帯域UVランプを使用して硬化するためのインク及びマトリックス材料のための典型的な光ファイバーコーティングを如何に配合するかは当該技術分野において知られている。この技術と関連した化学及び試験方法の良い議論は、Elsevierから出版された版権Elsevier Inc.2007、A.Mendez及びT.F.Morseの教科書「Specialty Optical Fibers Handbook」の第4章のセクション4.6から終りまでに見出すことができる。
【0139】
本発明の第四の態様は、光ファイバーが、本発明の第三の態様に係る少なくとも一種の光ファイバーを含み、及び/又は光ファイバーが、本発明の第一の態様に係る組成物の硬化生成物であり、及び/又は光ファイバーが本発明の第二の態様に従ってコーティングされた、光ファイバーケーブルである。
【0140】
本発明の改良された組成物は、ここに上で特定された成分の選択を介して配合され得、この発明が適用される当業者によって、ここでの配合ガイドラインに従うことによって、並びに以下の実施例に例証される実施態様で採用される一般的アプローチから外挿することによって更に容易に調整されうる。次のそのような実施例は、本発明を更に例証するが、もちろん、何であれその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0141】
これらの実施例は、本発明の実施態様を例証する。表1には、本実施例において使用される組成物の様々な成分を記載している。表2Aには、本実施例で使用されるオリゴマーを合成するために使用した、表1に記載の試薬の相対量を記載している。表2Bは、それぞれ、選択された反応性希釈モノマー及び反応性オリゴマーの更なる評価を表す。
【0142】
[オリゴマー1-18の合成]
最初に、表2Aからの指定量の該当するポリオール(例えば、オリゴマー1については84.06部のPPG2000)を、250mlの(撹拌機、空気入口、滴下漏斗、及び凝縮器を備えた)反応器に入れた。投入後、反応器を45℃に加熱した後、反応器を乾燥希薄空気でパージした。次に、指定量の該当するイソシアネート(例えば、オリゴマー1については10.97部のTDI)を、撹拌しながら反応器に入れた。このステップの後、対応する量のDBTDL(例えば、オリゴマー1については0.05部)を反応器に加えた。反応が始まるのを1時間待った後、温度を次に60℃に上げた。ついで、60℃の温度を更に2時間維持した。この2時間の追加の反応時間の後、電位差滴定装置によってイソシアネート(NCO)含有量を測定し、上の表2Aに指定された量からオリゴマーについて誘導できる理論的イソシアネート含有量の値の10%以内であることを確認した。測定値が10%以内になかった場合は、そのような値が達成されるまで、反応を更に15分刻みで継続し、ついで再チェックした。適切なイソシアネート含有量を確認したところで、指定量のBHT(例えば、オリゴマー1については0.05部)と共に、指定量の該当するエンドキャップ表面剤(例えば、オリゴマー1については4.88部のHEA)を混合物に添加した。次に、温度を85℃に上げた。得られた混合物を85℃で更に1時間反応させた。この追加の1時間の反応時間を考慮した後、NCO含有量を電位差滴定によって再度チェックした。イソシアネート含有量が組成物の全重量に対して0.1%未満になると、反応は終了したと見なした。イソシアネート含有量がこの値より低くなかった場合、混合物を15分追加の増分で反応チャンバー(再び85℃)に戻し、再びチェックし、このステップをイソシアネート含有量が所望の範囲内になるまで繰り返した。最後に、得られた合成オリゴマーをゆっくりと冷却し、ここの他の場所に記載されている実験で使用するために排出した。
【0143】
[オリゴマー11О(アウトサイドイン)の合成]
最初に、表2Aからのオリゴマー11についての指定量のヒドロキシエチルメタクリレート(例えば、1.57部のHEMA)を、指定量のBHT(例えば、オリゴマー11については0.05部)と共に250mlの(撹拌機、空気入口、滴下漏斗、及び凝縮器を備えた)反応器に入れた。投入後、反応器を45℃に加熱した後、反応器を乾燥希薄空気でパージした。次に、指定量の該当するイソシアネート(例えば、オリゴマー11については3.15部のTDI)を、撹拌しながら反応器に入れた。このステップの後、対応する量のDBTDL(例えば、オリゴマー1の場合は0.05部)を反応器に加えた。反応が始まるのを1時間待った後、温度を次に60℃に上げた。ついで60℃の温度を更に2時間維持した。この2時間の追加の反応時間の後、電位差滴定装置によってイソシアネート(NCO)含有量を測定し、上の表2Aで指定された量からオリゴマーについて誘導できる理論的イソシアネート含有量の値の10%以内であることを確認した。測定値が10%以内になかった場合は、そのような値が達成されるまで、反応を更に15分刻みで継続し、ついで再チェックした。適切なイソシアネート含有量を確認したところで、指定量の該当するポリオール(例えば、オリゴマー11について95.18部のPPG8000)を混合物に加えた。次に、温度を85℃に上げた。得られた混合物を85℃で更に1時間反応させた。この追加の1時間の反応時間を考慮した後、NCO含有量を電位差滴定によって再度チェックした。イソシアネート含有量が組成物の全重量に対して0.1%未満になると、反応は終了したと見なした。イソシアネート含有量がこの値より低くなかった場合、混合物を15分の追加増分で反応チャンバー(再び85℃)に戻し、再びチェックし、このステップをイソシアネート含有量が所望の範囲内になるまで繰り返した。最後に、得られた合成オリゴマーをゆっくりと冷却し、ここの他の場所に記載されている実験で使用するために排出した。
【0144】
[オリゴマー19-21の合成]
最初に、撹拌機、空気入口、滴下漏斗、及び凝縮器を備えた反応容器に、表2Aからの指定量の該当するポリオール(例えば、オリゴマー19については89.218部のPPG3000)を入れた。次に、撹拌しながら、指定量の該当するイソシアネート(例えば、オリゴマー19については7.395部のTDI)を添加し、続いて関連する量のBHT(オリゴマー19-21のそれぞれについて0.024部)を加えた。40℃に加熱した後、規定量のDBTDL(オリゴマー19-21のそれぞれについて0.027部)を加えた。反応が始まるのを1時間待った後、温度をゆっくりと60℃に上げた。ついで、60℃の温度を更に2時間維持した。この2時間の反応時間の後、電位差滴定装置によってイソシアネート(NCO)含有量を測定し、上記の表2Aで指定された量からオリゴマーについて誘導できる理論的イソシアネート含有量の値の10%以内であることを確認した。測定値が10%以内になかった場合は、そのような値が達成されるまで、反応を更に15分刻みで継続し、再チェックした。適切なイソシアネート含有量を確認したところで、温度を70℃に上げ、適切な量の最初のエンドキャップ(例えば、オリゴマー19についてはHEA)を追加した。得られた混合物を約70℃で2時間反応させた。電位差滴定装置を使用して、残留イソシアネート基濃度が15分毎に測定当たりの理論含有量の10%以内に減少した後、規定量の2-エチルヘキサノール(例えば、オリゴマー19については0.921部のEH)を添加し、反応を更に2時間継続させた。この追加の1時間の反応時間を考慮した後、NCO含有量を電位差滴定によって再度チェックした。イソシアネート含有量が組成物の全重量に対して0.1%未満になると、反応は終了したと見なした。イソシアネート含有量がこの値より低くなかった場合、混合物を15分の追加増分で反応チャンバーに戻し、再度チェックし、このステップをイソシアネート含有量が所望の範囲内になるまで繰り返した。最後に、得られた合成オリゴマーをゆっくりと冷却し、ここの他の場所に記載されている実験で使用するために排出した。
【0145】
[オリゴマー22-26の合成]
最初に、撹拌機、空気入口、滴下漏斗、及び凝縮器を備えた500mlの反応器を乾燥空気でパージした後、上の表2Aに指定された量のグリセロールモノメタクリレート及び食品等級のブチル化ヒドロキシトルエン(例えば、オリゴマー22及び23についてはそれぞれ0.94及び0.03部)を室温において反応器に入れた。次に、撹拌を継続しながら、指定量のジイソシアネート(TDI)を反応器に入れた。最初の発熱後、0.006部のDBTDLを反応器に加えた。30分後、温度を45℃に上げ、その時点で、規定量の指定ポリオールを反応器に入れた。ポリオールの添加後、0.02部のDBTDLを更に反応器に添加し、温度を60℃に上げた。ついで、60℃の温度を更に2時間維持した。この2時間の期間後、電位差滴定装置によってイソシアネート(NCO)含有量を測定し、上の表2Aに指定された量から各オリゴマーについて誘導できる理論的イソシアネート含有量の値の10%以内であることを確認した。測定値が10%以内になかった場合は、そのような値が達成されるまで、反応を更に15分刻みで継続し、再チェックした。適切なイソシアネート含有量を確認したところで、規定量の指定エンドキャップ(例えば、オリゴマー22については1.53部のHEMA)を加え、その後、温度を85℃に上げ、得られた混合物を85℃において更に1時間反応させた。この1時間の反応後、電位差滴定によってNCO含有量を再度チェックした。イソシアネート含有量が組成物の全重量に対して0.1%未満になったところで、反応は終了したと見なした。イソシアネート含有量がこの値より低くなかった場合、混合物を15分の追加増分で反応チャンバーに戻し、再度チェックし、このステップをイソシアネート含有量が所望の範囲内に入るまで繰り返した。最後に、得られた合成オリゴマーをゆっくりと冷却し、ここの他の場所に記載されている実験で使用するために排出した。
【0146】
[反応性オリゴマーの特性評価]
様々な反応性オリゴマーを合成した後、それらを、ASTM:D5296-11:“Standard Test Method for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Polystyrene by High Performance Size-Exclusion Chromatography,”ASTM International,West Conshohocken,PA,(2011)によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法に従って評価した。加えて、ASTM規格D 5226-98:“Standard Practice for Dissolving Polymer Materials,”ASTM International,West Conshohocken,PA,(2010)を使用して、ポリマー分析に適した溶媒の定義を容易にした。
【0147】
具体的には、全てのサイズ排除クロマトグラフィー測定は、TDA302三重検出器アレイを更に備えたViscotek GPCMax VE2001溶媒/サンプルモジュールシステムで実施した。クロマトグラフィー分離には、PSS Polymer Standards Service GmbH製の3つのPFGリニアXLカラムを使用した。検出器とカラムは35℃で操作した。SECの実施前に、一つの例外を除いて、各それぞれのポリマーを、0.1重量%のトリフルオロ酢酸カリウムを含むヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に1.0から1.5mg/mlの範囲の濃度で溶解させ、そのトリフルオロ酢酸カリウムを0.8ml/分の流量でSEC分析における溶出剤としてまた使用した。これに対する唯一の例外は、HFIPに容易に溶解しないため、テトラヒドロフランに溶解させたオリゴマー12であった。
【0148】
溶解が完了した後、屈折率、示差粘度、及び直角光散乱信号を使用する上記の三重検出法でモル質量及びモル質量分布をついで決定した。分子量平均とモル質量分布の計算には、0.215ml/gの固定屈折率増分(dn/dc)を使用した。屈折率増分及び分子量平均、並びにモル質量分布は、全屈折率クロマトグラムの積分によって決定した。積分限界を設定するために、IV-DP信号を追加で使用した。カラムからのサンプルの回収率は95%と105%の間で変動し、これは、サイズ排除クロマトグラフィーで得られる典型的な値である。
【0149】
この方法を使用して、数平均(Mn)、重量平均(Mw)、ピーク(Mp)、及びZ平均(Mz)分子量値を記録し、「モル比」欄に記載されている比で個々の反応物の分子量(表1に記載)を使用して計算した、理論分子量(Mn,theo)と共に表2Bに報告する(ここで、P=ポリオール;ISO=ジイソシアネート;A/MA=アクリレート及び/又はメタクリレート;OH=重合性基のないヒドロキシル基含有成分)。
【0150】
[反応性比の決定]
反応性比を決定するために、J.F.G.A.Jansen,Erwin E.J.E.Houben,Peter H.G.Tummers,Dietrich Wienke,John Hoffmann,“Real-Time Infrared Determination of Photoinitiated Copolymerization Reactivity Ratios:Application of the Hilbert Transform and Critical Evaluation of Data Analysis Techniques”.Macromolecules,37,2275(2004)に従って、異なる成分の転換をモニターするためにRT-FTIRを用いた。多変量解析は、純粋な成分のIRスペクトルを入力として使用して実施した。
【0151】
具体的には、上記のここに記載のオリゴマーで使用される幾つかのメタクリレートモノマーの反応性比を、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)との共重合において決定した。R
1は、成分のそれ自体との自己反応性比を表し、R
2は、関連するHEAとのその相対的な反応性比を表す。結果を以下の表2Cに報告する。
【0152】
[配合物1-99]
以下の表3A-3Eに記載される配合物のそれぞれは、SpeedmixerTMと共に使用するのに適した50mlの混合カップを使用することにより、一般的な方法によって調製した。具体的には、以下の表3Aから3Eにおいて指定された量のオリゴマーに1重量部の光開始剤TPOを加え、続いて規定量のモノマーを加えて合計10gとした。次に、カップを閉じて、SpeedmixerTMDAC150FVZで30秒間激しく混合し、停止させ、同じ方法で更に30秒間再び混合した。
【0153】
これらのサンプルを、各配合物のメタクリレート基のモルパーセント、T30%,modulusmax、及びMaxG’をそれぞれ決定するために、以下に記載の方法に従って試験した。メタクリレート基のモル%の値は小数点以下第1位まで四捨五入される一方、その他の値は小数点第2位まで四捨五入される。これらの測定された特性の値を、以下の表3A-3Eに報告する。
【0154】
[様々な重合性基のモル分率の計算]
様々な重合性基のモル分率を、ここで更に記載される理論分子量値(Mn,theo)を使用する計算ベースの方法によって決定したが、Mn,theo値が利用できない状況に対して、測定ベースの方法もまた本発明が適用される当業者によって理解されうる。ここで報告されるように、モル分率は、所望の重合性基タイプのモル量を、特定の組成成分中(あるいは、指定されている全組成物自体)の全ての重合性基のモル量で割ることによって決定される。モル量は、関連する各重合性基含有組成物構成成分のモル量を合計することによって決定され、各構成成分の値は、次の式:
に従って決定され、ここで、fは所与の組成物構成成分の1分子当たりの関連する所望の重合性基の数を表し、wt.%は全配合物に対する関連する所望の重合性基含有構成成分の重量パーセントであり、Mn,theoはそのような重合性基が導入される特定の組成物構成成分の理論分子量である。ここで使用されるオリゴマー及びモノマーのMn,theo値は、上の表2Bに報告される。
【0155】
ここでの目的では、オールメタクリレート、アクリレート、アクリルアミド、及びN-ビニルアミド基が重合性基であると考えられるが、ここに示されていない他の配合物のための他のそのような基は、この発明が適用される当業者により容易に理解されるであろう。誤解を避けるためであるが、ヒドロキシル基は、ここでは重合性基であるとは考えられない。前述のモル量計算法を使用して、各配合物に対する二つの異なるタイプのモル分率値を決定した(以下の表3Aから3Eに報告):「%MAオリゴマー」と「%AANモノマー」。
【0156】
「%MAオリゴマー」との見出しの欄では、以下の表3A-3Eに表される値は、オリゴマー成分中の全ての重合性基に対するオリゴマー成分中のメタクリレート基のモル分率を表す。例として、配合物45(そのオリゴマー成分は等重量部の反応性オリゴマーPPG8diHEMA及びPPG8diHEAからなる)は、49.96%の「%MAオリゴマー」値を有する。PPG8diHEMAの理論分子量は、そのアクリレート類似物よりも僅かに大きいため、そのような値は50%未満であると決定された。このための具体的な計算を、以下の表2Dに示す。
【0157】
次に、「%MAオリゴマー」値を、0.004129/0.008265を計算し、次にその値を%(すなわち×100)として表すことによって決定した。
【0158】
一方、「%AANモノマー」との見出しの欄では、反応性希釈モノマー成分全体中のアクリレート、アクリルアミド、及びN-ビニルアミド基のモル分率を、反応性希釈モノマー成分中の全ての重合性基からの分率として決定した。例として、配合物15の「%AANモノマー」は93.7%であり、その計算を以下の表2Eに示す。
【0159】
次に、「%AANモノマー」値を、0.1509/0.1611を計算し、次にその値を%(すなわち×100)として表すことによって決定した。
【0160】
最後に、「Mol%Meth」との見出しの欄では、全組成物中のオールメタクリレート基のモル分率を、全組成物中の全ての重合性基からのパーセンテージとして決定した。例として、配合物98の「Mol%Meth」は6.6%であり、その計算基準を以下の表2Fに示す。
【0161】
次に、「%Mol Meth」値を、0.0120/0.1812を計算し、その値を%(つまり、×100)で表すことによって決定した。
【0162】
[最大弾性率(G’)及びT30%,modulus max値の決定]
最大弾性率(G’)の値を、ここに記載の次の手順に従って決定した。この手順で使用したハードウェア/機器は次の通りであった:
[レオメーター+アクセサリー]
・ ARESG2-レオメーター(製造メーカー:TA Instruments)
・ APS温度制御装置(アドバンストペルチェシステム)
・ APS標準フラットプレート(下部ジオメトリ)
・ ARESG2 UV硬化アクセサリー(上部プレートフィクスチャ、UVライトシールドバック及びアクセスドア、コリメーティング光学レンズ)
・ UV硬化オプション上部プレートフィクスチャを備えたΦ20mmアクリルプレート(上部ジオメトリ)
・ SilverlineUV放射計、UV光センサー(未キャリブレート)、UVセンサージオメトリ及び使い捨てプレートホルダー
[UV光源など]
・ Omnicure LX500と付属の385nmLED及び8mmレンズの組み合わせ
・ Moeller Easy 412-DC-TCコントロールリレー(トリガーボックス)
・ UVパワーパックII(Electronic Instrumentation & Technology、キャリブレート済み)
【0163】
次に、上記のハードウェアを次のようにセットアップし、配置した。先ず、ARESG2レオメーター(TA Instruments)でUV硬化測定を実施した。レオメーターには、APS温度制御装置、下部ジオメトリとしてのAPS標準フラットプレート及びARESG2 UV硬化オプションが備わっていた。使用した上部ジオメトリは、ARESG2UV硬化オプションの上部プレートフィクスチャと直径20mmのアクリルプレートを組み合わせたものであった。UV光源として、Omnicure LX500スポット硬化システムを385nm LED(8mmレンズ)と組み合わせて使用した。次に、385nm LEDをARESG2 UV硬化アクセサリーのコリメーティング光学レンズに挿入した。コリメーティングレンズをライトシールドに固定し、上部UVジオメトリミラーに位置合わせし、位置合わせネジを締めた。コリメーティングレンズの元の5mmライトガイドホルダー部の直径を、385nm UV-LEDを収容するために12mmに拡大させた。
【0164】
次に、Omnicure LX500スポット硬化システムを、Moeller Easy 412-DC-TC制御リレーを介して、ARESG2のDIGITAL I/Oコネクターに接続した。コントロールリレーは、UV光源のトリガーボックスとして機能した。トリガーの遅延時間は1.5秒に設定したが、これは、ARESG2での弾性率測定のデータ収集の開始後、1.5秒の遅延で385nm UV-LEDのスイッチが自動的に入ったことを意味する。光強度を95%に設定し、UV光の持続時間を128秒に固定した。
【0165】
UV光の位置合わせ: APS温度制御ユニットを設置する前に位置合わせを行った。UVセンサージオメトリを使い捨てプレートホルダーに取り付け、下部ジオメトリとして設定した。Silverline UV放射計に接続されたUV光センサーを、UVセンサージオメトリの外側の穴に位置させた。上部ジオメトリを、約100グラムの軸方向の力を加えることによってUV光センサーの上部に配置した。次に、連続する各測定間に下部ジオメトリを約90°回転させることにより、4箇所の位置で光強度を測定した。次に、各点で可能な限り均等な配光を達成するために、コリメーティングレンズの位置合わせをついで光シールドの位置合わせネジで調整した。4箇所の異なる位置での光強度の差を10%未満に維持した。
【0166】
光強度の決定: RT-DMA測定の前に、UV強度を、キャリブレート済みUVパワーパックIIの助けを借りて測定した。これを達成するために、UVパワーパックIIのセンサーを、上部プレートフィクスチャの20mmアクリルプレートの表面の直下(距離<0.5mm)に配置し、アクリルプレートの表面がセンサー表面を完全にカバーするようにした。次に、Omnicure LX500 UV光源(強度値を95%に設定)のスイッチを手動で10秒間オンにした。この10秒間の間に、UVA2強度(つまり、380-410nmの波長間の放射)をUVパワーパックII機器で測定した。測定したUVA2強度は、60-70mW/cm2であると決定され、67mW/cm2の実際の値を記録した。
【0167】
実際の遅延時間の決定: 測定を開始するとき、データサンプリングの開始とUV照射の開始との間に遅延があった。Moeller Easy 412-DC-TC制御リレーの設定では、遅延を1.5秒に設定したが、これは、データサンプリングの開始から1.5秒後にUV照射が開始されたことを意味する。
【0168】
光依存抵抗(LDR)及びオシロスコープ(PicoScope 3424)の助けを借りて、1.519秒の実際の遅延時間を測定した。1.519秒の遅延時間は、0.004秒の標準偏差で10回の個々の測定の測定平均値であった。
【0169】
RT-DMA測定: 次に、RT-DMA UV硬化測定を、温度制御装置としてのアドバンストペルティエシステムと対にしたARESG2レオメーター、APSフラットプレート、及びARESG2 UV硬化アクセサリーを設定して使用して、実施した。Omnicure LX500に接続された8mmレンズを備えた385nm LEDをUV光源として使用した。
【0170】
サンプルローディング: それぞれの各サンプルをロードする前に、下部プレートの温度を50℃に設定した。温度が50℃に達したとき、200-400グラムの軸方向の力を加えることにより、(厚さ20mmのアクリルプレートであった)上部プレートの表面を下部プレートに接触させ、つまり、0mmのギャップにし、それにより上部平行プレートを50℃の設定温度に平衡化させた。システムは、最初の接触後少なくとも5分間、その温度を更に平衡化させた。次に、よく知られた方法に従ってゼロフィクスチャ手順を実施し、ギャップ=0の位置を決定した。ギャップ=0の位置を決定した後、上部プレートを10mm離れた位置に移動させた。ついで、それぞれの各サンプルの一部を小さなスパチュラの先端で下部プレートの中央に移動させ、その後、上部ジオメトリをギャップ=0.120mmの位置に下げた。サンプルの量は、上部ジオメトリが減少したギャップまで下げられた後に上部平行プレートの全周をカバーするギャップの外側に過剰量が確実に押し出されるように十分でなければならなかった。次に、ギャップの外側に移った過剰のサンプルを除去し、上部ジオメトリを測定位置(ギャップ=0.100mm)まで更に下げた。ロードされた測定位置で、サンプルの温度を50℃に平衡化した。最後に、サンプル温度が49.90℃と50.10℃の間で安定していると測定されると、トリガーボックス(Moeller Easy 412-DC-TC)をアクティブにし、TRIOSソフトウェアパッケージによって提供されるインターフェイスと相互接続を使用して、測定プロセスが始まる。
【0171】
測定: 実際のUV硬化RT-DMA測定は、50℃で行われたいわゆる「高速サンプリング」測定であった。つまり、50℃で128秒の持続時間、1%のひずみ、52.36rad/秒の回転速度、及び50ポイント/秒の測定頻度(つまり、連続する各測定ポイントの間が0.020秒)で行われた振動高速サンプリングであった。
【0172】
次に、TRIOSソフトウェアのスタートボタンを介して測定を開始した。データサンプリングが開始されると、レオメーターが制御リレーに信号を送信し、制御リレーがデータサンプリングの開始後1.519秒の前述の遅延でそれぞれのサンプルを照らすようにOmnicure LX500UV光源をアクティブにした。上記のように、128秒の高速サンプリングデータ収集中に、サンプルに385nmのUV光(強度60-70mW/cm2)を照射した。測定終了後、TRIOSデータファイルをマイクロソフトエクセルにエクスポートした。次に、サンプルを除去し、次のサンプルをロードする前に、プレートをエタノールで十分に洗浄した。
【0173】
データ解析: 前述のように、TRIOSデータをマイクロソフトエクセルにエクスポートした。エクセルを使用してグラフをプロットし、以下に記載される試験配合物の硬化速度性能の特徴付けのための様々なパラメーターを計算した。グラフには、UV-時間の関数としての貯蔵弾性率(G’)に対応するもの(UV-時間は、各個々のデータポイントについて実際の時間から遅延時間(1.519秒)を差し引くことによって計算した)、及びUV-時間の関数としての相対貯蔵弾性率(rel G’)(rel G’は、所定のUV-時間で測定されたG’値と硬化測定中に得られた最大G’値の商によって計算された)を含めた。G’グラフのグラフで観察された最大値は、110秒と120秒の間のG’値の平均をとることによって決定し、以下の表3A-3Eに「Max.G’」との見出しの欄に報告する。試験時間中に十分には硬化しなかったサンプルでは、この欄は、用いられた試験手順と時間制限に照らすとMax.G’が達成できなかったことを示す「NFC」との記号で示される。
【0174】
一方、特徴的なパラメーターには、(1)30%の全貯蔵弾性率(G’)の増加に達する時間、及び(2)平均G’110-120秒(硬化測定の終わりに向かって6つのデータポイントからの平均貯蔵弾性率値)が含まれる。各配合物の(1)の結果は、以下の表3A-3Eに、T
30%, modulus maxとの見出しの欄に報告される。
【0175】
[結果の考察]
配合物1-4は、本発明に係る組成物を用いると、より速い弾性率ビルドアップが得られうることを示している。具体的には、メタクリレート官能性反応性オリゴマー成分及びアクリレート官能性反応性希釈モノマー成分を含む組成物(1)は、反応性オリゴマー及び希釈モノマー成分にそれぞれメタクリレート/メタクリレート(2)、アクリレート/アクリレート(3)、及びアクリレート/メタクリレート(4)官能基を使用する直接の類似物よりも、より速い弾性率ビルドアップ(T30%, modulus maxで測定)及びより低い弾性率(G’で測定)を示した。
【0176】
配合物5は、配合物6-8と比較した場合、本発明に係る組成物を用いると、異なる、より反応の遅い反応性希釈モノマー成分(EHAからなる)を使用して同様の効果を得ることができることをまた実証する。配合物16-25は、更に異なる反応性希釈モノマーに関して、異なる量で本発明の効果を更に実証する。
【0177】
配合物28-37は、本発明の効果が、一の特定の反応性オリゴマーに限定されないことを実証する;すなわち、異なるポリオール及びイソシアネートを使用して同様の効果を得ることができる。
【0178】
配合物31、38、及び39は、特に対照配合物30と比較した場合に、様々な反応性希釈剤量での硬化速度及び/又は弾性率の改善を示している。
【0179】
配合物40-44は、アクリルアミド、N-ビニルアミド、及びそれらの混合物などのアクリレート基以外の重合性基を有するものを含む、異なる反応性希釈剤の混合物を使用できることを示している。配合物45は、メタクリレート及びアクリレート官能性反応性オリゴマーの混合物を含む反応性オリゴマー成分が、特にオールアクリレートの類似配合物3と比較した場合に、改善された性能をまた達成できることを示している。
【0180】
一方、表3Bは、マルチエンドキャップされたオリゴマーを含む本発明に係る組成物はまた一又は複数の技術的効果を実証することを示している。驚くべきことに、所定のマルチエンドキャップされたメタクリレート官能性オリゴマーが、(実施例46として示される)オールアクリレート系よりも優れた硬化速度特性を有していることが示された。
【0181】
更に、表3Bに関して、アクリレート基以外の重合性基を含むもの(配合物63から67など)を含む、正の効果を持つ、様々な量の異なる反応性希釈剤の混合物を使用できることが更に示される。
【0182】
表3Cにおいて、本発明の効果は、ヒドロキシル基などの非重合性基で部分的にエンドキャップされたオリゴマーを利用することによって潜在的に実現されることがまた示されている。例として、配合物69は、メタクリレート官能化オリゴマーがアクリレート官能化類似物に対して有する硬化速度改善効果を示すが、配合物73は、オリゴマーを-OH基で部分的にエンドキャップすることにより、G’値を減らしながら同等の弾性率ビルドアップを得ることができることを更に示している。驚くべきことに、この用途でアクリレート官能化オリゴマーの全体的な官能性を低下させるときに観察される硬化速度に対する既知の抑制効果とは対照的に、官能性が約2から約1.5に低下した場合など、メタクリレート官能化オリゴマーに関して同様の効果は観察されなかった。
【0183】
図1及び
図2は、そのような配合物の有益な効果をグラフで示している。
図1には、G’max(%)に基づく相対弾性率が、x軸の時間(秒)の関数として4種の配合物(68、69、70、及び73)についてy軸にプロットされている。配合物69及び73は、有意に速い相対弾性率のビルドアップを達成することが示され、光ファイバーコーティングプロセスにおけるより速いライン加工速度に対するより容易な適合性を示唆している。一方、本発明に係るものではない配合物68及び70は、比較的悪い弾性率ビルドアップを示している。
【0184】
弾性率ビルドアップ速度のこの相対的改善は、オールアクリレート対照配合物3が、配合物1と比較した場合、%反応(メタ)アクリレート不飽和(%RAU)メトリックに関してより速い名目硬化速度を達成するという知見を考えると、特に驚くべきことである。この現象は、
図2で証明されうる。
図2では、配合物68、69、70、及び73のそれぞれに対する%RAUが、x軸上の時間(秒)の関数としてy軸上にプロットされている。グラフのデータは、本発明が適用される技術分野でよく知られており、Jansen等:Real-Time Infrared Determination of Photoinitiated Copolymerization Reactivity Ratios:Application of the Hilbert Transform and Critical Evaluation of Data Analysis Techniques;Macromolecules 2004,37,2275-2286(2004)に更に記載されている、FTIR法によって作成した。
図2に示されるように、配合物69及び73のそのような向上した適合性は、(
図2と同じ形式及び測定で)%RAUメトリックの関数として硬化速度を見るとき、特に驚くべきものである。これは、%RAUメトリックのみによると、配合物68及び70の方が速く見えるためである。
【0185】
表3Dでは、配合物79-82は、メタクリレート官能化オリゴマー対アクリレート官能化オリゴマーの、改善された硬化速度効果、並びに弾性率の僅かな改善を示す(81対79及び31対30を参照)。この効果は、官能基がオリゴマー骨格に沿って、並びに末端基として現れる場合にもまた見られる(82対80を参照)。実際、メタクリレート官能性末端基及び骨格基を持つ反応性オリゴマーが、そのシリーズの全て(82)の中で最速の硬化速度を有していた。更に、配合物80(骨格に沿ってメタクリレート官能基を、末端基にアクリレート基を持つ)もまた、特にオールアクリレート類似物(79)と比較した場合、速硬化性であったことは注目に値する。これは、本発明の効果が、反応性オリゴマー成分中に存在するメタクリレート基の比較的低いモル分率ででさえ実現できることを示している。
【0186】
配合物83-93は、本発明に係る組成物の概して改善された効果を更に実証する。類似物83、84、85、及び90を比較すると、所与の反応性希釈剤に対して、オリゴマーの骨格又は末端基の何れかに沿ったメタクリレート官能化は、純粋なアクリレート官能化よりも改善されていること(84の末端基及び85の末端基対83)と、オリゴマーの骨格及び末端基の両方に沿ったメタクリレート官能基化は、全ての中で最速の弾性率ビルドアップの改善を誘導しうる(T30%, modulus max値90<85<84<83)ことが実証されている。
【0187】
配合物86-93は、メタクリレート官能基が、オリゴマー骨格又は末端基の何れかに沿って配置された場合、異なるタイプ、混合物、及び量の反応性希釈成分を用いても、純粋なアクリレート官能化オリゴマー(86)よりも硬化速度の改善をもたらすことを実証している。
【0188】
[追加の例示的実施態様]
次の追加の例示的実施態様は、本発明の様々な潜在的な態様を更に例証することを意味している。本発明は、ここに記載の任意の実施態様に限定されることを意図するものではなく、次の様々な組み合わせ及び/又は変形例を容易に企図することができる。
【0189】
第一の追加の例示的実施態様の第一の態様は、
一又は複数の重合性基を含む反応性オリゴマーであって;ここで、少なくとも一の重合性基がメタクリレート基である、反応性オリゴマー;
反応性オリゴマーの重合性基と(共)重合することができる重合性基を含む反応性希釈モノマーであって;ここで、反応性希釈モノマーの少なくとも一の重合性基が、アクリレート基、アクリルアミド基、又はN-ビニルアミド基である、反応性希釈モノマー;
光開始剤成分;及び
場合によっては、添加剤成分
を含む放射線硬化性組成物である。
【0190】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、組成物が、反応性オリゴマーからなる反応性オリゴマー成分;及び
反応性希釈モノマーからなる反応性希釈モノマー成分を含む、第一の態様の組成物である。
【0191】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー成分が、反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、第一の追加の例示的実施態様の先の態様の何れかの組成物である。
【0192】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性希釈モノマー成分が単官能性アクリレートモノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、第一の追加の例示的実施態様の先の態様の何れかの組成物である。
【0193】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、全組成物中に存在するメタクリレート基の、全組成物中に存在する重合性基の全量に対するモル比が、2%から20%、又は2%から18%、又は2%から15%、又は3%から18%、又は4%から20%、又は4%から18%、又は2%から16%、又は4%から15%、又は5%から15%、又は5%から12%、又は9%から20%、又は9%から18%、又は9%から15%である、第一の追加の例示的実施態様の先の態様の何れかの組成物である。
【0194】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー又は反応性オリゴマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%が、メタクリレート基からなる、先の態様の何れかの組成物である。
【0195】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、重合性基のモル分率が、Mn,theo値を使用してここの他の場所に記載されるモル分率計算法によって決定される、先の態様の何れかの組成物である。
【0196】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、重合性基のモル分率が、Mn値を使用してここの他の場所に記載されるモル分率計算法によって決定される、先の態様の何れかの組成物である。
【0197】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、Mn値が、ここの他の場所に記載される三重検出器アレイを使用するSEC法に従って決定される、先の態様の組成物である。
【0198】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー成分中の重合性基がメタクリレート基からなるか、又はそれから本質的になる、先の態様の何れかの組成物である。
【0199】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー成分中の重合性基が重合性末端基を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、先の態様の何れかの組成物である。
【0200】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー成分中の重合性基が重合性骨格基を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、先の態様の何れかの組成物である。
【0201】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、重合性基を含む少なくとも一の反応性オリゴマーが、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物、及び場合によっては、少なくとも一のヒドロキシル基を有し、重合性基を有していない化合物の反応生成物である、先の態様の何れかの組成物である。
【0202】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、少なくとも一のメタクリロイル基を有するヒドロキシル官能性化合物が二のメタクリロイル基を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0203】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー成分が、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、又は五官能性反応性オリゴマー、又はそれらの組み合わせを含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0204】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性希釈モノマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、アクリレート基、アクリルアミド基、又はN-ビニルアミド基からなる、先の態様の何れかの組成物である。
【0205】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性希釈モノマー成分中の重合性基のモル分率の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、アクリレート基からなる、先の態様の何れかの組成物である。
【0206】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、重合性基のモル分率が、Mn,theo値を使用してここの他の場所に記載されるモル分率計算法によって決定される、先の態様の何れかの組成物である。
【0207】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、重合性基のモル分率が、Mn値を使用してここの他の場所に記載されるモル分率計算法によって決定される、先の態様の何れかの組成物である。
【0208】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、Mn値が、ここの他の場所に記載される三重検出器アレイを使用するSEC法に従って決定される、先の態様の組成物である。
【0209】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマーが、2000g/モルを超え、又は4000g/モルを超え、又は5000g/モルを超える理論分子量(Mn,theo)を有する、先の態様の何れかの組成物である。
【0210】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマー及び/又は反応性オリゴマー成分が、2000g/モルを超え、4000g/モルを超え、又は5000g/モルを超え、又は6000g/モルを超え、又は9000g/モルを超え、又は2000g/モルから30000g/モル、又は2000g/モルから20000g/モル、又は4000g/モルから30000g/モル、又は4000g/モルから20000g/モル、又は6000g/モルから20000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、先の態様の何れかの組成物である。
【0211】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、Mnが、ここの他の場所に記載される三重検出器アレイを使用するSEC法に従って決定される、先の態様の組成物である。
【0212】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性希釈モノマー成分が、86g/モルから800g/モル、又は100g/モルから350g/モルのMn,theo又はMnを有する反応性モノマーを含むか、又はそれからなるか、又はそれから本質的になる、先の態様の何れかの組成物である。
【0213】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性希釈モノマーが単官能性モノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、先の態様の何れかの組成物である。
【0214】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、組成物の全重量に対して、
反応性オリゴマー成分が、20重量%から95重量%、又は40重量%から80重量%の量で存在し;
反応性希釈モノマー成分が、4重量%から75重量%、又は20重量%から50重量%の量で存在し;
光開始剤が、0.25重量%から7重量%、又は0.5重量%から3重量%、又は1重量%から7重量%の量で存在し;及び
添加剤が、0重量%から50重量%の量で存在する、先の態様の何れかの組成物である。
【0215】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、添加剤が接着促進剤を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0216】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、接着促進剤が、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリイルプロピルアクリレート、テトラエトキシシラン、又は3-トリメトキシシリルプロパン-1-チオールのうちの一又は複数を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0217】
第一の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマーがシランカップリング基を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0218】
第二の追加の例示的実施態様の第一の態様は、反応性オリゴマー;反応性希釈モノマー;開始剤;及び場合によっては添加剤を含み;ここで、反応性オリゴマーが、重合性基を有する化合物の反応生成物であり;少なくとも一の重合性基を有する化合物と2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)との間の共重合において、少なくとも一の重合性基を有する化合物の自己反応性比(RR1)が、少なくとも1、又は少なくとも1.3、又は少なくとも1.4、又は1と5の間、又は1.4と3.5の間、又は1.2と1.7の間である、放射線硬化性組成物である。
【0219】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、HEAとの少なくとも一の重合性基を有する化合物の反応性比(RR2)が、0.1から0.5、又は0.1から0.4、又は約0.15から約0.35である、第一の態様の放射線硬化性組成物である。
【0220】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、RR1及びRR2が、コポリマー入力化合物の赤外スペクトルを使用する多変量解析に従って決定される、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0221】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、RR1/RR2が、1より大きく、又は3より大きく、又は5より大きく、又は8より大きく、又は2から12、又は3から11、又は10から12である、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0222】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、反応性オリゴマーがウレタンオリゴマーであり、ウレタンオリゴマーは、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、及び反応性基を有するヒドロキシル官能性化合物の反応生成物である、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0223】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、少なくとも一の反応性基を有するヒドロキシル官能性化合物が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、又はグリセロールジメタクリレートを含む、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0224】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、反応性希釈モノマーが、2-エチルヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ジメチルアクリル-アミド、N-ビニルカプロラクタム、エトキシル化2-フェノキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソデシルアクリレート、又はエトキシル化ノニルフェノールアクリレート、又はそれらの混合物を含むか、又はそれらからなるか、又はそれらから本質的になる、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0225】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、開始剤が光開始剤を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0226】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、添加剤が接着促進剤を含む、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0227】
第二の追加の例示的実施態様の別の態様は、接着促進剤が、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリイルプロピルアクリレート、テトラエトキシシラン、又は3-トリメトキシシリルプロパン-1-チオールのうちの一又は複数を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0228】
第二の追加の例示的実施態様の別の態様は、反応性オリゴマーがシランカップリング基を含む、先の態様の何れかの組成物である。
【0229】
第二の追加の例示的実施態様の追加の態様は、添加剤が、酸化防止剤、重合阻害剤、光増感剤、担体界面活性剤、粘着付与剤、触媒、安定剤、表面剤、及び/又は光学的光沢剤を含む、第二の追加の例示的実施態様の態様の何れかの放射線硬化性組成物である。
【0230】
第三の追加の例示的実施態様の第一の態様は、ガラス光ファイバーを提供すること;ガラス光ファイバーの表面上にコーティング組成物を塗布すること;前記コーティング組成物を硬化させるために紫外線の線量を与えることを含み、ここで、コーティング組成物が、第一の追加の例示的実施態様又は第二の追加の例示的実施態様の何れかの態様の何れかに係る組成物である、光ファイバーをコーティングするための方法である。
【0231】
第四の追加の例示的実施態様の第一の態様は、第一の追加の例示的実施態様又は第二の追加の例示的実施態様の何れかの態様の何れかに係る組成物の硬化生成物でコーティングされた、コーティングされた光ファイバーである。
【0232】
特に指定のない限り、重量%という用語は、特定の成分の、それが導入されている液体放射線硬化性組成物全体に対する質量による量を意味する。
【0233】
本発明を説明する文脈での(特に次の特許請求の範囲の文脈での)「a」及び「an」及び「the」という用語及び同様の指示対象の使用は、ここに別段の記載が示されているか又は文脈に明らかに矛盾していない限り、単数形と複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。ここでの値の範囲の記載は、ここに別段の記載がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に言及する簡略化された方法となることを単に意図しており、各個別の値は、それがここに個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。ここに記載される全ての方法は、ここに別段の指示がない限り、又は文脈に明らかに矛盾していない限り、任意の適切な順序で実施することができる。ここに提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の請求項記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書の如何なる文言も、請求項に記載していない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈されるべきではない。
【0234】
本発明の好ましい実施態様は、本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含めて、ここに記載されている。それらの好ましい実施態様の変形態様は、前述の説明を読むと、当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形態様を適切に用いることを期待し、本発明者は、ここに具体的に記載されている以外の形で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、適用法によって許容されるように、ここに添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての変形態様及び均等物を含む。更に、その全ての可能な変形態様における上記の要素の任意の組み合わせは、ここ別段の指示がない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0235】
本発明を詳細にかつその特定の実施態様を参照して説明したが、請求項記載の発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それらに様々な変化及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。