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特許7618666一体型荷重測定装置を備えるエレベータかご用のブレーキ装置、エレベータシステムにおけるブレーキ装置の使用、および方法
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  • 特許-一体型荷重測定装置を備えるエレベータかご用のブレーキ装置、エレベータシステムにおけるブレーキ装置の使用、および方法 図1
  • 特許-一体型荷重測定装置を備えるエレベータかご用のブレーキ装置、エレベータシステムにおけるブレーキ装置の使用、および方法 図2
  • 特許-一体型荷重測定装置を備えるエレベータかご用のブレーキ装置、エレベータシステムにおけるブレーキ装置の使用、および方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】一体型荷重測定装置を備えるエレベータかご用のブレーキ装置、エレベータシステムにおけるブレーキ装置の使用、および方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/16 20060101AFI20250114BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
B66B5/16 Z
B66B3/00 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022525305
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020080403
(87)【国際公開番号】W WO2021084012
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】19206540.7
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュートラー,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロ・ヤーコノ,ロメオ
(72)【発明者】
【氏名】パーフェット,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】トロットマン,ジル
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-216477(JP,A)
【文献】特開平07-157212(JP,A)
【文献】特開昭62-056277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00-5/28
B66B 3/00-3/02
B66B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ設備(1)の変位可能なエレベータかご(3)を制動し、かつエレベータかご(3)内に引き起こされる荷重変化を測定するための制動装置(15)であって、
エレベータ設備(1)の静止構成要素(14)に対してエレベータかご(3)を制動するためのブレーキ(17)と、
エレベータかご(3)上にブレーキ(17)を保持するためのブレーキ保持装置(19)と、
力伝達要素(25)を有し、力伝達要素(25)に作用する力を測定するための荷重測定装置(21)と、
エレベータかご(3)上に荷重測定装置(21)を保持するための荷重測定装置保持装置(23)と
を備え、
ブレーキ(17)およびブレーキ保持装置(19)は、ブレーキ(17)がエレベータかご(3)に対してブレーキ(17)によって生成される力方向(39)に変位させられ得るような形で、ブレーキ(17)がブレーキ保持装置(19)によってエレベータかご(3)上に保持されることになるように構成され、
荷重測定装置(21)および荷重測定装置保持装置(23)は、荷重測定装置(21)がエレベータかご(3)に対してブレーキ(17)によって生成される力方向(39)に固定されるような形で、荷重測定装置(21)が荷重測定装置保持装置(23)によってエレベータかご(3)上に保持されることになるように構成され、
荷重測定装置(21)の力伝達要素(25)は、荷重測定装置(21)に対するブレーキ(17)の相対変位に起因してブレーキ(17)と荷重測定装置(21)との間に作用する力を測定できるようにするために、ブレーキ(17)に動作可能に接続され、
荷重測定装置保持装置(23)およびブレーキ保持装置(19)は、接続片装置(31)を介して弾性変形可能な態様で互いに接続される、制動装置(15)。
【請求項2】
請求項1に記載の制動装置であって、
ブレーキ(17)およびブレーキ保持装置(19)は、ブレーキ(17)がエレベータかご(3)に対してブレーキ(17)によって生成される力方向(39)に最大でも所定の位置まで変位させられることができるような形で、ブレーキ(17)がブレーキ保持装置(19)によってエレベータかご(3)上に保持されることができるように構成される、制動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制動装置であって、
ブレーキ保持装置(19)はスロット(35)を有し、スロットの長手方向は、ブレーキ(17)によって生成される力方向(39)と平行に延び、エレベータかご(3)上に静止して保持された固定要素(36)は、ブレーキ保持装置(19)をエレベータかご(3)上に保持するためにスロットを通って延びることができる、制動装置。
【請求項4】
接続片装置(31)は、エレベータかご(3)の最大許容ペイロードを含むエレベータかご(3)の重量に対応する力がブレーキ保持装置(19)と荷重測定装置保持装置(23)との間で伝達されるときに、接続片装置(31)が実質的に弾性的にのみ変形するように配置され、寸法決定され、かつ構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項5】
接続片装置(31)は、エレベータかご(3)の最大許容ペイロードを含むエレベータかご(3)の重量に対応する力がブレーキ保持装置(19)と荷重測定装置保持装置(23)との間で伝達されるときに、接続片装置(31)がブレーキ(17)によって生成される力方向(39)に1mm未満だけ変形するように配置され、寸法決定され、かつ構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項6】
接続片装置(31)は、少なくともサブ領域において、ブレーキ(17)によって生成された力方向(39)に対して横方向に延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項7】
ブレーキ保持装置(19)、荷重測定装置保持装置(23)、および接続片装置(31)は、共通部品によって一体に形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項8】
ブレーキ保持装置(19)、荷重測定装置保持装置(23)、および接続片装置(31)は、共通の打抜きシートメタル部品によって一体に形成される、請求項7に記載の制動装置。
【請求項9】
力伝達要素(25)は、ひずみゲージ(27)を介して、荷重測定装置保持装置(23)に固定された荷重測定装置(21)のカウンタ要素(29)に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項10】
荷重測定装置(21)は、力伝達要素(25)に作用する力を表す電気信号を生成するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項11】
ブレーキ(17)は、エレベータかご(3)を、停止中にエレベータかごの重量に抗して静止状態に保持する保持ブレーキとして設計され、
ブレーキ(17)は、好ましくは、自由落下の場合の緊急時にエレベータかご(3)を制動するために安全ブレーキとしても設計される、請求項1~10のいずれか一項に記載の制動装置。
【請求項12】
エレベータ設備(1)であって、
エレベータかご(3)と、
ガイドレール(13)と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の制動装置(15)と、
を有し、
エレベータかご(3)は、ガイドレール(13)に沿って変位可能であり、
制動装置(15)は、制動装置のブレーキ保持装置(19)および制動装置の荷重測定装置保持装置(23)によってエレベータかご(3)上に保持され、
制動装置(15)のブレーキ(17)は、エレベータかご(3)を制動するためにガイドレール(13)と相互作用するように構成される、エレベータ設備。
【請求項13】
エレベータかご(3)に作用する荷重を測定する方法であって、
エレベータかご(3)が静止している間に、エレベータかご(3)上に保持された請求項1~11のいずれか一項に記載の制動装置(15)のブレーキ(17)を作動させるステップと、
制動装置(15)の荷重測定装置(21)を使用してエレベータかご(3)に作用する荷重を測定するステップと、
を備える、方法。
【請求項14】
エレベータかご(3)内の荷重変化に応答して、駆動装置(7)によってエレベータかご(3)に及ぼされるべき力を設定する方法であって、
請求項13に記載の方法を使用して荷重変化を測定するステップと、
測定された荷重変化が補償されるように、駆動装置(7)によってエレベータかご(3)に及ぼされる力を設定するステップと
を備える、方法。
【請求項15】
荷重変化が起こる前に、荷重測定装置(21)によって測定された力が基準力として測定され、
ブレーキ(17)の作動後に、かつエレベータかご(3)内に荷重変化が起きた後でエレベータかご(3)に及ぼされる力は、荷重測定装置(21)が基準力に対応する力を測定するように設定される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ設備用の制動装置に関するものであり、それによって変位可能なエレベータかごが制動されることができ、かつエレベータかご内に引き起こされる荷重変化が測定されることができるようにするものである。本発明はまた、そのような制動装置が装備されたエレベータ設備にも関する。本発明はまた、エレベータかごに作用する荷重を測定する方法、および、本明細書に記載の制動装置を使用してエレベータかご内の荷重変化に応答して駆動装置によってエレベータかごに及ぼされるべき力を設定する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ設備では、エレベータかごが、通常、建物内の異なるレベルまたは階の間の垂直エレベータシャフト内で変位させられる。エレベータかごは、例えば、エレベータかごを保持するロープやベルトなどの支持手段を駆動する駆動装置によって変位させられる。エレベータかごは、通常、エレベータかごが変位させられるときにガイドレールによって案内される。エレベータかごを所望の階で停止した状態にするために、エレベータかごの変位運動は、一般に、駆動装置を適切に制御することによって制動される。
【0003】
エレベータかごが階に停止して人々がエレベータかごに出入りするとき、結果として生じる荷重変化は、エレベータかごを保持する支持手段の長さの弾性変化を引き起こすことがある。したがって、階に対するエレベータかごの位置は、階で停止している間に容易に変わることがある。エレベータかごの床と階の床との間に段差が生じるのを防止するために、エレベータかごの位置の変化が、従来からいわゆる再レベリングによって補償されており、再レベリングでは、駆動装置は、エレベータかごの位置の変化が打ち消されるように、エレベータかごを保持する支持手段を目標とした方法で変位させる。しかしながら、そのような再レベリングを実行するには複雑な手段が必要である。
【0004】
あるいは、エレベータかご上に直接ブレーキを設けることが提案されており、ブレーキを用いて、エレベータかごは、階に停止している間、固定位置に保持されることができる。しかしながら、ここでは、停止中のかご内の荷重変化が、かご荷重の変化に起因してその後ブレーキが解放されるときにかごの位置の急激な変化につながるという問題が生じる可能性がある。
【0005】
エレベータかごに作用する荷重を測定するためのアプローチが記述されている。例えば、欧州特許第1278694号明細書は、一体型荷重測定装置を有する牽引エレベータ用の荷重処理手段を記述している。エレベータかご用の代替の荷重測定装置が、欧州特許出願公開第0151949号明細書に記述されている。荷重測定セルがブレーキと相互作用するブレーキ荷重測定システムが、米国特許第6483047号明細書に記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第1278694号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0151949号明細書
【文献】米国特許第6483047号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
とりわけ、エレベータ設備のエレベータかごが有利な方法で制動されることができるようにする手段であって、エレベータかご内で引き起こされる荷重変化を測定できるようにも設計されている制動装置が必要となり得る。さらに、かかる制動装置が装備されたエレベータ設備が必要となり得る。エレベータかごに作用する荷重を測定する有利な方法もまた必要となり得る。最後に、エレベータかご内の荷重変化に応答して、駆動装置によってエレベータかごに及ぼされる力を設定する有利な方法が必要となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような必要性は、独立請求項のうちの1つの主題によって満たされることができる。有利な諸実施形態が、従属請求項および以下の説明において定義される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、エレベータ設備の変位可能なエレベータかごを制動し、かつエレベータかご内に引き起こされる荷重変化を測定するための制動装置が提案される。制動装置は、エレベータ設備の静止構成要素に対してエレベータかごを制動するためのブレーキと、エレベータかご上にブレーキを保持するためのブレーキ保持装置と、力伝達要素を有し、力伝達要素に作用する力を測定するための荷重測定装置と、エレベータかご上に荷重測定装置を保持するための荷重測定装置保持装置と、を有する。ブレーキおよびブレーキ保持装置は、ブレーキがエレベータかごに対してブレーキによって生成される力方向に変位させられることができるような形で、ブレーキがブレーキ保持装置によってエレベータかご上に保持されることができるように構成される。荷重測定装置および荷重測定装置保持装置は、荷重測定装置がエレベータかごに対してブレーキによって生成される力方向に固定されるように、荷重測定装置が荷重測定装置保持装置によってエレベータかご上に保持されることになるように構成される。荷重測定装置の力伝達要素は、荷重測定装置に対するブレーキの相対変位に起因してブレーキと荷重測定装置との間に作用する力を測定できるようにするために、ブレーキに動作可能に接続される。荷重測定装置保持装置およびブレーキ保持装置は、接続片装置を介して弾性変形可能な態様で互いに接続される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、エレベータかごと、ガイドレールと、第1の態様の一実施形態による制動装置と、を有するエレベータ設備が記述される。エレベータかごは、ガイドレールに沿って変位させられることができる。制動装置は、制動装置のブレーキ保持装置および制動装置の荷重測定装置保持装置によってエレベータかご上に保持される。制動装置のブレーキは、エレベータかごを制動するためにガイドレールと協働するように構成される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、エレベータかごに作用する荷重を測定する方法が記述される。本方法は、少なくとも、以下のステップ、(i)エレベータかごが静止している間に、エレベータかご上に保持された本発明の第1の態様の一実施形態による制動装置のブレーキを作動させるステップと、(ii)制動装置の荷重測定装置を使用してエレベータかごに作用する荷重を測定するステップと、を含む。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、エレベータかご内の荷重変化に応答して駆動装置によってエレベータかごに及ぼされるべき力を設定する方法が記述される。本方法は、少なくとも、(i)本発明の第3の態様の一実施形態による方法を使用して荷重変化を測定するステップと、(ii)測定された荷重変化が補償されるように、駆動装置によってエレベータかごに及ぼされる力を設定するステップと、を含む。
【0013】
本発明の諸実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ本発明を限定することなく、以下に記述される概念および知見に基づくと見なされることができる。
【0014】
簡潔に要約すると、ここで提案される制動装置の基本概念は、2つの機能、すなわちエレベータかごを制動する機能と、エレベータかご内に引き起こされる荷重変化を測定する機能とを単一装置で可能にするものと見なされることができる。この目的のために、制動装置は、実質的に2つの部分で構成される。
【0015】
第1の部分は、ブレーキおよびブレーキ保持装置を備える。ブレーキは、エレベータかごと、ガイドレールなどのエレベータ設備の静止構成要素との間に力を生成するように設計され、この力は、ブレーキが設けられたエレベータかごの動きを制動し、かつ/または前記エレベータかごを静止構成要素上に静止したままにするために、エレベータかごの動きまたはエレベータかごの重量を打ち消す。ブレーキ保持装置は、ブレーキをエレベータかごに装着するように設計される。
【0016】
制動装置の第2の部分は、荷重測定装置および荷重測定装置保持装置を備える。荷重測定装置は、以下に力伝達要素と称される、荷重測定装置の一部に作用する荷重または力を測定するように設計される。荷重測定装置は、荷重測定装置をエレベータかごに装着するように構成される。
【0017】
制動装置の2つの部分は、異なる機能のために設計されるだけでなく、両部分のそれぞれの保持装置の異なる設計のために異なる方法でエレベータかごに装着されるかまたはエレベータかご上に保持されもする。
【0018】
ブレーキおよびブレーキ保持装置は、ブレーキが、ブレーキ保持装置によってエレベータかごに、完全に静止するようには固定されず、特にブレーキによって生成される力方向の方向に、すなわち、典型的には、エレベータかごが、その行程中に移動する方向またはその方向とは逆方向に、エレベータかごに対して少なくともわずかに変位させられることができるように設計される。言い換えれば、ブレーキ保持装置は、この装置に固着されたブレーキと共に、エレベータかごに対して、かごの移動方向に沿って一定の許容範囲内でまたは一定の遊び内で移動することができる。許容範囲は、例えば、十分の数ミリメートル、特に、例えば1mm未満とすることができる。
【0019】
荷重測定装置および荷重測定装置保持装置は、荷重測定装置が、荷重測定装置保持装置によって少なくともブレーキによって生成される力の方向に、好ましくはこの力の方向を横切る方向にも、エレベータかごに固着されるように設計される、すなわち、荷重測定装置は、可能な限り堅固にかつ遊びのない状態でエレベータかごに装着される。
【0020】
したがって、ある程度の移動自由度でエレベータかご上に保持されたブレーキは、エレベータかご上に堅固に固定された荷重測定装置に対して、少なくともわずかに移動することができる。
【0021】
荷重測定装置の力伝達要素は、ブレーキに動作可能に接続される。例えば、エレベータかごが、エレベータかごに堅固に連結された荷重測定装置と共に、ブレーキに対して移動し、ブレーキが作動されると、エレベータ設備の静止構成要素上に静止して保持される場合、荷重測定装置に対するブレーキの相対移動はそれに応じて、力を、力伝達要素を介して荷重測定装置の適切なカウンタ要素に伝達する。この力は、荷重測定装置によって測定されることができる。
【0022】
したがって、荷重測定装置は、エレベータかごに、特にエレベータかごの移動方向に、すなわち、典型的には垂直方向に作用する力を測定することができる。特に、エレベータかご内の荷重変化は、荷重測定装置を使用して決定されることができる。
【0023】
しかしながら、荷重測定装置およびブレーキだけが、これらを接続する荷重測定装置の力伝達要素を介して互いに動作可能に接続されるべきではない。荷重測定装置を保持する荷重測定装置保持装置およびブレーキを保持するブレーキ保持装置もまた、接続片装置を介しても互いに接続されるべきである。
【0024】
この接続片装置は、ブレーキと荷重測定装置との間に作用する力の大部分が、荷重測定装置の力伝達要素を介してではなく、接続片装置を介して伝達されるように構成されるべきである。特に、接続片装置は、例えば、力伝達要素が故障した場合に、ブレーキと荷重測定装置との間に作用する力のすべてが、接続片装置が破損することなく、もっぱら接続片装置を介して伝達されることができるように構成されるべきである。
【0025】
接続片装置は、少なくとも力が過度でないときに、すなわち不可逆的塑性変形が引き起こされないときに、接続片装置が主に弾性的に変形するような形で、接続片装置が荷重測定装置保持装置およびブレーキ保持装置を相互接続するように構成されるべきである。特に、以下でより詳細に説明されるように、エレベータかごの最大許容ペイロードを含むエレベータかごの重量にほぼ対応する力が生じた場合は、接続片装置に弾性変形のみが起こるべきである。
【0026】
荷重測定装置保持装置が、接続片装置を介してブレーキ保持装置に弾性変形可能な態様で接続されるということは、ブレーキおよび荷重測定装置が互いに相対的に移動するときに、ブレーキと荷重測定装置との間に生成される力のごく一部しか実際に荷重測定装置に作用しないことを意味する。したがって、荷重測定装置は、すべての力が荷重測定装置に伝達された場合よりも弱くなるように設計されることができる。
【0027】
力伝達中に接続片装置が主に弾性的に変形するために、荷重測定装置に比例して伝達される力は、ブレーキとエレベータかごとの間に作用する合力に、常に実質的に比例することができる。
【0028】
最終的に、エレベータかごに作用する力またはエレベータかご内に引き起こされる荷重変化は、荷重測定装置の機械的に比較的弱い設計にもかかわらず、荷重測定装置の助けを借りて非常に正確にかつ再現可能に測定されることができる。
【0029】
一実施形態によれば、ブレーキおよびブレーキ保持装置は、ブレーキがエレベータかごに対してブレーキによって生成される力方向に最大でも所定の位置まで変位させられることができるような形で、ブレーキがブレーキ保持装置によってエレベータかご上に保持されることができるように構成される。
【0030】
言い換えれば、ブレーキ保持装置は、特に、ブレーキ保持装置に固着されたブレーキが一定量の遊びを伴ってエレベータかごに装着され得るように設計されることができ、したがって、ブレーキは、ブレーキが作動されるときに生成される力により、エレベータかごに対して許容範囲内で容易に移動することができる。しかしながら、許容範囲は、ブレーキがエレベータかごに対して最大所定位置を越えて変位させられることができないように明確に制限されるべきである。
【0031】
例えば、許容範囲の一端は、ブレーキ保持装置に設けられた機械的ストッパによって実現されることができ、エレベータかごに堅固に連結された固定要素は、ブレーキ保持装置に対してストッパまで変位させられることができるが、固定要素は、ストッパを越えて動かされることができない。
【0032】
これの結果は、例えば、ブレーキは、例えば保持されるべきエレベータかごの重量までの比較的小さい力の場合、エレベータかごに対してわずかに移動することができるが、有意に高い力、例えば緊急制動の場合に起こり得る力の場合、ブレーキとエレベータかごとの間の相対移動は、設けられたストッパによって最大指定位置に制限される。その結果、とりわけ、提案された制動装置の制動機能の安全性は高められることができる。
【0033】
特に、一実施形態によれば、ブレーキ保持装置はスロットを有することができ、スロットの長手方向は、ブレーキによって生成される力方向と平行に延び、エレベータかご上に静止して保持された固定要素が、ブレーキ保持装置をエレベータかご上に保持するためにスロットを通って延びることができる。
【0034】
言い換えれば、2つ以上のスロットがブレーキ保持装置に設けられることができ、エレベータかごに固定して接続されるねじやボルトなどの固定要素が、スロットを通って延びることができる。
【0035】
スロットは細長い貫通開口とすることができ、細長い貫通開口は、ブレーキによって生成される力方向に平行な方向、すなわち長さ方向に、力方向を横切る方向、すなわち幅方向の寸法よりも大きい寸法を有する。例えば、幅方向の寸法は、スロットを通って延びる固定要素の寸法に実質的に対応することができ、したがって、幅方向に適合する形態が存在するのに対して、長さ方向の寸法は、固定要素の寸法よりも少なくともわずかに大きくすることができ、したがって、固定要素は、力方向にスロットによって画定される許容範囲内で移動することができる。
【0036】
スロットの長手方向端部は、長手方向のブレーキの相対移動の機械的限界として働く、すなわち、長手方向端部は、ブレーキおよびエレベータかごが互いに対して最大限変位させられることができる位置を画定する機械的ストッパを形成する。
【0037】
したがって、例えば緊急制動の場合、ブレーキ保持装置のスロットを通って延びるエレベータかごの固定要素は、ブレーキに対して最大でもスロットの長手方向端部まで移動することができる。そのとき固定要素とスロットの端部との間に生じるフォームフィットにより、さらなる変位が回避される。したがって、例えば緊急制動の場合に起こる大きな力は、ブレーキとエレベータかごとの間で固定要素およびブレーキ保持装置を介して伝達されることができる。
【0038】
一実施形態によれば、接続片装置は、エレベータかごの最大許容ペイロードを含むエレベータかごの重量に対応する力がブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置との間で伝達されるときに、接続片装置が実質的に弾性的にのみ変形するように配置され、寸法決定され、かつ構成される。
【0039】
言い換えれば、接続片装置は、例えばエレベータかごが階に保持されるべきときに、接続片装置がエレベータ設備の通常運転中に通常起こる力の下でのみ弾性変形を受けるように、ブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置との間に延びることができる。
【0040】
この目的のために、いくつかの異なる影響変数が適切に選択されることができる。例えば、接続片装置の空間的配置、すなわち、特に接続片装置の位置、向き、および/または延在方向は、接続片装置の機械的耐荷重能力および/または接続片装置の弾性変形能に影響を及ぼす可能性がある。加えて、接続片装置の寸法決定、すなわち、特に接続片装置の断面、幅、長さ、高さなどは、接続片装置の耐荷重能力および/または弾性変形能に影響を及ぼす可能性がある。さらに、使用される材料、生産中に実行される処理などの他の構成パラメータが、接続片装置の耐荷重能力および/または弾性変形能に影響を及ぼす可能性がある。これらのパラメータはすべて、接続片装置が、例えばエレベータかごの特性(例えば、エレベータかごの重量およびペイロード)に基づいて、かつ/またはエレベータ設備の通常運転におけるエレベータ設備全体の要件(例えば、制動プロセスに関する安全要件)に基づいて、エレベータかごに作用する力に対して弾性変形でのみ反応し、塑性変形では反応しないように構成されるように、適切に選択されることができる。
【0041】
特に、一実施形態によれば、接続片装置は、エレベータかごの最大許容ペイロードを含むエレベータかごの重量に対応する力がブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置との間で伝達されるときに接続片装置がブレーキによって生成された力方向に1mm未満だけ、好ましくは0.5mm未満だけ、より好ましくはわずか0.05mmm~0.3mmだけ変形するように配置され、寸法決定され、かつ構成されることができる。
【0042】
言い換えれば、エレベータかごは、制動プロセス中にブレーキに対してわずかに移動することができるべきである。しかしながら、この相対移動の程度は、例えば0.5mmを超える相対移動が通常の条件下で起こらないような程度まで、接続片装置の具体的に選択された構成によって制限されるべきである。多くの用途では、接続片装置が通常の条件下で0.2mm未満の相対移動しか許容しない場合にも有利であり得る。
【0043】
特に、通常の条件下で許容される相対移動は、エレベータかごが、所定の位置で最大許容相対移動に到達されたときに、例えばエレベータかごの固定要素がスロットの端部に当たることにより、さらなる相対移動を妨げられる前に、エレベータかごがブレーキに対して動かされ得る許容範囲よりも小さくなければならない。言い換えれば、エレベータかごの機械的構成により、接続片装置は、好ましくは、例えば、ブレーキ保持装置のスロットによって指定される許容範囲よりも短い、エレベータかごとブレーキとの間の相対移動のみを可能にすべきである。
【0044】
一実施形態によれば、接続片装置が、少なくともサブ領域において、ブレーキによって生成された力方向に対して横方向に延びていれば、特に有利となり得る。
【0045】
ブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置との間の接続片装置の全長がブレーキによって生成される力方向に平行に延びていれば、2つの保持装置の間の相対変位は、接続片装置自体の長さが弾性的に変化し得る場合にのみ起こることができる。しかしながら、これは、接続片装置に作用する力に耐えるために接続片装置に使用され得る金属などの材料では困難となり得る。
【0046】
したがって、目的は、接続片装置が、少なくともサブ領域において、ブレーキによって生成された力方向に対して横方向に延びることである。接続片装置の全長は、生成された力方向に対して直線的にかつ斜めに延びることができる。あるいは、接続片装置は、曲率を有し、サブ領域においてのみ生成された力方向に対して斜めに延びることができる。力方向に対して斜めに延びるサブ領域では、制動中に作用する力は、接続片装置全体を長くする代わりに接続片装置を曲げることができ、したがって、接続片装置の両端に配置された2つの保持装置は、力方向に互いに対して変位させられることができる。接続片装置の適切な設計で、特に、接続片装置の適切な向き、適切な断面、および/または適切な材料の選択で、接続片装置の局所的曲げは弾性変形によって行われることができる。
【0047】
一実施形態によれば、ブレーキ保持装置、荷重測定装置保持装置、および接続片装置は、共通部品と一体に設計される。例えば、ブレーキ保持装置、荷重測定装置保持装置、および接続片装置は、共通の打抜きシートメタル部品によって一体に形成され得る。
【0048】
言い換えれば、適切な形状に打ち抜かれた金属シートなどの単一部品が、ブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置の両方、ならびに両装置の間に延びる接続片装置を形成することができる。
【0049】
部品全体は、容易に生産することができ、例えばシートメタルを、特にシートメタルの厚さおよびシートメタルの材料に関して適切に選択することにより、吸収され伝達されるべき力に適合されることができる。
【0050】
そのような部品のすべての領域のワンピース設計により、例えば、普通ならマルチピース部品においてマルチピース部品のセグメント相互間の移行部で生じるはずの弱点での摩耗の増加を回避することが可能になる。ワンピース部品は、長期にわたる繰り返し機械的負荷に耐えることもできる。
【0051】
エレベータかご上に2つの保持装置を固定するためのオプションが作られることができる。特に、例えば、ボルトまたはねじを使用して、荷重測定装置保持装置をエレベータかごに固定できるようにするために、荷重測定装置保持装置に丸い穴が設けられることができる。ボルトまたはねじが、それを通って延びることもできるスロットが、ブレーキ保持装置に設けられることができる。丸い穴もスロットも、保持装置を形成するシートメタルに打ち抜かれることができる。
【0052】
一実施形態によれば、力伝達要素は、荷重測定装置のカウンタ要素に接続されることができ、カウンタ要素は、ひずみゲージを介して荷重測定装置保持装置に固定される。
【0053】
言い換えれば、ひずみゲージは、力伝達要素を介して荷重測定装置に作用する力を測定するために使用されることができる。したがって、ひずみゲージを使用すると、ブレーキが作動されるときにブレーキ保持装置と荷重測定装置保持装置との間に作用する力、したがって最終的には、作動されたブレーキとそれによって制動されたエレベータかごとの間に作用する力が測定されることができる。このタスクにひずみゲージを使用することにより、荷重測定装置の非常に堅牢な設計が可能になる。さらに、ひずみゲージは、作用力を非常に正確にかつ再現性良く測定することを可能にする。
【0054】
一実施形態によれば、荷重測定装置は、力伝達要素に作用する力を表す電気信号を生成するように構成されることができる。
【0055】
例えば、荷重測定装置は、力伝達要素に作用する力が推測されることを可能にする物理的パラメータを監視することができるセンサシステムを有することができる。センサシステムは、監視された物理的パラメータに基づいて電気信号を生成することができる。そのような電気信号は、簡単な方法で転送されることができ、例えば、エレベータ設備のコントローラまたは外部監視装置に伝達されることができる。次いで、信号に基づいて、エレベータかごに作用する力は推測されることができる。したがって、例えば、エレベータ設備のコントローラは、現在エレベータかご内にあるペイロードを知らされることができ、したがって、コントローラは、荷重に応じて駆動装置を制御することができる。
【0056】
一実施形態によれば、上述した制動装置のブレーキは、エレベータかごを停止中にエレベータかごの重量に抗して静止状態に保持する保持ブレーキとして構成されることができる。特に、自由落下の場合の緊急時にエレベータかごを制動するために、ブレーキを安全ブレーキとして追加で構成することが好ましい場合がある。
【0057】
言い換えれば、ブレーキは、少なくとも、例えばエレベータかごが階に停止させられている間に、ブレーキと相互作用するエレベータ設備の静止構成要素上に、すなわち例えばガイドレール上にエレベータかごを静止状態に保つために、ブレーキが使用されることができるように設計されるべきである。このような保持ブレーキとして、ブレーキは、乗客がエレベータかごに乗り降りするときの荷重変化によりエレベータかごが移動するのを防止することができる。
【0058】
さらに、ブレーキが安全ブレーキとして働くこともできるように、ブレーキをさらにロード可能になるよう設計することが有利となり得る。この場合、ブレーキは、例えば、エレベータを保持する支持手段のすべてが壊れ、エレベータかごが自由落下する場合であっても、エレベータかごを短い距離で停止状態に制動できるようにするために、エレベータかごと静止構成要素との間に非常に大きな力を発生させることができるように構成されるべきである。そのような安全制動プロセス中に一時的に起こる非常に高い力をブレーキからエレベータかごに確実に伝達できるようにするために、接続片装置は、大きな力を受けて破損しないくらい安定するように構成されることができるが、そのような例外的な場合には、接続片装置の塑性変形が許容され得る。ブレーキ保持装置自体はまた、例えばブレーキ保持装置のスロットを適切に寸法決定することによって設計されることができ、安全制動の場合に、ブレーキ保持装置がエレベータかご上に確実に保持されたままであるようにエレベータかごに固着されることができる。
【0059】
したがって、本発明の第1の態様の一実施形態による制動装置を使用すると、制動装置のブレーキ保持装置および荷重測定装置保持装置が、その上に保持されているエレベータかごのブレーキは、例えば、本発明の第2の態様の一実施形態によるエレベータ設備においてエレベータかごを制動できるようにするために、ガイドレールと確実に相互作用することができる。
【0060】
加えて、制動装置は、エレベータかごに作用する現在の荷重を測定できるようにするために、本発明の第3の態様の一実施形態による方法の範囲内で使用されることができる。特に、一時的な荷重変化が測定されることができる。
【0061】
例えば、制動装置のブレーキは、この目的のために、エレベータかごが階に徐々に停止させられ、静止している間に作動されることができる。この場合、ブレーキは、例えば、エレベータかごが駆動装置の適切な制御によって階で停止させられた後でしか作動されることができない。あるいは、ブレーキは、エレベータかごの移動を能動的に制動して停止状態にするために使用されることができ、その場合、ブレーキは、停止中に作動されたままにすることができる。
【0062】
作動されたブレーキは、階に停止している間に、例えば乗客が乗り降りしているときに、エレベータかごが移動するのを防止することができる。しかしながら、乗客が乗り降りした結果としてエレベータかご内の荷重が変化する。本明細書に記載の制動装置を使用する場合、制動装置の荷重測定装置は、そのような荷重変化を決定するために使用されることができる。これは、とりわけ、エレベータかごの過密、したがって過荷重を検出することを可能にするために使用されることができる。
【0063】
代替的にまたは追加として、本発明の第4の態様の一実施形態によれば、かご内の荷重変化が、上述した方法を使用して測定されることができ、このようにして得られた情報は、測定された荷重変化が補償されるように、駆動装置によってエレベータかごに加えられる力を設定するために使用されることができる。
【0064】
言い換えれば、荷重測定装置は、乗客が乗り降りした結果としてエレベータかごがどのくらい重くなるかまたは軽くなるかを測定するために最初に使用されることができる。適切な対応策がなければ、保持ブレーキがその後解放されると、荷重変化によりエレベータかごが突然下方に落下したり上に摺動したりすることになる、というのは、エレベータかごを保持する弾性支持手段が荷重変化の結果として長くなったり短くなったりするからである。エレベータかごの荷重変化を荷重測定装置で測定することにより、駆動装置は、保持ブレーキが解放される前であっても支持手段に作用する力を適切に設定できるようにするためにしかるべく制御されることができ、したがって、保持ブレーキが解放されたときに、エレベータかごは落下したり上に摺動したりすることはない。上述したプロセスは、駆動装置によってトルクが生成される前に実行されるべき調整(プレトルキング)と呼ばれることもできる。
【0065】
一実施形態によれば、上述した方法は、荷重変化が起こる前に、荷重測定装置によって測定された力が基準力として測定される場合、特に簡単な方法で実行されることができる。ブレーキが作動され、エレベータかご内の荷重が変化した後、次いで、エレベータかごに加えられる力は、荷重測定装置が基準力に対応する力を測定するように設定されることができる。
【0066】
言い換えれば、制動装置のブレーキが作動される前に、そしてまたエレベータドアが開かれ、次いで乗客が乗り降りすることができる前にも、例えば、荷重測定装置によって測定された力の現在値が決定され、基準値として保存されることができる。そのとき、乗客数の変化によりエレベータかご内の荷重が変化する場合、これは荷重測定装置によって認識されることができる。
【0067】
しかしながら、荷重変化によって生成される力の絶対測定を実行し、これらの荷重変化が補償されるように結果として生じるトルクを設定できるようにするために、駆動装置に送信されるべき制御信号を決定する必要はない。代わりに、駆動装置は、駆動装置のトルクを連続的に変化させるように簡単に制御されることができる。同時に、荷重測定装置によって測定される現在の力の変化が監視されることができる。この力が最初に決定された基準値に対応する場合、これは、駆動装置によって生成されたトルクが、その間に起こっている荷重変化を補償できるようにするために適切に設定され、したがって、ブレーキが、エレベータかごの位置の急激な変化なしに解放されることができることを意味する。
【0068】
さらに、装置、ならびに上記および下記の方法は、かご内に保守技術者がいないことを確実にするために使用されることができる。例えば、通常運転から保守運転に切り替える前に、かご重量は測定されることができ、次いで、この値は、通常運転に戻す前の保守作業後に測定した値と比較されることができる。偏差がある場合、通常運転に戻すことが妨げられることができる。これは、ヘッドルームを有していないエレベータ設備において特に有利である、というのは、人々がシャフト内にいるときにエレベータ設備が通常運転になるのを回避することがあらゆる状況下で重要であるからである。人の重量が、かご床の上にある場合にのみ人が検出され、人がかご屋根上に立っている場合には検出されない、かご床における従来の荷重測定とは対照的に、かごのブレーキにおける荷重測定は、上記および下記のように、そのような用途を可能にする。
【0069】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、制動装置自体および前記装置を備えたエレベータ設備の様々な実施形態、ならびにエレベータかごに作用する荷重を測定するための、または荷重変化に応答して駆動装置によってエレベータかごに及ぼされるべき力を設定するためのこの制動装置の使用を参照して本明細書に記述されることに留意されたい。当業者なら、本発明の他の実施形態に到達するために、特徴が適切に組み合わされるか、適合されるか、または交換されることができることを認識するであろう。
【0070】
本発明の諸実施形態が、添付の図面を参照して以下に記述され、図面も本明細書も、本発明を限定すると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の一実施形態によるエレベータ設備を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるエレベータ設備を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態による制動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図面は単に概略的なものであり、原寸に比例して描かれてはいない。同一の参照符号は、様々な図面における同一または同等の特徴を指す。
【0073】
図1および図2は、本発明の2つの実施形態による制動装置15を有する異なる設計のエレベータ設備1を示す。図3には、制動装置15の特定の実施形態が、大きく、さらに詳細に示されている。
【0074】
図1に示されるエレベータ設備1は、エレベータかご3を備え、エレベータかごは、例えばケーブル状またはベルト状の支持手段5によって保持され、エレベータシャフト11内で変位させられることができる。支持手段5は、この目的のために駆動装置7によって変位させられることができる。駆動装置7は、コントローラ9によって制御される。支持手段の変位中、エレベータかご3は、両側で、静止構成要素14として働く少なくとも1つのガイドレール13上で案内される。
【0075】
特に、エレベータかご3を、階などの所望の位置に停止している間に静止状態に保つことができるようにするために、エレベータかご3は、エレベータかごが駆動装置7によって所望の位置まで動かされた後、エレベータかごの制動装置15上に設けられたブレーキ17を用いて、静止ガイドレール13に一時的に固定されることができる。各ブレーキ17は、例えば、ブレーキ保持装置19を用いてエレベータかご3のフレームに固定される。
【0076】
制動装置15の少なくとも一方は、荷重測定装置21も有する。荷重測定装置21は、力伝達要素25およびカウンタ要素29を有する。荷重測定装置21は、力伝達要素25とカウンタ要素29との間に、例えばひずみゲージ27の形をとるセンサを有することができ、ひずみゲージを用いて、荷重測定装置の力伝達要素25と荷重測定装置のカウンタ要素29との間で、荷重測定装置21に作用する力を測定することができる。荷重測定装置21は、例えば、荷重測定装置のカウンタ要素29内に評価電子機器を有することができ、この電子機器を用いて、センサで優勢である測定パラメータが電気信号に変換されることができる。荷重測定装置21はまた、荷重測定装置保持装置23を介してエレベータかご3に固定される。
【0077】
図2は、本発明によるエレベータ設備1の別の実施形態を示す。この場合、制動装置15は、単に概略的に示されており、図1に示される実施形態と詳細に類似するように構成されることができる。エレベータ設備1は、エレベータかご3および2つの釣合いおもり8を有する。エレベータ設備1は2つの駆動装置7を備え、駆動装置は、エレベータシャフト11のシャフトピット10内に配置される。牽引および懸垂は、このような実施形態では別々である、すなわち、2つの牽引支持手段4(かごの下方)および2つの懸垂支持手段6(かごの上方)が使用される。
【0078】
上記および下記のような制動装置15は、このようなエレベータ設備1内で使用されるときに特に有利であることが判明している、というのは、駆動装置7に対する制動、すなわち、エレベータかご3の重量によって応力を受けない牽引支持手段4を介した制動が回避されることができるからである。
【0079】
このようなエレベータ設備1では、通常の場合のように、エレベータかご3上に設けられた制動装置15に荷重測定を組み入れ、支持手段締結具ではそれを実行しないことが有利であることも判明している。このようなエレベータ設備1では、懸垂支持手段6を介した荷重測定は困難である、というのは、懸垂支持手段6内の力も、牽引支持手段4のプレストレッシングによる未知の変数の影響を受けるからである。牽引支持手段4で荷重測定を実行するには、センサが牽引支持手段4に装着されなければならなくなり、センサが懸垂支持手段6に装着されなければならなくなる。荷重がエレベータかご3内に不均一に分散される場合でも、正確な測定結果を得ることができるようにするには、測定はエレベータかご3の両側で実行されなければならない。したがって、合計4つのセンサが設置されなければならなくなる。
【0080】
荷重測定が制動装置15における場合、信頼できる測定が2つのセンサだけで実現されることができる。
【0081】
別のわずかに変更された実施形態では、2つの駆動装置は、エレベータシャフト11のシャフトヘッド12の上部に配置される(図示せず)。
【0082】
一実施形態では、荷重測定は、一方の制動装置15においてのみとすることができる。
【0083】
特に図3に見られるように、荷重測定装置保持装置23およびブレーキ保持装置19は、機械的にロード可能になるように、接続片装置31を介して互いに接続される。
【0084】
ブレーキ保持装置19には複数のスロット35が形成される。スロット35の長手方向は、ブレーキ17によって生成される力が向けられる力方向39と実質的に平行である。力方向39は、エレベータかご3の移動方向に実質的に対応し、したがって実質的に垂直である。スロット35の長さは、例えば、スロットの幅よりも約0.5mm大きくすることができる。複数のスロット35は、力方向39に上下に直線状に配置される。例えばボルトまたはねじの形をとる固定要素36が、スロット35をそれぞれ通って延びることができ、エレベータかご3またはそのフレームに固定されることができる。したがって、ブレーキ保持装置19は、固定要素36を介してエレベータかご3上に保持されることができるが、固定要素36をスロット35内で変位させることによりエレベータかご3に対してわずかに垂直方向に動かされることができる。
【0085】
荷重測定装置保持装置23は、複数の丸い穴33を有する。次に、固定要素(図示せず)は、丸い穴33を通って延びることができ、この要素を介して、荷重測定装置保持装置23は、エレベータかご3またはそのフレームに実質的に遊び無しに固定されることができる。
【0086】
したがって、ブレーキ保持装置19によって保持されたブレーキ17は、ブレーキ17を作動させることによって力方向39の力が生成されると、荷重測定装置保持装置23に対してまたはエレベータかご3に対して力方向39にわずかに変位させられることができる。
【0087】
このような相対的な変位は、とりわけ、接続片装置31の変形を引き起こす。接続片装置31は、少なくともブレーキ17が、例えば階に停止するときに、エレベータかご3およびそのペイロードを保持するのに必要な力だけを生成する限り、この変形が通常は弾性であるように配置され、寸法決定され、かつ構成される。
【0088】
しかしながら、ブレーキ17が作動されるときに引き起こされる、ブレーキ17とかご3との間の相対変位は、荷重測定装置21を使用して、エレベータかご3に現在作用している荷重または荷重変化を測定することを可能にするために使用されることもできる。
【0089】
この目的のために、図示の例では、荷重測定装置21のカウンタ要素29は、荷重測定装置保持装置23に、例えばねじ止めされて固定して接続される。力伝達要素25は、例えば、ブレーキ保持装置19の一部に連結され、したがってブレーキ17に動作可能に接続される。例えば、カウンタ要素29内に設けられた電子機器(図示せず)が、例えば、相対変位によって生成された力に起因して力伝達要素25とカウンタ要素29との間に配置されたひずみゲージ27内に生じる機械的応力を測定するために、使用されることができる。次いで、電子機器は、荷重測定装置21が受ける力の尺度として働くことができる電気信号を生成することができる。
【0090】
したがって、エレベータかご3を制動するために制動装置15のブレーキ17を使用することだけでなく、エレベータかご3に作用する荷重を測定するために前記制動装置の荷重測定装置21を使用することも可能である。
【0091】
エレベータ設備1の運転中、エレベータかご3は、例えば、駆動装置7によって階まで移送されることができる。乗客が乗り降りするときに結果として生じる荷重変化に起因してエレベータかご3がその後上下に移動するのを防止するために、制動装置15のブレーキ17は、かごドアが開く前に、例えば制御線37を介して作動されることができる。
【0092】
ブレーキ17とエレベータかご3との間に現在作用している力は、事前に、または少なくともエレベータかご3内に荷重変化が起こり得る前に、すなわち、例えばかごドアが開放される前に、荷重測定装置21を使用して測定されることができる。この力は、通常、例えば、特にエレベータかご3が駆動装置7を制御することによりもっぱら停止状態に制動され、ブレーキ17がその後でのみ作動された場合、ゼロとすることができる。しかしながら、ブレーキ17がエレベータかご3の移動を減速させるためにも使用された場合、この力はゼロ以外の値を有することもできる。この以前に測定された力は、基準値として保存されることができる。
【0093】
その後、乗客がかごに乗り降りするときに荷重変化が起こるとすぐに、荷重変化は、荷重測定装置21を使用して測定されることができる。測定された荷重変化に関する情報は、その間に起きている荷重変化が補償されるように、駆動装置7を目標とされた方法で制御することにより、支持手段5を介してエレベータかご7に及ぼされる力を変化させるために使用されることができる。
【0094】
あるいは、駆動装置7は、荷重測定装置21によって現在測定されている力が、予め決定された基準値に再び一致するまで、支持手段5を介してエレベータかご3に作用する力を変化させることができる。
【0095】
どちらの場合も、その間に変化している、エレベータかごのペイロードを含むエレベータかご3全体が支持手段5によって再び保持されるように、駆動装置7を使用して支持手段5を適切に緊張または弛緩させることにより、エレベータかご3内の変化した荷重状態が補償されることが確実にされることができる。この状態で、ブレーキ17は、エレベータかご3がその後突然動くことなく解放されることができる。
【0096】
最後に、「備える(comprising)」、「有する(having)」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態の1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。特許請求の範囲における参照記号は、限定すると見なされるべきではない。
図1
図2
図3