(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】無人移動体
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
G01C15/00 105Z
G01C15/00 103A
G01C15/00 104A
G01C15/00 105S
(21)【出願番号】P 2023174901
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020092161の分割
【原出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】三室 恵史
(72)【発明者】
【氏名】大浜 大
(72)【発明者】
【氏名】日野 博之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-058167(JP,A)
【文献】特開2018-155637(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138640(WO,A1)
【文献】特開2019-064365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00-15/14
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下空間内を移動自在な無人移動体であって、
3次元レーザスキャナが設けられた荷台と、
前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、
前記3次元レーザスキャナ及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、
前記荷台と前記3次元レーザスキャナとの間に設けられると共に前記3次元レーザスキャナを水平に自動整準する自動整準台と、
を備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、無人移動体。
【請求項2】
前記地下空間内に設置されたターゲットと、前記地下空間の内壁面とを、前記3次元レーザスキャナによってスキャンする際、前記制御装置が、前記無人移動体の移動を停止させた状態で前記水平保持処理を実行した後、当該水平保持処理の実行を禁止し、前記自動整準機能をオンする、請求項1に記載の無人移動体。
【請求項3】
地下空間内を移動自在な無人移動体であって、
トータルステーションが設けられた荷台と、
前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、
前記トータルステーション及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、
前記荷台と前記トータルステーションとの間に設けられると共に前記トータルステーションを水平に自動整準する自動整準台と、
を備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、無人移動体。
【請求項4】
前記地下空間内に設置されたターゲットの位置座標を前記トータルステーションによって取得する際、前記制御装置が、前記無人移動体の移動を停止させた状態で前記水平保持処理を実行した後、当該水平保持処理の実行を禁止し、前記自動整準機能をオンする、請求項3に記載の無人移動体。
【請求項5】
前記無人移動体は、前記無人移動体の周囲を撮像可能なステレオカメラを更に備え、
前記制御装置は、前記ステレオカメラが撮像した画像に基づいて前記地下空間内の環境地図を作成する、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の無人移動体。
【請求項6】
前記無人移動体は、前記地下空間の断面形状の取得に用いられる、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の無人移動体。
【請求項7】
現場内を移動自在な無人移動体であって、
3次元レーザスキャナが設けられた荷台と、
前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、
前記3次元レーザスキャナ及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、
前記荷台と前記3次元レーザスキャナとの間に設けられると共に前記3次元レーザスキャナを水平に自動整準する自動整準台と、
を備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、無人移動体。
【請求項8】
現場内を移動自在な無人移動体であって、
トータルステーションが設けられた荷台と、
前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、
前記トータルステーション及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、
前記荷台と前記トータルステーションとの間に設けられると共に前記トータルステーションを水平に自動整準する自動整準台と、
を備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、無人移動体。
【請求項9】
前記無人移動体は、前記無人移動体の周囲を撮像可能なステレオカメラを更に備え、
前記制御装置は、前記ステレオカメラが撮像した画像に基づいて前記現場内の環境地図を作成する、請求項7又は請求項8に記載の無人移動体。
【請求項10】
現場内を経路に沿って移動自在な無人移動体であって、
3次元レーザスキャナ及びトータルステーションの少なくとも一方を載置可能な荷台と、
前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、
前記脚部の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記無人移動体は、前記無人移動体の周囲を撮像可能なステレオカメラと、前記無人移動体の周囲環境を測定するためのセンサと、を更に備え、
前記制御装置は、前記ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて前記経路の環境地図を作成し、
前記無人移動体は、前記画像と、前記センサによる測定結果とを、前記経路における前記無人移動体の位置座標と共に取得可能である、無人移動体。
【請求項11】
前記センサは、異音検出センサと臭いセンサと一酸化炭素濃度センサと酸素濃度センサと放射線量計と外気温センサと体温センサとの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の無人移動体。
【請求項12】
把持部と関節部とを有する作業アームが前記荷台に設けられている、請求項10又は請求項11に記載の無人移動体。
【請求項13】
前記荷台の水平方向に対する傾斜角度を検知する傾斜センサを更に備え、
前記制御装置は、前記傾斜センサの出力信号に基づいて前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能である、請求項10~請求項12のいずれか1つに記載の無人移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人移動体に関し、例えば、トンネルなどの地下空間の断面形状を取得するために用いられ得るものに関する。
【背景技術】
【0002】
地下空間の一例としてのトンネルの掘削工事では、トンネル切羽に穿孔をして火薬を装薬し、爆破した後、ズリ出し、当たり取り、支保工、一次覆工、ロックボルトの打設を行う一連の流れを、約1.5m前後のピッチで繰り返し行って掘進することが一般的である。掘進方向に対する後方では、例えば、トンネルの内空変位が所定の範囲内に収束したことなどを確認することによって地山の挙動やトンネル内空の変状が安定したことを確認した後、二次覆工を行う。ここで、内空変位が所定の範囲内に収束したか否かを確認するためには、トンネル内空において予め選定された選定断面の形状の取得を数日間繰り返す必要がある。
【0003】
トンネル内空の断面形状を取得する方法として、例えば、特許文献1には、トンネル内に設置した3次元レーザスキャナによりトンネルの内壁面における位置座標が既知の少なくとも3点に取り付けられたターゲットをスキャンし、各ターゲットまでの距離に基づいて3次元レーザスキャナのトンネル内での現在位置(座標)を特定し、現在位置を特定した3次元レーザスキャナにより選定断面についての内壁面をスキャンし、スキャン結果に基づいて選定断面の形状を取得する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、選定断面の形状を取得するたびに、3次元レーザスキャナの運搬作業、選定断面の形状の取得精度の向上に資するための3次元レーザスキャナの設置作業及び位置調整作業、並びに、3次元レーザスキャナを用いた測定作業などを含む繰り返し単純作業が必要となる。したがって、作業員にかかる負担が大きかった。この点は、二次覆工前のトンネルだけに限るものではなく、例えば、素掘りのトンネル、二次覆工後のトンネル、坑道及び地下通路などの断面の高さ又は幅に比べて軸方向に細長い地下空間を含む他、例えば、ドーム形状などトンネル形状に限られない形状を有する大規模地下空間などの人工洞窟や自然洞窟を含む地下空間の断面形状を取得する場合も同様である。
【0006】
そこで、本発明は、トンネルなどの地下空間の観察現場における作業員の繰り返し単純作業を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明の第1態様によると、地下空間内を移動自在な無人移動体は、3次元レーザスキャナが設けられた荷台と、前記架台を支持する少なくとも4つの脚部と、前記3次元レーザスキャナ及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、前記荷台と前記3次元レーザスキャナとの間に設けられると共に前記3次元レーザスキャナを水平に自動整準する自動整準台と、を備え、前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている。
【0008】
本発明の第2態様によると、地下空間内を移動自在な無人移動体は、トータルステーションが設けられた荷台と、前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、前記トータルステーション及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、前記荷台と前記トータルステーションとの間に設けられると共に前記トータルステーションを水平に自動整準する自動整準台と、を備え、前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている。
【0009】
本発明の第3態様によると、現場内を移動自在な無人移動体は、3次元レーザスキャナが設けられた荷台と、前記架台を支持する少なくとも4つの脚部と、前記3次元レーザスキャナ及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、前記荷台と前記3次元レーザスキャナとの間に設けられると共に前記3次元レーザスキャナを水平に自動整準する自動整準台と、を備え、前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている。
【0010】
本発明の第4態様によると、現場内を移動自在な無人移動体は、トータルステーションが設けられた荷台と、前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、前記トータルステーション及び前記脚部の動作を制御する制御装置と、前記荷台と前記トータルステーションとの間に設けられると共に前記トータルステーションを水平に自動整準する自動整準台と、を備え、前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている。
本発明の第5態様によると、現場内を経路に沿って移動自在な無人移動体は、3次元レーザスキャナ及びトータルステーションの少なくとも一方を載置可能な荷台と、前記荷台を支持する少なくとも4つの脚部と、前記脚部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記無人移動体は、前記無人移動体の周囲を撮像可能なステレオカメラと、前記無人移動体の周囲環境を測定するためのセンサと、を更に備え、前記制御装置は、前記ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて前記経路の環境地図を作成し、前記無人移動体は、前記画像と、前記センサによる測定結果とを、前記経路における前記無人移動体の位置座標と共に取得可能である。
【0011】
ここで、本明細書において、「地下空間」とは、素掘りのトンネル、二次覆工前のトンネル、二次覆工後のトンネル、坑道及び地下通路などの断面の高さ又は幅に比べて軸方向に細長い地下空間を含む他、例えば、ドーム形状などトンネル形状に限られない形状を有する大規模地下空間などの人工洞窟や自然洞窟を含む。
【発明の効果】
【0012】
例えば本発明の第1態様によれば、地下空間での3次元レーザスキャナの移動(運搬)、設置及び位置調整、並びに、断面形状の取得(測定)を作業員によらずに行うことが可能である。これにより、トンネルなどの地下空間の観察現場における作業員が行う繰り返し単純作業を削減することができるので、作業員にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】断面形状取得装置の一例を示す正面図である。
【
図3】断面形状取得装置の制御装置の一例を示す内部構成図である。
【
図4】断面形状取得方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】断面形状取得方法の一例を説明するための図である。
【
図6】断面形状取得方法の一例を説明するための図である。
【
図7】断面形状取得方法の一例を説明するための図である。
【
図8】断面形状取得方法の一例を説明するための図である。
【
図9】制御装置が実行する断面形状取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】断面形状取得方法の流れの変形例を示すフローチャートである。
【
図11】断面形状取得方法の変形例を説明するための図である。
【
図12】断面形状取得処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための実施形態についてトンネルの断面形状の取得を例に挙げて説明する。
図1は、断面形状取得装置の一例を示す正面図である。尚、
図1に矢印で示すように、
図1の左側を断面形状取得装置1の右側とし、
図2の右側を断面形状取得装置1の左側とする。
図2は、
図1の左側面図であり、断面形状取得装置1を右方向から視た側面図である。断面形状取得装置1は、
図1、2に矢印で示す前後左右方向に移動自在な無人移動体10と、3次元レーザスキャナ20とを含む。
【0015】
無人移動体10は、略直方体状の本体部12と、本体部12を支持する少なくとも4つの脚部14と、を備えており、例えば、Boston Dymamics社製のSPOTと呼ばれる4足歩行型の歩行ロボットである。無人移動体10は、例えば、トンネル外又はトンネルの入口付近の基地局にいるオペレータが所持するタブレット又は市販のパーソナルコンピュータなどのコントローラを用いた遠隔操作により移動可能である。また、無人移動体10は、例えば、予め作成された経路に沿って自律移動可能である。
【0016】
本体部12の上面は、平坦に形成されており、計測機器などの所定の機器を載置可能な荷台12Aとしての機能を有する。本明細書では、荷台12Aには、3次元レーザスキャナ(以下、単に「スキャナ」という)20が設けられている。
【0017】
脚部14は、例えば、本体部12の四隅に取り付けられた上側脚部14Aと、上側脚部14Aの下端に取り付けられた下側脚部14Bと、を含む。
【0018】
上側脚部14Aは、本体部12に対し、無人移動体10の左右方向に延びる軸線回りに回動可能であると共に本体部12との取付部を支点として開閉動作可能となるように取り付けられている。上側脚部14Aは、例えば、サーボモータや油圧シリンダなど、本体部12と上側脚部14Aとの連結部付近に設けられたアクチュエータを駆動させることで回動動作及び開閉動作するようになっている。
【0019】
下側脚部14Bは、上側脚部14Aの下端に対し、無人移動体10の左右方向に延びる軸線回りに回動可能なように取り付けられている。また、下側脚部14Bは、例えば、サーボモータや油圧シリンダなど、下側脚部14Bと上側脚部14Aとの連結部付近に設けられたアクチュエータを駆動させることで左右方向に延びる軸線回りに回動動作するようになっている。また、下側脚部14Bの下端には、例えば、ゴム製の滑り止めが取り付けられている。
【0020】
スキャナ20は、自身の上下方向の中心軸回りに回転可能且つ自身の左右方向の中心軸周りに回転可能に設けられると共にレーザを照射可能な図示省略の照射部と、照射部と共に自身の上下方向に延びる中心軸周りに回転可能に設けられると共に反射されたレーザを受光可能な図示省略の受光部と、を有する。そして、スキャナ20は、受光部が反射されたレーザを受光すると、対象物の3次元ローカル点群データ(3次元位置座標)を取得することで、対象物までの距離を検出する。照射部及び受光部は、例えば、電動モータなどの所定のアクチュエータによって回転駆動する。このようなスキャナ20の一例としては、鉛直方向に延びる軸線回りに約360度の角度範囲及び水平方向に延びる軸線回りに下方約80度の角度範囲を除く約280度の角度範囲で約1550nmの波長のレーザを照射して受光することで3次元ローカル点群データを取得可能な市販の3次元レーザスキャナが挙げられる。
【0021】
また、断面形状取得装置1は、自動整準台30と、ステレオカメラ40と、傾斜センサ50と、を含む。
【0022】
自動整準台30は、例えば、荷台12Aとスキャナ20との間に設けられており、荷台12A上に固定されている。すなわち、スキャナ20は、自動整準台30を介して荷台12Aに取り付けられている。自動整準台30は、例えば、その上方に位置するスキャナ20自身の上下方向に延びる軸線が鉛直方向となるようにスキャナ20の傾きを調整する自動整準機能を有する。このような自動整準台30としては、市販品を利用することができる。また、後述の制御装置により自動整準台30の自動整準機能のオン又はオフを制御可能である。
【0023】
ステレオカメラ40は、例えば、本体部12の前面、後面、左側面及び右側面のそれぞれに設けられており、無人移動体10の周囲を撮像する。ステレオカメラ40は、例えば、左右一対のCCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラで構成されている。
【0024】
傾斜センサ50は、例えば、荷台12A上に固定されており、重力加速度を測定することで荷台12Aの水平方向に対する傾斜角度を検知する。但し、傾斜センサ50は、これに限るものではなく、ジャイロセンサなど、荷台12Aの傾斜角度を検知可能なものであればよい。また、傾斜センサ50は、例えば、本体部12内の荷台12Aの面と平行な面に取り付けられているなど、荷台12Aの傾斜角度を実質的に検知可能な位置であれば、本体部12に内蔵されていてもよい。
【0025】
本体部12には、脚部14及びスキャナ20のアクチュエータなどを駆動させることで脚部14及びスキャナ20の動作などを制御する制御装置100が内蔵されている。また、本体部12には、脚部14及びスキャナ20を駆動するアクチュエータなどに電力を供給する充電可能なバッテリ(図示省略)が着脱自在に取り付けられている。本体部12は、例えば、防水性及び防塵性を有する略矩形状の筐体で構成されていることが好ましい。
【0026】
制御装置100は、
図3に示すように、例えば、制御部100A、記憶部100B、通信部100C、入出力部100D及び画像処理部100Eなどを含む。制御部100A、記憶部100B、通信部100C、入出力部100D及び画像処理部100Eは、例えば、バス100Fを介して相互に接続されている。
【0027】
制御部100Aは、ソフトウエアプログラムに記述された命令セットを実行することで各種制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などで構成されている。
【0028】
記憶部100Bは、各種制御プログラム及び各種データを記憶する揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどで構成されている。
【0029】
通信部100Cは、例えば、イーサネットなどの通信規格を用いて外部との通信を可能にする通信回路である。通信部100Cは、スキャナ20のスキャン(測定)結果、これに基づく演算結果及びステレオカメラ40が撮像した画像などを、例えば、基地局のパーソナルコンピュータに送信する。また、通信部100Cは、オペレータがコントローラを操作することで生成された信号であって、脚部14及びスキャナ20の動作を指示するための指示信号を受信する。
【0030】
入出力部100Dは、スキャナ20、ステレオカメラ40及び傾斜センサ50などから信号を入力すると共に脚部14、スキャナ20及び自動整準台30に信号を出力するデバイスである。
【0031】
制御部100A、記憶部100B、通信部100C及び入出力部100Dとしては、例えば、これら制御部100A、記憶部100B、通信部100C及び入出力部100Dが一体となったマイクロコンピュータが挙げられる。
【0032】
画像処理部100Eは、ステレオカメラ40が撮像した画像を処理することで、無人移動体10の周囲に存在する物体までの距離及び距離の時間変化率に基づく相対速度などを算出することが可能である。また、画像処理部100Eは、これら算出結果に基づいて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの公知の技術を用いて無人移動体10の自己位置推定及び環境地図作成を実行することが可能である。このような画像処理部100Eとしては、例えば、画像処理に特化した機能を有するGPU(Graphical Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
【0033】
以上のように構成された制御装置100が実行可能な制御の一例について説明する。
制御装置100は、基地局から無人移動体10の遠隔操作による移動を指示する信号を受信すると、この信号に従って脚部14の動作を制御することで無人移動体10を移動させることが可能である。また、制御装置100は、基地局からスキャナ20の遠隔操作による測定を指示する信号を受信すると、この信号に従ってスキャナ20に測定させることが可能である。これにより、基地局にいるオペレータは、パーソナルコンピュータのディスプレイを介してステレオカメラ40が撮像した画像を観察しながら、無人移動体10を移動させたり、スキャナ20にスキャン(測定)させたりすることができる。
【0034】
また、制御装置100は、基地局から予め作成した所定の経路に沿った無人移動体10の自律移動を指示する信号を受信すると、この信号に従って無人移動体10を自律移動させることが可能である。また、制御装置100は、基地局から予め設定した周期にて予め設定した角度でのスキャナ20の自律測定を指示する信号を受信すると、この信号に従ってスキャナ20に自律測定させることが可能である。
【0035】
さらに、制御装置100は、例えば、無人移動体10が停止した状態において、傾斜センサ50の出力信号に基づいて荷台12Aを略水平(例えば、傾斜角度で約±4度)に保持するように脚部14の動作を制御する水平保持処理を実行することが可能である。また、制御装置100は、上述したように、自動整準台30の自動整準機能のオン又はオフを制御することが可能である。
【0036】
また、制御装置100は、無人移動体10の周囲に存在する物体までの距離及び相対速度などに基づいて、例えば、無人移動体10がその前方の物体を自律的に乗り越えたり迂回したりするように脚部14の駆動を制御することが可能である。また、制御装置100は、階段など、無人移動体10の前方に存在する物体の種類を認識して、無人移動体10が階段を自律的に昇降するように脚部14の駆動を制御することが可能である。また、無人移動体10は、上り坂や下り坂などの傾斜面であっても移動可能なようになっている。
【0037】
さらに、制御装置100は、例えば、ステレオカメラ40が撮像した画像に含まれ、所定の情報を格納するQRコード(登録商標)などのマトリックス型二次元コードを読み取って、そこに格納された情報を読み出すことが可能である。
【0038】
さらにまた、制御装置100は、例えば、スキャナ20のスキャン結果に基づいてトンネル内空の断面形状ラインを演算することで断面形状を取得する。制御装置100は、例えば、トンネル内空の断面形状を規定する内壁面上の複数の点をスキャナ20によってスキャンして得られた3次元ローカル点群データにおける点群と、点群を補間するラインとによって構成される断面形状ラインを演算することが可能である。点群を補間するラインの演算については従来周知のアルゴリズムを用いることが可能であり、説明を省略する。
【0039】
また、制御装置100は、演算した断面形状ラインに基づいて内空変位を特徴付けるパラメータを演算することが可能である。上述のパラメータとしては、予め記憶部100Bに記憶されたトンネルの設計データに含まれるスプリングライン及びセンターラインの位置座標データと取得した断面形状ラインとに基づいて演算される垂線長さ又は水平線長さが挙げられる。制御装置100は、例えば、翌日など、異なるタイミングで取得した垂線長さ又は水平線長さの差分を算出する。この差分が内空変位を示す。そして、例えば、制御装置100が、内空変位が所定の範囲内であると判定した場合、地山の挙動やトンネル内空の変状が安定し、断面形状の観察継続が不要であると判断することができる。その後、二次覆工を行うことが可能となる。上述の垂線長さ又は水平線長さの演算方法は、先行技術文献に挙げた特開2012-58167号公報に記載されており、説明を省略する。
【0040】
尚、スキャナ20がスキャンした内壁面上の複数の点のうち異なる2点間の距離の所定時間経過後の変位量などに基づいてトンネル内空の変状が安定したか否かを判断してもよい。
【0041】
また、制御装置100は、演算した断面形状ラインを基地局に送信してもよい。つまり、基地局のパーソナルコンピュータなどが、受信した断面形状ラインとスプリングライン及びセンターラインとに基づいて内空変位を特徴付けるパラメータを演算し、内空変位が所定の範囲内になったか否かを判定するようになっていてもよい。
【0042】
次に、上述のように構成された断面形状取得装置1を用いて地下空間の一例である二次覆工前のトンネルの断面形状取得方法について
図4~9を参照して説明する。
【0043】
図4は、断面形状取得方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図5~
図8は、掘削中のトンネル坑内に断面形状取得装置1を配置した状態を示している。ここで、断面形状取得方法は、
図5→
図6→
図7→
図8の順に実施される。また、
図5~
図8では、トンネルの入口から切羽までの距離が約200mであり、断面形状を取得するために予め選定した選定断面が20m間隔で9箇所に配置されているものとする。但し、
図5~
図8では、トンネルの入口に最も近い第1の選定断面と、切羽に最も近い第9の選定断面のみを示し、他の第2~第8の選定断面については図示省略する。
図9は、断面形状取得方法のうち、制御装置100が無人移動体10の自律移動を開始後に実行する断面形状取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップ10は、トンネル内にいる作業員が、
図5に示すように、トンネル内の3次元絶対位置座標が既知である少なくとも3点にターゲット2、4、6を設置する設置工程である。ターゲット2、4、6は、例えば、トンネルの内壁面における位置座標が既知の少なくとも3点に取り付けられる。但し、これに限るものではなく、例えば、ターゲット2、4、6を取り付けた三脚や支柱などをトンネル内に設置することで、トンネル内の位置座標が既知の少なくとも3点にターゲット2、4、6を設置してもよい。
【0045】
ターゲット2、4、6は、スキャナ20用のターゲットであり、例えば、反射シートターゲット又はプリズムターゲットなどである。これらターゲット2、4、6は、スキャナ20によって各ターゲット2、4、6までの距離を測定することで、スキャナ20(例えば、機械中心)の現在位置(3次元位置)を特定するためのものである。このような現在位置の特定は、例えば、3つ以上の座標が既知の点を用いて自分自身の座標を求める、いわゆる後方交会法として知られる公知の手法であり、説明を省略する。
【0046】
ステップ12は、基地局にいるオペレータが、遠隔操作により無人移動体10をトンネル内で移動させ、自律移動用の経路を作成する作成工程である。そのため、作業員は、まず、
図5に示すように、断面形状取得装置1をトンネルの入り口付近に設置する。但し、これに限るものではなく、例えば、掘削工事が進み、トンネルの入口から切羽までの距離が約200m以上である場合、設置位置を切羽から掘削方向とは逆方向に約200m離れた位置としてもよい。
【0047】
次に、オペレータは、遠隔操作によりスキャナ20に各ターゲット2、4、6をスキャンさせる。これにより、スキャナ20の現在位置が特定されるので、設置位置の3次元位置座標が求まる。そして、設置位置を無人移動体10の待機位置に設定する。その後、オペレータは、ステレオカメラ40が撮像した画像をリアルタイムに観察しながら無人移動体10を移動させる。
【0048】
無人移動体10の移動中、制御装置100は、ステレオカメラ40の画像に基づいて、無人移動体10とトンネルの内壁及び切羽などの周囲の物体との相対的な位置関係、並びに、無人移動体10の移動量(距離)などに応じて所定の周期で無人移動体10の現在位置を推定しながらトンネル内の環境地図(マップ)を作成する。現在位置の推定及びマップの作成は、上述したように、SLAMなどの公知の技術を用いて実行される。制御装置100は、遠隔操作により無人移動体10が移動した経路を作成経路として記憶(学習)する。但し、これに限るものではなく、例えば、制御装置100に作成したマップを基地局に送信させ、オペレータがマップ上で経路を指定することによって指定された経路を作成経路として制御装置100に記憶させてもよい。作成経路は、例えば、
図6に示す複数の矢印で表されるように、無人移動体10が待機位置から第1~第9の選定断面を通過して待機位置に戻るように往復移動する経路であることが好ましい。
【0049】
また、無人移動体10の移動中、例えば、スキャナ20に所定の周期でターゲット2、4、6をスキャンさせてもよい。これにより、制御装置100は、所定の周期で複数の現在位置を検出することが可能となるので、検出した現在位置とステレオカメラ40の画像に基づいて推定した現在位置とを組み合わせてマップを作成することもできる。
【0050】
さらに、無人移動体10の移動中、オペレータは、例えば、各選定断面の形状を規定する内壁面をスキャナ20にスキャンさせるためのスキャン位置を作成経路上に設定する。例えば、作成経路上で各選定断面から掘削方向の後方に約2mの距離だけ離れた位置をスキャン位置に設定する。但し、無人移動体10の移動中に測定位置を設定することに限るものではない。例えば、オペレータは、作成されたマップ上でスキャン位置を設定してもよい。
【0051】
さらにまた、オペレータは、スキャン位置の設定と共にスキャナ20の動作を設定する。より詳細には、スキャン位置でのスキャナ20によるレーザの照射角度を設定する。ここで、選定断面についての断面形状ラインを取得するには、例えば、選定断面の形状を規定する内壁面上の5点程度の3次元位置座標を取得すれば十分と考えられる。つまり、各スキャン位置にてこれに対応する選定断面についての内壁面上の5点にレーザを照射するための照射角度が設定される。
【0052】
ステップ14は、オペレータからの自律移動開始の指示により、ステップ12で作成した経路(作成経路)に沿って無人移動体10を自律移動させる移動工程である。制御装置100は、基地局から自律移動を開始する指示信号を受信すると、ステップ12でマップを作成した場合と同様、所定の周期でスキャナ20の現在位置を推定しながら作成経路に沿った無人移動体10の自律移動を開始する。
【0053】
ステップ16は、制御装置100が、スキャナ20の現在位置が選定断面についての所定の位置になったとき、選定断面についての内壁面をスキャナ20にスキャンさせ、スキャン結果に基づいて断面形状を取得する取得工程である。ここで、所定の位置は、ステップ12の工程で経路の作成と共に設定した各選定断面についてのスキャン位置である。無人移動体10の自律移動開始後、制御装置100の画像処理部100Eは、スキャナ20の現在位置を推定するたびに、推定した現在位置に相当する信号を制御部100Aに出力する。制御部100Aは、画像処理部100Eから推定した現在位置に相当する信号を入力したことを契機として断面形状取得処理を実行する。以下、断面形状取得処理の一例について
図9を参照して説明する。
【0054】
ステップ100では、制御部100Aは、変数nを0に初期化する。変数nは、1から選定断面の数Nまでの値を取り得る。
図5~
図8では、選定断面の数は9であり、N=9である。
【0055】
ステップ102では、制御部100Aは、変数nに1を加算する。断面形状取得処理が開始されてから初めてステップ102の処理が実行された場合、n=1であり、ステップ104以降の処理では、まず、第1の選定断面について断面形状を取得する。
【0056】
ステップ104では、制御部100Aは、推定されたスキャナ20の現在位置(推定位置)が、第nの選定断面に対応するスキャン位置として設定された第nのスキャン位置になったか否かを判定する。但し、これに限るものではなく、例えば、推定位置が第nのスキャン位置になったことを許容する範囲を予め設定しておき、推定位置が許容範囲内になったか否かを判定することが好ましい。そして、制御部100Aは、推定位置が第nのスキャン位置でないと判定すると、推定位置が第nのスキャン位置になったと判定するまでステップ104の処理を繰り返し実行する。
【0057】
一方、ステップ104において、制御部100Aは、推定位置が第nのスキャン位置になったと判定すると、処理をステップ106に進める。
【0058】
ステップ106では、制御部100Aは、無人移動体10の移動を停止させると共に上述した水平保持処理を実行する。これにより、荷台12Aが略水平に保持される。
【0059】
ステップ108では、制御部100Aは、水平保持処理の実行を禁止すると共に自動整準台30の自動整準機能をオンに設定する。これにより、スキャナ20が水平に整準される。尚、無人移動体10の移動時などでは、基本的に自動整準機能はオフに設定されている。
【0060】
ステップ110では、制御部100Aは、
図7に示すように、スキャナ20にターゲット2、4、6をスキャンさせ、ターゲット2、4、6までの距離を検出することによりスキャナ20の現在位置を特定する。現在位置の特定は、上述したように後方交会法などの公知の方法によって実行される。
【0061】
ステップ112では、制御部100Aは、特定した現在位置(特定位置)が第nのスキャン位置になったか否かを判定する。そして、制御部100Aは、特定位置が第nのスキャン位置になったと判定すると、処理をステップ114に進める。
【0062】
ステップ114では、制御部100Aは、
図8に示すように、スキャナ20に第nの選定断面の形状を規定する内壁面をスキャンさせ、スキャン結果に基づいて第nの選定断面の形状を取得する。より詳細には、制御部100Aは、設定した照射角度でスキャナ20にレーザを照射させ、反射されたレーザを受光させることで、
図8に示すような第1の選定断面の内壁面上の複数の点(例えば、5点)について3次元ローカル点群データ(3次元位置座標)を取得する。その後、制御部100Aは、周知のアルゴリズムを用いて取得した複数の点群を補間して断面形状ラインを演算することで第nの選定断面の形状を取得する。
【0063】
ステップ116では、制御部100Aは、ステップ114で取得した結果及びこれに基づく演算結果、すなわち、点群データ及び断面形状(断面形状ライン)をスキャン日時と共に記憶する。
【0064】
ステップ118では、制御部100Aは、変数nがNであるか否かを判定する。そして、制御部100Aは、変数nがNであると判定すると、処理を終了させる。一方、制御部100Aは、変数nがNでないと判定すると、処理をステップ102に戻し、無人移動体10の自律移動を再開させ、現在の変数nに1を加算する。現在の変数nが1であれば、ステップ102で変数nは2となる。すなわち、ステップ104以降の処理では、制御部100Aは、第2の選定断面に対応する第2のスキャン位置を目指すように無人移動体10を移動させ、第2の選定断面について断面形状を取得する。
【0065】
一方、ステップ112において、特定位置が第nのスキャン位置でない場合、制御部100Aは、処理をステップ120に進める。
【0066】
ステップ120では、制御部100Aは、無人移動体10を移動させることでスキャナ20の現在位置を調整する。制御部100Aは、例えば、特定位置と第nのスキャン位置との差に応じて無人移動体10を移動させる。その後、制御部100Aは、処理をステップ106に戻し、再度、無人移動体10の移動を停止させ水平保持処理を実行する。そして、水平保持処理の実行を禁止し、自動整準機能をオンに設定した後、ターゲット2、4、6のスキャン結果に基づいて特定した現在位置が第nのスキャン位置になれば、第nの選定断面の形状を規定する内壁面のスキャンが実行される。これにより、スキャナ20の設置位置のバラツキが抑制された選定断面の形状の取得を行うことができる。
【0067】
全ての選定断面について断面形状の取得が終了すると、断面形状取得方法も終了する。その後、例えば、1日経過するたびに、断面形状取得方法のステップ14及びステップ16の工程を行うことで、異なるタイミングでの断面形状を取得することができる。
【0068】
ここで、内壁面のスキャン結果及びこれに基づいて取得した断面形状(断面形状ライン)などは、断面形状取得処理のステップ116においてスキャン日時と関連付けて記憶されると共に基地局のパーソナルコンピュータに送信されるようになっていてもよい。基地局のパーソナルコンピュータは、上述したように、受信した断面形状ライン、スプリングライン及びセンターラインなどに基づいて内空変位を特徴付けるパラメータである垂線長さ又は水平線長さを演算する。その後、異なるタイミングで演算したパラメータの差分と所定の範囲と比較することで内空変位が所定の範囲内に収束したか否かが判定される。内空変位が所定の範囲内に収束していなければ、例えば、1日経過した後、再度ステップ14及びステップ16の工程が行われる。一方、内空変位が所定の範囲内に収束していれば、地山の挙動やトンネル内空の変状が安定したと判断することが可能となり、二次覆工を行うことができる。
【0069】
尚、例えば、断面形状取得処理のステップ116とステップ118との間に内空変位を特徴付けるパラメータである垂線長さ又は水平線長さなどを算出し、内空変位が所定の範囲内に収束したか否かを判定し、判定結果を基地局に送信してもよい。
【0070】
以上説明した断面形状取得装置1を用いた断面形状取得方法によれば、トンネル内にいる作業員が内壁面にスキャナ20の位置特定用のターゲットを少なくとも3つ取り付け、基地局にいるオペレータが遠隔操作により無人移動体10をトンネル内で移動させることで経路の作成などを行った後、選定断面の形状の取得が自動的に行われる。より詳細には、トンネル内で各選定断面付近までスキャナ20を運搬すること、スキャナ20の現在位置を特定しながらスキャン位置に位置決めすること、各選定断面についての内壁面をスキャナ20によりスキャンし、スキャン結果に基づいて選定断面の形状を取得することなどを作業員によらず自動的に行うことが可能となる。したがって、トンネル内空の変状の観察現場における繰り返し単純作業を削減することができ、作業員の負担を軽減することができる。
【0071】
ここで、各選定断面の形状を取得するためのスキャン位置は、取得結果のバラツキを抑制すべく、毎回同じ位置であることが好ましいと考えられる。そのため、スキャナ20の位置調整を手作業で行うことは、作業員にかかる負担が大きいものと考えられる。したがって、以上説明した断面形状取得装置1を用いた断面形状取得方法によれば、スキャナ20の位置が自動で調整することが可能であるので、選定断面の形状の取得精度を維持又は向上しながら作業員の負担を軽減することができる。
【0072】
また、トンネルの掘削中は、安全面を考慮すると、可能な限りトンネル内への作業員の出入りを少なくすることが好ましい。この点においても、このような断面形状取得装置1を用いた断面形状取得方法により繰り返し単純作業を削減されるので、トンネル内への作業員の出入りを要する作業を極力少なくすることができる。
【0073】
尚、無人移動体10の自律移動用に作成した経路において、無人移動体10が切羽付近を移動している際、切羽の状態を観察すべく、ステレオカメラ40により切羽を撮影してもよい。これにより、切羽に作業員を近付けることなく、水の噴出や亀裂の有無などの切羽の状態を観察することが可能となるので、トンネル内への作業員の出入りを要する作業を更に少なくすることができる。
【0074】
次に、断面形状取得方法の変形例について
図10~12を参照して説明する。
図10は、断面形状取得方法の変形例の流れを示すフローチャートである。
図11は、断面形状取得方法の変形例においてトンネル内にいる作業員が行う作業を説明するための図である。
図12は、無人移動体10の自律移動開始後に制御装置100が実行する断面形状取得処理の変形例を示すフローチャートである。
【0075】
この変形例は、
図4のステップ10、ステップ12及びステップ16の工程を新たなステップ18、ステップ20及びステップ22の工程に変更している点で
図4を参照して説明した断面形状取得方法とは異なる。
【0076】
ステップ18では、トンネル内にいる作業員は、ステップ10と同様にターゲット2、4、6を設置することに加えて、
図11に示すように、QRコード(登録商標)などのマトリックス型二次元コードを第1~第9の選定断面の形状を規定する内壁面に取り付ける。但し、コードについても内壁面に取り付けることに限るものではなく、ターゲット2、4、6と同様、コードを取り付けた三脚や支柱などを各選定断面付近に設置してもよい。ここで、
図11では、第1の選定断面及び第9の選定断面についての内壁面に取り付けたマトリックス型二次元コード(以下、単に「コード」という)60、61のみを示し、他のコードは第2~第8の選定断面と同様、図示省略している。より詳細には、コードは、無人移動体10の全高(本体部12の地上高)と略等しい高さ位置など、各選定断面付近におけるステレオカメラ40が撮像可能な位置に取り付けることが好ましい。
【0077】
ステップ20では、基地局にいるオペレータは、遠隔操作により無人移動体10をトンネル内で移動させ、上述したように、マップ及び経路を作成すると共にスキャナ20の動作を設定する。マップ及び経路の作成などについては、
図4のステップ12で説明したのと同様である。スキャナ20の動作の設定は、ステップ18で取り付けたコード60、61を利用して設定されてもよい。例えば、遠隔操作での移動中、ステレオカメラ40の画像に基づいて制御装置100がコードを認識すると、オペレータは、対応する選定断面についてのスキャナ20のスキャン位置の位置座標及び照射角度などの情報を、認識したコードに格納させる。これにより、制御装置100は、ステップ14の無人移動体10の自律移動中にコードを認識すると、スキャン位置及び照射角度などを読み出して無人移動体10の移動を制御することが可能となる。また、無人移動体10の待機位置に近いトンネルの内壁面に待機位置の位置座標などを格納したコードを取り付けておき、制御装置100に待機位置を認識させてもよい。
【0078】
ステップ14において、作成経路に沿った無人移動体10の自律移動が開始されると、ステップ22で選定断面の形状を取得する。そのために、制御装置100は、ステップ22において
図12に示す断面形状取得処理の変形例を実行する。以下、断面形状処理の変形例について説明する。この変形例では、ステップ102とステップ106との間に新たなステップ122を挿入することにより、第nの選定断面について、制御装置100の画像処理部100Eがコードを認識したとき又は推定位置がスキャン位置になったときにステップ106の処理に進むようになっている点で
図9に示す断面形状取得処理とは相違する。以下では、主に相違点について説明する。
【0079】
制御部100Aは、ステップ102において現在の変数nに1を加算すると、ステップ122では、画像処理部100Eが第nの選定断面に対応する第nのコード(例えば、第1、9の選定断面に対応する第1、9のコードはコード60、61である)を認識したか否かを判定する。より詳細には、まず、画像処理部100Eは、ステレオカメラ40の画像を処理した結果、コードを認識すると、認識したコードに格納された情報を読み出し、この情報に相当する信号を制御部100Aに出力するようになっている。そして、制御部100Aは、画像処理部100Eからコードに格納された情報に相当する信号を入力すると、第nのコードを認識したと判定し、処理をステップ106に進める。すなわち、処理がステップ122から直接ステップ106に進んだ場合、画像処理部100Eがコードを認識した位置からスキャナ20を用いた特定位置の調整が行われる(ステップ106、108、110、112及び120)。
【0080】
一方、ステップ122において、制御部100Aは、第nのコードを認識していないと判定すると、処理をステップ104に進め、推定位置が第nのスキャン位置になったか否かを判定する。推定位置が第nのスキャン位置になったと判定すると、
図9を参照して説明した断面形状取得処理と同様、特定位置が第nのスキャン位置になるまでステップ106、108、110及び112の処理を実行又は必要に応じて適宜繰り返す。
【0081】
以上説明した変形例では、各選定断面付近にこれに対応するコードが設置されており、制御装置100がコードを認識したこと又は推定位置がスキャン位置になったことを契機として、スキャナ20に各ターゲット2、4、6をスキャンさせる。そして、スキャン結果に基づいて、現在位置がスキャン位置になったとき、スキャナ20に選定断面についての内壁面をスキャンさせる。これにより、各選定断面についてのコードをステレオカメラ40が撮像可能な位置に無人移動体10が到達したことを契機として選定断面についての内壁面をスキャンするための位置調整を行うことが可能となる。したがって、仮に無人移動体10が作成経路から大きく外れたり、制御装置100が作成経路を認識し間違えたりして現在位置の推定を行っても推定位置がスキャン位置になりにくい場合など、推定位置がスキャン位置になるまでに時間がかかる状況が発生するのを抑制することができる。
【0082】
尚、以上では、二次覆工前のトンネル内空断面の形状(すなわち、横断面形状)を取得することについて説明したが、これに限るものではない。例えば、素掘りのトンネル、二次覆工後のトンネル、坑道及び地下通路などの断面の高さ又は幅に比べて軸方向に細長い地下空間を含む他、例えば、ドーム形状などトンネル形状に限られない形状を有する大規模地下空間などの人工洞窟や自然洞窟を含む地下空間の断面形状を取得する場合も同様である。
【0083】
以下、二次覆工前のトンネル以外の地下空間の断面形状の取得に断面形状取得装置1を適用する場合について説明する。無人移動体10の移動経路については、上述した待機位置(断面形状取得装置1の設置位置)から切羽付近を通って待機位置に戻る往復経路に限るものではなく、無人移動体10を遠隔操作により地下空間内で移動させ、ステレオカメラ40の画像を確認しながら任意の経路を作成してもよい。より詳細には、制御装置100にステレオカメラが撮像した画像に基づいて地下空間内の環境地図を作成させ、当該環境地図上に任意の経路を作成する。また、地下空間における各選定断面については、必ずしも、作成した移動経路に沿って20m間隔で配置しなくてもよい。例えば、各選定断面を無人移動体10の移動方向と略垂直(目視で略平行と言える程度でよい)な断面となるように且つ作成した移動経路に沿って任意の間隔で配置してもよい。この場合、作成工程では、例えば、作成経路上で各選定断面から無人移動体10の直進方向とは反対側の後方に約2mの距離だけ離れた位置を選定断面についての内壁面のスキャン位置(所定の位置)、すなわち、スキャナ20よるレーザの照射位置に設定することが好ましい。さらに、例えば、地下空間がトンネル形状を有する場合は最奥部の内壁面の他、地下空間の形状トンネル形状でない場合は任意の場所にて地下空間の内壁面を撮影してもよい。また、反射シートターゲット又はプリズムターゲットなど、スキャナ20の現在位置を特定するための少なくとも3つのターゲットについても、地下空間内にいる作業員が、地下空間の内壁面に直接取り付けるか又は三脚や支柱などを介して地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点に設置してもよい。これにより二次覆工前のトンネルだけに限られない地下空間の観察現場における繰り返し単純作業を削減することができ、作業員の負担を軽減することができる。また、地下空間が、安全面を考慮してできるだけ人が立ち入らない方がよい坑道、素掘りのトンネル又は自然洞窟などであっても、断面形状取得装置1を用いて安全に地下空間の断面形状を取得することができる。
【0084】
また、以上の説明では、現在位置を特定すると共に選定断面の形状を取得すべく、無人移動体10の荷台12Aにスキャナ20を設けたが、これに限るものではなく、スキャナ20に代えてトータルステーションを荷台12Aに設けてもよい。トータルステーションは、例えば、スキャナ20のレーザを照射可能な角度範囲と同様な角度範囲で光波を所定の水平角、鉛直角に存在する反射点ターゲット又はプリズムターゲットなどの対象物に照射可能な光波測距儀と対象物の水平角度及び鉛直角度を含む角度測定用の電子セオドライトとを組み合わせたものであり、対象物についての距離、水平角度及び鉛直角度から対象物の位置座標(トータルステーションの機械中心を原点とする対象物の位置座標)を取得可能である。この場合において、トータルステーションにより選定断面についての内壁面上の複数の点の位置座標を取得するために、現在位置特定用のターゲット2、4、6(第1のターゲット)を設置する際、各選定断面についての内壁面上に複数(例えば、内壁面上の5点程度)の反射点ターゲット又はプリズムターゲット(第2のターゲット)を設置して(取り付けて)おくことが好ましい。
【0085】
つまり、トータルステーションを用いた場合、設置工程では、地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点に第1のターゲットを設置すると共に前記地下空間内の予め選定された選定断面についての内壁面上に複数の第2のターゲットを設置する。また、取得工程では、トータルステーションに第1のターゲットの位置座標を取得させることで得られるトータルステーションの現在位置が選定断面についての所定の位置になったとき、トータルステーションに選定断面についての第2のターゲットの位置座標を取得させ、当該取得結果に基づいて制御装置100に前記選定断面の形状を取得させる。この場合の所定の位置は、トータルステーションに選定断面についての第2のターゲットの位置座標を取得させる位置であり、作成工程にて作成した経路上に設定することが好ましい。例えば、作成経路上で各選定断面から無人移動体10の直進方向とは反対側の後方に約2mの距離だけ離れた位置を所定の位置、すなわち、トータルステーションによる光波の照射位置に設定する。この場合も、無人移動体10の移動中に照射位置を設定してもよいし、オペレータが作成されたマップ上で照射位置を設定してもよい。各照射位置にてこれに対応する選定断面についての内壁面上の複数の第2のターゲットに光波を照射すべく、トータルステーションによる光波の照射角度を設定することが好ましい。但し、トータルステーションが、例えば、反射点ターゲットやプリズムターゲットを自動的に視準する自動視準機能を有していれば、照射角度の設定については省略してもよい。また、QRコード(登録商標)60、61などのマトリックス型二次元コードを取り付けた場合、取得工程では、ステレオカメラ40がマトリックス型二次元コードを認識したことを契機としてトータルステーションに第1のターゲットをスキャンさせ、トータルステーションの現在位置が所定の位置となるように無人移動体10を移動させることが好ましい。さらに、第1のターゲット及び前記第2のターゲットの位置座標を取得する際、制御装置100が、無人移動体10の移動を停止させた状態で脚部14の動作を制御することで水平保持処理を実行した後、当該水平保持処理の実行を禁止し、自動整準台30の自動整準機能をオンすることが好ましい。
【0086】
また、制御装置100は、無人移動体10の自律移動中、バッテリの状態を監視し、無人移動体10の移動可能時間及びスキャナ20の動作可能時間などを算出するようになっていてもよい。そして、制御装置100は、仮に全ての選定断面についての内壁面のスキャンが終わっていなくても、現在位置から待機位置までの移動距離及び時間、並びに、算出した移動可能時間及び動作可能時間などを考慮してスキャンを中断させ、待機位置まで無人移動体10を移動させるようになっていてもよい。
【0087】
ここで、以上説明した無人移動体10はトンネルの断面形状を取得することに限るものではない。例えば、ダムの監査廊や浄水場の点検作業のうち排水管や配水管のクラックの有無の確認作業に無人移動体10を利用してもよい。例えば、ダムの監査廊は、ダム全域に張り巡らされているため、階段を多く含み、長距離を移動する必要があるため、作業員の負担が大きかった。例えば、浄水場は広大であり、さらに狭隘なスペースも多く点検作業の項目も多いため、同様に、作業員の負担が大きかった。したがって、無人移動体10を利用してダムの監査廊や浄水場の排水管や配水管をステレオカメラ40により撮影することで作業員が実際に足を運ぶまでもなくクラックの有無などを確認することが可能となるので、作業員の負担を軽減することができる。
【0088】
また、ダムの監査廊や浄水場のポンプを駆動する電動機などの異音又は異常振動の有無なども点検作業の項目の1つであるため、無人移動体10に異音検出センサを設けておくことが好ましい。また、浄水場の点検作業の項目の1つには水質調査における水の異臭の有無を確認する作業が含まれるため、無人移動体10に臭いセンサを設けておくことが好ましい。これにより、ダムの監査廊や浄水場における作業員が実際に足を運ぶ点検作業を少なくすることができる。
【0089】
さらに、例えば、下水管路内及び建築物の地下に設けられたメンテナンス用の地下ピット内を巡回させ、下水管路及び配水管のクラックの有無、電気設備の異音の有無を確認するのに無人移動体10を利用してもよい。ここで、地下ピットなどでは、エンジン排気を伴う電気設備などの作動状態や換気状態によっては、一酸化炭素濃度が高くなったり、酸素濃度が低下したりするおそれがある。そこで、無人移動体10に一酸化炭素濃度や酸素濃度を測定するセンサを設け、無人移動体10の巡回時に一酸化炭素濃度や酸素濃度を測定させてもよい。
【0090】
その他、酸素濃度が低い場所や放射線量の高い場所など、人の出入りを避けた方がよい災害現場の状況を把握すべく、無人移動体10を利用してもよい。例えば、放射線量が高い災害現場などでは、無人移動体10に放射線量計を設け、災害現場の中で放射線量が比較的高い場所、比較的低い場所などを記したマップを作成してもよい。また、無人移動体10の荷台12Aに、先端部でドアノブなどを把持可能なドア開閉用の作業アームを設けてもよい。この作業アームは、例えば、先端部、基端部及びこれらの間にある関節部において、それぞれ、任意の軸線回りに回動自在となっていることが好ましい。そして、災害現場の建物のドアが閉まっており、その先の状況を把握できない場合であっても、作業アームによりドアを開けてその先に無人移動体10を進ませて状況を把握させることができる。また、建設用地内を巡回させ、例えば、ハチの巣などの危険物を発見し、これを考慮したマップを作成すべく、無人移動体10を利用してもよい。
【0091】
さらに、無人移動体10に外気温センサや体温センサを設けると共に画像処理部100Eがステレオカメラ40の画像に基づいて人の顔色を認識する機能を有するようになっていてもよい。そして、多くの作業員などが作業をしている作業現場を無人移動体10に移動させ、外気温から熱中症の発生リスクを把握させたり、作業員の体温や顔色から体調不良者などを把握させたりしてもよい。
【0092】
また、無人移動体10に墨出作業を自動で行うことが可能な所定の描画装置を設け、この無人移動体10を、建設現場において建屋内を巡回させ、墨出作業を行わせるように利用してもよい。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記各実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
尚、特願2020-92161号の出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点にターゲットを設置する設置工程と、
3次元レーザスキャナが設けられた荷台、これを支持する少なくとも4つの脚部、並びに、前記3次元レーザスキャナ及び前記脚部の動作を制御する制御装置を備えた移動自在な無人移動体を遠隔操作により前記地下空間内で移動させ、前記無人移動体が前記地下空間内の予め選定された選定断面を通過するように移動する経路を作成する作成工程と、
前記作成した経路に沿って前記無人移動体を自律移動させる移動工程と、
前記3次元レーザスキャナに前記ターゲットをスキャンさせることで得られる前記3次元レーザスキャナの現在位置が前記選定断面についての所定の位置になったとき、前記3次元レーザスキャナに前記選定断面についての内壁面をスキャンさせ、スキャン結果に基づいて前記制御装置に前記選定断面の形状を取得させる取得工程と、
を含む、断面形状取得方法。
[請求項2]
前記無人移動体は、前記荷台と前記3次元レーザスキャナとの間に設けられると共に前記3次元レーザスキャナを水平に自動整準する自動整準台を更に備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、請求項1に記載の断面形状取得方法。
[請求項3]
前記ターゲット及び前記内壁面をスキャンする際、前記制御装置が、前記無人移動体の移動を停止させた状態で前記水平保持処理を実行した後、当該水平保持処理の実行を禁止し、前記自動整準機能をオンする、請求項2に記載の断面形状取得方法。
[請求項4]
前記所定の位置は、前記3次元レーザスキャナに前記選定断面についての内壁面をスキャンさせる位置であり、
前記作成工程は、前記作成した経路上に前記所定の位置を設定する工程を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の断面形状取得方法。
[請求項5]
前記無人移動体は、その周囲を撮像可能なステレオカメラを更に備え、
前記作成工程では、前記無人移動体の移動中、前記制御装置に前記ステレオカメラが撮像した画像に基づいて前記地下空間内の環境地図を作成させ、前記環境地図上に前記経路を作成する、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の断面形状取得方法。
[請求項6]
前記設置工程は、前記選定断面についての内壁面の前記ステレオカメラが認識可能な位置にマトリックス型二次元コードを取り付ける工程を含み、
前記取得工程では、前記ステレオカメラが前記マトリックス型二次元コードを認識したことを契機として前記3次元レーザスキャナに前記ターゲットをスキャンさせ、前記現在位置が前記所定の位置となるように前記無人移動体を移動させる、請求項5に記載の断面形状取得方法。
[請求項7]
地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点に第1のターゲットを設置すると共に前記地下空間内の予め選定された選定断面についての内壁面上に複数の第2のターゲットを設置する設置工程と、
前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットの位置座標を取得可能なトータルステーションが設けられた荷台、これを支持する少なくとも4つの脚部、並びに、前記トータルステーション及び前記脚部の動作を制御する制御装置を備えた移動自在な無人移動体を遠隔操作により前記地下空間内で移動させ、前記無人移動体が前記選定断面を通過するように移動する経路を作成する作成工程と、
前記作成した経路に沿って前記無人移動体を自律移動させる移動工程と、
前記トータルステーションに前記第1のターゲットの位置座標を取得させることで得られる前記トータルステーションの現在位置が前記選定断面についての所定の位置になったとき、前記トータルステーションに前記選定断面についての第2のターゲットの位置座標を取得させ、当該取得結果に基づいて前記制御装置に前記選定断面の形状を取得させる取得工程と、
を含む、断面形状取得方法。
[請求項8]
前記無人移動体は、前記荷台と前記トータルステーションとの間に設けられると共に前記トータルステーションを水平に自動整準する自動整準台を更に備え、
前記制御装置は、前記脚部の動作を制御することで前記荷台を水平に保持する水平保持処理を実行可能であると共に前記自動整準台の自動整準機能のオンオフを制御するように構成されている、請求項7に記載の断面形状取得方法。
[請求項9]
前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットの位置座標を取得する際、前記制御装置が、前記無人移動体の移動を停止させた状態で前記水平保持処理を実行した後、当該水平保持処理の実行を禁止し、前記自動整準機能をオンする、請求項8に記載の断面形状取得方法。
[請求項10]
前記所定の位置は、前記トータルステーションに前記選定断面についての第2のターゲットの位置座標を取得させる位置であり、
前記作成工程は、前記作成した経路上に前記所定の位置を設定する工程を含む、請求項7~請求項9のいずれか1つに記載の断面形状取得方法。
[請求項11]
前記無人移動体は、その周囲を撮像可能なステレオカメラを更に備え、
前記作成工程では、前記無人移動体の移動中、前記制御装置に前記ステレオカメラが撮像した画像に基づいて前記地下空間内の環境地図を作成させ、前記環境地図上に前記経路を作成する、請求項7~請求項10のいずれか1つに記載の断面形状取得方法。
[請求項12]
前記設置工程は、前記選定断面についての内壁面の前記ステレオカメラが認識可能な位置にマトリックス型二次元コードを取り付ける工程を含み、
前記取得工程では、前記ステレオカメラが前記マトリックス型二次元コードを認識したことを契機として前記トータルステーションに前記第1のターゲットをスキャンさせ、前記現在位置が前記所定の位置となるように前記無人移動体を移動させる、請求項11に記載の断面形状取得方法。
[請求項13]
荷台及びこれを支持する少なくとも4つの脚部を備えた移動自在な無人移動体と、
前記荷台に設けられた3次元レーザスキャナと、
前記無人移動体が地下空間内の予め選定された選定断面を通過するように予め作成された経路を記憶可能な記憶部と、
前記脚部の動作を制御することにより前記無人移動体を前記経路に沿って移動させ、前記3次元レーザスキャナの動作を制御することにより前記3次元レーザスキャナに前記地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点に予め設置されたターゲットをスキャンさせることで得られる前記3次元レーザスキャナの現在位置が前記選定断面についての所定の位置になったとき、前記3次元レーザスキャナに前記選定断面についての内壁面をスキャンさせ、前記内壁面のスキャン結果に基づいて前記選定断面の形状を取得するように構成された制御装置と、
を含む、断面形状取得装置。
[請求項14]
荷台及びこれを支持する少なくとも4つの脚部を備えた移動自在な無人移動体と、
前記荷台に設けられ、所定のターゲットの位置座標を取得可能なトータルステーションと、
前記無人移動体が地下空間内の予め選定された選定断面を通過するように予め作成された経路を記憶可能な記憶部と、
前記脚部の動作を制御することにより前記無人移動体を前記経路に沿って移動させ、前記トータルステーションの動作を制御することにより前記トータルステーションに前記地下空間内の位置座標が既知の少なくとも3点に予め設置された第1のターゲットの位置座標を取得させることで得られる前記トータルステーションの現在位置が前記選定断面についての所定の位置になったとき、前記トータルステーションに前記選定断面についての内壁面上に複数設置された第2のターゲットの位置座標を取得させ、当該取得結果に基づいて前記選定断面の形状を取得するように構成された制御装置と、
を含む、断面形状取得装置。
【符号の説明】
【0094】
1…断面形状取得装置、2、4、6…ターゲット、10…無人移動体、12A…荷台、14…脚部、20…3次元レーザスキャナ、30…自動整準台、40…ステレオカメラ、50…傾斜センサ、100…制御装置、100A…制御部、100B…記憶部、100E…画像処理部、60、61…マトリックス型二次元コード(QRコード(登録商標))