(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】段階的周波数応答の非接触スリップ・リング・プローブ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/06 20060101AFI20250114BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20250114BHJP
【FI】
H01P1/06
H04B5/48
(21)【出願番号】P 2021570334
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020034716
(87)【国際公開番号】W WO2020243182
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501188177
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペアーソン ジュニア、フィル、イー.
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503412(JP,A)
【文献】特表平09-500513(JP,A)
【文献】特開昭55-153401(JP,A)
【文献】特開平8-224233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/06
H04B 5/48
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの相対的に移動可能な部材間に画成された非接触インターフェースにわたっ
て信号を伝送するための非接触回転接合であって、
非接触インターフェースにわたって信号を伝送するように構成される送信器と、
前記送信器に対して離間した関係で配置され、且つ前記
非接触インターフェースにわたって伝送される前記信号を受信するように動作可能に配置される近接場プローブであって、前記近接場プローブは、前記
非接触インターフェースにわたって伝送される前記信号を受信するための信号取得エリアを有し、前記信号取得エリアは、前記信号の所望の低周波信号コンテンツのための大きさの長さを有し、且つ前記信号の前記所望の低周波信号コンテンツを含む前記信号の周波信号コンテンツの範囲を受けるように構成されるセグメント化された信号受信ストリップを備え、前記セグメント化された信号受信ストリップは、
第1の周波数応答を有する第1の信号受信セグメント、
第2の周波数応答を有し、且つ前記第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第2の信号受信セグメント、及び
第3の周波数応答を有し、且つ前記第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第3の信号受信セグメントを含み、
前記第2の信号受信セグメントの前記第2の周波数応答は前記第1の信号受信セグメントの前記第1の周波数応答を下回り、前記第3の信号受信セグメントの前記第3の周波数応答は前記第1の信号受信セグメントの前記第1の周波数応答を下回る、近接場プローブと、
前記第1の信号受信セグメントを介して前記セグメント化された信号受信ストリップによって受信される前記周波信号コンテンツの範囲を受けるように動作可能に配置される受信電子機器と、を備える、非接触回転接合。
【請求項2】
前記第1の信号受信セグメントは第1の長さを有し、前記第2の信号受信セグメントは前記第1の長さを上回る第2の長さを有し、前記第3の信号受信セグメントは前記第1の長さを上回る第3の長さを有する、請求項
1に記載の非接触回転接合。
【請求項3】
前記セグメント化された信号受信ストリップは、前記第1の信号受信セグメントと前記第2の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ前記第1の信号受信セグメントを前記第2の信号受信セグメントから隔離するように構成される第1の散逸要素と、前記第1の信号受信セグメントと前記第3の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ前記第1の信号受信セグメントを前記第3の信号受信セグメントから隔離するように構成される第2の散逸要素と、を備える、請求項2に記載の非接触回転接合。
【請求項4】
前記第2の信号受信セグメントは、信号フィルタを設けるために配置される電気的に結合される抵抗器及びコンデンサを備え、前記第3の信号受信セグメントは信号フィルタを設けるために配置される電気的に結合される抵抗器及びコンデンサを備える、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項5】
前記第1の信号受信セグメントは第1の長さを有し、前記第2の信号受信セグメントは前記第1の長さに等しい第2の長さを有し、前記第3の信号受信セグメントは前記第1の長さに等しい第3の長さを有する、請求項4に記載の非接触回転接合。
【請求項6】
前記セグメント化された信号受信ストリップは、前記第1の信号受信セグメントと前記第2の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ前記第1の信号受信セグメントを前記第2の信号受信セグメントから隔離するように構成される第1の散逸要素と、前記第1の信号受信セグメントと前記第3の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ前記第1の信号受信セグメントを前記第3の信号受信セグメントから隔離するように構成される第2の散逸要素と、を備える、請求項4に記載の非接触回転接合。
【請求項7】
前記第1の信号受信セグメント、前記第2の信号受信
セグメント、及び前記第3の信号受信
セグメントはそれぞれ銅を含む、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項8】
前記第1の信号受信セグメントの前記第1の周波数応答は、前記信号の前記周波信号コンテンツの範囲の第1の周波数部分領域に対応し、前記第2の信号受信セグメントの前記第2の周波数応答は前記信号の前記周波信号コンテンツの範囲の第2の周波数部分領域に対応し、前記信号の前記周波信号コンテンツの範囲の前記第1の周波数部分領域は前記信号の前記周波信号コンテンツの範囲の前記第2の周波数部分領域を上回る、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項9】
前記送信器によって前記非接触インターフェースにわたって伝送された前記信号は、高速のデジタル・データ出力信号である、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項10】
前記送信器は、高速のデジタル・データ出力信号を提供するように動作可能に配置される信号源と、送信源ギャップ及び終端ギャップを有するインピーダンス制御された差動伝送線路と、前記信号源から前記高速のデジタル・データ出力信号を受信するように、且つ前記高速のデジタル・データ出力信号を前記信号源から前記インピーダンス制御された差動伝送線路の前記送信源ギャップに供給するように動作可能に配置される電力分配器と、を備え、前記近接場プローブは、前記インピーダンス制御された差動伝送線路に対して離間した関係で配置され、且つ前記送信器によって前記非接触インターフェースにわたって伝送される前記信号を受信するように動作可能に配置される、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項11】
前記セグメント化された信号受信ストリップは、少なくとも2つのさらなる信号受信セグメントを備え、前記さらなる信号受信セグメントのそれぞれは周波数応答を有し、且つ前記第1の信号受信セグメントに電気的に結合され、それぞれのさらなる信号受信セグメントの前記周波数応答は、前記さらなる信号受信セグメントが前記第1の信号受信セグメントから遠くなるほど減少する、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項12】
前記第2の信号受信セグメント、前記第3の信号受信セグメント、及び前記さらなる信号受信セグメントのそれぞれの間に位置付けられる少なくとも1つの散逸要素を備え、前記散逸要素は、各前記信号受信セグメントを互いに隔離するように構成される、請求項11に記載の非接触回転接合。
【請求項13】
それぞれのさらなる信号受信セグメントの長さは、前記さらなる信号受信セグメントが前記第1の信号受信セグメントから遠くなるほど増大する、請求項11に記載の非接触回転接合。
【請求項14】
前記第2の信号受信セグメント、前記第3の信号受信セグメント、及び前記さらなる信号受信セグメントのそれぞれは、信号フィルタを設けるために配置される電気的に結合される抵抗器及びコンデンサを備える、請求項11に記載の非接触回転接合。
【請求項15】
前記第1の散逸要素及び前記第2の散逸要素はそれぞれ抵抗器を含む、請求項3に記載の非接触回転接合。
【請求項16】
前記第1の信号受信セグメントは、前記受信電子機器と通信する中央タップを備える、請求項1に記載の非接触回転接合。
【請求項17】
前記セグメント化された信号受信ストリップに平行に配向された第2のセグメント化された信号受信ストリップを備え、前記第2のセグメント化された信号受信ストリップは、第1の周波数応答を有する第1の信号受信セグメント、第2の周波数応答を有し、且つ前記第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第2の信号受信セグメント、及び、第3の周波数応答を有し、且つ前記第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第3の信号受信セグメントを含み、前記第2の信号受信セグメントの前記第2の周波数応答は前記第1の信号受信セグメントの前記第1の周波数応答を下回り、前記第3の信号受信セグメントの前記第3の周波数応答は前記第1の信号受信セグメントの前記第1の周波数応答を下回り、前記受信電子機器は、前記第2のセグメント化された信号受信ストリップの前記第1の信号受信セグメントを介して前記第2のセグメント化された信号受信ストリップによって受信される信号コンテンツを受信するように動作可能に配置される、請求項1に記載の非接触回転接合。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップ・リング・プローブに関し、より詳細には、セグメント化された段階的周波数応答プローブを有するスリップ・リングに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して回転可能である2つの部材間で電気信号を伝えるための装置は、当技術分野では周知である。回転接合又は回転式電気的インターフェースとして一般的に知られているこのような装置は、とりわけ、スリップ・リング及びツイスト・カプセルを含む。スリップ・リングは典型的には、部材間の無制限の回転が必要とされる時に使用されるが、ツイスト・カプセルは典型的には、部材間の制限された回転のみが必要とされる時に使用される。
【0003】
スリップ・リングは、定置から回転構造まで、或いは互いに対して回転している2つの構造の間で、データを含む電力及び信号の伝送を可能にする。スリップ・リングは、電力又は信号を伝送する間に回転を必要とする任意の電気機械システムにおいて使用可能である。スリップ・リングはまた、機械的性能を改善し、システム動作を簡略化し、可動接合部からぶら下がる損傷を受けやすいワイヤを排除することができる。従来より、スリップ・リングは、スリップ・リング・エリアの非常に小さな部分にわたるデータの伝達のみに向けて設計されている。
【0004】
従来のスリップ・リングは典型的には、部材の間に摺動電気接点を用いる。これらはある特定の用途ではうまく機能するが、より高い周波数では電気的性能を制約する固有の欠陥を有する。非接触スリップ・リングはまた、当技術分野で知られている。このような回転接合システムによって、摺動電気接点なく回転子と固定子との間の高周波電気信号の伝送が可能になる。このような非接触システムは、信号源と信号受信器との間の空間にわたって伝送される電磁エネルギーを回復するための装置を含む。無線周波数(「RF:radio frequency」)通信システムでは、このような装置はアンテナ(又はアンテナ効果)と呼ばれ、典型的には、自由空間の古典的な遠距離場の電磁放射において動作する。対照的に、非常に短い距離にわたる電気通信をもたらす電磁近接場を利用し、且つ電磁近接場からエネルギーを回復する回転接合は、「電場プローブ」又は単に「プローブ」と称される。
【0005】
電磁源の反応性近接場で機能するように意図される装置は、先行技術分野では既知の磁気ループ、電圧プローブ、及び抵抗負荷双極子を有する遠距離場の装置とは異なる形態をとる。近接場の用途には、RF IDタグ及び安全な低速データ転送が含まれ、これらは、近接場における磁気誘導を利用する。本明細書で使用されるように、「プローブ」は、電磁源の近接場において動作する構造体であり、「アンテナ」は、主に遠距離場の装置であることが意図されている放射構造体向けのものである。本開示の主題は、スリップ・リングなど、非接触回転接合の近接場において動作する電磁場プローブを含む。
【0006】
従来のアンテナ及び近接場プローブは、1Gbps超のデータ伝送速度で動作する時に、非接触回転接合システムにおいてそれらの使用を妨げる又は損なうさまざまな挙動を示す。このような回転接合システムは、マルチギガビット・デジタル・データの必要な周波数成分を通過させるための超広帯域(「UWB:ultra-wideband」)周波数応答、並びに信号の時間ドメイン特性を保つために高反射減衰量及び低歪みインパルス応答を示すことが必要である。さらに、非接触回転接合は、回転ギャップにわたって伝送されたエネルギーを取得するのに必要とされるアンテナ及び電場プローブの設計を複雑にする特性を示す。典型的には、非接触回転接合は、回転子と固定子間の回転により場の強度のばらつきを示し、信号が信号源から伝送線路終端まで伝送線路において波として進む際に指向性の挙動を示し、近接場において不連続になる場合さえある。高周波非接触回転接合は、近接場プローブの設計に対して一連の特有の課題を生じさせる。
【0007】
ほとんどの先行技術のアンテナ及びプローブは、マルチギガ・データ・ストリームの広帯域エネルギーを収容するために周波数応答及び時間ドメイン応答両方がない狭帯域定在波装置である。小さな近接場電圧及び電流プローブは、適度な周波数及びインパルス応答を示し得るが、許容できる信号対雑音比のための十分な取得エリアがないことが多い。
【0008】
米国特許第10,033,074号には、以前の回転接合の解決策の欠点の一部に対処する、2つの相対的に移動可能な部材間に画成されたインターフェースにわたって電気信号を伝送するための非接触回転接合が開示されている。米国特許第10,033,074号には、高速のデジタル・データ出力信号を提供するように動作可能に配置される信号源と、送信源ギャップ及び終端ギャップを有するインピーダンス制御された差動伝送線路と、信号源から高速のデジタル・データ出力信号を受信するように、且つこの高速のデジタル・データ出力信号をインピーダンス制御された差動線路の送信源ギャップに供給するように動作可能に配置される電力分配器と、インターフェースにわたって伝送される信号を受信するように、伝送線路に対して離間した関係で配置される近接場プローブと、プローブによって受信された信号を受信するように動作可能に配置される受信電子機器と、を広く含む、非接触回転接合が開示されている。
【0009】
米国特許第7,142,071号には、第1の誘電材料と、複数の同軸離間配置された導電性リングと、第1の接地面とを含む、速度補償された接触リング・システムが開示されている。第1の誘電材料は、第1の側と第2の側とを含む。複数の同軸離間配置された導電性リングは、第1の誘電材料の第1の側に位置する。導電性リングは、内側リングと外側リングとを含む。第1の接地面は、第1の誘電材料の第2の側に位置する。内側リングの幅は、外側リングの幅より広く、内側リング及び外側リングの幅は、内側リング及び外側リングの電気的長さをほぼ等しくするように選択される。
【0010】
米国特許第6,956,445号には、少なくとも1つの平坦ブラシ・コンタクトとプリント回路基板(PCB)とを含む接触プローブ・システムが開示されている。PCBは、平坦ブラシ・コンタクトを外部インターフェースに結合するための給電ラインを含む。平坦ブラシ・コンタクトはPCBの第1の側に位置し、PCBは平坦ブラシ・コンタクトを給電ラインに相互に連結するメッキ貫通穴を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第10,033,074号
【文献】米国特許第7,142,071号
【文献】米国特許第6,956,445号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
限定ではなく単に例示のための、開示された実施例の対応する構成要素、部分、又は表面に対する括弧内付記によって、2つの相対的に移動可能な部材間に画成された非接触インターフェース(60)にわたって電気信号(30)を伝送するための非接触回転接合(115、215)が提供される。該非接触回転接合は、非接触インターフェース(60)にわたって信号(30)を伝送するように構成される送信器(16)と、送信器に対して離間した関係で配置され、且つインターフェースにわたって伝送される信号を受信するように動作可能に配置される近接場プローブ(18)であって、近接場プローブは、インターフェースにわたって伝送される信号を受信するための信号取得エリア(100、200、300)を有し、信号取得エリアは、信号の所望の低周波信号コンテンツのための大きさの長さを有し、且つ信号の所望の低周波信号コンテンツを含む信号の周波信号コンテンツの範囲を受けるように構成されるセグメント化された信号受信ストリップ(110、130、210、230、310、330)を備え、セグメント化された信号受信ストリップは、第1の周波数応答を有する第1の信号受信セグメント(119、219、319)、第2の周波数応答を有し、且つ第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第2の信号受信セグメント(111A、211A、311A)、及び、第3の周波数応答を有し、且つ第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第3の信号受信セグメント(111B、211B、311B)を含み、第2の信号受信セグメントの第2の周波数応答は第1の信号受信セグメントの第1の周波数応答を下回り、第3の信号受信セグメントの第3の周波数応答は第1の信号受信セグメントの第1の周波数応答を下回る、近接場プローブと、第1の信号受信セグメント(119、219、319)を介してセグメント化された信号受信ストリップによって受信される周波信号コンテンツの範囲を受けるように動作可能に配置される受信電子機器(28)と、を備える。
【0013】
第1の信号受信セグメントは第1の長さを有してよく、第2の信号受信セグメントは第1の長さを上回る第2の長さを有してよく、第3の信号受信セグメントは第1の長さを上回る第3の長さを有してよい。セグメント化された信号受信ストリップは、第1の信号受信セグメントと第2の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ第1の信号受信セグメントを第2の信号受信セグメントから隔離するように構成される第1の散逸要素(121A、221A、314A)と、第1の信号受信セグメントと第3の信号受信セグメントとの間に位置付けられ、且つ第1の信号受信セグメントを第3の信号受信セグメントから隔離するように構成される第2の散逸要素(121B、221B、314B)とを備えてよい。
【0014】
第2の信号受信セグメント(311A)は、信号フィルタ(321A)を設けるために配置される電気的に結合される抵抗器(R)及びコンデンサ(C)を備えてよく、第3の信号受信セグメント(311B)は信号フィルタ(321B)を設けるために配置される電気的に結合される抵抗器及びコンデンサを備えてよい。第1の信号受信セグメント(319)は第1の長さを有してよく、第2の信号受信セグメント(311A)は第1の長さに等しい第2の長さを有してよく、第3の信号受信セグメント(311B)は第1の長さに等しい第3の長さを有してよい。セグメント化された信号受信ストリップ(310)は、第1の信号受信セグメント(319)と第2の信号受信セグメント(311A)との間に位置付けられ、且つ第1の信号受信セグメントを第2の信号受信セグメントから隔離するように構成される第1の散逸要素(314A)と、第1の信号受信セグメント(319)と第3の信号受信セグメント(311B)との間に位置付けられ、且つ第1の信号受信セグメントを第3の信号受信セグメントから隔離するように構成される第2の散逸要素(314B)と、を備えてよい。
【0015】
第1の信号受信セグメント、第2の信号受信要素、及び第3の信号受信要素はそれぞれ銅を含み得る。第1の散逸要素及び第2の散逸要素はそれぞれ抵抗器を含んでよい。第1の信号受信セグメント(119、219、319)は、受信電子機器(28)と通信する中央タップ(61)を備えてよい。
【0016】
第1の信号受信セグメントの第1の周波数応答は、信号の周波信号コンテンツの範囲の第1の周波数部分領域に対応することでき、第2の信号受信セグメントの第2の周波数応答は信号の周波信号コンテンツの範囲の第2の周波数部分領域に対応することができ、第1の周波数部分領域は第2の周波数部分領域を上回ってよい。
【0017】
送信器によって非接触インターフェースにわたって伝送された信号は、高速のデジタル・データ出力信号であってよい。送信器は、高速のデジタル・データ出力信号を提供するように動作可能に配置される信号源(20)と、送信源ギャップ(23)及び終端ギャップ(24)を有するインピーダンス制御された差動伝送線路(162)と、信号源から高速のデジタル・データ出力信号を受信するように、且つ高速のデジタル・データ出力信号を信号源からインピーダンス制御された差動伝送線路の送信源ギャップに供給するように動作可能に配置される電力分配器(21)と、を備え、近接場プローブは、インピーダンス制御された差動伝送線路に対して離間した関係で配置されてよく、且つ送信器によって非接触インターフェースにわたって伝送される信号を受信するように動作可能に配置されてよい。
【0018】
セグメント化された信号受信ストリップは、少なくとも2つのさらなる信号受信セグメント(112A、112B、113A、113B、311)を備えてよく、さらなる信号受信セグメントのそれぞれは周波数応答を有し、且つ第1の信号受信セグメントに電気的に結合され、この場合、それぞれのさらなる信号受信セグメントの周波数応答は、さらなる信号受信セグメントが第1の信号受信セグメントから遠くなるほど減少する。セグメント化された信号受信ストリップは、第2の信号受信セグメント、第3の信号受信セグメント、及びさらなる信号受信セグメントのそれぞれの間に位置付けられる少なくとも1つの散逸要素(121A、122A、123A、121B、122B、123B、221A、222A、223A、221B、222B、223B、314A、314B、314)を備えてよく、散逸要素は、各信号受信セグメントを互いに隔離するように構成されてよい。
【0019】
それぞれのさらなる信号受信セグメント(112A、112B、113A、113B)の長さは、さらなる信号受信セグメントが第1の信号受信セグメント(119、219)から遠くなるほど増大し得る。第2の信号受信セグメント(311A)、第3の信号受信セグメント(311B)、及びさらなる信号受信セグメント(311)は、信号フィルタ(321)を設けるために配置される電気的に結合される抵抗器(R)及びコンデンサ(C)を備えてよい。
【0020】
信号取得エリアは、第1のセグメント化された信号受信ストリップ(110、210、310)に平行に配向された第2のセグメント化された信号受信ストリップ(130、230、330)を備え、第2のセグメント化された信号受信ストリップは、第1の周波数応答を有する第1の信号受信セグメント(139、239、339)、第2の周波数応答を有し、且つ第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第2の信号受信セグメント(131A、231A、331A)、及び、第3の周波数応答を有し、且つ第1の信号受信セグメントに電気的に結合される第3の信号受信セグメント(131B、231B、331B)を含み、第2の信号受信セグメントの第2の周波数応答は第1の信号受信セグメントの第1の周波数応答を下回り、第3の信号受信セグメントの第3の周波数応答は第1の信号受信セグメントの第1の周波数応答を下回り、受信電子機器(28)は、第2のセグメント化された信号受信ストリップ(130、230、330)の第1の信号受信セグメント(139、239、339)を介して第2のセグメント化された信号受信ストリップ(130、230、330)によって受信される信号コンテンツを受信するように動作可能に配置されてよい。
【0021】
別の態様では、所望の低周波信号コンテンツのための大きさの長さを有するプローブが提供される。該プローブは、低周波信号コンテンツ及び高周波信号コンテンツを受信するように構成される複数の信号受信ストリップ(110、130、210、230、310、330)であって、複数の信号受信ストリップのそれぞれは、プロセッサ(28)に接続される中央タップ(61、62、119、139、219、239、319、339)、高周波信号を受信するための長さを含む第1の信号受信セグメント(111A、211A、311A)、高周波信号を受信するための長さを含む第2の信号受信セグメント(111B、211B、311B)、中央タップ及び第1の信号受信セグメントを隔離するために中央タップと第1の信号受信セグメントとの間に位置付けられる第1の散逸要素(121A、221A、314A)、及び、中央タップ及び第2の信号受信セグメントを隔離するために中央タップと第2の信号受信セグメントとの間に位置付けられる第2の散逸要素(121B、221B、314B)を含む、複数の信号受信ストリップを備える。
【0022】
複数の信号受信ストリップは、高周波信号を受信するための長さを含む少なくとも1つの第1のさらなる信号受信セグメント(112A、113A、212A、213A)であって、第1の信号受信セグメントに電気的に結合される、少なくとも1つの第1のさらなる信号受信セグメントと、高周波信号を受信するための長さを含む少なくとも1つの第2のさらなる信号受信セグメント(112B、113B、212B、213B)であって、第2の信号受信セグメントに電気的に結合される、少なくとも1つの第2のさらなる信号受信セグメントと、をさらに備えてよい。複数の信号受信ストリップは、中央タップ及び信号受信セグメントを隔離するために信号受信セグメント間に位置付けられる複数の散逸要素(122A、123A、222A、223A)をさらに備えてよい。それぞれの対応する信号受信セグメント(112A、113A、212A、213A、112B、113B、212B、213B)の長さは、信号受信セグメントが中央タップから遠くなるほど増大し得る。信号受信セグメントのそれぞれは、周波信号コンテンツの範囲に対応し得る。第1の信号受信セグメント及び第2の信号受信セグメントは、銅導電性材料を含んでよい。第1の信号受信セグメント(311A)及び第2の信号受信セグメント(311B)は、抵抗器(R)及びコンデンサ(C)フィルタ(321)に電気的に結合されてよい。第1の信号受信セグメント及び第2の受信セグメントは、0.279cm(0.11インチ)×0.191cm(0.075インチ)であってよい。
【0023】
別の態様では、低周波信号コンテンツ及び高周波信号コンテンツを受信する方法が提供される。該方法は、所望の低周波信号コンテンツのための大きさの長さを含むプローブを提供することであって、該プローブは、低周波信号コンテンツ及び高周波信号コンテンツを受信するように構成される複数の信号受信ストリップを備え、複数の信号受信ストリップのそれぞれは、プロセッサに接続される中央タップと、高周波信号を受信するための長さを含む第1の信号受信セグメントと、高周波信号を受信するための長さを含む第2の信号受信セグメントと、中央タップ及び第1の信号受信セグメントを隔離するために中央タップと第1の信号受信セグメントとの間に位置付けられる第1の散逸要素と、中央タップ及び第2の信号受信セグメントを隔離するために中央タップと第2の信号受信セグメントとの間に位置付けられる第2の散逸要素とを備えるプローブを提供することと、第1の信号受信セグメント及び第2の信号受信セグメントによって、低周波信号コンテンツ及び高周波信号コンテンツを受信することと、を含む。
【0024】
複数の信号受信ストリップのそれぞれは、高周波信号を受信するための長さを含む少なくとも1つの第1のさらなる信号受信セグメントであって、第1の信号受信セグメントに電気的に結合される、少なくとも1つの第1のさらなる信号受信セグメントと、高周波信号を受信するための長さを含む少なくとも1つの第2のさらなる信号受信セグメントであって、第2の信号受信セグメントに電気的に結合される、少なくとも1つの第2のさらなる信号受信セグメントと、をさらに備えてよい。複数の信号受信ストリップのそれぞれは、中央タップ及び信号受信セグメントを隔離するために信号受信セグメント間に位置付けられる複数の散逸要素をさらに備えてよい。それぞれの対応する信号受信セグメントの長さは、信号受信セグメントが中央タップから遠くなるほど増大し得る。信号受信セグメントのそれぞれは、周波信号コンテンツの範囲に対応し得る。第1の信号受信セグメント及び第2の信号受信セグメントは、銅導電性材料から作られてよい。第1の信号受信セグメント及び第2の信号受信セグメントは、抵抗器及びコンデンサに電気的に結合されてよい。第1の信号受信セグメント及び第2の受信セグメントは、0.279cm(0.11インチ)×0.191cm(0.075インチ)であってよい。
【0025】
別の態様では、スリップ・リング(115、215)の送信器(162)に対して離間した関係で配置されて、スリップ・リング(115、215)のインターフェース(60)にわたって伝送される信号(30)を受信するための複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)を備えるスリップ・リング・プローブ(100、200、300)が提供される。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれは、中央タップ(61、62、113、123、219、239、319、330)、及び、スリップ・リング(115、215)の、送信器(162)とプローブ(100、200、300)との間の複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)の全長にわたって結合容量を提供することが可能な長さ(132、252)を有する。
【0026】
プローブは段階的周波数応答プローブ(100、200、300)であってよい。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれは、複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれの各長さ(132、252)にわたる可変の損失正接(131、251)を含んでよい。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれの各長さ(132、252)にわたる可変の損失正接(131、251)は、複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)の外側領域に向けて増大し得る。可変の損失正接(131、251)は、複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれの中央タップ(61、62、113、123、219、239、319、339)において最小であり得る。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれの各長さ(132、252)は、信号(30)の周波数に基づいて選択されてよい。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)のそれぞれは、信号取得エリアを含んでよい。信号取得エリアは、信号取得エリアが大きいほど結合容量が大きくなるような結合容量に対応し得る。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230)のそれぞれは、複数の不連続の減衰フィルタ(111A、111B、112A、112B、113A、113B、211A、211B、212A、212B、213A、213B)を含んでよい。複数の不連続の減衰フィルタのそれぞれの長さは、プローブ(100、200)の中央タップ(61、62、113、123、219、239)から離れるように増大し得る。複数の不連続の減衰フィルタ(111A、111B、112A、112B、113A、113B、211A、211B、212A、212B、213A、213B)のそれぞれの長さは、周波数帯域幅に対応し得る。プローブ(100、200、300)は、複数の不連続の減衰フィルタの隣接する減衰フィルタ間に配置される抵抗器(121A、122A、123A、121B、122B、123B、221A、222A、223A、221B、222B、223B、314A、314B、314)を含んでよい。プローブ(100、200)は、周波数を減衰させるために複数の導電性ストリップ(110、120、210、230)のそれぞれの端部にパッド(115A、115B、135A、135B、215A、215B、235A、235B)をさらに含んでよい。プローブ(100、200、300)は、直線プローブ又は湾曲プローブであってよい。複数の導電性ストリップ(110、120、210、230)の長さ(132、252)は、スリップ・リング(115、215)のインターフェース(60)にわたる電気信号(30)の波長に比例してよく、ここで、信号(30)の周波数が低くなることは、プローブ(100、200)の結合容量を増大させるために複数の導電性ストリップ(110、120、210、230)の長さが長くなることに対応し得る。受信器は、複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)の長さ(132、252)の大半にわたる信号の低周波数、及び複数の導電性ストリップ(110、120、210、230、310、330)の中央タップ(113、123、219、239、319、339)の近位のエリアにおける高周波数を受信するように構成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】改善された非接触回転接合の第1の実施例の概略図であり、とりわけ、送信器(TX)信号をデータ伝送側からデータ受信側に伝送するための非接触回転接合(「NCRJ:non-contacting rotary joint」)システム図を示す。差動信号及び伝送線路を図示するために従来の正(+)及び負(-)の記号が示される。
【
図2】円形構成における伝送トラックがある、
図1に示されるスリップ・リングの円形プラッタ回路基板の送信器の上面図である。
【
図3】円形湾曲プラッタ構成における導電性ストリップがある、
図1に示されるスリップ・リングの円形プラッタ回路基板の受信器及びプローブの上面図である。
【
図4】
図3に示されるプローブの一対の導電性ストリップの拡大上面図である。
【
図5】線形構成における伝送トラック及び導電性ストリップがある、非接触スリップ・リングの送信器及び受信器の第2の実施例の斜視図である。
【
図6】対応する損失正接グラフがある、
図5に示されるプローブの導電性ストリップの拡大平面図である。
【
図7】異なる周波数における
図4のスリップ・リング・プローブに対する受信側のアイ・ダイアグラムの図である。
【
図8】
図4に示されるプローブの代替的な実施例の拡大上面図である。
【
図9】
図8に示される10セグメント・プローブの概略的な回路図である。
【
図10】損失正接グラフに対応する典型によるスリップ・リング・プローブの拡大上面図である。
【
図11A】低周波数コンテンツに対するプローブの信号伝達を示す図である。
【
図11B】高周波数コンテンツに対するプローブの信号伝達を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
初めに、同様の参照番号が、いくつかの図面全体にわたって一貫して同じ構造要素、部分、又は表面を識別するように意図されていることは明確に理解されるべきであり、これは、このような要素、部分、又は表面が、本明細書全体によってさらに記載され又は説明される場合があり、この詳細な説明が本明細書の不可欠な部分であるためである。別段の定めがない限り、図面(例えば、クロスハッチング、部品の配置、割合、程度など)は、明細書と共に読まれることが意図されており、本発明の明細書全体の一部分と考えられるべきである。以下の説明で使用されるように、用語「水平の」、「垂直の」、「左の」、「右の」、「上方の」、及び「下方の」、並びにこれらの形容詞的及び副詞的派生語(例えば、「水平に」、「右側に」、「上方へ」など)は、単に、特定の図面が読者の方に向いている際に示された構造の向きを指す。同様に、用語「内側に」及び「外側に」は、一般に、表面の伸長軸又は回転軸に対する表面の向きを必要に応じて指す。
【0029】
データ転送に使用される非接触スリップ・リング・プローブ構造は、異なるデータ速度で異なるように応答する。特定のデータ転送速度及びプロトコルにおいて行われるように設計されるプローブは、他のデータ速度及びプロトコルに対してはうまく行われない。さらに、最適化されたプローブさえも、該プローブが回転又は線形データ源トラックに沿って、特に、トラックが不連続である場所で移動する際に波形歪みを呈する。これによって、検出器における受信された信号品質が劣ることになり、信号(ビット)誤り率(BER:bit error rate)が増大することになる。
【0030】
ここで図面、より詳細には、図面の
図1~
図4を参照すると、第1の実施例が全体として115で指示されているスリップ・リングが提供される。スリップ・リング115は、信号経路における摺動電気接点を使用せずに、2つの相対的に移動可能な部材間の介在するインターフェースにわたる高速データ信号の伝送のための非接触回転接合である。該接合は、電力分配器を通して信号源によって駆動され、且つ遠端で抵抗終端されている分割された差動マイクロストリップ伝送線路と、送信器差動マイクロストリップの近接場を検知する平面差動電磁場プローブを含み、且つ回復された信号エネルギーを検出用の電子受信器に送出する受信器と、を含む。この高速非接触回転接合は、プリント回路基板(「PCB:printed circuit board」)技術によって実施され得、且つ、周波数ドメイン帯域幅で、マルチギガビット・データ伝送速度をサポートすることができる。
【0031】
図1に示されるように、信号源20は、(能動的で又は受動的であり得る)電力分配器21に高速のデジタル・データ信号を送出するのに役立ち、この場合、信号は、送信源ギャップ23を通って、インピーダンス制御された差動伝送線路162に移行する。信号は、さらにまた、信号が広帯域終端技法25による遠端部終端ギャップ24で終端する場所まで、送信器回路基板16の線路162の差動伝送線路リング構造体上を横電磁波(「TEM:transverse electromagnetic wave」)として伝搬する。リング伝送線路162上を進むTEM信号は、受信器回路基板18の超広帯域平面のセグメント化されたGFR近接場プローブ信号取得エリア100によって近接場でサンプリングされ、このGFR近接場プローブ信号取得エリア100は、物理的接触なしに回転接合が自由に回転することができるように送信器16及びリング構造体162の上のある距離に懸架される。よって、示されるように、プローブ信号取得エリア100は、インピーダンス制御された差動伝送線路162の上で少し離れて懸架される。近接場プローブ100によって空隙60にわたって回復した信号30は、受信器18の受信電子機器28に送出され、ここで、信号は、検出され、増幅されることが可能であり、このデータを回復可能である。
【0032】
データ・ソース・ドライバー20は、電流モード論理回路(「CML:current-mode logic」)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(「FPGA:field-programmable gate array」)、低電圧差動信号(「LVDS:low-voltage differential signaling」)装置、及び他のディスクリート装置を含む、所望のデータ・レートが可能な多くの技術のいずれかであってもよい。データ信号は、差動リング・システムに送給するために2つの等しい振幅の位相反転した信号に分割され、これは、受動抵抗分配器又は能動技法(例えば、CMLファンアウト・バッファ)によって行われ得る機能である。電力分配器21は、ディスクリートの組立体として実装可能であり、又は、この実施例では、ディスクリート部品若しくは集積化された部品又は平坦なPCB幾何学形状で実装された埋め込み受動部品を有する送信器16のPCB構造上に組み込まれ得る。電力分配器を実装するために用いられる技術は、より高い周波数で次第により顕著になる信号反射をもたらす部品パッケージの寄生リアクタンスにより、データ・チャネルの高周波動作に対して制約を課す。駆動電子機器、電力分配器、及び伝送線路終端は、高周波性能の能力が寄生リアクタンスを減少させることによって判断されるさまざまな技術(例えば、PCB構造上のスルーホール部品若しくは表面実装部品、集積部品、又は平坦なPCB幾何学形状で実装された埋め込み受動部品)を使用して実装可能である。
【0033】
非接触回転接合115における送信器16のリング構造体162は、非共振で、不連続な、典型的にはマイクロストリップ多層プリント回路基板技術で実装されるインピーダンス制御された差動伝送線路である。リング伝送線路162の性質は、信号エネルギーの大部分が導体の近接場に含有されているようなものである。構造体から放射されるエネルギーは、遠距離場で打ち消し合う傾向があり、電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)の抑制を支援する。リング・システム上で伝搬する信号は、指向性を有する。
【0034】
受信器18の近接場プローブ100は、リング伝送線路162上の高速データ伝送の特定の要件を満たしながら、超広帯域近接場応答を有するように設計される。受信器18は、平行にセグメント化された導電性ストリップ100の複数の対を片側に有するPCBを広く含むように示される。セグメント化された導電性ストリップ100のそれぞれの対は、第1のセグメント化された導電性ストリップ110及び第2のセグメント化された導電性ストリップ130を含む。第1の導電性ストリップ110及び第2の導電性ストリップ130はそれぞれ、受信器の所望の低周波数ドメインに対応する長さを有し、且つ回転接合115の空隙60にわたって送信器160から信号を受信するように構成される。
【0035】
第1の導電性ストリップ110は、中央導電性パッド119と、中央パッド119から端部116の方に延在する導電性パッド111A、112A、及び113Aと、端部116を画成する端部容量性素子115Aと、中央パッド119から端部118の方に延在する導電性パッド111B、112B、及び113Bと、端部118を画成する端部容量性素子115Bとを備える。中央導電性パッド119は、受信器基板18の信号受信電子機器28の初段増幅器に接続する中央ビア又はタップ61を有する。中央導電性パッド119、導電性パッド111A、112A、及び113A、端部容量性素子115A、導電性パッド111B、112B、及び113B、並びに端部容量性素子115Bのそれぞれは、抵抗器121A、121B、122A、122B、123A、123B、124A、及び124Bによってそれぞれ互いに分離されている。
【0036】
同様に、第2の導電性ストリップ130は第1の端部136から第2の端部138まで延在する。第2の導電性ストリップ130は、中央導電性パッド139と、中央パッド139から端部136の方に延在する導電性パッド131A、132A、及び133Aと、端部136を画成する端部容量性素子135Aと、中央パッド139から端部138の方に延在する導電性パッド131B、132B、及び133Bと、端部138を画成する端部容量性素子135Bとを備える。中央導電性パッド139は、受信器基板18の信号受信電子機器28の初段増幅器に接続する中央ビア又はタップ62を有する。中央導電性パッド139、導電性パッド131A、132A、及び133A、端部容量性素子135A、導電性パッド131B、132B、及び133B、並びに端部容量性素子135Bのそれぞれは、抵抗器141A、141B、142A、142B、143A、143B、144A、及び144Bによってそれぞれ互いに分離されている。
【0037】
よって、プローブ100の第1の導電性ストリップ110は、連続しておらず、代わりに、複数のセグメント119、111A、111B、112A、112B、113A、及び113B、複数の抵抗器121A、121B、122A、122B、123A、123B、124A、及び124B、第1の容量端部115A、並びに第2の容量端部115Bから形成される。
図4に示され、且つ実施例200に関してさらに後述されるように、この実施例では、セグメント111A及び111B、112A及び112B、並びに113A及び113Bは、セグメント長が中央セグメント119及び中央ビア61から距離が長くなると増大するように長さが変化する。よって、中央セグメント119は中央長さを有し、セグメント111A及び111Bは中央セグメント119の中央長さを上回る第1の長さを有し、セグメント112A及び112Bはセグメント111A及び111Bの第1の長さを上回る第2の長さを有し、セグメント113A及び113Bはセグメント112A及び112Bの第2の長さを上回る第3の長さを有する。この長さの差異に起因して、導電性セグメント111A及び111B、112A及び112B、並びに113A及び113Bは、中央セグメント119に対するこれらの位置に応じた異なる周波数応答を有する。このような導電性セグメントは、セグメント113A及び113Bが高周波信号成分に対して最も低い応答を有し、中央セグメント119が高周波信号成分に対して最も高い応答を有するように、中央セグメントからの距離又は中央セグメントに対する場所に応じて減少する周波数応答を有する。全体的なストリップ長、個々のセグメント長、及び導電性ストリップ110のセグメント数は、受信器18に対して所望される周波数範囲に応じて変化し得る。
【0038】
図4に示され、且つ実施例200に関してさらに後述されるように、この実施例では、抵抗器121A、121B、122A、122B、123A、123B、124A、及び124Bはまた、抵抗器の長さが中央タブ119及び中央ビア62からの距離が長くなると増大するように長さが変化する。よって、中央セグメント119とセグメント111A及び111Bとの間の抵抗器121A及び121Bはそれぞれ、第1の長さを有し、セグメント111A及び111Bとセグメント112A及び112Bとの間の抵抗器122A及び122Bはそれぞれ、抵抗器121A及び121Bの第1の長さを上回る第2の長さを有し、セグメント112A及び112Bとセグメント113A及び113Bとの間の抵抗器123A及び123Bはそれぞれ、抵抗器122A及び122Bの第2の長さを上回る第3の長さを有する。セグメント113A及び113Bと小端部容量の端部115A及び115Bとの間の抵抗器124A及び124Bはそれぞれ、導電性ストリップ110の端部116及び118の方に伝搬した高周波信号成分を散逸するのに役立つ。抵抗器121A、121B、122A、122B、123A、及び123Bは、ストリップ110に沿ったこれらの場所における関心周波数を減衰させるように設定される値を有するように構成される。この実施例では、抵抗器123A及び123Bは、低周波信号成分が導電性セグメント113A及び113Bから導電性セグメント112A及び112Bまでそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。次に、双対抵抗器122A及び122Bは、中間高周波信号成分が導電性セグメント112A及び112Bから導電性セグメント111A及び111Bまでそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。次に、抵抗器121A及び121Bは、中間周波信号成分が導電性セグメント111A及び111Bから導電性セグメント119までそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。抵抗器の値、個々の抵抗器の長さ、及び抵抗器の数は、受信器18に対して所望される周波数範囲及び減衰に応じて変化し得る。
【0039】
同様に、プローブ100の第2の導電性ストリップ130は、連続しておらず、代わりに、複数のセグメント139、131A、131B、132A、132B、133A、及び133B、複数の抵抗器141A、141B、142A、142B、143A、143B、144A、及び144B、第1の容量端部135A、並びに第2の容量端部135Bから形成される。
図4に示され、且つ実施例200に関してさらに後述されるように、この実施例では、セグメント131A及び131B、132A及び132B、並びに133A及び133Bは、セグメント長が中央セグメント139及び中央ビア62から距離が長くなると増大するように長さが変化する。よって、中央セグメント139は中央長さを有し、セグメント131A及び131Bは中央セグメント139の中央長さを上回る第1の長さを有し、セグメント132A及び132Bはセグメント131A及び131Bの第1の長さを上回る第2の長さを有し、セグメント133A及び133Bはセグメント132A及び132Bの第2の長さを上回る第3の長さを有する。この長さの差異に起因して、導電性セグメント131A及び131B、132A及び132B、並びに133A及び133Bは、中央セグメント139に対するこれらの位置に応じた異なる周波数応答を有する。このような導電性セグメントは、セグメント133A及び133Bが高周波信号成分に対して最も低い応答を有し、中央セグメント139が高周波信号成分に対して最も高い応答を有するように、中央セグメントからの距離又は中央セグメントに対する場所に応じて減少する周波数応答を有する。全体的なストリップ長、個々のセグメント長、及び導電性ストリップ130のセグメント数は、受信器18に対して所望される周波数範囲に応じて変化し得る。
【0040】
図4に示され、且つ実施例200に関してさらに後述されるように、この実施例では、抵抗器141A、141B、142A、142B、143A、143B、144A、及び144Bはまた、抵抗器の長さが中央セグメント139及び中央ビア62から距離が長くなると増大するように長さが変化する。よって、中央セグメント139とセグメント131A及び131Bとの間の抵抗器141及び141Bはそれぞれ、第1の長さを有し、セグメント131A及び131Bとセグメント132A及び132Bとの間の抵抗器142A及び142Bはそれぞれ、抵抗器141A及び141Bの第1の長さを上回る第2の長さを有し、セグメント132A及び132Bとセグメント133A及び133Bとの間の抵抗器143A及び143Bはそれぞれ、抵抗器142A及び142Bの第2の長さを上回る第3の長さを有する。セグメント133A及び133Bと小端部容量の端部135A及び135Bとの間の抵抗器144A及び144Bはそれぞれ、導電性ストリップ130の端部136及び138の方に伝搬した高周波信号成分を散逸するのに役立つ。抵抗器141A、141B、142A、142B、143A、及び143Bは、ストリップ130に沿ったこれらの場所における関心周波数を減衰させるように設定される値を有するように構成される。この実施例では、抵抗器143A及び143Bは、低周波信号成分が導電性セグメント133A及び133Bから導電性セグメント132A及び132Bまでそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。次に、双対抵抗器142A及び142Bは、中間高周波信号成分が導電性セグメント132A及び132Bから導電性セグメント131A及び131Bまでそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。次に、抵抗器141A及び141Bは、中間周波信号成分が導電性セグメント131A及び131Bから導電性セグメント139までそれぞれ通過することができるが、より高い周波信号成分が通過しないように構成される。抵抗器の値、個々の抵抗器の長さ、及び抵抗器の数は、受信器18に対して所望される周波数範囲及び減衰に応じて変化し得る。
【0041】
よって、スリップ・リング115は、PCB材料のより長い伝送ストリップ162、及びより短い差動の導電性受信側プローブ信号取得エリア100を含む。伝送ストリップ及び受信側プローブ100は近接して設置され、伝送ストリップ162上にある信号は典型的には、空隙60にわたって受信側プローブ100に容量結合される。信号は、初段増幅器50によって増幅され、且つ通信受信回路28に送信される。トレースは典型的には、EMC効果を低減するために差動トラックとして編成されるが、単一のトラックも同様に考えられる。
【0042】
図2に示されるように、送信器16は、4つのチャネル162が中心に対して配向されている円形の平坦なプラッタ構成を有する。
図3に示されるように、受信器18は同様に、湾曲した導電性ストリップ110、130が中心に対して配向されている4つのプローブ・チャネル100を有する円形プラッタ回路基板として構成される。送信器16及び受信器118は、それぞれのチャネルに対する受信側プローブ100がスリップ・リング115の対応するチャネル伝送トラック162から空隙60にわたって径方向に整列するように同軸である。伝送トラック162の周りを伝搬する信号は、空隙60にわたって受信側プローブ100に容量結合され、この場合、信号は増幅され、且つ通信受信回路に伝達される。
【0043】
伝送トラック162及び受信側プローブ100は(
図1~
図4に示されるように)円形プラッタ上で湾曲しているが、
図5及び
図6に示される代替的な実施例200では、このような伝送トラック及び受信側プローブは、まっすぐで平行なトラックとして構成される。ここで
図5及び
図6を参照すると、改善されたスリップ・リング・プローブの第2の実施例が全体として200で指示されている。この直線構成を除いて、プローブ200は湾曲プローブ100と構成及び動作が同様である。
【0044】
図5に示されるように、スリップ・リング215は、PCB材料のより長い伝送ストリップ260、及びより短い差動の導電性受信側プローブ200を有する。伝送ストリップ260及び受信側プローブ200は近接して設置され、伝送ストリップ上にある信号は典型的には、空隙60にわたって受信側プローブ200に容量結合される。よって、受信側プローブ200は、
図5に示されるようにスリップ・リング215の伝送トラック262より上に又はこれに隣接して設置される。伝送トラック262の下方に伝搬する信号は、空隙60にわたって受信側プローブ200に容量結合され、この場合、信号は、増幅器50を介して増幅され、且つ通信受信回路に伝達される。
【0045】
図6に示されるように、プローブ200は、第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230を広く含むように示される。スリップ・リング200の第1の導電性ストリップ210は、複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213B、複数の抵抗器221A、221B、222A、222B、223A、223B、及び224A、第1の端部215A、並びに第2の端部215Bを含む。複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213Bは、
図6に示されるように、且つプローブ100に関して説明されるのと同じように長さが変化する。セグメント211A及び211B、212A及び212B、並びに213A及び213Bは、それぞれ、第1の導電性ストリップ210の、中央セグメント219から第1の端部215A及び第2の端部215Bまで長さが増大する。
【0046】
第1の導電性ストリップ210の第1の端部215A及び第2の端部215Bはそれぞれ、特定の場所における関心周波数を減衰させるように設計される、隣接する抵抗器224A及び224Bそれぞれと直列に接地するように小容量を形成する第2の銅パッド上に第1の銅パッドを含む。これらのパッドは、複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213Bの幅より広い幅を有する四角形として示される。しかしながら、複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213Bに関して含む他の形状及び幅は、当業者によって理解されるような意図される目的に適すると考えられる。
【0047】
さらにまた、複数の抵抗器221A、221B、222A、222B、223A、223B、224A、及び224Bは、複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213Bの隣接するセグメントと、スリップ・リング・プローブ200の端部パッド215A及び215Bとの間に位置付けられるように構成される。第1の導電性ストリップ210の複数の抵抗器の値は、特定の場所における関心周波数を減衰させるように選択される。この実施例はまた、中央セグメント219と、複数のセグメントの隣接するセグメント211A及び211Bとの間に2つの抵抗器を含むが、1つのみの抵抗器又は2つ以上の抵抗器が本開示では考えられる。また、複数の抵抗器の長さは、第1の導電性ストリップ210の複数のセグメントの隣接するセグメントのサイズに応じて変化する。
【0048】
スリップ・リング200の第2の導電性ストリップ220は、複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233B、複数の抵抗器241A、241B、242A、242B、243A、243B、及び244A、第1の端部235A、並びに第2の端部235Bを含む。複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233Bは、
図6に示されるように、且つプローブ100に関して説明されるのと同じように長さが変化する。セグメント231A及び231B、232A及び232B、並びに233A及び234Bは、それぞれ、第2の導電性ストリップ230の、中央セグメント239から第1の端部235A及び第2の端部235Bまで長さが増大する。
【0049】
第1の導電性ストリップ230の第1の端部235A及び第2の端部235Bはそれぞれ、特定の場所における関心周波数を減衰させるように設計される、隣接する抵抗器244A及び244Bそれぞれと直列に接地するように小容量を形成する、第2の銅パッド上に第1の銅パッドを含む。これらのパッドは、複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233Bの幅より広い幅を有する四角形として示される。しかしながら、複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233Bに関して含む他の形状及び幅は、当業者によって理解されるような意図される目的に適すると考えられる。
【0050】
さらに、複数の抵抗器241A、241B、242A、242B、243A、243B、244A、及び244Bは、複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233Bの隣接するセグメントと、スリップ・リング・プローブ200の端部パッド235A及び235Bとの間に位置付けられるように構成される。第2の導電性ストリップ230の複数の抵抗器の値は、特定の場所における関心周波数を減衰させるように選択される。この実施例はまた、中央セグメント219と、複数のセグメントの隣接するセグメント231A及び231Bとの間に2つの抵抗器を含むが、1つのみの抵抗器又は2つ以上の抵抗器が本開示では考えられる。また、複数の抵抗器の長さは、第2の導電性ストリップ230の複数のセグメントの隣接するセグメントのサイズに応じて変化する。
【0051】
スリップ・リング・プローブ200の最外端(例えば、第1の導電性ストリップ210の第1の端部215A及び第2の端部215B、並びに第2の導電性ストリップ230の第1の端部235A及び第2の端部235B)は、より大きい高周波損失を有する。スリップ・リング・プローブ200の中心部分、最中央セグメント219及び最中央セグメント239、並びに、ストリップ210及び230の中央ビア61並びに中央ビア62はそれぞれ、高周波数ではほとんど損失がない。これによって、波長(周波数)を、伝送線路を形成しないほど短い導電性材料の長さに制約する、スリップ・リング・プローブ200のセグメント219及び239(例えば、第1の導電性ストリップ210の複数のセグメント、及び第2の導電性ストリップ230の複数のセグメント)の中央ビア61及びビア62に隣接する増幅器50に送給する最も高い周波数が維持される。
【0052】
関心周波数が減少するにつれて波長は増大し、スリップ・リング・プローブ200の第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230の長さが長ければ長い方のものが利用される。より低い周波数で使用されるスリップ・リング・プローブ200のこのより大きい信号取得エリアによって、伝送トレース262に対する結合容量が増大する。これは、より高い周波数がより小さい容量でうまく結合するため、有益である。より低い周波数で同じ結合を実現するために、(インピーダンスがスリップ・リング・プローブ200にわたって平坦であると想定して)より大きい容量が必要とされる。
【0053】
スリップ・リング・プローブ200の第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230は、PCB銅ストリップ、又は意図される目的に適し且つ当業者によって理解される任意の他の導電性材料から形成されてよい。この実施例では、第1の導電性ストリップ210の複数のセグメント219、211A、211B、212A、212B、213A、及び213B、並びに、第2の導電性ストリップ230の複数のセグメント239、231A、231B、232A、232B、233A、及び233Bは、長さが、
図6に示されるようなスリップ・リング・プローブ200のその場所における周波数帯域幅及び所望される周波数応答に対応する銅タブである。
図6は、損失正接軸251及びプローブ長さ軸252を有する損失正接グラフ250を示している。
図6は、さらに、スリップ・リング・プローブ200に沿ったさまざまな劣化した周波数応答253A、253B、254A、254B、255A、及び255Bを示す。例えば、第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230のセグメント211A及び231Aはそれぞれ、損失正接値253A及び253Bにそれぞれ対応する。第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230のセグメント212A及び232Aはそれぞれ、損失正接値254A及び254Bにそれぞれ対応する。第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230のセグメント213A及び233Aはそれぞれ、損失正接値255A及び255Bにそれぞれ対応する。第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230のセグメント219及び239はそれぞれ、損失正接値256に対応する。
【0054】
図11Aに示されるように、低周波数では、スリップ・リング・プローブ200は、増幅器50の情報を伝達するために第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230の長さの大半を使用する。
図11Bに示されるように、より高い周波数では、中央の受信セグメント119及び139、並びに、例えば、スリップ・リング・プローブ200の第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230のセグメント211A、211B、及び231A、231Bなどの他の対象内部の導電性セグメントは、信号を増幅器50に伝達する。第1の導電性ストリップ210及び第2の導電性ストリップ230の第1の端部215A及び235A並びに第2の端部215B及び235Bに向けたより高い周波数は、散逸され且つ熱として吸収される。そのように、増幅器ピックアップ・エリア50への伝搬の機会はない。
【0055】
図7を参照すると、ビット列PRBS-7及びPRBS-31のさまざまなアイ・ダイアグラムがスリップ・リング・プローブ100に対して示されている。スリップ・リング・プローブ100のテスト結果は、500Mbps~10Gbpsの周波数範囲における下端周波数コンテンツに対応する。
【0056】
信号がうまく作動するスリップ・リングの伝送トラック262にわたる場所があるが、伝送トラック262に沿った他の場所では、信号は故障する。これらの変動は、基本送信周波数に依存しており、受信側プローブ200として作成される共鳴構造は、(例えば、空隙60にわたって)トラックが不連続である位置を含んで、スリップ・リングの伝送トラック262に対する位置を変更させる。
【0057】
例えば、スリップ・リング通信チャネルにわたるHDビデオ信号などの信号を伝達するために、33.7MHz~8910MHzの平坦なチャネル帯域幅が利用され、これら全てには正弦波の振幅及び位相に対する置換はない。これらの周波数はまた、(実際のPCB材料の光の速度の75%で推定される)おおよそ25mm~7メートルの波形周期長に対応する。これらの波長は、同時に容量及び/又は誘導結合を介して受信側プローブ200に伝達される。
【0058】
波長が長くなると(周波数が低下すると)、伝送線路効果(例えば、電磁干渉及び雑音)なく、受信側プローブ200内へのエネルギーに容量的に影響する。これは、より低い周波数波長がプローブ200の長さをはるかに上回り、且つプローブ200がこれらの周波数でのこの長さに沿って連続して応答するからである。これらのより低い周波信号は、歪みなく初段増幅器50に容易に向けられる。低周波数は、プローブ200の長さより長い周期で受信側プローブ200に影響し得る。
【0059】
より高い周波数はまた、スリップ・リングの空隙にわたって同時に伝達される。周波数が増大すると、波長は減少し、且つある時点で受信側プローブは別のやり方で、容量性構造から伝送線路結合器に移行することになる。例えば、受信側プローブは100mmの長さを有していたとしたら、プローブは(75%の伝搬率で)およそ1000mmの波長又は220MHzで伝送線路装置内に移行し始める場合がある。より高い周波数は、プローブの長さより短い周期で受信側プローブに影響し得る。
【0060】
スリップ・リング・プローブ100及び200は、スリップ・リング・プローブ内に埋め込まれた特有の連続フィルタリング機構を利用する。プローブ100及び200は、非接触空隙60にわたる移行後にデジタル波形を正しく復元するために必要とされる正しい成分の周波数及び波形位相遅延のみを効果的に伝達することによって、デジタル・データ・レート及びプロトコルの範囲にわたる改善されたプローブ応答を示す。
【0061】
プローブ100及び200は、非常に精確であり、且つ、簡易な二進デジタル波形の復元(すなわち、PAM-4)よりさらに一層複雑である、空隙60にわたる移行後に複雑な波形を復元するために周波数成分の任意のセットで使用されてよい。このトポロジは、導電性材料における損失正接の連続的な変化を必要とする。スリップ・リング・プローブは、スリップ・リング・プローブの長さに沿って損失正接を増加させる可変ドープ材料を使用する3D印刷方法によって構築されてよい。
【0062】
スリップ・リング・プローブ100及び200は、二進符号化したデジタル波形に利用されてよい。スリップ・リング・プローブ100及び200はまた、タイミング・スキュー及びアナログ量子化誤差両方を生じさせる望まれない帯域外雑音を実質的に低減し得る。その結果、スリップ・リング・プローブ100及び200は、限定はされないが、PAM-4及びPAM-8波形並びにこれらの派生形を含む、空間間隙にわたるより複雑な通信波形の精確な復元に適用される。スリップ・リング・プローブ100及び200を使用して伝達される波形の精度にはまた、回転式インターフェースにわたるPAM-4又はQAMなど、二値以外の変調を使用することで、同じチャネル帯域幅を使用する間にデータ転送速度は増大する。さらに、スリップ・リング・プローブ100、200は、PSK、FSK、ASK、QAM、OOK、CPM、QPSK、FM、AM、及びこれら変調技法の派生物などの代替的な変調を使用する他のデジタル波形符号化方式を利用してよい。
【0063】
スリップ・リング・プローブ100、200はまた、非接触空隙60にわたる移行後にデジタル波形を正しく復元するために必要とされる正しい成分の周波数及び波形位相遅延のみを効果的に伝達することによって、デジタル・データ・レート及びプロトコルの範囲にわたるプローブ応答を改善する。
【0064】
スリップ・リング・プローブ100、200はまた、長いランレングスのデジタル通信(例えば、SMPTE対応のビデオ・データストリーム)の信号品質、及び、回転式の非接触インターフェースにわたる8b10b通信の信号品質を改善する。これによって、必要とする追加のチャネル・ストリームの費用が増大することなく、同じ帯域幅のチャネルにわたるデータ転送速度が速くなる。
【0065】
スリップ・リング・プローブ100、200はさらに、回転式、線運動、又は定置の非接触通信システムに適用されてよい。信号源とスリップ・リング・プローブ100、200との間の空隙60の組成は、典型的には空気であるが、空気のような混合物、真空、又は変化する性質の誘電材料であってよい。
【0066】
ここで
図8及び
図9を参照すると、改善されたスリップ・リング・プローブの第3の実施例が全体として300で指示されている。示されるように、プローブ300は、第1の実施例のプローブ100と同様の湾曲構成を有し、且つスリップ・リング115の円形のスリップ・リングのプラッタ構成で使用され得る。プローブ300はまた、それぞれが受信器の所望される低周波数ドメインに対応し、且つ回転接合の空隙60にわたる送信器16のトレース・フィード362から信号30を受信するように構成される長さを有する第1の導電性ストリップ310及び第2の導電性ストリップ330による一対のセグメント化された導電性ストリップ310及び330を有する。プローブ300の第1の導電性ストリップ310及び第2の導電性ストリップ330はまた、連続しておらず、代わりに、中央セグメント319及び339、並びに、別々にそれぞれ311及び331で指示される、該中央セグメントから両方向のどちらにも延在する複数の導電性セグメント又はパッドから形成され、このようなセグメントは、これらの間に、別々にそれぞれ314及び334で指示される、抵抗器によって分離される。しかしながら、プローブ300は、中央セグメント319及び339それぞれからの距離又はこれらセグメントに対する場所に応じて、セグメント311及び331のそれぞれに対する周波数応答を減少させるために、セグメント又はパッド311及び331のそれぞれにそれぞれ、結合される、別々に321及び341で指示される、後端の抵抗器R及びコンデンサC素子を使用することによって、プローブ100及び200と異なっている。導電性銅セグメント又はパッド311及び331のそれぞれは、そのために、異なる周波数応答が提供され、このような周波数応答は、プローブ中心並びにパッド319及び339からそれぞれ離れるにつれて減少する。導電性セグメント311及び331並びに抵抗器314及び334のそれぞれは、同じ長さを有する。この実施例では、抵抗器314及び334は、パッド間の分離を短くするために90度回転させられ、2つのより小さい抵抗器は、中央パッド319及び339と直接隣接したパッド311及び334との間にそれぞれ配設される。
【0067】
それ故に、スリップ・リング・プローブ300は、導電性銅セグメント又はパッド311、及び、ストリップ、及びストリップに沿ってパッド周波数応答を制御するRC素子321を形成する抵抗器314が交互になっている第1の導電性ストリップ310と、スリップ・リング・プローブ300の範囲で受信される最も高い周波数を減衰させ、且つこれら周波数が、スリップ・リング・プローブ300の対応する第1の導電性ストリップ310及び第2の導電性ストリップ330の中央の銅セグメント又はパッド319及び339に伝送されないようにするために、銅セグメント又はパッド331、及び、ストリップ、及びストリップに沿ってパッド周波数応答を制御するRC素子341を形成する抵抗器334が交互になっている第2の導電性ストリップ330とを含む。R/C周波数フィルタ要素321及び341は、それぞれのセグメント又はパッド311及び331の下側に取り付けられる。この実施例では、フィルタ要素321及び341におけるコンデンサCのそれぞれの容量は、中央パッド319及び339に直接隣接するセグメント311及び331が最も低い容量を有し、且つストリップ310及び330の端部でのセグメントにおけるコンデンサCが最も高い容量を有するように、中央セグメント319及び339からの距離又はこれらに対する場所に応じて増大する。よって、この実施例では、中央セグメント319及び339における容量はゼロであり、このような容量は、それぞれのセグメント311及び331用のそれぞれのコンデンサCに対して、これらセグメント311及び331がプローブの中心から離れると増大するため、このようなセグメントはプローブの中心から離れるにつれて周波数に対する応答がどんどん低下する。導電性銅セグメント又はパッド311及び331のそれぞれは、それによって、異なる周波数応答が提供され、このような周波数応答は、プローブ中心並びにパッド319及び339からそれぞれ離れるにつれて減少する。この実施例では、それぞれのフィルタ要素321及び341のコンデンサCの容量は、プローブの中心からの対応するセグメント311、331の距離に応じて変化するが、それぞれのフィルタ要素321及び341の対応する抵抗器Rの抵抗は同じであり得る。ストリップ310は、中央セグメント及びビア319の両側において、10の線路抵抗器314、線路セグメント311、及び対応するフィルタ要素321を有するように示される。ストリップ330は、中央セグメント及びビア339の両側において、10の線路抵抗器334、線路セグメント331、及び対応するフィルタ要素341を有するように示される。しかしながら、多かれ少なかれ、線路抵抗器、線路セグメント、及びフィルタ要素は、意図される目的に適しており且つ当業者によって理解される特定の周波数範囲に応じて利用されてよい。
【0068】
スリップ・リング・プローブ300は、セグメント化されたトポロジを保持する傾斜周波数応答プローブであるが、より高い周波数成分は、抵抗部品を通してより高い周波数を接地面322及び342に効果的に分路する、受動抵抗器R、並びにコンデンサCフィルタ321及び341(例えば、ローパス・フィルタ)によってそれぞれ、導電性セクション311及び331のそれぞれにおいて減衰する。R-Cフィルタ321及び341は、対応する第1の導電性ストリップ310及び第2の導電性ストリップ330のそれぞれのセグメント311及び331の下に電気的に結合される。よって、この実施例では、スリップ・リング・プローブ300は、終端されない伝送線路セグメントではなく、プローブ300の長さにわたる受動抵抗-容量多極ローパス・フィルタ技法を含む。いずれにしても、中央タブ及び中央情報タップ61及び62からの距離が遠くなるほど、減衰される信号30の上方の周波数領域は多くなる。
【0069】
図9の回路表示に示される抵抗器R及びコンデンサCは、ディスクリート部品、ディスクリート部品及びPCB埋め込み部品の混合物、又は全てのPCB埋め込み部品のいずれかであってよい。さらに、傾斜周波数応答(GFR:gradient frequency response)部の構成部品の数が増大すると、元のデジタル波形のより簡潔な表示がもたらされるが、これは、一定のデジタル・シグナリングの進行に含有される全ての可能な高調波周波数に間隙がないことが考慮されているからである。さらなる実施例では、さらに多くのより小さいセグメントを有するGFRプローブは、
図10に示されるように、典型的な連続したGFRプローブとして振る舞い始める。
【0070】
図9はまた、周波数構造共鳴範囲が2.6GHz~11GHzであることを示している。しかしながら、より小さい又はより大きい周波数構造共鳴範囲は、意図される目的に適しており且つ当業者によって理解されるスリップ・リング・プローブによって利用されてよい。
【0071】
この実施例では、スリップ・リング・プローブ300は、およそ5.842cm(2.30インチ)の全長を有し得る。それぞれの受信側パッド311及び331は、長さが0.279cm(0.11インチ)で幅が0.191cm(0.075インチ)であり得る。スリップ・リング・プローブ300の基板は、ER=~4と表され得、伝搬速度は光の速さ(c)のおよそ50%である。パッド311、331の間の抵抗器314、334は、パッド間の間隔を最小化するために垂直に位置している。フィルタ部品R、Cは、それぞれのパッドに位置してよく、ディスクリート部品及び/又は埋め込み部品を含んでよい。フィルタ部品R、Cの値は、構造共鳴を回避しながら、最も高い周波数を通すように選択される。
【0072】
図10は、損失正接軸251及びプローブ長さ軸252を有する典型的な損失正接グラフ40を示す。
図10はさらに、スリップ・リング・プローブの長さに沿って連続して劣化する周波数応答33によるスリップ・リング・プローブ400を示す。スリップ・リング・プローブの第1の端部15A、15B及び第2の端部35A、35Bに向けたスリップ・リング・プローブの最外端は高周波数損失が大きくなる。中央タップ又はビア61、62に最も近いスリップ・リング・プローブの内側部分は、高周波数ではほとんど損失がない。これによって、より高い周波数を、スリップ・リング・プローブの中央タップ61、62における増幅器50に送給し、且つスリップ・リング・プローブの長さに沿った伝送線路を形成しないくらい短くなるようにスリップ・リング・プローブの導電性材料10、30の一部分に波長(周波数)を制約することが可能になる。導電性セグメント及び導電性セグメント間の抵抗器が小さくなればなるほど、プローブに対する損失正接グラフは
図10に示される典型に近づく。
【0073】
明確にするために、別個の実施例の文脈で説明される本開示のある特定の特徴がまた、単一の実施例で組み合わせて提供されてよいことは理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施例の文脈で説明される本開示のさまざまな特徴はまた、別々に、又は任意の適した部分的組み合わせで提供されてよい。
【0074】
本開示では、多くの変更及び修正がなされ得ることが考えられる。したがって、改善されたプローブの形態が示され且つ説明され、多数の代替策が論じられるが、以下の特許請求の範囲によって定められ且つ差別化されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまなさらなる変更及び修正がなされ得ることを、当業者は容易に理解するであろう。