(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250114BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
B08B3/02 B
(21)【出願番号】P 2023026185
(22)【出願日】2023-02-22
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】船橋 和雅
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017201(JP,A)
【文献】特開平08-318226(JP,A)
【文献】特開平08-010719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部
であって、保管中の未使用の前記ブラシを収容するブラシ収容容器を備える前記ブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
前記ブラシ収容容器に液体を供給する液体供給部と、
を備え
、
前記ブラシ収容容器は、貯留された前記液体に未使用の前記ブラシを浸漬させて、保管することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ収容容器を水平移動させる水平移動部を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ回収部は、取り外された使用済みの前記ブラシを回収するブラシ回収容器を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記ブラシ回収部は、前記ブラシを取り外すための取り外し部材を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
を備え、
前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ回収部に隣接して配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部の間に設けられ、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部とを隔てる隔離部
と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
を備え、
前記ブラシ保持部は、
鉛直に延びる中心軸に沿って形成された円柱状の穴部と、
前記穴部の内側の側壁に設けられると共に、前記中心軸周りに配置された3個の開口部と、
前記3個の開口部から前記穴部にそれぞれ突出する3個の突出部と、
前記突出部の外側に設けられ、前記突出部を前記中心軸の方向に付勢する付勢部と、
を備え、
前記ブラシは、
前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、
前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、
前記ブラシ支持部から前記洗浄面の反対側に突出する円柱部と、
前記円柱部の側壁でかつ前記円柱部の軸周りに設けられた凹みと長手凹みと、を備え、
前記長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、
前記ブラシ保持部の前記穴部に前記円柱部を挿入した場合に、前記凹みは、前記3個の突出部のうちの1個の突出部を収容し、また、前記長手凹みは、残りの2個の突出部のうち少なくとも1つの突出部を収容することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
を備え、
前記ブラシは、
前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、
前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、を備え、
前記ブラシ支持部は、
前記洗浄面との反対側に、予め設定された水平方向に延びるガイドと、
前記ガイドに設けられた開口部と、
前記開口部から外側に突出する突出部と、
前記ブラシ支持部の外周面に設けられるボタン部と、
前記ボタン部の押し込み量によって前記突出部の突出幅を調整する突出幅調整機構と、を有し、
前記ブラシ保持部は、
前記水平方向に移動可能に前記ガイドを保持するガイド保持部と、
前記ガイド保持部に設けられて前記突出部を収容する凹みと、を備え、
前記ボタン部を押し込んだ場合は、前記突出幅調整機構が前記突出部を前記開口部から内側に後退させることで、前記ブラシが前記ブラシ保持部に対して前記水平方向に移動することができる状態になり、
前記ボタン部を押し込まない場合は、前記突出幅調整機構が前記開口部から外側に前記突出部を突出させることで、前記突出部を前記凹みに収容させて、前記ブラシの前記水平方向の移動を規制することができる状態になることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する。ブラシは、定期的に交換が必要である。ブラシは、一般的に、操作者の手作業によって交換される。しかし、ブラシ交換により、基板処理装置の稼働率が低下して生産性が悪化するという課題がある。そのため、ブラシを自動的に交換できる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数個のブラシを保持するブラシ保持枠を備えたスクラバ洗浄装置が開示されている。ブラシ保持枠は、複数個の保持溝が形成されている。スクラバ洗浄装置は、ブラシ保持枠の空きの保持溝でブラシヘッドからブラシを外す。外されたブラシは、その保持溝に保持される。その後、スクラバ洗浄装置は、ブラシ保持枠に保持される別のブラシをブラシヘッドの下方に移動させ、その別のブラシをブラシヘッドに取り付ける。
【0004】
特許文献2,3には、待機ポットに横に並んで配置された複数個のブラシのうちの所望のブラシをブラシチャックで択一的に保持することができるブラシ洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平08-318226号公報
【文献】特開平08-010719号公報
【文献】特開平10-223584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置は次の問題がある。例えば特許文献1において、取り外された使用済みのブラシは、ブラシ保持枠に保持される。この場合、使用済みのブラシと未使用のブラシとが横に並んだ状態になる。また、ブラシ保持枠の保持溝は、取り外した使用済みのブラシを保持した後に、未使用のブラシを保持する可能性がある。そのため、未使用のブラシに使用済みのブラシのパーティクルが付着する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部であって、保管中の未使用の前記ブラシを収容するブラシ収容容器を備える前記ブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、前記ブラシ収容容器に液体を供給する液体供給部と、を備え、前記ブラシ収容容器は、貯留された前記液体に未使用の前記ブラシを浸漬させて、保管することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
また、ブラシ取り付け部にブラシ収容容器を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを確実に防止することができる。
また、保管中の未使用のブラシが乾燥すると、例えば、未使用のブラシの細かな隙間にパーティクルが入る可能性がある。パーティクルがその隙間に入り込むと、パーティクルの除去には、長時間を要する。そのため、未使用のブラシをブラシ保持部に取り付けた後、製品となる基板のブラシ洗浄を行うまで、長時間を費やしてしまう可能性がある。そのため、基板処理装置の稼働率が低下して生産性が悪化してしまう。しかし、本発明によれば、液体供給部が保管中の未使用のブラシに液体を供給するので、保管中の未使用のブラシの乾燥を防止することができる。そのため、保管中の未使用のブラシの細かな隙間にパーティクルが入ることを防止することができる。
【0014】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ収容容器を水平移動させる水平移動部を更に備えていることが好ましい。
【0015】
平面視における移動経路上に複数の未使用のブラシを搬送することができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ回収部は、取り外された使用済みの前記ブラシを回収するブラシ回収容器を備えることが好ましい。
【0017】
ブラシ回収部にブラシ回収容器を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを確実に防止することができる。
【0018】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ回収部は、前記ブラシを取り外すための取り外し部材を備えていることが好ましい。
【0019】
取り外し部材を用いてブラシ保持部から使用済みのブラシを取り外し、そのブラシをブラシ回収容器に回収することができる。
【0020】
また、本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、を備え、前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ回収部に隣接して配置されることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
また、ブラシ回収部で使用済みのブラシを取り外した後に未使用のブラシを素早く取り付けることができる。また、ブラシ取り付け部がブラシ回収部に隣接した状態でも、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離すことができる。
【0022】
また、本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部の間に設けられ、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部とを隔てる隔離部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
また、ブラシ回収部とブラシ回収容器の間に隔離部を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを防止することができる。
【0024】
また、本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、を備え、前記ブラシ保持部は、鉛直に延びる中心軸に沿って形成された円柱状の穴部と、前記穴部の内側の側壁に設けられると共に、前記中心軸周りに配置された3個の開口部と、前記3個の開口部から前記穴部にそれぞれ突出する3個の突出部と、前記突出部の外側に設けられ、前記突出部を前記中心軸の方向に付勢する付勢部と、を備え、前記ブラシは、前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、前記ブラシ支持部から前記洗浄面の反対側に突出する円柱部と、前記円柱部の側壁でかつ前記円柱部の軸周りに設けられた凹みと長手凹みと、を備え、前記長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、前記ブラシ保持部の前記穴部に前記円柱部を挿入した場合に、前記凹みは、前記3個の突出部のうちの1個の突出部を収容し、また、前記長手凹みは、残りの2個の突出部のうち少なくとも1つの突出部を収容することを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
また、長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、3個の突出部のうちの2個の突出部を収容することができる。そのため、例えば、ブラシ保持部の穴部にブラシの円柱部を挿入した際に、3個の突出部のうちの1つは、長手凹みに収容される。そのため、ブラシ保持部に対するブラシの上下方向の移動を規制させることできる。
【0026】
また、本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、を備え、上述の基板処理装置において、前記ブラシは、前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、を備え、前記ブラシ支持部は、前記洗浄面との反対側に、予め設定された水平方向に延びるガイドと、前記ガイドに設けられた開口部と、前記開口部から外側に突出する突出部と、前記ブラシ支持部の外周面に設けられるボタン部と、前記ボタン部の押し込み量によって前記突出部の突出幅を調整する突出幅調整機構と、を有し、前記ブラシ保持部は、前記水平方向に移動可能に前記ガイドを保持するガイド保持部と、前記ガイド保持部に設けられて前記突出部を収容する凹みと、を備え、前記ボタン部を押し込んだ場合は、前記突出幅調整機構が前記突出部を前記開口部から内側に後退させることで、前記ブラシが前記ブラシ保持部に対して前記水平方向に移動することができる状態になり、前記ボタン部を押し込まない場合は、前記突出幅調整機構が前記開口部から外側に前記突出部を突出させることで、前記突出部を前記凹みに収容させて、前記ブラシの前記水平方向の移動を規制することができる状態になることを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
また、ブラシは、予め設定された水平方向に延びるガイドを備える。ブラシ保持部は、その水平方向に移動可能にガイドを保持するガイド保持部を備える。そのため、ブラシ保持部に対する上下方向および回転方向のブラシの移動を規制することができる。また、突出部を凹みに収容させることで、上述の水平方向の移動も規制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る基板処理装置によれば、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】実施例1に係る基板処理装置の平面図である。
【
図3】(a)は、ブラシとブラシ保持部を示す縦断面図であり、(b)は、ブラシの斜視図である。
【
図4】(a)は、円柱部に設けられた凹みと長手凹みを示す横断面図であり、(b)は、円柱部の側壁の部分的な展開図であり、(c)は、凹みと長手凹みに3個の鋼球が収まった状態を示す横断面図である。
【
図5】長手凹みの効果を説明するための横断面図である。
【
図6】(a)は、取り外し部材を示す平面図であり、(b)は、取り外し部材を示す正面図である。
【
図7】ブラシ交換部の概略構成を示す縦断面図である。
【
図8】(a)は、実施例2に係るブラシ交換部の縦断面図であり、(b)は、ブラシ交換部の平面図である。
【
図9】(a)は、実施例3に係るブラシとブラシ保持部の側面図であり、(b)は、ブラシ保持部の斜視図である。
【
図10】(a)、(b)は、ブラシとブラシ保持部の横断面図である。
【
図11】実施例3に係るブラシ交換部の平面図である。
【
図12】実施例3に係るブラシ交換部の概略構成を示す縦断面図である。
【
図13】(a)~(c)は、実施例3に係るブラシ交換を説明するための縦断面図である。
【
図14】変形例に係る取り外し部材を示す側面図である。
【
図15】変形例に係るブラシとブラシ保持部を示す縦断面図である。
【
図16】変形例に係るブラシとブラシ保持部を示す縦断面図である。
【
図17】変形例に係るブラシ交換部を示す縦断面図である。
【
図18】変形例に係る基板処理装置を示す平面図である。
【実施例1】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、基板処理装置1の概略構成を示す側面図である。
図2は、基板処理装置1の平面図である。
【0031】
(1)基板処理装置の基本構成
図1、
図2を参照する。基板処理装置1は、ブラシ25を用いて基板Wを洗浄する。基板処理装置1は、保持回転部3、カップ5、処理液供給部7、ブラシ機構9および制御部101を備える。なお、保持回転部3は、本発明の基板保持部に相当する。
【0032】
保持回転部3は、基板Wを水平姿勢で保持して基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。基板Wは、円板状に形成されている。保持回転部3は、スピンチャック11と回転駆動部13を備えている。回転駆動部13は、電動モータを備える。回転駆動部13は、基板Wを保持するスピンチャック11を鉛直軸AX1周りに回転させる。
【0033】
スピンチャック11は、
図2に示すように、スピンベース15および3本以上(例えば6本)の保持ピン17を備える。スピンベース15は、円板状に形成される。鉛直軸AX1は、スピンベース15(すなわち基板W)の中心を通過する。6本の保持ピン17は、スピンベース15の上面の周縁部に等間隔に立設される。また、6本の保持ピン17のうちの例えば一方側に配置された3本の保持ピン17Aは各々、自身を通過する鉛直軸周りに回転する。これにより、スピンチャック11は、6本の保持ピン17によって基板Wの周縁を挟み込むことで、基板Wを保持する。なお、スピンチャック11は、この説明のメカニカルチャックだけでなく、真空チャックまたは静電チャックであってもよい。
【0034】
カップ5は、保持回転部3で保持された水平姿勢の基板Wの外周を囲むように構成される。カップ5は、例えば基板Wの回転により飛散した処理液を受けるものである。カップ5は、昇降可能に構成される。
【0035】
処理液供給部7は、処理液ノズル19、処理液配管21、処理液供給源23および開閉弁V1を備える。処理液ノズル19は、保持回転部3で保持された基板Wに処理液を吐出する。処理液は、例えば脱イオン水(DIW)などの純水が用いられる。処理液配管21は、処理液ノズル19と処理液供給源23を接続する。処理液供給源23は、処理液配管21を通じて処理液ノズル19に処理液を供給する。開閉弁V1は、処理液配管21に設けられる。開閉弁V1は、処理液の供給とその供給の停止を行う。
【0036】
ブラシ機構9は、ブラシ25、ブラシ保持部27、シャフト29、アーム31および電動モータ33を備える。ブラシ25は、保持回転部3で保持された基板Wを洗浄するためのものである。ブラシ保持部27は、ブラシ25を着脱可能に保持する。なお、ブラシ25およびブラシ保持部27の詳細は後述する。
【0037】
ブラシ保持部27の上端部は、鉛直方向に延びるシャフト29の下端部に固定される。シャフト29の上部は、水平方向に延びるアーム31によって鉛直軸AX2周りに回転可能に保持される。シャフト29は、例えばベルトまたはギヤを介して、電動モータ33によって鉛直軸AX2周りに回転される。ブラシ25、ブラシ保持部27およびシャフト29は、アーム31の先端部(先端側)に設けられる。
【0038】
ブラシ機構9は、更に、昇降機構35と旋回駆動部37を備える。昇降機構35は、ブラシ25、ブラシ保持部27およびアーム31等を昇降させる。昇降機構35は、ガイドレール39と昇降駆動部41を備える。アーム31の基端部は、ガイドレール39によって昇降可能に滑り接触される。ガイドレール39は、アーム31を上下方向に案内する。昇降駆動部41は、例えば電動モータとねじ軸を備える。なお、昇降駆動部41はエアシリンダであってもよい。
【0039】
旋回駆動部37は、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5の外側に設けられる。旋回駆動部37は、ブラシ25、ブラシ保持部27、アーム31および昇降機構35等を鉛直軸AX3周りに旋回させる。旋回駆動部37は電動モータを備える。
図2に示すように、昇降機構35および旋回駆動部37は、保持回転部3で保持された基板W上の処理位置と、待機ポット43と、ブラシ交換部45(ブラシ回収部79およびブラシ取り付け部81)との間で、アーム31を介してブラシ25を移動させる。なお、昇降機構35および旋回駆動部37は、本発明のブラシ移動機構に相当する。
【0040】
(2)ブラシを着脱させるための構成
図3(a)は、ブラシ25とブラシ保持部27を示す縦断面図である。
図3(b)は、ブラシ25の斜視図である。ブラシ保持部27は、円筒部材51、穴部53、3個の開口部55、3個の鋼球57、ボール収容部59および付勢部61を備える。なお、鋼球57は、本発明の突出部に相当する。
【0041】
円筒部材51の上部51Aの外径は、円筒部材51の下部51Bの外径よりも小さい。穴部53は、鉛直に延びる中心軸(すなわち鉛直軸AX2)に沿って円柱状に形成される。穴部53の上端には、シャフト29の下端部が連結される。これにより、シャフト29に円筒部材51が固定される。
【0042】
円筒部材51には、3個のボール収容部59が形成される。3個のボール収容部59は鉛直軸周りに等間隔(120°)で配置される。ボール収容部59は、穴部53の内側の側壁53Aに開口部55を有しており、3個のボール収容部59に収容された3個の鋼球57は、開口部55から一部が突出するように構成される。
【0043】
上述の構成ではボール収容部59は、3個であったが、4個以上であってもよい。また、鋼球57は、例えばステンレス鋼など鉄で構成されるが、他の金属または樹脂であってもよい。鋼球57の個数は、3個であったが、4個以上であってもよい。
【0044】
3個のボール収容部59に収容された3個の鋼球57は、付勢部61によって支持される。付勢部61は、円筒部材51の上部51Aの外周を囲うように設けられる。付勢部61は、円筒状のケース部63と、押し込み部65と、円筒状のばね部材(弾性部材)67とを備える。ばね部材67は、上下方向のスリットを有して、ばね部材67の横断面がC状になっていてもよい。ケース部63の上端部の内壁は、円筒部材51の上部51Aの外壁に到達するように形成される。ケース部63の下端は、円筒部材51の下部51Bの上面に接触する。ケース部63は、ばね部材67が配置される空間SP1を形成する。
【0045】
押し込み部65は、当接部65Aと規制部65Bによって一体的に構成される。当接部65Aは、平面視で、円環形状の部材であって、下面から上面に向かって中空部の断面積が小さくなるように内周面にテーパを有している。また、当接部65Aは、上下方向Zにおいて、ばね部材67と円筒部材51の間に配置される。規制部65Bは、平面視で、当接部65Aより外径が小さく、当接部65Aと内径が同じ円環形状であって、当接部65Aの上面から延出されるように形成される。ばね部材67は、例えばステンレス鋼などの金属で形成される。ばね部材67は、水平方向において、ケース部63と規制部65Bの間に配置される。当接部65Aの内周面およびばね部材67は、3個の鋼球57をそれぞれ内周側(3個の開口部55側)に押し込む。
【0046】
ブラシ25は、ブラシ保持部27に対して着脱可能である。
図3(b)に示すように、ブラシ25は、ブラシ本体69、ブラシ支持部71および円柱部73を備える。ブラシ本体69は、例えばPVA(ポリビニルアルコール、polyvinyl alcohol)のスポンジブラシが用いられる。ブラシ本体69は円柱状に形成される。ブラシ本体69は、基板Wを洗浄するための洗浄面69Aを有する。ブラシ支持部71は、洗浄面69Aの反対側からブラシ本体69を支持する。ブラシ支持部71も円柱状に形成される。円柱部73は、ブラシ支持部71から洗浄面69Aの反対側に延びる。円柱部73は、ブラシ支持部71に固定される。円柱部73の外周面73Aには、凹み75と、凹み75と比較して円柱部73の円周方向に長い凹みである長手凹み77が形成される。
【0047】
図4(a)は、円柱部に設けられた凹み75と長手凹み77を示す横断面図である。
図4(b)は、円柱部73の側壁(外周面)73Aの部分的な展開図である。
図4(c)は、凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まった状態を示す横断面図である。
【0048】
凹み75の上下方向Zの長さおよび水平方向の幅は、開口部55から部分的に突出する鋼球57の略半球状の部分の長さ(上下方向Z)および幅(水平方向)と略同じになるように形成される。また、長手凹み77の上下方向Zの長さも同様に、開口部55から部分的に突出する鋼球57の略半球状の部分の長さ(上下方向Z)と略同じになるように形成される。
【0049】
図4(b)に示すように、長手凹み77は、円周方向に長手に凹んでいる。
図4(a)および
図4(b)に示すように、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入した場合、凹み75は、3個の鋼球57のうちの第1の鋼球57Aを収容する。また、長手凹み77は、その両端部で残りの2個の鋼球57B,57Cを収容する。なお、円柱部73が中空(円筒状)である場合、凹み75および長手凹み77は、貫通する孔部であってもよい。
【0050】
凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まることで、ブラシ保持部27に対してブラシ25の上下方向および円周方向の移動が規制される。円周方向の移動の規制は、第1の鋼球57Aが凹み75に収容されることだけでなく、2個の鋼球57B,57Cが長手凹み77に収容されることによっても行われる。
図4(a)において、鋼球57B,57Cが鉛直軸AX2周りに回転する場合、第2の鋼球57Bの時計回りの回転は、長手凹み77の第1端77Aで規制され、第3の鋼球57Cの反時計回りの回転は、第2端77Bで規制される。
【0051】
なお、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入する際に、各鋼球57は、円柱部73によって外周側に押されることで、開口部55から穴部53側に突出しない状態になる。具体的には、押し込み部65は、ばね部材67によって鉛直方向に移動可能な状態で支持されている。また、押し込み部65の当接部65Aは、平面視で下面から上面に向かって中空部の断面積が小さくなるようなテーパ形状を内周面に有する。そのため、鋼球57によって内周面が外側に向かって押された際には、押された力の向き(水平方向)が鉛直方向の上向きに変換される。そのため、押し込み部65が鉛直方向の上向きに移動することで、鋼球57が円筒部材51の側壁53Aより内側に収容される。その後、3個の開口部55と2個の凹み75,77とが対向するときに、押し込み部65とばね部材67の復元力により、3個の鋼球57が3個の開口部55から部分的に突出する。具体的には、押し込み部65による下向き(鉛直方向)の力が、テーパ形状の内周面により、内周面から内側に向かう力(水平方向)に変換される。これにより、テーパ形状の内周面により付勢された3個の鋼球57が各開口部55から部分的に突出することで、凹み75および長手凹み77に収容され、また、ブラシ25の移動が規制される。
【0052】
また、
図3(a)において、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すときは、ブラシ25を下方に引っ張る。所定の引っ張り力により、円柱部73が3個の鋼球57を外側に押し込む。これにより、3個の鋼球57は、開口部55から穴部53側に突出しない状態になる。そのため、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すことができる。
【0053】
ここで、
図5を参照しながら長手凹み77の効果について説明する。例えば、円柱部73に長手凹み77が設けられておらず、3個の鋼球57に対応する「3個の凹み75」が120°間隔で鉛直軸AX4周りに配置されていると仮定する。この場合、ブラシ25をブラシ保持部27に取り付ける際に、3個の鋼球57を3個の凹み75に収めることが難しい。ブラシ25の円柱部73をブラシ保持部27の穴部53に挿入した際に、3個の鋼球57が3個の凹み75に収まっていなければ、円柱部73が穴部53から抜けてしまう場合がある。
【0054】
これに対し、本実施例の円柱部73には、凹み75と長手凹み77が設けられる。
図5に示すように、ブラシ25の円柱部73をブラシ保持部27の穴部53に挿入した際に、少なくとも1個の鋼球57が長手凹み77に収容される。そのため、ブラシ25の上下方向の移動が規制される。そのため、円柱部73が穴部53から抜けてしまうことを防止できる。その後、例えば、ブラシ25の鉛直軸AX2周りの回転により、ブラシ保持部27に対してブラシ25が円周方向に滑ることで、3個の鋼球57が凹み75と長手凹み77に収まり、ブラシ25の回転が規制される。また、ブラシ25を確実に保持することができる。
【0055】
(3)ブラシ交換部の構成
図2を参照する。ブラシ交換部45は、使用済みのブラシ25A(ブラシ25)を未使用のブラシ25Bに交換するためのものである。未使用のブラシ25Bは、ブラシ25と同様に構成される。例えば、未使用のブラシ25Bのブラシ本体69は、ブラシ25のブラシ本体69のように、PVAのスポンジブラシである。待機ポット43は保持回転部3の周囲に配置されたカップ5の外側に配置される。
【0056】
ブラシ交換部45は、平面視で、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5を介して、待機ポット43の反対側に設けられる。また、ブラシ交換部45は、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5の外側の位置に配置される。ブラシ交換部45は、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を備える。
【0057】
(3-1)ブラシ回収部
ブラシ回収部79では、ブラシ保持部27からブラシ25が取り外される。ブラシ回収部79は、取り外し部材83とブラシ回収容器85を備える。取り外し部材83は、ブラシ回収容器85の上方に設けられる。取り外し部材83は、平面視で、ブラシ機構9によるブラシ25の水平移動の経路RT上に配置される。
【0058】
図6(a)は、取り外し部材83を示す平面図である。
図6(b)は、
図6(a)の矢印AR1の方向から見た取り外し部材83を示す正面図である。取り外し部材83は、ブラシ25を取り外す際に、ブラシ25の上面に当接することで、ブラシ25の高さ方向の位置(動き)を規制するための部材である。
図6(a)に示すように、取り外し部材83は、1個の基礎部分83Aと、その基礎部分83Aから分かれた2個の引っ掛け部分83B,83Cとを有し、U字状または二叉フォーク状で構成される。
【0059】
ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すとき、ブラシ機構9は、先ず、2個の引っ掛け部分83B,83Cの間にブラシ保持部27を通す。その後、ブラシ機構9は、ブラシ保持部27を上昇させる。これにより、
図6(b)に示すように、ブラシ25は、2個の引っ掛け部分83B,83Cによって上方への移動が妨げられ、また、ブラシ保持部27は、ブラシ25と分離されながら上昇される。したがって、ブラシ25は、ブラシ保持部27から取り外される。取り外されたブラシ25は、取り外し部材83(引っ掛け部分83B,83C)により保持されない。そのため、ブラシ25は、取り外し位置から落下してブラシ回収容器85に回収される。
【0060】
図7は、ブラシ交換部45の概略構成を示す縦断面図である。ブラシ回収容器85は、未使用のブラシ25Bの保管位置(高さ)P11よりも低い位置に、使用済みのブラシ25Aを回収する。すなわち、ブラシ回収容器85の内側の底面85Aは、保管位置P11よりも低い位置に設けられる。また、ブラシ回収容器85は、取り外し部材83の2個の引っ掛け部分83B,83Cの下方に設けられる。ブラシ回収容器85は、基板処理装置1の基台87に対して着脱可能である。そのため、使用済みのブラシ25Aを収容した状態でブラシ回収容器85を持ち運ぶことができる。
【0061】
(3-2)ブラシ取り付け部
図2を参照する。ブラシ取り付け部81は、未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付ける。ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79に隣接して配置される。ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79と異なる位置に配置される。
【0062】
図7を参照する。ブラシ取り付け部81は、1個又は複数個(例えば3個)の未使用のブラシ25Bを保管する。ブラシ取り付け部81は、ブラシ収容容器91および液排出容器93を備える。また、液体供給部89は、ブラシ収容容器91に液体を供給する。
【0063】
液体供給部89は、液体ノズル95、液体配管97、液体供給源98および開閉弁V2を備える。液体ノズル95は、ブラシ収容容器91に、液体として、例えば脱イオン水(DIW)などの純水を供給する。液体ノズル95からの純水は、未使用のブラシ25Bに直接当ててもよいし、直接当てなくてもよい。液体供給源98は、液体配管97を通じて液体ノズル95に純水を供給する。開閉弁V2は、液体配管97に設けられる。開閉弁V2は、純水の供給およびその供給の停止を行う。
【0064】
ブラシ収容容器91は、液体供給部89の液体ノズル95から供給された純水を貯留する。ブラシ収容容器91は、貯留された純水に3個の未使用のブラシ25Bのブラシ本体69を浸漬させながら保管中の3個の未使用のブラシ25Bを収容する。ブラシ収容容器91は、例えば、底が浅いトレイ状に形成される。ブラシ収容容器91は、未使用のブラシ25Bを保管しているときに、液体ノズル95から純水が供給され続ける。これにより、未使用のブラシ25Bを浸す純水の清浄度を保つことができる。なお、ブラシ回収容器85の側壁のうち、ブラシ取り付け部81に対向する側壁W1と、ブラシ収容容器91のうちブラシ回収部79と対向する側壁W2が本発明における隔離部に相当する。当該構成によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0065】
液排出容器93は、ブラシ収容容器91を収容する。すなわち、ブラシ収容容器91の側方の外周は、液排出容器93の内壁に囲まれる。液排出容器93の底部には、排出口93Aが設けられる。したがって、液排出容器93は、ブラシ収容容器91の上側開口部からオーバーフローした純水を受け入れながら、その純水を排出する。なお、液排出容器93のうちブラシ回収部79と対向する側壁W3が本発明の隔離部に相当する。すなわち、側壁W1,W2,W3の少なくとも1つが本発明の隔離部に相当する。
【0066】
図2に示すように、例えば3個の未使用のブラシ25Bは、平面視で、ブラシ保持部27の移動経路RT上に配置される。ブラシ収容容器91は、各未使用のブラシ25Bを予め設定された位置で保管できるように、例えば凹みなどの案内が設けられている。
【0067】
(4)基板処理装置の制御部
基板処理装置1は、制御部101と記憶部(図示しない)を備える。制御部101は、基板Wの処理およびブラシ交換を制御する。制御部101は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサを備える。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。記憶部は、制御部101が基板処理装置1の各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0068】
(5)基板処理装置の動作
次に、基板処理装置1の動作について説明する。
図2に示すように、通常、ブラシ保持部27で保持されたブラシ25は、待機ポット43で待機される。まず、通常の基板Wの裏面のブラシ洗浄について説明する。
【0069】
(5-1)通常の基板Wの裏面のブラシ洗浄
図示しない搬送ロボットは保持回転部3のスピンチャック11上に基板Wを搬送する。搬送された基板Wの電子回路が形成されるデバイス面(表面)は、下向きであり、その基板Wの非デバイス面(裏面)は、上向きである。保持回転部3は、搬送された基板Wを保持し、その基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。開閉弁V1が開かれると、処理液ノズル19から基板Wの裏面(すなわち上面)に処理液が吐出される。その後、ブラシ機構9は、ブラシ25を鉛直軸AX2周りに回転させながら、ブラシ25を鉛直軸AX3周りに揺動し、かつ処理液が吐出された基板Wの裏面にブラシ25を作用させることで、基板Wの裏面を洗浄する。
【0070】
基板Wの裏面の洗浄後、ブラシ機構9は、ブラシ25を待機ポット43に戻し、また、開閉弁V1を閉じることで、処理液の吐出を停止させる。処理液の吐出を停止した後、保持回転部3は、基板Wを高速回転させることで、基板Wを乾燥させる。その後、保持回転部3は、基板Wの回転を停止させ、また、基板Wの保持を解放する。その後、図示しない搬送ロボットは、ブラシ25で洗浄された基板Wをスピンチャック11から搬送する。
【0071】
(5-2)ブラシ交換
次に、ブラシ交換について説明する。ブラシ機構9は、待機ポット43からカップ5の外側の位置P1(
図7参照)にブラシ25を保持するブラシ保持部27を移動させる。その後、ブラシ機構9の昇降機構35は、位置P1から位置P2にブラシ保持部27を下降させる。その後、ブラシ機構9の旋回駆動部37は、位置P2から位置P3にブラシ保持部27を鉛直軸AX3周りに旋回させる。これにより、ブラシ保持部27は、ブラシ回収部79の取り外し部材83の2個の引っ掛け部分83B,83Cの間に移動される。
【0072】
その後、昇降機構35は、位置P3から位置P4にブラシ保持部27を上昇させる。この際、ブラシ25は、2個の引っ掛け部分83B,83Cによって上方への移動が制限される。そのため、ブラシ保持部27のみが位置P4に上昇される一方、ブラシ25がブラシ保持部27から取り外される。取り外されたブラシ25は、取り外し部材83による取り外し位置から落下して、使用済みのブラシ25Aとしてブラシ回収容器85に回収される。
【0073】
その後、旋回駆動部37は、位置P4から位置P5にブラシ保持部27を鉛直軸AX3周りに旋回される。位置P5は、ブラシ収容容器91において保管中の3個の未使用のブラシ25Bのうちの1個の未使用のブラシ25Bの上方の位置である。ブラシ保持部27が位置P5に移動された後、昇降機構35は、ブラシ保持部27を下降させる。これにより、ブラシ保持部27の穴部53に未使用のブラシ25Bの円柱部73が挿入される。また、円柱部73に設けられた凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まることで、ブラシ保持部27に対して未使用のブラシ25Bが上下方向および回転方向(鉛直軸AX2周りの回転方向)が固定される。
【0074】
その後、昇降機構35は、未使用のブラシ25Bを保持するブラシ保持部27を位置P6に上昇させる。その後、ブラシ機構9は、位置P6から例えば待機ポット43に未使用のブラシ25Bを移動させる。未使用のブラシ25Bは、洗浄度を高めるために初期汚染を取り除く処理が行われた後に、基板Wの裏面のブラシ洗浄を行う。
【0075】
本実施例によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81とが分けられているので、使用済みのブラシ25Aと未使用のブラシ25Bとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシ25Aから未使用のブラシ25Bを離すことができる。したがって、未使用のブラシ25Bにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシ25を自動的に交換できる。
【0076】
また、ブラシ取り付け部81は、保管中の未使用のブラシ25Bを収容するブラシ収容容器91を備えている。
【0077】
ブラシ取り付け部81にブラシ収容容器91を備えることで、ブラシ取り付け部81とブラシ回収部79を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0078】
また、ブラシ取り付け部81は、保管中の未使用のブラシ25Bに純水を供給する液体供給部89を備えている。
【0079】
保管中の未使用のブラシ25Bが乾燥すると、例えば未使用のブラシ25Bの細かな隙間にパーティクルが入る可能性がある。パーティクルがその隙間に入り込むと、パーティクルを取り出すのが大変である。そのため、未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付けた後、製品となる基板Wのブラシ洗浄を行うまで、長時間を費やしてしまう可能性がある。そのため、基板処理装置1の稼働率が低下して生産性が悪化してしまう。しかし、本実施例によれば、液体供給部89が保管中の未使用のブラシ25Bに純水を供給するので、保管中の未使用のブラシ25Bの乾燥を防止することができる。そのため、保管中の未使用のブラシ25Bの細かな隙間にパーティクルが入ることを防止することができる。
【0080】
また、ブラシ回収部79は、取り外された使用済みのブラシ25Aを回収するブラシ回収容器85を備えている。
【0081】
ブラシ回収部79にブラシ回収容器85を備えることで、ブラシ取り付け部81とブラシ回収部79を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0082】
また、ブラシ回収部79は、ブラシ25を取り外すための取り外し部材83を備えている。
【0083】
取り外し部材83を用いることで、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外し、使用済みのブラシ25Aとしてブラシ回収容器85に回収することができる。
【0084】
また、ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79に隣接して配置される。
【0085】
ブラシ回収部79で使用済みのブラシ25Aを取り外した後に素早く未使用のブラシ25Bを取り付けることができる。また、ブラシ取り付け部81がブラシ回収部79に隣接した状態でも、取り外された使用済みのブラシ25Aから未使用のブラシ25Bを離すことができる。
【0086】
また、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81の間に、前記ブラシ回収部79と前記ブラシ取り付け部81とを隔てるブラシ回収容器85の側壁W1、ブラシ収容容器91の側壁W2または液排出容器93の側壁W3を備えている。当該構成によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0087】
また、長手凹み77は、円周方向に長手に凹んでおり、3個の鋼球57のうちの2個の鋼球57を収容することができる。そのため、例えば、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入した際に、3個の鋼球57のうちの1つは、長手凹み77に収容される。そのため、ブラシ保持部27に対するブラシ25の上下方向の移動を規制させることできる。そのため、ブラシ25がブラシ保持部27から外れてしまうことを防止することができる。
【実施例2】
【0088】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。実施例1では、保管される未使用のブラシ25Bの位置は一定であった。すなわち、未使用のブラシ25Bを収容するブラシ収容容器91の位置は、固定されていた。この点、ブラシ収容容器91は、
図2のX方向に移動されるように構成されてもよい。
【0089】
図8(a)は、実施例2に係るブラシ交換部45の縦断面図である。
図8(b)は、ブラシ交換部45の平面図である。ブラシ取り付け部81は、更に、ブラシ収容容器91をX方向に水平移動させる水平移動部111を備える。水平移動部111は、例えば、液排出容器93の内壁に取り付けられる。
【0090】
水平移動部111は、スライダ113、ガイドレール115、ねじ軸117および電動モータ119を備える。スライダ113は、例えば、ブラシ収容容器91の下面に固定される。ガイドレール115およびねじ軸117は各々、X方向に延びるように配置される。ガイドレール115は、スライダ113を貫通する。ねじ軸117は、スライダ113の内ねじ113Aと噛み合う。電動モータ119の出力軸119Aは、ねじ軸117の一端に連結される。電動モータ119がねじ軸117を正方向に回転させると、スライダ113およびブラシ収容容器91が+X方向に前進する。電動モータ119がねじ軸117を逆方向に回転させると、スライダ113およびブラシ収容容器91が-X方向に後退する。
【0091】
図8(b)において、例えば符号121で示す未使用のブラシ25Bを用いてブラシ交換を行う場合に、水平移動部111は、ブラシ収容容器91をX方向に移動させて、平面視で移動経路RTと重なる位置に、符号121で示す未使用のブラシ25Bを移動させる。そして、ブラシ機構9は、ブラシ25が取り外されたブラシ保持部27を符号121で示す未使用のブラシ25Bの上方に移動させる。その後、ブラシ機構9は、ブラシ保持部27を下降させることで、未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付ける。
【0092】
本実施例によれば、ブラシ取り付け部81は、ブラシ収容容器91を水平移動させる水平移動部111を更に備えている。平面視における移動経路RT上に任意の未使用のブラシ25Bを搬送することができる。そのため、ブラシ収容容器91に多くの未使用のブラシ25Bを収容して保管することができる。
【0093】
なお、本実施例において、水平移動部111は、液排出容器93を水平移動させずに、ブラシ収容容器91を水平移動させた。この点、水平移動部111は、ブラシ収容容器91および液排出容器93を一体的に水平移動させてもよい。
【実施例3】
【0094】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。実施例1,2では、ブラシ25(未使用のブラシ25B)に対してブラシ保持部27を上下に移動させることで、ブラシ交換が行われた。この点、ブラシ125(未使用のブラシ125B)に対してブラシ保持部127を横に移動させることで、ブラシ交換が行われてもよい。
【0095】
(6)ブラシを着脱させるための構成
図9(a)は、ブラシ125とブラシ保持部127の側面図である。
図9(b)は、ブラシ保持部127の斜視図である。
図10(a)、
図10(b)は、
図9(a)の矢印Bのように見たときのブラシ125とブラシ保持部127の横断面図である。また、
図10(a)は、ボタン141を押していないときの動作を説明するための図である。
図10(b)は、ボタン141を押したときの動作を説明するための図である。
【0096】
図9(a)を参照する。ブラシ125は、ブラシ保持部127に対して着脱可能である。ブラシ125は、ブラシ本体69、ブラシ支持部129、ガイド131、2個の開口部133、2個の鋼球57、空間SP2、ボール収容部135、弾性部材137、カム139およびボタン141を備える。
【0097】
ブラシ支持部129は、洗浄面69Aの反対側からブラシ本体69を支持する。ガイド131は、洗浄面69Aと反対側のブラシ支持部129の面(上面)に設けられる。ガイド131は、ブラシ支持部129の上面から上向きに突出する部材である。ガイド131は、予め設定された水平方向HD1に長手の形状で形成される。
【0098】
図10(a)を参照する。ガイド131は、内部に空間SP2を備える。ガイド131において水平方向HD1と平行な2つの側面には、ボール収容部135が形成される。また、ガイド131の外側の側面のうち、ボール収容部135に対向する部分に、開口部133が形成される。2個のボール収容部135には、2個の鋼球57が収容される。2個のボール収容部135に収容された2個の鋼球57は、カム139を介して弾性部材137によって支持される。これにより、2個の鋼球57は、2個の開口部133から外側に部分的にそれぞれ突出する。
【0099】
ボタン141は、ブラシ支持部129の外周面(外側の側壁)に設けられる。すなわち、ボタン141は、空間SP2からブラシ支持部129の外周面に突出するように設けられる。ボタン141もカム139を介して弾性部材137によって支持される。弾性部材137は、空間SP2の奥側の内壁143で支持される。弾性部材137は例えば、ばねである。
【0100】
カム139は、空間SP2において、ボタン141と弾性部材137で挟まれて配置される。カム139およびボタン141は、ガイド131が延びる水平方向HD1に沿って移動可能である。カム139は、2個の傾斜面139Aを備える。2個の傾斜面139Aは、平面視において、カム139の移動方向と直交する両側の側面に形成される。2個の傾斜面139Aは、平面視において、弾性部材137側でカム139が太くなるように形成される。2個の傾斜面139Aは、2個の鋼球57に接触する。
【0101】
図9(b)を参照する。ブラシ保持部127は、ガイド保持部145と2個の凹み147を備える。ガイド保持部145は、ガイド131が延びる水平方向HD1に移動可能にガイド131を保持する。ガイド保持部145の下面には、水平方向に直線に延びる溝部149が設けられる。溝部149の2個の側壁149Aには、2個の凹み147がそれぞれ設けられる。すなわち、2個の凹み147は、ガイド保持部145に設けられて2個の鋼球57を収容する。2個の凹み147は、対向して配置される。なお、凹み147の上下方向Zの長さおよび水平方向の幅は、凹み75と同様に形成される。
【0102】
溝部149は、例えばアリ溝のように構成される。そのため、溝部149の下端の幅WD1は、溝部149の上端の幅WD2よりも狭くなっている(幅WD1<幅WD2)。ブラシ支持部129のガイド131は、溝部149の形状に合わせて形成される。そのため、ガイド131は、溝部149の長手方向の両端から進入できる。
【0103】
ガイド131が溝部149に収まったときに、ブラシ125(ガイド131)は、ブラシ保持部127(溝部149)に対して上下方向および回転方向の移動が規制される。ただし、ガイド131は、溝部149の長手方向に沿って移動可能である。そこで、2個の鋼球57が溝部149の2個の凹み147に収まることで、溝部149に対するガイド131の水平移動が制限される。
【0104】
次に、ブラシ125の操作を説明する。
図10(b)を参照する。ボタン141を押し込んだ場合は、弾性部材137側にカム139が移動される。そのため、ボタン141は、カム139を介して弾性部材137を弾性変形させる。また、カム139の移動に伴って、2個の傾斜面139Aも弾性部材137側に移動される。そのため、2個の開口部133から外側に2個の鋼球57を押す力が解放される。そのため、2個の鋼球57は、開口部133から内側(空間SP2側)に後退することができる。これにより、ブラシ125がブラシ保持部127に対して水平方向HD1に移動できる状態になる。
【0105】
図10(a)を参照する。ボタン141を押し込まない場合は、弾性部材137の復元力により、ボタン141側にカム139が移動される。カム139の移動に伴って、2個の傾斜面139Aもボタン141側に移動される。そのため、2個の傾斜面139Aは、2個の開口部133から外側に2個の鋼球57を押す。すなわち、弾性部材137の復元力は、2個の開口部133から外側に2個の鋼球57を部分的に突出させる。これにより、2個の鋼球57を2個の凹み147に収容させて、ブラシ125の水平方向HD1の移動を規制することができる状態になる。なお、本構成において、弾性部材137およびカム139が本発明における、ボタン部の押し込み量によって突出部の突出幅(突出量)を調整する突出幅調整機構に相当する。
【0106】
(7)ブラシ交換部の構成
図11は、実施例3に係るブラシ交換部45の平面図である。
図12は、実施例3に係るブラシ交換部45の概略構成を示す縦断面図である。
【0107】
図11、
図12を参照する。先ず、実施例1との共通点について簡単に説明する。ブラシ交換部45は、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を備える。また、ブラシ回収部79は、ブラシ回収容器85を備える。ブラシ取り付け部81は、1個又は複数個(例えば3個)の未使用のブラシ125Bを保管する。なお、未使用のブラシ125Bは、ブラシ125と同様に構成される。ブラシ取り付け部81は、液体供給部89、ブラシ収容容器91および液排出容器93を備える。
【0108】
次に、実施例1との相違点について説明する。ブラシ取り付け部81は、ブラシ移動機構151を備える。ブラシ移動機構151は、ブラシ載置部153、プッシャ155、昇降部157および水平移動部(リニアアクチュエータ)159を備える。
【0109】
ブラシ載置部153は、予め設定された水平方向HD2に延びるように構成される。ブラシ載置部153には、水平方向HD2に沿って、3個の未使用のブラシ125Bが1列で載置される。ブラシ載置部153の水平方向HD2に延びる2個の側壁153Aは、3個の未使用のブラシ125Bを水平方向HD2に沿って案内する。各未使用のブラシ125Bは、ガイド131の長手方向(水平方向HD1)が水平方向HD2に平行になるように配置される。
【0110】
なお、平面視でブラシ載置部153の先端がブラシ125の移動経路RT上に位置するときに、水平方向HD2が接線方向に延びるようにブラシ載置部153が配置される。
【0111】
プッシャ155は、押し部材155Aと水平移動部(リニアアクチュエータ)155Bを備える。水平移動部155Bは、ロッドRDを備え、更に、電動モータ又はエアシリンダを備える。ロッドRDの先端部には、押し部材155Aが設けられる。水平移動部155Bは、押し部材155Aを水平方向HD2に沿って前進および後退させる。これにより、プッシャ155は、3個の未使用のブラシ125Bを押すことで、先頭の未使用のブラシ125Bを交換位置P21に移動させる。
【0112】
昇降部157は、ブラシ載置部153およびプッシャ155を昇降させる。アーム161は、ブラシ載置部153と昇降部157を接続させる。これにより、昇降部157は、ブラシ載置部153に載置された3個の未使用のブラシ125Bをブラシ収容容器91に貯留される純水に浸漬させたり、その純水から引き上げたりすることができる。なお、プッシャ155は、アーム161上に設けられる。
【0113】
水平移動部159は、ブラシ載置部153、プッシャ155および昇降部157を水平方向HD2に沿って前進および後退させる。水平移動部159は、ブラシ載置部153の先端をブラシ回収部79とブラシ取り付け部81の境界位置P23に位置させる。なお、昇降部157および水平移動部159は各々、電動モータ又はエアシリンダを備える。
【0114】
(8)ブラシ交換
次に、ブラシ交換について説明する。
図13(a)を参照する。ブラシ載置部153に載置された3個の未使用のブラシ125Bは、ブラシ収容容器91に貯留される純水に浸漬される。液体ノズル95(
図12参照)は、ブラシ収容容器91に純水を吐出し続ける。
【0115】
図13(b)を参照する。ブラシ移動機構151の昇降部157(
図12参照)は、ブラシ載置部153を上昇させることで、3個の未使用のブラシ125Bを純水から引き上げる。その後、ブラシ移動機構151の水平移動部159は、ブラシ載置部153を前進させて、ブラシ載置部153の先端を境界位置P23に位置させる。
【0116】
一方、ブラシ機構9は、待機ポット43(
図2参照)から先頭の未使用のブラシ125Bの隣りに、ブラシ保持部127が保持するブラシ125を移動させる。この際、ブラシ125のガイド131の延長線上に先頭の未使用のブラシ125Bのガイド131が位置するように、ブラシ125が位置される。
【0117】
その後、ブラシ機構9は、ブラシ125のボタン141を先頭の未使用のブラシ125Bの外周面に押し当てる。これにより、ブラシ125のボタン141が押し込まれて、ブラシ125の2個の鋼球57(
図10(b)参照)が2個の開口部133の内側に後退する。そのため、ブラシ125は、ブラシ保持部127の溝部149に沿って移動可能な状態になる。その後、ブラシ機構9は、ブラシ125と先頭の未使用のブラシ125Bのそれぞれのガイド131に沿ってブラシ保持部127を水平移動させる。
【0118】
図13(c)を参照する。ブラシ保持部127の溝部149からブラシ125が外れると、ブラシ125は、落下して、使用済みのブラシ125Aとしてブラシ回収容器85に回収される。ブラシ保持部127が先頭の未使用のブラシ125Bのガイド131に沿って移動しているとき、先頭の未使用のブラシ125Bのボタン141は、先頭の隣の未使用のブラシ125Bの外周面に接触している。しかし、先頭の未使用のブラシ125Bのボタン141は、押し込まれていない。そのため、先頭の未使用のブラシ125Bの2個の鋼球57がブラシ保持部127の2個の凹み147に収容されることで、先頭の未使用のブラシ125Bの水平方向HD2の移動が規制される。すなわち、先頭の未使用のブラシ125Bがブラシ保持部127に取り付けられる。その後、ブラシ保持部127に取り付けられた未使用のブラシ125Bは、初期汚染を取り除く処理が行われた後に、基板Wの裏面のブラシ洗浄を行う。
【0119】
なお、先頭の未使用のブラシ125Bがブラシ保持部127に取り付けられた後、矢印AR2で示す未使用のブラシ125Bは、プッシャ155によって交換位置P21に移動される。また、ブラシ移動機構151は、ブラシ交換を行わない場合は、ブラシ載置部153に載置された未使用のブラシ125Bをブラシ収容容器91に貯留された純水に浸漬させる。
【0120】
本実施例によれば、ブラシ125は、予め設定された水平方向HD1に延びるガイド131を備える。ブラシ保持部127は、その水平方向HD1に移動可能にガイド131を保持するガイド保持部145を備える。そのため、ブラシ保持部127に対する上下方向および回転方向のブラシ125の移動を規制することができる。また、2個の鋼球57を2個の凹み147に収容させることで、上述の水平方向HD1の移動も規制することができる。そのため、ブラシ125がブラシ保持部127から外れてしまうことを防止することができる。
【0121】
なお、本実施例において、3個の未使用のブラシ125Bは、水平方向HD2に沿って直線状に1列に配置された。この点、3個の未使用のブラシ125Bは、平面視で円弧状の移動経路RT上に沿って円弧状に配置されてもよい。この場合、ガイド131および溝部149は、平面視で、円弧状の移動経路RTに沿って円弧状に延びるように形成されてもよい。
【0122】
また、本実施例において、
図13(b)に示すように、ブラシ保持部127からブラシ125を取り外す際に、ブラシ125のボタン141を先頭の未使用のブラシ125Bの外周面に押し付けていた。この点、
図14に示すように、使用済みのブラシ125A(ブラシ125)と先頭の未使用のブラシ125Bの接触を避けるために、ブラシ回収部79は、ブラシ回収容器85の上方に、ブラシ125を取り外すための取り外し部材163を備えていてもよい。
【0123】
この変形例の場合、
図14に示すようにブラシ機構9は、ブラシ125のボタン141を取り外し部材163に押し付けて規制(ロック)を解除し、ブラシ125をスライドさせる。これにより、ブラシ保持部127からブラシ125を取り外す。その後、ブラシ機構9は、ブラシ保持部127を先頭の未使用のブラシ125Bに移動させて、ブラシ保持部127に先頭の未使用のブラシ125Bを取り付ける。なお、この変形例の場合、ブラシ移動機構151の水平移動部159は備えなくてもよい。
【0124】
また、本実施例において、ブラシ収容容器91を備えず、液体ノズル95から霧状に純水を3個の未使用のブラシ125Bに直接スプレーしてもよい。また、本実施例において、鋼球57および凹み147の各個数は、2個に限定されない。例えば、鋼球57および凹み147の各個数は、1個であってもよい。また、例えば1個の鋼球57および1個の凹み147は、ガイド131の上面および、この上面に対向する溝部149の底面(幅WD2の面)に設けられてもよい。
【0125】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0126】
(1)上述した実施例1では、ブラシ保持部27は、3個の鋼球57および付勢部61等を備え、また、ブラシ25は、円柱部73を備えた。この点、
図15に示すように、ブラシ保持部27は、凹み75および長手凹み77を有する円柱部73を備えてもよい。また、ブラシ25は、3個の鋼球57および付勢部61等を備えてもよい。
【0127】
具体的に説明する。ブラシ25は、基板Wを洗浄するための洗浄面69Aを有するブラシ本体69と、洗浄面69Aの反対側からブラシ本体69を支持するブラシ支持部71と、鉛直に延びる中心軸(鉛直軸AX4)に沿って形成された円柱状の穴部53と、穴部53の内側の側壁53Aに設けられると共に、中心軸周りに配置された3個の開口部55と、3個の開口部55から穴部53にそれぞれ突出する3個の鋼球57を備える。3個の鋼球57は、付勢部61によって支持される。
【0128】
ブラシ保持部27は、突出する円柱部73と、円柱部73の側壁73Aでかつ円柱部73の鉛直軸AX2周りに設けられた凹み75と長手凹み77と、を備える。長手凹み77は、円周方向に長手に凹んでいる。ブラシ25の穴部53に円柱部73を挿入した場合に、凹み75は、3個の鋼球57のうちの1個の鋼球57を収容し、また、長手凹み77は、その両端部で残りの2個の鋼球57を収容する。
【0129】
また、
図16に示すように、ブラシ25の円柱部165は、3個の鋼球57および付勢部61を備えてもよい。また、ブラシ保持部27の穴部53は、凹み75および長手凹み77を備えていてもよい。凹み75は、3個の鋼球57のうちの1個の鋼球57を収容し、また、長手凹み77は、その両端部で残りの2個の鋼球57を収容する。
【0130】
なお、ブラシ25が
図16に示す穴部53(凹み75および長手凹み77を有する)を備えてもよい。これに対し、ブラシ保持部27が
図16に示す円柱部165(3個の鋼球57と付勢部61等を有する)を備えてもよい。
【0131】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81は、横に並んで配置された。しかし、本発明は当該構成に限定されない。例えば、
図17に示すように、ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79の上方に配置されていてもよい。また、平面視において、ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79の一部又は全部の領域と重複していてもよい。本実施例では、ブラシ取り付け部81のブラシ収容容器91および液排出容器93の各々の底面(底壁)および側壁が本発明における隔離部に相当する。
【0132】
(3)上述した各実施例および各変形例では、ブラシ機構9は、鉛直軸AX3周りにブラシ25(125)およびブラシ保持部27(127)を旋回させた。この点、
図18に示すように、ブラシ機構9は、ブラシ25(125)およびブラシ保持部27(127)を直線状に移動させる水平移動部(リニアアクチュエータ)179を備えていてもよい。水平移動部179は、電動モータを備える。また、ブラシ機構9は、2個の水平移動部179を備えて、ブラシ25等をXY方向に移動させてもよい。なお、水平移動部179は、本発明のブラシ移動機構に相当する。
【0133】
(4)上述した実施例1および各変形例では、ブラシ収容容器91は、保持回転部3およびカップ5に対して、取り外し部材83よりも遠くに配置された。この点、ブラシ収容容器91は、保持回転部3およびカップ5に対して、取り外し部材83よりも近くに配置されてもよい。すなわち、保持回転部3、ブラシ収容容器91および取り外し部材83(ブラシ回収容器85)の順番に配置されてもよい。
【0134】
(5)上述した各実施例および各変形例では、ブラシ交換部45は、保持回転部3を介して、待機ポット43の反対側に配置された。この点、ブラシ交換部45は、待機ポット43側に配置されてもよい。例えば、待機ポット43は、ブラシ交換部45と保持回転部3の間に配置されていてもよい。
【0135】
(6)上述した各実施例および各変形例では、突出部としての各鋼球57は、球体であったが、球体に限られない。例えば、半球、円柱、又は多面体であってもよい。
【0136】
(7)上述した各実施例および各変形例では、ブラシ本体69は、PVAのスポンジブラシで構成されたが、これに限定されない。ブラシ本体69は、炭化ケイ素(SiC)、酸化セリウム(CeO2)、シリカ(SiO2)、ダイヤモンドの砥粒が分散された例えばPVAの樹脂体であってもよい。
【0137】
(8)上述した各実施例および各変形例では、ブラシ取り付け部81は、ブラシ本体69を乾燥させないために液体供給部89を備えた。液体(例えば純水)の供給が不要の場合、ブラシ取り付け部81は、液体供給部89を備えなくてもよい。
【0138】
(9)上述した各実施例および各変形例では、本発明の隔離部は、例えばブラシ回収容器85の一部であったが、容器の一部に限定されない。例えば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81の間に、隔離部として隔壁(例えば板状)を設けてもよい。また、この隔壁および側壁W1,W2,W3の少なくとも1つの上端は、取り外し部材83よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0139】
(10)上述した各実施例および各変形例では、ブラシ取り付け部81は、ブラシ収容容器91と液排出容器93を備えていた。この点、必要により、ブラシ取り付け部81は、液排出容器93を備えていなくてもよい。この場合、例えば、ブラシ収容容器91は、純水を排出する排出口93Aを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 … 基板処理装置
3 … 保持回転部
9 … ブラシ機構
25,125 … ブラシ
25A,125A … 使用済みのブラシ
25B,125B … 未使用のブラシ
27,127 … ブラシ保持部
31 … アーム
35 … 昇降機構
37 … 旋回駆動部
45 … ブラシ交換部
53 … 穴部
53A … 側壁
55 … 開口部
57 … 鋼球
61 … 付勢部
69 … ブラシ本体
69A … 洗浄面
71,129 … ブラシ支持部
73,165 … 円柱部
73A … 側壁
75,147 … 凹み
77 … 長手凹み
79 … ブラシ回収部
81 … ブラシ取り付け部
83,163 … 取り外し部材
85 … ブラシ回収容器
89 … 液体供給部
91 … ブラシ収容容器
101 … 制御部
111 … 水平移動部
131 … ガイド
133 … 開口部
137 … 弾性部材
141 … ボタン
145 … ガイド保持部
149 … 溝部
149A … 側壁
179 … 水平移動部
RT … 経路
AX2 … 鉛直軸