(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】区分所有オフィスの情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20250114BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2023198801
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513112474
【氏名又は名称】株式会社ボルテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 文彦
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-140777(JP,A)
【文献】特開2002-109198(JP,A)
【文献】特開2002-183430(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2300683(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフィスビルの区画を分割し、一の、または、複数の者に所有させる区分所有オフィスのバリューアップのための、入力部と、出力部と、表示部と、記憶部とを備えた情報処理システムであって、前記オフィスビルの購入または建築に際し、
販売するために購入を予定しているオフィスビルを商品として組成する際のバリューアップの内容の入力を求めるバリューアップ計画策定部と、
前記バリューアップ計画策定部を制御する区分所有オフィス情報処理システム制御部と
を有し、
前記区分所有オフィス情報処理システム制御部は、前記オフィスビルに関する基本的な情報の入力を受け、前記入力された基本的な情報
について入力がされていない項目がないか、入力された内容に誤りはないか、入力内容の項目相互に矛盾がないか、に関してソフトウエアでチェックを行い、必要に応じて追加あるいは修正入力を求めることをして
前記オフィスビルに関する物件名、所在地、交通、土地、建物、公法規制、売主、仲介業者、在庫/保有、築年数、種類、主用途、残存年数、賃料情報、売買条件、利回りに関する情報である商品組成情報の承認、更に、それを用いて該オフィスビルについての購入の判断、を容易に行うことができるように、多量の情報をまとめ上げることをし、
意思決定者が前記オフィスビルの購入の判断を行なえるよう、該
まとめ上げることで得られた商品組成情報を
画面に表示する、あるいは印刷する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記オフィスビルに関する基本的な情報に関する基本的な情報には、物件名、所在地、交通、土地に関する情報、建物に関する情報、公法規制、売主、仲介業者、在庫/保有、築年数、種類、主用途、残存年数、賃料情報、売買条件、利回り情報のうちの少なくともいずれかが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前
記バリューアップ計画に、
a.広告関係のバリューアップ
b.オフィス専有部のバリューアップ
c.オフィス共用部のバリューアップ
d.工事関連のバリューアップ
のいずれか1つ以上
が含
まれることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビルの区画を分割し、1の、または、複数の者に所有させる区分所有オフィスの情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス(事務所)ビルの区画を分割し、1以上の者に所有させる区分所有オフィスは、企業及び個人の投資対象として、あるいは個人富裕層の相続対策として注目を集めている。
【0003】
出願人は、商業地に建つ比較的中規模なオフィスビルをフロアごと、あるいは部屋ごとに分譲し、リスクを考慮した商品「区分所有オフィス」として販売している。
【0004】
その第1のメリットとしては、資金的なハードルを下げられることにある。1棟まるごと購入すると数10億円かかる都心の商業地の中規模ビルでも、区分所有ならその数分の1、あるいは数10分の1程度に抑えられる。
【0005】
第2のメリットとしては、一棟購入と同予算で
グレードの高いオフィスを購入できることにある。小規模ビルを一棟購入した場合と同予算で、より好立地・高品質な、グレードの高いオフィスを購入することが可能である。
【0006】
第3のメリットとしては、流動性が高いことである。競合物件が少ないことに加え、一棟ビルを区分化することで価格を抑えているので、購買層が増え流動性が高まる。
【0007】
第4のメリットとしては、管理コストが軽減できることである。管理組合を組成して、修繕積立基金を設定し、長期修繕計画に基づき運用するため、突発的なコストを平準化できる。
【0008】
このような区分所有オフィスは、企業にとって、新規事業としての不動産賃貸業による経営の多角化に寄与するものであり、特に、不動産賃貸業は、景気の影響を受けにくく、財務体質の安定に大きな効果をもたらすものでもある。
【0009】
特に、東京などの商業地に位置するハイグレードオフィスビルは、今なお資産価値が高まり続け、不動産の所有者に多大な恩恵をもたらしている。つまり、スケール的な資産価値をはじめ、高い流動性や安定収入にもつながる都心の区分所有オフィスは、極めて魅力的かつ確実性のある不動産と言える。このように、区分所有オフィスは安定的な収入で企業の事業継続性を支えることができる。
【0010】
また、自社オフィスとして、区分所有オフィスを購入することもメリットが大きい。必要なスペースのみを購入することができ、転居する際はオフィスを賃貸に回すことも可能である。購入した区分所有オフィスは賃貸とは異なり資産として残るため、将来的に有効活用することができる。
【0011】
一方、富裕層の個人にとっては、資産ポートフォリオの一つとして、安定した不動産、特にアパートやマンションよりも賃料収入や売却益が比較的安定している都心のオフィスビルへの投資を組み込むことが好まれている。
【0012】
更に、相続に際しても、現金や金融資産は時価で評価されるが、不動産の場合、通常は相続税評価額により評価される。そのため、不動産に組み替え、実勢価格と相続税評価額に差が生じる場合、現預金に比べ評価が下がる可能性がある。
【0013】
また、小口化した不動産を所有することで、相続時の分与の自由度が高くなるため、円満な相続が可能となる。
【0014】
このようにメリットの多い区分所有オフィスに関して、区分所有オフィスを投資家に販売する側、すなわち、区分所有オフィスを商品として組成する側に関しては、不動産の仕入れ、改修工事の要否、価格の設定など、多種多様な情報の収集、分析が必要となっている。
【0015】
特許文献1には、投資用不動産の運用実績等に対して多様な観点から分析することを支援することを課題として、解決手段として投資用不動産の物件に関する情報を記憶する物件情報記憶部と、物件の所有者に関する情報を記憶する所有者情報記憶部と、物件の賃貸状況に関する情報を記憶する賃貸情報記憶部と、物件の借り入れに関する情報を記憶する借入金返済情報記憶部と、分析者から分析条件の入力を受け付ける入力部と、物件情報記憶部、所有者情報記憶部、賃貸情報記憶部、および借入金返済情報記憶部に記憶された情報に基づいて、入力部が受け付けた分析条件に応じて、分析者と関連ある第1物件についての投資に関する情報を処理する処理部と、処理部が処理した投資に関する情報を出力する出力部と、を備える不動産投資分析支援装置の発明が開示されている。
【0016】
しかしながら、この文献に開示された内容は、分析者が、不動産の所有者または管理者であり、言わば投資家側の視点に立った分析支援装置であり、投資家に不動産を販売する側を対象としたものではない。
【0017】
特許文献2においては、不動産物件のオーナーと管理仲介業者との間で行う、リノベーションによって不動産物件の価値を高める新たな再生スキームにおける、収支のシミュレーションに用いられるシミュレーション装置等を提供することを課題とし、賃貸使用する不動産物件において、管理仲介業者が不動産物件の少なくとも区分に対してリノベーションを行い、不動産物件の価値を向上させる不動産物件再生方法に係る収支のシミュレーションに用いられるシミュレーション装置が、リノベーションを行う区分の相場賃料と、少なくとも区分に係るリノベーション費用と、不動産物件に係るメンテナンス費用との入力を受け付け、相場賃料とリノベーションを行わない区分の賃料とに基づき、管理手数料を算出し、不動産物件が有する各区分における各賃料、メンテナンス費用及び管理手数料に基づいて、不動産物件のオーナーが得られる収入額を算出して出力する発明が開示されている。
【0018】
しかしながらこの文献は、 不動産物件のオーナーは、当該物件を保有したまま、管理仲介業者がオーナーに代わってリノベーションを行うことを主旨としており、区分所有オフィスの商品組成段階の発明ではない。
【0019】
なお、本願の出願人は、区分所有オフィスに関連して既に複数の特許出願(特許文献3~7)を行っているが、いずれにも以下に詳述する発明内容については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開2020-126522号公報
【文献】特開2021-140777号公報
【文献】特許第5789062号公報
【文献】特許第6074102号公報
【文献】特許第7029883号公報
【文献】特許第6371442号公報
【文献】特開2022-60379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
このように、区分所有オフィスの事業に関して、区分所有オフィスを投資家に販売する側、すなわち、区分所有オフィスを商品として組成する側については、不動産の仕入れ、改修工事の要否、価格の設定など、多種多様な情報の収集、分析が必要となっているが、それらについて適切な手法がないことが問題点であり、区分所有オフィスを商品として組成するための適切な情報処理システムを提供することを課題とした。
【0022】
特に、区分所有オフィスを商品として組成する際に、区分所有オフィスの価値の向上を図るためのバリューアップ計画を策定することを含む情報処理システムを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するための、本発明に係る第1の態様は、オフィスビルの区画を分割し、一の、または、複数の者に所有させる区分所有オフィスの情報処理システムであって、前記オフィスビルの購入または建築に際し、商品として組成するための情報を取得する区分所有オフィス商品組成情報取得部と、前記区分所有オフィス商品組成情報取得部を制御する区分所有オフィス情報処理システム制御部とを有することを特徴とする。
【0024】
ここで、区分所有オフィス商品組成情報取得部は、区分オフィスを商品として組成するために必要な情報を取得する機能を有するものである。「取得」には、収集したり、分析したり、作成したりすることを含むものとする。
【0025】
このようにすると、区分所有オフィスの販売者側にとって、購入または建築するかどうかの経営判断を適切に行うことができるシステムを構築することができる。
【0026】
区分所有オフィス商品組成情報取得部の具体的な機能部分としては、次のようなものが挙げられる。ただし、区分所有オフィス商品組成情報取得部は、下記の機能部分の全てを有していなくてもよく、また、これ以外の機能部分を有してもよい。
【0027】
a.バリューアップ計画策定部
区分所有オフィスとしての価値の向上を図るための、バリューアップ計画を策定する部分。詳細は後述する。
b.区分所有オフィスの小口化商品組成部
区分所有オフィスを任意組合を組成して、小口化して販売するものであり、単独のオフィスビルの特定部分を小口化する場合のほか、複数のオフィスビルの特定部分を組み合わせて小口化する場合も含まれる。
c.専用部分・共用部分の区画決定部
オフィスビルの各区画に属する専用部分及び共用部分を決定するものであり、床面積の算出、専用・共用部分の区分け、管理費・修繕積立金の算定などを行って公平な区画決定を行うものである。
d.投資シミュレーション情報作成部
区分所有オフィスの購入希望者に対する投資に関する適切なシミュレーション情報を提供し、これによって商談を成功させるものである。
e.売却参考価格算出部
区分所有オフィスの購入希望者に対し、購入予定の区画を売却する際の参考価格を算出し、提供するものである。これによって、購入希望者が将来計画を立てやすくなり、区分所有オフィスの販売に資することになる。
【0028】
次に、本発明に係る第2の態様は、第1の態様の区分所有オフィスの情報処理システムであって、前記区分所有オフィス商品組成情報取得部が、その一部として前記オフィスビルの価値を向上させるバリューアップ計画を策定するバリューアップ計画策定部を有し、前記バリューアップ計画によって、前記区分所有オフィスの資産価値を向上させることを特徴としてもよい。
【0029】
このようにすると、区分所有オフィスの販売者側にとって、区分所有オフィスの価値を向上させることができ、より高額な販売価格の設定ができるなど、経営上の大きな効果を生み出すことができる。
【0030】
なお、価値の向上には、直接の金銭的なもののほか、安全性の向上、及び、耐用年数の延長なども含まれる。
【0031】
次に、本発明に係る第3の態様は、第2の態様の区分所有オフィスの情報処理システムであって、前記バリューアップ計画策定部が策定するバリューアップ計画に、
a.広告関係のバリューアップ
b.オフィス専有部のバリューアップ
c.オフィス共用部のバリューアップ
d.工事関連のバリューアップ
のいずれか1つ以上を含むことを特徴としてもよい。
【0032】
このように、区分所有オフィスの様々な局面におけるバリューアップ計画を準備しておくことで、より適切で効果的な区分所有オフィスの商品組成が可能となる。
【0033】
ここで、広告関係のバリューアップには、例えば以下のものがある。
a-1 足場用営業広告シート
a-2 区分オフィス用広告看板
【0034】
オフィス専有部のバリューアップには、例えば以下のものがある。
b-1 セットアップオフィス
【0035】
オフィス共用部のバリューアップには、例えば以下のものがある。
c-1 BELS、新耐震適合シール
c-2 抗菌コーティング
c-3 デジタルサイネージ
c-4 エレベータ内デジタルサイネージ
c-5 掲示板設置
c-6 エレベータマット
c-7 足元マット
c-8 アロマディフューザー
c-9 パラリンアート
c-10 自動販売機(販売者仕様)
c-11 レンタルサイクル
c-12 時間貸し駐車場
c-13 喫煙スペース設置
c-14 キッチンカー誘致
c-15 専用使用箇所使用におけるルール化
【0036】
工事関連のバリューアップには、例えば以下のものがある。
d-1 特定のロゴサイン
d-2 インフォメーションサイン
d-3 ピクトサイン・階数表示
d-4 ファサード改修
d-5 エントランス改修
d-6 水回り改修
d-7 エレベータ内腰壁カーペット
d-8 照明LED化
d-9 空調設備工事
d-10 事務所化
d-11 バリアフリートイレ設置工事
d-12 緑化
d-13 屋上テラス
d-14 安全設備設置
d-15 設備の適正化
d-16 防犯カメラ
【0037】
なお、そのほかにも、以下のようなバリューアップ計画もあり得る。
e-1 炭の活用
e-2 壁振動による音響効果
e-3 残存耐用年数延長に寄与する工事
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、区分所有オフィスの事業に関して、区分所有オフィスを投資家に販売する側にとって、区分所有オフィスを商品として組成する際の適切な手法を含む情報処理システムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムの機能構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのハードウエア構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシステムのバリューアップ計画策定部に関する実施例の図面である。
【
図39】本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムの運用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムについて説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0041】
<区分所有オフィスの情報処理システムの構成>
図1は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムの機能構成図である。
【0042】
区分所有オフィス情報処理システム1は、機能的に、システム全体を制御する区分所有オフィス情報処理システム制御部10、区分所有オフィスの商品組成に関する情報を取得する区分所有オフィス商品組成情報取得部20を有する。
【0043】
なお、そのほかに区分所有オフィスを商品組成した後に、販売を支援する情報を取得する区分所有オフィス販売支援情報取得部30、区分所有オフィスを販売した後にその区分所有オフィスの運営、管理、保全などの情報を取得する区分所有オフィス運営管理情報取得部40などを有していてもよい。
【0044】
図2は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのハードウエア構成図である。区分所有オフィスの情報処理システムのハードウエア構成は、公知の、サーバ、PCなどのコンピュータの構成であり、システムを制御するCPU1001、情報の入力のためのキーボード、マウスなどを含む入力部1002、情報の出力のためのプリンタなどの出力部1003、情報の表示のための各種ディスプレイを含む表示部1004、データやプログラムなどの情報を記憶する記憶部1005、Wi-Fi、LANなどにより、インターネット、クラウド2000など外部との通信を行うための通信インターフェース部1006から構成される。これらのハードウエア資源を用いて先の機能構成が具体的に実現されている。
【0045】
なお、これらは、単数の装置であってもよいし、同様の構成の装置を複数用いてもよく、更に、別の場所(本店と営業所など)に機能を分散して設けてもよく、また、クラウドコンピューティングとして遠隔・分散して設けてもよい。
【0046】
次に、区分所有オフィス商品組成情報取得部20の構成について説明する。
【0047】
区分所有オフィス商品組成情報取得部20は、商品組成に際してバリューアップを計画するバリューアップ計画策定部100、区分所有オフィスを小口化して販売する区分所有オフィスの小口化商品組成部200、オフィスビルの各区画に属する専用部分及び共用部分を決定するための専用部分・共用部分の区画決定部300、区分所有オフィスの購入希望者に対する投資に関する適切なシミュレーション情報を提供する投資シミュレーション情報作成部400、
区分所有オフィスの購入希望者に対し、購入予定の区画を売却する際の参考価格を算出し、提供する売却参考価格算出部500などを含んでいる。
【0048】
この後は、バリューアップ計画策定部100について詳しく説明する。「課題を解決するための手段」においてリストアップしたバリューアップ項目の詳細は以下の通りである。
【0049】
なお、ここで、「販売者」とは区分所有オフィスを商品として組成し販売する者を言い、「購入者」とは区分所有オフィスを購入する者を言い、「テナント」とは区分所有オフィスに入居している者を言う。
【0050】
また、図中に、出願人の名称あるいは略称が表示されているものがあるが、これらは一般的に「販売者」の名称・略称と読み替えるものとし、表示された語句についてもこれに限定するものではない。
【0051】
a-1 足場用営業広告シート
図3は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図3(a)、
図3(b)はそれぞれ異なるオフィスビルである。改修工事の特性を活かし、工事中の足場シート101aに販売者の区分所有オフィスの情報101bを発信する。工事現場であっても、販売者の区分所有オフィスの内容を通行人にアピールできる。
【0052】
a-2 区分オフィス用広告看板
図4は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図4(a)は概観、
図4(b)は詳細を表している。販売者のオフィスブランドを付した多数の物件を広告宣伝の場とし、通行人の目に留まるよう看板(広告用ポスター)102を設置する。販売者の区分所有オフィスの情報を、より生産性高く多くの人にアピールできる。
【0053】
b-1 セットアップオフィス
図5は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)とも内装工事後の例を示しており、統一された色調、大きな開口部(窓)103などが特徴となっている。販売者があらかじめ内装工事を施すことで、魅力的なオフィスを演出する。
テナント移転時のコストや手間を軽減できるため入居意欲の向上に繋がる。
【0054】
なお、それに関連した内容として、床暖房設備、ビルトイン家具、OAフロアー、用途への対応(オフィス化のほか、店舗化など)、自動ドア、オーニング(日除け)などを含んでいてもよい。
【0055】
c-1 BELSシール、新耐震適合シール
図6は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図6(a)はBELSシール104、
図6(b)は東京都の新耐震適合シール105を示している。
・BELSシール104
省エネ性能を表示することにより、「環境に配慮した建物」であることをテナント、通行人にアピールできる。
・新耐震適合シール105
「建築基準法の法改正
(構造計算)に適合した建物」であることをテナント、通行人にアピールできる。
【0056】
c-2 抗菌コーティング
図7は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図7(a)は抗菌コーティング施行済シール106、
図7(b)は抗菌コーティング施行状況、
図7(c)は抗菌
コーティング認定書107である。新型コロナウイルスの感染拡大で引き起こされるさまざまな影響のうちのひとつに、「接触感染」も含まれていたため、不特定多数の方が使用される共用部のエントランスやバリアフリートイレにおいては抗菌コーティングを実施することが好ましい。
【0057】
c-3 デジタルサイネージ
図8は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図8(a)は埋め込み型デジタルサイネージ108、
図8(b)は置き型サイネージ109を示している。オフィスビルのエントランスにデジタルサイネージを設置することで、テナント向けに情報を発信することができる。また、企業とのタイアップなどで他社広告配信を受注することができれば、収益化させることも可能である。
【0058】
なお、サイネージのコンテンツについては、近隣の交通機関の運行状況、地元の催しの告知、飲食店の空席の案内、商店の特売情報など、テナントのメンバーや来訪者のニーズに適合した情報を表示するようにしてもよい。
【0059】
c-4 エレベータ内
デジタルサイネージ
図9は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図9(a)は壁掛け型デジタルサイネージ110、
図9(b)は照射式サイネージ111を示している。エレベータ内にデジタルサイネージを設置することで、テナント向けに情報を発信することができる。また、企業とのタイアップなどで他社広告配信を受注することができれば、収益化させることも可能である。
【0060】
c-5 掲示板設置
図10は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図10(a)はホワイトボード様の掲示板112a、
図10(b)は黒板用の掲示板112bを示している。各オフィスビルのエントランスに掲示板を設けることで、テナントに必要な情報を1か所に集約して伝達することができる。
【0061】
c-6 エレベータマット
図11は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図11(a)、
図11(b)は異なる形式のエレベータマット113を示している。エレベーター内部は人の出入りや荷物の運搬により汚れや傷がつきやすいため、
外観維持の目的でマットを使用している。
また、販売者のロゴサインを入れることでブランディング効果を高めている。
【0062】
c-7 足元マット
図12は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図12(a)、
図12(b)は異なる形式の足元マット114を示している。汚れを建物内に持ち込まないための機能性や、滑り止め効果の高いマットは、転倒防止につながり、人通りの多い場所やお子様・高齢者が通行する場所でも安心して出入りすることができる。
また、販売者のロゴサインを入れることでブランディング効果を高めている。
【0063】
c-8 アロマディフューザー
図13は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面代用写真である。
図13(a)、
図13(b)は異なる設置状況のアロマディフューザー115を示している。待合室やロビーにアロマディフューザー置くことで、来館した際に、良い香りでお迎えすることができる。また、香りには高級感や特別感を感じる効果があり、企業(購入者やテナント)の好印象へと繋がる。
【0064】
c-9 パラリンアート
図14は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図14(a)、
図14(b)は異なる設置状況のパラリンアート116の模式図を示している。「障がい者自立推進機構」が運営するパラリンアートでは、「障がい者がアートで夢を叶える」を理念に、アーティストが作品を描いている。販売者が絵画を購入し1階共用部に設置することで、パラリンアートは「SDGs活動の推進・社内啓発・
社外 PR 」を通じて 、 販売者の「ブランディング」や「プロモーション」に寄与する。
【0065】
c-10 自動販売機(販売者仕様)
図15は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図15(a)、
図15(b)は異なる設置状況の自動販売機(販売者仕様)117を示している。特定色(例えばブラック)を基調とした自動販売機は、通行人の目を引くアイテムとなっている。また、ビルとの統一感も出るためブランディング効果を高めている。
【0066】
c-11 レンタルサイクル・電動キックボードシェア
図16は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図16(a)はレンタサイクル駐輪場118、
図16(b)は電動キックボード駐輪場119を示している。大規模なビルの1階のピロティ―やアプローチ部分を、時間貸し駐輪場としてスペースを有効活用する。そうすることで、手数料収入を得ることができ、ビル運営上のメリットも得られる。
【0067】
c-12 時間貸し駐車場
図17は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図17は駐車場120のイメージを示している。大規模なビルの1階のアプローチ部分を、時間貸し駐車場としてスペースを有効活用する。そうすることで、手数料収入を得ることができ、ビル運営上のメリットも得られる。
【0068】
c-13 喫煙スペース設置
図18は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図18(a)は喫煙ボックス122、
図18(b)は喫煙ボックス122の設置状況を示している。喫煙スペースがない場所に喫煙ボックスを設置することで、ビルの美観を維持しながら分煙を実現することができる。
【0069】
c-14 キッチンカー誘致
図19は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図19(a)、
図19(b)は異なる形態のキッチンカー123の状況を示している。駐車場やエントランス周りのスペースにキッチンカーを誘致することで、ビルの利用者だけでなく近隣の方々にもご利用いただき、賑わい創出に寄与する。
またキッチンカーからの手数料収入という、ビル運営上のメリットがある。
【0070】
c-15 専用使用箇所使用におけるルール化
図20は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図20(a)はルール化以前(看板124a、124bが通路にはみ出ており不適切)、
図20(b)はルール化後(看板125が適切)を示している。ビルの壁面やアプローチ部分は、テナントにとって広告・宣伝のために大きな利用価値がある。一方で、外観に影響を与え、ビルの印象を左右するため、利用範囲や利用方法についてルールを定め、ビルの外観を秩序正しく保つようにする。
【0071】
d-1 販売者のロゴサイン
図21は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図21(a)は玄関に設けた販売者のロゴサイン126、
図21(b)は郵便受けに設けた販売者のロゴサイン126、
図21(c)は駐輪場に設けた販売者のロゴサイン126、
図21(d)は外壁上部に設けた販売者のロゴサイン126を示している。館名サインに加え、ファサードや、上層階の外壁に販売者のロゴサインを設置することで、ブランディングに寄与する。
【0072】
d-2 インフォメーションサイン
図22は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図22(a)、
図22(b)は異なる形式のインフォメーションサイン127を示している。来館者をテナントに繋ぐ役割をもつインフォメーションサインは、ビルの外観や内装と統一感を持たせて設置する必要がある。
販売者のブランドイメージを崩さず来館者の利便性を高める。
【0073】
d-3 ピクトサイン・階数表示
図23は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図23(a)、
図23(b)は異なる形式のピクトサイン128を示している。テナントに分かりやすく指示できるよう、適切な場所に建物の意匠に合わせたデザインのピクトサイン・階数表示を設置する。
【0074】
d-4 ファサード改修
図24は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図24(a)は改修前の全景、
図24(b)は改修後の全景、
図24(c)は改修後のエントランスホール部分、
図24(d)は改修後の販売者のロゴサイン126を付したエントランスの外観を示している。また、
図25は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、下段の3枚が改修前、上段の3枚が改修後を示している。ビルの第一印象を決めるファサードは、美観の向上や景観を意識した改修とし、区分所有オフィスに付加価値を与える。
【0075】
d-5 エントランス改修
図26は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、4枚ともエントランス改修後の状況を示している。また、
図27は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、右上部2枚がエントランス改修前、残る3枚がエントランス改修後の状況を示している。ビルの顔となるエントランスを、素材や色彩、機能性などを考慮した上でデザイン変更を行う。区分所有オフィスに付加価値を与える。
【0076】
d-6 水回り改修
図28は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、いずれも水回り外周後であって、右図が給湯室、左スが女子トイレを示している。毎日利用する水回りの改修工事は、機器のグレードアップに加え、印象も変えることもできるため、バリューアップ工事においては、テナントなどのビル使用者と購入者とに付加価値を与えることができる。
【0077】
d-7 エレベータ内腰壁カーペット
図29は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図29(a)、
図29(b)は異なる形式のエレベータ内腰壁カーペット129を示している。キズ・汚れ防止を目的に腰壁カーペットを設置する。デザイン性にも配慮することで、エレベータ内の印象も変えることもできる。バリューアップ工事においては、テナントなどのビル使用者と購入者とに付加価値を与えることができる。
【0078】
d-8 照明LED化
図30は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図30(a)は改修前であり、蛍光灯照明器具130が設置されている状況、
図30(b)は改修後のLED照明器具131に交換された状況を示している。照明の長寿命・省エネを実現し、
CO
2
削減にも寄与する。
【0079】
d-9 空調設備工事
図31は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図31(a)は改修前であり、旧型空調機器132が設置されている状況、
図31(b)は改修後の新型空調機器133に交換された状況を示している。更新時期の過ぎた空調設備を交換する。空調環境の改善、省エネ対策、ランニングコスト削減となる。
【0080】
d-10 事務所化
図32は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、左図が事務所化改修前の状況、右図が事務所化改修後の状況を示している。テナント入居時のテナント負担となる「事務所化工事」を、販売者が実施することで、設備の適正化に加え、スムーズなテナント誘致に繋げている。
【0081】
d-11 バリアフリートイレ設置工事
図33は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、左図がバリアフリートイレ(多目的トイレ)の扉部分の状況、右図がバリアフリートイレの内部の状況を示している。建築物バリアフリー条例(東京都)の遵守を目的に、バリアフリートイレを設置する。販売者が積極的に設置工事を実施することで、スムーズなテナント誘致にも繋がっている。
【0082】
d-12 緑化
図34は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、左図が緑化改修前の状況、右図が緑化改修後の状況を示している。新たに緑化を行うことで、美しい景観をつくる効果やリラックス効果、環境保全の観点からも社会に寄与している。
【0083】
d-13 屋上テラス
図35は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、左図が屋上テラス改修前の状況、右図が屋上テラス改修後の状況を示している。ウッドデッキ134は、テナントの憩いの場としてアピールポイントとなる。
また、既にあるウッドデッキを休息スペースと、喫煙スペースとに分離させることで最適な空間となる。
【0084】
d-14 安全設備設置
安全性の向上は、極めて重要なバリューアップ項目である。
図36は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、
図36(a1)が安全設備改修前、
図36(a2)が安全設備(タラップの背かご135)改修後、
図36(b1)が安全設備改修前、
図36(b2)が安全設備(手摺136)改修後を示している。設備機器のメンテナンス時の安全性を考慮し、屋上に「タラップの背かご」や「手摺」を設置する。
【0085】
d-15 設備の適正化(ダクト撤去、駐輪場設置等)
図37は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面であり、
図37(a1)が改修前(不要ダクト137撤去前)、
図37(a2)が改修後、
図37(b1)が改修前、
図37(b2)が駐輪場138設置の改修後を示している。区分所有オフィス購入者の観点からも、テナントに長期的に入居をしていただくために、必要な設備の適正化も行っている。
【0086】
d-16 防犯カメラ
図38は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムのバリューアップ計画策定部に関する例の図面である。
図38(a)、
図38(b)は異なる形態の防犯カメラ139を示している。テナントにより安心してビルをご利用いただくために、必要に応じて防犯カメラを新設・増設し、セキュリティの強化を図る。
【0087】
e-1 炭の活用
天井内、あるいは床下に炭を入れ込むものである。炭の表面には無数の極めて小さい孔があいていて、空気中のにおい成分を吸着する性質があるため、空気清浄効果が期待でき、クリーンな空気を保つことができる。
【0088】
e-2 壁振動による音響効果
近年、薄型のスピーカー機能が実用化されている。例えば、厚さ20mm程度のものを壁や天井に埋め込むようにする。例えば、オフィスビルのエントランスに設けておけば、音楽などを流すことで、リラクゼーション効果を発揮し、あるいは、耳障りな騒音をマスキングする効果を持たせることができる。
【0089】
e-3 残存耐用年数延長に寄与する工事
建物には法定耐用年数が定められているが、物理的あるいは経済的な残存耐用年数は法定耐用年数を超えて延長することも可能である。残存耐用年数が延びれば、融資の返済年数などにも好影響を与えることとなり、事業的なメリットも大きい。
【0090】
このためには、外観、内装、設備などが良好に保たれていることが重要であるが、これまでに説明した項目のうち、いくつかは残存耐用年数延長に寄与するものもあり、更に、これまでの項目に含まれていないもので、残存耐用年数延長に寄与する工事をバリューアップとして積極的に実施することも有効である。
【0091】
<区分所有オフィスの情報処理システムの運用>
これまでに説明した区分所有オフィス情報処理システムの構成の運用について説明する。
図39は本発明の一実施形態に係る区分所有オフィスの情報処理システムの運用についてのフローチャートである。
【0092】
まず、区分所有オフィスを商品として組成するためには、購入しようとしているオフィスビルについて種々の情報を取得し、システムに入力する必要がある。ここでは、オフィスビルのバリューアップにつき、焦点を当てて説明する。
【0093】
まず、区分所有オフィス情報処理システム1の区分所有オフィス商品組成情報取得部20のバリューアップ計画策定部100が、販売するために購入を予定しているオフィスビルを商品として組成する際のバリューアップの内容の入力を求める。(ステップ S01)
【0094】
この入力は、人手によってでもよく、あるいは情報の転送などの手段によってもよい。バリューアップ計画策定部100は入力項目に関するガイドや、入力のためのテンプレートなど、入力を容易にする工夫を有している。
【0095】
なお、バリューアップの内容の入力としては、これまでに述べた技術内容のほか、所要の費用・工期・難易度などに関する情報も併せて入力されることが望ましい。
【0096】
次に、バリューアップ計画策定部100が、入力されたバリューアップ計画の内容を吟味し、その結果を区分所有オフィス情報処理システム制御部10へと送る。(S02)
【0097】
ここで、吟味するとは、入力がされていない項目がないか、入力された内容に誤りはないか、入力内容の項目相互に矛盾がないか、などを内蔵するソフトウエアなどでチェックを行い、必要に応じて追加あるいは修正入力を求めることを言う。
【0098】
次に、区分所有オフィス情報処理システム制御部10が、当該オフィスビルに関する基本的な情報、すなわち、物件名、所在地、交通(最寄駅など)、土地に関する情報(地目、地積、権利、道路状況など)、建物に関する情報(種類・構造、規模、床面積、完了検査済の有無、建物完成日)、公法規制(区分区域、用途地域、建蔽率、容積率、防火指定、地区計画など)売主、仲介業者、在庫/保有、築年数、種類(一棟/区分)、主用途、残存年数、賃料情報、売買条件(土地価格、建物価格)、利回り情報など、に加えて、商品組成情報取得部20の各部(バリューアップ計画策定部100の他、必要に応じて、区分所有オフィスの小口化商品組成部200、専用部分・共用部分の区画決定部300、投資シミュレーション情報作成部400、売却参考価格算出部500など)からの情報入力を受けて、情報入力を受け、商品組成情報を吟味し、統合する。(S03)
【0099】
ここで、吟味するとは、先に説明したのと同様に、入力がされていない項目がないか、入力された内容に誤りはないか、入力内容の項目相互に矛盾がないか、などを内蔵するソフトウエアなどでチェックを行い、必要に応じて追加あるいは修正入力を求めることを言う。
【0100】
また、統合するとは、当該オフィスビルの商品組成情報の承認、更に、それを用いて当該オフィスビル購入の判断を、容易に行うことができるように、多量の情報をまとめ上げることを言う。
【0101】
次に、区分所有オフィス情報処理システム制御部10が、統合した商品組成情報を意思決定者に提示する。(S04)
【0102】
意思決定者とは、販売者(当該オフィスビルを購入し、商品として組成する者)の代表者であることが一般的で、その者が商品組成情報の承認、更に、それを用いて当該オフィスビル購入の判断を行なえるよう、画面に表示する、あるいは印刷するという形式が通常である。
【0103】
次に、意思決定者が提示された情報の承認を行う。(S05)ここでバリューアップ計画策定部100が提供した情報に問題があり承認されない場合は、再度、バリューアップ計画策定部100に差し戻されて、修正又は追加入力を行う場合もある。
【0104】
なお、区分所有オフィス情報処理システム制御部10が、意思決定者の支援をするためのソフトウエアを内蔵し、承認可否の判断を効率よく行わせることも可能である。
【0105】
また、AI技術を活用し、過去に蓄積されたデータから、承認可否の判断をより精度高く支援するようにしてもよく、更には承認可否の判断自身をAI技術にて行わせるようにしてもよい。
【0106】
商品組成情報が承認された場合には、バリューアップ計画策定部100は、バリューアップの内容の実施を認める。(S06)それを受けて、各部署がバリューアップ内容の実施に向けて手配などの準備を進めることになる。
【0107】
このように、全体の事業(販売のためにオフィスビルを購入する)の中で、バリューアップの計画も承認を得て進められることになり、事業の円滑な進行ならびに利益の確保に貢献することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
区分所有オフィスは、事業として大きな将来性を有している。本発明はそのうちの区分所有オフィスを投資家に販売する側、すなわち、区分所有オフィスを商品として組成する側に関する発明であり、不動産産業における利用の可能性は極めて大きく、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0109】
1 区分所有オフィス情報処理システム
10 区分所有オフィス情報処理システム制御部
20 区分所有オフィス商品組成情報取得部
100 バリューアップ計画策定部
【要約】
【課題】区分所有オフィスの事業に関して、区分所有オフィスを商品として組成するための情報処理システムを提供すること。特に、区分所有オフィスの価値の向上を図るためのバリューアップ計画を策定することを含む情報処理システムを提供すること。
【解決手段】オフィスビルの区画を分割し、一の、または、複数の者に所有させる区分所有オフィスの情報処理システムであって、オフィスビルを商品として組成するための情報を取得する区分所有オフィス商品組成情報取得部と、区分所有オフィス商品組成情報取得部を制御する区分所有オフィス情報処理システム制御部とを有する区分所有オフィスの情報処理システムであり、特に、区分所有オフィス商品組成情報取得部が、その一部としてオフィスビルの価値を向上させるバリューアップ計画を策定するバリューアップ計画策定部を有し、バリューアップ計画によって、区分所有オフィスの資産価値を向上させることを特徴とする区分所有オフィスの情報処理システム。
【選択図】
図1