(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池パック及び二次電池を使用する装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20250114BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20250114BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20250114BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20250114BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20250114BHJP
H01M 50/581 20210101ALI20250114BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/289
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/505
H01M50/581
(21)【出願番号】P 2022530958
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 CN2020141800
(87)【国際公開番号】W WO2021196796
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】202010259301.1
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】汪 用▲廣▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲興▼地
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】唐 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】季 ▲進▼清
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-073929(JP,A)
【文献】特開2009-087720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270525(US,A1)
【文献】特開2013-020731(JP,A)
【文献】特開2011-070872(JP,A)
【文献】特開2017-195056(JP,A)
【文献】特表2015-515096(JP,A)
【文献】特開2018-037160(JP,A)
【文献】中国実用新案第209730034(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0386353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/342
H01M 50/367
H01M 50/289
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、
第3方向に沿って配列され、電極端子を備えた少なくとも2つの電池セルを含む電池セルユニットと、
第1バスバーであって、本体部及び2つの接続部を含み、前記第1バスバーの延伸方向は前記第3方向に対して所定の角度で傾斜し、前記2つの接続部はそれぞれ同じ前記電池セルユニット内の前記2つの電池セルの前記電極端子に接続され、前記本体部は前記2つの接続部の間に接続され、且つ前記本体部に変形誘導部が設けられ、前記変形誘導部は前記本体部が第1方向に沿って変形するのに必要な力を少なくとも減少させるように構成され、前記第1方向は前記電池セルの前記電極端子が設置される側面に平行であり且つ前記第3方向に垂直である第1バスバーと、を含み、
前記変形誘導部はスリットを含み、前記スリットは前記本体部の厚さ方向に沿って貫通し、前記スリットは2つの横方向溝を含み、前記2つの横方向溝は前記第1バスバーの幅方向に沿って延伸し且つ前記第1バスバーの長さ方向に沿って間隔をおいて設置され
、
前記スリットは縦方向溝をさらに含み、前記縦方向溝は前記第1バスバーの長さ方向に沿って延伸し、且つ前記縦方向溝の両端はそれぞれ前記2つの横方向溝に連通する電池モジュール。
【請求項2】
前記スリットは2つの縦方向溝をさらに含み、前記2つの縦方向溝は前記第1バスバーの長さ方向に沿って延伸し且つ間隔をおいて設置され、各前記縦方向溝の一端はそれぞれ対応する前記横方向溝に連通する請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記変形誘導部は凹部を含み、前記凹部は前記本体部の幅方向の側方に設けられ、前記本体部の幅を減少させるように構成される請求項1
又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記本体部の幅方向の両側にはいずれも前記凹部が設けられる請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記変形誘導部は屈曲部を含み、前記屈曲部は前記第1バスバーの厚さ方向へ突出する請求項1~
4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記屈曲部は前記電池セルから離れた方向へ突出する請求項
5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記屈曲部は前記本体部の長さ方向の中央位置に位置し、
前記変形誘導部はスリットをさらに含み、前記スリットは前記屈曲部に対して前記第1バスバーの長さ方向に沿って対称に設置され、及び/又は、
前記変形誘導部は凹部をさらに含み、前記凹部は前記屈曲部における第1バスバーの幅方向の側方に少なくとも部分的に設けられ、前記第1バスバーの幅を減少させるように構成される請求項
5又は
6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記電池セルは第1防爆弁をさらに含み、前記第1バスバーに接続される2つの前記電池セルの前記第1防爆弁はそれぞれ前記第1バスバーの幅方向の両側に位置する請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電池セルは第1防爆弁をさらに含み、前記第1バスバーはそれに接続される前記電池セルの前記第1防爆弁を部分的に被覆する請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
第2バスバー及び前記第1方向に沿って配列される複数の前記電池セルユニットをさらに含み、隣接する2つの前記電池セルユニットは前記第2バスバーを介して電気的に接続され、前記第2バスバーは前記第1方向に沿って延伸する請求項1~
9のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
電池パックであって、
ボックスユニットと、
前記ボックスユニット内に設置される請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池モジュールと、を含む電池パック。
【請求項12】
前記ボックスユニットはボックス及びビームを含み、前記ビームは前記ボックス内に設置され、且つ前記ボックスを複数の収容キャビティに分割し、
各収容キャビティ内に少なくとも1つの前記電池モジュールが設置され、各前記電池モジュールにおいて各前記電池セルの電極端子はいずれも前記ビームに向かって設置され、且つ前記電池セルと前記ビームの側壁との間に排気通路を形成するための所定間隔がある請求項
11に記載の電池パック。
【請求項13】
二次電池を使用する装置であって、
請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池モジュール、及び/又は、
請求項
11又は
12に記載の電池パックを含む二次電池を使用する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年04月03日に提出された、名称が「電池モジュール、電池パック及び二次電池を使用する装置」の中国特許出願202010259301.1の優先権を主張し、該出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本願は電池分野に関し、特に電池モジュール、電池パック及び二次電池を使用する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、充電式電池は高電力装置、たとえば電気自動車等に動力を提供することに幅広く適用されている。充電式電池は大きな容量又は電力を実現するために、一般的には複数の電池セルをバスバーを介して電極端子に接続し、直列接続及び並列接続のうちの少なくとも1つの接続方式を形成する。しかし、電池の使用過程に、充放電回数の増加に伴い、電池が膨張し、膨張により電極端子がバスバーに引っ張られ、それにより電池の使用信頼性に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本願は、電池モジュール、電池パック及び二次電池を使用する装置を提供し、電池の使用信頼性を向上させることができる。
【0005】
本願の第1態様によれば、電池モジュールを提供し、第3方向に沿って配列され、電極端子を備えた少なくとも2つの電池セルを含む電池セルユニットと、第1バスバーであって、本体部及び2つの接続部を含み、第1バスバーの延伸方向は第3方向に対して所定角度で傾斜し、2つの接続部はそれぞれ同じ電池セルユニット内の2つの電池セルの電極端子に接続され、本体部は2つの接続部の間に接続され、且つ本体部に変形誘導部が設けられ、変形誘導部は本体部が第1方向に沿って変形するのに必要な力を少なくとも減少させるように構成され、第1方向は電池セルの電極端子が設置される側面に平行であり且つ第3方向に垂直である第1バスバーと、を含む。
【0006】
本願の実施例の電池モジュールでは、本体部に変形誘導部を設置し、本体部が第1方向に沿って変形するのに必要な力を少なくとも減少させることにより、電池セル内のセルが膨張するとき、第1バスバーが第1方向において容易に変形し、電極端子に対する引張力を減少させ、電極端子とセルとの間の接続の信頼性を確保できるだけではなく、バスバーに熱暴走が発生するときに容易に切断され、電池動作の安全性を向上させることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、変形誘導部はスリットを含み、スリットは本体部の厚さ方向に沿って貫通する。
【0008】
本願の実施例の電池モジュールでは、スリットを設置することにより、第1バスバーの幅方向における断面積を減少させることができ、幅方向の剛性を減少させ、第1バスバーの幅方向は第3方向に対して傾斜するため、本体部が第1方向及び第3方向に沿って変形するのに必要な力を同時に減少させることができ、それにより電極端子に対する引張力を減少させる。且つ、熱暴走が発生するときにスリットが設けられる脆弱部が容易に溶断され、回路を切断する。
【0009】
いくつかの実施例では、スリットは2つの横方向溝を含み、2つの横方向溝は第1バスバーの幅方向に沿って延伸し且つ第1バスバーの長さ方向に沿って間隔をおいて設置される。
【0010】
本願の実施例の電池モジュールでは、第1バスバーの幅方向に沿って延伸する横方向溝を設置することにより、局所領域に第1バスバーの幅方向の断面積を効果的に減少させることができ、幅方向の剛性を減少させ、それにより、本体部が第1方向及び第3方向に沿って変形するのに必要な力を効果的に減少させることができ、電極端子に対する引張力を減少させる。
【0011】
いくつかの実施例では、スリットは縦方向溝をさらに含み、縦方向溝は第1バスバーの長さ方向に沿って延伸し、且つ縦方向溝の両端はそれぞれ2つの横方向溝と連通する。
【0012】
本願の実施例の電池モジュールでは、第1バスバーの長さ方向に沿って延伸する縦方向溝を増加することにより、本体部の所定長さ区間内に第1バスバーの幅方向の断面積を均一に減少させることができ、該長さ区間の幅方向の剛性を減少させ、第1バスバーが外力を受けると、全体として均一に変形し、電極端子に対する引張力を減少させ、さらに、第1バスバーの局所変形が大きいため耐用年数に影響を与えることを防止することができる。且つ、縦方向溝はさらに第1バスバーの放電能力に対する影響を軽減することもできる。
【0013】
いくつかの実施例では、スリットは2つの縦方向溝をさらに含み、2つの縦方向溝は第1バスバーの長さ方向に沿って延伸し且つ間隔をおいて設置され、各縦方向溝の一端はそれぞれ対応する横方向溝と連通する。
【0014】
本願の実施例の電池モジュールでは、2つの縦方向溝は第1バスバーの長さ方向に沿って延伸し且つ間隔をおいて設置され、各縦方向溝の一端はそれぞれ対応する横方向溝と連通し、第1バスバーの剛性を減少させると同時に、電極端子に対する接続の信頼性を向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、変形誘導部は凹部を含み、凹部は本体部の幅方向の側方に設けられ、本体部の幅を減少させるように構成される。
【0016】
本願の実施例の電池モジュールでは、凹部を設置することにより、スリットによる作用を強化することができ、第1バスバーの幅方向の剛性をさらに減少させることができ、本体部が第1方向及び第3方向に沿って変形するのに必要な力をさらに減少させることができ、それにより、電極端子に対する引張力を減少させ、第1バスバーと電極端子の接続の信頼性を向上させ、且つ熱暴走の場合に容易に切断でき、回路を切断し、それにより電池モジュールの動作の信頼性及び安全性を向上させる。
【0017】
いくつかの実施例では、本体部の幅方向の両側にはいずれも凹部が設けられる。
【0018】
本願の実施例の電池モジュールでは、本体部の幅方向の両側にはいずれも凹部が設けられ、第1バスバーの幅方向の両側の構造を対称にし、均一に力を受けることができる。且つ長さ方向の中央位置の剛性を弱めることができ、2つの電極端子のうちのいずれかが第1バスバーに外力を加える場合に、より容易に変形することができる。且つ、中央位置から隣接層までの距離が電池セルの第1防爆弁までの距離よりも近いため、熱暴走の場合に第1バスバーが容易に溶断できる。
【0019】
いくつかの実施例では、変形誘導部は屈曲部を含み、屈曲部は接続部に対して第1バスバーの厚さ方向へ突出する。
【0020】
本願の実施例の電池モジュールでは、屈曲部を設置することにより、電池セルが膨張し、電極端子を介して第1バスバーに長さ方向の外力を加える場合、屈曲部が突出して弾性構造を形成し、引張されやすく、電池セルが膨張する時に第1バスバーが長さ方向に沿って受けた外力を吸収することができ、電極端子に対する引張力を減少させる。且つ、屈曲部は本体部の表面積を増大してより多くの熱量を容易に吸収でき、且つ凹部が屈曲部の幅を減少させるため、電池セルに熱暴走が発生した場合、第1バスバーがそこで容易に切断でき、電池モジュールの動作の安全性を向上させることができる。
【0021】
いくつかの実施例では、屈曲部は接続部に対して電池セルから離れた方向へ突出する。
【0022】
本願の実施例の電池モジュールでは、屈曲部は接続部に対して電池セルから離れた方向へ突出し、第1バスバーを電池セルに接近して設置することができ、第1バスバーと電極端子の接続を安定して信頼できるものにし、且つ、第1バスバーの電池セルから離れた一側には屈曲部を設置するための十分な空間があり、変形要件を満たす。
【0023】
いくつかの実施例では、屈曲部は本体部の長さ方向の中央位置に位置し、変形誘導部はスリットをさらに含み、スリットは屈曲部に対して第1バスバーの長さ方向に沿って対称に設置され、及び/又は、変形誘導部は凹部をさらに含み、凹部は屈曲部における第1バスバーの幅方向の側方に少なくとも部分的に設けられ、第1バスバーの幅を減少させるように構成される。
【0024】
本願の実施例の電池モジュールでは、屈曲部は本体部の長さ方向の中央位置に位置し、屈曲部を設置することにより、2つの電極端子が第1バスバーに加えた長さ方向の外力を同時に吸収することができる。且つ、スリットは屈曲部に対して第1バスバーの長さ方向に沿って対称に設置され、凹部は屈曲部における第1バスバーの幅方向の側方に少なくとも部分的に設けられ、第1バスバーの幅を減少させるように構成され、電池セルが第3方向に沿って膨張するとき、第1バスバーが第1方向及び第3方向に沿って外力を受けることができ、スリット、凹部及び屈曲部の連携作用により、第1バスバーが変形して第1方向及び第3方向において受けた外力を効果的に吸収することを可能にし、それにより、電極端子が受けた力を最大限に減少させ、電池モジュールの動作の信頼性を向上させる。
【0025】
いくつかの実施例では、電池セルは第1防爆弁をさらに含み、第1バスバーに接続される2つの電池セルの第1防爆弁はそれぞれ第1バスバーの幅方向の両側に位置する。
【0026】
本願の実施例の電池モジュールでは、第1バスバーに接続される2つの電池セルの第1防爆弁はそれぞれ第1バスバーの幅方向の両側に位置し、第1バスバーに接続される上下のいずれか1つの電池セルに熱暴走が発生した場合に、第1バスバーを溶断することができ、その電池セルを保護する効果を奏する。
【0027】
いくつかの実施例では、電池セルは第1防爆弁をさらに含み、第1バスバーはそれに接続される電池セルの第1防爆弁を少なくとも部分的に被覆する。
【0028】
本願の実施例の電池モジュールでは、第1バスバーはそれに接続される電池セルの第1防爆弁を少なくとも部分的に被覆し、第1バスバーに接続される上下のいずれか1つの電池セルに熱暴走が発生した場合に、電池セル内の高温ガス、火花及びほこりが第1防爆弁から噴出し、且つ第1バスバーに直接作用し、第1バスバーがより容易に溶断できる。
【0029】
いくつかの実施例では、電池モジュールは第2バスバー及び第1方向に沿って配列される複数の電池セルユニットをさらに含み、隣接する2つの電池セルユニットは第2バスバーを介して電気的に接続され、第2バスバーは第1方向に沿って延伸する。
【0030】
本願の実施例の電池モジュールでは、第2バスバーにより、隣接する2つの電池セルユニットの間の接続を実現でき、更に電池モジュールの容量又は電力を増加する。
【0031】
本願の第2態様によれば、電池パックを提供し、ボックスユニットと、ボックスユニット内に設けられる上記実施例の電池モジュールと、を含む。
【0032】
本実施例の電池パックでは、ボックスユニットは電池モジュールに対する保護を実現することができ、且つ、電池モジュール内の第1バスバーに設置される変形誘導部は、電池セル内のセルが膨張するとき、第1バスバーが第1方向において容易に変形し、電極端子に対する引張力を減少させ、それにより電極端子とセルとの間の接続の信頼性を確保し、且つ、バスバーに熱暴走が発生した場合に容易に切断され、電池動作の安全性を向上させることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、ボックスユニットはボックス及びビームを含み、ビームはボックス内に設置され、且つボックスを複数の収容キャビティに分割し、各収容キャビティ内に少なくとも1つの電池モジュールが設置され、各電池モジュールにおいて各電池セルの電極端子はいずれもビームに向かって設置され、且つ電池セルとビームの側壁との間に排気通路を形成するための所定間隔がある。
【0034】
本願の実施例の電池モジュールでは、電池セルに熱暴走が発生した場合、第1防爆弁から噴出した高温ガス、火花及びほこりにより第1バスバーが溶断される可能性があり、気流は、排気通路に沿って両側へ流れ、且つビームの端部とボックスの内壁との間の隙間を通過して流れ、ボックスに設置される第2防爆弁等により外部へ排出され、それによりボックス内の温度を低減させ、電池安全性を向上させる。
【0035】
本願の第3態様によれば、上記実施例の電池モジュール及び電池パックのうちの少なくとも1つを含む二次電池を使用する装置を提供する。
【0036】
本願の実施例の二次電池を使用する装置では、電池モジュール及び/又は電池の電池パック内の第1バスバーに設置される変形誘導部により、電池セル内のセルが膨張するとき、第1バスバーが第1方向において容易に変形し、電極端子に対する引張力を減少させ、それにより、電極端子とセルとの間の接続の信頼性を確保し、且つ、バスバーに熱暴走が発生した場合に容易に切断され、電池動作の安全性を向上させることができる。
【0037】
図面の簡単な説明
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本願の電池パックのいくつかの実施例の分解図である。
【
図2】本願の電池パックのいくつかの実施例の内部構造の平面図である。
【
図3】
図2に示される電池パックのA箇所の拡大図である。
【
図4】本願の電池モジュールのいくつかの実施例の構造模式図である。
【
図5】第1バスバーのいくつかの実施例の斜視図である。
【
図6】
図5に示される第1バスバーの背面図である。
【
図7】第1バスバーの別のいくつかの実施例の構造模式図である。
【
図8】第1バスバーのさらに別のいくつかの実施例の構造模式図である。
【
図9】本願の電池パック内の電池セルの一実施例の分解図である。
【
図10】電池セル内の電極組立体のいくつかの実施例の構造模式図である。
【
図11】電池セル内の電極組立体の別のいくつかの実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面において、図は実際の縮尺で描かれていない。
【0040】
発明を実施するための形態
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために使用され、本願の範囲を制限するものではなく、すなわち、本願は説明されている実施例に限定されない。
【0041】
本願の説明において、説明する必要がある点として、特に断らない限り、「複数の」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語によって示される方位又は位置関係は、本願を説明しやすく説明を簡略化させるためのものに過ぎず、示される装置又は素子は必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を限定するものとして理解されるべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、相対的な重要性を指示又は暗示するものではなく、説明するためのものに過ぎない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密には平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0042】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中央媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0043】
図1に示すように、本願は二次電池を使用する装置を提供し、電池は電池モジュール2又は電池パックを含み、電池パックは、ボックスユニット1及び電池モジュール2を含んでもよく、1つ又は複数の電池モジュール2はボックスユニット1内に設けられる。該二次電池を使用する装置は車両、汽船、エネルギー貯蔵電気キャビネット又は無人航空機等が挙げられる。本願は、電池モジュール2又は電池パックの動作の信頼性及び安全性を向上させることにより、該装置の動作性能を向上させることを目的とする。
【0044】
本願の改善点を本分野でより明確に理解するために、以下、電池パックから電池モジュール2への順に説明する。
【0045】
図1に示すように、本願は電池パックを提供し、いくつかの実施例では、電池パックはボックスユニット1、拘束部材10、上部カバー13及び複数の電池セル20を含む。
【0046】
ボックスユニット1はボックス11及びビーム12を含む。ボックス11は開口端を有し、ビーム12がボックス11に固定され、ビーム12は1本又は複数本設置されてもよく、ボックス11の内部空間が複数の収容キャビティQに分割され、各電池セル20は複数のグループに分割されてもよく、且つ各グループの電池セル20はそれぞれ異なる収容キャビティQ内に設けられる。各グループの電池セル20には1つの拘束部材10が対応して設置され、拘束部材10は、該グループの電池セル20を被覆し、且つビーム12に固定され、電池セル20に安定した押圧力を提供するように配置され、電池セル20が膨張することを制限し、電池パックの耐用年数を延ばす。
【0047】
また、
図1を参照し、拘束部材10は、制限部101及び2つの取り付け部102を含む。ここで、制限部101は対応するグループの電池セル20に被覆され、2つの取り付け部102はそれぞれ制限部101の電池セル20のグループ分け方向の両側に接続され、且つそれぞれ対応するグループの電池セル20のグループ分け方向の両側のビーム12に固定され、制限部101全体は2つの取り付け部102に対して電池セル20から離れた方向へ突出する。モジュール全体が膨張する時に拘束部材10が受けた膨張力が非常に大きいため、本拘束部材10に使用される固定方式は鋲接と接着であり、該固定方式はプレスプレートの接続強度を大幅に向上させることができ、ブラインドリベットナットをねじで接続することに比べて、締め具の数を減少させ、コストを低減させることができる。また、鋲接と接着の方式に加えて、強度が許可される場合で、レーザー溶接を用いて、拘束部材10の2つの取り付け部102をビーム12に直接溶接してもよく、締め具がない固定方式を実現する。たとえば、拘束部材10は平板を曲げることによって形成される。拘束部材10の変形防止能力を向上させるために、制限部101に補強リブ103が設置されてもよく、たとえば、補強リブ103は制限部101の外面に設けられ、加圧成形によって形成される。補強リブ103を設置することにより拘束部材10の構造強度を向上させ、軽量化を満たすだけではなく、拘束部材10全体の剛性及びたわみを高めることができる。
【0048】
上部カバー13は拘束部材10のボックス11から離れた一側に設けられ、且つ電池パックの高さ方向に沿ってボックス11の開口端に締め付けられ、ボックス11の開口端を密閉することに用いられる。この密閉とは、上部カバー13とボックス11が密封して接続されることであり、外部液体、水蒸気が電池パック内に入ることを防止することができ、電池パックの安全性能を向上させる。ボックス11及び上部カバー13はボルト又は他の取り外し可能な接続方式を用いてもよい。
【0049】
図4に示すように、上記電池パック内の電池セル20は電池モジュール2を構成してモジュール化構造を形成することができ、電池モジュール2は電池パックに設けられることに加えて、独立して使用することもできる。
【0050】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、電池モジュール2は電池セルユニット2A及び第1バスバー3を含む。電池セルユニット2Aは第3方向zに沿って配列される少なくとも2つの電池セル20を含み、各電池セル20は2つの電極端子242を含み、それぞれ正極端子及び負極端子である。
【0051】
図5に示すように、第1バスバー3は本体部32及び2つの接続部31を含み、第1バスバー3の延伸方向は第3方向zに対して所定角度で傾斜する。第1バスバー3及び後述の第2バスバー4は電気接続ブレード、アルミニウムバー及びbusbar等とも呼ばれ、第1バスバー3は条状のシート状構造で形成されてもよい。
【0052】
2つの接続部31はそれぞれ同じ電池セルユニット2A内の2つの電池セル20の電極端子242に接続される。
図4に示すように、同じ電池セルユニット2Aにおいて、隣接する2つの電池セル20の最大側面は対向して設置され、第1バスバー3は2つの電池セル20において位置がずらした電極端子242に接続される。
【0053】
本体部32は2つの接続部31の間に位置し、且つ本体部32に変形誘導部が設けられ、変形誘導部は本体部32が第1方向xに沿って変形するのに必要な力を少なくとも減少させるように構成され、第1方向xは電池セル20の電極端子242が設置される側面に平行であり且つ第3方向zに垂直である。
【0054】
本願の該実施例では、第1バスバー3が第3方向zに対して所定角度で傾斜するため、電池セル20が第3方向zに沿って膨張する時に生じた膨張力は電極端子242によって第1バスバー3に加えられ、これにより、第1バスバー3は長さ方向及び幅方向の外力を同時に受ける。
【0055】
関連技術の解決策では、各電池セルを第3方向zに沿って配列すれば、バスバーは一般的に第3方向zに平行して設置され、電池セルが膨張する時にバスバーに長さ方向のみの外力を加え、バスバーの設計によりバスバーが長さ方向に沿って変形するのに必要な力のみを減少させる。このバスバーを電池セル20に接続する時に傾斜して設置すれば、電池セル20が膨張する時にバスバーは幅方向において大きな力を受ける。本願の実施例では、本体部32に変形誘導部を設置することにより、第1バスバー3が第1方向xにおいて容易に変形して外力を吸収することができ、それにより電極端子242に対する引張力を減少させ、電極端子242とセルとの間の接続の信頼性を確保する。
【0056】
図4に示すように、電池セル20の第3方向zのサイズは第1方向xのサイズよりも小さく、従って、電池セル20が第3方向zに沿って膨張するとき、第1バスバー3は第1方向x及び第3方向zの外力を同時に受け、且つ第1方向xの外力は第3方向zの外力よりも大きい。変形誘導部を設置することにより、第1バスバー3は第1方向xにおいて容易に変形して大部分の外力を吸収することができ、それにより電極端子242に対する引張力を明らかに減少させ、電極端子242とセルとの間の接続の信頼性を確保する。
【0057】
且つ、
図4に示すように、電池セル20は第1防爆弁243をさらに含み、第1防爆弁243は2つの電極端子242の間に設けられる。第1バスバー3が2つの電池セル20において位置がずらした2つの電極端子242に接続されるため、第1バスバー3はそれに接続される2つの電池セル20の第1防爆弁243に接近し、ここで熱量が集中し、且つ変形誘導部を設置することにより、熱暴走が発生した場合に第1バスバー3は容易に切断でき、それにより、電池モジュール2全体の高圧回路を切断し、熱暴走警報及び保護対策をタイムリーに実行し、電池動作の安全性を向上させることができる。
【0058】
図5に示すように、変形誘導部は本体部32に対して長さ方向の中央位置に対称に設置され、第1バスバー3が受けた力を均一にし、且つ2つの電池セル20に対する作用効果は一致である。且つ、電池セル20に熱暴走が発生した場合、中央位置には変形誘導部が設置されるため、熱場の熱応力集中点になり、第1バスバー3を迅速に溶断させ、モジュール全体の高圧回路を切断することができ、熱暴走警報及び保護対策のための時間を確保する。
【0059】
本願の実施例における変形誘導部は様々な構造形式を用いてもよく、たとえば、本体部32の厚さ方向に垂直な側面に凹溝、貫通溝、スリット33、ブラインドホール及び貫通孔のうちの少なくとも1つを設置し、又は本体部32の幅方向に垂直な側面に凹部34を設置する。第1バスバー3は適切な材料で形成され、且つ本体部32の第1方向(x)の剛性を減少させる変形誘導部を有する限り、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0060】
図5に示すように、変形誘導部はスリット33を含み、スリット33は本体部32の厚さ方向に沿って貫通する。第1バスバー3の変形誘導部が設置された断面積は第1バスバー3の放電能力を満たすように構成される。
【0061】
該実施例は、スリット33を設置することにより、第1バスバー3の幅方向の断面積を減少させることができ、幅方向の剛性を減少させ、第1バスバー3の幅方向は第3方向zに対して傾斜し、従って、本体部32が第1方向x及び第3方向zに沿って変形するのに必要な力を同時に減少させることができ、それにより、電極端子242に対する引張力を減少させる。且つ、熱暴走が発生した場合にスリット33が設けられる脆弱部が容易に溶断され、回路を切断する。
【0062】
図5~
図8に示すように、スリット33は2つの横方向溝331を含み、2つの横方向溝331は第1バスバー3の幅方向に沿って延伸し且つ第1バスバー3の長さ方向に沿って間隔をおいて設置され、2つの横方向溝331は本体部32の幅方向の中央領域に設けられる。
【0063】
第1バスバー3の幅方向に沿って延伸する横方向溝331を設置することにより、局所領域に第1バスバー3の幅方向の断面積を効果的に減少させることができ、幅方向の剛性を減少させ、それにより、本体部32が第1方向x及び第3方向zに沿って変形するのに必要な力を効果的に減少させることができ、それにより電極端子242に対する引張力を減少させる。
【0064】
図8に示すように、2つの横方向溝331はそれぞれ本体部32における長さ方向の2つの電極端子242に近い位置に設置され、いずれかの電極端子242が外力を接続される第1バスバー3に加える時に、第1バスバー3を効果的に変形させ、電極端子242に対する引張力を減少させる。
【0065】
図5及び
図6に示すように、スリット33は縦方向溝332をさらに含み、縦方向溝332は第1バスバー3の長さ方向に沿って延伸し、且つ縦方向溝332の両端はそれぞれ2つの横方向溝331と連通し、縦方向溝332及び2つの横方向溝331はいずれも本体部32の幅方向の中央領域に設けられる。
【0066】
第1バスバー3の長さ方向に沿って延伸する縦方向溝332を増加することにより、本体部32の所定長さ区間内に第1バスバー3の幅方向の断面積を均一に減少させることができ、該長さ区間の幅方向の剛性を減少させ、第1バスバー3が外力を受けると、全体として均一に変形することができ、電極端子242に対する引張力を減少させ、さらに第1バスバー3の局所変形が大きいため耐用年数に影響を与えることを防止することができる。且つ、縦方向溝332はさらに第1バスバー3の放電能力に対する影響を軽減することもできる。
【0067】
接続強度を確保する上で、縦方向溝332の長さをできる限り増加することができる。縦方向溝332の幅が大きいと第1バスバー3の放電能力に影響を与え、横方向溝331を設置することにより、第1バスバー3の放電能力を確保する上で、第1バスバー3の剛性をさらに減少させることができ、電極端子242が受けた引張力を最大限に減少させることができ、熱暴走が発生した場合に容易に切断できる。
【0068】
図7に示すように、スリット33は2つの縦方向溝332をさらに含み、2つの縦方向溝332は第1バスバー3の長さ方向に沿って延伸し且つ間隔をおいて設置され、各縦方向溝332の一端はそれぞれ対応する横方向溝331と連通する。たとえば、2つの縦方向溝332は対向して延伸し、互いに連通する縦方向溝332と横方向溝331がT字型溝を形成し、2つのT字型溝は本体部32に対して長さ方向の中央位置に対称に設置され、且ついずれも本体部32の幅方向の中央領域である。
【0069】
このような構造は第1バスバー3の剛性を減少させるとともに、電極端子242に対する接続の信頼性を向上させることができる。
【0070】
これに基づいて、
図6~
図8に示すように、変形誘導部は凹部34を含み、凹部34は本体部32の幅方向の側方に設けられ、第1バスバー3の幅を減少させるように構成される。たとえば、凹部34の側壁は円弧状、双曲線形又は放物線形等であってもよく、応力集中を減少させることができ、また、多角形等であってもよい。
【0071】
凹部34を設置することにより、スリット33による作用を強化することができ、第1バスバー3の幅方向の剛性をさらに減少させることができ、本体部32が第1方向x及び第3方向zに沿って変形するのに必要な力をさらに減少させることができ、それにより、電極端子242に対する引張力を減少させ、第1バスバー3と電極端子242の接続の信頼性を向上させ、且つ熱暴走が発生した場合に容易に切断でき、回路を切断し、それにより電池モジュール2の動作の信頼性及び安全性を向上させる。
【0072】
依然として
図6~
図8を参照し、凹部34は本体部32の長さ方向の中央位置に設けられてもよく、たとえば、本体部32の幅方向の両側にいずれも凹部34が設けられる。
【0073】
このような構造は、第1バスバー3の幅方向の両側の構造を対称にし、均一に力を受けることができる。且つ長さ方向の中央位置の剛性を弱めることができ、2つの電極端子242のうちのいずれかが第1バスバー3に外力を加える場合、より容易に変形することができる。且つ、中央位置から隣接層までの距離は電池セル20の第1防爆弁243までの距離よりも近く、熱暴走の場合に第1バスバー3が容易に溶断できる。
【0074】
図5に示すように、変形誘導部は屈曲部35を含み、屈曲部35は接続部31に対して第1バスバー3の厚さ方向の少なくとも一側に向かって突出し、すなわち屈曲部35は本体部32に対して外部へ突起する。たとえば、屈曲部35は円弧状、U字型、長方形又は台形等であってもよい。
【0075】
該実施例は屈曲部35を設置することにより、電池セル20が膨張して電極端子242を介して第1バスバー3に長さ方向の外力を加える場合、屈曲部35は突出して弾性構造を形成し、引張されやすく、電池セル20が膨張するときに第1バスバー3が長さ方向に沿って受けた外力を吸収することができ、電極端子242に対する引張力を減少する。且つ、屈曲部35は本体部32の表面積を増大してより多くの熱量を容易に吸収でき、且つ凹部34は屈曲部35の幅を減少させるため、電池セル20に熱暴走が発生した場合、第1バスバー3がそこで容易に切断でき、電池モジュール2の動作の安全性を向上させることができる。
【0076】
図4に示すように、屈曲部35全体は接続部31に対して電池セル20から離れた方向へ突出する。このような構造により、第1バスバー3は電池セル20に接近して設置され、第1バスバー3と電極端子242の接続を安定して信頼でき、且つ、第1バスバー3の電池セル20から離れた一側には屈曲部35を設置するために十分な空間があり、変形要件を満たす。
【0077】
図5に示すように、屈曲部35は本体部32の長さ方向の中央位置に位置し、1つの屈曲部35を設置することにより、2つの電極端子242が第1バスバー3に加えた長さ方向の外力を同時に吸収することができる。
【0078】
図4及び
図5に示す電池モジュール2について、変形誘導部はスリット33、凹部34及び屈曲部35を含み、屈曲部35は本体部32の長さ方向の中央位置に位置し、スリット33は屈曲部35に対して第1バスバー3の長さ方向に沿って対称に設置され、たとえば、スリット33の2つの横方向溝331は屈曲部35の両側に位置し、縦方向溝332の両端は長さ方向に沿って屈曲部35を貫通してそれぞれ2つの横方向溝331と連通する。凹部34は屈曲部35における第1バスバー3の幅方向の側方に少なくとも部分的に設けられ、第1バスバー3の幅を減少させるように構成される。
【0079】
該実施例の電池モジュール2では、電池セル20が第3方向zに沿って膨張するときに、第1バスバー3が第1方向x及び第3方向zに沿って外力を受け、スリット33、凹部34及び屈曲部35の連携作用により、第1バスバー3が変形して第1方向x及び第3方向zにおいて受けた外力を効果的に吸収することを可能にし、それにより、電極端子242が受けた力を最大限に減少させ、電池モジュール2の動作の信頼性を向上させることができる。
【0080】
図4に示すように、電池セル20は第1防爆弁243をさらに含み、第1バスバー3に接続される2つの電池セル20の第1防爆弁243はそれぞれ第1バスバー3の幅方向の両側に位置する。このような構造は第1バスバー3に接続される上下のいずれかの電池セル20に熱暴走が発生するときに、いずれも第1バスバー3を溶断することができ、他の電池セル20に対して保護効果を奏する。
【0081】
また、
図4を参照し、第1バスバー3はそれに接続される電池セル20の第1防爆弁243を少なくとも部分的に被覆する。第1バスバー3に接続される上下のいずれかの電池セル20に熱暴走が発生した場合、電池セル20内の高温ガス、火花及びほこりは第1防爆弁243から噴出し、且つ第1バスバー3に直接作用し、第1バスバー3がより容易に溶断できる。
【0082】
図4に示すように、電池モジュール2は第2バスバー4及び第1方向xに沿って配列される複数の電池セルユニット2Aをさらに含み、隣接する2つの電池セルユニット2Aは第2バスバー4を介して電気的に接続され、第2バスバー4は第1方向xに沿って延伸する。
図4に示される電池モジュールについて、各第1バスバー3及び各第2バスバー4は第1方向xに沿って交互に設置され、各電池セル20を直列接続し、且つ隣接する2つの第1バスバー3の傾斜方向は逆である。第2バスバー4は第1バスバー3と同様の構造を用いてもよく、又は変形誘導部を省略してもよい。
【0083】
図4に示すように、電池モジュール2は、各電池セル20を接続し電池モジュール2とした後の正負極をそれぞれ出力するように配置される2つの出力極をさらに含む。
【0084】
上記実施例に基づいて、
図1に示すように、電池パックは少なくとも1つの電池モジュール2を含んでもよく、各電池モジュール2は第2方向yに沿って同列に配列され又は間隔をおいて設置される。たとえば、隣接する2つのビーム12の間に2つの電池モジュール2が設置されてもよい。各電池セル20の最大側面はボックス11の底面に略平行であり、このような配置方式は水平配置とも呼ばれる。電池セル20の第3方向zにおける高さが低いため、水平配置の設置方式を用いると、電池モジュール2の全体高さを低減させることができ、電池の取り付け空間が低い装置に適する。
【0085】
上記各実施例に与えられる電池モジュール2はいずれも電池パックに設けられてもよく、
図1に示すように、ボックスユニット1はボックス11及びビーム12を含み、ビーム12はボックス11内に固定され、且つボックス11の内部空間を複数の収容キャビティQに分割し、各収容キャビティQ内に少なくとも1つの電池モジュール2が設置される。
図1及び
図2に示すように、電池パックは接続部品6をさらに含み、各電池モジュール2における出力極5を接続するように構成され、各電池モジュール2の直列接続及び並列接続のうちの1つを実現し、電池パックに必要な電気的性質を実現する。ボックス11には電気コネクタ7を取り付けるための第1取付孔111が設置されてもよい。
【0086】
電池モジュール2では各電池セル20の電極端子242はいずれもビーム12に向かって設置され、且つ電池セル20、電極端子242を設置するための側面、及びビーム12の側壁の間に所定間隔Lを有し、排気通路Bを形成する。
【0087】
図3に示すように、電池セル20Sに熱暴走が発生した場合に、第1防爆弁243から噴出した高温ガス、火花及びほこりは第1バスバー3を溶断する可能性があり、気流が排気通路Bに沿って両側へ流れ、且つビーム12の端部とボックス11の内壁との間の隙間を通って第2防爆弁8に流れ、最終的に、第2防爆弁8から外部へ排出し、ボックス11内の温度を低減させ、電池安全性を向上させる。ボックス11に少なくとも1つの第2取付孔112が設けられ、第2防爆弁8は第2取付孔112を介してボックス11に取り付けられる。
【0088】
電池の動作により生じた熱量を奪うために、
図1及び
図2に示すように、電池パックは冷却部材9をさらに含み、冷却部材9は冷却板91を含み、内部に冷却キャビティが設けられ、液体供給管92及び液体排出管93はいずれも冷却板91の冷却キャビティと連通する。第1方向x及び第2方向yに形成される平面内に、隣接する2つの電池モジュール2は電極端子242が互いに遠く離れるように取り付けられてもよく、取り付け空間を節約することができ、且つ冷却板91を設置する時、冷却板91を隣接する2つの電池モジュール2の間に設けてもよく、これにより、冷却板91によって隣接する2つの電池モジュール2を同時に冷却する。
【0089】
いくつかの実施形態では、隣接する2つの電池モジュール2は電極端子242が互いに対向するように取り付けられてもよく、隣接する電池モジュール2の電極端子242の間に安全距離を確保する必要があり、冷却する必要がある場合、2つの電池モジュール2の電極端子242から離れた側面にそれぞれ冷却板91を設置することができる。
【0090】
また、電池セル20が水平配置して取り付けられる構造以外に、電池セル20が垂直に設置される電池モジュール2について、本願の第1バスバー3及び第2バスバー4が電池セル20に接続される方式及び構造形式を用いてもよい。
【0091】
以下、上記各実施例における電池セル20に使用できる構造を説明する。
【0092】
図9に示される分解模式図に示すように、各電池セル20はいずれも、ハウジング21及びハウジング21内に設けられる電極組立体22を含み、ハウジング21は六面体形状又は他の形状を有し、且つ開口を有するものであってもよい。電極組立体22はハウジング21内に収容される。ハウジング21の開口はトップカバーユニット24で被覆される。トップカバーユニット24はトップカバー241及びトップカバー241に設置される2つの電極端子242を含み、2つの電極端子242はそれぞれ第1電極端子及び第2電極端子である。第1電極端子は正極端子であり、第2電極端子は負極端子である。他の実施例では、第1電極端子はさらに負極端子であり、第2電極端子は正極端子である。トップカバーユニット24と電極組立体22との間にアダプタープレート23が設置され、電極組立体22のタブはアダプタープレート23を介してトップカバー241における電極端子に電気的に接続される。本実施例では、アダプタープレート23は2つであり、すなわちそれぞれ正極アダプタープレート及び負極アダプタープレートである。トップカバー241の2つの電極端子242の間に第1防爆弁243が設けられる。
【0093】
図9に示すように、ハウジング21内に2つの電極組立体22が設置され、2つの電極組立体22は電池セル20の高さ方向(z方向)に沿って積み重ねられ、電池セル20の高さ方向は電池パックの高さ方向と一致する。もちろん、他の実施例では、ハウジング21内に1つの電極組立体22を設置してもよく、又はハウジング21内に3つ以上の電極組立体22を設置する。複数の電極組立体22は電池セル20の高さ方向(z方向)に沿って積み重ねられる。
【0094】
図10及び
図11に示すように、電極組立体22は第1極板221、第2極板222及び前記第1極板221と前記第2極板222との間に設置されるセパレータ223を含む。第1極板221は正極板であり、第2極板222は負極板である。他の実施例では、第1極板221はさらに負極板であり、第2極板222は正極板である。セパレータ223は第1極板221と第2極板222との間の絶縁体である。正極板の活物質は正極板のコーティング領域にコーティングされ、負極板の活物質は負極板のコーティング領域にコーティングされる。正極板のコーティング領域から延伸する部分は正極タブとして機能し、負極板のコーティング領域から延伸する部分は負極タブとして機能する。正極タブは正極アダプタープレートを介してトップカバーユニット24における正極端子に接続され、同様に、負極タブは負極アダプタープレートを介してトップカバーユニット24における負極端子に接続される。
【0095】
図10に示すように、電極組立体22は巻回型構造である。第1極板221、セパレータ223及び第2極板222はいずれも帯状構造であり、第1極板221、セパレータ223及び第2極板222を順に積層して2周り以上巻回して電極組立体22を形成し、且つ電極組立体22は扁平状である。電極組立体22を製造する時に、電極組立体22は直接的に扁平状に巻回されてもよく、又は中空円筒状構造に巻回され、巻回された後に扁平状に平らにされることもよい。
図10は電極組立体22の外形輪郭の模式図であり、電極組立体22の外面は2つの平坦面224を含み、2つの平坦面224は電池セル20の高さ方向(z方向)に沿って対向して設置される。電極組立体22は略六面体構造であり、平坦面224は巻回軸線に略平行であり且つ面積が最も大きな外面である。平坦面224は比較的平坦な表面であり、完全な平面である必要がない。
【0096】
図11に示すように、電極組立体22は積層型構造であり、すなわち電極組立体22は複数の第1極板221及び複数の第2極板222を含み、セパレータ223は第1極板221と第2極板222との間に設置される。第1極板221及び第2極板222は電池セル20の高さ方向(z方向)に沿って積層して設置される。
【0097】
電極組立体22は充放電過程に極板の厚さ方向に沿って必然的に膨張し、各極板の膨張量が増え、高さ方向に累積する膨張量は他の方向よりもより大きく、電極端子242を介して第1バスバー3に外力を加える。本願の実施例はセル間のバスバーの接続関係及び構造を改良することにより、電池動作の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0098】
好ましい実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、且つその部材を同等物で置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に係る各技術的特徴はすべて任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0099】
1 ボックスユニット
11 ボックス
111 第1取付孔
112 第2取付孔
12 ビーム
13 上部カバー
Q 収容キャビティ
2 電池モジュール
2A 電池セルユニット
20 電池セル
21 ハウジング
22 電極組立体
221 第1極板
222 第2極板
223 セパレータ
224 平坦面
23 アダプタープレート
24 トップカバーユニット
241 トップカバー
242 電極端子
243 第1防爆弁
3 第1バスバー
31 接続部
32 本体部
33 スリット
331 横方向溝
332 縦方向溝
333 T字型溝
34 凹部
35 屈曲部
4 第2バスバー
5 出力極
6 接続部品
7 電気コネクタ
8 第2防爆弁
9 冷却部材
91 冷却板
92 液体供給管
93 液体排出管
10 拘束部材
101 制限部
102 取り付け部
103 補強リブ